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  • 特許-バッテリーセルに好適な難燃性絶縁体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】バッテリーセルに好適な難燃性絶縁体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20240109BHJP
   B32B 29/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B32B5/26
B32B29/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021546710
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 US2020017431
(87)【国際公開番号】W WO2020163847
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】62/802,916
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520028531
【氏名又は名称】デュポン セイフティー アンド コンストラクション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】カン ビョン サム
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-132614(JP,A)
【文献】特表2019-514746(JP,A)
【文献】特表2018-519195(JP,A)
【文献】特表2017-527947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0321883(US,A1)
【文献】特表2014-529842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0197520(US,A1)
【文献】中国実用新案第207199806(CN,U)
【文献】特表2014-506199(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010060382(DE,A1)
【文献】特表2003-520310(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103304255(CN,A)
【文献】国際公開第2017/047103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル間バッテリー絶縁体として有用な積層体であって、前記積層体は、絶縁領域及び周縁部封止領域を有し、
前記絶縁領域は、順に、
1)アラミド材料とマイカとを含む第1の外側紙層と、
2)無機短繊維のフェルト又は紙を含む内側層と、
3)アラミド材料とマイカとを含む第2の外側紙層と、
を含み、
前記周縁部封止領域は前記内側層がなく、前記第1の外側紙層と前記第2の外側紙層とを互いに接着することによって形成され、
前記周縁部封止領域は、前記絶縁領域の縁部の周囲に延びる、
積層体。
【請求項2】
前記第1の外側紙層又は前記第2の外側紙層は、50~70重量パーセントの均一に分散したマイカと30~50重量パーセントのアラミド材料とを含み、前記アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記内側層の無機短繊維の前記フェルト又は紙は、アルカリアースシリケートウールである、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記絶縁領域全体の周囲に延びる前記周縁部封止領域は、2~15mmの幅を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記絶縁領域全体の周囲に延びる前記周縁部封止領域は、2~10mmの幅を有する、請求項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野。本発明は、バッテリー用の難燃性セル間絶縁体として有用な積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明。電気自動車におけるリチウムイオンバッテリー及び他のバッテリーの使用の成長は、過熱及び発火を含む、バッテリーの著しい故障の増加を伴ってきた。特に、バッテリーセルを分離して、1つのセルの過熱及びホットスポットが原因でバッテリーパック全体が熱暴走状態へと発展して発火又は爆発に至る可能性を防止するために、難燃性絶縁体が必要とされている。したがって、火炎中で熱的且つ寸法的に十分に安定な絶縁体が望ましい。
【0003】
更に、このような絶縁体用に提案される材料のいくつかは、バッテリーの製造者にとって望ましくない特性を有する。無機繊維を用いて作製される絶縁材料のいくつかは無機粒子を脱落させる傾向が高く、これらが塵及び接着の課題を生じさせるという点で望ましくない。フィルム又はポリマーコーティングを用いて作製される絶縁材料のいくつかは滑らかすぎて、絶縁体をバッテリーセル内に取り付ける及び/又は配置するために使用されることのある両面接着テープを受け入れない。
