(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】生体液収集システムおよび安定化アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/153 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61B5/153
(21)【出願番号】P 2021532280
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(86)【国際出願番号】 US2019046854
(87)【国際公開番号】W WO2020037227
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-05
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラン イヴォセビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブイ.トリス
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ジェームズ ブレイク
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216835(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01568321(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0229315(US,A1)
【文献】特表2014-534850(JP,A)
【文献】特開2006-150083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを受け入れるように構成された収集モジュールであって、
体液連通における入口および出口である、入口および出口を有するハウジングと、
カニューレと、
前記入口と前記出口の間に配置された混合チャンバと、
混合チャンバと前記出口との間に配置された収集チャンバであって、作動部を含み、前記作動部は、前記収集チャンバの第1の側部に配置される第1の変形可能部分と、前記第1の側部と対向する前記収集チャンバの第2の側部に配置される第2の変形可能部分とを含み、前記第1の変形可能部分および前記第2の変形可能部分はサンプルが前記収集チャンバ内に収容可能である第1の位置とサンプルの一部が前記収集チャンバから排出される第2の位置との間を移行可能である収集チャンバと、
を含む収集モジュールと、
前記カニューレの一部が露出している第1の位置から前記カニューレが安全シールドの少なくとも一部によって遮蔽されている第2の位置に移行可能な前記安全シールドと、
を含むことを特徴とする生体液収集システム。
【請求項2】
前記収集モジュール
は前記カニューレに接続されるハブをさらに含み、前記安全シールドは、前記ハブと枢動可能に係合されることを特徴とする請求項1に記載の生体液収集システム。
【請求項3】
出口の少なくとも一部に配置された先端キャップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の生体液収集システム。
【請求項4】
前記混合チャンバは、その中に配置されたサンプル安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生体液収集システム。
【請求項5】
前記混合チャンバは、細孔を有する連続気泡発泡体をさらに含み、前記サンプル安定剤は、前記連続気泡発泡体の細孔内に配置されることを特徴とする請求項4に記載の生体液収集システム。
【請求項6】
前記連続気泡発泡体はメラミン発泡体であることを特徴とする請求項5に記載の生体液収集システム。
【請求項7】
サンプルは、患者か
ら前記
カニューレを介して前記混合チャンバに引き出され、サンプルは、前記収集チャンバに入る前に、サンプル安定剤と受動的に混合されることを特徴とする請求項1に記載の生体液収集システム。
【請求項8】
前記混合チャンバは連続気泡メラミン発泡体を含み、前記サンプル安定剤が前記連続気泡メラミン発泡体の細孔内に配置され、サンプルが前記連続気泡メラミン発泡体を通過するときに前記サンプル安定剤と受動的に混合されることを特徴とする請求項7に記載の生体液収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「生体液収集システムおよび安定化アセンブリ」と題された、2018年8月17日に出願された米国仮出願シリアル番号62/719,166の優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、生体液収集システムに関する。より具体的には、本開示は、血液の少量のサンプルを収集し、サンプルの一部を、診療現場用のまたは患者に近い検査装置などの、サンプルを分析するための装置に分配するための収集モジュールおよび血液ガス分析装置に送られる動脈血サンプルを収集するための収集装置に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の診察現場や血液のガス分析の用途のために、分析のために収集された1.0ミリリットル未満のサンプルなどのマイクロサンプルの収集を可能にする装置が必要とされている。現在の装置では、従来のサンプル収集と、それに続く、大きなシリンジまたはピペットを使用した、少量の血液サンプルを診察現場のカートリッジまたは機器の受け入れ口への移送が必要となる。このようなオープンシステムアプローチによって、検査を行う人員に対する血液曝露リスクが高まるだけでなく、特定の検査処置に必要な過剰な検体が収集されることになる。
【0004】
従って、従来の自動採血を組み込んでおり、曝露リスクを最小限に抑えながら新規の制御されたサンプル移送能力を含む診察現場のガス分析用途のための、血液サンプルの収集および分配の手段を有することが望ましい。
【0005】
動脈血のガス収集処置におけるワークフロー工程の数を減らす必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許公開2016/262679号公報
【文献】米国特許公開2019/265134号公報
【文献】米国特許公開2005/0187493号公報
【文献】国際公開2019/204147号公報
【発明の概要】
【0007】
血液の少量のサンプルを収集し、サンプルの一部を診療現場用または患者の近くの検査装置などのサンプルを分析するための装置に分配するための収集モジュールを含む、静脈および動脈の血液サンプルを収集するための血液収集装置などの生体液収集システムが開示されている。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、生体液収集システムは、サンプルを受け入れるように構成された収集モジュールであって、体液連通における入口および出口である、入口および出口を有するハウジングと、カニューレと、入口と出口の間に配置された混合チャンバと、混合チャンバと出口との間に配置された収集チャンバであって、作動部を含み、作動部は、サンプルが収集チャンバ内に収容可能である第1の位置とサンプルの一部が収集チャンバから排出される第2の位置との間を移行可能である収集チャンバと、を含む収集モジュールと、ハウジングの一部と係合し、カニューレの一部が露出している第1の位置からカニューレが安全シールドの少なくとも一部によって遮蔽されている第2の位置に移行可能な安全シールドと、を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、生体液収集システムは、サンプルを受け入れるように構成された収集モジュールであって、体液連通における入口および出口である、入口および出口を有するハウジングと、カニューレと、入口と出口の間に配置された混合チャンバと、混合チャンバと出口との間に配置された収集チャンバであって、作動部を含み、作動部は、サンプルが収集チャンバ内に収容可能である第1の位置とサンプルの一部が収集チャンバから排出される第2の位置との間を移行可能である収集チャンバと、を含む収集モジュールと、収集モジュールの一部がチューブホルダの一部と係合可能である、チューブホルダおよびチューブホルダと連絡するウィングセットと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、体液サンプルを収集するための針ホルダと共に使用するように構成された体液収集カートリッジは、近位端、開いた遠位端、および近位端と遠位端との間に延在し内部容器を有する内部チャンバを画定する側壁と、を有する管状部材と、管状部材の開いた遠位端に関連した貫通可能な閉じ部であって、管状部材の側壁と協働して開いた遠位端を密封して閉じるように構成された閉じ部と、ストッパと、ストッパとの相互係合構成によって互いに取り外し可能に関連付けられたプランジャーロッドとを含むプランジャーロッドアセンブリであって、相互係合構成が、プランジャーロッドが遠位方向の力をストッパに加えることを可能にし、また近位方向の力が加えられたときにストッパおよび管状部材からプランジャーロッドを取り外すことを可能に構成された、プランジャーロッドアセンブリと、シールド可能な針装置と、を含む。
【0011】
