(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ハイパースペクトル装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240109BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61B3/10
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2021510204
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 AU2019050943
(87)【国際公開番号】W WO2020047594
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-30
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517415285
【氏名又は名称】シライト プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フリスケン スティーヴン ジェームズ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/205857(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/000036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
G01J 3/00 - 4/04
G01J 7/00 - 9/04
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを分析するための装置であって、
複数の波長から構成される波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成された光源と、
前記入力照射視野をビームレットのアレイを含む構造化照明視野に変換するための構造化光発生器と、
前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影するための光学系であって、前記ビームレットを角度的に符号化することにより、各ビームレットが符号化された角度に対応する前記サンプルの位置の上に投影される、前記光学系と、
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分をスペクトル分析するように構成された2次元センサアレイを含む分光計と、
前記分光計と作動的に関連付けられたプロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、
予め定められたマッピング関数に基づいて、前記センサアレイ上の位置を前記サンプル上の2次元位置にかつ前記光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップするように構成されたスペクトルマッピングモジュールと、
前記サンプルの前記領域の2又は3以上の正面向き画像を含むハイパースペクトル画像を、前記センサアレイのセンサ信号及び前記予め定められたマッピング関数から発生させるように構成されたハイパースペクトル画像発生器であって、該2又は3以上の正面向き画像が、前記構造化照明視野の各ビームレットからの該サンプルのスペクトル応答情報を含む前記ハイパースペクトル画像発生器と、を含
み、
前記光学系は、前記サンプルに対して前記構造化照明視野を平行移動するための手段を含み、前記手段は、傾斜可能ミラーを含む、装置。
【請求項2】
サンプルを分析するための装置であって、
複数の波長から構成される波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成された光源と、
前記入力照射視野をビームレットのアレイを含む構造化照明視野に変換するための構造化光発生器と、
前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影するための光学系であって、前記ビームレットを角度的に符号化することにより、各ビームレットが符号化された角度に対応する前記サンプルの位置の上に投影される、前記光学系と、
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分をスペクトル分析するように構成された2次元センサアレイを含む分光計と、
前記分光計と作動的に関連付けられたプロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、
予め定められたマッピング関数に基づいて、前記センサアレイ上の位置を前記サンプル上の2次元位置にかつ前記光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップするように構成されたスペクトルマッピングモジュールと、
ハイパースペクトル画像を、前記センサアレイのセンサ信号及び前記予め定められたマッピング関数から発生させるように構成されたハイパースペクトル画像発生器であって、
前記ハイパースペクトル画像が、前記構造化照明視野の各ビームレットからの該サンプルのスペクトル応答情報を含む前記ハイパースペクトル画像発生器と、を含
み、
前記光学系は、
前記ビームレットの各々を前記複数の波長の各々に対応するビームレットスペクトル成分の細長帯域の中に角度的に分散させるための分散要素と、
前記ビームレットスペクトル成分をビームレットの前記アレイ内の元のビームレット位置と該ビームレットスペクトル成分の波長との両方に依存する位置で前記サンプルの上に投影するように、使用時に前記分散要素と該サンプルの間に配置されたレンズリレーと、を含み、
前記スペクトル応答情報は、前記サンプルの前記領域上の各点に対応する反射率パワースペクトルを含む、装置。
【請求項3】
サンプルを分析するための装置であって、
複数の波長から構成される波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成された光源と、
前記入力照射視野をビームレットのアレイを含む構造化照明視野に変換するための構造化光発生器と、
前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影するための光学系であって、前記ビームレットを角度的に符号化することにより、各ビームレットが符号化された角度に対応する前記サンプルの位置の上に投影される、前記光学系と、
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分をスペクトル分析するように構成された2次元センサアレイを含む分光計と、
前記分光計と作動的に関連付けられたプロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、
予め定められたマッピング関数に基づいて、前記センサアレイ上の位置を前記サンプル上の2次元位置にかつ前記光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップするように構成されたスペクトルマッピングモジュールと、
前記サンプルの前記領域の2又は3以上の正面向き画像を含むハイパースペクトル画像を、前記センサアレイのセンサ信号及び前記予め定められたマッピング関数から発生させるように構成されたハイパースペクトル画像発生器であって、該2又は3以上の正面向き画像が、前記構造化照明視野の各ビームレットからの該サンプルのスペクトル応答情報を含む前記ハイパースペクトル画像発生器と、を含
み、
前記光源は、対応する複数の波長から各々が構成された複数の波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成されており、
前記光学系は、前記複数の波長帯域を互いに多重化するための多重化要素を含む、装置。
【請求項4】
前記構造化光発生器は、前記入力照射視野をビームレットの2次元アレイを含む構造化照明視野に変換するように構成されている、請求項1
~3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記光源は、空間的に非コヒーレントである、請求項1
~3の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記サンプルに対して前記構造化照明視野を平行移動するための手段を含む、請求項
2又は3に記載の装置。
【請求項7】
前記サンプルに対して前記構造化照明視野を平行移動するための前記手段は、傾斜可能ミラーを含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記光学系は、前記ビームレットの各々を前記複数の波長の各々に対応するビームレットスペクトル成分の細長帯域の中に角度的に分散させるための分散要素を含む、請求項1
又は3に記載の装置。
【請求項9】
前記光学系は、前記ビームレットスペクトル成分をビームレットの前記アレイ内の元のビームレット位置と該ビームレットスペクトル成分の波長との両方に依存する位置で前記サンプルの上に投影するように、使用時に前記分散要素と該サンプルの間に配置されたレンズリレーを含む、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
複数の波長が前記サンプルの前記領域上の重複する区域内の各点で前記分光計によって撮像されるように、異なるビームレットのビームレットスペクトル成分が前記サンプルの前記領域上で重なる、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記スペクトル応答情報は、前記サンプルの前記領域上の各点に対応する反射率パワースペクトルを含む、請求項
9に記載の装置。
【請求項12】
前記分散要素は、光路から取り出されるように機械的に移動可能である、請求項
8に記載の装置。
【請求項13】
前記分散要素は、非分散光学誘導要素と交換可能である、請求項
8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、ビームレットスペクトル成分の前記細長帯域に対応する前記波長を前記波長ビンの中に分割するように構成され、波長ビン内の波長が前記サンプル上の共通位置から発するように指定され、異なる波長ビンの波長が該サンプル上の異なる位置から発するように指定される、請求項
8に記載の装置。
【請求項15】
前記サンプルの前記領域の上に投影された角度的に符号化された前記ビームレットの各々が、前記複数の波長の各々を含む、請求項1
又は3に記載の装置。
【請求項16】
前記スペクトル応答情報は、前記構造化照明視野の各ビームレットに対する前記サンプルの応答に対応する蛍光スペクトルを含む、請求項1
又は3に記載の装置。
【請求項17】
前記構造化光発生器は、光パワー要素の2次元アレイを有するビームレット発生デバイスを含み、該ビームレット発生デバイスは、使用時に前記入力照射視野が該光パワー要素のアレイの上に入射して少なくとも部分的に平行化されたビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされる、請求項
5に記載の装置。
【請求項18】
前記ビームレット発生デバイスは、前記光パワー要素がマイクロレンズである第1のマイクロレンズアレイを含む、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記構造化光発生器(108)は、
