IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

特許7414730表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/818 20230101AFI20240109BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20240109BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H10K50/818
H10K71/60
G09F9/30 349D
G09F9/30 339
G09F9/30 365
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020558249
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2019043462
(87)【国際公開番号】W WO2020105433
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2018217335
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 伸一
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-265853(JP,A)
【文献】特開2007-317606(JP,A)
【文献】特開2005-292420(JP,A)
【文献】特開2016-062874(JP,A)
【文献】特開2013-127884(JP,A)
【文献】特開2010-135300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
H05B 33/10-28
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
前記第1電極は前記画素ごとに配置されていると共に、前記基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、前記光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
前記光反射膜の側壁面側には、前記透明電極と導通する導通部が設けられており、
前記光反射膜下に位置する前記絶縁層の部分には、前記光反射膜と導通するビアが形成されており、
前記第1電極には、前記ビアを介して電圧が印加され、
前記導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンからなり、
前記光反射膜は、アルミニウム系金属材料からなり、
前記透明電極は、金属酸化物材料からなり、
前記導通部は、前記光反射膜と前記絶縁層との間に設けられた導電材料層をさらに含み、
前記導電材料層は、チタン窒化物とチタンの積層からなる、
表示装置。
【請求項2】
前記光反射膜は、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光反射膜は、ニッケルとホウ素がドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光反射膜にはアニール処理が施されている、
請求項又はに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は前記絶縁層に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する、
請求項1~のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
前記第1電極は前記画素ごとに配置されていると共に、前記基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、前記光反射膜上に形成された透明電極とを含んでいる、
表示装置の製造方法であって、
前記画素が配置される前記絶縁層の部分にビアを形成する工程、
前記ビアを含む前記絶縁層上に、チタン窒化物とチタンの積層を形成して、導電材料層を形成する工程、
前記導電材料層上に、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料からなる前記光反射膜を形成する工程、
前記光反射膜の側壁面側に前記透明電極と導通する、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンからなる導通部を設ける工程、及び、
前記光反射膜上に金属酸化物材料からなる前記透明電極を形成する工程、
を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項7】
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
前記第1電極は前記画素ごとに配置されていると共に、前記基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、前記光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
前記光反射膜の側壁面側には、前記透明電極と導通する導通部が設けられており、
前記光反射膜下に位置する前記絶縁層の部分には、前記光反射膜と導通するビアが形成されており、
前記第1電極には、前記ビアを介して電圧が印加され、
前記導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンからなり、
前記光反射膜は、アルミニウム系金属材料からなり、
前記透明電極は、金属酸化物材料からなり、
前記導通部は、前記光反射膜と前記絶縁層との間に設けられた導電材料層をさらに含み、
前記導電材料層は、チタン窒化物とチタンの積層からなる、
表示装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示素子、及び、係る表示素子から成る画素を備えた表示装置が周知である。係る表示装置は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な表示装置として注目されている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置は、自発光型であり、更には、高精細度の高速ビデオ信号に対しても充分な応答性を有する。眼鏡やゴーグルなどといったアイウェアに装着するための表示装置にあっては、例えば、画素サイズを数マイクロメートルないし10マイクロメートル程度とするといったことも求められている。
【0004】
有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示素子は、通常、発光層を含む有機層と、有機層を挟むように配置された第1電極および第2電極とから構成される。例えば第1電極は有機層にホールを注入するためのアノード電極であり、第2電極は有機層に電子を注入するためのカソード電極である。有機層で発生した光がカソード電極側へ射出される、いわゆるトップエミッション型である場合、第1電極は光反射性を有するように構成される。
【0005】
カソードコモン構造とする場合、第1電極は表示装置の画素のそれぞれに対応するように設けられると共に、信号電圧が供給される配線に接続される。例えば、特許文献1には、アノード電極と配線とをアノード電極とは別の領域で接続するといったことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-198754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1電極と配線とを第1電極とは別の領域で接続するといった場合、必然的に画素ピッチは拡大する。また、画素において発光領域が占める割合も相対的に低くなるため、画素サイズの更なる微細化や高輝度化といった要求に対しては応じにくいといった問題がある。
【0008】
従って、本開示の目的は、画素ピッチを拡大することなく第1電極と配線とを接続することができ、画素サイズの更なる微細化や高輝度化といった要求にも応ずることができる表示装置および係る表示装置の製造方法、並びに、係る表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、
第1電極には、ビアを介して電圧が印加される、
表示装置である。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置の製造方法は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでいる、
表示装置の製造方法であって、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでいる、
表示装置の製造方法である。
【0011】
上記の目的を達成するための本開示に係る電子機器は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、
第1電極には、ビアを介して電圧が印加される、
表示装置を備えた電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施形態に係る表示装置の概念図である。
図2図2は、画素の模式的な回路図である。
図3図3は、画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図4図4A図4B、及び、図4Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図5図5Aおよび図5Bは、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図6図6Aおよび図6Bは、図5Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図7図7Aおよび図7Bは、図6Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図8図8Aおよび図8Bは、図7Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図9図9Aおよび図9Bは、図8Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図10図10Aおよび図10Bは、図9Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図11図11Aおよび図11Bは、図10Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図12図12は、図11Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図13図13は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図14図14Aおよび図14Bは、第1の実施形態の第1変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図15図15は、第2変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図16図16Aおよび図16Bは、第1の実施形態の第2変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図17図17は、第3変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図18図18Aおよび図18Bは、第1の実施形態の第3変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図19図19Aおよび図19Bは、図18Bに引き続き、第1の実施形態の第3変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図20図20は、第4変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図21図21は、第1の実施形態の第4変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図22図22は、図21に引き続き、第1の実施形態の第4変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図23図23は、図22に引き続き、第1の実施形態の第4変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図24図24は、図23に引き続き、第1の実施形態の第4変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図25図25は、図24に引き続き、第1の実施形態の第4変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図26図26は、第5変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図27図27は、第1の実施形態の第5変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図28図28は、図27に引き続き、第1の実施形態の第5変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図29図29は、図28に引き続き、第1の実施形態の第5変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図30図30は、図29に引き続き、第1の実施形態の第5変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図31図31は、第6変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図32図32は、第1の実施形態の第6変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図33図33Aおよび図33Bは、図32に引き続き、第1の実施形態の第6変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図34図34Aおよび図34Bは、図33Bに引き続き、第1の実施形態の第6変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図35図35は、第2の実施形態に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図36図36Aおよび図36Bは、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図37図37Aおよび図37Bは、図36Bに引き続き、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図38図38Aおよび図38Bは、図37Bに引き続き、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図39図39Aおよび図39Bは、図38Bに引き続き、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図40図40A図40B、及び、図40Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図41図41は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図42図42Aおよび図42Bは、第2の実施形態の第1変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図43図43A図43B、及び、図43Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図44図44A図44B、及び、図44Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図45図45は、第3の実施形態に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図46図46Aおよび図46Bは、第3の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図47図47Aおよび図47Bは、図46Bに引き続き、第3の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図48図48は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図49図49Aおよび図49Bは、第3の実施形態の第1変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図50図50は、第2変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図51図51は、第3の実施形態の第2変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図52図52は、図51に引き続き、第3の実施形態の第2変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図53図53は、図52に引き続き、第3の実施形態の第2変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図54図54は、図53に引き続き、第3の実施形態の第2変形例に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図55図55は、第3変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
図56図56は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図56Aにその正面図を示し、図56Bにその背面図を示す。
図57図57は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図58図58は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態に基づいて本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.電子機器の説明、その他
【0014】
[本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器、全般に関する説明]
本開示に係る表示装置、本開示に係る表示装置の製造方法により得られる表示装置、及び、本開示に係る電子機器に用いられる表示装置(以下、これらを単に、本開示に係る表示装置と呼ぶ場合がある)にあっては、上述したように、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、
第1電極には、ビアを介して電圧が印加される。
【0015】
本開示に係る表示装置にあっては、光反射膜の側壁面側に、透明電極と導通する導通部が設けられている構成とすることができる。この場合において、導通部は、光反射膜の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられている構成とすることができる。例えば、導通部が側壁面の全周あるいは一部を覆うように形成されている構成や、導通部が光反射膜の厚さ方向に沿った側壁面の高さと同じ高さあるいはより低い高さで構成されているといった態様とすることができる。
【0016】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示に係る表示装置において、導通部は、光反射膜と絶縁層との間に設けられた導電材料から成る構成とすることができる。この場合、導通部の外周における平面形状は、光反射膜の外周の平面形状と同形状あるいはこれを包含する形状とすることが好ましい。
【0017】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示に係る表示装置において、透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている構成とすることができる。光反射膜を構成する導電材料の種類にもよるが、通常、導電材料の表面に対して絶縁膜の表面は平坦性に優れている。このため、透明電極の表面についても凹凸を低減することができ、結果として、透過率の向上を図ることができる。
【0018】
あるいは又、本開示に係る表示装置にあっては、透明電極側に位置する光反射膜の上面に、透明電極と導通する導通部が設けられている構成とすることができる。
【0019】
この場合において、隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されていると共に、第1電極を構成する透明電極の上面の一部は隔壁部によって覆われており、導通部は、透明電極が隔壁部によって覆われている領域に重なるように配置されている構成とすることができる。
【0020】
この場合において、透明電極の上面の周辺部は隔壁部によって環状に覆われており、導通部は、透明電極の上面の周辺部を囲むように配置されている構成とすることができる。導通部は、連続した領域として環状に形成されていてもよいし、離散的な領域が環状に配置されるように形成されていてもよい。
【0021】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示に係る表示装置において、導通部は、光反射膜を構成する材料とは異なる導電材料から成る構成とすることができる。光反射膜は、有機層の発光波長に対して高い反射率を示すことが好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム-銅(AlCu)、金(Au)、銀(Ag)を用いることができる。尚、光反射層は単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。例えば、下層側にチタン(Ti)、チタン窒化物などが形成されていてもよい。光反射膜を上述したアルミニウム(Al)などの導電材料から構成する場合、導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンから成る構成とすることが好ましい。
【0022】
あるいは又、本開示に係る表示装置において、光反射膜は、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料から成る構成とすることができ、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム-銅(AlCu)、アルミニウム-シリコン(AlSi)、アルミニウム-シリコン-銅(AlSiCu)などにニッケル(Ni)がドープされている金属材料を例示することができる。この場合において、光反射膜は、ニッケルとホウ素がドープされているアルミニウム系金属材料から成る構成とすることができる。そして、光反射膜にはアニール処理が施されていることが好ましい。
【0023】
アルミニウム単体は酸化しやすく、例えば大気下において表面には絶縁性の酸化アルミニウム(Al23)が形成される。このため、アルミニウムから成る光反射膜と透明電極とが積層された構成にあっては、通常、それらの間でのコンタクト抵抗はkΩオーダーといった値となる。
【0024】
