(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】二次電池及び組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/583 20210101AFI20240109BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240109BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/55 101
H01M50/503
H01M50/505
(21)【出願番号】P 2020200852
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-315802(JP,A)
【文献】特開2020-167010(JP,A)
【文献】特開2016-192322(JP,A)
【文献】特開2019-114501(JP,A)
【文献】特開2013-157109(JP,A)
【文献】特開2016-225065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、
前記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、
前記電池ケースの内部で前記正極または前記負極と電気的に接続され、前記端子引出孔から前記電池ケースの外部に引き出された端子と、
前記電池ケースの外部で前記端子に接合された外部導電部材と、
を備える二次電池であって、
前記外部導電部材は、前記端子の一部が挿入される貫通孔を有し、
前記貫通孔の周縁には、前記外部導電部材と前記端子との接合部が形成されており、
前記外部導電部材は、前記接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部を有し、
前記薄肉部において、最も厚みの薄い部分が、前記貫通孔から径方向に離れた位置に設けられ、
前記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、前記薄肉部が溶断するように構成されている、
二次電池。
【請求項2】
正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、
前記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、
前記電池ケースの内部で前記正極または前記負極と電気的に接続され、前記端子引出孔から前記電池ケースの外部に引き出された端子と、
前記電池ケースの外部で前記端子に接合された外部導電部材と、
を備える二次電池であって、
前記外部導電部材は、
前記端子の一部が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔の縁に沿って設けられ、前記端子に対向する略環状の凹部と、
を有しており、
前記貫通孔の周縁には、前記外部導電部材と前記端子との接合部が形成されており、
前記外部導電部材は、前記接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部を有し、
前記凹部は、前記薄肉部の下方に位置し、前記外部導電部材と前記端子との間には空間が確保され、
前記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、前記薄肉部が溶断するように構成されている、
二次電池。
【請求項3】
正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、
前記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、
前記電池ケースの内部で前記正極または前記負極と電気的に接続され、前記端子引出孔から前記電池ケースの外部に引き出された端子と、
前記電池ケースの外部で前記端子に接合された外部導電部材と、
を備える二次電池であって、
前記端子は、前記電池ケースの外部に配置され、前記外部導電部材と直接接触する鍔部を有し、
前記外部導電部材は、前記鍔部の表面に配置され、前記端子の一部が挿入される貫通孔を有し、
前記貫通孔の周縁には、前記外部導電部材と前記端子との接合部が形成されており、
前記外部導電部材は、前記接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部を有し、
前記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、前記薄肉部が溶断するように構成されている、
二次電池。
【請求項4】
正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、
前記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、
前記電池ケースの内部で前記正極または前記負極と電気的に接続され、前記端子引出孔から前記電池ケースの外部に引き出された端子と、
前記電池ケースの外部で前記端子に接合された外部導電部材と、
を備える二次電池であって、
前記外部導電部材は、前記端子の一部が挿入される貫通孔を有し、
前記端子には、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分が含まれており、
かつ、前記外部導電部材には、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分が含まれており、
前記貫通孔の周縁には、前記端子のアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる部分と、前記外部導電部材においてアルミニウムまたはアルミニウム合金製からなる部分とが、溶接接合された接合部が形成されており、
前記外部導電部材は、前記接合部の周囲に設けられたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる略環状の薄肉部を有し、
前記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、前記薄肉部が溶断するように構成されている、
二次電池。
【請求項5】
前記外部導電部材は、前記貫通孔の縁に沿って設けられ、前記端子に対向する略環状の凹部を有し、
前記外部導電部材と前記端子との間に、3mm
3以上の空間が確保されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記薄肉部が、0.1mm以上1mm以下の厚みで径方向に0.5mm以上延在する領域を有している、
請求項1から5のいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項7】
前記薄肉部において、最も厚みの薄い部分が、前記貫通孔から径方向に離れた位置に設けられている、
請求項2から4のいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項8】
前記端子は、
前記端子引出孔を挿通する挿通部と、
前記挿通部から延び、前記電池ケースの外部に配置される鍔部と、
前記鍔部から前記挿通部と反対側に突起し、前記貫通孔に挿入される突起部と、
を有し、
前記外部導電部材が、前記鍔部の表面に配置されている、
請求項1から7のいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項9】
前記外部導電部材と前記鍔部との接触面積が、150mm
2以上250mm
2以下である、
請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記端子は、
前記端子引出孔を挿通する挿通部と、
前記挿通部から延び、前記電池ケースの外部に配置される鍔部と、
前記鍔部から前記挿通部と反対側に突起し、前記貫通孔に挿入される突起部と、
を有し、
前記外部導電部材が、絶縁部材を介して前記鍔部の上に配置されている、
