(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ヒストンデアセチラーゼの阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240109BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20240109BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240109BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240109BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240109BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20240109BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240109BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20240109BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240109BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240109BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240109BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240109BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240109BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240109BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240109BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240109BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240109BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240109BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
C07D401/14
C07D413/14
C07D417/14
A61K31/4439
A61K31/444
A61K31/497
A61K31/501
A61K31/506
A61P7/06
A61P9/00
A61P19/00
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P27/16
A61P29/00
A61P31/10
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021523578
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019041592
(87)【国際公開番号】W WO2020014605
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506350023
【氏名又は名称】アルカーメス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】フラー,ネイサン・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ジョン・エイ,ザ・サード
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/007756(WO,A1)
【文献】特表2014-523857(JP,A)
【文献】特表2010-531358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式VIもしくはVIIの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、フェニルまたはヘテロアリールであり、これらの各々が、R
cから選択された1~3個の基で任意選択的に置換され、
R
3が、水素またはフルオロであり、
R
4が、フルオロであり、
R
cが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、ハロ(C
1-C
4)アルコキシ、(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルNH(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルN((C
1-C
4)アルキル)
2、-(C
1-C
4)アルキルヘテロアリール、または-(C
1-C
4)アルキルヘテロシクリルであり、前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが各々、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、およびハロから選択された1~3個の基で任意選択的に、かつ独立して置換されている、式VIもしくはVIIの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、フェニルまたは5~6員単環式ヘテロアリールであり、これらの各々が、R
cから選択された1つ以上の基で任意選択的に置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはピリミジニルであり、これらの各々が、R
cから選択された1~2個の基で任意選択的に置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、チアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、またはオキサゾリルであり、これらの各々が、R
cから選択された1~2個の基で任意選択的に置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
cが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
cが、フルオロ、メチル、またはCH
2OCH
3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
cが、ハロ、ハロ(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
cが、フルオロ、メチル、またはCHF
2である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
【化2-5】
【化2-6】
【化2-7】
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項11】
神経学的障害、記憶または認知機能障害または低下、消去学習障害、真菌性疾患または感染症、炎症性疾患、血液疾患、精神障害、および新生物疾患から選択される状態を治療するための医薬組成物であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項10に記載の組成物を含む、医薬組成物。
【請求項12】
前記状態が、
a.アルツハイマー病、後部皮質萎縮症、正常圧水頭症、ハンチントン病、発作誘発性記憶喪失、統合失調症、ルビンシュタインテイビ症候群、レット症候群、うつ病、脆弱X、レビー小体型認知症、脳卒中、血管性認知症、血管性認知力低下(VCI)、ビンスワンガー病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、ADHD、ディスレクシア、大うつ病性障害、双極性障害に関連する認知機能障害もしくは低下、ならびに自閉症、外傷性脳損傷(TBI)、慢性外傷性脳症(CTE)、多発性硬化症(MS)、注意欠陥障害、不安障害、条件付き恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、社交不安障害、物質依存性回復、年齢に関連する記憶低下(AAMI)、年齢に関係する認知力減少(ARCD)、失調症、パーキンソン病、もしくはパーキンソン病認知症に関連する社交障害、認知障害、および学習障害、または
b.急性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状細胞貧血から選択される血液疾患、または
c.新生物疾患、または
d.恐怖消去および外傷後ストレス障害から選択される学習消去障害、または
e.難聴もしくは聴覚障害、または
f.肺線維症、腎線維症、心臓線維症、および強皮症などの線維性疾患、または
g.癌患者における骨痛、または
h.神経因性疼痛である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記状態が、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭性認知症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病、または物質依存性回復である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記状態が、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、物質依存性回復、記憶もしくは認知機能障害もしくは低下、シナプスの病態を伴う神経学的障害、学習識別障害(disorder of learning distinction)、精神障害、アルツハイマー病に関連する認知機能または低下、レビー小体型認知症、統合失調症、ルビンシュタインテイビ症候群、レット症候群、脆弱X、多発性硬化症、年齢に関連する記憶低下、年齢に関係する認知力減少、ならびに自閉症に関連する社交障害、認知障害、および学習障害から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年7月13日に出願の米国仮出願第62/697498号に対する優先権の利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤は、転写を調節し、細胞成長停止、分化、およびアポトーシスを誘導することが示されている。HDAC阻害剤はまた、放射線および化学療法薬を含む、癌治療に使用される治療剤の細胞毒性効果も向上する。Marks,P.,Rifkind,R.A.,Richon,V.M.,Breslow,R.,Miller,T.,Kelly,W.K.Histone deacetylases and cancer:causes and therapies.Nat Rev Cancer,1,194-202,(2001)、およびMarks,P.A.,Richon,V.M.,Miller,T.,Kelly,W.K.Histone deacetylase inhibitors.Adv Cancer Res,91,137-168,(2004).さらに、転写調節不全が、ハンチントン病、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、および虚血などのある特定の神経変性障害の分子病因に寄与し得ることを、近年の証拠は示している。Langley,B.,Gensert,J.M.,Beal,M.F.,Ratan,R.R.Remodeling chromatin and stress resistance in the central nervous system:histone deacetylase inhibitors as novel and broadly effective neuroprotective agents.Curr Drug Targets CNS Neurol Disord,4,41-50,(2005).近年の論評は、異常なヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性が、神経変性に寄与する共通の基礎となるメカニズムを表し得るという証拠を要約している。さらに、うつ病のマウスモデルを使用して、近年、Nestlerは、うつ病におけるヒストン脱アセチル化阻害剤(HDAC5)の治療可能性を強調している。Tsankova,N.M.,Berton,O.,Renthal,W.,Kumar,A.,Neve,R.L.,Nestler,E.J.Sustained hippocampal chromatin regulation in a mouse model of depression and antidepressant action.Nat Neurosci,9,519-525,(2006).
【0003】
18個の既知のヒトヒストンデアセチラーゼが存在し、それらのアクセサリードメインの構造に基づいて4つのクラスに分類される。クラスIとしては、HDAC1、HDAC2、HDAC3、およびHDAC8が挙げられ、酵母RPD3に対する相同性を有する。HDAC4、HDAC5、HDAC7、およびHDAC9は、クラスIIaに属し、酵母に対する相同性を有する。HDAC6およびHDAC10は、2つの触媒部位を含有し、クラスIIbとして分類される。クラスIII(サーチュイン)としては、SIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、およびSIRT7が挙げられる。HDAC11は、HDACファミリーの別の最近特定されたメンバーであり、その触媒中心に、クラスIおよびクラスIIの両方のデアセチラーゼによって共有される保存性残基を有し、クラスIVに配置されることがある。
【0004】
対照的に、HDACは、長期記憶プロセスの強力な負の調節因子であることが示されている。非特異的HDAC阻害剤は、シナプス可塑性ならびに長期記憶を向上する(Levenson et al.,2004,J.Biol.Chem.279:40545-40559、Lattal et al.,2007,Behav Neurosci 121:1125-1131、Vecsey et al.,2007,J.Neurosci 27:6128、Bredy,2008,Learn Mem 15:460-467、Guan et al.,2009,Nature 459:55-60、Malvaez et al.,2010,Biol.Psychiatry 67:36-43、Roozendaal et al.,2010,J.Neurosci.30:5037-5046).例えば、HDAC阻害は、長期記憶につながらない学習事象を、有意な長期記憶を生じる学習事象に変換することができる(Stefanko et al.,2009,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106:9447-9452)。さらに、HDAC阻害はまた、通常記憶されない時点を超えて持続する長期記憶の形態を生成することができる。HDAC阻害剤は、アルツハイマー病の遺伝子モデルにおける認知欠陥を改善することが示されている(Fischer et al.,2007,Nature 447:178-182、Kilgore et al.,2010,Neuropsychopharmacology 35:870-880)。これらの実証は、HDAC阻害を介して記憶を調節することが、多くの記憶および認知障害に対してかなりの治療可能性を有することを示唆している。
【0005】
現在、長期記憶における個々のHDACの役割は、近年の2つの研究で探求されている。Kilgore et al.2010,Neuropsychopharmacology 35:870-880は、酪酸ナトリウムなどの非特異的HDAC阻害剤が、クラスIIa HDACファミリーメンバー(HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC9)にほとんど影響を及ぼさずに、クラスI HDAC(HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8)を阻害することを明らかにした。これは、クラスI HDACの阻害が、多くの研究で観察された認知力の向上に重要であり得ることを示唆している。実際、HDAC1ではなく、HDAC2の発現に対して特異的な前脳およびニューロンは、樹状突起スパイン密度、シナプス密度、シナプス可塑性、および記憶形成を減少させた(Guan et al.,2009,Nature,459:55-60)。対照的に、HDAC2ノックアウトマウスは、ニューロンにおけるシナプス密度の増加、シナプス可塑性の増加、および樹状突起密度の増加を呈した。これらのHDAC2欠損マウスはまた、学習行動パラダイムの向上した学習および記憶の一式を呈した。この作業は、HDAC2がシナプス生成およびシナプス可塑性の重要な調節因子であることを実証している。加えて、Guanらは、SAHA(HDAC1、2、3、6、8阻害剤)を用いるマウスの慢性的な処置が、HDAC2欠損マウスに見られる効果を再現し、HDAC2過剰発現マウスにおける認知力低下を再現したことを示した。
【0006】
HDAC2の阻害(選択的、または他のクラスI HDACの阻害との組み合わせ)は、魅力的な治療標的である。かかる阻害は、神経細胞集団におけるシナプスおよび樹状突起の密度を増加させることを通じて、認知力を向上し、学習プロセスを促進する可能性を有する。加えて、HDAC2の阻害はまた、多種多様な他の疾患および障害の治療にも治療的に有用であり得る。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で提供されるのは、式Iの化合物:
【化1】
ならびにその薬学的に許容される塩および組成物であり、式中、X、R
1、R
2、R
3、R
4、q、および環Aが、本明細書に記載のものである。開示の化合物および組成物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)(例えば、表2および3を参照されたい)を調節し、例えば、神経学的障害、記憶または認知機能障害または低下、消去学習障害、真菌性疾患または感染症、炎症性疾患、血液疾患、新生物疾患、精神障害、および記憶喪失の治療などの多様な治療用途で有用である。
【0008】
本明細書に記載のある特定の化合物は、細胞溶解物アッセイで、直接比較物を上回る阻害活性の増加を有する。例えば、ピロリジンの3位に芳香族置換(例えば、R1にフェニルおよびヘテロアリール変異)を導入することにより、HDAC2 SH-SY5Y細胞溶解物アッセイでピロリジン3位に非芳香族置換を有する対応物と比較すると、効力の有意な増加をもたらしたことが見出された。例えば、R1に芳香族ピリミジニルを各々有する化合物19および20が、非環状の非芳香族比較物A~Cよりも高い効力を有する、表4を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.化合物の一般的な説明
本明細書で提供されるのは、式Iの化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
環Aが、フェニルまたはチオフェニルであり、
Xが、(CR
aR
b)
t、O、またはNR
5であり、
qおよびtが、各々独立して、0、1、2、または3であり、
R
1が、フェニルまたはヘテロアリールであり、これらの各々が、R
cから選択された1~3個の基で任意選択的に置換され、
R
2が、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、またはOHであり、
R
3が、水素またはハロであり、
環Aがフェニルであるとき、R
4がハロであり、環Aがチオフェニルであるとき、R
4が水素であり、
R
5が、水素、(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキルであり、
