(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】周囲温度センサーを備えた誘導加熱エアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20240109BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240109BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/57
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2020568760
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2019068045
(87)【国際公開番号】W WO2020008008
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-21
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0128967(US,A1)
【文献】特表2017-516269(JP,A)
【文献】特表2018-502587(JP,A)
【文献】特表2015-536648(JP,A)
【文献】国際公開第2015/192084(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/51
A24F 40/57
A24F 40/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
揮発性基体を含有し、サセプタを有するカートリッジと、
前記カートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置と、を備え、前記エアロゾル発生装置が、
前記カートリッジの少なくとも一部分を受けるようにサイズ設定されたチャンバーを有するハウジング、
前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイル、
電源、
周囲温度センサー、および、
前記周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、前記電源から前記インダクタコイルへの電力供給を制御するように構成された制御回路、を有し、前記制御回路が、
前記周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的値を調整すること、および
前記調整された標的値に基づいて、前記インダクタコイルへの前記電力供給を制御することによって、前記電力供給を制御するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記標的値の前記調整の大きさが、前記周囲温度センサーからの前記一つ以上の周囲温度読取値の関数として変化する、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記標的値の前記調整の
大きさが、前記一つ以上の周囲温度センサー読取値と複数の基準周囲温度値の比較に基づいて決定され、基準周囲温度値それぞれが、特定の標的値調整に関連付けられている、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記電源がDC電源であり、前記制御回路が、前記DC電源から供給されるDC電流を測定することによって、前記サセプタの見かけ抵抗を監視するように構成され、
前記標的値が前記サセプタの標的見かけ抵抗であり、
前記制御回路が、
前記DC電源から前記インダクタコイルへの
DC電力の供給を制御して、前記サセプタの前記見かけ抵抗を前記調整された標的見かけ抵抗値に維持するように構成される、請求項1、2または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記制御回路が、前記一つ以上の周囲温度読取値に基づいて前記標的値を調整し、前記カートリッジの温度を所定の予熱時間内で所望の動作温度まで上昇させるように構成される、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記周囲温度センサーが、前記カートリッジを受けるための前記チャンバーから間隙を介している、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記制御回路および前記
周囲温度センサーが、前記カートリッジを受けるための前記チャンバーから間隙を介したプリント回路基板上に提供される、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記カートリッジが、
第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有し、ニコチン供与源を含有する、第一の区画と、
第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有し、乳酸供与源を含有する、第二の区画と、をさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記カートリッジが、
前記第一の区画の前記第一の空気出口および前記第二の区画の前記第二の空気出口と流体連通している、前記第一の区画および前記第二の区画とは別個の第三の区画をさらに含
む、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
揮発性基体を含有し、サセプタを有するカートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置であって、前記エアロゾル発生装置が、
カートリッジの少なくとも一部分を受けるようにサイズ設定されたチャンバーを有するハウジング、
前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイル、
電源、
周囲温度センサー、および
前記周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、前記電源から前記インダクタコイルへの
電力供給を制御するように構成された制御回路を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項11】
揮発性基体を含有し、サセプタを有するカートリッジと、前記カートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム内の誘導加熱を制御する方法であって、前記エアロゾル発生装置が、前記カートリッジを受けるためのチャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、電源と、周囲温度センサーと、前記電源から前記インダクタコイルへの
電力供給を制御するように構成された制御回路と、を有し、前記方法が、
前記周囲温度センサーを使用して
周囲温度を感知することと、
前記周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的値を調整すること、および
前記調整された標的値に基づいて前記インダクタコイルへの前記電力供給を制御することによって、前記周囲温度センサーからの前記一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、前記電源から前記インダクタコイルへの前記電力供給を制御することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記標的値の前記調整は大きさを有し、前記標的
値の前記調整の
大きさが、前記周囲温度センサーからの前記一つ以上の周囲温度読取値の関数として変化する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記標的値の前記調整は大きさを有し、前記標的値の前記調整の
大きさが、前記周囲温度センサーからの前記一つ以上の周囲温度読取値と複数の基準周囲温度値の比較に基づいて決定され、基準周囲温度値それぞれが、特定の標的値調整に関連付けられている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置の前記電源がDC電源であり、
前記方法が、前記サセプタの
見かけ抵抗を監視する工程をさらに含み、
前記標的値が前記サセプタの標的見かけ抵抗であり、
前記インダクタコイルへの前記電力供給が、前記サセプタの前記見かけ抵抗を前記調整された標的見かけ抵抗に維持するように制御される、請求項11、12または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記カートリッジは温度を有し、前記標的値が、前記一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、前記カートリッジの前記温度を所定の予熱時間内で周囲温度から所望の動作温度まで上昇させるように調整される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムおよびエアロゾル発生装置に関する。特に、本発明は、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルのin situ発生のための、ニコチン供与源および酸供与源を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体エアロゾル形成基体を燃焼させるのではなく加熱することによって、たばこなどの固体エアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生する、ニコチンをユーザーに送達するためのシステムが知られている。これらのシステムの一部は、固体エアロゾル形成基体を受けるように構成されたチャンバーと、固体エアロゾル形成を加熱し、基体から、冷却されるとエアロゾルを形成する揮発性化合物を放出するための、チャンバー内またはチャンバーの周りにあるヒーターとを有するエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル形成基体は、カートリッジ内に提供されてもよい。カートリッジは、たばこの捲縮したシートの集合体、および従来の紙巻たばこに類似した、ロッドの形態に一緒に巻かれたフィルターおよび移動部分などのその他の要素などの、固体エアロゾル形成基体を備えるロッドの形態であってもよい。
【0003】
ニコチンおよび一つ以上のエアロゾル形成体を含有する液体エアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生する、ユーザーにニコチンを送達するためのシステムが知られている。こうしたシステムは、典型的には、液体エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部と、液体エアロゾル形成基体を気化してエアロゾルを発生するためのヒーターと、基体をヒーターに供給するための液体搬送要素とを有する装置を備える。こうした装置に対する公知の構成は、毛細管芯の形態であり、基体の貯蔵部内に延びる部分および貯蔵部から延びる部分を有する液体搬送要素と、貯蔵部から延びる毛細管芯の一部分の周りに巻かれた電気抵抗性のあるコイルの形態のヒーターとを備える。
【0004】
ニコチンをユーザーに送達し、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源を備えるシステムも知られている。例えば、WO2008/121610A1号およびWO2017/108992A1号は、ニコチンおよび酸(ピルビン酸または乳酸など)が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する装置を開示している。別個の酸供与源およびニコチン供与源を備えるシステムは、典型的には、気体状の形態のニコチンおよび酸を反応させて、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。ニコチンおよび酸の蒸気濃度を制御してバランスを保ち、効率的な反応化学量論を得るために、WO2008/121610A1号で開示されているタイプの装置においてニコチンおよび酸を加熱することが提唱されている。
【0005】
上述のシステムの全ては、一つ以上の揮発性基体と、一つ以上の揮発性基体を加熱するための一つ以上のヒーターとを備える。様々なヒーター構成が知られている。一つのヒーター構成は、一つ以上の電気抵抗性のある発熱体を備える。電気抵抗性のある発熱体は、装置の一部を形成し、装置の電源に接続されてもよい。電気抵抗性のある発熱体は、揮発性基体を含有するカートリッジの一部を形成してもよく、カートリッジが装置によって受けれられた時に、カートリッジハウジング上および装置ハウジング上の相補的な接点を介して装置の電源に接続されてもよい。別のヒーター構成は、一つ以上のサセプタ素子および一つ以上のインダクタコイルを含む誘導加熱配置を備える。典型的には、サセプタ素子は、一つ以上の揮発性基体を含むカートリッジ内に配置され、装置は、カートリッジが装置によって受けられた時に、サセプタ素子を加熱するための電圧をサセプタ素子内に誘起する振動磁場を発生するように構成されたインダクタコイルを備える。
【0006】
