IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニー ジェネラレ デ エスタブリシュメンツ ミシュランの特許一覧

<>
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図1
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図2
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図3
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図4
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図5
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図6
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図7
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図8
  • 特許-補剛構造を含む車両用のためのタイヤ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】補剛構造を含む車両用のためのタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/22 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B60C5/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021534794
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 FR2019052997
(87)【国際公開番号】W WO2020128225
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】1873023
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ジラード マシュー
(72)【発明者】
【氏名】カラマンド ステファン
(72)【発明者】
【氏名】リゴ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヒンク ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】シモネッリ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ディール ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】デュクル アントワーヌ
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-077922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279438(US,A1)
【文献】英国特許出願公告第01507082(GB,A)
【文献】特開2006-264493(JP,A)
【文献】特表2008-531393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公称リム(5)に装着されて公称圧力Pにまで膨張されることが意図され、前記装着され及び膨張された状態で軸方向幅S及び半径方向高さHを有する車両用タイヤ(1)であって、
地面と接触することを意図した半径方向外側トレッド面(21)と、2つの軸端(22)とを有するクラウン(2)であって、前記軸端(22)は、側壁(3)によって、次いで前記リム(5)と接触することを意図したビード(4)によって内側に向かって半径方向に各々延びる、クラウン(2)を備え、
前記クラウン(2)、前記側壁(3)、及び前記ビード(4)が、トロイダル型内部キャビティ(6)を境界付け、
前記タイヤ(1)が、そのトレッド面(21)の中心を通過して回転軸(YY’)に垂直な赤道面(XZ)を有している、車両用タイヤ(1)において、
前記タイヤ(1)は、2つの補剛要素(8)を含む補剛構造(7)を備え、前記補剛要素(8)が各々、前記クラウン(23)の半径方向内面に接続されたクラウン接合部(81)から前記ビード(41)の軸方向内面に接続されたビード接合部(82)まで前記トロイダル型内部キャビティ(6)において連続的に延び、
前記補剛構造(7)が、前記タイヤの全円周の周りに円周方向に分配され、前記クラウン接合部(81)は、前記赤道面(XZ)に対して前記軸方向幅Sの最大で0.45倍に等しい軸方向距離Aに位置決めされ、前記ビード接合部(82)は、前記ビード(41)の前記軸方向内面の半径方向最内点(I)に対して、前記半径方向高さHの少なくとも0.10倍に等しく且つ前記半径方向高さHの最大で0.5倍に等しい半径方向距離Bに位置決めされ、前記補剛要素(8)はシールされない、
