(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】マルチkWクラスの青色レーザーシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02251 20210101AFI20240109BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240109BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20240109BHJP
G02B 6/27 20060101ALI20240109BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20240109BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01S5/02251
H01S5/02253
G02B6/34
G02B6/27
G02B6/32
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2022019295
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2020523812の分割
【原出願日】2018-11-01
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】フィーヴ, ジーン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サ, マシュー, シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン, マイケル
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/203998(WO,A1)
【文献】特開2013-233556(JP,A)
【文献】特開2016-111339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0081893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトルの青色波長(400~495nm)で出力するマルチkWのレーザー放射を生成するように構成された光学装置であって、
a.M個のファイバ結合モジュールであって、該ファイバ結合モジュールがN個のサブモジュールで構成されていて、M
>1、N>1である、M個のファイバ結合モジュールを有し、
i.該サブモジュールはP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップを有し、各レンズ付き青色半導体ゲインチップが、GaN材料系であり、前端面にロックのために最適化された低い反射率を有するコーティングを有し、
ii.該低い反射率の前端面が外側を向き、速軸コリメートレンズが該レンズ付き青色半導体ゲインチップの前に取り付けられた状態で、該サブモジュールが熱伝導性サブマウントに取り付けられており、
iii.該レンズ付き青色半導体ゲインチップが、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられており、
iv.各レンズ付き青色半導体ゲインチップの偏光は、該外部キャビティ内で維持されており、
b.該ファイバ結合モジュールのそれぞれが出力ファイバを有し、各ファイバ結合モジュールの該N個のサブモジュールが、
i.該サブモジュールが、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合されて波長多重化されたセットを画定し、
ii.該波長多重化されたセットは、偏光ビームコンバイナに光学的に関連付けられ、
iii.前記波長多重化されたセットが、密閉された筐体内に含まれて、ヒートシンクに取り付けられている、
ように構成され、
c.該ファイバ結合モジュールの該出力ファイバが束ねられて単一のファイバに結合され、マルチkWの青色レーザービームを生成するようにされている、光学装置。
【請求項2】
該速軸コリメートレンズと統合され
て、該サブモジュールの波長を所定の波長にロックするようにされたボリュームブラッググレーティングを有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
該速軸コリメートレンズの後
に、該サブモジュールの波長を所定の波長にロックするボリュームブラッググレーティングを有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
遅軸コリメートレンズ、及び該遅軸コリメートレンズの後
に、該サブモジュールの波長を所定の波長にロックするボリュームブラッググレーティングを有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
該出力ファイバの前に配置されたコリメート光学系を有し、該コリメート光学系の出力が該出力ファイバに結合され、該出力ファイバが該サブモジュールのフィードバックと波長を決定するように埋め込まれたファイバブラッググレーティングを有し
、該ファイバブラッググレーティングが該サブモジュールの波長を所定の波長にロックするようにされた、請求項1に記載の光学装置。
【請求項6】
遅軸上で5mm-mrad未満のビームパラメーター積を有することを特徴とする、請求項1乃至
5の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
3.5mm-mradから5mm-mradのビームパラメーター積を有する、請求項1乃至
5の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項8】
5mm-mradから10mm-mradのビームパラメーター積を有する、請求項1乃至
5の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項9】
スペクトルの400~495nmの領域で10nm未満のスペクトル放射を有することを特徴とする、請求項1乃至
8の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項10】
1nm超であるが5nm未満、1nm超であるが10nm未満、1nm超であるが15nm未満、および1nm超であるが20nm未満からなるグループから選択されたスペクトル放射を有する、請求項1乃至
8の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項11】
該前端面の反射率は、10%未満であることを特徴とする、請求項1乃至
10の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項12】
該前端面の反射率が、10%超であるが15%未満、15%超であるが20%未満、および20%超であるが30%未満からなるグループから選択された、請求項1乃至
10の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項13】
Pが、>1、≧4、≧5、及び≧6からなるグループから選択された、請求項1乃至
12の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項14】