請求項1、2および4のいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項11】
前記電極体は、複数であり、
前記端子と複数の前記電極体の前記正極との間に介在する正極集電部をさらに備え、
前記正極集電部は、
前記端子と接合されている正極第1集電部と、
前記正極第1集電部に接合され、複数の前記電極体の前記正極とそれぞれ電気的に接続されている複数の正極第2集電部と、
を有する、
請求項1から10のいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項12】
前記端子は、略環状の突起部を有し、
前記突起部は、前記貫通孔内に配置され、
前記突起部が、前記外部導電部材に溶接された、
請求項4に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の二次電池を複数備える、組電池。
【請求項14】
複数の前記二次電池を相互に電気的に接続するバスバーを備え、
前記バスバーは、前記電池ケースから遠ざかる方向に付勢された状態で、前記外部導電部材に取り付けられている、請求項13に記載の組電池。
【請求項15】
正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、
前記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、
前記電池ケースの内部で前記正極または前記負極と電気的に接続され、前記端子引出孔から前記電池ケースの外部に引き出された端子と、
前記電池ケースの外部で前記端子に接合された外部導電部材と、
を備える二次電池を複数備える組電池であって、
前記外部導電部材は、前記端子の一部が挿入される貫通孔を有し、
前記貫通孔の周縁には、前記外部導電部材と前記端子との接合部が形成されており、
前記外部導電部材は、前記接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部を有し、
前記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、前記薄肉部が溶断するように構成されて
おり、
複数の前記二次電池を相互に電気的に接続するバスバーを備え、
前記バスバーは、前記電池ケースから遠ざかる方向に付勢された状態で、前記外部導電部材に取り付けられている、組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の二次電池を相互に電気的に接続してなる組電池は、例えば車両駆動用の高出力電源等として広く用いられている。組電池を構成する二次電池は、誤操作等によって過剰な電流が供給されると、温度が上昇する等の不都合を生じ得る。そこで従来、所定以上の電流が流れた際に導通経路を遮断する機構を備えた二次電池が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、正極および負極を有する電極体と、電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、電池ケースの内部で正極または負極と接続され、端子引出孔から電池ケースの外部に引き出された端子と、電池ケースの外部で端子とバスバーとを電気的に接続する外部導電板と、外部導電板の端子接続部とバスバー接続部との間に設けられ、所定以上の電流が流れた際に溶断するヒューズ部と、を備えた二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば自動車等の車両に搭載される二次電池では、高容量化や高エネルギー密度化が進んでいる。このような二次電池では、1000A以上の大電流が流れたときに電池内の発熱を小さく抑えて信頼性を向上することが求められる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大電流が流れたときに電池内の発熱を抑えることができる、信頼性の高い二次電池及び組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、正極と負極とを有する1つまたは複数の電極体と、上記電極体を収容し、端子引出孔を有する電池ケースと、上記電池ケースの内部で上記正極または上記負極と電気的に接続され、上記端子引出孔から上記電池ケースの外部に引き出された端子と、上記電池ケースの外部で上記端子に接合された外部導電部材と、を備える二次電池が提供される。上記外部導電部材は、上記端子の一部が挿入される貫通孔を有する。上記貫通孔の周縁には、上記外部導電部材と上記端子との接合部が形成されている。上記外部導電部材は、上記接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部を有する。上記二次電池に1000A以上の電流が流れたときに、上記薄肉部が溶断するように構成されている。
【0008】
本発明では、薄肉部が略環状に形成されていることで、例えば二次電池の組み立て時に片持ち状態となって薄肉部への負荷が大きくなることを防止して、力学的な信頼性を向上することができる。また、本発明では、二次電池に大電流が流れたときに、端子と外部導電部材との接合部の周囲に設けられた略環状の薄肉部が溶断されることで、導通経路が切断される。このような新規な構成により、大電流が流れたときには電池内の発熱を好適に抑えることができ、総合的に信頼性の高い二次電池を提供することができる。
【0009】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記外部導電部材は、上記貫通孔の縁に沿って設けられ、上記端子に対向する略環状の凹部を有し、上記外部導電部材と上記端子との間に、3mm3以上の空間が確保されている。このような構成により、外部導電部材の熱伝導性が安定して、大電流が流れたときの溶断特性を一定にすることができる。したがって、二次電池の信頼性を向上することができる。
【0010】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記薄肉部が、0.1mm以上1mm以下の厚みで径方向に0.5mm以上延在する領域を有している。このような構成により、通常使用時に端子との導通を十分に確保することができ、電気抵抗を低減することができる。また、外部導電部材の強度および耐変形性を向上することができる。加えて、二次電池に大電流が流れたときに、薄肉部をより安定的に溶断させることができる。
【0011】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記薄肉部において、最も厚みの薄い部分が、上記貫通孔から径方向に離れた位置に設けられている。このような構成により、通常使用時に端子との導通を十分に確保することができ、電気抵抗を低減することができ
る。また、外部導電部材の強度および耐変形性を向上することができる。
【0012】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記端子は、上記端子引出孔を挿通する挿通部と、上記挿通部から延び、上記電池ケースの外部に配置される鍔部と、上記鍔部から上記挿通部と反対側に突起し、上記貫通孔に挿入される突起部と、を有し、上記外部導電部材が、上記鍔部の表面に配置されている。このような構成により、二次電池を安全なエネルギー状態に制御しやすくなる。すなわち、二次電池に大電流が流れて薄肉部が溶断した後に、端子の鍔部と外部導電部材との間に高抵抗の導通経路を形成し、鍔部と外部導電部材とを再導通させることができる。これにより、鍔部と外部導電部材との高抵抗な導通経路を電流が流れ、二次電池内に蓄えられた(残存する)エネルギーを緩やかに放出することが可能となる。
【0013】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記外部導電部材と上記鍔部との接触面積が、150mm2以上250mm2以下である。このような構成により、通常使用時には端子との導通を十分に確保することができ、電気抵抗を低減することができる。また、二次電池の強度および耐変形性を向上することができる。加えて、薄肉部が溶断した後に鍔部と外部導電部材とを再導通させやすくなる。
