(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像表示システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240109BHJP
A63F 13/655 20140101ALI20240109BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240109BHJP
A63F 13/26 20140101ALI20240109BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G06T19/00 600
A63F13/655
A63F13/53
A63F13/26
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2020209873
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 英之
(72)【発明者】
【氏名】中野 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】前田 和久
(72)【発明者】
【氏名】谷川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】新間 寛太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】小川 祐佳里
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532197(JP,A)
【文献】特開2016-004519(JP,A)
【文献】特開2019-219820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00 - 19/20
A63F 13/00 - 13/98
G06F 3/01
H04N 7/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー装置の前にいる所定エリアの入場者の姿と背景とを撮像するカメラと、
前記カメラが撮像した前記入場者の画像を処理して表示データを生成するサーバと、
前記サーバが生成した前記表示データを前記ミラー装置に表示する表示装置と、を備える画像表示システムであって、
前記サーバは、
キャラクタの画像データを格納するデータベースを含み、
前記データベースを参照して前記カメラが撮像した前記入場者の画像の一部を前記入場者が選択した前記キャラクタの画像の一部に置換して前記表示データを生成
し、前記入場者の画像と前記データベースとに基づいて前記入場者が選択した前記キャラクタの影の投影データを生成し、
前記サーバが生成した前記投影データを前記入場者の影に重ね合わせて床に投影する投影装置を更に備えること、
を特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像表示システムであって、
前記カメラは、前記ミラー装置の前の空間の画像を撮像し、
前記サーバは、前記カメラで撮像した前記空間の画像の中に前記入場者の画像を認識した場合に、前記表示データを前記表示装置で前記ミラー装置に表示すると共に、前記投影データを前記入場者の影に重ね合わせて前記床に投影すること、
を特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の画像表示システムであって、
前記サーバは、
前記入場者が前記所定エリア内を歩くにしたがって、前記キャラクタの画像を前記キャラクタが成長した画像に変化させて前記表示データを生成すること、
を特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の画像表示システムであって、
前記サーバは、
前記入場者が所定エリア内を歩くにしたがって、前記キャラクタの影を成長した前記キャラクタに対応するように変化させて前記投影データを生成すること、
を特徴とする画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、特に、所定エリアの入場者のミラー装置に映る姿の一部をキャラクタの姿の一部として表示する画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合現実技術を用いてヘッドマウンテッドディスプレイ(以下、HMDという)の中のモックアップのカメラの画像上に三次元CGのカメラの画像を重ね合わせて、HMDの装着者がモックアップのカメラを取り扱った場合に、あたかも本物のカメラを取り扱っているように感じさせる技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近、様々な観光施設が建設されている。観光施設等の所定エリアでは、入場者に楽しく過ごしてもらい、何度もリピートで来場してもらえることが重要となる。