誘導加熱配置を使用するエアロゾル発生システムは、カートリッジ内の揮発性基体を加熱するために、サセプタを有するカートリッジとインダクタコイルを備える装置との間に電気接点を形成する必要がないという利点を有する。サセプタ素子は、任意のその他の構成要素に電気結合されている必要がなく、はんだまたはその他の結合要素の必要性が除去される。さらに、単純で安価かつ堅牢なカートリッジの構成を可能にする装置の部品としてインダクタコイルが提供されている。カートリッジは作動に用いる装置よりもずっと大量に製造される一般に使い捨ての物品である。従って、より高価な装置を必要とする場合でも、カートリッジのコストを低減することが、製造者および消費者の両者にとって有意なコスト節約につながりうる。
【0007】
カートリッジ内のサセプタ素子は、エアロゾル発生装置の制御回路に物理的に直接接続されていないため、制御回路は、サセプタの電気抵抗などのサセプタの電気特性または電気量を直接測定することができない。そのため、制御回路がサセプタの特性または量を直接測定し、測定された量と温度との間の既知の関係からサセプタの温度を計算することはできない。
【0008】
また、エアロゾル発生システムの近くの周囲温度が、カートリッジの温度を所望の動作温度まで上昇させ、カートリッジの温度を所望の動作温度に維持するシステムの能力に影響を及ぼしうることが見出された。
【0009】
広い範囲の周囲温度において動作することができる誘導加熱エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。広い範囲の周囲温度において揮発性基体を所望の温度に加熱することができる誘導加熱エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。広い範囲の周囲温度において一貫したエアロゾルを発生することができる誘導加熱エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。特に、広い範囲の周囲温度において動作することができる一方で、一貫したエアロゾル送達を提供する、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルのin situ発生のための、ニコチン供与源および酸供与源を備える誘導加熱エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明によると、揮発性基体およびサセプタを有するカートリッジと、カートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受けるようにサイズ設定されたチャンバーを有するハウジングと、チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、電源と、周囲温度センサーと、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成された制御回路とを備える。制御回路は、周囲温度センサーからの一つ以上の読取値に基づいて、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成される。
【0011】
電源は、インダクタコイルに接続され、かつ振動電流をインダクタコイルに提供するように構成されることが好ましい。振動電流は、高周波振動電流であることが好ましい。本明細書で使用される高周波振動電流とは、500kHz~30MHzの周波数を有する振動電流を意味する。高周波振動電流の周波数は1~30MHzとすることができ、1~10MHzであることが好ましく、5~7MHzであることがより好ましい。
【0012】
動作時、振動電流がインダクタコイルを通過して、サセプタ素子内に電圧を誘起する交番磁界を発生させる。誘起された電圧はサセプタ素子内に電流を流させ、この電流がサセプタ素子のジュール加熱を起こし、これが今度はサセプタ素子が位置するカートリッジの一部分を加熱する。サセプタ素子は強磁性であるため、サセプタ素子内のヒステリシス損失によっても有意な量の熱が発生する。
【0013】
本明細書で使用される「サセプタ素子」とは、変動磁界に供された時に加熱する導電性素子を意味する。これはサセプタ素子に誘起された渦電流および/またはヒステリシス損失の結果でありうる。
【0014】
システムは、エアロゾル発生の体験中にカートリッジの温度を周囲温度を上回って上昇させるように構成される。システムは、エアロゾル発生の体験中に、カートリッジの温度を「通常の」または「標準的な」動作温度まで、または経時的に変化する通常の、または標準的な温度プロファイルまで上昇させるように構成されうる。カートリッジの温度を初期温度から所望の動作温度まで上昇させるために必要な時間は、本明細書では「予熱時間」と言及されうる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「周囲温度」という用語は、エアロゾル発生システムの近くの空気温度を意味するために使用される。言い換えれば、「周囲温度」という用語は、エアロゾル発生システムを包囲する空気の温度を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「カートリッジの温度」は、カートリッジの平均温度、およびカートリッジの一つ以上の区画またはカートリッジ内のサセプタ素子などのカートリッジの特定の特徴または領域の温度を指すために使用される。当然のことながら、サセプタ素子を加熱する間、カートリッジの異なる領域が異なる速度で加熱されてもよく、カートリッジの平均温度が、カートリッジの特定の領域における局所温度と著しく異なる場合がある。例えば、カートリッジ内のサセプタの温度は、カートリッジのハウジングの外壁の温度よりも著しく高い可能性が高い。一部のカートリッジについては、サセプタ自体の温度、またはカートリッジの一つ以上の特定の領域の温度がエアロゾル発生にとって極めて重要である場合があり、他のカートリッジについては、カートリッジの平均温度がエアロゾル発生にとって極めて重要でありうる。したがって、「カートリッジの温度」は、カートリッジの温度を一般的に指すために本明細書で使用され、カートリッジの特定の特徴または領域の温度またはカートリッジの平均温度に対する特定の言及は、特定の温度を特定するために必要な場合に使用される。
【0017】
エアロゾル発生装置は周囲温度センサーを含む。周囲温度センサーからの読取値は、システムの近くの周囲温度を示す。
【0018】
有利なことに、周囲温度センサーは、カートリッジを受けるためのチャンバーから実質的に熱的に分離されうる。これにより実質的に、周囲温度センサーによって感知される温度がカートリッジの温度による影響を受けることが防止または抑止されうる。有利なことに、これは、カートリッジ、インダクタコイル、および周囲温度センサー間の熱の伝達を低減しうる。
【0019】
周囲温度センサーは、カートリッジを受けるためのチャンバーから間隙を介してもよい。周囲温度センサーとカートリッジを受けるためのチャンバーとの間に空隙が提供されてもよい。一部の実施形態において、エアロゾル発生装置は細長く、長軸方向軸を備える。周囲温度センサーは、カートリッジを受けるためのチャンバーから長軸方向軸に沿って間隙を介してもよい。周囲温度センサーは、カートリッジを受けるためのチャンバーに対して装置の反対側の端に配置されてもよい。装置は、近位端および遠位端を有してもよく、チャンバーは、近位端に配置されてもよく、周囲温度センサーは、装置の遠位端に配置されてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「近位」および「遠位」という用語は、エアロゾル発生装置およびカートリッジの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。
【0021】
周囲温度センサーは、制御回路から間隔を介してもよい。制御回路は、周囲温度センサーから読取値を受信するために、周囲温度センサーに接続されうる。
【0022】
制御回路および周囲温度センサーは、プリント回路基板上に配置されてもよい。周囲温度センサーは、制御回路と一体型であってもよい。周囲温度センサーは、制御回路の一体型部分であってもよい。
【0023】
周囲温度センサーは、任意の適切なタイプの温度センサーであってもよい。適切な温度センサーとしては、帯域ギャップ温度センサー、抵抗温度検出器(RTD)、熱電対、サーミスタ(特に負の温度係数(NTC)サーミスタ)、及び半導体温度センサーが挙げられる。好ましくは、周囲温度センサーは、MEMS温度センサーである。周囲温度センサーは、負の温度係数(NTC)温度センサーであってもよい。一部の特に好ましい実施形態において、制御回路および周囲温度センサーは、プリント回路基板上に提供される。プリント回路基板は、カートリッジを受けるためのチャンバーから間隙を介してもよい。一部の実施形態において、制御回路は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、または周囲温度センサーを含む特定用途向け集積チップ(ASIC)を含む。
【0024】
制御回路は、エアロゾル発生の体験中またはその前の任意の適切な時間において、周囲温度センサーから一つ以上の周囲温度読取値を取るように構成されうる。一部の好ましい実施形態において、制御回路は、電力がインダクタコイルに供給される前に、周囲温度センサーから一つ以上の周囲温度読取値を取るように構成される。一部の特に好ましい実施形態において、制御回路は、装置がユーザーによってオンにされた後、かつ装置がオンになった後に最初にインダクタコイルに電力が供給される前に、周囲温度センサーから一つ以上の周囲温度読取値を取るように構成される。言い換えれば、制御回路は、エアロゾル発生の体験の前に、周囲温度センサーから一つ以上の周囲温度読取値を取るように構成されうる。有利なことに、これは、カートリッジが加熱されている時に、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値がカートリッジの温度によって影響を受けないことを確実にしうる。
【0025】
一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験の前に、周囲温度センサーから周囲温度読取値を取るように構成される。一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験の開始時に、周囲温度センサーから一つの周囲温度読取値を取るように構成される。一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験中に、周囲温度センサーから複数の周囲温度読取値を取るように構成される。制御回路は、一定の間隔で周囲温度センサーから周囲温度読取値を取るように構成されうる。
【0026】
有利なことに、本発明の発明者らは、エアロゾル発生の体験中、システムの近くの周囲温度がカートリッジの温度に影響を及ぼすことを認識した。特に、発明者らは、システムの近くの周囲温度が、カートリッジの温度を所望の動作温度に維持するシステムの能力に影響を及ぼすことを認識した。また、発明者らは、システムの近くの周囲温度がシステムの予熱時間に影響を及ぼすことも認識した。
【0027】
システムは、装置が動作することが予想される、予め定義された「通常の」または「標準的な」の周囲温度を有しうる。予め定義された「通常の」周囲温度は、室温でありうる。本明細書で使用される場合、室温は、約20℃を意味する。
【0028】
システムが「通常の」周囲温度で使用される場合、システムは、カートリッジの温度を所定の予熱時間内で周囲温度から所望の動作温度まで上昇させるように構成されうる。システムは、所望の動作温度に達すると、カートリッジの温度を所望の動作温度に維持するように構成されうる。
【0029】
発明者らは、一部の構成では、周囲温度が「通常の」周囲温度範囲内にある場合には、カートリッジの温度を所望の動作温度に維持するシステムの能力が、システムの近くの周囲温度によって著しく影響を受けないことを見出した。同様に、発明者らは、一部の構成では、システムの近くの周囲温度が「通常の」周囲温度範囲内にある場合には、システムの予熱時間が周囲温度によって著しく影響を受けないことを見出した。
【0030】
「通常の」周囲温度範囲は、任意の適切な温度範囲としうる。「通常の」周囲温度範囲は、予め定義された「通常の」周囲温度の約1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃以内でありうる。「通常の」周囲温度範囲は、室温の約5℃内としうる。システムが約15℃~約25℃の範囲の周囲温度を有する環境で使用される場合、システムは、周囲温度の影響を補正するためにインダクタコイルに供給される電力を調整する必要がない場合がある。典型的な「通常の」周囲温度範囲は、約10℃~約30℃、約12℃~約27℃、または約15℃~約25℃でありうる。
【0031】
制御回路は、カートリッジ内のサセプタの加熱を制御するために、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成される。制御回路は、特定の電力プロファイルをインダクタコイルに経時的に供給するように構成されてもよい。制御回路は、特定の電力プロファイルをインダクタコイルに経時的に供給し、カートリッジの温度を所望の動作温度まで上昇させ、カートリッジの温度を所望の動作温度に維持するように構成されうる。
【0032】
