(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20240109BHJP
A24D 3/02 20060101ALI20240109BHJP
A24D 3/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/02
A24D3/10
(21)【出願番号】P 2020541350
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2019054544
(87)【国際公開番号】W WO2019170454
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
(72)【発明者】
【氏名】トリッツ ポー ヨーク
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509374(JP,A)
【文献】特開平07-313135(JP,A)
【文献】中国実用新案第201536617(CN,U)
【文献】米国特許第05107863(US,A)
【文献】特表2011-505851(JP,A)
【文献】特表2003-525043(JP,A)
【文献】特開平11-318417(JP,A)
【文献】特表2015-519893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素であって、スリーブによって包囲されたエアロゾル透過性コアを備え、前記スリーブが直線状で軸方向に配向された繊維を含み、かつ前記コアが延伸されたランダムに配向された繊維を含み、前記スリーブが同一のトウから形成された二つ以上の長軸方向のセグメントを備え、かつ前記長軸方向のセグメントの前記
トウが前記セグメントの少なくとも長軸方向の縁に沿って共に結合されて一体型スリーブを形成する、エアロゾル透過要素。
【請求項2】
前記コアが、前記二つ以上の長軸方向のセグメントと同一のトウから形成された繊維を含む、請求項1に記載のエアロゾル透過要素。
【請求項3】
前記スリーブもしくは前記コアまたは前記スリーブと前記コアの両方を形成する前記トウが、セルロースアセテートまたはポリ乳酸繊維を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル透過要素。
【請求項4】
前記スリーブが0.5ミリメートル~3ミリメートルの壁厚さを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル透過要素。
【請求項5】
前記コアが2ミリメートル~8ミリメートルの直径を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル透過要素。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル透過要素を備えるエアロゾル発生物品。
【請求項7】
エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素の製造方法であって、
-二つ以上の細片を、搬送経路を包囲するセグメントに形成することと、
-スリーブを形成するために、前記セグメントをスリーブ形成体の中にまとめることと、
-前記スリーブ形成体の上流で前記セグメントの間に、ばらの繊維を導入することであって、これによって、前記ばらの繊維がまとめられる際に前記ばらの繊維がその中にランダムな配向で引き出され、かつセグメントの間で圧縮され、前記スリーブ内にエアロゾル透過性コアを形成する、導入することとを含む、方法。
【請求項8】
前記ばらの繊維を導入することが、入口に向かって異なる方向に配向された複数の空気ジェットを使用して前記繊維の乱流を生成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
トウを前記二つ以上の細片に分離することを含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細片をガイドの外側に、相互に向かって、かつ前記ガイドの下流の前記スリーブ形成体の中に通すことであって、これによって前記セグメントが前記ガイドと前記スリーブ形成体の間で部分的に円錐状である、通すことと、前記セグメントを共に前記スリーブ形成体の中に引き出すことと、一体型スリーブを形成するために、可塑剤、または熱、または圧力、またはこれらの任意の組み合わせを加えることによって前記スリーブ形成体内で前記セグメントの前記
トウを共に結合させることとを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記セグメントの間での前記ばらの繊維の導入の前に、前記ばらの繊維を製造するためにトウから形成されたさらなる細片を断片化することを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記さらなる細片を断片化することが、前記さらなる細片を前記ばらの繊維に延伸し、かつ細長く切る一組の捲縮ローラーの間に、前記さらなる細片を通すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
トウを前記二つ以上の細片および前記さらなる細片を含む少なくとも三つの細片に分離することを含む、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項7~13のいずれか一項に記載の方法を使用してエアロゾル透過要素を製造することと、前記エアロゾル透過要素をたばこ含有ロッドと組み合わせることとを含む、エアロゾル発生物品を製造する方法。
【請求項15】
請求項7~14のいずれか一項の方法によって製造される、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素。
【請求項16】
エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素であって、前記エアロゾル透過要素の前記スリーブもしくは前記コアまたは前記スリーブとコアの両方が、セルロースアセテートまたはポリ乳酸繊維を含み、かつ請求項7~14のいずれか一項に記載の方法によって製造される、エアロゾル透過要素。
