(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電源装置とこの電源装置を備える電動車両及び蓄電装置、電源装置用締結部材、電源装置用締結部材の製造方法、電源装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240109BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240109BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240109BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240109BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/264
H01M10/44 P
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2021511114
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2019051119
(87)【国際公開番号】W WO2020202681
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2019066831
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 豪
(72)【発明者】
【氏名】藤永 浩司
(72)【発明者】
【氏名】古上 奈央
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/235556(WO,A1)
【文献】特開2016-115545(JP,A)
【文献】特開2011-129509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M、B60K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、を備える電源装置であって、
前記複数の締結部材の各々は、
前記二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、
前記締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックと、を備えており、
前記エンドプレートは、前記係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、前記嵌合部の前記電池積層体側には、前記係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、
前記締結本体と前記係止ブロックとの接合界面において、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の一部で接合された局部的接合領域と、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の全体で接合された面接合領域とでもって、前記締結本体と前記係止ブロックとが固定されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記面接合領域が、接着剤による接合である電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源装置であって、
前記局部的接合領域が、溶接による接合である電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記局部的接合領域が、スポット溶接、レーザ溶接、MIG溶接のいずれかによる接合である電源装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電源装置であって、
前記局部的接合領域が、機械的接合による接合である電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、
前記局部的接合領域が、リベット、かしめ、ボルト締結のいずれかによる接合である電源装置。
【請求項7】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、を備える電源装置であって、
前記複数の締結部材の各々は、
前記二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、
前記締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックと、を備えており、
前記エンドプレートは、前記係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、前記嵌合部の前記電池積層体側には、前記係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、
前記締結本体と、前記係止ブロックとの接合界面において、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の一部でスポット溶接により接合された局部的接合領域と、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の全体で接着剤により接合された面接合領域とでもって、前記締結本体と前記係止ブロックとが固定されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記局部的接合領域が、前記係止ブロックの延長方向に沿って複数箇所に配置されてなる電源装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記エンドプレートは、前記嵌合部の底面において、雌ねじ穴を開口しており、
前記締結部材は、前記エンドプレートを締結した状態で、前記雌ねじ穴と一致するように、貫通孔を開口しており、
前記貫通孔に挿通されたボルトを前記雌ねじ穴に螺合して、前記係止ブロックを前記エンドプレートの嵌合部に固定してなる電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電源装置であって、
前記貫通孔は、複数個が前記係止ブロックの延長方向に沿って第一直線上に配置されており、
前記局部的接合領域は、前記第一直線上であって、前記貫通孔同士の間、または外側に配置されてなる電源装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電源装置であって、
前記貫通孔は、複数個が前記係止ブロックの延長方向に沿って第一直線上に配置されており、
前記局部的接合領域は、前記第一直線よりも、前記電池積層体側に配置されてなる電源装置。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記貫通孔は、
前記締結本体に開口された第一貫通孔と、
前記係止ブロックに開口された第二貫通孔で構成されており、
前記第一貫通孔は、前記ボルトの頭部を通過できる内径であり、
前記第二貫通孔は、前記ボルトのネジ部を通過できるが、頭部を通過できない内径であることを特徴とする電源装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電源装置を備える電動車両であって、
前記電源装置と、
該電源装置から電力供給される走行用のモータと、
前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、
前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備えることを特徴とする電動車両。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電源装置を備える蓄電装置であって、
前記電源装置と、
該電源装置への充放電を制御する電源コントローラとを備え、
前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記二次電池セルへの充電を可能とすると共に、該二次電池セルに対し充電を行うよう制御することを特徴とする蓄電装置。
【請求項15】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両端面を覆う一対のエンドプレート同士を締結するための電源装置用締結部材であって、
前記二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、
前記締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックと、を備え、
前記締結本体と、前記係止ブロックとの接合界面において、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の一部で接合された局部的接合領域と、
該係止ブロックと該締結本体との接合面積の全体で接合された面接合領域とでもって、前記締結本体と前記係止ブロックとが固定されてなることを特徴とする電源装置用締結部材。
【請求項16】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両端面を覆う一対のエンドプレート同士を締結するための電源装置用締結部材の製造方法であって、
前記二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、
