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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20240109BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240109BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02M1/00 H
H02M1/08 A
H03K17/687 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020199676
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087630
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 庸行
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-174756(JP,A)
【文献】特開平05-038134(JP,A)
【文献】特開2011-166593(JP,A)
【文献】特開2018-113809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 1/08
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧を生成するように構成された第1回路と、
前記生成された第1電圧を第1端子に転送するように構成された第2回路と、
前記第1端子の電圧が閾値電圧以上の場合に第1レベルとなり、前記第1端子の電圧が前記閾値電圧未満の場合に第2レベルとなる第1信号を生成するように構成された第3回路と、
を備え、
前記第3回路は、
第1電流源に接続された第1端と、接地された第2端と、前記第1端とともに前記第1電流源に接続されたゲートと、を含む第1スイッチ素子と、
第1ノードに接続された第1端と、接地された第2端と、前記第1電流源に接続されたゲートと、を含む第2スイッチ素子と、
第2ノードに接続された第1端と、接地された第2端と、前記第1電流源に接続されたゲートと、を含む第3スイッチ素子と、
前記第1端子の電圧に基づく電圧が入力される第1端と、前記第1ノードに接続された第2端と、前記第2ノードに接続されたゲートと、を含む第4スイッチ素子と、
第2電圧が入力される第1端と、前記第2ノードに接続された第2端と、前記第2端とともに前記第2ノードに接続されたゲートと、を含む第5スイッチ素子と、
前記第5スイッチ素子の第1端に接続された第1端と、第3ノードに接続された第2端と、前記第1ノードに接続されたゲートと、を含む第6スイッチ素子と、
前記第6スイッチ素子の第2端に接続された第1端と、接地された第2端と、前記第1ノードに接続されたゲートと、を含む第7スイッチ素子と、
前記第5スイッチ素子の第1端、及び前記第6スイッチ素子の第1端に接続された第1端と、前記第2回路に接続された第2端と、前記第3ノードに接続されたゲートと、を含む第8スイッチ素子と、
前記第8スイッチ素子の第2端に接続された第1端と、接地された第2端と、前記第3ノードに接続されたゲートと、を含む第9スイッチ素子と、
を備え、
前記第2回路は、前記第2レベルの第1信号に基づいて、前記第1電圧の転送を停止するように構成され、
前記第3回路は、前記第8スイッチ素子の第2端、及び前記第9スイッチ素子の第1端の電圧に基づいて、前記第2回路に前記第1信号を出力する、
半導体装置。
【請求項2】
第1電圧を生成するように構成された第1回路と、
前記生成された第1電圧を第1端子に転送するように構成された第2回路と、
前記第1端子の電圧が閾値電圧以上の場合に第1レベルとなり、前記第1端子の電圧が前記閾値電圧未満の場合に第2レベルとなる第1信号を生成するように構成された第3回路と、
第2電圧を出力可能に構成された第1電圧源と、
前記第1電圧源と、前記第1端子とを、直列に接続する第1抵抗と、
を備え、
前記第2回路は、前記第2レベルの第1信号に基づいて、前記第1電圧の転送を停止するように構成され、
前記第1電圧源には、第3レベル、及び前記第3レベルとは異なる第4レベルとなる第2信号が入力され、
前記第1電圧源は、前記第3レベルの第2信号に基づいて、前記第1抵抗に前記第2電圧を出力する、
半導体装置。
【請求項3】
前記第1電圧源は、
第1素子と、
前記第電圧が入力される第1端と、前記第1素子に接続される第2端と、前記第信号が入力されるゲートと、を含む第スイッチ素子と、
を備え、
前記第1素子は、前記第抵抗と前記第スイッチ素子とを直列に接続する、
請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電圧源は、
第1素子と、
前記第信号が入力される第1端と、前記第信号に基づく第信号を出力する第2端と、を含む第回路と,
前記第電圧が入力される第1端と、前記第1素子に接続される第2端と、前記第信号が入力されるゲートと、を含む第スイッチ素子と、
を備え、
前記第1素子は、前記第抵抗と前記第スイッチ素子とを直列に接続する、
請求項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2回路は、
前記第1端子を接地させる第回路、
を備え、
前記第回路は、前記第2レベルの第1信号、又は前記第レベルの第信号に基づいて、前記第1端子を接地させるように構成された、
請求項乃至請求項のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
第1電圧を生成するように構成された第1回路と、
前記生成された第1電圧を第1端子に転送するように構成された第2回路と、
前記第1端子の電圧が閾値電圧以上の場合に第1レベルとなり、前記第1端子の電圧が前記閾値電圧未満の場合に第2レベルとなる第1信号を生成するように構成された第3回路と、
を備え、
前記第2回路は、
前記第1端子を接地させる第5回路、
を備え、
前記第2回路は、前記第2レベルの第1信号に基づいて、前記第1電圧の転送を停止するように構成され、
前記第5回路は、前記第2レベルの第1信号、又は第4レベルの第2信号に基づいて、前記第1端子を接地させるように構成された、
半導体装置。
【請求項7】
前記第3回路は、
電圧が入力される第1端と、接地された第2端と、前記第1端子の電圧に基づく電圧が入力されるゲートと、を含む第10スイッチ素子と、
前記第10スイッチ素子の第1端に接続された第1端と、前記第2回路に接続された第2端と、前記第10スイッチ素子の第1端に接続されたゲートと、を含む第11スイッチ素子と、
前記第11スイッチ素子の第2端に接続された第1端と、接地された第2端と、前記第10スイッチ素子の第1端に接続されたゲートと、を含む第12スイッチ素子と、
を備え、
前記第3回路は、前記第11スイッチ素子の第2端、及び前記第12スイッチ素子の第1端の電圧に基づいて、前記第2回路に前記第1信号を出力する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、
前記第1端子に接続される第1端と、前記第10スイッチ素子のゲートに接続された第2端と、ゲートと、を含む第13スイッチ素子と、
前記第10スイッチ素子のゲート、及び前記第13スイッチ素子の第2端に接続された第1端と、接地された第2端と、を含む第抵抗と、
をさらに備える、
請求項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に電圧を供給するための半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-217156号公報
【文献】特開2019-169825号公報
【文献】特開2019-080359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
短絡による電流の増加を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1電圧を生成するように構成された第1回路と、上記生成された第1電圧を第1端子に転送するように構成された第2回路と、上記第1端子の電圧が閾値電圧以上の場合に第1レベルとなり、上記第1端子の電圧が上記閾値電圧未満の場合に第2レベルとなる第1信号を生成するように構成された第3回路と、を備える。上記第2回路は、上記第2レベルの第1信号に基づいて、上記第1電圧の転送を停止するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置の構成の一例を説明するためのブロック図。
図2】実施形態に係る半導体装置の駆動回路及び電圧モニタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
図3】実施形態に係る半導体装置の駆動回路に含まれる出力回路の構成の一例を説明するための回路図。
図4】実施形態に係る半導体装置を用いて外部のスイッチを駆動する際の、半導体装置の駆動動作の例を示すタイミングチャート。
図5】第1変形例に係る半導体装置の電圧モニタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
図6】第2変形例に係る半導体装置の電圧モニタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