本開示の装置は、従来の動脈血ガス(ABG)収集キットに比べて以下の利点を有する。(1)指定されたタッチポイントを備えた人間工学に基づくデザイン。(2)充填時間が短くなる高流量を維持しながら小さな標準規格注射針を可能にする薄壁針技術。(3)処置の間ユーザの視界を遮ることなく、収集後にボタンを押すだけで、片手で作動できる押しボタン式安全シールド。(4)充填中または収集後に簡単に排出することにより、閉じ込められた気泡を除去できる統合された通気/通気キャップ機能。および(5)ガードと押しボタン付きの安全スリーブを使用して、装置の輸送中に誤って安全シールドが作動することを防止。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面と併せて本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、本開示の上記および他の特徴および利点ならびにそれらを達成する方法はより明らかになり、および開示自体はよりよく理解されるであろう。
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の別の実施形態による生体液収集システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるキャップを備えた収集モジュールの側断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、変形可能な部分が初期位置にある収集モジュールの側断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による、固定位置における、固定装置を備えた生体液収集システムの側断面立面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による、固定解除位置における、固定装置を備えた生体液収集システムの側断面立面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、診療現場の検査装置に隣接し、初期位置での、変形可能部分を有した収集モジュールの断面斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による、診療現場の検査装置に隣接し、変形位置での、変形可能部分を有した収集モジュールの断面斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態による収集モジュールの斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、ヒンジ式安全シールドを有する針アセンブリの分解斜視図である。
【
図10】
図10は、収縮した位置にある、組み立てられた
図9の針アセンブリの斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の別の実施形態による生体液収集システムの斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態による、チューブホルダに挿入された生体液収集装置の斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の別の実施形態による体液収集システムの斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態による体液収集アセンブリの構成要素の斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態による体液収集アセンブリの斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態による、
図16に同様に示されるような体液収集カートリッジの部分断面側面図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態による、体液収集カートリッジのホルダへの挿入中の
図18に示されるような体液収集アセンブリの断面側面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態による、体液収集カートリッジのホルダへの挿入中の、
図17に示されるような体液収集アセンブリの断面側面斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態による、流体処理添加剤でプライミングした後で、体液サンプルの収集前である、
図17に示されるような体液収集アセンブリの側断面斜視図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態による、流体処理添加剤でプライミングした後で、プランジャーロッドを除去する間の、
図19に示されているような体液収集アセンブリの側断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態による、体液収集中の体液収集アセンブリの斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態による、体液サンプルの収集の完了時の、
図23に示されるような体液収集アセンブリの側断面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態による、体液サンプルの収集後の攪拌の方向を示す体液収集カートリッジの平面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態による、体液サンプルの収集後の混合の運動状態を示す体液収集カートリッジの側断面図である。
【
図28】
図27は、本発明の実施形態による、移送および検査の準備のための、ルアーアダプタを備えた体液収集カートリッジの斜視側面図である。
【
図28】
図28は、本発明による血液収集セットの斜視図である。
【
図29】
図29は、収縮した位置にある外側シールドを示す血液収集セットの側面図である。
【
図30】
図30は、伸ばされた位置にある外側シールドを示す血液収集セットの側面図である。
【0014】
対応する参照符号は、いくつかの図の中で対応している部分を示している。本明細書に提示される例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、およびそのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成および使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、および代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意のおよび総てのそのような修正、変形、等価物、および代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0016】
以下、説明の目的のために、用語「上部の」、「下部の」、「右の」、「左の」、「垂直の」、「水平の」、「最上部」、「最下部」、「横の)」、「縦の」、およびそれらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0017】
本開示は、サンプルを受け取り、フロースルー血液安定化技術と、診療現場での検査および患者の近くでの検査の用途のための正確なサンプル分配機能とを提供する、収集モジュール用の動力源を含む生体液収集システムを提供する。本開示の収集モジュールは、血液サンプル内のサンプル安定剤の分散混合をもたらし、制御された方法で安定化されたサンプルを分配することができる。このようにして、本開示の生体液収集システムは、診療現場での検査および患者の近くでの検査の用途のための血液マイクロサンプル管理、例えば、サンプル安定剤との不活性混合および制御された分配を可能にする。
【0018】
有利なことに、本開示の生体液収集システムは、診療現場での検査および患者の近くでの検査の用途、自動採血、不活性混合技術、ならびに診療現場用のカートリッジおよび患者の近くでの検査の受入口を備えた標準的なルアーインターフェースに対する制御された少量サンプル分配機能のための、一貫した血液サンプル管理ツールを提供する。
【0019】
図1~
図8は、血液サンプル12などの生体液サンプルを受け入れるように構成された、本開示の生体液収集システム10の例示的な実施形態を示している。一実施形態では、本開示の生体液収集システム10は、血液サンプル12を受け入れるように構成された収集モジュール14と、収集モジュール14と取り外し可能に接続可能な動力源16とを含む。本開示の動力源は、収集モジュール14内で生体液サンプルを吸引するためのユーザ作動の真空源を備える。一実施形態では、収集モジュール14はその一部に、血液サンプル12を、患者から収集モジュール14において取得するためのカニューレ17を含む。
【0020】
図1~
図8を参照すると、一実施形態では、本開示の収集モジュール14は、血液サンプル12などの生体液サンプルを受け入れるように構成され、ハウジング20、混合チャンバ22、サンプル安定剤24、収集チャンバ26、閉じ部28、およびキャップ30を含む。
【0021】
一実施形態では、収集モジュール14のハウジング20は、入口32と出口34を含む。入口32と出口34は、それらの間に延びる通路36を介して流体連通している。
【0022】
混合チャンバ22および収集チャンバ26は、通路36と流体連通している。混合チャンバ22および収集チャンバ26は、収集モジュール14の入口32に導入された血液サンプル12などの生体液サンプルが最初にサンプル安定剤24を通過するように配置され、そして、血液サンプル12とサンプル安定剤24は、混合チャンバ22を通過し、その後、サンプル安定剤24が適切に混合されたサンプル12は、収集モジュール14の出口34に到達する前に、収集チャンバ26に流入する。このようにして、血液サンプル12は、血液サンプル12中のサンプル安定剤24の適切な混合のために混合チャンバ22を通過する前に、収集モジュール14内に設けられる、抗凝固剤または他の添加剤などのサンプル安定剤24と混合され、次に、安定化されたサンプルが受け取られ、収集チャンバ26内に収納される。
