(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20240109BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/22 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/18 20060101ALI20240109BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240109BHJP
D06M 13/184 20060101ALI20240109BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D7/26
C11D3/20
C11D3/22
C11D3/395
C11D3/40
C11D3/50
C11D3/386
C11D3/18
C11D3/48
D06M13/184
D06M13/224
(21)【出願番号】P 2021556220
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020022952
(87)【国際公開番号】W WO2020190858
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】デノーム、フランク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ハマースキー、マーク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】デラニー、サラ・アン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/140675(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/140431(WO,A1)
【文献】特表2018-509531(JP,A)
【文献】特表2008-521995(JP,A)
【文献】特表2013-536270(JP,A)
【文献】国際公開第2018/140454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
D06M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法であって、
40%~75%の相対湿度を含む製造環境を提供する工程と、
水溶性繊維性の第1のプライを提供する工程と、
水溶性繊維性の第2のプライを提供する工程と、
酸組成物を提供する工程と、前記第1のプライ及び前記第2のプライの一方又は両方に前記酸組成物を配置する工程と、
前記酸組成物が、前記第1のプライと前記第2のプライとの間にあるように前記第1のプライ及び前記第2のプライを重ね合わせる工程と、
前記第1のプライの第1の部分を前記第2のプライの第2の部分に接合して、前記繊維性水溶性単位用量物品を形成する工程と、を含み、
前記酸組成物が、コーティングされた活性剤酸からなる粒子を含
み、
前記繊維性水溶性単位用量物品が、前記繊維性水溶性単位用量物品の60重量%~90重量%の濃度で、前記粒子を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のプライの第1の部分を前記第2のプライの第2の部分に接合して、前記繊維性水溶性単位用量物品を形成することが、超音波、圧力、熱の使用、水溶性接着剤の使用、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項3】
前記第1のプライの第1の部分を前記第2のプライの第2の部分に接合して、前記繊維性水溶性単位用量物品を形成することが、圧力の使用を含む、請求項2に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項4】
前記繊維性水溶性単位用量物品が、酢酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項5】
前記酸組成物が、単独で、又は組み合わせて、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、安息香酸、ギ酸、グルタル酸、グルコン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸ジコハク酸、酒石酸モノコハク酸、これらの塩又は混合物からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項6】
前記酸組成物が、クエン酸及びクエン酸ナトリウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項7】
前記方法が、印刷された材料を前記繊維性水溶性単位用量物品の外面に添加することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項8】
前記方法が、苦味剤を前記繊維性水溶性単位用量物品の前記外面に添加することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項9】
前記酸組成物の一部分が、前記第1のプライ又は前記第2のプライのうちの少なくとも1つと混合在している、請求項1~8のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項10】
水溶性繊維性の第1のプライが、デンプンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項11】
水溶性繊維性の第1のプライが、界面活性剤を含む1つ以上の繊維を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項12】
前記繊維性水溶性単位用量物品が、封入体を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項13】
前記封入体が、香料;増白剤;色調染料;防虫剤;シリコーン;ワックス;着香剤;ビタミン;布地柔軟化剤;スキンケア剤、一態様では、パラフィン;酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される、洗濯ケア補助剤を含む、請求項12に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【請求項14】
前記第1のプライ又は前記第2のプライのうちの少なくとも1つが、2種以上のフィラメント形成材料を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の繊維性水溶性単位用量物品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水溶性繊維構造体と1つ以上の粒子とを含む繊維性水溶性単位用量物品の形態の、布地上に活性剤を送達する家庭用ケア組成物、及びその作製方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0002】
水溶性単位用量物品は、布地又は硬質表面処理組成物を投入する便利で、効率的で、かつ清潔な方法を提供するので、消費者が望んでいる。水溶性単位用量物品は、計量された投入量の処理組成物を提供することにより、過剰投入又は過少投入が避けられる。追加的に、水溶性単位用量物品は、個々の取り扱いが望ましくない組成物を投入するために、潜在的に安全な取り扱い方法をもたらす。
【0003】
繊維性水溶性単位用量物品に対する消費者の関心がますます高まってきている。このような物品に関する技術は、消費者が達成しようとする作業を行うことを可能にする物品と共に、所望の活性剤を有する新規の組成物を提供するという面から進化し続けている。1つのこのような所望の活性物質は、濃酸用量物である。高濃度の酸用量物により、布地及び繊維の悪臭が低減される。しかしながら、低pH酸は、従来、平均的消費者によって取り扱われていない。追加的に、平均的な消費者は、酸をどのように投入するかを知らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、繊維性水溶性単位用量物品内に、有効量の低pH酸を送達することができる繊維性水溶性単位用量を配合することが必要とされている。驚くべきことに、本明細書に記載されるように、高濃度の酸を含む水溶性単位用量物品は、他の組成物に対して望ましい溶解プロファイルを示し、消費者の利益をもたらしながら作製することができることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
高濃度の低pH酸を含む水溶性繊維構造体を含む、繊維性水溶性単位用量を製造する方法が本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】多プライ繊維構造体の一例の断面図の概略図である。
【
図2】繊維性水溶性単位用量物品の一例の斜視図である。
【
図3】線3-3に沿って切り取られた繊維性水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。
【
図5】繊維構造体を作製する方法の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本発明の特性及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるよう意図される例を含む以下の記述から明らかになる。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。この範囲は開示される特定の形態に限定されるようには意図されず、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物、及び代替物を網羅する。
【0008】
本明細書で使用するとき、「the」、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、特許請求又は記載されているものの1つ以上のものを意味すると理解される。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含んでいる(including)」は、非限定であることが意図される。