前記締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックと、を準備する工程と、
前記締結本体と前記係止ブロックとを、接合界面において接合する接合工程と、を含み、
前記接合工程において、
前記係止ブロックと前記締結本体との接合面積の全体を接着剤で面接合した後、
前記係止ブロックと前記締結本体との接合面積の一部を溶接又は機械的接合により局部的に接合することを特徴とする電源装置用締結部材の製造方法。
【請求項17】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、を備える電源装置の製造方法であって、
前記二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、
前記締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックと、を備える前記締結部材を準備する工程と、
前記係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に形成して、前記嵌合部の前記電池積層体側に、前記係止ブロックと当接するストッパ部を形成した前記エンドプレートを準備する工程と、
前記電池積層体の両端面を一対の前記エンドプレートで覆い、該エンドプレート同士を前記締結部材で締結する工程と、を含み、
前記締結部材を準備する工程が、
前記締結本体と前記係止ブロックとの接合界面において、
接合面積の全体を接着剤で面接合した後、接合面積の一部を溶接又は機械的接合により局部的に接合する接合工程を含むことを特徴とする電源装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池セルを積層している電池積層体の両端に配置してなるエンドプレートを締結部材で連結してなる電源装置とこの電源装置を備える電動車両及び蓄電装置、電源装置用締結部材、電源装置用締結部材の製造方法、電源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な電源装置は、複数の角形電池セルからなる電池積層体と、電池積層体の両端面に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結するバインドバー等の締結部材を備えている(特許文献1参照)。この電源装置は、電池積層体をエンドプレートとバインドバーにより拘束することで、複数の角形電池セルからなる電池積層体を集合化できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電源装置は、バインドバーやエンドプレートを介して複数の角形電池セルからなる電池積層体を集合化させているため、電池積層体を構成する複数の角形電池セルの膨張が抑制されることになる。つまり、バインドバーやエンドプレートを介して、角形電池セルの膨張を抑制することになるため、バインドバーやエンドプレートに大きな力が加わる。
【0005】
一方で、角形電池セルは、体積あたりのエネルギー密度や重量あたりのエネルギー密度を高くしようとすると、充放電や劣化に伴う寸法変化が大きくなる傾向がある。バインドバーやエンドプレートにかかる負荷は、角形電池セルの膨張量に起因するため、膨張量に伴う寸法変化の大きい角形電池セルを用いる場合には、上記特許文献1の電源装置の構成では、エンドプレートやバインドバーに対して、角形電池セルの膨張時に強い負荷が印加される。この結果、バインドバーとエンドプレートとの接合部分に強い剪断応力が働き、バインドバーが破断するおそれがある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、複数の二次電池セルを積層した電池積層体を締結する締結部材の変形や破損を防止して、エンドプレートとの連結強度を高めることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に係る電源装置は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10と、電池積層体10の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、電池積層体10の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4とを備えている。複数の締結部材4の各々は、二次電池セル1の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロック5とを備えている。エンドプレート3は、係止ブロック5が案内される嵌合部3aを外周面に有し、さらに、嵌合部3aの電池積層体10側には、係止ブロック5と当接するストッパ部3bを設けている。締結部材4は、締結本体6と係止ブロック5との接合界面において、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の一部で接合された局部的接合領域15と、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の全体で接合された面接合領域16とでもって、締結本体6と係止ブロック5とを固定している。
【0008】
本発明のある態様に係る電源装置は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10と、電池積層体10の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、電池積層体10の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4とを備えている。複数の締結部材4の各々は、二次電池セル1の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロック5とを備えている。エンドプレート3は、係止ブロック5が案内される嵌合部3aを外周面に有し、さらに、嵌合部3aの電池積層体10側には、係止ブロック5と当接するストッパ部3bを設けている。締結部材4は、締結本体6と係止ブロック5との接合界面において、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の一部でスポット溶接により接合された局部的接合領域15と、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の全体で接着剤17により接合された面接合領域16とでもって、締結本体6と係止ブロック5とを固定している。
【0009】
本発明のある態様に係る電動車両は、上記電源装置100と、電源装置100から電力供給される走行用のモータ93と、電源装置100及びモータ93を搭載してなる車両本体91と、モータ93で駆動されて車両本体91を走行させる車輪97とを備えている。
【0010】
本発明のある態様に係る蓄電装置は、上記電源装置100と、電源装置100への充放電を制御する電源コントローラ88と備えて、電源コントローラ88でもって、外部からの電力により二次電池セル1への充電を可能とすると共に、二次電池セル1に対し充電を行うよう制御している。
【0011】
本発明のある態様に係る電源装置用締結部材は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10の両端面を覆う一対のエンドプレート3同士を締結するための電源装置用締結部材であって、二次電池セル1の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロック5と、を備え、締結本体6と係止ブロック5との接合界面において、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の一部で接合された局部的接合領域15と、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の全体で接合された面接合領域16とでもって、締結本体6と係止ブロック5とを固定している。
【0012】
本発明のある態様に係る電源装置用締結部材の製造方法は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10の両端面を覆う一対のエンドプレート3同士を締結するための電源装置用締結部材の製造方法であって、二次電池セル1の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロック5とを準備する工程と、締結本体6と係止ブロック5とを、接合界面において接合する接合工程とを含み、接合工程において、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の全体を接着剤17で面接合した後、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の一部を溶接又は機械的接合により局部的に接合している。
【0013】