【0023】
一実施形態では、サンプル安定剤24は、入口32と混合チャンバ22との間に配置される。本開示の収集モジュール14は、血液サンプル12とサンプル安定剤24との不活性かつ迅速な混合をもたらす。例えば、収集モジュール14は、血液サンプル12が混合チャンバ22を通って流れるときに、血液サンプル12と血液安定剤などの、抗凝固剤または他の添加剤との不活性混合を可能にする混合チャンバ22を含む。
【0024】
サンプル安定剤は、抗凝固剤、または血液中の特定の成分、例えば、RNA、タンパク質分析物、もしくは他の成分などを保存するために設計された物質とすることができる。一実施形態では、サンプル安定剤24は、入口32と混合チャンバ22との間に配置される。他の実施形態では、サンプル安定剤24は、収集モジュール14のハウジング20内の他の領域に配置されてもよい。
【0025】
図2および
図3を参照すると、一実施形態では、収集モジュール14は、入口32と混合チャンバ22との間に配置された、細孔42を含む材料40と、材料40の細孔42内にある、乾燥された抗凝固剤粉末とを含む。このようにして、収集モジュール14は、収集モジュール14の一部の上または中に堆積された、ヘパリンまたはEDTAなどの乾燥抗凝固剤を含み得る。一実施形態では、材料40は、連続気泡発泡体の気泡内に分散した乾燥抗凝固剤を含有する連続気泡発泡体であり、フロースルー混合および抗凝固剤の取り込みの効果を促進する。一実施形態では、サンプル安定剤24は、乾燥抗凝固剤粉末である。
【0026】
一実施形態では、連続気泡発泡体を抗凝固剤で処理して、連続気泡発泡体の細孔全体に細かく分散した乾燥抗凝固剤粉末を形成することができる。血液サンプル12が収集モジュール14に入ると、血液サンプル12は連続気泡発泡体を通過して、連続気泡発泡体の内部細孔構造の至る所で利用可能な抗凝固剤粉末に曝される。このようにして、サンプル12は、材料40または連続気泡発泡体を通過する間に、乾燥した抗凝固剤粉末を溶解し、またこの粉末と混合する。
【0027】
連続気泡発泡体は、血液に対して不活性であり、柔らかで、変形可能な連続気泡発泡体、例えば、BASFから商業的に入手可能なBasotect(登録商標)発泡体などのメラミン発泡体とすることができ、あるいは、ホルムアルデヒド-メラミン-重亜硫酸ナトリウムコポリマーからなるものでもよい。連続気泡発泡体はまた、熱および有機溶媒に対して実質的に耐性がある、可撓性で親水性の連続気泡発泡体とすることもできる。一実施形態では、発泡体はスポンジ材料を含んでもよい。
【0028】
抗凝固剤または他の添加剤は、発泡体を添加剤および水の溶液に浸し、続いて水を蒸発させて、発泡体の内部構造全体に細かく分布する乾燥添加剤粉末を形成することにより、連続気泡発泡体に導入されてもよい。
【0029】
収集モジュール14は、血液サンプル12が混合チャンバ22を通って流れるときに、血液サンプル12と、血液安定剤などの、抗凝固剤または別の添加剤との不活性混合を可能にする混合チャンバ22を含む。一実施形態では、混合チャンバ22は、入口32と出口34との間に配置される。
【0030】
混合チャンバ22の内部は、血液サンプル12が収集モジュール14の通路36を通過するときに、血液サンプル12と抗凝固剤または他の添加剤との混合をもたらす限りにおいて、任意の適切な構造または形態を有し得る。
【0031】
混合チャンバ22は、その中にサンプル12およびサンプル安定剤24を受け入れ、サンプル12内のサンプル安定剤24の分散混合をもたらす。混合チャンバ22は、サンプル12内のサンプル安定剤24の分散混合を実現して、サンプル安定剤濃度が血液サンプル12のどの部分でも極めて高くなることを防止する。これは、血液サンプル12のどの部分においても、サンプル安定剤24の付与が不十分になることを防止する。混合チャンバ22は、サンプル12内のサンプル安定剤24の分散混合を達成し、その結果、サンプル安定剤24のほぼ等しい量および/または濃度が、血液サンプル12全体に溶解される。例えば、サンプル安定剤24のほぼ等しい量および/または濃度が、血液サンプル12の前部から後部までの血液サンプル12に溶解される。
【0032】
一実施形態では、収集モジュール14は、混合チャンバ22と出口34との間に配置される収集チャンバ26を含む。収集チャンバ26は、作動部61を含む。一実施形態では、作動部61は、サンプル12を収集チャンバ26内に収容可能な第1の位置(
図2、
図3および
図6)と、サンプル12の一部が収集チャンバ26から排出される第2の位置(
図7)との間で移行可能である。
【0033】
一実施形態では、収集チャンバ26の作動部61は、第1の変形可能部分62、第2の変形可能部分64、および第1変形可能部分62と第2変形可能部分64との間にある剛性壁部分66(
図8)を含む。一実施形態では、第1の変形可能部分62は、収集チャンバ26の第1の側部70に配置され、第2の変形可能部分64は、収集チャンバ26の第2の側部72に配置される。一実施形態では、収集チャンバ26の第2の側部72は、収集チャンバ26の第1の側部70の反対側である。
【0034】
一実施形態では、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、サンプル12が収集チャンバ26内に含まれる初期位置と、サンプル12の一部が収集チャンバ26から排出される変形位置との間で移行可能である。第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、同時に押しつぶされて、初期位置から変形位置に移る。
【0035】
有利には、同時に押しつぶすことができる第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64を有することにより、本開示の収集モジュール14は、収集チャンバ26および出口34からより多くのサンプル12を分配することができる。さらに、一実施形態では、第1の側部70に第1の変形可能部分62を、反対側の第2の側部72に第2の変形可能部分64を有することにより、本開示の収集モジュール14は対称な配置を有して、流体付着流れ特性を促進する円滑な直線流路チャンバを提供する。収集モジュール14の円滑な直線流路チャンバは、直径に関して大きな幾何学的な段差がなく、この滑らかな流体経路が空気ポケットまたは気泡の形成を抑制する。
【0036】
混合チャンバ22を通過した後、安定化されたサンプルは収集チャンバ26に向けられる。収集チャンバ26は、所望の検査に必要な十分な量の血液、例えば、500μl以下の血液を保管するために、任意の適切な形状およびサイズを取り得る。一実施形態では、収集チャンバ26は、第1の変形可能部分62、第2の変形可能部分64、および剛性壁部分66と組み合わされたハウジング20の一部によって画定される。
【0037】
第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、可撓性があり、変形可能であり、ハウジング20との流体密封を提供することができる任意の材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、天然または合成のゴムや、他の適切なエラストマー材料から作製され得る。第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64が、サンプル12が収集チャンバ26内に含まれる初期位置と、サンプル12の一部が収集チャンバ26から排出される変形位置との間で移行可能であるように、ハウジング20の一部に固定されている。
【0038】
別の実施形態では、収集チャンバ26の作動部61は、作動部61の弾性部分に内向きの圧力を加えて、サンプルが収集チャンバ26から分配されるように強制する、作動部材を備えることができる。このようにして、サンプルは、カートリッジ検査機など診療現場の検査装置などの、サンプルを分析することを目的とした装置に移送することができ、またはサンプルの露出を最小限に抑えながら口を介して移送することができる。特定の構成では、作動部材は収集チャンバ26を少なくとも部分的に画定するものであり、あるいは、作動部材は、プランジャ、押しボタン、スライドなどの、収集チャンバ26と係合可能な別個の要素であり得る。2016年3月9日に出願された、「生体液マイクロサンプル管理装置」と題された特許文献1に記載されているような作動部材は、その開示全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれ得るものであり、また、本発明と併せて使用されるものであり得る。他の実施形態では、収集チャンバ26の作動部61は、2018年2月26日に出願された「生体液収集装置および収集モジュール」と題する特許文献2に記載されている作動部および/または変形可能部分に従った作動部を含み得て、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0039】
一実施形態では、収集モジュール14は、出口34に取り外し可能に取り付けられて、出口34を保護するように覆うキャップ30を含む。一実施形態では、キャップ30は、空気がそこを通過することを可能にし、サンプル12がそこを通過することを防止する通気プラグ80を含む。
【0040】
キャップ30および通気プラグ80の構造は、血液サンプル12がキャップ30を通過するのを防ぎながら空気がキャップ30を通過することを可能にするものであり、疎水性フィルターを含み得る。通気プラグ80は、収集モジュール14の通路36および/または収集チャンバ26の充填速度を細かく制御するために用いられる選択された空気通過抵抗を有する。通気プラグの多孔度を変化させることにより、キャップ30からの空気流の速度、したがって、採血モジュール14への血液サンプルの流れの速度を制御することができる。