図7】第2変形例に係る半導体装置を用いて外部のスイッチを駆動する際の、半導体装置の駆動動作の例を示すタイミングチャート。
図8】第3変形例に係る半導体装置の電圧モニタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
図9】第4変形例に係る半導体装置の駆動回路に含まれる出力回路の構成の一例を説明するための回路図。
図10】第5変形例に係る半導体装置の電圧モニタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。
【0008】
1. 実施形態
実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0009】
実施形態に係る半導体装置は、スイッチ素子等の負荷を駆動するための電圧を供給するドライバである。実施形態に係る半導体装置は、例えば、IC(Integrated Circuit)チップである。
【0010】
1.1 構成
実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
【0011】
1.1.1 半導体装置の全体構成
実施形態に係る半導体装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る半導体装置の構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0012】
半導体装置1は、半導体装置1の外部のスイッチ2に、スイッチ2を駆動するための電圧を供給するように構成される。
【0013】
スイッチ2は、例えば2つのスイッチ素子NTOUT(NTOUT1及びNTOUT2)を含む。スイッチ素子NTOUTは、Nチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、図1の例では、スイッチ2は2つのスイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2を含むが、スイッチ素子NTOUTの数はこれに限定されるものではない。スイッチ2は、1つ、又は3つ以上のスイッチ素子を含み得る。
【0014】
スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々の第1端には、電圧VINが入力される。電圧VINは、半導体装置1の外部の電圧源から供給される電圧である。外部の電圧源は、例えば、ポータブル電子機器のUSB(Universal serial bus)端子を介してスイッチ素子NTOUTの第1端に、電圧VINを供給する。スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々のゲートは、後述するように、半導体装置1に接続される。スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々の第2端からは、それぞれ電圧VOUT1、及びVOUT2が出力される。電圧VOUT1及びVOUT2はそれぞれ、互いに異なる負荷(図示せず)に供給される。負荷は、例えば、バッテリ、及び電源IC等である。
【0015】
半導体装置1は、端子PVIN、POUT1、POUT2、及びPSを含む。
【0016】
端子PVINには、電圧VINが入力される。
【0017】
端子POUT1は、半導体装置1とスイッチ素子NTOUT1のゲートとを接続する。端子POUT2は、半導体装置1とスイッチ素子NTOUT2のゲートとを接続する。端子POUT1及びPOUT2からは、それぞれスイッチ素子NTOUT1のゲートを充電するための電圧、及びスイッチ素子NTOUT2のゲートを充電するための電圧が出力される。
【0018】
端子PSは、例えば半導体装置1の外部からコマンドCMDを受信する。コマンドCMDは、例えば、半導体装置1にスイッチ2を駆動させる旨のコマンド、及び半導体装置1にスイッチ2の駆動を停止させる旨のコマンドを含む。半導体装置1は、受信したコマンドCMDに基づいて、スイッチ2を駆動させる。
【0019】
半導体装置1は、制御回路10、オシレータ11、昇圧回路12、駆動回路13、及び電圧モニタ回路14を含む。駆動回路13は、駆動回路13-1及び13-2を含む。電圧モニタ回路14は、電圧モニタ回路14-1及び14-2を含む。なお、以下の説明では、半導体装置1が、駆動回路13及び電圧モニタ回路14をそれぞれ2つずつ含む場合を例に説明するが、これに限られない。半導体装置1は、スイッチ2に含まれるスイッチ素子NTOUTの数に応じて、駆動回路13及び電圧モニタ回路14をそれぞれ、1つ、又は3つ以上含んでもよい。
【0020】
制御回路10は、例えば端子PSを介して半導体装置1の外部から、コマンドCMDを受信し、受信したコマンドCMDに基づいてオシレータ11、及び昇圧回路12を制御する。
【0021】
オシレータ11は、制御回路10の制御に基づいて、クロック信号を生成し、生成したクロック信号を昇圧回路12に出力する。
【0022】
昇圧回路12には、端子PVINを介して、半導体装置1の外部から電圧VINが入力される。昇圧回路12は、入力された電圧VINを、オシレータ11のクロック信号に基づいて、電圧VCPに昇圧して出力する。昇圧回路12の電圧VCPは、スイッチ2を駆動するために使用される。なお、以下の説明において、昇圧回路12が、電圧VINを電圧VCPに昇圧して出力する動作を、昇圧動作と呼称する。
【0023】
駆動回路13-1及び13-2には、それぞれ昇圧回路12の電圧VCPが入力される。駆動回路13-1及び13-2は、入力された昇圧回路12の電圧VCPを用いてスイッチ2を駆動する。より具体的には、駆動回路13-1は、制御回路10、及び電圧モニタ回路14-1の制御に基づいて、昇圧回路12の電圧VCPを、端子POUT1を介してスイッチ素子NTOUT1のゲートに転送する。これにより、駆動回路13-1は、スイッチ素子NTOUT1のゲートを充電し、スイッチ素子NTOUT1を駆動する。また、駆動回路13-2は、制御回路10、及び電圧モニタ回路14-2の制御に基づいて、昇圧回路12の電圧VCPを、端子POUT2を介してスイッチ素子NTOUT2のゲートに転送する。これにより、駆動回路13-2は、スイッチ素子NTOUT2のゲートを充電し、スイッチ素子NTOUT2を駆動する。
【0024】
電圧モニタ回路14-1は、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1をモニタする。電圧モニタ回路14-1は、電圧VG1をモニタした結果に基づいて、制御回路10とともに駆動回路13-1を制御する。電圧モニタ回路14-2は、スイッチ素子NTOUT2のゲートの電圧VG2をモニタする。電圧モニタ回路14-2は、電圧VG2をモニタした結果に基づいて、制御回路10とともに駆動回路13-2を制御する。なお、以下の説明では、電圧VG1及びVG2を総じて電圧VGとも呼称する。
【0025】
1.1.2 駆動回路、及び電圧モニタ回路の構成
実施形態に係る半導体装置1の駆動回路13及び電圧モニタ回路14の構成について、図2を用いて説明する。図2は、実施形態に係る半導体装置1の駆動回路13、及び電圧モニタ回路14の構成の一例を説明するための回路図である。なお、図2では、駆動回路13-1、及び電圧モニタ回路14-1の構成が、制御回路10、オシレータ11、及び昇圧回路12とともに示される。以下の説明では、駆動回路13-1、及び電圧モニタ回路14-1の構成が、制御回路10、オシレータ11、及び昇圧回路12とともに説明される。駆動回路13-2及び電圧モニタ回路14-2の構成については、駆動回路13-1及び電圧モニタ回路14-1と同等の構成についての説明を省略し、駆動回路13-1及び電圧モニタ回路14-1と異なる構成について主に説明する。
【0026】
制御回路10は、コマンドCMDに応じて信号S1を生成し、オシレータ11及び駆動回路13に、信号S1を出力する。制御回路10は、スイッチ2を駆動させる旨のコマンドを受信した場合に、信号S1を“L”レベルから“H”レベルにする。制御回路10は、スイッチ2の駆動を停止させる旨のコマンドを受信した場合に、信号S1を“H”レベルから“L”レベルにする。
【0027】
オシレータ11は、制御回路10の信号S1が“H”レベルである間、クロック信号を生成し、昇圧回路12に出力する。
【0028】
昇圧回路12は、制御回路10の信号S1が“H”レベルである間、オシレータ11のクロック信号に基づいて昇圧動作を実行し、電圧VCPを出力する。昇圧回路12は、信号S1が“L”レベルである間、昇圧動作を停止し、電圧VCPの出力を停止する。
【0029】
駆動回路13-1の構成について説明する。
【0030】
駆動回路13-1は、パルス生成回路130、論理和(OR)回路131、論理積(AND)回路132、及び出力回路133を含む。
【0031】
パルス生成回路130は、入力端及び出力端を含む。パルス生成回路130の入力端には、信号S1が入力される。パルス生成回路130は、信号S1に基づいて信号S2を生成する。より具体的には、パルス生成回路130は、信号S1が“L”レベルから“H”レベルになった場合に、信号S2を“L”レベルから“H”レベルとし、第1期間の経過後、信号S2を“H”レベルから“L”レベルとする。第1期間は、例えば、昇圧回路12が昇圧を開始してからスイッチ素子NTOUTのゲートが十分に充電されるまでの期間よりも長い期間である。駆動回路13-1及び13-2はそれぞれ、例えば第1期間を、電圧モニタ回路14の構成等に基づいて、予め設定する。パルス生成回路130の出力端からは、信号S2が出力される。