例えば、観光施設等の所定エリアの入場者がアトラクションのキャラクタと一緒に過ごしているように感じさせることでキャラクタとの一体感が向上し、より楽しかったと感じる様にすることができる。しかし、特許文献1に記載された技術は、観光施設等の所定エリアとの関連性が低く、そのまま観光施設等の所定エリアに適用することは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、所定エリアの入場者にキャラクタとの一体感を感じさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像表示システムは、ミラー装置の前にいる所定エリアの入場者の姿と背景とを撮像するカメラと、前記カメラが撮像した前記入場者の画像を処理して表示データを生成するサーバと、前記サーバが生成した前記表示データを前記ミラー装置に表示する表示装置と、を備える画像表示システムであって、前記サーバは、キャラクタの画像データを格納するデータベースを含み、前記データベースを参照して前記カメラが撮像した前記入場者の画像の一部を前記入場者が選択した前記キャラクタの画像の一部に置換して前記表示データを生成し、前記入場者の画像と前記データベースとに基づいて前記入場者が選択した前記キャラクタの影の投影データを生成し、前記サーバが生成した前記投影データを前記入場者の影に重ね合わせて床に投影する投影装置を更に備えること、を特徴とする。
【0007】
これにより、観光施設等の所定エリアの入場者がミラー装置を見たときに、自分の一部、例えば、顔がキャラクタの一部、例えばキャラクタの顔となった姿を見るので、入場者にキャラクタに変身したように感じさせることができる。これにより、入場者にキャラクタとの一体感を感じさせ、観光施設等の所定エリアがより楽しいと感じさせ、リピート率を向上させることができる。
【0009】
また、入場者の影をキャラクタの影とすることにより、入場者によりキャラクタに変身したように感じさせることができ、観光施設等の所定エリアがより楽しいと感じさせることができる。
【0010】
本発明の画像表示システムにおいて、前記カメラは、前記ミラー装置の前の空間の画像を撮像し、前記サーバは、前記カメラで撮像した前記空間の画像の中に前記入場者の画像を認識した場合に、前記表示データを前記表示装置で前記ミラー装置に表示すると共に、前記投影データを前記入場者の影に重ね合わせて前記床に投影してもよい。
【0011】
これにより、入場者がミラー装置の前を通りかかった時にミラー装置に自分の一部がキャラクタの一部となった姿が表示されており、床にキャラクタの影が投影されるので、入場者にキャラクタに変身したことを実感させることができる。これにより、入場者にキャラクタとの一体感を感じさせ、観光施設等の所定エリアがより楽しいと感じさせ、リピート率を向上させることができる。
【0012】
本発明の画像表示システムにおいて、前記サーバは、前記入場者が前記所定エリア内を歩くにしたがって、前記キャラクタの画像を前記キャラクタが成長した画像に変化させて前記表示データを生成してもよい。
【0013】
また、本発明の画像表示システムにおいて、前記サーバは、前記入場者が所定エリア内を歩くにしたがって、前記キャラクタの影を成長した前記キャラクタに対応するように変化させて前記投影データを生成してもよい。
【0014】
これにより、入場者にキャラクタとの一体感を感じさせ、リピート率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、所定エリアの入場者にキャラクタとの一体感を感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の画像表示システムの構成を示す系統図である。
【
図2】実施形態の画像表示システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】サーバが生成した表示データの画像を示す図である。
【
図5】サーバが生成した他の表示データの画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら実施形態の画像表示システム100について説明する。以下の説明では、画像表示システム100をテーマパーク80に適用した場合について説明する。
図1に示す様に、画像表示システム100は、ミラー装置20と、カメラ22と、表示装置24と、投影装置26と、サーバ40とで構成されている。ミラー装置20と、カメラ22と、表示装置24と、投影装置26とはインターネットや電話回線等の通信回線50を介してサーバ40に接続されている。
【0018】
ミラー装置20と、カメラ22と、表示装置24と、投影装置26とは、テーマパーク80の中のアトラクションを行う施設82の中に設けられている。ここで、テーマパーク80は、文化や国、物語、映画、時代などの特定のテーマをベースに全体が演出された観光施設である。また、アトラクションは、特定の映画等の一場面を演出し、入場者10がその映画に登場するキャラクタ30と一緒になったように感じるイベントである。
【0019】
