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特許7414723信号を処理する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】信号を処理する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/49 20060101AFI20240109BHJP
   H03K 7/08 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H04L25/49 H
H03K7/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020542819
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2019001626
(87)【国際公開番号】W WO2019156517
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-10-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0016353
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0151431
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヒョン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,セ・ジュン
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】高野 洋
【審判官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503985(JP,A)
【文献】特開2000-278332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0069628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L25/49
H03K7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を処理する方法であって、
入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成し、
前記フレームに含まれる少なくとも一つのパルスには、少なくとも一つのデータ(data)パルス、少なくとも一つのボイド(void)パルスおよび他のフレームとの区分のためのフラグ(flag)パルスが含まれ、
単位パルスの周期がTであるとき、前記最小パルス幅は4Tであり、前記フレームが含む前記少なくとも一つのデータパルスおよび前記フラグパルスそれぞれのパルス幅は(4+N)T(Nは0以上の整数)である、方法。
【請求項2】
信号を処理する方法であって、
フレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成し、
前記フレームに含まれる少なくとも一つのパルスには、少なくとも一つのデータ(data)パルス、少なくとも一つのボイド(void)パルスおよび他のフレームとの区分のためのフラグ(flag)パルスが含まれ、
単位パルスの周期がTであるとき、前記最小パルス幅は4Tであり、前記フレームが含む前記少なくとも一つのデータパルスおよび前記フラグパルスそれぞれのパルス幅は(4+N)T(Nは0以上の整数)である、方法。
【請求項3】
前記フレームの長さは変わり得る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フレームの長さおよび前記フレームの最小パルス幅を構成する単位パルスの数に基づいて、パルス幅変調による符号化利得を調節できる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル(look up table)および組み合わせ論理(combinational logic)のうち少なくとも一つを参照して、前記少なくとも一つのパルス幅および位置のうち少なくとも一つを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
直流バランス(DC balance)を維持するために、前記フレームのうち奇数番目または偶数番目のフレームを反転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フレームに対応する入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル(look up table)および組み合わせ論理(combinational logic)のうち少なくとも一つを参照して、前記検出される少なくとも一つのパルス幅および位置に対応するビットストリームを前記出力ビットストリームとして生成する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載された方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録する、非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体。
【請求項9】
信号を処理するシステムであって、
入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成するエンコーディング部を含み、
前記フレームに含まれる少なくとも一つのパルスには、少なくとも一つのデータ(data)パルス、少なくとも一つのボイド(void)パルスおよび他のフレームとの区分のためのフラグ(flag)パルスが含まれ、
単位パルスの周期がTであるとき、前記最小パルス幅は4Tであり、前記フレームが含む前記少なくとも一つのデータパルスおよび前記フラグパルスそれぞれのパルス幅は(4+N)T(Nは0以上の整数)である、システム。
【請求項10】
信号を処理するシステムであって、
フレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含み、
前記フレームに含まれる少なくとも一つのパルスには、少なくとも一つのデータ(data)パルス、少なくとも一つのボイド(void)パルスおよび他のフレームとの区分のためのフラグ(flag)パルスが含まれ、
単位パルスの周期がTであるとき、前記最小パルス幅は4Tであり、前記フレームが含む前記少なくとも一つのデータパルスおよび前記フラグパルスそれぞれのパルス幅は(4+N)T(Nは0以上の整数)である、システム。
【請求項11】
通信システムであって、
入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成するエンコーディング部、および
フレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含み、