【0010】
「実質的に含まない」又は「実質的にない」という用語は、本明細書で使用するとき、ある成分が完全に存在しないこと、又は単に混入物として若しくは別の成分の意図されない副産物としてその最少量であることのいずれかを指す。ある成分を「実質的に含まない」組成物とは、当該組成物が、当該組成物の約0.5重量%、0.25重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%しか当該成分を含まないことを意味する。
【0011】
引用される特許文献及びその他の文献は全て、関連部分において、あたかもそれが本明細書に完全に再び述べられているかのように参照により組み込まれる。いかなる特許文献又はその他の文献の引用も、引用される特許文献及びその他の文献が本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0012】
本明細書において、別に指示がない限り、全ての濃度及び比率は、組成物の重量基準である。
【0013】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0014】
用語「再生可能な」は、用語「生物を原料とした/バイオ系の」、「持続可能な」、「持続可能な由来の」、又は「持続可能な供給源由来の」と同義であり、生物由来の(再生可能な供給源、例えば、植物に由来の)又は「非地質学的由来の」を意味する。「地質学的由来の」とは、例えば、石油化学物質、天然ガス、又は石炭に由来することを意味する。「地質学的由来の」材料は、容易に補充又は再生することができない(例えば、植物又は藻類から製造する油とは対照的である)。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「再生可能構成成分」とは、再生可能な原料に由来し、再生可能な炭素を含む構成成分を指す。再生可能な原料とは、再生可能な供給源、例えば、植物由来であり、非地質学的由来の原料である。材料は、部分的に再生可能(再生可能炭素含有量が100%未満、再生可能炭素含有量が約1%~約50%)であってもよく、又は100%再生可能(再生可能炭素含有量が100%)であってもよい。再生可能材料を、非再生可能材料とブレンドしてもよい。
【0016】
「再生可能炭素」は、ASTM D6866の「材料の生物を原料としたものの含有量の評価」方法に従って評価され得る。
【0017】
本明細書で使用するとき、語句「水溶性単位用量物品」、「水溶性単位用量」、「水溶性繊維性単位用量」、「水溶性繊維構造体」、及び「水溶性繊維要素」は、単位用量物品、繊維構造体、及び繊維要素が水と混和性であることを意味する。換言すれば、単位用量物品、繊維構造体、又は繊維要素は、周囲条件で水と均質な溶液を形成することが可能である。本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。水溶性単位用量物品は、水性洗浄条件で約20マイクロメートル未満又は約50マイクロメートル未満の懸濁平均粒径で分散可能である不溶性材料を含有していてもよい。
【0018】
繊維性水溶性単位用量物品は、参照によりその全体が組み込まれる、2018年1月26日出願の米国特許出願第15/880,594号、2018年1月26日出願の米国特許出願第15/880,599号、及び2018年1月26日出願の米国特許出願第15/880,604号において見出される開示のいずれかを含んでもよい。
【0019】
繊維性水溶性単位用量物品は、例えば50%~95%のバイオ系などの、50%以上のバイオ系材料を含んでもよい。繊維性水溶性単位用量物品の個々の構成成分のいくつかは、50%超の総バイオ系含有量を有する物品を作成するために完全にバイオ系であってもよい。
【0020】
これら繊維性水溶性単位用量物品は、様々な洗浄条件下、例えば、低温、少ない水量及び/又は短い洗浄サイクル若しくは消費者が洗濯機に、特に高い吸水能を有する品目を入れすぎた場合のサイクルの下で溶解することができると同時に、(今日の液体製品と同様の性能で)対象とする消費者基材に対して、意図する効果を発揮するのに十分な活性剤を送達する。更に、本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、活性剤を含む繊維を紡糸することによって、経済的に製造することができる。本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、改善された洗浄性能も有する。
【0021】
繊維性水溶性単位用量物品の表面は、印刷領域を含んでいてもよい。印刷領域は、物品の表面の約10~約100%を網羅していてよい。印刷領域は、インク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。印刷区域は、不透明でも、半透明でも、透明でもよい。印刷領域は、単色を含んでいても、複数の色を含んでいてもよい。印刷領域は、物品の2つ以上の側面上に存在してよく、説明の文章及び/又は図形を含んでいてよい。水溶性単位用量物品の表面は、嫌悪剤、例えば、苦味剤を含んでいてよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロース八酢酸、塩酸キニーネ、安息香酸デナトニウム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤を使用してよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
繊維性水溶性単位用量は、苦味剤として、好ましくはクエン酸及びその塩として酸を利用し得る。クエン酸は、前述の苦味剤のうちのいずれか1つと組み合わせられ得る。クエン酸は、物品内の苦味剤として使用されてもよく、一方で、異なる苦味剤が、物品の表面上に使用される。
【0023】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の厚さ試験法によって測定したとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mm以下、及び/又は約50mm以下、及び/又は約20mm以下、及び/又は約10mm以下、及び/又は約5mm以下、及び/又は約2mm以下、及び/又は約0.5mm以下、及び/又は約0.3mm以下の厚さを呈し得る。
【0024】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定したとき、約500グラム/m2~約5,000グラム/m2、又は約1,000グラム/m2~約4,000グラム/m2、又は約1,500グラム/m2~約3,500グラム/m2、又は約2,000グラム/m2~約3,000グラム/m2の坪量を有し得る。
【0025】
繊維性水溶性単位用量物品は、異なる領域、例えば坪量、密度、キャリパー(caliper)、及び/又は湿潤の特徴の異なる領域を呈し得る。繊維性水溶性単位用量物品は、端封点で圧縮されてもよい。繊維性水溶性単位用量物品は、その表面の1つ以上に織り目(texture)を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品の表面は、非ランダムな反復パターンなどのパターンを含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、開口部を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、構造体における繊維要素の他の領域とは異なる、繊維要素の離散領域を有する繊維構造体を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、そのまま使用されてもよく、1つ以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0026】
繊維性水溶性単位用量物品は、1つ以上のプライを含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの、及び/又は少なくとも3つの、及び/又は少なくとも4つの、及び/又は少なくとも5つのプライを含んでいてよい。繊維性プライは、繊維構造体であり得る。各プライは、1つ以上の層、例えば、1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含んでいてよい。当該層は封止されてもよい。特に、粒子層及び繊維要素/粒子混合物層は、粒子が漏出しないように封止され得る。水溶性単位用量物品は、複数のプライを含んでいてよく、各プライは、1つの層が繊維要素層であり、1つの層が繊維要素/粒子混合層である2つの層を含み、複数のプライは一緒に封止される(例えば、縁部で)。封止は、粒子の漏出を阻止することに加えて、単位用量物品がその元の構造を維持するのに役立ち得る。しかしながら、水溶性単位用量物品を水に添加した際、単位用量物品は溶解して、粒子を洗浄液中に放出する。
【0027】
繊維性水溶性単位用量は、任意の三次元構造の形態であってもよい。繊維性水溶性単位用量物品は、穿孔される場合がある。物品はまた、異なる意図される用途のために、様々なサイズに切断又は成形することもできる。例えば、水溶性単位用量は、正方形、丸めた正方形、凧、矩形、三角形、円、楕円、及びこれらの混合の形態であってもよい。
【0028】
繊維性水溶性単位用量は、10未満の成分を含んでもよい。水溶性単位用量は、例えば、4つの成分、5つの成分、6つの成分、7つの成分、又は8つの成分などの3~9つの成分を含んでもよい。
【0029】
本明細書に開示される繊維性水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体及び1つ以上の粒子を含む。繊維性水溶性繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば、複数種のフィラメントを含んでもよい。1つ以上の粒子、例えば1つ以上の活性剤含有粒子は、構造体全体にわたって分布し得る。繊維性水溶性単位用量物品は、相互に絡み合っているか、又は別の方法で互いに関連付けられて、繊維構造体を形成する複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素と、繊維構造体全体にわたって分布し得る1つ以上の粒子と、を含み得る。
【0030】
