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特許7414763給油所システム、給油許可制御装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】給油所システム、給油許可制御装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20240109BHJP
【FI】
B67D7/32 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021051554
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149412
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鍵和田 良太
(72)【発明者】
【氏名】北岡 勝
(72)【発明者】
【氏名】渡部 浩一
(72)【発明者】
【氏名】船津 拓也
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235524(JP,A)
【文献】特開2000-335696(JP,A)
【文献】特開2019-064637(JP,A)
【文献】特開2010-100289(JP,A)
【文献】特開2022-142600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置と、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置と、
前記複数の可搬型端末装置との間で無線通信を行う無線通信装置と、
前記可搬型端末装置を用いた給油許可を制御する給油許可制御装置とを備え、
給油許可制御装置は、
前記固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、
前記複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、前記無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、
前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、
前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを有する、給油所システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記可搬型端末装置が前記店舗内の通信ネットワークに有線接続された場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する請求項1に記載の給油所システム。
【請求項3】
前記給油エリアに設置される外設機を更に有し、
前記認識手段は、前記固定式給油許可装置の故障を認識した場合、前記固定式給油許可装置が提供する機能の一部を前記外設機に移行させる請求項1又は2に記載の給油所システム。
【請求項4】
燃料の売り上げを計上する会計装置を更に有し、
前記会計装置は、前記固定式給油許可装置を兼ねる請求項1から3何れか1項に記載の給油所システム。
【請求項5】
前記店舗内には、前記店舗内の通信ネットワークに有線接続されたクレードルが配置されており、
前記判定手段は、前記可搬型端末装置の端子が前記クレードルの端子に物理的に接触している場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する請求項1から4何れか1項に記載の給油所システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記無線通信装置と前記可搬型端末装置との間の無線通信を制御することで、前記許可信号の送信の可否を制御する請求項1から5何れか1項に記載の給油所システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記無線通信装置の無線出力を停止させることで、前記許可信号の送信を禁止する請求項1から6何れか1項に記載の給油所システム。
【請求項8】
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、
前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、
前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを備える給油許可制御装置。
【請求項9】
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する、給油許可制御方法。
【請求項10】
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給油所システム、給油許可制御装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
客(ユーザ)自身が給油機を操作し、車両に給油するセルフサービス方式の給油所(以下、サービスステーション(SS:Service Station)とも呼ぶ)が普及している。SSのセルフ運用においては、運用上、給油許可機能を有する機器(以下、給油許可装置とも呼ぶ)の設置が義務付けられている。給油許可装置は、安全面上、確実に給油許可を制御するため、管理所などの室内に固定化されていることが要求される。給油所の係員は、ユーザが給油を行う場合、給油作業の安全を確認し、給油許可装置を操作して給油許可を発行する。給油機は、給油許可装置から給油許可が発行された場合、給油可能状態となる。
【0003】
関連技術として、特許文献1は、セルフ給油管理システムを開示する。特許文献1に記載のセルフ給油管理システムは、POS(Point of sale)端末と、セルフコンソールと、携帯操作器とを有する。セルフコンソールは、管理所に設置される給油許可装置であり、給油機を制御する。携帯操作器は、管理員が所持する、無線通信機能を有する携帯型の機器である。
【0004】
