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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】閉塞装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020511334
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018072576
(87)【国際公開番号】W WO2019038293
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】62/547,966
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326368
【氏名又は名称】シーラス エンドバスキュラー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,スティーブン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0156734(US,A1)
【文献】特表2017-516605(JP,A)
【文献】特表2017-511202(JP,A)
【文献】特表2013-526950(JP,A)
【文献】特表2008-515468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 中央ピンチポイントと;
b. 弾性メッシュ本体であって、展開されたときに前記弾性メッシュ本体の両端部が前記中央ピンチポイントから遠位方向に外向きに延在するような高さを有するディスク形の弾性メッシュ本体と;
c. 前記中央ピンチポイントから(b)の前記弾性メッシュ本体の対向する側に近位方向に延在する圧縮性メッシュキャリッジであって、前記圧縮性メッシュキャリッジは前記キャリッジの各端部にピンチポイントを含み、及び前記キャリッジ端部のピンチポイントの一方は(a)の前記中央ピンチポイントである、圧縮性メッシュキャリッジと
を含む連続的なメッシュ構造を含む閉塞装置であって、
前記弾性メッシュ本体は、第1の送達形状及び第2のカップ状形態に内向きに窪む形状に拡張する展開形状を有し、及び前記弾性メッシュ本体の長さ(x)は、自由空気中及び前記展開形状において、前記圧縮性メッシュキャリッジの長さ(y)を上回る、閉塞装置。
【請求項2】
マーカーが、前記連続的なメッシュ構造の少なくとも1つのピンチポイントを取り囲む、請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項3】
前記連続的なメッシュ構造が、展開形状に拡張し、及び身体の管腔又は動脈瘤を満たす、請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項4】
前記連続的なメッシュ構造が、前記連続的なメッシュ構造内の開口面積が40%よりも高い粗いメッシュ密度を有する、請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項5】
前記閉塞装置の前記弾性メッシュ本体が単一メッシュ層である、請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項6】
前記閉塞装置の前記弾性メッシュ本体が二重メッシュ層である、請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項7】
動脈瘤の治療及び/又は改善用のキットであって;
a. 請求項1に記載の閉塞装置と;
b. 前記閉塞装置に対応する送達システム又は切離しシステムと
を含む、キット。
【請求項8】
前記送達システムが、マイクロカテーテル、カテーテル、ガイドワイヤ、又はプッシャーワイヤである、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記切離しシステムが電解切離しシステムである、請求項7に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月21日出願の米国仮特許出願第62/547,966号の優先権を主張する。本明細書及び上記で参照した出願で引用する全ての文書及び参考文献を、参照することにより本書に援用する。
【0002】
本明細書で開示する閉塞装置は、概して、閉塞装置及び/又は閉塞装置システム及び/又は植込み可能な閉塞装置の分野、及び血管の閉塞及び/又は動脈瘤の治療及び/又は改善のための、及び/又は、例えば、末梢動脈又は静脈病状、及び/又はその治療のために血管閉塞を必要とするいずれかの関連病変の治療及び/又は改善における、末梢血管塞栓術(当該技術分野で周知のプロセスであり、特定の血管部位の遠位の血流の遮断を伴うことが知られているプロセス)のための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
改良型閉塞装置及び/又は動脈瘤を治療及び/又は改善するためのシステムの開発に対して著しい需要がある。この見解は、現在、動脈瘤の末梢血管塞栓術の治療分野における大量且つ多岐にわたる閉塞装置及び/又はシステムによって支持されている。しかしながら、うっ血を生じさせるためのより大きな血流の停滞及び区画化を達成するように設計された及び/又はより大きな及び/又はより不規則な形状の動脈瘤を閉塞するように設計された、展開可能な材料から構成された閉塞装置によって、特に神経血管系動脈瘤(neurovascular aneurysms)に関する動脈瘤の治療及び/又は改善をもたらすためには、まだ満たされていないニーズがある。
【0004】
血液の圧力によって動脈の拡張部分が薄く引き伸ばされると、動脈瘤が形成されることがよく知られている。動脈の脆弱な部分が膨らみ、すなわちバルーン状部位を形成し、これが、漏れ及び/又は破裂のリスクとなる。神経血管系動脈瘤が破裂すると、脳を取り囲む区画であるくも膜下腔への出血を引き起こし、くも膜下出血を引き起こす。破裂した神経血管系動脈瘤からのくも膜下出血は、出血性脳卒中、脳損傷、及び死に至り得る。神経血管系動脈瘤の全患者の約25パーセントがくも膜下出血を起こす。神経血管系動脈瘤は、人口の2~5パーセントで発生し、男性よりも女性でよく発生する。現在米国で生活している1800万人もの人が、生涯の間に神経血管系動脈瘤を発症すると推定される。毎年、米国でのくも膜下出血の発生は30,000人を上回っている。これらの患者の10~15パーセントが、病院に到着する前に亡くなっており、及び50パーセント超が、破裂後30日以内に亡くなっている。生き残った人のうち、約半数は、何らかの永久的な神経学的欠損を負う。
【0005】
喫煙、高血圧、外傷性脳損傷、アルコール依存症、ホルモン避妊法の使用、脳動脈瘤の家族歴、及び他の遺伝性疾患、例えばエーラス・ダンロス症候群(EDS)、多嚢胞性腎疾患、及びマルファン症候群が、神経血管系動脈瘤に寄与する可能性がある。
【0006】
ほとんどの未破裂動脈瘤は無症状である。未破裂動脈瘤のある人の一部には、以下の兆候のうちのいくつか又は全てがある:周辺視野欠損、思考又は処理の問題、言語合併症(speech complications)、認識問題、突然の態度の変化、平衡感覚障害及び協調運動障害、集中力の低下、短期記憶障害、及び疲労。破裂性神経血管系動脈瘤の症状は、吐気及び嘔吐、首筋の凝り(stiff neck)又は首の痛み、かすみ目又は複視、眼の上及び後ろ側の痛み、瞳孔散大、光に対する過敏症、及び感覚消失を含む。ときには、「これまでの人生の中で最悪の頭痛」と説明する患者は、破裂性神経血管
系動脈瘤の症状のうちの1つを経験している。
【0007】
