(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体装置、電子機器、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240109BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240109BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240109BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240109BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L23/02 F
H01L23/36 C
H01L21/60 301A
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2020538206
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2019025003
(87)【国際公開番号】W WO2020039733
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2018154708
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】波多野 正喜
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-021031(JP,A)
【文献】特開2017-139258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0041221(US,A1)
【文献】特開2014-179448(JP,A)
【文献】特開2003-303946(JP,A)
【文献】特開2012-195417(JP,A)
【文献】特開2007-165386(JP,A)
【文献】特開2007-049369(JP,A)
【文献】特開2006-339291(JP,A)
【文献】特開2006-303481(JP,A)
【文献】特開2005-101711(JP,A)
【文献】特開2008-277593(JP,A)
【文献】特開2007-104573(JP,A)
【文献】特開2005-184468(JP,A)
【文献】特開2000-244785(JP,A)
【文献】特開平05-183135(JP,A)
【文献】特開2005-072258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/02
H01L 23/36
H01L 21/60
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、
前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、
前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備え
、
前記基板部は、前記凹部の下部空間に対して上部空間の平面視外形を狭くする張出部を有し、
前記板状部材は、前記張出部に対して下側から固定されている
半導体装置。
【請求項2】
前記基板部は、
貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板と、
前記基板部の表面側を開口側とした凹陥部を有し、前記第1の基板に対して前記基板部の裏面側に設けられ、前記凹陥部により前記開口部とともに前記凹部を形成する第2の基板と、を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記板状部材および前記基板部の両方に接触した状態で設けられ、前記板状部材の熱を前記基板部に伝達させる熱伝導部を有する
請求項1
または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記熱伝導部は、前記板状部材と前記基板部との間の空間部分を埋めるように樹脂により形成された充填樹脂部である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子の表面と前記基板部の表面との間に設けられ、前記半導体素子と前記基板部とを電気的に接続する接続部材を備え、
前記半導体素子の表面は、前記半導体素子の板厚方向について、前記基板部の表面と同じ位置、または前記基板部の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子と前記基板部との間に設けられ、前記接続部材を被覆する樹脂部を備える
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、
前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、
前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備え
、
前記基板部は、前記凹部の下部空間に対して上部空間の平面視外形を狭くする張出部を有し、
前記板状部材は、前記張出部に対して下側から固定されている
半導体装置を備えた
電子機器。
【請求項8】
貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板に対し、前記第1の基板の裏面側に、前記開口部を覆うように板状部材を取り付ける工程と、
前記板状部材の前記開口部から臨む側の板面側に、半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子を固定する工程と、
前記第1の基板の裏面側に、表面側を開口側とした凹陥部を有する第2の基板を、前記凹陥部により前記開口部とともに前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部が形成されるとともに、前記板状部材の少なくとも裏面側において前記板状部材と前記凹部をなす面との間に隙間が形成されるように取り付ける工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程の後に、
前記半導体素子の表面と前記
第1の基板の表面との間に、前記半導体素子と前記
第1の基板とを電気的に接続する接続部材を設ける工程と、
前記半導体素子と前記
第1の基板との間に、前記接続部材を被覆する樹脂部を設ける工程と、を有し、
前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程により前記板状部材に固定した前記半導体素子の表面を、前記半導体素子の板厚方向について、前記
第1の基板の表面と同じ位置、または前記
第1の基板の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置させる
請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体装置、電子機器、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の一例として、固体撮像素子としてのイメージセンサを有する固体撮像装置がある。固体撮像装置には、例えばプラスチック等の有機材料やセラミックス等の材料により形成された基板上に、ダイボンド材等によりイメージセンサを直接接着した、いわゆるCOB(Chip On Board)構造を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
イメージセンサは、シリコン(Si)等の半導体基板の一方の板面側に複数の受光素子を形成したチップであり、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型やCCD(Charge Coupled Device)型のものがある。特許文献1には、基板上に固定されたイメージセンサ上に、中空部を介してガラス等からなる保護キャップを設けたパッケージ構造が開示されている。
【0004】
COB構造を備えた構成においては、イメージセンサ、ダイボンド材、および基板の部材間の線膨張係数の差等に起因し、センサチップであるイメージセンサの反りが発生したり、発生した反りが変動したりする問題がある。こうしたイメージセンサの反りやその変動は、固体撮像装置あるいはそれを備えた電子機器の組立て中の熱履歴や、組立て後の製品使用時における周辺環境の変化によって生じる。
【0005】
組立て中の熱履歴に関しては、例えば、固体撮像装置を基板に実装する際における接合用の半田を溶融するためのリフロー処理による加熱がある。また、組立て後の周辺環境の変化としては、製品の使用環境の温度・湿度の変動、これにともなうパッケージ構造における中空部の内圧の変動等がある。
【0006】
特に、基板がプラスチック等の有機材料により形成された有機基板である場合、シリコンチップであるイメージセンサと基板との線膨張係数の差が比較的大きくなり、イメージセンサの反りの問題が生じやすい。イメージセンサの反りおよびその変動は、固体撮像装置による画質を低下させる原因となる。
【0007】
そこで、イメージセンサの反りを低減するための技術として、次のような構成が提案されている。例えば、特許文献2に開示されているように、貫通孔をなすように枠状に構成された基板と、基板の下面側に貫通孔を覆うように設けられた金属板とを備え、金属板上にイメージセンサを配置した構成である。つまり、基板を枠状としてその底部をなすように金属板を基板に接合させ、基板の貫通孔内に位置するように、金属板上にイメージセンサを設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-76313号公報