これに対し、例えば、ニッケルがドープされたアルミニウム系金属材料から形成された光反射膜にあっては、熱処理が施されることによってAl3Niが形成される。これによって表面が酸化されにくくなるので、光反射膜と透明電極とが積層された構成においてもコンタクト抵抗を低く保つことが可能となる。光反射膜は、例えば200゜C程度の熱履歴を有することが好ましい。尚、透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている構成とすることもできる。
【0025】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示に係る表示装置において、第1電極は、平坦な絶縁層上に形成されている態様とすることができる。あるいは又、第1電極は絶縁層に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する態様とすることもできる。
【0026】
上述したように、本開示に係る表示装置の製造方法は、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでいる、
表示装置の製造方法であって、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでいる。
【0027】
この場合において、光反射膜の側壁面側に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む構成とすることができる。あるいは又、光反射膜における透明電極側の面に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む構成とすることができる。更には、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料を用いて光反射膜を形成する構成とすることができる。
【0028】
本開示に係る表示装置、あるいは又、本開示に係る表示装置の製造方法(以下、これらを単に本開示と呼ぶ場合がある)にあっては、画素が形成される基板として、ガラス等の透明材料から成る基板や、シリコン等の半導体材料から成る基板を用いることができる。画素が有機層を駆動する駆動回路を有する場合、駆動回路は、ガラス基板上に半導体材料層等を形成し加工すること、あるいは又、シリコン等の半導体材料から成る基板に設けられたウエルにトランジスタ等を適宜形成することなどによって構成することができる。
【0029】
本開示に用いられる透明導電材料として、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn23、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)などの透明導電材料を挙げることができる。尚、場合によっては、光透過性を有するほどに薄膜化した金属膜を用いることもできる。
【0030】
表示装置に用いられる各種配線などは、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の成膜方法と、エッチング法やリフトオフ法などの周知のパターニング法との組み合わせによって形成することができる。
【0031】
表示装置に用いられる絶縁層などは、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及び、シリコン酸窒化物などといった無機材料、あるいは又、ポリイミドなどの有機材料といった、周知の絶縁材料を用いて形成することができる。
【0032】
表示装置は、モノクロ画像を表示する構成であってもよいし、カラー画像を表示する構成であってもよい。表示装置の解像度の値として、U-XGA(1600,1200)、HD-TV(1920,1080)、Q-XGA(2048,1536)の他、(3840,2160)、(7680,4320)等、画像用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0033】
有機層は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、電子注入層を順に積層した構造で構成することができる。有機層を構成する正孔輸送材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、有機発光材料は特に限定するものではなく、周知の材料を用いることができる。
【0034】
表示装置をカラー表示とする場合、白色発光の有機層とカラーフィルタとを組み合わせた構成とすることができる。この構成にあっては、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含む有機層を複数の画素において共通化することができる。従って、有機層を画素毎に個別に塗り分ける必要がない。あるいは又、画素に応じて、赤色発光有機層、緑色発光有機層、青色発光有機層を個別に塗り分けるといった構成とすることもできる。この構成にあっては、画素ピッチが細かくなるほど、個別の塗り分けが困難となる。従って、画素ピッチがマイクロメートル単位であるような表示装置にあっては、白色発光の有機層とカラーフィルタとを組み合わせた構成とすることが好ましい。
【0035】
白色光を出射する有機層は、赤色発光層、緑色発光層、及び、青色発光層を含む積層構造を有する形態とすることができる。あるいは又、有機層が、青色を発光する青色発光層および黄色を発光する黄色発光層を含む積層構造や、青色を発光する青色発光層および橙色を発光する橙色発光層を含む積層構造を有する形態とすることができる。これらは、全体として白色を発光する。
【0036】
第1電極に含まれる導電性の光反射膜を構成する材料として、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム-銅、少なくともニッケルがドープされたアルミニウム系金属材料、銀(Ag)などの金属材料を挙げることができる。また、光反射膜上に形成される透明電極を構成する材料として、上述したITOやIZOなどを例示することができる。
【0037】
第2電極を構成する材料として、発光光を透過し、しかも、有機層に対して電子を効率的に注入できるようや導電材料が好ましい。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、Mg-Ag合金、Mg-Ca合金、Al-Li合金などといった金属あるいは合金を挙げることができる。
【0038】
表示装置を駆動するソースドライバなどは、画素が配置される半導体基板などに集積されて一体となった構成であってもよいし、適宜別体として構成されていてもよい。これらは、周知の回路素子を用いて構成することができる。例えば、図1に示す垂直スキャナーや電源部などについても、周知の回路素子を用いて構成することができる。ヘッドマウントディスプレイ用やビューファインダ用の表示装置など、小型化が要求される用途においては、画素とドライバとが、同じ半導体基板などの上に形成されているといった構成とすることが好ましい。
【0039】
また、本開示の表示装置を備えた電子機器として、直視型や投射型の表示装置の他、画像表示機能を備えた各種の電子機器を例示することができる。
【0040】
本明細書における各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。また、以下の説明で用いる各図面は模式的なものであり、実際の寸法やその割合を示すものではない。
【0041】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0042】
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の概念図である。
【0043】
第1の実施形態に係る表示装置1において、
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素70が、基板10上に、2次元マトリクス状に配列して形成されている。後で図3を参照して詳しく説明するが、第1電極は画素70ごとに配置されていると共に、基板10上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでいる。そして、光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、第1電極には、ビアを介して電圧が印加される。
【0044】
表示装置1は、行方向(図1においてX方向)に沿って配された画素行毎に設けられた、走査線WSおよび給電線PS1、並びに、列方向(図1においてY方向)に沿って配された画素列毎に設けられたデータ線DTLを含んでいる。各画素70は、走査線WSおよび給電線PS1、並びに、データ線DTLに接続された状態で、行方向にN個、列方向にM個、合計N×M個の2次元マトリクス状に配列されている。
【0045】
2次元マトリクス状に配列された画素70によって、画像を表示する画素アレイ部80が構成される。画素アレイ部80における画素70の行数はMであり、各行を構成する画素70の数はNである。
【0046】
走査線WSおよび給電線PS1の本数は、それぞれM本である。第m行目(但し、m=1,2・・・,M)の画素70は、第m番目の走査線WSmおよび第m番目の給電線PS1mに接続されており、1つの画素行を構成する。また、データ線DTLの本数はN本である。第n列目(但し、n=1,2・・・,N)の画素70は、第n番目のデータ線DTLnに接続されている。
【0047】
尚、図1では記載を省略しているが、表示装置1は、全ての画素70に共通に接続される共通給電線を備えている。共通給電線には、共通の電圧として例えば接地電位が定常的に供給される。
【0048】
表示装置1は、更に、画素アレイ部80を駆動するための、ソースドライバ110、垂直スキャナー120、及び、電源部130といった各種回路を備えている。尚、図1に示す例において、垂直スキャナー120、及び、電源部130はそれぞれ、画素アレイ部80の一端側に配置されているとしたが、これは例示に過ぎない。
【0049】
画素アレイ部80は、例えばシリコン等の半導体材料から成る基板10の上に形成されている。尚、ソースドライバ110、垂直スキャナー120、及び、電源部130も、基板10の上に形成されている。即ち、表示装置1は、ドライバ回路一体型の表示装置である。尚、場合によっては、画素アレイ部80を駆動する各種回路が別体として構成されていてもよい。
【0050】
ソースドライバ110には、例えば図示せぬ装置から、表示すべき画像に応じた階調を表す信号LDSigが入力される。信号LDSigは、例えば低電圧のデジタル信号である。ソースドライバ110は、映像信号LDSigの階調値に応じたアナログ信号を生成し、映像信号としてデータ線DTLに供給するために用いられる。生成するアナログ信号は、最大値はソースドライバ110に供給される電源電圧と略同等であって、振れ幅は数ボルト程度といった信号である。
【0051】
垂直スキャナー120は、走査線WSに走査信号を供給する。この走査信号によって、画素70は例えば行単位で線順次走査される。電源部130は、走査線WSの走査とは無関係に、給電線PS1に所定の電源電圧VCC(例えば10ボルト程度)を継続して供給するとして説明する。尚、場合によっては、走査線WSの走査に対応して、給電線PS1に供給する電圧を切り替えるといった構成であってもよい。
【0052】
表示装置1は、例えばカラー表示の表示装置であり、行方向に並ぶ3つの画素70から成る群が1つのカラー画素を構成する。従って、N’=N/3とすれば、画素アレイ部80には、行方向にN’個、列方向にM個、合計N’×M個のカラー画素が配列される。
【0053】
上述したように、垂直スキャナー120の走査信号によって、画素70は行単位で線順次走査される。第m行、第n列目に位置する画素70を、以下、第(n,m)番目の画素70と呼ぶ。
【0054】