給油機は、ユーザが給油を行う場合、給油要求信号をセルフコンソールに送信する。セルフコンソールは、給油要求信号を受信すると、受信した給油要求信号をPOS端末に転送する。POS端末は、給油要求信号を受信すると、給油要求の可否を判断し、給油許可信号をセルフコンソールへ送信する。セルフコンソールは、給油許可信号を受信すると、表示モニターに給油要求を表示する。
【0005】
監視所内に管理員がいる場合、管理員は、給油作業の安全を確認し、セルフコンソールを操作して確認信号を入力する。管理員が管理所の外にいる場合、管理員は、給油作業の安全を確認した後、所持している携帯操作器からセルフコンソールに確認信号を入力することができる。セルフコンソールは、管理者が確認信号を入力した場合、又は、携帯操作器に確認信号が入力された場合、給油機に給油許可信号を送信する。特許文献1に記載のセルフ給油管理システムは、携帯操作器から給油作業の安全の確認信号を出力することができる。このため、管理員は、給油要求の都度、管理所に戻る必要がなくなり、給油管理の効率を高めることができる。
【0006】
別の関連技術として、特許文献2は、給油所システムを開示する。特許文献2に記載の給油所システムは、POS端末と、SSC(Self Service Console)端末とを含む。POS端末は、給油所内の複数の給油所機器の統括的な制御、及び給油所機器に関する精算処理を行う。SSC端末は、POS端末から送信される信号に基づいて給油所機器へ制御信号を出力する。
【0007】
特許文献2に記載の給油所システムにおいて、POS端末とSSC端末とは、複数の給油所機器に関する販売データ及び運転データを共有している。通常時、給油制御はSSC端末が行う。SSC端末がダウンした場合、POS端末は、SSC端末が行っていた安全給油管理を肩代わりする。このようにすることで、特許文献2に記載の給油所システムは、SSC端末が使用できなくなった場合でも、給油業務を止めることなく、継続して給油業務を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4918925号公報
【文献】特開2013-235524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1において、携帯操作器は、確認信号を入力するための可搬型のSSCとして使用される。管理員は、可搬型のSSCである携帯操作器を操作して給油許可を発行できる。しかしながら、携帯操作器が用いられる場合でも、SS内のネットワークに有線接続され、かつ事務所内に固定的に設置される、固定式SSCなどの給油許可装置が必要である。給油許可装置が故障して使用できなくなった場合でも、セルフサービスでの給油を継続するためには、事務所内にバックアップ用の固定式SSCが必要となる。この場合、携帯操作器に加えて、固定式SSCが少なくとも2台必要となり、運用コストが上昇する。
【0010】
特許文献2では、POS端末とSSC端末とが、相互に代替できるため、バックアップ専用の固定式SSCは不要である。しかしながら、特許文献2においても、可搬型のSSCが用いられる場合に、SSC機能を有するPOS端末及びSSC端末が、事務所内に固定的に設置されている必要がある。このため、特許文献2においても、可搬型のSSCに加えて、事務所内に固定されたSSC機能を有する機器が少なくとも2台必要である。
【0011】
本開示は、上記事情に鑑み、セルフサービス方式の給油所における運用コストを低減することができる給油許可制御装置、給油所システム、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示は、給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置と、前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置と、前記複数の可搬型端末装置との間で無線通信を行う無線通信装置と、前記可搬型端末装置を用いた給油許可を制御する給油許可制御装置とを備える給油所システムを提供する。給油許可制御装置は、前記固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、前記複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、前記無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを有する。
【0013】
本開示は、給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを備える給油許可制御装置を提供する。
【0014】
本開示は、給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する、給油許可制御方法を提供する。
【0015】
本開示は、給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する処理をプロセッサに実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る給油所システム、給油許可制御装置、方法、及びプログラムは、セルフサービス方式の給油所における運用コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示に係る給油所システムを概略的に示すブロック図。
図2】給油許可制御装置の構成を示すブロック図。
図3】本開示の一実施形態に係る給油所システムを示すブロック図。
図4】中継機の構成例を示すブロック図。
図5】外設機においてSSC機能を動作させる場合の給油所システムを示すブロック図。
図6】中継機における動作手順(給油許可制御方法)を示すフローチャート。
図7】POS端末が故障していない場合の給油所システムの動作を示すシーケンス図。
図8】POS端末が故障している場合の給油所システムの動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施の形態の説明に先立って、本開示の概要を説明する。図1は、本開示に係る給油所システムを概略的に示す。給油所システム10は、給油許可制御装置20、固定式給油許可装置30、計量機40、無線通信装置50、及び複数の可搬型端末装置60を有する。計量機40は、給油所の給油エリアに設置される。固定式給油許可装置30は、給油所の店舗内に設置される。固定式給油許可装置30は、計量機40に給油許可を示す給油許可信号を送信可能に構成される。