該レンズ付き青色半導体ゲインチップが並列または直列と並列の電気的組み合わせで接続され、該レンズ付き青色半導体ゲインチップが該サブモジュール上の電極にワイヤーボンディングされている、請求項1乃至
13の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項15】
該出力ファイバを結合するためのファイバカプラを備え、該出力ファイバがスペクトルの青色領域において低い吸収率を有していて青色光透過に対して最適化されている、請求項1乃至
14の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項16】
各サブモジュールが、該外部キャビティ内における波長ロックの後に1nm未満のスペクトル分布を有することを特徴とする、請求項1乃至
15の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項17】
各ファイバ結合モジュールが2個のサブモジュール列を有し、各列が6個のサブモジュールを有する、請求項1乃至
16の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項18】
該M個のファイバ結合モジュールが、ファイバカプラを使用してK個の入力ファイバと結合されており、K
>Mであり、該K個の入力ファイバが選択された出力ファイバ又は選択された出力ビームに対して最適化されたパッケージング配置で構成されている、請求項1乃至
17の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項19】
冷却マニホールドを備える、請求項1乃至
18の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項20】
電源を備える、請求項1乃至
19の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項21】
安全インターロックを備える、請求項1乃至
20の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項22】
光パワー監視検出器を備える、請求項1乃至
21の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項23】
温度監視センサーを備える、請求項1乃至
22の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項24】
スペクトルの青色波長(400~495nm)で発光するマルチkWのレーザー放射を生成するように構成された光学装置であって、
a.M個のファイバ結合モジュールであって、各ファイバ結合モジュールがN個のサブモジュールで構成され、M
>1、N>4である、M個のファイバ結合モジュールを有し:
i.該サブモジュールはP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップで構成され、各レンズ付き青色半導体ゲインチップが、GaN材料系であり、該レンズ付き青色半導体ゲインチップ内に組み込まれた分散型ブラッグまたはフィードバックグレーティングを有していて、動作波長を画定するようにされ、
ii.低い反射率の端面が外側を向き、速軸コリメートレンズが該レンズ付き青色半導体ゲインチップの前に取り付けられ且つ速軸コリメートレンズの後に遅軸コリメートレンズを有する状態で、該サブモジュールが熱伝導性サブマウントに取り付けられ、
iii.該レンズ付き青色半導体ゲインチップが、階段ヒートシンクに取り付けられており、
iv.該レンズ付き青色半導体ゲインチップの偏光は、該レンズ付き青色半導体ゲインチップの導波路構成によって確立されるようになされ、
b.該ファイバ結合モジュールのそれぞれが出力ファイバを有し、各ファイバ結合モジュールの該N個のサブモジュールが;
i.少なくとも2セットの2個のサブモジュールが、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合され、
ii.該2セットの波長多重化されたサブモジュールは、偏光ビーム結合によって結合されている、
ように構成され、
c.該ファイバ結合モジュールの該出力ファイバが束ねられて単一のファイバに結合され、マルチkWの青色レーザービームを生成するようにされている、光学装置。
【請求項25】
該レンズ付き青色半導体ゲインチップの出力がコリメートされてターニングミラーでビーム結合素子に向け直されるようにした、請求項1乃至
24の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項26】
該サブモジュールの出力が、コリメートされて次のビーム結合素子と整合されるようにした、請求項1乃至
25の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項27】
反応性多層フォイルを含み、該フォイルが熱パルス後に自己持続発熱反応を起こし、それにより該レンズ付き青色半導体ゲインチップを該サブモジュールに結合し、該サブモジュールを該ファイバ結合モジュールに結合するようにした、請求項1乃至
26の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項28】
ファイバベースのラマンレーザーを励起するのに十分に狭い線幅を提供するように構成された、請求項1乃至
27の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項29】
該出力ファイバを結合するためのファイバカプラを備え、すべての光学部品がスペクトルの青色領域における低吸収のために選択され、該ファイバカプラが青色光透過に対して最適化されている、請求項1乃至
28の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項30】
レーザー操作のための、請求項1乃至
29の何れか一項に記載の光学装置を使用する方法。
【請求項31】
該レーザー操作が、3D印刷、積層造形、減法/積層造形、溶接、表面処理、および切断の操作からなるグループから選択される、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
スペクトルの青色波長(400~495nm)で発光するマルチkWのレーザー放射を生成するように構成された光学装置であって、
a.M個のファイバ結合モジュールであって、該ファイバ結合モジュールがN個のサブモジュールで構成され、M
>1、N
>4である、M個のファイバ結合モジュールを有し:
i.該サブモジュールはP個の青色ゲイン素子を有し、各青色ゲイン素子が、GaN材料系であり、前端面にロックのために最適された低い反射率を有するコーティングを有し、
ii.該低い反射率の前端面が外側を向き、速軸コリメートレンズが該青色ゲイン素子の前に取り付けられた状態で、該サブモジュールが熱伝導性サブマウントに取り付けられ、
iii.該青色ゲイン素子が、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられており、
iv.各青色ゲイン素子の偏光は、該外部キャビティ内で維持されており、
b.該ファイバ結合モジュールのそれぞれが出力ファイバを有し、各ファイバ結合モジュールの該N個のサブモジュールが、
i.2セットのサブモジュールが、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合され、