繊維性水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体と、当該構造体全体にわたって分布する複数の粒子とを含んでいてよく、当該水溶性繊維構造体は、組成上の観点から、同一又は実質的に同一の複数の繊維要素を含む。水溶性繊維構造体は、2つ以上の異なる繊維要素を含んでよい。繊維要素の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、織り目、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意のコーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。繊維構造体内の2つ以上の繊維要素は、異なる活性剤を含んでいてよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤及びカチオン性ポリマーが、互いに不適合であり得る場合であり得る。異なる繊維要素を使用するとき、得られる構造体は、異なる湿潤、吸水、及び溶解度の特徴を呈し得る。
【0031】
繊維構造体
繊維状構造体は、1つ以上の繊維状要素を含む。繊維要素は、互いに関連付けられて構造体を形成することができる。繊維構造体は、構造体内及び又は構造体上に粒子を含み得る。繊維構造体は、均質、層状、単一、ゾーン形、又は他の点で望みのとおりであってよく、異なる活性剤が様々な前述の部分を画定する。
【0032】
繊維構造体は、1つ以上の層を含んでいてよく、層は共にプライを形成する。
【0033】
繊維要素
繊維要素は、水溶性であってよい。繊維要素は、1種以上のフィラメント形成材料及び/又は界面活性剤などの1つ以上の活性剤を含んでよい。1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときなどに、繊維要素から放出可能であり得る。
【0034】
繊維要素は、メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング、及び/又は回転紡糸などの好適な紡糸プロセス操作を介して、繊維要素形成組成物とも呼ばれるフィラメント形成組成物から紡糸されてもよい。
【0035】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」とは、メルトブロー及び/又はスパンボンディングなど、繊維要素を作製するのに好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1種以上のフィラメント形成材料であって、材料を繊維要素に紡糸するのに好適なものにする特性を呈する、材料を含む。フィラメント形成材料は、ポリマーを含み得る。1種以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の活性剤、例えば、界面活性剤を含んでいてよい。加えて、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含んでもよく、この極性溶媒中に、1つ以上の、例えば全てのフィラメント形成材料及び/又は1つ以上の、例えば全ての活性剤が、繊維要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0036】
フィラメント形成組成物は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料を含んでいてよい。したがって、繊維要素は、単成分(1種のフィラメント形成材料)、及び/又は二成分などの多成分であってよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料をランダムに組み合わせて繊維要素を形成してもよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料は、シースコア型の二成分繊維要素など、規則正しく組み合わされて繊維要素を形成してもよく、これは、本開示の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダムな混合物であるとはみなされない。二成分繊維要素は、サイドバイサイド、シースコア、海島型などの任意の形態であってよい。
【0037】
繊維要素は、アルキルアルコキシル化サルフェートを実質的に含んでいなくてよい。各繊維要素は、乾燥繊維要素基準で、約0重量%、又は約0.1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%から約0.2重量%、又は約1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%、又は約50重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートを含んでいてよい。繊維要素の各々におけるアルキルアルコキシル化サルフェートの量は、その加工安定性及びフィルム溶解性に影響を及ぼさないように十分に少量である。アルキルアルコキシル化サルフェートは、水に溶解すると、ある特定の濃度範囲、例えば30~60重量%で高度に粘稠な六方相を経ることがあり、その結果、ゲル状物質が生じる。したがって、繊維要素に相当量組み込まれた場合、アルキルアルコキシル化サルフェートは、水溶性単位用量物品の水への溶解を著しく減速させ、更により悪いことには、後で溶解していない固体が残る。それに対応して、このような界面活性剤の大部分は、粒子に配合される。
【0038】
繊維要素はそれぞれ、少なくとも1種のフィラメント形成材料及び活性剤、好ましくは界面活性剤を含有していてよい。界面活性剤は比較的低い親水性を有していてよく、その理由は、このような界面活性剤は希釈されたときに粘稠なゲル様の六方相を形成する可能性が低いためである。フィラメントの形成においてこのような界面活性剤を使用することにより、洗浄中のゲル形成を有効に低減することができ、ひいては、溶解がより速くなり得、洗浄における残留分が少なくなるか又はなくなり得る。界面活性剤は、例えば、非アルコキシル化C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルサルフェート(alkyl sulfates、AS)、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulfonates、LAS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。界面活性剤は、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)であってもよい。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖状アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に得ることができる。使用することができる例示的なC6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとしては、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、例えば、C11~C18又はC11~C14直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はアンモニウムの塩が挙げられる。C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、すなわちドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、第1の界面活性剤として使用してもよい。
【0039】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約5重量%、及び/又は少なくとも約10重量%、及び/又は少なくとも約15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満、及び/又は約65重量%未満、及び/又は約60重量%未満、及び/又は約55重量%未満、及び/又は約50重量%未満、及び/又は約45重量%未満、及び/又は約40重量%未満、及び/又は約35重量%未満、及び/又は約30重量%未満、及び/又は約25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超、及び/又は少なくとも約35重量%、及び/又は少なくとも約40重量%、及び/又は少なくとも約45重量%、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約55重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は少なくとも約65重量%、及び/又は少なくとも約70重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤、好ましくは界面活性剤と、を含み得る。繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約80重量%超の界面活性剤を含み得る。
【0040】
好ましくは、各繊維要素は、十分に高い総界面活性剤含有量、例えば、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の第1の界面活性剤を特徴とし得る。
【0041】
繊維要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%~約80重量%未満であってよく、繊維要素中に存在する界面活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約95重量%であってよい。
【0042】
繊維要素の1つ以上は、他のアニオン性界面活性剤(すなわち、AS及びLAS以外)、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の界面活性剤を含んでいてよい。