【0004】
熱絶縁を提供することができるのみならず、火炎に直接曝されたときに著しく収縮せず、且つバッテリーの製造者にとって望ましくない脱落などの特性を有しない構造体が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、セル間バッテリー絶縁体として有用な積層体であって、積層体は、絶縁領域及び周縁部封止領域を有し、絶縁領域は、順に、アラミド材料とマイカとを含む第1の外側紙層と、無機短繊維のフェルト又は紙を含む内側層と、アラミド材料とマイカとを含む第2の外側紙層と、を含み、周縁部封止領域は内側層がなく、第1の外側紙層と第2の外側紙層とを互いに接着することによって形成され、周縁部封止領域は、絶縁領域の周縁部の周囲に延びる、積層体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一定の縮尺で描かれていない、絶縁領域及び周縁部封止領域を有する1つのタイプの積層体を示す。
図2】一定の縮尺で描かれていない、絶縁領域及び周縁部封止領域の一部分とこれら領域内の個々の層とを示す、図1の積層体の断面A-A’を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、セル間バッテリー絶縁体として有用な積層体であって、積層体は、絶縁領域及び周縁部封止領域を有し、
絶縁領域は、順に、
1)アラミド材料とマイカとを含む第1の外側紙層と、
2)無機短繊維のフェルト又は紙を含む内側層と、
3)アラミド材料とマイカとを含む第2の外側紙層と、
を含み、
周縁部封止領域は内側層がなく、第1の外側紙層と第2の外側紙層とを互いに接着することによって形成され、
周縁部封止領域は、絶縁領域の周縁部の周囲に延びる、
積層体に関する。
【0008】
マルチセルバッテリー構造体は、並列又は直列のいずれかで配置されたバッテリーセルを有し、一般に、バッテリーブロック及びバッテリーパックとして知られている。これらマルチセルバッテリー構造体では、1つのセルにおける欠陥又は故障などの異常熱事象による熱エネルギーが、隣接するセルに伝播する可能性がある。熱事象が十分に深刻な場合、これらはセルからセルに伝播し、暴走熱状態を引き起こす可能性があり、バッテリーブロック又はパック内の全てのセルに連鎖する可能性がある。その結果、発火又は更に悪い事態につながることになる。
【0009】
「セル間絶縁体」とは、マルチセルバッテリー構造体内の個々のバッテリーセル間に挿入される、熱絶縁を提供する材料を意味する。即ち、これらは、各バッテリーセルを熱的に分離し、また、バッテリーセルに熱の「ホットスポット」が発生した場合又は爆発に至る可能性のある熱暴走などの異常熱事象を有する場合に、熱エネルギーの伝達を遅らせようとするものである。
【0010】
図1は、積層体の平面内に、周縁部封止領域3まで延びる中央絶縁領域2を有し、同様に、周縁部封止領域3が中央絶縁領域全体の周囲に延びる積層体1の1つの様式を示す。絶縁領域は、積層体の絶縁体の塊を提供する一方で、周縁部封止領域は、絶縁領域の周縁部の周囲に延び、絶縁領域の縁部を効果的に封止して、内側層の材料を積層体の内部に封入する。また、図1に示される1つの任意の特徴は、絶縁領域の表面に取り付けられた2片の両面テープ4の考えられる配置の1つである。テープ片は、バッテリーセルに積層体を接着するために又はバッテリーブロック若しくはパック内で積層体を配置するために使用され得る。
【0011】
絶縁領域は、順に、アラミド材料とマイカとを含む第1の外側紙層と、無機短繊維のフェルト又は紙を含む内側層と、アラミド材料とマイカとを含む第2の外側紙層とを含む。いくつかの実施形態では、内側層の1つの面は、第1の外側紙層の面に直接結合され、内側層の反対側の面は、第2の外側紙層の面に直接結合されている。この実施形態は、図1の断面A-A’の詳細である図2に示されている。内側層11は、第1の外側層10と第2の外側層10との間に挟まれ、絶縁領域を形成している。また、図2に示されるように、括弧15によって示される周縁部封止領域において、第1の外側層10及び第2の外側層10は、内側層の外縁部又は周縁部を越えて延び、互いに接着されている。いくつかの好ましい実施形態では、第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、適切な接着剤の使用により内側層に結合されて絶縁領域を形成しており、第1の外側紙層と第2の外側紙層はまた、適切な接着剤、好ましくは同じ接着剤によって互いに接着されている。図2に示されるように、周縁部封止領域は幅寸法16を有する。周縁部封止領域は、絶縁領域の周縁部の周囲に連続しており、好ましくは、幅周縁部封止領域は、絶縁領域の周縁部全体の周囲において維持されている。即ち、周縁部封止領域は、全ての辺で等幅を有する。周縁部封止領域には内側層がない。即ち、周縁部封止領域には内側層が存在しない。
【0012】