【請求項17】
前記スリーブが0.5ミリメートル~3ミリメートルの壁厚さを備え、かつ請求項7~14のいずれか一項に記載の方法によって製造される、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素。
【請求項18】
エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素であって、前記コアが2ミリメートル~8ミリメートルの直径を備え、かつ請求項7~14のいずれか一項によって製造される、エアロゾル透過要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してエアロゾル発生物品に関する。より具体的には、排他的ではないものの、本発明は、管状に成形されたエアロゾル発生物品(特に、エアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱するように構成されたこうしたエアロゾル発生物品を含む)で使用されるエアロゾル透過要素に関する。本発明はまた、こうした物品および要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物品のフィルター部品は幾つかの機能を実施し、そのため、その特性の幾つかはその設計および製造において考慮されなければならない。フィルター部品の主な役割は濾過効率であり、すなわちエアロゾルの望ましくない構成成分を除去することにおけるその有効性であるが、しかしこれは常に、エアロゾルがフィルターを通過する際に起こる圧力降下である全体的な引き出し抵抗とのバランスを取る必要がある。エアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱するように構成されたエアロゾル発生物品に伴う追加的な複雑な問題は、感覚媒体の量がより密に充填される傾向があることである。そのため、こうしたエアロゾル発生物品の感覚媒体によって提供される固有の引き出し抵抗は、従来の喫煙物品の引き出し抵抗よりも概してずっと大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フィルター部品には、消費者の口との相互作用からもたらされる幾つかのその他の要件がある。これらには、例えば構造的な剛直さ、および湿潤に対する抵抗が含まれる。エアロゾル発生物品のフィルター部品は、消費者によってその上に加えられる著しい圧縮力をしばしば経験する可能性がある。一部の消費者はまた、フィルター部品を噛むことを楽しみ、また圧縮性に対する抵抗について期待を有することがよくある。フィルター部品の構造は、こうした力に耐えながら、その主な機能を実施し続けることと、消費者の期待を満足させることとの両方が可能である必要がある。フィルター部品はまた、消費者の唾液への曝露にもかかわらず、機能し続ける必要があり、かつエアロゾル形成基体の湿潤を回避するためにフィルター部品を通した唾液の伝達を最小化または防止する必要がある。
【0004】
これらの競合する要件、すなわち有効なフィルタリング、最小限の引き出し抵抗、圧縮性、および湿潤に対する抵抗性は、最終製品においてすべてバランスが取れている必要がある。従って、これらの競合する要因の間のバランスを提供するエアロゾル透過要素を提供することが有利であることになる。
【0005】
喫煙物品のフィルター部品を製造する一つの周知の方法は、フィルター材料(例えばセルロースアセテート)の連続的なロッドを、移動するラッピングペーパーの帯の上で引っ張ることを伴い、このラッピングペーパーは閉じられ、かつロッドの周りに糊付けされる。次に、連続的に巻かれたロッドはその後、チッピングペーパーによって喫煙物品の残りの部分に接合される長さに、またはスティック状に切断され、湿潤に対して必要な抵抗を提供する。ラッピングペーパーは概して、消費者の口の圧力に抵抗するのが困難であり、これは形状を保つのを困難にする。さらに、エアロゾルの味覚に影響を与える可能性があり、また糊付けプロセスは課題を呈する可能性がある。
【0006】
喫煙物品のフィルター部品を製造する別の周知の方法は、硬いラッピングペーパーの代わりに積層されたポリ乳酸(PLA)シートの使用を伴う。PLAシートは、成形がより簡単であり、唾液および空気の伝達に抵抗し、かつ生分解性である。しかしながら、こうしたシートは依然としてラッピングペーパーと同じ不都合な点の一部を共有する。
【0007】
従って、エアロゾル透過要素を製造する代替的な方法、好ましくは周知の喫煙物品に伴う一つ以上の問題を少なくとも軽減する方法を提供することが有利であることになる。
【0008】
米国特許第4149550A号は、無作為な向きに配設された繊維を有する繊維状コアを有する細長い構造を備える繊維状要素を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その結果、本発明の第一の態様は、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素を提供し、エアロゾル透過要素は、スリーブによって包囲されたエアロゾル透過性コアを含み、スリーブは直線状で軸方向に配向された繊維を備え、またコアは延伸された多方向性またはランダム(または多方向性とランダムの両方)に配向された繊維を備える。
【0010】
本発明によると、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素が提供されていて、エアロゾル透過要素は、スリーブによって包囲されたエアロゾル透過性コアを備え、スリーブは直線状で軸方向に配向された繊維を備え、かつコアは延伸されたランダムに配向された繊維を備え、スリーブは同一のトウから形成された二つ以上の長軸方向のセグメントを備え、また長軸方向のセグメントのトウ材料は、少なくともセグメントの長軸方向の縁に沿って共に結合されて一体型スリーブを形成する。
【0011】
直線状で軸方向に配向された繊維を有するスリーブと、多方向性もしくはランダムに延伸された、または多方向性とランダムの両方で配向された繊維を有するコアとを提供することは、前述の特性の間に有利な新規バランスを提供することが見いだされている。
