(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】弁ステント及びそれを備える人工弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2021506629
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2019127751
(87)【国際公開番号】W WO2021036125
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】201910809227.3
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521051875
【氏名又は名称】上海翰凌医療器械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】代 高旭
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516492(JP,A)
【文献】国際公開第2016/130913(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282436(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2398245(GB,A)
【文献】国際公開第2019/158628(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/194983(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105662652(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105496607(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に拡張可能なリング構造であり、内部が人工リーフレット(9)を収容するのに適するステント本体(1)と、
径方向に圧縮可能なリング構造であり、内部が前記ステント本体(1)を収容するのに適する位置決めリング(6)と、
一端が前記位置決めリング(6)の上端に固定的に接続される一方、他端が前記ステント本体(1)の中央部又は下部に固定的に接続される弾性接続ワイヤ(5)と、
を含み、
前記位置決めリング(6)は、圧縮状態では、前記ステント本体(1)と軸線に沿って順に直列設置されるのに適し、圧縮状態から拡張状態に弾性変形すると、前記弾性接続ワイヤ(5)の牽引により、自動的に、前記ステント本体(1)に対して同軸的に外側に設けられて、
前記ステント本体(1)は、前記位置決めリング(6)により、自動的に、前記位置決めリング(6)と前記ステント本体(1)とを同時に位置決めし
、
前記ステント本体(1)の上部には、リーフレットに接続するための固定ラグ(103)が設けられ、前記固定ラグ(103)は少なくとも1つの長穴(104)を有し、
前記固定ラグ(103)の長穴(104)の両側には波形の側辺を有し、波形の各側辺は少なくとも1つの波形の谷を有するか、または
前記固定ラグ(103)の長穴(104)の両側には他の2つの対称的な長穴を有する
ことを特徴とする弁ステント。
【請求項2】
前記位置決めリング(6)は、拡張状態では、直筒形状構造のリング形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の弁ステント。
【請求項3】
前記位置決めリング(6)の下端には、現像マーカーへの接続に適するダンベル状構造(601)が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の弁ステント。
【請求項4】
前記位置決めリング(6)と前記弾性接続ワイヤ(5)との接続端に締結接続され、及び/又は前記ステント本体(1)と前記弾性接続ワイヤ(5)との接続端に締結接続されているファスナー(8)をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の弁ステント。
【請求項5】
前記位置決めリング(6)及び/又は前記ステント本体(1)に、前記弾性接続ワイヤ(5)の一端を収容するためのスロットを備える
ことを特徴とする
請求項4に記載の弁ステント。
【請求項6】
前記ステント本体(1)の第1のスロット(4)の両側の外側辺に、前記ファスナー(8)に接続するための係合エリア(401)を有する
ことを特徴とする
請求項5に記載の弁ステント。
【請求項7】
前記弾性接続ワイヤ(5)は、前記位置決めリング(6)の第2のスロット(7)に係着されている
ことを特徴とする
請求項5に記載の弁ステント。
【請求項8】
前記ファスナー(8)は被覆により前記位置決めリング(6)及び前記弾性接続ワイヤ(5)に締結接続され、及び/又は前記ファスナー(8)は被覆により前記ステント本体(1)及び前記弾性接続ワイヤ(5)に締結接続されている
ことを特徴とする
請求項4に記載の弁ステント。
【請求項9】
前記ファスナー(8)は前記弾性接続ワイヤ(5)に接続するための挿入穴と、前記ステント本体(1)に接続するための係合体とを備え、
前記ステント本体(1)には、前記ファスナー(8)の係合体を係合するための係合溝を備える
ことを特徴とする
請求項4に記載の弁ステント。
【請求項10】
前記接続ワイヤはモノワイヤ又はマルチワイヤであり、その横断面が円形又は扁平形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の弁ステント。
【請求項11】
前記接続ワイヤは、その一端が接続され、他端が互いに分離しているダブルワイヤである
ことを特徴とする
請求項10に記載の弁ステント。
【請求項12】
請求項1から
請求項11のいずれか一項に記載の弁ステントを含み、
