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特許7414802内視鏡によるパッチ送達のためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】内視鏡によるパッチ送達のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20240109BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20240109BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20240109BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240109BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61M31/00
A61B10/02 130
A61B10/04
A61B1/018 515
A61B1/00 650
A61B1/00 715
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021504784
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019044035
(87)【国際公開番号】W WO2020028297
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】62/712,361
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リーバー、ハンナ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0065674(US,A1)
【文献】特開2007-229250(JP,A)
【文献】特表2005-506122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0225247(US,A1)
【文献】特表2009-527325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
A61B 10/02
A61B 10/04
A61B 1/018
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用システムにおいて、
少なくとも1つの作業チャネルを画定する内視鏡と、
生体適合性材料を含んでなるパッチと、
前記内視鏡の遠位端に結合されたキャップであって、前記パッチは前記キャップの遠位端を覆い、前記キャップから解放可能であるキャップとを備え
前記パッチが可撓性バンドで前記キャップの外面に固定される、医療用システム。
【請求項2】
前記パッチの少なくとも一部が、生体吸収性の接着剤を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項3】
前記パッチが、キトサンを有する、請求項1又は2に記載の医療用システム。
【請求項4】
パッチが3mm未満の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項5】
記キャップが前記キャップの外面に隆起を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項6】
記キャップが円錐台形を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項7】
記内視鏡の遠位端に光学デバイスを有し、前記パッチが前記光学デバイスと位置合わせされた開口部を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項8】
前記内視鏡が複数の作業チャネルを有し、前記医療用システムが、前記パッチを組織に適用するのを促進するために前記1つ以上の作業チャネルに挿入可能な補助器具をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項9】
前記内視鏡が、吸引源と連通している吸引チャネル及び/又は空気又は水などの流体源と連通している流体チャネルを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項10】
医療用システムにおいて、
少なくとも1つの作業チャネルを画定する内視鏡と、
生体適合性材料を含んでなるパッチと、
シャフトを備えた器具であって、前記シャフトは前記作業チャネル内に摺動可能に配置され、前記パッチが前記器具の遠位端に結合され、かつ前記器具の遠位端から解放可能である器具とを備え、
前記器具の遠位端が前記シャフトに相対して回転可能である、医療用システム。
【請求項11】
前記器具の遠位端が円筒形を有する、請求項10に記載の医療用システム。
【請求項12】
前記医療用システムが前記器具を有し、前記器具の遠位端が、前記器具に相対する前記パッチの近位方向の動きを阻害又は防止するリムを有する、請求項10又は11に記載の医療用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療機器及び関連する調製方法及びその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、創傷治療のために組織にパッチを適用するなどの内視鏡による医療処置に有用なデバイスに係る。
【背景技術】
【0002】