これにより、内側層のいかなる部分も積層体の外側縁部に存在しない、内側層が積層体内に完全に封止された構造体を作製する。これにより、積層体がバッテリーブロック又はパックに組み付けられる間に、内側層のあらゆる材料が積層体の外側縁部から剥離することを防止する。無機粒子のこのような剥離により、表面上に堆積する可能性があり得る塵粒子の形態の組立問題が生じ、管理維持の課題、皮膚の炎症、及びその他の問題を引き起こす。特に、積層体の表面上に堆積した塵は、積層体に材料を付着させることを困難にする。このような材料としては、多くの製造者によって使用されており、図1に示される両面位置決めテープ4が挙げられる。
【0013】
周縁部封止領域は、積層体の内側層の材料を適切に封入して内側層内の無機物の脱落を阻止するように十分に広くすべきである。図2に示されるように、積層体の外縁部から内側層の縁部までの幅寸法16もまた、積層体が、周縁部のシールの破壊なく、バッテリーブロック又はパックの製造中及びその後の使用中の取り扱いに耐えることに適したものであるべきである。いくつかの実施形態では、絶縁領域全体の周囲に延びる周縁部封止領域は、2~15mmの幅を有する。いくつかの実施形態では、絶縁領域全体の周囲に延びる周縁部封止領域は、2~10mmの幅を有する。
【0014】
第1の外側紙層は、アラミド材料とマイカとを含み、アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である。いくつかの実施形態では、第1の外側紙の層は、層中のマイカ及びアラミド材料の総量に基づいて、50~70重量パーセントの均一に分散したマイカと30~50重量パーセントのアラミド材料とを含む。いくつかの実施形態では、第1の外側紙の層は、層中のマイカ及びアラミド材料の総量に基づいて、50~60重量パーセントの均一に分散したマイカと40~50重量パーセントのアラミド材料とを含む。
【0015】
同様に、第2の外側紙層は、アラミド材料とマイカとを含み、アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である。いくつかの実施形態では、第2の外側紙の層は、層中のマイカ及びアラミド材料の総量に基づいて、50~70重量パーセントの均一に分散したマイカと30~50重量パーセントのアラミド材料とを含む。いくつかの実施形態では、第2の外側紙の層は、層中のマイカ及びアラミド材料の総量に基づいて、50~60重量パーセントの均一に分散したマイカと40~50重量パーセントのアラミド材料とを含む。
【0016】
積層体において、第1の外側紙層と第2の外側紙層は、同じ組成のアラミド材料及びマイカを有することができる、又は本明細書に提供される範囲間で異なることができる。いくつかの好ましい実施形態では、積層体の第1の外側紙層と第2の外側紙層の両方に対して同じ紙が使用される。
【0017】
火炎下での第1の外側紙の層及び第2の外側紙の層の最小限の亀裂形成、収縮、及び膨張によって示されるように、火炎条件下で層がこれらの層の最低限の寸法安定性を提供するためには、第1の外側紙の層及び第2の外側紙の層の両方に少なくとも約50重量パーセントのマイカが必要であると考えられる。また、外側層紙においては、発火阻止及び寸法安定性の観点から、70重量パーセントを超えるマイカの量が有用であるが、外側紙中のマイカの量が70重量パーセントを超えて増加するにつれて、外側紙層がマイカを脱落させる傾向が高くなるため、一部の用途では70重量パーセントを超えるマイカの量は望ましくないと考えられる。
【0018】
均一に分散したマイカとは、マイカが紙の層の厚さ全体にわたって均質に分散される得ること、又はマイカが、層の面のうちの1つにより近い、紙内の集中平面ゾーンの全体にわたって均一に面積的に分散され得ることを意味する。この定義には、最終積層構造体の望ましい性能をもたらすほど十分にマイカが分散されることが言外に含まれる。
【0019】
マイカは、白雲母又は金雲母又はこれらのブレンドを含み得、焼成マイカであっても未焼成マイカであってもよい。本明細書中で用いられるとき、「焼成マイカ」は、天然マイカを高温(通常、800℃超、場合により950℃超)に加熱することにより得られるマイカを意味する。この処理は、水及び不純物を除去し、マイカの耐温度性を向上させる。焼成マイカは、通常、薄片状粒子の形態で使用され、白雲母系のマイカが好ましい。本明細書中で用いられるとき、「未焼成マイカ」は、好ましくは均質化及び精製して欠陥及び不純物を除去した本質的に純粋な天然形態のマイカを意味する。未焼成マイカは、天然マイカフレークのサイズがより大きいがゆえに、非常に多孔質のマイカ層を形成し得る。焼成マイカの誘電特性及び耐コロナ性が未焼成マイカに比べて向上しているがゆえに、第1の外側紙層での使用に好ましいマイカは焼成マイカである。
【0020】
第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、0.02~0.25mmの好ましい厚さ及び1平方メートル当たり30~300グラムの坪量を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、0.03~0.1mmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、1平方メートル当たり50~120グラムの坪量を有することができる。いくつかの最も好ましい実施形態では、第1の外側紙層と第2の外側紙層は、同じ厚さと坪量を有する。
