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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】粒子を含有するガス状媒体の浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/70 20060101AFI20240109BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20240109BHJP
   B03C 3/41 20060101ALI20240109BHJP
   B03C 3/011 20060101ALI20240109BHJP
   B03C 3/019 20060101ALI20240109BHJP
   B03C 3/155 20060101ALI20240109BHJP
   B03C 3/15 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B03C3/70 Z
B03C3/40 A
B03C3/41 A
B03C3/011
B03C3/019
B03C3/155 A
B03C3/15
B03C3/41 H
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021520469
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 FR2019051436
(87)【国際公開番号】W WO2019243715
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】1855583
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520503201
【氏名又は名称】トゥボール,ダニエル
(73)【特許権者】
【識別番号】520503212
【氏名又は名称】アルトゥーグル,エムラハ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥボール,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥーグル,エムラハ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0115410(US,A1)
【文献】特表2003-509615(JP,A)
【文献】特開昭53-098573(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105649715(CN,A)
【文献】特開2013-124556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含むガス状媒体を浄化するための浄化装置であって、
端部において端部プレート(31)によって閉じられたケーシング(11)であって、端部プレートが、放出構造体の端部の内の1つを囲む別個のシェル(70)であって、前記端部プレート(31)に向かって配向されたキャビティを有する別個のシェル(70)で保護され、前記シェル(70)が前記ケーシング(11)内に配置されるケーシング(11)と、
静電濾過チャンバ(20)であって、チャンバへのガス状媒体の入口(14)とチャンバからの出口(15)との間に、前記ケーシング(11)内に延在する、粒子を含むガス状媒体のための通路を有し、前記チャンバが、
収集構造体(50)に向かって方向付けられた先端(47)を形成する鋸歯状プレート(42)を具備する放出構造体(40)と、
前記放出構造体(40)の両側にあり、ガス状媒体に含まれる粒子を捕捉するように構成される、前記収集構造体(50)と、を具備する静電濾過チャンバ(20)と、
を備える浄化装置であって、
前記端部プレート(31)および前記シェル(70)が各々、前記端部プレート(31)の近傍に前記通路に向かって方向付けられた反発電界を形成するように、異なる所定の電位にされることを特徴とする、浄化装置。
【請求項2】
前記端部プレート(31)はゼロ電位にされ、前記シェル(70)は-10KV~-25KVの負の電位にされることを特徴とする、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
前記端部プレート(31)と前記シェル(70)との間の電位差が-35KV~0KVであることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項4】
前記シェル(70)は、その端部の内の1つにおいてルーフ(71)によって閉じられた円形壁(72)によって形成されたベル形状を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項5】
前記ケーシング(11)は円形であり、前記端部プレートは、円筒状部品(30)の端部ディスク(31)で形成され、円筒状部品が前記端部ディスク(31)から突出する第2の管状部分(33)および第1の管状部分(32)を備え、前記第1の管状部分(32)および前記第2の管状部分(33)は、前記端部ディスク(31)に対して互いに対向した関係を有し、前記第1の管状部分(32)は前記ケーシング(11)の内側に配置され、前記第2の管状部分(33)は前記ケーシング(11)の外側に配置され、前記端部ディスク(31)は、前記円筒状部品(30)内に内部通路を前記第1の管状部分(32)と前記第2の管状部分(33)との間に形成する中央開口部(34)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項6】