表示装置1にあっては、第m行目に配列されたN個の画素70が同時に駆動される。換言すれば、行方向に沿って配されたN個の画素70にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。表示装置1の表示フレームレートをFR(回/秒)と表せば、表示装置1を行単位で線順次走査するときの1行当たりの走査期間(いわゆる水平走査期間)は、(1/FR)×(1/M)秒未満である。
【0055】
以上、表示装置1の概要について説明した。次いで、画素70の詳細について説明する。
【0056】
先ず、画素の回路構成について説明する。図2は、画素の模式的な回路図である。尚、図示の都合上、図2においては、1つの画素70、より具体的には、第(n,m)番目の画素70についての結線関係を示した。
【0057】
図2に示すように、画素(表示素子)70は、電流駆動型の発光部ELP、及び、発光部ELPを駆動するための駆動回路71を備えている。駆動回路71は、映像信号を書き込むための書込みトランジスタTRWと、発光部ELPに電流を流す駆動トランジスタTRDとを少なくとも含んでいる。これらは、pチャネル型トランジスタから構成されている。
【0058】
駆動回路71は、更に、容量部CSを備えている。容量部CSは、駆動トランジスタTRDのソース領域に対するゲート電極の電圧(所謂ゲート・ソース間電圧)を保持するために用いられる。画素70の発光時において、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域(図2において給電線PS1に接続されている側)はソース領域として働き、他方のソース/ドレイン領域はドレイン領域として働く。
【0059】
容量部CSを構成する一方の電極と他方の電極は、それぞれ、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域とゲート電極に接続されている。駆動トランジスタTRDの他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPのアノード電極に接続されている。
【0060】
発光部ELPは、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の発光部であって、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス発光部から成る。発光部ELPは、第1電極(アノード電極)、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び、第2電極(カソード電極)等から成る周知の構成や構造を有する。
【0061】
発光部ELPの他端(具体的には、第2電極)は、共通給電線に接続されている。共通給電線には所定の電圧VCATH(例えば接地電位)が供給される。尚、発光部ELPの容量を符号CELで表す。発光部ELPの容量CELが小さくて画素70を駆動する上で支障を生ずるなどといった場合には、必要に応じて、発光部ELPに対して並列に接続される補助容量を設ければよい。
【0062】
書込みトランジスタTRWは、走査線WSに接続されるゲート電極と、データ線DTLに接続される一方のソース/ドレイン領域と、駆動トランジスタTRDのゲート電極に接続される他方のソース/ドレイン領域とを有する。結果として、データ線DTLからの信号電圧は、書込みトランジスタTRWを介して容量部CSに書き込まれる。
【0063】
上述したように、容量部CSは、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域とゲート電極との間に接続されている。駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域には電源部130から給電線PS1mを介して電源電圧VCCが印加される。データ線DTLからの映像信号電圧VSigが書込みトランジスタTRWを介して容量部CSに書き込まれると、容量部CSは(VCC-VSig)といった電圧を、駆動トランジスタTRDのゲート・ソース間電圧として保持する。駆動トランジスタTRDには、以下の式(1)で表すドレイン電流Idsが流れ、発光部ELPは電流値に応じた輝度で発光する。
【0064】
ds=k・μ・((VCC-VSig)-|Vth|)2 (1)
尚、
μ :実効的な移動度
L :チャネル長
W :チャネル幅
th:閾値電圧
ox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)
k≡(1/2)・(W/L)・Cox
とする。
【0065】
尚、上述した駆動回路71の構成は一例に過ぎない。実際には、駆動回路は種々の構成をとり得る。
【0066】
以上、画素の回路構成について説明した。引き続き、画素を構成する各種構成要素の立体的な配置関係について説明する。図3は、画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0067】
画素70は基板10上に形成されている。上述した駆動回路71を構成するトランジスタは、基板10に設けられたnチャネル型ウエル内に設けられている。尚、図示の都合上、図3にあっては、基板10に設けられたトランジスタを模式的に記した。他の図面においても同様である。
【0068】
基板10の上には、複数の絶縁層、各種配線、及び、絶縁層を介して配置された配線や電極などの間を接続するビアから成る配線層20が形成されている。符号21、符号24、符号27は絶縁層を示し、符号23、符号26は配線や電極を示し、符号22、符号25、符号28はビアを示す。
【0069】
画素70は、第1電極30と有機層41と第2電極42とが積層されて成る。有機層41は、例えば、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層などが積層されて成る。図示の都合上、図面においては、有機層41を1層で表した。
【0070】
第1電極30は画素70ごとに配置されていると共に、基板10上に設けられた絶縁層27上に形成された導電性の光反射膜31と、光反射膜31上に形成された透明電極33とを含んでいる。光反射膜31はアルミニウム、透明電極33はITOから成る。
【0071】
光反射膜31をアルミニウムから構成する場合、その表面に形成される絶縁性の酸化アルミニウム(Al23)による導通性の悪化が問題となる。光反射膜31と透明電極33とが積層された構成にあっては、通常、それらの間でのコンタクト抵抗はkΩオーダーといった値となる。このため、表示装置1にあっては、光反射膜31の側壁面側に、透明電極33と導通する導通部32が設けられている。
【0072】
導通部32は、光反射膜31の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられている。表示装置1において、導通部32は、光反射膜31の側壁面の全周に設けられており、また、光反射膜31の側壁面の高さと同じ高さで形成されている。
【0073】
隣接する第1電極30の間には隔壁部40が形成されている。隔壁部40は、酸化膜、酸化窒化膜、及び、絶縁性のあるポリイミド膜などの単膜、あるいは、それらの積層膜から構成されている。
【0074】
第1電極30を構成する透明電極33の上面の一部は隔壁部40によって覆われている。具体的には、透明電極33の上面の周辺部は隔壁部40によって環状に覆われている。隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を、図4A図4B、及び、図4C示す。
【0075】
導通部32は、光反射膜31を構成する材料とは異なる導電材料から成る。導通部32は、還元性を示す導電材料から形成されていることが好ましく、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンなどを用いて形成することができる。
【0076】
図3に示すように、光反射膜31下に位置する絶縁層27の部分には、光反射膜31と導通するビア28が形成されており、第1電極30には、ビア28を介して電圧が印加される。より具体的には、ビア28からの電圧は、光反射膜31と導通部32とを介して透明電極33に供給される。
【0077】
第1電極30上および隔壁部40上を含む全面に、有機層41が形成されており、その上に、共通の電極として第2電極42が形成されている。第2電極42の上には、保護膜50、カラーフィルタ51、レンズ52が配置されている。更に、封止樹脂53を介して、例えばガラス等から成る対向基板60が配置されている。
【0078】
有機層41による発光には、対向基板60側に向かう成分と、第1電極30側に向かう成分とが含まれる。表示装置1にあっては、第1電極30側に向かう光は光反射膜31によって反射され、基板60側に向かう。従って、有機層41から第1電極30側に向かう光も画像の表示に寄与するので、高輝度化を図ることができる。
【0079】
そして、表示装置1にあっては、光反射膜31下に位置する絶縁層27の部分にビア28が形成されており、第1電極には、ビアを介して電圧が印加される。したがって、第1電極と配線とを第1電極とは別の領域で接続するといった構成と比較して、画素ピッチが拡大するといったことがない。また、画素における発光領域が占める割合も低下しないので、画素サイズの更なる微細化や高輝度化といった要求にも応えることができる。
【0080】
以上、画素を構成する各種構成要素の立体的な配置関係について説明した。引き続き、基板などの模式的な一部端面図である図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10B図11A図11B、及び、図12を参照して、表示装置1の製造方法について説明する。
【0081】
表示装置1の製造方法は、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでおり、
光反射膜の側壁面側に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む。以下、詳しく説明する。
【0082】
[工程-100]
先ず、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成する(図5A参照)。例えば、シリコン等の半導体材料から成る基板10に設けられたウエルにトランジスタ等を適宜形成する。次いで、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。符号23,26などに示す各種配線は、例えばアルミニウム(Al)などの材料を用いて、リソグラフィー技術によって形成することができ、符号22,25,28などに示すビアは、タングステン(W)などの材料を用いて形成することができる。ビア28は、画素が配置される絶縁層27の部分に形成される。
【0083】
[工程-110]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上に光反射膜31を形成する。先ず、ビア28を含む絶縁層27上の全面に、光反射膜31を構成する金属材料層31’を形成する。ここでは、金属材料層31’として膜厚100ナノメートルのアルミニウム層を成膜した(図6A参照)。その後、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、金属材料層31’をパターニングし、画素が配置されるべき部分に光反射膜31を形成する(図6B参照)。
【0084】
[工程-120]
次いで、光反射膜31の側壁面側に透明電極と導通する導通部を設ける。先ず、光反射膜31上を含む全面に、導通部32を構成する導電材料層32’を形成する(図7A参照)。ここでは、導電材料層32’として膜厚50ナノメートルのチタン窒化物を成膜した。表示装置の仕様にもよるが、導電材料層32’の膜厚は30ないし200ナノメートル程度とすることが好ましい。引き続き、ドライエッチングを用いて全面にエッチバック処理を施し、光反射膜31の側壁部分に導通部32を形成する(図7B参照)。還元性がある導電材料を形成する事によって、第1電極30を形成する透明電極33とのコンタクト抵抗を下げることができる。