【0041】
一実施形態では、収集モジュール14は、収集モジュール14の入口32と係合して通路36を密閉する閉じ部28を含む。閉じ部28は、入口32を保護するように覆う。閉じ部28は、血液サンプル12をハウジング20の通路36に導入することを可能にし、ベクトン、ディキンソンアンドカンパニーから市販されているHemogard(商標)キャップなどの外部シールド84を備えた貫通可能でセルフシールのストッパ82を含み得る。
【0042】
一実施形態では、収集モジュール14はその一部に、血液サンプル12を、患者から収集モジュール14において取得するためのカニューレ17を含む。そのような実施形態では、収集モジュール14は、第1の取り外し可能な保護キャップ90および安全シールド92を含む。
【0043】
図1および
図9~12は、本開示の例示的なヒンジ式安全シールドアセンブリの実施形態を示している。針アセンブリ5000は、一般に、ハブ58c2に関連する針構造32c2と、ハブ58c2に接続され、装置の使用後の針構造ないしカニューレ17を遮蔽するよう構成された安全シールド64c2とを含む。一実施形態では、針アセンブリ5000は、特許文献3に開示されているものなど、ヒンジ式安全シールドを有する他の公知の針アセンブリの特徴を組み込むことができ、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
針構造32c2は、患者に対する針部分またはカニューレ17を含み得る。カニューレ17は、針構造32c2の患者側の端部を表し、患者の皮膚を穿刺し、患者の血管系にアクセスするための穿刺先端を画定するために斜めに切断され得る。
【0045】
ハブ58c2は、前部ハブ部分5010および後部ハブ部分5012を含み得、それらを通して針構造32c2を支持することができる。一実施形態では、カニューレ17は、中央管腔5006が後部ハブ部分5012と一体である一方で、前部ハブ部分5010と一体であり得る。前部ハブ部分5010および後部ハブ部分5012は、嵌合して係合するように構成されている。前部ハブ部分5010は、後部ハブ部分5012と一体の対応する凹部5016と係合するための、隆起した環状リングなどである突起5014を含み得る。別の実施形態では、前部ハブ部分5010および後部ハブ部分5012は、接着剤または溶接を介して共に接合され得る。組み立てられると、ハブ58c2は、その中に逆血インジケータ60c2を画定する。
【0046】
ハブ58c2は、安全シールド64c2の少なくとも一部を取り囲むためのカラー5018をさらに含み得る。一実施形態では、前部ハブ部分5010は、第1のカラー部分5022を含み、後部ハブ部分5012は、第2のカラー部分5024を含む。第1のカラー部分5022は、安全シールド64c2の取り付けベアリング5026を収容するための一般にC字形の領域5028を含み得る。取り付けベアリング5026は、安全シールド64c2と一体であり得る。取り付けベアリング5026はまた、第1のカラー部分5022および/または第2のカラー部分5024などのハブ58c2の一部と一体であり得る。あるいは、取り付けベアリング5026を別個に備え、その後、安全シールド64c2および/またはハブ58c2と組み立てることもできる。第1のカラー部分5022は、第2のカラー部分5024と一体の対応する凹部5036と係合するための突起5034を含み得る。従って、一実施形態では、前部ハブ部分5010と後部ハブ部分5012との係合はまた、第1のカラー部分5022を第2のカラー部分5024と係合させる。別の実施形態では、カラー5018は、実質的にハブ58c2の上面に配置されて、安全シールド64c2が同様にハブ58c2の上面に接続されることを可能にする。
【0047】
図1および
図9を参照すると、保護キャップ90が、本明細書に記載されるように、使用前に患者の針部分またはカニューレ17上に備えられる。
【0048】
使用中、保護キャップ90はカニューレ17から取り外され、それによってカニューレ17を使用のために露出させることができる。そして、カニューレ17は、血液サンプルを収集するために患者と関わることができる。使用後、安全シールド92は、カニューレ17を保護するように覆い、シールドするために使用され、それにより、偶発的な針刺しによる損傷を防止する。
【0049】
針アセンブリ5000は、カニューレ17が患者にアクセスする目的で遮蔽されていない収縮した位置から、カニューレ17が露出から安全に遮蔽されている伸展位置に移行することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、本開示は、サンプル12を受け入れ、フロースルー血液安定化技術と、診療現場での検査や患者の近くでの検査に適用される正確なサンプル分配機能とを提供する、収集モジュール14用の動力源16を含む生体液収集システム10を提供する。本開示の動力源は、ユーザが作動させる真空源とすることができる。
【0051】
一実施形態では、動力源16は、収集モジュール14内の血液サンプル12を自動吸引するためのバネを装備した装置を含む。バネ装備動力源は、ユーザが作動するバネ式ピストンを利用して、収集モジュール14の遠位端に真空を生成する。そのような実施形態では、バネの剛性および移動長さを制御することによって、予測可能な真空を収集モジュール14の流体経路に作用させ、真空が収集モジュール14を満たすときに所与の流量の血液を生成することができる。予測可能な流量は、混合構成にとって重要である。
【0052】
図4~
図5を参照すると、一つの例示的な実施形態では、動力源16は、収集モジュール14と取り外し可能に接続可能であり、動力源16は、収集チャンバ26内にサンプル12を引き込む真空を作り出す。一実施形態では、動力源16は、筒110、ピストン112、バネ114、起動ボタン116、および固定装置を含む。一実施形態では、ピストン112は、筒110の側壁126の内面に静摩擦力を与えるOリング150を含む。
【0053】
任意選択で、動力源16は、ピストン112を第1のピストン位置に固定し、バネ114を圧縮位置に維持する固定位置と、ピストン112が固定を解除されてバネ114がピストン112を第2のピストン位置に駆動し、それにより、収集チャンバ26内にサンプルを引き込む真空を作り出すことが可能な固定解除位置と、の間で遷移可能な固定装置を含み得る。任意選択で、作動部材の作動によって、固定装置を固定解除位置に移動することができる。
【0054】
筒110は、収集モジュール14の収集チャンバ26に連通している。筒110は、内部120を画定し、第1の端部122、第2の端部124、およびそれらの間の側壁126を含んでいる。筒110は、収集モジュール14の一部と取り外し可能に接続可能である。例えば、一実施形態では、筒110は、動力源16によって生成された真空が収集モジュール14の収集チャンバ26内にサンプル12を引き込むことができるよう、収集モジュール14のキャップ30と取り外し可能に接続することができる。一実施形態では、キャップ30は、空気がそこを通過することを可能にし、サンプル12がそこを通過することを防止する通気プラグ80を含む。このようにして、動力源16の筒110内に生成された真空は、動力源16によって生成された真空が収集モジュール14の収集チャンバ26内にサンプル12を吸引することができるよう、収集モジュール14の収集チャンバ26に通じている。
【0055】
ピストン112は、筒110の内部120内にスライド可能に配置されている。ピストン112は、筒110の側壁126と密閉係合できるように、筒110の内部120に対してサイズが決められている。ピストン112は、ピストン112が筒110の第1の端部122から第1の距離にある第1のピストン位置(
図4)と、ピストン112が筒110の第1の端部122から、第1の距離よりも大きい第2の距離にある第2のピストン位置(
図5)との間で推移可能である。
【0056】
図4から
図5を参照すると、バネ114は、筒110の第1の端部122とピストン112との間に配置されている。一実施形態では、起動ボタン116は、筒110の一部に配置される。
【0057】
動力源16はまた、バネ114および起動ボタン116と接続している固定装置を含む。固定装置は、固定装置がピストン112を第1のピストン位置(
図4)に固定し、バネ114を圧縮位置に維持する固定位置と、ピストン112が固定解除されてバネ114がピストン112を第2のピストン位置(
図5)に駆動し、それによって、収集モジュール14の収集チャンバ26内にサンプル12を引っ張る真空を作り出す固定解除位置との間で遷移可能である。一実施形態では、起動ボタン116の作動によって、固定装置が固定解除位置に遷移する。
【0058】
有利なことに、本開示の収集モジュールおよび動力源は、血液サンプル12などの生体液が通過する多くの異なる動力源と係合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の収集モジュールおよび動力源は、従来のチューブホルダと係合することができる。他の実施形態では、本開示のユーザ起動動力源は、ユーザがルアーライン、例えば、IVカテーテル、ウィングセット、PICC、または同様の装置に直接接続することを可能にする。他の実施形態では、収集モジュールおよび動力源がHemoLuerと共に使用する場合、ユーザは、収集モジュールおよび動力源を、ルアー(HemoLuerを取り外すことによって)または従来のチューブホルダ(HemoLuerをインターフェースに用いて)のいずれかに接続できる。有利なことには、本開示のシステムはまた、LLAD(ルアーラインアクセスデバイス)または他のどのようなホルダをも使用せずに直接ルアーアクセスを可能にする。