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記2つの補剛要素(8)は、前記赤道面(XZ)の両側に対称的に位置決めされる、ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記クラウン接合部(81)は、前記赤道面(XZ)に対して、前記軸方向幅Sの少なくとも0.05倍に等しく最大で0.15倍に等しい軸方向距離Aに位置決めされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記ビード接合部(82)は、前記ビード(41)の前記軸方向内面の半径方向最内点(I)に対して、前記半径方向高さHの最大で0.35倍に等しい半径方向距離Bに位置決めされる、ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記クラウン接合部(81)は、前記軸方向幅の少なくとも0.1倍に等しい幅A1にわたって分布している、ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記クラウン接合部(81)は、前記補剛要素(8)と前記クラウン(23)の前記半径方向内面との間で少なくとも部分的に位置決めされたエラストマー化合物で作られたクッション(811)を含む、ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記クラウン接合部(81)は、幅A1にわたって分布し、前記ビード接合部(82)は、少なくとも前記幅A1に等しい幅B1にわたって分布している、ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記ビード接合部(82)は、前記補剛要素及び前記ビード(41)の前記軸方向内面と少なくとも部分的に接触状態のエラストマー化合物で作られたクッション(821)を含む、ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けることを意図したラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書でより詳細に検討するタイヤの分野は、乗用車用タイヤのものであり、その子午線セクションが、欧州タイヤ及びリム技術機関、すなわちETRTO規格の意味の範囲内で、セクション幅S及びセクション高さHによって特徴付けられ、パーセンテージとして表される比率H/Sは、最大で65に等しく、セクション幅Sが少なくとも195mmに等しくなるようなものである。更に、タイヤの取り付けリムの直径を定めるシートDにおける直径は、少なくとも15インチに等しく、一般的には最大で21インチに等しい。本発明の関連においてより詳細に検討中の実施例は、サイズ255/35R19のタイヤである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本発明によるタイヤは、二輪車、大型車、農業用車両、建設プラント車両又は航空機、或いはより一般的にはあらゆる回転デバイスなどの何れかの他のタイプの車両で等しく用いることができる。
【0004】
以下では及び慣例により、円周方向XX’、軸方向YY’及び半径方向ZZ’は、タイヤの回転方向におけるタイヤのトレッド面の接線方向、タイヤの回転軸に平行な方向、及びタイヤの回転軸に垂直な方向をそれぞれ指す。「半径方向内側」及び「半径方向外側」は、「タイヤの回転軸に近接している」及び「タイヤの回転軸から遠く離れている」ことをそれぞれ意味する。「軸方向内側」及び「軸方向外側」は、「タイヤの赤道面に近接している」及び「タイヤの赤道面から遠く離れている」ことをそれぞれ意味し、タイヤの赤道面XZは、タイヤのトレッド面の中心を通過する平面であり、タイヤの回転軸に垂直な平面である。
【0005】
一般に、タイヤは、各々が側壁によって、次いでリムと接触することを意図するビードによって内側に向かって半径方向に延びる2つの軸端を有するクラウンを含み、組立体は、トロイダル型内部キャビティを境界付ける。より具体的には、クラウンは、外側から内側に向かって半径方向で、トレッド面を介して地面と接触することを意図したトレッドと、タイヤのクラウンを補強することを意図したクラウン補強体とを含む。カーカス補強体は、2つの側壁を互いに接続し、各ビードにおいて、通常はビードワイヤタイプの円周方円補強要素に係止される。
【0006】
ETRTOのものなどのタイヤに関する規格は、例えば、セクション幅S、セクション高さH及びシート直径Dによって特徴付けられる、所与のサイズのタイヤに対する公称使用条件を定める。従って、所与のサイズのタイヤは、公称リムに装着され、公称圧力Pまで膨張されて、公称荷重Zに晒されることが意図される。従って、タイヤに加わる荷重は、タイヤによって、膨張圧から生じるその空気圧剛性によって、及びその固有の構造剛性によって吸収される。