前記第1の管状部分(32)は、前記シェル(70)に入り、ガスの流れのためのシケイン(76)を形成することを特徴とする、請求項5に記載の浄化装置。
【請求項7】
前記端部ディスク(31)は、前記第1の管状部分(32)の外径よりも大きく、前記第2の管状部分(33)の外径よりも大きい外径を有し、
前記第1の管状部分(32)の外径は、前記第2の管状部分(33)の外径よりも小さいことを特徴とする、請求項5または6に記載の浄化装置。
【請求項8】
前記鋸歯状プレート(42)は、前記円筒状部品(30)の前記内部通路を通過する中央シャフト(41)によって支持され、前記中央シャフト(41)は、安定化高電圧を供給する回路(80)に接続され、シャフトの端部の各々において前記中央シャフト(41)を囲む絶縁体(44)によって支持され、前記絶縁体(44)は、前記円筒状部品(30)を前記中央シャフト(41)から電気的に保護するように前記円筒状部品(30)の前記第2の管状部分(33)内に配置されることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項9】
前記シェル(70)は前記中央シャフト(41)に締結され、前記シェル(70)は前記中央シャフト(41)と等しい前記安定化電圧にされることを特徴とする、請求項8に記載の浄化装置。
【請求項10】
前記中央シャフト(41)の前記安定化電圧は負である、または前記安定化高電圧は-10KV~-25KVであることを特徴とする、請求項8または9のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項11】
前記放出構造体(40)は、前記放出構造体(40)の電位にされることが可能な少なくとも1つの導電性フィラメント(62)を備え、前記少なくとも1つの導電性フィラメント(62)は、少なくとも2つの前記鋸歯状プレート(42)の少なくとも1つの前記先端(47)と共に接続することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフィラメント(62)は、全ての前記鋸歯状プレート(42)の前記先端(47)を接続することを特徴とする、請求項11に記載の浄化装置。
【請求項13】
粒子を含むガス状媒体を浄化する浄化装置であって、
エンベロープ(11)と、
静電濾過チャンバ(20)であって、チャンバ内へのこの媒体の入口と後者の出口との間に、前記エンベロープ内に延在する、粒子を含むガス状媒体のための通路を有し、前記チャンバが、
通路内に配置され、収集構造体に向かって方向付けられた先端(47)を形成する鋸歯状プレート(42)を具備する放出構造体(40)と、
前記放出構造体の両側に配置され、ガス状媒体に含まれる粒子を捕捉するように構成される、前記収集構造体(50)と、を具備する静電濾過チャンバ(20)と、
を備える浄化装置であって、
前記放出構造体は、少なくとも1つのフィラメント(62)を備え、少なくとも1つのフィラメント(62)が、電気を伝導し、前記放出構造体の電位にされることが可能であり、
前記少なくとも1つのフィラメント(62)は、少なくとも2つの前記鋸歯状プレート(42)の少なくとも1つの前記先端(47)を共に接続することを特徴とする、浄化装置。
【請求項14】
前記鋸歯状プレート(42)は、各々、前記少なくとも1つの導電性フィラメント(62)を通過させる少なくとも1つの開口部(61)を備えることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフィラメント(62)は、前記鋸歯状プレート(42)を支持する中央シャフト(41)であって、安定化高電圧を供給する回路(80)に接続される中央シャフト(41)に電気的に接続されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項16】
前記放出構造体(40)は、円形配置で前記放出構造体(40)を囲む複数の前記平行なフィラメント(62)を備えることを特徴とする、請求項11~15のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項17】
前記鋸歯状プレート(42)は、前記フィラメント(62)と同数の前記開口部(61)を備えることを特徴とする、請求項14に従属する請求項15に記載の浄化装置。
【請求項18】
前記鋸歯状プレート(42)は星形であり、すなわち、円形の中央支持体(45)の周囲には三角形のアーム(46)が設けられ、アームの端部が前記先端(47)を形成することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項19】
前記鋸歯状プレート(42)はプロペラ形の有孔ワッシャ(43)と交互に配置されることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項20】
前記入口(14)および前記出口(15)は各々、前記通路の軸線に対して或る角度を形成し、前記通路内でサイクロン効果を発生させることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項21】
前記入口(14)および前記出口(15)は直径方向に対向することを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項22】
前記収集構造体(50)は、前記ケーシング(11)の前記端部プレート(31)の各々まで延在することを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の浄化装置。