ii.該サブモジュールが、偏光ビーム結合によって結合され、
iii.該サブモジュールが、密閉された筐体内に含まれて、ヒートシンクに取り付けられている、
ように構成され、
c.該ファイバ結合モジュールの該出力ファイバが束ねられて単一のファイバに結合され、マルチkWの青色レーザービームを生成するようにされている、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許法第35条§119(e)(1)に基づき、2017年11月1日に提出された米国仮出願2/580,419の提出日の利益を主張し、その開示全体は参照により本出願明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より短い波長、例えば、約350nm~約700nmの波長のレーザーエネルギーを提供する高出力レーザーシステム、ならびに材料処理およびレーザー溶接用途を含む、これらのシステムおよびレーザービームの使用に関する。
【0003】
赤外線レッド(IR)ベース(例えば、700nmを超える波長、特に1000nmを超える波長を有する)の付加製造(additive manufacturing)システムは、とりわけ、2つの短所、すなわち製造量と製造スピードの両方を制限するという短所がある。
【0004】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「UV」、「紫外線」、「UVスペクトル」、および「スペクトルのUV部分」および同様の用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、約10nmから約400nm、および10nmから400nmの波長のものを含む。
【0005】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「高出力」、「マルチキロワット」、および「マルチkW」のレーザー、レーザービーム、および同様のそのような用語は、少なくとも1kWのパワー(低出力ではない、たとえば1kW以上)、少なくとも2kW(たとえば、2kW以上)であり、少なくとも3kW(たとえば、3kW以上)、1kW超、2kW超、3kW超、約1kWから約3kW、約1kWから約5kW、約2kWから約10kWおよびこれらの範囲内並びにより大きな出力であるレーザービーム及びそれらを提供し又は伝播するシステムを意味し、それらを含む。
【0006】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「可視」、「可視スペクトル」、および「スペクトルの可視部分」という用語および同様の用語は、それらの最も広い意味を与えられるべきであり、約380nmから約750nm、および400nmから700nmの光を含む。
【0007】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「青色レーザービーム」、「青色レーザー」、および「青色」という用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、約400nmから約495nmまでの波長を有する光又はレーザーを提供する(例えば、伝播する)ダイオードレーザーなどの光源、レーザービーム、レーザーを提供するシステムを指す。
【0008】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「緑色レーザービーム」、「緑色レーザー」、および「緑色」という用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、概ね、約495nm~約570nmの波長を有する光を提供する(例えば、伝播させる)レーザーおよびダイオードレーザーなどの光源レーザービーム、レーザービーム、レーザーを提供するシステムを指す。
【0009】
一般に、本明細書で使用される「約」という用語は、別段の指定がない限り、±10%の変動または範囲、規定値の取得に関連する実験または機器の誤差、好ましくはこれらの大きい方を含むことを意味する。
【0010】
本明細書で使用する場合、別段の指定がない限り、値の範囲、約「x」から約「y」までの範囲、および同様のそのような用語および数量化の列挙には、その範囲内に入る各項目、機能、値、量、または数量が含まれる。本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、範囲内の個々のすべての点は、本明細書に組み込まれ、あたかも個別に本明細書に記載されているかのように、本明細書の一部である。
【0011】
この「背景技術」の項は、本発明の実施形態に関連し得る技術の様々な態様を紹介することを意図している。したがって、この項での前述の議論は、本発明をよりよく理解するためのフレームワークを提供し、先行技術の承認として見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、技術を進歩させ、高出力の青色、青緑色および緑色レーザーを提供および利用するという長年のニーズを解決し、IR付加製造システムとプロセスに関する長年の問題の解決策を提供し、付加製造プロセスとシステムがより普及するように、これらと他の長い間感じられていたニーズ、そして将来のニーズに対処する。本発明は、とりわけ、技術を進歩させ、本明細書に開示、教示される製品、デバイス、およびプロセスを提供することによって、これらの問題および必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
先ず、50~200μmのファイバに100ワット超のレーザービームを発射する青色(400nm~495nm)レーザーダイオードシステムが提供される。
【0014】
さらに、150μmのファイバに1000ワット超のレーザービームを発射する高出力青色(400nm~495nm)レーザーダイオードシステムが提供される。
【0015】
加えて、ラマンファイバレーザーをポンピングしまたは材料を処理するたとえば、溶接、切断、クラッディング、および3D印刷などをするための約5mm-mradのビームパラメーター積を有する高出力青色レーザーダイオードシステムが提供される。
【0016】
さらに、ラマンファイバレーザーを励起し材料を処理するために使用することができる、約10mm-mradのビームパラメーター積を有する高出力青色レーザーダイオードシステムが提供される。
【0017】
また、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングし材料を処理するために使用することができる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにスペクトル的にビーム結合される高出力青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0018】
さらにまた、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングしまたは材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにスペクトル的にビーム結合される高出力青色ダイオードレーザーシステムであって、プリズムを使用してビームをスペクトル結合するようにされている高出力青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0019】