少なくとも部分的に平行化されたビームレットの前記アレイを収束平面で予め定められた幅に空間的に収束させるための第1の光パワーデバイスと、
前記収束平面に配置され、該収束平面で少なくとも部分的に平行化されたビームレットの前記アレイの直径よりも小さい直径を有する開口と、
を更に含む、請求項
17に記載の装置(100、700)。
【請求項20】
前記第1の光パワーデバイスは高開口数レンズを含む、請求項
19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の光パワーデバイスは屈折率分布型レンズを含む、請求項
19に記載の装置。
【請求項22】
前記構造化光発生器は、
予め定められた焦点距離を有し、かつ前記収束平面から該予め定められた焦点距離に等しい距離に配置された第2の光パワーデバイスであって、少なくとも部分的に重なるビームレットの群を含む準平行化ビームを発生させる前記第2の光パワーデバイスと、
マイクロレンズの2次元アレイを有し、前記準平行化ビームを受光して前記サンプルを照明するためのビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされた第2のマイクロレンズアレイと、
を更に含む、請求項
19に記載の装置。
【請求項23】
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された前記光を前記分光計の中に共焦点的に投影するように位置決めされ、前記ビームレットのアレイに対応するピッチを有する開口アレイを含む、請求項1
~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記光源は、対応する複数の波長から各々が構成された複数の波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成されている、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項25】
第1の波長帯域が、電磁スペクトルの紫外線A、紫色、青色、又は緑色領域から選択される、請求項
24に記載の装置。
【請求項26】
第2の波長帯域が、電磁スペクトルの近赤外線領域にある、請求項
24に記載の装置。
【請求項27】
前記光学系は、前記複数の波長帯域を互いに多重化するための多重化要素を含む、請求項
24に記載の装置。
【請求項28】
前記多重化要素は体積位相格子を含む、請求項
27に記載の装置。
【請求項29】
前記体積位相格子は、前記波長帯域のうちの1つからの前記複数の波長を空間的に分散させ、一方で別の波長帯域の該複数の波長を空間的に拘束された状態に維持するように構成される、請求項
28に記載の装置。
【請求項30】
基準アームと、前記構造化照明視野の光パワーの一部分を該基準アームに沿って誘導し、かつ該構造化照明視野の該光パワーの残余を前記サンプルに誘導するように構成されたパワー分割要素と、を含む、請求項1
~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記基準アームの長さが、前記分光計によって撮像されるコヒーレンスの波長を選択するように選択的に調節可能である、請求項
30に記載の装置。
【請求項32】
眼球を含むサンプルを分析するように構成されている、請求項1
~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
構造化照明視野を発生させるためのシステムであって、
予め定められたスペクトル出力を有する入力照射視野を発生させるように構成された空間非コヒーレント光源と、
光パワー要素の2次元アレイを有し、前記入力照射視野が該光パワー要素のアレイの上に入射して少なくとも部分的に平行化されたビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされたビームレット発生デバイスと、
前記少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイを収束平面で予め定められた幅に空間的に収束させるための第1の光パワーデバイスと、
予め定められた焦点距離を有し、かつ前記収束平面から該焦点距離に等しい距離に配置された第2の光パワーデバイスであって、少なくとも部分的に重なるビームレットの群を含む準平行化ビームを発生させる前記第2の光パワーデバイスと、
マイクロレンズのアレイを有し、かつ前記準平行化ビームを受光してビームレットのアレイを含む構造化照明視野を発生させるように位置決めされたマイクロレンズアレイと、を含むシステム。
【請求項34】
前記マイクロレンズアレイは、前記構造化照明視野がビームレットの2次元アレイを含むようにマイクロレンズの2次元アレイを含む、請求項
33に記載のシステム。
【請求項35】
前記収束平面に配置され、該収束平面で前記少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイの前記予め定められた幅よりも小さい直径を有する開口を含む、請求項
33に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の光パワーデバイスは高開口数レンズを含む、請求項
33に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の光パワーデバイスは屈折率分布型レンズを含む、請求項
33に記載のシステム。
【請求項38】
前記ビームレット発生デバイスは、前記光パワー要素がマイクロレンズであるマイクロレンズアレイを含む、請求項
33に記載のシステム。
【請求項39】
サンプルを分析する方法であって、
複数の波長から構成される波長帯域を有する入力照射視野から、ビームレットのアレイを含む構造化照明視野を発生させる段階と、
前記ビームレットを角度的に符号化して、各ビームレットが符号化された角度に対応する前記サンプルの位置の上に投影される段階を含む、前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影する段階と、
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分を、2次元センサアレイを用いてスペクトル分析する段階と、を含み、
前記スペクトル分析する段階が、
予め定められたマッピング関数に基づいて、前記センサアレイ上の位置を前記サンプル上の2次元位置にかつ前記光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップする段階と、
前記サンプルの前記領域の2又は3以上の正面向き画像を含むハイパースペクトル画像を前記センサアレイのセンサ信号及び前記予め定められたマッピング関数から発生させる段階であって、該2又は3以上の正面向き画像が、前記構造化照明視野の各ビームレットからの該サンプルのスペクトル応答情報を含む前記発生させる段階と、を含
み、
前記方法は、傾斜可能ミラーを用いて前記構造化照明視野を前記サンプルに対して平行移動させる段階を更に含む、方法。
【請求項40】
サンプルを分析する方法であって、
複数の波長から構成される波長帯域を有する入力照射視野から、ビームレットのアレイを含む構造化照明視野を発生させる段階と、
前記ビームレットを角度的に符号化して、各ビームレットが符号化された角度に対応する前記サンプルの位置の上に投影される段階を含む、前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影する段階と、
前記サンプルの前記領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分を、2次元センサアレイを用いてスペクトル分析する段階と、を含み、
前記スペクトル分析する段階が、
予め定められたマッピング関数に基づいて、前記センサアレイ上の位置を前記サンプル上の2次元位置にかつ前記光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップする段階と、
ハイパースペクトル画像を前記センサアレイのセンサ信号及び前記予め定められたマッピング関数から発生させる段階であって、
前記ハイパースペクトル画像が、前記構造化照明視野の各ビームレットからの該サンプルのスペクトル応答情報を含む前記発生させる段階と、を含
み、
前記構造化照明視野を該サンプルの領域の上に投影する段階は、
前記ビームレットの各々を前記複数の波長の各々に対応するビームレットスペクトル成分の細長帯域の中に角度的に分散させる段階と、
前記ビームレットスペクトル成分をビームレットの前記アレイ内の元のビームレット位置と該ビームレットスペクトル成分の波長との両方に依存する位置で前記サンプルの上に投影する段階と、を含み、
前記スペクトル応答情報は、前記サンプルの前記領域上の各点に対応する反射率パワースペクトルを含む、方法。
【請求項41】
前記構造化照明視野は、ビームレットの2次元アレイを含む、請求項
39又は40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1
~3のいずれか1項に記載の前記装置を作動するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体を含む製造物品。
【請求項43】
請求項
39又は40に記載の前記方法を実施するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体を含む製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを調べるための装置及び方法、特に、サンプルのハイパースペクトル撮像及び蛍光分光法を実施するための装置及び方法に関する。一部の実施形態は、この用途を特に参照して本明細書で以下に説明するが、本発明はそのような使用分野に限定されず、より広範な状況に適用可能であることは認められるであろう。
【0002】
〔関連出願〕
本出願は、引用によって本明細書にその内容が組み込まれている2018年9月5日出願の米国仮特許出願第62/727,492号からの優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
本明細書を通した背景技術のいずれの議論も、そのような技術がこの分野で公知であること又は共通の一般知識の一部を形成することの承認として決して見なしてはならない。
【0004】
ヒト眼球のハイパースペクトル撮像は、眼球に関するスペクトル及び空間の両方の情報を抽出するのに使用することができる。しかし、現在の技術は、長い取得時間を有して被写体ぶれアーチファクトを受ける点走査システムを典型的に伴っている。更に、現在のシステムは、典型的に共焦点的に限定されず、従って、異なるサンプル場所から迷光を捕捉するものである。
【0005】
既存システムの別の制約はコストである。ハイパースペクトル撮像システムは、効率的に運用するのに空間コヒーレント広帯域光源を必要とする。そのような光源は、典型的に高価である。
【0006】
網膜自己蛍光(AF)は、網膜での特に網膜色素上皮(RPE)でのある一定の分子の蓄積又は濃縮を識別するのに有用なコントラストインジケータである。網膜の青色光励起AFは、好ましくは、眼球の他の部分からの大きな信号が画像に充満することを防止するためにAF信号を識別するのに眼底写真ではなく共焦点検出を使用する。RPE層及び従って光受容体の経年劣化及び健康に関連する重要な分子であるリポフスチンのコントラストに特に有益である青色光励起を用いてAF測定を提供することができる市販計器が存在する。