【請求項23】
内燃機関の排気ガスを浄化するための、請求項1~22のいずれか一項に規定の浄化装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粉塵の粒子、あらゆる種類の排気ガス中の懸濁した有機粒子、特に産業用ボイラー、産業用オーブンを備えた煙突、ディーゼルエンジン等からの粒子など、あらゆる種類の、粒子を含むガス状媒体の浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、粒子を含むガス状媒体、より具体的には、内燃機関の排気ガスを浄化するための、この種の装置を既に提案している(具体的には国際公開第01/19525号の特許出願参照)。
【0003】
この処理装置は、コロナ効果の単一または複数の電気フィルタを備え、この電気フィルタは、ガスを処理するための、長手方向の通路が延在する円筒形の縦型ケーシングと、通路の中心で長手方向に延在する放出構造体と、通路とケーシングとの間で長手方向に延在し、かつガス状媒体に含まれる粒子を捕捉するための部位を形成する複数のキャビティを備える収集構造体(ステンレス鋼金属メッシュ、指定されたカートリッジによって形成される)とを備え、放出構造体は、長手方向に対して横方向に配置され、収集構造体に向かって方向付けられた先端を形成する、複数の鋸歯状プレートを備える。これらの鋸歯状プレートは、安定化された高電圧を供給する回路に接続された剛性のシャフトによって支持され、その端部の各々はベル形のカバー(ベル)によって保護された絶縁体によって支持される。ガラス状のセラミック(誘電体)から形成された絶縁体は各々、その長手方向の両端でケーシングの開口部を遮断する端部ディスクを備える。
【0004】
この装置は完全に満足できるものであるが、帯電した煤粒子などの粒子が、特に端部ディスクの位置で絶縁体上に堆積されるようになり、それによって、電気アークの形成の原因となる煤の層を形成し、これが濾過装置の有効性を低下させ、時には装置を停止させることを必要とすることが起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2001/19525号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に有効性に関して改善された性能を有し、さらに他の利点につながる、同じ種類の装置を提供することを対象とする。
【0007】
また、本発明は、簡便で維持管理が容易な浄化装置を作製することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明は、粒子を含有するガス状媒体を浄化するための浄化装置であって、
両端部において端部プレートによって閉じられたケーシングであって、端部プレートが、放出構造体の端部の内の1つを囲む別個のシェルであって、かつ前記端部プレートに向かって配向されたキャビティを有する、別個のシェルで保護され、前記シェルが前記ケーシング内に配置されるケーシングと、
静電濾過チャンバであって、チャンバへのガス状媒体の入口とチャンバからの出口との間に、前記ケーシング内に延在する、粒子を含むガス状媒体のための通路を有し、前記チャンバが、
収集構造体に向かって方向付けられた先端を形成する鋸歯状プレートを備える放出構造体と、
前記放出構造体の両側にあり、ガス状媒体に含まれる粒子を捕捉するように構成される前記収集構造体と、を備える静電濾過チャンバ(20)と、
を備え、
前記端部プレートおよび前記シェルが各々、前記端部プレートの近傍に、前記通路に向かって方向付けられた反発電界を形成するように、異なる所定の電位にされることを特徴とする浄化装置を提供する。
【0009】
本発明による装置は、ケーシングの各端部に、端部プレート/シェルの組立体を、その配置および端部プレートとシェルとの間の電位差によって有し、各端部プレートの近傍に反発電界を作り出すことを可能にする。この反発電界は、静電濾過チャンバの通路に向かって方向付けられ、したがって、粒子は、端部プレートから押し出され、静電濾過チャンバの通路に向かって方向付けられる。
【0010】
上述した従来の装置とは異なり、本発明の浄化装置によれば、端部プレートへの煤粒子の堆積および凝集を回避することができ、したがって、特に浄化装置の有効性の低下の原因となる、端部プレートの電気アークの形成が回避されることに留意されたい。
【0011】
さらに、これらの提供により、維持管理が容易な装置を製造することができ、加えて、浄化装置を定期的に解体して端部プレートを洗浄することが回避されるため、浄化装置の維持管理コストを低減することが可能となる。
【0012】
本発明による装置の有利な特徴によれば、
前記端部プレートはゼロ電位にされ、前記シェルは-10KV~-25KVの負の電位にされ、
前記端部プレートと前記シェルとの間の電位差が-35KV~0KVであり、
前記シェルは、その端部の内の1つにおいてルーフによって閉じられた円形壁によって形成されたベル形状を有し、
前記ケーシングは円形であり、前記端部プレートは、円筒状部品の端部ディスクで形成され、円筒状部品が前記端部ディスクから突出する、第1の管状部分および第2の管状部分を備え、前記第1の管状部分および前記第2の管状部分は、前記端部ディスクに対して互いに対向した関係を有し、第1の管状部分は前記ケーシングの内側に配置され、第2の管状部分は前記ケーシングの外側に配置され、前記端部ディスクは、前記円筒状部品内に内部通路を前記第1の管状部分と前記第2の管状部分との間に形成する中央開口部をさらに備え、