ミラー装置20は、施設82の建物の壁面に取付けられている。例えば、建物の中のトイレの手洗い場の壁面等に取付けられている。ミラー装置20は、通常は鏡として機能し、前方からの光を反射し、前方から見た時には自分の顔等が映って見える。しかし、後で説明する表示装置24から画像をミラー装置20の後方の面に向かって投影すると、鏡のように前方からの光を反射せず、後方から投影された画像がミラー装置20を透過して、ミラー装置20の前方に放射される。従って、表示装置24が作動した際には、ミラー装置20の前方からは表示装置24がミラー装置20の後方の面に投影した表示画像のみが見える。
【0020】
カメラ22は、ミラー装置20の近傍に配置されてミラー装置20の前方の空間の画像を撮像する。テーマパーク80の入場者10がミラー装置20の前にいる場合には、ミラー装置20の前の入場者10の姿と背景とを撮像する。
【0021】
表示装置24は、ミラー装置20の後方に配置されている。表示装置24は、サーバ40が生成した表示データをミラー装置20の後方からミラー装置20の後方の面に投影する画像投影機である。
【0022】
投影装置26は、ミラー装置20の前方に配置されている。投影装置26は、サーバ40が生成した投影データを施設82の床84に投影する画像投影機である。
【0023】
サーバ40は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU42と、ブログラムや動作データ等格納したメモリ44とを備えるコンピュータである。メモリ44の中には、データベース46が格納されている。データベース46には、キャラクタ30の画像データが格納されている。
【0024】
入場者10は、サーバ40と通信回線50を介して接続される携帯端末14を持っている。携帯端末14は、位置情報をサーバ40に送信する。
【0025】
次に、
図2から
図5を参照しながら実施形態の画像表示システム100の動作について説明する。
【0026】
図2のステップS101に示す様に、入場者10は、テーマパーク80の中に入ると、自分が変身しようとするキャラクタ30を選択して携帯端末14からサーバ40に送信する。また、入場者10の持っている携帯端末14は位置情報を共にサーバ40に送信する。
【0027】
カメラ22は、ミラー装置20の前方の空間の画像23を撮像してサーバ40に送信している。サーバ40は、
図2のステップS102において、カメラ22で撮像した画像23(
図3参照)の中に入場者10の画像を認識するまで待機する。ここで、入場者10の画像の認識は、例えば、以下のように行う。
【0028】
サーバ40は、カメラ22から送信された画像23の画像認識を行い、
図3に示す様に画像23の中に人物が認識されるかどうか判断する。人物が認識された場合に、カメラ22の画像23からその人物の位置を特定する。そして、その人物の位置と入場者10の携帯端末14の位置情報とが一致した場合に、その人物を入場者10と認識する。
【0029】
入場者10が、テーマパーク80の中を歩いて回り、アトラクションを行う施設82に入る。そして、施設82の中に設置されているミラー装置20の前方の空間に立つと、サーバ40はカメラ22から送信された画像23の中に人物を認識し、先に説明した方法により携帯端末14の位置情報からその人物を入場者10と認識し、
図2のステップS102でYESと判断して
図2のステップS103に進む。
【0030】
サーバ40は、
図2のステップS103で表示データを生成して表示装置24に送信する。表示データの生成は、以下のように行う。
【0031】
サーバ40がカメラ22から受信した画像23には、入場者10の姿と背景とが含まれている。サーバ40は、キャラクタ30の画像が格納されているデータベース46を参照しながら、入場者10の姿の画像の一部である顔12を入場者10が
図2のステップS101で選択したキャラクタ30の顔32に置換して
図4に示す表示画像25を生成する。そして、表示画像25の画像データを表示データとして表示装置24に送信する。
【0032】
図2のステップS104で、表示装置24は、サーバ40から表示データを受信したら、そのデータをミラー装置20に向かって投影する。これにより、ミラー装置20の後方の面には、
図4に示す表示画像25が投影される。投影された表示画像25はミラー装置20を透過してミラー装置20の前方に放射される。この際、ミラー装置20は、前方からの光を反射せず、ミラー装置20の前方からは表示装置24が投影した表示画像25のみがみえる。このため、
図1に示す様に、入場者10がミラー装置20を覗き込むと、ミラー装置20の中には、自分の顔12がキャラクタ30の顔32となった姿を見ることになる。これにより、入場者10は、自分がキャラクタ30に変身したように感じる。
【0033】
また、サーバ40は、
図2のステップS105で投影データを生成して投影装置26に送信する。投影データの生成は、以下のように行う。
【0034】