一部の実施形態において、制御回路は、インダクタコイルに一定の電力を供給するように構成されてもよい。制御回路は、インダクタコイルに一定の電圧を供給するように構成されてもよい。制御回路は、インダクタコイルに一定の電流を供給するように構成されてもよい。
【0033】
一部の実施形態において、制御回路は、インダクタコイルに経時的に供給される電力を変化させるように構成されてもよい。制御回路は、所定の期間にわたって、電力を初期電力から動作電力まで増加させるように構成されてもよい。制御回路は、所定の期間にわたって、インダクタコイルに供給される電力を初期電力から動作電力まで減少させるように構成されてもよい。インダクタコイルに初期電力を供給し、予熱期間後にインダクタコイルに供給される電力を減少させることは、カートリッジの温度をできるだけ早く所望の動作温度まで上昇させるのに有益でありうる。一部の好ましい実施形態において、制御回路は、電源からインダクタコイルに経時的に供給される電力を初期電力から動作電力まで漸進的に増加させるように構成されてもよい。電力の漸進的な増加は、連続的な漸進的増加、または段階的または漸増的な増加であってもよい。制御回路は、電源からインダクタコイルに経時的に供給される電力を初期電力からその後の動作電力よりも大きい最終予熱電力まで漸進的に増加させるように構成されうる。増加率は、増加が時間と共に直接状になるように、予熱期間にわたって一定であってもよい。増加率は、増加が時間と共に凸状の曲線を形成するように、予熱期間にわたって増加してもよい。増加率は、増加が時間と共に凹状の曲線を形成するように、予熱期間にわたって減少してもよい。
【0034】
システムが予め定義された通常の周囲温度で、または予め定義された通常の周囲温度範囲内で使用される場合、制御回路は、インダクタコイルに「通常の」または「標準的な」電力プロファイルを経時的に供給するように構成されうる。「通常の」または「標準的な」電力プロファイルは、所望のカートリッジ温度プロファイルに対応しうる。例えば、通常の電力プロファイルは、制御回路が、エアロゾル発生の体験の期間を通して、電源からインダクタコイルに一定の平均電力を供給することを含みうる。別の実施例において、通常の電力プロファイルは、制御回路が、エアロゾル発生の体験中に、所定の曲線で電源からインダクタコイルに電力を経時的に供給することを含みうる。
【0035】
エアロゾル発生の体験中に、任意の適切な電力が電源からインダクタコイルに供給されうる。例えば、電源からインダクタコイルに供給される適切な「通常の」または「標準的な」動作電力は、約0.25ワット~約1ワット、または約0.35ワット~約0.85ワット、または約0.45ワット~約0.78ワットでありうる。例えば、電源からインダクタコイルに供給される通常の最終予熱電力は、最終予熱電力がその後の動作電力よりも大きい実施形態では、約0.5ワット~約3ワット、約0.75ワット~約2ワット、または約0.9ワット~約1.5ワットでありうる。これらの例示的な電力値は、カートリッジの温度を約90℃~約120℃の最大定常状態温度まで上昇させるように構成された、ニコチン供与源および酸供与源を含むカートリッジを有するシステムに適用可能でありうる。
【0036】
一部の実施形態において、制御回路は、一つ以上の周囲温度読取値に基づいてインダクタコイルに供給される電力を調整し、カートリッジの温度を所定の予熱時間で周囲温度から所望の動作温度まで上昇させるように構成される。これは、システムのユーザーの体験が、周囲温度に関係なく変化しないままであることを確実にするのに役立ちうる。
【0037】
システムが、予め定義された通常の周囲温度を下回るか、または予め定義された通常の周囲温度範囲を下回る周囲温度において使用される場合、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を増加させる必要がありうる。制御回路は、周囲温度センサーからの読取値が、周囲温度が予め定義された通常の周囲温度を下回る、または予め定義された通常の温度範囲を下回ることを示す場合に、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を増加させるように構成されうる。一部の実施形態において、制御回路は、初期予熱期間の間のみ、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を増加させるように構成されてもよい。これは、システムが、カートリッジの温度を予め定義された予熱期間内で所望の動作温度まで上昇させることを可能にしうる。一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験の期間の間、通常の電力プロファイルに対してインダクタに供給される電力を増加させるように構成されてもよい。
【0038】
一部の実施形態において、制御回路は、周囲温度センサーからの読取値が、周囲温度が予め定義された通常の周囲温度を下回る、または通常の周囲温度範囲を下回ることを示す場合に、通常の電力プロファイルの予熱期間に対して予熱期間を増加させるように構成されてもよい。これは、インダクタコイルに初期電力を供給し、通常の電力プロファイルの予熱期間に対して増加された予熱期間の後に電力を動作電力まで減少させることを含みうる。
【0039】
システムが、予め定義された「通常の」周囲温度または予め定義された「通常の」周囲温度範囲を上回る周囲温度において使用される場合、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を減少させる必要がありうる。制御回路は、周囲温度センサーからの周囲温度読取値が、周囲温度が、予め定義された通常の周囲温度を上回る、または予め定義された通常の温度範囲を上回ることを示す場合に、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を減少させるように構成されうる。一部の実施形態において、制御回路は、初期予熱期間の間にのみ、通常の電力プロファイルに対してインダクタコイルに供給される電力を減少させるように構成されてもよい。これは、システムが、カートリッジの温度を所望の動作温度を上回って上昇させることなく、カートリッジの温度を予め定義された予熱期間内で所望の動作温度まで上昇させることを可能にしうる。一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験の期間の間、通常の電力プロファイルに対してインダクタに供給される電力を減少させるように構成されてもよい。
【0040】
一部の実施形態において、制御回路は、周囲温度センサーからの読取値が、周囲温度が予め定義された通常の周囲温度を下回る、または通常の周囲温度範囲を下回ることを示す場合に、通常の電力プロファイルの予熱期間に対して予熱期間を減少させるように構成されてもよい。これは、インダクタコイルに初期電力を供給し、通常の電力プロファイルの予熱期間に対して減少された予熱期間の後に電力を動作電力まで減少させることを含みうる。
【0041】
一部の好ましい実施形態において、制御回路は、標的値に基づいてインダクタコイルに供給される電力を制御するように構成される。標的値は、インダクタコイルに供給される電力を調整するために制御回路によって制御されうる制御回路のパラメータに対応する。
【0042】
標的値は、制御回路が、インダクタコイルに供給される平均電力を標的電力値に維持するように構成されるような標的電力であってもよい。標的値はまた、標的電圧値、標的電流値、または標的抵抗値など、任意のその他の適切なタイプの標的値であってもよい。例えば、標的値は、標的電圧値であってもよく、制御回路は、インダクタコイルの両端の平均電圧を標的電圧値に対応する一定の値に維持することによって、インダクタコイルへの電力供給を制御するように構成されうる。
【0043】
制御回路は、標的値を保存するメモリを含んでもよい。
【0044】
制御回路は、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的値を調整することによってインダクタコイルに供給される電力を制御し、調整された標的値に基づいてインダクタコイルへの電力供給を制御するようにさらに構成されてもよい。標的値は、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて増減しうる。
【0045】
一部の実施形態において、標的値の調整の大きさは、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値の関数として変化しうる。言い換えれば、制御回路は、標的値と、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値との間の既知の関係に基づいて、標的値を調整しうる。例えば、標的値は、制御回路の構成要素の標的抵抗であってもよく、構成要素の抵抗が温度に比例して変化することが知られている。
【0046】
一部の好ましい実施形態において、標的値の調整の大きさは、漸増的、離散的、または段階的であってもよい。言い換えれば、標的値の調整の大きさは、周囲温度読取値の範囲と同一でありうる。有利なことに、これは、プロセッサが標的値を調整するのに必要なリソースを低減しうる。たとえば、周囲温度読取値が、周囲温度が、所定の通常の周囲温度範囲を10℃まで上回ることを示す場合には、標的値は、第一の調整値だけ減少されてもよく、周囲温度読取値が、周囲温度が所定の通常の周囲温度範囲を10℃を超えて上回ることを示す場合には、標的値は、第一の調整値よりも大きい第二の調整値だけ減少されてもよい。同様に、周囲温度読取値が、周囲温度が所定の通常の周囲温度範囲を10℃まで下回ることを示す場合には、標的値は、第一の調整値だけ減少されてもよく、また、周囲温度読取値が、周囲温度が所定の通常の周囲温度範囲を10℃未満で上回ることを示す場合には、標的値は、第一の調整値よりも大きい第二の調整値だけ増加されてもよい。
【0047】
一部の好ましい実施形態において、システムは、動作周囲温度範囲内で動作するように構成されてもよく、制御回路は、一つ以上の周囲温度読取値が、周囲温度が動作周囲温度範囲外にあることを示する場合に、電源からインダクタコイルへの電力供給を防止または抑止するように構成されてもよい。システムに適切な動作周囲温度範囲は、約-10℃~約50℃、約-5℃~約40℃、約0℃~約37℃、または約15℃~約35℃でありうる。制御回路は、一つ以上の周囲温度読取値が、周囲温度が約10℃、約5℃、約0℃、約-5℃、または約-10℃を下回ることを示す場合に、電源からインダクタコイルへの電力供給を防止または抑止するように構成されてもよい。制御回路は、一つ以上の周囲温度読取値が、周囲温度が約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、または約55℃を上回ることを示す場合に、電源からインダクタコイルへの電力供給を防止または抑止するように構成されてもよい。
【0048】
一部の好ましい実施形態において、標的値の調整の大きさは、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値と、複数の基準周囲温度値との比較に基づいて決定され、基準周囲温度値それぞれは、特定の標的値調整と関連付けられている。例えば、制御回路は、周囲温度読取値それぞれを複数の基準周囲温度値と比較するように構成されうる。基準周囲温度値それぞれは、特定の標的値調整と関連付けられうる。
【0049】
一部の実施形態において、標的値は、時間と共に変化しうる。これらの実施形態において、標的プロファイルは、複数の標的値から形成されてもよく、標的値それぞれは、エアロゾル発生の体験の特定の期間に関連付けられている。例えば、第一の標的値は、エアロゾル発生の体験の最初の10秒(すなわち、10秒の予熱期間)に関連付けられてもよく、第二の標的値は、10秒以降の、エアロゾル発生の体験の残りの時間に関連付けられてもよい。
【0050】
制御回路は、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的プロファイルを調整することによって、インダクタコイルに供給される電力を制御するように構成されうる。言い換えれば、制御回路は、複数の標的値のうちの少なくとも一つおよび標的値それぞれに関連付けられた時間を、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて調整することによって、インダクタコイルに供給される電力を制御するように構成されうる。標的プロファイルの調整の大きさは、標的プロファイルの標的値それぞれと同一でありうる。有利なことに、これは、プロセッサが周囲温度に対して調整を行うのに必要なリソースを減少しうる。
【0051】
標的値または標的プロファイルの標的値の調整の大きさは、任意の適切な大きさであってもよい。例えば、調整の大きさは、通常の標的値の最大約75パーセント、通常の標的値の最大約50パーセント、通常の標的値の最大約45パーセント、通常の標的値の最大約35パーセント、通常の標的値の最大約25パーセント、通常の標的値の最大約15パーセント、または通常の標的値の最大約10パーセントでありうる。言い換えれば、調整の大きさが通常の標的値の約10パーセントである場合、通常の標的値を増加させるための調整は、通常の標的値の大きさの1.1倍の調整された標的値をもたらし、通常の標的値を減少させるための調整は、通常の標的値の大きさの0.9倍の調整された標的値をもたらす。