前記第1の管状部分は、前記シェルに入り、ガス流れのためのシケインを形成し、
前記鋸歯状プレートは、前記円筒状部品の前記内部通路を通過する中央シャフトによって支持され、前記中央シャフトは、安定化高電圧を供給する回路に接続され、そのシャフトの端部の各々において前記中央シャフトを囲む絶縁体によって支持され、前記絶縁体は、前記円筒状部品を前記中央シャフトから電気的に保護するように前記円筒状部品の前記第2の管状部分内に配置され、
前記シェルは前記中央シャフトに締結され、前記シェルは前記中央シャフトと同じ前記安定化電圧にされ、
前記中央シャフトの前記安定化電圧は負で、好ましくは-10KV~-25KVであり、
前記放出構造体は、前記放出構造体の電位にされることが可能な少なくとも1つの導電性フィラメントを備え、前記少なくとも1つのフィラメントは、少なくとも2つの前記鋸歯状プレートの少なくとも1つの前記先端と接続し、
前記少なくとも1つのフィラメントは、すべての前記鋸歯状プレートの前記先端を接続し、
前記鋸歯状プレートは各々、前記少なくとも1つの導電性フィラメントを通過させる少なくとも1つの開口部を備え、
前記少なくとも1つのフィラメントは、前記鋸歯状プレートを支持する中央シャフトであって、かつ安定化高電圧を供給する回路に接続される、中央シャフトに電気的に接続され、
前記放出構造体は、円形配置で前記放出構造体を囲むいくつかの前記平行なフィラメントを備え、
前記鋸歯状プレートは、前記フィラメントと同数の前記開口部を備え、
前記鋸歯状プレートは星形であり、すなわち、円形の中央支持体の周囲には三角形のアームが設けられ、そのアームの端部が前記先端を形成し、
前記鋸歯状プレートはプロペラ形の有孔ワッシャと交互に配置され、
前記入口および前記出口は各々、前記通路の軸線に対して或る角度を形成し、前記通路内でサイクロン効果を発生させ、
前記入口および前記出口は直径方向に対向し、かつ、
前記収集構造体は、前記ケーシングの前記端部プレートの各々まで延在する。
【0013】
本発明はまた、内燃機関の排気ガスを浄化するために、上記で規定された浄化装置の使用を提供する。
【0014】
第2の態様によれば、本発明は、特に有効性に関して改善された性能を有し、性能を劣化させる影響がある放出構造体の先端への粒子の堆積を可能な限り回避し、かつさらに他の利点につながる、装置を提供することを対象とする。
【0015】
そのために、本発明は、粒子を含むガス状媒体の浄化装置であって、
ケーシングと、
静電濾過チャンバであって、チャンバへのガス状媒体の入口とチャンバからの出口との間に、前記ケーシング内に延在する、粒子を含むガス状媒体のための通路を有し、前記チャンバが、
通路内に配置され、収集構造体に向かって方向付けられた先端を形成する鋸歯状プレートを備える放出構造体と、
前記放出構造体の両側に位置し、ガス状媒体に含まれる粒子を捕捉するように構成される、収集構造体とを備える静電濾過チャンバと、
を備え、
前記放出構造体が、前記放出構造体の電位にされることが可能な少なくとも1つの導電性フィラメントを備え、前記少なくとも1つのフィラメントが、少なくとも2つの前記鋸歯状プレートの少なくとも1つの前記先端と接続することを特徴とする装置を提供する。
【0016】
本発明による装置は、2つの先端の間で放出構造体の電位にされるフィラメントによって、2つの先端を接続する導電性電気ブリッジを形成することを可能にする。このフィラメントは、非常に単純に、鋸歯状プレートの先端によって既に生成されたコロナ効果に追加するコロナ効果(電界が破壊勾配に達したときのガスのイオン化)を生成するため、浄化装置の有効性を改善する。
【0017】
さらに、フィラメントを通過する電流は、熱の形でエネルギーを消散させ(ジュール効果)てフィラメントを白熱させるため、先端に堆積する粒子を燃焼させることが観察されている。したがって、放出構造体の先端に粒子が堆積して凝集することが回避されるため、先端を清浄に保つことができ、最適なコロナ効果を発生させる。
【0018】
さらに、これらの提供により、維持管理が容易な装置を製造することができ、加えて、放出構造体の先端を定期的に洗浄することが回避されるため、浄化装置の維持管理コストを低減することが可能となる。
【0019】
実装形態の有利な特徴によれば、
前記少なくとも1つのフィラメントは、好ましくは0.5mmの所定の直径を有し、
前記鋸歯状プレートは各々、前記少なくとも1つの導電性フィラメントを通過させる少なくとも1つの開口部を備え、
鋸歯状プレートの前記少なくとも1つの開口部は、前記先端から0.5mm~2mm、好ましくは1mmの所定の距離に位置し、
前記通路は長手方向に延在し、前記鋸歯状プレートは横方向に配置されて安定化高電圧回路に接続された中央シャフトによって支持され、前記少なくとも1つのフィラメントの端部の各々は前記中央シャフトに電気的に接続され、
前記鋸歯状プレートは星形であり、すなわち、円形の中央支持体の周囲には三角形のアームが設けられ、そのアームの端部が前記先端を形成し、前記アームは各々、前記フィラメントを受容することができる前記開口部を先端の位置に備え、
前記鋸歯状プレートは、プロペラ形状の有孔クラウンまたはワッシャと交互に配置され、プロペラ形状の各々が前記少なくとも1つのフィラメントを通過させる少なくとも1つの開口部を備え、
有孔クラウンまたはワッシャの前記少なくとも1つの開口部は、前記先端から0.5mm~2mm、好ましくは1mmの所定の間隔で位置し、
前記少なくとも1つのフィラメントは、タングステンまたはステンレス鋼のフィラメントであり、