【0059】
一実施形態では、収集モジュール14はその一部に、血液サンプル12を、患者から収集モジュール14に取得するためのカニューレ17を含む。そのような実施形態では、収集モジュール14は、第1の取り外し可能な保護キャップ90および安全シールド92を含む。そのような実施形態では、カニューレ17は患者と係合することができ、次いで、動力源16を使用して、収集チャンバ26内にサンプル12を吸引する真空を作り出すことができる。
【0060】
一実施形態では、血液サンプル12は、筒内に生成された真空による吸引によって、収集モジュール14におけるハウジング20の通路36に引き込まれる。一実施形態では、血液サンプル12が通路36全体を満たし、それによって、血液サンプル12が収集モジュール14に入ると、血液サンプル12は、連続気泡発泡体、例えば、材料40を通過し、連続気泡発泡体の内部細孔42構造全体にわたって利用可能な抗凝固剤粉末に曝される。このようにして、サンプル12は、材料40ないし連続気泡発泡体を通過する間に、乾燥した抗凝固剤粉末を溶解し、またこの粉末と混合する。次に、混合チャンバ22は、その中にサンプル12およびサンプル安定剤24を受け入れ、サンプル12内のサンプル安定剤24の分散混合を達成する。混合チャンバ22を通過した後、安定化されたサンプルは収集チャンバ26に向かう。収集チャンバ26は、所望の検査に必要な十分な量の血液、例えば、500μl以下を収納するための、任意の適切な形状およびサイズを取り得る。一実施形態では、収集モジュール14の通路36、混合チャンバ22、および収集チャンバ26が完全に満たされると、キャップ30は血液サンプル12の収集を停止する。キャップ30の通気プラグ80は、血液サンプル12がキャップ30を通過して動力源16の筒110に入るのを防ぎながら、空気がキャップ30を通過することを可能にする。
【0061】
一実施形態では、サンプル収集が完了すると、動力源16は収集モジュール14から分離される。収集モジュール14が動力源506から分離されると、次いで、キャップ30を収集モジュール14から取り外して、収集モジュール14におけるハウジング20の出口34を露出させることができる。取り外しは、ユーザがキャップ30の外側部分を握り、ハウジング20からキャップ30を引っ張ることによって行われ得る。血液サンプル12は、キャップ30を取り外した後、毛管現象によって、ハウジング20の通路36内、例えば、収集チャンバ26内に保持される。
【0062】
次に、血液サンプル12は、作動部61を起動することにより収集モジュール14から分配され得る。一実施形態では、作動部61は、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64を含む。例として、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、サンプル12が収集チャンバ26内に収容される初期位置と、サンプル12の一部が収集チャンバ26および出口34から排出される変形位置との間で移行することができる。第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、同時に押しつぶされて、初期位置から変形位置に移る。このようにして、血液サンプル12は、医師が血液サンプルにさらされるのを最小限に抑えつつ、サンプルを分析することを意図した装置、例えば、診療現場用検査装置105(
図6)、カートリッジ検査機、または患者の近くの検査装置などに移すことができる。
【0063】
有利には、本開示の収集モジュール14は、同時に押しつぶすことができる第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64を有することにより、収集チャンバ26および出口34からより多くのサンプル12を分配することができる。さらに、一実施形態では、本開示の収集モジュール14は、第1の側部70に第1の変形可能部分62を、反対側の第2の側部72に第2の変形可能部分64を有することにより、本開示の収集モジュール14は対称な配置を有して、流体付着フロー特性を促進する滑らかな直線流路チャンバを提供する。
【0064】
本開示は、サンプル12を受け入れ、フロースルー血液安定化技術と、診療現場での検査および患者の近くでの検査に用いられる、正確なサンプル分配機能とを提供する、収集モジュール14用の動力源16を含む生体液収集システム10を提供する。本開示の動力源は、ユーザが作動させる真空源とすることができる。
【0065】
本開示の動力源16は、その開示の全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、「生体液収集システム」と題された、2018年4月17日に出願された特許文献4に記載されている他の動力源システムに従った動力源システムを含み得る。
【0066】
本明細書に記載されるように、本開示は、サンプルを受け入れ、フロースルー血液安定化技術と、診療現場での検査や患者の近くでの検査の用途のための正確なサンプル分配機能と、を備える収集モジュールのための動力源を含む生体液収集システムを提供する。本開示の動力源は、収集モジュール内で生体液サンプルを吸引するためのユーザ起動の真空源を備える。
【0067】
本開示の収集モジュールは、血液サンプル内のサンプル安定剤の分散混合をもたらし、制御された方法で安定化されたサンプルを分配することができる。このようにして、本開示の生体液収集システムは、診療現場での検査および患者の近くでの検査の用途のための、血液マイクロサンプル管理、例えば、サンプル安定剤との不活性混合および制御された分配を可能にする。
【0068】
有利なことに、本開示の生体液収集システムは、診療現場での検査および患者の近くでの検査の用途、自動採血、不活性混合技術、ならびに診療現場用のカートリッジおよび患者の近くでの検査の受入口を備えた標準的なルアーインターフェースに対する制御された少量サンプル分配機能のための、一貫した血液サンプル管理ツールを提供する。
【0069】
図13~
図14を参照すると、本開示の生体液収集装置10は、血液サンプル12などの生体液サンプルを受け入れるように構成され、収集モジュール14と、収集モジュール14に取り外し可能に接続可能な外部ハウジング16aとを含む。一実施形態では、収集モジュール14が外側ハウジング16aに接続された状態で、収集モジュール14は、
図13~
図14に示されるように、外側ハウジング16内に配置される。外側ハウジング16aは、ベクトン、ディキンソンアンドカンパニーから市販されているバキュテイナー(登録商標)採血管のような、真空を含む採血管とすることができる。
【0070】
一実施形態では、収集モジュール14は、外側ハウジング16a内に配置され、カニューレおよびウィングセット104を有するチューブホルダ102と互換性がある。使用中、チューブホルダ102の針カニューレは、閉じ部28の貫通可能な自己密封ストッパ82などの入口32を介して収集モジュール14のハウジング20の通路36に挿入される。複合収集モジュール14と外側ハウジング16を含む生体液収集装置10は、血液サンプル12などの生体液を通すカニューレを有する従来のチューブホルダ102に挿入されてもよい。
【0071】
血液サンプル12は、外部ハウジング16aに含まれる真空を引くことにより、従来のチューブホルダ102から収集モジュール14のハウジング20の通路36に引き込まれる。一実施形態では、血液サンプル12が通路36全体を満たし、それによって、血液サンプル12が収集モジュール14に入ると、血液サンプル12は、連続気泡発泡体、例えば、材料40を通過し、連続気泡発泡体の内部細孔42構造全体にわたって利用可能な抗凝固剤粉末44に曝される。このようにして、血液サンプル12は、材料40すなわち連続気泡発泡体を通過する間、乾燥した抗凝固剤粉末44を溶解しそれと混合する。次に、混合チャンバ22は、その中にサンプル12およびサンプル安定剤24を受け入れ、サンプル12内へのサンプル安定剤24の分散混合をもたらす。混合チャンバ22を通過した後、安定化されたサンプルは収集チャンバ26に向かう。収集チャンバ26は、所望の検査に必要な十分な量の血液、例えば、500μl以下を収納するために、任意の適切な形状およびサイズを取り得る。一実施形態では、収集モジュール14の通路36、混合チャンバ22、および収集チャンバ26が完全に満たされると、キャップ30は血液サンプル12の収集を停止する。キャップ30の通気プラグ80は、血液サンプル12がキャップ30を通過して外側ハウジング16に入るのを防ぎつつ、空気がキャップ30を通過することを可能にする。
【0072】
一実施形態では、サンプル収集が完了すると、収集モジュール14を含む外側ハウジング16aは、チューブホルダ102から分離され、次に、外側ハウジング16aは、収集モジュール14に依然として取り付けられている閉じ部28を外側ハウジング16aから取り外すことによって収集モジュール14から分離される。閉じ部28の取り外しは、ユーザが閉じ部28の外側シールド84と外側ハウジング16の両方を把持し、それらを反対方向に引っ張るかまたはねじることによって行うことができる。
【0073】
収集モジュール14が外側ハウジング16aから分離されると、次いで、キャップ30を収集モジュール14から取り外して、収集モジュール14におけるハウジング20の出口34を露出させることができる。取り外しは、ユーザがキャップ30の外側部分を把持し、ハウジング20からキャップ30を引っ張ることによって行われ得る。血液サンプル12は、キャップ30を取り外した後、毛管現象によって、ハウジング20の通路36内、例えば、収集チャンバ26内に保持される。一実施形態では、代替として、キャップ30の取り外しは、収集モジュール14を外側ハウジング16から取り外すときに生じてもよい。この構成では、キャップ30は外側ハウジング16内に拘束される。一実施形態では、キャップ30を外側ハウジング16と係合させることにより、外側ハウジング16とキャップ30を単一のステップで取り外すことができるようにすることができる。
