(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】熱暴走の伝播防止と封じ込め機能を備えた静電容量低減電池サブモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20240109BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240109BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240109BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20240109BHJP
H01M 50/287 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/222 20210101ALI20240109BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M50/296
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M50/287
H01M50/222
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021146636
(22)【出願日】2021-09-09
(62)【分割の表示】P 2020573568の分割
【原出願日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520504231
【氏名又は名称】ウィスク アエロ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メラック、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ムニズ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブライ、コリン
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-339032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315356(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0095136(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0048036(US,A1)
【文献】特開2011-249251(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102354773(CN,A)
【文献】特開2013-016375(JP,A)
【文献】特開2012-248374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えた缶と、
前記缶に挿入された複数の層であって、
前記複数の層は、電池セルと、フィンを備えた熱伝導層とを備え、
前記フィンは、
前記熱伝導層の側部が切込みにより分離された複数の独立した隣接するセクションを有し、各セクションは、前記フィンのそのセクションを前記缶の内面に向かって独立して押すようになっている独立したバネ力を有し、前記フィンの前記複数の独立した隣接するセクションのうちの第1のセクションが第2のセクションに隣接し、前記第1のセクションと前記第2のセクションとが前記缶の内面に物理的に接触するように、前記第1のセクションが前記第2のセクションとは独立して屈曲するか曲がるようになっている、前記複数の層と、
前記缶の前記開口部を覆うように構成された蓋であって、該蓋は、タングのない凹型の電気コネクタを備える、前記蓋と
を備える、システム。
【請求項2】
前記電池セルは、前記缶に挿入された複数の電池セルのうちの1つであり、
前記蓋は、
前記複数の電池セルの電圧を伝える電気コネクタと、
前記複数の電池セルの電圧を伝えることに関連する、前記蓋内の電気接続部であって、デュアルワイヤボンドおよびポッティングを含む前記電気接続部と
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィンの前記複数の独立した隣接するセクションの縁部が丸みを帯びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱伝導層が、第1の側に沿って前記フィンを有し、前記第1の側とは反対側の第2の側に沿って、前記複数の独立した隣接するセクションを含む他のフィンを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の独立した隣接するセクションは、前記電池セルに向かって前記フィンの下方に傾いているか、前記電池セルに向かって前記フィンの上方に傾いている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記缶の内面の少なくとも一部が陽極酸化されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電池セルの圧縮および積み重ねられた(例えば、交互配置された)層、(例えば、熱的および/または電気的)絶縁体、および(例えば、電池サブモジュールの内部から熱を引き出すための)フィンを含む新しいタイプの電池サブモジュールが開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