【0014】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記端子は、上記端子引出孔を挿通する挿通部と、上記挿通部から延び、上記電池ケースの外部に配置される鍔部と、上記鍔部から上記挿通部と反対側に突起し、上記貫通孔に挿入される突起部と、を有し、上記外部導電部材が、絶縁部材を介して上記鍔部の上に配置されている。このような構成により、大電流が流れて薄肉部が溶断した後に、鍔部と外部導電部材との接触が回避され、導通経路を遮断することができる。
【0015】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、上記電極体は、複数であり、上記端子と複数の上記電極体の上記正極との間に介在する正極集電部をさらに備える。上記正極集電部は、上記端子と接合されている正極第1集電部と、上記正極第1集電部に接合され、複数の上記電極体の上記正極とそれぞれ電気的に接続されている複数の正極第2集電部と、を有する。複数の電極体を備える場合、大電流が流れたときの発熱が大きくなりやすい。したがって、ここに開示される技術を適用することが殊に効果的である。また、このような構成により、大電流が流れたときの信頼性を確保しつつ、二次電池の体積エネルギー密度を向上したり小型化を実現したりすることができる。
【0016】
また、本発明により、ここに開示される二次電池を複数備える組電池が提供される。
【0017】
ここに開示される組電池の好適な一態様では、複数の上記二次電池を相互に電気的に接続するバスバーを備え、上記バスバーは、上記電池ケースから遠ざかる方向に付勢された状態で、上記外部導電部材に取り付けられている。このような構成により、大電流が流れて薄肉部が溶断した後、外部導電部材が端子から離れるように移動する。これにより、外部導電部材と端子との導通経路を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。
【
図5】封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す斜視図である。
【
図6】正極第2集電部および負極第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図2の正極端子の近傍を拡大した部分拡大図である。
【
図10】正極端子と負極端子と正極第1集電部と負極第1集電部と正極内部絶縁部材と負極内部絶縁部材とが取り付けられた封口板を模式的に示す斜視図である。
【
図12】一実施形態に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
【
図13】第1変形例に係るバスバーを模式的に示す側面図であり、(A)は初期状態、(B)組電池における状態を示している。
【
図14】第2変形例に係るバスバーを模式的に示す側面図であり、(A)は初期状態、(B)組電池における状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下の意と共に、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含するものとする。
【0020】
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0021】
<二次電池100>
図1は、二次電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、二次電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、二次電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0022】
図2に示すように、二次電池100は、電池ケース10と、電極体群20と、正極端子30と、正極外部導電部材32と、負極端子40と、負極外部導電部材42と、外部絶縁部材92と、正極集電部50と、負極集電部60と、正極内部絶縁部材70と、負極内部絶縁部材80と、を備えている。詳しくは後述するが、正極集電部50は、正極第1集電部51と正極第2集電部52とを備え、負極集電部60は、負極第1集電部61と負極第2集電部62とを備えている。図示は省略するが、二次電池100は、ここではさらに電解液を備えている。二次電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。二次電池100の内部抵抗は、例えば0.2~2.0mΩ程度であり得る。
【0023】
電池ケース10は、電極体群20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。
図2に示すように、電池ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えていることが好ましい。
【0024】
外装体12は、
図1に示すように、底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。底壁12aは、略矩形状である。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられている。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。封口板14の接合は、例えばレーザ溶接等の溶接によって行うことができる。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0025】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後に電解液を注液するためのものである。注液孔15は、封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。端子引出孔18、19は、封口板14の長辺方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を上下方向Zに貫通している。
【0026】
図5は、封口板14に取り付けられた電極体群20を模式的に示す斜視図である。電極体群20は、ここでは3つの電極体20a、20b、20cを有する。ただし、1つの電池ケース10の内部に配置される電極体の数は特に限定されず、1つであってもよいし、2つ以上(複数)であってもよい。電極体20a、20b、20cは、ここでは正極集電部50が長辺方向Yの一方側(
図5の左側)に配置され、負極集電部60が長辺方向Yの他方(
図5の右側)に配置され、並列に接続されている。ただし、電極体20a、20b、20cは、直列に接続されていてもよい。電極体群20は、ここでは樹脂製シートからなる電極体ホルダ29(
図3参照)に覆われた状態で、電池ケース10の外装体12の内部に配置されている。
【0027】
図6は、電極体20aを模式的に示す斜視図である。
図7は、電極体20aの構成を示す模式図である。なお、以下では電極体20aを例として詳しく説明するが、電極体20b、20cについても同様の構成とすることができる。
【0028】
図7に示すように、電極体20aは、正極22と負極24とセパレータ26とを有する。電極体20aは、ここでは、帯状の正極22と帯状の負極24とが2枚の帯状のセパレータ26を介して積層され、捲回軸WLを中心として捲回された捲回電極体である。電極体20aは、扁平形状を有している。電極体20aは、捲回軸WLが長辺方向Yと略平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。
【0029】
図3に示すように、電極体20aは、外装体12の底壁12aおよび封口板14と対向する一対の湾曲部(R部)20rと、一対の湾曲部20rを連結し、外装体12の長側壁12bに対向する平坦部20fと、を有している。平坦部20fは、長側壁12bに沿って延びている。ただし、電極体20aは、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0030】
正極22は、