本発明のある態様に係る電源装置の製造方法は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10と、電池積層体10の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、電池積層体10の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4とを備える電源装置の製造方法であって、二次電池セル1の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロック5とを備える締結部材4を準備する工程と、係止ブロック5が案内される嵌合部3aを外周面に形成して、嵌合部3aの電池積層体10側に、係止ブロック5と当接するストッパ部3bを形成したエンドプレート3を準備する工程と、電池積層体10の両端面を一対のエンドプレート3で覆い、エンドプレート3同士を締結部材4で締結する工程とを含み、締結部材4を準備する工程が、係止ブロック5と締結本体6の接合界面において、接合面積の全体を接着剤で面接合した後、接合面積の一部を溶接又は機械的接合により局部的に接合する接合工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のある態様に係る電源装置及び電源装置用締結部材によると、二次電池セルの積層方向に延長された締結本体と、締結本体の両端部に固定された係止ブロックとで締結部材を構成して、係止ブロックをエンドプレートに設けたストッパ部に係止して締結する構造としながら、係止ブロックを確実に締結本体に固定して、電池積層体を締結する締結部材の変形や破損を防止して、エンドプレートとの連結強度を高めることができる。
【0015】
本発明のある態様に係る製造方法によると、係止ブロックと締結本体との接合工程において、接合面積の全体を接着剤で面接合した後、接合面積の一部を溶接又は機械的接合により局部的に接合するので、締結部材を効率よく多量生産できる特徴が実現できる。一般に、接着剤による接合においては、経時的に接合強度が高くなるので、接着剤が硬化するまでの時間を必要とするが、上記の方法によると、接着剤で面接合した状態で溶接又は機械的接合により局部的に接合するので、この局部的接合によって係止ブロックと締結本体とを密着状態に保持できる。このため、係止ブロックと締結本体とを面接合する接着剤が未硬化の状態であっても、係止ブロックと締結本本体とを加圧して密着状態に保持して接着剤が硬化するまでの時間を待つ必要がない。局部的に接合された係止ブロックと締結本体は、局部的接合領域により接合界面が密着状態に保持されるので、接着剤を確実に硬化させることができ、製造にかかる時間を大幅に短縮させつつ、連結強度を保証できる。また、局部的接合の前工程として、接着剤で面接合するので、係止ブロックを締結本体に対して所定の位置に仮止めした状態で局部的接合を行うことができ、製造の効率を向上しながら、加工精度を高めることができる特長もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る電源装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電源装置のIII-III線における水平断面図である。
【
図4】
図3に示すエンドプレートと締結部材の連結構造を示す要部拡大断面図である。
【
図6】
図5の締結部材を背面から見た斜視図である。
【
図8】締結部材の製造工程を示す模式断面図である。
【
図9】締結部材の他の一例を示す拡大分解斜視図である。
【
図10】締結部材の他の一例を示す拡大分解斜視図である。
【
図11】
図10の締結部材の製造工程を示す模式断面図である。
【
図12】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図13】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図14】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の一つの着目点について説明する。多数の電池セルを積層している電源装置は、複数の電池セルからなる電池積層体の両端に配置されるエンドプレートをバインドバー等の締結部材で連結することで、複数の電池セルを拘束するように構成されている。複数の電池セルは、高い剛性をもつエンドプレートやバインドバーを介して拘束されることで、充放電や劣化に伴う電池セルの膨張、変形、相対移動、振動による誤動作などが抑制される。以上の電源装置は、電池セルの積層面の面積を約100平方センチメートルとするもので、電池セルの膨張を抑制することでエンドプレートに1トン以上(たとえば数トン)もの強い力が作用することもある。そのため、エンドプレートに固定されているバインドバーには、エンドプレートを介して極めて強い引張力が作用する。
【0018】
電池積層体の両端をエンドプレートで固定する従来の電源装置は、バインドバーの端部を内側に折曲してなる折曲片をエンドプレートの外側面に固定している。以上の構造は、金属板のバインドバーの端部を折曲加工して折曲片として、この折曲片をエンドプレートの外側表面に固定するので、折曲片はバインドバーと同じ厚さの金属板となる。バインドバーは、電池セルの膨張力によって発生する引張力に耐える引張強度の金属板が使用される。金属板の引張強度は曲げ強度に比較して相当に強く、バインドバーには例えば1mm~2mm程度の金属板が使用される。エンドプレートの外側表面に固定される折曲片は、バインドバーの引張力によって曲げ応力が作用するが、エンドプレートに使用される金属板の曲げ応力は引張応力に比較して相当に弱く、折曲片に作用する曲げ応力によって折曲片の曲げ加工部が耐力、破断強度を超えて変形、破壊する。折曲片の曲げ加工部とエンドプレートとの間に隙間がないと、曲げ加工部の内側面がエンドプレートの隅部に接触し、組み立てができない。
【0019】
以上のように、端部を折曲加工して折曲片を設けたバインドバーにおいては、バインドバーにかかる引張力の増加により、バインドバーの曲げ加工部内側とエンドプレート隅部に、さらに局部的に強大な応力が集中して、バインドバーやエンドプレートを変形し、また損傷する原因となる。
【0020】
そこで、本出願人は、電池積層体の積層方向の両端部に配置された一対のエンドプレートを締結部材で締結する構造として、電池積層体の積層方向に延長された平板状の締結主面と、この締結主面に設けられて、エンドプレートの外周面との対向面に向かって突出する係止ブロックを有する締結部材を使用し、この係止ブロックをエンドプレートの段差部に係止して締結する構造の電源装置を開発した。この構造の電源装置は、係止ブロックをエンドプレートに係止して固定するので、従来の締結部材のL字状部分のように曲げ応力で変形することなく、係止ブロックとエンドプレートの段差部とで締結部材を変形させることなくエンドプレートに固定できる。とくに、係止ブロックをエンドプレートの段差部に係止して位置ずれを阻止するので、締結部材に作用する強い引張力による締結部材とエンドプレートの変形を防止して、エンドプレートの移動を抑制できる。
【0021】
一方において、締結主面と係止ブロックで構成される締結部材では、締結主面と係止ブロックとを固定する必要がある。金属板で構成される締結主面と係止ブロックの接合にはスポット溶接を利用している。ただ、スポット溶接では、締結主面と係止ブロックが局部的に接合されるため、電池セルの膨張時においては、この接合部分に強大な剪断応力が集中してしまう問題点があった。このため、係止ブロックと締結主面との連結強度を高めて、電池セルの膨張力によって発生する引張力に耐える締結部材が求められていた。
【0022】
本発明のある態様に係る電源装置は、以下の構成により特定されてもよい。
電源装置は、外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート同士を締結する複数の締結部材とを備え、複数の締結部材の各々は、二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックとを備え、エンドプレートは、係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、嵌合部の電池積層体側には、係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、締結本体と係止ブロックとの接合界面において、係止ブロックと該締結本体との接合面積の一部で接合された局部的接合領域と、係止ブロックと締結本体との接合面積の全体で接合された面接合領域とでもって、締結本体と係止ブロックとを固定している。
【0023】
本明細書において、「係止ブロックと締結本体との接合面積の全体で接合された面接合領域」とは、必ずしも係止ブロックと締結本体の接合界面における接合面積全体の100%の領域を意味するものではなく、接合されない領域が多少含まれる状態も含む広い意味で使用する。すなわち、「接合面積の全体で接合された面接合領域」とは、接合面積の略全体であって、接合面積全体の70%以上、好ましくは80%以上の領域を意味するものとする。
【0024】
上記構成によると、締結部材を構成する締結本体と係止ブロックとを強固に接合して、電池積層体を締結する締結部材の変形や破損を防止して、エンドプレートとの連結強度を高めることができる。とくに、係止ブロックと締結本体の接合界面において、異なる接合を組み合わせることで、局部的接合領域では強固に接合しつつ、面接合領域では広い面積で接合することで、二次電池セルの膨張等に起因する剪断応力に対する抗力を高め、電池積層体の締結の信頼性を向上できる。
【0025】
本発明の他の態様に係る電源装置は、面接合領域を、接着剤による接合としている。上記構成により、係止ブロックと締結本体の接合界面において、接合面積の全体にあたる面接合領域を接着剤で接着して接合するので、係止ブロックと締結本体とを広い面積にわたって、簡単かつ容易に接合して接合強度を高めることができる。
【0026】