【0052】
標的値または標的プロファイルが標的電力値または標的電力プロファイルである一部の例示的な実施形態において、調整の大きさは、最大約1ワット、最大約0.85ワット、最大約0.75ワット、最大約0.60ワット、または最大約0.55ワットであってもよい。
【0053】
標的値または標的プロファイルは、エアロゾル発生の体験前またはエアロゾル発生の体験中の任意の適切な時間における周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて調整されうる。一部の実施形態において、標的値または標的プロファイルは、エアロゾル発生の体験前に一回調整されてもよい。一部の実施形態において、標的値または標的プロファイルは、エアロゾル発生の体験の開始時に一回調整されてもよい。一部の実施形態において、標的値または標的プロファイルは、エアロゾル発生の体験の前およびエアロゾル発生の体験中に、複数回調整されてもよい。標的値または標的プロファイルは、一定の間隔で調整されてもよい。
【0054】
周囲温度センサーからの周囲温度読取値それぞれおよび測定に基づく標的値調整の決定それぞれは、プロセッサリソースおよび電力を必要とする。したがって、制御回路が、プロセッサ利用および制御回路による電力消費を低減または最小化するために、エアロゾル発生の体験中に周囲温度センサーから一つの周囲温度読取値を取るように構成されることが有益でありうる。
【0055】
エアロゾル発生の体験は、従来の紙巻たばこ一本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるカートリッジの連続的な加熱を含みうる。別の実施例において、エアロゾル発生の体験は、インダクタコイルの所定の回数の吸煙または個別の起動を含みうる。
【0056】
周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値は、エアロゾル発生の体験開始前またはエアロゾル発生の体験の開始時に測定されうることが好ましい。同様に、一つ以上の周囲温度読取値に基づく標的値の調整は、エアロゾル発生の体験の開始前またはエアロゾル発生の体験の開始時に決定されうることが好ましい。
【0057】
一部の実施形態において、制御回路は、予熱時間の間のみ標的値を調整するように構成される。言い換えれば、制御回路は、カートリッジの温度を周囲温度から所望の動作温度まで上昇させるのに必要な時間内で標的値を調整するように構成される。
【0058】
一部の実施形態において、制御回路は、一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的値を調整し、カートリッジの温度を所定の予熱時間内で周囲温度から所望の動作温度まで上昇させるように構成される。これは、システムのユーザーの体験が、周囲温度に関係なく変化しないままであることを確実にするのに役立ちうる。
【0059】
しかし、サセプタの電気量の直接測定のない、誘導加熱エアロゾル発生システム内のサセプタの温度を決定するための先行技術の提案が知られている。例えば、WO-A1-2015/177255号、WO-A1-2015/177256号およびWO-A1-2015/177257号では、DC電源と、インダクタと、サセプタの見かけ抵抗を決定するために使用される、DC電源から供給されるDC電圧およびDC電流を測定するように構成された回路とを有する装置を備える電気的に作動するエアロゾル発生システムが提案されている。これらの実施例では、DC電源はDC/ACコンバータにDC電流を供給するように配置され、DC電源から供給される測定されたDC電圧およびDC電流は、DC/ACコンバータの入力側の電圧および電流である。当然のことながら、一定の電圧DC電源を備える実施形態は、DC電圧を測定する必要がない場合がある。上述の文書で説明したように、サセプタの見かけ抵抗は、サセプタの所定の温度範囲にわたる厳密なモノトニック関係におけるサセプタの温度と共に変化することが見出された。厳密なモノトニック関係は、サセプタの見かけ抵抗の決定からのサセプタの温度の明確な決定を可能にする。言い換えれば、サセプタの見かけ抵抗の決定された値それぞれは、サセプタのみの単一の温度の値を表し、その関係に曖昧性はない。こうしてサセプタの温度とサセプタの見かけ抵抗とのモノトニック関係は、サセプタの温度を決定および制御することを可能にし、したがって揮発性基体の温度を決定および制御することを可能にする。
【0060】
本発明のエアロゾル発生システムは、典型的には、使い捨てカートリッジおよび耐久性または再使用可能な装置を備える。異なるカートリッジにおけるサセプタの幾何学的形状および特性の変化により、装置が、各カートリッジに対して装置を較正することなく、サセプタの見かけ抵抗の測定値のみに基づいてサセプタの絶対温度を正確に決定することができない場合がある。有利なことに、本発明の発明者らは、サセプタの見かけ抵抗を測定することに加えて、システムの近くの周囲温度を測定することが、制御回路に、制御システムがサセプタの絶対温度をより正確に推定することを可能にしうる追加情報を提供することを認識した。
【0061】
一部の特に好ましい実施形態において、装置はDC電源を含み、制御回路はサセプタの見かけ抵抗を測定するように構成される。制御回路は、DC電源の両端のDC電圧およびDC電流を測定し、サセプタの見かけ抵抗を決定するように構成されうる。
【0062】
これらの特に好ましい実施形態において、標的値はサセプタの標的見かけ抵抗である。制御回路は、サセプタの見かけ抵抗を監視し、インダクタコイルに供給される電力を調整して、サセプタの見かけ抵抗を標的見かけ抵抗値に維持するように構成されうる。標的見かけ抵抗値は、システムが通常の周囲温度で使用され、カートリッジが所望の動作温度まで加熱される時のサセプタの見かけ抵抗に対応しうる。
【0063】
サセプタの標的見かけ抵抗は、システムに対する任意の適切な値でありうる。サセプタの標的見かけ抵抗は、サセプタ構成、サセプタの材料、カートリッジの設計、DC/ACコンバータ、制御回路構成要素、およびDC電源に応じて変化しうる。一部の実施形態において、室温でのサセプタの標的見かけ抵抗は、約0.5~約10オーム、約1~約7オーム、約1.5~約5オーム、または約2.0~約3.5オームでありうる。
【0064】
制御回路は、エアロゾル発生の体験を通してサセプタの見かけ抵抗を測定するように構成されうる。
【0065】
動作時、システムが通常の周囲温度範囲内で使用される場合、制御回路は、インダクタコイルに電力を供給する間のサセプタの見かけ抵抗を監視し、インダクタコイルに供給される電力を制御して、サセプタの見かけ抵抗を所望の標的見かけ抵抗値に維持するように構成されうる。サセプタの見かけ抵抗は、概してサセプタの温度に対応するので、標的見かけ抵抗値は、サセプタの予想される所望の温度に設定されうる。
【0066】
一部の実施形態において、制御回路は、単一の標的見かけ抵抗値ではなく、標的見かけ抵抗プロファイルを保存しうる。標的見かけ抵抗プロファイルは、エアロゾル発生の体験内の特定の時間または期間に関連付けられた標的見かけ抵抗値を含みうる。したがって、システムが通常の周囲温度範囲内で使用される場合、制御回路は、インダクタコイルに電力を供給する間のサセプタの見かけ抵抗を監視し、インダクタコイルに供給される電力を制御して、エアロゾル発生の体験中の特定の時間の間、サセプタの見かけ抵抗を所望の標的見かけ抵抗値に維持するように構成されうる。言い換えれば、制御回路は、インダクタコイルに供給される電力を制御して、サセプタの見かけ抵抗を標的見かけ抵抗プロファイルに維持するよう構成されうる。標的見かけ抵抗プロファイルは、初期予熱標的見かけ抵抗プロファイルを含みうる。予熱標的見かけ抵抗プロファイルは、予熱期間にわたって時間と共に標的見かけ抵抗値を漸進的に増加させうる。増加は連続的であってもよく、または増加は段階的または漸増的であってもよい。増加率は、増加が時間と共に直接状になるように、予熱期間にわたって一定であってもよい。増加率は、増加が時間と共に凸状の曲線を形成するように、予熱期間にわたって増加してもよい。増加率は、増加が時間と共に凹状の曲線を形成するように、予熱期間にわたって減少してもよい。
【0067】
標的見かけ抵抗値は、初期標的見かけ抵抗値から動作標的見かけ抵抗値まで増加しうる。標的見かけ抵抗値は、予熱期間後の動作標的見かけ抵抗値であってもよい。標的見かけ抵抗値は、初期標的見かけ抵抗値から最終予熱標的見かけ抵抗値まで増加しうる。最終予熱標的見かけ抵抗値は、予熱期間後の標的見かけ抵抗値である動作標的見かけ抵抗値よりも大きくてもよい。
【0068】
周囲温度センサーからの読取値が、システムの近くの周囲温度が通常の周囲温度範囲外にあることを示す場合、制御回路は、標的見かけ抵抗値または標的見かけ抵抗プロファイルを調整するように構成されうる。制御回路は、周囲温度の特定の範囲に対して所定の量だけ標的見かけ抵抗を調整するように構成されうる。
【0069】
標的周囲温度の所定の調整の大きさは、任意の適切な大きさであってもよい。一部の好ましい実施形態において、所定の調整は、最大約10オーム、最大約7オーム、最大約5オーム、最大約4オーム、最大約3オーム、最大約2オーム、または最大約1オームであってもよい。特定の実施形態において、調整の大きさは、約15℃~約36℃の範囲の温度に対して最大約1オームとしうる。
【0070】
エアロゾル発生装置の制御回路は、インダクタコイルに供給される電力を任意の適切な方法で制御するように構成されうる。制御回路は、インダクタコイルに供給される瞬間的な電力を調整するように構成されうるが、典型的には、制御回路は、インダクタコイルに供給される平均電力を制御する。好ましくは、制御回路は、電源の負荷サイクルを制御することによってインダクタコイルに供給される平均電力を制御するように構成される。特に、制御回路は、パルス幅変調を使用して、インダクタコイルに供給される平均電力を制御しうる。
【0071】
DC電源を備える特に好ましい実施形態において、制御回路は、サセプタが所望の動作温度にある時のサセプタの見かけ抵抗に対応する通常の標的見かけ抵抗を保存しうる。制御回路は、複数の通常の標的見かけ抵抗を保存してもよく、通常の標的見かけ抵抗それぞれは、エアロゾル発生の体験における期間に関連付けられている。複数の通常の標的見かけ抵抗は、経時的な通常の標的見かけ抵抗プロファイルを形成する。
【0072】
エアロゾル発生装置は、有利なことに電源を備える。電源はDC電源であることが好ましい。電源は、装置のハウジング内に収容されうる。一般的に、電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池である。しかしながら、一部の実施形態において、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を要するものとしてもよく、例えば一回以上のエアロゾル発生の体験などの一回以上のユーザー操作のために十分なエネルギーの蓄積が許容される容量を有しうる。例えば、電源は従来の紙巻たばこ一本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるカートリッジの連続的な加熱を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定回数の喫煙、またはインダクタコイルの不連続的な起動を可能にする十分な容量を有しうる。
【0073】
エアロゾル発生装置は制御回路を備える。制御回路は、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成された電気回路である。制御回路は、電源に、そしてインダクタコイルに接続される。電気回路は、装置のハウジング内に収容されてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。上述のように、電気回路は、周囲温度センサーを含みうる。電気回路はインダクタコイルへの電流の供給を調節するよう構成される。電流は装置の起動後にインダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙ごとに)供給されてもよい。電気回路は、有利なことに、インダクタコイルにAC電流を供給するためのDC/ACインバータを含む。DC/ACインバータは有利なことに、クラスDまたはクラスEの電力増幅器を含んでもよい。
【0074】
制御回路、電源およびインダクタコイルは、約1キロアンペア/メートル(kA/m)~約5 kA/mの間、約2kA/m~約3kA/mの間、または約2.5kA/mの磁界強度(H-場強度)を有する変動電磁場を生成することができうる。誘導加熱装置は、約1Mhz~約30Mhzの間、約1Mhz~約10Mhzの間、または約5Mhz~約7Mhzの間の周波数を有する変動電磁場を生成することができうる。
【0075】
低オーム負荷を形成し、LC負荷ネットワークのインダクタの電気抵抗よりも著しく高い電気抵抗を有するサセプタについては、本発明のエアロゾル発生装置は、約5秒の期間、または一部の実施形態では5秒未満の期間でさえサセプタを300~400℃の範囲の温度に加熱しうる。
【0076】
エアロゾル発生装置はハウジングを備える。ハウジングは、カートリッジの少なくとも一部分を受けるためのチャンバーを含む。ハウジングは、遠位端および近位端を有してもよく、チャンバーは、装置の近位端に配置されうる。周囲温度センサーは、装置の遠位端に配置されてもよい。装置ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0077】