【0043】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルスルホネート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルカルボキシレート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルホスフェート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルホスホネート、C6~C20アルキルN-メチルグルコースアミド、C6~C20メチルエステルスルホネート(methyl ester sulfonates、MES)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、式R(OC2H4)nOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され得、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニル基からなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得る、C6~C12アルキルフェノールアルコキシレート、C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC6~C12アルキルフェノール縮合物、例えば、BASF製のPluronic(登録商標);C14~C22中鎖分枝状アルコール、BA;C14~C22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート、BAEx、[式中、xは1~30である]、アルキル多糖類。具体的にはアルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性洗浄性界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールも挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては更に、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0045】
カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0046】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、以下の一般式を有する、四級アンモニウム化合物であり、
(R)(R1)(R2)(R3)N+X-
式中、Rは、直鎖状又は分枝鎖状、置換又は非置換のC6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R1及びR2は、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、R3は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、ハライド、例えばクロリド、サルフェート、及びスルホネートが挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C6~18アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。非常に好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C8~10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、モノ-C10~12アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、及びモノ-C10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。
【0047】
双性イオン性界面活性剤の好適な例としては、複素環式二級及び三級アミンの誘導体などの、二級及び三級アミンの誘導体;四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物の誘導体;アルキルジメチルベタイン、ココジメチルアミドプロピルベタイン、並びにスルホ及びヒドロキシベタインなどのベタイン;C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド;N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(アルキル基はC8~C18であってもよい)が挙げられる。
【0048】
好適な両性界面活性剤としては、脂肪族基が直鎖状若しくは分枝鎖状であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体又は複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシネート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0049】
繊維要素は、アニオン性界面活性剤のみ、例えば、単一のアニオン性界面活性剤又は2つ以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせのいずれかを含有する、界面活性剤系を含んでいてよい。あるいは、繊維要素は、例えば、1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の双性イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の両性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上のカチオン性界面活性剤との組み合わせ、又は上記の種類の界面活性剤の全て(すなわち、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性)の組み合わせを含有する複合界面活性剤系を含んでいてもよい。
【0050】
概して、繊維要素は、長さが平均直径を大きく上回る、例えば、長さと平均直径との比が少なくとも約10である細長い微粒子である。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントは、約5.08cm(2インチ)以上、及び/又は約7.62cm(3インチ)以上、及び/又は約10.16cm(4インチ)以上、及び/又は約15.24cm(6インチ)以上の長さを有し得る。繊維は、約5.08cm(2インチ)未満、及び/又は約3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は約2.54cm(1インチ)未満の長さを有し得る。
【0051】
1種以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約2.0以下、及び/又は約1.85以下、及び/又は約1.7未満、及び/又は約1.6未満、及び/又は約1.5未満、及び/又は約1.3未満、及び/又は約1.2未満、及び/又は約1未満、及び/又は約0.7未満、及び/又は約0.5未満、及び/又は約0.4未満、及び/又は約0.3未満、及び/又は約0.1超、及び/又は約0.15超、及び/又は約0.2超の、フィラメント形成材料の合計濃度の活性剤に対する重量比で繊維要素中に存在し得る。1種以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約0.2~約0.7の、フィラメント形成材料の合計濃度の活性剤に対する重量比で繊維要素中に存在し得る。
【0052】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%~約80重量%未満のフィラメント形成材料、例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマーと、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約90重量%の活性剤、例えば界面活性剤と、を含んでいてよい。繊維要素は、可塑剤(グリセリンなど)及び/又は追加のpH調整剤(クエン酸など)を更に含んでよい。繊維要素は、約2.0以下の、フィラメント形成材料の活性剤に対する重量比を有し得る。フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及び他の好適なポリマー、特にヒドロキシル含有ポリマー及びこれらの誘導体からなる群から選択され得る。フィラメント形成材料は、約100,000g/モル~約3,000,000g/モルの重量平均分子量の範囲であり得る。この範囲では、フィラメント形成材料は、繊維作製プロセスにおいて繊維の細径化が阻害されるほど弾性ではないように、伸長レオロジーを提供し得ると考えられる。
【0053】
1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときに、放出可能であり得る及び/又は放出され得る。繊維要素中の1つ以上の活性剤は、界面活性剤、有機ポリマー化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0054】
繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約300μm未満、及び/又は約75μm未満、及び/又は約50μm未満、及び/又は約25μm未満、及び/又は約10μm未満、及び/又は約5μm未満、及び/又は約1μm未満の直径を呈し得る。繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約1μmを超える直径を呈し得る。繊維要素の直径を利用して、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、及び/又は繊維要素の物理的構造の劣化及び/又は変化の速度を制御することができる。
【0055】
繊維要素は、互いに適合性又は不適合である2つ以上の異なる活性剤を含んでいてよい。繊維要素は、繊維要素内の活性剤、及び繊維要素の外面上の活性剤、例えば繊維要素の活性剤コーティングを含んでもよい。繊維要素の外面上の活性剤は、繊維要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合、活性剤は互いに適合性であってもよく、又は不適合であってもよい。1つ以上の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布又は実質的に均一に分布していてもよい。1つ以上の活性剤は、繊維要素内に離散領域として分布してもよい。