そのような電池サブモジュールの信頼性および/または性能をさらに改善するための追加の改善が望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の様々な実施形態が、以下の詳細な説明および添付の図面に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】缶の内面が陽極酸化されている電池サブモジュールの一実施形態を示す図である。
【
図2】複数の組み立てられた電池サブモジュールを保持するために使用される導電性フレームの一実施形態を示す図である。
【
図3A】フランジを備えた缶の一実施形態の上面図を示す図である。
【
図3B】フランジを備えた缶の一実施形態の斜視図を示す図である。
【
図3C】フランジを備えた缶の一実施形態の側面図を示す図である。
【
図3D】フランジが蓋に巻き付けられた後のフランジを備えた缶の一実施形態の側面図を示す図である。
【
図4A】基本的なフィンを備えた熱伝導層の一例を示す図である。
【
図4B】羽毛状フィンを備えた熱伝導層の一実施形態を示す図である。
【
図5A】マルチフォールドフィンを備えた熱伝導層の一実施形態の斜視図を示す図である。
【
図5B】マルチフォールドフィンを備えた熱伝導層の一実施形態の側面図を示す図である。
【
図6A】電池セルとフィンとの間に配置された圧縮性コードの一実施形態の斜視図を示す図である。
【
図6B】電池セルとフィンとの間に配置された圧縮性コードの一実施形態の側面図を示す図である。
【
図6C】電池セルとフィンとの間に配置され、圧縮状態にある圧縮性コードの一実施形態の側面図を示す図である。
【
図7】凹型および/またはより短いコネクタを備えた蓋の一実施形態を示す図である。
【
図9】デュアルワイヤボンドおよびポッティングを備えたプリント回路基板(PCB)を備えたトッププレートの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、プロセス、装置、システム、物質の組成、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/またはプロセッサに結合されたメモリに格納されるおよび/またはメモリによって提供される命令を実行するように構成されたプロセッサなどのプロセッサとして含む多くの方法で実装することができる。本明細書では、これらの実装形態、または本発明がとり得る他の任意の形態は、技術と呼ばれ得る。一般的に、開示されたプロセスのステップの順序は、本発明の範囲内で変更することができる。特に明記しない限り、タスクを実行するように構成されていると説明されるプロセッサまたはメモリなどのコンポーネントは、所与の時間にタスクを実行するように一時的に構成される一般的なコンポーネント、またはタスクを実行するように製造される特定のコンポーネントとして実装され得る。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するように構成された1つ以上の装置、回路、および/または処理コアを指す。
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明が、本発明の原理を説明する添付の図と共に以下に提供される。本発明は、そのような実施形態に関連して説明されるが、本発明は、いかなる実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明は、多数の代替物、修正、および均等物を包含する。本発明の完全な理解を提供するために、以下の説明には多くの特定の詳細が記載されている。これらの詳細は、例の目的のために提供されており、本発明は、これらの特定の詳細の一部または全部なしで、特許請求の範囲に従って実施することができる。明確にするために、本発明に関連する技術分野で知られている技術資料は、本発明が不必要に不明瞭にならないように、詳細には説明されていない。
【0007】