組織の治療には様々な医療処置が使用される。例えば、内視鏡による処置は、病理学的評価及び/又は、前癌性粘膜組織又は腫瘍の検出及び除去などの治療目的のために、胃腸管又は他の器官系から組織サンプルを採取するために実施され得る。内視鏡的粘膜切除術(EMR)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を使用して、病変の除去を促進するために上部組織層を分離することができる。そのような医療処置は結果的に、組織の修復を可能にするために、修復及び/又は保護を必要とする創傷を生じる可能性がある。他の内部の傷又は欠陥、例えば、炎症、潰瘍などは、自然に生じ得、同様に治療的治療から利益を得ることができる。包帯や包帯の形態の医療機器は、様々な材料から調製できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような包帯を、例えば内視鏡的処置において、内部組織に適用することには、特定の課題を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、生体適合性パッチを有する医療用システム及びその使用方法、例えば、患者の標的部位にパッチを送達する方法に係る。例えば、本発明は、少なくとも1つの作業チャネルを画定する内視鏡と、生体適合性材料を含むパッチとを備えた医療用システムに係る。本明細書のいくつかの例では、システムは、(a)作業チャネル内にて摺動可能に配置されたシャフトを備えた器具であって、パッチは、器具の遠位端に結合され、器具の遠位端から解放可能である器具、又は(b)内視鏡の遠位端に結合されたキャップであって、パッチはキャップの遠位端を覆い、キャップから解放可能であるキャップをさらに備える。いくつかの例では、パッチは、キトサン、例えば、酢酸キトサン及び/又は乳酸キトサン、細胞外マトリックス、又はそれらの組み合わせなどの生体材料を含む。追加又は代替として、パッチの厚さは3mm未満、例えば2mm未満又は1mm未満の場合がある。本発明のいくつかの態様によれば、パッチの少なくとも一部は、接着剤、任意選択で生体適合性及び/又は生体吸収性接着剤を含む。いくつかの例では、パッチは、折りたたまれた、又は圧着された構成で、内視鏡の少なくとも1つの作業チャネル内に配置される。他の例では、パッチは、内視鏡の遠位端に結合されたキャップの外面など、システムの外面に結合されている。
【0005】
システムが器具を含むいくつかの例では、器具の遠位端は、器具のシャフトに相対して回転可能である。あるいは、器具の遠位端は、シャフトの回転が器具の遠位端の対応する回転を引き起こすように、シャフトに固定され得る。遠位端は、例えば、円筒形を有し得、及び/又は遠位端は、バルーンを含み得る。いくつかの例では、器具の遠位端は、器具に相対するパッチの近位への動きを阻害又は防止するリムを含む。例えば、器具の遠位端は、シリンダー及び任意選択でシリンダーの近位端にあるか又はシリンダーの近位端に近接するリムを含み得、例えば、シリンダー及び/又は器具のシャフトに対するパッチの近位の動きを阻害又は防止する。いくつかの例では、器具の遠位端はバルーンを含み、器具のシャフトは、バルーンと連通している流体チャネルを含む。流体チャネルは、例えば、水、空気、又は他の不活性ガスなどの流体源に結合することができる。
【0006】
システムがキャップを含むいくつかの例では、パッチは、バンド、例えば、ゴムバンドなどの可撓性バンドでキャップの外面に固定され得る。本発明のいくつかの態様によれば、キャップは、キャップの外面に隆起を含む。追加的又は代替的に、キャップは、円錐台形状を有し得る。いくつかの例では、内視鏡の遠位端は光学デバイスを含み、パッチは光学デバイスと位置合わせされた開口部を含む。追加的又は代替的に、光学デバイスを覆うパッチの少なくとも一部は半透明であり得る。いくつかの例では、パッチ全体が半透明である。
【0007】
システムの内視鏡は、単一の作業チャネル又は複数のチャネルを含み得る。いくつかの例では、システムは、例えば、パッチを組織に適用するのを促進するために、1つ以上の作業チャネルに挿入可能な補助器具を含む。そのような補助器具は、例えば、標的部位に対するパッチの操作を助けるための鉗子又は他の器具を含み得る。いくつかの例では、内視鏡は、吸引源と連通している吸引チャネル及び/又は空気又は水などの流体源と連通している流体チャネルを含む。
【0008】
患者の標的部位にパッチを送達する方法も本明細書に開示され、この方法は、内視鏡を患者の胃腸管に導入する工程であって、内視鏡は、折り畳まれた又は圧着された構成のパッチを含み、パッチは生体適合性材料を含む、内視鏡を患者の胃腸管に導入する工程と、内視鏡の遠位端を標的部位の近くに配置する工程と、内視鏡からパッチを解放しながら、パッチを標的部位に適用する工程とを備える。標的部位は、例えば、創傷又は病変組織を含み得るか、又は標的部位は、以前の医療処置の部位に対応し得る。いくつかの例では、標的部位は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、又は組織生検後の組織の裂傷を含む。いくつかの例では、標的部位は、例えば、パッチが漏出を阻害又は防止するような吻合を含む。上記のように、パッチは、キトサン、例えば、酢酸キトサン及び/又は乳酸キトサン、細胞外マトリックス、又はそれらの組み合わせなどの生体材料を含み得る。及び/又はパッチは、例えば、生体適合性及び/又は生体吸収性接着剤などの接着剤を含み得る。
【0009】
本開示のいくつかの態様によれば、この方法は、シャフトを含む器具を内視鏡の作業チャネルに導入する工程をさらに備え、パッチは器具の遠位端に配置される。例えば、パッチを標的部位に適用する工程は、器具の遠位端からパッチを広げる工程を含み得る。さらに、例えば、器具の遠位端は、シリンダーを含み得、パッチは、シリンダーの表面上に配置され、パッチを標的部位に適用することは、例えば、標的部位に相対して、及び/又は、器具のシャフトに相対して、シリンダーを回転させることを含む。少なくとも1つの例では、シリンダーは、シャフトに相対するパッチの近位方向の動きを防止するリムを含む。
【0010】
いくつかの例では、器具の遠位端はバルーンを含み、器具のシャフトは、例えば、バルーンの膨張及び収縮のために、バルーンと連通している流体チャネルを含む。例えば、パッチは、折り畳まれた構成でバルーンの表面に配置され得、この方法は、バルーンを膨張してパッチを展開すること、例えば、パッチを標的部位に適用することを含む。