【0085】
[工程-130]
その後、光反射膜31上に透明電極33を形成する。先ず、光反射膜31上を含む全面に、透明電極33を構成する透明導電材料層33’を形成する(図8A参照)。ここでは、透明導電材料層33’として、膜厚20ナノメートルのITO膜を成膜した。表示装置の仕様にもよるが、透過率等の観点からは、透明導電材料層33’の膜厚は5ないし50ナノメートル程度とすることが好ましい。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて透明導電材料層33’をパターニングし、光反射膜31と導通部32とを覆う透明電極33を形成する(図8B参照)。以上の工程によって、第1電極30を形成することができる。
【0086】
[工程-140]
次いで、隣接する第1電極30の間に隔壁部40を形成する。先ず、第1電極30上を含む全面に、隔壁部40を構成する絶縁材料層40’を形成する(図9A参照)。ここでは、絶縁材料層40’として、膜厚100ナノメートルのSiNx膜を成膜した。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて絶縁材料層40’をパターニングし、第1電極30の上面を露出させることによって隔壁部40を形成することができる(図9B参照)。隔壁部40を形成することによって、隣接する第1電極30間の絶縁性を向上させることができる。
【0087】
尚、図に示す例では、隔壁部40は第1電極30よりも厚さが薄く形成されている。また、透明電極33の上面の周辺部は隔壁部40によって環状に覆われているとした。透明電極33の上面の周辺部を覆う構成とすることで加工上の許容度を拡大することができる。
【0088】
隔壁部40の構造はこれに限るものではなく、例えば、隔壁部40は第1電極30よりと同じ厚さである構成(図10A図10B参照)、隔壁部40は第1電極30より薄い構成(図11A参照)、隔壁部40は第1電極30より厚い構成(図11B参照)とすることもできる。
【0089】
[工程-150]
その後、第1電極30上および隔壁部40上を含む全面に、発光層を含む有機層41を成膜し、次いで、有機層41上に第2電極42を形成する(図12参照)。有機層41は、例えば、第1電極30側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を順次積層することによって形成することができる。
【0090】
有機層41の発光層は、例えば白色発光用の発光層として形成することができる。この場合、カラーフィルタとの組み合わせによってカラー表示を行うことができる。白色発光層は、例えば、赤色発光層、発光分離層、青色発光層、緑色発光層を順次積層することによって形成することができる。あるいは又、青色発光層および黄色発光層を含む積層構造や、青色発光層および橙色発光層を含む積層構造を有する形態とすることもできる。これらは、全体として白色を発光する。有機層を構成する材料は特に限定するものではなく、周知の材料を用いて構成することができる。
【0091】
[工程-160]
次いで、第2電極42上に、保護膜50、カラーフィルタ51、レンズ52を順次形成する。その後、封止樹脂53を介して対向基板60を貼り合わせる(図3参照)。以上の工程によって、表示装置1を得ることができる。
【0092】
第1の実施形態については、種々の変形が可能である。以下、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0093】
図13は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。第1変形例に係る表示装置の概念図は、図1において表示装置1を表示装置1Aと読み替えればよい。後述する他の変形例や他の実施形態においても同様に適宜読み替えをすればよい。
【0094】
表示装置1において、導通部32は、光反射膜31の側壁面の全周に設けられており、また、光反射膜31の側壁面の高さと同じ高さで形成されていた(図3参照)。導通を確保するといった観点からは、導通部は、光反射膜31の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられていれば足りる。第1変形例に係る表示装置1Aにあっては、第1電極30Aにおいて、光反射膜31の側壁下部のみに導通部32Aが設けられているといった構成である(図13参照)。
【0095】
以下、図を参照して、表示装置1Aの製造方法について説明する。
【0096】
[工程-100A]
上述した[工程-100]および[工程-110]を行い、画素が配置されるべき部分に光反射膜31を形成する(図6B参照)。
【0097】
[工程-110A]
次いで、光反射膜31の側壁面側に透明電極と導通する導通部を設ける。先ず、光反射膜31上を含む全面に、導通部32を構成する導電材料層32’を形成する(図14A参照)。ここでは、導電材料層32’として膜厚50ナノメートルのチタン窒化物を成膜した。引き続き、ドライエッチングを用いて全面にエッチバック処理を施し、光反射膜31の側壁部分に導通部32Aを形成する。このとき、エッチバック量を調整して、光反射膜31の側壁下部のみに導通部32Aを設ける。
【0098】
[工程-120A]
その後、上述した[工程-130]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Aを得ることができる。
【0099】
以上、第1変形例について説明した。引き続き、第2変形例について説明する。
【0100】
図15は、第2変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0101】
表示装置1において、透明電極は光反射膜上に直接形成されていた。光反射膜を構成する導電材料の種類にもよるが、通常、導電材料の表面に対して絶縁膜の表面は平坦性に優れている。第2変形例に係る表示装置1Bにあっては、第1電極30Bにおいて、透明電極33は光反射膜31上に設けられた絶縁膜34の上に形成されている。これによって、画素の透過率の更なる向上を図ることができる。
【0102】
以下、図を参照して、表示装置1Bの製造方法について説明する。
【0103】
[工程-100B]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成すると共に、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0104】
[工程-110B]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上に光反射膜31を形成する。先ず、ビア28を含む絶縁層27上の全面に、光反射膜31を構成する金属材料層31’を形成する。ここでは、金属材料層31’として膜厚100ナノメートルのアルミニウム層を成膜した(図16A参照)。引き続き、金属材料層31’上の全面に絶縁材料層34’を形成する。ここでは、絶縁材料層34’として膜厚20ナノメートルのシリコン酸化物層を成膜した(図16B参照)。その後、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、金属材料層31’と絶縁材料層34’とをパターニングする(図は省略)。
【0105】
[工程-120B]
その後、上述した[工程-120]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Bを得ることができる。
【0106】
以上、第2変形例について説明した。引き続き、第3変形例について説明する。
【0107】
図17は、第3変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0108】
表示装置1において、導通部は、光反射膜の側壁面を覆うように設けられていた。これに対し、第3変形例の表示装置1Cにおいて、導通部32Cは、光反射膜31と絶縁層27との間に設けられた導電材料層から成る。
【0109】
以下、図を参照して、表示装置1Cの製造方法について説明する。
【0110】
[工程-100C]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成すると共に、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0111】
[工程-110C]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上に、導通部32Cを構成する導電材料層32C’を形成する。ここでは、導電材料層32Cをチタン窒化物(上層側:20ナノメートル)/チタン(下層側:10ナノメートル)の積層構造として形成した。引き続き、前面に、金属材料層31’として膜厚70ナノメートルのアルミニウム層を成膜した(図18A参照)。導電材料層32C’上にアルミニウムを形成するので、Al結晶の配向性が向上し、金属材料層31’の表面形状の凹凸が低減される。
【0112】
その後、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、導電材料層32C’と金属材料層31’とをパターニングし、画素が配置されるべき部分に光反射膜31を形成する(図18B参照)。パターニング加工する際、導通部32Cが光反射膜31に対して、横方向に突き出す様に加工する。画素ピッチの設定などにもよるが、突き出し量は100ナノメートル以下とすることが好ましい。
【0113】
[工程-120C]
次いで、上述した[工程-130]を行い、光反射膜31上に透明電極33を形成する(図19A図19B参照)。透明電極33を、導通部32Cと光反射膜31とを覆うように形成することによって、導通部32Cを介して、光反射膜31と透明電極33とが好適に電気的に接続される。
【0114】
[工程-130C]
その後、上述した[工程-140]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Cを得ることができる。
【0115】
以上、第3変形例について説明した。引き続き、第4変形例について説明する。
【0116】
図20は、第4変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0117】
表示装置1において、第1電極は、平坦な絶縁層27上に形成されている。これに対し、第4変形例の表示装置1Dにあっては、第1電極30Dは絶縁層40に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する。
【0118】
以下、図を参照して、表示装置1Dの製造方法について説明する。
【0119】
[工程-100D]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成すると共に、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0120】
[工程-110D]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上の全面に絶縁層40を成膜する。絶縁層40の厚さは120ナノメートルとした。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、底部にビア28が露出するように開口OPを形成する(図21参照)。
【0121】
[工程-120D]
その後、例えばITOから成る透明導電材料層33Da’、チタン窒化物から成る導電材料層32D’、アルミニウムから成る金属材料層31’を順次積層する(図22参照)。次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)を用いて、絶縁層40上の不要な透明導電材料層33Da’、導電材料層32D’、金属材料層31’を除去する(図23参照)。