図7に示すように、正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極集電体22cは、帯状である。正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。
【0031】
正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の正極タブ22tは、長辺方向Yの一方側(
図7の左側)に突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。ただし、正極タブ22tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の右端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。正極タブ22tは、正極集電体22cの一部であり、金属箔(アルミニウム箔)からなっている。ただし、正極タブ22tは、正極集電体22cとは別の部材であってもよい。正極タブ22tの少なくとも一部には、正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されずに、正極集電体22cが露出している。
【0032】
図4に示すように、複数の正極タブ22tは長辺方向Yの一方の端部(
図4の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成している。複数の正極タブ22tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。これにより、電池ケース10への収容性を向上して二次電池100を小型化することができる。正極タブ群23は、正極集電部50を介して正極端子30と電気的に接続されている。複数の正極タブ22tは、折り曲げられ、正極端子30と電気的に接続されていることが好ましい。正極タブ群23には、正極第2集電部52が付設されている。複数の正極タブ22tのサイズ(長辺方向Yの長さおよび長辺方向Yに直交する幅、
図7参照)は、正極集電部50に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。複数の正極タブ22tは、ここでは湾曲させたときに外方側の端が揃うように相互にサイズが異なっている。
【0033】
正極活物質層22aは、
図7に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等の炭素材料を使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
【0034】
正極保護層22pは、
図7に示すように、長辺方向Yにおいて正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、ここでは正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、長辺方向Yの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pは、正極活物質層22aに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、無機フィラー(例えば、アルミナ)を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0035】
負極24は、
図7に示すように、負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極集電体24cは、帯状である。負極集電体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。
【0036】
負極集電体24cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。負極タブ24tは、長辺方向Yの一方側(
図7の右側)に突出している。ただし、負極タブ24tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の左端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。負極タブ24tは、負極集電体24cの一部であり、金属箔(銅箔)からなっている。ただし、負極タブ24tは、負極集電体24cとは別の部材であってもよい。負極タブ24tの少なくとも一部には、負極活物質層24aが形成されずに、負極集電体24cが露出している。
【0037】
図4に示すように、複数の負極タブ24tは長辺方向Yの一方の端部(
図4の右端部)で積層され、負極タブ群25を構成している。負極タブ群25は、正極タブ群23と長辺方向Yに対称的な位置に設けられている。複数の負極タブ24tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。これにより、電池ケース10への収容性を向上して、二次電池100を小型化することができる。負極タブ群25は、負極集電部60を介して負極端子40と電気的に接続されている。複数の負極タブ24tは、折り曲げられ、負極端子40と電気的に接続されていることが好ましい。負極タブ群25には、負極第2集電部62が付設されている。複数の負極タブ24tは、ここでは複数の正極タブ22tと同様に、湾曲させたときに外方側の端が揃うように相互にサイズが異なっている。
【0038】
負極活物質層24aは、
図7に示すように、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、バインダ、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を使用し得る。分散剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類を使用し得る。
【0039】
セパレータ26は、
図7に示すように、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ26としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが好適である。セパレータ26は、樹脂製の多孔性シートからなる基材部と、基材部の少なくとも一方の表面上に設けられ、無機フィラーを含む耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)と、を有していてもよい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等を使用し得る。
【0040】
電解液は従来と同様でよく、特に制限はない。電解液は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水電解液である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解液は固体状(固体電解質)で、電極体群20と一体化されていてもよい。
【0041】
正極端子30は、
図1、
図2に示すように、封口板14の長辺方向Yの一方の端部(
図1、
図2の左端部)に配置されている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方の端部(
図1、
図2の右端部)に配置されている。正極端子30および負極端子40は、ここでは、電池ケース10の同じ面(具体的には封口板14)からそれぞれ突出している。ただし、正極端子30および負極端子40は、電池ケース10の異なる面からそれぞれ突出していてもよい。正極端子30および負極端子40は、それぞれ封口板14に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、封口板14に固定されていることが好ましい。正極端子30および負極端子40は、端子の一例である。端子は、正極端子30であることが好ましい。
【0042】
正極端子30は、
図2に示すように、外装体12の内部で正極集電部50を介して電極体群20の正極22(