【文献】特開2015-225892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
確かに、上述したように枠状の基板に対して金属板を介してイメージセンサを設けた従来の構成によれば、イメージセンサが基板に対して間接的に固定されることから、イメージセンサと基板との線膨張係数の差等に起因するイメージセンサの反りは抑えられると考えられる。しかしながら、かかる構成によれば、次のような問題がある。
【0010】
従来の構成によれば、基板の底面側が金属板により覆われていることから、外部端子を例えばパッケージ構造の側面等にしか設けることができず、外部端子の配設部位が制限されるという問題がある。また、パッケージ構造の裏面側となる基板の底面側に、コンデンサや抵抗やコネクタ等の周辺部品を実装できなくなるという問題がある。
【0011】
本技術の目的は、半導体素子としてのセンサチップの反りの発生や反りの変動を抑制することができるとともに、外部端子や周辺部品の配設部位が制限されることを防止することができる半導体装置、電子機器、および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術に係る半導体装置は、半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備えるものである。
【0013】
本技術に係る半導体装置の他の態様は、前記半導体装置において、前記基板部は、貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板と、前記基板部の表面側を開口側とした凹陥部を有し、前記第1の基板に対して前記基板部の裏面側に設けられ、前記凹陥部により前記開口部とともに前記凹部を形成する第2の基板と、を有するものである。
【0014】
本技術に係る半導体装置の他の態様は、前記半導体装置において、前記板状部材および前記基板部の両方に接触した状態で設けられ、前記板状部材の熱を前記基板部に伝達させる熱伝導部を有するものである。
【0015】
本技術に係る半導体装置の他の態様は、前記半導体装置において、前記熱伝導部は、前記板状部材と前記基板部との間の空間部分を埋めるように樹脂により形成された充填樹脂部であるものである。
【0016】
本技術に係る半導体装置の他の態様は、前記半導体装置において、前記半導体素子の表面と前記基板部の表面との間に設けられ、前記半導体素子と前記基板部とを電気的に接続する接続部材を備え、前記半導体素子の表面は、前記半導体素子の板厚方向について、前記基板部の表面と同じ位置、または前記基板部の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置するものである。
【0017】
本技術に係る半導体装置の他の態様は、前記半導体装置において、前記半導体素子と前記基板部との間に設けられ、前記接続部材を被覆する樹脂部を備えるものである。
【0018】
本技術に係る電子機器は、半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備える半導体装置を備えたものである。
【0019】
本技術に係る半導体装置の製造方法は、貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板に対し、前記第1の基板の裏面側に、前記開口部を覆うように板状部材を取り付ける工程と、前記板状部材の前記開口部から臨む側の板面側に、半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子を固定する工程と、前記第1の基板の裏面側に、表面側を開口側とした凹陥部を有する第2の基板を、前記凹陥部により前記開口部とともに前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部が形成されるとともに、前記板状部材の少なくとも裏面側において前記板状部材と前記凹部をなす面との間に隙間が形成されるように取り付ける工程と、を含むものである。
【0020】
本技術に係る半導体装置の製造方法の他の態様は、前記半導体装置の製造方法において、前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程の後に、前記半導体素子の表面と前記基板部の表面との間に、前記半導体素子と前記基板部とを電気的に接続する接続部材を設ける工程と、前記半導体素子と前記基板部との間に、前記接続部材を被覆する樹脂部を設ける工程と、を有し、前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程により前記板状部材に固定した前記半導体素子の表面を、前記半導体素子の板厚方向について、前記基板部の表面と同じ位置、または前記基板部の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の構成を示す側面断面図である。
【
図2】本技術の第1実施形態に係る基板部の構成を示す側面断面図である。
【
図3】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の基板部の構成およびイメージセンサの支持構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】本技術の第1実施形態に係るイメージセンサの支持構成を示す部分拡大側面断面図である。
【
図5】本技術の第1実施形態に係るイメージセンサの支持構成の他の例を示す部分拡大側面断面図である。
【
図6】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法についての説明図である。
【
図7】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法についての説明図である。
【
図8】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の変形例の構成を示す側面断面図である。
【
図9】本技術に対する比較例のイメージセンサの支持構成を示す部分拡大側面断面図である。
【
図10】本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置の構成を示す側面断面図である。
【
図11】本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置の変形例の構成を示す側面断面図である。
【
図12】本技術の実施形態に係る固体撮像装置を備えた電子機器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本技術は、基板部に対して板状部材を介して半導体素子を設けるに際し、基板部の構成や、基板部に対する板状部材の配置構成等を工夫することにより、半導体の反りの発生や反りの変動を抑制するとともに、基板部における外部端子や周辺部品の配設部位の自由度の維持ないし向上を図ろうとするものである。
【0023】
以下、図面を参照して、本技術を実施するための形態(以下「実施形態」と称する。)を説明する。なお、実施形態の説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態に係る固体撮像装置の構成例
2.第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法
3.第1実施形態に係る固体撮像装置の変形例
4.第2実施形態に係る固体撮像装置の構成例
5.第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法
6.第2実施形態に係る固体撮像装置の変形例
7.電子機器の構成例
【0024】
<
1.第1実施形態に係る固体撮像装置の構成例>
本技術の第1実施形態に係る半導体装置としての固体撮像装置1の構成例について、
図1から
図5を参照して説明する。
図1に示すように、固体撮像装置1は、半導体素子である固体撮像素子としてのイメージセンサ2と、凹部4が形成された基板部3と、基板部3に対してイメージセンサ2を支持する板状部材としての金属プレート5とを備える。また、固体撮像装置1は、基板部3上に設けられたフレーム部6と、フレーム部6上に支持された透光性部材としてのガラス7とを備える。
【0025】
基板部3は、一方の板面である表面3aと、その反対側の他方の板面である裏面3bとを有する。イメージセンサ2は、基板部3の凹部4内において、受光面を、基板部3の表面に臨ませた状態で設けられている。
【0026】
このような構成により、固体撮像装置1は、基板部3上にフレーム部6を介してガラス7をマウントし、イメージセンサ2とガラス7との間にキャビティ8を有するパッケージ構造を備えている。すなわち、イメージセンサ2の上方においてイメージセンサ2に対向するようにガラス7が設けられ、基板部3上において、フレーム部6とガラス7により形成された密閉空間であるキャビティ8が形成されている。
【0027】
イメージセンサ2は、半導体の一例であるシリコン(Si)により構成されたシリコン製の半導体基板を含み、半導体基板の一方の板面側(