ほとんどの動脈瘤は、破裂が起こるまで検出されないままである。しかしながら、動脈瘤は、定期健診や他の健康問題の診断の際に発見されることがある。破裂性脳動脈瘤の診断は、一般に、CTスキャン(コンピューター断層撮影)でくも膜下出血の兆候を見つけ出すことによってなされる。CTスキャンは陰性であるが、依然として破裂性動脈瘤が疑われる場合、腰椎穿刺が実施されて、脳及び脊髄を取り囲む脳脊髄液(CSF)中の血液を検出する。
【0008】
動脈瘤の正確な場所、サイズ、及び形状を決定するために、神経放射線科医は、脳血管造影法又は断層撮影血管造影法のいずれかを使用する。伝統的な方法である脳血管造影法は、(通常脚の)動脈にカテーテルを導入し、且つカテーテルを、体の血管を通して、動脈瘤のある動脈へと操縦することを含む。造影剤と呼ばれる特殊な染料が患者の動脈へ注入され、及びその分布をX線投影で表示する。この方法は、重なり合っている構造又は痙攣に起因して、いくつかの動脈瘤を検出しない可能性がある。
【0009】
コンピュータ断層撮影血管造影法(CTA)は、伝統的な方法に代わるものであり、及び動脈カテーテル処置の必要なく、実施され得る。この試験は、造影剤を静脈に注入する正規のCTスキャンと組み合わせる。ひとたび造影剤を静脈に注入したら、造影剤は脳動脈へ移動し、及びCTスキャンを使用して画像が生成される。これらの画像は、どのように血液が脳動脈内を流れているかを正確に表示する。新しい診断法は、古典的且つ従来の診断検査を低侵襲の画像化で補足し、おそらくは、動脈瘤病変に関するより正確な3次元の解剖学的情報を提供することを約束する。より良好な画像化は、改良型の最小侵襲治療法の開発と組み合わせて、より多くの無症状の動脈瘤を、問題が生じる前に、医師がどんどん検出して治療できるようにする。
【0010】
動脈瘤を治療するいくつかの方法の試みが、様々な成功度で行われてきている。例えば、開頭術は、血管外で動脈瘤の位置が突き止められて治療される処置である。このタイプの処置にはかなりの欠点がある。例えば、外科医が、動脈瘤に到達するために様々な組織を切断する必要があることによって、患者は動脈瘤の部位に大きな外傷を受ける。血管外での脳動脈瘤の治療では、例えば、外科医は、一般に、患者の頭蓋骨の一部分を取り除く必要があり、また、動脈瘤に到達するためには脳組織を傷つける必要がある。そのようなものとして、手術のせいで患者が癲癇を発症する可能性がある。
【0011】
動脈瘤の治療に使用される他の技術は、血管内で行われる。そのような技術は、一般に、動脈瘤嚢内に塊(mass)を形成しようとすることを含む。一般に、マイクロカテーテルを使用して動脈瘤にアクセスする。マイクロカテーテルの遠位先端部が動脈瘤嚢内に置かれて、マイクロカテーテルが、動脈瘤嚢内へ塞栓性物質を注入するために使用される。塞栓性物質は、例えば、離脱式コイル、又は液体ポリマーなどの塞栓剤を含む。これらのタイプの塞栓性物質の注入には欠点があり、そのほとんどは、動脈瘤から親動脈へ塞栓性物質が移動することに関連する。これは、親動脈の永久的且つ不可逆的な閉塞を引き起こし得る。
【0012】
例えば、明確な頸領域のない動脈瘤を閉塞するために離脱式コイルを使用するとき、離脱式コイルは、動脈瘤嚢から親動脈内へ移動し得る。さらに、ときには、離脱式コイルが展開されるとき動脈瘤嚢をどの程度満たしているかを正確に判断することが困難である。それゆえ、動脈瘤に詰めすぎるリスクがあり、その場合、離脱式コイルはまた、親動脈へあふれ出る。
【0013】
離脱式コイルの別の欠点は、時間が経つにつれてコイルが圧縮することを含む。動脈瘤
に詰めた後すなわち動脈瘤を満たした後、コイル間には空間が残る。血液循環に起因する継続的な血流力が、コイルの塊を圧縮させるように作用し、動脈瘤頸部に腔を生じさせる。それゆえ、動脈瘤は再疎通し得る。
【0014】
塞栓剤の移動も問題である。例えば、液体ポリマーが動脈瘤嚢に注入される場合、液体ポリマーは、システムの血行力学に起因して動脈瘤嚢から移動し得る。これはまた、親血管の不可逆的な閉塞につながり得る。
【0015】
複数の技術の試みが、親血管への塞栓性物質の移動に関連する欠点に取り組むために行われてきている。そのような技術は、限定するものではないが、一時的な血流の停止(temporary flow arrest)及び親血管閉塞を含み、及び典型的には、動脈瘤の近位の親血管を一時的に閉塞して、血栓塊が動脈瘤嚢に形成されるまで親血管で血流が発生しないようにすることを含む。理論上は、これは、動脈瘤嚢から塞栓性物質が移動する傾向を低下させるのを支援する。しかしながら、血液の通常の溶解(lysis)によって血栓塊が溶解(dissolve)し得ることが分かっている。また、場合によっては、一時的とはいっても親血管を閉塞することは、患者のリスク/利益の観点から非常に望ましくない。それゆえ、この技術は、ときには、治療オプションとして利用可能ではない。さらに、現在では、親血管を閉塞しても、親血管への全ての塞栓性物質の移動を防止できないかもしれないことが分かっている。
【0016】
動脈瘤を治療するための別の血管内技術は、マイクロカテーテルを使用して動脈瘤嚢に離脱式バルーンを挿入することを含む。その後、離脱式バルーンは、食塩水及び/又は造影流体(contrast fluid)を使用して膨張される。そのため、バルーンは、マイクロカテーテルから切り離され、及び動脈瘤嚢を満たすように動脈瘤嚢内に残される。しかしながら、離脱式バルーンにも欠点があり、そのようなものとして、この実施は、コイル又は他のタイプの閉塞装置を展開する現在の術式によって取って代わられたも同然である。例えば、離脱式バルーンは、膨張したとき、一般に、動脈瘤嚢の内部形状に一致しないであろう。それどころか、離脱式バルーンは、動脈瘤嚢が離脱式バルーンの外面に一致するように要求する。それゆえ、離脱式バルーンが動脈瘤嚢を破裂させるリスクが増加する。さらに、離脱式バルーンが破裂して、動脈瘤から移動し得る。
【0017】
動脈瘤を治療するための別の血管内技術は、2つの可膨張式ローブ及びウェスト部、又は可膨張式本体部分、ネック部分、及びベース部分を有する閉塞装置を含む。
【0018】
動脈瘤を治療するためのさらに別の血管内技術は、動脈瘤嚢内の空間を満たす及び/又はそこで半径方向に拡張するように設計された本体部分を有する、嚢内(intrasaccular)植込み用の閉塞装置を含む。
【0019】
さらに他の血管内技術は、共同所有された係属中の出願、米国特許出願第14/699,188号明細書及び米国特許出願第15/372,128号明細書に開示されており、それら全体を参照により本書に援用する。
【0020】
現在の多くの閉塞装置は、大きな動脈瘤の治療用に、又は、例えば、口の広い-及び狭い-動脈瘤、側壁部及び分岐状動脈瘤を含む、不規則な形状及びサイズの動脈瘤用には設計されていない。現在の多くの閉塞装置は、編組又は織りのメッシュ設計から構成され、及びそのような設計は、大きくて不規則な形状の動脈瘤用に再構成される場合、一般に、材料を使いすぎる。これは、送達カテーテル又は他の送達ルーメンの壁に対して過度の摩擦を生じることなく、送達されて展開されるような、十分に小さい、制約された低プロファイルすなわち薄型の送達形態に潰れるのを困難にする。これらの装置の純粋なかさ高性(sheer bulkiness)は、それら装置を頭蓋内送達に不便又は不適切にす
る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