【0007】
タイヤは、排他的でなく実施例として、ハンドリング、転がり抵抗、グリップ、摩耗及びノイズなどの複数の性能基準を満たす必要があり、これは、多くの場合、相互に矛盾する設計選択を伴う。従って、1つの所与の性能態様を改善するためになされた設計選択が、別の性能態様を悪化させることにつながることが多い。これは、例えば、ハンドリングと転がり抵抗との間で満足のいく妥協案を求めるときの場合である。
【0008】
タイヤのハンドリングは、コーナリング応力荷重及び/又は横方向応力荷重など、走行中に受ける種々の機械的応力荷重に耐えるその能力を特徴付け、その機械的コーナリング剛性Dz及び横方向剛性Kyyにそれぞれ本質的に依存することは知られている。これらの機械的剛性が高いほど、タイヤのハンドリングが良くなる。
【0009】
先行技術では、タイヤのハンドリングを改善するために、当業者は、例えば、高軸方向厚み及び/又は高半径方向高さから生じる大きな容量を有し、且つ高弾性係数及び高ヒステリシスを有するエラストマー材料、すなわち剛性と散逸性の両方である材料を含む、極めて剛性のあるタイヤビードを設計していた。このような設計に対応するものは、転がり抵抗値の増加であり、従って、燃料消費の対応する増加と共に転がり抵抗性能の悪化である。
【0010】
従来のタイヤに対する代替の解決策は、接地面の外側の張力及び接地面の圧縮状態において、半径方向外側及び半径方向内側の回転構造、同一の軸受要素で構成された軸受構造、並びに2つの側壁を備えたタイヤタイプのデバイスの形態で、文献WO2017005713において提案される。軸受要素は、フィラメント状であり、半径方向外側織物によって半径方向外側回転構造の半径方向内面に、及び半径方向内側織物によって半径方向内側回転構造の半径方向外面にそれぞれ接続される。更に、1/m2で表される半径方向外側回転構造の単位面積当たりの軸受要素の平均表面密度Dは、少なくとも(S/SE)*Z/(A*Fr)に等しく、式中Sは、半径方向外側回転構造の半径方向内面の面積(m2 t単位の)であり、SEは、半径方向外側回転構造の半径方向内面との半径方向外側織物の接続面積(m2単位)であり、Zは、公称半径方向荷重(N単位)であり、Aは、地面との接地面積(m2単位)であり、Frは、軸受要素の破断力(N単位)である。この解決策は、従来のタイヤの散逸ビードを排除し、及び従って、転がり抵抗を大幅に低減することを可能にすると同時に、軸受構造のフィラメント要素が機械的コーナリング及び横方向応力荷重に反応するという事実によって良好なハンドリングが保証される。しかしながら、このタイヤデバイスは、詳細には、非標準リムの使用を必要とするという欠点を有する。
【0011】
本発明者らは、先行技術の標準タイヤと比較してハンドリングが改善され、この基準タイヤに最大でも等しい転がり抵抗を有する、標準リムに装着することができるタイヤを設計する目的を設定している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、公称リムに装着されて公称圧力Pにまで膨張することが意図された、装着及び膨張状態で軸方向幅S及び半径方向高さHを有する車両用タイヤによって達成され、該タイヤは、
-地面と接触することを意図した半径方向外側トレッド面と、2つの軸端とを有するクラウンであって、軸端は、側壁によって、次いでリムと接触することを意図したビードによって内側に向かって半径方向に各々延びる、クラウンを備え、
-クラウン、側壁、及びビードが、トロイダル型内部キャビティを境界付け、
-タイヤが、そのトレッド面の中心を通過し回転軸に垂直な赤道面を有しており、
-上記タイヤは、2つの補剛要素を含む補剛構造を備え、各補剛要素が、クラウンの半径方向内面に接続されたクラウン接合部からビードの半径方向内面に接続されたビード接合部までトロイダル型内部キャビティにおいて連続的に延び、
-補剛構造がタイヤの全円周周りで円周方向に分配されており、
-クラウン接合部が、赤道面に対して軸方向幅Sの最大で0.45倍に等しい軸方向距離Aに位置決めされ、
-ビード接合部が、ビードの軸方向内面の半径方向最内点に対して、半径方向高さHの少なくとも0.10倍に等しく且つ半径方向高さHの最大で0.5倍に等しい半径方向距離Bにおいて位置決めされている。
【0013】
本発明の背後にある原理は、従来のタイヤに、タイヤの全体的な剛性を高めることを意図した補剛構造を一体化することであり、これは、タイヤの補強構造によって提供される構造剛性と呼ばれる構造構成要素と、膨張ガスの存在によって提供されるタイヤ剛性と呼ばれるタイヤ構成要素と、を有する。補剛構造は、タイヤ剛性に寄与する。
【0014】