【0021】
内側層は、無機短繊維のフェルト又は紙を含む。「無機短繊維のフェルト又は紙」という文言は、スクリーン上に置き、その後、圧力を加えてマット材料をフェルト又は紙へと固めるなどの適切な方法により、無機短繊維のマット材料を形成することによって作製された、固めた材料を含むことを意図している。いくつかの実施形態では、内側層に使用される無機短繊維のフェルト又は紙は、有機又は無機のバインダを更に含み、有用な有機バインダの1つはアクリル系バインダである。
【0022】
いくつかの実施形態では、無機短繊維は、アルミナ繊維などの多結晶繊維並びに/又は珪灰石及びチタン酸カリウム繊維などの単結晶繊維を含むことができる。多結晶繊維は、その小結晶のために優れた耐熱性を有する。単結晶繊維は、ひげ状の微細繊維が作製され得るため、強度が極めて高い。
【0023】
いくつかの実施形態では、内側層の無機短繊維のフェルト又は紙は、アルカリアースシリケートウール及びアルミノシリケートウールを含む。これらウールは、無機材料の混合物を有する短い無機繊維である。無機材料は、シリカ、カルシア、マグネシア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、微量の他の酸化物のうちの2つ以上の混合物を含むことができる。本発明で使用する場合、アルカリアースシリケートウールは、カルシウムシリケートウール、カルシウムマグネシウムシリケートウール、及びカルシウムマグネシウムジルコニウムシリケートウールなどを含むことを意図している。アルミノシリケートウールは、カオリン繊維から作製されたウールを含むことを意図している。内側層に有用である、特に有用な無機短繊維のフェルト又は紙の1つのタイプは、Morgan Advanced MaterialsによりSuperwool(登録商標)及びK-Shield(登録商標)の名称で販売されているものである。特に有用なのは、バインダを有して作製されたSuperwool(登録商標)紙及びバインダなしで作製されたKaowool(登録商標)(カオリン)繊維から作製されたK-Shield(登録商標)BF紙である。
【0024】
内側層において、無機短繊維のフェルト又は紙は、0.3~5mmの好ましい厚さ及び本明細書に提供される試験方法に従って測定された1平方メートル当たり36~400グラムの坪量を有することができる。いくつかの実施形態では、無機短繊維のフェルト又は紙は、0.5~2mmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、無機短繊維のフェルト又は紙は、1平方メートル当たり50~150グラムの坪量を有することができる。いくつかの最も好ましい実施形態では、内側層は、無機短繊維のフェルト又は紙の単層である。
【0025】
絶縁領域と積層体の周縁部封止領域は異なる厚さを有し、絶縁領域は、内側層が存在することでより厚く、周縁部封止領域は、内側層が存在しないことでより薄い。いくつかの実施形態では、積層体の絶縁領域は、約0.35mm~5.5mmの厚さを有する。いくつかの好ましい実施形態では、積層体の絶縁領域は、約0.85~4mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、積層体の周縁部封止領域は、約0.04~0.60mmの厚さを有する。いくつかの好ましい実施形態では、積層体の周縁部封止領域は、約0.06~0.25mmの厚さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、積層体は、1平方メートル当たり約100~400グラムの総坪量を有する。絶縁領域と積層体の周縁部封止領域とが分離された場合、絶縁領域がこの坪量の大部分を占め、それだけで1平方メートル当たり約90~398グラムの坪量を有することが分かるであろう。同様に、狭い周縁部のシールはそれだけで1平方メートル当たりわずか約2~10グラムの坪量を有するであろう。
【0027】
「無機短繊維」という用語は、例えば米国特許第4,238,213号明細書及び米国特許第5,714,421号明細書に開示されているような、無機材料の溶融及びその溶融物の繊維への繊維化を含む技法で作製された繊維を含むことを意図している。概して、これら技法では、約0.5~20センチメートルの範囲の長さ及び約0.05~10マイクロメートルの範囲の直径を有するサイズ分布を有し、平均繊維直径は1.5~3.5マイクロメートルの範囲内である繊維を形成する。
【0028】
更に、このような繊維の製造には、通常、ある程度の量の「ショット」を含む。「ショット」は、繊維のスピニングプロセスで繊維にならなかった略球状の無機材料片である。したがって、本明細書中で用いられるとき、「無機短繊維」という用語には、繊維質材料とショットの両方が含まれると理解される。ショットは、材料シートから繊維と共に脱落し得るため、このショットは、バッテリー絶縁体での使用などのいくつかの用途では欠陥と考えられる場合がある。したがって、無機短繊維中のショットの量が少ないことが一般に望ましい。40重量パーセント以下のショットを含有する無機短繊維が好ましく、最も特に好ましいのは、30重量パーセント以下のショットを含有する無機繊維である。