前記フレームに含まれる少なくとも一つのパルスには、少なくとも一つのデータ(data)パルス、少なくとも一つのボイド(void)パルスおよび他のフレームとの区分のためのフラグ(flag)パルスが含まれ、
単位パルスの周期がTであるとき、前記最小パルス幅は4Tであり、前記フレームが含む前記少なくとも一つのデータパルスおよび前記フラグパルスそれぞれのパルス幅は(4+N)T(Nは0以上の整数)である、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号を処理する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、データトラフィックの増加およびビッグデータ(big data)環境により、数十または数百Gb/s以上の速度を有するデータ送受信機に対する要求が増加している。
【0003】
一般的に高速通信(hi-speed)で信号の帯域幅(bandwidth)を拡張させると、シンボル間干渉(ISI;Inter Symbol Interference)が増加することになってスペクトル効率が減少する。このため、パルス振幅変調(PAM;Pulse Amplitude Modulation)、パルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)、順列変調(PM;Permutation Modulation)、デュオバイナリ信号(Duo-binary signal)などの従来の信号変調体系を改善して、速い速度で処理できながらも効率が高いデータ送受信機を作るために多くの研究が進行されている。
【0004】
これと関連して、最近200Gb/sおよび400Gb/sイーサネット(登録商標)(Ethernet)で動作するIEEE 802.3bs標準を具現するためのものとして非ゼロ復帰(NRZ;Non Return to Zero)信号伝送体系などが適合であると知られていたが、そのような信号伝送体系での周波数別挿入ロス(insertion loss)を勘案する時、それ以上の性能を出すことができないという限界点が存在した。
【0005】
また、マルチレベル(Multi-level)信号伝送体系を利用すると、このような非ゼロ復帰(NRZ;Non Return to Zero)信号伝送体系などと比べて、システムの線形性(linearity)がより厳格に要求されるだけでなく、信号対雑音比(SNR;Signal to Noise Ratio)が減少する限界があった。
【0006】
そこで、本発明者は、前記のような問題点を克服できる新規かつ進歩した次世代信号処理技術を提案するところである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した問題点をすべて解決することをその目的とする。
【0008】
本発明は、処理率(throughput)を増加させても線形性に対する要求なしに信号対雑音比(SNR;Signal to Noise Ratio)の減少を防止できることを他の目的とする。
【0009】
本発明は、送受信に消耗する電力を減らしつつ、信号の伝送品質を向上させることができることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明の代表的な構成は次の通りである。
【0011】
本発明の一態様によると、信号を処理する方法であって、入力ビットストリーム(input bitstream)からパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)が決定されるフレームを生成する方法が提供される。
【0012】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理する方法であって、フレームからパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)に関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成する方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理するシステムであって、入力ビットストリーム(input bitstream)からパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)が決定されるフレームを生成するエンコーディング部を含むシステムが提供される。
【0014】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理するシステムであって、フレームからパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)に関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含むシステムが提供される。
【0015】
また、本発明の他の態様によると、通信システムであって、入力ビットストリーム(input bitstream)からパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)が決定されるフレームを生成するエンコーディング部、およびフレームからパルス値のトランジション(transition)が発生する少なくとも一つの位置(position)に関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含む通信システムが提供される。
【0016】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理する方法であって、入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成する方法が提供される。
【0017】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理する方法であって、フレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成する方法が提供される。
【0018】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理するシステムであって、入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成するエンコーディング部を含むシステムが提供される。
【0019】
また、本発明の他の態様によると、信号を処理するシステムであって、フレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含むシステムが提供される。
【0020】
また、本発明の他の態様によると、通信システムであって、入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスを含むフレームを生成するエンコーディング部、およびフレームに含まれ、最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのパルスに関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成するデコーディング部を含む通信システムが提供される。