【0056】
活性剤
本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、1つ以上の活性剤を含有してもよい。活性剤は、別個の粒子の形態で、粒子の形態で、若しくは粒子に組み込まれて、又は物品中のプレミックスとして、繊維要素中に存在してもよい。プレミックスは、例えば、水性吸収剤と組み合わされた活性剤のスラリーであってよい。
【0057】
活性剤は、酸であってもよい。使用に好適な酸の例としては、限定されるものではないが、単独で、又は組み合わせて、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、安息香酸、ギ酸、グルタル酸、グルコン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸ジコハク酸、酒石酸モノコハク酸、これらの塩若しくは混合物からなる群から選択される有機酸が挙げられる。好ましくは、酸は、クエン酸、乳酸、酢酸、及び/又は酒石酸であり、より好ましくは、クエン酸である。
【0058】
ある特定の態様では、酸は、コーティングを構成する。コーティングは、活性剤が早期に溶解するのを防止することに役立ち得る。好ましい酸は、クエン酸であり、好ましいコーティングは、マルトデキストリン、ワックス、クエン酸塩、サルフェート、ゼオライト、二酸化ケイ素などの固化防止剤、又は他の乾燥剤を含む。好ましい組み合わせとしては、マルトデキストリンでコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid DCで入手可能)、クエン酸塩でコーティングされたクエン酸(商標名CITROCOAT(登録商標)Nで入手可能)、又は二酸化ケイ素でコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid S40で入手可能)が挙げられる。
【0059】
活性剤は、物品の約5重量%~約90重量%、好ましくは約10重量%~約80重量%、好ましくは約15重量%~約75重量%、好ましくは約40重量%~約70重量%、好ましくは約60重量%~約70重量%の濃度で水溶性単位用量組成物に組み込まれ得る。活性剤は、別個の粒子として、封入された粒子として、スラリー中の粒子として、繊維の一部として、又はこれらの混合物として組み込まれてもよい。
【0060】
水溶性単位用量は、1つ以上の追加の有機酸を含んでもよい。追加の有機酸は、有機カルボン酸又はポリカルボン酸の形態であってよい。使用され得る有機酸の例としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、安息香酸、グルコン酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸ジコハク酸、酒石酸モノコハク酸、これらの塩若しくは混合物が挙げられる。いくつかの態様では、組成物は、クエン酸などの洗剤ビルダーとしても機能し得る有機酸を含む。
【0061】
水溶性単位用量は、約1.0~約5.0のpKaを有する酸を更に含んでもよい。このpKa範囲内の好適な酸は、限定されるものではないが、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 99th edition,Taylor & Francisのものが見出され得る。
【0062】
有機酸は、水溶性又は水混和性の酸であってよい。いくつかの態様では、有機酸は、少なくとも約10gの酸/100mLの水、又は少なくとも約30gの酸/100mLの水、又は少なくとも約50gの酸/100mLの水、又は少なくとも約70gの酸/100mLの水、又は少なくとも約85g/100mLの水の、20℃の水への溶解度を有する。いくつかの態様では、組成物は、脂肪酸を実質的に含まない。
【0063】
有機酸は、低重量酸、例えば、210g/モル未満の分子量を有する酸であってよい。いくつかの態様では、有機酸は、9個以下の炭素原子、あるいは6個以下の炭素原子を有する。洗剤組成物中の有機酸は、4個以下の炭素原子、又は3個以下の炭素原子、又は3個未満の炭素原子を有していてよい。3個未満の炭素原子を有する有機酸の具体例としては、ギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0064】
図1は、第1のプライ10、及び第1のプライ10に関連付けられている第2のプライ15を示し、第1のプライ10及び第2のプライ15は、各々複数の繊維要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32と、を含む。第2のプライ15では、粒子32は、x軸、y軸、及びz軸にランダムに分散しており、第1のプライでは、粒子32はポケット内にある。
【0065】
【0066】
図3は、線3-3に沿って切り取られた
図2の水溶性単位用量物品の一例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。水溶性単位用量は、繊維要素層及び繊維要素/粒子混合物層を有する。水溶性単位用量は、複数の繊維要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32と、を含む。多プライの多層物品は、粒子が漏出しないように縁部64で封止される。物品の外面は、繊維要素層である。
図3に示されるように、粒子32は、繊維間で凝集せず、個々の粒子として見ることができる。
【0067】
図4は、
図3の一部分の拡大
図62である。
図4に示されるように、水溶性単位用量60の封止縁部64は、クエン酸の1つ以上の粒子32を含む。
【0068】
繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含む2つ以上の領域を水溶性単位用量物品に提供するように、当該物品内、単一プライ内、又は複数のプライ内に配置され得る。例えば、物品の1つの領域は、漂白剤及び/又は界面活性剤を含んでいてよく、物品の別の領域は、柔軟化剤を含んでいてよい。
【0069】
繊維性水溶性単位用量物品は、消費者が水溶性物品とふれあう形態から始まり、水溶性物品が作製される原材料、例えば、プライ、繊維構造体、及び粒子に向かって逆に働くように階層的に見ることができる。繊維性プライは、繊維構造体であり得る。
【0070】
水溶性単位用量は、界面活性剤、構造化剤、ビルダー、有機ポリマー化合物、酵素、酵素安定剤、漂白系、増白剤、色相剤、キレート剤、抑泡剤、コンディショニング剤、保湿剤、香料、香料マイクロカプセル、充填剤又はキャリア、アルカリ性系、pH制御系、緩衝剤、アルカノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、追加の構成成分を含み得る。
【0071】
固体キャリア:水溶性単位用量は、好適な固体キャリアを含んでもよく、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの無機塩が挙げられる。他の好ましい固体キャリアとしては、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩、微粉末形態の乾燥分散剤ポリマー、及び吸収剤グレードのヒュームド又は沈降シリカ(例えば、Evonik Industries AGによって商標名SN340で市販されている沈降親水性シリカ)が挙げられる。固体キャリア材料の混合物を使用してもよい。
【0072】
界面活性剤
水溶性単位用量は、繊維中の界面活性剤に加えて界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの界面活性剤は、上により詳細に記載されている。
【0073】
封入体
水溶性単位用量は、封入体を含んでもよい。封入体は、コアと、内面及び外面を有するシェルと、を含んでもよく、当該シェルが当該コアを封入する。コアは、あらゆる洗濯ケア補助剤を含むことができるが、典型的には、コアは、香料;増白剤;色調染料;防虫剤;シリコーン;ワックス;着香剤;ビタミン;布地柔軟化剤;スキンケア剤、一態様では、パラフィン;酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、当該シェルは、ポリエチレン;ポリアミド;任意選択的に他のコモノマーを含有するポリビニルアルコール;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アミノプラスト(一態様では、当該アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン、及び/又はポリ尿素ウレタンを含んでもよく、一態様では、当該ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含んでもよい);ポリオレフィン;多糖類、(一態様では、当該多糖類は、アルギン酸塩及び/又はキトサンを含んでもよい);ゼラチン;シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。
【0074】
好ましい封入体は、香料を含む。好ましい封入体は、メラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含んでいてもよいシェルを含む。他の好ましいカプセルは、ポリアクリレート系シェルを含む。好ましい封入体は、コア材とシェルとを含み、当該シェルは、当該コア材を少なくとも部分的に取り囲むことが開示されている。当該封入体の少なくとも75%、85%、又は更には90%は、0.2MPa~10MPaの破壊強度、及び封入された有益剤の初期総量に対して0%~20%、又は更には10%若しくは5%未満の有益剤漏出率を有し得る。当該封入体の少なくとも75%、85%、若しくは更には90%が、(i)1マイクロメートル~80マイクロメートル、5マイクロメートル~60マイクロメートル、10マイクロメートル~50マイクロメートル、若しくは更には15マイクロメートル~40マイクロメートルの粒径を有し得、及び/又は(ii)当該封入体の少なくとも75%、85%、若しくは更には90%が、30nm~250nm、80nm~180nm、又は更には100nm~160nmの粒子壁厚を有し得るものが好ましい。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、封入体で、例えばカプセルスラリー中で用いてもよく、及び/又は封入体を組成物に添加する前、添加している間、若しくは添加した後に組成物に添加してもよい。