R
aおよびR
bが、各々独立して、水素、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、またはハロであり、
R
cが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、ハロ(C
1-C
4)アルコキシ、(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルNH(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルN((C
1-C
4)アルキル)
2、-(C
1-C
4)アルキルヘテロアリール、または-(C
1-C
4)アルキルヘテロシクリルであり、当該ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが各々、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、およびハロから選択された1~3個の基で任意選択的に、かつ独立して置換されている、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0010】
2.定義
複数の結合点を有し得る化学基を説明するために関連して使用されるとき、ハイフン(-)は、定義されている変数へのその基の結合点を指す。例えば、-(C1-C4)アルキルヘテロアリールおよび-(C1-C4)アルキルヘテロシクリルは、結合点が(C1-C4)アルキル残基上に生じることを意味する。
【0011】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、およびヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。
【0012】
単独でまたは「ハロアルキル」などのより大きい部分の一部として使用されるとき、「アルキル」という用語は、飽和直鎖または分枝状の一価炭化水素ラジカルを意味する。別途指定されない限り、アルキル基は、典型的には、1~6個の炭素原子を有する、すなわち、(C1-C6)アルキルを有する。
【0013】
「ハロアルキル」という用語は、ハロゲンが、独立してフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選択されるモノ、ポリ、およびペルハロアルキル基を含む。
【0014】
「アルコキシ」は、酸素連結原子を通じて結合したアルキルラジカルを意味し、O-アルキルによって表される。例えば、「(C1-C4)アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロプロキシ、およびブトキシが挙げられる。
【0015】
「ハロアルコキシ」は、例えば、限定されないが、-OCHF2または-OCF3などの、酸素原子を介して別の部分に結合しているハロアルキル基である。
【0016】
「ヘテロアリール」という用語とは、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~12員(例えば、5員または6員)の芳香族ラジカルを指す。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であり得る。単環式ヘテロアリールとしては、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルなどが挙げられる。二環式ヘテロアリールとしては、単環式ヘテロアリール環が1つ以上のアリール環またはヘテロアリール環に縮合されている基が挙げられる。非限定的な例としては、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキソジアゾリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが挙げられる。指定されるとき、ヘテロアリール基上の任意選択的な置換基が、例えば、ヘテロアリールが結合する位置を含む、任意の置換可能な位置に存在し得ることが理解されるであろう。
【0017】
「ヘテロシクリル」という用語は、N、O、およびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~12員(例えば、4~6員)の飽和または部分的不飽和の複素環を意味する。ヘテロシクリル環は、単環式、二環式(例えば、架橋、縮合、またはスピロ二環式環)、または三環式であり得る。ヘテロシクリル環は、安定した構造を生じる任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合し得る。かかる飽和または部分的不飽和ヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピリジノニル、ピロリドニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、モルホリニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、オキセタニル、アゼチジニル、およびテトラヒドロピリミジニルが挙げられる。「ヘテロシクリル」という用語はまた、例えば、テトラヒドロナフチリジン、インドリノン、ジヒドロピロロトリアゾール、イミダゾピリミジン、キノリノン、ジオキサスピロデカンなどの、例えば、別の不飽和ヘテロシクリルラジカル、またはアリールもしくはヘテロアリール環に縮合した不飽和ヘテロシクリルラジカルを含む。また、指定されるとき、ヘテロシクリル基上の任意選択的な置換基は、例えば、ヘテロシクリルが結合する位置(例えば、任意選択的に置換されたヘテロシクリルまたは任意選択的に置換されたヘテロシクリルの場合)を含む、任意の置換可能な位置に存在し得ることが理解されるであろう。
【0018】
「縮合」という用語は、2つの隣接する環原子を互いに共有する2つの環を指す。
【0019】
「スピロ」という用語は、1つの環原子(例えば、炭素)を共有する2つの環を指す。
【0020】
「架橋」という用語は、3つの環原子を互いに共有する2つの環を指す。
【0021】
エナンチオマーは、1つのキラル中心または複数のキラル中心から生じ得る1つのタイプの立体異性体である。エナンチオマーは、最も一般的には、キラル中心(複数可)として機能する非対称に置換された1つの炭素原子または複数の炭素原子を含有するので、鏡像が重なり合わない一対の立体異性体である。「R」および「S」は、各キラル中心が、キラル中心立体配置が右回転(時計回りの回転)または左回転(反時計回りの回転)であるかに応じて接頭辞「R」または「S」が割り当てられる、1つ以上のキラル炭素原子の周りの置換基の絶対的な立体配置を表す。回転が、キラル炭素を中心に時計回りまたは右回転の場合、表示は、rectusの「R」である。回転が、キラル炭素を中心に反時計回りまたは左回転の場合、表示は、sinisterの「S」である。
【0022】
単一のエナンチオマーが構造によって命名または描写されるとき、描写または命名されるエナンチオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%光学的に純粋である。光学純度重量パーセントは、エナンチオマーの重量+その光学異性体の重量に対するエナンチオマーの重量の比である。
【0023】
キラル中心での立体化学を示すことなく化合物が構造的に描写されるとき、構造は、キラル中心での立体配置、あるいはキラル中心立体異性体での立体配置の任意の混合物のいずれかを含む。
【0024】
「ラセミ体」または「ラセミ混合物」とは、等モル量の2つのエナンチオマーの化合物を意味し、かかる混合物は、光学活性を呈さない、すなわち、それらは偏波面を回転させない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用され得、治療を必要とする哺乳動物、例えば、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコなど)、農場動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。典型的には、対象は、治療を必要とするヒトである。
【0026】
薬学的に許容される塩、ならびに本明細書に記載の化合物の中性形態が含まれる。医学での使用では、化合物の塩は、非毒性の「薬学的に許容される塩」を指す。薬学的に許容される塩の形態としては、薬学的に許容される酸性/陰イオン性または塩基性/陽イオン性塩が挙げられる。薬学的に許容される塩基性/陽イオン性塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ジエタノールアミン、n-メチル-D-グルカミン、L-リジン、L-アルギニン、アンモニウム、エタノールアミン、ピペラジン、およびトリエタノールアミン塩が挙げられる。薬学的に許容される酸性/アニオン性塩としては、例えば、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレソルシノール、ヘキシルレソルシネート(hexylresorcinate)、臭化水素酸塩、塩酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、およびトシル酸塩が挙げられる。
【0027】
「薬学的に許容される担体」という用語は、それが製剤化される化合物の薬理活性を破壊しない無毒性担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本明細書に記載の組成物で使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂などの電解質が挙げられる。
【0028】
「治療」、「治療する」、および「治療すること」という用語は、本明細書に記載されるように、疾患もしくは障害、またはそれらの1つ以上の症状の発症の可能性の逆転、緩和、低減させること、または進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の症状が発症した後に投与されてもよい、すなわち、療法的治療であり得る。他の実施形態では、治療は、症状がない状態で投与され得る。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の既往に照らして、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らして)に感受性のある個体に投与され得る、すなわち、予防的治療であり得る。また、症状が回復した後、例えば、その再発を予防または遅延させるために、治療を続けてもよい。
【0029】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、対象の生物学的または医学的応答を誘発するであろう、本明細書に記載の化合物の量、例えば、0.1~100mg/体重kg/日などの、例えば、0.01~100mg/体重kg/日の提供される化合物を含む。
【0030】
5.例示的化合物の説明
第1の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式Iの化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩であり、変数が、式Iについて上述される通りである。
【0031】
第2の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式IIの化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩であり、変数が、式Iについて上述される通りである。
【0032】
第3の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式IIIもしくはIIIaの化合物:
【化5】
またはそれらの薬学的に許容される塩であり、変数が、式Iについて上述される通りである。
【0033】
第4の実施形態では、式I、II、III、またはIIIaのうちのいずれか1つのqは、0または1であり、R2は、qが1であるとき、ハロであり、残りの変数が、式Iについて上述される通りである。
【0034】
第5の実施形態では、式Iの化合物は、式IVもしくはIVaの化合物:
【化6】
またはそれらの薬学的に許容される塩であり、変数が、式Iについて上述される通りである。
【0035】
第6の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのR3は、ハロであり、残りの変数が、式Iまたは第4の実施形態について上述される通りである。あるいは、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのR3は、フロオロであり、残りの変数が、式Iまたは第4の実施形態について上述される通りである。別の代替案では、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのR3は、水素であり、残りの変数が、式Iまたは第4の実施形態について上述される通りである。
【0036】
第7の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのR4は、フルオロであり、残りの変数が、式I、または第4もしくは第6の実施形態について上述される通りである。
【0037】
第8の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのXは、(CRaRb)tであり、残りの変数が、式I、または第4、第6、もしくは第7の実施形態について上述される通りである。
【0038】
第9の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、またはIVaのうちのいずれか1つのRaおよびRbは各々、水素であり、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、もしくは第8の実施形態について上述される通りである。
【0039】
第10の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式VもしくはVaの化合物:
【化7】
またはそれらの薬学的に許容される塩であり、変数が、式I、または第4、第6、もしくは第7の実施形態について上述される通りである。
【0040】
第11の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式VIもしくはVIaの化合物:
【化8】
またはそれらの薬学的に許容される塩であり、変数が、式I、または第4、第6、第7、もしくは第8の実施形態について上述される通りである。
【0041】
第12の実施形態では、本明細書で提供されるのは、式VIIもしくはVIIaの化合物:
【化9】
またはそれらの薬学的に許容される塩であり、変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、もしくは第9の実施形態について上述される通りである。
【0042】
第13の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのR1は、フェニルまたは5~6員単環式ヘテロアリールであり、これらの各々は、Rcから選択された1つ以上の基で任意選択的に置換され、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、もしくは第9の実施形態について上述される通りである。あるいは、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのR1は、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはピリミジニルであり、これらの各々は、Rcから選択された1~2個の基で任意選択的に置換され、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、もしくは第9の実施形態について上述される通りである。別の代替案では、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのR1は、チアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、またはオキサゾリルであり、これらの各々は、Rcから選択された1~2個の基で任意選択的に置換され、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、もしくは第9の実施形態について上述される通りである。
【0043】
第14の実施形態では、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのRcは、ハロ、(C1-C4)アルキル、または(C1-C4)アルキルO(C1-C4)アルキルであり、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、第9、もしくは第13の実施形態について上述される通りである。あるいは、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのRcは、フルオロ、メチル、またはCH2OCH3であり、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、第9、もしくは第13の実施形態について上述される通りである。別の代替案では、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、またはVIIaのうちのいずれか1つのRcは、ハロ、ハロ(C1-C4)アルキル、または(C1-C4)アルキルであり、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、第9、もしくは第13の実施形態について上述される通りである。別の代替案では、式I、II、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、VIa、VII、もしくはVIIaのうちのいずれか1つのRcは、フルオロ、メチル、またはCHF2であり、残りの変数が、式I、または第4、第6、第7、第8、第9、もしくは第13の実施形態について上述される通りである。
【0044】
第15の実施形態では、以下の例示区分に記載の化合物が提供される。例示される化合物の薬学的に許容される塩および遊離形態が含まれる。
【0045】
4.使用、製剤、および投与
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、HDACの活性に関連する状態の治療に有用である。かかる条件としては、例えば、以下に記載されるものが挙げられる。
【0046】