また、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングしまたは材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するために回折素子を使用してスペクトル的にビーム結合される高出力青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0020】
さらに、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングしまたは材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにボリュームブラッググレーティングを使用してスペクトル的にビーム結合される高出力青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0021】
さらにまた、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングしまたは材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにフィルタとして誘電体コーティングを使用してスペクトル的に結合される高出力青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0022】
さらに、ラマンファイバレーザーをポンピングしまたは材料を処理するための、約5mm-mradのビームパラメーター積を有する100~1,000Wの出力の青色レーザーダイオードシステムが提供される。
【0023】
さらに、ラマンファイバレーザーをポンピングしまたは材料を処理ために、10mm-mradのビームパラメーター積を有する100~1,000W出力の青色レーザーダイオードシステムが提供される。
【0024】
また、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングし又は材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにスペクトル的にビーム結合される100~1,000W出力の青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0025】
さらに、高出力ラマンレーザーシステムを励起しまたは材料を処理するために使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにプリズムを使用してスペクトル的にビーム結合される100~1,000Wの青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0026】
さらにまた、高出力ラマンレーザーシステムを励起し又は材料を処理するために使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するために回折素子を使用してスペクトル的にビーム結合される100~1,000W出力の青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0027】
さらに、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングし又は材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するためにボリュームブラッググレーティングを使用してスペクトル的にビーム結合される100~1,000W出力の青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0028】
また、高出力ラマンレーザーシステムをポンピングし又は材料を処理するのに使用できる十分に狭い(<10nm)複合ビームを生成するために誘電体コーティングに基づく一連のダイクロイックフィルターを使用してスペクトル的にビーム結合される100~1,000W出力の青色ダイオードレーザーシステムが提供される。
【0029】
このようにして、100~1,000Wの出力で、より好ましくは約400nm~約495nmのスペクトル範囲の波長を有する最終出力レーザービームを有するマルチkWレーザービームを提供するためのレーザーシステムが提供される。このシステムは1、2、5、数10、数100のファイバ結合モジュールを含み、各モジュールには1、2、5、数10、数100のサブモジュールを有するようになっている。サブモジュールは、GaN材料系からの1、2、5、数10、数100のレンズ付き(lensed)青色半導体ゲインチップを、レーザーダイオードの安定したロックのために最適化された出力端面反射率を有しており、また、この反射率の低い端面が外側を向き、速軸コリメートレンズがゲインチップの前に取り付けられている状態で、熱伝導性の高いサブマウントにマウントされている。レンズ付き青色半導体ゲインチップは、速軸ビームレットを最適に整合するために、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられている。これらのゲインチップは、各ゲインチップの遅軸がコリメートレンズによってコリメートされるように構成されている。ボリュームブラッググレーティングを遅軸コリメータの前に配置して、レーザーに直接フィードバックを提供し、レーザーを所定の波長にロックすることができる。あるいは、ボリュームブラッググレーティングは、速軸コリメータまたは遅軸コリメータと一体であってもよい。さらに、ボリュームブラッググレーティングをターニングミラーの後に配置して、外部キャビティを形成することができる。各ゲインデバイスの偏光は、外部キャビティで維持される。
【0030】
また、100~1,000Wの出力で、より好ましくは約400nm~約495nmのスペクトル範囲の波長を有する最終出力レーザービームを有するマルチkWレーザービームを提供するためのレーザーシステムが提供される。このシステムは1、2、5、数10、数100のファイバ結合モジュールが含まれ、各モジュールには1、2、5、数10、数100のサブモジュールが含まれる。サブモジュールは、GaN材料系からの1、2、5、数10、数100のレンズ付き青色半導体ゲインチップを、出力端面の反射率がレーザーダイオードの安定したロックに最適化されるようにして有しており、また、反射率の低い端面が外側を向き、速軸コリメートレンズがゲインチップの前に取り付けられるようにした状態で、熱伝導性の高いサブマウントにマウントされている。レンズ付き青色半導体ゲインチップは、速軸ビームレットを最適に整合するために、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられている。これらのゲインチップは、各ゲインチップの遅軸がコリメートレンズによってコリメートされるように構成されている。個々のゲインチップの出力をファイバブラッググレーティングで光ファイバに結合して、素子を特定の波長にロックできる。これで、ファイバの出力はサブモジュールごとに異なる波長になり、ダイクロイックフィルター、ボリュームブラッググレーティング、透過型グレーティング、またはプリズムによってスペクトル的に組み合わせることができる。
【0031】