【0019】
無線通信装置50は、複数の可搬型端末装置60と無線通信する。各可搬型端末装置60は、給油所の作業員によって使用される。作業員は、可搬型端末装置60を操作し、給油許可を入力することができる。給油許可制御装置20は、可搬型端末装置60を用いた給油許可を制御する。
【0020】
図2は、給油許可制御装置20の構成を示す。給油許可制御装置20は、認識手段21、転送手段22、判定手段23、及び制御手段24を有する。認識手段21は、固定式給油許可装置30の故障を認識する。転送手段22は、作業員が可搬型端末装置60を用いて給油許可を入力した場合、給油許可を示す許可信号を、可搬型端末装置60から無線通信装置50を介して受信する。転送手段22は、受信した許可信号を計量機40に転送する。
【0021】
判定手段23は、複数の可搬型端末装置60のうちの少なくとも1つが給油所の店舗内に固定されたか否かを判定する。制御手段24は、認識手段21における認識結果、及び判定手段23における判定結果に基づいて、可搬型端末装置60から計量機40への許可信号の送信の可否を制御する。
【0022】
制御手段24は、認識手段21の認識結果が固定式給油許可装置30が故障していないことを示す場合、可搬型端末装置60から計量機40への許可信号の送信を許可する。制御手段24は、認識手段21の認識結果が固定式給油許可装置30が故障していることを示し、かつ判定手段23の判定結果が可搬型端末装置60が店舗内に固定されたことを示す場合、可搬型端末装置60から計量機40への許可信号の送信を許可する。制御手段24は、認識手段21の認識結果が固定式給油許可装置30が故障していることを示し、かつ判定手段23の判定結果が可搬型端末装置60が店舗内に固定されていないことを示す場合、可搬型端末装置60から計量機40への許可信号の送信を禁止する。
【0023】
本開示では、給油許可制御装置20は、固定式給油許可装置30が正常に動作している場合、可搬型端末装置60を用いた給油許可を可能にする。給油許可制御装置20は、固定式給油許可装置30が正常に動作していない場合、可搬型端末装置60の少なくとも一部が店舗内に固定されたか否かに応じて、可搬型端末装置60を用いた給油許可を制御する。本開示では、店舗内の固定された可搬型端末装置60は固定式給油許可装置30とみなされる。本開示では、固定式給油許可装置30が故障した場合でも、店舗内に固定された可搬型端末装置60を用いて、可搬型端末装置60を用いた給油許可を継続できる。このため、バックアップ用に、店舗内に固定される機器が常時設置されている必要がなく、運用コストを低減できる。
【0024】
以下、本開示の実施の形態を詳細に説明する。図3は、本開示の一実施形態に係る給油所システムを示す。給油所システム100は、POS端末110、通信変換器120、中継機130、WAP(Wireless Access Point)140、可搬SSC150A及び150B、外設機170、計量機180、並びにカメラ190を有する。給油所において、POS端末110、通信変換器120、中継機130、及びWAP140は、事務所(店舗)200内に配置される。外設機170、計量機180、及びカメラ190は、店舗200外の給油エリアに配置される。
【0025】
POS端末110及び外設機170は、LAN(Local Area Network)210を介して相互に接続される。LAN210においては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などのプロトコルに従った通信が実施される。中継機130及び計量機180は、それぞれSS-LAN220に接続される。SS-LAN220においては、例えば石油連盟の標準通信方式(RS(Recommended Standard)485のシリアル制御方式)に従った通信が実施される。通信変換器120は、LAN210とSS-LAN220との間で、通信方式の変換などを行う。通信変換器120は、例えば、SS-LANインタフェースボックス(SIB:SS-LAN Interface Box)と呼ばれる装置であってよい。通信変換器120と中継機130とは、必ずしも独立した装置として構成される必要はなく、通信変換器120と中継機130とが1つの機器として構成されてもよい。
【0026】
なお、図3では、給油所システム100において、LAN210と、SS-LAN220の2種類のネットワークが使用されている。しかしながら、本実施形態は、これには限定されない。POS端末110、中継機130、外設機170、及び計量機180は、同じLANを介して相互に接続されていてもよい。その場合、2つのネットワークの間で通信方式の変換を行う通信変換器120のような機器は不要である。
【0027】
計量機180は、客が自動車等の車両に給油する際に使用される機器である。計量機180は、ハイオク、レギュラー、及び軽油用のノズル及び燃料ポンプを有する。外設機170は、紙幣取扱装置、硬貨取扱装置、カードリーダ、表示装置、入力装置、及びプリンタなどを有する。外設機170は計量機180の上部、或いは計量機180の近傍に設けられる。カメラ190は、給油を行う客を撮影する。カメラ190は、撮影した映像をPOS端末110に送信する。計量機180は、図1に示される計量機40に対応する。
【0028】
なお、図3には、外設機170計量機180、及びカメラ190がそれぞれ1つずつ図示されているが、本実施形態はこれには限定されない。給油所システム100は、任意の数の外設機170、計量機180、及びカメラ190を有し得る。
【0029】