【0122】
[工程-130D]
その後、全面に、例えばITOから成る透明導電材料層33Db’を成膜する(図24参照)。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、光反射膜31上に設けられた透明電極33Dbを形成する(図25参照)。
【0123】
[工程-140D]
その後、上述した[工程-150]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Dを得ることができる。
【0124】
第4変形例にあっては、光反射膜31の側壁部分に加え、更にその底面においても透明電極との導通が確保できる。このため、安定したコンタクト抵抗を確保することができる。
【0125】
以上、第4変形例について説明した。引き続き、第5変形例について説明する。
【0126】
図26は、第5変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0127】
第5変形例の表示装置1Eにおいても、第1電極30Eは絶縁層40に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する。但し、ビア28と光反射膜31とは直接に接する構造である。
【0128】
以下、図を参照して、表示装置1Eの製造方法について説明する。
【0129】
[工程-100E]
上述した[工程-100D]および[工程-110D]を行い、ビア28を含む絶縁層27上の全面に絶縁層40を成膜すると共に、底部にビア28が露出するように開口OPを形成する(図21参照)。
【0130】
[工程-110E]
その後、例えばITOから成る透明導電材料層33Ea’、チタン窒化物から成る導電材料層32E’を順次積層する(図27)。次いで、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いてエッチバックを行い、開口OPの側壁部分にのみ透明導電材料層33Ea’とチタン窒化物から成る導電材料層32E’を残す(図28参照)。
【0131】
[工程-120E]
その後、アルミニウムから成る金属材料層31’を積層する(図29参照)。次いで、例えばCMPを用いて、絶縁層40上の不要な金属材料層31’を除去する(図30参照)。
【0132】
[工程-130E]
その後、全面に、例えばITOから成る透明導電材料層33Eb’を成膜する。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、光反射膜31上に設けられた透明電極33Ebを形成する。このプロセスは、図24および図25と基本的に同じであるので、図を省略する。
【0133】
[工程-140E]
その後、上述した[工程-150]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Eを得ることができる。
【0134】
以上、第5変形例について説明した。引き続き、第6変形例について説明する。
【0135】
図31は、第6変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0136】
第6変形例の表示装置1Fにおいても、第1電極30Fは絶縁層40に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する。そして、絶縁層40に薄膜化が施されることによって、第1電極30Fの側壁において光反射膜31と透明電極33Fとが良好に接続される構造である。
【0137】
以下、図を参照して、表示装置1Fの製造方法について説明する。
【0138】
[工程-100F]
上述した[工程-100D]および[工程-110D]を行い、ビア28を含む絶縁層27上の全面に絶縁層40を成膜すると共に、底部にビア28が露出するように開口OPを形成する(図21参照)。
【0139】
[工程-110F]
その後、例えばチタン窒化物から成る導電材料層32F’アルミニウムから成る金属材料層31’を順次積層する(図32参照)。次いで、例えばCMPを用いて、絶縁層40上の不要な金属材料層31’を除去する(図33A参照)。
【0140】
[工程-120F]
その後、ドライエッチング処理を施し、絶縁層40について薄膜化を施す。これによって、光反射膜31の側壁に導通部32Fが露出する(図33B参照)。薄膜化の程度は、光反射膜31などの厚さに応じて適宜設定すればよい。
【0141】
[工程-130F]
次いで、例えばITOから成る透明導電材料層33F’を成膜する(図34A参照)。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、光反射膜31上に設けられた透明電極33Fを形成する(図34B参照)。
【0142】
[工程-140F]
その後、上述した[工程-150]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置1Fを得ることができる。
【0143】
以上、第6変形例について説明した。上述した各種の変形例を含む第1の実施形態においては、光反射膜の側壁面側に、透明電極と導通する導通部が設けられている。これによって、光反射膜と透明電極との間に良好な導通を確保することができる。そして、光反射膜に接続されるビアを介して、第1電極に電圧を良好に供給することができる。
【0144】
[第2の実施形態]
第2の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0145】
図35は、第2の実施形態に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0146】
第1の実施形態にあっては、光反射膜の側壁面側に、透明電極と導通する導通部が設けられている。これに対し、第2の実施形態に係る表示装置2Aにあっては、透明電極33側に位置する光反射膜31の上面に、透明電極33と導通する導通部232が設けられている。また、後述するように、隣接する第1電極233の間には隔壁部40が形成されていると共に、第1電極233を構成する透明電極33の上面の一部は隔壁部40によって覆われている。そして、導通部232は、透明電極33が隔壁部40によって覆われている領域に重なるように配置されている。
【0147】
表示装置2の製造方法は、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでおり、
光反射膜における透明電極側の面に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む。
【0148】
以下、図を参照して、表示装置2の製造方法について説明する。
【0149】
[工程-200]
上述した[工程-100]および[工程-110]を行い、画素が配置されるべき部分に光反射膜31を形成する(図36A参照)。
【0150】
[工程-210]
次いで、透明電極側に位置する光反射膜31の上面に導通部232を設ける。先ず、光反射膜31上を含む全面に、導通部232を構成する導電材料層232’を形成する(図36B参照)。ここでは、導電材料層232’として膜厚50ナノメートルのチタン窒化物を成膜した。
【0151】
[工程-220]
次いで、導電材料層232’上の所定の部分にマスクMSKを形成する(図37A参照)。マスクMSKは、光反射膜31の上面と側壁の部分とに位置する導電材料層232’を残すように形成されている。そして、エッチングなどによる周知のパターニングを施し、導通部232を形成する(図37B参照)。ここでは、導通部232が光反射膜31の上面の端から100ナノメートルの幅で残るように形成した。
【0152】
[工程-230]
その後、全面に、例えばITOから成る透明導電材料層33’を成膜する(図37A参照)。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、光反射膜31上に設けられた透明電極33を形成することによって、第1電極230を得る(図38B参照)。透明電極33を、導通部232と光反射膜31とを覆うように形成することによって、導通部232を介して、光反射膜31と透明電極33とが好適に電気的に接続される。
【0153】
[工程-240]
次いで、隣接する第1電極230の間に隔壁部40を形成する。先ず、第1電極230上を含む全面に、隔壁部40を構成する絶縁材料層40’を形成する(図39A参照)。ここでは、絶縁材料層40’として、膜厚100ナノメートルのSiNx膜を成膜した。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて絶縁材料層40’をパターニングし、第1電極230の上面を露出させることによって隔壁部40を形成することができる(図39B参照)。
【0154】
尚、隔壁部40の開口部分は光反射膜31の端部から100ナノメートル内側とした。即ち、光反射膜31上に隔壁部40が100ナノメートルオーバーラップする。したがって、導通部232は隔壁部40によって覆われている。
【0155】
図40A図40B、及び、図40Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。図に示すように、透明電極33の上面の周辺部は隔壁部40によって環状に覆われている。そして、導通部232は、透明電極33の上面の周辺部を囲むように、連続した環状に配置されている。
【0156】
隔壁部40が開口している部分で有機層が発光する。従って、隔壁部40の下部に導通部232が存在しても、有機層の発光特性や光反射層の機能に特段悪影響を与えることがない。
【0157】
[工程-250]
その後、上述した[工程-150]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置2を得ることができる。
【0158】
第2の実施形態についても、種々の変形が可能である。以下、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0159】
図41は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0160】
上述した表示装置2にあっては、光反射膜31の上面と側壁の部分の導電材料層232’を残すようにして導通部232を形成した。これに対し、第1変形例に係る表示装置2Aにあっては、光反射膜31の上面にのみ導通部232Aが形成されていることが主に相違する。
【0161】
以下、図を参照して、表示装置2Aの製造方法について説明する。
【0162】
[工程-200A]
先ず、上述した[工程-200]と同様に、画素が配置されるべき部分に光反射膜31を形成する(図36A参照)。
【0163】
[工程-210A]
次いで、透明電極側に位置する光反射膜31の上面に導通部232Aを設ける。先ず、光反射膜31上を含む全面に、導通部232Aを構成する導電材料層232’を形成する。このプロセスは、図36Bと基本的に同じであるので、図は省略した。次いで、導電材料層232’上の所定の部分にマスクMSKを形成する(図42A参照)。マスクMSKは、光反射膜31の上面の導電材料層232’を残すように形成されている。そして、エッチングなどによる周知のパターニングを施し、導通部232Aを形成する(図42B参照)。
【0164】
[工程-220A]
その後、上述した[工程-230]ないし[工程-250]を行うことによって、表示装置2Aを得ることができる。
【0165】
表示装置2Aにおいても、導通部232Aは隔壁部40によって覆われるように構成されている。
【0166】
図43A図43B、及び、図43Cは、隣接する第1電極の間に配置される隔壁部、第1電極に含まれる光反射膜、及び、導通部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。図に示すように、透明電極33の上面の周辺部は隔壁部40によって環状に覆われている。そして、導通部232Aは、透明電極33の上面の周辺部に沿って、連続した環状に配置されている。尚、導通部232Aは、離散的に配置されていてもよい。このような場合の配置関係を、図44A図44B、及び、図44Cに示す。