図7参照)と電気的に接続されている。正極端子30は、端子引出孔18を挿通して封口板14の内部から外部へと引き出されている。正極端子30は、正極内部絶縁部材70およびガスケット90によって、封口板14と絶縁されている。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。正極端子30の上には、正極外部導電部材32が固定されている。正極端子30は正極外部導電部材32と接合されている。
【0043】
図8は、
図2の正極端子30の近傍を拡大した部分拡大図である。
図9は、
図8の一部を拡大した部分拡大図である。
図8に示すように、正極端子30は、挿通部30aと、鍔部30bと、突起部30cとを有する。
【0044】
挿通部30aは、封口板14の端子引出孔18よりも外形が小さい部分である。挿通部30aは、電池ケース10の封口板14を貫通している。詳しくは、挿通部30aは、挿通部30aは、封口板14の側から、ガスケット90の貫通孔90hと、封口板14の端子引出孔18と、正極内部絶縁部材70の貫通孔70hと、正極第1集電部51の貫通孔51hと、を順番に挿通している。挿通部30aの下端は、ここでは溶接接合によって、正極第1集電部51と接合されている。溶接接合の方法は特に限定されず、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、超音波溶接、抵抗溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接等であってよい。また、正極端子30は、溶接接合以外の方法、例えば、かしめ、リベット、圧入、焼きばめ、折り込み、ボルト接合、熱圧着、超音波圧接、蝋付け等で正極第1集電部51と接合されていてもよい。
【0045】
鍔部30bは、封口板14の端子引出孔18よりも外形が大きい部分(拡径部)である。鍔部30bは、挿通部30aの上端から上方に延びている。鍔部30bは、端子引出孔18から突出し、電池ケース10の外部に配置されている。鍔部30bは、封口板14の上面(外装体12から遠い側の面)に載置されている。鍔部30bは、平面視において略円形状に形成されていてもよいし、四角形等の多角形状に形成されていてもよい。鍔部30bの上方には、正極外部導電部材32が配置されている。鍔部30bは、ここでは正極外部導電部材32と直接接触している。
【0046】
突起部30cは、鍔部30bの上端から上方(挿通部30aと反対側)に突起した部分である。突起部30cは、正極外部導電部材32の貫通孔32hに挿入されている。突起部30cは、正極外部導電部材32に接合されている。突起部30cには、正極端子30との接合部31wが形成されている。突起部30cは、ここでは平面視において略環状(好ましくは円環状)に形成されている。ただし、突起部30cは、柱状に(中実状に)形成されていてもよい。特に限定されるものではないが、
図9に示すように、突起部30cの外径D1は、概ね1~10mm、例えば5~10mm(一例では、7.5mm)であるとよい。突起部30cの外径D1は、挿通部30aの外形よりも小さくてもよい。突起部30cの内径D2は、例えば5~10mm(一例では、5.8mm)であるとよい。突起部30cの線径D3(=(D1-D2)/2)は、例えば0.1~2mm(一例では、0.85mm)であるとよい。
【0047】
正極外部導電部材32は、電池ケース10の外部で正極端子30と電気的に接続されている。
図8に示すように、正極外部導電部材32は、接合部31wで正極端子30と接合されている。正極外部導電部材32は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁された状態で封口板14に取り付けられている。正極外部導電部材32は、板状であることが好ましい。正極外部導電部材32は、
図1に示すように、ここでは長辺方向Yに長い略矩形状である。正極外部導電部材32は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。正極外部導電部材32は、一部または全部の表面に、ニッケル等の金属が被覆されたメッキ層を有してもよい。正極外部導電部材32は、外部導電部材の一例である。
【0048】
正極外部導電部材32は、
図12に示すように、長辺方向Yに区分けされた部分であって、正極端子30と電気的に接続される端子接続領域321と、端子接続領域321から正極端子30と反対側に延びる延出領域322と、を有している。延出領域322は、複数の二次電池100を相互に電気的に接続して組電池200を作製する際に、導電部材が付設される部位(バスバー接続部)である。導電部材は、ここでは板状(棒状)のバスバー110である。二次電池100において、正極タブ22tから延出領域322までの電気抵抗は、例えば0.05~0.2mΩ程度であり得る。
【0049】
端子接続領域321は、
図8に示すように、正極端子30の上方、詳しくは鍔部30bの上方に配置されている。正極端子30の鍔部30bの上面と、正極外部導電部材32の下面との接触面積は、50~500mm
2が好ましく、100~300mm
2がより好ましく、150~250mm
2がさらに好ましい。これにより、電気抵抗を低減すると共に、強度および耐変形性を向上することができる。端子接続領域321には、貫通孔32hと、第1凹部32aと、第2凹部32bと、薄肉部32tと、が設けられている。
【0050】
貫通孔32hは、正極外部導電部材32を上下方向Zに貫通している。貫通孔32hには、正極端子30の一部、ここでは突起部30cが挿入されている。貫通孔32hは、平面視において略円形状に形成されている。貫通孔32hは、突起部30cと同形状に形成されていてもよい。
図1に示すように、二次電池100の上面には、貫通孔32hから正極端子30(ここでは突起部30c)が露出している。貫通孔32hの周縁(縁部ないし周囲)には、正極端子30と正極外部導電部材32との接合部31wが形成されている。
【0051】
第1凹部32aは、正極外部導電部材32の上面32u(外装体12から遠い側の面)から下方側に窪んでいる。第1凹部32aは、薄肉部32tの上方に位置している。第1凹部32aは、平面視において貫通孔32hよりも大きい略円形状に形成されている。第1凹部32aは、接合部31wの周囲を囲むように設けられている。これにより、接合部31wが正極外部導電部材32の上面32uから突出することを抑制することができ、延出領域322にバスバー110を接続しやすくなる。
【0052】
第2凹部32bは、正極外部導電部材32の下面32d(外装体12と対向する側の面)から上方側に窪んでいる。第2凹部32bは、貫通孔32hの縁に沿って設けられている。第2凹部32bは、薄肉部32tの下方に位置している。第2凹部32bは、正極端子30の鍔部30bと対向している。第2凹部32bは、平面視において略環状(好ましくは円環状)に形成されている。第2凹部32bの内縁は、ここではR形状に形成されている。2凹部32bの外縁は、ここでは下面32dに向かって(言い換えれば、正極端子30に近づくほど)拡径するテーパ形状に形成されている。第2凹部32bを有することで、正極外部導電部材32の熱伝導性が安定して、大電流が流れたときの溶断特性を一定にすることができる。第2凹部32bは、凹部の一例である。
【0053】
正極端子30と外部導電部材32との間、詳しくは正極端子30の鍔部30bの上面と正極外部導電部材32の下面との間には、空間31sが確保されている。これにより、上記した正極端子30と正極外部導電部材32との接触面積が調整されている。空間31sは、貫通孔32hの縁に沿って設けられている。空間31sは、鍔部30bの上面に沿って水平に広がっている。空間31sは、略環状(好ましくは円環状)に形成されている。
図9に示すように、空間31sの貫通孔32hに沿う方向の長さ(言い換えれば、正極外部導電部材32と正極端子30との離間距離)T2は、概ね0.1mm以上であり、例えば0.1~0.5mm(一例では、0.25mm)程度であるとよい。離間距離T2は、薄肉部32tの厚みT1よりも小さくてもよい。空間31sの体積は、概ね3mm
3以上であり、例えば3~10mm