図1において上側)を受光側とする。イメージセンサ2は、矩形板状のチップであり、受光側の板面を表面2aとし、その反対側の板面を裏面2bとする。本実施形態に係るイメージセンサ2は、CMOS型のイメージセンサである。つまり、固体撮像装置1は、CMOS固体撮像装置である。ただし、イメージセンサ2はCCD型のイメージセンサであってもよい。
【0028】
イメージセンサ2の大部分は、半導体基板により構成されており、表面2a側には、イメージセンサ素子が形成されている。すなわち、イメージセンサ2は、表面2a側において、受光部として、例えばベイヤ(Bayer)配列等の所定の配列で形成された多数の画素を含む受光領域である画素領域2cを有し、画素領域2cの周囲の領域を周辺領域とする。画素領域2cは、各画素における光電変換により信号電荷の生成、増幅、および読み出しを行う有効画素領域を含む。
【0029】
画素領域2cの画素は、光電変換機能を有する光電変換部としてのフォトダイオードと、複数の画素トランジスタとを有する。フォトダイオードは、イメージセンサ2の表面2a側から入射する光を受光する受光面を有し、その受光面に入射した光の光量(強度)に応じた量の信号電荷を生成する。複数の画素トランジスタは、例えば、フォトダイオードにより生成された信号電荷の増幅、転送、選択、およびリセットをそれぞれ受け持つMOSトランジスタを有する。なお、複数の画素に関しては、複数の単位画素を構成するフォトダイオードおよび転送トランジスタが、他の1つずつの画素トランジスタを共有して構成される共有画素構造のものであってもよい。
【0030】
イメージセンサ2の表面2a側においては、半導体基板に対して、酸化膜等からなる反射防止膜や、有機材料により形成された平坦化膜等を介して、カラーフィルタおよびオンチップレンズが各画素に対応して形成されている。オンチップレンズに入射した光が、カラーフィルタや平坦化膜等を介してフォトダイオードで受光される。
【0031】
イメージセンサ2の構成としては、例えば、半導体基板の表面側に画素領域2cを形成した表面照射型(Front Side Illumination)のものや、光の透過率を向上させるためにフォトダイオード等を逆に配置し半導体基板の裏面側を受光面側とした裏面照射型(Back Side Illumination)のものや、画素群の周辺回路を積層した1つのチップとしたもの等がある。ただし、本技術に係るイメージセンサ2は、これらの構成のものに限定されない。
【0032】
基板部3は、例えばプラスチック等の有機材料やセラミックス等の材料により形成されている。基板部3は、全体として矩形板状の外形を有し、イメージセンサ2の受光側である表面3a側に臨んで開口して表面3a側にイメージセンサ2を位置させる凹部4を有する。凹部4は、基板部3の矩形状の外形に沿うように平面視で矩形状かつ基板部3の板面に平行な扁平状の空間部分をなし、表面3aに開口するように形成されている。
【0033】
図2に示すように、凹部4は、基板部3内においてなす空間部分として、凹部4の略下半部である下空間部4aと、凹部4の略上半部であって平面視で下空間部4aより一回り小さい上空間部4bとを有する。つまり、凹部4において、凹部4の上側開口部を形成する上空間部4bの幅寸法A1は、下空間部4aの幅寸法A2よりも小さい。このように、凹部4は、下空間部4aと、下空間部4aよりも平面視外形の面積が狭い上空間部4bとにより、互いに平面視外形面積が異なる上下2段の空間部分により形成されている。
【0034】
このような凹部4が形成された基板部3は、凹部4の上空間部4bを形成する部分として、張出部11を有する。張出部11は、凹部4の上側開口部をなす部分であり、平面視形状の矩形状の4辺に沿って形成されており、下空間部4aに対して上空間部4bの平面視外形を狭くする。張出部11は、基板部3の表面3aの内側開口縁部を形成する上面11aと、上面11aの反対側の面である下面11bと、上面11aおよび下面11bに対して垂直状の面であって上空間部4bを形成する内側面11cとを有する。
【0035】
そして、凹部4の下空間部4aは、凹部4において基板部3の裏面3b等と平行状に形成された底面4dと、底面4dに対して垂直状をなす下部内側面4eと、張出部11の下面11bとにより形成された空間部分である。また、凹部4の上空間部4bは、張出部11が有する4つの内側面11cにより形成された空間部分である。
【0036】
金属プレート5は、金属材料により構成された矩形板状の部材である。金属プレート5は、一方の板面である上面5aと、他方の板面である下面5bと、平面視で矩形状の外形をなす4つの側面5cとを有する。金属プレート5の材料として使用される金属材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、Fe-Ni-Co合金、42アロイ、銅(Cu)、銅合金等が挙げられる。
【0037】
金属プレート5は、基板部3に固定された状態で凹部4内に位置し、上面5a側にイメージセンサ2を固定させている。金属プレート5は、その板面を、基板部3の表面3aおよび裏面3bに対して平行状とする向きで、凹部4内に設けられる。金属プレート5の板厚は、あくまでも一例であるが、イメージセンサ2の板厚が300~600μmの範囲内の所定の寸法である場合、100~200μmの範囲内の所定の寸法である。
【0038】
金属プレート5は、平面視外形の寸法について、凹部4の下空間部4aの平面視外形よりも一回り小さい寸法を有し、かつ、凹部4の上側開口部(上空間部4b)の平面視外形よりも一回り大きい寸法を有する。
図2に示す断面視において、金属プレート5の幅寸法A3は、対向する張出部11の内側面11cの面間寸法となる上空間部4bの幅寸法A1よりも大きく、かつ、対向する下部内側面4eの面間寸法となる下空間部4aの幅寸法A2よりも小さい。
【0039】
そして、金属プレート5は、その上面5aに固定させたイメージセンサ2の外側の領域部分となる上面5aの外周部を、基板部3の張出部11の下面11bに接触させた態様で、基板部3に固定されている。凹部4の開口面積よりも大きい金属プレート5は、張出部11の下側に位置し、平面視において、矩形状の外形をなす外縁を、凹部4の上空間部4bをなす張出部11の内側面11cよりも外側に位置させ、張出部11に対してオーバーラップした外縁部分を、張出部11に対して下側から固定させている。つまり、金属プレート5は、その矩形状の外形に沿う外縁部分を、基板部3に対する固定部分とし、張出部11により形成された開口部分を下側から塞ぐ態様で設けられている。
【0040】
金属プレート5は、例えば樹脂系の接着剤であるダイボンド材によって張出部11に接着固定されている。金属プレート5を基板部3に固定する接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤等が用いられる。ただし、基板部3に対する金属プレート5の固定方法は、特に限定されるものではなく、接着剤による固定以外の手段が用いられてもよい。
【0041】
このように張出部11に対して下側から固定されることで凹部4内に設けられた金属プレート5は、凹部4の下空間部4a内に位置する。金属プレート5は、基板部3に固定された状態において、基板部3の厚さ方向(上下方向)について、上面5aを張出部11の下面11bと同じ高さ位置に位置させ、上面5aを、凹部4の上側開口部から上側に臨ませる。このように凹部4から上側に臨む金属プレート5の上面5aが、イメージセンサ2の搭載面となる。
【0042】
イメージセンサ2は、凹部4の開口面積よりも一回り小さく、金属プレート5上に固定された状態において、矩形状の平面視外形に沿って、張出部11の内側面11cとの間に隙間12を形成している。つまり、イメージセンサ2の側面2dと張出部11の内側面11cとの間は離間しており、これらの面間に隙間12が形成されている。隙間12は、例えば、イメージセンサ2の全周にわたって略一定の間隔で形成されている。
【0043】
イメージセンサ2は、金属プレート5の上面5aに対して、例えば樹脂系の接着剤であるダイボンド材によりダイボンドされることで固定されている。イメージセンサ2は、例えば、金属プレート5に対して、平面方向についての中央位置が互いに一致する位置に設けられる。
【0044】
金属プレート5は、凹部4の下空間部4aの平面視外形よりも一回り小さく、基板部3に固定された状態において、矩形状の平面視外形に沿って、下空間部4aを形成する下部内側面4eとの間に側方隙間13を形成している。つまり、金属プレート5の側面5cと下部内側面4eとの間は離間しており、これらの面間に側方隙間13が形成されている。側方隙間13は、例えば、金属プレート5の全周にわたって略一定の間隔で形成されている。
【0045】
金属プレート5の厚さ寸法は、凹部4の下空間部4aの上下方向の寸法、つまり底面4dと下面11bとの間の面間寸法よりも小さい。このため、金属プレート5が張出部11の下面11bに固定された状態において、金属プレート5の下方には、下方隙間14が形成されている。つまり、下方隙間14は、金属プレート5の下面5bと凹部4の底面4dとの間の平面状(断面視スリット状)の間隙となる。したがって、
図4に示すように、下方隙間14の隙間寸法B1は、底面4dと下面11bとの間の面間寸法B2から金属プレート5の厚さ寸法B3を引いた寸法となる。
【0046】
このように、金属プレート5は、下面5b側において凹部4をなす面である底面4dに対して隙間(下方隙間14)を隔てて設けられている。本実施形態では、上述したように、金属プレート5と凹部4をなす面との間において、金属プレート5の側方に側方隙間13が存在する。
【0047】