【0032】
論理和回路131は、第1入力端、第2入力端、及び出力端を有する。論理和回路131の第1入力端は、パルス生成回路130の出力端に接続され、信号S2が入力される。論理和回路131の第2入力端は、後述するように電圧モニタ回路14-1に接続され、電圧モニタ回路14-1の信号S3が入力される。論理和回路131は、論理和回路131の第1入力端に入力される信号S2と、論理和回路131の第2入力端に入力される信号S3との論理和演算を実行し、信号S4を生成する。より具体的に、論理和回路131は、信号S2及びS3がいずれも“L”レベルである場合に、信号S4を“L”レベルとし、信号S2及びS3の少なくとも一方が“H”レベルである場合に、信号S4を“H”レベルとする。論理和回路131の出力端からは、信号S4が出力される。
【0033】
論理積回路132は、第1入力端、第2入力端、及び出力端を有する。論理積回路132の第1入力端には、信号S1が入力される。論理積回路132の第2入力端は、論理和回路131の出力端に接続され、信号S4が入力される。論理積回路132は、論理積回路132の第1入力端に入力された信号S1と、論理積回路132の第2入力端に入力された信号S4との論理積演算を実行し、信号S5を生成する。より具体的には、論理積回路132は、信号S1及びS4がいずれも“H”レベルである場合に、信号S5を“H”レベルとし、信号S1及びS4の少なくとも一方が“L”レベルである場合に、信号S5を“L”レベルとする。論理積回路132の出力端からは、信号S5が出力される。
【0034】
出力回路133は、第1入力端、第2入力端、及び出力端を有する。出力回路133の第1入力端は、論理積回路132の出力端に接続され、信号S5が入力される。出力回路133の第2入力端は、昇圧回路12に接続され、昇圧回路12の電圧VCPが入力される。出力回路133の出力端は、端子POUT1を介してスイッチ素子NTOUT1のゲートに接続される。なお、図示しないが、駆動回路13-2において、出力回路133の出力端は、端子POUT2を介してスイッチ素子NTOUT2のゲートに接続される。信号S5が“H”レベルである場合に、出力回路133は、昇圧回路12の電圧VCPを、スイッチ素子NTOUTのゲートに転送する。これにより、スイッチ素子NTOUTのゲートが充電される。信号S5が“L”レベルである場合に、出力回路133は、電圧VCPの転送を停止する。これにより、スイッチ素子NTOUTのゲートが接地される。出力回路133の具体的な構成については、後述する。
【0035】
次に、電圧モニタ回路14-1の構成について説明する。
【0036】
電圧モニタ回路14-1は、スイッチ素子NT1、NT2、及びPT1、並びに抵抗R1を含む。スイッチ素子NT1及びNT2は、Nチャネル型のMOSFETである。スイッチ素子PT1は、Pチャネル型のMOSFETである。
【0037】
スイッチ素子NT1の第1端は、ノードN1に接続される。スイッチ素子NT1の第2端は、接地される。スイッチ素子NT1のゲートは、出力回路133の出力端に接続される。
【0038】
抵抗R1の第1端は、ノードN1に接続される。抵抗R1の第2端には、電圧VBIASが入力される。電圧VBIASは、例えば半導体装置1の内部の電圧源(図示せず)から供給される電圧である。しかしながら、電圧VBIASはこれに限られるものではなく、例えば、電圧VINであってもよい。
【0039】
スイッチ素子PT1の第1端には、電圧VBIASが入力される。スイッチ素子NT2の第2端は、接地される。スイッチ素子PT1のゲート及びスイッチ素子NT2のゲートは、ノードN1に共通接続される。スイッチ素子PT1の第2端は、スイッチ素子NT2の第1端及び論理和回路121の第2入力端に共通接続される。スイッチ素子PT1の第2端とスイッチ素子NT2の第1端との間における電圧は、信号S3として論理和回路131の第2入力端に出力される。
【0040】
以上のような電圧モニタ回路14の構成により、スイッチ素子NTOUTの電圧VGがスイッチ素子NT1の閾値電圧以上である場合に、ノードN1の電圧は“L”レベルになり、信号S3は“H”レベルになる。スイッチ素子NTOUTの電圧VGがスイッチ素子NT1の閾値電圧未満の場合に、ノードN1の電圧は“H”レベルになり、信号S3は“L”レベルになる。
【0041】
1.1.3 出力回路の構成
実施形態に係る駆動回路13の出力回路133の構成について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係る半導体装置1の駆動回路13に含まれる出力回路133の構成の一例を説明するための回路図である。なお、図3では、駆動回路13-1に含まれる出力回路133の構成が示され、以下の説明では、駆動回路13-1に含まれる出力回路133の構成が説明される。駆動回路13-2に含まれる出力回路133の構成については、駆動回路13-1に含まれる出力回路133と同等の構成についての説明を省略し、駆動回路13-1に含まれる出力回路133と異なる構成について主に説明する。
【0042】
出力回路133は、定電流源I1、カレントミラーCM1、カレントミラーCM2、転送制御回路SWTC、及びスルーレート制御回路STBCを含む。
【0043】
定電流源I1は、カレントミラーCM1に電流を供給する。カレントミラーCM1は、定電流源I1の電流に基づく電流を生成し、カレントミラーCM2に、当該生成した電流を流す。カレントミラーCM2は、カレントミラーCM1の電流に基づく電流を生成し、出力回路133の出力端に電流を流す。転送制御回路SWTCは、出力回路133に入力される信号S5に基づいて、カレントミラーCM1、及びカレントミラーCM2に流れる電流を制御し、また、出力回路133の出力端の電圧を制御する。スルーレート制御回路STBCは、出力回路133の出力端に、出力回路133の出力端の電圧を安定させるための電流を流す。
【0044】
定電流源I1は、ノードN2に接続される。定電流源I1には、例えば電圧VBIASが入力される。定電流源I1は、入力された電圧VBIASに基づく電流をノードN2に出力する。
【0045】
カレントミラーCM1は、スイッチ素子NT3及びNT4を含む。スイッチ素子NT3、及びNT4は、Nチャネル型のMOSFETである。
【0046】
スイッチ素子NT3の第1端は、スイッチ素子NT3のゲートとともにノードN2に接続される。スイッチ素子NT3の第2端は、転送制御回路SWTCに接続される。
【0047】
スイッチ素子NT4の第1端は、ノードN3に接続される。スイッチ素子NT4の第2端は、転送制御回路SWTCに接続される。スイッチ素子NT4のゲートは、ノードN2に接続される。
【0048】
以上のようなカレントミラーCM1の構成により、スイッチ素子NT3を流れる定電流源I1の電流に基づいて、スイッチ素子NT4に流れる電流が生成される。
【0049】
カレントミラーCM2は、スイッチ素子PT2及びPT3を含む。スイッチ素子PT2、及びPT3は、Pチャネル型のMOSFETである。
【0050】
スイッチ素子PT2の第1端には、昇圧回路12の電圧VCPが入力される。スイッチ素子PT2の第2端は、スイッチ素子PT2のゲートとともにノードN3に接続される。
【0051】
スイッチ素子PT3の第1端には、昇圧回路12の電圧VCPが入力される。スイッチ素子PT3の第2端は、端子POUT1を介してスイッチ素子NTOUT1のゲートに接続される。なお、図示しないが、駆動回路13-2において、スイッチ素子PT3の第2端は、端子POUT2を介してスイッチ素子NTOUT2のゲートに接続される。スイッチ素子PT3のゲートは、ノードN3に接続される。
【0052】
以上のようなカレントミラーCM2の構成により、スイッチ素子PT2を流れる電流に基づいて、スイッチ素子PT3に流れる電流が生成される。これにより、スイッチ素子PT3に流れる電流は、スイッチ素子NTOUTのゲートを充電する。また、スイッチ素子PT3を流れる電流は、昇圧回路12の電圧VCPに基づく電流である。これにより、昇圧回路12の電圧VCPが、スイッチ素子NTOUTのゲートに転送される。
【0053】
転送制御回路SWTCは、スイッチ素子NT5、NT6、及びNT7、抵抗R2、並びに反転回路INVC1を含む。スイッチ素子NT5、NT6、及びNT7は、Nチャネル型のMOSFETである。
【0054】
スイッチ素子NT5の第1端は、スイッチ素子NT3の第2端に接続される。スイッチ素子NT5の第2端は、接地される。スイッチ素子NT5のゲートは、論理積回路132の信号S5が入力される。
【0055】
スイッチ素子NT6の第1端は、スイッチ素子NT4の第2端に接続される。スイッチ素子NT6の第2端は、接地される。スイッチ素子NT6のゲートは、論理積回路132の信号S5が入力される。
【0056】
反転回路INVC1は、入力端及び出力端を含む。反転回路INVC1の入力端は、論理積回路132の信号S5が入力される。反転回路INVC1は、信号S5の電圧レベル(“H”レベル又は“L”レベル)を反転した信号/S5を生成する。より具体的には、反転回路INVC1は、信号S5が“H”レベルである場合に、信号/S5を“L”レベルとし、信号S5が“L”レベルである場合に、信号/S5を“H”レベルとする。反転回路INVC1の出力端からは、信号/S5が出力される。