【0011】
上記のように、本明細書のいくつかの例では、内視鏡は、内視鏡の遠位端に結合されたキャップを含み、パッチは、キャップの遠位端を覆い、キャップから解放可能である。したがって、例えば、パッチを標的部位に適用することは、任意選択で、流体(例えば、空気又は水)及び/又は内視鏡を通して器具を用いてパッチに圧力を加えることによって、キャップからパッチを解放することを含み得る。
【0012】
パッチを患者の標的部位に送達する方法も本明細書で提供され、この方法は、内視鏡を含むシステムを患者の胃腸管に導入する工程を備え、システムは、生体適合性材料と、(a)内視鏡の作業チャネル内に摺動可能に配置されたシャフトを備え、パッチが器具の遠位端に結合され、器具の遠位端から解放可能である器具、又は(b)内視鏡の遠位端に結合されたキャップであって、パッチはキャップの遠位開口部を覆い、キャップから解放可能であるキャップのうちの1つとを有する。この方法は、内視鏡の遠位端を標的部位に近接して配置する工程と、システムからパッチを解放しながら、標的部位にパッチを適用する工程とをさらに備え得る。いくつかの例では、パッチは、折りたたまれた、又は圧着された構成で、器具の遠位端又はキャップに結合される。いくつかの態様によれば、パッチを解放する工程は、内視鏡のチャネルからパッチに空気を吹き付けること又は水を噴霧することを含む。本明細書のいくつかの例では、器具の遠位端は、リムを備えたシリンダーを含み、パッチは、リムの遠位のシリンダーの表面に配置されている。
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明とともに、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示のいくつかの態様による、例示的な内視鏡を示す斜視図。
図2A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図2B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図2C】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図3A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図3B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図3C】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図3D】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図4A】例示的な内視鏡キャップを示す斜視図。
図4B】本開示のいくつかの態様による、内視鏡キャップを使用したパッチの送達を示す斜視図。
図4C】本開示のいくつかの態様による、内視鏡キャップを使用したパッチの送達を示す斜視図。
図5A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図5B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図5C】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図5D】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している斜視図。
図6A】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している概念図。
図6B】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している概念図。
図6C】本開示のいくつかの態様による、例示的なシステムを用いたパッチの送達を示している概念図。
図7】本開示のいくつかの態様による例示的なシステムを示している斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の特定の態様は、以下により詳細に説明される。本明細書で提供される用語及び定義は、参照により組み込まれる用語及び/又は定義と矛盾する場合、優先的に適用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、又はそれらの他の任意の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、組成物、物品、又は装置がこれらの要素のみからなるのではないような非排他的な包含を包含することを意図するが、そのようなプロセス、方法、組成物、物品、又は装置に明示的に記載されていない、又は固有ではない他の要素を含み得る。「例示の」という用語は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。「おおよそ」及び「約」という用語は、参照される数又は値とほぼ同じであることを指す。本明細書で使用される場合、「おおよそ」及び「約」という用語は、指定された量又は値の±5%を包含すると理解されるべきである。
【0018】
本開示の実施形態は、組織を治療するためのパッチの内視鏡的送達のための医療用システム及び方法を含む。本明細書のパッチは、少なくとも部分的又は完全に生体吸収性であり得る1つ以上の生体材料(例えば、生体適合性を有し、及び/又は生物学的材料に由来する材料)を含み得る。例えば、組織に適用すると、パッチの少なくとも一部は、時間の経過とともに溶解及び/又は身体によって吸収され得る。場合によっては、パッチの一部が適用部位から剥離されて、胃腸系によって吸収又は除去されることがある。
【0019】