したがって、金属プレート5と凹部4をなす面との間には、側方隙間13と下方隙間14とが連続した中空部15が形成されている。中空部15は、その空間形状として、下方隙間14の部分を底面部とし、側方隙間13の部分を側壁部とした扁平箱状の形状を有する。側方隙間13および下方隙間14の隙間寸法(スリット幅)は、あくまでも一例であるが、金属プレート5の板厚が100~200μmの範囲内の所定の寸法である場合、50~100μmの範囲内の所定の寸法である。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像装置1は、上面5aの外周部のみを張出部11に接着させることで基板部3に対して浮いた状態で設けられた金属プレート5を有し、この金属プレート5上にイメージセンサ2を上側に露出させた状態で搭載した構成を備える。なお、本実施形態では、金属プレート5の側方においても側方隙間13が形成されているが、金属プレート5は、少なくとも下面5b側において凹部4の底面4dに対して隙間を隔てて設けられていればよい。
【0049】
また、固体撮像装置1は、イメージセンサ2と基板部3とを電気的に接続する接続部材であるボンディングワイヤ18を備える。ボンディングワイヤ18は、例えばアーチ状等、上側に凸の湾曲形状ないし屈曲形状をなしながら、イメージセンサ2の表面2a(以下「センサ表面2a」とする。)と基板部3の表面3a(以下「基板表面3a」とする。)との間に跨るように設けられている。
【0050】
ボンディングワイヤ18は、例えばAu(金)またはCu(銅)からなる金属細線である。ボンディングワイヤ18は、イメージセンサ2の表面2aに形成されたパッド電極19と、基板表面3aに形成された図示せぬ電極とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ18は、パッド電極19の数に応じて複数設けられている。なお、パッド電極19は、外部に対する信号の送受信のための端子であり、例えばアルミニウム材料等により形成されている。
【0051】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1は、ボンディングワイヤ18を被覆する樹脂部である保護樹脂部20を備える。保護樹脂部20は、イメージセンサ2と基板部3との間において、隙間12を埋めるとともに、ボンディングワイヤ18の全体を被覆するように設けられている。
【0052】
保護樹脂部20は、ボンディングワイヤ18の上側に凸の湾曲形状ないし屈曲形状に対応して、ボンディングワイヤ18の全体を含むように隆起状に形成されている。したがって、
図3に示すように、保護樹脂部20は、その上部を形成する部分であってボンディングワイヤ18を被覆する膨出形状ないしドーム状の被覆部21と、保護樹脂部20の下部を形成する部分であって隙間12内に存在する埋設部22とを有する。埋設部22は、被覆部21の下側から下方に向けて突出した部分であり、金属プレート5の上面5aのイメージセンサ2の外側において側面2dと内側面11cとの間に介在している。
【0053】
保護樹脂部20の材料としては、例えばモールド材として用いられる樹脂材料が用いられる。具体的には、保護樹脂部20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂にケイ素酸化物を主成分としたフィラーを分散させたもの等が用いられる。
【0054】
保護樹脂部20の材料に関しては、ガラス7を透過した光が保護樹脂部20の表面で反射してイメージセンサ2の受光部に入射することによるフレアの発生を防止する観点から、光を吸収するような物性を有する樹脂材料であることが好ましい。また、保護樹脂部20の表面に梨地加工等のシボ加工を施すことも、フレアの発生を防止する点で有効である。
【0055】
フレーム部6は、金属材料により構成されたベースプレート部26と、樹脂材料により構成された支持フレーム部27とを有する。ベースプレート部26は、矩形枠状の部材であり、基板部3の平面視外形よりも大きい外形寸法を有する。ベースプレート部26の内側の開口部の外形寸法は、基板部3の平面視外形よりも小さい。
【0056】
フレーム部6は、エポキシ樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤等の接着剤により、基板表面3a上に固定される。フレーム部6は、基板表面3aの外周部分を支持面部として、ボンディングワイヤ18および保護樹脂部20に干渉することなく設けられる。
【0057】
枠状のベースプレート部26の外周側の部分は、基板部3から外側に庇状に張り出している。また、ベースプレート部26の内周側の部分は、基板表面3aにおける外周側の部分に位置している。ベースプレート部26の外周側の張出し部分には、固体撮像装置1を他の装置に実装したり固体撮像装置1が他の装置の組付けを受けたりするために用いられるボルト締結用の孔部26aが形成されている。
【0058】
支持フレーム部27は、ベースプレート部26の組付けを受けるベース支持部27aと、ベース支持部27aの上側に設けられガラス7を支持する部分である支持本体部27bとを有する。支持本体部27bは、基板表面3aに対して平行状に設けられた平板状の部分であり、中央部に貫通状の開口部27cを有する。開口部27cは、平面視で開口範囲内にイメージセンサ2の画素領域2cの全体を含む。支持本体部27bの上面部27dが、ガラス7を支持する部分となる。
【0059】
なお、フレーム部6の構成は、本実施形態に限定されない。フレーム部6としては、本実施形態のように金属製のベースプレート部26と樹脂製の支持フレーム部27とを有する複合構造のものではなく、例えば、全体的に金属製の部材により構成されたものや、全体的に樹脂製の部材により構成されたものであってもよい。
【0060】
ガラス7は、透明部材の一例であって、イメージセンサ2よりも大きい矩形板状の部材である。ガラス7は、フレーム部6の支持本体部27b上に設けられることで、イメージセンサ2の受光側において、イメージセンサ2に対して平行状にかつ所定の間隔を隔てて設けられている。ガラス7は、支持本体部27bに対して接着剤等により固定されている。
【0061】
ガラス7は、フレーム部6の支持本体部27bに対して、開口部27cの全体を上側から覆うように設けられている。したがって、ガラス7は、開口部27cの開口寸法よりも大きい外形寸法を有する。このように、ガラス7は、イメージセンサ2の上方において、開口部27cを介してセンサ表面2aに対向するように設けられている。
【0062】
ガラス7は、通常その上方に位置するレンズ等の光学系から入射する各種光を透過させ、キャビティ8を介してイメージセンサ2の受光面にその光を伝達する。ガラス7は、イメージセンサ2の受光面側を保護する機能を有するとともに、フレーム部6と相俟ってキャビティ8内への外部からの水分(水蒸気)やダスト等の侵入を遮断する機能を有する。なお、キャビティ8内は、イメージセンサ2上において、完全に外部から隔離・保護された空間部分となる。また、ガラス7の代わりに、例えば、プラスチック板、あるいは赤外光のみを透過するシリコン板等を用いることができる。
【0063】
以上のような構成を備えた固体撮像装置1においては、ガラス7を透過した光が、キャビティ8内を通って、イメージセンサ2の画素領域2cに配された各画素を構成する受光素子により受光されて検出される。
【0064】
次に、本実施形態に係る基板部3の構成について詳細に説明する。
図1から
図4に示すように、本実施形態に係る基板部3は、第1の基板である枠基板31と、第2の基板であるキャビティ基板32とを有し、これらの基板を分割要素として一体的に接合させた分割構造を有する。
【0065】
キャビティ基板32は、基板部3の裏面3bをなすとともに、基板表面3a側、つまり上側を開口側とした凹陥部33を有する。キャビティ基板32は、全体として矩形板状の外形に沿う形状を有し、上面32aに凹陥部33を有する。凹陥部33は、キャビティ基板32の外形に沿って平面視で矩形状をなす窪み部分である。
【0066】
このように、キャビティ基板32は、上側を開放側とした略扁平箱状の形状を有し、キャビティ基板32の上面32aは、平面視で矩形枠状の形状をなす平面となっている。キャビティ基板32の下面32bは、全体的に水平面状であり、基板部3の裏面3bとなる。
【0067】
キャビティ基板32は、基板部3の矩形状の平面視外形をなすとともに、基板部3の下部を構成する。したがって、キャビティ基板32の外側面32cは、基板部3の側面の下部を形成する。キャビティ基板32の板厚は、例えば基板部3全体の厚さの約2/3である。
【0068】
凹陥部33は、水平面状かつ矩形状の底面33aと、底面33aに対して垂直状の側壁面33bとを有する。凹陥部33の底面33aが、凹部4の底面4dとなり、凹陥部33の側壁面33bが、凹部4の下部内側面4eとなる。キャビティ基板32は、枠基板31に対して基板部3の裏面3b側、つまり下側に設けられ、凹陥部33により枠基板31の枠開口部34とともに基板部3の凹部4を形成する。
【0069】
キャビティ基板32は、例えば複数の層からなる積層構造であってもよい。キャビティ基板32は、例えば、
図2において符号C1-C1で示す位置を上下の分割位置とする分割要素により構成されたものであってもよい。この場合、キャビティ基板32は、下面32bおよび凹陥部33の底面33aをなす矩形板状の部分と、凹陥部33の側壁面33bをなす枠状の部分とが一体的に接合された構造となる。
【0070】
枠基板31は、貫通状の開口部である枠開口部34をなす枠状の形状を有する。したがって、枠基板31は、枠状をなす4つの辺部を有する。枠基板31は、キャビティ基板32の上面32a側に設けられ、凹陥部33とともに基板部3の凹部4をなす。