前記ステント本体(1)の内側に接続される人工リーフレット(9)と、
前記位置決めリング(6)の下端に固定的に接続されている現像マーカーと、
をさらに含むことを特徴とする人工弁。
【請求項13】
前記リーフレットの上部両側には、前記ステント本体(1)の固定ラグ(103)の長穴(104)内に挿入するための縫合ラグを備える
ことを特徴とする
請求項12に記載の人工弁。
【請求項14】
前記現像マーカーはシート状構造又は糸材であり、前記位置決めリング(6)の下端のダンベル状構造(601)の中間に被覆するのに適する
ことを特徴とする
請求項12に記載の人工弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年08月29日に中国国家知識財産局に提出された、出願番号2019108092273、発明の名称「弁ステント及びそれを備える人工弁」の中国特許出願の優先権を主張し、この出願の全内容は参照により本願に援用される。
【0002】
本願は、心臓弁の技術分野に関し、具体的には、弁ステント及びそれを備える人工弁に関する。
【背景技術】
【0003】
大動脈弁疾患は最も一般的な心血管疾患の1つであり、大動脈弁疾患には、大動脈弁狭窄や大動脈弁閉鎖不全の2種類がある。重度の大動脈弁狭窄や重度の大動脈弁閉鎖不全の患者は、予後が悪く、心不全などの症状が出ると、死亡率が非常に高く、内科治療の効果が非常に低く、平均生存率は2~3年しかない。現在、重度の大動脈弁狭窄や大動脈弁閉鎖不全に対しては、最も効果的な治療法が外科的大動脈弁置換術であると考えられる。しかし、外科手術には開胸が必要であり、非常に外傷性であるため、多くの高齢者や虚弱な患者は、従来の外科的開胸弁置換術に耐えられない。
【0004】
近年、経カテーテル大動脈弁植え込み術(Transcatheter Aortic Valve lmplantation,TAVI)は、安全性、低外傷性、迅速な回復などの利点のため、外科手術の代替方法として重度の大動脈弁狭窄の治療に適用されている。経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)とは、大腿動脈を通して介入カテーテルを送り、人工心臓弁を大動脈弁のところまで運んで開かせることで、人工弁を留置し、弁の機能を回復させることである。臨床TAVI手術で最も広く使用されている製品は、米国エドワーズ(Edwards)会社のバルーン拡張型サピエン(Sapien)バルブステントシリーズ及び米国メドトロニック(Medtronic)会社の自己拡張型コアバルブ(Corevalve)弁である。これら2つの弁の設計は、主に大動脈狭窄の患者を治療するために使用される。TAVI術は、現在、重度の大動脈狭窄の患者のみに限定されており、大動脈弁閉鎖不全はまだTAVI術の禁忌症とされている。一部の研究者はCorevalve自己拡張型ステントとSapienバルブステントを単純な大動脈弁閉鎖不全の患者に使用してみようとした結果、ステントの不正確な位置決め、不適切な植え込みの発生率が20%に達し、これら2つのステントは、基本的に大動脈弁閉鎖不全の患者に使用されなくなる。
【0005】
現在、単純大動脈弁逆流に使用される製品は、大まかには2種類ある。1つは弁ステント自体に設計された3つの位置決めアンカーキー(例:Jenavalve、Acurate TA)であるが、構造の影響により、位置決めアンカーキーの開口幅が狭く、操作の利便性が悪く、また、弁の装着プロセスにおいてアンカーキーが弁に重なっているため、弁の外形サイズの増大を招き、製品の適用範囲を低下させてしまう。もう1つは、外付き位置決めキーの形態(例:Jバルブ)であり、装着プロセスにおいて位置決めキーが弁と重なっていないため、弁のサイズを減少させることができるが、縫合糸による接続形の方式を用いるため、柔軟性が大きくなり、位置決めキーの底端と弁の底端との距離を確保するのに不利であり、また、位置決めキーを手動で弁のところに引っ張る必要があるので、操作が複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本願は上記問題を解決するために、大動脈弁閉鎖不全に用いられ得る弁ステントを提供する。
本願は上記弁ステントを備えた人工弁をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本願は
径方向に拡張可能なリング構造であり、内部が人工リーフレットを収容するのに適するステント本体と、
径方向に圧縮可能なリング構造であり、内部が前記ステント本体を収容するのに適する位置決めリングと、
一端が前記位置決めリングの上端に固定的に接続される一方、他端が前記ステント本体の中央部又は下部に固定的に接続される弾性接続ワイヤと、
を含み、
前記位置決めリングは、圧縮状態では、前記ステント本体と軸線に沿って順に直列設置されるのに適し、前記位置決めリングが圧縮状態から拡張状態に弾性変形すると、前記弾性接続ワイヤの牽引により、自動的に、前記ステント本体に対して同軸的に外側に設けられて、前記ステント本体は、前記位置決めリングにより、自動的に、前記位置決めリングと前記ステント本体とを同時に位置決めし、
前記ステント本体の上部には、リーフレットに接続するための固定ラグが設けられ、前記固定ラグは少なくとも1つの長穴を有し、
前記固定ラグの長穴の両側には波形の側辺を有し、波形の各側辺は少なくとも1つの波形の谷を有するか、または
前記固定ラグの長穴の両側には他の2つの対称的な長穴を有することを特徴とする弁ステントを提供する。
【0008】
好ましい技術案として、前記位置決めリングは、拡張状態では、直筒形状構造のリング形状である。
【0009】
好ましい技術案として、前記位置決めリングの下端には、現像マーカーへの接続に適するダンベル状構造が設けられている。
【0010】
好ましい技術案として、前記ステント本体の上部には、リーフレットに接続するための固定ラグが設けられ、前記固定ラグは少なくとも1つの長穴を有する。
【0011】