より具体的には、本発明による補剛構造は、基準タイヤと比較して、タイヤの半径方向剛性Kzz、横方向又は軸方向剛性Kyy、及びコーナリング剛性Dzを同時に増大させることができる。daN/mmで表される半径方向剛性Kzzは、1mmに等しい半径方向変位の適用時にタイヤによって発生する半径方向力Fzである。daN/mmで表される、横方向又は軸方向剛性Kyyは、1mmに等しい軸方向変位の適用時にタイヤによって発生する軸方向力Fyである。最後に、daN/°で表されるコーナリング剛性Dzは、半径方向軸ZZ’の周りに適用される角度1°で走行中にタイヤによって発生する軸方向力Fyである。
【0015】
半径方向剛性Kzzを増大させることによって、補剛構造は、走行中のクラウンの半径方向変形、及び詳細には逆変形、すなわち、タイヤのトレッド面が地面と接触する接地面の反対側の半径方向変形を制限する。従って、タイヤの走行中に、車輪が転回すると、補剛構造は、タイヤ、及び詳細にはそのトレッドの周期的変形の振幅を制限し、従って、エネルギーの結果として生じる散逸を制限することを可能にし、これにより転がり抵抗の低減に寄与する。更に、半径方向応力荷重下では、接地面は変化せず、すなわち実質的に同じ表面積を維持し、基準タイヤに関してグリップの観点から同じ性能を維持することを可能にする。
【0016】
横方向又は軸方向剛性Kyy及びコーナリング剛性Dzを増大させることによって、補剛構造は、例えばドリフト推力で走行するときに、横方向応力荷重下でハンドリングの改善に寄与することになる。更に、横方向応力荷重下では、接地面は、接触圧力の最も均一な可能な分布を確保し、これにより、横方向グリップの観点で性能を高めることを可能にする。
【0017】
更に、補剛構造は、タイヤに加わる荷重を担持することに少なくとも部分的に寄与し、この印加荷重は、タイヤによって、そのタイヤ剛性及びその固有の構造剛性によって、及び補剛構造によって共同で作用するようになる。耐荷重に関して、タイヤが公称半径方向荷重Zに晒されるときに、地面と接触状態のタイヤの部分に接続された補剛構造の部分は、圧縮下で座屈され、地面と接触状態にないタイヤの部分に接続された補剛構造の部分は、少なくとも部分的に張力下にある。
【0018】
結果として、補剛構造の存在は、耐荷重に対してタイヤの補強構造によってなされる寄与を低減することを可能にし、従って、必要に応じて、例えば、ビードの容量を低減することによってその固有の構造剛性を低減することを可能にする。周知のように、従来のタイヤのビードは、これらの容量及びこれらが作られたエラストマー化合物のヒステリシス傾向の性質に起因して、かなりの量のエネルギーを散逸させるので、これらの容量の低減は、転がり抵抗を大幅に低減することを可能にする。
【0019】
構造的見地からすると、本発明によれば、補剛構造は、クラウンの半径方向内面に接続されたクラウン接合部からビードの軸方向内面に接続されたビード接合部までトロイダル型内部キャビティにおいて連続的に延びる2つの補剛要素を含む。換言すると、補剛構造は、タイヤのクラウンをビードに接続する2つの補剛要素を含み、これは、タイヤのクラウンと各ビードとの間に三角形分割を作成する。補剛要素とクラウン及びビードそれぞれとの間の接続は、例えば、取り付け手段を介して直接的又は間接的の何れかとすることができる。
【0020】
更に、補剛構造は、タイヤの全円周の周りに円周方向に分配される。より具体的には、補剛構造は、タイヤの全円周の周りを円周方向及び連続的に延びるか、又はタイヤの全円周の周りで円周方向に及び周期的に分配される。結果として、タイヤのクラウンとビードとの間の三角形分割は、タイヤの全円周の周りで効果的である。
【0021】
同様に本発明によれば、補剛要素のクラウン接合部は、赤道面に対して、軸方向幅Sの0.45倍に最大で等しい軸方向距離Aに位置決めされる。この値を超えると、補剛要素は、半径方向ZZ’に対して小さすぎる角度を形成する方向を有し、これは、それぞれ横方向剛性Kyy及びコーナリング剛性Dzに対する寄与が不十分になる。しかしながら、0°に近接している角度の場合でも、本発明者らは、半径方向剛性Kzz、横方向剛性Kyy及びコーナリング剛性Dzそれぞれの増大を観察することができた。
【0022】
同様に本発明によれば、補剛要素のビード接合部は、ビードの軸方向内面の半径方向最内点に対して、半径方向高さHの少なくとも0.10倍に等しく半径方向高さHの最大で0.5倍に等しい半径方向距離Bに位置決めされる。半径方向高さHの0.5倍を超えると、あらゆる補剛要素は、半径方向ZZ’に対して大きすぎる角度を形成する方向を有し、これは、半径方向剛性Kzzに対する寄与が不十分となる。半径方向高さHの0.10倍を下回ると、ビード接合部は、ビードワイヤの近傍でビードの剛性領域に位置決めされ、これは、地面と接触状態のタイヤのクラウンと、リムと接触状態のビードとの間のノイズの伝送を促進する。従って、半径方向距離Bの選択肢は、赤道面に対する補剛要素の適切な傾斜を通して、それぞれ十分な半径方向、横方向及びコーナリング剛性に対する要求と、ビードの剛性領域にビード接合部を位置決めすることを回避するノイズの許容レベルに対する要求との間の妥協案から生じる。その上、ビード接合部の十分に高い半径方向位置決めは、ビードよりも剛性が低いタイヤの領域に位置決めされるこの接合部によって、補剛要素の長さの変動のより大きな公差を可能にする。