【0071】
枠基板31は、全体として矩形板状の外形に沿う形状を有し、平面視外形と同じ枠形状の上面31aおよび下面31bを有する。枠基板31の上面31aが、基板表面3aとなる。枠基板31は、枠状をなす4つの辺部により、矩形状の枠開口部34を形成している。
【0072】
枠基板31は、基板部3の矩形状の平面視外形をなすとともに、基板部3の上部を構成する。したがって、枠基板31の外側面31cは、基板部3の側面の上部を形成する。枠基板31の板厚は、例えば基板部3の全体の厚さの約1/3である。
【0073】
枠開口部34は、枠基板31の4つの辺部の内側面31dにより形成されている。内側面31dは、上面31aに対して垂直状の面である。枠基板31の内側面31dが、凹部4の上空間部4bを形成する張出部11の内側面11cとなる。すなわち、枠基板31は、枠開口部34の開口寸法を、キャビティ基板32の凹陥部33の開口寸法よりも一回り小さくし、内周縁部を張出部11としてキャビティ基板32の上面32aから内側に向けて庇状に張り出させている。そして、枠基板31は、枠開口部34により、キャビティ基板32の凹陥部33とともに基板部3の凹部4を形成する。
【0074】
枠基板31およびキャビティ基板32は、枠基板31の下面31bとキャビティ基板32の上面32aとを合わせ面として接合され、基板部3を構成する。枠基板31とキャビティ基板32とは、枠基板31の下面31bとキャビティ基板32の上面32aとの間に介装された導電シート35を介して電気的に接続されている。導電シート35は、例えば、キャビティ基板32の上面32aの形状に合致するように矩形枠状の形状を有する。
【0075】
導電シート35は、枠基板31とキャビティ基板32との間の電気的な接続を確保する。導電シート35は、例えば、ボンディングワイヤ18の他端側が接続された基板表面3a上の電極に対して枠基板31内に形成された配線等を介して電気的に接続されている。導電シート35は、枠基板31の下面31bに臨むように形成された電極端子(図示略)と、キャビティ基板32の上面32aに臨むように形成された電極36とを電気的に接続させる。
【0076】
また、基板部3の裏面3b側には、コンデンサや抵抗やコネクタ等の周辺部品37が配設されている。周辺部品37は、裏面3bから突出するように設けられている。周辺部品37としてのコネクタは、固体撮像装置1が実装される回路基板等に対する電気的な接続部となる。
【0077】
本実施形態に係る固体撮像装置1は、イメージセンサ2と基板部3との関係について、次のような構成を備える。すなわち、センサ表面2aは、イメージセンサ2の板厚方向、つまり上下方向について、基板表面3aよりも凹部4の底側、つまり下側の位置に位置する。
【0078】
具体的には、
図4に示すように、センサ表面2aが上下方向について基板表面3aよりも下側の位置に位置する構成においては、センサ表面2aの高さ位置が、基板表面3aの高さ位置に対して、ΔH低い位置に位置する。したがって、金属プレート5の上面5aを基準とし、イメージセンサ2の側面2dの高さは、張出部11の内側面11cの高さよりもΔH低くなっている。
【0079】
また、
図5に示すように、センサ表面2aが上下方向について基板表面3aと同じ位置に位置する構成であってもよい。このような構成においては、センサ表面2aと基板表面3aとが、所定の水平面に沿うように、共通の高さ位置H1上に位置する。したがって、イメージセンサ2の周囲において互いに対向して隙間12を形成するイメージセンサ2の側面2dと、張出部11の内側面11cとが、金属プレート5の上面5aを基準として同じ高さとなっている。
【0080】
<2.第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法>
本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法の一例について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0081】
まず、
図6Aに示すように、金属プレート5の貼付けが行われる。すなわち、枠基板31および金属プレート5が準備され、枠開口部34を有する枠基板31に対し、枠基板31の裏面側である下面31b側に、枠開口部34を覆うように金属プレート5を取り付ける工程が行われる。
【0082】
枠基板31に対する金属プレート5の取付けは、吸着ステージ40上で行われる。吸着ステージ40は、エア吸着等によって吸着作用を発揮する水平な吸着面41を有する。
【0083】
図6Aに示すように、吸着ステージ40に対し、枠基板31がその上面31a側を下側として吸着面41上における所定の位置に吸着作用によって固定された状態でセットされる。この吸着面41上の枠基板31に対し、金属プレート5が、枠基板31の下面31b側から、枠開口部34を塞ぐように、接着剤が用いられて貼付け固定される。
【0084】
次に、
図6Bに示すように、金属プレート5が固定された枠基板31を反転させる工程が行われる。つまり、金属プレート5側が吸着面41側となるように、金属プレート5が固定された枠基板31がひっくり返される。これにより、金属プレート5がその下面5b側から吸着面41に吸着された状態となり、金属プレート5の上側に枠基板31が位置し、枠開口部34を介して、金属プレート5の上面5aが上側に露出した状態となる。
【0085】
次に、
図6Cに示すように、金属プレート5の枠開口部34から臨む側の板面側、つまり上面5a側に、イメージセンサ2を固定する工程が行われる。すなわち、枠基板31の枠開口部34から上側に臨む金属プレート5の上面5aに対して、イメージセンサ2が裏面2b側を下側としてダイボンド材により所定の位置にダイボンドされることで貼付け固定される。これにより、基板部3を構成する枠基板31に対して、金属プレート5を介して、イメージセンサ2が支持固定された状態となる。
【0086】
金属プレート5に対するイメージセンサ2のダイボンドに関しては、金属プレート5にイメージセンサ2を固定する工程により金属プレート5に固定したセンサ表面2aを、上下方向について、基板表面3aよりも下側の位置に位置させることが行われる。すなわち、イメージセンサ2は、センサ表面2aが基板表面3aとなる枠基板31の上面31aよりも低い位置となるように設けられる(
図4参照)。ここで、センサ表面2aを、上下方向について、基板表面3aと同じ位置に位置させることが行われてもよい。つまり、イメージセンサ2は、センサ表面2aが枠基板31の上面31aと同じ高さ位置となるように設けられてもよい(
図5参照)。
【0087】
センサ表面2aと基板表面3a(上面31a)との高さ位置関係の調整は、例えば、基板部3における枠基板31の厚さの調整や、イメージセンサ2の厚さの調整や、金属プレート5の上面部の形状等によって行われる。金属プレート5の上面部の形状に関しては、例えば、金属プレート5の上面部に、イメージセンサ2を嵌合させる嵌合凹部を形成することにより、その嵌合凹部の深さの調整によって、センサ表面2aの高さ位置を調整することができる。
【0088】
次に、
図6Dに示すように、金属プレート5にイメージセンサ2を固定する工程の後に、センサ表面2aと基板表面3aとの間に、ボンディングワイヤ18を設ける工程が行われる。すなわち、センサ表面2aに複数形成されたパッド電極19と、基板表面3aに複数形成された電極とが、それぞれボンディングワイヤ18によって電気的に接続される。ボンディングワイヤ18は、一端側をセンサ表面2aのパッド電極19に電気的に接続させ、他端側を基板表面3aの電極に電気的に接続させ、例えばアーチ状等の上側に凸の所定の形状をなすように配線される。
【0089】
続いて、
図6Dに示すように、イメージセンサ2と基板部3との間に、ボンディングワイヤ18を被覆する保護樹脂部20を設ける工程が行われる。この工程では、保護樹脂部20となる樹脂材料(例えば、熱硬化性樹脂)がディスペンサ等により塗布され、被覆部21および埋設部22を有する保護樹脂部20が形成される(
図4参照)。
【0090】
保護樹脂部20となる樹脂材料は、ディスペンサのノズルから吐出されながら、イメージセンサ2と基板部3との間において、隙間12を埋めるとともに、ボンディングワイヤ18の全体を被覆するように塗布される。これにより、ボンディングワイヤ18の凸形状に対応してその全体を被覆した保護樹脂部20が隆起状に形成される。
【0091】
次に、
図7Aに示すように、キャビティ基板32の貼付けが行われる。すなわち、キャビティ基板32が準備され、枠基板31の裏面側である下面31b側に、凹陥部33を有するキャビティ基板32を取り付ける工程が行われる。キャビティ基板32においては、下面32b側に、コンデンサや抵抗やコネクタ等の周辺部品37があらかじめ実装されている。
【0092】
枠基板31に対するキャビティ基板32の取付けには、吸着ステージ45が用いられる。吸着ステージ45は、エア吸着等によって吸着作用を発揮する水平な吸着面46を有する。吸着面46には、周辺部品37との干渉を避けるための凹部47が形成されている。すなわち、凹部47は、キャビティ基板32の下面32bから突出するように設けられた周辺部品37を受け入れる窪み部分であり、周辺部品37の配設部位に対応して形成されている。これにより、基板部3の裏面3bとなるキャビティ基板32の下面32bが、吸着ステージ45の吸着面46に吸着される。
【0093】