本明細書において、接着剤は、粘着剤を含む広い意味で使用する。すなわち、本明細書において、接着とは、二つの個体面を第3の媒体を介して互いに接合することを意味するものとし、広義において粘着も含有するものとする。
【0027】
本発明の他の態様に係る電源装置は、局部的接合領域を、溶接による接合としている。また、本発明の他の態様に係る電源装置は、局部的接合領域を、スポット溶接、レーザ溶接、MIG溶接のいずれかによる接合としている。上記構成により、局部的接合を溶接による接合として局部的接合領域を設け、面接合による面接合領域と組み合わせることで、係止ブロックと締結本体との連結強度を高めて、二次電池セルの膨張等に起因する剪断応力に対する抗力を高め、電池積層体の締結の信頼性を向上できる。
【0028】
本発明の他の態様に係る電源装置は、局部的接合領域を、機械的接合による接合としている。また、本発明の他の態様に係る電源装置は、局部的接合領域を、リベット、かしめ、ボルト締結のいずれかによる接合としている。上記構成により、局部的接合をリベットやかしめ等の機械的接合として局部的接合領域を設け、面接合による面接合領域と組み合わせることで、係止ブロックと締結本体との連結強度を高めて、二次電池セルの膨張等に起因する剪断応力に対する抗力を高め、電池積層体の締結の信頼性を向上できる。
【0029】
本発明の他の態様に係る電源装置は、外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート同士を締結する複数の締結部材とを備え、複数の締結部材の各々は、二次電池セルの積層方向に延長された平板状の締結本体と、締結本体の長手方向の両端部の内側面に接合される係止ブロックとを備え、エンドプレートは、係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、嵌合部の電池積層体側には、係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、締結本体と係止ブロックとの接合界面において、係止ブロックと締結本体との接合面積の一部でスポット溶接により接合された局部的接合領域と、係止ブロックと締結本体との接合面積の全体で接着剤により接合された面接合領域とでもって、締結本体と係止ブロックとを固定している。
【0030】
上記構成によれば、係止ブロックと締結本体の接合界面において、スポット溶接による局部的な接合と、接着剤による面接合を組み合わせることで、係止ブロックと締結本体とを理想的に接合して、二次電池セルの膨張等に起因する剪断応力に対する抗力を高め、電池積層体の締結の信頼性を向上できる。
【0031】
本発明の他の態様に係る電源装置は、局部的接合領域を、係止ブロックの延長方向に沿って複数箇所に配置している。
【0032】
上記構成により、係止ブロックの延長方向に沿って複数箇所に局部的接合領域を設けて、係止ブロックと締結部材を複数箇所で局部的に接合することで、剪断応力の集中を回避しながら、係止ブロックと締結主面との接合強度を向上させて信頼性を向上できる利点が得られる。
【0033】
本発明の他の態様に係る電源装置は、エンドプレートが、嵌合部の底面において、雌ねじ穴を開口しており、締結部材は、エンドプレートを締結した状態で、雌ねじ穴と一致するように貫通孔を開口しており、貫通孔に挿通されたボルトを雌ねじ穴に螺合して、係止ブロックをエンドプレートの嵌合部に固定している。
【0034】
上記構成により、係止ブロックを確実にエンドプレートに固定しながら、ボルトとストッパ部との両方で係止ブロックの位置ずれを確実に阻止できる。それは、ボルトが係止ブロックを嵌合部の底面に押し付けて固定して、ストッパ部で確実に位置ずれを阻止できると共に、ボルトの軸力によっても位置ずれを阻止できるからである。
【0035】
本発明の他の態様に係る電源装置は、複数個の貫通孔を係止ブロックの延長方向に沿って第一直線上に配置しており、局部的接合領域を、第一直線上であって、貫通孔同士の間または外側に配置している。
【0036】
本発明の他の態様に係る電源装置は、複数個の貫通孔を係止ブロックの延長方向に沿って第一直線上に配置しており、局部的接合領域を、第一直線よりも、電池積層体側に配置している。
【0037】
上記構成により、締結部材に開口された貫通孔と局部的接合領域との距離を大きくして、応力の集中を緩和できると共に、局部的接合領域の面積を広く確保することが可能となる。このため、局部的な接合面積を大きくして連結強度を高めることができる。また、局部的接合領域をストッパ部に接近して設けることで、係止ブロックとストッパ部との係止状態を良好にして、より確実に支持できる。
【0038】
本発明の他の態様に係る電源装置は、貫通孔が、締結本体に開口された第一貫通孔と、係止ブロックに開口された第二貫通孔で構成されており、第一貫通孔はボルトの頭部を通過できる内径であり、第二貫通孔はボルトのネジ部を通過できるが、頭部を通過できない内径としている。
【0039】
上記構成により、締結部材に設けた貫通孔にボルトを挿通してエンドプレートに螺合する際に、締結本体に設けた第一貫通孔に対して、ボルトの頭部を通過できるので、ボルトの頭部が電源装置の側面から突出する量を低減して電源装置を外形を小さくすることができる。とくに、以上の電源装置は、締結本体を係止ブロックに対して面接合領域で接合するので、締結本体に開口する第一貫通孔を大きな内径に開口しつつも、締結本体と係止ブロックとの接合を確実に接合して締結時における剪断応力に対する耐性を十分にできる。
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0041】
実施形態に係る電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に搭載されて走行用モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。以下の例では、電動車両の駆動用の電源装置に適用した実施形態について、説明する。
【0042】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る電源装置100の斜視図を
図1に、その分解斜視図を
図2に、
図1の電源装置100のIII-III線における水平断面図を
図3に、
図3の要部拡大図を
図4に、
図2の締結部材4を示す斜視図を
図5に、
図5の締結部材4を背面から見た斜視図を
図6に、
図6に示す締結部材の拡大分解斜視図を
図7に、締結部材4の製造工程を示す模式図を
図8に、それぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10と、この電池積層体10の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4とを備える。
【0043】
電池積層体10は、正負の電極端子2を備える複数の二次電池セル1と、これら複数の二次電池セル1の電極端子2に接続されて、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続するバスバー(図示せず)を備える。これらのバスバーを介して複数の二次電池セル1を並列や直列に接続している。二次電池セル1は、充放電可能な二次電池である。電源装置100は、複数の二次電池セル1が並列に接続されて並列電池グループを構成すると共に、複数の並列電池グループが直列に接続されて、多数の二次電池セル1が並列かつ直列に接続される。
図1~
図3に示す電源装置100は、複数の二次電池セル1を積層して電池積層体10を形成している。また電池積層体10の両端面には一対のエンドプレート3が配置される。このエンドプレート3同士に、締結部材4の端部を固定して、積層状態の二次電池セル1を加圧状態に固定する。
【0044】
(二次電池セル1)
二次電池セル1は、幅広面である主面の外形を四角形とする角形電池であって、幅よりも厚さを薄くしている。さらに、二次電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただ、本発明は、二次電池セルを角形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。二次電池セルには、充電できる全ての電池、たとえばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水素二次電池セルなども使用できる。
【0045】
二次電池セル1は、
図2に示すように、正負の電極板を積層した電極体を外装缶1aに収納して、電解液を充填して気密に密閉している。外装缶1aは、底を閉塞する四角い筒状に成形しており、この上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザ光を照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザ溶接して気密に固定している。
【0046】
(電極端子2)
二次電池セル1は、天面である封口板1bを端子面1Xとして、この端子面1Xの両端部に正負の電極端子2を固定している。電極端子2は、突出部を円柱状としている。ただ、突出部は、必ずしも円柱状とする必要はなく、多角柱状又は楕円柱状とすることもできる。
【0047】
二次電池セル1の封口板1bに固定される正負の電極端子2の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、二次電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子2をバスバーで接続することで、隣接する二次電池セル1同士を直列に接続できるようにしている。