エアロゾル発生システムは、カートリッジを備える。カートリッジは、揮発性基体を含有し、サセプタを有する任意の適切なタイプのカートリッジであってもよい。
【0078】
サセプタは、揮発性基体に熱的に近接してカートリッジ内に配置されてもよい。サセプタおよび揮発性基体に関連して本明細書で使用される「熱的に近接して」という用語は、適切な量の熱がサセプタから基体に伝達されるように、サセプタが基体に対して位置していることを意味する。例えば、「熱的に近接して」という用語は、サセプタが揮発性基体と物理的に密着している実施形態を含むことを意味する。「熱的に近接して」という用語はまた、サセプタが揮発性基体から間隔を介しており、対流または放射を介して揮発性基体に適切な量の熱を伝達するように構成された実施形態を含むことを意味する。
【0079】
サセプタは一つ以上のサセプタ素子を含んでもよい。本明細書で使用される「サセプタ素子」とは、変動磁界に供された時に加熱する導電性素子を意味する。これはサセプタ素子に誘起された渦電流および/またはヒステリシス損失の結果でありうる。
【0080】
サセプタ素子の材料および幾何学的形状は、所望の電気抵抗および発熱を提供するように選ぶことができる。
【0081】
サセプタ素子のための可能性がある材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、およびほとんどの任意の他の導電性元素が挙げられる。サセプタ素子は、鉄製の素子であってもよい。サセプタ素子は、フェライト素子であってもよい。サセプタ素子は、ステンレス鋼素子であってもよい。サセプタ素子は、フェライト系ステンレス鋼素子であってもよい。適切なサセプタ材料は、410、420、および430ステンレス鋼を含む。
【0082】
サセプタ素子の材料は、そのキュリー温度を理由に選ばれてもよい。材料はそのキュリー温度を上回ると、もはや強磁性ではなくなり、そのためヒステリシス損失に起因する加熱はもはや生じない。サセプタ素子が単一の材料から作製されている場合、キュリー温度はサセプタ素子が有するべき最高温度に対応する場合がある(すなわち、キュリー温度はサセプタ素子が加熱されるべき最高温度と同一であるか、またはこの最高温度から約1~3%だけ逸脱した温度である)。これは急激な過熱の可能性を低減する。
【0083】
サセプタ素子が二つ以上の材料から作製されている場合、サセプタ素子の材料をさらなる態様に関して最適化することができる。例えば、サセプタ素子が加熱されるべき最高温度を上回るキュリー温度をサセプタ素子の第一の材料が有してもよいように、材料を選択することができる。その後、サセプタ素子のこの第一の材料は、例えば最大発熱に関して最適化されてもよく、一方でサセプタの効率的な加熱を提供するために揮発性基体への最大熱伝達に関して最適化されてもよい。しかしながら、サセプタ素子はその後、サセプタが加熱されるべき最高温度に対応するキュリー温度を有する第二の材料を追加的に備えてもよく、またサセプタ素子がこのキュリー温度に達すると、サセプタ素子全体の磁性は変化する。この変化を検出し、かつマイクロコントローラに通信することができ、次いで、温度が再びキュリー温度よりも低い温度まで冷めるまでAC電力の発生が中断され、冷めるとすぐにAC電力の発生を再開することができる。
【0084】
サセプタ素子の少なくとも一部分は流体透過性であってもよい。本明細書で使用される「流体透過性」素子は、液体または気体がこれを通して透過することを可能にする素子を意味する。サセプタ素子は、流体がサセプタ素子を通して浸透することを可能するために、サセプタ素子に形成された複数の開口を有してもよい。特に、サセプタ素子は、原料物質が、気相または気相と液相の両方で、サセプタ素子を通して浸透することを可能にする。
【0085】
サセプタ素子は任意の適切な形態をとりうる。サセプタ素子は、例えば、メッシュ、フラットスパイラルコイル、繊維、または布を含んでもよい。一部の実施形態において、サセプタ素子は、シートまたは細片を含んでもよい。
【0086】
カートリッジは揮発性基体を含有する。本明細書で使用される場合、「揮発性基体」という用語は、装置と相互作用してエアロゾルを発生させることができる基体を意味するために使用される。揮発性基体は、任意の適切なタイプの基体であってもよい。典型的には、揮発性基体はニコチンを含む。
【0087】
揮発性基体は、エアロゾル形成基体であってもよい。本明細書で使用される場合、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。
【0088】
エアロゾル形成基体は、カートリッジの単一の区画内に含有されうる。
【0089】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。固体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0090】
固体エアロゾル形成基体は例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含みうる。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態になっていてもよく、または適切な容器もしくはカートリッジの区画内で提供されてもよい。
【0091】
エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体でもよい。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体の例としては、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。
【0092】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンまたはプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度を有してもよい。
【0093】
エアロゾル形成基体はゲルを含んでもよい。室温では、ゲルは、安定したサイズおよび形状を有してもよく、流動しない場合がある。ゲルは熱可逆性ゲルを含みうる。これは、ゲルが溶解温度に加熱された時に流体になり、ゲル化温度で再びゲルになることを意味する。ゲル化温度は室温以上であり、かつ大気圧以上であることが好ましい。溶融温度はゲル化温度より高いことが好ましい。ゲルの溶解温度は、摂氏50度または摂氏60度または摂氏70度より高いことが好ましく、摂氏80度より高いことがより好ましい。この文脈において溶融温度は、ゲルがもはや固体ではなくなり、流れ始める温度を意味する。ゲルは、寒天またはアガロースまたはアルギン酸ナトリウムを含むことが好ましい。ゲルはジェランガムを含みうる。ゲルは材料の混合物を含みうる。ゲルは水を含みうる。
【0094】
エアロゾル形成基体を含む実施形態では、エアロゾル形成基体は、約70℃~約230℃の気化温度を有してもよい。エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を約60℃~約240℃の平均温度に加熱するように構成されうる。
【0095】
一部の特に好ましい実施形態において、揮発性基体は、カートリッジ内に別個に保持される二つ以上の基体を含む。揮発性基体は、ニコチン供与源および酸供与源を含みうる。これらの特に好ましい実施形態において、カートリッジは、第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有し、ニコチンで合浸された第一の担体材料を含むニコチン供与源を含有する第一の区画と、第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有し、酸で合浸された第二の担体材料を含む酸供与源を含有する第二の区画とを含む。
【0096】
これらの特に好ましい実施形態において、「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0097】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。
【0098】
第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0099】
酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。
【0100】
酸供与源は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸を含むことがより好ましく、アルファケト酸もしくは2-オキソ酸または乳酸を含むことが最も好ましい。
【0101】
有利なことに、酸供与源は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択された酸を含む。有利なことに、酸供与源は乳酸またはピルビン酸を含む。より有利なことに、酸供与源は乳酸を含む。
【0102】
第一の担体材料および第二の担体材料は同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0103】
第一の担体材料および第二の担体材料は、任意の適切な構造を有してもよい。第一の担体材料および第二の担体材料は、多孔質材料である。第一の担体材料および第二の担体材料は、繊維状またはスポンジ状または発泡体様構造を有しうる。第一の担体材料および第二の担体材料は、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。第一の担体材料および第二の担体材料は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0104】
有利なことに、カートリッジの第一の区画は、約1ミリグラム~約40ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含む、ニコチン供与源を含有しうる。
【0105】
好ましくは、カートリッジの第一の区画は、約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチンが浸み込まされた第一の担体材料を含む、ニコチン供与源を含有する。より好ましくは、カートリッジの第一の区画は、約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチンが浸み込まされた第一の担体材料を含む、ニコチン供与源を含有する。最も好ましくは、カートリッジの第一の区画は、約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンが浸み込まされた第一の担体材料を含む、ニコチン供与源を含有する。
【0106】
カートリッジの第一の区画は風味剤をさらに含んでもよい。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。第一の担体材料は、ニコチンおよび風味剤で含浸されてもよい。有利なことに、第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されてもよい。
【0107】
有利なことに、カートリッジの第二の区画は、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含む乳酸供与源を含有しうる。
【0108】
好ましくは、カートリッジの第二の区画は、約5ミリグラム~約50ミリグラムの乳酸が浸み込まされた第二の担体材料を含む乳酸供与源を含有する。より好ましくは、カートリッジの第二の区画は、約8ミリグラム~約40ミリグラムの乳酸が浸み込まされた第二の担体材料を含む乳酸供与源を含有する。最も好ましくは、カートリッジの第二の区画は、約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸が浸み込まされた第二の担体材料を含む乳酸供与源を含有する。
【0109】
エアロゾル発生システムは、ニコチン供与源および酸供与源のうちの一つ以上を任意の適切な所望の温度に加熱することが必要である場合がある。所望の温度は、特定の所望の粘度または表面温度などの所望の特性を有する加熱された供与源をもたらす温度でありうる。好ましくは、所望の温度は、供与源の沸点未満である。
【0110】
エアロゾル発生システムは、カートリッジの第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つを所望の温度に加熱するように構成されうる。システムは、サセプタ、インダクタコイル、電源、および電子機器の任意の適切な構成によって、第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つを所望の温度に加熱するように構成されうる。例えば、インダクタコイルの寸法および巻数、サセプタの寸法および材料、およびインダクタコイルに供給される電力は、システムの所望の温度に応じて選択されうる。
【0111】
エアロゾル発生システムは、第一の区画および第二の区画の両方を所望の温度に加熱するように構成されうる。システムは、第一の区画を第一の所望の温度に加熱し、第二の区画を第二の所望の温度に加熱するように構成されうる。一部の好ましい実施形態において、第一の所望の温度は、第二の所望の温度と実質的に同一でありうる。一部の実施形態において、第一の所望の温度は、第二の所望の温度とは異なってもよい。