近年の報告は、神経細胞分化、記憶形成、薬物中毒、およびうつ病などの中枢神経系(「CNS」)機能におけるヒストンアセチル化の重要性について詳述している(Citrome,Psychopharmacol.Bull.2003,37,Suppl.2,74-88;Johannessen,CNS Drug Rev.2003,9,199-216;Tsankova et al.,2006,Nat.Neurosci.9,519-525)。したがって、一態様では、提供される化合物および組成物は、神経学的障害の治療に有用であり得る。神経学的障害の例としては、(i)家族性および散発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALSおよびALS)、家族性および散発性パーキンソン病、ハンチントン病、家族性および散発性アルツハイマー病、多発性硬化症、筋ジストロフィー、オリーブ橋小脳萎縮症、多系統萎縮症、ウィルソン病、進行性核上麻痺、びまん性レビー小体疾患、前頭側頭葉変性症(FTLD)、大脳皮質基底核変性症、進行性家族性ミオクローヌス発作、線条体黒質変性症(strionigral degeneration)、捻転ジストニア、家族性振戦、ダウン症候群、ジルドゥラトゥレット症候群、ハラーフォルデン-シュパッツ病(Hallervorden-Spatz disease)、糖尿病性末梢ニューロパチー、慢性ボクサー脳症(dementia pugilistica)、エイズ認知症、年齢に関係する認知症、年齢に関連する記憶力低下などの慢性神経変性疾患、および伝染性海綿状脳症(クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマンストロイスラーシャインカー症候群、スクラピック(scrapic)、およびクールー)に関連するプリオンタンパク質(PrP)によって引き起こされるものなどのアミロイドーシス関連神経変性疾患、および過剰なシスタチンC蓄積によって引き起こされる疾患(遺伝性シスタチンC血管症)、ならびに(ii)外傷性脳損傷(例えば、手術関連脳損傷)、脳浮腫、末梢神経損傷、脊髄損傷、リー病、ギランバレ症候群などの急性神経変性障害、リポフスチン症、アルパーズ症候群、レストレスレッグス症候群、CNS変性の結果としてのめまいなどのリソソーム蓄積障害、例えば青斑核および小脳のニューロン変性、薬物誘発性運動障害を含む慢性アルコールまたは薬物乱用に起因する病態、認知力および運動機能低下につながる小脳ニューロンおよび皮質ニューロンの変性を含む加齢に起因する病態、運動機能低下につながる基底核ニューロンの変性を含む慢性アンフェタミン乱用に起因する病態、脳卒中、局所的虚血、血管不全、低酸素性虚血性脳症、高血糖、低血糖症、または直接的外傷などの局所的外傷から生じる病態学的変化、および治療薬および治療の負の副作用に起因する病態(例えば、NMDAクラスのグルタミン酸塩受容体のアンタゴニストの抗痙攣薬に対して応答する帯状皮質および嗅内皮質ニューロンの変性)、およびウェルニッケコルサコフ症候群関連認知症が挙げられる。感覚ニューロンに影響を及ぼす神経学的障害としては、フリードライヒ運動失調症、糖尿病、末梢ニューロパチー、および網膜ニューロン変性が挙げられる。他の神経学的障害としては、脊髄損傷に関連する神経損傷または外傷が挙げられる。肢および皮質系の神経学的障害としては、脳アミロイドーシス、ピック萎縮、およびレット症候群が挙げられる。別の態様では、神経学的障害としては、感情障害および不安などの気分障害、性格欠陥およびパーソナリティ障害などの社会的行動障害、精神発達遅滞および認知症などの学習障害、記憶障害、および知的障害が挙げられる。したがって、一態様では、開示の化合物および組成物は、統合失調症、せん妄症、注意欠陥障害(ADD)、統合失調感情障害、アルツハイマー病、ルビンスタイン-テイビ症候群、うつ病、躁病、注意欠陥障害、薬物依存症、認知症、焦燥感、アパシー、不安症、精神病、パーソナリティ障害、双極性障害、単極性感情障害、強迫性障害、摂食障害、外傷後ストレス障害、易刺激性、思春期行為障害、および脱抑制の治療に有用であり得る。
【0047】
転写は、長期記憶プロセスの重要なステップであると考えられている(Alberini,2009,Physiol.Rev.89,121-145)。転写は、ヒストン-DNA相互作用を調節するヒストンアセチル化などの特定のクロマチン修飾によって促進される(Kouzarides,2007,Cell,128:693-705)。ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)などの修飾酵素は、ヒストン尾部上のアセチル化状態を調節する。一般に、ヒストンアセチル化は、遺伝子発現を促進する一方で、ヒストン脱アセチル化は、遺伝子サイレンシングをもたらす。多くの研究は、強力なHAT、cAMP応答要素結合タンパク質(CREB)結合タンパク質(CBP)が、シナプス可塑性の長期継続形態および長期記憶に必要であることを示している(論評については、Barrett,2008,Learn Mem 15:460-467を参照されたい)。したがって、一態様では、提供される化合物および組成物は、認知機能を促進し、学習および記憶形成を向上するのに有用であり得る。
【0048】
本明細書に記載の化合物および組成物はまた、真菌性疾患または感染症を治療するために使用することができる。
【0049】
別の態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、脳卒中、関節リウマチ、エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、および外傷性脳損傷などの炎症性疾患を治療するために使用することができる(Leoni et al.,PNAS,99(5);2995-3000(2002)、Suuronen et al.J.Neurochem.87;407-416(2003)、およびDrug Discovery Today,10:197-204(2005)。
【0050】
さらに別の態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、新生物細胞の増殖によって引き起こされる癌を治療するために使用することができる。かかる癌としては、例えば、固形腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などが挙げられる。一態様では、本明細書に記載される化合物および組成物によって治療することができる癌としては、限定されないが、心臓癌、肺癌、胃腸癌、泌尿生殖器癌、肝臓癌、神経系癌、婦人科癌、血液癌、皮膚癌、および副腎癌が挙げられる。一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫から選択される心臓癌の治療に有用である。別の態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、気管支原性癌腫(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌腫)、肺胞(気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、および中皮腫から選択される肺癌の治療に有用である。一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、食道(扁平上皮細胞癌腫、腺癌腫、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管状腺癌腫、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、vip産生腫瘍)、小腸(腺癌腫、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、および大腸(腺癌腫、管状腺腫、繊毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)から選択される胃腸癌の治療に有用である。一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、腎臓(腺癌腫、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌腫、移行性細胞癌腫、腺癌腫)、前立腺(腺癌腫、肉腫)、および精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)から選択される泌尿生殖器癌の治療に有用である。一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、肝腫(肝細胞癌腫瘍)、胆管癌腫、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、および血管腫から選択される肝臓癌の治療に有用である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨大細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、および巨大細胞腫瘍から選択される骨癌の治療に関する。
【0052】
一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫)、脳(星細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、頭蓋内胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、および脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)から選択される神経系癌の治療に有用である。
【0053】
一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、子宮(子宮内膜癌腫)、子宮頸部(子宮頸癌腫、腫瘍前子宮頸形成不全(pre-tumor cervical dysplasia))、卵巣(卵巣癌腫[漿液性嚢胞腺癌腫、粘液性嚢胞腺癌腫、未分類癌腫]、顆粒膜-卵胞膜細胞腫瘍、セルトリライディック細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌腫、上皮内癌腫、腺癌腫、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌腫、扁平上皮細胞癌腫、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、および卵管(癌腫)から選択される婦人科癌の治療に有用である。
【0054】
一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、悪性黒色腫、基底細胞癌腫、扁平上皮細胞癌腫、カルポジ肉腫、異形成母斑、脂肪種、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、および乾癬から選択される皮膚癌の治療に有用である。
【0055】
一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、神経芽細胞腫から選択される副腎癌の治療に有用である。
【0056】
一態様では、本明細書に記載の化合物および組成物は、限定されないが、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、および毛様細胞白血病などの急性白血病および慢性白血病を含む白血病、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)などのヒトT細胞リンパ好性ウイルス(HTLV)に関連するリンパ腫、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫、大細胞型リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)などのリンパ腫、バーキットリンパ腫、中皮腫、中枢神経系(CNS)原発リンパ腫、多発性骨髄腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍、および軟組織肉腫などの小児固形腫瘍、頭頸部癌(例えば、口腔、喉頭、および食道)、泌尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣、直腸、および結腸)、肺癌、乳癌、膵臓癌、黒色腫、および他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、および甲状腺癌などの一般的な成人固形腫瘍を含む癌の治療に有用である。
【0057】
一態様では、本明細書で提供されるのは、神経学的障害、記憶または認知機能障害または低下、消去学習障害、真菌性疾患または感染症、炎症性疾患、血液疾患、精神障害、および新生物疾患に罹患している対象を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載の化合物を含む組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【0058】
また、本明細書で提供されるのは、(a)アルツハイマー病、後部皮質萎縮症、正常圧水頭症、ハンチントン病、発作誘発性記憶喪失、統合失調症、ルビンシュタインテイビ症候群、レット症候群、うつ病、脆弱X、レビー小体型認知症、血管性認知症、血管性認知力低下(VCI)、ビンスワンガー病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、ADHD、ディスレクシア、大うつ病性障害、双極性障害に関連する認知機能障害もしくは低下、ならびに自閉症、外傷性脳損傷(TBI)、慢性外傷性脳症(CTE)、多発性硬化症(MS)、注意欠陥障害、不安障害、条件付き恐怖反応(conditioned fear response)、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、社交不安障害、物質依存性回復、年齢に関連する記憶低下(AAMI)、年齢に関係する認知力減少(ARCD)、失調症、パーキンソン病、もしくはパーキンソン病認知症に関連する社交障害、認知障害、および学習障害、または(b)急性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状細胞貧血から選択される血液疾患、または(c)新生物疾患、または(d)恐怖消去および外傷後ストレス障害から選択される学習消去障害、または(e)難聴もしくは聴覚障害、または(f)肺線維症、腎線維症、心臓線維症、および強皮症などの線維性疾患、または(g)癌患者における骨痛、または(h)神経因性疼痛を罹患している対象を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載の化合物を含む組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【0059】
また、本明細書で提供されるのは、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病、または物質依存性回復に罹患している対象を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載の化合物を含む組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【0060】
また、提供されるのは、開示の状態のうちの1つ以上を治療するための、本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または提供される組成物である。
【0061】
また、提供されるのは、開示の状態のうちの1つ以上を治療するための医薬品を製造するための、本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または提供される組成物である。
【0062】
また、本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または提供される組成物での治療の前に、記載の状態のうちの1つ以上に罹患している対象が選択され得る。
【0063】
本開示はまた、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的に許容される組成物を提供する。これらの組成物は、上述の状態のうちの1つ以上を治療するために使用され得る。
【0064】
本明細書に記載の組成物は、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所的に、直腸、経鼻、口腔、膣、またはインプラントしたリザーバを介して投与され得る。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内、および頭蓋内への注射または注入技法を含む。化合物の局所投与または経皮投与のための液体剤形、注射用調製物、固体分散形態、および剤形が本明細書に含まれる。
【0065】
また、任意の特定の患者のための特定の投薬および治療レジメンは、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、治療する医師の判断、および治療される特定の疾患の重症度を含む多様な要因に依存するであろうことが理解されるべきである。組成物中の提供される化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
【0066】
例示
以下の実施例に示すように、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は、次の一般的な手順に従って調製される。一般的な方法は、本発明のある特定の化合物の合成を示すが、次の一般的な方法、および当業者に既知の他の方法は、本明細書に記載されるように、これらの化合物の各々の全ての化合物ならびにサブクラスおよび種に適用され得ることが理解されるであろう。
【0067】
一般情報
局所をUV光(254および365nm)によって可視化した。シリカゲル(200~300メッシュ)を使用して、カラムおよびフラッシュクロマトグラフィーによる精製を行った。溶媒系を、溶媒の比として報告する。
【0068】
NMRスペクトルを、Bruker 400(400MHz)分光計で記録した。1H化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS、=0.00ppm)を内部標準として用い、ppm単位のδ値で報告する。例えば、表1に提供されるデータを参照されたい。
【0069】
Agilent1200シリーズ6110または6120質量分析器のESI(+)イオン化モードを用いて、LCMSスペクトルを得た。例えば、表1に提供されるデータを参照されたい。
【0070】
実施例1
【化10】
1949-Aの合成。ジオキサン/H
2O(100mL/10mL)中の6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(4.58g、26.4mmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(5.00g、31.7mmol)、およびCs
2CO
3(25.73g、79.2mmol)の混合物を、N
2雰囲気下で、Pd(PPh
3)
4(1.10g、0.95mmol)で処理した。混合物を100
oCで2時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)で溶解させ、得られた溶液を生理食塩水(100mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=7:1~5:1)によって精製して、黄色固体として1949-A(4.0g、61%)を得た。MS 252.1[M+H]
+.
【0071】
1949-Bの合成。ピリジン(60mL)中の1949-A(4.0g、15.94mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いでカルボノクロリド酸フェニル(7.50g、47.81mmol)を滴加した。添加が完了した後、混合物を50oCに加熱し、50oCで4時間撹拌した。次いで混合物を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=3:2~1:1)によって精製して、黄色固体として1949-B(7.1g、91%)を得た。MS 492.1[M+H]+.
【0072】
1949-Cの合成。アセトニトリル(5mL)中の1949-B(140mg、0.29mmol)、2-ピロリジン-3-イル-ピリジン(51mg、0.34mmol),およびCs2CO3(279mg、0.86mol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。次いで混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:EtOAc=1:1)によって精製して、黄色固体として1949-C(70mg、57%)を得た。MS 426.2[M+H]+.
【0073】
化合物1の合成。MeOH/EtOAc(3mL/3mL)中の1949-C(70mg、0.16mmol)およびPd/C(70mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=20:1)によって精製して、黄色固体として化合物1(30mg、47%)を得た。MS 396.2[M+H]+.