また、100~1,000Wの出力で、より好ましくは約400nm~約490nmのスペクトル範囲の波長を有する最終出力レーザービームを有するマルチkWレーザービームを提供するためのレーザーシステムが提供される。このシステムは1、2、5、数10、数100のファイバ結合モジュールを有し、各モジュールは1、2、5、数10、数100のサブモジュールを有する。サブモジュールは、GaN材料系からの1、2、5、数10、数100のレンズ付き青色半導体ゲインチップを有し、個々のデバイスの波長を所定の値に設定するブラッググレーティングが組み込まれている。チップは熱伝導性サブマウントに取り付けられ、出力端面の反射率が外側を向いたデバイスの出力パワーに最適化され、速軸コリメートレンズがゲインチップの前に取り付けられた状態とされる。レンズ付き青色半導体ゲインチップは、速軸ビームレットを最適に整合するために、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられる。これらのゲインチップは、各ゲインチップの遅軸コリメートレンズによってコリメートされるように構成されている。チップの出力は、サブモジュールごとに異なる波長になり、ダイクロイックフィルター、ボリュームブラッググレーティング、透過型グレーティング、またはプリズムによってスペクトル的に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明に従う、0.045nmの線幅を有する特定の波長にロックされた単一の青色ゲイン素子に対する、光スペクトル分析器によって生成されたスペクトルである。
【0033】
【
図1A】
図1Aは、
図1の0.045nmの線幅を有する特定の波長にロックされた単一の青色ゲイン素子のスペクトルを示す。
【0034】
【
図2】
図2は、本発明に従って特定の波長を確立するための一体型VBG(ボリュームブラッググレーティング)を備えたレンズ付きチップオンサブマウント(LCOS)のサブモジュールの実施形態の概略図である。
【0035】
【
図3】
図3は、本発明による、一体型VBGなしの6つのLCOSのサブモジュールの実施形態の概略図である。
【0036】
【
図4】
図4は、
図2に示されるタイプの6つのサブモジュールの2つの列を有するレーザモジュールの概略図である。
【0037】
【
図5】
図5は、
図4に示されるタイプのモジュールを7つ有する本発明に係る完全なkWクラスのレーザーシステムの概略図である。
【0038】
【0039】
【
図6】
図6は、
図3に示されるタイプのサブモジュールの2つの列を有するVBGのない高密度波長ビーム結合システムの概略図である。
【0040】
【
図7】
図7は、
図4のそれぞれのフィルタのバンドパス関数のスペクトル(x軸はナノメートル(nm)での波長であり、y軸は透過率である)である。
【
図7A】
図7Aは、
図4のそれぞれのフィルタのバンドパス関数のスペクトル(x軸はナノメートル(nm)での波長であり、y軸は透過率である)である。
【0041】
【
図8】
図8は、本発明によるスペクトルビーム結合(SBC)アセンブリの実施形態の斜視図である。
【0042】
【
図9】
図9は、
図6のフィルタのバンドパス関数のスペクトル(x軸はナノメートル(nm)での波長であり、y軸は透過率である)である。
【0043】
【
図10】
図10は、階段ベースプレート上の
図2に示されるタイプのサブモジュールの斜視図である。
【0044】
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、概括的には、高出力でより低い(lower)波長のレーザーシステム、高出力レーザービームを生じるためのビーム結合、ならびにこれらのビームの用途および使用に関する。特に、本発明の実施形態は、材料処理およびレーザー溶接用途に使用されるマルチkWクラスの青色ファイバ結合レーザーシステム、特に、約400nmから約495nmの波長範囲の波長に関する。これらのレーザーの実施形態は、複数の青色半導体ゲインチップを有し、外部キャビティにおける階段ビーム結合、波長多重化、偏光ビーム結合およびファイバビーム結合によって出力結合される。
【0046】
さらに、特に、本発明の実施形態は、400nmから495nmのスペクトル範囲、および約400nmから約495nmのスペクトル範囲で動作するマルチkWレベルの青色レーザーシステムの構造に関する。ここでのレーザーは、ビームパラメーター積(BPP)が<6mm-mrad(mm*mrad、またはmm mrad、つまりmm×mrad)を達成することができる。このタイプのレーザーは、スペクトルの青色領域に高い光吸収がある材料の処理または溶接に非常に望ましく、Cuがその一例である。このタイプのレーザーは、とりわけ、ラマンレーザーのポンピング、または希土類ドープファイバレーザーのポンピングにも非常に適している。
【0047】
本レーザーシステムの実施形態は、スペクトルの青色波長(約400から約495nm)、より好ましくは400nmから475nmの範囲の発光を有するマルチkWレーザーシステムであり、材料の処理において非常に効果的である。短い発光波長は、IRレーザー光源を使用して処理するのが困難な事実上すべての金属、特にCuとAuに対して、優先的に吸収される。多くの実施形態において、これらのシステムは、送達の容易さおよび高輝度のために、低開口数(NA)光ファイバ送達システムを使用する。本発明の好ましい実施形態では、レーザーシステムは、効率的なファイバ結合を可能にする約5mm*mradのビームパラメーター積を有する、マルチkWのレーザービームを達成する。
【0048】
本発明による当技術分野における進歩の1つであり、本発明の実施形態がそれに基づいて行われるのは、青色レーザーダイオードゲインチップの波長を、わずか0.045nm線幅の特定の波長にロックする能力である。このようなロックされた波長のレーザービームの実施形態のスペクトルは、
図1および1Aに示されている。ロック波長としては、約0.050nm以下の線幅、約0.045nm以下の線幅、約0.040nm以下の線幅、または0.050nmから0.350nmの線幅を有する約400から495nmの波長範囲のものが考えられる。青色レーザーダイオードゲインチップをロックする機能により、例えばGaNにおいて、この波長ロック結果に基づいて、モジュール式の高密度波長ビームの結合設計が可能になる。
【0049】
この狭い線幅は、たとえば、ボリュームブラッググレーティングを外部フィードバックフィルターとして使用し、前端面のコーティングの反射率を最適化することで実現される。最適化されたコーティングは、とりわけ、サブキャビティーによる寄生振動を抑制するため、狭いロックされた線幅を実現するのに役立つ。抑制されたサブキャビティーは、レーザーダイオード素子自体、またはレーザーダイオードとコリメート光学系やVBG自体などの外部光学素子との間のサブキャビティーを含む。
【0050】
本発明の実施形態は、特定の波長にロックされる個々のサブモジュールを含む拡張可能なレーザーシステムである。これらのサブモジュールは、高密度波長ビーム結合技術を使用し、続いて1つの偏光ビーム結合を使用して、サブモジュールの2番目のレッグと結合される。結果として得られるビームは、使用されるレンズと直接的にファイバ結合され、さらに他のモジュールと組み合わせて高出力パワーを達成するか、ラマンゲインファイバに結合される。
【0051】
サブモジュールの実施形態は、より低い反射率の前端面を有する複数のレンズ付き青色半導体ゲインチップからなる。半導体ゲインチップはGaN材料系内で製造され、青色および緑色のLEDと青色レーザーダイオードの製造で広く使用されている。ゲインチップは、低い反射率の端面が外側を向いた状態で、熱伝導性の高いサブマウントに取り付けられる。速軸コリメート(FAC)レンズが、速軸で放射光をコリメートするために、ゲインチップの前に取り付けられる。サブマウント上のレンズ付きチップ(Lensed Chip On Sub-mount)はLCOSと略される。