【0007】
コラーゲンのような分子を強膜及び水晶体のような眼球の他の部分から識別することにも関心がある。
【0008】
これに代えて、蛍光の性質に関する情報は、AF信号の寿命から取得することができるが、これは、非常に高速の処理及び点毎のみの撮像を必要とする。これは、患者にとって快適である時間内に走査することができる眼球の面積を制限する。寿命測定の代替は、蛍光及び/又は吸光のスペクトルに基づいて区別することである。しかし、この分野では限られた研究しか行われておらず、研究の多くは生体外のものであった。
【0009】
本発明者は、眼球のハイパースペクトル撮像及び蛍光分光法をより効率的かつ正確に実施するための改善された装置及び方法を有することが有利であると考えられることを確認した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを解消又は軽減すること又は有用な代替を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様により、サンプルを分析するための装置を提供し、装置は、複数の波長の波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成された光源と、入力照射視野をビームレットのアレイを含む構造化照明視野に変換するための構造化光発生器と、ビームレットを角度的に符号化し、そのために各ビームレットが符号化角度に対応するサンプルの位置の上に投影される段階を含む構造化照明視野をサンプルの領域の上に投影する段階のための光学系と、サンプルの領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分をスペクトル分析するように構成された2次元センサアレイを含む分光計と、分光計と作動的に関連付けられたプロセッサであって、予め定められたマッピング関数に基づいて、センサアレイ上の位置をサンプル上の2次元位置にかつ光の波長と複数の予め定められた波長ビン内にマップするように構成されたスペクトルマッピングモジュールと、構造化照明視野の各ビームレットからのサンプルのスペクトル応答情報を含むサンプルの領域の2又は3以上の正面向き画像(アンファス画像)を含むハイパースペクトル画像をセンサアレイのセンサ信号及び予め定められたマッピング関数から発生させるように構成されたハイパースペクトル画像発生器とを含む上記プロセッサとを含む。
【0013】
好ましくは、構造化光発生器は、入力照射視野をビームレットの2次元アレイを含む構造化照明視野に変換するように構成される。
【0014】
一部の実施形態では、光源は、空間的に非コヒーレントである。
【0015】
一部の実施形態では、光学系は、サンプルに対して構造化照明視野を平行移動するための手段を含む。一実施形態では、サンプルに対して構造化照明視野を平行移動するための手段は、傾斜可能ミラーを含む。
【0016】
一部の実施形態では、光学系は、複数の波長の各々に対応するビームレットスペクトル成分の細長帯域の中にビームレットの各々を角度的に分散させるための分散要素を含む。光学系は、好ましくは、ビームレットスペクトル成分をビームレットのアレイ内の元のビームレット位置とビームレットスペクトル成分の波長との両方に依存する位置でサンプルの上に投影するために使用時に分散要素とサンプルの間に配置されたレンズリレーを含む。異なるビームレットのビームレットスペクトル成分は、好ましくは、複数の波長がサンプルの領域上の重複の区域内の各点で分光計によって撮像されるようにサンプルの領域上で重なる。
【0017】
スペクトル応答情報は、好ましくは、サンプルの領域上の各点に対応する反射率パワースペクトルを含む。
【0018】
一部の実施形態では、分散要素は、光路から取り出されるように機械的に移動可能である。一部の実施形態では、分散要素は、非分散光学誘導要素と交換可能である。
【0019】
一部の実施形態では、プロセッサは、ビームレットスペクトル成分の細長帯域に対応する波長を波長ビンに分割するように構成され、波長ビン内の波長は、サンプル上の共通位置から発するように指定され、異なる波長ビンの波長は、サンプル上の異なる位置から発するように指定される。
【0020】
一部の実施形態では、サンプルの領域の上に投影された角度的に符号化されたビームレットの各々は、複数の波長の各々を含む。
【0021】
一部の実施形態では、スペクトル応答情報は、構造化照明視野の各ビームレットに対するサンプルの応答に対応する蛍光スペクトルを含む。
【0022】
一部の実施形態では、構造化光発生器は、光パワー要素の2次元アレイを有するビームレット発生デバイスを含み、ビームレット発生デバイスは、使用時に入力照射視野が光パワー要素のアレイの上に入射して少なくとも部分的に平行化されたビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされる。好ましくは、ビームレット発生デバイスは、光パワー要素がマイクロレンズである第1のマイクロレンズアレイを含む。
【0023】
一部の実施形態では、構造化光発生器は、少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイを収束平面で予め定められた幅に空間的に収束させるための第1の光パワーデバイスと、収束平面に配置され、収束平面で少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイの直径よりも小さい直径を有する開口とを更に含む。
【0024】
一実施形態では、第1の光パワーデバイスは、高開口数レンズである。別の実施形態では、第1の光パワーデバイスは、屈折率分布型レンズである。
【0025】
好ましくは、構造化光発生器は、予め定められた焦点距離を有して収束平面から予め定められた焦点距離に等しい距離に配置され、少なくとも部分的に重なるビームレットの群を含む準平行化ビームを発生させる第2の光パワーデバイスと、マイクロレンズの2次元アレイを有し、かつ準平行化ビームを受光してサンプルを照明するためのビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされた第2のマイクロレンズアレイとを更に含む。
【0026】
一部の実施形態では、装置は、サンプルの領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光を分光計の中に共焦点的に投影するように位置決めされてビームレットのアレイに対応するピッチを有する開口アレイを含む。
【0027】
一部の実施形態では、光源は、対応する複数の波長から各々が構成された複数の波長帯域を有する入力照射視野を発生させるように構成される。好ましくは、第1の波長帯域は、電磁スペクトルの紫外線A、紫色、青色、又は緑色の領域から選択される。好ましくは、第2の波長帯域は、電磁スペクトルの近赤外線領域にある。
【0028】
一部の実施形態では、光学系は、複数の波長帯域を互いに多重化するための多重化要素を含む。好ましくは、多重化要素は、体積位相格子である。体積位相格子は、好ましくは、波長帯域の1つからの複数の波長を空間的に分散させ、一方で別の波長帯域の複数の波長を空間的に拘束された状態に維持するように構成される。
【0029】
一部の実施形態では、装置は、基準アームと、構造化照明視野の光パワーの一部分を基準アームに沿って誘導し、かつ構造化照明視野の光パワーの残余をサンプルに誘導するように構成されたパワー分割要素とを含む。
【0030】
ある一定の実施形態では、基準アームの長さは、分光計によって撮像されるコヒーレンス波長を選択するように選択的に調節可能である。
【0031】
好ましくは、装置は、眼球を含むサンプルを分析するように構成される。
【0032】
本発明の第2の態様により、構造化照明視野を発生させるためのシステムを提供し、システムは、予め定められたスペクトル出力を有する入力照射視野を発生させるように構成された空間非コヒーレント光源と、光パワー要素の2次元アレイを有し、入力照射視野が光パワー要素のアレイの上に入射して少なくとも部分的に平行化されたビームレットの2次元アレイを発生させるように位置決めされたビームレット発生デバイスと、少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイを収束平面での予め定められた幅に空間的に収束させるための第1の光パワーデバイスと、予め定められた焦点距離を有して収束平面から焦点距離に等しい距離に配置され、少なくとも部分的に重なるビームレットの群を含む準平行化ビームを発生させる第2の光パワーデバイスと、マイクロレンズのアレイを有し、かつ準平行化ビームを受光してビームレットのアレイを含む構造化照明視野を発生させるように位置決めされたマイクロレンズアレイとを含む。
【0033】
マイクロレンズアレイは、好ましくは、構造化照明視野がビームレットの2次元アレイを含むようにマイクロレンズの2次元アレイを含む。
【0034】
一部の実施形態では、システムは、収束平面に配置された開口を含み、開口は、収束平面での少なくとも部分的に平行化されたビームレットのアレイの予め定められた幅よりも小さい直径を有する。
【0035】
一実施形態では、第1の光パワーデバイスは、高開口数レンズである。別の実施形態では、第1の光パワーデバイスは、屈折率分布型レンズである。
【0036】
好ましくは、ビームレット発生デバイスは、光パワー要素がマイクロレンズであるマイクロレンズアレイを含む。
【0037】
本発明の第3の態様により、サンプルを分析する方法を提供し、本方法は、複数の波長の波長帯域を有する入力照射視野からビームレットのアレイを含む構造化照明視野を発生させる段階と、ビームレットを角度的に符号化し、そのために各ビームレットが符号化角度に対応するサンプルの位置の上に投影される段階を含む構造化照明視野をサンプルの領域の上に投影する段階と、サンプルの領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分を2次元センサアレイを用いてスペクトル分析する段階であって、予め定められたマッピング関数に基づいて、センサアレイ上の位置をサンプル上の2次元位置にかつ光の波長を複数の予め定められた波長ビン内にマップする段階、及び構造化照明視野の各ビームレットからのサンプルのスペクトル応答情報を含むサンプルの領域の2又は3以上の正面向き画像(アンファス画像)を含むハイパースペクトル画像をセンサアレイのセンサ信号及び予め定められたマッピング関数から発生させる段階を含む前記スペクトル分析する段階とを含む。
【0038】
好ましくは、構造化照明視野は、ビームレットの2次元アレイを含む。
【0039】
本発明の第4の態様により、第1の態様の装置を作動するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体を含む製造物品を提供する。
【0040】
本発明の第5の態様により、第3の態様の方法を実施するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体を含む製造物品を提供する。
【0041】
ここで添付図面を参照して本発明の開示の好ましい実施形態を単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】本発明の第1の実施形態によるヒト眼球の形態のサンプルを分析するための装置のシステムレベル概略図である。