【0167】
[第3の実施形態]
第3の実施形態も、本開示に係る、表示装置および表示装置の製造方法、並びに、電子機器に関する。
【0168】
図45は、第3の実施形態に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0169】
第1の実施形態や第2の実施形態にあっては、光反射膜に、透明電極と導通する導通部が設けられていた。これに対し、第3の実施形態に係る表示装置3において、第1電極330を形成する光反射膜331は少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料から構成されている。これによって、光反射膜の表面に絶縁性の酸化アルミニウム(Al23)が形成され難くなる。よって、光反射膜331と、その上に形成される透明電極33との間で良好な導通を確保することができる。
【0170】
表示装置2の製造方法は、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでおり、更に、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料を用いて光反射膜を形成する。
【0171】
以下、図を参照して、表示装置3の製造方法について説明する。
【0172】
[工程-300]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成し、次いで、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0173】
[工程-310]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上に光反射膜331を形成する。先ず、ビア28を含む絶縁層27上の全面に、光反射膜331を構成する金属材料層331’を形成する。ここでは、金属材料層31’として、例えばニッケルとホウ素がドープされたアルミニウム系金属材料を用いて、膜厚100ナノメートルの層を成膜した(図46A参照)。その後、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、金属材料層331’をパターニングし、画素が配置されるべき部分に光反射膜331を形成する(図46B参照)。
【0174】
この一連の工程内において、例えば200°Cを超える熱履歴を加える。一例として、300°Cで10分間のアニール処理、あるいは又、パターニングの際のアッシング処理を300°C以上で行っても良い。これらの熱処理によって、光反射膜331にはAl3Niが生成される。Al3Niは酸化されにくいので、結果として、光反射膜331の表面に絶縁性の酸化アルミニウム(Al23)が形成され難くなる。
【0175】
[工程-320]
その後、光反射膜331上に透明電極33を形成する。先ず、光反射膜331上を含む全面に、透明電極33を構成する透明導電材料層33’を形成する(図47A参照)。ここでは、透明導電材料層33’として、膜厚20ナノメートルのITO膜を成膜した。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて透明導電材料層33’をパターニングし、光反射膜331を覆う透明電極33を形成する(図47B参照)。以上の工程によって、第1電極330を形成することができる。
【0176】
[工程-330]
その後、上述した[工程-140]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置3を得ることができる。
【0177】
第3の実施形態についても、種々の変形が可能である。以下、第3の実施形態の変形例について説明する。
【0178】
図48は、第1変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0179】
表示装置3において、透明電極は光反射膜上に直接形成されていた。光反射膜を構成する導電材料の種類にもよるが、通常、導電材料の表面に対して絶縁膜の表面は平坦性に優れている。第1変形例に係る表示装置3Aにあっては、第1電極330Aにおいて、透明電極33は光反射膜331上に設けられた絶縁膜334Aの上に形成されている。これによって、画素の透過率の更なる向上を図ることができる。
【0180】
以下、図を参照して、表示装置3Aの製造方法について説明する。
【0181】
[工程-300A]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成し、次いで、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0182】
[工程-310A]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上に光反射膜331を形成する。先ず、ビア28を含む絶縁層27上の全面に、光反射膜331を構成する金属材料層331’を形成する。ここでは、金属材料層31’として、例えばニッケルとホウ素がドープされたアルミニウム系金属材料を用いて、膜厚100ナノメートルの層を成膜した。引き続き、金属材料層331’上の全面に絶縁材料層334A’を形成する。ここでは、絶縁材料層334A’として膜厚20ナノメートルのシリコン酸化物層を成膜した(図49A)。その後、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、金属材料層331’と絶縁材料層334A’とをパターニングし、画素が配置されるべき部分に第1電極330Aを形成する(図46B参照)。この一連の工程内においても、例えば200°Cを超える熱履歴を加える。光反射膜331にはAl3Niが生成される。
【0183】
[工程-320A]
次いで、上述した[工程-320]、及び、上述した[工程-140]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置3Aを得ることができる。
【0184】
以上、第1変形例について説明した。引き続き、第2変形例について説明する。
【0185】
図50は、第2変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0186】
表示装置3において、第1電極は、平坦な絶縁層27上に形成されている。これに対し、第2変形例の表示装置3Bにあっては、第1電極330Bは絶縁層40に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する。
【0187】
以下、図を参照して、表示装置3Bの製造方法について説明する。
【0188】
[工程-300B]
上述した[工程-100]を行い、基板10に、画素70に用いられるトランジスタを形成すると共に、画素の駆動に必要な配線層20を形成する(図5B参照)。
【0189】
[工程-310B]
次いで、ビア28を含む絶縁層27上の全面に絶縁層40を成膜する。絶縁層40の厚さは120ナノメートルとした。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、底部にビア28が露出するように開口OPを形成する(図21参照)。
【0190】
[工程-320B]
その後、例えばITOから成る透明導電材料層333Ba’と光反射膜331を構成する金属材料層331’を順次積層する(図51参照)。次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)を用いて、絶縁層40上の不要な透明導電材料層333Ba’、金属材料層331’を除去する。引き続き、300°Cで10分間のアニール処理を施し、光反射膜331にAl3Niを生成させる(図52参照)。
【0191】
[工程-330B]
その後、全面に、例えばITOから成る透明導電材料層333Bb’を成膜する(図53参照)。引き続き、リソグラフィーとエッチングなどによる周知のパターニング技術を用いて、光反射膜331上に設けられた透明電極333Bbを形成する(図54参照)。
【0192】
[工程-340B]
その後、上述した[工程-150]ないし[工程-160]を行うことによって、表示装置3Bを得ることができる。
【0193】
以上、第2変形例について説明した。引き続き、第3変形例について説明する。
【0194】
図55は、第3変形例に係る表示装置の画素アレイ部における画素を含む部分の模式的な一部断面図である。
【0195】
第2変形例の表示装置3Bにあっては、第1電極330の下面にも透明電極333Baが形成されていた。第3変形例の表示装置3Cは、表示装置3Bに対して、第1電極330の下面の透明導電膜が省かれているといった構成である。製造方法としては、図51において透明導電材料層333Ba’を形成する際に、第1電極下に位置する透明導電材料層333Ba’の部分を除去する工程を加えればよい。
【0196】
[電子機器の説明]
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。一例として、例えば、テレビジョンセット、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)等の表示部として用いることができる。
【0197】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ、及び、ヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0198】
(具体例1)
図56は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図56Aにその正面図を示し、図56Bにその背面図を示す。レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)411の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)412を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部413を有している。
【0199】
そして、カメラ本体部411の背面略中央にはモニタ414が設けられている。モニタ414の上部には、ビューファインダ(接眼窓)415が設けられている。撮影者は、ビューファインダ415を覗くことによって、撮影レンズユニット412から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0200】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0201】
(具体例2)
図57は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、眼鏡形の表示部511の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部512を有している。このヘッドマウントディスプレイにおいて、その表示部511として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るヘッドマウントディスプレイは、その表示部511として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0202】
(具体例3)
図58は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。シースルーヘッドマウントディスプレイ611は、本体部612、アーム613および鏡筒614で構成される。
【0203】