【0057】
スイッチ素子NT7の第1端は、抵抗R2を介して、スイッチ素子PT3の第2端(出力回路133の出力端)に接続される。スイッチ素子NT7の第2端は、接地される。スイッチ素子NT7のゲートは、反転回路INVC1の出力端に接続され、信号/S5が入力される。
【0058】
以上のような転送制御回路SWTCの構成により、信号S5が“H”レベルである場合に、スイッチ素子NT5及びNT6はオン状態になり、スイッチ素子NT7はオフ状態になる。これにより、カレントミラーCM1及びカレントミラーCM2に電流が流れ、昇圧回路12の電圧VCPが、端子POUTを介して、スイッチ素子NTOUTのゲートに転送される。信号S5が“L”レベルである場合に、スイッチ素子NT5及びNT6はオフ状態になり、スイッチ素子NT7はオン状態になる。これにより、スイッチ素子NOUTのゲートはスイッチ素子NT7を介して接地され、スイッチ素子NOUTのゲートの電圧VGは、接地電圧VSSになる。
【0059】
スルーレート制御回路STBCは、スイッチ素子NT8及びPT4、抵抗R3、並びに遅延回路DLYCを含む。スイッチ素子NT8は、Nチャネル型のMOSFETである。スイッチ素子PT4は、Pチャネル型のMOSFETである。
【0060】
抵抗R3の第1端には、昇圧回路12の電圧VCPが入力される。抵抗R3の第2端は、ノードN4に接続される。
【0061】
スイッチ素子PT4の第1端には、昇圧回路12の電圧VCPが入力される。スイッチ素子PT4の第2端は、スイッチ素子PT3の第2端、及び抵抗R2の第1端に接続される。スイッチ素子PT4のゲートは、ノードN4に接続される。オン状態におけるスイッチ素子PT4の抵抗値は、例えばオン状態におけるスイッチ素子PT3の抵抗値よりも小さい。なお、以降の説明において、オン状態におけるスイッチ素子の抵抗を、オン抵抗と呼称する。スイッチ素子PT3をスイッチ素子PT4よりもオン抵抗の値が大きい素子とすることで、カレントミラー回路CM2のスイッチ素子PT3に流れる大電流の発生を抑制し得る。なお、スイッチ素子PT3及びPT4の各々のオン抵抗の値は、例えばスイッチ素子NTOUTの耐圧特性やオン抵抗の値等により適宜変更し得る。
【0062】
遅延回路DLYCは、入力端及び出力端を含む。遅延回路DLYCの入力端は、論理積回路132の信号S5が入力される。遅延回路DLYCは、信号S5に基づいて信号S6を生成する。より具体的には、遅延回路DLYCは、信号S5が“L”レベルから“H”レベルになった場合に、第1期間の経過後、信号S6を“L”レベルから“H”レベルにする。すなわち、遅延回路DLYCは、信号S6の“L”レベルから“H”レベルへの変化(以下、立ち上がりとも呼ぶ)を、信号S5の立ち上がりに対して第1期間だけ遅延させる。遅延回路DLYCは、信号S5が“H”レベルであり、かつ第1期間が経過していない場合、及び信号S5が“L”レベルである場合に、信号S6を“L”レベルにする。遅延回路DLYCの出力端は、信号S6を出力する。
【0063】
なお、遅延回路DLYCは、信号S6の立ち上がりを、第1期間とは異なる第2期間だけ遅延させてもよい。第2期間は、例えば、信号S5が“L”レベルから“H”レベルになる時刻から、後述する半導体装置1の駆動動作によりスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧が所定の電圧になる時刻までの期間である。所定の電圧は、接地電圧VSSよりも高く、電圧VCP未満の電圧である。遅延回路DLYCは、例えば所定の電圧を、スイッチ素子PT3のオン抵抗、電圧VCP等に基づいて、予め設定する。なお、遅延回路DLYCは、例えばスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧をモニタする構成を有してもよく、この場合、第2期間は、遅延回路DLYCによりモニタしたスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧が、所定の電圧以上となる期間であってもよい。
【0064】
スイッチ素子NT8の第1端は、ノードN4に接続される。スイッチ素子NT8の第2端は、接地される。スイッチ素子NT8のゲートは、遅延回路DLYCの出力端に接続され、信号S6が入力される。
【0065】
以上のようなスルーレート制御回路STBCの構成により、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧が所定の電圧まで充電された場合に、スイッチ素子NT8及びPT4はオン状態になり、スイッチ素子PT4に電流が流れる。これにより、スイッチ素子PT4に流れる電流は、スイッチ素子PT3に流れる電流とともに、スイッチ素子NTOUTのゲートを充電し、昇圧回路12の電圧VCPが、スイッチ素子NTOUTのゲートに転送される。上述のように、スイッチ素子PT4のオン抵抗は、スイッチ素子PT3のオン抵抗よりも小さい。これにより、スイッチ素子PT4に流れる電流は、スイッチ素子PT3に流れる電流よりも大きい。このため、スイッチ素子PT4に流れる電流は、例えばノイズ等によるスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VG1及びVG2の変動を抑制し得る。
【0066】
1.2 動作
実施形態に係る半導体装置1の動作について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る半導体装置1における駆動動作の例を示すタイミングチャートである。駆動動作は、制御回路10がスイッチ2を駆動させる旨のコマンドを受信してから、制御回路10がスイッチ2の駆動を停止させる旨のコマンドを受信するまでの半導体装置1の動作である。図4では、駆動動作中に、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡が発生した場合が示される。
【0067】
また、以下の説明では、駆動回路13-1の信号S3、S4、及びS5と、駆動回路13-2の信号S3、S4、及びS5と、を区別する場合に、それぞれを信号S3_1、S4_1、及びS5_1、並びに信号S3_2、S4_2、及びS5_2と呼ぶ。
【0068】
また、以下の説明では、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1と、スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々の閾値電圧とが同等である場合を例に示す。閾値電圧VNT1は、接地電圧VSSよりも高い電圧である。しかしながら、これに限られるものではなく、閾値電圧VNT1は、スイッチ素子NTOUTの閾値電圧よりも高くてもよいし、スイッチ素子NTOUTの閾値電圧未満でもよい。
【0069】
また、以下の説明では、昇圧回路12が電圧VINを電圧V1に昇圧して出力する場合を示す。電圧V1は、昇圧回路12の電圧VCPの最大値と同等であり、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1よりも高い電圧である。
【0070】
時刻T1において、制御回路10は、スイッチ2を駆動させる旨のコマンドを受信する。これにより、半導体装置1の駆動動作が開始する(図4中、駆動動作の開始)。受信したコマンドに基づいて、制御回路10は、信号S1を“L”レベルから“H”レベルとする。また、信号S1の変化に基づいて、駆動回路13のパルス生成回路130は、信号S2を“L”レベルから“H”レベルとする。
【0071】
時刻T1において、電圧VG1は閾値電圧VNT1よりも低い。このため、電圧モニタ回路14は、モニタした電圧VG1に基づいて、信号S3を“L”レベルとする。論理和回路131は、“H”レベルの信号S2、及び“L”レベルの信号S3に基づき、“H”レベルの信号S4を出力する。論理積回路132は、“H”レベルの信号S1、及び“H”レベルの信号S4に基づき、“H”レベルの信号S5を出力する。
【0072】
オシレータ11は、“H”レベルの信号S1に基づいてクロック信号を生成する。当該生成されたクロック信号に基づいて、昇圧回路12は、電圧VINを電圧V1に昇圧し、昇圧された電圧V1が、駆動回路13の出力回路133の第2入力端に転送される。駆動回路13の出力回路133は、“H”レベルの信号S5に基づいて、スイッチ素子NTOUTのゲートの充電を開始する(図4中、充電の開始)。なお、スイッチ素子NTOUTのゲートの充電が完了するまで、昇圧回路12の電圧VCPは電圧V1よりも低い。また、駆動回路13-1の出力回路133の出力端には、スイッチ素子NTOUT1のゲートを充電するための電流IG1が流れる。駆動回路13-2の出力回路133の出力端には、スイッチ素子NTOUT2のゲートを充電するための電流IG2が流れる。
【0073】
時刻T2において、スイッチ素子NTOUTのゲートが、閾値電圧VNT1まで充電される。これにより、電圧モニタ回路13は、電圧VGに基づいて、信号S3を、“L”レベルから“H”レベルとする。
【0074】
また、スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2は、オフ状態からオン状態になる。
【0075】