【0048】
(電池積層体10)
複数の二次電池セル1は、各二次電池セル1の厚さ方向が積層方向となるように積層されて電池積層体10を構成している。電池積層体10は、正負の電極端子2を設けている端子面1X、
図2においては封口板1bが同一平面となるように、複数の二次電池セル1を積層している。
【0049】
電池積層体10は、隣接して積層される二次電池セル1同士の間に、絶縁スペーサ11を介在させてもよい。絶縁スペーサ11は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作されている。絶縁スペーサ11は、二次電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状とする。この絶縁スペーサ11を互いに隣接する二次電池セル1の間に積層して、隣接する二次電池セル1同士を絶縁できる。なお、隣接する二次電池セル1間に配置されるスペーサとしては、二次電池セル1とスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状のスペーサを用いることもできる。また、二次電池セル1の表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブで二次電池セルの電極部分を除く外装缶の表面を熱溶着させてもよい。この場合は、絶縁スペーサを省略してもよい。また、複数の二次電池セルを多並列、多直列に接続する電源装置においては、互いに直列に接続される二次電池セル同士の間に絶縁スペーサを介在させて絶縁する一方、互いに並列に接続される二次電池セル同士においては、隣接する外装缶同士に電圧差が生じないので、これらの二次電池セルの間の絶縁スペーサを省略することもできる。
【0050】
さらに、
図2に示す電源装置100は、電池積層体10の両端面にエンドプレート3を配置している。なおエンドプレート3と電池積層体10の間に端面スペーサ12を介在させて、これらを絶縁してもよい。端面スペーサ12も、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作できる。
【0051】
電池積層体10は、隣接する二次電池セル1の正負の電極端子2に金属製のバスバーが接続されて、このバスバーを介して複数の二次電池セル1が並列かつ直列に接続される。電池積層体10は、互いに並列に接続されて並列電池グループを構成する複数の二次電池セル1においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右同じ向きとなるように積層され、互いに直列に接続される並列電池グループを構成する二次電池セル1同士においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右逆向きとなるように複数の二次電池セル1が積層されている。ただ、本発明は、電池積層体を構成する二次電池セルの個数とその接続状態を特定しない。後述する他の実施形態も含めて、電池積層体を構成する二次電池セルの個数、及びその接続状態を種々に変更することもできる。
【0052】
実施形態に係る電源装置100は、複数の二次電池セル1が互いに積層される電池積層体10において、互いに隣接する複数の二次電池セル1の電極端子2同士をバスバーで接続して、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続する。また、電池積層体10とバスバーとの間にバスバーホルダを配置してもよい。バスバーホルダを用いることで、複数のバスバーを互いに絶縁し、かつ二次電池セルの端子面とバスバーとを絶縁しながら、複数のバスバーを電池積層体の上面の定位置に配置できる。
【0053】
(バスバー)
バスバーは、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバーを構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただ、バスバーの金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。
【0054】
(エンドプレート3)
エンドプレート3は、
図1~
図3に示すように、電池積層体10の両端に配置されると共に、電池積層体10の両側面に沿って配置される左右一対の締結部材4を介して締結される。エンドプレート3の外形は、二次電池セル1の外形にほぼ等しく、あるいはこれよりもわずかに大きく、両側の外周面に締結部材4を固定して、電池積層体10の膨化を抑制する四角形の板材である。このエンドプレート3は、全体をアルミニウムやアルミニウム合金、SUS、鉄等の金属製としている。ただし、エンドプレートは、図示しないが、プラスチックに金属板を積層する構造とし、あるいはまた、全体を補強繊維を埋設している繊維強化樹脂成形板としてもよい。
【0055】
エンドプレート3は、二次電池セル1の表面に、端面スペーサ12を介して面接触状態に密着して、二次電池セル1を保持する。電源装置100は、組み立て工程において、電池積層体10の両端部にエンドプレート3を配置し、両端のエンドプレート3をプレス機
(図示せず)で加圧して、二次電池セル1を積層方向に加圧する状態に保持し、この状態でエンドプレート3に締結部材4を固定する。エンドプレート3が締結部材4に固定された後、プレス機の加圧状態は解除される。
【0056】
エンドプレート3は、締結部材4に固定されて電池積層体10の膨化力Pを受け止めて二次電池セル1を保持する。エンドプレート3は、
図4の拡大断面図に示すように、固定される締結部材4に設けている係止ブロック5を確実に連結するために、締結部材4に設けた係止ブロック5を案内する嵌合部3aを両側の外周面に設けている。さらに、エンドプレート3は、嵌合部3aの電池積層体10側に、係止ブロック5と当接するストッパ部3bを設けている。言い換えると、エンドプレート3の両側面には、それぞれ、電池積層体10側の端部から締結部材4に向けて突出するストッパ部3bを設けて、段差形状の嵌合部3aを設けている。また、エンドプレート3は、
図2~
図4に示すように、嵌合部3aの底面3xに、複数の雌ねじ穴3cを設けている。
【0057】
エンドプレート3は、二次電池セル1の膨張によって生じる電池積層方向に拡がろうとする膨化力Pを電池積層体10から受ける。このとき、エンドプレート3に連結される締結部材4の係止ブロック5は、ストッパ部3bとの接触部分において電池積層方向の外側方向に押圧する押圧力Rを受ける。これにより、締結部材4には、係止ブロック5に作用する押圧力Rの反作用として強い引張力Fが作用する。エンドプレート3は、ストッパ部3bと係止ブロック5が接触することにより、締結部材4の引張力Fで係止ブロック5が移動するのを抑制して、二次電池セル1の膨化力Pに耐えながら、締結された状態に保持されている。ストッパ部3bは、係止ブロック5との接触部に作用する締結部材4の引張力Fで変形しない横幅としている。ストッパ部3bの横幅(w)は、締結部材4の引張力Fを考慮して最適値に設定されるが、たとえば、エンドプレート3全体をアルミニウム製として、3mm以上、好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上、最適には8mm以上とする。材料が耐える最大剪断力は最大曲げ力に比較して相当に強く、ストッパ部3bの横幅(w)を以上の範囲とすることで、締結部材4の引張力Fをストッパ部3bの剪断応力で支持して、ストッパ部3bの変形を防止する。
【0058】
さらに、
図4に示すエンドプレート3は、ストッパ部3bの高さ(h)を、係止ブロックの突出量(d)よりも小さくして、ストッパ部3bの先端面と締結部材4の内面との間に隙間14を設けている。この構造は、係止ブロック5の先端面5aを嵌合部3aの底面3xとなるエンドプレート3の側面に密着させて、係止ブロック5の係止面5bを確実にストッパ部3bの支持面3yに当接できる。ただ、エンドプレート3は、図示しないが、ストッパ部の高さ(h)を、係止ブロックの突出量(d)と等しくすることもできる。この場合、ストッパ部の先端面を締結部材の内面に接近させて配置できる。以上のように、ストッパ部3bの高さ(h)は、係止ブロック5の突出量(d)と、ストッパ部3bの先端面と締結部材4の内面との間にできる隙間の間隔を考慮して特定される。
【0059】
(締結部材4)
締結部材4は、両端を電池積層体10の両端面に配置されたエンドプレート3に固定される。複数の締結部材4でもって一対のエンドプレート3を固定し、もって電池積層体10を積層方向に締結している。締結部材4は、
図4~
図7に示すように、電池積層体10の積層方向に延長された平板状の締結本体6と、この締結本体6の長手方向の両端部に固定される係止ブロック5とを備えている。締結本体6は電池積層体10の両側面に対向して配置され、係止ブロック5はエンドプレート3の外周面に設けた嵌合部3aに案内されて固定される。
【0060】
(締結本体6)
締結本体6は、電池積層体10の側面に沿う所定の幅と所定の厚さを有する金属板である。締結本体6は、強い引張力Fに耐える金属板が使用される。締結本体6は、例えば、厚さを1mm~2mmとして肉薄に形成することで締結部材4に作用する引張力Fに耐える強度を実現しつつ、延伸性を実現できる。
図2の締結部材4は、電池積層体10の片側に配置される締結本体6を、電池積層体10の側面を被覆する上下幅の金属板としている。金属板からなる締結本体6は、プレス成形等により折曲加工されて所定の形状に形成される。図に示す締結本体6は、上下の端縁部を折曲加工して、折曲片4aを形成している。上下の折曲片4aは、電池積層体10の左右の両側面において、電池積層体10の上下面を隅部から覆う形状としている。