【0029】
本発明で使用されるとき、アラミドフロックという用語は、短い長さを有し、ウェットレイドシート及び/又は紙の調製で一般的に使用されているアラミド繊維を意味する。典型的には、アラミドフロックは、約3~約20ミリメートルの長さを有する。アラミドフロックの好ましい長さは、約3~約7ミリメートルである。アラミドフロックは、通常、当該技術分野において周知の方法を使用して連続繊維を必要な長さに切断することにより作製される。
【0030】
本発明で使用されるとき、アラミドという用語は、アミド(-CONH-)結合の少なくとも85%が2個の芳香環に直接結合した芳香族ポリアミドを意味する。添加剤がアラミドと共に使用され得、ポリマー構造全体にわたり分散されていてもよい。最大で約10重量パーセントもの他の支持材料をアラミドとブレンドできることが見出された。アラミドのジアミンを置換する約10パーセントもの他のジアミン、又はアラミドの二酸塩化物を置換する約10パーセントもの他の二酸塩化物を有するコポリマーを使用できることも見出された。
【0031】
好ましいアラミドは、メタ-アラミドである。アラミドポリマーは、2個の環又はラジカルが分子鎖に沿って互いに対してメタ位に方向付けられるときにメタ-アラミドであると考えられる。好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)である。米国特許第3,063,966号明細書、米国特許第3,227,793号明細書、米国特許第3,287,324号明細書、米国特許第3,414,645号明細書、及び米国特許第5,667,743号明細書は、アラミドフロックを製造するために使用され得るアラミド繊維を製造するための有用な方法を説明している。
【0032】
或いは、アラミドフロックは、パラ-アラミド又はアラミドコポリマーであり得る。アラミドポリマーは、2個の環又はラジカルが分子鎖に沿って互いに対してパラ位に方向付けられるときにパラ-アラミドであると考えられる。パラ-アラミド繊維を製造するための方法は、一般に、例えば、米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、及び米国特許第3,767,756号明細書に開示されている。1つの好ましいパラ-アラミドは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)であり、1つの好ましいパラ-アラミドコポリマーは、コポリ(p-フェニレン/3,4’ジフェニルエステルテレフタルアミド)である。好ましいアラミドフロックは、メタ-アラミドフロックであり、特に好ましいのは、メタ-アラミドポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)から製造されるフロックである。
【0033】
本明細書で使用されるとき、フィブリドという用語は、それらの3つの寸法の少なくとも1つが最大の寸法に比べて規模が小さい非常に小さい非粒状、繊維質又はフィルム状の粒子を意味する。これらの粒子は、例えば、米国特許第2,988,782号明細書及び米国特許第2,999,788号明細書に開示されるように、高い剪断下で非溶媒を用いて支持材料の溶液を沈殿させることによって調製される。アラミドフィブリドは、320℃を超える融点又は分解点を有する芳香族ポリアミドの非粒状フィルム状粒子である。好ましいアラミドフィブリドは、メタ-アラミドフィブリドであり、特に好ましいのは、メタ-アラミドポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)から製造されるフィブリドである。
【0034】
フィブリドは、一般に、約5:1~約10:1の長さ対幅のアスペクト比で、約0.1mm~約1mmの範囲内の最大寸法長さを有する。厚さ寸法は、数分の1ミクロン、例えば約0.1ミクロン~約1.0ミクロンのオーダーである。必須ではないが、アラミドフィブリドが未乾燥状態である間にフィブリドを層中に混入することが好ましい。
【0035】
第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態であるアラミド材料を含む。アラミドにフロックとフィブリドの混合物が使用される場合、フロックの、フィブリドに対する好ましい計算重量比は、0.5~4.0及びより好ましくは0.8~2.0の範囲である。
【0036】
第1の外側紙層及び第2の外側紙層において使用される層という用語は、好ましくは、特定の組成の薄い平面材料を指す。層という用語は、互いに付着させた複数の薄い平面ウェブから作製された紙も指し、全ての平面ウェブは同じ組成を有する。面という用語は、第1の外側紙の層と第2の外側紙の層両方の2つの主面のうちのいずれか、又は内側層の2つの主面のうちのいずれか(即ち、紙の層又は内側層の一方の面又は他方の面)を指す。
【0037】