それゆえ、本明細書で開示する閉塞装置が、超圧縮可能(super compactable)な連続的なメッシュベースの完全に回収可能で展開可能な材料を使用することにより、動脈瘤及び/又は身体の管腔、特に大きくて不規則なサイズの神経血管系動脈瘤の治療及び/又は改善を提供するため、本明細書で開示する閉塞装置は、血管閉塞装置の分野に革新的改良及びいくつかの利点を提供する。本明細書で開示する閉塞装置は、中央ピンチポイント又はマーカーの対向する両側に、不均衡な(disproportionate)メッシュ本体を含む連続的な形態に関する。ピンチポイント又はマーカーの一方の側には、カップの様に内向きに窪んでいるディスク形のメッシュ本体がある。ピンチポイント又はマーカーの他方の対向する側には、メッシュのピンチポイントによって又はピンチポイントを囲むマーカーによって両軸端で画定される圧縮性メッシュのバスケット形のキャリッジがある。この新規の設計は、動脈瘤又は身体の管腔内でのより大きな血流の停滞及び区画化を達成し、及び特に、より大きく且つより不規則な形状の動脈瘤を閉塞するために、うっ血を増加させる。
【0022】
本明細書及び関連の特許文献において引用された全ての文書及び参照文献を、本願明細書に援用する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明人は、血流の停滞、最終的にはうっ血を生じることによって、動脈瘤の治療及び/又は改善をもたらす、動脈瘤嚢に展開するための動脈瘤内閉塞装置を設計した。閉塞装置は、独自に、中央ピンチポイント又はマーカーの両側に不均衡なメッシュ本体を有する連続的なメッシュ形態を含み、動脈瘤内に、血流の停滞、血栓の確立、及び/又は細胞増殖用のフレームワークのための連続的な3次元メッシュネットワークを提供する。そのような植込み可能な閉塞装置は、血管閉塞の治療及び/又は末梢血管塞栓術にも使用される。
【0024】
本明細書では、(a)中央ピンチポイントを含む連続的なメッシュ構造と;(b)中央ピンチポイントから遠位方向に外向きに延在する、ディスク形の弾性メッシュ本体と;(c)中央ピンチポイントから(b)の弾性メッシュ本体の対向する側に遠位方向に延在する圧縮性メッシュキャリッジであって、圧縮性メッシュキャリッジはキャリッジの各端部にピンチポイントを含み、ピンチポイントの一方は(a)の中央ピンチポイントである、圧縮性メッシュキャリッジとを含む、閉塞装置であって;連続的なメッシュ構造は第1の送達形状及び第2の拡張可能な展開形状を有し、及び弾性メッシュ本体の長さ(x)は、自由空気中及び展開形状において、圧縮性メッシュキャリッジの長さ(y)を上回る、閉塞装置が開示される。
【0025】
一実施形態では、マーカーが、連続的なメッシュ構造の少なくとも1つのピンチポイントを取り囲む。さらなる実施形態では、マーカーは放射線不透過性である。さらなる実施形態では、メッシュキャリッジの遠位(非中央)端に配置されたマーカーが、閉塞装置を展開するための切離し接合部及び/又は閉塞装置を回収するための取り付け接合部である。なおもさらなる実施形態では、1つ又は複数のマーカーは剛性部材を含む、及び/又はマーカー(又は複数のマーカー)は、1つ又は複数の固体のリングである。
【0026】
別の実施形態では、連続的なメッシュ構造は展開形状へと拡張して、身体の管腔又は動脈瘤を満たす。
【0027】
一実施形態では、連続的なメッシュ構造は、閉塞装置の組織一体化(tissue integration)及び/又は安定化の向上のために粗いメッシュ密度を有する。
【0028】
別の実施形態では、閉塞装置の弾性メッシュ本体は単一メッシュ層である。
【0029】
別の実施形態では、閉塞装置の弾性メッシュ本体は、二重(dual又はdouble)メッシュ層である。さらに別の実施形態では、二重(dual)メッシュ層は、周方向に折り畳まれた単一メッシュ層を含む。
【0030】
別の実施形態では、連続的なメッシュ構造のメッシュキャリッジにおいて、1つ又は複数の同軸内側メッシュキャリッジを含む。さらなる実施形態では、1つ又は複数の同軸内側メッシュキャリッジは、その外側メッシュキャリッジとは異種材料である。さらなる実施形態では、同軸内側メッシュキャリッジは、2つ又は3つの同軸内側メッシュキャリッジである。別のさらなる実施形態では、1つ又は複数の同軸内側メッシュキャリッジは、その外側メッシュキャリッジとは異なるメッシュ密度である。
【0031】
別の実施形態では、連続的なメッシュ構造が超弾性材料から構成される。さらなる実施形態では、弾性メッシュ本体がニチノールから構成される。さらに別の実施形態では、弾性メッシュ本体がDFT白金コアニチノールから構成される。
【0032】
本明細書では、本明細書で開示する閉塞装置と、閉塞装置を展開するための送達手段とを含む、キットも開示される。
【0033】
本明細書では、本明細書で開示する閉塞装置を製造及び/又は送達及び/又は展開するための方法がさらに開示される。
【0034】
他の実施形態では、前段の閉塞装置は、前述又は後述の実施形態のいずれかを組み込んでもよい。
【0035】
本発明の概要は、特許請求の範囲を定義するものでも、本発明の範囲を何ら限定するものでもない。
【0036】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、ディスク形の弾性メッシュ本体の長さ(x)が、自由空気中では、圧縮性メッシュキャリッジの長さ(y)を上回ることを示す、本明細書で開示する閉塞装置の実施形態の断面図を示す。
図2図2は、ディスク形の弾性メッシュ本体の長さ(x)が、展開形状においては、圧縮性メッシュキャリッジの長さ(y)を上回ることを示す、動脈瘤内で展開された、本明細書で開示する閉塞装置の実施形態を示す。
図3図3は、ディスク形の弾性メッシュ本体の長さ(x)が、自由空気中では、圧縮性メッシュキャリッジの長さ(y)を上回ることを示す、本明細書で開示する閉塞装置の実施形態を示す。
図4図4は、本明細書で開示する閉塞装置の実施形態の送達を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、同様の要素に同じ参照符号が付されている図面及び記載に示されている。しかしながら、特定の実施形態が図面に示されているが、本発明を、開示される1つ又は複
数の特定の実施形態に限定することを意図するものではない。むしろ、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内に入る全ての修正、代替構成、及び等価物を網羅することが意図されている。そのようなものとして、図面は、説明に役立つものであり、限定的なものではない。
【0039】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本技術が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0040】
本明細書で開示する閉塞装置の例示的な実施形態は、図1~2に示されている。
【0041】
本明細書で開示する閉塞装置10において、「に対応する」という用語は、互いに対応する物の間に機能的及び/又は機械的な関係が存在することを意味する。例えば、閉塞装置送達システムは、閉塞装置にその展開に関して対応する(又は適合する)。
【0042】
本明細書で開示する閉塞装置10において、「閉塞装置」という用語は、限定するものではないが、「装置」又は「閉塞装置システム」又は「閉塞システム」又は「システム」又は「閉塞装置インプラント」又は「インプラント」又は「嚢内インプラント」又は「動脈瘤内(intra-aneurysmal)インプラント」等の用語を意味する及び/又は交換可能であり得る。
【0043】
