(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240109BHJP
B65H 23/038 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H23/038
(21)【出願番号】P 2021503633
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2020009270
(87)【国際公開番号】W WO2020179847
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2019039081
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】松井 優和
(72)【発明者】
【氏名】菊井 健弘
(72)【発明者】
【氏名】神山 卓郎
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100458(JP,A)
【文献】特開2011-207557(JP,A)
【文献】特開2005-001381(JP,A)
【文献】特開2000-044099(JP,A)
【文献】特開2005-306535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04
B65H 23/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた用紙を収納する収納部と、
前記収納部のロール状の用紙の軸方向の一方に配置された基準面と、
用紙に印字する印字部と、
前記収納部から前記印字部へ用紙を搬送する搬送部と、
前記収納部に設置され、用紙を支持しながら、用紙の搬送に伴って回転する第1の用紙ローラー及び第2の用紙ローラーと、を有し、
前記第1の用紙ローラーは、前記第2の用紙ローラーよりも重力方向に低い位置に配置され、
前記第1の用紙ローラーの軸線は、
前記第1の用紙ローラーの基準面側が反対側よりも低くなるように、前記第2の用紙ローラーの軸線に対して重力方向に傾斜していることで、用紙の、前記基準面と対向する一方の面が、前記基準面と当接する、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第1の用紙ローラーの軸線は、前記第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.1~2度傾斜している、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1の用紙ローラーの軸線は、前記第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.2~0.5度傾斜している、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第1の用紙ローラーの軸線は、前記第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.25度傾斜している、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記収納部は、ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置された仕切り板をさらに備え、
前記仕切り板は、
用紙の幅方向に摺動可能であり、且つ、
用紙に対して、前記基準面へ押し付ける方向へ付勢するための付勢部材を有する、
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記第1の用紙ローラーは、前記収納部と接する、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記収納部が前記第1の用紙ローラーと接する部分は、前記第1の用紙ローラーに当接することにより前記第1の用紙ローラーの軸線が前記第2の用紙ローラーの軸線に対して傾斜する角度をあらかじめ定められた角度に規定するように形成されている、請求項6に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商店等での物品購入時に発行されるレシートの印刷に、ロール紙を用いたプリンタが利用されている。特に、取り扱いの容易さから、プリンタにロール紙をセットする方式として、用紙収容部にロール紙を投入する方式(ドロップイン方式)を用いたプリンタが普及している。
【0003】
ドロップイン方式のロール紙プリンタにおいては、ロール紙の残量が多い場合に、ロール紙を間欠的に搬送する際に慣性力によりロール紙が必要以上に回転し、ロール紙に弛みが生じる場合がある。このロール紙の弛みは、印字詰まりや、用紙が斜めに給紙され印字位置がずれる(斜行)の原因となる。
【0004】
そこで、これまでに、ロール紙の搬送時の弛みを防止するプリンタとして、所定の径以下となったロール紙をロール紙収容部の底面に向けて押圧するロール紙プリンタが報告されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタは、ロール紙を押圧するロール紙押さえ部を設ける必要があり、機構が複雑になるという問題があった。また、ロール紙の弛みが原因である斜行が改善されたとしても、プリンタの稼働に伴う振動によって、ロール紙自体が軸方向に移動することで発生する斜行は改善することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ロール紙の斜行を抑制することが可能なプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