【0061】
(係止ブロック5)
係止ブロック5は、
図5~
図7に示すように、所定の厚さを有する板状ないし角柱状の金属製としている。図に示す係止ブロック5は、締結本体6よりも肉厚に形成された板状であって、締結本体6の長手方向の両端部の内側面に接合して固定されている。係止ブロック5は、締結本体6に固定された状態で、締結本体6の内側面よりもエンドプレート3の外周面に向かって突出するように形成されている。締結本体6の両端部に固定される一対の係止ブロック5は、エンドプレート3の外側面に沿って設けられており、エンドプレート3の外側面に設けた嵌合部3aに案内されて、ストッパ部3bに係止される大きさと形状としている。この係止ブロック5は、締結部材4をエンドプレート3に連結する状態では、嵌合部3aに案内されてストッパ部3bに係止され、締結部材4を電池積層体10の両側の定位置に配置する。締結部材4は、係止ブロック5をエンドプレート3の嵌合部3aに案内して、ストッパ部3bに係止させて剪断応力に対する耐性を高めている。
【0062】
締結本体6に固定される係止ブロック5の厚さ(d)は、締結本体の内側面からの突出量と等しくなる。したがって、係止ブロック5の厚さ(d)は、ストッパ部3b側の係止面5bを確実にストッパ部3bに当接させて支持できる突出量となるように決定される。また、係止ブロック5の電池積層方向の横幅(H)は、締結本体6に作用する引張力Fで変形しない幅、たとえば、10mm以上に設定される。係止ブロック5は横幅(H)を約10mmよりも厚くして、締結本体6に作用する引張力Fを剪断力で支持できる。このことから、係止ブロック5の横幅(H)は、10mm以上として、締結本体6に作用する引張力Fを剪断力で支持して、充分な強度を実現できる。
【0063】
締結本体6と係止ブロック5には、鉄などの金属板、好ましくは鋼板や鉄、鉄合金、SUS、アルミニウム、アルミニウム合金等が使用できる。係止ブロック5と締結本体6は、好ましくは、同種類の金属とする。これによって、係止ブロック5と締結本体6との溶接を容易に行いつつ、連結強度を高めることができる。
【0064】
ただ、締結部材4は、締結本体6と係止ブロック5とを異種金属で形成することもできる。すなわち、締結部材4は、異種金属からなる係止ブロック5と締結本体6とを互いに接合して連結することもできる。この場合、たとえば、係止ブロックには鉄系の金属を使用して強度を高めつつ、締結本体にはアルミニウム系の金属板を使用して延伸性を高めることができる。
【0065】
(貫通孔4c)
以上の締結部材4は、
図4の拡大断面図に示すように、係止ブロック5をエンドプレート3の嵌合部3aに案内してストッパ部3bに係止されるとともに、複数のボルト8を介してエンドプレート3の外周面に固定される。
図4~
図7に示す締結部材4は、エンドプレート3を締結した状態で係止ブロック5を嵌合部3aにボルト8で固定するために、ボルト8を挿通する貫通孔4cを設けている。ボルト8は、締結部材4を貫通して、エンドプレート3にねじ込まれて、係止ブロック5をエンドプレート3に固定する。この固定構造の電源装置100は、係止ブロック5を確実にエンドプレート3に固定しながら、ボルト8とストッパ部3bとの両方で係止ブロック5の位置ずれを確実に阻止できる。それは、ボルト8が係止ブロック5を嵌合部3aの底面3xに押し付けて固定して、ストッパ部3bで確実に位置ずれを阻止できると共に、ボルト8の軸力によっても位置ずれを阻止できるからである。
【0066】
締結部材4は、ボルト8のネジ部8aを貫通孔4cに挿通して、エンドプレート3に設けた雌ねじ穴3cにねじ込んでエンドプレート3に固定される。図に示す締結部材4は、係止ブロック5を嵌合部3aに案内した状態で、エンドプレート3に設けた雌ねじ穴3cと一致するように、貫通孔4cを開口している。
図5~
図7の締結部材4は、係止ブロック5の延長方向であって、図においては上下方向に所定の間隔で複数の貫通孔4cを開口して設けている。これに応じてエンドプレート3の雌ねじ穴3cも、エンドプレート3の側面に沿って複数個が形成されている。
【0067】
さらに、
図4~
図7に示す締結部材4の貫通孔4cは、締結本体6に開口された第一貫通孔6cと、係止ブロック5に開口された第二貫通孔5cで構成している。図に示す締結部材4は、第一貫通孔6cと第二貫通孔5cとを同心に開口しており、第一貫通孔6cは、ボルト8の頭部8bを通過できる内径とし、第二貫通孔5cは、ボルト8のネジ部8aを通過できるが、頭部8bを通過できない内径としている。この構造の締結部材4は、貫通孔4cにボルト8を挿通してエンドプレート3に固定する際に、ボルト8のネジ部8aを第一貫通孔6cと第二貫通孔5cに通過させて雌ねじ穴3cに螺合しながら、ボルト8の頭部8bを第一貫通孔6cに通過させることができる。
図4に示すボルト8は、頭部8bの厚さを締結本体6の厚さとほぼ等しくしており、エンドプレート3に螺合する状態では、ボルト8の頭部8bの表面と締結部材4の表面とをほぼ同一平面としている。この構造は、ボルト8の頭部8bが電源装置100の側面から突出しない構造として、電源装置100の外形を小さくすることができる。
【0068】
ただ、貫通孔に挿通されるボルトは、頭部の厚さを締結本体よりも厚くして、頭部の一部を締結部材の表面から突出させることもできる。この場合においても、ボルトの頭部が電源装置の側面から突出する量を低減して、電源装置の外形を小さくできる。また、締結部材の貫通孔は、第一貫通孔と第二貫通孔の両方を、ボルトのネジ部を通過できるが、頭部を通過できない内径としてもよい。この場合、第一貫通孔の開口面積を第二貫通孔の開口面積と等しくできるので、係止ブロックと締結本体との接合界面における面接合領域を広くして接着強度を高めることができる。
【0069】
なお、第一貫通孔6cと第二貫通孔5cの内径が異なる締結部材4においては、係止ブロック5を締結本体6に接合する前工程において、締結本体6に第一貫通孔6cを、係止ブロック5に第二貫通孔5cをそれぞれ開口する。その後、係止ブロック5の第二貫通孔5cと締結本体6の第一貫通孔6cが同心となるように係止ブロック5を締結本体6の定位置に接合する。
【0070】
これに対して、第一貫通孔と第二貫通孔とを同じ内径とする締結部材においては、係止ブロックを締結本体に接合する前工程において、締結本体に第一貫通孔を、係止ブロックに第二貫通孔をそれぞれ開口した後、係止ブロックを締結本体の定位置に接合することもできるが、係止ブロックと締結本体とを定位置に接合した後、第一貫通孔と第二貫通孔とを同時に開口してもよい。
【0071】
(接合工程)
以上の締結部材4は、締結本体6の両端部の内側面に係止ブロック5を積層する状態で接合して固定される。係止ブロック5と締結本体6は、その接合界面において、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の一部で接合された局部的接合領域15と、係止ブロック5と締結本体6との接合面積の略全体で接合された面接合領域16とでもって固定されている。係止ブロック5と締結本体6は、局部的接合領域15と面接合領域16においてそれぞれ接合されるが、局部的接合領域15と面接合領域16とではその接合方法が異なる。すなわち、係止ブロック5と締結本体6は、局部的接合領域15と面接合領域16においてそれぞれ異なる接合方法で接合することにより、理想的な連結強度を実現している。係止ブロック5と締結本体6は、局部的接合領域15においては、溶接または機械的接合により接合され、面接合領域16においては、接着剤により接着して接合される。係止ブロック5と締結本体6は、局部的接合領域15による接合と面接合領域16による接合とを組み合わせることで、それぞれの接合方法による特性を生かして優れた連結強度を実現している。
【0072】
(面接合工程)
係止ブロック5と締結本体6は、接合界面において、接合面積の略全体の領域を面接合領域16として互いに接合される。係止ブロック5と締結本体6は、互いに対向する対向面において、面接触する領域を接合界面としており、この接合面積のほぼ全体を面接合領域16としている。係止ブロック5は、締結本体6の内側面と対向する接合面のほぼ全体を面接合領域16としている。また、締結本体6は、
図7の鎖線で示すように、端部の内側面であって、係止ブロック5の接合面と対向する領域を接合界面としており、この接合面積のほぼ全体を面接合領域16としている。
【0073】
係止ブロック5と締結本体6は、面接合領域16において、接着剤17により面接合される。面接合領域16を接合する接着剤17には、金属同士を接着可能な接着剤であって、好ましくは、エポキシ系接着剤を使用する。ただ、接着剤には、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、瞬間接着剤、弾性接着剤等を使用することもできる。さらに、係止ブロック5と締結本体6は、接着剤の一種として粘着剤を使用して面接合領域16で面接合することもできる。このような粘着剤には、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が使用できる。以上の接着剤17は、面接合領域16に対して、刷毛やローラー、スプレー等により簡単かつ容易に塗布することができる。また、粘着剤として、両面テープを使用しても良い。
【0074】
面接合工程は、後述する局部的接合工程の前工程として実施される。また、面接合工程は、前述の貫通孔4cを設ける工程の後工程として実施される。すなわち、