閉塞装置送達システムは当該技術分野で周知であり、容易に利用可能である。例えば、そのような送達技術は、限定するものではないが、米国特許第4,991,602号明細書;同第5,067,489号明細書;同第6,833,003号明細書;米国特許出願公開第2006/0167494号明細書;及び同第2007/0288083号明細書において見出すことができ;それら明細書の各教示は本明細書に組み込まれる。本明細書で開示する閉塞装置において、任意のタイプの閉塞装置送達手段及び/又は送達システム及び/又は送達技術及び/又は送達機構及び/又は切離し(及び/又は取り付け)手段及び/又は切離しシステム及び/又は切離し技術及び/又は切離し機構が利用されてもよい、及び/又は、本明細書に開示される閉塞装置に(対応するように)適合するように修正されてもよい。例示的な閉塞装置送達機構及び/又はシステムは、限定するものではないが、ガイドワイヤ、プッシャーワイヤ、カテーテル、マイクロカテーテル等が含まれる。例示的な閉塞装置切離し機構は、限定するものではないが、流体圧、電解機構、流体圧機構、インターロック機構等が含まれる。一実施形態では、本明細書で開示する閉塞装置は、電解切離しの方法で使用される。電解切離しは、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,122,136号明細書;同第5,423,829号明細書;同第5,624,449号明細書;同第5,891,128号明細書;同第6,123,714号明細書;同第6,589,230号明細書;及び同第6,620,152号明細書において見出すことができる。
【0044】
本明細書で開示する閉塞装置10は、中央ピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカー50の対向する両側に不均衡なメッシュ構造を含む連続的なメッシュ形態に関する。ピンチポイント又はマーカーの一方の側には、カップの様に内向きに窪んでいるディスク形のメッシュ本体20がある。メッシュ本体20のディスク形の拡張は、本体が、中央ピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカー50以外のピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカーを有していないためである。それゆえ、本体の両端部を球形の物に一致させるピンチポイント又はマーカーはなく、むしろ、ディスク形の本体20の両端部は、遠位方向に外向きに延在して、突出しているメッシュ90を動脈瘤70のドーム(dome)に並置できるようにし、及びディスク形のメッシュ本体20がカップ状形態に内向きに窪むため、動脈瘤70の壁に効率的に一致する。中央ピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカー50から遠位方向に延在するディスク形の本体20に対向する側
には、メッシュのピンチポイントによって、又はピンチポイントを囲むマーカー50、60によって両軸端に画定された、圧縮性メッシュのバスケット形のキャリッジ30がある。
【0045】
図1~4は、中央ピンチポイント50と、中央ピンチポイント50から遠位方向に外向きに延在する弾性ディスク形のメッシュ本体20と、中央ピンチポイントから弾性ディスク形のメッシュ本体20の対向する側に遠位方向に延在する圧縮性メッシュキャリッジ30とを含む連続的なメッシュ構造を示す。圧縮性メッシュキャリッジ30は、キャリッジの各端部にピンチポイントを含み、ピンチポイントのうちの一方は、連続的なメッシュ構造全体の中央ピンチポイント50である。本明細書で開示する装置10は、第1の送達形状及び第2の拡張可能な展開形状を取ることができる、連続的なメッシュ構造を有する。図1は、本明細書で開示する装置10の一実施形態において、弾性メッシュ本体の長さ(x)140が、自由空気中で及び展開形状において、圧縮性メッシュキャリッジ30の長さ(y)150を上回っていることを示す。中央ピンチポイント50の両側にある、本明細書で開示する装置10の連続的なメッシュ構造及びその独特な不均衡なメッシュ下部構造が、図2及び図4の装置が展開形状にあるときを示すような、装置10の周囲でのより効果的な内皮化を促す。そのようなものとして、閉塞装置10の設計は、1つの連続的な3次元メッシュネットワークすなわち網状組織であり、これは、動脈瘤70又は身体の管腔内で展開されると、血流の停滞130、血栓120の確立、細胞増殖用のフレームワーク、及び/又は最終的にはうっ血80をもたらす。
【0046】
特許請求する発明では、「キャリッジ」30は、メッシュのピンチポイント又はメッシュのマーカーで囲まれたピンチポイント50、60間のメッシュの軸方向セグメントであり、これにより、メッシュを、膨らんでいるがまだ圧縮されているバスケット形110の状態で、拡張させる。「ピンチポイント」は、メッシュの軸方向セグメントの両端部に位置していて、それら端部を画定する。そのようなセグメント化されたメッシュキャリッジ30及びピンチポイントは、連続的なメッシュ構造又はネットワーク内にあるように構成される。「ピンチポイント」は、孤立点において隣接するキャリッジ30の動きを制限し、それによりキャリッジ30を安定させるように機能する、メッシュ構造上の、束縛されて集められた箇所である。本明細書で開示する装置10の連続的なメッシュ構造の一実施形態では、これらピンチポイントは、連続的なメッシュ構造全体に関して中央50に位置しているキャリッジ30の一方の軸端に位置した1つのピンチポイントから遠位方向に延在するディスク形のメッシュ本体20に対してキャリッジ30を安定させる。さらなる一実施形態では、連続的なメッシュ構造は、2つ以上のメッシュキャリッジ30を含む。キャリッジ30の数(n)は、臨床的及び実際的にできるだけ多く、及び大きい及び/又は不規則なサイズの動脈瘤70を治療するために、及び約150センチメートル(cm)のカテーテル(又はマイクロカテーテル)を通して送達するために、公知の診断技術に従って前もって臨床医によって決定される。各キャリッジ30の軸方向長さ(l)は、キャリッジ30がその元の幅を上回る寸法(又は幅)まで拡張及び圧縮できるようにするのに十分な長さ(l)である限り、所与のサイズの動脈瘤70を閉塞するのに適切であるとみなされるキャリッジ30の数(n)に依存して変化し得る。当該技術分野で受け入れられているように、そのような閉塞装置10の直径は自由空気中で測定される。各キャリッジ30の幅(w)の範囲は、臨床的に現実的であるように、(自由空気中)約2ミリメートル(mm)~約50mmである。展開されると、キャリッジ30は、幅(w)が約2倍まで大きくなる又は拡張するように、圧縮して、キャリッジ30の寸法(w)が、約2×w(すなわち2w)まで大きくなることができるようにする。換言すると、各キャリッジ30は、マシュマロのように圧縮し、その長さ(l)を短くし、及びその幅(w)を拡張させる。一実施形態では、自由空気中、各キャリッジ30は、長さ(l)がその幅(w)以上になるが、展開(圧縮)形状ではwがlを上回るように、設計され得る。圧縮性キャリッジ30を含むそのような閉塞装置10は、治療される動脈瘤70又は身体の管腔の広範な
サイズ及び形状に適応するために、キャリッジ30の数(n)並びに各キャリッジ30の長さ(l)及び対応する幅(w)を選択するように、異なる方法で構成され得る。そのようなものとして、別の実施形態では、自由空気中、キャリッジ30は、その長さ(l)がその幅(w)以下であり、且つ展開(圧縮)形状においてその幅(w)がlを上回ったままであるように、設計され得る。
【0047】