好ましい技術案として、前記位置決めリングと前記弾性接続ワイヤとの接続端に締結接続され、及び/又は前記ステント本体と前記弾性接続ワイヤとの接続端に締結接続されているファスナーをさらに含む。
【0012】
好ましい技術案として、前記位置決めリング及び/又は前記ステント本体に、前記弾性接続ワイヤの一端を収容するためのスロットを備える。
【0013】
好ましい技術案として、前記ステント本体の第1のスロットの両側の外側辺には、前記ファスナーに接続するための係合エリアを有する。
【0014】
好ましい技術案として、前記弾性接続ワイヤは、前記位置決めリングの第2のスロットに係着されている。
【0015】
好ましい技術案として、前記ファスナーは被覆により前記位置決めリング及び前記弾性接続ワイヤに締結接続され、及び/又は前記ファスナーは被覆により前記ステント本体及び前記弾性接続ワイヤに締結接続されている。
【0016】
好ましい技術案として、前記ファスナーは前記弾性接続ワイヤに接続するための挿入穴と、前記ステント本体に接続するための係合体とを備え、前記ステント本体には、前記ファスナーの係合体を係合するための係合溝を備える。
【0017】
好ましい技術案として、前記接続ワイヤはモノワイヤ又はマルチワイヤであり、その横断面が円形又は扁平形状である。
【0018】
好ましい技術案として、前記接続ワイヤは、その一端が接続され、他端が互いに分離しているダブルワイヤである。
【0019】
本願は
上記の何れか一項に記載の弁ステントを含み、
前記ステント本体の内側に接続される人工リーフレットと、
前記位置決めリングの下端に固定的に接続されている現像マーカーと、
をさらに含む人工弁を提供する。
【0020】
好ましい技術案として、前記リーフレットの上部両側には、前記ステント本体の固定ラグの長穴内に挿入するための縫合ラグを備える。
【0021】
好ましい技術案として、前記現像マーカーはシート状構造又は糸材であり、前記位置決めリングの下端のダンベル状構造の中間に被覆するのに適する。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術案によれば、以下のメリットがある。
1.本願に係る弁ステントでは、植込みを行った後、位置決めリングが弾性変形により拡張状態に自己拡張し、弾性接続ワイヤの牽引により、ステント本体に対して同軸的に外側に設けられ得る。従って、植込み手術施行時に位置決めリングと支持本体とを同時に位置決めることができる。接続ワイヤの牽引により、支持本体は位置決めリングによって自己位置決めを行うことができ、それにより、位置決めリング及び支持本体のそれぞれに対する位置決め操作を省くことができ、手術の操作をより簡便にする。
さらに、本願の位置決めリングは、圧縮状態では、ステント本体と軸線に沿って順に直列設置可能であり、このような非重合の設計によれば、弁が血管内を搬送される時に、全体の装着外径を小さくし、伝導ブロックを減らし、弁の通過可能性を向上させることができる。
また、位置決めリングは、弾性接続ワイヤを介してステント本体に常に接続されており、このように、植込み手術施行時に、位置決めリングと支架本体とを接続する必要がなくなり、手術の操作をより簡便にする。位置決めリングとステント本体とを接続するための弾性接続ワイヤは、両端とも固定的に接続されているので、より安定的かつ堅固な接続を提供することができ、さらにステント本体と位置決めリングとの距離を確保し、位置決めリングとステント本体を同心に保持する。
2.本願に係る弁ステントでは、位置決めリングは拡張状態に拡張された後、直筒形状構造となっているので、完全に拡張することができ、動いている人体のリーフレットをより握りやすくなり、このため、位置決めリングの位置決めをより簡便にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、本願の特定実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、特定実施形態又は従来技術の説明に用いられる添付の図面を簡単に説明するが、明らかなように、以下の説明における添付の図面は、本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を払うことなく、添付の図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】
図1は本願にかかる弁ステントの特定実施形態の略線的斜視図である。
【
図4】
図4はステント本体の上部の固定ラグの正面図である。
【
図5】
図5は人工リーフレットを固定ラグに接続する時の固定ラグの横断面方向の概略図である。
【
図6】
図6はステント本体の第1のスロットの正面図である。
【
図10】
図10はステント本体の代替実施形態の概略拡張図である。
【
図11】
図11はステント本体の別の代替実施形態の概略拡張図である。
【
図12】
図12はステント本体における固定ラグの代替実施形態の正面図である。
【
図13】
図13は固定ラグの別の代替実施形態の正面図である。
【
図14】
図14は固定ラグの別の代替実施形態の正面図である。
【
図15】
図15は固定ラグの別の代替実施形態の正面図である。
【
図16】
図16はステント本体の第1のスロットの代替実施形態の正面図である。
【
図17】
図17はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図18】
図18はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図19】
図19はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図20】
図20はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図21】
図21はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図22】