【0021】
この他にも、本発明を具現するための他の方法、他のシステムおよび前記方法を実行するための非一過性のコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体がさらに提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、処理率(throughput)を増加させても線形性に対する要求なしに信号対雑音比(SNR;Signal to Noise Ratio)の減少を防止することができる。
【0023】
また、本発明によると、送受信に消耗する電力を減らしつつ、信号の伝送品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例により信号を処理する全体システムの構成を例示的に示す図である。
図2】本発明の一実施例により信号を処理する全体システムの構成を例示的に示す図である。
図3】本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式で使われ得るフレームを例示的に示した図である。
図4】本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式で使われ得るフレームを例示的に示した図である。
図5】本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式で使われ得るフレームを例示的に示した図である。
図6】本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式で使われ得るフレームを例示的に示した図である。
図7】本発明の一実施例に係る信号処理過程を例示的に示す図である。
図8】本発明の一実施例に係るデコーディング部が複数のフレームを処理する過程を例示的に示した図である。
図9】本発明の一実施例に係るエンコーディング部が複数のフレームを生成する過程を例示的に示した図である。
図10】本発明の一実施例に係る送信機および受信機をすべて含む通信システムを例示的に示した図である。
図11】本発明の一実施例に係る通信システムで変調した信号の波形を例示的に示した図である。
図12】本発明の一実施例により前述した12:4および4:1マルチプレクサの構造および動作原理を例示的に示した図である。
図13】本発明の一実施例に係るサンプラー(sampler)の構造を例示的に示した図である。
図14】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をシミュレーションした結果を示す図である。
図15】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をシミュレーションした結果を示す図である。
図16】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をシミュレーションした結果を示す図である。
図17】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をFR4を利用して実験した結果である。
図18】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をFR4を利用して実験した結果である。
図19】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をFR4を利用して実験した結果である。
図20】本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をFR4を利用して実験した結果である。
図21】本発明の一実施例により本発明に係る通信システムを通じて送受信される場合に、フレームの長さおよび最小パルス幅を構成する単位パルスの数による符号化利得(coding gain)をシミュレーションした結果。
【発明を実施するための形態】
【0025】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施できるように充分かつ詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに異なるが、相互に排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造および特性は、一実施例と関連して本発明の精神および範囲を逸脱することなく他の実施例で具現され得る。また、それぞれの開示された実施例内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味ではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項が請求する範囲およびそれと均等なすべての範囲を包括するものと受け入れられるべきである。図面で類似する参照符号は多様な側面にわたって同一または類似する機能を指し示す。
【0026】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
全体システムの構成
図1および図2は、本発明の一実施例により信号を処理する全体システムの構成を例示的に示す図面である。
【0028】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例に係る送信機100は入力部110、エンコーディング部120および送信部130を含むことができ、本発明の一実施例に係る受信機200は受信部210、デコーディング部220および出力部230を含むことができる。
【0029】
まず、本発明の一実施例によると、入力部110を通じて入力される入力ビットストリーム(input bitstream)はエンコーディング部120によって信号処理されて送信部130を通じて外部の受信機200に伝送され得る。
【0030】
次に、本発明の一実施例によると、受信部210を通じて受信される信号(具体的には、送信機100から送信された信号)はデコーディング部220によって信号処理されて出力部230を通じて出力ビットストリーム(output bitstream)として出力され得る。
【0031】
以下では、図3図13を参照して本発明の一実施例により信号を処理するシステムの動作原理について詳察する。
【0032】
まず、図3図6は、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式で使われ得るフレームを例示的に示した図面である。
【0033】