電池サブモジュールの改良の様々な実施形態(電池サブモジュールは、電池セルの積み重ねられた層、(例えば、熱的および/または電気的な)絶縁体、および蓋を備えた缶内のフィンを備えた熱伝導層を含む)が、本明細書に記載されている。説明を単純化および容易にするために、少なくともいくつかの構成および/または改良を別々にまたは個別に以下に説明する。当然、様々な電池サブモジュールの実施形態は、構成および/または改良の特定の組み合わせが必ずしも本明細書に具体的に記載され得なくても、構成および/または改良の様々な組み合わせを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、電池サブモジュール)は、開口部の周りにリップを備えた缶を含む。缶の少なくとも内面は陽極酸化されており、缶のリップは長辺および短辺を含み、缶はリップの長辺にフランジをさらに含む。システムは、缶に挿入された複数の(例えば、積み重ねられた)層をさらに含み、複数の層は、電池セルと、フィンを備えた熱伝導層とを含む。フィンは、缶の陽極酸化された内面に向かってフィンを押すバネ力を有する。システムは、缶の開口部を覆うように構成された蓋をさらに含み、蓋が缶の開口部を覆うときにフランジが蓋を包むように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、電池サブモジュール)は、開口部を備えた缶と、缶に挿入された複数の層とを含む。複数の層は、電池セルと、フィンを備えた熱伝導層とを含む。フィンは、複数の独立したセクションを含み、それぞれのセクションは、フィンのそのセクションを缶の内面に向かって独立して押す独立したバネ力を有する。システムは、缶の開口部を覆うように構成された蓋をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、電池サブモジュール)は、開口部を備えた缶と、缶に挿入された複数の層とを含む。複数の層は、電池セルと、複数の折り目を備えたマルチフォールドフィンを備えた熱伝導層とを含む。マルチフォールドフィンは、缶の内面に向かってマルチフォールドフィンを押すバネ力を有する。システムは、缶の開口部を覆うように構成された蓋をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、電池サブモジュール)は、開口部を備えた缶と、缶に挿入された複数の層とを含む。複数の層は、電池セルと、複数の折り目を備えたマルチフォールドフィンを備えた熱伝導層とを含む。フィンは、缶の内面に向かってマルチフォールドフィンを押すバネ力を有する。圧縮性材料は、フィンと複数の層との間に配置され、圧縮性材料は、缶の内面に向かってマルチフォールドフィンを押す追加のバネ力を提供する。システムは、缶の開口部を覆うように構成された蓋をさらに含む。
【0012】
図1は、缶(または、より一般的には、容器またはケース)の内面が陽極酸化されている電池サブモジュールの一実施形態を示す図である。図示の例では、蓋をしていない電池サブモジュールの上面図が示されている。缶の内容物には、(電池)セル(100)、絶縁体(102)、およびフィン(104)を備えた熱伝導層(本明細書では、より簡単にフィンと呼ばれることもある)の積み重ねられた層が含まれる。いくつかの実施形態における絶縁体(102)の層は、(例えば、1つの電池セルから他の電池セルへの熱の拡散を防ぐための)断熱層である。
【0013】
この例では、セルはポーチセルである。ポーチセルは、圧力(例えば、約3~5PSI(0.0206843~0.0344738MPa))が加えられるとパフォーマンスが向上する。より具体的には、ポーチセルのサイクル寿命は、ポーチセルに圧力を加えることによって延ばすことができる。このため、ここに示されている積み重ねられた層は、缶によって(例えば、ポーチセルの最大表面に垂直に)圧縮される。
【0014】
この例では、(積み重ねられたすべての層のように)絶縁体が圧縮されるので、絶縁体は、圧縮された缶からの予想される圧力に(例えば、崩壊することなく)耐えることができる材料で構成される。例えば、対象のメトリックとして材料のバネ定数を使用する場合、絶縁体のバネ定数は無視できないものにする必要がある。いくつかの実施形態では、絶縁体は、良好な断熱材であり、無視できないバネ定数を有するエアロゲルでできている。
【0015】
熱的に、絶縁体の層は、熱が1つのセルから別のセルに広がるのを防ぐ(または少なくとも減速および/または軽減する)。例えば、1つのセルが壊滅的に故障し、その過程で大量の熱を放出すると仮定する。絶縁体がないと、その熱はすべて隣接するセルに伝播し、そのセルも壊滅的に故障する。最終的には、すべてのセルがドミノのような効果で壊滅的に故障する。この正のフィードバックサイクル、ドミノのような(例えば、セルまたは電池レベルでの)効果は、熱暴走と呼ばれることもある。絶縁体の層は、熱暴走が(少なくともセルレベルで)発生するのを防ぐ(または少なくとも減速するおよび/または軽減する)。
【0016】