本明細書のパッチは、他の用途の中でもとりわけ、保護層、漏出に対するバリア、穿孔に対するバリア、欠陥閉鎖、細胞増殖を促進するための足場として、及び/又は止血剤として機能し得る。さらに、例えば、本明細書のパッチは、火傷、裂傷、病変、炎症、潰瘍形成、穿孔、微小穿孔、及び治療又は修復を必要とする他の部位などの、創傷又は病変組織を含む様々なタイプの組織を治療するために使用され得る。本明細書のパッチは、組織を固定又は保護するための縫合糸、ステープル、接着剤、及び他の方法の代替として、又はそれらと組み合わせて使用することができる。少なくとも1つの例では、パッチは、止血剤として機能するように、例えば、標的部位での組織の出血を防止又は阻害するために適用され得る。
【0020】
本明細書のパッチが適用され得る例示的な部位には、例えば、食道、胃、小腸(例えば、十二指腸、空腸、又は回腸)、又は大腸(例えば、盲腸、結腸、直腸、又は肛門管)などの胃腸系の組織が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、小腸又は大腸の吻合切除は、縫合線間の漏出のリスクにつながる可能性がある。本明細書のパッチは、漏れに対するバリアとして機能するようにそのような接合部に適用され得る。いくつかの例では、本明細書のパッチを瘻、例えば腸瘻に適用して、流体の漏出に対するバリアとして機能し、及び/又は嚢を覆って、周囲の解剖学的構造に穴をあけることを防ぐことができる。本明細書のパッチはさらに、炎症性腸疾患(IBD)を有する患者、例えば、瘻が腸管腔を接続するIBDに関連する補助的な疾患瘻にパッチを適用する場合に有用であり得る。
【0021】
本明細書のいくつかの例では、パッチは、内視鏡的に、任意選択で、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、又は組織生検などの医療処置と組み合わせて送達される。例えば、パッチは、ESDを介して又は粘膜層の潰瘍形成のために除去された組織層を再成長させる際に人体を支えるために、内視鏡的に標的部位に送達され得る。本明細書のパッチに適した例示的な生体材料には、キトサン、細胞外マトリックス(ECM)、及び多糖構造体を含む他の生体材料、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書のいくつかの例では、パッチはキトサンを含む。キトサンは、甲殻類の外骨格の構造成分であるキチンに由来するグルコサミン単位から形成される線状多糖類である。
【0023】
【化1】
キトサンは通常、水酸化ナトリウムなどのアルカリ試薬でキチンを脱アセチル化することにより調製され、水溶性物質を生成する。キトサンは抗菌性であり、粘膜などの負に帯電した表面に結合することを可能にする天然の生体接着特性を有する。
【0024】
本明細書のパッチは、塩の形態のキトサンを含み得る。例えば、塩は、キトサンを、酢酸(酢酸キトサンを形成する)又は乳酸(乳酸キトサンラクテート)などの適切な共役酸と組み合わせることによって調製することができる。他の可能な有機酸には、コハク酸(コハク酸キトサン)、グルタミン酸(グルタミン酸キトサン)、グリコール酸(グリコール酸キトサン)、及びクエン酸(クエン酸キトサン)が含まれるが、これらに限定されない。キトサン塩を調製するための例示的な手順では、キトサンを室温で水に懸濁し、続いて有機酸(例えば、酢酸及び/又はクエン酸)を添加してゲルを形成する。次に、ゲルを乾燥させて、所望の厚さ及び寸法のフィルム又はシートにする。理論に拘束されることを意図することなく、酸は、組織に適用されたときに保護層として使用するのに十分な完全性及び強度を提供する架橋構造を提供すると考えられている。
【0025】
本明細書のいくつかの例では、パッチは細胞外マトリックス(ECM)を含む。ECMは、生物の組織や臓器内の細胞を取り囲み、支える組織内に見られる複雑で自然に発生する構造材料である。それは細胞の外部の領域を構成し、物理的な足場だけでなく、細胞の機能を指示する生化学的及び生体力学的手がかりを与える。ECMは、組織内の細胞を一緒に保持する接着剤として説明されている。ECMは通常、構造タンパク質と多糖類、及び様々な成長因子で構成される。ECM材料は、周囲の環境に適合するように適応する一般的に動的な構造を提供できる。
【0026】
ECMの化学組成は、その供給源、例えば、ECMが由来する組織のタイプによって異なる。例えば、ECMは、様々なタイプのコラーゲン組織に由来し得る。本開示に適したECMは、脾臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、胆嚢、又は胃の組織を含むがこれらに限定されない、任意の適切なタイプの組織に由来し得る。さらに、組織は、ブタ、ウシ、ヒツジ、及びヒトの組織を含むがこれらに限定されない様々なタイプの天然組織から得ることができる。
【0027】
本明細書のパッチは、例えば、標的組織部位の性質に基づいて、任意の適切な形状及び寸法に形成することができる。いくつかの例では、パッチの厚さは、ミリメートルのオーダー、例えば、約0.1mm~約5.0mm、約0.2mm~約3.0mm、約0.5mm~約2.0mm、又は約0.8mm~約1.0mm、例えば、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、又は約1.5mmの厚さであり得る。少なくとも1つの例では、パッチの厚さは、3mm未満、2mm未満、1mm未満、又は0.5mm未満である。本開示のいくつかの態様によれば、厚さは均一であり得る。本明細書のパッチは、場合によっては、少なくとも部分的に半透明であり得、例えば、光がそこを通過することを可能にする。パッチは、他の可能な形状の中でも、例えば、正方形、長方形、楕円形、円形などの任意の形状を有し得る。いくつかの例では、パッチは、食道、小腸、又は大腸などの体腔への適用に適した管状の形状、例えば、薄壁のシリンダーを有する。
【0028】