図22はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図であ る。
【
図23】
図23はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図であ る。
【
図24】
図24はステント本体の第1のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図25】
図25は弾性接続ワイヤの代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図26】
図26は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図27】
図27は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図28】
図28は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図29】
図29は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図30】
図30は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図31】
図31は弾性接続ワイヤの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図32】
図32は位置決めリングの代替実施形態の概略拡張図である。
【
図33】
図33は位置決めリングの第2のスロットの代替実施形態の正面図である。
【
図34】
図34は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図35】
図35は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図36】
図36は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図37】
図37は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図38】
図38は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図39】
図39は位置決めリングの第2のスロットの別の代替実施形態の正面図である。
【
図40】
図40はファスナーの代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図41】
図41はファスナーの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図42】
図42はファスナーの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図43】
図43はファスナーの別の代替実施形態の略線的斜視図である。
【
図44】
図44は植込みプロセスにおいて、位置決めリングとステント本体が搬送カテーテル内にある様子の正面図である。
【
図45】
図45は搬送カテーテルが病変位置に到達した様子の正面図である。
【
図46】
図46は病変位置において弁ステントを解放した様子の正面図である。
【
図47】
図47は弁ステントが位置決め位置に到達するように調整された様子の正面図である。
【
図48】
図48は弁ステントの病変位置への固設の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本願の技術案について明確かつ完全に説明するが、もちろん、記述されている実施例は本願の全部の実施例ではなく、いくつかの実施例である。本願の実施例に基づいて、当業者が進歩的な工夫をしないもとに得られたすべての他の実施例であれば、本願がカバーする範囲である。
【0025】
なお、本願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」等の用語が示す方位又は位置関係は図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、示される装置又は素子は必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造・操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、本願の説明の便宜及び簡素化上のものであるため、本願を限定するものであると理解するべきではない。また、「第1の」、「第2の」、「第3の」という用語は単に目的を説明するために用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものであると理解するべきではない。
【0026】
なお、本願の記載において、別に明確に規定又は限定がしない限り、「装着」、「繋がる」、「接続」という用語は広義に理解するべきであり、例えば、固定的に接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよい。機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよい。直接に繋がってもよく、中間媒体を通じて間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部が連通してもよい。本願における上述した用語の具体的な意味を当業者には詳しくは理解可能である。
【0027】
また、以下に説明する本願の異なる実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0028】
実施例1
本実施例は弁ステントの特定実施形態を提供し、
図1に示すように、この弁ステントは、ステント本体1、位置決めリング6及び弾性接続ワイヤ5を含む。前記ステント本体1は、さらに径方向に拡張可能なリング構造であり、ステント本体1が完全に拡張した後、位置決めリング6と併せて人体の弁をクランプすることによって、弁ステントが位置決めされる。