【0052】
一実施形態では、LCOS素子は、外部キャビティ内の階段構造内に取り付けられる。通常、サブモジュールには、必要なビームパラメーター積に応じて、2つ以上のLCOS素子がある。LCOS素子の遅軸は、個別の遅軸コリメートレンズ(SAC)によってコリメートされる。LCOS素子は、導電性または電気絶縁性の基板上にあってもよく、電気的に直列に、または直列/並列の組み合わせで接続できる。ワイヤーボンディングは通常、LCOS素子をサブモジュール電極に接続するために使用される。ターニングミラーは、コリメートされた光を速軸にスタックし、それを外部結合素子(たとえば、ボリュームブラッググレーティング(VBG))に中継するために使用される。ターニングミラーはまた、単一の光学素子においてSACと有利に組み合わせることができる。外部キャビティ構造での波長ロックにより、サブモジュールアセンブリのスペクトル帯域幅は1nm未満、通常0.1nm未満になる。
【0053】
一実施形態では、LCOS素子は、外部キャビティ内の階段構造内に取り付けられる。通常、サブモジュールには、必要なビームパラメーター積に応じて、2つ以上のLCOS素子がある。LCOS素子の遅軸は、個別の遅軸コリメートレンズ(SAC)によってコリメートされる。LCOS素子は、導電性または電気絶縁性の基板上にあってもよく、電気的に直列に、または直列/並列の組み合わせで接続できる。ワイヤーボンディングは通常、LCOS素子をサブモジュール電極に接続するために使用される。この実施形態では、VBGはFACに統合され、速軸でのコリメーションとGaNゲイン素子のロックの両方を提供する。外部キャビティ構造内での波長ロックにより、サブモジュールアセンブリのスペクトル帯域幅は1nm未満、通常0.1nm未満になる。
【0054】
一実施形態では、LCOS素子は、外部キャビティ内の階段構造内に取り付けられる。通常、サブモジュールには、必要なビームパラメーター積に応じて、2つ以上のLCOS素子がある。LCOS素子の遅軸は、個別の遅軸コリメートレンズ(SAC)によってコリメートされる。LCOS素子は、導電性または電気絶縁性の基板上にあってもよく、電気的に直列に、または直列/並列の組み合わせで接続できる。ワイヤーボンディングは通常、LCOS素子をサブモジュール電極に接続するために使用される。この実施形態では、VBGはSACに統合され、遅軸でのコリメーションとGaNゲイン素子のロックの両方を提供する。外部キャビティ構造内での波長ロックにより、サブモジュールアセンブリのスペクトル帯域幅は1nm未満、通常0.1nm未満になる。
【0055】
一実施形態では、LCOS素子は、外部キャビティ内の階段構造内に取り付けられる。LCOS素子は、FACレンズとSACレンズのペアによってコリメートされる。コリメートされたLCOS素子の出力は、反射型または透過型の回折グレーティング(格子)に送られる。各グレーティングからのリトロ(Littrow)反射を使用して、LCOS素子をロックするとともに、LCOS/グレーティング外部キャビティの出力をモジュール内の他のロックされた素子を組み合わせるために使用されるダイクロイックフィルターに方向転換することができる。
【0056】
特定の波長にロックされる個々のサブモジュールは、次に、バンドパス、ロングパス、ショートパスダイクロイックフィルター、VBG、または回折格子およびプリズムを使用して、より高出力のモジュールに結合される。サブモジュールをこれらの技術と組み合わせて、帯域幅が10nm未満のモジュールを作製できる。例えば、偏光ビーム結合方法を使用して一対の波長結合サブモジュールを結合することにより、出力を増大することができる。典型的なモジュールは、内部に13個以上のサブモジュールを2セット使用することができる。13のサブモジュールの各セットは、通常10nm未満の波長分散を持っている。2つのセットは、偏光ビーム結合によって結合される。この場合、広帯域波長板を使用して1つのサブモジュールグループの偏光を回転させるか、1組のイメージターニングミラーをアクロマティック偏光回転子として使用して、2つの別々のグループのサブモジュールを重ねる。次に、モジュールは、集束レンズを使用して低NAファイバにファイバ結合される。モジュールは密閉された筐体に含まれており、ヒートシンクに取り付けられる。ヒートシンクは、従来の熱交換器であるか、またはマクロチャネルまたはマイクロチャネルタイプであることができる。さまざまなタイプのヒートシンクの例は、Design of Diode Laser Heat Sinks(ダイオードレーザヒートシンク設計)Fraunhofer-Institut fur Lasertechnik ILT、(Jan 2007)、http://ilt.fraunhofer.de/ilt/pdf/eng/products/Heatsinks.pdfに示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
一実施形態では、マルチkWレベルの青色レーザーシステムは、ファイバを束ねて複数のモジュールを単一の出力ファイバに結合することによって実現される。複数のモジュールは、Nから1のファイバカプラとして指定されたファイバカプラを使用して結合される。ここでNは>1であり、目的の出力ファイバ用に最適化された幾何学的パターンに配置された入力ファイバの数である。ファイバとファイバカプラーコンポーネントは、スペクトルの青色領域での低吸収とソラリゼーションに対する高い耐性のために選択されており、ファイバカプラの製造は青色光透過用に最適化されている。
【0058】
このような光学系列に加えて、これらのマルチkWレーザーシステムの実施形態は、とりわけ、冷却マニホールド、電子機器/電源、安全インターロック、光パワー監視検出器、および温度監視センサーを含むことができる。
【0059】
本レーザーシステムで使用するのに好ましいダイオードは、一般に良好な出力、効率、および信頼性を有する青色GaNレーザーダイオードである。これらのダイオードは、本発明のレーザーシステムの実施形態において、ゲイン素子として(出力端面コーティングの反射率が整列およびロックのために最適化されて)使用される。実施形態では、サブモジュールレベルにおいて階段外部キャビティ構造にしてそれらを使用することにより、個々のレーザーの放出パワーを重ねる。階段構造は、速軸レンズが、スタックされたレーザーソースの望ましい垂直ピッチよりも大きくされた状態で、複数のレーザーダイオードソースを組み合わせるときに、レーザーダイオードビームをより高密度にパッキングできる。さらに、実施形態では、ファイバ結合モジュールレベルでサブモジュールを結合することは、サブモジュールの波長多重化によって、および偏光ビーム結合によって行われる。
【0060】
実施形態では、いくつかのモジュール(典型的には7つ)が、ファイバパワー結合によって結合される。この実施形態は、外部キャビティでの階段ビーム結合、波長多重化、偏光およびファイバパワービーム結合を使用して、各段階でアセンブリにより多くのパワーを追加する、青色のゲインチップのユニークなビーム結合シーケンスを有し、システムレベルで放出された放射輝度(明るさ)を最大化する。個別のレーザーダイオードの使用によって、システムを可能な限り最高の明るさで設計できるため、このファイバパワービームの結合方法をインコヒーレントパワー増大のために使用しながら、溶接、切断、又は他のレーザーのポンピングのできる十分な輝度のレーザー光源を生成できる。