【0012】
本明細書で使用される、直線状および軸方向に配向された繊維は、エアロゾル透過要素の軸方向(またはエアロゾル引き出し方向)に沿って互いに実質的に整列されている複数の繊維を指す。同様に、多方向性の配向、またはランダムな配向、または多方向性の配向とランダムな配向の繊維は、軸方向またはエアロゾル引き出し方向に対して平行および垂直の両方を含む、複数の異なる配向もしくはランダムな配向、または異なる配向とランダムな配向を有する、主として整列していない複数の繊維を指す。
【0013】
コアは、例えばエアロゾル透過要素の軸方向長さの長さ1ミリメートル当たり0.3ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)~5ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)、好ましくは0.5ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)~2ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)の引き出し抵抗を備えてもよい。ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)は水柱ミリメートル(mmH2O)としても知られる。
【0014】
コアは、例えば消費者の感覚的経験を改めるまたは強化するために、成分、風味、またはその他の化学物質などの一つ以上の感覚添加剤を含んでもよい。一つ以上の感覚添加剤は、多孔性媒体、顆粒、植物、カプセル、被覆、または任意の他の要素もしくは材料を含んでもよい。
【0015】
スリーブは、例えばセグメントの長軸方向の縁(例えば少なくとも長軸方向の縁)に沿って、共に結合、固定、接続、または接合されてもよい二つ以上の長軸方向のセグメントを備えてもよい。セグメントは、一体型スリーブを形成してもよく、例えば長軸方向のセグメントのトウ材料は共に結合されてもよく、または接合されてもよい。
【0016】
セグメントのうちの少なくとも二つまたはすべては、同一のトウから形成されてもよい。追加的に、または別の方法として、コアは、セグメントのうちの少なくとも一つと同一のトウから形成された繊維を含んでもよい。実施形態において、コアは、二つ以上のセグメントと同一のトウ(例えば、すべてのセグメントと同一のトウ)から形成された繊維を含む。
【0017】
スリーブ、またはスリーブを形成するトウは、セルロースアセテートまたはポリ乳酸繊維を含む場合がある。コア、またはコアを形成するトウは、セルロースアセテートまたはポリ乳酸繊維を含む場合がある。スリーブ、またはコア、またはスリーブもしくはコア(またはスリーブとコアの両方)を形成するトウは、ポリプロピレン、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-ヒドロキシ吉草酸)(PHVB)、レーヨン、ビスコースまたは再生セルロース繊維を含んでもよい。スリーブを形成するトウ、またはコアを形成するトウ、またはスリーブとコアを形成するトウは、3.0dpf~15.0dpfのフィラメント当たりデニール(dpf)を備えてもよく、また5.0dpf~10.0dpfであることが好ましい。スリーブまたはコア(またはスリーブとコアの両方)を形成するトウは、Y字形状断面を備えてもよい。
【0018】
セグメント、またはセグメントを形成するトウは、可塑剤を含んでもよいが、必要ではない。別の方法として、長軸方向のセグメントは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセテートなどの接着剤によって共に固定、接続、または接合されてもよい。コアは、いかなる可塑剤または接着剤も実質的に含まないことが好ましい。コアまたはその少なくとも一部の繊維は、可塑剤または接着剤によってスリーブに固定、接続、または接合されてもよい。
【0019】
スリーブは、0.5ミリメートル~3ミリメートルの厚さ、例えば0.5ミリメートル~1.5ミリメートル厚さ、または1ミリメートル~2ミリメートルの厚さ(例えば、壁厚さ)を備えてもよい。コアは、2ミリメートル~8ミリメートルであってもよく、例えばコアは2ミリメートル~8ミリメートルの直径を備えてもよい。コアは、4ミリメートル~6ミリメートルであってもよく、例えばコアは4ミリメートル~6ミリメートルの直径を備えてもよい。エアロゾル透過要素は3ミリメートル~9ミリメートルであってもよく、例えばエアロゾル透過要素は3ミリメートル~9ミリメートルの直径を備えてもよい。エアロゾル透過要素は5ミリメートル~7ミリメートルであってもよく、例えばエアロゾル透過要素は3ミリメートル~9ミリメートルの直径を備えてもよい。
【0020】
本発明の別の態様は、上述の通り、エアロゾル透過要素を備えるエアロゾル発生物品を提供する。エアロゾル透過要素は、紙などのラッパーで包まれていてもよい。
【0021】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生材料または感覚材料、例えばたばこを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生材料または感覚材料のロッドを備えてもよく、これはエアロゾル透過要素に接続、固定、または取り付けられてもよい。実施形態において、エアロゾル発生物品は、中にエアロゾル発生材料または感覚材料が受容されるさらなるスリーブを備える。さらなるスリーブは、例えばチッピングペーパーによって、エアロゾル透過要素に接続、固定、または取り付けられてもよい。
【0022】
本発明の別の態様は、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素を製造する方法を提供し、方法は、二つ以上の細片を、搬送経路を包囲するセグメントに形成することと、スリーブを形成するためにセグメントをスリーブ形成体の中にまとめることと、スリーブ形成体の上流のセグメントの間に、ばらの繊維を導入することであって、これによって、ばらの繊維がまとめられる際に、ばらの繊維はその中に多方向性の配向、またはランダムな配向(または多方向性の配向とランダムな配向)で引き出され、かつセグメントの間で圧縮され、スリーブ内にエアロゾル透過性コアを形成する、導入することとを含む。