時刻T3において、電圧VG1、VG2、及びVCPが、電圧V1になり、スイッチ素子NTOUT1及びスイッチ素子NTOUT2の各々のゲートの充電が完了する(図4中、充電の完了)。これにより、電流IG1及びIG2は、ほとんど流れなくなる。
【0076】
時刻T4において、駆動回路13のパルス生成回路130は、時刻T1から第1期間の経過後、信号S2を“H”レベルから“L”レベルとする。
【0077】
時刻T5において、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡が発生する。短絡の発生により、駆動回路13-1の出力回路133の出力端に、電流IG1が流れ、電圧VG1の低下が発生する。なお、電圧VG1の低下とともに、昇圧回路12の電圧VCP、及び電圧VG2も低下する。また、電圧VG2の時間に対する電圧降下の割合は、電圧VG1の時間に対する電圧降下の割合よりも小さい。
【0078】
時刻T6において、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡により、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1が、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1未満になる。これにより、電圧モニタ回路13-1は、電圧VG1に基づいて、信号S3_1を“H”レベルから“L”レベルとする。論理和回路131は、“L”レベルの信号S3_1、及び“L”レベルの信号S2に基づいて、“L”レベルの信号S4_1を出力する。論理積回路132は、“H”レベルの信号S1、及び“L”レベルの信号S4_1に基づいて、“L”レベルの信号S5_1を出力する。これにより、駆動回路13-1の出力回路133は、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1を接地電圧VSSとする。このため、電流IG1の供給が停止される。電流IG1が流れなくなることにより、昇圧回路12の電圧VCP、及びスイッチ素子NTOUT2のゲートの電圧VG2が、再び電圧V1になる。
【0079】
また、スイッチ素子NTOUT1は、オン状態からオフ状態になる。スイッチ素子NTOUT2は、オン状態を維持する。
【0080】
時刻T7において、制御回路10は、スイッチ2の駆動を停止させる旨のコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて、信号S1が、“H”レベルから“L”レベルになる。これにより、信号S3_2、S4_2、S5_2が“H”レベルから“L”レベルになり、昇圧回路12による電圧VINの昇圧が停止される。また、電圧VG2、及びVCPが接地電圧VSSになり、スイッチ素子NTOUT2が、スイッチ素子NTOUT1とともにオフ状態になる。このようにして、半導体装置1の駆動動作が終了する(図4中、駆動動作の終了)。
【0081】
1.3 本実施形態に係る効果
実施形態によれば、短絡による電流の増加を抑制することができる。実施形態の効果について、以下に説明する。
【0082】
Nチャネル型のMOSFETである外部のスイッチ素子をロウサイドで用いる場合、外部のスイッチ素子の第1端には、例えば外部電源等により駆動されるLEDやソレノイドなどの負荷が接続される。外部のスイッチ素子の第2端は、例えば接地される。外部のスイッチ素子のゲートには、外部のスイッチ素子を駆動するための半導体装置が接続される。半導体装置は、外部のスイッチ素子のゲートに電圧を入力し、外部のスイッチ素子を駆動することで、負荷に流れる電流を外部のスイッチ素子の第1端から外部のスイッチ素子の第2端に流す。外部のスイッチ素子を駆動する際、半導体装置は、外部のスイッチ素子のゲートに、例えば10V以上20V未満の電圧を出力する。
【0083】
一方、Nチャネル型のMOSFETである外部のスイッチ素子をハイサイドで用いる場合、外部のスイッチ素子の第1端には、例えばポータブル電子機器等の外部電源がUSB端子等を介して接続される。外部のスイッチ素子の第2端は、例えば外部のスイッチ素子の第1端に接続された外部電源とは異なる電源ICやバッテリ等に接続される。外部のスイッチ素子のゲートには、外部のスイッチ素子を駆動するための半導体装置が接続される。外部電源は、例えば、40V~50Vで駆動し、外部のスイッチ素子の第1端には、例えば40Vの電圧が入力される。一般的に、外部のスイッチ素子のオン抵抗の値は、例えば10mΩである。外部電源から外部のスイッチ素子の第1端に流れる負荷電流が、例えば10Aである場合、外部のスイッチ素子の第1端と外部のスイッチ素子の第2端との電位差は、外部のスイッチ素子の第1端に入力される電圧よりも十分に低い100mVである。これにより、外部のスイッチ素子の第2端の電圧は、外部のスイッチ素子の第1端の電圧と約同一の電圧(例えば、(40-0.1)V)である。このため、外部のスイッチ素子を駆動する際、半導体装置は、外部のスイッチ素子の第2端の電圧と外部のスイッチ素子の閾値電圧Vthとを加算した電圧以上の電圧(例えば、(40+Vth)V以上の電圧)を、外部のスイッチ素子のゲートに入力する。すなわち、外部のスイッチ素子をハイサイドで用いる場合に、外部のスイッチ素子のゲートに入力される電圧は、外部のスイッチ素子をロウサイドで用いる場合に、外部のスイッチ素子のゲートに入力される電圧に比べて十分に大きい。このため、外部のスイッチ素子をハイサイドで用いる場合に、外部のスイッチ素子のゲートの短絡等により、半導体装置から外部のスイッチ素子のゲートへ流れる電流は、外部のスイッチ素子をロウサイドで用いる場合に、外部のスイッチ素子のゲートの短絡等により、半導体装置から外部のスイッチ素子のゲートへ流れる電流に比べて十分に大きくなる。したがって、外部のスイッチ素子をハイサイドで用いる場合に、外部のスイッチ素子のゲートの短絡等により半導体装置から外部のスイッチ素子のゲートへ流れる電流の増大を抑制することが好ましい。
【0084】
実施形態によれば、昇圧回路12は、電圧VINを電圧VCPに昇圧して、駆動回路13-1に出力する。駆動回路13-1は、端子POUT1を介して外部のスイッチ素子NTOUT1のゲートに電圧VCPを転送する。これにより、駆動回路13-1は、スイッチ素子NTOUT1のゲートを充電し、スイッチ素子NTOUT1を駆動する。電圧モニタ回路14-1は、駆動回路13-1により充電されたスイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1をモニタする。電圧モニタ回路14-1は、電圧VG1が、電圧モニタ回路14-1内のスイッチ素子NTOUT1の閾値電圧VNT1以上の場合に“H”レベルになり、電圧VG1が閾値電圧VNT1未満の場合に“L”レベルになる信号S3を生成する。駆動回路13-1は、“L”レベルの信号S3に基づいて、スイッチ素子NTOUT1のゲートへの電圧VCPの転送を停止する。これにより、半導体装置1は、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡により、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1がスイッチ素子NTOUT1の閾値電圧VNT1未満となった場合、“L”レベルの信号S3に基づいて、短絡が発生したスイッチ素子NTOUT1のゲートへの電圧VCPの転送を停止することができる。このため、短絡が発生したスイッチ素子NTOUT1のゲートへ流れる電流の増大を抑制することができる。したがって、外部のスイッチ素子をハイサイドで用いる場合であっても、スイッチ素子NTOUTのゲートの短絡による電流の増加を抑制することができる。なお、実施形態に係る半導体装置1が駆動回路13及び電圧モニタ回路14をそれぞれ1つ有する場合であっても、同様の効果が奏せられる。
【0085】
また、実施形態によれば、昇圧回路12は、駆動回路13-1とともに、駆動回路13-2に電圧VCPを出力する。駆動回路13-2は、端子POUT2を介して外部のスイッチ素子NTOUT2のゲートに電圧VCPを転送する。これにより、駆動回路13-2は、スイッチ素子NTOUT2のゲートを充電し、スイッチ素子NTOUT2を駆動する。すなわち、半導体装置1は、外部のスイッチ2内の2つのスイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2を並行に駆動する。これにより、例えば、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡が発生した場合に、スイッチ素子NTOUT1のゲートへの電圧VCPの転送を停止することで、昇圧回路12の電圧VCPの大幅な低下を抑制し、かつ短絡が発生していないスイッチ素子NTOUT2のゲートの電圧VG2の大幅な低下を抑制することもできる。このため、半導体装置1は、スイッチ素子NTOUT1の駆動を停止する一方、スイッチ素子NTOUT2の駆動を維持することができる。したがって、スイッチ2内のスイッチ素子NTOUTの短絡により、スイッチ2内の短絡が発生していないスイッチ素子NTOUTがオフ状態になることを抑制することができる。
【0086】
2. 変形例
なお、上述の実施形態は、種々の変形が可能である。
【0087】