【0061】
スペクトルの青色領域にある市販のGaNマルチモードレーザーダイオードは、シングルエミッターから数ワットの電力を達成できる(たとえば、波長範囲440-455nmで3.5W出力で定格されているNichia NDB7K75マルチモードシングルエミッターパーツを参照:製品の説明はhttp://www.nichia.co.jp/en/product/laser.html)。複数のGaN青色マルチモード半導体レーザーダイオードまたは同等のゲイン素子の出力は、輝度を最大化しながら建設的に追加され、kW出力レベルを実現する。
【0062】
一実施形態では、本レーザーシステムの開始構成要素または基本構成要素は、レンズ付きチップオンサブマウント(LCOS)ゲイン素子である。たとえば、LCOSはGaNベースの半導体ゲインチップで構成されている。GaNは、青色LEDやレーザーダイオードの製造に広く使用されている材料系である。この実施形態では、青色レーザダイオードゲイン素子は、外部キャビティ構造での波長ロックを容易にするために、前方放射端面に低い反射率(LR)のコーティング(<10%)を有する。低い反射率のコーティングは、例えば米国特許第5,050,179号、米国特許第6,208,679号、米国特許第6,192,062号、国際公開第2016/042019号に記載されているタイプの半導体レーザー外部キャビティ設計において典型的であり、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。低い反射率のコーティングは、広帯域ロックを可能にするだけでなく、レンズの整合や取り付け時にチップをレージングできるように最適化されるように選択されている。好ましくは、ゲインチップは、例えば、SiC、ダイヤモンド、Cu、CuW、またはCu-AlN-Cuなどの多くの材料から作ることができるサブマウント上にはんだ付けされる。
【0063】
青色のゲインチップは、はんだを使用してサブマウントに取り付けられるが、はんだとしては、SnおよびSnベースの合金(Au-Snなど)、またはInおよびInベースの合金、またはNanofoil(インジウムコーポレーションの熱パルス後に自己発熱反応を起こす反応性多層フォイル材料に対する登録商標)がある。ゲイン素子の速軸は、速軸コリメータ(FAC)を使用してコリメートされる。チップオンサブマウント(COS)装置はIRダイオード・システムでのアプリケーションを見つけている(たとえば、WO 2016/160547、US 9,450,377およびUS 6,044,096を参照)が、青の波長範囲のLCOSのための一般に受け入れられた商用アプリケーションとなるとは考えられていなかった。本発明に係る青用FACレンズの構成は、製造上の制約とサブマウントサイズによって決まる高さの考慮事項を含むことができる、固有の波長範囲、ゲインチップ設計に合わせて調整されている。
【0064】
一般に、レーザーダイオードの階段ビーム結合は、US2004/0114648、US7,738,178、US7,7339,32、US7,668,214、US7,773,655、US8,427,749、US8,432,945、US8,437,086、US9,373,932およびUS9,318,876に教示および開示されており、それぞれの開示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0065】
本発明の実施形態では、レーザーダイオードの階段ビーム結合は、青色GaN発光レーザーダイオードまたは青色GaNゲインチップ(低反射(LR)被覆チップ)用であり、好ましくは、ゲインチップが外部キャビティ内に配置される構成用である。
【0066】
本発明の実施形態は、外部キャビティ構造内で青色LR被覆ゲインチップを使用し、外部結合素子としてボリュームブラッググレーティング(VBG)を使用する。一実施形態では、ビーム結合方法は、例として、外部キャビティ内での階段ビーム結合、外部キャビティ内でのパターン化ミラー結合、10nm帯域幅内での多重化による波長ビーム結合、偏光ビーム結合、ファイバ結合、および統合されたシステムを実現するためのそれらの結合又は変形を含み、好ましくは、5kW-mrad未満のビームパラメーター積を有するマルチkWの青色波長を提供する。
【0067】
本発明の実施形態で使用することができるVBGは、例えば、米国特許第7,394,842号および米国特許第7,031,573号に記載されており、それらの全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態で使用することができるファイバカプラ/スプリッタは、例えば、米国特許第7,218,828号および米国特許第7,532,792号に開示されており、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本発明の実施形態は、受動的に冷却することができ(例えば、冷却媒体を強制的に移動しない、ヒートシンク、周囲空気、またはその両方)、または能動的に冷却することができる。能動的冷却の例は、空気などのガスや水などの液体冷却流体をダイオードと熱接触して流すことを含む。レーザーダイオード用の水冷システムは、米国特許第9,413,136号に開示されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0069】
ある実施形態では、光学装置は、スペクトルの青色波長(400~495nm)の発光を伴う数kWのレーザー放射を生成するように構成され、この光学装置は:
【0070】
a)M>1およびN>1であるとして、各モジュールがN個のサブモジュールで構成されるファイバ結合モジュールをM個含む:ここで(i)サブモジュールは、GaN材料系のP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップで構成され、該ゲインチップの前端面はロックのために最適化されているより低い反射率のコーティングが施されており;(ii)サブモジュールは、より低い反射率の端面が外側を向き、速軸コリメートレンズがゲインチップの前に取り付けられた状態で、熱伝導性サブマウントに取り付けられており;(iii)レンズ付き青色半導体ゲインチップは、該ゲイン素子の波長を所定の波長に最適にロックするために、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられており;(iv)各ゲインデバイスの偏光は、外部キャビティ設計内で維持され;
【0071】
b)ファイバ結合モジュールは、複数のサブモジュールを含む;ここで(i)2セット以上のサブモジュールが、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合されており;(ii)一方、波長多重サブモジュールの2つのセットが、偏光ビーム結合によって結合され;(iii)前述の複数のモジュールは、密閉された筐体内でヒートシンクに取り付けられており;そして、
【0072】
c)複数のモジュールのファイバが束ねられて単一の出力ファイバに結合され、KWレベルの青色レーザーシステムを生成するようになっている。
【0073】