3程度(一例では、5mm
3)であるとよい。
【0054】
薄肉部32tは、貫通孔32hの縁に沿って形成されている。薄肉部32tは、接合部31wの周囲に設けられている。薄肉部32tは、正極端子30の突起部30cの周縁に設けられている。薄肉部32tは、径方向の外側の部分よりも厚みが薄く形成された部分である。薄肉部32tは、典型的には、正極集電部50から正極外部導電部材32までの導通経路のなかで、断面積が最も小さく形成された部位である。薄肉部32tは、二次電池100に1000A以上の電流(大電流)が流れたときに溶断するように構成された溶断予定部位である。薄肉部32tを有することで、二次電池100の発熱を好適に抑えることができる。薄肉部32tは、二次電池100の充電状態(SOC:State of Charge)が100%で、抵抗が5mΩ以下の導電部材を用いて正極外部導電部材32と負極外部導電部材42を短絡させたときに溶断する部位であることが好ましい。これにより、二次電池100の発熱をより好適に抑制することができる。
【0055】
薄肉部32tは、略環状(好ましくは円環状)に形成されている。これにより、力学的な信頼性が高められる。また、通常使用時に振動や衝撃等の外力が加わっても安定して導通を維持することができ、強度および耐変形性を向上することができる。薄肉部32tは、連続的或いは間欠的に形成されている。薄肉部32tは、破線状に形成されていてもよく、複数に分割形成されていてもよい。薄肉部32tは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる領域に設けられていることが好ましい。アルミニウムは融点が低いため、薄肉部32tがアルミニウムを主体とする領域に設けられていると、大電流が流れたときに薄肉部32tが溶断しやすくなる。薄肉部32tは、最小の断面積が、正極集電部50の最小の断面積、例えば後述する正極第2集電部52の凹部52dおよび/またはタブ接合部52cの断面積よりも小さくなるように、サイズが調整されていることが好ましい。これにより、大電流が流れたときに薄肉部32tをより安定的に溶断させることができる。
【0056】
図9に示すように、薄肉部32tの線径(径方向の最大長さ)L1は、概ね0.5mm以上、例えば0.5~5mm(一例では、0.85mm)であるとよい。薄肉部32tでは、貫通孔32hの縁部において、所定の厚みT1を有する領域が、径方向に所定の長さで延在しているとよい。これにより、電気抵抗を低減すると共に、強度および耐変形性を向上することができる。厚みT1は、正極第2集電部52の凹部52dおよび/またはタブ接合部52cの厚みよりも薄いことが好ましい。厚みT1は、概ね0.1~1mm、例えば0.1~0.5mmであるとよい。厚みT1を有する領域が径方向に延在する長さL2は、概ね0.5mm以上、例えば0.5~5mm(一例では、0.57mm)であるとよい。
【0057】
薄肉部32tにおいて、最も厚みの薄い部分32t1は、貫通孔32hから径方向に離れた位置に設けられているとよい。これにより、電気抵抗を低減することができる。最も厚みの薄い部分32t1は、正極端子30の鍔部30bの上面から離れた位置に設けられているとよい。これにより、強度および耐変形性を向上することができる。
【0058】
接合部31wは、正極端子30と正極外部導電部材32とが接合された部位である。接合部31wは、貫通孔32hの周縁(縁部ないし周囲)に形成されている。接合部31wは、平面視において略環状(好ましくは円環状)に形成されている。正極端子30の軸心に対して、軸対称に形成されている。接合部31wは、連続的或いは間欠的に形成されている。接合部31wは、破線状に形成されていてもよい。
【0059】
接合部31wは、ここでは光エネルギー、電子エネルギー、熱エネルギー等を用いて形成される冶金的な金属接合部である。接合部31wは、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、超音波溶接、抵抗溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接等の溶接によって形成される溶接接合部である。特に、レーザ等の高エネルギー線の照射による溶接が好ましい。ただし、接合部31wは、溶接接合以外の金属接合の方法、例えば、熱圧着、超音波圧接、蝋付け等で形成されていてもよい。また、接合部31wは、正極端子30と正極外部導電部材32とを機械的に固定する締結部と、当該締結部の周縁を連続的或いは間欠的に接合する金属接合部と、で構成されていてもよい。機械的な固定は、例えば、かしめ、リベット、圧入、焼きばめ、折り込み等で行ってもよい。
【0060】
負極端子40は、
図2に示すように、外装体12の内部で負極集電部60を介して電極体群20の負極24(
図7参照)と電気的に接続されている。負極端子40は、端子引出孔19を挿通して封口板14の内部から外部へと引き出されている。負極端子40は、負極内部絶縁部材80およびガスケット90によって、封口板14と絶縁されている。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。負極端子40は、2つの導電部材が接合され一体化されて構成されていてもよい。負極端子40は、例えば、負極集電部60と接続される部分が銅または銅合金からなり、封口板14の外側に露出する部分がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなっていてもよい。負極端子40は、アルミニウム系金属と銅系金属とのクラッド材で構成されてもよい。負極端子40の具体的な構成は、正極端子30と同様であってよい。負極端子40の上には、負極外部導電部材42が固定されている。負極端子40は負極外部導電部材42と接合されている。
【0061】
負極外部導電部材42は、電池ケース10の外部で負極端子40と電気的に接続されている。負極外部導電部材42は、負極端子40と接合されている。負極外部導電部材42は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁された状態で封口板14に取り付けられている。負極外部導電部材42は、板状であることが好ましい。負極外部導電部材42は、
図1に示すように、ここでは長辺方向Yに長い略矩形状である。負極外部導電部材42は、長辺方向Yに対して、正極外部導電部材32と対称に配置されている。負極外部導電部材42は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。負極外部導電部材42は、一部または全部の表面に、ニッケル等の金属が被覆されたメッキ層を有してもよい。負極外部導電部材42の具体的な構成は、正極外部導電部材32と同様であってよい。負極外部導電部材42は、外部導電部材の一例である。
【0062】
外部絶縁部材92は、電池ケース10の外部で、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42を封口板14から絶縁する部材である。外部絶縁部材92は、電気絶縁性を有し、耐熱性を有することが好ましい。外部絶縁部材92は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂製であることが好ましい。
図8に示すように、延出領域322と対向する領域には、絶縁部材凹部92aが設けられている。これにより、端子接続領域321に延出領域322の熱が伝わりにくくなり、大電流が流れたときの溶断特性を一定にすることができる。
【0063】
正極集電部50は、複数の正極タブ22tからなる正極タブ群23と、正極端子30と、を電気的に接続する導通経路を構成している。
図2に示すように、正極集電部50は、ここでは正極第1集電部51と正極第2集電部52とで構成されている。正極第1集電部51および正極第2集電部52は、正極集電体22cと同じ金属種、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。
【0064】
図10は、封口板14を模式的に示す斜視図である。
図11は、
図10の封口板を裏返した斜視図である。