この例のフィンは、熱伝導性材料でできており、セルのためのヒートシンクとして機能し、セルによって生成された熱を(例えば、通常の動作中および/または壊滅的な故障中に)積み重ねられた層の内部から外部へ除去する。熱的に、フィンは熱伝導性の材料でできているため、フィンはセルから熱を逃がすことができる。構造的には、フィンはバネのように機能し、圧力がかかると押し戻される。このバネのような効果は、フィンの周りにいくらかの(空気などの)隙間があっても、缶の内部との物理的接触が保証されるので便利である。例えば、層の縁部が整列されていない、および/または層が異なる幅を有する場合、フィンは、缶の内部とセルの側面との間で「押しつぶされ」ない可能性がある。熱伝導層は、フィンが缶に物理的に接触しているときに熱を良好に伝導することができるので、フィンをバネのように機能させることで、フィンが常に缶に接触し、フィンの曲がった部分の周りに隙間があっても良好な熱特性を有する。いくつかの実施形態では、金属は良好な熱伝導体であり、フィンがバネのように機能することを可能にするため、フィンは金属(例えば、1235シリーズのAl)で作られる。
【0017】
電池サブモジュールの初期のプロトタイプに関する1つの問題は、フィンと缶の内面との間の接触が、電池サブモジュールの性能に望ましくない影響を与える静電容量を時々意図せずに作り出すことである。この例では、フィンが缶の内面に接触することによって形成される静電容量を防止する(または少なくとも軽減する)ために、缶の内面は陽極酸化されている(110)。これは、陽極酸化により陽極酸化表面の電気抵抗および/または絶縁性が増加し、陽極酸化された内面がコンデンサのように機能しないようにするためである。ここに示す図では、缶の内側だけが陽極酸化されている(110)。缶(112)の外側および上部は、薄壁のアルミ缶の特性をよりよく保持するために陽極酸化されないままにされている。いくつかの実施形態では、缶は1060-Oアルミニウムでできている。様々な実施形態において、缶の外面は、陽極酸化されていても、陽極酸化されていなくてもよい。
【0018】
電池サブモジュールの初期のバージョンに関する別の問題は、層が時々互いにずれることである。これに対処するために、いくつかの実施形態では、2つ以上の層が、テープまたは他の接着剤を使用して互いに取り付けられている。例えば、電池セルとフィンの表面は滑らかで滑りやすいのに対し、絶縁体の表面は粗く「滑りにくい」ため、電池セルをその隣接するフィンにテープで固定することができる。これにより、例えば、組み立てプロセス中に層が滑ってずれることを防ぐことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、(例えば、缶の内面に加えて、またはその代わりとして)缶の他の部分が陽極酸化される。次の図は、この例を示している。
【0020】
図2は、複数の組み立てられた電池サブモジュールを保持するために使用される導電性フレームの一実施形態を示す図である。図示の例では、フレームまたはラック(200)が、組み立てられた電池サブモジュール(図示せず)を所定の位置に保持するために使用されている。フレームは、ここに示されている表面に6つの電池サブモジュールが挿入され、反対側の表面(図示せず)にさらに6つ挿入されるように設計されている。当然、ここに示されているフレームによって保持されている電池サブモジュールの数は単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0021】
フレーム内の切り欠き(202)は、組み立てられた電池サブモジュールのそれぞれがフレームに挿入される場所を示している。電池サブモジュール(図示せず)の缶は、缶が缶のリップまで挿入されるように、(例えば、缶の(側)壁に垂直な)リップを有する。電池サブモジュールをフレームに固定するために、2つのネジ穴(204)がフレームに穿孔されるか、または他の方法で形成される。電池サブモジュールの缶は、同様に位置合わせされた穴を有し、ネジが缶の穴を通り、次にフレームの対応する穴を通り、電池サブモジュールをフレームに固定する。文脈のために、破線の輪郭206は、ネジによって固定されたときに缶がフレームの表面に対して置かれる場所を示している。
【0022】
初期のプロトタイプは、電池サブモジュールが挿入されたフレームが意図せずに(例えば、大きな)静電容量を生成し、それが次に意図せずに高電圧でエネルギーを蓄積する可能性があることを明らかにした。これは、電池サブモジュールが挿入された状態で作業者がフレームに触れ、放電によって怪我をする(または少なくとも不快な感電を受ける)可能性があるため、危険である。
【0023】
この例では、これを軽減するために、フレームと接触する缶の部分が陽極酸化され、これは、意図しない電荷の蓄積を軽減する。例えば、これは、缶のネジ穴の内側、缶のリップの下側、および/または缶の外面の上部を陽極酸化することを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、缶は、蓋を缶に固定するのを助けるためのフランジを含む。次の図は、そのような1つの例を示している。
【0025】