前記鋸歯状プレートは全て同数の前記先端を備え、前記放出構造体は、鋸歯状プレート当たりの前記先端と同数のフィラメントを備え、
前記放出構造体は、前記中央シャフトを囲む複数の前記平行なフィラメントを備え、
前記鋸歯状プレートは、前記フィラメントと同数の前記開口部を備え、
前記ケーシングは、その端部において端部プレートによって閉じられ、端部プレートが、前記放出構造体の端部のうちの1つを囲み、かつ前記端部プレートに向かって配向されたキャビティを有する別個のシェルで保護され、前記シェルが前記ケーシング内に配置され、前記端部プレートおよび前記シェルが各々、前記端部プレートの近傍に前記通路に向かって方向付けられた反発電界を形成するように、異なる所定の電位にされ、
前記シェルは、前記放出構造体と同じ所定の電位にされ、
前記入口および前記出口は各々、前記通路の軸線に対して或る角度を形成し、前記通路内でサイクロン効果を発生させ、
前記入口および前記出口は直径方向に対向する。
【0020】
本発明の開示は、添付の図面を参照して、非限定的な例として、以下に実施形態の詳細な説明を続ける。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるガス状媒体を浄化するための浄化装置の斜視図である。
図2図1のII-IIにおける断面図である。
図3】装置の左下から見た図2の概略図である。
図4図1の浄化装置の主要部材の分解図である。
図5図2図4に示す星形鋸歯状プレートの内の1つの正面図の概略図である。
図6図2図4に示すプロペラ形状の有孔ワッシャの内の1つの正面図の概略図である。
図7図2図4に示す円筒状部品の斜視図である。
図8図2図4に示す円筒状部品の平面図である。
図9図2図4に示すシェルの斜視図である。
図10図2図4に示すシェルの平面図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図10の実施形態の対象である、粒子を含むガス状媒体を浄化する浄化装置10は、内燃機関の排気ガスの浄化に用いられる。
【0023】
この装置の特徴的な部材を明らかにするために、この浄化装置はいくつかの図において非常に概略的に示されている。
【0024】
この浄化装置10は、特に、その作動原理が従来技術、具体的には国際公開第01/19525号の特許出願から既知である、コロナ効果電気フィルタが収容された縦型ケーシング11を備える。
【0025】
図1に示すように、ケーシング11は、その端部において端部プレートによって閉じられる。端部プレートは、ここでは端部ディスク31(図2図3図7および図8にも示す円筒状部品30における)およびリング13によって形成される。
【0026】
2つの直径方向に対向する開口部14および15は、ケーシング11からのガスの入口および出口を可能にするように、そのケーシング11内に形成される。
【0027】
ケーシング11は、ここでは円形状である。このケーシングは、ここでは共に組み立てられた3つの円筒状ケージ16、17によって形成される。中央円筒状ケージ16は中央に配置され、クランプカラー19によって、その一端が円筒状ケージ17に、他端が円筒状ケージ18に組み立てられる。
【0028】
円筒状ケージ17および18は同一である。開口部14は円筒状ケージ17に形成され、開口部15は円筒状ケージ18に形成される。
【0029】
図2および図3に示すように、浄化装置10は、ケーシング11内に位置された静電濾過チャンバ20をも備える。
【0030】
この静電濾過チャンバ20は、その入口および出口との間に、粒子を含むガス状媒体の長手方向の通路を形成する。
【0031】
粒子を含むガス状媒体が流入する静電濾過チャンバ20の入口は、ここでは開口部14である。粒子が除去されたガス状媒体が排出される静電濾過チャンバ20の出口は、ここでは開口部15である。
【0032】
入口14および出口15は各々、通路の軸線に対して或る角度を形成し、通路内でサイクロン効果を発生させる。この角度は、ここでは90度である。
【0033】
したがって、粒子を含むガス状媒体は、チャンバ内の流れに略垂直な方向において浄化装置10に流入し、チャンバ内の流れに垂直な方向にも流出する。
【0034】
静電濾過チャンバ20は、通路内に配置された放出構造体40と、放出構造体40の両側に、媒体に含まれる粒子を捕捉するように構成された収集構造体50とを備える。
【0035】
収集構造体50は、ここでは放出構造体40を囲む金属ワイヤのメッシュから作られたカートリッジから形成される。金属ワイヤのメッシュは、ここでは均質なメッシュを生成するように組み立てられた3つのメッシュ51、52および53によって形成される。金属メッシュ51、52および53は、ここでは円筒状であり、放出構造体40が配置される内部空間を画定する。
【0036】
3つのメッシュ51、52および53は、図示されない複数のキャビティを具備しており、通路を通過する、粒子を含む媒体に含まれる粒子を捕捉することができる部位を形成する。
【0037】
さらに、各メッシュ51、52および53は、そのシェブロン構造によって、粒子のメッシュの厚さへの浸透を容易にすることができる。
【0038】
2つの同一の金属メッシュ51および52は、円筒状ケージ17および円筒状ケージ18内にそれぞれ配置される。これらの金属メッシュ51および52は、端部プレートまで延在し、開口部14および15の位置で粒子用のメカニカルフィルタを形成する。
【0039】
中央金属メッシュ53は、中央円筒状ケージ16内に配置される。中央金属メッシュ53は、スペーサとして機能する環状ディスク54を具備する。これらの環状ディスク54は、メッシュ53からなる中央管55から突出している。