POS端末110は、給油所における燃料の売り上げなどを計上する会計装置である。POS端末110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶装置、ディスプレイ、入力装置、及び通信I/F(Interface)などを有する。本実施形態において、POS端末110は、SSC機能(SSC制御ソフトウェア)111を有する。SSC機能111は、ディスプレイ上に、カメラ190が撮影した計量機180付近の映像、及び給油許可ボタンなどを表示する。SSC機能111は、給油許可を含むSSC操作を実施する機能を提供する。SSC機能111は、計量機に対する制御を実施する機能と、作業員に対してユーザインタフェースを提供する機能とを含む。ユーザインタフェースを提供する機能は、作業員の給油許可の入力を受け付ける機能を含む。POS端末110は、図1に示される固定式給油許可装置30に対応する。
【0030】
WAP140は、店舗内などの給油所の所定位置に設置される。WAP140は、可搬SSC150A及び150Bと、所定の無線通信方式に従って無線通信を行う。WAP140は、例えばWiFi(登録商標)のアクセスポイントとして構成される。WAP140は、中継機130を介してSS-LAN220に接続される。中継機130は、WAP140とSS-LAN220との間で、信号を中継する。中継機130は、図1に示される給油許可制御装置20の機能を有する。WAP140は、図1に示される無線通信装置50に対応する。
【0031】
可搬SSC150A及び150Bは、給油所の作業員が所持する携帯型の端末装置である。可搬SSC150A及び150Bは、例えばCPU、ROM、RAM、記憶装置、ディスプレイ、タッチセンサ、及び無線通信部を有する。可搬SSC150A及び150Bは、WAP140に無線接続される。可搬SSC150A及び150Bは、SSC操作において、主に、作業員に対してユーザインタフェースを提供する機能を提供する。なお、以下では、可搬SSC150A及び150Bは、特に区別が必要ない場合は、総称して可搬SSC150とも呼ばれる。可搬SSC150は、図1に示される可搬型端末装置60に対応する。
【0032】
本実施形態において、作業員は、POS端末110、及び可搬SSC150の何れかを用いて、計量機180に対して給油許可を発行することができる。例えば、作業員は、POS端末110のディスプレイ上に表示されたカメラ190の画像を見て、客が安全に給油できる状態であることを確認する。あるいは、可搬SSC150を所持する作業員は、給油エリアにおいて、目視で客が安全に給油できる状態であることを確認する。作業員は、客が安全に給油できることを確認したうえで、POS端末110又は可搬SSC150のタッチパネル上に表示された給油許可ボタンを押す。
【0033】
ここで、可搬SSC150の運用条件の一例を説明する。緊急停止を含むSSC操作を確実に実施するために、可搬SSC150とは別に、固定式SSCが設置されている必要があるとする。別の言い方をすれば、可搬SSC150のみの運用は許可されないものとする。本実施形態において、POS端末110は、SSC機能111を有しており、固定式SSCを兼ねる。SSC操作は、給油客の操作を、目視又はカメラ映像で確認して実施される必要があるとする。可搬SSC150が用いられる場合、カメラ映像の利用は認められないものとする。可搬SSC150を用いて給油を許可できるエリア(給油許可エリア)がビーコン無線などを用いて規定されており、作業員は、給油許可を要求した計量機180の周辺でのみ給油を許可できるものとする。緊急停止については、ビーコン無線で規制されず、給油許可エリア以外からも操作可能とする。
【0034】
クレードル160は、店舗200内に配置される。クレードル160は、有線通信ケーブルを通じて、中継機130に接続される。クレードル160は、可搬SSC150に設けられた端子と接続するための端子を有する。作業員は、複数の可搬SSC150のうちの何れかをクレードル160の載せることができる。クレードル160に可搬SSC150が載せられると、可搬SSC150の端子と、クレードル160の端子とが物理的に接触する。以下では、クレードル160に可搬SSC150が載せられ、可搬SSC150の端子とクレードル160の端子とが物理的に接触した状態を、可搬SSC150が店舗200内に固定化されたとも呼ぶ。なお、クレードル160の数は1つには限定されず、店舗200内に複数のクレードル160が配置されていてもよい。
【0035】
図4は、中継機130の構成例を示す。中継機130は、認識部131、転送部132、判定部133、及び制御部134を有する。中継機130は、例えばプロセッサとメモリとを含む。中継機130内の各部の機能の少なくとも一部は、プロセッサがメモリから読み出したプログラムに従って処理を実行することで実現され得る。
【0036】
転送部132は、作業員が、複数の可搬SSC150の何れかを用いて給油許可を入力した場合、WAP140を介して可搬SSC150から給油許可を示す許可信号を受信する。転送部132は、許可信号を受信した場合、受信した許可信号を、SS-LAN220を介して計量機180に送信する。転送部132は、図2に示される転送手段22に対応する。
【0037】
認識部131は、POS端末110(そのSSC機能111)が正常に動作しているか否かを監視する。認識部131は、POS端末110が正常に動作していない場合、POS端末110の故障を認識する。作業員は、POS端末110が故障している場合、その旨を示す信号を中継機130に入力してもよい。認識部131は、人が中継機130に接続された機器などを用いてPOS端末が故障している旨を示す信号を入力した場合、POS端末が故障していると認識する。認識部131は、図2に示される認識手段21に対応する。
【0038】
判定部133は、可搬SSC150がクレードル160に載せられたか否かを判定する。別の言い方をすると、判定部133は、複数の可搬SSC150のうちの少なくとも1つが店舗200内に固定されたか否かを判定する。判定部133は、例えばクレードル160と可搬SSC150とが物理的に接続された場合、可搬SSC150が店舗200内に固定されたと判定する。判定部133は、例えば、クレードル160の端子が、可搬SSC150の端子に直接接触しているか否かに応じて、可搬SSC150が店舗200内に固定されたか否かを判定してもよい。判定部133は、図2に示される判定手段23に対応する。
【0039】