【0023】
好ましくは、2つの補剛要素は、赤道面の両側に対称的に位置決めされる。本実施形態は、補剛構造を通過する力をタイヤの2つの半部分の間で等しく分配することを可能にし、従って、タイヤが走行中に対称的にハンドリング可能にする。更に、対称的な補剛構造は製造がより簡単である。
【0024】
有利には、クラウン接合部は、赤道面に対して、軸方向幅Sの少なくとも0.05倍に等しく最大で0.15倍に等しい軸方向距離Aに位置決めされる。本発明者らは、軸方向幅Sの0.10倍に実質的に等しい軸方向距離Aが、有利な実施形態であったことを効果的に立証している。
【0025】
好ましくは、ビード接合部は、ビードの軸方向内面の半径方向最内点に対して、半径方向高さHの最大で0.35倍に等しい半径方向距離Bに位置決めされる。発明者らによれば、半径方向高さHの0.1倍~0.35倍である半径方向距離Bに対する値の範囲は、それぞれ挙動及びノイズの性能態様の間の妥協案に関して最適である。
【0026】
クラウン接合部は、軸方向幅Sの少なくとも0.1倍に等しい幅A1にわたって有利に分配される。この値を下回ると、クラウン接合部における局所応力が高くなりすぎ、ひいてはクラウン接合部の引き抜きの危険がある。
【0027】
クラウン接合部の好ましい実施形態によれば、クラウン接合部は、クラウンの補剛要素と半径方向内面との間で少なくとも部分的に位置決めされたエラストマー化合物で作られたクッションを含む。クラウン接合部におけるエラストマークッションの存在は、局所接合部応力をより良く分配することを可能にする。
【0028】
幅A1にわたって分配されているクラウン接合部によって、ビード接合部は、少なくとも幅A1に等しい幅B1にわたって有利に分配される。具体的には、ビード接合部は、これらの2つの接合部が張力下で働く補剛要素の2つの端部であるのでクラウン接合部と同じ引張力であるが、取り付け面に対して補剛要素のより大きな傾斜によって、ビードにおけるより大きな公称引き抜き力を伝送する必要がある。結果として、この公称力を十分に分配する必要がある。
【0029】
ビード接合部の好ましい実施形態によれば、ビード接合部は、ビードの補剛要素及び軸方向内面と少なくとも部分的に接触状態のエラストマー化合物で作られたクッションを含む。ビード接合部におけるエラストマークッションの存在は、局所接合部応力をより良好に分配することを可能にする。
【0030】
ビード接合部の好ましい実施形態の変形形態によれば、ビード接合部のエラストマー化合物で作られたクッションは、補強層と少なくとも部分的に接触状態にあり、その結果、クッションは、補剛要素、ビードの軸方向内面及び補強層によって境界付けられるようになる。外側に向かって半径方向にクッションを境界付ける補強層の存在は、補剛要素の中央平面の両側に2つの補強層要素を含む、補剛要素のより対称的な係止を有することを可能にする。この補強層はまた、エラストマークッションの変形及び従ってこのクッションのエネルギーの散逸を制限することを可能にし、これは転がり抵抗の低減に寄与する。
【0031】
補剛構造を構成する材料に関して、あらゆる補剛要素は、有利には、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド又はポリエステルなどのポリマー材料、又は鋼などの金属材料、又はガラス又は炭素タイプの材料、或いは上記材料の何れかの組合せを含む。ポリマー材料、詳細にはエラストマー材料、及び鋼などの金属材料は、タイヤの分野で一般的に用いられている。ガラス及び炭素は、タイヤでの使用が考えられる代替材料である。材料の第1の変形形態では、あらゆる補剛要素は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を有利に含む。PETは、張力下での耐破断性などのその機械的特性とそのコストとの間の良好な妥協案の理由から、タイヤの分野で一般的に用いられている。材料の第2の変形形態では、あらゆる補剛要素はまた、ナイロンのような脂肪族ポリアミドを有利に含む。ナイロンはまた、PETと同じ理由でタイヤの分野で一般的に用いられている。
【0032】
有利な実施形態では、補剛要素はシールされていない。従って、補剛要素は、膨張ガスが補剛要素の一方側から他方に通過することを可能にする。結果として、補剛要素は、タイヤの二次加圧キャビティを境界付けない。シールされていないことは、補剛要素がタイヤの膨張ガスに対してシールされておらず、及び従って、この膨張ガスに透過性であり、圧力が常にトロイダル型内部キャビティにおいて均一であるようになることを意味すると理解される。