図3Aは、フランジを備えた缶の一実施形態の上面図を示す図である。図示の例では、缶(300a)の上面図が示され、缶のリップは、缶のより長い縁部にフランジ(302a)を含む。フランジは、蓋(図示せず)を缶の上部によりしっかりと固定するために使用される。例えば、缶の上部に蓋を付けるとき、フランジを蓋の周りに巻き付けて、蓋を缶の上部によりしっかりと固定する。フランジは缶の長辺またはより長い長さに配置され、これは短辺またはより短い長さよりも構造的に弱く、缶の本体内の高温ガスがより逃げる可能性が高いことに留意されたい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ガスは、短辺の蓋と缶との間で逃げる可能性が低い。なぜなら、(例えば、
図2に示されるフレーム(200)に電池サブモジュールを固定するために使用される)これらの辺のネジは、蓋と缶をそれらの(短)辺で互いに固定するのに効果的であるからである。例えば、
図3Aのネジ穴306aおよび
図3Bのネジ穴306bを参照すると、これらは、缶のリップの短辺にあり、これらをネジが通過する。ネジがあると、フランジがそれらの(短)辺の蓋の周りに巻き付くのが困難になる、および/またはガスがそれらの辺で逃げる可能性が低くなるため、それらの(短)辺のフランジが不要になる。
【0027】
図3Bは、フランジを備えた缶の一実施形態の斜視図を示す図である。ここに示す図から、缶(300b)の他の構成を見ることができ、(例えば、熱暴走中に電池セルの故障によって放出される)高温ガスが電池サブモジュールの内部から逃げることができる切り欠きまたは通気口(304)が含まれる。いくつかの実施形態では、切り欠きは、高温ガスの熱から溶融し、ガスを逃がすことができるテープまたは他の材料(図示せず)で覆われている。通常の操作中、テープまたはその他の覆いは、破片が電池サブモジュールに入るのを防ぐ。
【0028】
電池サブモジュールの以前のプロトタイプでは、熱暴走中に電池セルが故障して高温ガスが放出されたときに問題が発生した。図示の切り欠きから逃げる代わりに、ガスは、蓋が缶に接続されている場所に代わりに圧力を掛け、缶と蓋の間から逃げる。例えば、以前の設計では、蓋を缶に固定するために両面接着剤のみを使用していた。
【0029】
簡単に
図2に戻ると、電池サブモジュールが
図2に示されているフレームに挿入されるとき、逃げるガスが胴体に入る可能性があるので、高温および/または有毒ガスを電池サブモジュールの上部(例えば、蓋と缶の間)を通って逃がすのは望ましくない。対照的に、
図2に示すフレームの内部には、高温および/または有毒ガスが安全に逃げるための通気口が含まれているため、ガスが缶の切り欠きから逃げることは望ましい。別の言い方をすれば、航空機および/またはフレームの設計では、高温および/または有毒ガスが、蓋と缶の間の隙間からではなく、切り欠きから排出されることを想定している。
【0030】
図3Aおよび
図3Bに戻ると、フランジ(302aおよび302b)は、蓋の周りを包むことによって、蓋を缶の上部によりしっかりと固定する。これにより、高温および/または有毒ガスが蓋と缶の間の隙間を介して逃げるのを良好に防ぐ。次の図は、これを側面視から示している。
【0031】
図3Cは、フランジを備えた缶の一実施形態の側面図を示す図である。この例では、蓋(310c)が缶(300c)のリップに載っているため、蓋が缶の開口部を覆っている。フランジ(302c)はまだ蓋の周りに巻き付けられていない。明確に簡潔にするために、この例では缶の内容物は示されていないが、通常、すべての内容物(例えば、積み重ねられた層)が缶に挿入された後、蓋を使用して缶の開口部を閉じる。ここに示した状態では、リップの長辺のフランジ(302c)は、まだ蓋の周りに巻き付けられていない。文脈のために、点線(312)は、(例えば、缶の角に向かって)フランジがないリップの縁部を示している。
【0032】
図3Dは、フランジが蓋の周りに巻き付けられた後のフランジを備えた缶の一実施形態の側面図を示す図である。ここに示す状態では、フランジ(302d)が蓋(310d)、特に缶(300d)のリップと接触する底面の縁部の周りに巻き付けられている。これは、(例えば、リップと蓋の底部との間ののりまたは接着剤など、蓋を缶に取り付ける他の装置および/または技術に加えて)蓋を缶に良好に固定して、高温ガスが蓋と缶との間で逃げるのを防ぐ。その代わりに、ガスは他の好ましいルート(例えば、