【0074】
化合物1の合成に使用した試薬を適切に置換したアミンバリアントを使用して、同様の様式で化合物2~6を合成した。
【0075】
化合物2.40mg、54%、白色固体。
【0076】
化合物3.48mg、52%、白色固体。
【0077】
化合物4.70mg、69%、白色固体。
【0078】
化合物5.109mg、97%、白色固体(市販のキラルビルディングブロックから調製)。
【0079】
化合物6.95mg、73%、灰色固体(市販のキラルビルディングブロックから調製)。
【0080】
実施例2
【化11】
1981-Aの合成。密封したフラスコ内で亜鉛ダスト(840mg、12.9mmol)およびCelite(180mg)の混合物を、真空下のヒートガンで5分間加熱した。フラスコをN
2でパージし、室温に冷却した。混合物に、無水DMA(5.5mL)、続いてTMSClおよび1,2-ジブロモエタンの混合物(0.3mL、v/v=7/5)を添加した。混合物をN
2雰囲気下の室温で15分間撹拌し、次いでDMA(5.5mL)中のtert-ブチル3-ヨードピロリジン-1-カルボキシレート(3.10g、10.4mmol)の溶液を添加した。得られた混合物を、N
2下の室温で4時間撹拌し、次いで混合物を、1981-Aとして次のステップに直接使用した。1981-Aの濃度は、DMA中約0.85mol/Lであった。
【0081】
1981-Bの合成。DMA(10mL)中の2-ブロモピリミジン(1.1g、6.92mmol)、CuI(197mg、1.04mmol)、およびPd(dppf)2Cl2(452mg、0.55mmol)の混合物を、N2雰囲気下で、1981-A(10.0mL)で処理した。得られた混合物をN2雰囲気下の85oCで48時間撹拌し、次いで混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)によって精製して、黄色油として1981-B(320mg、19%)を得た。MS 194.3[M-56+H]+.
【0082】
1981-Cの合成。DCM(6mL)中の1981-B(320mg、1.29mmol)の溶液に、TFA(2mL)を滴加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで溶液を真空中で濃縮して、粗生成物として1981-Cを得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS 150.3[M+H]+.
【0083】
1981-Dの合成。DMSO(10mL)中の1981-C(1.29mmol、先程のステップからの粗生成物)および1949-B(352mg、0.72mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(760mg、7.17mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:MeOH=40:1)によって精製して、黄色固体として1981-D(205mg、67%)を得た。MS 427.1[M+H]+.
【0084】
化合物7の合成。MeOH/EtOAc(5mL/5mL)中の1981-D(205mg、0.48mmol)およびPd/C(205mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で50分間撹拌した。Celiteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=25:1)によって精製して、褐色固体として化合物7(130mg、68%)を得た。MS 397.2[M+H]+.
【0085】
化合物7のキラル分離。ラセミ化合物7のエナンチオマー(100mg、0.25mmol)を、キラルクロマトグラフィー分離(カラム:Chiralpak OJ-3、溶媒:MeOH、流量:2mL/分、室温8E1=2.287分、室温8E2=2.553分)によって分離して、黄色固体として第1の溶出ピークエナンチオマー1(化合物8E1)(40mg、40%)(MS 397.2[M+H]+)、および黄色固体として第2の溶出ピークエナンチオマー2(化合物8E2)(20mg、20%)を得た。MS 397.2[M+H]+.立体化学はランダムに割り当てた。
【0086】
化合物7の合成に使用した試薬を適切に置換したボロン酸および臭素バリアントを使用して、同様の様式で化合物9~21を合成した。
【0087】
化合物9.11mg、54%、黄色固体。
【0088】
化合物10.11mg、47%、白色固体。
【0089】
化合物11.34mg、70%、白色固体。
【0090】
化合物12.18mg、48%、白色固体。
【0091】
化合物13.34mg、61%、淡黄色固体。
【0092】
化合物15.14mg、47%、白色固体。
【0093】
化合物16.35mg、63%、オフホワイトの固体。
【0094】
化合物17.25mg、45%、白色固体。
【0095】
化合物18.30mg、52%、オフホワイトの固体。
【0096】
化合物19.15mg、28%、淡黄色固体。
【0097】
化合物20.11mg、47%、淡黄色固体。
【0098】
化合物21.17mg、41%、淡黄色固体。
【0099】
実施例3.14-E1および14-E2の合成
【化12】
2147-Aの合成。ジオキサン/H
2O(500mL/50mL)中のtert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(33.6g、113.9mmol)、2-ブロモ-5-フルオロピリミジン(20g、113.6mmol)、およびK
2CO
3(47.1g、341mmol)の混合物に、窒素雰囲気下でPdCl
2(dppf)
2(4.6g、5.7mmol)を添加した。得られた混合物を100
oCで2時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(500mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(200mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~5:1)によって精製して、灰色固体として2147-A(25.5g、85%)を得た。MS 210.1[M-55]
+.
【0100】
2147-Bの合成。DCM(30mL)中の2147-A(1.0g、6.0mmol)の溶液に、TFA(10mL)を0oCで滴加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2147-Bを得、これを次のステップで直接使用した。MS 166.1[M+H]+.
【0101】
2147-Dの合成。DMF(15mL)中の1954-A(1.87g、7.45mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いでNaH(鉱物油中60%)(596mg、14.9mmol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(1.20g、7.45mmol)を添加し、0℃でさらに30分間撹拌を続けた。DMF中の2147-Bの溶液を反応混合物に添加し、0℃で1時間撹拌を続けた。次いで混合物を水(100mL)でクエンチし、EtOAc(50mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM:EtOAc=15:1~2:1)によって精製して、黄色固体として2147-D(2.3g、70%)を得た。MS 443.2[M+H]+.
【0102】
14の合成。MeOH/EtOAc(50mL/50mL)中の2147-D(2.3g、5.2mmol)およびPd/C(2.3g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)によって精製して、白色固体として化合物14(1.14g、53%)を得た。MS 415.2[M+H]+.
【0103】
14-E1および14-E2のキラル分離。14のエナンチオマー(1.14g、2.75mmol)を、キラルSFC分離(カラム:Chiralcel OD-3、溶媒:MeOH、流量:2mL/分、室温T-2147-E1=1.849分、室温T-2147-E2=2.175分)によって分離して、黄色固体として化合物14-E1異性体1(410mg、36%)(MS 415.2[M+H]+)、および黄色固体として化合物14-E2(360mg、31%)を得た。MS 415.2[M+H]+異性体2.
【0104】
実施例4.19-E1および19-E2の合成
【化13】
2145-Aの合成。EtOAc(80mL)中の1981-A(1.7g、6.8mmol)およびPd/C(850mg)の混合物を、H
2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮して、無色油として2145-A(1.6g、94%)を得た。MS 194.2[M-55]
+.
【0105】
2145-Bの合成。DCM(18mL)中の2145-A(1.3g、5.22mmol)の溶液に、TFA(6mL)を0℃で滴加した。反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌し、次いで反応混合物を真空中で濃縮した。粗残留物をDMF(5mL)中に溶解させ、TEA(1.58g、15.66mmol)で処理して、次のステップに直接使用する溶液として2145-Bを得た。MS 150.0[M+H]+.
【0106】
2145-Cの合成。ジオキサン/H2O(1000mL/100mL)中の6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(50.0g、289.0mmol)、4-フルオロフェニルボロン酸(48.5g、346.8mmol)、およびK2CO3(119.6g、867mmol)の混合物を、N2雰囲気下で、Pd(PPh3)4(5.0g、4.33mmol)で処理した。混合物を95oCで4時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(2000mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(700mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~5:1)によって精製して、黄色固体として2145-C(36g、54%)を得た。MS 233.1[M+H]+.
【0107】
2145-Eの合成。DMF(20mL)中の2145-C(1.0g、4.35mmol)の溶液を0℃に冷却し、NaH(鉱物油中60%)(210mg、5.22mmol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(846mg、5.22mmol)を上の混合物に添加し、0℃でさらに30分間撹拌を続けて、2145-Dとして溶液を得た。2145-Bの溶液を0℃で2145-Dの溶液に添加し、1時間撹拌した。反応混合物を水(420mL)に注ぎ、次いでEtOAc(50mL×3)で抽出し、生理食塩水(50mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~30:1)によって精製して、黄色油として2145-E(1.2g、56.3%)を得た。MS 409.1[M+H]+.
【0108】
19の合成。MeOH/EtOAc(20mL/20mL)中の2145-E(1.2g、2.94mmol)およびPd/C(1.2g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~15:1)によって精製して、オフホワイトの固体として19(700mg、63%)を得た。MS 379.4[M+H]+.
【0109】
19-E1および19-E2のキラル分離。19のエナンチオマー(700mg、1.85mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温T-2145-E2=5.544分によって分離して、白色固体として19-E2(230mg、32.8%)を得、室温T-2145-E1=4.009分によって、白色固体として19-E1(260mg、37.1%)を得た。MS 379.4[M+H]+.
【0110】
実施例5.19-E1および19-E2の代替的な合成
【化14】
2145-Fの合成。DMF(100mL)中の2145-C(5.83g、25.0mmol)の溶液を0℃に冷却し、NaH(鉱物油中60%)(1.4g、35mmol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(4.86g、30mmol)を上の混合物に添加し、さらに0℃で30分間撹拌を続けて、2145-Dとして溶液を得た。次いでDMF(40mL)中の1981-B(9.26g、37.5mmol)およびTEA(18.93g、187.5mmol)の溶液を0℃で2145-Dの溶液に添加し、得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで反応混合物を水(420mL)に注ぎ、10分間撹拌した。沈殿物を濾過によって収集し、ケーキを水(150mL)、次いでアセトン(150mL)で洗浄した。最後に、乾燥するまでケーキを濃縮して、淡黄色固体として2145-F(9.5g、94%)を得た。MS 407.1[M+H]
+.
【0111】
19の合成。MeOH/DCM(250mL/200mL)中の2145-F(8.5g、20.9mmol)およびPd/C(8.5g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で3時間撹拌した。Celiteを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1~15:1)によって精製して、淡黄色固体として19(4.1g、50%)を得た。MS 379.4[M+H]+.
【0112】
適切に置換したボロン酸および臭化アリール試薬を使用することによって、19と同様の様式で化合物46、50、および51を合成した。
【0113】
化合物46.100mg、63%、淡黄色固体。
【0114】
50および51のキラル分離。19のエナンチオマーを、キラルSFC(カラム:Chiralpak AD-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温50=3.267分、および室温51=5.375分によって分離した。
【0115】
化合物50.200mg、29%、白色固体。
【0116】
化合物51.230mg、33%、白色固体。
【0117】
実施例6.20-E1および20-E2の合成
【化15】
2292-Aの合成。ジオキサン/H
2O(500mL/50mL)中の2-ブロモ-5-フルオロピリミジン(20g、113.6mmol)、tert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(33.7g、113.6mmol)、およびK
2CO
3(47.0g、340.8mmol)の混合物を、N
2雰囲気下で、Pd(dppf)
2Cl
2(4.64g、5.7mmol)で処理した。反応混合物を90
oCで3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(100mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=1:1(DCMに対して))によって精製して、灰色固体として2292-A(25.5g、85%)を得た。MS 210.1[M-55]
+.
【0118】
2292-Bの合成。DCM(100mL)中の2292-A(11.7g、44.1mmol)の混合物を、0℃のTFA(30mL)で処理した。反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌した。次いで溶液を真空中で濃縮し、残留物をDMF(50mL)中に溶解させ、TEA(13.4g、132.3mmol)で処理して、次のステップで直接使用する溶液として2292-Bを得た。MS 165.1[M+H]+.
【0119】
2292-Cの合成。DMF(100mL)中の2145-C(9.32g、40.0mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いでNaH(鉱油中60%)(1.92g、48.0mmol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(7.13g、44.0mmol)を上の混合物に添加し、さらに0℃で30分間撹拌を続けて、2145-Dとして溶液を得た。次いで2292-Bの溶液を0℃で上の混合物に添加し、得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで反応混合物を水(450mL)に注ぎ、10分間撹拌した。沈殿物を濾過によって収集し、ケーキを水(150mL)、次いでアセトン(150mL)で洗浄した。最後に、乾燥するまでケーキを濃縮して、淡黄色固体として2292-C(12.2g、70%)を得た。MS 424.9[M+H]+.
【0120】
20の合成。MeOH/DCM(400mL/300mL)中の2292-C(12.2g、28.6mmol)およびPd/C(12.2g)の溶液を、H2雰囲気下の室温で2.5時間撹拌した。Celiteを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCMに対してDCM:EA=1:1)によって精製して、黄色固体として20(6.8g、60%)を得た。MS 397.0[M+H]+.