【0040】
通路の中央の放出構造体40は、中央シャフト41によって支持され、有孔ワッシャ43と交互に配置される、鋸歯状プレート42を具備する。
【0041】
中央シャフト41は軸線方向に延在し、その両端部では中央シャフト41を囲む絶縁体44によって支持され、円筒状部品30内に配置される(図3)。
【0042】
中央シャフト41は、安定化高電圧を供給する回路80に接続されており、この回路は、ここでは負極側に安定化高電圧を供給する変圧器を備え、10kV~25kVで構成され、レギュレータにより調整する。
【0043】
鋸歯状プレート42および有孔ワッシャ43は、中央シャフト41に取り付けられた金属放出部品を形成する。鋸歯状プレート42および有孔ワッシャ43は、通路の長手方向に対して横方向に配置される。
【0044】
次に、図5を用いて図2から図4に示す鋸歯状プレート42の内の1つを詳細に説明しており、他の鋸歯状プレート42は、後述する鋸歯状プレート42と同一である。
【0045】
鋸歯状プレート42は、ここでは星形であり、すなわち、円形の中央支持体45の周囲には三角形のアーム46が設けられ、そのアームの端部が先端47を形成する。
【0046】
装置10が組み立てられると、これらの先端47は、収集構造体50に向かって、すなわち、金属メッシュ51、52および53に向かって方向付けられる(図2および図3)。
【0047】
円形の中央支持体45は、中央シャフト41を通過させることができる中央開口部48と、ここでは8個の周辺開口部49とを有する。周辺開口部49は、中央開口部48の周囲に円形に規則的に配置される。周辺開口部49により、背圧現象を回避することができる。
【0048】
三角形のアーム46は、ここでは16本であり、円形の中央支持体45の周囲に規則的に配置される。各アーム46は、以下でより詳細に説明するように、先端47の位置に、導電性フィラメント62を通過させるように構成された開口部61を備える。
【0049】
各開口部61の直径は、このフィラメントの通過を可能にするように導電性フィラメント62の直径に略等しい。各開口部61は、先端47から所定の距離に位置し、この距離は、0.5mm~2mm、好ましくは1mmである。
【0050】
先に説明したように、鋸歯状プレート42は有孔金属ワッシャ43と交互に配置されており、これを次に図6を用いて説明する。単一の有孔ワッシャ43がその図に示されており、他の金属ワッシャ43は、説明する金属ワッシャ43と同一である。
【0051】
図6に示す有孔ワッシャ43は、ここでは鋸歯状プレート42と同じ外径を有する。有孔ワッシャ43は、ここではリング63を含むプロペラの形をしており、ここでは4枚のブレード64が突出している。
【0052】
リング63は、中央シャフト41を通過させることができる中央開口部65を有する。各ブレード64は、以下でより詳細に説明するように、フィラメント62を通過させることができる、ここでは3つの開口部66を備える。
【0053】
各開口部66の直径は、この導線の通過を可能にするように導線の直径に略等しい。さらに、各開口部66は、ブレード64の端部から所定の距離に位置し、ここでは、その距離は0.5mm~2mm、好ましくは1mmである。
【0054】
放出構造体40はまた、導電性であり、かつ放出構造体40の電位にされることができる、フィラメント62を備える。
【0055】
これらのフィラメント62は非常に微細であり、図2の断面では見ることができないことに留意されたい。しかしながら、これらのフィラメント62は、図3および図4では見ることができる。
【0056】
放出構造体40は、ここでは16本のフィラメント62(その内の8本を図3の断面図に図示)、すなわち、鋸歯状プレート42当たりの先端47と同数のフィラメント62を備える。
【0057】
フィラメント62は、ここではタングステンから作られるが、ステンレス鋼から作られてもよく、好ましくは0.5mm程度の所定の直径を有する。
【0058】
これらのフィラメント62は平行である。これらのフィラメントは、通路の方向に、中央シャフト41と平行に長手方向に延在し、中央シャフト41を円形に囲む。
【0059】
フィラメント62は、鋸歯状プレート47の先端42と接続する。各フィラメント62は、1つの鋸歯状プレート42の先端47をもう1つの鋸歯状プレート42の先端47にブリッジのように接続し、これは、中央シャフト41の長さ全体に亘って全ての鋸歯状プレート42の間に当てはまる。
【0060】
フィラメント62は、ここでは鋸歯状プレート42の開口部61を通過する。フィラメント62は、先端47の位置に位置する。
【0061】
そのために、鋸歯状プレート42は、フィラメント62と同数の開口部61、すなわち、ここでは鋸歯状プレート42当たり16個の開口部61および16本のフィラメント62を具備することに留意されたい。
【0062】
また、鋸歯状プレート42は、フィラメント62と同数の先端47、すなわち、ここでは16個の先端47および16本のフィラメント62を具備することに留意されたい。
【0063】
有孔ワッシャに対するフィラメント62の配置に関して、いくつかのフィラメント62は有孔ワッシャ43の開口部66を通過し、他のフィラメント62はブレード64間の空間を通過することに留意されたい。
【0064】
次に、図3の上部に示すフィラメント62の配置をより詳細に説明する。
【0065】
フィラメント62の端部は中央シャフト41に接続され、フィラメント62は次に有孔ワッシャ43(端部ディスク31に最も近い)の開口部66(図6に図示)を通過し、次いで第1の鋸歯状プレート42の開口部61(図5に図示)を通過し、次いで第2の有孔ワッシャ43の開口部66(図6に図示)を通過し、次いで第2の鋸歯状プレート42の開口部61(図5に図示)を通過する。