本開示によるパッチは、可撓性を有し、かつ屈曲可能であり得る。例えば、パッチは、折り畳まれ、圧着され、又は他の方法で、限られた空間内で一時的に非平面構成に操作されることができる平面フィルム、シート、又はディスクに形成され得る。したがって、例えば、パッチは、内視鏡を介した適切な送達のために、シース又は管腔などの閉じ込められた囲いの中で折り畳まれ、湾曲され、又は圧着され得る。解放されると、パッチは元の平面構成を復元する場合がある。
【0029】
パッチは、標的部位への送達中に実質的に乾燥していてよい。本明細書のいくつかの例では、パッチは、送達中又は送達器具からの解放の直後に湿らせてもよい。例えば、パッチは、内視鏡の流体チャネルを介して、及び/又は体液又は体内の湿気との接触を介して水分に曝され得る。湿気にさらされると、パッチが液体を吸収し、パッチが膨張又は拡張する可能性がある。例えば、パッチは、乾燥しているときは実質的に紙のようであり、湿っているときはよりゼリーのような粘稠度を帯びることがある。本開示のいくつかの態様によれば、パッチを湿らせることは、組織へのその適用を助けることができる。
【0030】
本明細書のいくつかの例では、パッチは、例えば、パッチを組織に適用すること及び/又は適用後にパッチを所定の位置に維持することを促進するため、及び/又は標的部位へのパッチの送達を促進するための接着剤を含む。本開示に適した接着剤は、天然のもの、例えば、天然ポリマーを含むか、天然ポリマーに由来するもの、又は合成のものであり得る。例示的な接着剤には、ゼラチン(例えば、トロンビン/ゼラチンを含む)、フィブリン(例えば、フィブリン接着剤)、シアノアクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)、及びアルブミン(例えば、アルブミングルタルアルデヒドを含む)が含まれるが、これらに限定されない。接着剤は、少なくとも部分的に吸収可能であり得る。
【0031】
接着剤の選択は、少なくとも部分的に、所望の接着強度、生体吸収性特性、及び/又はパッチが適用されている標的部位の性質に基づくことができる。例えば、天然の生体接着特性を有するキトサンを含むパッチよりも、ECMを含むパッチには、比較的強い接着剤が望まれる場合がある。さらに、例えば、比較的大きな創傷又は欠損部位への適用を目的としたパッチは、パッチを組織に固定するのをさらに促進するための接着剤を含み得る。本開示によるパッチは、1つの領域又は2つ以上の領域、例えば、対向する端部に塗布される接着剤を含み得る。いくつかの例では、パッチは接着剤を含まない。
【0032】
本開示による医療用システムは、上記及び/又は本明細書の他の場所での生体材料又は生体材料の組み合わせを含むパッチの送達のための表面を提供する器具又はキャップを含み得る。本明細書のシステムは、内視鏡、送達される1つ以上のパッチ、及び/又は、例えば、鉗子、画像化デバイス、又は光学デバイスなどのような1つ以上の補助器具を含み得る。1つ以上のパッチは、例えば、内視鏡の作業チャネルを通して、又は内視鏡の遠位端に結合されたキャップを用いて送達され得る。
【0033】
図1は、本開示のいくつかの態様に有用な例示的な内視鏡100を示し、内視鏡100は、コントローラ102と、コントローラ102から遠位端106まで遠位に延びるシャフト104とを有する。コントローラ102は、操作者が曲がりくねった解剖学的構造を通して及び/又は標的部位に向かってシャフト102をナビゲートすることを可能にするために、任意の適切な形状及び操舵機構を有し得る。したがって、シャフト104は、胃腸系の一部を含む、様々な解剖学的構造を介して操縦するために十分な可撓性を有し得る。
【0034】
任意の適切な操舵機構を使用することができる。例えば、操舵機構は、例えば、コントローラ102からシャフト104にユーザ入力を送信して、1つ以上の平面に沿ってシャフト104を関節運動又は偏向させるために、コントローラ102をシャフト104に結合する複数の操舵ワイヤを備えることができる。図1に示されるように、例えば、コントローラ102は、1つ以上のアクチュエータ、例えば、第1及び第2のアクチュエータ112、114を含み得、2つの異なる平面、例えば、アクチュエータ112を介してxy平面に沿って、及びアクチュエータ114を介したyz平面に沿って、シャフト104の遠位端106の偏向を制御する。アクチュエータ112、114の協調運動は、例えば、シャフト104の360度の操作を提供するなど、複数の他の平面での偏向を達成することができる。シャフト102を操作するのに適した他の操舵機構を使用することができ、これには、他のタイプの機械的機構及び電気的機構が含まれるが、これらに限定されない。例えば、コントローラ102は、アクチュエータ112、114でのユーザ入力を電気信号に変換して、シャフト104の遠位端106の偏向を制御することができるように、シャフト104の様々な部分と電気的に通信することができる。
【0035】
シャフト104は、コントローラ102の1つ以上の対応するポート(例えば、ポート110)と通信する1つ以上の作業チャネル(例えば、作業チャネル120)を含み得る。医療処置を実行するために、ポート110を介して1つ以上の器具を作業チャネル120に挿入することができる。例示的な器具には、図2A~2C、3A~3D、5A~5D、及び7(以下で説明する)に示される器具、及び/又は鉗子、はさみ、メス、スネア、生検ブラシ、光学デバイス、又は画像化デバイスなどの他の器具が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、コントローラ102は、1つのポート110のみを含むか、又はそれぞれが別個の作業チャネルと通信する2つ以上のポートを含み得る(例えば、図7の作業チャネル720,722を参照のこと)。いくつかの例では、コントローラ102は、吸引弁113及び流体弁115などの、吸引及び/又は流体の制御を含み得る。したがって、例えば、吸引弁113は、シャフト104の吸引チャネルと連通していてもよく、流体弁115は、シャフト104の流体チャネルと連通していてもよい。
【0036】