本開示の実施形態に係るプリンタは、ロール状に巻かれた用紙を収納する収納部と、収納部のロール状の用紙の軸方向の一方に配置された基準面と、用紙に印字する印字部と、収納部から印字部へ用紙を搬送する搬送部と、収納部に設置され、用紙を支持しながら、用紙の搬送に伴って回転する第1の用紙ローラー及び第2の用紙ローラーと、を有し、第1の用紙ローラーは、第2の用紙ローラーよりも重力方向に低い位置に配置され、第1の用紙ローラーの軸線は、第2の用紙ローラーの軸線に対して重力方向に傾斜していることで、用紙の、基準面と対向する一方の面が、基準面と当接する、ことを特徴とする。
【0009】
第1の用紙ローラーの軸線は、第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.1~2度傾斜していることが好ましい。
【0010】
第1の用紙ローラーの軸線は、第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.2~0.5度傾斜していることがさらに好ましい。
【0011】
第1の用紙ローラーの軸線は、第2の用紙ローラーの軸線に対して、0.25度傾斜していることがさらに好ましい。
【0012】
収納部は、ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置された仕切り板をさらに備え、仕切り板は、用紙の幅方向に摺動可能であり、且つ、用紙に対して、基準面へ押し付ける方向へ付勢するための付勢部材を有するようにしてもよい。
【0013】
第1の用紙ローラーは、収納部と接することが好ましい。
【0014】
収納部が第1の用紙ローラーと接する部分は、第1の用紙ローラーに当接することにより第1の用紙ローラーの軸線が第2の用紙ローラーの軸線に対して傾斜する角度をあらかじめ定められた角度に規定するように形成されていることが好ましい。
【0015】
本開示の実施形態に係るプリンタによれば、ロール紙の斜行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施例1に係るプリンタの斜視図であり、上ケースを開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す図である。
【
図2】本開示の実施例1に係るプリンタの斜視図であり、上ケースを開いた状態であって、用紙を収納した状態を示す図である。
【
図3】本開示の実施例1に係るプリンタの上面図である。
【
図4】
図3のA-A線における断面図であって、用紙の径が所定の径より大きい場合のプリンタの断面図を示す図である。
【
図5】
図3のA-A線における断面図であって、用紙の径が所定の径より小さい場合のプリンタの断面図を示す図である。
【
図6】本開示の実施例1に係るプリンタの下ケースの斜視図であり、下ケースと用紙ホルダーとを分離した状態を示す図である。
【
図7】本開示の実施例1に係るプリンタの下ケースの斜視図であり、下ケースに用紙ホルダーを組み込んだ状態を示す図である。
【
図8】本開示の実施例1に係るプリンタの下ケースの上面図であり、下ケースに用紙ホルダーを組み込んだ状態を示す図である。
【
図9】
図8のB-B線における下ケース及び用紙ホルダーの断面図である。
【
図10】
図8のB-B線における断面図であり、用紙と第1の用紙ローラー及び第2の用紙ローラーとの位置関係を示す図である。
【
図11】
図9のC及びDで示した領域の拡大図である。
【
図12】本開示の実施例1に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の斜視図であり、第1の用紙ローラーの組立分解図を含む図である。
【
図14】本開示の実施例2に係るプリンタの斜視図であり、上ケースを開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す図である。
【
図15】本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の斜視図である。
【
図16】本開示の実施例2に係るプリンタの仕切り板と付勢部材を分離した状態を示す斜視図である。
【
図17】本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の上面図である。
【
図18】本開示の実施例3に係るプリンタの下ケースの上面図であり、(a)は収納部に収納可能な用紙の幅を最大とした場合の仕切り板の位置を示す図であり、(b)は収納部に収納可能な用紙の幅を最小とした場合の仕切り板の位置を示す図である。
【
図19】本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板位置操作部を有する仕切り板の
図17の線C-Cにおける斜視断面図であり、仕切り板位置操作部の構造を示す図である。
【
図20】本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の
図17の線C-Cにおける斜視断面図であり、仕切り板位置操作部の組立分解図を含む図である。
【
図21】本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダーの背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係るプリンタについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