本発明の一実施例によると、前記のようなフレームは信号処理単位を意味するものであって、時間を基準として特定され得るある信号またはその信号の一部をすべて含む最広義の概念で理解されるべきである。具体的には、本発明の一実施例によると、フレーム内にはパルス(pulse)の類型(type)、数(number)、幅(width)、大きさ(amplitude)(または値(value))、時点(time)または位置(position)に関する情報とパルス値のトランジション(transition)の類型、数、大きさ、時点または位置に関する情報が含まれていてもよい。ここで、位置は、時間を基準として特定される絶対的な位置だけでなく、他のパルスまたは他のトランジションとの関係を基準として特定される相対的な位置を含むことができる。
【0034】
例えば、本発明の一実施例によると、データ類型のパルス3個とボイド類型のパルス2個および1個のフラグ類型のパルスが一つのフレーム(例えば、第1データパルス-第1ボイドパルス-第2データパルス-第2ボイドパルス-第3データパルス-フラグパルスの順で構成される6個のパルスを一つのフレームとして構成)として特定され得る。
【0035】
図3を参照すると、従来の代表的な変調方式の一つである非ゼロ復帰(NRZ;Non-Return-to-Zero)変調方式を利用する場合には、単に電圧レベルだけを利用して入力ビットストリームを示すしかなかったのであるが、本発明に係る信号処理方式を利用する場合には、パルス幅(具体的には、最小パルス幅(minimum width)以上のパルス幅)およびパルスの位置に基づいてフレーム化して入力ビットストリームを変調することができる。
【0036】
図4および図5を参照すると、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120による変調によって入力ビットストリーム(input bitstream)から最小パルス幅以上のパルス幅(pulse width)を有する少なくとも一つのデータパルス(data pulse)310、320および少なくとも一つのボイドパルス(void pulse)330、340、350を含むフレームが生成され得る。
【0037】
また、本発明の一実施例に係るフレームは、他のフレームとの区分のためのフラグパルス(flag pulse)360をさらに含んで構成され得る。例えば、本発明の一実施例に係るフラグパルスは最小パルス幅以上のパルス幅を有するパルスであり得、そのパルス値は0であり得る。ただし、本発明によると、フレーム内にフラグパルスが必ずしも含まれなければならないものではなく、フレームを区分できる他の手段があればフラグパルスが使われなくてもよいことを明らかにしておく。
【0038】
例えば、本発明の一実施例によると、前記データパルス310、320、ボイドパルス330、340、350およびフラグパルス360の最小パルス幅は、シンボル持続時間(symbol duration time)を意味し得る1UI(Unit Interval)であり得、最小パルス幅と関連する量子化数に基づいてその最小パルス幅を構成する単位パルスの周期Tの間の関係が決定され得る。例えば、最小パルス幅が1UIである場合に、UIに適用される量子化数に基づいてUIとそのUIを構成する単位パルスの周期Tの間の関係が決定され得る。
【0039】
より具体的には、本発明の一実施例によると、最小パルス幅が1UIであり、1UI(Unit Interval)に適用される量子化数が4である場合に、前記データパルス310、320、ボイドパルス330、340、350およびフラグパルス360の最小パルス幅は4Tに決定され得る。すなわち、この場合に、各パルス幅が4T以上となるようにして、シンボル間干渉(ISI;Inter Symbol Interference)に発生しやすい狭い(narrow)パルスを遮断することができる。一方、必要に応じてフラグパルスを最小パルス幅である1UI(量子化数が4である場合、4T)に固定されるようにしてもよい。
【0040】
図6を参照すると、本発明の一実施例により、最小パルス幅が1UIであり、フレームの長さが6UIであり、該当フレームには最大2個のデータパルスが含まれ得、UIを構成する単位パルスの周期Tは0.25UI(すなわち、この場合にフレームの長さは24Tであり得る。)であり、各パルスの最小パルス幅は4Tである場合を仮定することができる。
【0041】
具体的には、本発明の一実施例によると、フラグパルス幅は最小パルス幅である4Tに設定され得、フラグパルス(例えば、4T)を除いたデータパルスおよびボイドパルス幅の和は総20Tであり得る。本発明の一実施例によると、前記データパルスおよびボイドパルスを組み合わせて生成され得るフレーム数は343個(すなわち、8.34ビット)であり得るため、本発明に係るエンコーディング(すなわち、信号処理)を通じて獲得され得る符号化利得((Bit FPWM-UI)/UI×100)は最大39%であり得る。また、もし、8ビットの入力ビットストリームを一つのフレームで生成する場合には、本発明に係るエンコーディング(すなわち、信号処理)を通じて得られる符号化利得(gain)は33%であり得る。
【0042】
次に、図7は、本発明の一実施例に係る信号処理過程を例示的に示す図面である。
【0043】
図7を参照すると、まず、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120は、入力ビットストリームを該当入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル(lookup table)123を参照して、少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルス幅と位置を決定することができ、その決定される少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルス幅と位置を演算(例えば、シフト(shift)およびアセンブラ(assembler))(125)することによりフレームを生成することができる。
【0044】
また、本発明の一実施例によると、前記ルックアップテーブル123は一つのフレーム化される入力ビットストリームのビット数、フレームの長さ(例えば、6UI)および最小パルス幅と関連する量子化数(例えば、1UIに適用される量子化数)のうち少なくとも一つに基づいて定義されてもよい。
【0045】
例えば、本発明の一実施例によると、8ビットの入力ビットストリームが一つのフレームで生成され、最小パルス幅が1UIであり、フレームの長さは6UIであり、1UIの量子化数が4に設定され、UIを構成する単位パルスの周期Tが0.25UIである場合に、エンコーディング部120は4T~20Tのパルス幅を有する複数のパルスのうち、ルックアップテーブル123を参照して入力ビットストリームに対応する14Tのパルス幅を有するデータパルスと6Tのパルス幅を有するボイドパルスを選択し、4Tのパルス幅を有するフラグパルスを含ませて、6Tのパルス幅を有するボイドパルス、14Tのパルス幅を有するデータパルスおよび4Tのパルス幅を有するフラグパルスの順で構成されるフレーム127を生成することができる。
【0046】
また、本発明の一実施例によると、長さTに該当するデータをユニットブロック(すなわち、T-spaced Unit Block、以下、「UB」という。)と定義することができ、前記24Tの長さを有するフレームは24UBを含むことができるようになる。
【0047】