【0121】
20-E1および20-E2のキラル分離。20のエナンチオマー(360mg、0.91mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OJ-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温T-2292-E2=2.862分によって分離して、白色固体として20-E2(100mg、28%)を得、室温T-2292-E1=2.338分によって、白色固体として20-E1(88mg、25%)を得た。MS 397.0[M+H]+.
【0122】
実施例7
【化16】
2007-Aの合成。THF(10mL)中のtert-ブチル3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキシレート(821mg、4.75mmol)の溶液を、室温の3-ブロモピリダジン(500mg、3.16mmol)およびKOH(798mg、4.25mmol)で処理した。次いで反応混合物を70
oCに加熱し、70
oCで16時間撹拌した。次いで混合物を水(20ml)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:PE=10:1)によって精製して、黄色油として2007-A(70mg、8%)を得た。MS 288.2[M+H]
+.
【0123】
2007-Bの合成。DCM(6mL)中の2007-A(70mg、0.26mmol)の溶液に、TFA(2mL)を滴加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2007-Bを得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
【0124】
2007-Cの合成。DMSO(5mL)中の1949-B(71.0mg、0.14mmol)および2007-B(0.26mmol、先程のステップからの粗生成物)の混合物を、室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(276mg、2.6mmol)で処理した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:PE=5:1)によって精製して、黄色固体として2007-C(40mg、45%)を得た。MS 443.2[M+H]+.
【0125】
22の合成。MeOH(6mL)中の2007-C(40mg、0.09mmol)の混合物を、Raney-Ni(20mg)で処理し、H2雰囲気下の室温で30分間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によってRaney-Niを除去し、濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)によって精製して、ピンク色の固体として22(18mg、48%)を得た。MS 413.2[M+H]+.
【0126】
実施例8
【化17】
2008-Aの合成。THF(10mL)中のtert-ブチル3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキシレート(375mg、3.32mmol)の溶液を、室温の2-ブロモピリミジン(350mg、3.22mmol)およびt-BuOK(1.08g、9.66mmol)で処理した。次いで反応混合物を70
oCに加熱し、70
oCで3時間撹拌した。次いで混合物を水(30ml)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:PE=10:1)によって精製して、無色油として2008-A(400mg、48%)を得た。MS 288.2[M+H]
+.
【0127】
2008-Bの合成。DCM(6mL)中の2008-A(400mg、1.51mmol)の溶液に、TFA(2mL)を滴加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2008-Bを得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS 188.2[M+H]+.
【0128】
2008-Cの合成。DMSO(10mL)中の1949-B(370.0mg、0.76mmol)および2008-B(1.51mmol、先程のステップからの粗生成物)の混合物を、室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(800mg、7.55mmol)で処理した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:PE=5:1)によって精製して、黄色固体として2008-C(250mg、75%)を得た。MS 443.2[M+H]+.
【0129】
23の合成。MeOH(8mL)中の2008-C(200mg、0.45mmol)の混合物を、Pd/C(200mg)で処理し、反応混合物をH2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)によって精製して、オフホワイトの固体として23(84mg、42%)を得た。MS 413.2[M+H]+.
【0130】
実施例9
【化18】
2058-Aの合成。亜鉛ダスト(896mg、13.8mmol)および無水DMA(3mL)の混合物を、TMSClおよび1,2-ジブロモエタン(0.24mL、v/v=7/5)で処理し、得られた反応混合物を、N
2雰囲気下の室温で20分間撹拌した。次いで無水DMA(4mL)中のtert-ブチル3-(ヨードメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(3.3g、10.6mmol)の溶液を添加し、得られた反応混合物を、N
2雰囲気下の室温で16時間撹拌した。次いで混合物を、2058-Aとして次のステップで直接使用した。2058-Aの濃度は、DMA中約1.0mol/Lであった。
【0131】
2058-Bの合成。無水DMA(15mL)中の2-ブロモピリミジン(734mg、4.61mmol)、CuI(87mg、0.46mmol)、およびPd(PPh3)4(266mg、0.23mmol)の混合物を、N2雰囲気下で、2058-A(6.0mL)で処理した。得られた混合物を、N2雰囲気下の60oCで48時間撹拌した。次いで混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:DCM=1:1)によって精製して、黄色固体として2058-B(500mg、41%)を得た。MS 264.2[M+H]+.
【0132】
2058-Cの合成。DCM(10mL)中の2058-B(500mg、1.9mmol)の溶液に、TFA(3mL)を滴加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで溶液を真空中で濃縮して、粗生成物として2058-Cを得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS 164.2[M+H]+.
【0133】
2058-Dの合成。DMSO(15mL)中の2058-C(1.9mmol、先程のステップからの粗生成物)および1949-B(518mg、1.05mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(1.11g、10.5mmol)で処理し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:EtOAc=1:2)によって精製して、黄色固体として2058-D(400mg、86%)を得た。MS 441.2[M+H]+.
【0134】
24の合成。MeOH/EtOAc(10mL/10mL)中の2058-D(400mg、0.91mmol)およびPd/C(400mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=25:1)によって精製して、黄色固体として24(250mg、67%)を得た。MS 411.2[M+H]+.
【0135】
24のキラル分離。24のエナンチオマー(250mg、0.61mmol)を、キラルクロマトグラフィー分離(カラム:Chiralpak AD-3、溶媒:MeOH、流量:2mL/分、室温24E1=2.893分、室温24E2=3.892分)によって分離して、黄色固体としてエナンチオマー1(25E1)(62mg、25%)(MS 411.2[M+H]+)、および黄色固体としてエナンチオマー2(25E2)(90mg、36%)を得た。MS 411.2[M+H]+.立体化学はランダムに割り当てた。
【0136】
化合物23の合成に使用した試薬を適切に置換した臭素バリアントを使用して、同様の様式で化合物26~28を合成した。
【0137】
化合物26.20mg、21%、黄色固体。
【0138】
化合物27.110mg、59%、白色固体。
【0139】
化合物28.20mg、54%、淡黄色固体。
【0140】
実施例10
【化19】
2106-Aの合成。窒素雰囲気下のDCM(600mL)中の2-ブロモピリミジン(50.0g、314.5mmol)の溶液に、-78
oCのn-BuLi(150mL、377.5mmol)を滴加し、窒素雰囲気下の-78
oCで2時間撹拌した。次いでDCM(200mL)中のtert-ブチル3-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(70g、377.5mmol)を、-78
oCで上の混合物に滴加した。得られた混合物を室温に3時間温めた。混合物を飽和NH
4Cl(200mL)でクエンチし、DCM(400mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(200mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、淡黄色固体として2106-A(9.0g、11%)を得た。MS 266.2[M+H]
+.
【0141】
2106-Bの合成。DCM(50mL)中の2106-A(9.0g、34.0mmol)の溶液に、DAST(18mL)を-78℃で滴加し、溶液を窒素雰囲気下で室温に1時間温めた。溶媒を濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、褐色固体として2106-B(2.2g、24%)を得た。MS 268.2[M+H]+.
【0142】
2106-Cの合成。DCM(20mL)中の2106-B(2.2g、8.21mmol)の溶液に、TFA(8mL)を0oCで滴加した。次いで溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2106-Cを得、これを次のステップで直接使用した。MS 168.2[M+H]+.
【0143】
2106-Dの合成。DMSO(40mL)中の1949-B(2.6g、5.47mmol)および2106-C(8.21mmol、先程のステップからの粗生成物)の混合物を、室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(5.8g、54.7mmol)を上の混合物に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、黄色固体として2106-D(2.0g、82%)を得た。MS 445.0[M+H]+.
【0144】
29の合成。MeOH(20mL)中の2106-D(12.0g、27.0mmol)およびRaney-Ni(2.0g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Raney-Niを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、黄色固体として29(8.0g、71%)を得た。MS 415.2[M+H]+.
【0145】
29-E1および29-E2のキラル分離。化合物29のエナンチオマー(8.0g、19.3mmol)を、キラルSFC(カラム:Chiralcel OX-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温2106-E1=2.814分、室温T-2106-E2=4.362分)によって分離して、黄色固体として29-E1(1.2g、11%)(MS 415.2[M+H]+)、および黄色固体として29-E2(1.3g、12%)を得た。MS 415.2[M+H]+.
【0146】
2-(5-フルオロチオフェン-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを試薬として使用することによって、29と同様の様式で化合物45を合成した。
【0147】
化合物45.90mg、19%、黄色固体。
【0148】
実施例11
【化20】
1984-Aの合成。N
2雰囲気下で、THF(20mL)中の2-ブロモ-5-メチルチアゾール(1.0g、5.59mmol)の溶液を-78
oCのnBuLi(2.7mL、6.70mmol)で滴下処理し、得られた反応混合物を-78
oCで1時間撹拌した。次いでTHF(10mL)中のtert-ブチル3-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(1.2g、6.70mmol)の溶液を-78
oCで反応混合物に滴加した。次いで反応混合物を室温に温め、室温で3時間撹拌した。混合物を飽和NH
4Cl水溶液(40mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、淡黄色固体として1984-A(760mg、48%)を得た。MS 285.2[M+H]
+.
【0149】
1984-Bの合成。DCM(10mL)中の1984-A(660mg、2.32mmol)の溶液を0oCに冷却し、ピリジン(1.09g、13.94mmol)で処理し、続いてSOCl2(414mg、3.48mmol)を滴加した。次いで得られた反応混合物を45oCに加熱し、45oCで16時間撹拌した。次いで混合物を水(20ml)で希釈し、DCM(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:5)によって精製して、褐色油として1984-B(120mg、19%)を得た。MS 266.2[M+H]+.
【0150】
1984-Cの合成。MeOH(6mL)中の1984-B(100mg、0.38mmol)およびPd/C(100mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EtOAc:PE=5:1)によって精製して、淡褐色油として1984-C(90mg、88%)を得た。MS 269.2[M+H]+.
【0151】
1984-Dの合成。DCM(3mL)中の1984-C(90mg、0.34mmol)の溶液に、TFA(1mL)を滴加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として1984-Dを得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS 169.2[M+H]+.
【0152】
1984-Eの合成。DMSO(5mL)中の1949-B(93mg、0.19mmol)および1984-D(0.34mmol、先程のステップからの粗生成物)の混合物をNa2CO3(200mg、1.89mmol)で処理し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:PE=5:1)によって精製して、黄色固体として1984-E(80mg、95%)を得た。MS 446.2[M+H]+.
【0153】
30の合成。MeOH(5mL)中の1984-E(80mg、0.18mmol)およびPd/C(80mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によってPd/Cを除去し、濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EtOAc:MeOH=15:1)によって精製して、黄色固体として30(44mg、59%)を得た。MS 416.2[M+H]+.
【0154】
実施例12 31の合成
【化21】
1954-Aの合成。ジオキサン/H
2O(100mL/10mL)中の6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(4.58g、26.4mmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(5.00g、31.7mmol)、およびK
2CO
3(10.9g、79.2mmol)の混合物を、窒素雰囲気下で、Pd(PPh
3)
4(1.10g、0.95mmol)で処理した。混合物を100
oCで3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(100mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=7:1~5:1)によって精製して、黄色固体として1954-A(4.0g、61%)を得た。MS 252.1[M+H]
+.
【0155】
1954-Bの合成。ピリジン(60mL)中の1954-A(4.0g、15.94mmol)の撹拌溶液に、カルボノクロリド酸フェニル(7.50g、47.81mmol)を0oCで滴加した。添加が完了した後、混合物を50oCで4時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=3:2~1:1)によって精製して、黄色固体として1954-B(7.1g、91%)を得た。MS 492.1[M+H]+.
【0156】
1954-Cの合成。無水DMA(2mL)中の亜鉛ダスト(449mg、6.9mmol)の混合物に、TMSClおよび1,2-ジブロモエタン(0.24mL、v/v=7/5)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下の室温で20分間撹拌した。次いで無水DMA(1.5mL)中のtert-ブチル3-(ヨードメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(1.65g、5.3mmol)の溶液を上の混合物に添加し、得られた混合物を、窒素雰囲気下の室温で16時間撹拌した。混合物を、1954-Cとして次のステップで直接使用した。1954-Cの濃度は、DMA中約1.0mol/Lであった。
【0157】
1954-Dの合成。無水DMA(6mL)中の3-ブロモピリミジン(243mg、1.54mmol)、CuI(30mg、0.15mmol)、およびPd(PPh3)4(89mg、0.077mmol)の混合物に、窒素雰囲気下で1954-C(2.0mL)を添加した。得られた混合物を、窒素雰囲気下の60oCで72時間撹拌した。次いで混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:EtOAc=2:1)によって精製して、黄色固体として1954-D(180mg、44%)を得た。MS 263.2[M+H]+.