図3Bの通気口304)を通って逃げる可能性がより高くなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、缶は陽極酸化されており、缶はフランジを含む。陽極酸化は、(缶の材料である)アルミニウムを脆くする可能性がある。アルミニウムがフランジで脆すぎると、フランジが蓋の周りに巻き付けられるときに破損する可能性がある。組み立て中にフランジが破損するのを防ぐために、いくつかの実施形態では、(例えば、缶の他の部分が陽極酸化される場合でも)フランジは陽極酸化されない。例えば、陽極酸化プロセスの前に、テープまたは他の保護材料をフランジに貼って、フランジが陽極酸化されるのを防ぐことができる。缶を選択的に陽極酸化するための任意の適切な技術を使用してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、缶全体(例えば、内面、フランジなど)は、陽極酸化が所望の電気的絶縁を提供するが、フランジが蓋の周りに巻き付けたときに壊れてしまうほどフランジを脆くするのに十分に陽極酸化の比較的薄い層が厚くならないように、軽くおよび/または表面的に陽極酸化される。例えば、フランジの高さ(厚さ)が0.020インチ(0.508mm)であると仮定する。0.0002~0.0005インチ(5.08~12.7μm)の厚さの範囲内の陽極酸化層が作成されるようにフランジが陽極酸化される場合、フランジは十分に柔軟であり、曲げても破損しない。いくつかの実施形態では、陽極酸化は、MIL-A-8625タイプ2、クラス2によって指定されるものである。缶全体の比較的薄い層のみを陽極酸化することは、(例えば、テープを貼る必要がなく、缶の一部を陽極酸化液に注意深く入れないようにする代わりに、缶全体を沈めることができるなど)製造プロセスを単純化および/またはスピードアップするので、いくつかの用途において望ましい場合がある。
【0035】
簡単に
図1に戻ると、電池サブモジュールの(ポーチ)セル(100)は、効果的に機能するために冷却する必要がある。しかしながら、缶の内面が不均一であるため、フィン(104)の縁部は必ずしも良好に接触するとは限らない。これに対処し、電池サブモジュールの熱を引き出す能力を向上させるために、フィンにさまざまな改良を加えることができる。次の図は、いくつかの実施形態を示している。
【0036】
図4Aは、基本的なフィンを備えた熱伝導層の一例を示す図である。この例では、熱伝導層の初期のプロトタイプが示されている。このバージョンは、3つの平面部分:隣接する層が着座するか、そうでなければ位置する中央部分(400)と、側部に2つのフィン(402および404)とを有する。2つのフィンは、熱伝導層を曲げ、平面部分の間に折り目を作成することによって作成される。これにより、フィンにバネ力が加わり、(積み重ねられたアレイ内の)熱伝導層が缶に挿入されるときに、フィンが缶の内面に押し付けられる。しかしながら、壁が屈曲または湾曲しているため、フィンが缶の内面に触れない場合がある。
【0037】
これに対処するために、いくつかの実施形態では、フィンは、互いに独立して屈曲するか、または曲がることができるセクションに切断されるか、またはさもなければ分割される。次の図は、この例を示している。
【0038】
図4Bは、羽毛状フィンを備えた熱伝導層の一実施形態を示す図である。この例では、フィン(410および412)を切断して、羽毛状フィンを作成する。これらの切断は、他のセクションとは独立して屈曲するか、または曲げることができる(例えば、それぞれが独自のバネ力および/または独立した位置を備えた)独立したセクションを作成する。そうすれば、セクション414に隣接する缶(図示せず)のセクションが羽毛状部414に向かって膨れ出て、セクション416に隣接する缶(図示せず)のセクションが羽毛状部416から引き離されたとしても、両方のセクションは、缶と接触するために独立して動くことができる。いくつかの実施形態では、羽毛状セクションの縁部は、組み立てプロセスを改善するために丸みを帯びている。あるいはまた、いくつかの実施形態では、羽毛状切断部は、一方向へのより容易な挿入を可能にするために角度が付けられている。
【0039】
この問題に対する別のアプローチは、フィンのバネ力を増加させることである。次の図は、このアプローチを採用する一実施形態を示している。
【0040】
図5Aは、マルチフォールドフィンを備えた熱伝導層の一実施形態の斜視図を示す図である。この例では、フィン(500aおよび502a)は、熱伝導層を複数回折り畳むか、または屈曲することによって作成される。ここに示されているフィンには2つの屈曲部が(それぞれ)あり、1つの屈曲部のみを使用して形成されたフィン(例えば、
図4Aに示されているもの)よりも大きなバネ力を有する。次の図は側面図を示しており、フィンを形成するために使用される複数の屈曲部をより明確に示している。
【0041】
図5Bは、マルチフォールドフィンを備えた熱伝導層の一実施形態の側面図を示す図である。この図のフィン500bとおよび502bは、それぞれ
図5Aのフィン500aとおよび502aに対応している。ここでより明確に示されているように、それぞれのマルチフォールドフィンには、2つの折り畳み部:熱伝導層の鋭い屈曲部または折り目(510)と、フィンの縁部により近い丸い屈曲部(512)とが含まれている。ここに示される形状および/または幾何学的形状は単なる例示であり、限定することを意図するものではないことに留意されたい(例えば、第1の屈曲部(510)は、必ずしも鋭い必要はなく、および/または方向が90°変化する必要はなく、第2の屈曲部(512)は、必ずしも丸みを帯びている必要はない、および/または方向が180°変化する必要はない。