図11は、封口板14の外装体12の側(内側)の面を示している。
図10、
図11に示すように、正極第1集電部51は、封口板14の内側の面に取り付けられている。正極第1集電部51は、正極端子30と電気的に接続されている。正極第1集電部51は、第1領域51aと、第2領域51bと、を有する。正極第1集電部51は、1つの部材を例えばプレス加工等によって折り曲げることで構成されてもよく、複数の部材を溶接接合等によって一体化することで構成されてもよい。
【0065】
第1領域51aは、封口板14と電極体群20との間に配置される部位である。第1領域51aは、長辺方向Yに沿って延びている。第1領域51aは、封口板14の内側の表面に沿って水平に広がっている。封口板14と第1領域51aとの間には、正極内部絶縁部材70が配置されている。第1領域51aは、正極内部絶縁部材70によって封口板14と絶縁されている。第1領域51aには、正極端子30との接合部が形成されている。接合部は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。第1領域51aの接合部の周囲における最小の断面積は、正極外部導電部材32の薄肉部32tの最小の断面積よりも大きいことが好ましい。第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔18に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔51hが形成されている。
【0066】
第2領域51bは、外装体12の短側壁12cと電極体群20との間に配置される部位である。第2領域51bは、
図2に示すように、第1領域51aの長辺方向Yの一方の端(
図2の左端)から外装体12の短側壁12cに向かって延びている。第2領域51bは、上下方向Zに沿って延びている。第2領域51bは、正極第2集電部52と接合されている。
【0067】
正極第2集電部52は、
図2に示すように、外装体12の短側壁12cに沿って延びている。正極第2集電部52は、
図5、
図6に示すように、集電板接続部52aと、傾斜部52bと、タブ接合部52cと、を有する。
【0068】
集電板接続部52aは、正極第1集電部51と電気的に接続される部位である。集電板接続部52aは、上下方向Zに沿って延びている。集電板接続部52aは、電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。集電板接続部52aには、その周囲よりも厚みが薄い凹部52dが設けられている。凹部52dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔52eが設けられている。貫通孔52eには、正極第1集電部51との接合部が形成されている。接合部は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。特に、レーザ等の高エネルギー線の照射による溶接を用いることが好ましい。電極体群20において、貫通孔52eの接合部の周囲における最小の断面積は、正極外部導電部材32の薄肉部32tの最小の断面積よりも大きいことが好ましい。
【0069】
タブ接合部52cは、正極タブ群23に付設され、複数の正極タブ22tと電気的に接続される部位である。タブ接合部52cは、上下方向Zに沿って延びている。タブ接合部52cは、電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。タブ接合部52cの複数の正極タブ22tと接続される面は、外装体12の短側壁12cと略平行に配置されている。
【0070】
図4に示すように、タブ接合部52cには、正極タブ群23との接合部Jが形成されている。接合部Jは、例えば、複数の正極タブ22tを重ねた状態で、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。接合部Jでは、複数の正極タブ22tを電極体20a、20b、20cの短辺方向Xの一方側に寄せて配置している。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。電極体群20において、接合部Jの周囲における最小の断面積は、正極外部導電部材32の薄肉部32tの最小の断面積よりも大きいことが好ましい。接合部Jの周囲における最小の断面積は、貫通孔52eの接合部の周囲における最小の断面積よりも大きくてもよい。
【0071】
傾斜部52bは、集電板接続部52aの下端とタブ接合部52cの上端とを連結する部位である。傾斜部52bは、集電板接続部52aとタブ接合部52cとに対して傾斜している。傾斜部52bは、長辺方向Yにおいて、集電板接続部52aがタブ接合部52cよりも中央側に位置するように、集電板接続部52aとタブ接合部52cとを連結している。これにより、電極体群20の収容空間を広げて、二次電池100の高エネルギー密度化を図ることができる。傾斜部52bの下端(言い換えれば、外装体12の底壁12aの側の端部)は、正極タブ群23の下端よりも下方に位置することが好ましい。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。
【0072】
負極集電部60は、複数の負極タブ24tからなる負極タブ群25と、負極端子40と、を電気的に接続する導通経路を構成している。
図2に示すように、負極集電部60は、ここでは負極第1集電部61と負極第2集電部62とで構成されている。負極第1集電部61および負極第2集電部62は、負極集電体24cと同じ金属種、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。負極第1集電部61および負極第2集電部62の具体的な構成は、正極集電部50の正極第1集電部51および正極第2集電部52と同様であってよい。
【0073】
負極第1集電部61は、
図11に示すように、第1領域61aと、第2領域61bと、を有する。封口板14と第1領域61aとの間には負極内部絶縁部材80が配置されている。第1領域61aは、負極内部絶縁部材80によって封口板14と絶縁されている。第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔19に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔61hが形成されている。負極第2集電部62は、
図6に示すように、負極第1集電部61と電気的に接続される集電板接続部62aと、傾斜部62bと、負極タブ群25に付設され、複数の負極タブ24tと電気的に接続されるタブ接合部62cと、を有する。集電板接続部62aは、タブ接合部62cと連結される凹部62dを有する。凹部62dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔62eが設けられている。
【0074】
正極内部絶縁部材70は、電池ケース10の内部で、封口板14と正極第1集電部51とを絶縁する部材である。正極内部絶縁部材70は、例えば、使用する電解液に対する耐性と電気絶縁性とを有し、弾性変形が可能な樹脂材料からなる。正極内部絶縁部材70は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等からなることが好ましい。正極内部絶縁部材70は、
図2に示すように、ベース部70aと、複数の突出部70bと、を有する。ベース部70aと突出部70bとは、ここでは一体成型されている。
【0075】
ベース部70aは、上下方向Zにおいて、封口板14と、正極第1集電部51の第1領域51aと、の間に配置される部位である。ベース部70aは、正極第1集電部51の第1領域51aに沿って水平に広がっている。
図8に示すように、ベース部70aは、上下方向Zに貫通した貫通孔70hを有する。貫通孔70hは、封口板14の端子引出孔18と対応する位置に形成されている。
【0076】
複数の突出部70bは、それぞれ、ベース部70aよりも電極体群20の側に突出している。
図11に示すように、長辺方向Yにおいて、複数の突出部70bは、ベース部70aよりも封口板14の中央側(