[実施例1]
まず、本開示の実施例1に係るプリンタについて説明する。
図1及び
図2に、本開示の実施例1に係るプリンタ101の斜視図を示す。
図1は、上ケース21を開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す。
図2は、上ケース21を開いた状態であって、用紙100を収納した状態を示す。
図3に、本開示の実施例1に係るプリンタ101の上面図を示す。
図4及び
図5に、
図3のA-A線における断面図を示す。
図4は、用紙100の径が所定の径より大きい場合のプリンタ101の断面図を示し、
図5は、用紙100の径が所定の径より小さい場合のプリンタ101の断面図を示す。
【0019】
図1、2、4、5に示すように、プリンタ101は、収納部1と、基準面2と、印字部(サーマルヘッド3)と、搬送部(プラテンローラー4)と、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52と、を有する。
【0020】
図4及び
図5に示すように、プリンタ101は、サーマルプリンタであって、熱を加えると色が変化する専用紙(感熱紙)である用紙100に熱した印字ヘッドであるサーマルヘッド3を当てて印刷する感熱方式を用いたプリンタである。用紙100は、ロール状に巻かれた帯状の連続紙である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、プリンタ101は、サーマルヘッド3を設けた上ケース21及び下ケース22からなる。上ケース21は、下ケース22の上部を覆い、下ケース22の上部に開閉自在に支持されている。上ケース21に設けられた開閉ボタン8が押下されることで、
図1及び
図2に示すように、上ケース21は、回動軸23を中心として、下ケース22に対して上方に回動して開く。プリンタ101は、上ケース21を閉じた状態で用紙100への印字を実行する。
【0022】
図2に示すように、収納部は、ロール状に巻かれた用紙を収納する。収納部1は、
図1の破線で示されるように、下ケース22内に配置された用紙ホルダー10及び仕切り板6と、下ケース22の基準面2とで構成される。
【0023】
図1及び
図2に示すように、基準面2は、収納部1のロール状の用紙100の軸方向の一方に配置されている。
図1に示すように、収納部1のロール状の用紙の軸方向の他方には、仕切り板6が配置されている。即ち、用紙100の一方の側面100a側には、
図1と
図2に示す基準面2が配置され、用紙100の他方の側面100b側には、
図1に示す仕切り板6が配置されている。
【0024】
図4及び
図5に示すように、用紙100に印字する印字部にはサーマルヘッド3を用いることができる。サーマルヘッド3は、
図4及び
図5に示すように、上ケース21が閉まった状態で、プラテンローラー4と対向する位置に配置される。用紙100は、サーマルヘッド3とプラテンローラー4との間に挟まれる。サーマルヘッド3は、バネ3aによりプラテンローラー4側に押圧される。サーマルヘッド3は、制御部30によって制御されて、内蔵する発熱体を印刷対象の画像データまたは印字データに応じて発熱させ、感熱紙である用紙100に画像や文字を印刷する。
【0025】
図4及び
図5に示すように、搬送部は、収納部から印字部であるサーマルヘッド3へ用紙100を搬送する。搬送部は、プラテンローラー4、駆動モータ(図示せず)、及び歯車等によって構成される。用紙100は、サーマルヘッド3とプラテンローラー4とで挟持されながら、プラテンローラー4が回転することによって用紙ダンパー42を経由して搬送される。プラテンローラー4には、駆動モータから、歯車等の伝達機構を介して回転力が伝達される。サーマルヘッド3により用紙100に印刷された後に、用紙100は被印刷領域の後端で用紙切断部41によって切断され、用紙排出口40から排出される。用紙切断部41は、上ケース21に配置された固定刃41a、及び固定刃41aに対向するように下ケース22においてプラテンローラー4と用紙排出口40との間に配置された可動刃41bからなる。
【0026】
図6に、本開示の実施例1に係るプリンタの下ケース22の斜視図であって、下ケース22と用紙ホルダー10とを分離した状態を示す。第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52は、用紙100を支持しながら、用紙100の搬送に伴って回転する。具体的には、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52は、用紙100を収納する用紙ホルダー10に設置される。
図4に示すように、第1の用紙ローラー51は、第2の用紙ローラー52よりも重力方向に低い位置に配置される。その結果、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52に用紙100が接している状態では、第1の用紙ローラー51に掛かる用紙100の荷重は、第2の用紙ローラー52に掛かる荷重よりも大きくなる。一方、
図5に示すように、用紙100の径が小さくなった場合、用紙100は用紙ホルダー10の底面部12と第2の用紙ローラー52によって支持される。
【0027】
図7に、本開示の実施例1に係るプリンタの下ケース22の斜視図であって、下ケース22に用紙ホルダー10を組み込んだ状態を示す。
図8に、本開示の実施例1に係るプリンタの下ケース22の上面図であって、下ケース22に用紙ホルダー10を組み込んだ状態を示す。
図9に、
図8のB-B線における下ケース22及び用紙ホルダー10の断面図を示す。
図10に、