連続的なメッシュ構造のディスク形の弾性メッシュ本体20は、依然として連続的なメッシュ構造全体内の中央50に位置する、対向するキャリッジ30のピンチポイントから、遠位方向に延在する。一実施形態では、ディスク形のメッシュ本体20は、カップの様に内向きに窪む展開形状を有する。メッシュ本体20のディスク形の拡張は、本体20が、中央ピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカー50以外のピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカーを有していない結果である。それゆえ、本体の両端部を球又は閉鎖した膨らんだ形状に一致させるピンチポイント又はマーカーはなく、むしろ、ディスク形の本体20の両端部は、遠位方向に外向きに延在して、メッシュが低プロファイルで動脈瘤70のドームに並置され、且つディスク形のメッシュ本体20がカップ状形態に内向きに窪むため、効率的に動脈瘤70の壁に一致することができるようにする。
【0048】
本発明では、「低プロファイル」という用語は、ディスク形のメッシュ本体20の高さが、自由空気中、その幅の約10~20%であるため、その展開形状において、弾性メッシュ本体20が、動脈瘤70の壁に対して、同じ高さで、平坦状に置かれることを意味する。このようにして、本明細書で開示する装置10のディスク形の本体20は、動脈瘤ドームの空間に入って満たすように拡張し(動脈瘤内の空間の大部分に対して全体的に及び/又は部分的に)、且つ半径方向に拡張する及び/又は球形に拡張する、当該技術分野で容易に利用可能である典型的な閉塞装置よりも低い及び/又は薄い。一実施形態では、弾性ディスク形のメッシュ本体20の高さは、自由空気中、その幅の約12~18%である。別の実施形態では、ディスク形の弾性本体20の高さは、自由空気中、その幅の約14~16%である。別の実施形態では、弾性ディスク形のメッシュ本体20の高さは、自由空気中、その幅の約15%である。
【0049】
別の実施形態では、図3に示すように、低プロファイルのディスク形の本体20は、単一弾性メッシュ材料層である。別の実施形態では、図1に示すように、低プロファイルのディスク形の本体20は、二重(dual)(又は二重(double))弾性メッシュ材料層40である。そのようなものとして、弾性メッシュ本体は、動脈瘤70の壁の内面に一致させる能力を与え(動脈瘤の壁に対する、突出する本体90の対向する圧力によって)、それにより、動脈瘤70内に装置10を固定するための安定効果をもたらす(それにより、抗凝固療法の必要性を最小限にし、及び血管樹(vascular tree)のより奥まで流れて、卒中を引き起こし得る血餅塞栓形成のリスクを低減する)。そのような低プロファイル形態は、うっ血80、血餅120の形成及び/又は治癒及び/又は動脈瘤70の収縮を促し、これは、動脈瘤70のサイズ又は塊が患者に痛み又は他の副作用を引き起こしている場合に特に好都合である。さらに、そのような閉塞装置10は、特に動脈瘤の形状が完全に丸ではないことがよく知られ、一般的に受け入れられているので、広範な動脈瘤形態にわたる適合性にもよく適している。
【0050】
別の実施形態では、本明細書で開示する閉塞装置10の二重層40のディスク形の本体20は、周方向に折り畳まれ(周方向の折り目)、それゆえ、それ自体に折り返されるワイヤメッシュの形態である。二重40のすなわち折り返された層は、圧縮性キャリッジ30のメッシュピンチポイント又はピンチポイントを囲むマーカー50と連続的に交差する。装置10の不均衡な形態のメッシュの交差点は、圧縮キャリッジ30の一方の軸端及びディスク形のメッシュ本体20の近位中心部分を規定する中央ピンチポイント50に配置される。この中央ピンチポイント50は、閉塞装置10の連続的な構造全体のおよそ中心
部分である。理論に縛られたくはないが、この折り返されたすなわち二重ワイヤメッシュ材料層40は、動物実験では、装置10の急性血栓形成120の増進に寄与すると考えられている作用機構を誘発する。ワイヤストランドに起因する高表面積を有する二重(dual/double)層40間に少量の血餅を局在化させることは、うっ血80、並びに血栓120の核形成及び安定化を促すと考えられている。展開形状では、折り畳まれた二重層40を有するディスク形の本体20は、非展開の二重層閉塞装置と比較すると、より深さがあり、約15%の幅の変化を生じ、これは、ピンチポイント又はマーカー50、60に圧力が加えられるときの本体の直径の増大につながる。この幅の変化/直径の増大は、動脈瘤70の壁に沿って分配された、突出するメッシュ本体90に血液が圧力を加えるため、展開された装置10の効果的な固定を達成することに寄与する。そのような形態はまた、末梢動脈又は静脈の閉塞のために、装置10の突出する本体90を動脈瘤70の壁又は血管壁に十分に並置させる。動物実験に基づいて、そのようなディスク形の本体20は、十分なメッシュ密度を提供して、急性のうっ血80をもたらす。さらに、展開後のそのような本体形態を分析することに基づいて、ワイヤメッシュ/編組の分布は、比較的均一なままであることが知られている。
【0051】
本明細書で開示する閉塞装置の別の実施形態では、圧縮性の軸方向メッシュキャリッジ30は、同軸の内側メッシュキャリッジを含む。そのような同軸の内側メッシュキャリッジは、同軸の内側メッシュキャリッジのない軸方向メッシュキャリッジよりも大きな血流の停滞130及び区画化100を生じ、それにより、うっ血80の増強及び血栓120の安定化が誘発される。別の実施形態では、軸方向キャリッジ30及び同軸キャリッジ(又は複数のキャリッジ)は、異種金属メッシュから構成される。さらなる実施形態では、異種金属メッシュは、血栓120の発達をさらに高め得るガルバノ効果を生じる。別のさらなる実施形態では、異種金属メッシュは、一方のキャリッジでは、他方のキャリッジの金属と比べて放射線不透過性を有する1種の金属から構成され得るため、装置の視覚化を高める。そのような実施形態では、編組メッシュ密度は、軸方向外側キャリッジ30及び同軸の内側キャリッジにおいて同じでも又は異なることもでき、及び内側及び外側メッシュのワイヤは、異なる数のストランド及びワイヤ直径を有し得る。そのような1つ又は複数の同軸キャリッジは、軸方向外側キャリッジ30と比べて寸法が異なり得る。例えば、一実施形態では、1つ又は複数の同軸キャリッジの範囲は、内部に1つ又は複数の同軸キャリッジが含まれる軸方向外側キャリッジの寸法の約5%~約95%とし得る。
【0052】
一実施形態では、装置10は、限定するものではないが、ニチノール(NiTi)、コバルトクロム(CoCr)合金、ステンレス鋼、タングステンイリジウム合金又はそれらの組み合わせなど、容易に入手可能な材料の編組金属から構成される。例えば、連続的なメッシュ構造のメッシュは、最も臨床的に関連し且つ実用的な編組メッシュがわずか36の編組から144もの編組の範囲で、織られる。別の実施形態では、編組金属構成の織り方の角度によって、最も軟らかい圧縮性メッシュ設計を生じる。例えば、メッシュは、ワイヤ直径が約0.0075インチから約.005インチまでで、編組される。そのような閉塞装置10を使用する前に、臨床医又は医師は、容易に入手可能な診断技術を使用して、治療される動脈瘤70又は身体の管腔のサイズ及び形状を決定する。その後、医師又は臨床医は、治療される所与の動脈瘤70又は身体の管腔に対応する寸法を有する最適な閉塞装置を選択できる。
【0053】
「マーカー」50、60は、医療装置技術においてよく知られており、容易に入手可能である。いくつかの実施形態では、マーカー50、60は、金属材料、しばしば放射線不透過性材料からなり、及び本明細書で開示する閉塞装置10の連続的なメッシュ構造のメッシュのピンチポイントを取り囲むために、例えば、バンド形マーカー、リング形マーカー、チューブ形マーカー等の形状の形態を取る。或いは、マーカー50、60は、所与のピンチポイントに巻き付き、それゆえ取り囲むワイヤストランドからなり得る。一実施形
態では、各ピンチポイントを取り囲む1つ又は複数のマーカー50、60は、装置10がカテーテル(又はマイクロカテーテル)内に配置される箇所及び装置10がひとたび動脈瘤70又は身体の管腔内で展開されると配置される箇所に関する、X線下での位置基準を提供する。