【
図1B】
図1Aの装置によって生成された変形構造化照明視野を示す図である。
【
図2】
図1Aの装置を閉じ込めるように構成された計器の概略側面図である。
【
図3】16個のマイクロレンズの正方形アレイの平面図である。
【
図4】16個のマイクロレンズの正方形アレイの側面図である。
【
図5】グリッドの軸線に沿って延びるビームレット帯域の中に分散されたビームレットのグリッドの概略図である。
【
図6】センサアレイの固有ピクセルセットの上に分散されたビームレットの2次元グリッドの例示的マッピングを示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態によるヒト眼球を分析するための装置のシステムレベル概略図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態によるヒト眼球を分析するための装置のシステムレベル概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
システム概要
眼球科学におけるような眼球生体内の生理機能及び形態構造を研究する用途に関して本発明を以下に説明する。しかし、皮膚検査、食品分析、及び高解像度顕微鏡のようなより広範な非眼球用途に本発明を適用することができることは認められるであろう。
【0044】
本発明の第1の実施形態を
図1Aに示している。この図を参照すると、ヒト眼球102の形態のサンプルを分析するための装置100が例示されている。装置100は、複数の波長の第1の波長帯域を有する入力照射視野106を発生させるように構成された光源104を含む。図示の配置では、光源104は、空間コヒーレンスが低いか又は全くない発光ダイオード(LED)の形態の広帯域スペクトル光源を含む。一実施形態では、光源104は、4×4構成で配置された16個の実質的に正方形の放出区域のアレイを含む。しかし、他の実施形態では、光源104は、単一放出区域を有するLED又はLEDのアレイを含むことができる。代替実施形態では、光源104は、超発光ダイオード又は光ファイバベースの超連続体光源のような1又は2以上の高度に空間コヒーレントな光源を含むことができる。
【0045】
好ましい実施形態では、光源104は、第1の波長帯域が可視領域に位置するように可視光を放出する。しかし、一般的に、特定の用途に依存して近赤外線(NIR)、可視、UVのスペクトル領域内の光を使用することができる。更に、光源104は、複数のスペクトルピークを含むスペクトル特性を有することができる。例えば、光源は、450nm及び550nmに強度ピークを有する400nmから720nmまで延びる白色光蛍光体LED光源を含むことができる。
【0046】
光源に関する空間コヒーレンスのパラメータは、いずれの時点でも照射視野の1つの連続区域が照射視野の別の区域とコヒーレントである照射視野を発生させる単一光源として予め定められる。すなわち、空間非コヒーレント光源は、ある時点で照射視野の異なる区域がコヒーレントではない連続照射視野を発生させる単一光源と見なすことができる。そのような光源では、光は、単一光源の面にわたる異なる点から独立に放出され、従って、異なる点が、異なる位相関係を有する光を発生させる。数学的には、2つの物理的な点の間の空間コヒーレンスは、これら2つの点の間の経時的な相互相関である。すなわち、非コヒーレント光源は、照射視野断面内の異なる点が無相関である(例えば、0.1よりも小さい相互相関値のみを有する)照射視野を生成する。空間非コヒーレント光源の例は、白熱電球、LED及びLEDのアレイ、レーザ励起又はLED励起の蛍光体、黒体放射、及びプラズマ光源を含む。
【0047】
好ましい実施形態では、構造化光発生器108は、入力照射視野106を
図1Aの挿入図に示すビームレット111の2次元アレイを含む構造化照明視野110に変換する。代替実施形態では、構造化光発生器108は、入力照射視野106を
図1Bに示すように線形ビームレット119の1次元アレイを含む構造化照明視野110に変換する。下記では、空間非コヒーレント光源の場合に対する構造化光発生器108の作動を詳細に説明する。しかし、光源が空間コヒーレントである代替実施形態では、構造化光発生器108は、例えば、集束レンズ及びマイクロレンズアレイのみを含むように簡素化することができる。空間コヒーレント光源の例は、SLED、単一モードファイバASE光源、及び単一モードファイバでの超連続体白色光発生、又は波長掃引ダイオードレーザを含む。
【0048】
構造化照明視野110を網膜145の領域のような眼球102の領域の上に投影するための光学系114を提供する。光学系114は、各ビームレットが符号化角度に対応する眼球102の位置、例えば、147上に投影されるようにビームレット111を角度的に符号化するように構成された光学系を含む。光学系114の構成要素及び作動に関しては下記で詳細に説明する。
【0049】
最後に、装置100は、眼球102の照明領域から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光の部分149をスペクトル分析するためにCMOSカメラのような2次元センサアレイ118を含む分光計116を含む。下記で説明するように、分光計116は、眼球102の照明領域の2又は3以上の正面向き画像(アンファス画像)を含むハイパースペクトル画像を発生させるように構成されたプロセッサ158と作動的に関連付けられる。2又は3以上の正面向き画像は、構造化照明視野110の各ビームレット111からのサンプルのスペクトル応答情報を含む。本発明の関連では、スペクトル応答情報は、(1)反射又は後方散乱されたビームレット内に含まれる眼球102の照明領域から反射又は後方散乱された色スペクトル情報、又は眼球102の照明領域から放出された蛍光スペクトル情報のうちの一方又は両方である。
【0050】
「正面向き画像(アンファス画像)」という用語は、光コヒーレントトモグラフィ(OCT)のような撮像用途においてサンプルの正面を向く横方向に解像された画像を意味する。正面向き画像は、サンプルの薄い深度層の横方向画像を含み、画像を生成するデータは、元来2次元で取り込まれたもの(例えば、走査レーザ検眼鏡を用いて)又は3次元で取り込まれたもの(例えば、OCT C-走査で)とすることができる。正面向き画像は、OCT血管撮影法の場合に多くの場合にそうであるように複数の層又は面の積層画像とすることができる。正面向き画像は、サンプルの1又は複数の深度スライスを1次元又は2次元で撮像することに関する「A走査」及び「B走査」のような他の撮像技術と対比される。
【0051】
図2を参照すると、装置100は、個人の一方又は両方の眼球を撮像するための計器200の中に組み込まれるように適応される。計器200は、装置100を組み込んだ主ハウジング202と、作動中に個人の頭を支持して維持するためのユーザ支持体204と、面上に計器200を支持するための支持ベース206とを含むことができる。一部の実施形態では、ハウジング202及びユーザ支持体204は、矢印208に示すように互いに対して手動で又は電気機械的に平行移動することができる。
【0052】
空間及びスペクトル非コヒーレント光源からのハイパースペクトル分散構造化照明
再度
図1Aを参照すると、本発明の第1の態様は、構造化光発生器108を用いたハイパースペクトル分散構造化照明の発生である。この照明の発生は、例えば、数十、数百、又は数千の点又は線の密度構造化照明パターンを発生させるためにLEDのような低コストで広スペクトル帯域かつ空間非コヒーレント光源の使用を可能にする。
【0053】
例として、光源104は、Lumileds Holding B.V.によって販売されているLuxeon Z LEDデバイスによって提供される200ミクロンのピッチで16個の青色LED放出区域の4×4アレイを含む低コストLEDデバイスとすることができる。このデバイスは、425ミクロン前後を中心とする励起波長で1Wのパワーよりも大きい短パルス照明を提供する機能を有し、この照明は、必要に応じて誘電材料フィルタ多重化キューブを通して更にカスケード処理することができる。短いパルス時間は、測定中にモーションアーチファクトを低減することを可能にする。より低い負荷サイクルは、比較的高い瞬間ピークパワーを与えるが、平均的に低いパワーを与える機能も与える。誘電材料多重化キューブは、1よりも多い光源を組み合わせる機能を与える。
【0054】
構造化光発生器108内で、ここで説明する光学系の組合せによってビームレット111の2次元アレイを形成することができる。最初に、入力照射視野106を複数の共伝播ビームレット120に形成するために第1の2次元マイクロレンズアレイ112の形態のビームレット発生デバイスが使用される。アレイ112は、共通の焦点距離を有する実質的に類似のマイクロレンズの形態の光パワー要素の2次元アレイを含む。好ましくは、マイクロレンズのアレイは、光源104内のLED又は放出区域のアレイに適合し、従って、LED又は放出区域は、対応するマイクロレンズを有する。好ましくは、これらのマイクロレンズは、光源104内のLEDアレイに適合するように実質的に直線形のアレイに配置される。しかし、マイクロレンズは、LEDの他のアレイに適合するような他のタイプのアレイに配置することができることは認められるであろう。例えば、マイクロレンズアレイ112は、適切な開口数の交差円筒形マイクロレンズアレイで形成することができる。代替実施形態では、マイクロレンズアレイ112は、Nippon Electric Glassから利用可能であるようなマイクロビーズで置換することができる。これらのマイクロビーズは、グリッド開口の上に配置され、LED光源に直接に接触させることができる。
【0055】
図3及び
図4は、正方形マイクロレンズ151の例示的4×4アレイ112の幾何学形状を示している。マイクロレンズは、互いに対して配置されて200ミクロンピッチを有する。各マイクロレンズ151の頂点までの厚みは約0.450mmであり、各マイクロレンズの曲率半径は約0.200mmである。全体の基板サイズは変更可能であり、例えば、1.6mm×1.6mmとすることができるが、考慮すべき光学系の平面側では1つの縁部まで延びる禁止区域113及び凸側ではレンズ頂点の高さの場所で円形の1.2mmの禁止ゾーン115が存在する。
【0056】
上述のように、構造化光発生器108は、第1のマイクロレンズアレイ112を含む。アレイ112は、入力照射視野106がマイクロレンズ151のアレイの上に入射して少なくとも部分的に平行化された初期ビームレット120の2次元アレイを発生させるように位置決めされる。
【0057】
初期ビームレット120は、少なくとも部分的に平行化されたこれらのビームレットを収束平面124での予め定められた幅に空間的に収束させるための収束レンズ122の形態の第1の光パワーデバイスを通して投影される。レンズ122は、例えば、0.4から1.5の範囲の開口数を有する高開口数レンズ又は屈折率分布型レンズとすることができる。
【0058】