【0066】
フィラメント62は次に、その他端によって中央シャフト41に同じように接続される前に、中央シャフト41の最後の有孔ワッシャ43(図2の右端に図示)に到達するように、同じようにその経路(図3に図示せず)を継続する。
【0067】
いくつかのフィラメント62が有孔ワッシャ43の開口部66を通過せず、ブレード64の間に設けられた空間(図6に見られ得る)内を通過することを除いて、他のフィラメント62についても同様であることに留意されたい。
【0068】
代替的に、フィラメント62は、有孔ワッシャ43の開口部66を通過せず、ブレード64の上方を通過することにも留意されたい。
【0069】
フィラメント62の各端部は、中央シャフト41に電気的に接続される。したがって、フィラメント62は、中央シャフト41と同じ電圧にされる。
【0070】
浄化装置10の使用時に、フィラメント62は、先端47によって生成されるコロナ効果に追加されるコロナ効果を生成し、通路を通過するガスの、より良好なイオン化および粒子のより良好な収集を可能にする。
【0071】
さらに、フィラメント62は、フィラメント62を白熱させることができる所定の電流によって通される。これらの後者のフィラメントは、鋸歯状プレート42の先端47に堆積する煤の粒子を燃焼させる。したがって、先端47は、装置10の使用期間全体に亘って清浄なままであり、それ故に、コロナ効果は装置10の使用期間全体に亘って最適である。
【0072】
ケーシング11は、その両端部において、ここでは端部ディスク31およびリング13によって形成され、ケーシング11内に配置された別個のシェル70によって保護され、かつ放出構造体40の一方の端部を囲む、端部プレートによって閉じられる(図2および図3)。
【0073】
次に、図3に概略的に示す装置10の左側部分について説明するが、右側部分は後述する左側部分と同一である。
【0074】
リング13は、端部ディスク31に取り付けられる。このリングは、クランプカラー19によってケーシング11に保持される。リング13およびカラー19により、濾過装置10の洗浄を容易にするように円筒状部品30を容易に分解することができる。
【0075】
次に、図3図7および図8を用いて、円筒状部品30について説明する。
【0076】
円筒状部品30は、端部ディスク31と、互いに対向し、かつ端部ディスク31から突出する第1の管状部分32と、第2の管状部分33とを具備する。
【0077】
第2の管状部分33はケーシング11の外側に配置され、第1の管状部分32はケーシング11の内側に配置される。
【0078】
絶縁体44、ここではセラミックの絶縁体は、第2の管状部分33の内側に配置される。絶縁体44は、中央シャフト44を支持して取り囲む。この絶縁体は、円筒状部品30を、安定化高電圧にされる中央シャフト41から電気的に保護するように働く(図3)。
【0079】
第2の管状部分は、ここでは回路グランド、より具体的にはアース(図示せず)に接続された2つのボルト35をさらに外面に具備する。
【0080】
端部ディスク31は、第1の管状部分32と第2の管状部分33とを連結し、中央シャフト41の内部通路を第1の管状部分32と第2の管状部分33との間に形成する、中央開口部34を具備する。
【0081】
端部ディスク31の外径は、第1の管状部分32の外径および第2の管状部分33の外径よりも大きいことに留意されたい。
【0082】
第1の管状部分32の外径は、第2の管状部分33の外径よりも小さいことに留意されたい。
【0083】
次に、図3図9および図10を参照して、開口部14に略隣接して位置されたシェル70について説明する。開口部15に隣接した、反対側に位置されたシェル70は、次に説明するシェルと同一である。
【0084】
シェル70は、ベル形状を有する。このシェルは、その一端がルーフ71によって閉じられた円形壁72を具備し、中央シャフト41を受容することができる中央管73を具備する。
【0085】
ルーフ71は、通路の長手方向に対して横方向に配置されたディスクの形態を取り、端部ディスク31に向かう通路の方向に、円形の長手方向72が延在する。
【0086】
ルーフ71および円形壁72は、端部ディスク31およびリング13に向かって配向されたキャビティを画定する。
【0087】
中央管73は、シェル70の中央に延在し、ルーフ71をわずかに越えて延在する端部74と、円筒状壁72をわずかに越えて延在する反対側75とを具備する。
【0088】
シェル70は、中央シャフト41にボルト(図3に図示せず)によって、端部74の位置で締結され、この端部は、ルーフ71をわずかに越えて延在する。このシェルは、中央シャフト41と同じ安定化電圧にされる。
【0089】
フィラメント62の端部は、中央管73の端部74において中央シャフト41に接続されることに留意されたい。したがって、シェル70、中央シャフト41およびフィラメント62は、等しい所定の電位にされる。
【0090】
シェル70の反対側から、第1の管状部分32は、シェル70、より具体的には、円形壁72およびルーフ71によって画定されたキャビティに入り、ガスの流れのためのシケインを形成する。このシケインは、絶縁体44を煤や湿気から保護する。
【0091】
第1の管状部分32は、その部分が取り囲む中央管73よりも大きい直径を有し、円形壁72は、その壁が取り囲む第1の管状部分32よりも大きい直径を有する。
【0092】