【0029】
ステント本体1の内部は、人工リーフレット9を収容するのに適しており、人の自体弁の代わりとして血液の逆流を止める。
【0030】
前記位置決めリング6は、弾性接続ワイヤ5を介してステント本体1に接続され、弾性接続ワイヤ5は、一端が前記位置決めリング6の上端に固定的に接続され、他端が前記ステント本体1の中央部又は下部に固定的に接続されている。
【0031】
前記位置決めリング6は、現在、拡張状態であるが、搬送過程において、圧縮状態となる。搬送する際に、圧縮状態の位置決めリング6は前記ステント本体1と軸線に沿って順に直列設置されており、このような非重合の設計によれば、弁が血管内を搬送される時に、全体の装着外径を小さくし、伝導ブロックを減らし、弁の通過可能性を向上させることができる。前記位置決めリング6は、位置に到達して解放する際に、圧縮状態から弾性変形して拡張状態まで自己拡張しながら,前記弾性接続ワイヤ5の牽引により,前記ステント本体1に対して同軸的に外側に設けることができる。従って、植込み手術施行時に、位置決めリング6と支持本体とを同時に位置決めし、接続ワイヤの牽引により、支持本体は位置決めリング6により自己位置決めを行うことができ、これにより、位置決めリング6及び支持本体のそれぞれに対する位置決め操作を省くことができ、手術の操作をより簡便にする。
【0032】
前記位置決めリング6は、拡張状態では、直筒形状構造であり、前記直筒形状構造とは、拡張状態では、位置決めリング6の上端と下端が同じ直径サイズを有し、即ち上端と下端が同じ幅であることを意味する。直筒形状構造とすることにより、位置決めリング6を完全に展開させることができ、動いている人体のリーフレットをより握りやすいようにすることができるので、位置決めリング6の位置決めをより簡便にする。
【0033】
図2には、前記ステント本体1が拡張された構造が示されている。ステント本体1は、横置きの複数の鋸歯状バー101と縦置きの複数の垂直バー102とを接続して構成するフレームである。ステント本体1の上部の第1の層の垂直バー102には、リーフレットに接続するための固定ラグ103が設けられ、前記固定ラグ103は、1つの長穴104を内部に有し、前記長穴104を通じて人工リーフレット9の接続ラグ901に結合される。前記ステント本体1の中央部の第2の層の垂直バーは、補強バーとして設置され、前記補強バーは太い垂直バー102であり、ステント本体1の全体の強度を向上させることができる。前記ステント本体1の下部では、鋸歯状バー101が相対的に直接接続されている。
【0034】
図3には、ポリマー材料又は生体組織を用いうるフレキシブルスカート2が示されており、前記ステント本体1の下部の下辺に被覆され、人工リーフレット9を適応的に封止するためのものであり、構造の病変が複雑の患者又は石灰化病変の患者に用いられる時に、逆流の発生を最小限に抑えることができる。
【0035】
図4に示すように、ステント本体1の上部の固定ラグ103の実施形態において、当該固定ラグ103は、周囲が規則的な長方形であり、中間には1つの長穴104を有する。
【0036】
図5に示すように、
図4の固定ラグ103の横断面概略図である。固定ラグ103は人工リーフレット9の両端の接続ラグ901に接続するためのものであり、人工リーフレット9の両端の接続ラグ901のうちの一方を固定ラグ103に結合させる際に、まず、人工リーフレット9の接続ラグ901を長尺穴に通してから、端部で分岐し、分岐した接続ラグ901を固定ラグ103の両側から接続ラグ901の尾部まで引き回し、最後に縫合糸3で接続ラグ901の両端部を結合して固定する。
【0037】
図6に示すように、ステント本体1において補強バーに設けられた第1のスロット4の実施形態において、当該第1のスロット4は弾性接続ワイヤ5の一端に接続するためのものである。当該第1のスロット4の両側の外側辺には、ファスナー8に接続するための、内側に凹んだ係合エリア401を有する。弾性接続ワイヤ5とステント本体1とを接続する際に、弾性接続ワイヤ5の一端を上記第1のスロット4内に挿入してから、ファスナー8を係合エリア401に被覆して巻き掛けることによって、弾性接続ワイヤ5をステント本体1に固定的に接続することができる。
【0038】
図7に示すように、弾性接続ワイヤ5の実施形態において、当該弾性接続ワイヤ5はダブルワイヤ構造であり、ダブルワイヤとすることにより、その横断面が扁平形状となる。当該弾性接続ワイヤ5は形状記憶効果のある金属ワイヤを採用し、各弾性接続ワイヤ5は熱処理により逆方向の2つの円弧を持つS字型に成形される。弾性接続ワイヤ5の両端のそれぞれ2つの締結リング501が設けられ、締結リング501は溶接、リベット接合又は接着などによって接続ワイヤに接続されている。
【0039】
図8に示すように、位置決めリング6の実施形態の拡張図である。当該位置決めリング6の拡張構造は正弦波曲線のような構造であり、上端には、弾性接続ワイヤ5に接続するための1つの第2のスロット7を有し、弾性接続ワイヤ5の端部を当該第2のスロット7内に挿入してもよく、その後、ファスナー8を外部に被覆するように巻き掛けて、さらに固定する。当該位置決めリング6の下端は現像マーカーに接続するためのダンベル状構造601を有し、前記ダンベル状構造601とは中間が小さく、両端が大きな構造というものであり、手術施行中に弁ステントの位置決めを行うためにシート状の現像マーカーをダンベル状構造601の中間に巻き掛け、さらに、縫合糸3で現像マーカーを固定することができる。
【0040】