第1の外側紙層及び第2の外側紙層は、連続的又は不連続的な接着剤層を用いて絶縁領域内の内側層に直接結合され得る一方で、第1の外側紙層と第2の外側紙層は、連続的な接着剤層を優先的に用いることにより周縁部封止領域内で互いに直接結合され得る。積層体を作製する1つの手法において、層のそれぞれは別々に作製され、その後、それらの間に提供された接着剤の層と組み合わされ、層は、順に、第1の外側紙層、内側層、次いで第2の外側紙層である。第1の外側紙層及び第2の外側紙層のそれぞれは、所望の量及び比率のマイカ及び支持材料の水性分散体をヘッドボックスに提供し、その後、ウェブを組成物として製紙ワイヤ上にウェットレイすることによって製紙機械で別々に作製することができる。その後、湿潤したウェブを乾燥機のドラム上で乾燥させて紙を形成することができる。好ましくは、その後、紙を加圧及び加熱下でホットロールカレンダーのニップにおいて又は他の手段によって更にカレンダー処理して、紙を、所望の厚さを有する紙の層に固めて高密度化する。必要に応じて、同じ組成の2つ以上のより軽い坪量の又はより薄い湿潤ウェブ又は紙を別々に作製し、その後、一緒にカレンダー処理して単一の紙の層に固め、第1の外側紙層及び第2の外側紙層のそれぞれを形成することができる。好ましい実施形態において、第1の外側紙層及び第2の外側紙層のそれぞれは、積層構造体中の内側層と組み合わされる前に、別々にカレンダー処理される。
【0038】
好ましい一実施形態では、紙の層それぞれの面を支持層の面に均質且つ連続的に結合するために、液体接着剤が層の少なくとも1つの面に比較的均一に適用される。接着剤は、層の一方の面への接着剤の均一な適用をもたらす任意の方法を使用して、紙の層又は内側層のいずれかに適用され得る。このような方法としては、ロールコーティング又はブレードコーティング又はスプレーコーティングを伴うものが挙げられる。好ましくは、接着剤は、均一な厚さに適用され、接着剤は、積層構造体において連続している。
【0039】
積層体を作製する方法の1つは、第1の外側紙層及び第2の外側紙層を所望のサイズ寸法(長さ及び幅、半径など)及び形状(矩形、円形など)に、好ましくは同じサイズ及び形状に切断することである。その後、内側層が、その所望のサイズ及び形状に切断される。一般に、これは同じ形状であるが、積層体が形成されたときに絶縁領域(内側層を収容する領域)の周縁部全体の周囲に延びる周縁部封止領域が形成され得るように、より小さなサイズ寸法を有する。その後、層と接着剤は、層を互いに押し付けて又は固めて、積層体の縁部に内側層が露出していない所望の構造体を形成することができる任意の方法を使用し、接着剤が層間に配置された状態で、好ましくは互いに押し付けられ、積層体を形成する。実用的な観点から、これは、絶縁領域の周縁部全体の周囲に延びる周縁部封止領域を形成するためのボスを有するプレス機内で又はモールド内などで好ましくは行われる。考えられる限りでは、層の適切な位置決めと共に、プレス方法は、一連のエンボス加工されたカレンダーロールのニップ内に層を(層間に接着剤がある状態で)ニッピングすることを含み得る。これにより、所望の厚さを有する積層構造体へと層を固め、層を互いに完全に且つ直接的に結合する。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態では、最終積層体は、3層と、層間に配置された接着剤とからなる絶縁領域を有し、内側層は、第1表面と第2表面とを有し、第1表面は、接着剤によって第1の外側層に接着されており、第2表面は、接着剤によって第2の外側層に接着されている。最終積層体は更に、接着剤によって互いに接着された第1の外側層と第2の外側層とからなる周縁部のシールを有する。
【0041】
試験方法
以下に提供する実施例では、以下の試験方法を使用した。
【0042】
厚さは、5N/cm2の重量を使用して、TAPPI411に従って測定し、mmで記録した。指示のない限り、表中に記録されている厚さは絶縁領域の厚さである。
【0043】
坪量は、ASTM D 645及びASTM D 645-M-96に従って測定し、g/m2で記録した。指示のない限り、表中に記録されている坪量は、積層体の坪量である。
【0044】
引張り強度は、幅2.54cmの試験片及び18cmのゲージ長を用いてASTM D 828-93に従って測定し、N/cmで記録した。指示のない限り、表中に記録されている引張り強度は、絶縁領域の引張り強度である。
【0045】
絶縁耐力は、ASTM D149-97Aに従って測定し、kV/cmで記録した。指示のない限り、表中に記録されている絶縁耐力は、絶縁領域の絶縁耐力である。
【0046】
熱伝導率は、ASTM E 1530に従って測定し、W/m-Kで記録した。指示のない限り、表中に記録されている熱伝導率は、絶縁領域の熱伝導率である。
【0047】
熱性能保護試験(TPP)は、材料の布地及びシートの可燃性性能の尺度であり、放射熱と対流熱との組み合わせに曝される現実的な条件を提供する。試料は、発火の典型的な状況、即ち、84kW/m2(2cal/cm2/秒)の一定の熱流束の、放射熱50%と対流熱50%との一定の組み合わせ、に曝される。次いで、この試験では、材料が着用されていた場合に、布地の裏側に伝達される温度及びエネルギーが2度の火傷に相当するレベルに達するまでの経過時間と、表面積当たりの熱エネルギー量(TPP値)とを測定する。使用したTPP試験方法は、80kW/m2の熱流束曝露を伴う試験方法の基準(ISO17492)としてISOにより採用されている試験方法である。しかしながら、US NFPA 1971規格では、ISO17492試験を、84kW/m2の熱流束曝露に変更し、増加して実施することが求められ、本明細書ではこのより高い熱流束を使用した。TPP試験の本質は、熱流束を主に絶縁領域に誘導することである。したがって、測定される可燃性性能は、主に絶縁領域のものである。