【0158】
1954-Eの合成。DCM(6mL)中の1954-D(160mg、0.69mmol)の溶液に、TFA(2mL)を0oCで滴加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して、粗生成物として1954-Eを得、これを次のステップで直接使用した。MS 163.2[M+H]+.
【0159】
1954-Fの合成。DMSO(6mL)中の1954-E(0.69mmol、先程のステップからの粗生成物)および1954-B(188mg、0.38mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(403mg、3.8mmol)を上の混合物に添加し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:EtOAc=1:2)によって精製して、黄色固体として1954-F(110mg、66%)を得た。MS 440.1[M+H]+.
【0160】
化合物31の合成。MeOH/EtOAc(5mL/5mL)中の1954-F(110mg、0.25mmol)およびPd/C(110mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で50分間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=30:1)によって精製して、黄色固体として31(45mg、44%)を得た。MS 410.1[M+H]+.
【0161】
tert-ブチル3-ヨードピロリジン-1-カルボキシレートおよび2-ブロモ-5-メチルピリミジンを試薬として使用することによって、31と同様の様式で化合物33を合成した。
【0162】
化合物33.38mg、41%、淡黄色固体。
【0163】
Tert-ブチル3-ヨードピロリジン-1-カルボキシレート、2-ブロモピリミジン、および2-フルオロフェニルボロン酸を試薬として使用することによって、31と同様の様式で化合物48を合成した。
【0164】
化合物48.38mg、41%、淡黄色固体。
【0165】
実施例13 化合物32の合成
【化22】
1985-Aの合成。ジオキサン(40mL)中の2-ブロモ-5-メチル-1,3,4-チアジアゾール(700mg、3.89mmol)、tert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(1.15g、3.89mmol)、およびNa
2CO
3(1.2g、11.7mmol)の混合物を、窒素雰囲気下で、PdCl
2(dppf)
2(159mg、0.2mmol)で処理した。反応混合物を90
oCで3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(30mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(10mL×3)で洗浄した。組み合わせた有機層を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)によって精製して、黄色固体として1985-A(400mg、39%)を得た。MS 268.1[M+H]
+.
【0166】
1985-Bの合成。EtOAc(10mL)中の1985-A(400mg、1.5mmol)およびPd/C(400mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EA:PE=3:1)によって精製して、黄色固体として1985-B(300mg、74%)を得た。MS 270.2[M+H]+.
【0167】
1985-Cの合成。DCM(10mL)中の1985-B(300mg、1.1mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いでTFA(4mL)を0oCで滴加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として1985-Cを得、これを次のステップで直接使用した。MS 170.2[M+H]+.
【0168】
1985-Dの合成。DMSO(10mL)中の1954-B(300mg、0.6mmol)および1985-C(1.1mmol、先程のステップからの粗生成物)の混合物をNa2CO3(636mg、6.0mmol)で処理し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL×3)で抽出した。組み合わせた組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EA:PE=5:1)によって精製して、黄色固体として1985-D(150mg、56%)を得た。MS 447.2[M+H]+.
【0169】
32の合成 MeOH(6mL)中の1985-D(150mg、0.34mmol)およびPd/C(150mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EA:MeOH=15:1)によって精製して、黄色固体として32(83mg、55%)を得た。MS 417.2[M+H]+.
【0170】
適切に置換した臭化アリール試薬を使用することによって、32と同様の様式で化合物37を合成した。
【0171】
化合物37.65mg、58%、淡黄色固体。
【0172】
実施例14 化合物34の合成
【化23】
2060-Aの合成。DMF(5mL)中の1H-イミダゾール(115mg、1.69mmol)の溶液を0℃に冷却し、NaH(鉱油中60%、122mg、3.1mmol)で処理した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、次いでtert-ブチル3-(ヨードメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(687mg、2.21mmol)を添加し、反応混合物を40℃に温め、40
oCで3時間撹拌した。次いで混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:MeOH=30:1)によって精製して、無色油として2060-A(105mg、25%)を得た。MS 197.2[M+H]
+.
【0173】
2060-Bの合成。DCM(6mL)中の2060-A(201mg、0.80mmol)の溶液に、TFA(2mL)を0oCで滴加した。得られた反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して、粗生成物として2060-Bを得、これを次のステップで直接使用した。MS 151.2[M+H]+.
【0174】
2060-Cの合成。DMSO(6mL)中の2060-B(0.80mmol、先程のステップからの粗生成物)および1954-B(216mg、0.44mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(471mg、4.44mmol)を上の混合物に添加し、室温で2時間撹拌した。混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:MeOH=30:1)によって精製して、黄色固体として2060-C(147mg、78%)を得た。MS 429.1[M+H]+.
【0175】
34の合成。MeOH/EtOAc(5mL/5mL)中の2060-C(124mg、0.29mmol)およびPd/C(124mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で2時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=20:1)によって精製して、白色固体として34(53mg、43%)を得た。MS 399.2.[M+H]+.
【0176】
試薬としてピラゾールを使用することによって、34と同様の様式で化合物35を合成した。
【0177】
化合物35.60mg、64%、白色固体。
【0178】
実施例16 化合物41の合成
【化24】
2200-Aの合成。ジオキサン/H
2O(500mL/50mL)中のチオフェン-2-イルボロン酸(14.1g、110mmol)、6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(17.3g、100mmol)、およびK
2CO
3(41.4g、300mmol)の混合物に、窒素雰囲気下でPd(PPh
3)
4(5.8g、5.0mmol)を添加した。反応混合物を100
oCで2時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(100mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~5:1)によって精製して、黄色固体として2200-A(20.4g、84%)を得た。MS 222.0[M+H]
+.
【0179】
2200-Bの合成。ピリジン(80mL)中の2200-A(4.42g、20mmol)の撹拌溶液に、カルボノクロリド酸フェニル(3.12g、60mmol)を0oCで滴加した。添加が完了した後、混合物を50oCで4時間撹拌した。次いで混合物を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=3:2~1:1)によって精製して、黄色固体として2200-B(8.57g、93%)を得た。MS 462.1[M+H]+.
【0180】
2200-Dの合成。EtOAc(15mL)中の2200-C(108mg、0.44mmol)およびPd/C(108mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(EtOAc:PE=1:5)によって精製して、白色固体として41(100mg、92%)を得た。MS 250.1[M+H]+
.
【0181】
2200-Eの合成。DCM(3mL)中の2200-D(100mg、0.40mmol)の溶液に、TFA(1mL)をoCで滴加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2200-Eを得、これを次のステップで直接使用した。MS 194.1[M+H]+.
【0182】
2200-Fの合成。DMSO(6mL)中の2200-E(0.4mmol、先程のステップからの粗生成物)および2200-B(103mg、0.22mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(234mg、2.2mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(DCM:EtOAc=1:1)によって精製して、黄色固体として2200-F(80mg、91%)を得た。MS 397.0[M+H]+.
【0183】
41の合成。MeOH(15mL)中の2200-F(80mg、0.20mmol)およびRaney-Ni(80mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Raney-Niを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=20:1)によって精製して、褐色固体として41(43mg、58%)を得た。MS 367.2[M+H]+
.
【0184】
臭化メチルマグネシウムおよび適切に置換したボロン酸試薬を使用することによって、41と同様の様式で化合物42を合成した。
【0185】
化合物42.23mg、31%、黄色固体。
【0186】
実施例17 43および44の合成
【化25】
2332-Aの合成。EtOAc(20mL)中の2147-A(1.0g、3.8mmol)およびPd/C(1.0g)の混合物を、H
2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1~3:1)によって精製して、白色固体として2332-A(1.0g、99%)を得た。MS 268.1[M+H]
+.
【0187】
2332-Bの合成。DCM(21mL)中の2332-A(1.0g、3.7mmol)の溶液を0℃に冷却し、TFA(7mL)を0oCで滴加した。反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、残留物をDMF(7mL)中に溶解させ、TEA(1.01g、10mmol)で処理して、次のステップで直接使用する溶液として2332-Bを得た。MS 168.1[M+H]+.
【0188】
2332-Cの合成。窒素雰囲気下のTHF(500mL)中のチオフェン(20.0g、238mmol)の溶液に、-78oCのn-BuLi(100mL、250mmol)を滴加し、reactinを、窒素雰囲気下の-78oCで1時間撹拌した。次いでTHF(300mL)中のN-フルオロベンゼンスルホンイミド(78.8g、250mmol)を、-78oCで上の混合物に滴加し、室温に1時間温めた。次いで反応混合物を-78oCに冷却し、別の部分のn-BuLi(100mL、250mmol)を-78oCで滴加し、-78oで1時間撹拌した。最後に、THF(200mL)中の2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(46.5g、250mmol)を-78oCで上の混合物に滴加し、反応混合物を室温に温め、16時間撹拌した。混合物を冷却した飽和NH4Cl(2000mL)に注ぎ、PE(400mL×3)で抽出し、組み合わせた有機層を生理食塩水(400mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮して、次のステップに直接使用する粗生成物として2332-C(32g)を得た。MS 229.0[M+H]+.
【0189】
2332-Dの合成。ジオキサン/H2O(400mL/40mL)中の6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(18.9g、109.6mmol)、2332-C(30g、先程のステップからの粗生成物)、およびK2CO3(45.37g、328.8mmol)の混合物を、窒素雰囲気下で、Pd(PPh3)4(2.0g)で処理した。混合物を95oCで3時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(500mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(200mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=10:1~2:1)によって精製して、黄色固体として2332-D(9.0g、34%(2つのステップ))を得た。MS 240.0[M+H]+.
【0190】
2332-Fの合成。DMF(10mL)中の2332-D(820mg、3.43mmol)の溶液を0℃に冷却し、NaH(鉱物油中60%)(275mg、6.86mmol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(556mg、3.43mmol)を上の混合物に添加し、0℃でさらに30分間撹拌を続けた。最後に、2332-Bの溶液を0℃で上の混合物に添加し、1時間撹拌した。次いで混合物を水(60mL)でクエンチし、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCM:EtOAc=15:1~2:1)によって精製して、黄色固体として2332-F(1.18g、80%)を得た。MS 433.0[M+H]+.
【0191】
T-2332の合成。MeOH(20mL)中の2332-F(1.18g、2.7mmol)およびRaney-Ni(1.2g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Raney-Niを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1~20:1)によって精製して、赤色固体としてT-2332(850mg、77%)を得た。MS 403.0[M+H]+.
【0192】
43および44のキラル分離。T-2332(850mg、2.11mmol)をキラル分離(カラム:Chiralcel OJ-3、溶媒:MeOH、流量:2mL/分、室温43=2.141分、室温44=2.689分)によって分離して、淡紫色固体として43(300mg、35%)(MS 403.0[M+H]+)、および白色固体として44(190mg、22%)を得た。MS 403.0[M+H]+.
【0193】
実施例18 化合物52および53の合成
【化26】
2303-Aの合成。AcOH(33重量%、250mL)中のHBrの溶液中の2-クロロ-5-フルオロピリミジン(50g、378.0mmol)を、40
oCで16時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却し、沈殿物を濾液によって収集した。濾過ケーキをEtOAc(500mL)中に溶解させ、飽和Na
2CO
3でpH=9に塩基化した。得られた混合物をEtOAc(500mL×2)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。PE(20mL)を残留物に添加し、沈殿物を濾過によって回収し、次いで真空中で乾燥させて、淡褐色固体として2303-A(35.0g、53%)を得た。MS177.2[M+H
]+.
【0194】
2303-Bの合成。DCM(70mL)中の2303-A(5.0g、28.4mmol)の溶液に、-78oCのn-BuLi(13.6mL、34.1mmol)を滴加し、反応混合物をN2雰囲気下で1時間撹拌した。次いでDCM(20mL)中のSM-A(6.3g、34.1mmol)の溶液を混合物に滴加した。得られた混合物を室温に温め、3時間撹拌した。次いで混合物を飽和NH4Cl(100mL)で希釈し、DCM(100mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、粗生成物として2303-B(550mg)を得た。粗生成物を分取HPLCによって精製して、褐色固体として2303-B(177mg、2.2%)を得た。MS 284.2[M+H]+.