【0033】
補剛要素の好ましい実施形態によれば、各補剛要素は、補剛要素がシールされないように、それぞれクラウン接合部及びビード接合部の少なくとも近傍でエラストマー化合物で被覆されるフィラメント状補強要素を含む。フィラメント状又は一次元補強要素は、これらが、二等分線に沿って引張力又は圧縮力のみを受ける可能性があることを意味する、フィラメント状タイプの機械的挙動を有する。通常、フィラメント状補剛要素は、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド又はポリエステルなどのポリマー材料で作られた紡糸繊維フィラメントの組立体で構成された繊維補強材か、又は一般的に鋼で作られる金属糸の組立体で構成された金属コードである。更に、フィラメント状補強要素は、クラウン接合部及びビード接合部の近傍以外は、少なくとも部分的に被覆されず、又は既に上で説明したように、孔を含むエラストマー化合物で被覆され、膨張ガスが補剛要素の一方側から他方側に通過することを可能にするようになる。換言すると、フィラメント状補強要素は、タイヤの分野で通常用いられる補強織物とは異なり、エラストマー化合物で完全に被覆されることはない。結果として、既に上で説明したように、補剛要素は、タイヤの2次加圧キャビティを境界付けない。
【0034】
補剛要素の好ましい実施形態の第1の変形形態によれば、各補剛要素は、互いに平行であり、円周方向で、少なくとも85°に等しく最大で95°に等しい角度C1を形成するフィラメント状補強要素の群から構成される。従って、この第1の変形形態では、補剛要素は、実質的に子午線面に位置決めされたフィラメント状補強要素の単一層を含み、子午線面は、軸方向及び半径方向によって定められる。
【0035】
補剛要素の好ましい実施形態の第2の変形形態によれば、各補剛要素は、互いに平行であり、円周方向で、少なくとも45°に等しく最大で75°に等しい角度C1を形成するフィラメント状補強要素の第1の群で構成され、この第1の群は、互いに平行であり、円周方向で、少なくとも45°に等しく最大で75°に等しい角度C2を形成するフィラメント状補強要素の第2の群に対して交差している。従って、この第2の変形形態では、補剛要素は、フィラメント状補強要素の2つの層を含み、これらは、1つの層から次の層に交差し、円周方向に対して著しく傾斜しているが、必ずしも同じ角度で傾斜していない。フィラメント状補強要素のこの著しい傾斜は、1mmに等しい円周方向変位中にタイヤによって発生する円周方向力Fxに対応する円周方向剛性Kxxの増大に寄与する。結果として、タイヤが長手方向制動又は加速応力荷重の間に地面と接触状態にある接地面の変形を制限することを可能にする。
【0036】
この第2の変形形態に関して、角度C1及びC2はまた、好ましくは、絶対値の観点から等しく、正反対である。この特定の場合では、フィラメント状補強要素は、円周方向に対して対称的に傾斜し、タイヤの両方の転がり方向で同一の円周方向補剛をもたらす。
【0037】
本発明は、以下で参照される図において例示されており、これらの図は、正確な縮尺ではなく、以下の文章で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるタイヤを通る子午線セクションの図である。
図2】クラウン接合部及びビード接合部にエラストマークッションを有する、本発明の好ましい実施形態によるタイヤを通る子午線セクションの図である。
図3】フィラメント状補強要素を含む補剛要素を有する、本発明の好ましい実施形態の斜視図である。
図4】クラウン接合部及びビード接合部の近傍においてエラストマー化合物で被覆されたフィラメント状補強要素を含む補剛要素の図である。
図5】孔を有するエラストマー化合物で被覆されたフィラメント状補強要素を含む補剛要素の図である。
図6】実質的に半径方向フィラメント状補強要素を含む補剛要素の図である。
図7】円周方向に対して傾斜し且つ一方の群から他方の群に交差している、フィラメント状補強要素の2つの群を含む補剛要素の図である。
図8】本発明によるタイヤと先行技術の基準タイヤとの間の半径方向剛性Kzzの比較図である。
図9】本発明によるタイヤと先行技術の基準タイヤとの間の横方向又は軸方向剛性Kyyの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明によるタイヤを通る子午線セクションを示す。タイヤ1は、公称リム5に装着され、公称圧力Pまで膨脹することが意図され、装着及び膨張状態で軸方向幅S及び半径方向高さHを有する。タイヤ1は、地面と接触することを意図した半径方向外側トレッド面21と、側壁3によって及びリム5と接触することを意図したビード4によって内側に向かって半径方向に各々が延びる2つの軸端22と、を有するクラウン2を備える。クラウン2、側壁3及びビード4は、トロイダル型内部キャビティ6を境界付ける。タイヤ1は、そのトレッド面21の中心を通過して回転軸YY’に垂直な赤道面XZを有する。