制御部134は、認識部131の認識結果、及び判定部133の判定結果に応じて、可搬SSC150から計量機180への給油許可信号の送信を制御する。制御部134は、例えば、可搬SSC150とWAP140との間の無線通信を制御することで、可搬SSC150から計量機180への給油許可信号の送信を制御してもよい。例えば、制御部134は、WAP140と可搬SSC150との間の無線通信を有効にすることで、可搬SSC150から計量機180への給油許可信号の送信を許可してもよい。制御部134は、WAP140の無線出力を停止させることで、可搬SSC150から計量機180への給油許可信号の送信を禁止してもよい。
【0040】
制御部134は、認識部131においてPOS端末110の故障が認識されていない場合、可搬SSC150を用いた給油許可の入力を有効にする。その場合、制御部134は、WAP140の無線出力を停止しない。可搬SSC150は、WAP140を介して、給油許可信号を中継機130に送信する。中継機130の転送部132は、給油許可信号を受信し、受信した給油許可信号を、SS-LAN220を介して計量機180に送信する。
【0041】
制御部134は、認識部131においてPOS端末110の故障が認識された場合、判定部133において、可搬SSC150が店舗200内に固定されたと判定されているか否かを判断する。制御部134は、可搬SSC150が店舗200内に固定されているか否かに応じて、WAP140の無線出力を制御する。制御部134は、POS端末110の故障が認識された場合で、かつ可搬SSC150が店舗200内に固定されていないと判定されている場合、WAP140の無線出力を停止する。WAP140の無線出力が停止された場合、転送部132は、可搬SSC150から給油許可信号を受信できない。このため、転送部132は、給油許可信号を計量機180に転送することができない。
【0042】
制御部134は、POS端末110の故障が認識された場合で、かつ可搬SSC150が店舗200内に固定されていると判定されている場合、WAP140の無線出力を停止しない。その場合、転送部132は、可搬SSC150から給油許可信号を受信し、受信した給油許可信号を計量機180に転送することができる。可搬SSC150が店舗200内に固定された後、可搬SSC150がクレードル160から取り外れた場合、判定部133は、可搬SSC150が店舗200内に固定されていないと判定する。その場合、制御部134は、WAP140の無線出力を停止し、給油許可信号の計量機180への転送を禁止する。
【0043】
なお、クレードル160に固定された可搬SSC150は、故障したPOS端末110のSSC機能111の代替として動作してもよい。作業員は、店舗200内に固定された可搬SSC150を用いて、給油許可を行ってもよい。その場合、転送部132は、クレードル160を介して中継機130に有線接続された可搬SSC150から給油許可信号を受信する。転送部132は、店舗200内に固定された可搬SSC150から給油許可信号を受信した場合、受信した給油許可信号を計量機180に送信する。
【0044】
ここで、一般に、可搬SSC150は小型の機器として構成されるため、POS端末110などの店舗内に設置される据置型の機器に比べて処理能力が低く、可搬SSC150がSSC機能111の全てを提供することができない場合があり得る。そのような場合、SSC機能111の一部は、店舗200外の他の機器、例えば外設機170で動作してもよい。その場合、SSC機能111は、店舗200内に固定された可搬SSC150と外設機170とが協働することで提供される。
【0045】
図5は、外設機170においてSSC機能を動作させる場合の給油所システム100を示す。図5において、POS端末110には故障が発生しているとする。中継機130は、POS端末110の故障を認識し、外設機170にSSC機能171を配備する。例えば、中継機130は、図示しないストレージなどからSSC機能171を実現するためのプログラムを読み出し、読み出したプログラムを、LAN210などを通じて外設機170に送信する。あるいは、外設機170に、SSC機能171を実現するためのプログラムがあらかじめ記憶されていてもよい。
【0046】
SSC機能171は、例えばSSC機能111(図3を参照)に含まれる機能のうちの一部を提供する。例えば、SSC機能171は、SSC機能111に含まれる、計量機を制御する機能を提供する。SSC機能171は、店舗200内に固定された可搬SSC150のディスプレイに、カメラ190の映像を表示させる機能を提供してもよい。店舗内に固定された可搬SSC150は、作業員の給油許可の入力を受け付ける機能を提供する。上記動作は、可搬SSC150の処理能力、及びハードウェアリソースが、SSC機能111の全てを提供するには不足している場合に有用である。
【0047】
次いで、動作手順を説明する。図6は、給油許可制御装置として機能する中継機130における動作手順(給油許可制御方法)を示す。認識部131は、POS端末110のSSC機能111が正常に動作しているか否かを監視する(ステップS1)。言い換えれば、認識部131は、固定SSCが正常に動作しているか否かを監視する。認識部131は、固定SSCが異常であるか否かを判断する(ステップS2)。認識部131は、固定SSCに異常がない場合、ステップS1に戻り、固定SSCの監視を継続する。
【0048】
認識部131が固定SSCの異常を認識した場合、制御部134は、可搬SSC150を用いた給油許可を停止する(ステップS3)。制御部134は、ステップS3では、例えばWAP140と可搬SSC150との無線通信を停止させることで、可搬SSC150を用いた給油許可を停止する。認識部131は、固定SSCの異常を認識したことに応答して、外設機170でSSC機能の一部を実施させる(ステップS4)。認識部131は、ステップS4では、外設機170でSSC機能171(図5を参照)を動作させる。認識部131は、POS端末110の機能(POS機能)を外設機170で動作させてもよい。給油所システム100が複数の外設機170を有する場合、SSC機能171とPOS機能とは、必ずしも同一の外設機170で稼働している必要はない。
【0049】