【0023】
ばらの繊維を導入することは、好ましくは入口に向かって、繊維の乱流を生成することを含んでもよい。乱流は、一つ以上のファン、ブロワー、または空気ジェットなどの流れ誘発手段を使用して生成されてもよい。ファン、ブロワー、または空気ジェットは、好ましくは入口に向かって異なる方向に配向されてもよい。
【0024】
方法は、例えばトウを一つ以上(例えば、一対のまたは一組)のスリッティングローラーを通して、またはその間を通過させることによって、トウを二つ以上の細片に分離することを含んでもよい。追加的に、または別の方法として、方法は、ガイドの外側に、例えば相互に向かって、またはガイドの下流であってもよいスリーブ形成体の中に(または相互に向かって、かつスリーブ形成体の中に)細片を通すことを含んでもよい。方法は、細片をガイドの外側に、かつスリーブ形成体の中に通し、これによってガイドとスリーブ形成体の間で、セグメントが実質的にまたは少なくとも部分的に管状もしくは部分的に円錐状(または部分的に管状かつ部分的に円錐状)であることを含んでもよい。方法は、セグメントを、例えばスリーブ形成体の中に、共に引き出すことを含んでもよい。方法は、セグメントを共に結合、固定、接続、または接合させることを含んでもよい。方法は、例えばスリーブ形成体内で、熱、または圧力(または熱および圧力)を加えることなどによって、セグメントのトウ材料を共に結合させて一体型スリーブを形成することを含んでもよい。
【0025】
方法は、トウから形成されてもよいさらなる細片を断片化することを含んでもよい。さらなる細片は、例えば繊維もしくはばらの繊維を生成する手段または生成器を使用して断片化されて、例えばセグメントの間へのこれらの導入の前に、ばらの繊維を製造してもよい。さらなる細片を断片化することは、さらなる細片を一つ以上(例えば、一対または一組)の捲縮ローラーを通して、またはその間を通過させることを含んでもよい。捲縮ローラーは、さらなる細片を、ばらの繊維に延伸してもよく、または細長く切ってもよく、または、ばらの繊維に延伸して細長く切ってもよい。
【0026】
本方法は、例えばトウ分離手段またはセパレータを使用して、トウを少なくとも三つの細片に分離することを含んでもよく、これは、二つ以上の細片もしくはさらなる細片(または二つ以上の細片およびさらなる細片)を備えてもよく、または含んでもよい。例えば、方法は、トウをスリッティングローラー(複数可)を通して、またはその間を通過させて、トウを少なくとも三つの細片に分離することを含んでもよい。トウから形成された二つ以上の細片(例えば、最も外側の細片)は、ガイドの外側に、またはスリーブ形成体の中に(またはガイドの外側と、スリーブ形成体の中との両方に)通されてもよい。トウによって形成された細片のうちの一つ以上(例えば、一つ以上の内側または中央の細片)は、捲縮ローラー(複数可)を通して、またはその間を通過させてもよい。特定の実施形態において、方法は単一のトウの帯を提供する初期の工程を含んでもよく、この単一のトウの帯は三つの細片に細長く切られ、例えば第一の細片および第二の細片は、配向された繊維(例えば、当初の帯と同一の配向を有する繊維)で外側スリーブを形成するように方向付けられ、または第三の細片は、ランダムに配向された繊維コアを形成するように方向付けられていて、もしくは第一の細片および第二の細片は、配向された繊維で外側スリーブを形成するように方向付けられていて、かつ第三の細片は、ランダムに配向された繊維コアを形成するように方向付けられている。
【0027】
方法は、例えばエアロゾル透過要素分離手段またはセパレータ(切断ステーションなど)を使用して、形成されたスリーブおよびコアを、複数のエアロゾル透過要素に分離または切断することを含んでもよい。
【0028】
その他の特徴と組み合わせて、本発明の特定の実施形態において、上述の通りのエアロゾル透過要素を製造することと、エアロゾル透過要素をたばこなどの感覚媒体を含有するロッドと組み合わせることとを含む、エアロゾル発生物品を製造する方法が提供されている。
【0029】
本発明によると、本明細書に記載の通りに製造されるエアロゾル透過要素が提供されている。
【0030】
本発明によると、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素であって、エアロゾル透過要素のスリーブもしくはコア、またはスリーブとコアの両方が、セルロースアセテートまたはポリ乳酸繊維を含み、かつ本明細書に記載の通りの方法によって製造されるエアロゾル透過要素が提供されている。
本発明によると、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素が提供されていて、スリーブは0.5ミリメートル~3ミリメートルの壁厚さを備え、かつ本明細書に記載の通りの方法によって製造される。
【0031】
本発明によると、エアロゾル発生物品で使用するエアロゾル透過要素が提供されていて、コアは2ミリメートル~8ミリメートルの直径を備え、かつ本明細書に記載の通りの方法によって製造される。
【0032】
本発明の別の態様は、エアロゾル発生物品のエアロゾル透過要素を製造するための装置を提供し、装置は、細片をトウから、搬送経路を包囲するセグメントに形成するためのガイド手段またはガイドと、エアロゾル透過性コア材料をガイド手段またはガイドによって形成されたセグメントの間に導入するための送達手段または送達装置と、ガイド手段またはガイドによって形成されたセグメント、および送達手段または送達装置によってそれらの間に導入されたエアロゾル透過性コア材料を受容するためのガイド手段またはガイドの下流のスリーブ形成手段またはスリーブ形成体とを備え、スリーブ形成手段またはスリーブ形成体は、セグメントをまとめて、コア材料から形成されたエアロゾル透過性コアを包囲するスリーブを形成するように構成されている。
【0033】