【0074】
次に、血液サンプル12は、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64を作動させることによって、収集モジュール14から分配され得る。例えば、第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、サンプル12が収集チャンバ26内に収容されている初期位置と、サンプル12の一部が収集チャンバ26および出口34から排出される変形位置との間で移行可能である。第1の変形可能部分62および第2の変形可能部分64は、同時に押しつぶされて、初期位置から変形位置に移る。このようにして、血液サンプル12は、医師が血液サンプルにさらされるのを最小限に抑えつつ、サンプルを分析することを意図した装置、例えば、診療現場用検査装置105(
図6)、カートリッジ検査機、または患者の近くの検査装置などに移すことができる。
【0075】
本開示は、ラジアルスティック技術を使用して動脈血サンプルを収集するための採血装置を含む。本開示は、動脈血液ガス(ABG)収集処置において非常に重要であるワークフロー工程数を効率化し、削減する。提案される装置は、収集中に気泡を排出するための、自動抗凝固剤混合および統合された通気を含む。
【0076】
既存のABG注射器は通常、採血後にスナップするか針の上をスライドさせる必要がある安全シールドを備えた従来の皮下注射針を使用する。このような安全ガードは、採血処理中に視線に入ることが多いため、この繊細な処理中の医師の視界を不明瞭にすることになる。従来のABG注射器には、収集されたサンプルからトラップされた気泡を排出するためにキャップを注射器に取り付ける前に針を取り外す必要がある別個のベントキャップも付いていることがよくある。抗凝固剤は通常、ABG注射器内に充填され、ユーザは収集したサンプルを転がすか振って抗凝固剤と徹底して混合する必要がある。本開示の装置は、従来の動脈血液ガス(ABG)収集キットに比べて以下の利点を有する。(1)指定された接触ポイントを備えた人間工学に基づくデザイン。(2)充填時間を短縮し、患者が可能性のある痛みを伴う処置を受ける時間を短くする高い流速を維持しながら、小さな標準規格注射針を可能にする薄壁針技術(ベクトン社のウルトラタッチ)。(3)処置の間ユーザの視界を遮ることなく、収集後にボタンを押すだけで、片手で作動できる押しボタン式安全シールド。(4)充填中または収集後に簡単に排出することにより、閉じ込められた気泡を除去できる統合された、通気/通気キャップ機能。および(5)ガードと押しボタンを備えた安全スリーブを使用して、装置の輸送中に誤って安全シールドが作動することを防止。
【0077】
本開示の別の概念では、
図15~
図27を参照すると、体液収集アセンブリ10bは、一般に、針アセンブリ11b、第1の針シールド60b、チューブホルダ13b、および体液収集カートリッジ20bを含む。一実施形態によれば、体液収集アセンブリ10bは、動脈血収集アセンブリを含むことができる。針アセンブリ11bと共に用いることを意図した動脈血収集カートリッジ20bに関して本明細書に記載されているが、本開示のカートリッジ20bは、穿刺要素を含むかまたはカテーテルまたは動脈ラインへの取り付けを可能にする、別の医療装置アセンブリなどの他の医療装置と共に使用され得るか、または組み込まれ得るものである。
【0078】
例示的な実施形態では、体液収集カートリッジ20bの主要な構成要素は、取り外し可能なプランジャーロッド31bと、管状部材21bおよび閉じ部40bとスライド可能に連結するストッパ32bを有したプランジャーアセンブリ30bを含む。
【0079】
図15から
図18を参照すると、例示的な一実施形態では、体液収集カートリッジ20bは、近位端23b、開放遠位端22b、および近位端23bと遠位端22bとの間に延びる側壁25bを有し、内部リザーバ28bを有した内部チャンバ26bを画定する細長い中空の円筒形管状部材21bを含む。管状部材21bの側壁25bは、プランジャーアセンブリ30bをスライド可能に受け入れるための内面27bを画定する。環状フランジ24bは、管状部材21bの近位端23bに設けられ、内面27bからチャンバ26b内に延在し、管状部材21bの近位端23bを部分的に閉じる。
【0080】
管状部材21bは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、ガラス製品、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数の代表的な材料で作ることができる。ポリテトラフルオロエチレンや他のフッ素化ポリマーなどのより高価なプラスチックも使用することができる。上記の材料に加えて、他の適切な材料の例には、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、PEEK、ポリイミド、およびPTFEテフロン(登録商標)、FEPテフロン(登録商標)、テフゼル(登録商標)、ポリ(フッ化ビニリデン)、PVDF、およびパーフルオロアルコキシ樹脂などのフルオロポリマーが含まれる。例示的なガラス製品の1つは、PYREX(登録商標)(ニューヨーク州コーニングのコーニンググラスから入手可能)である。本発明の実施形態によれば、セラミック収集装置を用いることができる。本開示によれば、紙および強化紙容器などのセルロース製品を用いて、収集装置を形成することもできる。
【0081】
図15~
図18を参照すると、1つの例示的な実施形態では、体液収集カートリッジ20bはまた、管21bの側壁25bによって画定されるチャンバ26b内にスライド可能に受け入れられるプランジャーアセンブリ30bを含む。プランジャーアセンブリ30bは、ストッパ32bおよび取り外し可能なプランジャーロッド31bを含む。ストッパ32bは、内面27bと液密係合でスライド可能に配置され、縦軸29bに沿って遠位および近位にスライドすることができる。ストッパ32bおよびプランジャーロッド31bは、相互係合構成90bによって互いに取り外し可能に関連付けられている。相互係合構成90bは、プランジャーロッド31bがストッパ32bに対して遠位方向の力を加えることを可能にし、また、
図22における「P」によって示されるように近位方向の力が加えられたときに、プランジャーロッド31bをストッパ32bおよび管状部材21bから取り外すことを可能にするように構成されている。換言すれば、ストッパ32bとプランジャーロッド31bは、互いに機械的に固定されておらず、プランジャーロッド31bがストッパ32bに遠位方向に力を加えることのみを可能にする取り外し可能な接続構成で配置されているだけである。取り外し可能なプランジャーロッド31bの近位端は、ユーザがプランジャーアセンブリ30b全体を遠位に押す力を加えるために使用するか、またはプランジャーロッド31bを管状部材21bから取り外すために引くのに使用できるサムフランジ33bを含み得る。
【0082】
図15から
図18を参照すると、1つの例示的な実施形態では、ストッパ32bは、遠位面34bおよび近位面35bを含む。ストッパ32bの直径は、管21bの内径「a」にほぼ等しいか、またはわずかに小さいが、環状フランジ24bの内径「b」よりも大きい。ストッパ32bは、管21bの内面27bとスライド可能に接触して、プランジャーアセンブリ30bと管21bの内面27bとの間に液密シールを提供し、その結果、サンプルは、管21bの遠位端22bとストッパ32bの遠位面34bとの間のチャンバ26b内に形成された内部リザーバ28b内に保持され、サンプルが管21bの近位端23bから漏れるのを防ぐ。
【0083】
ストッパ32bは、低抵抗ストッパであり、そのため、従来の動脈血ガス注射器の同様の構成要素と比較した場合、管21b内の動きに対する摩擦抵抗が比較的低く設計されており、これにより、内部リザーバ28b内の動脈血圧などの液体圧の存在によって、ストッパ32bは、それによりストッパ32bの近位運動が制限される、ストッパ32bの近位面35bが環状フランジ24bに接触するまで管21bの近位端23bに向かって近位方向にスライド/移動させられる。ストッパの摩擦抵抗は、ストッパの密封のための輪郭の設計および/または構成材料の選択のいずれかを組み合わせることによって下げることができる。第1の密封リング36bおよび第2の密封リング37bは、それぞれ遠位面34bおよび近位面35bの近くで、ストッパ32bの外周面の周りに延在し、管21bの内面27bとの一次および二次密封を作る。このストッパ密封輪郭の設計は、ストッパ32bと内面27bとの間の接触量を低減し、それにより、外周面全体が内面27bと接触するストッパ密封の輪郭と比較して、ストッパ32bの動きに対する摩擦抵抗を低減する。代替として、またはストッパ密封の輪郭設計と組み合わせて、ストッパ32bは、好ましくは、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、および自己潤滑性または比較的低い摩擦抵抗を有するように配合または合成されたそれらの組み合わせなどのエラストマー材料でできている。ストッパ32bはまた、より硬い内側のゴムコアと柔らかい自己潤滑性ポリマー材料の外側層とを含むエラストマーの組み合わせから作製されてもよい。自己潤滑性高分子材料は、シリコーンオイルなどの潤滑剤が高分子材料に組み込まれており、その一例がエピロールである。
【0084】