POS端末110が故障した場合、ステップS3で可搬SSC150を用いた給油許可が停止されるため、作業員は、計量機に対して給油を許可することができない。POS端末110が故障した場合、作業員は、複数の可搬SSC150のうちの1つ、例えば可搬SSC150Bをクレードル160に載せることで、可搬SSC150Bを店舗200内に固定する。
【0050】
判定部133は、可搬SSC150が店舗200内に固定されたか否かを判定する(ステップS5)。判定部133は、例えば可搬SSC150Bがクレードル160に載せられた場合、可搬SSC150Bが店舗200内に固定されたと判定する。ステップS5で可搬SSC150Bが店舗200内に固定されたと判断された場合、制御部134は、可搬SSC150Aを用いた給油許可を再開する(ステップS6)。制御部134は、ステップS6では、例えばWAP140と可搬SSC150Aとの間の無線通信を再開させることで、可搬SSC150Aを用いた給油許可を再開させる。作業員は、可搬SSC150Aを用いて給油許可を入力することができる。
【0051】
判定部133は、可搬SSC150がクレードル160に載せられているか否かを、継続して監視する。制御部134は、判定部133にて可搬SSC150がクレードル160から取り外れたと判定された場合、WAP140の無線出力を停止させる。制御部134は、可搬SSC150がクレードル160に戻されたと判定された場合、WAP140の無線出力の停止を解除する。制御部134は、認識部131にてPOS端末110が故障から復帰したことが認識された場合、可搬SSC150がクレードル160に固定されているか否かにかかわらず、WAP140の無線出力を有効にする。
【0052】
続いて、客が給油を行う場合に給油所システム100の動作を説明する。図7は、POS端末110が故障していない場合の給油所システム100の動作を示す。客は、外設機170を用いて、給油条件を設定する(ステップA1)。客は、ステップA1では、給油情報を外設機170に入力する。給油情報は、油種、給油方法、及び精算方法を含む。例えば、外設機170は、油種、給油方法、及び精算方法のそれぞれについて、選択可能な複数の項目を表示し、客に所望の項目を選択させる。例えば、油種は、ハイオク、レギュラー、及び、軽油を含む。給油方法は、定額、定量、及び満タンを含む。精算方法は、現金、電子マネー、プリペイドカード、及びクレジットカードを含む。
【0053】
外設機170は、入力された給油情報を含む給油許可受付情報をPOS端末110に送信する(ステップA2)。POS端末110は、LAN210を通じて、外設機170から送信された給油許可受付情報を受信する。
【0054】
計量機180は、ノズルがホルダから取り外されたことを検出した場合、ノズルが外されたことを示す信号を、固定SSCであるPOS端末110に送信する(ステップA3)。POS端末110のSSC機能111は、SS-LAN220、通信変換器120、及びLAN210を介して、ノズルが外されたことを示す信号を受信する。SSC機能111は、ディスプレイにカメラ190の映像、及び給油許可ボタンを表示し、作業員に給油許可の入力を促す。作業員が給油許可を入力すると(ステップA4)、POS端末110(SSC機能111)は、給油許可信号を計量機180に送信する(ステップA5)。計量機180は、LAN210、通信変換器120、及びSS-LAN220を介して、POS端末110から給油許可信号を受信する。作業員は、可搬SSC150を用いて給油許可を行ってもよい。
【0055】
計量機180がPOS端末110から給油許可信号を受信した後、燃料ポンプが動作可能状態となり、客は、ノズルから車両に給油することができる(ステップA6)。客は、給油が完了した場合、ノズルをホルダに戻す。計量機180は、ノズルがホルダに戻された場合、給油完了を示す信号をPOS端末110に送信する(ステップA7)。POS端末110は、SS-LAN220、通信変換器120、及びLAN210を介して、給油完了を示す信号を受信する。POS端末110は、給油完了を示す信号を受信した場合、給油完了を示す信号を、LAN210を通じて外設機170に送信する(ステップA8)。
【0056】
外設機170は、給油完了を示す信号を受信すると、LAN210を通じて、ポンプロックを要求する信号をPOS端末110に送信する(ステップA9)。POS端末110は、ポンプロックを示す信号を、計量機180に送信する(ステップA10)。計量機180は、ポンプロックを示す信号を、LAN210、通信変換器120、及びSS-LAN220を介して受信する。計量機180は、ポンプロックを示す情報を受信した場合、燃料ポンプを動作禁止状態にする。燃料ポンプが動作禁止状態になることで、計量機180は給油不可状態に戻る。
【0057】
図8は、POS端末110が故障している場合の給油所システム100の動作を示す。POS端末110が故障した場合、作業員は、可搬SSC150Bをクレードル160に載せ、可搬SSC150Bを店舗200に固定するものとする。また、図6に示される手順に従って、外設機170においてSSC機能171(図5を参照)が稼働しているとする。さらに、図5では図示が省略されているが、外設機170においてPOS機能も稼働しているものとする。
【0058】
客は、外設機170を用いて、給油条件を設定する(ステップB1)。ステップB1は、図7におけるステップA1と同様でよい。外設機170は、入力された給油情報を含む給油許可受付情報を、外設機170内のSSC機能171に送信する(ステップB2)。ステップB2は、給油許可受付情報の送信先が、POS端末110(そのSSC機能111)から、外設機170のSSC機能171に変更されている点を除けば、ステップA2と同様でよい。
【0059】
計量機180は、ノズルがホルダから取り外されたことを検出した場合、ノズルが外されたことを示す信号を、SSC機能171に送信する(ステップB3)。SSC機能171は、SS-LAN220、通信変換器120、及びLAN210を介して、ノズルが外されたことを示す信号を受信する。
【0060】
可搬SSC150Aは、タッチパネル上に給油許可ボタンを表示し、作業員に給油許可の入力を促す。作業員は、給油エリアにおいて、客が安全に給油できることを、目視で確認する。作業員が給油許可を入力すると(ステップB4)、可搬SSC150Aは、WAP140を介して中継機130に給油許可信号を送信する(ステップB5)。中継機130は、給油許可信号を、SS-LAN220を通じて、計量機180に給油許可信号を送信する(ステップB6)。