図8のB-B線における断面図であって、用紙100と第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52との位置関係を示す。
図11に、
図9のC及びDで示した領域の拡大図を示す。
【0028】
図10に示すように、第1の用紙ローラー51の軸線L1は、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して重力方向に傾斜していることで、用紙100の、基準面2bと対向する一方の側面100aが、基準面2bと当接する。
図7に示すように、基準面は、例えば、下ケース22の側壁13に設けられた3つの凸部(20a、20b、20c)のそれぞれに形成された基準面(2a、2b、2c)からなっていてもよい。ただし、このような例には限られず、凸部の数は2つ以下または4つ以上でもよく、凸部を形成せずに側壁13の用紙側の面を基準面としてもよい。
【0029】
図10に示すように、第1の用紙ローラー51には、第2の用紙ローラー52よりも、用紙100の荷重が多く掛かっている。この状態で、第1の用紙ローラー51の基準面2b側が、仕切り板側よりも低くなるように傾斜しているために、用紙100も第1の用紙ローラー51と同様に傾斜する。即ち、用紙100の軸線L0は、第1の用紙ローラー51の軸線L1と平行になり、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して傾斜している。その結果、用紙100は基準面2b側に滑り、基準面2b側の側面100aが基準面2bに接する。用紙100の側面100aが基準面2bと当接することにより、用紙100の側面100aと基準面2bとの間で摩擦力が生じる。この摩擦力は、用紙100を搬送する際に生じる慣性力を減少させる。また用紙100は重力によって基準面2bに寄って配置されるため、用紙100が重力に逆らって仕切り板側に移動することが抑制される。その結果、用紙100の搬送時に生じる用紙100の弛みや斜行を抑制することができる。
【0030】
次に、第1の用紙ローラー51に傾斜を設けるための機構について説明する。
図11に示すように、第1の用紙ローラー51は、用紙ローラーホルダー11を介して、用紙ホルダー10に回転自在に支持される。第1の用紙ローラー51の仕切り板6側の一方の端部51aは用紙ホルダー10の穴10aに回転自在に支持される。第1の用紙ローラー51の基準面2b側の他方の端部51bは、用紙ローラーホルダー11を介して、一方の端部51aよりも重力方向に低い位置に回転自在に支持される。このようにして、
図10に示すように、第1の用紙ローラー51の軸線L1は、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して重力方向に所定の角度だけ傾斜する。
【0031】
図10に示すように、第1の用紙ローラー51の軸線L1は、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して、0.1~2度傾斜していることが好ましい。また、第1の用紙ローラー51の軸線L1は、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して、0.2~0.5度傾斜していることがさらに好ましい。また、第1の用紙ローラー51の軸線L1は、第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して、0.25度傾斜していることがさらに好ましい。本開示の実施例1に係るプリンタにより、第1の用紙ローラー51の軸線L1を第2の用紙ローラー52の軸線L2に対して、0.25度傾斜させることにより、第1の用紙ローラー51の軸線L1を傾けない場合に比べて、斜行量を92%減少させることができた。
【0032】
図12に、本開示の実施例1に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の斜視図であって、第1の用紙ローラー51の組立分解図を含む図を示す。
図13に、
図12のEで示した領域の拡大図を示す。
図13に示すように、用紙ローラーホルダー11は、穴11cにホルダー用ネジ11aを貫通させて用紙ホルダー10に固定される。用紙ローラーホルダー11には重力方向に長い長穴11bが設けられており、用紙ローラー用ネジ9は長穴11bに貫通させた第1の用紙ローラー51の端部51bを用紙ローラーホルダー11に回転自在に取り付けることができる。端部51bは長穴11bに挿入して取り付けられた状態で長穴11b内を上下方向に可動となっている。用紙ローラー用ネジ9は用紙ローラーホルダー11には固定されていない。そのため、第1の用紙ローラー51は、収納部1と接する。具体的には、第1の用紙ローラー51の他の端部51cは、長穴11bの可動範囲内で収納部1を構成する用紙ホルダー10の一部10bに接する。即ち、収納部1が第1の用紙ローラー51と接する部分である一部10bは、第1の用紙ローラー51に当接することにより第1の用紙ローラー51の軸線が第2の用紙ローラーの軸線52に対して傾斜する角度をあらかじめ定められた角度に規定するように形成されている。また、第1の用紙ローラー51が用紙ホルダー10の一部10bに接することにより、第1の用紙ローラー51と用紙ホルダー10との間で摩擦力が生じ、用紙100の搬送時における慣性力を減少させ、用紙100の搬送時の弛みや斜行をさらに抑制することができる。第1の用紙ローラー51は、用紙ホルダー10に接する位置は、用紙ホルダー10の一部10b以外でもよい。
【0033】