ある百分率の発生光を通して残りの光を吸収するか又は好ましくは再循環に向けて反射して戻すことを可能にするためにLED出力の空間範囲を制限するための開口126を収束平面124に配置することができる。好ましくは、開口126は、少なくとも部分的に平行化されたビームレット120のアレイの直径よりも小さい直径を収束平面において有する。一例として、開口126は、約250ミクロンとすることができ、従って、1.25mm焦点距離屈折率分布型レンズ122では、0.1という開口数内の光の通過を許す。光源104が16個の要素の固定サイズのLEDアレイであると仮定すると、開口126から射出する光の開口数は、各軸線において約0.4mm/1.25mmすなわち0.32になる。ここで、0.4mmは、LEDアレイ104及びレンズ122の寸法に起因して開口126での開口数に対応する。
【0059】
光学レンズ128の形態の第2の光パワーデバイスは、収束平面124から下流でこのレンズの焦点距離に等しい距離に配置される。レンズ128は、準平行化ビーム129を発生させ、このビーム内では、全体の照射は、部分的又は完全に重なることができるビームレット120からの個々の照射視野の組合せである。この準平行化ビーム129の開口数は、例えば、0.125mm/25mmすなわち0.005とすることができる。この点での光学視野は、レンズ122及び128、並びに開口126によって修正されたビームレット120の拡大した少なくとも部分的に重なる形態を表す。
【0060】
レンズ128から出力される拡大ビームレットを受光し、好ましい実施形態では構造化照明視野110を表す撮像ビームレット111の2次元アレイを形成するように、マイクロレンズの広い2次元アレイを有する第2のマイクロレンズアレイ130が配置される。一例として、第2のマイクロレンズアレイ130は、900個の撮像ビームレット111のグリッドを形成する30×30個のマイクロレンズのアレイを含むことができる。アレイ130の各マイクロレンズが1,000ミクロンの焦点距離を有すると仮定すると、第2のマイクロレンズアレイ130は、準平行化ビーム129内のビームレット集合を取得して縮小ビームレット111の2次元アレイを発生させ、このアレイは、開口126で250ミクロンであったスポットの1/25倍の縮小を焦点で有し、それによって構造化照明視野110を表す開口126の10ミクロンの画像のアレイを発生させることになる。
【0061】
第2のマイクロレンズアレイ130は、ビームレットを第1の焦点面131に集束させ、そこで照明視野110が生成される。
【0062】
アレイ130のマイクロレンズに対するレイリー回折限界は、波長に依存して開口サイズよりも小さいが同程度であり、従って、開口画像はもはや鮮明に解像されることはなくなり、10ミクロン開口画像とレイリー解像度との畳み込みが、構造化照明視野110に10ミクロンよりも若干大きいビームレット直径を与えることになる。この構造化照明視野110は、下記で説明するような異なる撮像用途に使用することができる。
【0063】
色スペクトル情報を抽出するためのサンプルのハイパースペクトル分散照明
本発明の第2の態様は、色スペクトル情報を抽出するためのサンプルのハイパースペクトル構造化共焦点撮像に関する。この撮像は、サンプルにわたる位置の関数として色相情報又は色スペクトル情報を抽出するためのサンプル上の複数の点での複数の波長の同時測定を伴う。
【0064】
以上の説明の延長線上で引き続き
図1Aに図示の実施形態を参照すると、構造化照明視野110は、光学系114を通して眼球102上に投影される。光学系114は、ビームスプリッタ132の形態の光パワー分割要素を含む。好ましくは、ビームスプリッタ132は、構造化照明視野110の平面に対して約45度に傾斜した部分反射ミラー134で形成される。部分反射ミラーは、光パワーの一部分を透過し、残りの光パワーを反射し、残りの光パワーは、光路から結合されて減衰する(例示していない)。ミラーの反射特性は、第1の波長帯域にわたって比較的均一であるように選択され、反射能は、快適性及び安全性に関して適切なレベルのパワーが眼球102上に入射するように選択される。他の実施形態では、ビームスプリッタ132は、ある一定の偏光成分のみを選択的に透過する偏光ビームスプリッタを含むことができることは認められるであろう。
【0065】
光源104が十分に高輝度である場合に、ビームスプリッタ132は、入射光パワーのうちの約20%を透過し、それによって眼球102に入力されるパワーをLEDに対する許容露光限界の範囲に入るように低減することができる。
【0066】
ビームスプリッタ132を通して透過された光の部分は、好ましくは、第1の焦点面131からレンズの焦点距離に等しい距離に位置付けられた第1の平行化レンズ136上に投影される。レンズ136は、構造化照明視野110をレンズ136の反対側の焦点面に位置付けられたマイクロ電気機械ミラーシステム(MEMS)の形態の2次元ステアリング要素138上に集束させる。好ましくは、構造化照明視野110内のビームレット111の各々は、約5mmの直径を有することができるMEMS138を埋めるようにコリメートされる。MEMS138は、眼球102の異なる領域にわたって構造化照明視野110の位置決めを移動(translate)するために接続されたコントローラ(例示していない)によって2次元で選択的に回転可能である電子制御可能ミラーを含むことができる。
【0067】
MEMS要素138から反射及びステアリングされた光は、次いで、透過回折格子の形態の分散要素140によって角度的に分散される。一部の実施形態では、格子140は、300線/mmの線密度を有し、第1の波長帯域にわたって近リトロー(Littrow)角への高効率結合を可能にするように構成される。格子140は、ビームレット111の各々を光源104によって放出された及び/又は波長に対応するスペクトル成分の細長帯域に角度的に分散させる。従って、この点では、各ビームレットは、そのアレイ内の当該ビームレットの位置によって決定される明確に異なる角度で伝播し、ビームレットの各構成波長は固有角度で角度的に分散される。別様に説明すると、光源104からの各構成波長成分は、各々が格子140の分散軸線内でオフセットされた対応するビームレットグリッドを有することになる。
【0068】
代替実施形態では、回折格子140を反射格子又はプリズムのような代替分散要素で代用することができることは認められるであろう。
【0069】
分散ビームレットは、次いで、レンズ142及び144の8fレンズリレーに通され、その後に、眼球102上に投影される。レンズ142及び144は、構造化照明パターンを眼球102に向けて誘導する網膜レンズ配置を表す。この光学系では、眼球102は、角度からオフセットへの変換を実施して網膜145上にビームレットのグリッドを定める。眼球102の光パワー要素の作用は、平行化ビームレットをその伝播角度に対応する位置147で網膜145に集束させることである。ここで、この角度及び従って網膜上の位置は、発するビームレットの位置と波長分散角、すなわち、スペクトル成分の色とによって一意的に決定される。すなわち、各ビームレット及び波長成分が眼球に当たる位置147は、ビームレット111のアレイ内の元のビームレット位置とビームレットスペクトル成分の波長との両方に依存する。
【0070】
網膜レンズ配置142、144は、焦点位置を自動焦点技術と類似の方式で調節するための軸線方向次元に沿う電気機械的調節を含むことができる。
【0071】
ビームレットグリッドに対するビームレットの分散角は、格子140の分散軸線に対するマイクロレンズアレイ130の向きによって決定され、
図5に示すビームレットグリッドの複数の軸線のうちの1つの方向にあるように選択することができる。これは、網膜上への一連の線の投影を可能にし、細長ビームレット帯域501の重ね合わせに起因して、網膜145上の複数の位置は、マイクロレンズアレイ130内の異なるマイクロレンズ場所から発する複数の波長成分(色)によって照明される。すなわち、サンプルの照明領域内の重複の区域内の各照明点から複数の波長を分光計によって撮像し、色スペクトル情報を取得することができる。
【0072】
これに代えて、波長成分は、ビームレットグリッド110の複数の軸線に対する角度で分散させることができる。これは、網膜のより均一でより低いパワーの露光をもたらし、これは、患者への不快感を低減するのに有用とすることができる。両方の場合に、コントローラを用いてMEMS138を2つの軸線にディザリングすることによって複数の色にわたる網膜の完全な画像が得られる。眼球102にわたる予め決められた角度範囲を含む完全な走査は、網膜145の選択領域内の各位置をディザサイクル内の全ての波長で照明することを可能にする。
【0073】
次いで、眼球102の網膜から反射又は後方散乱された光149の戻り経路を説明する。
【0074】
無調節の眼球の効果は、各ビームレット内の光の少なくとも一部分を元のビームレット軌道に沿って戻す再帰性反射器として機能を実質的にもたらすことである。従って、網膜145までの順方向経路上で導入された角度的分散をレンズ144及び142、並びに回折格子140を通る戻り経路上で逆行させることができる。戻り光は、ビームスプリッタ132のミラー134から反射され、全波長ビームレットのグリッドを含む構造化照明視野110が共役焦点面146に再形成される。光源104からの光のうちの20%を透過するビームスプリッタ132の上述の例に続き、戻り光のうちの80%がビームスプリッタ132から平面146に僅かなパワー損失しか伴わずに反射される。平面146では、所与のビームレットでの各スペクトル成分又は色は、それが網膜上にマップされた位置147での当該色に関する網膜145の反射係数を表す。
【0075】
従って、平面146では、戻り光は、入射構造化照明視野110であるが、その中に網膜反射及び色スペクトルの情報が符号化されたものを表す。
【0076】
次いで、戻り光は、更に別のマイクロレンズアレイ148に通され、そこでビームレットの各々が平行化される。平行化ビームレットは、次いで、ビームレットの2次元アレイに対応するピッチを有する開口アレイ150に通される。開口アレイ150は、サンプルの照明領域から集光された光を分光計116の中に共焦点的に投影するように配置される。このようにして、開口アレイ150は、周囲光及び集束外の光を共焦方式でビームレットから空間的にフィルタリングする。その後に、ビームレットは分光計116によって分析される。
【0077】
分光計116は、4f共焦点構成で配置されたレンズ152及び154のリレーを含む。第1のレンズ152は、ビームレットをレンズ152と154の間にある共通焦点距離にある点に空間的に収束させる。この共通合集束には、楔対の形態の分散要素156が置かれ、各ビームレットからの波長成分を角度的に分散させるように構成される。レンズ154は、角度分散波長成分を2次元センサアレイ118上に結像する。センサアレイ118の固有ピクセルセット602上に分散されたビームレット600の2次元グリッドの例示的マッピングを
図6に例示している。他の実施形態では、楔対156は、透過性又は反射性回折格子又はプリズムのような代替分散要素で置換することができる。
【0078】
分光計116は、各波長成分(色)に関する眼球の正面向き画像(アンファス画像)を形成するようにセンサデータを処理するプロセッサ158と作動的に関連付けられる。画像を構成するために、プロセッサ158は、予め定められたマッピング関数に基づいてセンサアレイ118上の位置をサンプル102上の2次元位置にかつ光波長(各ビームレットスペクトル成分からの)を複数の予め定められた波長ビン内にマップするように構成されたスペクトルマッピングモジュール160を含む。
【0079】