【実施例
【0048】
実施例1
E.I.du Pont de Nemours and Co.、Wilmington、Delaware(DuPont)から入手可能なNomex(登録商標)Type 818(T818)紙の第1の外側層及び第2の外側層と、Morgan Advanced Materials、Augusta、Georgiaから入手可能なSuperwool(登録商標)Plus 332-E紙の内側層とを有する積層体を作製した。Nomex(登録商標)T818紙は、約50重量パーセントのマイカ及び50重量パーセントのアラミド材料を含有するアラミド紙であり、アラミド材料は、約25パーセントがフロック、75パーセントがフィブリドである。Nomex(登録商標)T818紙は、3ミル(0.076mm)の厚さを有する、固められた(カレンダー処理された)紙である。Superwool(登録商標)Plus 332-E紙は、アルカリアースシリケートウール及びアクリル系バインダから作製され、約40ミル(1.0mm)の測定厚さを有していた。
【0049】
3ミルのNomex(登録商標)T818紙を2つの同一矩形片に切断した。Superwool(登録商標)Plus紙も矩形片に切断したが、Superwool(登録商標)Plus矩形紙の長さ寸法及び幅寸法の両方は、Nomex(登録商標)T818矩形紙よりも20mm短かった。その後、Superwool(登録商標)Plus矩形紙を2つのNomex(登録商標)T818矩形紙の間に挟み、スプレー式の難燃性アクリル接着剤を使用して積層させ、層を互いに接着した。Superwool(登録商標)Plus矩形紙がNomex(登録商標)T818矩形紙の中央に置かれるように注意を払った。その小さい方の寸法は、積層体の周囲に延びる10mmの領域を残し、ここで、2つのNomex(登録商標)T818矩形紙は互いに付着していた。換言すると、周縁部封止領域の幅は、矩形積層体の4辺全てで10mmであった。得られた積層体は、Nomex(登録商標)T818紙/Superwool(登録商標)Plus/Nomex(登録商標)T818紙の絶縁領域と、Nomex(登録商標)T818紙/Nomex(登録商標)T818紙の周縁部封止領域とを有していた。得られた積層体は、脱落可能性が限定された封止構造体をもたらした。
【0050】
積層体に熱性能保護試験(TPP)を施すと、その火炎下での寸法安定性は、顕著な亀裂形成、収縮又は膨張のない、許容できるものであることが判明した。これは、積層体が良好な火炎遮断をもたらし、熱的事象において、積層体の向上した脱落性能が継続するはずであることを示す。組成の詳細は表1にまとめられており、物理的特性及び熱的特性(試験方法に記載されているような)は表2に示される。
【0051】
実施例2
3ミルのカレンダー処理Nomex(登録商標)T818紙を、7ミル(0.178mm)のNomex(登録商標)Type 819(T819)紙と入れ替えたこと以外は、実施例1を繰り返した。Nomex(登録商標)Type819(T819)紙もまた、E.I.du Pont de Nemours and Co.、Wilmington、Delaware(DuPont)から入手可能である。Nomex(登録商標)T819紙はNomex(登録商標)T818紙と同じ組成を有するが、固められておらず(カレンダー処理されておらず)、したがって、より低密度である。得られた積層体は、脱落可能性が限定された封止構造体をもたらした。
【0052】
積層体に熱性能保護試験(TPP)を施すと、その火炎下での寸法安定性は、顕著な亀裂形成、収縮又は膨張のない、許容できるものであることが判明した。これは、積層体が良好な火炎遮断をもたらし、熱的事象において、積層体の向上した脱落性能が継続するはずであることを示す。組成の詳細は表1にまとめられており、物理的特性及び熱的特性(試験方法に記載されているような)は表2に示される。
【0053】
実施例3
Superwool(登録商標)Plus 332-E紙をK-Shield(登録商標)BF紙と入れ替えたこと以外は以外は、実施例1を繰り返した。K-Shield(登録商標)BF紙もまた、Morgan Advanced Materials、Augusta、Georgia)から入手可能である。K-Shield(登録商標)BF紙は、バインダを伴わないアルミノシリケートウールから作製され、約40ミル(1.0mm)の測定厚さを有していた。得られた積層体は、脱落可能性が限定された封止構造体をもたらした。
【0054】
積層体に熱性能保護試験(TPP)を施すと、その火炎下での寸法安定性は、顕著な亀裂形成、収縮又は膨張のない、許容できるものであることが判明した。これは、積層体が良好な火炎遮断をもたらし、熱的事象において、積層体の向上した脱落性能が継続するはずであることを示す。組成の詳細は表1にまとめられており、物理的特性及び熱的特性(試験方法に記載されているような)は表2に示される。