【0195】
2303-Cの合成。DCM(50mL)中の2303-B(1.6g、5.63mmol)の溶液を、N2雰囲気下で、-78oCのDAST(3.2mL)で滴下処理した。次いで溶液を室温に温め、2時間撹拌した。次いで反応物を氷水でクエンチし、DCM(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)によって精製して、褐色固体として2303-C(850mg、53%)を得た。MS 286.2[M+H]+.
【0196】
2303-Dの合成。0℃のDCM(30mL)中の2303-C(850mg、2.98mmol)の溶液に、TFA(4mL)を滴加した。次いで溶液を室温に温め、室温で1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、粗生成物として2303-Dを得、これを次のステップで直接使用した。
【0197】
2303-Eの合成。DMSO(50mL)中のSM-B(1.2g、2.48mmol)および2303-D(1.1g、先程のステップからの粗生成物)の溶液に、Na2CO3(3.2g、29.8mmol)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(PE:EtOAc=1:5)によって精製して、黄色固体として2303-E(680mg、61%)を得た。MS 445.2[M+H]+.
【0198】
52および53の合成。MeOH(10mL)中の2303-E(680mg、1.53mmol)およびRaney-Ni(680mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によって、Raney-Niを除去した。濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EA:MeOH=10:1)によって精製して、黄色固体としてT-2303(600mg、94%)を得た。エナンチオマーを、キラルSFC(カラム:Chiralcel OJ-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温52=1.869分、室温53=2.848分)によって分離して、黄色固体として52(250mg、41%)を得た。MS 415.2[M+H]+.黄色固体として53(240mg、40%)。MS 415.2[M+H]+.
【0199】
実施例19 化合物54および55の合成
【化27】
2294-Aの合成。DCM(400mL)中の3-ブロモピリダジン(50.0g、314.5mmol)の溶液に、n-BuLi(ヘキサン中2.5M)(150mL)を、-78
oCのN
2雰囲気下で滴加し、反応混合物を-78
oCで1時間撹拌した。次いでDCM(200mL)中のtert-ブチル3-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(69.7g、377.0mmol)の溶液を上の混合物に添加し、混合物を室温に温め、3時間撹拌した。反応混合物を飽和NH
4Cl(300mL)に注ぎ、次いでDCM(400mL×3)で抽出し、生理食塩水(300mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1(EtOAcに対して))によって精製して、粗生成物として2294-A(7.0g)を得た。MS 266.2[M+H]
+.
【0200】
2294-Bの合成。DCM(100mL)中の2294-A(7.0g、先程のステップの粗生成物)の溶液を-78℃に冷却し、DAST(3.0mL)で滴下処理し、次いで反応混合物を室温に温め、室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(100mL)で希釈し、DCM(50mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(80mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(EtOAc:PE=10:1~1:1)によって精製して、褐色固体として2294-B(2.5g、3%(2つのステップ))を得た。MS 268.2[M+H]+.
【0201】
2294-Cの合成。DCM(24mL)中の2294-B(2.5g、9.4mmol)の溶液を0℃に冷却し、TFA(8mL)で処理した。添加に続いて反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌した。溶液を真空中で濃縮して、粗生成物として2294-Cを得、これを次のステップで直接使用した。MS 168.2[M+H]+.
【0202】
2294-Dの合成。DMSO(50mL)中のSM-A(2.5g、5.3mmol)および2294-C(9.4mmol、先程のステップからの粗生成物)の溶液を、Na2CO3(5.5g、52.2mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(150mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出し、組み合わせた有機層を生理食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(EtOAcに対してEtOAc:MeOH=30:1)によって精製して、黄色固体として2294-D(1.4g、82%)を得た。MS 427.2[M+H]+.
【0203】
T-2294の合成。DCM/MeOH(10mL/10mL)中の2294-D(1.4g、3.3mmol)およびRaney-Ni(1.0g)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteを通す濾過によって、Raney-Niを除去した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(EtOAcに対してEtOAc:MeOH=10:1)によって精製して、灰色固体としてT-2294(800mg、61%)を得た。MS 397.2[M+H]+.
【0204】
55のキラル分離。T-2294(800mg、2.02mmol)をキラルSFC(カラム:Chiralcel OJ-3、溶媒:MeOH、流量:2mL/分、室温55=2.599分)によって分離して、黄色固体として55(226mg、17%)を得、(室温54=1.854分)によって、黄色固体として54(226mg、17%)を得た。MS 397.2[M+H]+.
【0205】
実施例20 39および40の合成
【化28】
2201-Aの合成。THF(400mL)中のチオフェン(20.0g、238mmol)の溶液に、n-BuLi(ヘキサン中2.5M)(100mL)を-78
oCで滴加し、反応混合物を-78
oCで1時間撹拌した。次いでTHF(400mL)中のNFSI(78.8g、250mmol)の溶液を-78
oCで上の溶液に滴加し、反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。次いで反応混合物を再び-78℃に冷却し、別の部分のn-BuLi(ヘキサン中2.5M)(100mL)を-78
oCで上の混合物に滴加し、-78
oCで1時間撹拌を続けた。最後に、THF(200mL)中の2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(46.5g、250mmol)の溶液を-78
oCで上の溶液に滴加した。反応混合物を室温に16時間温めた。反応混合物を飽和NH
4Cl(1000mL)に注ぎ、次いでPE(300mL×3)で抽出し、生理食塩水(300mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮して、粗生成物として2201-A(32g)を得た。MS 147.1[M-82]
+.
【0206】
2201-Bの合成。ジオキサン/H2O(400mL/40mL)中の6-クロロ-3-ニトロピリジン-2-アミン(18.9g、109.6mmol)、2201-A(32g、先程のステップからの粗生成物)、およびK2CO3(45.4g、328.8mmol)の混合物を、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(2.0g、1.73mmol)を添加した。混合物を95oCで4時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(300mL)で溶解させ、溶液を生理食塩水(100mL×3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=10:1~2:1)によって精製して、黄色固体として2201-B(9.0g、34%)を得た。MS 240.1[M+H]+.
【0207】
2201-Cの合成。ピリジン(10mL)中の2201-B(460mg、1.92mmol)の撹拌溶液を、カルボノクロリド酸フェニル(900mg、5.77mmol)で滴下処理した。添加が完了した後、混合物を55oCで2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:DCM=20:1~1:3)によって精製して、黄色固体として2201-C(700mg、76%)を得た。MS 479.8[M+H]+.
【0208】
2201-Dの合成。DMSO(10mL)中の2201-C(106mg、0.22mmol)および2145-B(200mg、0.40mmol)の溶液に、Na2CO3(233mg、2.2mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(PE:EA=1:5)によって精製して、黄色固体として2201-D(75mg、82%)を得た。MS 415.2[M+H]+.
【0209】
T-2201の合成。DCM/MeOH(3mL/5mL)中の2201-D(75mg、0.18mmol)およびRaney-Ni(75mg)の溶液に、室温で0.5時間撹拌した。Celiteを通す濾過によってRaney-Niを除去した。濾液を濃縮し、残留物を分取TLC(EA:MeOH=10:1)によって精製して、灰色固体としてT-2201(15mg、22%)を得た。MS 385.2[M+H]+.
【0210】
39および40のキラル分離。T-2201(1.0g、2.6mmol)をキラル分離(カラム:Chiralcel OJ-3、溶媒:MeOH、流量:1.5mL/分、室温39=2.225分、室温40=2.667分)によって分離して、褐色固体として39(300mg、30%)(MS 385.0[M+H]+)および紫色固体として40(300mg、30%)を得た。MS 385.0[M+H]+.
【0211】
適切に置換したボロン酸および臭化アリール試薬を使用することによって、39および40と同様の様式で化合物49を合成した。
【0212】
化合物49.30mg、23%、黄色固体。
【0213】
実施例22 36の合成
【化29】
2066-Aの合成。THF(10mL)中の2475-B(400mg、1.7mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で、-78
oCのLDA(2.6mL、5.2mmol)で滴下処理し、-78
oCで1時間撹拌した。次いでTHF(5mL)中のtert-ブチル3-オキソアゼチジン-1-カルボキシレート(414mg、2.2mmol)の溶液を-78
oCで上の混合物に滴加し、次いで反応混合物を室温に温め、16時間撹拌した。混合物を飽和NH
4Cl(40mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=3:1(EtOAcに対して))によって精製して、無色油として2066-A(380mg、84%)を得た。MS 264.2[M+H]
+.
【0214】
2066-Bの合成。EtOAc(10mL)中の2066-A(380mg、1.4mmol)およびPd/C(380mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。次いでCeliteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=3:1(EtOAcに対して))によって精製して、無色油として2066-B(300mg、79%)を得た。MS 266.2[M+H]+.
【0215】
2066-Cの合成。DCM(6mL)中の2066-B(150mg、0.57mmol)の溶液に、TFA(2mL)を0oCで滴加した。反応混合物を室温に温め、室温で1時間撹拌した。溶液を真空中で濃縮して、粗生成物として2066-Cを得、これを次のステップで直接使用した。MS 166.2[M+H]+.
【0216】
2066-Dの合成。DMSO(6mL)中の2066-C(0.57mmol、先程のステップからの粗生成物)および1954-B(154mg、0.32mmol)の混合物を室温で10分間撹拌し、次いでNa2CO3(339mg、3.2mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物を分取TLC(EtOAc:MeOH=40:1)によって精製して、黄色固体として2066-D(100mg、73%)を得た。MS 443.1[M+H]+.
【0217】
36の合成。MeOH/EtOAc(5mL/5mL)中の2066-D(100mg、0.23mmol)およびPd/C(100mg)の混合物を、H2雰囲気下の室温で50分間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取TLC(DCM:MeOH=30:1)によって精製して、黄色固体として36(40mg、42%)を得た。MS 413.0[M+H]+.
【0218】
実施例23 化合物47の合成
【化30】
2341-Aの合成。DCM(20mL)中の2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)酢酸(1.15g、5.0mmol)、HOBt(810mg、6.0mmol)、およびEDCI(1.44g、7.5mmol)の溶液に、DIPEA(1.94g、15.0mmol)を添加し、窒素雰囲気下の室温で30分間撹拌した。次いでDCM(10mL)中のプロプ-2-イン-1-アミン(413mg、7.5mmol)の溶液を上の混合物中に添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。混合物をDCM(30mL)で希釈し、0.5NのHCl(20mL×2)、飽和NaHCO
3(20mL×2)および生理食塩水(20mL×2)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~2:1)によって精製して、色油として2341-A(1.0g、75%)を得た。MS 211.0[M-55]
+.
【0219】
2341-Bの合成。アセトニトリル(20mL)中の2341-A(580mg、2.2mmol)の溶液を三塩化金(50mg、0.075mmol)で処理し、反応混合物を、窒素雰囲気下の45oCで72時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)によって精製して、無色油として2341-B(380mg、66%)を得た。MS 267.0[M+H]+.
【0220】
2341-Cの合成。DCM(12mL)中の2341-B(380mg、1.4mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いでTFA(4mL)を滴加した。添加に続いて、反応物を室温に温め、室温で1時間撹拌した。次いで反応混合物を真空中で濃縮して、粗生成物として2341-Cを得た。次いで残留物をDMF(6mL)に溶解させ、TEA(424mg、4.2mmol)で処理して、溶液として2341-Cを得、これを次のステップで直接使用した。MS 167.0[M+H]+.
【0221】
2341-Dの合成。DMF(5mL)中の1954-A(252mg、1.0mmol)の溶液を0℃に冷却し、NaH(鉱油中60%、80mg、2.0mmol)で処理した。反応物を0℃で30分間撹拌し、次いでCDI(162mg、1.0mmol)を添加し、反応混合物を0℃でさらに30分間撹拌した。最後に、2341-Cの溶液を0℃で上の混合物に添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合物を水(50mL)でクエンチし、EtOAc(20mL×3)で抽出した。組み合わせた有機層を生理食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:2)によって精製して、黄色固体として2341-D(280mg、63%)を得た。MS 444.1[M+H]+.
【0222】
47の合成。MeOH/EtOAc(10mL/10mL)中の2341-D(280mg、0.63mmol)およびPd/C(280mg)の混合物を、H
2雰囲気下の室温で1時間撹拌した。Celiteのパッドを通す濾過によって、Pd/Cを除去した。濾液を真空中で濃縮し、残留物を分取HPLCによって精製して、淡黄色固体として47(220mg、85%)を得た。MS 414.2[M+H]
+.