図2A~2Cは、本開示のいくつかの態様による、送達器具250を含む例示的なシステムと、システムを使用して標的部位にパッチを送達する方法とを示す。具体的には、器具250は、遠位端206まで延びる内視鏡シャフト204の作業チャネル220内に配置されるものとして示されている。1つの作業チャネルのみが示されているが、図示された方法は、複数の作業チャネルを有し、そのうちの1つが機器250を収容する内視鏡に等しく適用可能である。器具250は、シャフト252と、シャフト252の遠位端に、例えばドラム又はスプールと同様のシリンダー254とを有する。いくつかの例では、シリンダー254の断面は、シャフト252の断面よりも大きい場合がある。
【0037】
本開示のいくつかの態様によれば、シリンダー254は、シャフト252の周りを回転可能である。例えば、シリンダー254は、ホイールと同様に、自由に動くことができ、シャフト252に対して自由に回転することができる。あるいは、器具250は、シリンダー254の制御された回転を与える機構であって、シャフトを介してシリンダー254に結合され、器具250の近位ハンドル(内視鏡のポート、例えば、図1のポート110の近位にあるハンドル)上に配置された機械的レバー又は電子スイッチなどの機構を含み得る。いくつかの例では、シリンダー254は、シャフト252に対して固定され得、その結果、作業チャネル220に相対するシャフト252の回転は、シリンダー254の対応する回転を引き起こす。
【0038】
シリンダー254の寸法は、シリンダー254の外面と作業チャネル220の内面との間に径方向にパッチ800を収容するように選択することができる。すなわち、パッチ800は、シリンダー254の外面に巻き付けられるか、あるいは他の方法で配置され得る。図示のシリンダー254の近位端は、パッチ800の位置を維持するのを助け、器具250が作業チャネル220に沿って摺動するときにパッチ800の近位方向の動きを防止することを助けるために、隆起した表面、例えば、リム256を含む。リム256は、シリンダー254の外径よりも大きい外径を有する環状フランジである。追加的又は代替的に、シリンダー254と接触しているパッチ800の表面は、パッチ800を器具250に固定するための接着剤を含み得る。接着剤は、パッチ800が組織と接触したときにパッチ800を解放することを可能にしながら、送達の間の器具に相対するパッチ800の移動の防止に十分な強度を有するように選択することができる。
【0039】
いくつかの例では、システムは、器具250と作業チャネル220との間にカテーテル又はスリーブを含み得る。例えば、カテーテル又はスリーブは、シャフト252(及びシリンダー254及びシリンダー254上に配置されたパッチ800)の径方向外側に、かつ、例えば、送達中にパッチ800を保護するために、作業チャネル220の内面に、配置され得る。そのような場合、器具250は、パッチ800が動くのを防ぐために保護カテーテル/スリーブを通して事前に装填されることができ、次いで、器具250は、パッチ800を配備するためにカテーテル/スリーブに相対して遠位方向に動かされる。上記のような接着剤をさらに使用することができ、又はカテーテル/スリーブは、接着剤なしで、配備前にパッチ800の位置を維持するために十分である場合もある。
【0040】
送達の間、機器250は、図2Aに示されるように、最初は全体が作業チャネル220の内部に配置される。シャフト204が標的部位を含む組織壁50に近接すると、図2Bに示されるように、器具250を遠位に動かして、作業チャネル220を出すことができる。次に、シャフト204及び/又は器具250は、図2Cに示されるように、パッチ800が標的部位又は標的部位に隣接する組織壁50に接触することを可能にするように操作され得る。パッチ800の組織壁50と接触している部分は、組織に付着し(任意選択で接着剤の助けを借りて)、シリンダー254の表面から解放され、パッチ800の残りの部分はシリンダー254上に配置されたままである。次に、シリンダー254は、組織壁50に相対してシリンダー254の長手方向軸の周りを回転して、パッチ800の残りの部分を、標的部位を覆うことを含めて、組織壁50に適用する一方で、シリンダー254からパッチ800を解放(例えば、巻き戻し)することができる。
【0041】
パッチ800は、接着剤の有無にかかわらず、組織壁50に固定され得る。例えば、パッチ自体の生体材料は、接着特性を有することがあり、及び/又は組織に優先的に接着し得る。いくつかの例では、鉗子などの補助器具を使用して、器具250からパッチ800を除去すること、及び/又はパッチ800を組織壁50に適用することを促進することができる。例えば、以下で説明する図7を参照されたい。
【0042】
図3A~3Dは、本開示のいくつかの例によるパッチを送達する別の例示的なシステム及び方法を示している。具体的には、器具350は、遠位端306まで延びる内視鏡シャフト304の作業チャネル320内に配置されるものとして示されている。この場合も、説明のために1つの作業チャネルのみが示されているが、図示された方法は、複数の作業チャネルを有する内視鏡にも等しく適用可能である。示されている器具350は、遠位端354で終端するシャフト352を含む。
【0043】
送達の間、機器350は、図3Aに示されるように、最初は全体が作業チャネル320内に配置される。フィルム又はシートとして形成されたパッチ820は、送達に適する、折り畳まれた、圧着された、又は倒壊した構成で、シャフト352の遠位端354上に配置され得る。例えば、パッチ820は、パッチ820が作業チャネル320の限られた空間内で折りたたまれることを可能にするが、その後、作業チャネル320から解放されるときに展開することを可能にするために十分な可撓性を有し得る。図3Aに示されるように、パッチ820は、傘のように、シャフト352の周りに近位方向に延伸し、端縁がシャフト352の遠位端354よりも近位に位置する状態で、シャフト252の外面と作業チャネル320の内面の間に径方向に設けられる。
【0044】