図7Aに示すように、吸着ステージ45に対し、キャビティ基板32がその下面32b側を下側として、周辺部品37を凹部47内に位置させつつ、下面32bを吸着面46に吸着作用によって固定された状態でセットされる。この吸着面46上のキャビティ基板32に対し、金属プレート5を介してイメージセンサ2を支持した枠基板31が、キャビティ基板32の上面32a側から、凹陥部33を塞ぐように固定される。
【0094】
枠基板31は、その下面31bと、キャビティ基板32の上面32aとの間に導電シート35を介在させ、接着剤等によってキャビティ基板32に固定される。なお、導電シート35自体が接着機能を有するものであってもよい。この場合、接着機能を有する導電シート35により、枠基板31がキャビティ基板32に固定される。導電シート35により、枠基板31とキャビティ基板32との間の電気的な接続が確保される。
【0095】
枠基板31は、キャビティ基板32に対して、凹陥部33により枠開口部34とともに凹部4(
図2参照)が形成されるとともに、金属プレート5の少なくとも裏面側である下面5b側において金属プレート5と凹部4をなす底面4dとの間に下方隙間14が形成されるように取り付けられる。本実施形態では、金属プレート5と基板部3との間においては、下方隙間14に加えて、下方隙間14と連続して中空部15をなす側方隙間13も形成されている。キャビティ基板32に枠基板31が固定されることで、基板部3が構成される(
図1参照)。
【0096】
次に、
図7Bに示すように、フレーム部6の貼付けが行われる。すなわち、吸着ステージ45上に支持された基板表面3a上に、ベースプレート部26および支持フレーム部27を有するフレーム部6を取り付ける工程が行われる。フレーム部6は、基板表面3aの周縁部を支持面として、支持フレーム部27の開口部27cがイメージセンサ2の上方に位置するように、樹脂系の接着剤等により固定される。
【0097】
そして、
図7Cに示すように、ガラス7の貼付けが行われる。すなわち、フレーム部6の支持本体部27bに対して、開口部27cの全体を上側から覆うように、ガラス7が接着剤等によって貼付け固定される。これにより、イメージセンサ2および基板部3上において、フレーム部6およびガラス7によって密閉空間であるキャビティ8が形成される。
【0098】
以上のような製造工程により、本実施形態に係る固体撮像装置1が得られる。すなわち、
図1に示すように、固体撮像装置1は、パッケージ内にイメージセンサ2がダイボンドされた金属プレート5が埋め込まれた形態で、金属プレート5の裏面側が中空状態となっているパッケージ構造を備える。このパッケージ構造において、金属プレート5の上面5aの外周部のみが接着剤によって基板部3の張出部11に固定されており、基板表面3aに対してセンサ表面2aが同じ高さあるいはそれよりも低くなっている。また、基板部3が、金属プレート5の固定を受ける枠基板31と、枠基板31に電気的に接続されたキャビティ基板32とを備える構成となっている。
【0099】
<3.第1実施形態に係る固体撮像装置の変形例>
本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1の変形例を
図8A、
図8Bおよび
図8Cに示す。
【0100】
図8Aに示す第1の変形例は、固体撮像装置1において、保護樹脂部20が設けられていない構成である。このような構成によれば、上述した固体撮像装置1の製造方法において、保護樹脂部20を設ける工程が省略される。
【0101】
図8Bに示す第2の変形例は、固体撮像装置1において、コンデンサやコネクタ等の周辺部品37ではなく、複数の外部端子39を備えた構成である。外部端子39は、基板部3の裏面3bの部分の内部において、裏面3bに臨むように形成されている。つまり、外部端子39は、基板部3の裏面3bと面一となるように形成されている。外部端子39は、固体撮像装置1が実装されるフレキシブル基板等の基板に対する電気的な接続を行うための端子となる。
【0102】
第2の変形例の構成によれば、枠基板31をキャビティ基板32に固定する工程(
図7A参照)等において、金属プレート5の貼付け工程等において用いられる吸着ステージ40(
図6A参照)と同様に、水平な吸着面を有する吸着ステージを用いることができる。この場合、例えば、上述した固体撮像装置1の製造方法の一連の工程を、共通の吸着ステージを用いて行うことが可能となる。
【0103】
図8Cに示す第3の変形例は、
図8Bに示す第2の変形例の構成において、保護樹脂部20が設けられていない構成である。
【0104】
以上のような変形例の構成は、固体撮像装置1の用途や固体撮像装置1が搭載される装置等によって適宜採用されるものである。
【0105】
以上のような本実施形態に係る固体撮像装置1およびその製造方法によれば、イメージセンサ2としてのセンサチップの反りの発生や反りの変動を抑制することができるとともに、外部端子39や周辺部品37の配設部位が制限されることを防止することができる。
【0106】
本実施形態に係る固体撮像装置1は、イメージセンサ2を、基板部3に対して、上面5aの外周部を基板部3に接着させた金属プレート5を介して間接的に支持させるとともに、金属プレート5の裏面側を下方隙間14により中空状態とした構成を備える。このような構成によれば、イメージセンサ2を基板部3に対して直接接触させることなく支持することができるとともに、金属プレート5の基板部3に対する接触面積を小さくすることができる。
【0107】
これにより、固体撮像装置1あるいはそれを備えた電子機器の組立て中の熱履歴や、組立て後の製品使用時における周辺環境の変化によって生じる、イメージセンサ2と基板部3の線膨張係数の差やキャビティ8の内圧上昇に起因したイメージセンサ2の反りおよびその変動を抑制することができる。
【0108】
また、金属プレート5の裏面側が基板部3に接着されている場合、温度や環境の変化による基板部3の反り変動に金属プレート5が追従し、これにともなってイメージセンサ2の反りが生じることになる。この点、本実施形態に係る固体撮像装置1によれば、金属プレート5の裏面側が基板部3から離間しているため、金属プレート5が基板部3の変形の影響を受けにくく、イメージセンサ2の反りおよびその変動を抑制することができる。結果として、イメージセンサ2の反りおよびその変動に起因した固体撮像装置1による画質の低下を抑制することができる。
【0109】
特に、基板部3がプラスチック等の有機材料により形成された有機基板である場合、基板部3が比較的低剛性となり、吸湿・脱湿などによる膨張・収縮が比較的大きくなり、また、シリコンチップであるイメージセンサ2と基板部3との線膨張係数の差が比較的大きくなる。これらのことから、基板部3が有機基板である場合に固体撮像装置1の構成を採用することにより、イメージセンサ2の反りおよびその変動を効果的に抑制することができる。
【0110】
また、
図8Bに示す第2の変形例や
図8Cに示す第3の変形例の構成のように、基板部3の裏面3b側に複数の外部端子39を備えた構成の場合、例えば、固体撮像装置1は、基板等に実装される際、接合用の半田を溶融するためのリフロー処理を受けるため、加熱される機会が比較的多い。このため、外部端子39を有する場合に固体撮像装置1の構成を作用することにより、加熱されることで生じるイメージセンサ2の反りおよびその変動の低減作用を効果的に得ることができる。
【0111】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1によれば、イメージセンサ2を基板部3に対して間接的に支持するための金属プレート5が、基板部3において上側に開口するように形成された凹部4内に浮いた状態で設けられている。このような構成によれば、基板部3の底面部および側面部は、金属プレート5の影響を受けることなく固体撮像装置1における外面部をなす部分となる。これにより、基板部3におけるコンデンサ等の周辺部品37や外部端子39の配設部位が制限されることがなく、周辺部品37や外部端子39の配設部位について高い自由度を得ることができる。特に、基板部3の裏面3b側において周辺部品37の実装や外部端子39の配置を自由なレイアウトで行うことが可能となる。
【0112】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、基板部3が、枠基板31と枠基板31とともに凹部4を形成するキャビティ基板32とを有し、これらを電気的に接続させた構成となっている。このような構成によれば、基板部3に対して金属プレート5を浮いた状態で支持するための張出部11を有する凹部4を容易に作ることが可能となる。また、枠基板31およびキャビティ基板32を互いに別体として製造することができるので、基板部3における配線構造等の作り込みが容易となり、より複雑な回路構造にも容易に対向することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、ボンディングワイヤ18が架設されるセンサ表面2aと基板表面3aとの高さ関係について、センサ表面2aが、基板表面3aと同じ高さあるいは基板表面3aよりも低くなっている。このような構成によれば、フレアの発生を抑制することができ、保護樹脂部20の形成が容易となる。このような作用効果が得られることについて、比較例の構成を用いて説明する。
【0114】
図9に、比較例の構成として、センサ表面2aの高さ位置が基板表面3aの高さ位置よりも高くなっている構成を示す。つまり、この比較例の構成においては、センサ表面2aの高さ位置が、基板表面3aの高さ位置に対して、ΔHa高い位置に位置する。したがって、金属プレート5の上面5aを基準とし、イメージセンサ2の側面2dの高さは、張出部11の内側面11cの高さよりもΔHa高くなっている。