【0054】
一実施形態では、リングなどのマーカー50、60は、連続的なメッシュ構造の圧縮性キャリッジ30の各軸端を規定するピンチポイントを取り囲む。そのようなものとして、本明細書で開示する閉塞装置10のマーカー50、60は、限定するものではないが、金、白金、ステンレス鋼、及び/又はこれらの組み合わせなどの材料から構成された、限定するものではないが固体のリング又はバンドなどの、実質的に固体のカラー又は剛性部材である。別の実施形態では、限定するものではないが、金、白金、白金/イリジウム合金、及び/又はこれらの組み合わせなどの放射線不透過性材料が使用され得る。そのようなマーカー50、60は、送達及び配置中の装置の位置的な視覚化を提供する。マーカー50、60は、キャリッジ30の各軸端でピンチポイントを取り囲んで、閉塞装置10に配置される。このようにして、キャリッジ30の遠位軸端に配置されたマーカーは、動脈瘤70の頸部の上方又はその内部に載置できる。マーカー50、60の硬度は、動脈瘤70内での装置10の安定性に一役買い、圧縮性メッシュキャリッジ30及び弾性ディスク形のメッシュ本体20を介した力の移動又は伝達を防止し、それにより装置10の誤配置又は偶発的な動きを防止する。マーカー50、60はまた、限定するものではないが、送達カテーテル又はガイドワイヤ及び/又はプッシャーワイヤ技術などの対応する送達手段と協働し且つそれから解放される/それに取り付けられるための接合部を備えて構成される。それはまた、本明細書に開示された装置10の完全な回収可能性を有利に提供する。
【0055】
別の実施形態では、実質的に固体のマーカー50、60は、送達、配置及び/又は展開中、X線透視検査下での閉塞装置10の視覚化を容易にする放射線不透過性材料(例えば、限定するものではないが、白金、金、白金/イリジウム合金、及び/又はそれらの組み合わせ)を含む。マーカー50、60は近位端及び遠位端を含む。本明細書に開示された閉塞装置10は、展開中に拡張すると圧縮性キャリッジ30の形状、直径、及び/又は曲率に影響を及ぼすように、マーカー50、60の使用を組み込むように構成されてもよい。さらに、マーカー50、60は、動脈瘤嚢70内での拡張/展開された閉塞装置10の適切な密着を保証するために、閉塞装置10の全体的なプロファイルに影響を及ぼすように様々な形状に設計されてもよい。
【0056】
理論に縛られたくはないが、不均衡なメッシュセグメントに分割された、連続的な圧縮性メッシュ構造のこの形態は、動物実験において、装置の急性血栓形成120を高めるのに寄与すると考えられている作用機構を誘発する。ワイヤストランドに起因する高表面積を有する、ディスク形の二重メッシュ層40とバスケット30の区画室との間に少量の血餅を局在化させることは、動脈瘤70内での血栓120の核形成及び安定化を促すとも考えられている。その展開形状における閉塞装置のこの区画化100は、動脈瘤70の頸部を横切って又はその内部に分配されたメッシュ構造に血液が圧力を加えるため、展開された装置10の有効な安定化又は固定特徴である。そのような形態はまた、末梢動脈又は静脈の閉塞のために、動脈瘤70の壁又は血管壁に対する圧縮性装置の十分な並置をもたらす。本明細書で開示する装置10は十分なメッシュ密度を提供して、急性のうっ血80をもたらし、及びワイヤメッシュ/編組の分布は、展開中、比較的均一なままである。
【0057】
本明細書で開示する閉塞装置の別の実施形態では、閉塞装置10は、限定するものではないが、72NiTiワイヤメッシュストランド編組形態又は72NiTiとCoCrワイヤメッシュストランド編組形態との組み合わせ等、ワイヤメッシュストランド又は編組が比較的均一に分布されて、構成される又は部分的に構成される。他の実施形態では、閉塞装置10は、36~144NiTiストランド編組形態の範囲のワイヤメッシュストラ
ンド又は編組を含む又は部分的に含む。
【0058】
本発明では、「メッシュ密度」という用語は、メッシュ装置の多孔度すなわち間隙率のレベル又は金属対開口面積の比を意味する。メッシュ密度は、メッシュの開口又は細孔の数及びサイズに関係し、及び開口又は細孔の開放状態が送達と展開との間で変化する状況において細孔が開く又は閉じる程度に関連する。一般的に、弾性メッシュ材料の高いメッシュ密度領域は、およそ約70%以上の金属面積と約60%以下の開口面積とを有する。
【0059】
一実施形態では、連続的なメッシュ構造は、閉塞装置の組織一体化及び/又は安定化の向上のために「粗いメッシュ密度」を有する又は部分的に有する。粗いメッシュ密度は、メッシュ内の開口面積が約40%よりも高い。粗いメッシュ密度は、メッシュ層の間隙率を表す1インチあたりのピック数(PPI)が通常は約40~80の低い数であることが知られている。PPIは、線形インチにおける編組材料の繰返し交差数である。高い繰返し(又はPPI)数、通常約100~180は、メッシュが密であるという指標である。より低い繰返し(又はPPI)数は、メッシュが多孔質である(粗い)という指標である。追加的な実施形態では、連続的なメッシュ構造は、限定するものではないが、ニチノールなどの超弾性材料から構成される又は部分的に構成される。さらに別の実施形態では、構造は、DFT白金コアニチノールから構成される又は部分的に構成される。他の実施形態では、構造がニチノールから部分的に構成され、及びDFT白金コアニチノールから部分的に構成されるとき。DFT白金コアニチノールは、展開及び植込み中の装置の視覚化を高めるために使用される。
【0060】
一実施形態では、図4に示すように、本明細書で開示する閉塞装置10は、動脈瘤70に隣接する動脈及び/又は血管又は身体の管腔を通して、本明細書で開示する閉塞装置10の電解送達及び/又は展開及び/又は切離しを介して、動脈瘤70又は管腔に送達される。米国特許第5,122,136号明細書に開示されているものなどの電解血管切離し手段及び方法が、当該技術分野でよく知られている。一実施形態では、カテーテル(又はマイクロカテーテル)のコイル巻きコアワイヤ(又はガイドワイヤ又はプッシャーワイヤ)が、マーカー60の内側で、本明細書で開示する閉塞装置10の最遠位端に取り付けられる。コイル巻きは、送達カテーテル又はマイクロカテーテル又はガイドワイヤの柔軟性又は剛性に影響を与えないように、一定直径(φ)を維持する。いくつかの実施形態では、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)熱収縮チューブが、コアワイヤのコイル巻き部分を包む。医療装置技術における数多くの容易に入手可能で周知の取り付け技術を用いて、コアワイヤの遠位端をマーカー60の内側に及び/又は閉塞装置10又はインプラントに取り付けることができる。このような取り付け技術には、限定するものではないが、接着剤、レーザー溶融、レーザータック(laser tack)、スポット、及び/又は連続溶接が含まれる。一実施形態では、接着剤を使用して、コアワイヤの遠位端をマーカー60の内側に取り付ける。さらなる実施形態では、接着剤剤は、熱又はUV(紫外線)放射の適用によって硬化又は硬くされるエポキシ材料である。なおもさらなる実施形態では、エポキシは、Epoxy Technology,Inc.(14 Fortune
Drive、Billerica、Mass)から入手可能なEPO-TEK(登録商標)353ND-4などの熱硬化性2液型エポキシである。そのような接着剤又はエポキシ材料は、マーカー60の内側にコアワイヤの接合部を封入し、その機械的安定性を高める。
【0061】