内視鏡シャフト304の遠位端306が標的部位に近接する、例えば、図3Bに示されるように標的部位を含む組織壁60に対面するようになると、器具350は、作業チャネル320を出るために遠位方向に動かされ得る。パッチ820が作業チャネル320から解放されると、パッチ820の端縁は、図3B及び3Cに示されるように展開することができ、例えば、パッチ820は、作業チャネル320内で折り畳まれた構成を取るために十分な可撓性を有するが、拘束されていない場合は元の状態、展開された構成に復元する。例えば、パッチ820の端縁は、図3Cに示されるように、パッチ820の元の展開された構成を復元するために、作業チャネル320に拘束されていないときに展開又は拡張することができる。最後に、器具350をさらに遠位に前進させて、パッチを組織壁60に適用して、標的部位を覆うことができる。場合によっては、パッチ820は、例えば、パッチ820が組織壁60と接触するまで器具350に固定されたままになることを可能にする接着剤で、シャフト352の遠位端354に十分に接着され得る。次に、圧力をシャフト352でパッチ820に加えて、パッチ820を組織壁60に固定することができる。いくつかの例では、パッチ820は、組織壁60に優先的に付着し得る。いくつかの例では、鉗子などの補助器具を使用して、器具350からパッチ820を離脱することを助けることができる。さらに、いくつかの例では、水及び/又は正の空気圧をパッチ820に適用して、組織壁60への適用を促進することができる。水が作業チャネル320又は内視鏡の別のチャネル、例えば流体チャネルを通して導入される場合、パッチ820はその流体を吸収して膨張することができる。パッチ820を湿らせることは、組織壁60に優先的に付着するその能力を増強し得る。
【0045】
図4Aは、本明細書のいくつかの方法で使用できるキャップ430を示している。キャップ430は、管腔を画定し、近位端434から遠位端438まで、概して円錐台形状で延びる。キャップ430の外面は、隆起部分、例えば、隆起435を含み、これは、キャップ430の長さ方向に垂直、すなわち横方向にキャップ430に沿って円周に沿って延伸し得る。いくつかの例では、隆起435は、キャップ430の円周の一部のみに沿って延在することができ、及び/又は隆起435は、一般に円周状のパターンに配置される複数の隆起した表面として構成することができる。本開示のいくつかの態様によれば、キャップは、少なくとも部分的又は完全に透明であり得る。他の例では、キャップは少なくとも部分的又は完全に不透明であり得る。
【0046】
キャップ430の近位端434は、内視鏡の遠位端、例えば、図4B及び4Cの内視鏡シャフト404の遠位端406に嵌合するように構成される。キャップ430を内視鏡に取り付けるための任意の適切な方法又は特徴を使用することができる。例えば、キャップ430は、可撓性を有する材料、例えば、柔軟なプラスチックで形成され得、その結果、キャップ430の近位端434は、緊密な摩擦ばめで内視鏡の遠位端を取り囲むことができる。その他の可能な機能には、タブ又はネジ切が含まるが、これらに限定されない。パッチ840は、キャップ430の遠位端438に結合され、その結果、パッチ840は、キャップ430の管腔の遠位開口部を横切って延在し、それを覆う。パッチ840は、パッチ840の一部が隆起435上に延在し、パッチ840の縁部842が隆起435の近位にあるように、近位方向に延在することができる。バンド470は、図4Bに示されるように、パッチ840を所定の位置に固定し、キャップ430に相対するパッチ840の遠位移動を防止するために、リッジ435の近位側に、パッチ840上に配置される。いくつかの例では、パッチ840は、図4Bに示されるよりも隆起435のさらに近位に、例えば、内視鏡シャフト404の遠位端406の近くに延びることができる。バンド470は、例えば、プラスチック又はシリコーンなどの材料からなるような、弾性及び可撓性であり得る。いくつかの例では、内視鏡は、送達中に標的部位を視認することを助けるために光学デバイス425を含み得る。いくつかの例では、パッチ840の光学デバイス425を覆う部分は、ユーザが光学デバイス425を介して組織壁60を視認することができる窓を与えるために切断され得る。
【0047】
パッチ840を組織壁60の標的部位に送達するために、キャップ430は、パッチ840及びバンド470が上記のように取り付けられた状態で、内視鏡の遠位端406に結合され得る。遠位端406が標的部位に、例えば、図4Cに示されるように標的部位を含む組織壁60に面するように近接すると、パッチ840を組織壁60に押し付け、パッチが840hs、標的部位のすべて又は一部を覆うために、内視鏡を遠位方向に動かす。パッチ840をキャップ430から解放するために、バンド470を切断して、パッチ840を露出させることができる。例えば、バンド470は、処置の目的で、作業チャネル、ハンドル、又は内視鏡の他の部分に一時的に取り付けられた配備機構に取り付けられ得、その結果、ユーザは、バンド470を、例えば、ワイヤに取り付けられた、又は他の方法で結合された適切なアクチュエータ(例えば、ノブ、ホイール、ギア、ボタン、プルタブなど)を介して作動/締めて切断することができる。いくつかの例では、ワイヤは、バンドに結び付けられ、内視鏡シャフトに沿って、又は内視鏡の作業チャネル420を通って遠位方向に延びることができ、例えば、ワイヤは、キャップ430の穴又はキャップ430と内視鏡の遠位端406の間の開口部を通過する。バンド470の一部は、パッチ840の送達の間にバンド470の喪失を回避するために、キャップ430及び/又は内視鏡につながれ得る。
【0048】
場合によっては、バンド470の解放と組み合わせて内視鏡でパッチ840に加えられる圧力は、パッチ840を内視鏡及びキャップ430から完全に解放するために十分であり得る。追加的又は代替的に、吹送及び/又は水圧を使用して、内視鏡に対向するパッチ840の側部に対して内視鏡の流体チャネルから空気を吹き付けるか又は水を噴霧することによって、パッチ840をキャップ430から離脱することができる。