以下に、変形例に係る半導体装置について説明する。以下では、変形例に係る半導体装置1の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置と相違する点を中心に説明する。変形例に係る半導体装置によっても、実施形態と同様の効果が奏せられる。
【0088】
2.1 第1変形例
上述の実施形態では、電圧モニタ回路14のスイッチ素子NT1のゲートに、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGが直接入力される例を示したが、これに限られない。例えば、電圧モニタ回路14のスイッチ素子NT1のゲートに、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGを降下した電圧が、入力されてもよい。
【0089】
第1変形例に係る半導体装置1について、図5を用いて説明する。図5は、第1変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14-1の構成の一例を説明するための回路図である。なお、図5では、例として電圧モニタ回路14-1の構成が示され、以下の説明では、電圧モニタ回路14-1の構成が主に説明される。電圧モニタ回路14-2の構成については、電圧モニタ回路14-1と同等の構成についての説明を省略し、電圧モニタ回路14-1と異なる構成について主に説明する。
【0090】
なお、第1変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14を除く構成は、実施形態と同等であるため、その説明を省略する。
【0091】
第1変形例に係る電圧モニタ回路14は、レベルシフト回路140を含む。
【0092】
レベルシフト回路140は、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGを降下させるための回路である。
【0093】
レベルシフト回路140は、スイッチ素子NT9及び抵抗R4を含む。スイッチ素子NT9は、スイッチ素子NT9の第1端と、スイッチ素子NT9の第2端との間の電位差を、昇圧回路12の電圧V1以上とし得る、高耐圧のNチャネル型のMOSFETである。
【0094】
スイッチ素子NT9の第1端は、駆動回路13-1の出力回路133の出力端に接続される。なお、図示しないが、電圧モニタ回路14-2において、スイッチ素子NT9の第1端は、駆動回路13-2の出力回路133の出力端に接続される。スイッチ素子NT9の第2端は、スイッチ素子NT1のゲートに接続される。スイッチ素子NT9のゲートには、参照電圧VREF1が入力される。参照電圧VREF1は、参照電圧VREF1とスイッチ素子NT9の閾値電圧VNT9との差分電圧(VREF1-VNT9)が、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1以上、昇圧回路12の電圧V1未満となる電圧である。参照電圧VREF1は、例えば電圧VBIASとは異なる半導体装置1の内部の電圧源から供給される。しかしながら、これに限られるものではなく、参照電圧VREF1は、電圧VBIASと同一の半導体装置1の内部の電圧源から供給されてもよいし、半導体装置1の外部から供給される電圧VINであってもよい。
【0095】
抵抗R4の第1端は、スイッチ素子NT1のゲート、及びスイッチ素子NT9の第2端に接続される。抵抗R4の第2端は接地される。
【0096】
第1変形例に係る電圧モニタ回路14のレベルシフト回路140を除く構成は、実施形態に係る電圧モニタ回路14の構成と同等である。
【0097】
第1変形例に係る半導体装置1の動作について説明する。第1変形例に係る動作は、スイッチ素子NT1のゲートに入力される電圧を除き、実施形態と実質的に同等である。以下では、スイッチ素子NT1のゲートに入力される電圧について主に説明し、それを除く説明を省略する。
【0098】
時刻T2において、スイッチ素子NT9がオン状態になり、スイッチ素子NT9の第2端の電圧がスイッチ素子NT1のゲートに入力される。スイッチ素子NT9の第2端の電圧は、上述の差分電圧(VREF1-VNT9)である。これにより、スイッチ素子NT1がオン状態になり、信号S3は、“L”レベルから“H”レベルになる。
【0099】
また、時刻T6において、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1が低下し、スイッチ素子NT9がオフ状態になる。これにより、スイッチ素子NT1がオフ状態になり、信号S3は、“H”レベルから“L”レベルになる。
【0100】
第1変形例によれば、スイッチ素子NT1のゲートには、差分電圧(VREF1-VNT9)以下の電圧が入力される。これにより、充電されたスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGがスイッチ素子NT1のゲートに入力可能な電圧よりも高い場合であっても、電圧VGがスイッチ素子NT1のゲートに直接入力されることによるスイッチ素子NT1の劣化及び破壊を抑制することができる。
【0101】
2.2 第2変形例
上述の実施形態では、スイッチ素子NTOUTのゲートの短絡が発生した場合に、短絡が発生したスイッチ素子NTOUTのゲートへの電圧の転送を停止する例を示したが、これに限られない。例えば、電圧モニタ回路14が、短絡が発生したスイッチ素子NTOUTのゲートへの電圧の転送を停止した後、スイッチ素子NTOUTのゲートの短絡が解消した場合に、自動復帰回路により、当該スイッチ素子のゲートへの電圧VCPの転送を再開させてもよい。
【0102】
第2変形例に係る半導体装置1の構成について、図6を用いて説明する。図6は、第2変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14-1の構成の一例を説明するための回路図である。なお、以下の説明では、電圧モニタ回路14-1の構成が主に説明され、電圧モニタ回路14-2の構成については、電圧モニタ回路14-1と同等の構成についての説明を省略し、電圧モニタ回路14-1と異なる構成について主に説明する。また、第2変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14を除く構成は、実施形態と同等であるため、その説明を省略する。
【0103】
第2変形例に係る電圧モニタ回路14は、自動復帰回路141を含む。
【0104】
自動復帰回路141は、短絡が解消した場合に、接地電圧VSSとされたスイッチ素子NTOUTのゲートの電圧を、自動的に、スイッチ素子NT1の閾値電圧以上の電圧にするための回路である。
【0105】
自動復帰回路141は、スイッチ素子NT10、ダイオードD、及び抵抗R5を含む。スイッチ素子NT10は、Nチャネル型のMOSFETである。
【0106】
スイッチ素子NT10の第1端には、電圧VBIASが入力される。スイッチ素子NT10のゲートには、制御回路10の信号S1が入力される。スイッチ素子NT10の第2端は、直列に接続されるダイオードD、及び抵抗R5を介して、スイッチ素子NT1のゲート、及び駆動回路13-1の出力回路133の出力端に接続される。ダイオードDは、スイッチ素子NT10と、抵抗R5との間に順方向に接続される。すなわち、ダイオードDのアノードがスイッチ素子NT10の第2端に接続され、ダイオードDのカソードが抵抗R5の第1端に接続される。抵抗R5の第2端は、スイッチ素子NT1のゲート、及び駆動回路13-1の出力回路133の出力端に接続される。なお、スイッチ素子NT10のオン抵抗の値は、出力回路133の抵抗R2の抵抗値Rv2、及び抵抗R5の抵抗値Rv5に対して無視できるほどに小さい。また、第2変形例において、電圧VBIAS、ダイオードDの順方向電圧Vf、並びに抵抗R2及びR5は、後述する電圧VRT1が後述する第1条件を満たすように構成される。
【0107】
なお、図示しないが、電圧モニタ回路14-2において、抵抗R5の第2端は、スイッチ素子NT1のゲート、及び駆動回路13-2の出力回路133の出力端に接続される。
【0108】
第2変形例に係る電圧モニタ回路14の自動復帰回路141を除く構成は、実施形態に係る電圧モニタ回路14の構成と同等である。
【0109】
第2変形例に係る半導体装置1の動作について、図7を用いて説明する。図7は、第2変形例に係る半導体装置1における駆動動作の例を示すタイミングチャートである。
【0110】
以下の説明では、実施形態の時刻T6と時刻T7との間の時刻において、電圧VG1が接地電圧VSSまで低下した後の動作について説明する。電圧VG1が接地電圧VSSまで低下するまでの動作は、実施形態と実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0111】
時刻T21において、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡が解消する(図7中、短絡の解消)。このとき、スイッチ素子NTOUT1のゲートは、駆動回路13-1の出力回路133に含まれる転送制御回路SWTCの抵抗R2を介して接地され、自動復帰回路141のダイオードD及び抵抗R5を介して電圧VBIASが供給される。これにより、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1は、下記式(1)で表される電圧VRT1になる。なお、電圧VRT1は、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1以上の電圧である(第1条件)。これにより、スイッチ素子NTOUT1がオン状態になる。