本発明によれば、タイヤ1は、クラウン23の半径方向内面に接続されたクラウン接合部81から、ビード41の軸方向内面に接続されたビード接合部82までトロイダル型内部キャビティ6において連続的に延びる2つの補剛要素8を含む補剛構造7を備える。補剛構造7は、タイヤの全円周の周りに円周方向に分配される。補剛構造7を構成する2つの補剛要素8は、トロイダル型内部キャビティ6の内側では互いに接続されず、赤道面XZと交差することなくトロイダル型内部キャビティ6において連続的に延び、赤道面XZに対して対称である。補剛要素8のクラウン接合部81は、赤道面XZに対して、軸方向幅Sの最大で0.45倍に等しい軸方向距離Aに位置決めされる。補剛要素8のビード接合部82は、ビード41の軸方向内面の半径方向最内点Iに対して、半径方向高さHの少なくとも0.10倍に等しくて半径方向高さHの最大で0.5倍に等しい半径方向距離Bに位置決めされる。
【0040】
図2は、クラウン接合部及びビード接合部においてエラストマークッションを有する、本発明の好ましい実施形態によるタイヤを通る子午線セクションを示す。図1に対する追加の要素について、以下で説明する。クラウン接合部81は、軸方向幅Sの少なくとも0.1倍に等しい幅A1にわたって分配され、補剛要素8とクラウン23の半径内面との間に少なくとも部分的に位置決めされたエラストマー化合物で作られたクッション811を含む。ビード接合部82は、少なくとも幅A1に等しい幅B1わたって分配され、補剛要素8及びビード41の軸方向内面と少なくとも部分的に接触状態のエラストマー化合物で作られたクッション821を含む。最後に、ビード接合部82のエラストマー化合物で作られたクッション821は、補強層822と少なくとも部分的に接触状態にあり、クッション821が補剛要素8、ビード41の軸内面及び補強層822によって境界付けられるようになる。
【0041】
図3は、補剛要素がフィラメント状補強要素を含む、本発明の好ましい実施形態の斜視図を示す。補剛構造7は、クラウン23の半径方向内面に接続されたクラウン接合部81からビード41の軸方向内面に接続されたビード接合部82までトロイダル型内部キャビティにおいて連続的に延びるフィラメント状補強要素83を含む2つの補剛要素8で構成される。補剛要素8はシールされていない。この場合、フィラメント状補強要素83は、クラウン接合部81及びビード接合部82それぞれの少なくとも近傍において、補剛要素8がシールされないようにエラストマー化合物84で被覆される。
【0042】
図4は、クラウン接合部及びビード接合部の近傍において、エラストマー化合物で被覆されたフィラメント状補強要素を含む補剛要素を示す。補剛要素8は、補剛要素8がシールされないように、それぞれクラウン接合部81及びビード接合部82の近傍においてエラストマー化合物84で被覆されたフィラメント状補強要素83を含む。結果として、膨張ガスの圧力は、補剛要素8の両側で同一であり、従って、これは、主キャビティのものとは異なる圧力を有する2次キャビティを境界付けない。
【0043】
図5は、孔を有するエラストマー化合物で被覆されたフィラメント状補強要素を含む補剛要素を示す。補剛要素8は、補剛要素8がシールされないように、孔を含むエラストマー化合物84でクラウン接合部81とビード接合部82との間のこれらの全長に沿ってそれぞれ被覆されたフィラメント状補強要素83を含む。これは、シールされていない補剛要素の別の実施形態である。
【0044】
図6は、実質的に半径方向フィラメント状補強要素の群を含む補剛要素を示す。補剛要素8は、互いに平行であり且つ円周方向XX’で少なくとも85°に等しく最大で95°に等しい角度C1を形成するフィラメント状補強要素83の群で構成される。フィラメント状補強要素83は、補剛要素8がシールされないように、エラストマー化合物84でそれぞれクラウン接合部81及びビード接合部82の近傍において全て被覆される。
【0045】
図7は、円周方向に対して傾斜して一方の群から他方に交差するフィラメント状補強要素の2つの群を含む補剛要素を示す。補剛要素8は、互いに平行であり円周方向XX’で少なくとも45°に等しくて最大で75°に等しい角度C1を形成するフィラメント状補強要素83の第1の群で構成され、この第1の群は、互いに平行であり円周方向XX’で少なくとも45°に等しくて最大で75°に等しい角度C2を形成するフィラメント状補強要素83の第2の群に対して交差している。図示の場合には、角度C1及びC2は、絶対値の観点から等しく、正反対であり、すなわち、円周方向XX’に対して対称である。フィラメント状補強要素83は、補剛要素8がシールされないように、それぞれクラウン接合部81及びビードインターフェース82の近傍においてエラストマー化合物84で全て被覆される。
【0046】