すなわち、本発明の一実施例に係る入力部110により入力ビットストリーム32ビットが連続して入力される場合には、エンコーディング部120はルックアップテーブル123を参照して、32ビット入力ビットストリームに対応する4個のフレームを生成することができ、その生成される4個のフレームには96UB(すなわち、各フレーム当たり24UB)が含まれ得るようになる。
【0048】
また、本発明の一実施例に係る送信機100により送信された信号を受信部210で受信すると、デコーディング部220はその受信される信号の少なくとも一つのフレームに含まれる少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルスに関する情報(具体的には、少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルス幅または位置に関する情報)を検出し(223)、該当フレームに対応する入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル225を参照して、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成することができる。
【0049】
例えば、図7を参照すると、本発明の一実施例に係る前記エンコーディング部120によりエンコーディングされた4個のフレーム、すなわち96UBが受信部210により受信される場合を仮定することができる。この場合に、本発明の一実施例に係るデコーディング部220は受信される前記4個のフレームに含まれる各フラグパルス(すなわち、4個のフラグパルス)を基準として、少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルス幅および位置を検出し(例えば、その検出される情報は、フレーム内にボイドパルスおよびデータパルスがそれぞれ一個ずつ存在し、ボイドパルスおよびデータパルスの順で存在し、ボイドパルスのパルス幅は6Tであり、データパルス幅は14Tであるという情報であり得る。)、該当フレームに対応する入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル225を参照して、前記検出される少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルス幅および位置に対応する32ビットの出力ビットフレームを生成することができる。
【0050】
一方、以上では、入力ビットストリームに対応するフレームを生成するか、フレーム内のデータパルスおよびボイドパルス幅と位置に対応する出力ビットストリームを生成するために、入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブルを参照する実施例について主に説明したが、本発明は必ずしも前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内でいくらでも他の方式(例えば、組み合わせ論理(combinational logic)、順序論理(sequential logic)等)が多様に活用され得るという点を明らかにしておく。
【0051】
図8は、本発明の一実施例に係るデコーディング部220が複数のフレームを処理する過程を例示的に示した図面である。
【0052】
図8を参照すると、本発明の一実施例に係るデコーディング部220は複数のフレームが受信される場合、フレーム単位でデータパルスおよびボイドパルスに関する情報を検出するために、各フレームに含まれるフラグパルス810を基準として少なくとも一つのフレームをシフティング(shifting)(例えば、すべてのフレームをT間隔だけ同時にシフティング)することができ、所定の位置にすべてのフラグパルスを位置させてフレームの整列(alignment)処理を遂行することができる。
【0053】
一方、本発明の一実施例によると、前記のようなフレーム整列処理はデコーディング部220で遂行されることに限定されず、後述する前処理部240(例えば、前処理部240に含まれ得るクロックおよびデータ復元(CDR;Clock and Data Recovery)モジュールなど)で遂行されてもよい。
【0054】
図9は、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120が複数のフレームを生成する過程を例示的に示した図面である。
【0055】
図9を参照すると、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120が複数のフレーム910、920を生成する場合に、信号の直流バランス(DC balance)を維持するために、その生成されるフレームのうち奇数番目のフレーム910または偶数番目のフレーム920を反転(具体的には、電気的に反転)させることができる。
【0056】
図10は、本発明の一実施例に係る送信機100および受信機200をすべて含む通信システム300(例えば、transceiver)を例示的に示した図面である。
【0057】
図11は、本発明の一実施例に係る通信システム300で変調した信号の波形を例示的に示した図面である。
【0058】
図10を参照すると、本発明の一実施例に係る送信機100または受信機200はそれぞれ前処理部140、240をさらに含むことができる。
【0059】
具体的には、本発明の一実施例に係る送信機100では、入力部110により入力される入力ビットストリームはエンコーディング部120により変調され得、その変調される信号は前処理部140により前処理された後に送信部130により伝送され得る。
【0060】
例えば、図10および図11を参照すると、本発明の一実施例により一つのフレームで生成される8ビットの入力ビットストリームが一つのフレームで生成され、最小パルス幅が1UIであり、フレームの長さは6UIであり、1UIの量子化数が4に設定され、UIを構成する単位パルスの周期Tが0.25UIである場合に、エンコーディング部120は入力部110により入力される32ビットの入力ビットストリームから96UBを生成することができ、前処理部140は96:12マルチプレクサ(MUX;multiplexer)を利用して前記96UBを12UB(この場合に、12相(phase)のデータであり得る。)で出力することができ、タブジェネレータ(tab generator)を利用してその出力される12UBを所定の位相だけシフティング(shifting)されるようにすることによって、3セットの12UBを出力することができる。また、本発明の一実施例に係る前処理部140は、前記3セットの12UBを12:4および4:1マルチプレクサ(MUX)を利用して演算することによって、送信部130により送信される最終信号を生成することができる。
【0061】
また、本発明の一実施例に係る受信機200では、送信機100から送信される信号(このような信号は、他の通信システム300の送信機100から送信される信号でもよい)が受信部210により受信されると、その受信される信号が前処理部240により前処理された後にデコーディング部220により復調され得、これに伴い、出力ビットストリームが生成され得る。