【0112】
VRT1=Rv2×(VBIAS-Vf)/(Rv2+Rv5)) (1)
また、スイッチ素子NT1のゲートに入力される電圧VRT1に基づいて、電圧モニタ回路14-1により、信号S3_1が“L”レベルから“H”レベルになる。“L”レベルの信号S2、及び“H”レベルの信号S3_1に基づいて、論理和回路131により、信号S4_1が“L”レベルから“H”レベルになる。“H”レベルの信号S1、及び“H”レベルの信号S4_1に基づいて、論理積回路132により、信号S5_1が“L”レベルから“H”レベルになる。
【0113】
また、“H”レベルの信号S5に基づいて、駆動回路13-1の出力回路133により、スイッチ素子NTOUT1のゲートの充電が開始される。スイッチ素子NTOUT1のゲートの充電により、昇圧回路12の電圧VCP及びVG2は電圧V1未満になる。これにより、スイッチ素子NTOUT2のゲートも充電される。しかしながら、電圧VG2は、スイッチ素子NTOUTの閾値電圧VNT1よりも高い電圧に維持される。すなわち、スイッチ素子NTOUT2は、オン状態に維持される。なお、スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々のゲートの充電をする間、スイッチ素子NTOUT1及びNTOUT2の各々のゲートには、それぞれ電流IG1及びIG2が流れる。電流IG1は、電流IG2よりも大きい電流である。
【0114】
時刻T22において、スイッチ素子NTOUT1及びスイッチ素子NTOUT2の各々のゲートの充電が終了し、電圧VG1、VG2、及びVCPが、電圧V1になる。
【0115】
時刻T23において、実施形態の時刻T7における動作と同等の動作により、信号S1、S3、S4、S5が、“H”レベルから“L”レベルになり、昇圧回路12による電圧VINの昇圧が停止される。また、電圧VG1、VG2、及びVCPが接地電圧VSSになり、スイッチ素子NTOUTがオフ状態になる。このようにして、半導体装置1の駆動動作が終了する(図7中、駆動動作の終了)。
【0116】
以上のような構成であれば、ゲートの短絡が発生し、オフ状態になったスイッチ素子NTOUTのゲートの短絡が解消した場合に、当該スイッチ素子NTOUTを、再度オン状態にするために、半導体装置1の動作を停止し、再度駆動させる必要がない。これにより、全てのスイッチ素子NTOUTのゲートを再度充電することによる電流の増大を抑制することができる。
【0117】
なお、図6に示す例において、電圧モニタ回路14がレベルシフト回路140を含まない場合を例に示したが、これに限られない。電圧モニタ回路14は、レベルシフト回路140を含んでもよい。この場合、自動復帰回路141の抵抗R5の第2端は、第1変形例におけるスイッチ素子NT9の第1端、及び駆動回路13の出力回路133の出力端に接続される。このような構成によれば、第1変形例と同等の効果を奏する。
【0118】
2.3 第3変形例
上述の第2変形例では、自動復帰回路141がNチャネル型のMOSFETを含む場合を示したが、これに限られない。自動復帰回路141は、Nチャネル型のMOSFETの代わりに、Pチャネル型のMOSFET、及び反転回路を含んでもよい。
【0119】
第3変形例に係る半導体装置1について、図8を用いて説明する。図8は、第3変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14-1の構成の一例を説明するための回路図である。
【0120】
なお、第3変形例に係る半導体装置1の自動復帰回路141を除く構成は、第2変形例と同等であるため、その説明を省略する。また、第3変形例に係る半導体装置1の動作は、第2変形例と実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0121】
第3変形例に係る自動復帰回路141は、反転回路INVC2、スイッチ素子PT5、ダイオードD、及び抵抗R5を含む。スイッチ素子PT5は、Pチャネル型のMOSFETである。
【0122】
反転回路INVC2は、入力端及び出力端を含む。反転回路INVC2の入力端には、制御回路10の信号S1が入力される。反転回路INVC2は、信号S1の電圧レベル(“H”レベル又は“L”レベル)を反転した信号S1を生成する。より具体的には、反転回路INVC2は、信号S1が“H”レベルである場合に、信号S1を“L”レベルとし、信号S1が“L”レベルである場合に、信号S1を“H”レベルとする。反転回路INVC2の出力端からは、生成された信号/S1が出力される。
【0123】
スイッチ素子PT5の第1端には、電圧VBIASが入力される。スイッチ素子PT5のゲートは、反転回路INVC2の出力端に接続される。スイッチ素子PT5の第2端は、第2変形例におけるスイッチ素子NT10の第2端と同等に、スイッチ素子NT1のゲートに接続される。
【0124】
このような構成によっても、第2変形例と同等の効果を奏することができる。
【0125】
なお、図8に示す例において、電圧モニタ回路14がレベルシフト回路140を含まない場合を例に示したが、これに限られない。第3変形例に係る電圧モニタ回路14は、レベルシフト回路140を含んでもよい。この場合、自動復帰回路141の抵抗R5の第2端は、第1変形例におけるスイッチ素子NT9の第1端、及び駆動回路13の出力回路133の出力端に接続される。このような構成によれば、第1変形例と同等の効果を奏する。
【0126】
2.4 第4変形例
上述の第2変形例及び第3変形例では、スイッチ素子NTOUTのゲートの短絡が解消した場合に、当該スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧が、抵抗値Rv2及びRv5、電圧VBIAS、並びにダイオードDの順方向電圧Vfで表される電圧VRT1になる例を示したが、これに限られない。スイッチ素子NTOUTのゲートの短絡が解消した場合に、当該スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧が、電圧VBIAS、及び順方向電圧Vfにより表される電圧になってもよい。
【0127】
第4変形例に係る半導体装置1について、図9を用いて説明する。図9は、第4変形例に係る半導体装置1の出力回路133の構成の一例を説明するための回路図である。なお、第4変形例に係る半導体装置1の出力回路133を除く構成は、第2変形例及び第3変形例と同等とし得るため、その説明を省略する。
【0128】
第4変形例では、転送制御回路SWTCに含まれる反転回路INVC1の入力端に、制御回路10の信号S1が入力される。
【0129】
出力回路133に含まれるその他の構成は、実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例と同等である。
【0130】
なお、第4変形例において、電圧VBIAS、及びダイオードDの順方向電圧Vfは、後述する電圧VRT2が後述する第2条件を満たすように構成される。
【0131】
第4変形例に係る動作について説明する。なお、第4変形例に係る動作は、第2変形例の時刻T21における電圧VGの値を除き、第2変形例及び第3変形例と実質的に同等である。以下では、時刻T21における電圧VGについて主に説明し、その他の説明を省略する。
【0132】
時刻T21において、スイッチ素子NTOUT1のゲートの短絡が解消した場合に、スイッチ素子NTOUT1のゲートには、電圧モニタ回路14-1の自動復帰回路141において、ダイオードDを介して、電圧VBIASが供給される。これにより、スイッチ素子NTOUT1のゲートの電圧VG1は、下記式(2)で表される電圧VRT2になる。なお、電圧VRT2は、スイッチ素子NT1の閾値電圧VNT1以上の電圧である(第2条件)。これにより、スイッチ素子NTOUT1がオン状態になる。
【0133】
VRT2=VBIAS-Vf (2)
なお、電圧VG2は、第2変形例及び第3変形例と同等に、例えばスイッチ素子NTOUT2の閾値電圧よりも高い電圧に維持され、スイッチ素子NTOUT2はオン状態に維持される。
【0134】
このような構成によっても、第2変形例及び第3変形例と同等の効果を奏することができる。
【0135】
2.5 第5変形例
上述の実施形態では、電圧VGをモニタし、モニタした電圧VGに基づいて信号S3を出力する電圧モニタ回路14の一例を示したが、電圧モニタ回路14の構成はこれに限られない。電圧モニタ回路14は、下記の構成を含むものであってもよい。
【0136】
第5変形例に係る半導体装置1について、図10を用いて説明する。図10は、第5変形例に係る半導体装置1の電圧モニタ回路14の構成の一例を説明するための回路図である。なお、図10では、電圧モニタ回路14-1の構成が示され、以下の説明では、電圧モニタ回路14-1の構成が説明される。電圧モニタ回路14-2の構成については、電圧モニタ回路14-1と同等の構成についての説明を省略し、電圧モニタ回路14-1と異なる構成について主に説明する。
【0137】
第5変形例に係る電圧モニタ回路14は、コンパレータ回路CMPC、及び非反転回路NINVCを含む。
【0138】