【0042】
バネ力を増加させる別の方法は、フィンと隣接する電池セルとの間に圧縮性材料を挿入することである。次の図は、この一例を示している。
【0043】
図6Aは、電池セルとフィンとの間に配置された圧縮性コードの一実施形態の斜視図を示す図である。この例では、2つのコード(600a)が、フィン(602a)と、フィン(602a)を備えた熱伝導層によって支えられている電池セル(604a)の側部との間に(1つは左側に、もう1つは右側に)配置されている(より一般的には、圧縮性材料は、積み重ねられた層(の側部)とフィンとの間に設置または配置される)。コードは、シリコーンフォームなどの圧縮性材料でできている。(ここに示されているコンポーネントを含む)積み重ねられた層が缶に挿入されると、圧縮性コードがフィンのバネ力を増加させるので、フィンが缶の内壁とより良好に接触する。これにより次いで、電池サブモジュールの熱放散が改善される。次の図は、側面視からのこの例を示している。
【0044】
図6Bは、電池セルとフィンとの間に配置された圧縮性コードの一実施形態の側面図を示す図である。ここに示す状態では、(圧縮性コード(600b)、フィン(602b)を備えた熱伝導層(610)、および電池セル(604b)を含む)積み重ねられた層はまだ缶に挿入されていない。したがって、圧縮性コード(600b)は非圧縮状態にある。次の図は、積み重ねられた層が缶に挿入されたときの圧縮状態のコードを示している。
【0045】
図6Cは、電池セルとフィンとの間に配置され、圧縮状態にある圧縮性コードの一実施形態の側面図を示す図である。この例では、積み重ねられた層が缶(620)に挿入されている。ここで圧縮状態にある圧縮性コード(600c)は、フィン(602c)のバネ力を増加させるのに十分なサイズであるので、フィンは缶の内壁とより良好に接触する(例えば、非接触に対して接触する、接触面積が小さいのに対して接触面積が大きいなど)。圧縮性コード(600c)はまた、熱が(例えば、電池セル(604c)から圧縮性コード(600c)、フィン(602c)、缶(620)へと)電池サブモジュールを出るための新しい経路を作り出す。全体として、圧縮性コードは、圧縮性コードが使用されていない場合と比較して、電池サブモジュールの熱放散を改善する。
【0046】
この例は、それぞれの側部に単一のロープまたはコードを示しているが、他のいくつかの実施形態は、それぞれの側部に分散された複数のより短い圧縮性材料部品を使用することができる。例えば、圧縮性材料で作られた複数のボールまたは球をそれぞれの側部に配置してもよい。または、それぞれの側部に圧縮性材料の複数の円筒形部品を有してもよい。例えば、いくつかの用途では、これは、材料の重量および/またはコストを低減するので、望ましい場合がある。
【0047】
いくつかの実施形態では、接着剤(例えば、テープ、のりなど)を使用して、圧縮性材料を所定の位置に保持する。例えば、これは、圧縮性材料が電池セルとフィンとの間のポケットまたは空間から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0048】
次の図は、蓋の改良の例を説明している。以下でより詳細に説明するように、これらの改良により、信頼性が向上し、および/または組み立てが容易になる。
【0049】
図7は、凹型および/またはより短いコネクタを備えた蓋の一実施形態を示す図である。図示の例では、蓋には、タブカバー(700)とトッププレート(702)との2つの部分が含まれている。この例では、電池サブモジュールに12個のセルがある。上部プレートは開口部(704)を含み、それを介して12個の電池セルからの12個の正のタブおよび12個の負のタブ(図示せず)が上部プレートを通過し、上部プレートの銅タブ(706)に取り付けられる。電気的には、これにより、(それぞれのグループに3つの電池セルが含まれる)電気的に接続されたセルの4つのグループが生成される。
【0050】
電池サブモジュールによって出力される電源は、12個のセルすべての組み合わせであるが、電池サブモジュールの監視および/または管理を支援するために、4つのグループの電圧が電気コネクタ(708)を介して報告される。例えば、第1のグループの3つの電圧、第2のグループの3つの電圧などが報告される。電気コネクタ(708)は、タブカバーがトッププレート(702)に固定されたときにアクセス可能となるように、タブカバー(700)の窪んだ開口部(710)に嵌合する。
【0051】
図8は、より古い蓋の一例を示す図である。この例では、タブカバー(800)とトッププレート(802)の両方が取り付けられているより古いバージョンの蓋が示されている。電気コネクタ(804)は、タブカバーから突出して示されている。
【0052】
図7に示される新しい蓋は、