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【0223】
HDAC2およびHDAC1酵素アッセイ(HDAC2およびHDAC1 IC50データ)
以下は、HDAC2またはHDAC1によるペプチド基質の脱アセチル化を測定するためのアッセイプロトコルについて説明する。
【0224】
HDACタンパク質組成およびそれぞれの基質ペプチドを以下に要約する。
【表2】
【0225】
アッセイ設定:
HDAC反応は、次のように、合計体積20μLの384ウェルプレート(Greiner)内に組み立てる:
HDACタンパク質は、100mMのHEPES(pH7.5)、0.1%のBSA、0.01%のTritonX-100、25mMのKClを含むアッセイ緩衝液で事前に希釈し、384ウェルプレート(ウェル当たり10uL)に分配した。
【0226】
試験化合物をDMSO中で連続的に事前に希釈し、アコースティック分注(Labcyte Echo)によってタンパク質試料に添加する。DMSOの濃度は、全ての試料中で1%に等しい。
【0227】
対照試料(阻害剤の非存在下で0%阻害、DMSOのみ)および100%阻害(酵素の非存在下で)を4つの複製物に組み立て、化合物の存在下での阻害%を計算するために使用する。
【0228】
このステップでは、化合物は、必要に応じて、酵素と共に事前にインキュベートしてもよい。
【0229】
反応は、同じアッセイ緩衝液中で事前に希釈した10μLのFAM標識基質ペプチドを添加することによって開始する。基質ペプチドの最終濃度は、1μMである(HDAC1-2)。反応は、室温で進行させる。インキュベーションに続いて、50μLの反応終了用の緩衝液(100mMのHEPES(pH7.5)、0.01%のTriton X-100、0.1%のSDS)を添加することによって反応をクエンチする。終了させたプレートは、アセチル化基質から脱アセチル化生成物の電気泳動分離を可能にするマイクロ流体電気泳動器具(Caliper LabChip(登録商標)3000、Caliper Life Sciences/Perkin Elmer)で分析する。ペプチド基質および生成物の相対強度の変化が、測定するパラメータである。各試験試料の活性は、生成物対合計比(PSR):P/(S+P)として決定し、式中、Pが、生成物のピーク高さであり、Sが、基質のピーク高さである。阻害率(Pinh)は、次の等式を使用して決定する:Pinh=(PSR0%inh-PSR化合物)/(PSR0%inh-PSR100%inh)*100、式中、PSR化合物が、化合物の存在下での生成物/合計比であり、PSR0%inhが、化合物の非存在下での生成物/合計比であり、PSR100%inhが、酵素の非存在下での生成物/合計比である。化合物のIC50(50%阻害)を決定するために、%-inhデータ(Pinh対化合物濃度)を、XLfitソフトウェア(IDBS)を使用する4パラメータシグモイド用量応答モデルによって適合させる。
【0230】
ある特定の化合物についてのこのアッセイの結果を、以下の表2に報告する。表中、「A」は、0.5μM未満のIC50値、「B」は、0.5μM~1.0μMのIC50値、「C」は、1.0μM超かつ2.0μM以下のIC50値を示し、「D」は、2.0μM超のIC50値を示す。NT=試験せず。
【表3】
【0231】
外因性基質を有するSH-SY5Y細胞溶解物でのHDAC2酵素阻害アッセイ
SH-SY5Y細胞(Sigma)を、10%ウシ胎児血清およびpen/strepを補充したEagle’s Modified Essential Medium中で培養した。化合物投与の24時間前に、20μLの細胞を1,500細胞/ウェルの密度で白色384ウェルプレートに播種した。未希釈のDMSO中で化合物を連続希釈し、次いでFBSを含まない培地中で1:100v/vに希釈し、混合した。培地を播種した細胞から除去し、無血清培地中の希釈化合物(1%v/vの最終DMSO)を添加し、37℃で5時間インキュベートした。次いで0.1%のTriton X-100を含む10uLのHDAC-Glo2試薬を添加し、プレートを混合し、室温で100分間発育させた。次いで0.4秒の積分時間を用いるSpectramax LMax輝度計で、プレートを読み取った。100μMのCI-994が100%阻害として、DMSO単独が0%阻害として定義される正規化データを用いて、用量応答曲線を構築した。
【0232】
ある特定の化合物についてのこのアッセイの結果を、以下の表3に報告する。表中、「A」は、0.5μM未満のIC50値、「B」は、0.5μM~1.0μMのIC50値、「C」は、1.0μM超かつ2.0μM以下のIC50値を示し、「D」は、2.0μM超のIC50値を示す。NT=試験せず。
【表4】
【0233】
ピロリジン尿素が、3位をヘテロ芳香族環またはメチレン結合ヘテロ芳香族環で置換されているピロリジン環と、3位を非芳香族基で置換されているピロリジンとの比較
以下の表4は、ピロリジン-3位に非芳香族置換を有するある特定の化合物と、ピロリジニルモチーフの3位に芳香族置換を有する本発明の化合物との間(すなわち、R
1の、スペーサー基Xの有無)の活性レベルの直接比較を示す。データによって示されるように、HDAC2 SH-SY5Y細胞溶解物アッセイにおける効力の増加は、比較物A~CのR
1の非環状非芳香族置換基が、化合物19および20の芳香族ピリミジニルと置き換えられると生じる。表4の他の化合物についても同様の傾向が見られる。3位に直接結合した5-F-ピリミジンを有する化合物20は、比較物Aよりも2倍強力である。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0234】
本出願を通じて引用される全ての参考資料(参考文献、発行特許、公開特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者に一般的に知られている意味と同じである。
発明の態様
[態様1]式Iの化合物:
【化31-1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
環Aが、フェニルまたはチオフェニルであり、
Xが、(CR
aR
b)
t、O、またはNR
5であり、
qおよびtが、各々独立して、0、1、2、または3であり、
R
1が、フェニルまたはヘテロアリールであり、これらの各々が、R
cから選択された1~3個の基で任意選択的に置換され、
R
2が、水素、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、またはOHであり、
R
3が、水素またはハロであり、
環Aがフェニルであるとき、R
4がハロであり、環Aがチオフェニルであるとき、R
4が水素であり、
R
5が、水素、(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキルであり、
R
aおよびR
bが、各々独立して、水素、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、またはハロであり、
R
cが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、ハロ(C
1-C
4)アルコキシ、(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルNH(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルキルN((C
1-C
4)アルキル)
2、-(C
1-C
4)アルキルヘテロアリール、または-(C
1-C
4)アルキルヘテロシクリルであり、前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが各々、(C
1-C
4)アルキル、ハロ(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、およびハロから選択された1~3個の基で任意選択的に、かつ独立して置換されている、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
[態様2]前記化合物が、式IIのもの:
【化31-2】
またはその薬学的に許容される塩である、態様1に記載の化合物。
[態様3]前記化合物が、式IIIもしくはIIIaのもの:
【化31-3】
またはそれらの薬学的に許容される塩である、態様1または2に記載の化合物。
[態様4]qが、0または1であり、qが1であるとき、R
2がハロである、態様1~3のいずれかに記載の化合物。
[態様5]前記化合物が、式IVもしくはIVaのもの:
【化31-4】
またはそれらの薬学的に許容される塩である、態様1~4のいずれかに記載の化合物。
[態様6]R
3が、ハロである、態様1~5のいずれかに記載の化合物。
[態様7]R
3が、フルオロである、態様1~6のいずれかに記載の化合物。
[態様8]R
3が、水素である、態様1~5のいずれかに記載の化合物。
[態様9]R
4が、フルオロである、態様1~8のいずれかに記載の化合物。
[態様10]Xが、(CR
aR
b)
tである、態様1~9のいずれかに記載の化合物。
[態様11]R
aおよびR
bが、各々水素である、態様1~10のいずれかに記載の化合物。
[態様12]前記化合物が、式VもしくはVaのもの:
【化31-5】
またはそれらの薬学的に許容される塩である、態様1~9のいずれかに記載の化合物。
[態様13]前記化合物が、式VIもしくはVIaのもの:
【化31-6】
またはそれらの薬学的に許容される塩である、態様1~10のいずれかに記載の化合物。
[態様14]前記化合物が、式VIIもしくはVIIaのもの:
【化31-7】
またはそれらの薬学的に許容される塩である、態様1~11のいずれかに記載の化合物。
[態様15]R
1が、フェニルまたは5~6員単環式ヘテロアリールであり、これらの各々が、R
cから選択された1つ以上の基で任意選択的に置換されている、態様1~14のいずれかに記載の化合物。
[態様16]R
1が、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、またはピリミジニルであり、これらの各々が、R
cから選択された1~2個の基で任意選択的に置換されている、態様1~15のいずれかに記載の化合物。
[態様17]R
1が、チアゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、またはオキサゾリルであり、これらの各々が、R
cから選択された1~2個の基で任意選択的に置換されている、態様1~15のいずれかに記載の化合物。
[態様18]R
cが、ハロ、(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルO(C
1-C
4)アルキルである、態様1~17のいずれかに記載の化合物。
[態様19]R
cが、フルオロ、メチル、またはCH
2OCH
3である、態様1~18のいずれかに記載の化合物。
[態様20]R
cが、ハロ、ハロ(C
1-C
4)アルキル、または(C
1-C
4)アルキルである、態様1~17のいずれかに記載の化合物。
[態様21]R
cが、フルオロ、メチル、またはCHF
2である、態様1~17および20のいずれかに記載の化合物。
[態様22]前記化合物が、
【化31-8-1】
【化31-8-2】
【化31-8-3】
【化31-8-4】
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、態様1に記載の化合物。
[態様23]前記化合物が、
【化31-9-1】
【化31-9-2】
【化31-9-3】
【化31-9-4】
【化31-9-5】
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される、態様1に記載の化合物。
[態様24]態様1~23のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
[態様25]対象におけるHDAC活性を阻害する方法であって、それを必要とする前記対象に、有効量の態様1~23のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または態様24に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
[態様26]神経学的障害、記憶または認知機能障害または低下、消去学習障害、真菌性疾患または感染症、炎症性疾患、血液疾患、精神障害、および新生物疾患から選択される、対象における状態を治療する方法であって、有効量の態様1~23のいずれかに記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または態様24に記載の組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[態様27]前記状態が、
a.アルツハイマー病、後部皮質萎縮症、正常圧水頭症、ハンチントン病、発作誘発性記憶喪失、統合失調症、ルビンシュタインテイビ症候群、レット症候群、うつ病、脆弱X、レビー小体型認知症、脳卒中、血管性認知症、血管性認知力低下(VCI)、ビンスワンガー病、前頭側頭葉変性症(FTLD)、ADHD、ディスレクシア、大うつ病性障害、双極性障害に関連する認知機能障害もしくは低下、ならびに自閉症、外傷性脳損傷(TBI)、慢性外傷性脳症(CTE)、多発性硬化症(MS)、注意欠陥障害、不安障害、条件付き恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、社交不安障害、物質依存性回復、年齢に関連する記憶低下(AAMI)、年齢に関係する認知力減少(ARCD)、失調症、パーキンソン病、もしくはパーキンソン病認知症に関連する社交障害、認知障害、および学習障害、または
b.急性骨髄性白血病、急性前骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状細胞貧血から選択される血液疾患、または
c.新生物疾患、または
d.恐怖消去および外傷後ストレス障害から選択される学習消去障害、または
e.難聴もしくは聴覚障害、または
f.肺線維症、腎線維症、心臓線維症、および強皮症などの線維性疾患、または
g.癌患者における骨痛、または
h.神経因性疼痛である、態様26に記載の方法。
[態様28]前記状態が、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭性認知症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病、または物質依存性回復である、態様27に記載の方法。
[態様29]前記状態が、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭葉変性症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、物質依存性回復、記憶もしくは認知機能障害もしくは低下、シナプスの病態を伴う神経学的障害、学習識別障害(disorder of learning distinction)、精神障害、アルツハイマー病に関連する認知機能または低下、レビー小体型認知症、統合失調症、ルビンシュタインテイビ症候群、レット症候群、脆弱X、多発性硬化症、年齢に関連する記憶低下、年齢に関係する認知力減少、ならびに自閉症に関連する社交障害、認知障害、および学習障害から選択される、態様26に記載の方法。