【0115】
比較例の構成によれば、ボンディングワイヤ18が、イメージセンサ2側から基板部3側への打ち下ろしとなる。このため、ボンディングワイヤ18がイメージセンサ2の上側のエッジ部2e(円S1で示す部分)に接触することによるショートを避ける観点から、ボンディングワイヤ18を高ループのワイヤボンド形状とする必要が生じる。つまり、上側に凸の湾曲ないし屈曲形状をなすボンディングワイヤ18の配線形状の頂部の高さを高くする必要が生じる。
【0116】
ボンディングワイヤ18が高ループの形状となることで、ボンディングワイヤ18がガラス7を透過した光を受けやすくなるため、フレアの発生リスクが高くなる。また、ボンディングワイヤ18が高ループの形状となると、保護樹脂部20の形成に際し、保護樹脂部20となる樹脂材料を、ボンディングワイヤ18の高ループ形状に合わせて高く盛る必要が生じるため、保護樹脂部20が形成しにくくなるという問題がある。
【0117】
このような比較例の構成に対し、
図5および
図4に示すように、センサ表面2aを基板表面3aと同じ高さあるいは基板表面3aよりも低くした構成によれば、ボンディングワイヤ18が、イメージセンサ2側から基板部3側への平行出しまたは打ち上げとなる。このため、ボンディングワイヤ18がイメージセンサ2の上側のエッジ部2e(円S1で示す部分)に接触しにくくなるため、ボンディングワイヤ18を低ループのワイヤボンド形状とすることが可能となる。つまり、上側に凸の湾曲ないし屈曲形状をなすボンディングワイヤ18の配線形状の頂部の高さを低くすることができる。
【0118】
ボンディングワイヤ18が低ループの形状となることで、ボンディングワイヤ18がガラス7を透過した光を受けにくくなるため、フレアの発生リスクを低くすることができる。また、ボンディングワイヤ18が低ループの形状となると、保護樹脂部20の形成に際して樹脂材料を高く盛る必要がなくなり、保護樹脂部20の形成を容易にすることができる。
【0119】
また、保護樹脂部20の形成に関しては、ボンディングワイヤ18が低ループの形状となることで、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、保護樹脂部20の樹脂材料の量を少なくすることができ、コストの削減を図ることができる。また、センサ表面2aおよび基板表面3aにおいて、保護樹脂部20の樹脂材料がボンディングワイヤ18の接続部位の外側に流れて不要な部位に付着することを抑制することができる。さらに、ボンディングワイヤ18の下方に位置する、イメージセンサ2と基板部3との間の隙間12に、保護樹脂部20の樹脂材料を流入させやすくすることができる。
【0120】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1は、ボンディングワイヤ18を被覆する保護樹脂部20を備える。このような構成によれば、ボンディングワイヤ18を保護することができ、また、フレアの対策を容易に行うことができる。
【0121】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法によれば、上述したような作用効果が得られる固体撮像装置1を、効率的なプロセスによって容易に製造することが可能となる。
【0122】
<4.第2実施形態に係る固体撮像装置の構成例>
本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置1の構成例ついて、
図10を参照して説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0123】
図10に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置51は、第1実施形態の固体撮像装置1との対比において、金属プレート5および基板部3の両方に接触した状態で設けられ、金属プレート5の熱を基板部3に伝達させる熱伝導部60を有する点で異なる。熱伝導部60は、少なくとも金属プレート5の下面5bと基板部3の底面4dとの間の下方隙間14を全体的に占めるように設けられることが好ましい。
【0124】
本構成例では、固体撮像装置51は、熱伝導部60として、金属プレート5と基板部3との間の空間部分を埋めるように樹脂により形成された充填樹脂部61を有する。充填樹脂部61は、側方隙間13と下方隙間14とが連続した中空部15の全体に充填された樹脂により形成されている。
【0125】
したがって、充填樹脂部61は、中空部15をなす面形状に符合した外形形状、つまり扁平箱状の形状を有する。具体的には、充填樹脂部61は、金属プレート5に対しては、下面5bおよび側面5cの各面の全面に接触しており、基板部3に対しては、底面4dおよび下部内側面4eの各面の全面に接触しており、これらの面に対する接触面により外形をなしている。
【0126】
充填樹脂部61は、熱伝導性が比較的高い高熱伝導樹脂材料により形成されている。充填樹脂部61は、例えば、熱可塑性を有し、リフロー時等の高温時には低弾性となり、基板部3等の変形を阻害しないような特性を有する。充填樹脂部61としては、金属プレート5と基板部3との間で緩衝作用が得られるようなものが好ましい。
【0127】
具体的には、充填樹脂部61の材料としては、例えば、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂、およびポリエーテルアミドイミド樹脂のうちいずれか1つを主成分とする組成物が挙げられる。その他、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアミドイミド樹脂のうちいずれか1つに可塑性をもつセグメントを変成した組成物がある。この場合、例えば、ハードセグメントとしてのイミド樹脂(芳香族ポリイミド)に、ソフトセグメントとしてのシロキサンイミドを加えたものが用いられる。また、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアミドイミド樹脂のうちいずれか1つを主成分とし、熱可塑性をもつ樹脂粒子を含有する組成物が挙げられる。さらに、ポリアミドシリコーン共重合体やポリイミドアミドシリコーン共重合体等の熱可塑性を持つ材料を変成したもの、あるいはこの材料とその他材料とを複合したものであってもよい。
【0128】
<5.第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法>
本技術の第2実施形態の固体撮像装置51の製造方法としては、例えば、次のような方法が用いられる。
【0129】
上述した第1実施形態の固体撮像装置1の製造方法において、吸着ステージ45(
図7A参照)上にキャビティ基板32がセットされた状態において、凹陥部33内に、充填樹脂部61となる樹脂材料が入れられる。その後、キャビティ基板32に対して、金属プレート5を介してイメージセンサ2を支持した枠基板31が、キャビティ基板32に搭載される。
【0130】
その後、中空部15内の樹脂を固化させるために、所定の温度条件でベーキングが行われる。ベーキングの温度は、樹脂材料やそれに含まれる溶剤等に合わせて適宜設定される。ベーキングを行うことで、中空部15内の樹脂が固化し、充填樹脂部61が形成される。
【0131】
また、充填樹脂部61を形成する方法としては、例えば、
図7Aに示すように枠基板31に対するキャビティ基板32の取付けを行った後、中空部15内に、充填樹脂部61となる樹脂材料を注入する方法であってもよい。この場合、枠基板31側またはキャビティ基板32側あるいは両方に、充填樹脂部61となる樹脂材料を注入するための注入口が設けられる。中空部15内に樹脂材料を充填した後、上述のとおりベーキングを行うことで、中空部15内の樹脂が固化し、充填樹脂部61が形成される。
【0132】
充填樹脂部61が形成された後、フレーム部6の貼付けが行われ(
図7B参照)、その後、ガラス7の貼付けが行われる(
図7C参照)。これにより、
図10に示すような本実施形態の固体撮像装置51が得られる。
【0133】
以上のような本実施形態に係る固体撮像装置51によれば、第1実施形態に係る固体撮像装置1によって得られる作用効果に加え、次のような作用効果を得ることができる。
【0134】
すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置51によれば、中空部15内に熱伝導部60として充填樹脂部61を有することから、イメージセンサ2の発熱によって加熱される金属プレート5の熱が、充填樹脂部61を介して基板部3に伝達される。これにより、固体撮像装置51の放熱性を向上させることができる。
【0135】
<6.第2実施形態に係る固体撮像装置の変形例>
本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置51の変形例を
図11A、
図11Bおよび
図11Cに示す。
【0136】
図11Aに示す第1の変形例は、固体撮像装置51において、熱伝導部60として、金属プレート5の下方の空間部分のみに設けられた樹脂部62を有する。つまり、樹脂部62は、金属プレート5の下面5bと基板部3の底面4dとの間の下方隙間14を全体的に占めるように設けられている。樹脂部62の材料としては、上述した充填樹脂部61の樹脂材料と同様のものが用いられる。
【0137】
このような構成によっても、樹脂部62によって金属プレート5の熱を基板部3に伝達させることができ、固体撮像装置51の放熱性を向上させることができる。
【0138】