【0061】
計量機180が可搬SSC150Aから給油許可信号を受信した後、燃料ポンプが動作可能状態となり、客は、ノズルから車両に給油する(ステップB7)。客は、給油が完了した場合、ノズルをホルダに戻す。計量機180は、ノズルがホルダに戻された場合、給油完了を示す信号をSSC機能171に送信する(ステップB8)。SSC機能171は、SS-LAN220、通信変換器120、及びLAN210を介して、給油完了を示す信号を受信する。SSC機能171は、給油完了を示す信号を受信した場合、給油完了を示す信号を、外設機170に送信する(ステップB9)。
【0062】
外設機170は、給油完了を示す信号を受信すると、LAN210を通じて、ポンプロックを要求する信号をSSC機能171に送信する(ステップB10)。SSC機能171は、ポンプロックを示す信号を、計量機180に送信する(ステップB11)。計量機180は、ポンプロックを示す信号を、LAN210、通信変換器120、及びSS-LAN220を介して受信する。計量機180は、ポンプロックを示す情報を受信した場合、燃料ポンプを動作禁止状態にする。燃料ポンプが動作禁止状態になることで、計量機180は給油不可状態に戻る。
【0063】
本実施形態では、固定SSCとして用いられるPOS端末110の故障が認識された場合、中継機130は、可搬SSC150の何れも店舗200内に固定されていなければ、WAP140の無線出力を停止し、可搬SSC150を用いた給油許可を禁止する。中継機130は、可搬SSC150の1つが店舗200内に固定された場合、WAP140の無線出力を有効にし、可搬SSC150を用いた給油許可を可能にする。本実施形態に係る給油所システム100は、固定SSCとして用いられるPOS端末110が故障した場合でも、可搬SSC150の1つが店舗200内に固定されることで、残りの可搬SSC150を用いた給油許可が可能である。
【0064】
本実施形態は、SSのセルフ運用において必須設置機器である固定SSCが故障した場合、店舗200内に固定化された可搬SSC150を固定式SSCの代替とすることで、継続した店舗運用が可能である。本実施形態は、店舗内に固定された可搬SSC150を固定SSCとして使用することができるため、固定SSCの故障に備えてバックアップ用の装置を店舗内に配備しておく必要がない。本実施形態は、店舗内に固定的に設置されるSSCの設置台数を減らすことができ、SSのセルフ運用における運用コストを抑制することができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、給油許可制御装置が中継機130に組み込まれる例が説明された。しかしながら、本開示は、これには限定されない。給油許可制御装置の機能は、必ずしも中継機130に組み込まれている必要はなく、他の機器に組み込まれていてもよい。あるいは、給油許可制御装置は、単独した装置であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、POS端末110がSSC機能111を有しており、固定SSCとして使用される例が説明された。しかしながら、本開示は、これには限定されない。給油所システム100において、POS端末110は、固定SSCを兼ねている必要はない。給油所システム100は、POS端末110とは別に、固定SSCとして使用される装置を有していてもよい。
【0067】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本開示に含まれる。
【0068】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0069】
[付記1]
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置と、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置と、
前記複数の可搬型端末装置との間で無線通信を行う無線通信装置と、
前記可搬型端末装置を用いた給油許可を制御する給油許可制御装置とを備え、
給油許可制御装置は、
前記固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、
前記複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、前記無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、
前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、
前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを有する、給油所システム。
【0070】
[付記2]
前記判定手段は、前記可搬型端末装置が前記店舗内の通信ネットワークに有線接続された場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する付記1に記載の給油所システム。
【0071】
[付記3]
前記給油エリアに設置される外設機を更に有し、
前記認識手段は、前記固定式給油許可装置の故障を認識した場合、前記固定式給油許可装置が提供する機能の一部を前記外設機に移行させる付記1又は2に記載の給油所システム。
【0072】
[付記4]
前記固定式給油許可装置が提供する機能は、前記計量機に対する制御を実施する機能と、前記作業員の給油許可の入力を受け付ける機能とを含み、
前記認識手段は、前記計量機に対する制御を実施する機能を、前記外設機に移行させる付記3に記載の給油所システム。
【0073】
[付記5]
燃料の売り上げを計上する会計装置を更に有し、
前記会計装置は、前記固定式給油許可装置を兼ねる付記1から4何れか1つに記載の給油所システム。
【0074】
[付記6]
前記店舗内には、前記店舗内の通信ネットワークに有線接続されたクレードルが配置されており、