本体部612は、アーム613および眼鏡600と接続される。具体的には、本体部612の長辺方向の端部はアーム613と結合され、本体部612の側面の一側は接続部材を介して眼鏡600と連結される。なお、本体部612は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0204】
本体部612は、シースルーヘッドマウントディスプレイ611の動作を制御するための制御基板や、表示部を内蔵する。アーム613は、本体部612と鏡筒614とを接続させ、鏡筒614を支える。具体的には、アーム613は、本体部612の端部および鏡筒614の端部とそれぞれ結合され、鏡筒614を固定する。また、アーム613は、本体部612から鏡筒614に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵する。
【0205】
鏡筒614は、本体部612からアーム613を経由して提供される画像光を、接眼レンズを通じて、シースルーヘッドマウントディスプレイ611を装着するユーザの目に向かって投射する。このシースルーヘッドマウントディスプレイ611において、本体部612の表示部に、本開示の表示装置を用いることができる。
【0206】
[その他]
なお、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
【0207】
[A1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、
第1電極には、ビアを介して電圧が印加される、
表示装置。
[A2]
光反射膜の側壁面側に、透明電極と導通する導通部が設けられている、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A3]
導通部は、光反射膜の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられている、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A4]
導通部は、光反射膜と絶縁層との間に設けられた導電材料層から成る、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A5]
透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A6]
透明電極側に位置する光反射膜の上面に、透明電極と導通する導通部が設けられている、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A7]
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されていると共に、第1電極を構成する透明電極の上面の一部は隔壁部によって覆われており、
導通部は、透明電極が隔壁部によって覆われている領域に重なるように配置されている、
上記[A6]に記載の表示装置。
[A8]
透明電極の上面の周辺部は隔壁部によって環状に覆われており、
導通部は、透明電極の上面の周辺部を囲むように配置されている、
上記[A7]に記載の表示装置。
[A9]
導通部は、光反射膜を構成する材料とは異なる導電材料から成る、
上記[A1]ないし[A8]のいずれかに記載の表示装置。
[A10]
導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンから成る、
上記[A9]に記載の表示装置。
[A11]
光反射膜は、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
上記[A1]ないし[A10]のいずれかにに記載の表示装置。
[A12]
光反射膜は、ニッケルとホウ素がドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
上記[A11]に記載の表示装置。
[A13]
光反射膜にはアニール処理が施されている、
上記[A11]または[A12]に記載の表示装置。
[A14]
透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている、
上記[A11]ないし[A13]のいずれかに記載の表示装置。
[A15]
第1電極は絶縁層に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する、
上記[A1]ないし[A14]のいずれかに記載の表示装置。
【0208】
[B1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでおり、
光反射膜下に位置する絶縁層の部分には、光反射膜と導通するビアが形成されており、
第1電極には、ビアを介して電圧が印加される、
表示装置を備えた電子機器。
[B2]
光反射膜の側壁面側に、透明電極と導通する導通部が設けられている、
上記[B1]に記載の電子機器。
[B3]
導通部は、光反射膜の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられている、
上記[B2]に記載の電子機器。
[B4]
導通部は、光反射膜と絶縁層との間に設けられた導電材料層から成る、
上記[B2]に記載の電子機器。
[B5]
透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている、
上記[B2]に記載の電子機器。
[B6]
透明電極側に位置する光反射膜の上面に、透明電極と導通する導通部が設けられている、
上記[B1]に記載の電子機器。
[B7]
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されていると共に、第1電極を構成する透明電極の上面の一部は隔壁部によって覆われており、
導通部は、透明電極が隔壁部によって覆われている領域に重なるように配置されている、
上記[B6]に記載の電子機器。
[B8]
透明電極の上面の周辺部は隔壁部によって環状に覆われており、
導通部は、透明電極の上面の周辺部を囲むように配置されている、
上記[B7]に記載の電子機器。
[B9]
導通部は、光反射膜を構成する材料とは異なる導電材料から成る、
上記[B1]ないし[B8]のいずれかに記載の電子機器。
[B10]
導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンから成る、
上記[B9]に記載の電子機器。
[B11]
光反射膜は、少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
上記[B1]ないし[B10]のいずれかにに記載の電子機器。
[B12]
光反射膜は、ニッケルとホウ素がドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
上記[B11]に記載の電子機器。
[B13]
光反射膜にはアニール処理が施されている、
上記[B11]または[B12]に記載の電子機器。
[B14]
透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている、
上記[B11]ないし[B13]のいずれかに記載の電子機器。
[B15]
第1電極は絶縁層に所定パターンで選択的に埋め込まれたダマシン構造を有する、
上記[B1]ないし[B14]のいずれかに記載の電子機器。
【0209】
[C1]
第1電極と有機層と第2電極とが積層されて成る画素が、基板上に、2次元マトリクス状に配列して形成されており、
第1電極は画素ごとに配置されていると共に、基板上に設けられた絶縁層上に形成された導電性の光反射膜と、光反射膜上に形成された透明電極とを含んでいる、
表示装置の製造方法であって、
画素が配置される絶縁層の部分にビアを形成する工程、
ビアを含む絶縁層上に導電性の光反射膜を形成する工程、及び、
光反射膜上に透明電極を形成する工程、
を含んでいる、
表示装置の製造方法。
[C2]
光反射膜の側壁面側に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む、
上記[C1]に記載の表示装置の製造方法。
[C3]
導通部は、光反射膜の側壁面の少なくとも一部を覆うように設けられている、
上記[C2]に記載の製造方法。
[C4]
導通部は、光反射膜と絶縁層との間に設けられた導電材料層から成る、
上記[C2]に記載の製造方法。
[C5]
透明電極は光反射膜上に設けられた絶縁膜の上に形成されている、
上記[C2]に記載の表示装置の製造方法。
[C6]
光反射膜における透明電極側の面に透明電極と導通する導通部を設ける工程を更に含む、
上記[C1]に記載の表示装置の製造方法。
[C7]
隣接する第1電極の間には隔壁部が形成されていると共に、第1電極を構成する透明電極の上面の一部は隔壁部によって覆われており、
導通部は、透明電極が隔壁部によって覆われている領域に重なるように配置されている、
上記[C6]に記載の表示装置の製造方法。
[C8]
透明電極の上面の周辺部は隔壁部によって環状に覆われており、
導通部は、透明電極の上面の周辺部を囲むように配置されている、
上記[C7]に記載の表示装置の製造方法。
[C9]
導通部は、光反射膜を構成する材料とは異なる導電材料から成る、
上記[C1]ないし[C8]のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
[C10]
導通部は、チタン、チタン窒化物、又は、タングステンから成る、
上記[C9]に記載の表示装置の製造方法。
[C11]
少なくともニッケルがドープされているアルミニウム系金属材料を用いて光反射膜を形成する、
上記[C1]ないし[C10]のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
[C12]
光反射膜は、ニッケルとホウ素がドープされているアルミニウム系金属材料から成る、
上記[C11]に記載の表示装置の製造方法。
[C13]
光反射膜にはアニール処理が施されている、
上記[C11]または[C12]に記載の表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0210】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,2,2A,3,3A,3B・・・表示装置、10・・・基板、20・・・配線層、21・・・絶縁層、22・・・ビア、23・・・配線や電極、24・・・絶縁層、25・・・ビア、26・・・配線や電極、27・・・絶縁層、28・・・ビア、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F,230,230A,330,330A,330B・・・第1電極(アノード電極)、31・・・光反射膜、32,32A,32C,32D,32E,32F,232,232A・・・導通部、33,33Da,33Db,33Ea,33Eb,33F,333Ba,333Bb・・・透明電極、34,334A・・・絶縁膜、40・・・隔壁部(絶縁層)、41・・・有機層、42・・・第2電極(カソード電極)、50・・・保護膜、51・・・カラーフィルタ、52・・・レンズ、53・・・封止樹脂、60・・・対向基板、110・・・ソースドライバ、120・・・垂直スキャナー、130・・・電源部、WS・・・走査線、DTL・・・データ線、PS1・・・給電線、TRW・・・書込みトランジスタ、TRD・・・駆動トランジスタ、CS・・・容量部、ELP・・・有機エレクトロルミネッセンス発光部、CEL・・・発光部ELPの容量、411・・・カメラ本体部、412・・・撮影レンズユニット、413・・・グリップ部、414・・・モニタ、415・・・ビューファインダ、511・・・眼鏡形の表示部、512・・・耳掛け部、600・・・眼鏡、611・・・シースルーヘッドマウントディスプレイ、612・・・本体部、613・・・アーム、614・・・鏡筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58