別の実施形態では、装置10の展開中及び/又は展開後に、コイル巻きコアワイヤは、本明細書に開示された閉塞装置10を、コアワイヤがマーカー60の基部で電解作用によって切断及び/又は溶解されるような方法で、コアワイヤ自体の電解切離し部位(又はゾーン)において切り離す。その後、このような作用は、治療されるべき動脈瘤70又は血管に閉塞装置10を解放及び/又は配置する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する閉塞装置10の圧縮性メッシュ構造は、動脈瘤70の凝固及び閉鎖を促進するために、塞栓性物質で満たすことができる。
【0063】
他の実施形態では、本明細書で開示する閉塞装置10は、コイリング技術、フレーミングコイル、塞栓剤、追加のマーカー、ポリマー、再吸収性ポリマー及び/又はそれらの組み合わせなどの補助要素及び/又は部材をさらに組み込んでもよい。
【0064】
閉塞装置の設計及び/又は製造のための弾性及び圧縮性メッシュ材料は、容易に入手可能であり、当業者に周知である。そのようなものとして、弾性及び圧縮性メッシュ材料は、限定するものではないが、ニッケルチタン(ニチノール又はNiTiとして公知)、ステンレス鋼、ポリマー、及び/又はこれらの組み合わせなどの多様な入手可能な材料にわたる。例示的に知られる医用ポリマーファミリーは、限定するものではないが、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリアセタール、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリカーボネート、ポリアミド、及び/又はそれらの組み合わせなどのポリマーが挙げられる。(例えば、J Polym
Sci B Polym Phys.著者原稿;PMC 2012 June 15に入手可能を参照)。
【0065】
1つの例示的な実施形態では、弾性及び圧縮性メッシュ材料は、限定するものではないが、ナイロン、ポリプロピレン又はポリエステルなどのポリマー材料の織りストランドから形成される。ポリマーストランドは、動脈瘤を治療する医師が脈管構造内での装置の位置をX線透視法で視覚化することを可能にする放射線不透過性材料で満たすことができる。放射線不透過性充填材は、好ましくは、三酸化ビスマス、タングステン、二酸化チタン又は硫酸バリウム、又はヨウ素などの放射線不透過性染料を含む。弾性及び圧縮性メッシュ材料は、放射線不透過性材料のストランドによって形成することができる。放射線不透過性ストランドは、充填されたポリマー材料を使用することなく、医師及び/又は放射線専門医がメッシュの位置をX線透視法で視覚化することを可能にする。このような放射線不透過性ストランドは、限定するものではないが、金、白金、白金/イリジウム合金、及び/又はそれらの組み合わせなどの材料で形成することができる。一実施形態では、弾性メッシュ材料は、10%~45%の白金コアNiTiから構成される。別の実施形態では、弾性メッシュ材料は、10%の白金コアNiTi、15%の白金コアNiTi、20%の白金コアNiTi、又は45%の白金コアNiTiから構成される。10%の白金コアNiTiの構造は、X線下で閉塞装置のゴースト像を提供するのに十分である。
【0066】
放射線不透過性コア及び非放射線不透過性外層又はケーシングを有する、そのように構成された組み合わせワイヤ又は複合ワイヤは、DFT(登録商標)(drawn-filled-tube)ワイヤ、ケーブル又はリボンとして容易に入手可能であり、医療機器及び金属技術において周知である。DFT(登録商標)ワイヤは、2種以上の材料の所望の物理的及び機械的属性を単一のワイヤに組み合わせるように構成された金属-金属複合材である。より放射線不透過性であるがより延性の高い材料をワイヤのコアに配置することにより、NiTi外層は、100%NiTiワイヤの同様の機械的特性を有する複合ワイヤを結果として提供することができる。DFT(登録商標)ワイヤは、Fort Wayne Metals Corp.(Fort Wayne、Ind.、U.S.A)から入手可能である。例えば、本願明細書に援用する、Biocompatible Wire,Schaffer,Advanced Materials & Processes,Oct 2002,pages 51-54と題するジャーナル記事も参照されたい。
【0067】
圧縮性メッシュ構造が放射線不透過性の金属ストランドで形成される場合、ストランド
はポリマーコーティング又は押出しによって被覆されてもよい。放射線不透過性のワイヤストランド上へのコーティング又は押出しは、X線透視による視覚化を提供するだけでなく、曲げ疲労に対するストランドの抵抗を増加させ、また、ストランドの潤滑性を増加させる可能性がある。一実施形態では、ポリマーコーティング又は押出しは、ヘパリンなどの凝固に抵抗する傾向がある薬剤でコーティング又は処理される。そのような凝固抵抗性コーティングは一般的に知られている。ポリマーコーティング又は押出しは、任意の好適な押出可能なポリマー、又はTeflon(登録商標)若しくはポリウレタンなど薄いコーティングで塗布することができる任意のポリマーとし得る。
【0068】
さらに別の実施形態では、圧縮性メッシュ構造のストランドは、金属及びポリマー編組ストランドの両方を使用して形成される。金属ストランドとポリマーストランドとを編組に組み合わせることにより、メッシュの柔軟性は変化する。このようなメッシュ部分を展開及び/又は潰すのに必要な力は、金属メッシュストランドのみを含むメッシュ部分に必要な力よりも、大幅に低減される。しかしながら、X線透視による視覚化のためのメッシュの放射線不透過特性は保持される。このような装置を形成する金属ストランドには、限定するものではないが、ステンレス鋼、金、白金、白金/イリジウム、ニチノール、及び/又はこれらの組み合わせが含まれる。装置を形成するポリマーストランドは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、Teflon(登録商標)、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。さらに、メッシュ材料のポリマーストランドは、限定するものではないが、ポリマーストランドへの金の堆積を用いることによって、又はポリマーストランドへの好適な金属イオンのイオンビームプラズマ堆積を用いることによってなど、公知の技術でそれらを放射線不透過性にするために化学的に修飾することができる。
【0069】
圧縮性メッシュ構造は、様々な直径及び/又は様々な柔軟性のフィラメント又はストランドで形成することもできる。例えば、本明細書で開示する閉塞装置において使用するためのワイヤ直径の範囲は、約0.0075インチから約.005インチまでである。ポリマーストランドのサイズ又は柔軟性を変えることによって、展開時のメッシュの柔軟性特性を変えることもできる。柔軟性特性を変えることによって、弾性及び圧縮性メッシュ構造の展開(圧縮)された形態及び送達(束縛)形態の両方を、実質的に任意の所望の形状に変える又は変更することができる。
【0070】
メッシュは、ポリマーストランド又はフィラメント及び金属ストランド又はフィラメントの両方から形成できるだけでなく、異なるポリマー材料のフィラメントを用いて形成することもできる。例えば、異なる柔軟性特性を有する異なるポリマー材料をメッシュの形成に使用することができる。これにより、展開された位置と潰された位置の両方で、メッシュの本体の結果として得られる形態を変更するために柔軟性特性を変更する。そのような医用ポリマーは、当該技術分野において容易に知られ且つ入手可能であり、及び、限定するものではないが、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリアセタール、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、ポリラクチド、ポリカーボネート、ポリアミド及び/又はこれらの混合物などのポリマーファミリーに由来することができる。