コンパレータ回路CMPCは、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGと後述する参照電圧との比較結果に基づいて、信号を生成する。非反転回路NINVCは、当該コンパレータ回路CMPCにより生成された信号の非反転信号を生成し、生成された非反転信号が、駆動回路13の論理和回路131の第2入力端に出力される。
【0139】
コンパレータ回路CMPCは、定電流源I2、カレントミラーCM3、及びカレントミラーCM4を含む。
【0140】
定電流源I2は、ノードN5に接続される。定電流源I2には、例えば電圧VBIASが入力される。定電流源I2は、入力された電圧VBIASに基づく電流をノードN5に出力する。
【0141】
カレントミラーCM3は、スイッチ素子NT11、NT12、及びNT13を含む。スイッチ素子NT11、NT12、及びNT13は、Nチャネル型のMOSFETである。スイッチ素子NT11、NT12、及びNT13の各々のチャネルの幅W、及びチャネルの長さLの比W/Lは、例えば同等である。
【0142】
スイッチ素子NT11の第1端は、スイッチ素子NT11のゲートとともにノードN5に接続される。スイッチ素子NT11の第2端は接地される。
【0143】
スイッチ素子NT12の第1端は、ノードN6に接続される。スイッチ素子NT12の第2端は接地される。スイッチ素子NT12のゲートは、スイッチ素子NT11の第1端、及びスイッチ素子NT11のゲートとともに、ノードN5に接続される。
【0144】
スイッチ素子NT13の第1端は、ノードN7に接続される。スイッチ素子NT13の第2端は接地される。スイッチ素子NT13のゲートは、スイッチ素子NT11の第1端、スイッチ素子NT11のゲート、及びスイッチ素子NT12のゲートとともに、ノードN5に接続される。
【0145】
以上のようなカレントミラーCM3の構成により、スイッチ素子NT11を流れる定電流源I2の電流に基づいて、スイッチ素子NT12及びNT13に流れる電流が生成される。上述のように、スイッチ素子NT11、NT12、及びNT13の各々の比W/Lは同等であるため、スイッチ素子NT11、NT12、及びNT13の各々に流れる電流は、それぞれ同等である。
【0146】
カレントミラーCM4は、スイッチ素子PT6及びPT7を含む。スイッチ素子PT6及びPT7は、Pチャネル型のMOSFETである。スイッチ素子PT6及びPT7の各々のチャネルの幅W、及びチャネルの長さLの比(W/L)は、例えば同等である。
【0147】
スイッチ素子PT6の第1端は、スイッチ素子NTOUT1のゲートに接続される。なお、図示しないが、電圧モニタ回路14-2において、スイッチ素子PT6の第1端は、スイッチ素子NTOUT2のゲートに接続される。スイッチ素子PT6の第2端は、ノードN6に接続される。スイッチ素子PT6のゲートは、ノードN7に接続される。
【0148】
スイッチ素子PT7の第1端には、参照電圧VREF2が入力される。参照電圧VREF2は、昇圧回路12の電圧V1未満の電圧である。参照電圧VREF2は、例えば電圧VBIAS、及び参照電圧VREF1とは異なる半導体装置1の内部の電圧源から供給される。しかしながら、これに限られるものではなく、参照電圧VREF2は、電圧VBIASと同一の電圧源から供給されてもよいし、参照電圧VREF1と同一の電圧源から供給されてもよい。また、参照電圧VREF2は、電圧VINであってもよい。スイッチ素子PT7の第2端は、スイッチ素子PT7のゲートとともに、ノードN7に接続される。
【0149】
以上のようなカレントミラーCM4の構成により、スイッチ素子PT7を流れる電流に基づいて、スイッチ素子PT6に流れる電流が生成される。上述のように、スイッチ素子PT6及びPT7の各々の比W/Lは同等であることから、スイッチ素子NTOUTのゲートの電圧VGが参照電圧VREF2よりも高い場合、スイッチ素子PT6に流れる電流の大きさは、スイッチ素子PT7に流れる電流の大きさよりも大きくなる。電圧VGが参照電圧VREF2以下である場合、スイッチ素子PT6に流れる電流の大きさは、スイッチ素子PT7に流れる電流の大きさ以下になる。
【0150】
以上のようなコンパレータ回路CMPCの構成により、電圧VGが参照電圧VREF2よりも高い場合、ノードN6の電圧(以下、コンパレータ回路CMPCの信号とも呼ぶ)は“H”レベルになる。電圧VGが参照電圧VREF2未満の場合、コンパレータ回路CMPCの信号は“L”レベルになる(ノードN6の電圧は、接地電圧VSSになる)。
【0151】
非反転回路NINVCは、スイッチ素子NT14、NT15、PT8、及びPT9を含む。スイッチ素子NT14及びNT15は、Nチャネル型のMOSFETである。スイッチ素子PT8及びPT9は、Pチャネル型のMOSFETである。
【0152】
スイッチ素子PT8の第1端には、参照電圧VREF2が入力される。スイッチ素子PT8の第2端は、ノードN8に接続される。スイッチ素子PT8のゲートは、ノードN6に接続される。
【0153】
スイッチ素子NT14の第1端は、ノードN8に接続される。スイッチ素子NT14の第2端は、接地される。スイッチ素子NT14のゲートは、ノードN6に接続される。
【0154】
スイッチ素子PT9の第1端には、参照電圧VREF2が入力される。スイッチ素子PT9の第2端は、駆動回路13-1の論理和回路131の第2入力端に接続され、信号S3を出力する。スイッチ素子PT9のゲートは、ノードN8に接続される。
【0155】
スイッチ素子NT15の第1端は、駆動回路13-1の論理和回路131の第2入力端に接続される。スイッチ素子NT15の第2端は接地される。スイッチ素子NT15のゲートは、ノードN8に接続される。
【0156】
以上のような構成により、スイッチ素子NTOUTの電圧VGが参照電圧VREF2以上の場合、“H”レベルであるコンパレータ回路CMPCの信号に基づいて、信号S3は“H”レベルになり、スイッチ素子NTOUTの電圧VGが参照電圧VREF2未満の場合、“L”レベルであるコンパレータ回路CMPCの信号に基づいて、信号S3は“L”レベルになる。
【0157】
第5変形例に係る動作について説明する。なお、実施形態の時刻T2及びT6における電圧VGの値を除き、第5変形例に係る動作は、実施形態に係る動作と同等であるため、以下では、時刻T2及びT6における電圧VGの値を主に説明し、その他の説明を省略する。
【0158】
時刻T2において、電圧VGが参照電圧VREF2以上になり、電圧モニタ回路14により、信号S3が“L”レベルから“H”レベルになる。
【0159】
また時刻T6において、電圧VG1が参照電圧VREF2未満になり、電圧モニタ回路14により、信号S3が“H”レベルから“L”レベルになる。
【0160】
その他の動作は、実施形態と同等であるため、その説明を省略する。
【0161】
このような構成によっても、実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0162】
なお、第5変形例に係る電圧モニタ回路14は、第2変形例に係る自動復帰回路141、又は第3変形例に係る自動復帰回路141を含んでもよい。この場合、自動復帰回路141の抵抗R5の第2端は、駆動回路13の出力回路133の出力端、及びスイッチ素子PT6の第1端に接続される。なお、上述の電圧VRT1は、参照電圧VREF2よりも高い電圧になるように設定される。
【0163】
また、第5変形例に係る半導体装置1は、第2変形例に係る自動復帰回路141、又は第3変形例に係る自動復帰回路141を含み、かつ第5変形例に係る半導体装置1の出力回路133が第4変形例に係る出力回路133と同等の構成を有するものであってもよい。なお、この場合、上述の電圧VRT2は、参照電圧VREF2よりも高い電圧になるように設定される。
【0164】
また、第5変形例では、コンパレータ回路CMPCを有する電圧モニタ回路14の例を示したが、電圧モニタ回路14の構成は、これに限られるものではない。電圧モニタ回路14は、例えば公知のコンパレータ回路を含んでもよい。この場合、当該コンパレータ回路は、出力回路133の出力端の電圧に基づく電圧と、基準電圧との比較を行い、電圧モニタ回路14は、当該比較結果に基づいて、信号S3を生成するように構成される。より具体的に、図10の電圧モニタ回路14-1において、コンパレータ回路CMPCの代わりに、公知のコンパレータ回路を含み、当該コンパレータ回路の比較結果に基づく信号がスイッチ素子PT8のゲート、及びスイッチ素子NT14のゲートに入力されてもよい。
【0165】
3. その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0166】
1…半導体装置、2…スイッチ、10…制御回路、11…オシレータ、12…昇圧回路、13、13-1、13-2…駆動回路、14、14-1、14-2…電圧モニタ回路、130…パルス生成回路、131…論理和回路、132…論理積回路、133…出力回路、140…レベルシフト回路、141…自動復帰回路、CM1、CM2、CM3、CM4…カレントミラー、SWTC…転送制御回路、STBC…スルーレート制御回路、INVC1、INVC2…反転回路、NINVC…非反転回路、DLYC…遅延回路、CMPC…コンパレータ回路、I1、I2…定電流源、NTOUT、NTOUT1、NTOUT2、NT1~NT15、PT1~PT9…スイッチ素子、PVIN、POUT1、POUT2、PS…端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10