使用前に、プランジャーロッド31bは、プランジャーロッド31bが遠位方向に作用する力のみを与えることができるように、ストッパ32bの近位面35bに接触する。相互係合構成90bは、プランジャーロッド31bの遠位端から延びる円錐状フィンガ39bなどの雄形部材を含むことができ、この雄形部材は、ストッパ32bの近位面35bにおいて、円錐状のくぼみ45bなどの対応する雌形部材と嵌合するように構成されている。円錐状のフィンガ39bおよび円錐状のくぼみ45bは、相互係合構成90bの一例を示しており、他の相互係合構成を用いて、プランジャーロッド31bをストッパ32bに取り外し可能に接続できることが理解され得る。例えば、相互係合構成90bは、プランジャーロッド31bの遠位端が、ストッパ32bの近位面35bから延びる対応する雄部材と嵌合するように構成された雌部材を含むように設計することができる。
【0085】
図20から
図22を参照すると、ユーザなどによる力をサムフランジ33bへ作用させることによって、プランジャーロッド31bは、加えられた力を伝達させてストッパ32bを遠位方向に動かし、管21bの遠位端22bに液体通路がある場合は血液収集カートリッジから液体を押し出す。しかしながら、
図22の「P」によって示されるように、プランジャーロッド31bを近位方向に引っ張ると、ストッパ32bに力を作用しない。円錐状のフィンガ39bは、くぼみ45bとの接触から後退するだけなので、プランジャーロッド31bが管状部材21bから取り外されている間、ストッパ32bは管21b内で静止したままである。
【0086】
プランジャーロッド31bは、望ましくは、適切なポリマー材料で構成され、当技術分野で知られている適切なポリマー材料を用いた射出成形によって製造することができる。プランジャーロッドおよびストッパを含むことは、本発明の範囲内であり、これらは、同じ材料または2色成形などの異なる材料で、別々に形成されまたは一体的に形成されるか、または同じまたは異なる材料で別々に形成され、機械的手段、接着剤、超音波溶接、ヒートシール、または他の適切な手段によって結合される。
【0087】
図15~
図18を参照すると、一つの例示的な実施形態では、貫通可能な閉じ部40bは、管状部材21bの開放した遠位端22bに関連付けられている。閉じ部40bは、管状部材21bの側壁25bと協働して、開いた遠位端22bを密封するように閉じ、体液サンプルを収容するための液体不透過性シールを形成するように構成される。閉じ部40bは、外部端部41b、および管状部材21b内に少なくとも部分的に受け入れられるように構造化された内部端部42bを含む。管21bの開いた遠位端22bに隣接する閉じ部40bの部分は、管21bの内径「a」を超える最大外径を画定する。閉じ部40bの固有の弾力性によって、管21bの壁25bの内面27bとの密閉係合を確実にすることができる。内部端部42bから下向きに延びる閉じ部40bの部分は、管21bの内径「a」にほぼ等しいかまたはわずかに小さい小径から、遠位端22bに隣接する、管21bの内径「a」よりも大きい大径まで先細になり得る。したがって、閉じ部40bの内部端部42bは、遠位開放端部22bに隣接する管21bの一部に押し込まれ得る。閉じ部40bは、針50bまたは他のカニューレによって貫通されて、生物学的サンプルを管状部材21bに導入することができるようなものである。一実施形態によれば、閉じ部40bは再密封可能である。閉じ部40bはまた、
図19に示されるように、内部端部42b内に延在する空洞43bを画定するように形成され得る。空洞43bは、ストッパ32bの遠位面34bから遠位方向に延在する少なくとも対応する混合フィン44bを受け入れるようなサイズにすることができる。あるいは、複数の空洞および対応する混合フィンが存在し得る。閉じ部40bに適した材料には、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン-プロピレンコポリマーおよびポリクロロプレンなどのエラストマー、熱可塑性エラストマーなどが含まれる。
【0088】
一実施形態によれば、体液収集カートリッジ20bは、
図19において70bとして示されるように、抗凝固剤、凝固剤、安定化添加剤などの特定の検査処置に必要な追加の添加剤を含み得る。そのような添加剤は、管21bの内面27bに噴霧されるか、または内部リザーバ28b内に配置され得る。抗凝固剤は、ヒルジン、ヒルジン誘導体、キレート剤、またはキレート剤誘導体を含み得る。特定の抗凝固剤には、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヘパリン、CPAD、CTAD、CPDA-1、CP2D、シュウ酸塩カリウム、フッ化ナトリウム、またはACDが含まれる。抗凝固剤は、混入を改善するために液体の形で使用することができ、したがって、動脈血液の収集時の抗凝固剤の有効性を改善することができる。液体形態は、適切な担体中の抗凝固剤の乳濁液、溶液、または分散液であり得る。他の公知の動脈血サンプル収集方法は、注射器の貯蔵可能期間を最大化するために、注射器筒内にヘパリン粉末などの固体形態の抗凝固剤を、製造の際に予め装填した動脈血ガス注射器を使用する。固形の抗凝固剤を使用すると、動脈血採取プロセス中の攪拌が不足するため、粉末ヘパリンを血液サンプルに混入することが困難になるため、抗凝固剤の有効性が低下する可能性がある。
【0089】
閉じ部40bの内部端部42b内の空洞43bと、ストッパ32bの遠位面34bから延びる混合フィン44bと、の組み合わせは、流体リザーバ28bの各端部に非対称の表面をもたらす。
図25から
図26を参照すると、カートリッジ20bが矢印wおよびxの方向に縦軸の周りでカートリッジを回転させることによって回転されるとき、空洞43bおよび混合フィン44bは、液体リザーバ28bの内容物の完全な混合を促進する渦を生成する。これは、収集容器の液体リザーバに空気(ヘッドスペース)がない場合に特に役立つ。特に、内容物成分の密度が近い場合、このような装置を逆さにしても、内容物を混ぜることはほとんどできない。薬瓶、インスリンペンカートリッジ、注射器などの、円筒形の内部液体リザーバを備えた容器は、通常、液体リザーバの上部と下部に平らな内面を持っている。したがって、これらの容器が転がるときに乱流はほとんど発生しない。
【0090】
図15~
図22を参照すると、針アセンブリ11b、およびホルダ13bを含む体液収集システムの実施形態が示されている。針アセンブリ11bは、尖った近位端51bと、尖った遠位端52bと、近位端51bと遠位端52bとの間に延びる管腔53bと、を有する針カニューレ50bを含む。針アセンブリ11bは、さらに近位端55bと、遠位端56bと、近位端55bと遠位端56bとの間に延びる通路と、を有するハブ54bを含む。近位端51bと遠位端52bとの間に延びる針カニューレ50bの一部が、ハブ54bの通路にしっかりと取り付けられている。このようにして、針カニューレ50bの尖った近位端51bは、ハブ54bを越えて近位に突出し、針カニューレの尖った遠位端は、ハブ54bを越えて遠位に突出する。ハブ54bの近位端55bの近くの、ハブ54bの外部表面領域は、雄ネジ配列、少なくとも1つの環状溝、または少なくとも1つの環状リブなどの取り付け構造で形成することができる。この取り付け構造によって、本開示の一実施形態による血液収集カートリッジ20bをスライド可能に受け入れるように構成されたホルダ13bに針ハブ54bを固定することが可能となる。針アセンブリ11bは、さらに、
図19に示されるように、針カニューレ50bの近位部分に取り付けられ、ハブ54bの近位端55bに固定される、複数のサンプルスリーブ57bをさらに含み得る。針アセンブリ11bのハブ54bがホルダ13bに取り付けられている場合、針カニューレ50bの近位部分および複数のサンプルスリーブ57bは、ホルダ13b内に突出している。
【0091】
図15~
図22を参照すると、例示的な実施形態では、針アセンブリ11bは、第1の針シールド60bおよび第2の針シールド61bを含む。第1の針シールド60bはカニューレ50bの遠位端52bを覆い、第2の針シールド61bはカニューレ50bの近位端51bを覆う。第1の針シールド60bは、液体抗凝固剤などの液体処理材料70bの存在によって活性化される遠位端にインジケータ先端62bを含む。
【0092】
体液収集カートリッジ20bの組み立ては、管状部材21bの遠位端22bを介してチャンバ26b内にストッパ32bをスライド可能に挿入することによって行われる。そして、液体抗凝固剤ヘパリンなどの液体処理材料70bが流体リザーバ28bに追加されてから、遠位端22bが閉じ部40bの挿入によって密封される。次に、プランジャーロッド31bが、円錐状のフィンガ39bがくぼみ45bと嵌合するまで、管21bの近位端23bにある環状フランジ24bを介して挿入される。アセンブリは、後で使用するためにパッケージ化することができる。
【0093】
本発明の一実施形態による使用方法では、第2の針シールド61bが針アセンブリ11bから取り外され、ホルダ13bが動脈血収集などの体液収集のために針アセンブリ11bに接続される。次に、血液収集カートリッジなどの、本発明の実施形態による体液収集カートリッジ20bが、
図19から
図21に示されるように、針50bの尖った近位端51bが閉じ部40bを貫通し、管腔53bが、流体リザーバ28bに位置する、液体ヘパリン抗凝固剤などの液体処理材料70bと液体連通するまで、ホルダ13bの近位端に挿入される。
【0094】
次に、ユーザは、ホルダ13bを握り、ホルダ13b上の外向きに延びる環状フランジ15bの周りに指を固定し、
図21に示すように、遠位方向「D」に十分な力でサムフランジ33bを押し下げ、この押し下げは、