【0075】
好適なカプセルは、既知の方法を使用して作製することができる。あるいは、好適なカプセルは、Encapsys LLC(Appleton,Wisconsin USA)から購入することができる。好ましい態様では、組成物は、好ましくは封入体に加えて、付着助剤を含んでもよい。好ましい付着助剤は、カチオン性及び非イオン性ポリマーからなる群から選択される。好適なポリマーとしては、カチオンデンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート、並びに任意選択的にアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ以上のモノマーと共にジメチルアミノエチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられる。
【0076】
香料
水溶性単位用量は、繊維中、繊維とは分離されて、封入体中、又はこれらの組み合わせで、いずれかの香料を含んでもよい。香料及び香料成分の非限定的な例としては、アルデヒド、ケトン、エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、様々な天然抽出物及び天然エキスが挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる。最終的な香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。仕上げた香料は、洗剤組成物の約0.01重量%~約2重量%の範囲の濃度で含まれ得る。
【0077】
移染防止剤
水溶性単位用量は、移染防止剤を含んでもよい。移染防止剤は、洗浄プロセス中のある布地から別の布地への染料の移動を阻害するのに有効である。概して、このような移染防止剤は、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を含んでもよい。使用する場合、これらの剤は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、いくつかの例では、組成物の約0.01重量%~約5重量%、他の例では、組成物の約0.05重量%~約2重量%の濃度で使用されてもよい。
【0078】
抑泡剤
水溶性単位用量は、抑泡剤、すなわち泡の形成を低減又は抑制するための化合物を含んでもよい。泡の抑制は、いわゆる「高濃度洗浄プロセス」において、また前側投入方式の洗濯機において、特に重要である場合がある。抑泡剤の例としては、モノカルボン脂肪酸及びその中の可溶性塩、パラフィンなどの高分子量炭化水素、脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸トリグリセリド)、一価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族C18~C40ケトン(例えば、ステアロン)、N-アルキル化アミノトリアジン、好ましくは融点が約100℃未満であるワックス状炭化水素、シリコーン抑泡剤、並びに二級アルコールが挙げられる。
【0079】
更なる好適な消泡剤は、フェニルプロピルメチル置換ポリシロキサンに由来するものである。
【0080】
水溶性単位用量は、シリコーン樹脂及び変性シリカである一次充填剤と組み合わせた、アリール又はアルキルアリール置換基を伴う有機変性シリコーンポリマーから選択される抑泡剤を含んでもよい。洗剤組成物は、組成物の約0.001重量%~約4.0重量%のこのような抑泡剤を含んでいてよい。
【0081】
水溶性単位用量は、a)約80~約92%のエチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン;ステアリン酸オクチル中約5~約14%のMQ樹脂、及び約3~約7%の変性シリカの混合物;b)約78~約92%のエチルメチル,メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン;ステアリン酸オクチル中約3~約10%のMQ樹脂;約4~約12%の変性シリカの混合物;又はc)これらの混合物、から選択される抑泡剤を含んでよく、百分率は、消泡剤の重量に対するものである。
【0082】
増泡剤
高起泡性が望まれる場合、C10~C16アルカノールアミドなどの増泡剤を使用してよい。いくつかの例としては、C10~C14モノエタノール及びジエタノールアミドが挙げられる。必要に応じて、MgCl2、MgSO4、CaCl2、CaSO4などの水溶性マグネシウム及び/又はカルシウム塩を、洗剤組成物の約0.1重量%~約2重量%の濃度で添加して、追加の泡をもたらし、脂除去性能を増強することもできる。
【0083】
コンディショニング剤
好適なコンディショニング剤としては、高融点脂肪族化合物が挙げられる。本明細書において有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有し、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なコンディショニング剤としては、非イオン性ポリマー及びコンディショニングオイル、例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステルも挙げられる。
【0084】
好適なコンディショニング剤としては、全般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、ポリオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率のシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、若しくはこれらの組み合わせを特徴とするコンディショニング剤、又は他の方法で本明細書の水性界面活性剤マトリックス中に液体の分散粒子を形成するコンディショニング剤が挙げられる。
【0085】
洗浄液中のpH
本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、水性洗浄操作において使用中、洗浄水が約2.0~約8、いくつかの例では約3.0~約7、約3.5~約6、約4~約5のpHを有するように配合され得る。推奨される使用濃度でpHを制御する技法としては、緩衝剤、アルカリ、又は酸の使用が挙げられ、これらは当業者に公知である。これらの技法としては、炭酸ナトリウム、クエン酸若しくはクエン酸ナトリウム、乳酸若しくは乳酸塩、モノエタノールアミン若しくは他のアミン、ホウ酸若しくはホウ酸塩、及び当該技術分野において既知の他のpH調整化合物の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
作製方法
図5は、コフォームの形態の物品を作製する方法100を例解する。フィラメント22が形成されている間、粒子源のスイッチが入れられ、粒子32は、フィラメント22の流れに導入される。フィラメントは、紡糸操作20につながるフィラメント形成組成物作製操作16から形成されてもよい。粒子32は、混合操作24において混合在し、次いで紡糸エンクロージャ内のフィラメント22と混合在している。混合在フィラメント22及び粒子32は、複合構造体(フィラメント22と粒子32とが一緒に混合在している)として回収操作28における回収デバイス(例えば、形成ベルト)上で回収される。次いで、材料は、変換操作26を通過してもよい。複合構造体は、コフォームの形態の繊維構造体14と称される。最後に、パッケージング操作36により、繊維構造体を容器34にパッケージングすることができる。
【0087】
図6の例解によって例示されるように、フィラメント形成組成物35の溶液が提供される。フィラメント形成組成物は、1種以上のフィラメント形成材料を含むことができる。フィラメント形成組成物35は、複数の紡糸口金45を含む1つ以上のダイブロックアセンブリ40を通過して、1種以上のフィラメント形成材料と、任意選択的に、界面活性剤などの1つ以上の任意選択的な活性剤と、を含む、複数の繊維要素30を形成する。複数のダイブロックアセンブリ40を用いて、異なる層の繊維要素30を紡糸することができ、異なる層の繊維要素30は互いに異なる又は互いに同じ組成を有する。所与のプライにおいて3つ、4つ、又は任意の他の整数の層を形成するために、直列に配置された複数のダイブロックアセンブリを提供することができる。機械方向MDに移動しているベルト50上に繊維要素30を堆積させて、第1のプライ10を形成することができる。
【0088】
クエン酸コートの形態の粒子を、ダイブロックアセンブリ40とベルト50との間の繊維要素30の流れに導入することができる。粒子受け部からベルトフィーダー41又は任意選択的にスクリューフィーダーに、粒子を供給することができる。所望の粒子塊をプロセスに送達するように、ベルトフィーダー41を設定及び制御することができる。ベルトフィーダーは、空気流中の粒子を繊維要素30内に懸濁させ、方向付けるエアナイフ42を供給して、その後ベルト50上に堆積する繊維要素30及び粒子が混合在している粒子-繊維層を形成することができる。
【0089】
水溶性単位用量を形成するために、第1のプライ10が、提供され得る。第2のプライ15は、第1のプライ10とは別個に提供され得る。第1のプライ10及び第2のプライ15は、互いに重ね合わせられる。重ね合わせられるとは、重ね合わせられたプライの間に追加のプライ又は他の材料、例えば活性剤が位置決めされていてもよいという条件で、一方が他方の上又は下に位置決めされることを意味する。第1のプライ10の一部分は第2のプライ15の一部分と接合されて、水溶性単位用量5を形成することができる。各プライは1つ以上の層を含んでいてよい。
【0090】