以上説明したように、本開示の実施例1に係るプリンタによれば、ロール紙の斜行を抑制することができる。
【0034】
[実施例2]
次に、本開示の実施例2に係るプリンタについて説明する。
図14に、本開示の実施例2に係るプリンタ102の斜視図であり、上ケース21を開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す。
図15に、本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の斜視図を示す。
図16に、本開示の実施例2に係るプリンタの仕切り板6と付勢部材7を分離した状態の斜視図を示す。実施例2に係るプリンタが、実施例1に係るプリンタと異なっている点は、収納部1は、ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置された仕切り板6をさらに備え、仕切り板は、用紙の幅方向に摺動可能であり、且つ、用紙に対して、基準面2へ押し付ける方向へ付勢するための付勢部材7を有する点である。実施例2に係るプリンタ102のその他の構成は、実施例1に係るプリンタ101における構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0035】
図15に示すように、収納部1を構成する用紙ホルダー10には、第2の用紙ローラー52と平行に、第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162が配置されている。仕切り板6の側面のうち、用紙が配置される側の側面には、第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162をそれぞれ通すための貫通孔を備えた第1のボス141及び第2のボス142が設けられている。仕切り板6は、第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162に沿って、用紙の幅方向に摺動可能となっている。第2の用紙ローラー52は、第2の用紙ローラー用ネジ9aによって第2の用紙ローラーホルダー11dに回転自在に固定され、第2の用紙ローラーホルダー11dは第2のホルダー用ネジ11eによって、用紙ホルダー10に固定される。
【0036】
図16に示すように、仕切り板6は、用紙の軸方向に突出した突出部6eを有している。突出部6eの端部に係止部6gが設けられている。後述するように係止部6gは用紙ホルダー10の開口部18b(
図21参照)に嵌合する。突出部6eには開口部6fが設けられている。後述するように、開口部6fには仕切り位置操作部15(
図20参照)が嵌合する。さらに、仕切り板6は、用紙を基準面2(
図14参照)へ押し付ける方向へ付勢するための付勢部材7を有している。付勢部材7は、付勢部材本体7a、バネ7b及びネジ7eからなる。バネ7bは、仕切り板6に設けられた穴部6bに収容され、付勢部材本体7aは、仕切り板6の溝6aにバネ7bを介して嵌合するように配置される。付勢部材本体7aの両端には、フック状の第1係止部7cおよび第2係止部7dが設けられている。第1係止部7c及び第2係止部7dは、溝6aの両端に設けられた第1開口部6c及び第2開口部6dのそれぞれに挿入され、さらにネジ7eにより付勢部材本体7aが溝6aから脱落しないように係止される。バネ7bは、付勢部材本体7aが用紙に接し、付勢部材本体7aを用紙側に押し付けることができる。
図14に示すように、付勢部材7が用紙の側面を押すことにより、用紙の基準面2側の側面が基準面2に接する。これにより、用紙と基準面2との間に摩擦力が生じ、用紙の搬送時に生じる慣性力を抑えることができ、用紙を送り出す量が所望の量を超えて用紙に弛みが生じることを抑制することができる。また、基準面2側の側面が、基準面2から離隔して仕切り板6側に移動することを抑制することができる。さらに、付勢部材本体7aは、鉛直方向に延伸した構造を備えている。そのため、用紙の径が所定の径より小さくなった場合でも、付勢部材本体7aは、用紙の仕切り板6側の側面に接することができる。その結果、用紙の搬送の際に生じる用紙の弛みや斜行を抑制することができる。
【0037】
第2のボス142は、用紙が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙の裏面と接する。第2のボス142が用紙と接することにより、用紙の振動を抑制することができ、その結果、斜行や印字詰まりが発生することを抑制することができる。さらに、第2のボス142に設けられた貫通孔に第2のガイド軸162を通すことにより、仕切り板6は、第2のガイド軸162に沿って、用紙の幅方向に摺動可能となっている。このように、第2のボス142が仕切り板6のガイドを兼ねることができる。なお、用紙が所定の径よりも小さくなった場合には、用紙は第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52上に載置されず、用紙ホルダー10の底面部12及び用紙ホルダー10の前面に直接接する。
【0038】
図15に示すように、用紙ホルダー10は、用紙の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接する用紙ガイド部19を有することが好ましい。用紙ガイド部19が基準面2側で用紙の裏面を支持することにより、第2のボス142とともに用紙の搬送をさらにスムーズにすることができ、用紙の振動を抑制することができ、その結果、斜行や印字詰まりが発生することを抑制することができる。
【0039】
[実施例3]
次に、本開示の実施例3に係るプリンタについて説明する。