このように、熱伝導部60は、金属プレート5と基板部3との間の空間部分の少なくとも一部を占めるように設けられればよい。したがって、熱伝導部60は、例えば、側方隙間13のみに設けられたり、側方隙間13および下方隙間14それぞれの空間部分において部分的に設けられたりしてもよい。また、熱伝導部60の材料としては、樹脂材料に限らず、セラミックス、金属材料、シリコン等の半導体等であってもよい。
【0139】
また、固体撮像装置51の変形例としては、第1実施形態の変形例と同様に、
図11Bに示すように、保護樹脂部20が設けられていない構成や、
図11Cに示すように、基板部3の裏面3b側に複数の外部端子39を備えた構成がある。
【0140】
<7.電子機器の構成例>
上述した実施形態に係る固体撮像装置の電子機器への適用例について、
図12を用いて説明する。なお、ここでは第1実施形態に係る固体撮像装置1の適用例について説明する。
【0141】
固体撮像装置1は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像素子は、ワンチップとして形成された形態のものであってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態のものであってもよい。
【0142】
図12に示すように、電子機器としての撮像装置100は、光学部102と、固体撮像装置1と、カメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路103と、フレームメモリ104と、表示部105と、記録部106と、操作部107と、電源部108とを備える。DSP回路103、フレームメモリ104、表示部105、記録部106、操作部107および電源部108は、バスライン109を介して相互に接続されている。
【0143】
光学部102は、複数のレンズを含み、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像装置1の撮像面上に結像する。固体撮像装置1は、光学部102によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0144】
表示部105は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、固体撮像装置1で撮像された動画または静止画を表示する。記録部106は、固体撮像装置1で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0145】
操作部107は、ユーザによる操作の下に、撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示部105、記録部106および操作部107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0146】
以上のような撮像装置100によれば、固体撮像装置1において、イメージセンサ2としてのセンサチップの反りの発生や反りの変動を抑制することができ、高画質な撮像画像を得ることができる。また、固体撮像装置1において、外部端子39や周辺部品37の配設部位が制限されることを防止することができる。また、固体撮像装置1の代わりに、熱伝導部60を備えた第2実施形態の固体撮像装置51を適用することにより、固体撮像装置51および撮像装置100において放熱性を向上させることができる。
【0147】
上述した実施形態の説明は本技術の一例であり、本技術は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。また、上述した各実施形態で説明した変形例等は、他の実施形態において適宜組み合せることができる。
【0148】
上述した実施形態では、本技術に係る半導体装置としてCMOS固体撮像装置を例にとって説明したが、本技術は、例えばCCD固体撮像装置等の他の固体撮像装置にも適用可能である。また、本技術は、固体撮像装置に限らず、半導体素子を有する半導体装置に適用可能である。
【0149】
上述した実施形態では、固体撮像装置は、本技術に係る板状部材の一例として、ステンレス鋼(SUS)等からなる金属プレート5を備えるが、本技術に係る板状部材の材料は、金属材料に限定されるものではなく、例えば、セラミックス、樹脂材料、シリコン等の半導体等であってもよい。ただし、イメージセンサ2の反りを抑制する観点からは、板状部材の材料としては、本技術に係る半導体素子としてのイメージセンサ2を構成する半導体材料(シリコン等)と線膨張係数が近い材料が好ましい。板状部材の材料としては、線膨張係数がシリコンに比較的近いことや、比較的安価であること等から、ステンレス鋼(SUS)の一種であるSUS430が好適に用いられる。
【0150】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
(1)
半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、
前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、
前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備える
半導体装置。
(2)
前記基板部は、
貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板と、
前記基板部の表面側を開口側とした凹陥部を有し、前記第1の基板に対して前記基板部の裏面側に設けられ、前記凹陥部により前記開口部とともに前記凹部を形成する第2の基板と、を有する
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記板状部材および前記基板部の両方に接触した状態で設けられ、前記板状部材の熱を前記基板部に伝達させる熱伝導部を有する
前記(1)または前記(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記熱伝導部は、前記板状部材と前記基板部との間の空間部分を埋めるように樹脂により形成された充填樹脂部である
前記(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記半導体素子の表面と前記基板部の表面との間に設けられ、前記半導体素子と前記基板部とを電気的に接続する接続部材を備え、
前記半導体素子の表面は、前記半導体素子の板厚方向について、前記基板部の表面と同じ位置、または前記基板部の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置する
前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(6)
前記半導体素子と前記基板部との間に設けられ、前記接続部材を被覆する樹脂部を備える
前記(5)に記載の半導体装置。
(7)
半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子と、
前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部を有する基板部と、
前記基板部に固定された状態で前記凹部内に位置し、一方の板面側に前記半導体素子を固定させ、少なくとも他方の板面側において前記凹部をなす面に対して隙間を隔てて設けられた板状部材と、を備える
半導体装置を備えた
電子機器。
(8)
貫通状の開口部をなす枠状の形状を有する第1の基板に対し、前記第1の基板の裏面側に、前記開口部を覆うように板状部材を取り付ける工程と、
前記板状部材の前記開口部から臨む側の板面側に、半導体基板の一方の板面側を受光側とする半導体素子を固定する工程と、
前記第1の基板の裏面側に、表面側を開口側とした凹陥部を有する第2の基板を、前記凹陥部により前記開口部とともに前記受光側である表面側に臨んで開口して表面側に前記半導体素子を位置させる凹部が形成されるとともに、前記板状部材の少なくとも裏面側において前記板状部材と前記凹部をなす面との間に隙間が形成されるように取り付ける工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
(9)
前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程の後に、
前記半導体素子の表面と前記基板部の表面との間に、前記半導体素子と前記基板部とを電気的に接続する接続部材を設ける工程と、
前記半導体素子と前記基板部との間に、前記接続部材を被覆する樹脂部を設ける工程と、を有し、
前記板状部材に前記半導体素子を固定する工程により前記板状部材に固定した前記半導体素子の表面を、前記半導体素子の板厚方向について、前記基板部の表面と同じ位置、または前記基板部の表面よりも前記凹部の底側の位置に位置させる
前記(8)に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0151】
1 固体撮像装置(半導体装置)
2 イメージセンサ(半導体素子)
2a 表面
2b 裏面
3 基板部
3a 表面
3b 裏面
4 凹部
4d 底面
5 金属プレート(板状部材)
5a 上面
5b 下面
14 下方隙間
18 ボンディングワイヤ(接続部材)
20 保護樹脂部(樹脂部)
31 枠基板(第1の基板)
32 キャビティ基板(第2の基板)
33 凹陥部
34 枠開口部
51 固体撮像装置(半導体装置)
60 熱伝導部
61 充填樹脂部
62 樹脂部
100 撮像装置(電子機器)