送達手段または装置は、繊維もしくはばらの繊維を生成する手段または生成器を備えてもよい。送達または繊維生成手段は、一つ以上(例えば、一対または一組)の捲縮ローラーを備えてもよい。送達または繊維生成手段は、例えばばらの繊維を製造するために、例えばトウから形成されたさらなる細片を断片化するため(例えば、断片化するのに適切)であってもよい。送達手段または装置は、例えばガイドによって形成されたセグメントの間に導入される前に、例えばそのコア材料の乱流を生成するための流れ誘発手段またはインデューサーを備えてもよい。流れ誘発手段は、異なる方向に、好ましくは入口に向かって配向されてもよい一つ以上のファン、ブロワー、または空気ジェットを備えてもよい。
【0034】
スリーブ形成手段またはスリーブ形成体は形成漏斗を備えてもよく、この形成漏斗は、ガイドによって形成されたセグメント、または送達装置によって受容されたコア材料、またはガイドによって形成されたセグメントと送達装置によって受容されたコア材料との両方を受容するため、または例えば凹状もしくは凸状形状に成形(または受容と成形の両方を)するため、および圧縮するためであってもよい。スリーブ形成手段またはスリーブ形成体は、例えば形成されたエアロゾル透過要素(複数可)を圧縮された状態に維持するために、例えば形成漏斗の下流に管状要素を備えてもよい。装置またはスリーブ形成手段は、完成した、例えば一体型の、エアロゾル透過要素の長さまたはロッドを引き出すための引き出し手段、機構、または装置を備えてもよい。引き出し手段または機構は引張装置を備えてもよく、この引張装置は、スリーブ形成手段もしくはスリーブ形成体を通して、またはこれの外に、完成した、例えば一体型の、エアロゾル透過要素の長さまたはロッドを引っ張る、または引き出すためのモーターおよび搬送手段もしくはコンベヤーを備えてもよい。搬送手段は、一つ以上(一組または一対など)の引張ローラーを備えてもよい。
【0035】
装置は、ロッドを紙などのラッパーで巻くための、ラッピングユニットを備えてもよい。
【0036】
装置は、例えばトウを二つ以上の細片に分離するためのトウ分離手段またはセパレータを備えてもよい。トウ分離手段は、一つ以上(例えば、一対または一組)のスリッティングローラーを備えてもよい。
【0037】
装置は、エアロゾル透過要素分離手段またはセパレータを備えてもよい。装置または分離手段は、例えば形成されたスリーブおよびコアを複数のエアロゾル透過要素に切断するための切断手段または切断ステーションを備えてもよい。切断手段または切断ステーションは、スリーブ形成手段または引き出し手段の下流(またはスリーブ形成手段と引き出し手段の両方の下流)であってもよい。切断手段は、一連のエアロゾル透過要素を形成するために、スリーブ形成手段を出るスリーブまたはコア(またはスリーブとコアの両方)を分離するため、切断するため、または切るためのものであってもよい。
【0038】
誤解を避けるために、本明細書に記載の特徴のうちの任意の特徴は、本発明の任意の態様に等しく適用される。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル透過要素の任意の一つ以上の特徴を含んでもよく、または逆も可である。これは方法が、エアロゾル透過要素またはエアロゾル発生物品の一つ以上の特徴に関連する任意の一つ以上の特徴または工程を含んでもよいのと同様である。
【0039】
他の特徴と組み合わせて、特定の実施形態は、前述の方法の一つ以上の工程を実施するためにプロセッサに手順を実行させるためのコンピュータ可読プログラムコード手段を含むコンピュータプログラム要素をさらに備えてもよい。
【0040】
他の特徴と組み合わせて、特定の実施形態は、コンピュータ可読媒体上に具体化されたコンピュータプログラム要素をさらに備えてもよい。
【0041】
他の特徴と組み合わせて、特定の実施形態は、コンピュータ可読媒体に保存されたプログラムを有するコンピュータ可読媒体をさらに備えてもよく、ここでプログラムは、前述の方法の一つ以上の工程を実施するための手順をコンピュータに実行させるように配設されている。
【0042】
他の特徴と組み合わせて、特定の実施形態は、前述のコンピュータプログラム要素またはコンピュータ可読媒体を含む、制御手段、または制御システム、またはコントローラをさらに備えてもよい。
【0043】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般的に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0044】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、例えば加熱、燃焼、または化学反応によって、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。
【0045】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0046】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0047】
本明細書で使用される「エアロゾル透過要素」という用語は、エアロゾルが要素を部分的または完全に透過することを可能にする要素を記述するために使用される。典型的に、エアロゾル透過要素は、フィルター、スペーサー、または冷却要素であるが、これに限定されない。エアロゾル透過要素は、機能の組み合わせを有してもよい。
【0048】
本明細書で使用される「スリーブ」という用語は、部分的または全体的なカバーを記述するために使用される。理想的には、エアロゾル透過要素のコアの長軸方向の外表面を部分的に覆う。本明細書で使用される「コア」という用語は、エアロゾル透過要素のスリーブによって少なくとも部分的に覆われたエアロゾル透過要素の内側部分を記述するために使用される。
【0049】
「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品の本体を通して遠位の先端の端からマウスピース端に引き出される際の吸入気流の方向に関して記述される、エアロゾル発生物品の要素の相対的な位置を指す。言い換えれば、本明細書で使用される「下流」は、喫煙物品またはエアロゾル発生物品の使用中に気流に関連して定義され、物品のマウスピース端は、空気およびエアロゾルが通って引き出される下流端である。マウスピース端の反対側の端は上流端である。