【0071】
メッシュキャリッジ内で使用するのに好適な圧縮性メッシュ材料は、平らな織物シート、編みシート、又はレーザーカットワイヤメッシュの形態を取り得る。一般に、材料は2つ以上の実質的に平行なストランドの組を含み、1組の平行なストランドは他の組の平行なストランドに対して45度~135度のピッチすなわち傾斜度であるべきである。いくつかの実施形態では、メッシュ材料を形成する2組の平行なストランドは、互いに実質的に垂直である。メッシュ材料のピッチ及び全体的な構造は、閉塞装置10の性能ニーズを満たすように最適化されてもよい。
【0072】
本明細書で開示する閉塞装置10で使用される金属ファブリックのワイヤストランドは、弾性及び圧縮性であり、所望の形状に実質的に設定するために熱処理することができる材料で形成されるべきである。この目的に好適であると考えられる材料には、閉塞装置の分野でElgiloy(登録商標)と呼ばれるコバルトベースの低熱拡張合金、Haynes InternationalからHastelloy(登録商標)の商品名で市販されているニッケルベースの高温高強度の「超合金」、International NickelによってIncoloy(登録商標)の名称で販売されているニッケルベースの熱処理可能合金、及び複数の異なる等級のステンレス鋼が挙げられる。ワイヤに好適な材料を選択する際の重要な要因は、予め決められた熱処理にかけられたときに、ワイヤが、成形面(又は後述の形状記憶)によって誘発される適切な量の変形を保持することである。
【0073】
これらの適性を満たす1つのクラスの材料は、いわゆる形状記憶合金である。そのような合金は、材料の相の変化を誘発する、ある特定遷移温度を超えて材料を加熱することによって固定することができる好ましい形態を材料が有することを引き起こす温度誘発相変化を有する傾向がある。合金が冷却されると、合金は熱処理中の形状を「記憶」し、そうすることから制約されない限り、同じ及び/又は類似の形態を取る傾向がある。
【0074】
本明細書で開示する閉塞装置10で使用するための1つの特定の形状記憶合金は、ニッケルとチタンのほぼ化学量論的合金であり、所望の特性を達成するために他の少量の他の金属も含んでよい、ニチノールである。ニチノールなどのNiTi合金は、適切な組成及び取り扱い要件を含み、当該技術分野において周知であり、このような合金はここで詳細に説明する必要はない。例えば、米国特許第5,067,489号明細書及び同第4,991,602号明細書(それらの教示を本願明細書に援用する)は、ガイドワイヤに基づく技術における形状記憶NiTi合金の使用を考察している。このようなNiTi合金は、市販されており、他の公知の形状記憶合金よりもそのような合金を取り扱うことについてより知られているので、少なくとも部分的に好ましい。NiTi合金はまた非常に弾性である。実際、これらは、「超弾性」又は「擬弾性」として知られていると言われている。この弾力性は、本明細書で開示される閉塞装置10が、その展開のために前の拡張形態に戻るのに一役買う。
【0075】
ワイヤストランドは、選択された材料の標準モノフィラメントを含むことができる、すなわち、標準的なワイヤストックが使用され得る。いくつかの実施形態では、72のワイヤストランド及び/又は72のストランド編組形態を使用することができる。他の実施形態では、閉塞装置は、36~144のNiTiストランド編組形態の範囲のワイヤメッシュストランド又は編組を含む。しかし、要望があれば、個々のワイヤストランドは、複数の個々のワイヤから構成された「ケーブル」から形成されてもよい。例えば、いくつかのワイヤが中心ワイヤの周りに螺旋状に巻かれた金属ワイヤから形成されたケーブルが市販されており、及び外径が0.003インチ以下のNiTiケーブルを購入することができる。特定のケーブルの1つの利点は、それらが、同じ直径を有し且つ同じ材料から形成されたモノフィラメントワイヤよりも「軟らかい」傾向があることである。さらに、ケーブルの使用は、ワイヤストランドの有効表面積を増加させることができ、これは血栓形成120を促進する傾向がある。
【0076】
本明細書に開示される閉塞装置10は、血管又は身体の管腔又は動脈瘤70を満たす内皮細胞足場層又は区画室100のように機能して、それによって血流130を約60%低減させて血餅の形成及び/又は動脈瘤70の治癒及び/又は最終的にはうっ血80を引き起こすのに十分なメッシュ密度の連続的なメッシュ構造で構成される。本明細書で開示する閉塞装置10において、「メッシュ密度」という用語は、メッシュ構造の間隙率のレベル又は金属対開口面積の比を意味する。メッシュ密度は、メッシュの開口又は細孔の数及
びサイズに関係し、また、開口又は細孔の開放状態が送達と展開との間で変化する状況において細孔が開く又は閉じる程度に関連する。一般的に、弾性メッシュ材料の高いメッシュ密度領域は、大まかに言えば約40%以上の金属面積と約60%以下の開口面積とを有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、圧縮性メッシュ構造は、同じ材料から均一に形成されてもよいが、そのような材料は、異なる編み込み、縫合、編組、及び/又は切断構造を有してもよい。
【0078】
他の実施形態では、本明細書で開示する植込み可能な閉塞装置10は、例えば、末梢動脈又は静脈病状及び/又はその治療に血管閉塞を必要とするいずれかの関連病変の治療及び/又は改善において、末梢血管塞栓術(当該技術分野で周知のプロセスであり、及び特定の血管部位の遠位での血流130の遮断を含むことが知られている)のプロセスに使用することができる。
【0079】
本明細書で開示する本発明の閉塞装置10は、閉塞装置の分野の当業者に容易に明らかである合理的な設計パラメータ、特徴、修正、利点及び変形を組み込み得る。
【実施例
【0080】
本明細書で開示する閉塞装置10に関する研究プロトコル、及び動物の使用を正当とする理由は、ISIS ServicesにおいてInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって評価され、その承認を受け、及び手順は獣医の監督下で実施される。
【0081】
ウサギのエラスターゼ動脈瘤モデルが、広く受け入れられており、及び新規の神経インターベンション(neurointerventional)装置の試験に関して当該技術分野において承認されているモデルであり、及び人間の反応の有効性及び類似性に関するいくつかの臨床的な発表の主題であった(例えば、Altes et al.Creation of Saccular Aneurysms in the Rabbit:A Model Suitable for Testing Endovascular Devices.AJR 2000;174:349-354参照)。それゆえ、適切な試験モデルとして規制機関によって受け入れられやすい。モデルの凝固システムは、人間のものにかなり似ている。さらに、モデルには、ウサギの頭蓋外の頸動脈の直径が人間の頭蓋外の頸動脈の直径とかなり同様であるという、好都合な解剖学的側面がある。さらに、エラスターゼ誘発動脈瘤は、人間の動脈瘤と組織学的に同様にふるまうことが示されている。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。本明細書で開示する閉塞装置10の範囲及び趣旨から逸脱せずに、特許請求する装置の合理的な特徴、修正、利点、及び設計変形が、前述の詳細な説明及び実施形態に記載されるガイドラインに従うことによって、当業者に容易に明らかになる。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4