図9に示すように、ファスナー8の実施形態である。当該ファスナー8は被覆によりステント本体1と弾性接続ワイヤ5とを接続することができるし、被覆により位置決めリング6と弾性接続ワイヤ5とを接続することができる。弾性接続ワイヤ5を位置決めリング6の第2のスロット7内に挿入して、ファスナー8が位置決めリング6の第2のスロット7を被覆することにより、位置決めリング6と弾性接続ワイヤ5とを締結接続することができる。弾性接続ワイヤ5をステント本体1の第1のスロット4内に挿入して、ファスナー8をステント本体1の第1のスロット4に被覆することにより、ステント本体1と弾性接続ワイヤ5とを締結接続することができる。当該ファスナー8は剛性で変形可能な材料である。
【0041】
使用方法
上述した実施形態の弁ステントを使用する際に、弾性接続ワイヤ5の一端がステント本体1の中央部の第1のスロット4内に挿入され、他端が位置決めリング6の上端の第2のスロット7内に挿入されながら、ファスナー8により位置決めリング6と弾性接続ワイヤ5との接続端、及びステント本体1と弾性接続ワイヤ5との接続端に被覆されている。ここで、ステント本体1の上部はリーフレットの固定ラグ103に接続するためのものであり、
図5に示すような巻き付け方法によって、3枚のリーフレットをリング構造のステント本体1の内部に接続する。ここで、位置決めリング6の下端のダンベル状構造601はシート状又は糸状の現像マーカーを巻きつけるためのものであり、このように、手術施行中に弁位置を的確に特定することができる。
【0042】
図10には、ステント本体1の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、ステント本体1は4層構造であり、リーフレットに接続するための固定ラグ103は依然として第1の層に設置され、第2の層は鋸歯状バー101を用いて直接相対接続され、弾性接続ワイヤ5に接続するための第1のスロット4は第3の層に設置され、第4の層は同様に鋸歯状バー101を用いて直接相対接続されている。
【0043】
図11には、ステント本体1の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、ステント本体1は三層構造であり、上層及び中層の構造は変わらず、下層の垂直バーは補強バーを用いて、弾性接続ワイヤ5に接続するための第1のスロット4は下層に設置されている。
【0044】
図12には、ステント本体1においてリーフレットに接続するための固定ラグ103の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、固定ラグ103の長穴104の両側は縫合糸3が通過するための並列な貫通孔を複数有し、このように、ラグ103と人工リーフレット9とをよりよく固定的に接続することができる。
【0045】
図13には、ステント本体1においてリーフレットに接続するための固定ラグ103の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、固定ラグ103の中間の長穴104の両側には波形の側辺を有し、波形の側辺は1つの谷を有し、縫合糸3をよりよく接続することによって、縫合糸3の動きを回避するために使用可能である。
【0046】
図14には、ステント本体1においてリーフレットに接続するための固定ラグ103の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、固定ラグ103の構造は上記実施形態における構造と類似しており、長穴104の両側の波線の側辺には、より多い縫合糸3を固定するための2つの谷を有する点が異なる。
【0047】
図15には、ステント本体1においてリーフレットに接続するための固定ラグ103の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、固定ラグの長穴104の両側には、固定ラグ103をしっかりと折りたたむために他の2つの対称的な長穴を有し、それにより、固定ラグ103はより耐久性があり、縫合がより確実となる。
【0048】
図16には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の外側辺には、ファスナー8に接続するための、内側に凹んだ係合エリア401を有する。第1のスロット4の中間に備える切り欠きは弾性接続ワイヤ5の一端を挿入するためのものであり、且つ、切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端に楕円形の拡大部が形成されたものである。
【0049】
図17には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には一側に向かう横方向の水平折曲がり部が形成されたものであるという点が異なる。
【0050】
図18には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には一側に向かう円弧形の折曲がり部が形成されたものであるという点が異なる。
【0051】
図19には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には両側の上方へ傾斜した傾斜折曲がり部が形成されたものであるという点が異なる。
【0052】
図20には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には逆三角形の拡大部が形成されたものであるという点が異なる。
【0053】
図21には、ステント本体1においてる弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には両側に向かう横方向の折曲がり部が形成されたものであるという点が異なる。
【0054】
図22には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、鉛直長尺形状を基に、頂端には両側に向かう円弧形の折曲がり部が形成されたものであるという点が異なる。
【0055】
図23には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は、頂端の横方向長尺状であるという点が異なる。
【0056】