【0112】
好ましくは、エアロゾル発生システムは、カートリッジの第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つを、約250℃未満の温度に加熱するように構成される。好ましくは、ヒーターは、カートリッジの第一の区画と第二の区画とを、摂氏約80度~摂氏約150度の温度に加熱するように構成される。
【0113】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「実質的に同一の温度」とは、区画の中心に対して対応する場所で測定したカートリッジの第一の区画と第二の区画との間の温度の差異が約3℃未満であることを意味する。
【0114】
使用時に、カートリッジの第一の区画と第二の区画とを、周囲温度を超える温度に加熱することによって、有利なことに、カートリッジの第一の区画内のニコチンの蒸気濃度と、カートリッジの第二の区画内の酸の蒸気圧とが、制御されて比例的に均衡することができ、ニコチンと酸との間の効率的な反応化学量論が得られる。有利なことに、これはニコチン塩粒子の形成効率、およびユーザーへの送達の一貫性を改善しうる。また有利なことに、未反応のニコチンおよび未反応の酸のユーザーへの送達が低減されうる。
【0115】
約100℃~約110℃の標的温度は、ニコチン供与源および酸供与源のうちの一つ以上を加熱して、効率的な反応化学量論を得るための望ましい標的温度であることが見出された。
【0116】
本発明は、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルのin situ発生のためのニコチン供与源および酸供与源を備える、これらの好ましいシステムにおいて特に有利であることが見出された。本発明によって提供される周囲温度補正は、これらのシステムにおいて、広い範囲の周囲温度にわたるより一貫したエアロゾルを発生することが見出された。これらのシステムは、効率的な反応化学量論を得るために各区画の平均温度を所望の温度に維持する必要があるため、これらのシステムでは周囲温度補正が特に重要であると考えられる。
【0117】
一部の特に好ましい実施形態において、第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で直列に配置される。
【0118】
一部の特に好ましい実施形態において、第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で並行に配置される。第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で互いに対して対称的に配置されうる。
【0119】
本明細書で使用される「並行」とは、使用時にカートリッジを通して引き出される第一の空気流が、第一の空気吸込み口を通して第一の区画内に入り、第一の区画を通って下流に流れ、第一の空気出口を通して第一の区画の外へ出るように、およびカートリッジを通して引き出される第二の空気流が、第二の空気吸込み口を通して第二の区画内に入り、第二の区画を通って下流に流れ、第二の空気出口を通して第二の区画の外へ出るように、第一の区画と第二の区画とが、カートリッジ内に配置されることを意味する。ニコチン蒸気は、第一の区画内のニコチン供与源からカートリッジを通して引き出された第一の空気流内に放出され、酸蒸気は第二の区画内の酸供与源からカートリッジを通して引き出された第二の空気流内に放出される。第一の気流内のニコチン蒸気は、第二の気流内の酸蒸気と気相で反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。
【0120】
カートリッジは、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されたハウジングを含みうる。適切な材料としては、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0121】
固体エアロゾル形成基体を含む実施形態では、カートリッジは、紙巻たばこ用紙などの任意の適切なラッピング材料から形成されたラッパーを含みうる。
【0122】
エアロゾル発生システムは、マウスピースをさらに備えうる。ニコチン供与源および酸供与源を備える特に好ましい実施形態において、ニコチン供与源から放出されたニコチン蒸気と、酸供与源から放出された酸蒸気とが、マウスピースにおける気相で相互に反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成しうる。
【0123】
マウスピースがカートリッジと係合する、またはカートリッジの一部を形成するように構成された実施形態において、カートリッジとマウスピースとの組み合わせは、紙巻たばこ、葉巻、または細い葉巻などの可燃性喫煙物品の形状および寸法をまねてもよい。有利なことには、こうした実施形態では、カートリッジとマウスピースとの組み合わせは、紙巻たばこの形状および寸法をまねてもよい。
【0124】
マウスピースは、エアロゾル発生装置のハウジングと係合するように構成されうる。
【0125】
マウスピースは、第一の区画におけるニコチンと、第二の区画における酸とが涸渇すると、廃棄されるように設計されうる。
【0126】
マウスピースは、任意の好適な材料または材料の組み合わせを含みうる。好適な材料の例としては、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に好適な熱可塑性樹脂が挙げられる。マウスピースは、カートリッジと同一の材料を含んでもよい。マウスピースおよびカートリッジは、異なる材料を含んでもよい。
【0127】
本発明の第二の態様によると、揮発性基体を含有し、サセプタを有するカートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受けるようにサイズ設定されたチャンバーを有するハウジングと、チャンバーの少なくとの一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、電源と、周囲温度センサーと、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成された制御回路とを備える。
【0128】
本発明の第三の態様によると、揮発性基体を含有し、サセプタを有するカートリッジと、カートリッジを受けるように構成されたエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システム内の誘導加熱を制御する方法が提供されており、エアロゾル発生装置は、カートリッジを受けるためのチャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、電源と、周囲温度センサーと、インダクタコイルに接続された制御回路とを有し、制御回路は、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成される。方法は、周囲温度センサーを使用して周囲温度を感知することと、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御することとを含む。
【0129】
一部の好ましい実施形態において、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御することは、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値に基づいて標的値を調整することと、調整された標的値に基づいてインダクタコイルへの電力供給を制御することとを含む。
【0130】
サセプタの標的見かけ抵抗の増加または減少の大きさは、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値の関数として変化しうる。
【0131】
標的抵抗の増加または減少の大きさは、周囲温度センサーからの一つ以上の周囲温度読取値と、複数の基準周囲温度値との比較に基づいて決定されてもよく、基準周囲温度値それぞれは、特定の標的値調整に関連付けられている。
【0132】
エアロゾル発生装置の電源はDC電源であってもよく、方法は、サセプタの見かけ抵抗を監視するステップをさらに含んでもよい。標的値は、サセプタの標的見かけ抵抗であってもよく、インダクタコイルへの電力供給は、サセプタの見かけ抵抗を調整された標的見かけ抵抗に維持するように制御されうる。
【0133】
誤解を避けるために、本発明の一つの態様に関する上述の特徴は、本発明の他の態様に適用可能であってもよい。特に、第一の態様に関連して説明される任意の特徴は、第二および第三の態様に等しく適用可能であってもよく、第二の態様に関連して説明される任意の特徴は、第一および第三の態様に等しく適用可能であってもよく、第三の態様に関連して説明される任意の特徴は、第一および第二の態様に等しく適用可能であってもよい。
【0134】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるカートリッジの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、線A-Aに沿った
図1のカートリッジの断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1のカートリッジの遠位端キャップの斜視図を示す。
【
図4】
図4は、線B-Bに沿った
図1のカートリッジのカートリッジ部分の断面平面図を示す。
【
図5】
図5は、ニコチン供与源およびサセプタ配置と、乳酸供与源およびサセプタ配置とを含む、
図1のカートリッジの部分分解斜視図を示す。
【
図6】
図6は、
図1のカートリッジおよびエアロゾル発生装置を有する、本発明によるエアロゾル発生システムの実施形態を示す。
【
図8】
図8は、
図6の装置の制御回路によって設定される、経時的な標的見かけ抵抗プロファイルの第一の実施例を示す。
【
図9】
図9は、
図6の装置の制御回路によって設定される、経時的な標的見かけ抵抗プロファイルの第二の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0136】
図1~5は、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生させるエアロゾル発生システムで使用するための、本発明の実施形態によるカートリッジの概略図を示す。
【0137】
カートリッジ102は、細長い本体104と、遠位端キャップ106とを含む。カートリッジ102は、約28ミリメートルの長さおよび約6.9ミリメートルの直径を有する。
【0138】
カートリッジ102は、カートリッジの遠位端にカートリッジ部分105を含み、これは本体104の遠位端と近位端壁108との間に延びる。カートリッジ部分105は、約15ミリメートルの長さおよび約6.9ミリメートルの直径を有する。
【0139】
カートリッジ102のカートリッジ部分105は、本体104の遠位端から近位端壁108まで延びる細長い第一の区画110を含む。第一の区画110は、本発明によるニコチン供与源およびサセプタ配置112を含有する。ニコチン供与源は、約10ミリグラムのニコチンおよび約4ミリグラムのメントールで含浸された第一の担体材料を含む。サセプタは、第一の担体材料の片側を覆う強磁性ステンレス鋼メッシュを含む。
【0140】
また、カートリッジ102のカートリッジ部分105は、本体104の遠位端から近位端壁108まで延びる細長い第二の区画114も含む。第二の区画114は、本発明による乳酸供与源およびサセプタ配置116を含有する。乳酸供与源は、約20ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含む。サセプタは、第二の担体材料の片側を覆う強磁性ステンレス鋼メッシュを含む。
【0141】
第一の区画110および第二の区画114は、平行に配置される。第一の区画110および第二の区画114は、仕切り壁118によって分離されて、相互に隣接して配置される。
【0142】
第一の区画110および第二の区画114は、実質的に同一の形状およびサイズである。第一の区画110および第二の区画114は、約12ミリメートルの長さと、約5ミリメートルの幅と、約1.7ミリメートルの高さとを有する。
【0143】
第一の担体材料および第二の担体材料は、PET/PBTの不織布シートを含み、また実質的に同一の形状およびサイズである。第一の担体材料および第二の担体材料の形状およびサイズは、カートリッジ102の第一の区画110および第二の区画114の形状およびサイズとそれぞれ同様である。
【0144】
図3に示すように、遠位端キャップ106は、第一の細長い隆起部分119および第二の細長い隆起部分121を含む。第一の細長い隆起部分119および第二の細長い隆起部分121は、並行に配置され、キャップ106の平面から実質的に同一の方向に延びる。第一の細長い隆起部分119は、第一の区画110の開いた遠位端に受けられるようにサイズ設定されて配置され、第二の細長い隆起部分121は、第二の区画114の開いた遠位端に受けられるようにサイズ設定されて配置される。遠位端キャップ106は、間隙を介した二つの開口部の列を含む第一の空気吸込み口120と、間隙を介した4つの開口部の列を含む第二の空気吸込み口122とをさらに含む。第一の空気吸込み口120の開口部の列および第二の空気吸込み口122の開口部の列は、並行に配置される。第一の空気吸込み口120の開口部の列は、第一の隆起部分119に沿って配置され、第一の隆起部分119を通って延びる。第二の空気吸込み口122の開口部の列は、第二の隆起部分121に沿って配置され、第二の隆起部分121を通って延びる。第一の空気吸込み口120と第二の空気吸込み口122とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を持ち、約0.5ミリメートルの直径を有する。