層は、限定されるものではないが、超音波、圧力、熱、水溶性接着剤の使用、及びこれらの組み合わせを含む、既知の任意の種類の封止を使用して、縁部で封止されてもよい。封止は、好ましくは、圧力封止を使用してなされる。理論に束縛されるものではないが、40%未満の相対湿度を有する酸を含有するウェブは、個々の粒子が封止プロセスを妨げるため、圧力又は熱封止を介して封止することが困難であると考えられる。相対湿度が40%を超えると、粒子は、より展性になり、繊維が圧力及び又は熱を使用して封止されることが可能になる。
【0091】
高濃度の酸を含む水溶性単位用量の作製方法中、作製プロセスに対して適切な条件を有する必要があることが見出された。具体的には、製造環境相対湿度は、以下の実施例1によって例示されるように、高濃度の酸を含む繊維性水溶性単位用量に対して、相対湿度40%~75%の狭い範囲内で制御する必要があることが見出された。理論に束縛されるものではないが、クエン酸は、望ましいレベルの処理性を維持するために、40%超~75%未満の相対湿度で処理する必要があり、一方で、例えば45%、50%、55%、60%、65%、及び70%などでは、大量には大気水分を吸収しないと考えられる。驚くべきことに、約40%未満の相対湿度での処理は、熱を伴う又は伴わない圧力封止を使用するとき、高酸組成物を含む2つのプライを有する封止を形成することができないことが見出された。理論に束縛されるものではないが、より容易に流動することができ、より柔軟であり、結合プロセス中に水分を放出することができる40%超の相対湿度を有する粒子と比較したとき、平均で40%未満の相対湿度の粒子は、非常に不安定であり、封止プロセスを妨害すると考えられる。驚くべきことに、70%超の相対湿度において、本明細書ではクエン酸の形態の酸粒子が、凝集し、別個の活性粒子を有する繊維性水溶性単位用量を作製させないペーストを形成することも見出された。追加的に、凝集粒子は、機器の表面に付着することによって製造機器に影響を及ぼし得る。
【0092】
製造時の原材料及び設定の選択に応じて、酢酸塩の生成を増加又は減少させることができることが見出された。酢酸塩は、水溶性単位用量からの望ましい酢のような香りをもたらし得る。望ましい酢のような香りは、ポリ酢酸ビニルから作製されるポリビニルアルコールの加水分解度、製造中の製品のpH、貯蔵時の製品pH、酢酸及び/又はその塩の組み込み、製品に組み込まれた水分の濃度、及び貯蔵時の製品の周囲水分によって制御され得る。
【0093】
粒子-繊維層
粒子-繊維層は、いくつかの方法で配置され得る。粒子のクラスタは、層内に分布したポケット内に分布し得、このようなポケットは、繊維要素の層の間に形成され得、粒子の各クラスタ内の接触ネットワーク及び多孔性は、従来の粒子パッキングの物理学によって支配されるが、クラスタは層内で実質的に拡張される。粒子は、繊維構造体全体にわたって比較的均質に分布してよく、局所的な粒子クラスタを実質的に含まず、パッキングは、個々の粒子のスケールで実質的に拡張され、粒子間接触がより少なく、粒子間多孔性が大きくなる。理論に束縛されるものではないが、繊維要素及び粒子を含む層を含む繊維性水溶性単位用量物品は、AESなどの粘着性界面活性剤が、拡張構造を有する粒子に隔離された場合、水の拡張構造へのより迅速な吸水及び粘着性界面活性剤を有する粒子間の接触の低減の両方によって単位用量物品の分散及び溶解を改善すると考えられる。
【0094】
パウチ。単一単位用量は、パウチの形態であってもよい。組成物は、単位用量の形態、錠剤の形態、又は好ましくは水溶性フィルム(パウチ又はポッドとして知られているものの内)に保持されている液体/固体(任意選択的に顆粒)/ゲル/ペーストの形態のいずれかで提供され得る。組成物は、単一区画パウチに封入しても、又は多区画パウチに封入してもよい。多区画パウチは、欧州特許出願公開第2133410(A)号により詳細に記載されている。シェーディング若しくは非シェーディング染料、又は顔料、又はその他の審美剤もまた、1つ以上の区画で使用されてもよい。
【0095】
パウチを形成するための好適なフィルムは、水に可溶性であるか、又は分散性であり、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルタを使用した後に本明細書で記載される方法によって測定されるとき、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更に少なくとも95%の水溶性/分散性を有する:
予め秤量した400mLのビーカーに、50グラム±0.1グラムのパウチ材料を添加し、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気攪拌器で30分間激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の曲がった定性焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散率を計算することができる。好ましいフィルム材料は、ポリマー材料である。フィルム材料は、例えば、当該技術分野において公知であるとおり、ポリマー材料を注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形することによって得ることができる。パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンを含む多糖類及びゼラチン、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量、好ましくは、約1000~1,000,000、より好ましくは、約10,000~300,000、更により好ましくは、約20,000~150,000を有してもよい。また、ポリマーの混合物をパウチ材料として使用してもよい。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物としては、例えば、1つのポリマーの水溶解度が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。また、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、約10,000~40,000、好ましくは20,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000~300,000、好ましくは150,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物も好適である。また、例えば、ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1~35重量%のポリラクチドと、約65~99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなどの、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。本明細書において使用するのに好ましいポリマーは、約60%~約98%加水分解され、好ましくは約80%~約90%加水分解され、材料の溶解特性が向上したポリマーである。
【0096】
水溶性単位用量で使用されるPVAは、例えば、限定されるものではないが、Poval3-80、Poval32-80、Poval5-74、及びPoval10-78などのクラレ(東京)から入手したものを含む、1つ以上の供給元から得ることができる。
【0097】
当然のことながら、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを、区画の作製に採用してもよい。異なるフィルムを選択する利点は、得られる区画が、異なる溶解性又は放出特性を示し得ることである。
【0098】
最も好ましいフィルム材料は、MonoSol照会番号M8630、M8900、H8779(出願人らの同時係属出願照会番号44528及び11599に記載)として公知のPVAフィルム、米国特許第6,166,117号及び同第6,787,512号に記載のPVAフィルム、及び相当する溶解度及び変形特性を有するPVAフィルムである。
【0099】
また、本明細書のフィルム材料は、1つ以上の添加剤成分を含んでもよい。例えば、可塑剤(例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物)を添加することが有益な場合がある。他の添加剤としては、洗浄水に送達される機能性洗剤添加剤、例えば、有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0100】
苦味剤は、パウチ内部の組成物に組み込むこと、及び/又はフィルム上にコーティングすることのいずれかによって、パウチ又はポッドに組み込まれてもよい。
【0101】
洗浄方法
水溶性単位用量は、限定するものではないが、花崗岩及び大理石、セメント、コンクリート床、コンクリート構造体、磁器、ガラス、金属、塗装表面、プラスチック、及びこれらの組み合わせを含む、限定するものではない、例えば天然石など、1つ以上の種類の表面を洗浄するために使用され得る。
【0102】
水溶性単位用量は、水を含む所与の量の溶解性流体中に完全に又は部分的に溶解されてもよい。2つ以上の水溶性単位用量は、所与の量の水に溶解されてもよい。溶解性流体は、限定されるものではないが、界面活性剤、塩、スクラブ剤、及び酵素を含む追加の活性物質を含んでもよい。溶解性流体は、10%水~100%水、例えば、30%水~100%水、50%水~100%水、及び75%水~100%水などであってもよい。
【0103】
水溶性単位用量は、溶解性流体によって濡らされ、部分的に固体の形態である間に表面を洗浄するために使用されてもよい。
【0104】
水溶性単位用量は、容器に添加され、溶解性流体を、容器を通過させてもよく、水溶性単位用量を溶解させ、それを容器から出る溶解性流体に組み込んでもよい。
【0105】
水溶性単位用量は、その構造内の溶解性流体でゆっくりと溶解すること、及び/又はそれと組み合わせることを可能にする、スポンジなどの構造体に添加されてもよい。
【0106】
水溶性単位用量を組み込む溶解性流体は、上記のものなどの選択された表面を洗浄するために使用され得る。
【0107】
水溶性単位用量は、限定するものではないが、花崗岩及び大理石、セメント、コンクリート床、コンクリート構造体、磁器、ガラス、金属、塗装表面、プラスチック、及びこれらの組み合わせを含む、限定するものではない、例えば天然石など、1つ以上の種類の表面を洗浄するために使用され得る。
【0108】