前記判定手段は、前記可搬型端末装置の端子が前記クレードルの端子に物理的に接触している場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する付記1から5何れか1つに記載の給油所システム。
【0075】
[付記7]
前記制御手段は、前記無線通信装置と前記可搬型端末装置との間の無線通信を制御することで、前記許可信号の送信の可否を制御する付記1から6何れか1つに記載の給油所システム。
【0076】
[付記8]
前記制御手段は、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記無線通信装置の無線出力を停止させることで、前記許可信号の送信を禁止する付記1から7何れか1つに記載の給油所システム。
【0077】
[付記9]
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置の故障を認識する認識手段と、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置の1つを用いて作業員が給油許可を入力した場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信する転送手段と、
前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたか否かを判定する判定手段と、
前記認識手段の認識結果、及び前記判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の可搬型端末装置から前記計量機への前記許可信号の送信の可否を制御する制御手段であって、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していないことを示す場合、及び前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されたことを示す場合、前記許可信号の送信を許可し、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記複数の可搬型端末装置の何れも前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記許可信号の送信を禁止するように構成される制御手段とを備える給油許可制御装置。
【0078】
[付記10]
前記判定手段は、前記可搬型端末装置が前記店舗内の通信ネットワークに有線接続された場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する付記9に記載の給油許可制御装置。
【0079】
[付記11]
前記店舗内には、前記店舗内の通信ネットワークに有線接続されたクレードルが配置されており、
前記判定手段は、前記可搬型端末装置の端子が前記クレードルの端子に物理的に接触している場合、前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されたと判定する付記9又は10に記載の給油許可制御装置。
【0080】
[付記12]
前記制御手段は、前記無線通信装置と前記可搬型端末装置との間の無線通信を制御することで、前記許可信号の送信の可否を制御する付記9から11何れか1つに記載の給油許可制御装置。
【0081】
[付記13]
前記制御手段は、前記認識結果が前記固定式給油許可装置が故障していることを示し、かつ前記判定結果が前記可搬型端末装置が前記店舗内に固定されていないことを示す場合、前記無線通信装置の無線出力を停止させることで、前記許可信号の送信を禁止する付記9から12何れか1つに記載の給油許可制御装置。
【0082】
[付記14]
前記認識手段は、前記固定式給油許可装置の故障を認識した場合、前記固定式給油許可装置が提供する機能の一部を、前記給油エリアに設置された外設機に移行させる付記9から13何れか1つに記載の給油許可制御装置。
【0083】
[付記15]
前記固定式給油許可装置が提供する機能は、前記計量機に対する制御を実施する機能と、前記作業員の給油許可の入力を受け付ける機能とを含み、
前記認識手段は、前記計量機に対する制御を実施する機能を、前記外設機に移行させる付記14に記載の給油許可制御装置。
【0084】
[付記16]
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する、給油許可制御方法。
【0085】
[付記17]
給油所の店舗内に設置され、給油エリアに設置される計量機に給油許可を示す許可信号を送信可能に構成される固定式給油許可装置が故障しているか否かを認識し、
前記給油所の作業員によって使用される複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されているか否かを判定し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識されていない場合、及び前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの少なくとも1つが前記店舗内に固定されていると判定された場合、無線通信装置を介して前記可搬型端末装置から作業員により入力された給油許可を示す許可信号を受信し、該受信した許可信号を前記計量機に送信し、
前記固定式給油許可装置の故障が認識された場合で、かつ、前記複数の可搬型端末装置のうちの何れも前記店舗内に固定されていないと判定された場合、前記許可信号の前記計量機への送信を禁止する処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0086】
10:給油所システム
20:給油許可制御装置
21:検知手段
22:転送手段
23:判定手段
24:制御手段
30:固定式給油許可装置
40:計量機
50:無線通信装置
60:可搬型端末装置
100:給油所システム
110:POS端末
111:SSC機能
120:通信変換器
130:中継機
131検知部
132:転送部
133:判定部
134:制御部
140:WAP
150:可搬SSC
160:クレードル
170:外設機
171:SSC機能
180:計量機
190:カメラ
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8