図7に示すように、係止ブロック5の所定の位置に第二貫通孔5cを穿孔し、締結本体6の所定の位置に第一貫通孔6cを穿孔した後、
図7及び
図8Aに示すように、接合界面のほぼ全面であって、貫通孔4cを除く領域を面接合領域16として接着剤17を塗布する。なお、この工程において、接着剤17は、局部的接合領域15を含む全ての領域に塗布することができるが、局部的接合領域15となる領域には接着剤17を塗布することなく、局部的接合領域15を除く全ての領域に接着剤17を塗布しても良い。なお、
図7と
図8Aにおいては、接着剤17を締結本体6の面接合領域16にのみ塗布する例を示している。この場合、第一貫通孔6cを第二貫通孔5cよりも大きく開口する締結部材4においては、第一貫通孔6cの内側の領域に接着剤17が塗布されないので好都合である。ただ、接着剤17は、係止ブロック5の面接合領域16にのみ塗布することも、係止ブロック5と締結本体6の両方に塗布することもできる。いずれか一方又は両方の面接合領域16に接着剤17が塗布された締結本体6と係止ブロック5は、互いに積層されて面接合される。
【0075】
(局部的接合工程)
面接合領域16において面接合された係止ブロック5と締結本体6は、さらにその接合界面において、接合面積の一部の領域を局部的接合領域15として局部的に接合される。係止ブロック5と締結本体6は、係止ブロック5の延長方向に沿って複数の局部的接合領域15が設けられており、これら局部的接合領域15において局部的に接合される。係止ブロック5と締結本体6は、局部的接合工程において、溶接により接合され、あるいは機械的接合により接合される。溶接による局部的接合には、好ましくはスポット溶接が採用される。ただ、溶接による局部的接合には、レーザ溶接やMIG溶接等の溶接を行うこともできる。また、機械的接合による接合には、たとえば、リベット、かしめ、ボルト締結のいずれかによる接合が利用できる。
【0076】
(スポット溶接)
図7は、係止ブロック5と締結本体6とをスポット溶接して局部的に接合する例を示している。スポット溶接は、
図8に示すように、係止ブロック5と締結本体6とを所定の位置で積層して面接合した状態で、局部的接合領域15と対向する表面に溶接電極20を押圧して溶接する。スポット溶接では、好ましくは、
図7のクロスハッチングで示すように、係止ブロック5の延長方向に沿って、図においては上下方向に沿って複数箇所を等間隔に溶接して局部的に接合される。このように、係止ブロック5の長手方向に伸びる接合界面に対して、スポット溶接される局部的接合領域15を等間隔に配置することで、係止ブロック5と締結本体6との接合を均等にして、剪断応力の集中を抑制して連結強度を高めることができる。
【0077】
図7に示す係止ブロック5と締結本体6は、複数個の貫通孔4cを係止ブロック5の延長方向に沿って第一直線L1上に配置しており、複数の局部的接合領域15を、第一直線L1上であって、貫通孔4c同士の間または外側に配置している。このように、締結部材4に開口された貫通孔4c同士の間や外側をスポット溶接して局部的接合領域15を設ける構造は、面接合されない貫通孔4c部分の連結強度の低下を補って係止ブロック5を締結本体6に対してバランス良く接合できる。
【0078】
さらに、局部的接合領域15は、
図9に示すように、複数の貫通孔4cを設けた第一直線L1からオフセットして配置することもできる。この構造は締結本体6に開口された第一貫通孔6cや係止ブロック5に開口された第二貫通孔5cと局部的接合領域15との距離を大きくして、応力の集中を緩和できる。また、貫通孔4c同士を結ぶ第一直線L1上でなく、これとずらした第二直線L2上に局部的接合領域15を位置させることで、局部的な接合のための面積を広く確保することが可能となる。このため、スポット溶接等の局部的な接合を行う場合には接合面積を大きくして連結強度を高めることができる。貫通孔4cは円形のため、オフセットさせることで円形の谷間の領域を有効に活用して広い面積を確保しやすくなり、スポット溶接の面積を大きくできる結果、溶接の接合強度も高められる。
【0079】
またこの際、局部的接合領域15をオフセットさせる方向は、貫通孔4cよりも、電池積層体10側とすることが好ましい。
図9に示す例では、複数個の貫通孔4cを係止ブロック5の延長方向に沿って第一直線L1上に配置しており、複数の局部的接合領域15を、第一直線L1よりも、電池積層体10側、すなわち、ストッパ部3b側にオフセットさせている。このようにすることで、係止ブロック5をストッパ部3bに係止させて支持する際に、二次電池セル1の膨張時の応力を各局部的接合領域15の近傍で受けることが可能となり、もって印加される応力の分散に寄与して締結部材4の剛性を向上させる一助とできる。なお、スポット溶接に代わってレーザ溶接やMIG溶接を採用する場合には、スポット溶接と同様に延長方向に沿って複数箇所を局部的に溶接することもできるが、係止ブロックの延長方向に沿って線状に溶接してもよい。
【0080】
以上の締結部材4は、以下の工程で組み立てられる。
(1)所定の厚さの金属板を所定の長さに裁断し、所定の形状に折曲加工された締結本体6と、所定の厚さの金属板を所定の形状に裁断してなる係止ブロック5とを用意する。
(2)
図7に示すように、締結本体6の両端部に複数の第一貫通孔6cを開口する。複数の第一貫通孔6cは、エンドプレート3に設けた雌ねじ穴3cと一致するように所定の間隔で設けられる。また、係止ブロック5に複数の第二貫通孔5cを開口する。複数の第二貫通孔5cは、締結本体6に設けた第一貫通孔6cに対して中心が一致するように所定の間隔で開口される。
(3)
図7及び
図8Aに示すように、締結本体6の両端部の内側面であって、係止ブロック5との接合界面となる領域(
図7において鎖線で表示)を面接合領域16として接着剤17を塗布する。このとき、接着剤17は、局部的接合領域15となる一部の領域を除く領域にのみ塗布しても良い。また、接着剤17は、係止ブロック5の接合面に塗布しても良い。
(4)
図8Bに示すように、面接合領域16に接着剤が塗布された締結本体6と係止ブロック5とを互いに積層して面接合させる。
(5)面接合により積層状態に連結された締結本体6と係止ブロック5とを、
図8Bに示すようにスポット溶接して局部的に接合する。係止ブロック5と締結本体6は、
図7や
図9のクロスハッチングで示すように、係止ブロック5の延長方向に沿ってスポット溶接され、複数の局部的接合領域15において局部的に接合される。
(6)スポット溶接により局部的に接合された係止ブロック5と締結本体6は、
図8Cに示すように、接合界面において密着状態に保持される。この状態で、面接合領域16に塗布された接着剤17が経時的に硬化される。
【0081】
(機械的接合)
さらに、係止ブロック5と締結本体6は、機械的接合により局部的に接合することもできる。機械的接合による一例として、リベットによる接合を
図10と
図11に示す。これらの図に示す締結部材4は、係止ブロック5と締結本体6とをリベット9で連結するために、リベット9を挿通する貫通孔4dを設けている。図に示す貫通孔4dは、締結本体6に開口された第一貫通孔6dと、係止ブロック5に開口された第二貫通孔5dで構成している。第一貫通孔6cと第二貫通孔5cは、同心に開口されており、リベット9の筒部9aを通過できるが、フランジ部9bを通過できない内径としている。さらに、図の係止ブロック5は、第二貫通孔5cに挿通されるリベット9のフランジ部9bが係止ブロック5の先端面5aから突出しないように、第二貫通孔5cの開口縁の周囲に沿って、フランジ部9bを収納する内径の段差凹部5eを形成している。
【0082】
この構造の締結部材4は、
図10及び
図11に示すように、面接合工程の前工程として、係止ブロック5と締結本体6とに貫通孔4dを設けると共に、面接合工程において係止ブロック5と締結本体6とを接着剤17で面接合した後、局部的接合工程において係止ブロック5と締結本体6とをリベット9で局部的に接合する。局部的接合工程では、第二貫通孔5dと第一貫通孔6dにリベット9の筒部9aを挿通するとともに、筒部9aの先端部をかしめ加工してかしめ部9cを設け、フランジ部9bとかしめ部9cで、係止ブロック5と締結本体6とを密着状態に挟着して接合する。この状態で、リベット9のフランジ部9bは、係止ブロック5の第二貫通孔5dの開口縁部に設けた段差凹部5eの内部に収納されて係止ブロック5の先端面5aから突出しないように配置される。
【0083】
以上のようにして、係止ブロック5と締結本体6が、リベット9を介して機械的に接合される。さらに、係止ブロック5と締結本体6は、リベット9と同様にして、ボルト締結により局部的に接合することができ、あるいはかしめ加工により局部的に接合することもできる。
【0084】
以上のように、面接合領域16において接着剤17で面接合し、局部的接合領域15において溶接又は機械的接合により局部的に接合する接合方法は、係止ブロック5と締結本体6とを理想的に接合できる特長がある。一般に、溶接や機械的な接合では、局部的に強く接合できるが、その接合部分の面積や数に制約を受ける。たとえば、広い面積にわたって局部的な接合を行おうとすると、接合箇所を増やす必要があり、あるいは広い範囲を接合できるように溶接や機械的な接合手段を考慮する必要があり、製造にかかる手間が増え、製造コストが高くなる欠点がある。このため、限られた一部の領域においてのみ局部的に接合する結果、剪断応力が集中して破断するおそれがでてくる。
【0085】