【0050】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0051】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「備える」および「含む」およびそれらの変形は、「含むが、それに限定されない」を意味し、その他の部分、添加物、構成要素、整数または工程を除外することを意図しない(および除外しない)ことを意味する。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、単数形は複数形を包含するが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、複数ならびに単数を企図するとして理解されるべきであるが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。
【0052】
本出願の範囲内で、先行の段落、請求項、説明および図面、ならびに特に、その個別の特徴において提示された様々な態様、実施形態、実施例、代替物は、個別にまたは任意の組み合わせで用いられうることが明示的に意図されている。すなわち、こうした特徴が不適合でない限り、すべての実施形態または任意の実施形態の特徴を任意のやり方で組み合わせることができる。疑義を避けるために、用語「してもよい(may)」、「および/または」「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」および任意の類似の用語は本明細書で使用される場合、そのように記述された任意の特徴が具体的に提示される必要はないという非限定的な用語として解釈されるべきである。実際、随意の特徴の任意の組み合わせは、本発明の範囲から逸脱することなく、これの特徴が明示的に特許請求されるかどうかにかかわらず、明示的に想定される。出願人は、適宜に任意の元の出願された請求項を変更する、または任意の新しい請求項を出願する権利を留保し、この権利には、本来はその様態で特許請求していなかったものの、任意のその他の請求項の任意の特徴に従属するまたはこれを組み込むために、または本記述に記載された特徴を組み込むために、任意の元の出願された請求項を修正する権利を含む。
【0053】
ここで、例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル透過要素の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によるフィルター製造装置の概略図である。
【
図4】
図4は、
図3の装置によって三つの細片に形成される際のトウの概略図である。
【
図5】
図5は、
図3の装置によって延伸され、かつ細長く切られる際の中央細片の概略図である。
【
図6】
図6は、
図3のフィルター製造装置の一部の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施形態によるフィルター製造装置の概略図である。
【
図8】
図8は、
図7の装置によって二つの細片に形成される際のトウの概略図である。
【
図9】
図9は、
図7の装置によって延伸され、かつ細長く切られる際のさらなる細片の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
ここで
図1および
図2を参照すると、本発明の実施形態によるエアロゾル透過要素1が示されていて、これはエアロゾル発生物品(輪郭線で示す)用のフィルター部品1(これは冷却部品として作用することができる)である。この実施形態におけるフィルター部品1は、延伸されたランダムに配向された繊維のエアロゾル透過性コア11を含む。コア11は、直線状で軸方向に配向された繊維のスリーブ12によって包囲されている。この実施形態において、スリーブ12は1ミリメートルの壁厚さWを有し、またエアロゾル透過性コア11は5ミリメートルの直径Dを有する。コア11は、使用される材料およびその製造中に使用されるプロセスパラメータに依存して、フィルター部品1の軸方向長さ1ミリメートル当たり0.5ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)~2ミリメートル水柱(ゲージ圧)(mmWG)の引き出し抵抗を提供するように構成されてもよい。
【0056】
図3~
図6は、
図1および
図2のフィルター部品1を製造するための装置10を示す。
図3に図示する通り、長いトウ2は保管容器20から供給され、供給組立品3を経由し、かつトウ2を三つの細片2a、2b、2cに分離するセパレータ4を通る。中央細片2bは断片化送達装置5に供給され、一方で外側細片2a、2cは搬送経路を部分的に包囲するガイド6に供給され、この搬送経路に沿って中央細片2bが搬送される。送達装置5は、中央細片2bを複数の繊維52に断片化し、それらがガイド6を通り過ぎる際にそれらを外側細片2a、2cの間に導入する。外側細片2a、2cおよびそれらの間に導入された繊維52は、スリーブ形成体7内に受容され、スリーブ形成体7は細片2a、2cおよび繊維52をまとめ、これらを圧縮し、繊維52の周りで外側細片2a、2cを接合してフィルターロッド8を形成する。
【0057】
この実施形態において、トウ2は、その長さに沿って長軸方向に整列されたポリ乳酸(PLA)繊維で形成されている。トウ供給組立品3は、保管容器20からトウセパレータ4の中に搬送される際に、トウ2に張力を作り出すための一対のテンションローラー31を有する。トウセパレータ4はトウ供給組立品3の下流に位置付けられていて、かつ使用時に速度R1で装置10の搬送方向に回転するように構成された、一対の向かい合った逆回転する分離ローラー4a、4bを含む。分離ローラー4a、4bの各々は、一対のカッターまたはブレード41a、41b(
図6に示す)を有し、これはその他のローラー4b、4aのものと協働して、それらの間を通る際にトウ2を細長く切る。結果として、トウセパレータ4は、トウ供給組立品3からのトウ2を三つの細片、すなわち外側細片2a、2cおよび中央細片2bに分割する。
【0058】