【0062】
例えば、本発明の一実施例によると、前処理部240は受信部210により受信される12UBを連続時間線形イコライザ(CTLE;Continuous Time Linear Equalizer)、制限増幅器(LA;Limited Amplifier)、サンプラー(Sampler)、リタイマー(retimer)および1:8(または13:104)デマルチプレクサ(DEMUX;demultiplexer)を利用して前処理を遂行することができる。また、本発明の一実施例に係るデコーディング部220は前記前処理によって生成される96UB、すなわち4個のフレームで各フレームに含まれるフラグパルスを参照して、フレーム別に少なくとも一つのデータパルスおよび少なくとも一つのボイドパルスに関する情報を検出し、ルックアップテーブルを参照して32ビットの出力ビットストリームを生成することができる。一方、本発明の一実施例によると、前記前処理部240は受信される信号に関する情報(例えば、12UB)とともにパルスのエッジ(edge)に関する情報をさらに含む情報をデマルチプレキシングすることができ、そのデマルチプレキシングされたデータをデコーディング部220およびそのデコーディング部220と結合され得るクロックおよびデータ復元(CDR;Clock and Data Recovery)モジュールに提供することができる。
【0063】
一方、本発明の一実施例に係る通信システム300はグローバルクロック信号生成部1010をさらに含むことができ、グローバルクロック信号生成部1010は基準クロックを通じて生成されるクロック信号を送信機100および受信機200に分配する機能を遂行することができる。
【0064】
例えば、本発明の一実施例に係るグローバルクロック信号生成部1010は、基準クロック(reference clock)により生成された10GHzのクロック信号(位相固定ループ(PLL;Phase Locked Loop)に周波数補正が遂行され得る)を送信機100と受信機200に分配してそれぞれ5GHzのクロック信号が提供されるようにすることができ、その提供されるクロックに基づいて送信機100と受信機200の前処理部140、240が動作するようにすることができる。一方、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120およびデコーディング部220は同じクロック(例えば、625MHz)に基づいて動作され得る。
【0065】
一方、本発明の一実施例によると、通信システム300の送信機100および受信機200では、消耗電力を減らすために、内部ロジックの構成においてCML(Current Mode Logic)ゲートが使われずにCMOSロジックゲートが使われ得る。
【0066】
図12は、本発明の一実施例により前述した12:4および4:1マルチプレクサ(MUX)の構造および動作原理を例示的に示した図面である。
【0067】
図12を参照すると、本発明の一実施例に係る12:4および4:1マルチプレクサ(MUX)1210、1220は、消耗電力を減らすためにCMLタイプのマルチプレクサ(MUX)を使わず、静的論理ゲート(static logic gate)に基づいて構成され得る。また、本発明の一実施例に係る4:1マルチプレクサ(MUX)1220には、電力消耗を減らし帯域幅を向上させるために誘導負荷1225をさらに含んでもよい。
【0068】
本発明の一実施例に係る12:4および4:1マルチプレクサ(MUX)1210、1220の動作原理を詳察すると、12:4マルチプレクサ(MUX)1210は所定の位相差(例えば、120度)を有する多重相クロック信号(multi-phase clock signal)が重なる時点でマルチプレックスされたデータを出力するように構成され得る。また、本発明の一実施例に係る4:1マルチプレクサ(MUX)1220は前記12:4マルチプレクサ(MUX)1210で出力されるデータを再配列(realign)することができ、所定数(例えば、2個)の隣り合った位相クロック信号が重なる時点でマルチプレックスされたデータを出力することができる。
【0069】
図13は、本発明の一実施例に係るサンプラー(sampler)の構造を例示的に示した図面である。
【0070】
例えば、本発明の一実施例に係るサンプラー(sampler)はトラックアンドホールド(track and hold)に基づいて動作するサンプラーであり得る。より詳細には、本発明の一実施例に係るサンプラーはトラックアンドホールド(track and hold)に基づいて動作するCMOSサンプラー(例えば、12相クアッドレート (12 phase quad rate)CMOSサンプラー)であり得る。
【0071】
本発明の一実施例に係るサンプラーは単一相クロック信号(single phase clock signal)に基づいて動作するサンプラーであり得、このような動作を通じてクロック信号のデューティサイクル(duty cycle)変化に対する免疫(immunity)およびデータ経路(data path)上でのキャパシタンス(capacitance)の減少がなされ得る。
【0072】
実験結果
以下では、本発明に係る通信システムを利用して実験した結果について詳察する。
【0073】
下記の実験において、一つのフレームで生成される8ビットの入力ビットストリームが一つのフレームで生成され、最小パルス幅が1UIであり、フレームの長さは6UIであり、1UIの量子化数が4に設定され、UIを構成する単位パルスの周期Tが0.25UIであるものと想定された。
【0074】
図14図16は、本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をシミュレーションした結果である。
【0075】
図14に図示された回路図は、分散的なチャネル(dispersive channel、1410)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失およびビットエラーレートをシミュレーションするために例示的に設定した回路を示した図面である。本発明の一実施例によると、チャネル1410による歪みを除去するために、送信機100にはプリエンファシス (pre-emphasis、1420)がさらに含まれ得、受信機200にはCTLE1430または判定帰還等化器(DFE;Decision Feedback Equalizer、1440))がさらに含まれ得る。
【0076】
図15に図示されたグラフの横軸は周波数(frequency)を示し、縦軸はSパラメーターのS21を示す。ここで、S21は単位がデシベル(dB)であるので、S21が0に近いほど挿入損失は減少し、スペクトル効率は上昇するものと判断することができる。
【0077】
図15を参照すると、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式1310は、従来の非ゼロ復帰(NRZ;Non-Return-to-Zero)変調方式1520と比べてS21が7dBさらに0に近いため、本発明に係る信号処理方式1510が従来の非ゼロ復帰変調方式1520に比べて伝送性能が高く示されることを確認することができる。