図22に示すように、ストッパ32bの遠位面が閉じ部40bの内部端部42bに接触し、内部混合フィン44bがくぼみ45bと係合し、カニューレ50bの近位端51bがストッパ32bの空洞43bに収容されるまで行われる。この操作により、体液収集カートリッジ20b内の液体処理材料70bは、液体リザーバ28bから近位端51bを介してカニューレ50bの管腔53b内および第1の針シールド60b内に流れる。インジケータ先端62bは、流体処理材料が針50bの遠位端52bから排出されるときに過剰なこの流体処理材料と接触すると活性化して色を変え、液体リザーバ28bまたは針50bの管腔53b内のあらゆるデッドスペースが流体処理材料70bで満たされていることをユーザに視覚的に確認させる。次に、プランジャーロッド31bは、
図22に示されるように、プランジャーロッド31bを(矢印Pによって示される)近位方向に引っ張ることによって、ストッパ32bから分離することができる。デッドスペースに存在する液体処理材料70bの残留量(10~20μl)は、収集時に動脈血サンプルの凝固を防ぐのに十分な抗凝固機能を提供するなど、十分な処理をもたらすような濃度でなければならない。
【0095】
液体処理材料でアセンブリ10bを満たす目的は、動脈血サンプル中など酸素の分圧が大気によって影響されないように、大気を除くことである。アセンブリ10bは、体液サンプルに対する流体処理材料の希釈効果を最小限にするために、液体処理材料の残留体積を低く保つべく、好ましくは小さなデッドスペースを有するべきである。
【0096】
本発明の一実施形態による体液収集の方法は、体液収集プロセスまたは動脈圧によって動かされる低抵抗ゴム栓を用いる動脈血収集プロセスにおける現在の臨床診療と同様の片手技術を可能にする。第1の針シールド60bは、針アセンブリ11bから取り外される。ユーザは、
図23に示されるように、アセンブリ10bを片手で把持し、遠位端52bを患者の動脈などの液体源に挿入する。本発明を用いて動脈血を移動させる場合、動脈圧(通常の大気圧または周囲圧力よりも高い)の血液は、カニューレ50bの管腔53bを通って液体リザーバ28bに流れ込み、ストッパ32bを近位方向にスライドさせ、このスライドは、ストッパ近位面35bが、
図24に示されるように、環状フランジ24bと接触し、それによって、収集すべき量の血液サンプルの収集が完了することを示すまで行われる。ゴム栓32bのスライド運動によって、収集プロセス中に、47bで示されるように、液体処理材料70bと収集された動脈血とが混合することが可能となる。
【0097】
次に、液体ないし血液収集カートリッジ20bが、マルチサンプル針アセンブリ11bおよびホルダ13bから取り出される。次に、遠位端52bを液体源または動脈から取り外すことができる。次に、分離したカートリッジ20bを、体液サンプルを、
図25から
図26に示されるように、ヘパリンなどの液体処理材料70bとさらに混合するために、縦軸29bに垂直な平面内でユーザの両手のひらの間で転がしてもよい。閉じ部40bの内部端部42bおよびストッパ32bの遠位面34bの非対称のフィン付き表面は、カートリッジ20bが矢印w、x、yおよびzによって示される方向に回転されるときに渦を生じさせる。これで、体液サンプルを含む体液収集カートリッジ20bは、動脈血ガス分析などのため実験室に移送する準備ができた状態にある。
【0098】
一実施形態によれば、
図27に示されるようなルアーアダプタ80bは、次に、カートリッジ20bの閉じ部40bを介して挿入され、血液ガス分析器と互換性のあるインターフェース接続をカートリッジが備えることができる。体液収集カートリッジ20bがすべての異なるタイプの検査装置および/またはすべての異なるタイプの血液ガス分析器インターフェースに接続することを可能にするために、様々な異なるルアーアダプタを提供することができる。ルアーアダプタ80bはまた、ルアーアダプタ80bが接続されたときに体液収集カートリッジ20bを密封するためのルアー先端キャップ(不図示)を備えていてもよい。
【0099】
図15および
図28から
図30を参照すると、一実施形態では、装置はまた、遮蔽可能な針装置12を含むことができる。例えば、
図15および
図28から
図30を参照すると、液流体収集アセンブリ10b、10cは、遮蔽できる針装置12cを含むことができる。
【0100】
例示的な一実施形態では、遮蔽できる針装置12cは、針装置12cから延在する可撓性チューブ14c、可撓性チューブ14cに取り付けられた固定具16c、針カニューレ20c、ハブ30c、および外部シールド50cを含み得る。いくつかの実施形態では、固定具16cは、当技術分野で知られているように、採血処理で用いるための容器(不図示)に接続することができる。
【0101】
一実施形態では、針カニューレ20cは、近位端および反対側の遠位端を含み、管腔26cは、針カニューレ20cを通って近位端から遠位端まで延在する。針カニューレ20cの遠位端は、静脈内穿刺先端などの鋭い穿刺先端28cを画定するために斜めにされている。穿刺先端28cは、静脈などの患者の血管へ挿入するために備えられるものであり、したがって、挿入の容易さおよび静脈穿刺中の不快感が最小限となるように設計されている。血液収集セット10cを使用する前に、穿刺先端28cから保護するために、取り外し可能な保護カバー(不図示)を針カニューレ20cの遠位端上に配置することができる。
【0102】
遮蔽可能な針装置12cは、ハブ30cをさらに含む。ハブ30cは単一構造であり、望ましくは熱可塑性材料から成形されたものである。針カニューレ20cは、ハブ30cの内部通路内に配置され、また、ハブ30cの内部通路によって支持され、針カニューレ20cの遠位端はハブ30cの遠位端から延在する。望ましくは、針カニューレ20cおよびハブ30cは、適切な医療グレードの接着剤などによって固定的に取り付けられ、固定される別個の部品である。ハブ30cの近位端は、血液収集セット10cの可撓性チューブ14cとの接続に適合されている。ハブ30cは、ハブ30cの近位端に隣接する位置で外面から外向きに延在する第1のタブ40cをさらに含む。このようにして、遮蔽可能な針装置12cが血液収集セット10c内のチューブ14cと組み立てられるとき、可撓性タブ40cは、ユーザの指にアクセス可能である。
【0103】
遮蔽可能な針装置12cは、中空の外側シールド50cをさらに含む。外側シールド50cは、ハウジング50cの上部から外向きに延在する第2のタブ62cをさらに含む。第2のタブ62cは、ユーザの親指との摩擦係合を提供するための突起をその上に有する傾斜面を含む。
【0104】
外側シールド50cは、第1のタブ40cが外側シールド50cの近位端から露出し、穿刺先端28cが外側シールド50cの遠位端から露出する収縮位置と、穿刺先端28cおよび針カニューレ20cの遠位端が外側シールド50cによって覆われている伸長位置との間で移動可能である。
【0105】
第1のタブ40cおよび第2のタブ62cは、第1のタブ40cおよび第2のタブ62cに対して互いに加えられる反対向きの力によって、外側シールド50cが針カニューレ20cの遠位端に向かって矢印100cの方向に、収縮位置から伸長位置に移動するように構成されている。第1のタブ40cおよび第2のタブ62c上の突起は、それぞれ、ユーザの指と親指との摩擦係合を提供し、外側シールド50cを収縮位置から伸長位置に移動することを容易にする。
【0106】
外側シールド50cは、互いに反対側で外側シールド50cから横方向に延びる翼68cの形態の一対のスタビライザをさらに含み得、バタフライタイプの翼アセンブリとして採血セット10cを提供する。翼68cは、採血処置中に遮蔽可能な針装置12cおよび血液収集セット10cの位置決めや設置の役に立ち、採血処理中に患者の皮膚の表面に対して平らに横たわるように構成されている。したがって、翼68cは、翼68cの少なくとも一方、望ましくは両方が互いに向かって曲げられて、ユーザの指の間で一緒にされて、静脈穿刺中遮蔽可能な針装置12cの位置決めおよび設置に役立つことができるよう、可撓性材料で構築され得る。
【0107】
遮蔽可能な針装置12cは、実質的に、
図15および
図28に示される状態で包装することができる。特に、血液収集セット10cは、組み立てられ、針装置12cから延在し、固定具16cに接続された可撓性チューブ14cを含む針装置12cを備えている。使用する前に、血液収集セット10cはパッケージから取り出される。血液収集セット10cをパッケージから取り出した後、それを他の適切な医療機器と組み合わせて使用できる。次に、固定具16cは、非患者用針アセンブリや針ホルダなどの適切な容器に接続されて、針カニューレ20cを介して管腔26cとの液体連通をもたらすことができる。
【0108】
血液収集セット10cの使用の準備をするため、ユーザは、遮蔽可能な針装置12cにおいて採血セット10cをつかみ、保護カバー(不図示)を取り外して、針カニューレ20cの穿刺先端28cを露出させる。次に、医師は、針カニューレ20cの遠位端にある穿刺先端28cを患者の目的の血管に押し込むことができる。そのような位置決め中に、翼68cの少なくとも1つは、遮蔽可能な針装置12cの位置決めおよび設置を容易にするために、ユーザの指で他方に向かって内側に曲げることができる。必要なすべてのサンプルが採取されたときなど、処置が完了すると、針カニューレ20cが患者から引き抜かれる。患者から針カニューレ20cを取り外した後、遮蔽可能な針装置12cの安全機能の作動が実現される。
【0109】
本開示は例示的な構造を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲の中でさらに修正され得るものである。したがって、本出願は、その一般原則を用いた開示の任意の変形、使用、または翻案を包含するように意図される。さらに、本出願は、本開示が属し、また添付される特許請求の範囲内に入る技術分野における知られているまたは慣行の中に入るような、本開示からの逸脱を包含することが意図される。