図24には、ステント本体1において弾性接続ワイヤ5の一端に接続するための第1のスロット4の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、第1のスロット4の両側の係合エリア401の構造は変わらない。前記切り欠きの形状は頂端にある円形溝であるという点が異なる。
【0057】
図25には、弾性接続ワイヤ5の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は、一端が接続され、他端が分離しているダブルワイヤである。互いに接続された一端は位置決めリング6に接続するためのものであり、互いに分離している一端はステント本体1に接続するためのものであり、且つそれぞれステント本体1における2つの異なる位置の第1のスロット4に接続されている。弾性接続ワイヤ5の頂端には直径がやや大きい円形球体を有し、弾性接続ワイヤ5がステント本体1の第1のスロット4内に挿入されると、その円形球体は第1のスロット4の折り曲がり部と互いにブロックし、弾性接続ワイヤ5とステント本体1との接続をより安定的にすることができる。
【0058】
図26には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は同じく一端が接続され、他端が分離しているダブルワイヤである。ただし、位置決めリング6に接続するための一端には、直径がやや大きい長方形バーを有し、当該長方形バーは位置決めリング6の第2のスロット7内に係着されて、位置決めリング6と弾性接続ワイヤ5を接続するという点が異なる。
【0059】
図27には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は同じく一端が接続され、他端が分離しているダブルワイヤである。ただし、3つの自由端のいずれにも、直径がやや大きい長方形バーが設けられ、位置決めリング6に接続するための一端を除き、残りの2対の長方形バーはステント本体1の第1のスロット4内に係着されて、弾性接続ワイヤ5とステント本体1を接続するという点が異なる。
【0060】
図28には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は同じく一端が接続され、他端が分離しているダブルワイヤである。ただし、位置決めリング6に接続するための一端はその折り曲がり方向が上向きであるので、様々な実際の要件を満たすように、下から上に向かって位置決めリング6に接続されてもよいという点が異なる。
【0061】
図29には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は同じくダブルワイヤである。ただし、当該弾性接続ワイヤ5は分離している端部がなく、且つステント本体1に接続するための一端が上向きに長い距離だけ延在し、実際の要件に応じてステント本体1の異なる位置に接続されてもよいという点が異なる。
【0062】
図30には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5はシート構造からなり、両端には、ステント本体1と位置決めリング6とを接続するための被覆構造が設けられる。前記弾性接続ワイヤ5は、ステント本体1及び位置決めリング6に接続する際に、被覆構造を拡張させて、それぞれステント本体1の第1のスロット4及び位置決めリングの第2のスロット7内に挿入し、被覆構造が弾性接続ワイヤ5の弾性により元の状態に自動的に回復することができ、それにより、弾性接続ワイヤ5はステント本体1及び位置決めリングに接続される。
【0063】
図31には、弾性接続ワイヤ5の別の代替実施形態が示されており、当該実施形態において、弾性接続ワイヤ5は、間隔をおいて平行に配置されたダブルワイヤの両端を接続したものを用いる。弾性接続ワイヤ5の両端には、ステント本体1及び位置決めリング6に接続するためのブロックがさらに設けられ、前記ブロックの中間には、ステント本体1及び位置決めリング6にさらに固定的に接続可能な貫通孔を有する。
【0064】
図32には、位置決めリング6の代替実施形態の拡張図が示されており、当該位置決めリング6の拡張構造は同じく正弦波曲線のような構造であり、ただし、上端には、弾性接続ワイヤ5に接続するための第2のスロット7が2つあり、弾性接続ワイヤ5の端部がこの2つの第2のスロット7内に順に挿入され、弾性接続ワイヤ5を変形させ、それにより、弾性接続ワイヤ5に係着するようになるという点が異なる。
【0065】
図33に示すように、位置決めリング6の上端の、弾性接続ワイヤ5に接続するための第2のスロット7の代替実施形態において、当該第2のスロット7は、位置決めリング6との接続箇所が第2のスロット7の上端よりも両側に位置し、順に弾性接続ワイヤ5を挿入して、弾性接続ワイヤ5に係着することができる2つの切り欠きをより下方に有する。
【0066】
図34に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7と位置決めリング6との接続箇所が同じく第2のスロット7の上端よりも両側に位置し、ただし、当該第2のスロット7は1つの切り欠きであり、切り欠きの下端が開口状であり、且つ開口の片側には、ファスナー8によりよく接続するためのバーブを有するという点が異なる。当該第2のスロット7の切り欠きは、第2のスロット7の変形のために、より大きな変形量を提供することができ、第2のスロット7がファスナー8とよりよく係着されるようにする。
【0067】
図35に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7と位置決めリング6との接続箇所が同じく第2のスロット7の上端よりも両側に位置し、且つ同じく第2のスロット7の下端に開口を有し、ただし、当該第2のスロット7は開口がより大きく、且つ開口の両側のいずれにも、ファスナー8によりよく係着するためのバーブを有するという点が異なる。
【0068】