図8に示されるより古いバージョンと比較して多くの違いを有する。1つの変更は、新しい電気コネクタ(708)がより短く(例えば、トッププレートの表面により近く)かつより小さく、コネクタを所定の位置に固定するためのタング(tang)(例えば、クリップ)をコネクタの側部に有さない。例えば、新しいコネクタ(708)の寸法は0.1インチ(2.54mm)×0.3インチ(7.62mm)のオーダーとすることができるのに対し、より古いコネクタ(804)の寸法は0.2インチ(5.08mm)×0.5インチ(12.7mm)のオーダーである。このより目立たないコネクタは、より短いおよび/またはより小さなコネクタがトッププレートの多くを塞がず、プリント回路基板(712)および/またはトッププレート(702)へのアクセスをより容易にするので、組み立てを容易にすることができる。(例えば、コネクタが蓋の最も高い部分にならないように)新しいコネクタ(708)を凹ませる、および/またはタブカバーによって保護することはまた、コネクタを保護するか、さもなければシールドするのに役立つ可能性がある。ここに図示されるように、いくつかの実施形態では、蓋は、タングの無い凹んだ電気コネクタを含む。
【0053】
新しいタブカバー(
図7の700)はまた、古いタブカバー(
図8の802)よりも背が高い。例えば、より古くより短いタブカバーでは、古いタブカバーの高さが短いため、缶内部の電池セルのタブの一部をトリミングする必要がある。このトリミングプロセスは時間がかかり、(例えば、トリミング中に溶接または配線が断線するため)部分的に組み立てられた電池サブモジュールを損傷する可能性がある。組み立てプロセスをスピードアップし、組み立てプロセス中の損失を低減するために、新しいタブカバー(
図7の700)は背が高く、電池セルから延在するタブをトリミングする必要性を排除する。例えば、新しいタブカバーの高さは0.35インチ(8.89mm)のオーダーであるが、古いタブカバーの高さは0.25インチ(6.35mm)のオーダーである。
【0054】
新しい蓋に対する他の改善には、いくつかの電気的接続がどのように行われるかが含まれる。次の図は、この一例を示している。
【0055】
図9は、デュアルワイヤボンドおよびポッティングを備えたプリント回路基板(PCB)を備えたトッププレートの一実施形態を示す図である。図示の例では、トッププレート(900)の上面図が示されている。上記のように、コネクタ(902)は、電池サブモジュール内のグループ化された電池セルの電圧を報告する。これを行うために、電池セルのタブが接続されている銅タブ(904)は、デュアルワイヤボンド(908)およびポッティング(910)を使用してPCB(906)に接続される。これにより、良好な(例えば、堅牢な)電気的および物理的接続が保証される。例えば、電池サブモジュールは航空機で使用される場合があり、リフトファン/プロペラからのかなりの振動があり、堅牢性の低い接続が切断される可能性がある。ここに図示するように、いくつかの実施形態では、蓋は、複数の電池セルの電圧を報告する電気コネクタを含み、複数の電池セルの電圧を報告することに関連する蓋内の電気接続は、デュアルワイヤボンドおよびポッティングを含む。
【0056】
この例では、デュアルワイヤボンドは、0.001~0.010インチ(25.4μm~254μm)の範囲の直径を有する。様々な実施形態では、デュアルワイヤボンドは、アルミニウム、銅、金、メッキワイヤなどで作られている。この例では、ポッティングは、電気機器に安全な(例えば、脱酢酸)シリコンRTVで作られている。
【0057】
いくつかの実施形態では、缶の底部は、セラミックペーパー(あるいはまた、セラミックブランケット)などの高温断熱材の層を含む。いくつかの実施形態では、そのようなコトロニクスは、(例えば、切断および/または成形されたとき)ほこりがなく、容易に成形または切断されるため、魅力的である。いくつかの実施形態では、コトロニクスは以下の特性を有する:
融点: 3200°F(1760℃)
連続使用温度: 2300°F(1260℃)
構造: マット
密度: 12#/ft3(0.19g/cm3)
絶縁耐力: 100ボルト/ミル(3.93701MV/m)
誘電率: 1.61@108cps
損失係数: 0.017
比熱: 0.25BTU/#°F(1046.7J/kg℃)
熱伝導率:
BTU in/hr.°F ft.2
@500°F(260℃)=0.38(0.00551173W/mK)
@1000°F(538℃)=0.60(0.0870272W/mK)
@1500°F(816℃)=0.90(0.130541W/mK)
@2000°F(1093℃)=1.33(0.19291W/mK)
【0058】
前述の実施形態は、理解を明確にする目的でいくらか詳細に説明されてきたが、本発明は、提供された詳細に限定されない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。