図17に、本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の上面図を示す。実施例3に係るプリンタが、実施例1に係るプリンタと異なっている点は、仕切り板6は、仕切り板6を摺動可能な範囲における任意の位置に固定するための仕切り位置操作部15を有する点である。実施例3に係るプリンタのその他の構成は、実施例1に係るプリンタにおける構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
図18(a)及び(b)に、本開示の実施例3に係るプリンタの下ケース22の上面図を示す。用紙は、基準面2と仕切り板6の付勢部材7との間に形成される収納部1に収納することができる。
図18(a)は収納部1に収納可能な用紙の幅を最大とした場合の仕切り板6の位置を示し、
図18(b)は収納部1に収納可能な用紙の幅を最小とした場合の仕切り板6の位置を示す。仕切り位置操作部15は、仕切り板6を摺動可能な範囲における任意の位置に固定することができる。
図18(a)は用紙幅d
1が収納部1に収納可能な最大の用紙幅である場合における仕切り板6の配置例を示している。用紙幅を最大とした場合の例として、用紙幅d
1を4インチとすることができる。ただし、このような例には限られず、用紙幅が4インチより大きくなるように、仕切り板6の位置を設定してもよい。
図18(b)は用紙幅d
2が収納部1に収納可能な最小の用紙幅である場合における仕切り板6の配置例を示している。用紙幅を最小とした場合の例として、用紙幅d
2を2インチとすることができる。ただし、このような例には限られず、用紙幅が2インチより小さくなるように、用紙ガイド部19の幅及び第2のボス142の幅の合計値を設定してもよい。仕切り位置操作部15を操作することにより、用紙幅がd
1~d
2の範囲内の任意の幅の用紙に対して、用紙の仕切り板6側の側面を付勢部材7と接するようにすることができる。そのため、用紙は基準面2に接し、用紙と基準面2との間に生じる摩擦力により、用紙の搬送時に生じる慣性力を抑えることができ、また用紙が仕切り板6側に移動することを抑制することができ、用紙の搬送時における弛みを抑制し、用紙の斜行を抑制することができる。
【0041】
図19に、本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板位置操作部15を有する仕切り板6の
図17の線C-Cにおける斜視断面図を示す。
図20に、本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の
図17の線C-Cにおける斜視断面図であって、仕切り板位置操作部15の組立分解図を含む図を示す。
図21に、本開示の実施例3に係るプリンタの用紙ホルダー10の背面側の斜視図を示す。
図19に示すように、仕切り板6は、第1のボス141及び第2のボス142に設けられた貫通孔に通された第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162に沿って用紙の軸方向に摺動可能である。ただし、仕切り板6の位置を用紙の幅に合わせて用紙ホルダー10上の所定の位置に固定することが好ましい。そこで、仕切り板6の位置を所定の位置に固定するための仕切り板位置操作部15が用紙ホルダー10と支持部17との間に設けられている。支持部17は、ネジ17a及び17bにより、用紙ホルダー10の支柱18c及び18dにそれぞれ固定される。
図20に示すように、仕切り板位置操作部15は、ボタン15a、バネ15b、バネ支持部15c、及びストッパ部15dから構成される。バネ支持部15cは、支持部17と接し、バネ15bを支持する。バネ15bはボタン15aを鉛直上方向に付勢する。ボタン15aは仕切り板6の突出部6eに設けられた開口部6fに嵌合する。ボタン15aにはストッパ部15dが形成されている。
【0042】
図21に示すように、用紙ホルダー10の背面には、複数の溝18a及び開口部18bが形成された溝配置部18が設けられている。
図19に示すように仕切り板位置操作部15を構成するボタン15a及び突出部6eが開口部18bを介して、用紙ホルダー10の表面側に露出している。
図20に示すようにボタン15aには、溝配置部18と対向するようにストッパ部15dが設けられており、溝18aにストッパ部15dが嵌合することにより、仕切り板6の位置を所定の位置に固定(ロック)することができる。一方、仕切り板位置操作部15を構成するボタン15aを鉛直下方向に押すことにより、バネ15bが縮んでボタン15a及びボタン支持部15eが鉛直下方に移動して、ストッパ部15dが溝18aから分離(ロック解除)し、その状態で仕切り板6をガイド軸(161、162)に沿って摺動することができる。仕切り板6を所望の位置に移動させた後、ボタン15aを押していた指等を離すとバネ15bが元通りに伸びてボタン15aを元の位置に戻すことにより、再度、溝18aにストッパ部15dが嵌合し、仕切り板6を所望の位置に固定(ロック)することができる。
【0043】
図17に示すように、用紙ホルダー10は、投入する用紙の幅に合わせて仕切り板6の位置を決めるためのスケール60を有していてもよい。スケール60に用紙の幅に合わせた目盛りを付しておくことにより、目盛りに基づいて、用紙の幅に合わせた位置に仕切り板6を移動させることができる。
【0044】
上記の実施例においては、プリンタの印刷方式として感熱式を採用した場合を例にとって説明したが、このような例には限られない。ロール紙を使用するものであれば、例えば、インクジェットプリンタ、電子写真方式プリンタ、ドットインパクトプリンタ、昇華型プリンタ等であってもよい。