【0145】
図4に示すように、カートリッジ部分105の近位端壁108は、間隙を介した二つの開口部の列を含む第一の空気出口126と、間隙を介した4つの開口部の列を含む第二の空気出口128とを含む。第一の空気出口126は第一の区画110と整列し、第二の空気出口128は第二の区画114と整列する。第一の空気出口126と第二の空気出口128とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を持ち、約0.5ミリメートルの直径を有する。
【0146】
同じく
図4に示すように、第一の区画110は、チャンバー110の反対側に向かって仕切り壁118から突出する二つの突出部またはリブ127を含む。第一のチャンバー110の突出部127は、実質的に第一の区画110の長さに延び、空気チャネルが突出部の間に形成されるように間隙を介している。第二の区画114は、チャンバー114の反対側に向かって仕切り壁118から突出する三つの突出部またはリブ129を含む。第二のチャンバー114の突出部129は、第一のチャンバー110の突出部と実質的に類似しており、同じ幅を有し、第二のチャンバー114の長さに実質的に延びる。第二のチャンバー124の突出部129は、二つの空気チャネルがそれらの間に形成され、一つの空気チャネルは隣接する突出部の各々の間にあるように、間隙を介している。第一のチャンバー110の突出部127および第二のチャンバー114の突出部129は、第一の担体材料112および第二の担体材料116を仕切り壁118から間隙を介させて、少なくとも片側の担体材料およびサセプタ配置の外表面に十分な気流を確保するように設けられる。
【0147】
図5に示すように、カートリッジ102を形成するために、第一の担体材料がニコチンおよびメントールで合浸されて、サセプタ配置112が第一の区画110に挿入され、第二の担体材料材料が乳酸で合浸されて、第二の担体材料およびサセプタ配置116が第二の区画114に挿入される。遠位端キャップ106は、次いで、第一の空気吸込み口120が第一の区画110と整列し、第二の空気吸込み口122が第二の区画114と整列するように、本体104の遠位端に挿入される。
【0148】
第一の空気吸込み口120は、第一の気流が、第一の空気吸込み口120を通してカートリッジ102に入り、第一の区画110を通って、第一の空気出口126を通してカートリッジ102から外へ出ることができるように、第一の空気出口126と流体連通している。第二の空気吸込み口122は、第二の気流が、第二の空気吸込み口122を通してカートリッジ102に入り、第二の区画114を通って、第二の空気出口128を通してカートリッジ102から外へ出ることができるように、第二の空気出口128と流体連通している。
【0149】
カートリッジ102を初めて使用する前に、第一の空気吸込み口120および第二の空気吸込み口122は、遠位端キャップ106の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。同様に、カートリッジ102を初めて使用する前に、第一の空気出口126および第二の空気出口128は、本体104の近位端壁の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。
【0150】
カートリッジ102は、第一の区画110および第二の区画114の下流にあり、かつ第一の区画110の第一の空気出口120および第二の区画114の第二の空気出口122と流体連通している第三の区画130をさらに含む。使用中、第一の気流内のニコチン蒸気は、第二の気流内の酸蒸気と第三の区画130で反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。
【0151】
第三の区画130は、区画の近位端に直径約1.3ミリメートルの単一の開口部132を含む。第三の区画130はまた、外部空気が第三の区画に入り、ニコチン、酸および乳酸ニコチン塩蒸気を希釈することを可能にする通気入口132を含む。通気入口は約0.5ミリメートルの直径を有する。
【0152】
カートリッジ102はまた、第三の区画130の下流にあり、かつ第三の区画130の近位端で開口部132と流体連通しているマウスピース部分140を含む。マウスピース部分140は、約13ミリメートルの長さおよびカートリッジ102の近位端に約5ミリメートルの直径を有する開口部を有する。
【0153】
使用中、ユーザーは、カートリッジ102のマウスピース部分140を吸って、第一の区画110および第二の区画112を通して第三の区画130の中へと、第三の区画130を通してマウスピース部分140の中へと、そして近位端の開口部を通してマウスピース部分140から外へと空気を引き出す。
【0154】
図6は、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生させるための、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム200の概略図を示す。
【0155】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置202と、
図1~5に示す本発明の実施形態によるカートリッジ102とを備える。
【0156】
エアロゾル発生装置202は、遠位端キャップ106と近位端壁108との間でカートリッジ102の遠位部分を受けるためのハウジング204の近位端にくぼみ206を画定するハウジング204を備える。
【0157】
インダクタコイル208は、くぼみ206の長さに沿って提供され、コイル208がくぼみを実質的に囲むように、くぼみ206と同軸上に整列される。カートリッジ102がくぼみ206内に受けられると、インダクタコイル208は、第一の区画110および第二の区画114の長さに沿って延びる。
【0158】
エアロゾル発生装置202は、ハウジング204内に収容された電源210および制御回路212をさらに備える。電源210は、制御回路212を介してインダクタコイル208に接続され、制御回路は、電源210からインダクタコイル208に供給される電力供給を制御するように構成される。
【0159】
電源210は、高周波振動電流をインダクタコイル208に、約5~約7MHzの周波数で提供するように構成される。動作時、高周波振動電流がインダクタコイル208を通過して、サセプタ素子内で電圧を誘起する交番磁界を発生させる。誘起された電圧はサセプタ素子内に電流を流させ、この電流がサセプタ素子のジュール加熱を起こし、これが今度は第一のチャンバー110内のニコチン、および第二のチャンバー114内の酸を加熱する。使用中、エアロゾル発生装置202の制御回路212は、エアロゾル発生装置202の電源210からインダクタコイル208への電力供給を制御し、カートリッジ102の第一の区画110のサセプタと第二の区画114のサセプタとを約100℃と実質的に同一の温度に加熱する。
【0160】
制御回路212は、本発明による、温度センサー214を有するマイクロコントローラを含む。
【0161】
この実施形態において、制御回路212は、カートリッジ102を受けるためのくぼみ206を備える装置202の近位端の反対側にある、装置202の遠位端に配置される。制御回路212は、装置202のくぼみ206に対して装置の反対側の端に配置されるため、制御回路212は、くぼみ206から実質的に熱的に分離されている。言い換えれば、制御回路212は、カートリッジの温度を上昇させることが制御回路212の温度を上昇させないように、くぼみ206から間隙を介している。制御回路212はくぼみ206から熱的に分離されているため、制御回路212の温度センサー214は、周囲温度センサーとして使用されうる。有利なことに、装置内の制御回路および周囲温度センサーのこの配置は、装置の構造を単純化することができ、制御回路212とは別個の追加的な温度センサーが不要であるため、コストが削減されうる。
【0162】
カートリッジ102がエアロゾル発生装置202のくぼみ206に挿入されると、マウスピース140は、ユーザーがマウスピース140にアクセスして近位端を吸ってニコチン乳酸塩粒子のエアロゾルを受けられるように、くぼみ206から延びる。
【0163】
装置202は、スイッチ(図示せず)を備える。使用中、ユーザーはスイッチを押して、装置202をオンにする。装置がオンになると、制御回路212は、電源210からインダクタコイル208に振動電流を供給して、カートリッジ102の第一の区画および第二の区画内のサセプタ素子を加熱する。システム200は、ユーザーが装置上で第一の吸煙を行いうる前に、第一の区画および第二の区画の温度を約100°Cの動作温度まで上昇させる必要がある。これは、ニコチン乳酸塩粒子の一貫したエアロゾルを確実に発生させるようにするためである。この実施形態において、システム200が20℃の周囲室温から加熱される場合、予熱時間は約5秒である。予熱時間の後、第一の区画および第二の区画が約100℃の動作温度にある時に、ユーザーは、カートリッジ102のマウスピース140で第一の吸煙を行いうる。吸煙時に、ユーザーがマウスピース140の近位端を吸って、カートリッジ102の第一の区画110を通る第一の気流と、カートリッジ102の第二の区画114を通る第二の気流とを引き出す。第一の気流がカートリッジ102の第一の区画110を通って引き出される際に、ニコチン蒸気が第一の担体材料から第一の気流へと放出される。第二の気流がカートリッジ102の第二の区画114を通って引き出される際に、乳酸蒸気が第二の担体材料から第二の気流へと放出される。第一の気流内のニコチン蒸気および第二の気流内の乳酸蒸気は、第一の区画および第二の区画から第三の区画130内に引き出される。また、周囲空気は、通気入口134を介して第三の区画130内に引き出される。第三の区画130内で、第一の気流からのニコチン蒸気および第二の気流内の乳酸蒸気が相互に気相で反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。ニコチン塩粒子のエアロゾルは、近位開口部132を通して第三の区画130からマウスピース140内に引き出され、マウスピース140の近位端を通してユーザーに送達される。
【0164】
図7はクラスE電力増幅器を使用してインダクタコイルに高周波振動電流を供給するために使用されうる制御回路212の実施例を図示したものである。
図7から分かる通り、回路には電界効果トランジスタ(FET)1110(例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ電界効果トランジスタ(MOSFET))、切換信号(ゲート・ソース間電圧)をFET 1110に供給するための矢印1120で示したトランジスタスイッチ供給回路、および分路コンデンサC1、およびコンデンサC2とインダクタコイルL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク1130を備えた、トランジスタスイッチ1100を含む、クラスE電力増幅器が含まれる。電池210を備えたDC電源はチョークL1を含み、DC供給電圧を供給する。
図7には合計オーム負荷1140を表すオーム抵抗Rも示されており、これは記号L2の付いたフラットスパイラルインダクタコイルのオーム抵抗R
Coilと、サセプタ素子のオーム抵抗R
Loadの和である。
【0165】
DC電源(電池210)から引き出されるDC供給電圧V
DCおよびDC電流I
DCが
図7に示されている。DC電源から引き出されたDC供給電圧V
DCおよびDC電流I
DCは、制御回路212のマイクロプロセッサへのフィードバックチャネル(図示せず)によって提供される。DC電源から引き出されるDC供給電圧V
DCおよびDC電流I
DCの両方の測定値は、サセプタの見かけ抵抗R
Aを決定するために使用される。より具体的には、DC供給電圧V
DCおよびDC供給電流I
DCの商を使用して、サセプタの見かけ抵抗R
Aを決定する。サセプタの見かけ抵抗R
Aは、以下に詳述するように、LC負荷ネットワークへの、特にインダクタL2へのAC電力のさらなる供給を制御するのに使用される。
【0166】
この実施形態では、DC電源から引き出されたDC供給電圧VDCおよびDC電流IDCの両方が測定されるが、これは、回路内に組み込まれた適切なDC電圧センサーおよび適切なDC電流センサーによって達成されうる。しかしながら、一部の実施形態では、DC電源は、一定の電圧DC電源であってもよく、そのため、DC供給電圧VDCが既知である場合がある。これらの実施形態では、DC電源から引き出されるDC電流IDCのみを測定する必要があるため、DC電圧センサーはなくてもよい。
【0167】
構成要素の数が非常に少ないため、電源回路の体積は極端に小さく保つことができる。この極端に小さい体積の電源回路はLC負荷ネットワーク1130のインダクタL2がサセプタ素子との誘導結合のためのインダクタとして直接的に使用されているために可能であり、またこの体積が小さいことから、誘導性の加熱装置の全体寸法が小さく保たれうる。