中央管73の反対側の端部75は、絶縁体44の位置において端部ディスク31の中央開口部34内に実質的に位置する。円形壁72におけるルーフ71によって閉じられた端部とは反対側の端部は、端部ディスク31の近傍に位置する。
【0093】
シェル70は、絶縁体44が円筒状部品30からシェル70を電気的に保護する第2の管状部分32内に位置された、中央開口部34の位置を除いて、円筒状部品30と接触していないことに留意されたい。
【0094】
中央シャフト41は、負の安定化高電圧を供給する回路80に接続される。この中央シャフトは、円筒状部品30の内部通路を通過し、この中央シャフトを囲む第2の管状部分33内に位置された絶縁体44によって支持される。
【0095】
したがって、絶縁体44は、円筒状部品30を中央シャフト41から電気的に保護する。
【0096】
中央シャフト41は、中央シャフト41を囲む絶縁体44を除き、円筒状部品30と接触することなく、円筒状部品30の内部通路を通過することに留意されたい。
【0097】
端部プレート(端部ディスク31およびリング13)ならびにシェル70は各々、異なる所定の電位を有する。より一般的には、ここでは円筒状部品30およびリング13は、シェル70の所定の電位とは異なる所定の電位を有する。
【0098】
シェル70は、ここでは安定化高電圧回路80によって-10kV~-25kVの負の電位にされるが、ここではグランド、より具体的にはボルト35を介してアースに接続された端部プレートは、ここではゼロ電位にされる。
【0099】
端部プレート(より一般的には円筒状部品30)とシェル70との間のこの電位差は、端部プレートの近傍に、粒子を含むガス状媒体の通路に向かって方向付けられた反発電界を作り出す。
【0100】
電位差は、ここでは-10kV~-25kVである。一般的に、この電位差は、-35kV~0kVである。
【0101】
それ故に、煤の荷電粒子が端部プレート(端部ディスク31およびリング13)から通路方向にはじかれる。それ故に、端部プレートへの煤粒子の堆積が回避される。
【0102】
したがって、入口14において装置10内に所定の速度で到達した煤粒子は通路内へはじかれ、端部ディスク31およびリング13への煤粒子の堆積を回避することができる。
【0103】
これにより、浄化装置10の有効性の低下の原因となる、端部プレート上の電気アークの形成が回避される。また、通路に対向して配置された端部ディスク31およびリング13の面を洗浄するための浄化装置10の停止も回避される。
【0104】
図示されていない変形例では、
円筒状部品30は、例えば、円形絶縁体によってケーシング11から絶縁され、円筒状部品30はグランドに接続されないが、端部プレートを0Vとは異なる所定の電位、例えば5kVにすることができる安定化高電圧を提供する回路に接続される。
【0105】
ケーシング11、ならびに金属メッシュ51、52および53は円形ではなく正方形であり、
鋸歯状プレート42の三角形のアーム46の数は、16とは異なり、例えば、8、4または任意の他の好適な値であり、
粒子を含むガス状媒体が流入する静電濾過チャンバ20の入口は、開口部14ではなく開口部15であり、粒子が除去されたガス状媒体が排出される静電濾過チャンバ20の出口は、開口部15ではなく開口部14であり、
リング13がなく、端部ディスク31は、クランプリング19によってケーシング11の端部に直接締結され、
ケーシング11は、3つのケージ16、17および18によって形成されるのではなく、開口部14および開口部15を含む単一の円筒形ケージによって形成され、
収集構造体50は、3つの金属メッシュ51、52および53によって形成されるのではなく、端部プレートの各々に延在する単一の金属メッシュによって形成され、
鋸歯状プレート42は、星形ではなく、ねじれ可能なブレード形状であるか、または両側に中央偏向面を有するプレート形態であり、先端47および収集構造体50を形成する切り欠きは、円形金属メッシュ51、52および53によって形成されるのではなく、鋸歯状プレート42の両側、すなわち左右に位置されたプレートによって形成され、
有孔ワッシャ43は、開口部66を具備する有孔クラウンに置き換えられ、
0~20000ボルトに設定可能な電圧を供給する二極、すなわち一方が負極で他方が正極の高電圧変圧器が使用され、0~20000ボルトの負の高電圧電気を発生することができる負極が、鋸歯状プレート42およびフィラメント62の仲介によってコロナ効果を提供する中央シャフト41に接続され、中央シャフト41は誘電体セラミックによって絶縁され、0~20000の正の高電圧電気を発生することができる正極が、金属ワイヤメッシュから作られたカートリッジによって形成された収集構造体50に接続され、収集構造体50は円形絶縁体によってケーシング11から絶縁され、代替的に、正極は中央シャフトに接続されてもよく、負極は収集構造体に接続されてもよいことに留意すべきであり、これにより、オゾン濃度をより効果的に制御するように高電圧電位差供給源が発生される。
【0106】
コロナ効果電気フィルタの上流では、浄化装置10は、清浄な空気が流入し、排気ガスの粒子と混合されるためにコロナ効果電気フィルタ内の開口部14を通って注入されるイオン化空気を残す、別の類似の電気フィルタを備え、浄化装置10は、内燃機関の排気ガスの浄化に使用されるのではなく、より具体的には、産業施設、火力発電所、または焼却装置において使用される。
【0107】
多くの他の変形例が状況に応じて可能であり、これに関連して、本発明は記載され示された実施例に限定されないことに留意されたい。
図1
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