サーバ40は、カメラ22が撮像した画像23から施設82の床84の上の入場者10の影の領域を抽出する。そして、サーバ40は、データベース46から入場者10の選択したキャラクタ30の画像データを取得し、その画像データに基づいて、入場者10の影をぴったりと覆うような影34を床84に投影させる投影データを生成する。そして、生成した投影データを投影装置26に送信する。
【0035】
図2のステップS106で、投影装置26は、サーバ40から受信した投影データに基づいて入場者10の影の位置に合わせて影34を床84の上に投影する。例えば、投影装置26は、影34の周囲を明るくするようにして、床84の上に影34が見えるようにしてもよい。
【0036】
先に説明したように、表示装置24によってミラー装置20には、入場者10の顔12がキャラクタ30の顔32となった姿が表示されている。また、入場者10の足元の床84には、キャラクタ30の影34が投影されている。これにより、入場者10は、自分がキャラクタ30に変身したように感じ、キャラクタ30との一体感を感じてテーマパーク80がより楽しいと感じる。これにより、入場者10のリピート率を向上させることができる。
【0037】
キャラクタ30が登場する映画では、キャラクタ30が次第に成長していく状況が描かれている場合がある。その場合、入場者10がテーマパーク80の中を歩きまわるにつれて、表示データの中のキャラクタ30の画像をキャラクタ30が成長した画像に変化させるようにしてもよい。例えば、入場者10がテーマパーク80に入った直後は、表示データを生成する際に入場者10の顔12をキャラクタ30の子供の時の子供キャラクタ35の顔37に置換する。そして、入場者10が歩き回るにつれて入場者10の顔12を大人のキャラクタ30の顔32に置換するようにしてもよい。
【0038】
このように、キャラクタ30の画像をキャラクタ30が成長した画像に変化させる場合には、投影データを生成する際に、キャラクタ30の成長に合わせた影34を投影するように投影データを変化させてもよい。例えば、表示データを生成する際に入場者10の顔12を子供キャラクタ35の顔37に置換する場合には、子供キャラクタ35に対応するように、影34の長さが短くなるように投影データを生成してもよい。
【0039】
これにより、入場者10にキャラクタ30との一体感を感じさせ、テーマパーク80を楽しく感じさせてリピート率を向上させることができる。
【0040】
以上の説明では、サーバ40は、入場者10の顔12をキャラクタ30の顔32に置換して表示データを生成することとして説明したが、これに限らない。例えば、顔12と髪をキャラクタ30の顔32と髪に置換してもよいし、これに加えて胴体を置換するようにしてもよい。
【0041】
また、キャラクタ30が成長していく状況に合わせて、キャラクタ30の服装を変化させてもよいし、キャラクタ30の持っている武器等を変化させるようにしてもよい。
【0042】
以上の説明では、画像表示システム100は、投影装置26を備えることとして説明したが、投影装置26を備えていなくてもよい。
【0043】
また、表示装置24は、サーバ40が生成した表示データをミラー装置20の後方の面に投影して表示する画像投影機として説明したがこれに限らない。例えば、ミラー装置20を鏡型のディスプレイで構成し、
図4に示す表示画像25を表示させるようにしてもよい。
【0044】
また、ミラー装置20は、通常は鏡として機能して前方からの光を反射し、後方に配置された表示装置24から投影された際には、画像がミラー装置20を透過して、ミラー装置20の前方に放射されるとして説明したがこれに限らない。例えば、反射機能を持つウィンドウのようなものでもよい。反射機能を持つウィンドウは、通常は光の少なくとも一部が透過してウィンドウとして機能すると共に一部の光を反射して自分の姿が映り、後方に配置された表示装置24から画像が投影された際には、画像がウィンドウを透過して前方に放射されるように構成されたものでもよい。これにより、画像がキャラクタ30の顔画像の場合、入場者10が反射機能を持つウィンドウに映った自分の姿をのぞき込むと、表示装置24から投影されたキャラクタ30の顔画像がウィンドウを透過して前方に放射され、ウィンドウの中に自分の顔がキャラクタ30の顔となった姿を見ることになり、自分がキャラクタ30に変身したように感じることができる。
【0045】
以上、画像表示システム100をテーマパーク80に適用した場合について説明したが、画像表示システム100は、これ以外の所定エリアにも適用できる。例えば、映画館に適用し、上映中の映画のキャラクタを表示するようにしてもよい。また、イベント会場に適用し、開催されているイベントに登場するキャラクタを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 入場者、12,32,37 顔、14 携帯端末、20 ミラー装置、22 カメラ、23 画像、24 表示装置、25 表示画像、26 投影装置、30 キャラクタ、34 影、35 子供キャラクタ、40 サーバ、42 CPU、44 メモリ、46 データベース、50 通信回線、80 テーマパーク、82 施設、84 床、100 画像表示システム。