送達装置5は、トウセパレータ4の下流であり、かつ装置10の搬送方向に回転するように配設された一対の向かい合った逆回転する捲縮ローラー5a、5bを有する。この実施形態において、捲縮ローラー5a、5bは速度R2で回転し、これはトウセパレータ4のものより大きい界面速度を作り出し、これによってそれらの間を通過する際に中央細片2bを延伸するように選択されている。捲縮ローラー5a、5bの各々は、中央細片2bがこれらを通過する際に捲縮効果を提供する複数の溝(図示せず)と、かつこれらの間を通る際に中央細片2bを切断する切断要素またはブレード(図示せず)とをその表面上に有する。捲縮ローラー5a、5bの速度R2によって生じた延伸は、溝と切断要素またはブレード(図示せず)とともに、これを通過する際に、トウ2の中央細片2bを細長く切り、かつ延伸する。
【0059】
送達装置5はまた、捲縮ローラー5a、5bの下流に空気ジェット51の形態の流れインデューサーを有し、これらは捲縮ローラー5a、5bの出口の周りに配分されていて、また下流にかつ搬送経路に向かって方向付けられている。このように、各ジェット51は、流れを下流にかつ搬送経路に向かって誘発し、この流れは他方のジェット(複数可)51からの流れと衝突し、それらが捲縮ローラー5a、5bを出る際に繊維52の乱流を生成する。
【0060】
ガイド6もまた、トウセパレータ4の下流にあり、かつ一対の向かい合った、離間した部分的に円錐状および管状であるガイド部材61a、61bを含む(
図6でより明瞭に示される)。上方ガイド部材61aは搬送経路の上方にあり、また下方ガイド部材61bは搬送経路の下方にある。ガイド部材61a、61bは共に、それらの間の垂直方向の間隙Aで、搬送経路を部分的に包囲する。ガイド部材61a、61bの各々は、スリーブ形成体7に向かって内向きに先細りしている。ガイド部材61a、61bの下流端は、スリーブ形成体7から距離Bだけ離間している。この実施形態において、繊維52の乱流がガイド部材61aとガイド部材61bの間の空間の中に、かつスリーブ形成体7に向かって方向付けられるように、ジェット51はガイド部材61a、61bの上流端に隣接している。
【0061】
スリーブ形成体7は、第一の、円錐状セグメントまたは形成漏斗71と、円錐状セグメント71の下流にある第二の、管状要素72とを有する。円錐状セグメント71は、搬送方向に沿って管状要素72の直径に内向きに先細りしている。この実施形態においてスリーブ形成体7は加熱され、これによってトウ2の外側細片2a、2cは、繊維52とともにトウ2の中央細片2bからスリーブ形成体7を通して搬送される際に、加熱と圧縮との両方によって一緒に結合される。スリーブ形成体7はまた、スリーブ形成体7の管状要素72を通して、かつ管状要素72から外に出る、完成した長いフィルターロッド8を引き出すための引き出し機構73を含む。引き出し機構73は、フィルターロッド8を引っ張るまたは引き出すためのモーター74および搬送ベルト75を含む。装置1はまた、ロッドをフィルター部品1に切断するために、スリーブ形成体7の下流にある一体型の切断ステーション(図示せず)も含んでもよい。別の方法として、フィルターロッド8は、さらなる加工のために別の装置の中に供給されてもよい。
【0062】
使用時に、長いトウ2は、保管容器20からトウ供給組立品3のテンションローラー31を経由して、トウセパレータ4の中に供給される。トウ2は、カッター41a、41bがトウ2を外側細片および中央細片2a、2b、2cに分割する、トウセパレータ4のローラー4aとローラー4bの間を通る。外側細片2a、2cは搬送経路から分離され、第一の外側細片2aは、上方ガイド部材61aの外側を通り、第二の外側細片2cは下方ガイド部材61bの外側を通る。外側細片2a、2cは、それぞれのガイド部材61a、61bの外側を通る際に延伸し、かつそれらガイド部材の輪郭に適合する。ガイド部材61a、61bは、外側細片2a、2c内に張力を作り出し、かつそれら外側細片をスリーブ形成体7に向かって誘導する。ガイド部材61a、61bは、装置10の搬送経路を部分的に包囲する部分的に円錐状の管状セグメントの中に外側細片2a、2cを変形および延伸する。
【0063】
中央細片2bは、トウセパレータ4から送達装置5の中に供給され、捲縮ローラー5a、5bの間を通り、この捲縮ローラーが中央細片2bを延伸し、細長く切り、かつ断片化して、ばらの繊維52の改められたトウ領域21bを形成する。中央細片2bが捲縮ローラー5a、5bを通過すると、改められたトウ領域21bは空気ジェット51の作用を受け、これは繊維52の乱流を生成する。空気ジェット51は繊維52に作用し、これによって繊維52は下流に、かつ搬送経路に向かって、そしてガイド部材61aとガイド部材61bの間の空間の中に方向付けられる。
【0064】
繊維52は、部分的に円錐状の管状の外側細片2a、2cに沿って、ランダムな配向でスリーブ形成体7の中に引き出される。外側細片2a、2cは、ガイド部材61a、61bの下流端とスリーブ形成体7の間に懸架され、これによって外側細片は繊維52に露出される。外側細片2a、2cは、ガイド部材61a、61bを通り過ぎる際に、例えば可塑剤スプレー装置(図示せず)から外側細片に塗布される可塑剤を有してもよい。可塑剤の塗布は、外側細片2a、2cの結合を容易にするだけでなく、繊維52が外側細片2a、2cと接触する際にそれらに接着させるようにもする。
【0065】
外側細片2a、2cは、スリーブ形成体7の円錐状セグメント71の中にそれらが引き出される際にまとめられる。繊維52は、円錐状セグメント71から管状要素72に向かって搬送される際に、外側細片2aと外側細片2cの間で徐々に圧縮される。外側細片2a、2cの長軸方向の縁領域は、スリーブ形成体7に入る際に重なり合う。このように、外側細片2a、2cがスリーブ形成体7を通過する際に、長いフィルターロッド8を形成するために繊維52を包囲するスリーブを特徴付けるように、重なり合う領域は加熱および圧縮を使用して共に結合される。引き出し機構73は、複数のフィルター部品1に加工または切断すること(または複数のフィルター部品に加工することおよび切断することの両方)のために、管状要素72を通し、かつ管状要素72の端の外にフィルターロッド8を引き出す。
【0066】