【0078】
図16に図示されたグラフの横軸は信号対雑音比(SNR;Signal to Noise Ratio)を示し、縦軸はビットエラーレートを示す。ここで信号対雑音比が高いほど伝送信号の強度が大きく送信電力が大きいことを意味し、ビットエラーレートが高いほどデータエラーが多くなって伝送性能が低下することを意味する。
【0079】
図16を参照すると、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式1610、1620は、信号対雑音比のすべての区間において従来の非ゼロ復帰(NRZ;Non-Return-to-Zero)変調方式1630およびパルス振幅変調(PAM;Pulse Amplitude Modulation)方式1640よりビットエラーレートが低く示されるため、本発明に係る信号処理方式1610、1620が従来の非ゼロ復帰変調方式1630およびパルス振幅変調方式1640より伝送性能が高く示されることを確認することができる。また、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式1610、1620で判定帰還等化器(DFE;Decision Feedback Equalizer)がさらに利用される場合1610には、そうでない場合1620よりビットエラーレートがさらに低く示されることを確認することができる。
【0080】
図17図19は、本発明の一実施例により分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)をFR4を利用して実験した結果である。
【0081】
図17に図示された回路図は、分散的なチャネル(dispersive channel)で本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に発生する挿入損失(insertion loss)およびビットエラーレート(BER;Bit Error Rate)を実験する例示的に設定した回路を示した図面である。
【0082】
図18に図示されたグラフの横軸は周波数(frequency)を示し、縦軸はSパラメーターのS21を示す。ここでS21は単位がデシベル(dB)であるので、S21が0に近いほど挿入損失は減少し、スペクトル効率は上昇することになる。
【0083】
図18を参照すると、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式1810は従来の非ゼロ復帰(NRZ;Non-Return-to-Zero)変調方式1820に比べてS21が5dBさらに0に近いため(具体的には、FR4チャネルの長さが30cmである環境で)、本発明に係る信号処理方式1810が従来の非ゼロ復帰変調方式1820に比べて伝送性能が高く示されることを確認することができる。
【0084】
図19に図示されたグラフの横軸はFR4チャネルの長さを示し、縦軸はビットエラーレートを示す。ここでビットエラーレートが高いほどデータエラーが多くなって伝送性能が低下することを意味する。
【0085】
図19を参照すると、本発明の一実施例により本発明に係る信号処理方式1910は、FR4チャネルの長さが20cm以上である区間で従来の非ゼロ復帰(NRZ;Non-Return-to-Zero)変調方式1920よりビットエラーレートが低く示され、その変化率が小さく示されるので、本発明に係る信号処理方式1910が従来の非ゼロ復帰変調方式1920より伝送性能が高く示されることを確認することができる。
【0086】
図20に図示されたグラフの横軸はアイパターン(eye pattern)の位置(またはT-Spaced UI)を示し、縦軸はビットエラーレートを示す。
【0087】
図20を参照すると、本発明の一実施例により本発明に係る通信システムは、0.11UIアイパターンの間隔で4x10-9より小さいビットエラーレート(具体的には、FR4チャネルの長さが30cmである環境で)を獲得(2010)できることを確認することができる。
【0088】
一方、本発明の一実施例により本発明に係る通信システムを通じて送受信される信号の測定される波形を分析すると、アイパターンでのピークツーピークジッタ(jitter)値は8.8psであり、復旧クロック信号(recovered clock signal)のジッタ値の標準偏差は1.14psと確認された。
【0089】
一方、図21は、本発明の一実施例により本発明に係る通信システムを通じて送受信する場合に、フレームの長さおよび最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数による符号化利得(coding gain)をシミュレーションした結果である。
【0090】
図21に図示されたグラフの横軸はフレームの長さを示し、縦軸は符号化利得を示す。ここで、フレームの長さが長くなったり、最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数が多くなるほど、符号化利得は増加するものと判断され得る。すなわち、フレームの長さが長くなったり、最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数が多くなることは、一つのフレームを利用してある情報を示すことができる場合の数が増加することを意味し得るので、本発明に係る通信システムでフレームの長さおよび最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数のうち少なくとも一つに基づいて符号化利得が調節され得るようになる。
【0091】
一方、本発明に係る通信システムでフレームの長さが長くなったり、最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数が多くなると、これを処理するための通信システムのロードが増加するため、フレームの長さまたは最小パルス幅(例えば、1UI)を構成する単位パルスの数が通信環境、使用者の選択などによって既設定されたり可変されてもよい。
【0092】
以上では、最小パルス幅が1UIであり、フレームの長さが6UIであり、UIを構成する単位パルスの周期Tが0.25UI(または最小パルス幅を構成する単位パルスの数が4個)であることに基づいて信号を処理する実施例について主に説明したが、本発明は必ずしも前述したフレームの長さまたは単位パルスの周期T(または最小パルス幅を構成する単位パルスの数)にのみ限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内でフレームの長さが3UIであり、UIを構成する単位パルスの周期Tが0.5UI(またはUIを構成する単位パルスの数が2個)であるなど、いくらでも利用できることを明らかにしておく。
【0093】
<拡張的な実施例>
以上では、パルス幅および位置を中心にフレームを生成したり、出力ビットストリームを生成する実施例に関して主に詳察したが、これに限定されず、パルス値、パルス値のトランジション(transition)が発生する位置(position)、パルス値のトランジションが発生する数(number)に基づいてフレームが生成されたり、出力ビットストリームが生成されるなどのように多様に変形されてもよい。