図36に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7の下端は同じく開口を有し、且つ開口の両側のいずれにもバーブを有し、ただし、当該第2のスロット7と位置決めリング6との接続箇所が第2のスロット7の中央部よりも上側に位置し、第2のスロット7の上端には、弾性接続ワイヤ5を係止するために弾性接続ワイヤ5を収容する係止穴を有し、それにより、弾性接続ワイヤ5に対する接続の安定性を向上させるという点が異なる。
【0069】
図37に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7の下端は同じく開口を有し、開口の両側のいずれにもバーブを有し、且つ位置決めリング6との接続箇所が同じく第2のスロット7の中央部よりも上側に位置する。ただし、当該第2のスロット7の下端の開口が小さく、且つ中間に位置し、且つ当該第2のスロット7の上端には、弾性接続ワイヤ5が通過するための挿通穴を有し、それにより、第2のスロット7内によりよく配置されるように弾性接続ワイヤ5を弾性的に変形させるという点が異なる。
【0070】
図38に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7と位置決めリング6との接続箇所が第2のスロット7の上端の両側に位置し、1つの横方向の切り欠きを有する。
【0071】
図39に示すように、第2のスロット7の別の代替実施形態において、当該第2のスロット7と位置決めリング6との接続箇所が第2のスロット7の中央部よりも上部の両側に位置し幅が大きい上部の切り欠きと、それと繋がっている長さが大きい下部の切り欠きとを有する。
【0072】
図40に示すように、ファスナー8の代替実施形態において、当該ファスナー8の構造は同じく被覆して接続することに適し、ただし、当該ファスナー8は拡張不可能な封止リング構造であり、形状記憶合金で作ることができ、自体の弾性変形により被接続体を被覆することができるという点が異なる。。
【0073】
図41に示すように、ファスナー8の別の代替実施形態において、当該ファスナー8の両側には、係合溝を有し、切り欠きに挿入することでスロットに係着することができ、当該ファスナー8は弾性接続ワイヤ5を接続するための、上下両端を貫通する2つの貫通孔をさらに有する。
【0074】
図42に示すように、ファスナー8の別の代替実施形態において、当該ファスナー8の中央部は被覆に適する溝構造を有し、且つ溝構造の壁に貫通孔を有し、円筒形のファスナー8を通して被接続手段にさらに接続することができ、当該ファスナー8の両側には、弾性接続ワイヤ5を接続するための、上下両端を貫通する2つの貫通孔をさらに有する。
【0075】
図43に示すように、ファスナー8の別の代替実施形態において、当該ファスナー8の構造は上述したファスナー8の構造と類似しており、ただし、当該ファスナー8の中央部の被覆構造は密閉円筒形であり、弾性変形により被接続手段を被覆して接続できるという点が異なる。
【0076】
図44~48に示すように、弁ステントの植込みプロセスの概略図である。
図44に示すように、位置決めリング6とステント本体1は圧縮状態のままで順に搬送カテーテル内に設置され、且つ位置決めリング6はステント本体1の前方に位置し、弾性接続ワイヤ5を介してステント本体1に接続されている。
【0077】
図45に示すように、ガイドワイヤ及び血管鞘を介してカテーテルを病変位置まで送達した後、カテーテルの頂端を、病変の自体弁を通す。
【0078】
また、
図46に示すように、弁ステントをカテーテルの末端から解放して、位置決めリング6を拡張状態まで自動的に弾性的に復元させつつ、弾性接続ワイヤ5の牽引作用により、位置決めリング6が後軸に向けて移動して、前記ステント本体1に対して同軸的に外側に設けられる。
【0079】
図47に示すように、弁ステントを駆動して病変の自体弁に向けて移動させ、完全に拡張された位置決めリング6が全ての自体リーフレットの外側に係合したまま、自体リーフレットの根部に到着するようにし、ステント本体1が中間から自体弁を通過するようにする。
【0080】
図48に示すように、ステント本体1をバルーン拡張により拡張させ、自体リーフレットをステント本体1と位置決めリング6との間に挟み、それで、弁ステントの位置決め及び固定を完了する。
【0081】
実施例2
本願は、実施例1に記載の弁ステントを含み、前記ステント本体1の内側に接続されている人工リーフレット9と、位置決めリング6の下端に固定的に接続される現像マーカーとをさらに含む人工弁を提供する。
【0082】
図49に示すように、人工リーフレット9の斜視構造概略図において、当該リーフレットは、本実施例において、合計3枚設けられ、すべてステント本体1の内部に接続されている。当該人工リーフレット9の左右両側には、固定ラグ103に接続するための接続ラグ901を有し、当該接続ラグ901の端部には、2つの分岐を有する。当該人工リーフレット9の底端には、血液の逆流を防止するための下向きの突起部を有し、且つ当該突起部は円弧形とされており、3組の人工リーフレット9が完全に嵌合できるようにする。当該人工リーフレット9の頂端には、血液が側辺から逆流することを効果的に防止するための上向きの突起部をさらに有する。
【0083】
もちろん、前記した実施例は、分かり易く説明するために列挙した例に過ぎず、この実施形態を限定するものではない。前記した説明に基づいて、他の異なる形態の変形や変更等が可能であることは当業者に自明である。ここでは、すべての実施形態を列挙する必要はなく、列挙しようとしても列挙することができない。これから派生した自明な変形や変更は、全て本願の保護範囲内のものである。
【符号の説明】
【0084】
1…ステント本体
101…鋸歯状バー
102…垂直バー
103…固定ラグ
104…長穴
2…スカート
3…縫合糸
4…第1のスロット
401…係合エリア
5…弾性接続ワイヤ
501…締結リング
6…位置決めリング
601…ダンベル状構造
7…第2のスロット
8…ファスナー
9…人工リーフレット
901…接続ラグ。