中央および外側の細片2a、2b、2cは、同一のトウ2から形成されている。このように、この装置10を使用して作製されたエアロゾル透過要素1のコア11およびスリーブ12は、同一の材料から形成されている。しかしながら一部の実施形態において、細片2a、2b、2cのうちの一つ以上は、その特性を変化させるためにさらなる中間加工、例えば化学的加工を受けてもよい。追加的に、または別の方法として、繊維52は、スリーブ形成体7の中に導入される前に、または導入される際に、さらなる加工、例えば化学的加工を受けてもよい。
【0067】
フィルター部品1のパラメータが、一つ以上の加工パラメータを変更することによって変化される場合があることは、当業者によって理解されるであろう。例えば、繊維52の量または密度は、例えば分離ローラー4a、4bのカッター41aとカッター41bの間の間隔を変更することによって、中央細片2bの幅をより広く変更することによって増加または減少する場合がある。スリーブ12の厚さは、類似の様態で増加または減少する場合がある。追加的に、または別の方法として、スリーブ12の厚さは、例えば分離ローラー4a、4bの速度R1と、引き出し機構73が完成したロッド8を引き出す速度との間の差異を変更することによって、外側細片2a、2cが延伸される程度を改めることによって変更されてもよい。同様に、中央および外側細片2a、2b、2cの各々は、それらの特徴を変化させるためにプロセスの様々な段階で処理されてもよい。
【0068】
このように、本発明は、特徴が広範囲にわたって変化する可能性があるエアロゾル透過要素1を製造する多目的手段を提供する。
【0069】
ここで
図5~
図8を参照すると、スリーブ12と異なる材料で形成されたコア11を有するフィルター部品1を製造するための本発明の別の実施形態による装置100が示されている。この実施形態による装置100は、第一の実施形態の装置10と類似していて、同様の特徴は同様の参照記号で表され、これはさらに説明されない。装置100は、外側細片2a、2cを形成するトウ2とは異なるトウ102によって中央細片2bが提供されるという点で、第一の実施形態の装置とは異なる。異なるトウ102は、外側細片2a、2cを形成するトウ2とは異なる材料で形成されてもよく、または外側細片2a、2cを形成するトウ2とは異なる一つ以上の特徴を有してもよい(または外側細片2a、2cを形成するトウ2とは異なる材料で形成され、かつ外側細片2a、2cを形成するトウ2とは異なる一つ以上の特性を有してもよい)。
【0070】
装置100は、各々が単一の、向かい合ったカッターまたはブレード143、144を有する、一対の向かい合った逆回転する分離ローラー141、142を有するトウセパレータ104を含む。分離ローラー141、142は、この実施形態においてカッター143、144が協働してトウ2を外側細片2a、2cにのみ分割することを除き、第一の実施形態の分離ローラーと実質的に同一の様態で動作する。装置100は、異なるトウ102のさらなるトウ保管容器120と、さらなるトウ供給組立品103とを有する。さらなるトウ供給組立品103は、装置100の中に搬送される際に、トウ102に張力を作り出すためのテンションローラーのさらなる対131を有する。さらなるトウ供給組立品103はまた、送達装置5の中に入る前にトウ102を整列させるためのアライメントローラー132、133を含む。
【0071】
より具体的には、アライメントローラーの第一の対132は、搬送経路の外部であり、一方で第二のアライメントローラー133は、捲縮ローラー5a、5bのすぐ上流で搬送経路内にある。トウ102は、保管容器120から送達装置5にアライメントローラー132、133を経由して供給され、これによってトウ102は、トウセパレータ104の下流の外側細片2aと外側細片2cの間を通り、かつトウセパレータ104とガイド6の間で搬送経路の中に入る。
図7および
図10に図示する通り、アライメントローラー132、133の回転軸は、分離ローラー141、142および捲縮ローラー5a、5bに対してある角度にあり、外側細片2aと外側細片2bの間の垂直方向の間隙を通るトウ102の横断方向の供給を可能にする。この実施形態において、テンションローラー131、アライメントローラー132、133および細片供給ローラー133は駆動されない。
【0072】
使用時に、トウ2はトウ供給組立品3を経由してトウセパレータ104の中に供給され、分離ローラー141、142によって外側細片2a、2cに分割される。外側細片2a、2cは、装置10と類似したやり方で装置100を通して搬送される。さらなる長いトウ102は、保管容器120からさらなるトウ供給組立品103を経由して送達装置5の中に供給される。さらなる長いトウ102は、この実施形態において中央細片を提供する。さらなるトウ102は、送達装置5の中に供給され、装置10の通り、一対の捲縮ローラーの間を通り、ここでばらの繊維152の改められたトウ領域121が作り出される。改められたトウ領域121は、装置10の通り、断片化され、かつ繊維152の乱流が作り出される。
【0073】
前述の実施形態の幾つかの変形が本発明の範囲から逸脱することなく想定されることは当業者によって理解されるであろう。例えば、スリーブ12を形成するために使用される細片2a、2cの数は、合計で三つ以上であってもよい。スリーブを形成するために使用される細片(複数可)2a、2cは、それらの特性を変化させるためにさらなる中間加工、例えば化学的加工を受けてもよい。さらに、外側細片2a、2cは、加熱および圧力を使用して共に結合されると記載されている一方で、そうである必要はない。外側細片は接着剤を使用して一緒に固定されてもよい。同様に、外側細片2a、2cは、それらに塗布される可塑剤を含んでもよいが、必ずしも含むは必要ない。さらに、流れインデューサー51は、一対の向かい合った空気ジェットであるとして記載されているが、そうである必要はない。流れインデューサー51は、一つ以上のファンもしくはブロワー、またはこれらの任意の組み合わせ、あるいは任意の他の適切な流れ誘発手段であってもよい。その他の変形も想定され、当業者によって理解されるであろう。
【0074】
また、前述の特徴および添付図面に示されたそれらの特徴の任意の数の組み合わせは、先行技術よりも優れた明確な利点を提供し、従って本明細書に記載の発明の範囲内であることも当業者によって理解されるであろう。