また、接着剤による接合では、単位面積あたりの接合強度が溶接や機械的接合に比べて低くなる傾向にあるが、接合面積の略全体の領域、言い換えると接合界面のほぼ全面を接着剤で接着することでその接合強度を高めている。とくに、接着剤による接合では、接合界面のほぼ全体にわたって、簡単かつ容易に接着剤を塗布することができる。さらに、接着剤による接合では、剥離や割裂に対する接着強度は弱くなるが、引張りや剪断に対する接着強度は強くなる。すなわち、係止ブロック5と締結本体6とを、横ずれする方向に対する接着強度を強くできる。ここで、締結部材4においては、係止ブロック5と締結本体6の接合界面における剪断応力に対する耐性が求められるため、接着剤17による面接合のように、係止ブロック5と締結本体6の横ずれ方向に対する接着強度が強いことで、優れた連結強度を保証できる。
【0086】
また、溶接や機械的接合においては、接合面積の一部を局部的に接合するため、接合界面における局部的接合領域15以外の領域は広くなり、この広い領域である面接合領域16を接着剤17による面接合により接合することで接合界面のほぼ全面にわたっての接合をカバーしつつ、局部的接合領域15を溶接又は機械的接合で接合することで、接着剤17のみによる面接合に比較して、より優れた接合強度を実現できる。また、溶接や機械的接合による接合では、接着剤17のように硬化するまでの時間を必要とせず、接合直後において優れた接合強度を実現できる。したがって、面接合において広い面積にわたって塗布される接着剤17が未硬化の状態であっても、局部的な接合により係止ブロック5と締結本体6は密着した接合状態に保持されることになり、面接合された係止ブロック5と締結本体6とを十分な時間をかけて接着剤17を確実に硬化させてより強固に接合することが可能となる。
【0087】
以上のように、本発明では、接着剤による面接合と、溶接又は機械的接合による局部的な接合とを組み合わせることで、互いの接合方法の欠点を補いながら、それぞれの接合方法が持つ利点を最大限に生かして、係止ブロックと締結本体とを優れた連結強度となるように接合できる特徴が実現できる。
【0088】
以上の締結部材4は、
図3と
図4に示すように、係止ブロック5がエンドプレート3の嵌合部3aに案内されて、係止ブロック5をストッパ部3bに係止する状態で定位置に配置される。さらに、係止ブロック5はボルト8を介してエンドプレート3に固定されて、一対のエンドプレート3を締結部材4で連結する。
【0089】
以上のように、多数の二次電池セル1を積層している電源装置100は、複数の二次電池セル1からなる電池積層体10の両端に配置されるエンドプレート3を締結部材4で連結することで、複数の二次電池セル1を拘束するように構成されている。複数の二次電池セル1を、高い剛性をもつエンドプレート3や締結部材4を介して拘束することで、充放電や劣化に伴う二次電池セル1の膨張、変形、相対移動、振動による誤動作などを抑制できる。
【0090】
(絶縁シート13)
また、締結部材4と電池積層体10の間には、絶縁シート13が介在される。絶縁シート13は絶縁性を備える材質、例えば樹脂などで構成され、金属製の締結部材4と二次電池セル1との間を絶縁している。
図2等に示す絶縁シート13は、電池積層体10の側面を覆う平板部13aと、この平板部13aの上下にそれぞれ設けられた折曲被覆部13b、13cとで構成される。上下の折曲被覆部13b、13cは、締結部材4の折曲片4aを覆うように、平板部13aからL字状に折曲している。これにより締結部材4は、内面全体を絶縁性の絶縁シート13で被覆することにより、二次電池セル1と締結部材4の意図しない導通を回避することができる。
【0091】
以上の電源装置100は、以下の工程で組み立てられる。
(1)所定の個数の二次電池セル1を、間に絶縁スペーサ11を介在させる状態で、二次電池セル1の厚さ方向に積層して電池積層体10とする。
(2)電池積層体10の両端にエンドプレート3を配置し、一対のエンドプレート3を両側からプレス機(図示せず)で押圧して、エンドプレート3でもって、電池積層体10を所定の圧力で加圧し、二次電池セル1を圧縮して加圧状態に保持する。
(3)電池積層体10をエンドプレート3で加圧する状態で、一対のエンドプレート3に締結部材4を連結して固定する。締結部材4は、両端部の係止ブロック5が一対のエンドプレート3の嵌合部3aに案内されるように配置されると共に、係止ブロック5を貫通するボルト8をエンドプレート3の雌ねじ穴3cにねじ込んで固定される。固定後、加圧状態は開放される。これにより、締結部材4に作用する引張力により、係止ブロック5はエンドプレート3のストッパ部3bに係止された状態に保持される。
(4)電池積層体10の両側部において、互いに隣接する二次電池セル1の対向する電極端子2同士をバスバー(図示せず)で連結する。バスバーは、電極端子2に固定されて、二次電池セル1を直列に接続し、あるいは直列と並列に接続する。バスバーは、電極端子2に溶接され、あるいはネジ止めされて電極端子2に固定される。
【0092】
以上の電源装置は、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源として利用できる。電源装置を搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置100を構築した例として説明する。
【0093】
(ハイブリッド車用電源装置)
図12は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。なお、車両HVは、
図12に示すように、電源装置100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電源装置100を充電できる。
【0094】
(電気自動車用電源装置)
また、
図13は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電源装置100を充電できる。
【0095】
(蓄電装置用の電源装置)
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。
図14は、電源装置100の電池を太陽電池82で充電して蓄電する蓄電装置を示す。
【0096】
図14に示す蓄電装置は、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で電源装置100の電池を充電する。この蓄電装置は、太陽電池82を充電用電源として充電回路83で電源装置100の電池を充電した後、DC/ACインバータ85を介して負荷86に電力を供給する。このため、この蓄電装置は、充電モードと放電モードを備えている。図に示す蓄電装置は、DC/ACインバータ85と充電回路83を、それぞれ放電スイッチ87と充電スイッチ84を介して電源装置100と接続している。放電スイッチ87と充電スイッチ84のON/OFFは、蓄電装置の電源コントローラ88によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ88は充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をOFFに切り替えて、充電回路83から電源装置100への充電を許可する。また、充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で、電源コントローラ88は充電スイッチ84をOFFに、放電スイッチ87をONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷86への放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をONにして、負荷86への電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0097】
さらに、電源装置は、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0098】
以上のような蓄電装置は、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係る電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置、電源装置用締結部材、電源装置の製造方法、電源装置用締結部材の製造方法は、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置が挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0100】
100…電源装置、1…二次電池セル、1X…端子面、1a…外装缶、1b…封口板、2…電極端子、3…エンドプレート、3a…嵌合部、3x…底面、3y…支持面、3b…ストッパ部、3c…雌ねじ穴、4…締結部材、4a…折曲片、4c…貫通孔、4d…貫通孔、5…係止ブロック、5a…先端面、5b…係止面、5c…第二貫通孔、5d…第二貫通孔、5e…段差凹部、6…締結本体、6c…第一貫通孔、6d…第一貫通孔、8…ボルト、8a…ネジ部、8b…頭部、9…リベット、9a…筒部、9b…フランジ部、9c…かしめ部、10…電池積層体、11…絶縁スペーサ、12…端面スペーサ、13…絶縁シート、13a…平板部、13b、13c…折曲被覆部、14…隙間、15…局部的接合領域、16…面接合領域、17…接着剤、20…溶接電極、81…建物、82…太陽電池、83…充電回路、84…充電スイッチ、85…DC/ACインバータ、86…負荷、87…放電スイッチ、88…電源コントローラ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、HV、EV…車両。