図11の右側)に設けられている。複数の突出部70bは、短辺方向Xに並んで配置されている。
図3に示すように、複数の突出部70bは、ここでは電極体群20を構成する電極体20a、20b、20cの湾曲部20rと対向している。突出部70bの数は、ここでは電極体群20を構成する電極体20a、20b、20cの数と同数である。すなわち、3つである。ただし、突出部70bの数は、電極体群20を構成する電極体の数と異なっていてもよく、例えば1つであってもよい。
【0077】
負極内部絶縁部材80は、
図2に示すように、電極体群20の長辺方向Yに対して、正極内部絶縁部材70と対称に配置されている。負極内部絶縁部材80の具体的な構成は、正極内部絶縁部材70と同様であってよい。負極内部絶縁部材80は、ここでは正極内部絶縁部材70と同様に、封口板14と負極第1集電部61との間に配置されるベース部80aと、複数の突出部80bと、を有する。
【0078】
二次電池100では、1000A以上の電流(大電流)が流れたときに、正極外部導電部材32の略環状の薄肉部32tが溶断される。これにより、正極端子30と正極外部導電部材32との導電経路が切断される。正極端子30と正極外部導電部材32との導電経路は、ここでは正極集電部50よりも早く溶断される。
【0079】
また、本実施形態では、正極端子30の鍔部30bと正極外部導電部材32とが接しているので、薄肉部32tが溶断した後、例えば鍔部30bと正極外部導電部材32との接触接続により、高抵抗な導電経路が形成される。これにより、鍔部30bと正極外部導電部材32とを再導通させることができる。鍔部30bと正極外部導電部材32とは、大電流が流れた後、例えば抵抗溶接のように、溶着されていることが好ましい。鍔部30bと正極外部導電部材32とを再導通させることで、高抵抗な導電経路に電流が流れ、二次電池100に蓄えられた(残存する)エネルギーを緩やかに放出することができる。例えば、二次電池100が自動車等の車両に搭載されている場合、走行中の最低限の動力を確保して、車両を停止させることが可能となる。
【0080】
二次電池100は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。
【0081】
二次電池100は、
図12に示すように、組電池200の構築に好適に用いることができる。
図12において、複数の二次電池100は、正極外部導電部材32と負極外部導電部材42との間に板状(棒状)のバスバー110を架け渡すことで電気的に接続されている。バスバー110は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。バスバー110は、ここでは短辺方向Xに長い略矩形状である。正極外部導電部材32および/または負極外部導電部材42とバスバー110とは、例えば、レーザ溶接等の溶接接合によって電気的に接続することができる。ただし、複数の二次電池100の間の電気的な接続は、ボルト接合等によって行ってもよい。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形例に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形例を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0083】
例えば、上記した
図8、
図9の実施形態では、正極端子30の鍔部30bの表面に正極外部導電部材32が配置され、鍔部30bと正極外部導電部材32とが直接接触していた。しかしこれには限定されない。鍔部30bと正極外部導電部材32とは接触していなくてもよい。正極外部導電部材32は、例えば絶縁部材を介して鍔部30bの上に配置されていてもよい。これにより、大電流が流れて薄肉部32tが溶断した後に、鍔部30bと正極外部導電部材32との接触が回避され、鍔部30bと正極外部導電部材32とを再導通させることなく、導電経路を遮断することができる。なお、絶縁部材としては、例えば、外部絶縁部材92を構成するような樹脂製のシートやテープを用いることができる。絶縁部材は、融点が200℃以上の材料からなることがより好ましい。絶縁部材は、例えばセラミック製であってもよい。
【0084】
また、例えば、上記した
図12の実施形態では、バスバー110が板状(棒状)であった。しかしこれには限定されない。
図13(A)、(B)は、第1変形例に係るバスバー120a、120を模式的に示す側面図である。
図13(B)に示すように、第1変形例のバスバー120は、組電池の状態で、正極外部導電部材32および/または負極外部導電部材42(以下、外部導電部材32、42という。)から離れた凸部121と、外部導電部材32、42に接する平面部122と、を有している。バスバー120は、電池ケース10から遠ざかる方向に付勢された状態で、外部導電部材32、42に取り付けられている。
【0085】
すなわち、
図13(A)に示すように、外部導電部材32、42に取り付けられる前の(初期状態の)バスバー120aは、凸部121と、凸部121の短辺方向Xの両端部にそれぞれ設けられた一対の傾斜部122aと、を有している。傾斜部122aは、外部導電部材32、42に接する平面部122となる部分である。傾斜部122aは、凸部121に向かって下り傾斜している。凸部121と傾斜部122aとは、上下方向Zの位置が異なり、同一平面上に無い。バスバー120を外部導電部材32、42に取り付ける際は、
図13(B)に矢印で示すように、傾斜部122aの両端部を押圧して外部導電部材32、42押し付ける。これにより、傾斜部122aを変形させて、外部導電部材32、42に接する平面部122とする。このような構成により、バスバー120には、組電池の状態で、常時上向きの応力がかかっている。その結果、大電流が流れて薄肉部32tが溶断すると、外部導電部材32、42が正極端子30または負極端子40から離れるように移動する。これにより、正極端子30または負極端子40と外部導電部材32、42との導電経路を確実に遮断することができる。
【0086】
また、
図14(A)、(B)は、第2変形例に係るバスバー130a、130を模式的に示す側面図である。
図14(B)に示すように、第2変形例のバスバー130は、組電池の状態で、外部導電部材32、42から離れた凸部131と、外部導電部材32、42に接する平面部132と、を有している。バスバー130は、電池ケース10に近づく方向に付勢された状態で、外部導電部材32、42に取り付けられている。
【0087】
すなわち、
図14(A)に示すように、外部導電部材32、42に取り付けられる前の(初期状態の)バスバー130aは、凸部131と、凸部131の短辺方向Xの両端部にそれぞれ設けられた一対の傾斜部132aと、を有している。傾斜部132aは、外部導電部材32、42に接する平面部132となる部分である。傾斜部132aは、バスバー120の傾斜部122aとは逆に、凸部131に向かって上り傾斜している。凸部131と傾斜部132aとは、上下方向Zの位置が異なり、同一平面上に無い。バスバー130を外部導電部材32、42に取り付ける際は、
図14(B)に矢印で示すように、凸部131を押圧して外部導電部材32、42押し付ける。これにより、傾斜部132aを変形させて、外部導電部材32、42に接する平面部132とする。このような構成により、バスバー130には、組電池の状態で、常時下向きの応力がかかっている。その結果、大電流が流れて薄肉部32tが溶断しても、正極端子30または負極端子40と外部導電部材32、42との接触が維持される。これにより、二次電池100に蓄えられた(残存する)エネルギーを緩やかに放出することができる。したがって、二次電池100を安全なエネルギー状態に制御しやすくなる。
【符号の説明】
【0088】
10 電池ケース
20a、20b、20c 電極体
30 正極端子(端子)
30a 挿通部
30b 鍔部
30c 突起部
31w 接合部
31s 空間
32 正極外部導電部材(外部導電部材)
32b 第2凹部(凹部)
32h 貫通孔
32t 薄肉部
40 負極端子(端子)
42 負極外部導電部材(外部導電部材)
100 二次電池