このようにして、分散ビームレットスペクトル成分は、位置とスペクトルの両方の情報に対して使用することができる。これらの実施形態では、スペクトルマッピングモジュール160は、各分散ビームレットに関する複数のスペクトル成分の検出された複数の細長帯域に対応する複数の波長を複数の波長ビンに分割するように構成されている。1つの所与の波長ビン内の複数の波長は、サンプル102上の共通位置から発するように設定され、従って、当該網膜位置に関するスペクトル応答を表す。異なる波長ビン内の複数の波長は、サンプル上の異なる位置、例えば、空間的に明確に異なる網膜位置から発するように設定される。
【0080】
例として、光源104から入力される第1の波長帯域は、ビームレットスペクトル成分の各細長帯域のサイズを定める500nmの帯域幅にわたって延びることができる。500nm範囲を100個の5nmビンに分割することにより、各ビームレットは、各々が5nmのスペクトル帯域幅を有する100個の空間的に明確に異なる網膜点に寄与することができる。従って、僅か30×30個のビームレットの配置のみを用いて、網膜にわたって90,000個の異なる空間点を複数の波長で同時に撮像することができる。波長ビンのサイズを調節することにより、スペクトル帯域幅と画像の空間解像度との妥協点を探ることができる。
【0081】
プロセッサ158は、センサアレイ118のセンサ信号とモジュール160の予め定められたマッピング関数とでハイパースペクトル画像を発生させるように構成されたハイパースペクトル画像発生器162を更に含む。発生させるハイパースペクトル画像は、眼球の照明領域の2又は3以上の正面向き画像(アンファス画像)を含み、これらの正面向き画像の各々は、構造化照明視野110の各ビームレット111からの眼球のスペクトル応答情報を含む。従って、システム100は、空間的及びスペクトル的の両方の同時方式で撮像することができる。
【0082】
スペクトルマッピングモジュール160及びハイパースペクトル画像発生器162は、ソフトウエア、ハードウエア(例えば、CMOS)、又はその両方の組合せにアルゴリズムとして実施することができるプロセッサ158の機能要素を表すことは認められるであろう。
【0083】
網膜145にわたる異なる領域を撮像するために、MEMS138は、上述のように網膜にわたって照明領域を横方向に2次元で移動するための電子ディザ信号によって傾斜される。すなわち、第1の波長帯域内の各波長に関して、網膜145の選択区域の完全正面向き画像を構成することができる。この実施形態では、網膜から抽出することができるスペクトル応答情報は、選択区域内の各網膜点に対応する反射率パワースペクトルを含む。
【0084】
装置100の共焦点性に起因して、MEMS138の2次元角度走査中にサンプルの狭い深度範囲のみが撮像されることになる。網膜の3次元画像を発生させるために、異なる網膜深度の場所に集束させるように構造化照明視野の焦点を移動することができる。この移動をもたらすために、光学系114は、好ましくは、構造化照明視野110の焦点面を網膜145に対して軸線方向に移動するための手段を含む。一部の実施形態では、この平行移動手段は、計器200に具現化されたシステム100の位置を眼球102に対して物理的に調節するための手動又は電気機械的な調節機構又はアクチュエータを含む。例えば、
図2に示すように、装置100を含むハウジング202とユーザ支持体204とを矢印208に示すように互いに対して手動で又は電気機械的に平行移動することができる。例えば、ハウジングが静止状態に維持されている間にユーザ支持体204を平行移動することができる。これに代えて、ユーザ支持体204が静止状態に維持されている間にハウジング202を平行移動することができる。この平行移動は、支持ベース206上に配置された線形アクチュエータによるとすることができる。他の実施形態では、光学系114は網膜レンズを含むことができ、その焦点は、異なる撮像深度を選択するように調節することができる電動ステージ又は可変焦点レンズを含むことができる。
【0085】
この処理は、一般的に、最初に望ましい撮像深度を設定するために実施される。その後に撮像深度を変更するために、レンズ142及び144の一方又は両方の軸線方向位置は、眼球102上への構造化照明視野110の焦点位置を調節するために線形アクチュエータ又は他のアクチュエータによって機械的に作動される。一例として、眼球102内の焦点位置及び従って撮像深度を調節するために、レンズ144の軸線方向位置は、レンズ142に対して直線的に平行移動することができる。
【0086】
画像シーケンスの取得中に、異なるMEMs設定値での網膜145にわたる照明の意図する平行移動に加えて、異なるフレームが得られる時にある程度の眼球運動が起こる場合がある。各色ビンは、網膜の疎な画像しか与えないが、全体の線走査に基づいて、画像の色平均バージョンに基づいて画像フレームの各々を正確に相互に位置合わせすることができる。この処理では、色情報は、画像シーケンス中の眼球102の運動に起因する効果を解消するか又は少なくとも低減するための補助的な位置情報として使用される。位置合わせされた画像フレームの各々に関して、所与のピクセル場所に対応するハイパースペクトル成分を取得することができる。MEMS138による撮像領域のディザリング、すなわち、平行移動と、全てが揃った高ピクセル数をオーバーサンプリングすることとにより、フレーム数が十分に多くなる時にハイパースペクトル画像を取得することができる。
【0087】
多くの用途では、この情報量は御し難い程多く、特定の網膜病変の可視化に対して有利ではない場合があり、従って、データ処理での簡素化を適用することができる。例えば、検出された波長成分を赤色、緑色、及び青色(RGB)の帯域に分類することにより、網膜145の単純なトゥルーカラー画像を生成することができる。これに代えて、複数の狭いスペクトル領域を適切な和又は差を用いて合計し、パワー又は偽色で表すことができる単一値を生成することができる。
【0088】
装置100は、NIR OCTシステムと組み合わせることができ、OCT画像を装置100によって得られた共焦点画像に対して位置合わせすることができる。幾分類似のシステムは、Steven James Friskenに付与された「分散構造化照明を使用する共焦点顕微鏡のための装置及び方法(Apparatus and method for confocal microscopy using dispersed structured illumination)」という名称の公開PCT特許出願WO 2018/000036 A1に説明されており、この文献の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれている。しかし、この実施形態では、装置100によって得られた共焦点画像は、この時点で異なるスペクトル帯域の中に別個に処理され、スペクトル特徴の識別を助けることができる網膜のハイパースペクトル分析を提供することができる。従って、この実施形態は、網膜の共焦点画像又はOCT画像によって与えられる構造情報とは対照的に又はそれに加えて、網膜の化学的又は分子的な分光的特徴によって識別又は特徴付けることができるある一定の病変を診断するための機能を与える。
【0089】
一部の実施形態では、
図1Aに示す8f網膜レンズリレー142、144は、MEMS138からの角度的に符号化されたビームレットを角膜又は水晶体のような眼球102の1又は2以上の前部領域上の複数の場所の上に投影するように構成された前部レンズ配置で置換することができる。
【0090】
色及び蛍光スペクトル情報を抽出するためのサンプルの構造化白色光照明
本発明の第3の態様は、白色光によるサンプルの照明を伴い、かつ反射又は後方散乱された色スペクトル情報と蛍光スペクトル情報との両方をサンプルから取得することを可能にする。第2の実施形態による装置700を
図7に示している。装置700は、装置100と共通の要素を多く含み、簡略化の目的でこれらの共通要素を同じ参照番号で表している。
【0091】
装置700内の照明は、眼球102のようなサンプルを実質的に可視及びNIR波長範囲全体にわたる波長を有する「白色光」で照明するようにスペクトル的に広帯域である光源104によって提供される。一例として、光源104は、LED、LEDのアレイ、又は放出波長範囲が可視及びNIRスペクトル領域内の数百ナノメートルを網羅する超発光ダイオードを含むことができる。従って、第1の実施形態と第2の実施形態の両方に対して同じか又は類似の光源を使用することができる。光源は、空間非コヒーレント又は空間コヒーレントのものとすることができる。
図1Aの場合と同様に、空間非コヒーレント光源104と、構造化照明視野110を生成するための構造化光発生器108とを有する装置が例示されている。
【0092】
装置100と装置700の間の主な相違点は、主サンプル経路705でのミラーのような非分散光学誘導要素702による回折格子140の置換である。ミラー702は、全ての波長が一緒に経路705に沿って眼球102に共伝播するように構成波長成分の分散なく全てのビームレットを直接反射するように作用する。その結果、眼球102は、各々が光源104によって放出された波長の全てを含む「白色光」ビームレットのグリッドによって照明される。この照明は、装置100の分散ビームレットによるものよりも集中した照明を網膜145上に提供し、従って、一般的に、光源104は、改善された安全性及び患者快適性に関して装置100内よりも低い強度で作動される。
【0093】
装置700の残りの作動は、装置100と実質的に類似であり、各戻りビームレットは、開口アレイ150及び分光計116によって共焦点的に撮像される。測定反射光のスペクトルからの照明光源の脱結合は、眼球に関する追加の情報を抽出することを可能にする。例えば、センサアレイ118は、この場合は反射率スペクトルと、更に眼球組織内の自己蛍光に起因するいずれかの蛍光スペクトルとの両方をスペクトル応答情報として同時に検出する機能を有する。この機能は、蛍光スペクトルが励起スペクトルとは異なる波長で検出され、専用分散光学要素からのビームレットのいずれの制御式分散も不在であり、蛍光を区別することができることで可能である。
【0094】
装置700は、OCTを実施するための基準アーム704を任意的に含むことができる。この実施形態では、ビームスプリッタ132は、基準光706と呼ぶ構造化照明視野110の光パワーの部分を基準アーム704に沿って誘導し、構造化照明視野の光パワーの残余を眼球102に誘導するように構成されたパワー分割要素として作動する。
【0095】
図示の実施形態では、基準アーム704は、基準光706を基準アーム704に沿って誘導するためのプリズム又はミラーのような反射要素708を含む。基準アーム704は、眼球102の光パワー要素を含む主サンプル経路705の経路長に実質的に適合させるためにレンズ710、712、714、及び716を含むレンズリレーを更に含む。ビームスプリッタ132においてサンプル102から戻る光と再結合されることになる光を基準アーム704に沿って反射して戻すために、湾曲した金属反射器718の形態の反射要素が設けられる。好ましくは、レンズ716の特性と反射器718の特性との組合せは、眼球102の分散特性に実質的に適合するように予め定められる。集光効果が経路長と主サンプル経路705の分散特性とに実質的に適合することになるという前提で、基準アーム704内の光学要素の個数、タイプ、及び位置は、異なる設計において実質的に異なる可能性があることは認められるであろう。
【0096】