水溶性単位用量は、水を含む所与の量の溶解性流体中に完全に又は部分的に溶解されてもよい。2つ以上の水溶性単位用量は、所与の量の水に溶解されてもよい。溶解性流体は、限定されるものではないが、界面活性剤、塩、スクラブ剤、及び酵素を含む追加の活性物質を含んでもよい。溶解性流体は、10%水~100%水、例えば、30%水~100%水、50%水~100%水、及び75%水~100%水などであってもよい。
【0109】
水溶性単位用量は、溶解性流体によって濡らされ、部分的に固体の形態である間に表面を洗浄するために使用されてもよい。
【0110】
水溶性単位用量は、容器に添加され、溶解性流体を、容器を通過させてもよく、水溶性単位用量を溶解させ、それを容器から出る溶解性流体に組み込んでもよい。
【0111】
水溶性単位用量は、その構造内の溶解性流体でゆっくりと溶解すること、及び/又はそれと組み合わせることを可能にする、スポンジなどの構造体に添加されてもよい。
【0112】
水溶性単位用量を組み込む溶解性流体は、上記のものなどの選択された表面を洗浄するために使用され得る。
【0113】
一態様では、本発明は、トイレの便器の洗浄方法であって、繊維性水溶性単位用量物品を、水が入った当該便器に添加する工程と、当該物品を当該水中で崩壊させる工程と、当該物品を当該便器の当該水に添加してから、少なくとも5分、好ましくは少なくとも30分、好ましくは少なくとも60分、好ましくは少なくとも180分後に当該トイレを流す工程と、を含む、方法を包含する。
【0114】
一態様では、本発明は、表面を洗浄する方法であって、水が入った槽を準備する工程と、繊維性水溶性単位用量物品を、水が入った当該槽に添加する工程と、当該物品を当該水に崩壊させて、洗浄溶液を形成する工程と、当該表面を当該洗浄溶液と接触させる工程と、を含む、方法を包含する。好ましくは、槽は、バケツ又は家庭用シンクである。好ましくは、表面は、家庭用硬質表面、車の外側表面、及び食器からなる群から選択されるが、上記に開示された任意の表面を含んでもよい。
【0115】
一態様では、本発明は、洗濯機、食器洗浄機、又は浴槽などの洗浄槽を洗浄する方法であって、水が入った槽を準備することと、繊維性水溶性単位用量物品を、水が入った当該槽に添加することと、当該物品を当該水に崩壊させて、洗浄溶液を形成することと、当該表面を当該洗浄溶液と接触させることと、を含む、方法を包含する。好ましくは、槽は、洗濯機、食器洗浄機、又は浴槽である。
【0116】
一態様では、本発明は、生ごみ処理機を洗浄する方法であって、水が入った槽を準備することと、繊維性水溶性単位用量物品を水が入った当該槽に添加することと、当該物品を当該水に崩壊させて、洗浄溶液を形成することと、洗浄溶液を生ごみ処理機に注ぐことと、を含む、方法を包含する。生ごみ処理機は、オンサイクル又はオフサイクルのいずれかであってもよい。
【0117】
洗濯方法
本発明はまた、繊維性水溶性単位用量を使用する洗濯方法であって、少なくとも1つの水溶性単位用量を、洗浄される洗濯物と一緒に洗濯機に入れる工程と、洗浄又は洗浄操作を実施する工程と、を含む、洗濯方法を包含する。具体的には、本方法は、布地を得ることと、洗浄工程で布地を処理することと、を含み得、洗浄工程は、布地を洗浄液と接触させることを含む。洗浄液は、繊維性水溶性単位用量と洗剤用量とを水中で、300~800倍、好ましくは400~700倍希釈することによって調製され、洗浄液は、6以下のpHからなる。
【0118】
追加的に、水溶性単位用量は、すすぎ液が6以下のpHからなるように、すすぎサイクル又はすすぎサイクル容器に単独で又は追加のすすぎ剤と組み合わせて添加されてもよい。
【0119】
任意の好適な洗濯機が使用され得る。例としては、自動洗濯機、手洗い濯操作、又はこれらの混合、好ましくは自動洗濯機が挙げられる。
【0120】
当業者は、関連の洗浄操作に好適な機械を認識するであろう。水溶性単位用量は、布地添加剤、布地柔軟化剤、すすぎ補助剤などの他の組成物と組み合わせて使用され得る。
【0121】
洗浄温度は、5℃~90℃、例えば、30℃以下などであってよい。洗浄プロセスは、5~50分の持続時間を有する少なくとも1回の洗浄サイクルを含み得る。自動洗濯機は回転ドラムを含み得、少なくとも1回の洗濯サイクル中、ドラムは、15~40rpm、好ましくは20~35rpmの回転速度を有する。
【0122】
布地は、綿、ポリエステル、綿/ポリエステル混紡、又はこれらの混合物であり、好ましくは綿であり得る。
【0123】
pHの測定
本明細書において特に明記しない限り、組成物のpHは、20±2℃の組成物の未希釈pHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark-Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem-Aalst,Belgium)又は等価物が、許容可能な計器である。pH計は、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する適切なガラス電極を備えている必要がある。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液中で保管する必要がある。pHは、pHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される。更に、pHアセンブリを設定し較正するには、製造業者の説明書に従う必要がある。
【0124】
坪量試験法
±0.001gの感度限界の上皿化学天秤を使用して、12個の使用可能なユニットを積み重ねて繊維構造体の坪量を測定する。風防を使用して、天秤を気流及び他の外乱から保護する。3.500インチ±0.0035インチ×3.500インチ±0.0035インチと測定された精密切断ダイを使用して、全ての試料を調製する。
【0125】
精密切断用金型を用いて、試料を正方形に切断する。切断した正方形をまとめて、試料12個の厚さに積み重ねる。積み重ねた試料の質量を測定し、結果を0.001g単位で記録する。
【0126】
以下のように、lbs/3000ft2又はg/m2で坪量を計算する。
坪量=(積み重ねた試料の質量)/[(積み重ねた試料内の正方形1個の面積)×(積み重ねた試料内の正方形の数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft2)=[[積み重ねた試料の質量(g)/453.6(g/lbs)]/[12.25(in2)/144(in2/ft2)×12]]×3000
又は、
坪量(g/m2)=積み重ねた試料の質量(g)/[79.032(cm2)/10,000(cm2/m2)×12]
結果を0.1lbs/3000ft2又は0.1g/m2単位で報告する。積み重ねた試料の面積が少なくとも100平方インチになるように、上述のものと同様の精密カッターを使用して試料寸法を変更又は様々に変えてもよい。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
【0128】
【0129】
実施例の原材料
LASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)又はHuntsman Corpによって供給されている、平均脂肪族炭素鎖長C11~C12を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。HLASは、酸形態である。
【0130】
ASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)によって供給されているC12~14サルフェート、及び/又は中鎖分枝状アルキルサルフェートである。
【0131】
PEG-PVAcポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖及び複数のポリ酢酸ビニル側鎖を有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドのポリ酢酸ビニルに対する重量比は、約40~60であり、50のエチレンオキシド単位当たり1個以下のグラフト点である。BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能。
【0132】
エトキシル化ポリエチレンイミン(PE20)は、-NH当たり20のエトキシレート基を有する、600g/モル分子量のポリエチレンイミンコアである。BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能。
【0133】
Citrocoat(NF5000)は、Jungbunzlauer(Basel,Switzerland)から入手可能である。
【0134】
PVOH及びCelvol(登録商標)は、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas Texas)から入手可能である。
【0135】
(実施例2)
【0136】
【0137】
上記の式は、酢を含めることなく、消費者に望ましい酢の香りを送達するために使用されてもよい。この望ましい香りは、酢酸の存在によって送達される。酢酸濃度は、存在する限り、百万分率、例えば、1百万分率~10,000百万分率であってもよい。酢酸の存在により、消費者が水溶性物品を収容するパッケージを開封したとき、製品は消費者に望ましい香りを送達する。理論に束縛されるものではないが、望ましい酢のような香りは、ポリ酢酸ビニルから作製されるポリビニルアルコールの加水分解度、製造中の製品のpH、保管時の製品pH、酢酸及び/又はその塩の組み込み、製品に組み込まれる水分のレベル、及び保管時の製品の周囲水分によって制御され得る。追加的に、理論に束縛されるものではないが、ポリマーを増加又は低減させるために配合物を操作することによって、酢酸の存在、したがって、酢の臭気のレベルを増加又は低減させ得る。例えば、デンプンを含む繊維構造体は、酢酸を生成しない場合がある。
【0138】
図7に示されるように、酢酸の存在は、酢酸の質量分析標準と比較して、実施例1の水溶性物品のヘッドスペースを測定する質量分析法を使用して確認されている。
【0139】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0140】
明瞭にする目的のために、合計「重量%」値は、100重量%を超えない。