【0094】
すなわち、以上では、パルス幅および位置に基づいてフレーム化して入力ビットストリームが変調されたが、パルス値、パルス値のトランジション(transition)が発生する位置(position)およびパルス値のトランジションが発生する数(number)のうち少なくとも一つに基づいてフレーム化して入力ビットストリームが変調されてもよい。
【0095】
例えば、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120は、入力ビットストリームからパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置が決定されるフレームを生成することができる。本発明の一実施例によると、このようなトランジションが発生する位置は、パルス値が変わる時点での位置を意味し得、例えば、パルスが0から1に変わる時点での位置または1から0に変わる時点での位置を意味し得る。
【0096】
より具体的には、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120は、入力ビットストリームに基づいてパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置を決定することができ、その決定されるパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置に基づいてフレームを生成することができる。
【0097】
また、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120は、入力ビットストリームから前記パルス値をさらに決定することができ、その決定されるパルス値およびその決定されるパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置に基づいてフレームを生成してもよい。
【0098】
また、本発明の一実施例に係るエンコーディング部120は、入力ビットストリームから前記パルス値のトランジションが発生する数(number)をさらに決定することができ、その決定されるパルス値のトランジションが発生する数および前記パルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置に基づいてフレームを生成してもよい。
【0099】
一方、本発明の一実施例によると、フレームの長さまたはフレームの最小パルス幅を構成する単位パルスの数が可変され得るように、フレームでトランジションが発生する少なくとも一つの位置またはフレームでトランジションが発生する数が通信環境、使用者の選択などによって変わり得る。
【0100】
また、本発明の一実施例によると、フレームの長さおよび最小パルス幅を構成する単位パルスの数のうち少なくとも一つに基づいて符号化利得が調節され得るように、フレームの長さ、フレームでトランジションが発生する位置およびフレームでトランジションが発生する数のうち少なくとも一つに基づいてパルス幅変調による符号化利得が調節され得る。
【0101】
次に、本発明の一実施例に係るデコーディング部220はフレームからパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置に関する情報を検出し、前記検出される情報から出力ビットストリームを生成することができる。
【0102】
例えば、本発明の一実施例に係るデコーディング部220は、フレームに対応する入力ビットストリームの属性に基づいて定義されたルックアップテーブル(look up table)および組み合わせ論理(combinational logic)のうち少なくとも一つを参照して、フレームでパルス値のトランジションが発生する少なくとも一つの位置に対応するビットストリームを出力ビットストリームとして生成することができる。
【0103】
本発明の一実施例によると、前述した本発明に係る通信システムと同様に、前記拡張的な実施例で説明されたエンコーディング部120およびデコーディング部220に基づいて通信システムが構成されてもよい。
【0104】
以上で説明された本発明に係る実施例は、多様なコンピュータ構成要素を通じて実行され得るプログラム命令語の形態で具現されてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され得る。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令語、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるプログラム命令語は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであるか、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知となっていて使用可能なものであり得る。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスクおよび磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMおよびDVDのような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical medium)、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのような、プログラム命令語を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令語の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを使ってコンピュータによって実行され得る高級言語コードも含まれる。ハードウェア装置は本発明に係る処理を遂行するために一つ以上のソフトウェアモジュールに変更され得、その逆も同様である。
【0105】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正および変形を図ることができる。
【0106】
したがって、本発明の思想は前記説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等にまたは等価的に変形された全てのものは本発明の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0107】
100 送信機
110 入力部
120 エンコーディング部
130 送信部
140 前処理部
200 受信機
210 受信部
220 デコーディング部
230 出力部
300 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
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図21