基準アーム704を含むことは、眼球102のより軸線方向に限定された検査に向けて感受された信号のコヒーレンスゲイティングを実施することを可能にする。フルカラーOCTのこの形態は、ハイパースペクトル信号を当該の軸線方向領域に限定するために使用することができる。システムを適度に単純に保つために、2Dセンサアレイ118上で検出された入力照射視野106のスペクトルは、各々が予め定められたスペクトル幅(例えば、5nm)を有する複数の波長ビン(例えば、100個のビン)に分割することができる。各波長ビン内で、個々の波長の部分集合(例えば、32個の波長点)は、OCTの場合と同じくコヒーレンスゲートとして使用することができ、それに対して高速フーリエ変換(FFT)を実施して各スペクトル帯域に関する構造(深度)情報を取得することができる。これらのFFTは、各々が全色範囲にわたる完全な2次元マップを含む複数のハイパースペクトル画像を構成するためのサンプルにわたる軸線方向位置範囲を与えるために実施することができる。
【0097】
OCT範囲及び解像度に対する要件を制限することにより、広い波長範囲にわたって非常に正確な分散補償を必要とすることなく装置を比較的単純に保つことができる。すなわち、分散は、単一ハイパースペクトル波長ビン内で補償するだけでよい。
【0098】
一部の実施形態では、分光計によって撮像されるコヒーレンス波長を選択するために、基準アーム704の長さは、選択的に調節可能とすることができる。この選択的調節は、アクチュエータ機構が基準アーム704内で反射器718及び/又は他の光学要素を機械的に平行移動することによって達成することができる。一実施形態では、基準経路長を調節するための手段は、主サンプル経路705の焦点面を異なるサンプル深度に平行移動するための手段と同じ機構である。
【0099】
すなわち、分析される眼球102内の深度は、眼球102に対する計器700の位置を調節することによって変更することができる。網膜レンズ142、144が存在する場合に、共焦点ゲイティングとコヒーレンスゲイティングの両方を同時に選択するように網膜レンズの焦点位置を調節して網膜層のハイパースペクトルマッピングをもたらすことができる。吸光又は散乱の特徴の存在を探す場合に、異なる軸線方向層にスペクトル差技術を適用することができる。例えば、眼球102の血中酸素飽和度の情報を生成するように波長ビンの差を取得することができる。
【0100】
一部の実施形態では、装置100と装置700は、単一計器の中に組み込むことができ、両方の装置の機能を互いに連携して使用することができる。例えば、一部の実施形態では、回折格子140は、ミラー702と交換可能である。この交換可能性は、アクチュエータによって回折格子140及びミラー702を必要に応じて光路の内外に機械的に移動することによって発生させることができる。この移動は、外部コントローラ又はプロセッサ158によって制御される線形アクチュエータなどによって実施することができる。
【0101】
一部の実施形態では、システム700は、現在撮像中の眼球上の位置を正確に位置合わせするために眼球追跡器及び/又は網膜カメラを利用することができる。これは、センサアレイ118の異なる領域上に入射する光の正確な位置合わせを可能にする。
【0102】
サンプルのハイパースペクトル蛍光撮像
本発明の第3の実施形態を
図8に装置800として例示している。装置800は、眼球移動を考慮するための正確な位置合わせを有する眼球102のようなサンプルのハイパースペクトル蛍光撮像を提供する。この機能は、本発明の第4の態様を表す。装置800は、装置100及び700と共通の要素を多く含み、簡略化の目的でこれらの共通要素を同じ参照番号で表している。
【0103】
装置800は、それぞれの入力光ビーム806及び808を発生させるように構成された2つの光源802及び804を含む。
図1A及び
図7と同様に、両方の光源802と804は、空間的に非コヒーレントであり、上述のように、構造化照明視野810及び812をそれぞれ発生させるための構造化光発生器108a及び108bを有する。しかし、装置800は、SLED又は超連続体光源のような空間コヒーレント光源を採用することができることは認められるであろう。
【0104】
光源802は、紫外又は可視の波長範囲、好ましくは、「有色光」と以下で呼ぶUVA、紫色、青色、又は緑色の波長範囲のうちの1つでのビーム805を提供するように構成される。光源804は、「NIR光」と以下で呼ぶNIR波長範囲にあるビーム808を提供するように構成される。
【0105】
代替実施形態では、回折要素、光学フィルタ、又はバルク光学ダイクロイックスプリッタのような波長選択光学系を用いて単一光源から異なる波長帯域の入射光ビーム806及び808が得られる。
【0106】
光源802からの構造化有色光照明視野810は、上述のようにビームスプリッタ132と、レンズ136と、MEMS138と、ミラー702と、レンズ142及び144とを含む1次撮像経路814に通される。1次撮像経路814は、下記でその作動を説明する体積位相格子815の形態の回折多重化要素を更に含む。他の実施形態では、体積位相格子815は、ダイクロイックミラー及び従来の回折格子で置換することができる。
【0107】
同時に、光源804からのNIR光構造化照明視野812は、2次経路816に通される。経路816は、ビームスプリッタ818と、集束レンズ820と、体積位相格子815上にNIR光を結合するミラー822とを含む。ビームスプリッタ818は、部分反射ミラー819を含み、上述したビームスプリッタ132と類似の特性を有する。ビームスプリッタ818は、散乱又は後方反射されたNIR光を2次経路816の中に、更に分光計116と類似の方式でのスペクトル分析に向けて分光計824に誘導するように機能する。分光計824は、プロセッサ158と作動的に関連付けられた(接続は示していない)対応するセンサアレイ826を有する。分光計824は、分光計116と類似の分散システム825を更に含む。
【0108】
有色構造化照明視野810とNIR構造化照明視野812との両方は、体積位相格子815上の拘束領域に集束される。体積位相格子815は、構造化照明視野810からの光と構造化照明視野812からの光とを互いに多重化し、それと共にNIR視野812からのNIR波長を空間的に分散させるように構成される。有色構造化光照明視野810の全ての波長は、体積位相格子815を通して空間的に拘束された(非分散)状態で透過される。これは、1次の回折次数が1次撮像経路814に沿って結合されることを保証する角度でNIR視野812のビームレットがこの格子上に入射するように体積位相格子815を構成することによって達成される。同時に、有色構造化照明視野810のビームレットは、同じ場所にある全ての波長を含むゼロ次の回折次数が1次撮像経路814に沿って結合されることを保証する角度で体積位相格子815上に入射しなければならない。
【0109】
体積位相格子815を通じた透過時に、NIR視野812は、体積位相格子815の分散軸線内で細長くなった分散ビームレットグリッドを含む。別様に説明すると、体積位相格子815によって分散された後に、NIR視野812は、異なる波長の複数の角度的に符号化された共伝播ビームレットグリッドを含み、各グリッドは、その波長に依存する伝播角度を有する。有色構造化光照明視野810は、体積位相格子815に基づいて実質的に修正されず、光源802によって放出された有色帯域内の全ての波長(例えば、UVA、紫色、青色、又は緑色)からの光を含む。従って、有色視野810内の全ての波長は、同じ軌道に沿って単一ビームレットグリッドとして共伝播する。
【0110】
共伝播する有色構造化照明視野810とNIR構造化照明視野812は、眼球102上に投影され、網膜145上の複数の位置147に結像される。網膜145上への入射後に、有色構造化照明視野810のビームレットは、ある一定の分子からの自己蛍光に起因して網膜145からの蛍光情報を用いて符号化される。
【0111】
網膜145からの反射、後方散乱、又は蛍光149時に、構造化照明視野810、812は、1次撮像経路814に沿って体積位相格子815に戻される。有色構造化照明視野810及び発生した蛍光は、分散なく体積位相格子815を通して戻され、次いで、ビームスプリッタ132のミラー134から反射され、共焦点ゲイティングに向けて開口アレイ150に通され、その後に、グリッド分光計116によって検出される。共焦点ゲイティングは、蛍光撮像では検査下にあるサンプルの部分に関連しない(深度に関して)光を除外するのに重要である。例えば、眼球を撮像する場合に、眼球の角膜又は房水からの蛍光又は後方散乱が強い信号をもたらす場合があり、この信号は、網膜145からの蛍光信号に関してより高いSN比に到達するように好ましくは除去される。
【0112】
網膜145から反射又は後方散乱されたNIR構造化照明視野812内の光の分散は、体積位相格子815を通して戻された後に反転される。回収されたNIRビームレットは、次いで、2次経路816に沿って戻され、そこで適切なサイズの開口アレイ850によって空間的にフィルタリングされ、分散要素825とセンサアレイ826とを含む分光計824において撮像されて分析される。
【0113】
分光計116のセンサアレイ118は、第1の光源802からの有色ビームレットグリッドを受光し、有色ビームレットグリッドは、分散楔対156によって波長に従って分散される。すなわち、サンプル上の各グリッド点に関して、このような位置及び深度にある局所分子に起因する蛍光スペクトル情報を含むスペクトル情報を取得することができる。
【0114】
同時に、センサアレイ826は、分散要素825によって分散されたNIRビームレットのグリッドを受光する。プロセッサ158は、センサアレイ826において感受された信号をスペクトルマッピング情報を発生させるように処理する。プロセッサ158は、分散NIR波長の軌道をマップするためのマッピング機能を適用することができるので、この情報は、網膜145上の位置に対するセンサの場所の位置合わせを可能にする。正確なマッピングを与えて被写体ぶれアーチファクトを低減するために、センサ118において測定された蛍光スペクトルを網膜の場所に関連付けるのに既知の位置を使用することができる。
【0115】
上述の処理から、装置800は、眼球102の特定の領域及び層の2次元蛍光スペクトログラムを生成することができる。装置800を用いて上述した方式でMEMS138を機械的に傾斜させることによって眼球102の異なる領域を撮像することができる。上述した方式で装置800を患者に対して機械的に平行移動することによって眼球102の異なる深度を撮像することができる。異なる横方向領域及び深度を撮像することにより、眼球102の3次元蛍光スペクトルを生成することができる。
【0116】
好ましい実施形態では、構造化照明視野110は、
図1Aに示すようにビームレット111の2次元アレイを含む。しかし、代替実施形態では、構造化照明視野110は、
図1Bに示すように直線ビームレット119の1次元アレイを含む。
図1Aを参照すると、構造化照明視野のこの形態は、2次元マイクロレンズアレイ130を円筒形マイクロレンズのアレイで置換することによって生成することができる。他の修正では、戻り直線ビームレットは、それを短軸線内で平行化するための円筒形マイクロレンズのアレイを含むマイクロレンズアレイ148に通され、平行化されたビームレットは、次いで、直線ビームレットの1次元アレイに対応するピッチを有する直線開口のアレイ150に通される。空間的にフィルタリングされた戻りビームレットは、次いで、上述のようにスペクトル分析に向けて分光計116に渡される。
図7及び
図8を参照して説明した装置は、アナログ様式で修正することができる。
【0117】