【0168】
クラスE電力増幅器の一般的な動作原理は公知であり、Nathan O.Sokalのthe American Radio Relay League(ARRL),Newington,CT,U.S.Aの隔月雑誌QEXの2001年1月/2月版の9~20ページに記載された「Class-E RF Power Amplifiers」、およびWO2015/177043A1号(Philip Morris Products S.A)に詳細に説明されている。
【0169】
本開示によれば、ほとんどのシステムではクラスE電力増幅器が好ましいが、WO2015/177043A1(Philip Morris Products S.A)にも記載されているように、クラスD電力増幅器を含む回路アーキテクチャなどの他の回路アーキテクチャを使用することも可能である。
【0170】
上述のように、制御回路212は、サセプタの見かけ抵抗RAを測定するように構成される。
【0171】
本発明によれば、制御回路212のマイクロコントローラは、サセプタの見かけ抵抗RAを測定し、DC電源210からインダクタコイル208に供給される電力を制御して、サセプタの見かけ抵抗RAを経時的に標的見かけ抵抗値に維持するようにプログラムされる。制御回路212は、クラスE電力増幅器のスイッチ負荷サイクルを制御することによって、DC電源210からインダクタコイル208への電力供給を制御するように構成される。
【0172】
「通常の」または「標準的な」標的見かけ抵抗値R0は、システムが通常の周囲温度範囲内で使用されている時の、サセプタの所望の標的見かけ抵抗に対応する。この実施形態では、通常の周囲温度範囲は、13℃~27℃(すなわち、20℃の通常の室温の±7度)である。
【0173】
制御回路212は、周囲温度センサー214から周囲温度読取値を取ることによって、システムの近くの周囲温度を測定するようにプログラムされる。制御回路212は、電源210からインダクタコイル208に電力を供給する前に、周囲温度を測定するようにプログラムされる。
【0174】
周囲温度センサー214からの周囲温度読取値が、周囲温度が、通常の周囲温度範囲内にあることを示す場合、制御回路212は、電源210からインダクタコイル208に電力を供給し、サセプタ210の見かけ抵抗を測定し、測定された見かけ抵抗を、通常の標的見かけ抵抗R0と比較し、電源210からインダクタコイル208への電力供給を制御して、測定された見かけ抵抗を通常の標的見かけ抵抗R0に維持するようにプログラムされる。
【0175】
この実施例では、周囲温度センサー214からの周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲外にあることを示す場合、制御回路212は、所定の量だけ、通常の標的見かけ抵抗値R0を調整するように構成される。このように、制御回路212は、システムが使用される周囲温度を補正するようにプログラムされる。この温度制御は、このようなエアロゾル発生システムによって発生されるエアロゾルの一貫性を改善しうることが見出された。
【0176】
図8および9は、本発明による、システムの二つの例示的な標的見かけ抵抗プロファイル、および二つの標的見かけ抵抗プロファイル調整を示す。
【0177】
図8は、エアロゾル発生の体験中の第一の例示的な標的見かけ抵抗プロファイルを示す。この実施例では、標的見かけ抵抗値は、エアロゾル発生の体験の間一定である。言い換えれば、システムの標的見かけ抵抗値は、エアロゾル発生の体験の間、時間と共に変化しない。
【0178】
この実施例では、通常の標的見かけ抵抗値R
0は制御回路のメモリに保存される。通常の標的見かけ抵抗値R
0は、装置が出荷される前の工場内など、装置を初めて使用する前の較正手順中に設定される。較正は、上記の
図6に示すように、装置にカートリッジを提供することと、既知の周囲温度を有する環境にカートリッジおよび装置を配置することと、DC電源からインダクタコイルに電力を供給して、カートリッジ内のサセプタを加熱することと、別個のサセプタ温度センサーを使用してサセプタの温度を測定することと、サセプタの温度が所望の温度に達した時にサセプタの見かけ抵抗を測定することとを含みうる。通常の標的抵抗値R
0は、測定された見かけ抵抗であり、制御回路のメモリに保存される。
【0179】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲内(すなわち、この実施例では、13℃~27℃)にあることを示す場合、制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が通常の標的見かけ抵抗値R0に維持されるように、電源の負荷サイクルを調整するようにプログラムされる。
【0180】
標的見かけ抵抗値に対する所定の調整値もまた、制御回路のメモリに保存される。所定の調整値はまた、通常の標的見かけ抵抗値の較正手順と同様に、較正手順中にも設定される。各調整値は、サセプタが既知の温度にある時のサセプタの測定された見かけ抵抗に基づいてもよい。
【0181】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲を下回る(すなわち、この実施例では13℃を下回る)ことを示す場合、制御回路は、第一の所定の調整値R1を通常の標的見かけ抵抗値に加えるようにプログラムされる。制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が調整された標的見かけ抵抗値R0+R1に維持されるように、電源の負荷サイクルを調整するようにさらにプログラムされる。
【0182】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲を上回る(すなわち、この実施例では27℃を上回る)ことを示す場合、制御回路は、通常の標的見かけ抵抗値から第二の所定の調整値R2を差し引くようにプログラムされる。制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が調整された標的見かけ抵抗R0-R2に維持されるように、電源の負荷サイクルを調整するようにさらにプログラムされる。
【0183】
図9は、エアロゾル発生の体験中の第二の例示的な標的見かけ抵抗プロファイルを示す。本実施例では、標的見かけ抵抗値は、予熱期間T
0中は第一の値R
0’であり、予熱期間T
0後は第二の値R
0である。
【0184】
本実施例では、通常の予熱標的見かけ抵抗値R0’は、所定の予熱期間T0に関連付けられて制御回路のメモリに保存され、また、通常の標的見かけ抵抗値R0も制御回路のメモリに保存される。
【0185】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲内(すなわ、この実施例では13℃~27℃)にあることを示す場合、制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が予熱期間T0中に通常の予熱標的見かけ抵抗値R0’に維持されるように電源の負荷サイクルを調整するように、そして、サセプタの見かけ抵抗が予熱期間T0後に通常の標的見かけ抵抗値R0に維持されるように電源の負荷サイクルを調整するようにプログラムされる。
【0186】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲を下回る(すなわち、この実施例では、13℃を下回る)ことを示す場合、制御回路は、第一の所定の調整値R1を、通常の予熱標的見かけ抵抗値R0’および通常の標的見かけ抵抗値R0に加えるようにプログラムされる。制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が予熱期間T0中に調整された予熱標的見かけ抵抗R0’+R1に維持され、予熱期間T0後は調整された標的見かけ抵抗R0+R1に維持されるように、電源の負荷サイクルを調整するようにさらにプログラムされる。
【0187】
周囲温度読取値が、周囲温度が通常の周囲温度範囲を上回る(すなわち、この実施例では、27℃を上回る)ことを示す場合、制御回路は、第二の所定の調整値R2を通常の予熱標的見かけ抵抗値R0’から、そして通常の標的見かけ抵抗値R0から差し引くようにプログラムされる。制御回路は、サセプタの見かけ抵抗が予熱期間T0中に調整された予熱標的見かけ抵抗R0’-R2に維持され、予熱期間T0後は調整された標的見かけ抵抗R0-R2に維持されるように、電源の負荷サイクルを調整するようにさらにプログラムされる。
【0188】
この実施例では、通常の予熱標的抵抗は、予熱期間にわたって一定であるが、当然のことながら、他の実施形態では、通常の予熱標的抵抗は、初期予熱標的抵抗から最終予熱標的抵抗まで経時的に増加しうる。増加率は、増加が時間と共に直線状になるように一定であってもよく、または増加が時間と共に凸状または凹状の曲線を形成するように増加または減少してもよい。増加率は、サセプタの材料および幾何学的形状によって決定されうる。
【0189】
この実施例では、標的見かけ抵抗値の調整の大きさは、標的見かけ抵抗プロファイルの標的見かけ抵抗値それぞれに対して同一である。言い換えれば、同じ量が、標的予熱見かけ抵抗および標的見かけ抵抗に加えられる、またはこれらから差し引かれる。
【0190】
これらの両方の実施例において、第一の調整値R1および第二の調整値R2の大きさは同一である。しかしながら、当然のことながら、他の実施例では、各調整値が異なる大きさを有しうる。
【0191】
一部の実施形態において、制御回路は、周囲温度読取値が、周囲温度が一つ以上のさらなる周囲温度範囲外にあることを示す場合に、さらなる所定の量だけ、通常の標的見かけ抵抗R0を調整するようにプログラムされてもよい。例えば、周囲温度範囲の極値は、15℃を下回り、かつ35℃を上回る周囲温度表示によって定義されうる。周囲温度が周囲温度閾値の極値を下回る(すなわち、5℃を下回る)と判定されると、制御回路は、標的見かけ抵抗値がR0+R3となるように、第一の所定の量R1よりも大きい第三の所定の量R3だけ通常の標的見かけ抵抗R0を増加させるようにプログラムされうる。周囲温度が周囲温度閾値の極値を上回る(すなわち、35℃を上回る)と判定されると、制御回路は、標的見かけ抵抗値がR0-R4となるように、第一の所定の量R2よりも大きい第三の所定の量R4だけ通常の標的見かけ抵抗R0を減少させるようにプログラムされうる。
【0192】
一部の実施形態において、制御回路は実質的に、周囲温度読取値が、周囲温度が特定の動作温度範囲外にあることを示す場合に、電源からインダクタコイルに電力が供給されるのを防止または抑止するようにプログラムされてもよい。
【0193】
一部の実施形態において、標的見かけ抵抗値は、経時的に変化する量によって調整されてもよい。一部の実施形態において、制御回路は、エアロゾル発生の体験中に周囲温度読取値を取り、エアロゾル発生の体験を通した周囲温度読取値に基づいて標的見かけ抵抗値を調整するように構成されうる。一部の実施形態において、標的見かけ抵抗値は、サセプタ温度と見かけ抵抗との間の既知の関係に基づいて、周囲温度読取値の関数として調整される。
【0194】
当該技術分野において通常の技量を持つ者であれば、本開示によるサセプタ素子を組み込んだその他のカートリッジ設計を思い付くことができる。例えば、カートリッジは、第一および第二の区画のうちの一つ以上にサセプタ素子を備えるのではなく、一つ以上のサセプタ素子がニコチンまたは酸に接触しないように、第一および第二の区画から分離された一つ以上の追加的な区画に配置された一つ以上のサセプタ素子を備えてもよい。一部の実施形態において、カートリッジは、第一および第二の区画のうちの一つ以上内に一つ以上のサセプタ素子と、ニコチンおよび酸から分離された一つ以上の追加的な区画内に一つ以上のサセプタ素子とを備えてもよい。例えば、カートリッジが、マウスピース部分を含むのではなく、装置がマウスピース部分を含んでもよい。マウスピース部分は、任意の所望の形状を有しうる。さらに、本開示によるコイルおよびサセプタ配置は既に説明したその他のタイプのシステムで使用することができ、これには加湿器、エアフレッシュナー、およびその他のカートリッジを備えるエアロゾル発生システムなどがある。
【0195】
また当然のことながら、他のタイプの揮発性基体を含む他のタイプのカートリッジを、本発明による周囲温度センサーを備えるこうした装置で使用してもよい。例えば、サセプタと、液体エアロゾル形成基体を含有する単一の区画とを備えるカートリッジが、周囲温度センサーを有するこうした装置で使用されてもよい。これらの実施形態では、装置は、サセプタを加熱してエアロゾル形成基体のアリコートを気化させるのに十分な電力をインダクタコイルに供給するように構成されうる。これらの実施形態では、装置は、吸煙センサーを備えてもよく、制御回路は、ユーザーからの吸煙が吸煙センサーによって検出されると、インダクタコイルに電力を供給するように構成されてもよい。別の実施例では、均質化した、捲縮したタバコのプラグ、サセプタ、および例えば紙巻たばこ用紙でロッドの形態で一緒に巻かれたフィルターなどの、固体エアロゾル形成基体を含むロッドの形態のカートリッジを、周囲温度センサーを有するこうした装置で使用してもよい。
【0196】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことによって、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。