【0049】
図5A~5Dは、本開示のいくつかの態様によるさらに別の例示的なシステム及び方法を示している。具体的には、器具550は、遠位端506まで延びる内視鏡シャフト504の作業チャネル520内に配置されるものとして示されている。説明のために1つの作業チャネルのみが示されているが、図示された方法は、複数の作業チャネルを有する内視鏡に等しく適用可能である。器具550は、膨張可能な器具、例えば、バルーン556に結合されたシャフト552を含む。シャフト552は、例えば、空気又は水などの流体源に結合され、膨張及び収縮のためにバルーン556と連通している流体チャネルを含み得る。
【0050】
パッチ860は、バルーン556が収縮している間、例えば、折りたたまれた状態又は圧着された状態で、バルーン556の外面に配置される。折り目は、パッチ860がバルーン556の拡張に対応することを可能にし得る。いくつかの例では、パッチ860は、図示されるように、管状の形状を有し、バルーン556を完全に取り囲むことができる。他の例では、パッチ860は、バルーン556の円周の一部のみに配置されたフィルム又はシートとして構成され得る。
【0051】
送達の間、内視鏡は、病変又は他の創傷などの標的部位75を含む組織壁70に隣接する体腔に挿入される。機器550は、図5Aに示されるように、最初は完全に作業チャネル520内に配置されている。内視鏡のシャフト504が標的部位75に近接すると、図5Bに示されるように、器具550を遠位方向に動かして、作業チャネル520を出すことができる。図5Cに示されるように、器具550が前進されるか、又は内視鏡が引き込まれ、もしくは抜去される結果、バルーン556及びその上に配置されたパッチ860は、作業チャネル520の外側に出される。最後に、バルーン556は、図5Dに示されるように、パッチ860が組織壁70及び標的部位75に接触するように、パッチ860を拡張及び展開するように膨張される。組織に接触すると、パッチ860は、優先的に組織に付着し、バルーン556から解放され得る。いくつかの例では、パッチ860は、組織壁70との接触時にパッチ860の解放を可能にしながら、送達の間にバルーン556に相対したパッチ860の移動を防止するために十分な強度を有する接着剤でバルーン556に固定され得る。パッチ860が解放されると、バルーン556は収縮され得、器具550及び内視鏡は体腔から抜去される。
【0052】
図6A~6Cは、パッチ880を患者の組織壁90に適用する別の例を示している。例えば、組織壁90は、食道、胃、小腸(例えば、十二指腸、空腸、又は回腸)、又は結腸などの患者の胃腸系の一部であり得る。組織壁90は、切り傷、裂傷、又は他の創傷などの標的部位95を含む。例えば、標的部位95は、例えば、傷害による、又は生検などの医療処置の一部として、組織の破れ又は切断に起因し得る。
【0053】
パッチ880は、標的部位95のいずれかの側の領域に適用される、対向する端部(880a,880bと符号を付けた)と、両端の間の中間部分880cとを有し得る。第1の端部880aは、例えば、パッチ880の自然な接着特性又は上記のように適用された適切な接着剤を介して、標的部位95に隣接する組織壁90に適用及び固定され得る。次に、パッチ880を操作して、第2の端部880bを標的部位95の反対側の組織壁90に適用して、パッチ880が標的部位95の複数の側面を合わせて創傷を閉じるように作用することができる。したがって、パッチ880は、操作に耐え、創傷の複数の側面を一緒に固定するのに十分な構造的完全性を有し得る。いくつかの例では、パッチ880の少なくとも一部は、パッチ880の標的部位95への配置及び適用を促進するために伸長し得る。例えば、中間部分880cは、第1及び第2の端部880a,880bを標的部位95の反対側に適用することを可能にするために十分な可撓性があり、次いで元の形状に跳ね返って標的部位95の側面を合わせることができる。各端部880a、880bは、パッチ880の組織壁90への取り付けを促進及び用意にするための適切な接着剤を含み得る。いくつかの例では、パッチ880の中央部分880cは接着剤を含まない。
【0054】
パッチ880は、例えば、添付の図に示される方法を含む、任意の適切な方法を介して標的部位95に送達され得る。例えば、パッチ880は、図7に示されるシステムを使用して、例えば、図1の内視鏡100の特徴のいずれかを含み得る内視鏡700を介して送達され得る。内視鏡シャフト704は、パッチ880を備えた送達器具750を収容する作業チャネル720を含み、器具750は、図2A~2Cの器具250の特徴のいずれかを含み得る。内視鏡700は、鉗子790を収容する第2の作業チャネル722を含む。パッチ880は、シャフト752に相対して器具750の遠位端754を回転させることによって器具750から解放され得る。例えば、第1の端部880aは、それが組織90に付着するように、十分な圧力で標的部位95に隣接する組織90の部分に押し付けられ得る。追加の回転は、パッチ880の残りの部分を、第2の端部880bを含む遠位端754から解放することができる。最後に、鉗子790を使用して、パッチ880の第2の端部880bを把持し、それを標的部位95の反対側に隣接する組織90の部分に適用することができる。器具750は、鉗子790に作業スペースを提供するために、任意選択で作業チャネル720に引き込むことができる。いくつかの例では、内視鏡700は、1つの作業チャネル720のみを含み得、器具750は、鉗子790を同じ作業チャネル720に導入する前に、作業チャネル720から引き抜かれる。
【0055】
本開示の他の実施形態は、本明細書に開示される実施形態の仕様及び実施を考慮することから当業者には明らかであろう。本開示の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示され、明細書及び実施例は例示としてのみ考慮されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7