結論
上述した本発明は、サンプルの複数の点から色スペクトル情報と蛍光スペクトル情報とを同時に撮像する機能を提供する。本発明は、サンプルから視野のフルカラースペクトル情報と蛍光スペクトル情報とを含む異なるスペクトル情報を取得するために異なるモードで作動させることができる。本発明は、更に、必要に応じてOCTシステムを組み込むことができる。
【0118】
本発明の実施形態は、検診及び疾患診断に適切な十分な解像度でかつ大きい視野にわたって蛍光スペクトルを高速に取り込む機能を有する高効率網膜共焦点撮像システムを提供する。更に別の実施形態(例示していない)は、入力光源の波長を選択的に変更することによって励起波長の関数として上記を実施する機能を有する。
【0119】
本発明の装置及び方法によって眼球から得られる蛍光情報は、RPE層及び従って光受容体の経年劣化及び健康に関する重要な情報を識別するのに有用とすることができる。蛍光情報は、患者内でアルツハイマー病の徴候を診断するのに使用することができる。
【0120】
解釈
レーザビームの周波数と波長が次式によって関連付けられることは当業者によって理解されるであろう:
光の速度=波長*周波数
【0121】
その結果、波長帯域、波長分散、波長依存性、及び類似の用語のような用語に言及する場合に、これらの用語は、対応する用語である周波数帯域、周波数分散、及び周波数依存性などと交換可能である。
【0122】
レンズ、プリズム、又はミラーとして説明する異なる光学要素は、同じ全体効果(集束、収束、平行化のような)をもたらす対応する光パワー要素と交換可能とすることができる。例えば、レンズは、それと同等の集光光学効果を有する反射ミラー、プリズム、光学要素リレーで置換することができる。同様に、回折格子のような1つの分散要素は、同等の分散作動を実施するプリズムのような別の分散要素で代用することができる。
【0123】
本明細書を通して「要素」という用語の使用は、1つの単一構成要素又は特定の機能又は目的を実施するために接続する構成要素の集合のいずれかを意味するように意図している。
【0124】
別途明示しない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書を通して「処理する」、「演算する」、「計算する」、「決定する」、又は「分析する」などのような用語を利用した議論は、物理的、例えば、電子的な量として表されるデータを物理的な量として同じく表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピュータシステム、又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及び/又は処理を意味する。
【0125】
類似の方式で、「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、例えば、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを例えばレジスタ及び/又はメモリに格納することができる他の電子データに変換するように処理するいずれかのデバイス又はデバイスの一部分を意味することができる。「コンピュータ」、「コンピュータ機械」、又は「コンピュータプラットフォーム」は、1又は2以上のプロセッサを含むことができる。
【0126】
本明細書に説明する方法は、一実施形態では、複数のプロセッサのうちの1又は2以上によって実行された時に本明細書に説明する複数の方法のうちの少なくとも1つを実施する命令セットを含むコンピュータ可読(機械可読とも呼ぶ)コードを受信する1又は2以上のプロセッサによって実現可能である。取るべきアクションを指定する命令セットを順次又は別途実行する機能を有するあらゆるプロセッサが含まれる。この場合に、一例は、1又は2以上のプロセッサを含む典型的な処理システムである。各プロセッサは、CPU、グラフィック処理ユニット、又はプログラム可能DSPユニットのうちの1又は2以上を含むことができる。処理システムは、主RAM及び/又は静的RAM、及び/又はROMを含むメモリサブシステムを更に含むことができる。これらの構成要素の間で通信するために、バスサブシステムを含めることができる。更に、処理システムは、複数のプロセッサがネットワークによって結合された分散処理システムとすることができる。処理システムがディスプレイを必要とする場合に、そのようなディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又はブラウン管(CRT)ディスプレイを含めることができる。手動データ入力を必要とする場合に、処理システムは、キーボードのような英数字入力ユニット及びマウスのようなポインティング制御デバイス等々のうちの1又は2以上のような入力デバイスを更に含む。本明細書に使用するメモリユニットという用語は、状況から明らかであるか別途明示しない限り、ディスクドライブユニットのようなストレージシステムを更に包含する。一部の構成での処理システムは、音出力デバイスとネットワークインタフェースデバイスとを含むことができる。更に、メモリサブシステムは、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に本明細書に説明する方法のうちの1又は2以上を実施させる命令セットを含むコンピュータ可読コード、例えば、ソフトウエアを担持するコンピュータ可読担持媒体を含む。方法がいくつかの要素、例えば、いくつかの段階を含む時に、具体的に述べない限り、そのような要素のいずれの順序付けも示唆されないことに注意されたい。ソフトウエアは、ハードディスクに存在することができ、又は完全又は少なくとも部分的にRAMの中に及び/又はコンピュータシステムによる実行中はプロセッサの中に存在することができる。すなわち、メモリ及びプロセッサはまた、コンピュータ可読コードを担持するコンピュータ可読担持媒体を構成する。
【0127】
本明細書を通して「一実施形態」、「一部の実施形態」、又は「実施形態」への言及は、当該実施形態に関して説明する特定の特徴、構造、又は特性が本発明の開示の少なくとも1つの実施形態内に含まれることを意味する。従って、本明細書を通して異なる箇所での「一実施形態では」、「一部の実施形態では」、又は「実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているとは限らない。更に、当業者には明らかであろうが、特定の特徴、構造、又は特性は、1又は2以上の実施形態ではあらゆる適切な方式で組み合わせることができる。
【0128】
本明細書に使用する場合に、別途指定しない限り、一般的な物体を説明するための「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞の使用は、類似の物体の異なる事例に言及していることを示すに過ぎず、そのように説明する物体が時間的、空間的、順位、又はいずれかの他の方式で所与の順序になければならないことを意味するように意図していない。
【0129】
下記の特許請求の範囲及び本明細書での説明において、「含む」、「構成される」、「これは含む」という用語のいずれも、少なくとも当該語に続く要素/特徴を含むが他を除外しないことを意味する非限定用語である。すなわち、「comprising」という用語は、特許請求の範囲に関して使用する場合に、この語に続いて列記する手段、要素、又は段階に限定されると解釈すべきではない。例えば、「A及びBを含むデバイス」という表現の範囲は、要素A及びBのみから構成されるデバイスに制限すべきではない。本明細書に使用する「including」又は「これは含む」又は「それは含む」という用語のいずれも、少なくとも当該語に続く要素/特徴を含むが他を除外しないことを同じく意味する非限定用語である。すなわち、「including」は、「comprising」と同義語であり、かつ「comprising」を意味する。
【0130】
本発明の開示の例示的実施形態の以上の説明では、本発明の開示を効率化して本発明の異なる態様の1又は2以上の理解を助けるために、本発明の開示の異なる特徴は、単一実施形態、図面、又はその説明の中に時に互いに群にされることを認めなければならない。しかし、この開示方法は、特許請求の範囲が各請求項で明示的に列挙するものよりも多い特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。この意図ではなく、以下の特許請求の範囲が反映することは、本発明の態様が上述の単一の開示した実施形態の全ての特徴よりも少ないものに位置するということである。すなわち、「発明を実施するための形態」に続く特許請求の範囲は、この「発明を実施するための形態」の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の開示の個別の実施形態としてそれ自体で成立する。
【0131】
更に、当業者には理解されると考えられるが、本明細書に説明する一部の実施形態は、他の実施形態に含まれる一部であるが他のものではない特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の開示の範囲であり、かつ異なる実施形態を形成することを意味している。例えば、以下の特許請求の範囲では、主張する実施形態のいずれもあらゆる組合せで使用することができる。
【0132】
本明細書に提供する説明では、多くの具体的詳細を示している。しかし、本発明の開示の実施形態は、これらの具体的詳細なしに実施することができることは理解される。他の事例では、本説明の理解を不明瞭にしないために公知の方法、構造、及び技術は詳細に示していない。
【0133】
同様に、「結合された」という用語は、特許請求の範囲に使用する時に直接接続だけに限定されると解釈すべきではないことは注意されるものとする。「結合された」及び「接続された」という用語は、それらの派生語と共に使用される場合がある。これらの用語は、互いに同義語であるように意図していないことを理解しなければならない。従って、「デバイスBに結合されたデバイスA」という表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接に接続されたデバイス又はシステムに限定すべきではない。それは、他のデバイス又は手段を含む経路である場合があるAの出力とBの入力の間の経路が存在ことを意味する。「結合された」は、2又は3以上の要素が物理的、電気的、又は光学的に直接に接触していること、又は2又は3以上の要素が互いに直接に接触していないが、依然として互いに協働する又は相互作用することのいずれかを意味する場合がある。
【0134】
すなわち、本発明の開示の好ましい実施形態であると考えられるものを説明したが、当業者は、本発明の開示の精神から逸脱することなくこれらの実施形態に他のかつ更に別の修正を加えることができること、及び全てのそのような変形及び修正を本発明の開示の範囲に収まるものとして主張するように意図していることを認識するであろう。例えば、上記に提示したいずれの公式も、使用することができる手順の代表例であるに過ぎない。機能性は、ブロック図に追加する又はそこから削除することができ、作動は、機能ブロックの間で交換することができる。段階は、本発明の開示の範囲内で上述の方法に追加する又はそこから削除することができる。
【符号の説明】
【0135】
100 サンプルを分析するための装置
102 サンプル、眼球
110 構造化照明視野
111 ビームレット
149 網膜から反射、後方散乱、又は蛍光発光された光