図8は、本発明によるタイヤと先行技術の基準タイヤとの間の半径方向剛性Kzzの比較を示すグラフである。所与の膨張圧P及び所与の半径方向歪みfに対して、本発明によるタイヤによって発生する半径方向の力Zは、基準タイヤによって発生するものよりも高い。タイヤの半径方向歪みfの関数として半径方向力Z、すなわち、タイヤのクラウンの半径方向変位の曲線の勾配は、タイヤの半径方向剛性Kzzを表す。従って、本発明によるタイヤの半径方向剛性Kzzは、基準タイヤのものよりも高い。
【0047】
図9は、本発明によるタイヤと先行技術の基準タイヤとの間の横方向又は軸方向剛性Kyyの比較を示すグラフである。所与の膨張圧P、所与の半径方向歪みf及び所与の横方向オフセットdに対して、本発明によるタイヤによって発生する横方向力Yは、基準タイヤによって発生するものよりも高い。タイヤの横方向オフセットdの関数として横方向力Y、すなわち、その横方向変位の曲線の実質的に直線部分の勾配は、タイヤの横方向剛性Kyyを表す。横方向力Yの曲線の実質的に直線部分は、図示の場合には、最大で約20mmに等しい横方向オフセットに対応する。従って、本発明によるタイヤの横方向剛性Kyyは、基準タイヤのものよりも高い。横方向オフセットの20mmを超えると、横方向力Yは、地面にわたるタイヤのトレッド面の滑りのためにプラトーに達する。本発明の場合に、横方向力Yのこの安定化は、横方向力Yの下で接地面において圧力のより均一な分布を維持することを可能にするより高い横方向剛性Kyyのために、25mmを超えるより高いレベルで起こる。
【0048】
本発明は、サイズ255/35R19の乗用車用タイヤの場合についてより詳細に研究された。基準タイヤRは、図2に従ってクラウン接合部及びビード接合部を有し、図4に従って、互いに平行であり、円周方向で、実質的に90°に等しい角度C1を形成するコードタイプのフィラメント状補強要素の群で構成された2つの補剛要素を含む、本発明によるタイヤI1の第1の実施例と比較された。基準タイヤRはまた、図2に従ってクラウン接合部及びビード接合部を有し、互いに平行であり、円周方向で、60°に等しい角度C1を形成するコードタイプのフィラメント状補強要素の第1の群で構成されたに2つの補剛要素を含む本発明によるタイヤI2の第2の実施例と比較され、この第1の群は、図7に従って絶対値の観点から等しく、正反対であり、円周方向で角度C1に等しい角度C2を形成するコードタイプのフィラメント状補強要素の第2の群に対して交差している。
【0049】
基準タイヤR、本発明によるタイヤI1及び本発明によるタイヤI2は、それぞれ、公称9J19リムに装着され、2.5バールの公称圧力Pまで膨脹される。装着及び膨張状態でのこれらの軸方向幅S及びこれらの半径高さHは、それぞれ255mm及びび89mmに等しい。
【0050】
第1の実施例I1は、図2に示すように、タイヤの赤道面に対して対称的である2つの補剛要素を有する補剛構造によって特徴付けられる。各補剛要素は、0.8mm2に等しい断面積を有するコードタイプのフィフィラメント状補強要素の並置で構成され、互いに平行で1.25mmに等しい間隔で分配される。補剛要素の構成材料は、エラストマー化合物でクラウン接合部及びビードインターフェーの近傍において被覆されたポリエステル(又はPET)で作られた繊維補強材で構成される織物である。繊維補強材は、タイヤの実質的に子午線面に位置決めされる。クラウン接合部及びビード接合部は、それぞれタイヤの軸方向幅Sの0.1~0.15倍の軸方向幅A1、及びタイヤの半径方向高さHの0.25~0.3倍のB1にわたって分配される。更に、これらは、それぞれ補剛要素と取り付け壁との間に位置決めされたエラストマークッションを含む。更に、クラウン接合部及びビード接合部は、高温加硫によって生成される。
【0051】
第2の実施例12は、2つの補剛要素の構成の第1の実施例I1と異なり、これらは、互いに対して交差するコードタイプのフィラメント状補強要素の2つの群で各々構成され、円周方向で、絶対値及び反対の観点から60°に等しい2つの角度C1及びC2を形成する。
【0052】
下の表1は、それぞれタイヤI1の第1の実施例と基準タイヤRとの間、及びタイヤI2の第2の実施例と基準タイヤとの間で得られた性能の差を要約している。

表1
【0053】
表1の結果は、転がり抵抗と本発明に対するハンドリングとの間の性能の改善された妥協案を示す。この妥協案は可変である点に留意されたい。具体的には、タイヤの膨張中の補剛要素に加えられるプレストレスは、変化する可能性があり、プレストレスのレベルに応じて剛性、詳細には横方向剛性Kyyの変動をもたらす。
【符号の説明】
【0054】
1 タイヤ
2、23 クラウン
3 側壁
4、41 ビード
5 リム
6 トロイダル型内部キャビティ
8 補剛要素
21 トレッド面
22 軸端
81 クラウン接合部
82 ビード接合部
A 軸方向距離
H 高さ
XX’ 円周方向
Y 横方向力
Y’ 軸方向
Z 荷重
Z’ 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9