【0055】
実施例4
Superwool(登録商標)Plus 332-E紙をK-Shield(登録商標)BF紙と入れ替えたこと以外は以外は、実施例2を繰り返した。K-Shield(登録商標)BF紙もまた、Morgan Advanced Materials、Augusta、Georgia)から入手可能である。得られた積層体は、脱落可能性が限定された封止構造体をもたらした。
【0056】
積層体に熱性能保護試験(TPP)を施すと、その火炎下での寸法安定性は、顕著な亀裂形成、収縮又は膨張のない、許容できるものであることが判明した。これは、積層体が良好な火炎遮断をもたらし、熱的事象において、積層体の向上した脱落性能が継続するはずであることを示す。組成の詳細は表1にまとめられており、物理的特性及び熱的特性(試験方法に記載されているような)は表2に示される。
【0057】
比較例A
3ミルのカレンダー処理Nomex(登録商標)T818紙を3ミルのNomex(登録商標)Type416(T16)紙と入れ替えたこと以外は、実施例1を繰り返した。Nomex(登録商標)Type416(T16)紙もまた、E.I.du Pont de Nemours and Co.、Wilmington、Delaware(DuPont)から入手可能である。Nomex(登録商標)T416紙は、アラミド材料のみを含有する。即ち、マイカを含有しない。
【0058】
実施例1~4で作製した積層体と比較すると、比較例Aの積層体は、積層体の過剰な亀裂形成及び顕著な収縮及び膨張によって示されるように、TPP試験中、火炎下での乏しい寸法安定性を示した。これが乏しい火炎遮断の原因となり、第2度の火傷試験における持続時間の低下がもたらされた。組成の詳細は表1にまとめられており、物理的特性及び熱的特性(試験方法に記載されているような)は表2に示される。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
本開示は以下の実施形態を包含する。
<1> セル間バッテリー絶縁体として有用な積層体であって、前記積層体は、絶縁領域及び周縁部封止領域を有し、前記絶縁領域は、順に、1)アラミド材料とマイカとを含む第1の外側紙層と、2)無機短繊維のフェルト又は紙を含む内側層と、3)アラミド材料とマイカとを含む第2の外側紙層と、を含み、前記周縁部封止領域は前記内側層がなく、前記第1の外側紙層と前記第2の外側紙層とを互いに接着することによって形成され、前記周縁部封止領域は、前記絶縁領域の前記周縁部の周囲に延びる、積層体。
<2> 前記第1の外側紙層又は前記第2の外側紙層は、50~70重量パーセントの均一に分散したマイカと30~50重量パーセントのアラミド材料とを含み、前記アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である、<1>に記載の積層体。
<3> 前記第1の外側紙層又は前記第2の外側紙層は、50~60重量パーセントの均一に分散したマイカと40~50重量パーセントのアラミド材料とを含み、前記アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である、<2>に記載の積層体。
<4> 前記第1の外側紙層及び前記第2の外側紙層は、50~70重量パーセントの均一に分散したマイカと30~50重量パーセントのアラミド材料とを含み、前記アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である、<2>に記載の積層体。
<5> 前記第1の外側紙層及び前記第2の外側紙層は、50~60重量パーセントの均一に分散したマイカと40~50重量パーセントのアラミド材料とを含み、前記アラミド材料は、フロック、フィブリド、又はこれらの混合物の形態である、<4>に記載の積層体。
<6> 前記内側層の無機短繊維の前記フェルト又は紙は、アルカリアースシリケートウールである、<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層体。
<7> 前記内側層は、バインダを更に含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の積層体。
<8> 前記絶縁領域全体の周囲に延びる前記周縁部封止領域は、2~15mmの幅を有する、<1>~<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<9> 前記絶縁領域全体の周囲に延びる前記周縁部封止領域は、2~10mmの幅を有する、<8>に記載の積層体。
<10> 前記絶縁領域は3層からなり、前記内側層は、第1表面と第2表面とを有し、前記第1表面は、接着剤によって前記第1の外側層に接着されており、前記第2表面は、接着剤によって前記第2の外側層に接着されている、<1>~<9>のいずれか1つに記載の積層体。
<11> 前記第1の外側層と前記第2の外側層とからなる前記周縁部封止領域は、接着剤によって互いに接着されている、<1>~<10>のいずれか1つに記載の積層体。
図1
図2