これらのレーザーシステム、モジュール、サブモジュールおよび方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。光学装置のゲイン素子の出力はコリメートされ、ターニングミラーで次のビーム結合素子に向け直される。光学装置のゲイン素子の出力はコリメートされ、次のビーム結合素子と位置合わせされる。より低い反射率の端面を外側に向けたGaNゲイン素子と、速軸コリメートレンズと統合されたボリュームブラッググレーティングを有する。より低い反射率の端面が外側を向いているGaNゲイン素子と、速軸コリメートレンズの後のボリュームブラッググレーティングとを有する。より低い反射率の端面が外側を向くGaNゲイン素子と、遅軸コリメートレンズの後のボリュームブラッググレーティングとを有する。より低い反射率の端面が外側に向けられたGaNゲイン素子と、遅軸コリメートレンズの後にリトロ構成で動作する反射回折格子を使用し、出力をダイクロイックフィルターに方向転換する。より低い反射率の端面が外側を向くGaNゲイン素子と、ゲイン素子にフィードバックを提供し、出力をダイクロイックフィルターに方向転換するためにミラーと組み合わせて動作する透過型回折格子を含む。より低い反射率の端面を外側に向けたGaNゲイン素子と、光ファイバに結合される出力を有するコリメート光学システムを含み、光ファイバがGaNゲインのフィードバックと波長を決定するように埋め込まれたファイバブラッググレーティングを有する。装置は速軸上で<3.5mm*mradのビームパラメーター積を有するレーザービームを提供するように構成されていることを特徴とする。装置は遅軸上に5mm*mrad未満のビームパラメーター積を有するレーザービームを提供するように構成されていることを特徴とする。装置は、全体で3.5mm-mrad超であるが5mm-mrad未満のビームパラメーター積を有するレーザービームを提供するように構成されていることを特徴とする。装置は、全体で5mm-mrad超であるが10mm-mrad未満であるビームパラメーター積を有するレーザーパラメータを提供するように構成されていることを特徴とする。装置は、400~495nmのスペクトル領域で10nm未満のスペクトル放射を提供するように構成されていることを特徴とする。装置は、1nm超であるが5nm未満、1nm超であるが10nm未満、1nm超であるが15nm未満、および1nm超であるが20nm未満のスペクトル放射を提供するように構成されることを特徴とする。ゲインチップの前端面の反射率が10%未満であることを特徴とする。ゲインチップの前端面の反射率は、10%を超えるが15%未満、15%を超えるが20%未満、20%を超えるが30%未満のグループから選択されることを特徴とする。各サブモジュールのサブマウントにP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップがあり、Pが1より大きいことを特徴とする。レンズ付き青色GaNベースの半導体ゲインチップは、電気的に直列にまたは直列/並列の電気的組み合わせで接続され、サブモジュール電極にワイヤーボンディングされていることを特徴とする。特徴としては、スペクトルの青色領域での吸収が少ないようにファイバを選択する必要があり、ファイバカプラの製造を青色光透過用に最適化する必要がある。特徴として、各サブモジュールは、外部キャビティ構造内での波長ロックに続いて1nm未満のスペクトル分布を有する。モジュール内に12セットのサブモジュールが2セットあることを特徴とする。M個のモジュール(M>1)が、選択した出力ファイバまたは出力ビーム用に最適化された任意の幾何学的パッケージング配置で、1つのファイバカプラを使用してK個の入力ファイバ(K>M)に結合される。特徴として、kWレーザーシステムが冷却マニホールドを有する。特徴として、kWレーザーシステムがエレクトロニクス/電源を含む。特徴として、kWレーザーシステムが安全インターロックを含む。特徴として、kWレーザーシステムが光パワー監視検出器を有する。そして、特徴として、kWレーザーシステムが、温度監視センサーを含む。
【0074】
ある実施形態では、光学装置は、スペクトルの青色波長(400~495nm)の発光を伴う数kWのレーザー放射を生成するように構成され、該光学装置は:
【0075】
a)M個のファイバ結合モジュールであり、各モジュールはN個のサブモジュールで構成され、ここでM>1、N>1であり、(i)サブモジュールは、GaN材料系のP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップで構成され、前端面にコーティングが施されており、反射率が低く、ロックに最適化されており;(ii)サブモジュールは、より低い反射率の端面が外側を向き、速軸コリメートレンズがゲインチップの前に取り付けられた状態で、熱伝導性サブマウントに取り付けられ、;(iii)レンズ付き青色半導体ゲインチップが、速軸ビームレットを最適に整合するために、外部キャビティ内の階段ヒートシンクに取り付けられており、(iv)各ゲインチップが、遅軸コリメートレンズによってコリメートされる遅軸を有し、ターニングミラーによって放射が出力カプラーに向けられるようにされており;そして、(v)各LCOSが、ダイクロイックフィルターによって整合され、出力カプラーが、ゲイン素子のそれぞれにフィードバックを提供し、ダイクロイックフィルター素子が、各LCOSアセンブリの動作波長を決定する;
【0076】
b)ファイバ結合モジュールは、複数のサブモジュールを含む:(i)2セットのサブモジュールは、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合され、(ii)2セットの波長多重サブモジュールは、偏光ビーム結合によって結合され;(iii)前述のモジュールは、密閉された筐体に含まれて、能動的に冷却されるヒートシンクに取り付けられている;そして、
【0077】
c)複数のモジュールのファイバが束ねられて単一の出力ファイバに結合され、KWレベルの青色レーザーシステムを生成する。
【0078】
これらのレーザーシステム、モジュール、サブモジュールおよび方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。すなわち、特徴として、速軸上で3.5mm*mrad超のビームパラメーター積を有する。特徴として、ビームパラメーター積が遅軸上に5mm*mrad未満;ビームパラメーター積が全体で3.5mm-mradを超えるが5mm-mrad未満;ビームパラメーター積が全体5mm-mradを超えるが10mm-mrad未満である。特徴としては、スペクトルの400~495nmの領域で10nm未満のスペクトル;1mを超えるが5nm未満、1nmを超えるが10nm未満、1nmを超えるが15nm未満、1nmを超えるが20nm未満のスペクトルである。特徴として、ゲインチップの前端面の反射率が10%未満;ゲインチップの前端面の反射率が10%を超え15%未満、15%を超え20%未満、20%を超え30%未満である。特徴として、各サブモジュールのサブマウントにP個のレンズ付き青色半導体ゲインチップがあり、Pが1より大きいことを特徴とする。特徴として、レンズ付き青色GaNベースの半導体ゲインチップが、電気的に直列に、または直列/並列の電気的組み合わせで接続され、サブモジュール電極にワイヤーボンディングされている。特徴としては、スペクトルの青色領域での吸収が少ないようにファイバを選択する必要があり、ファイバカプラの製造を青色光透過用に最適化する必要がある。特徴として、各サブモジュールは、外部キャビティ構造内での波長ロックに続いて1nm未満のスペクトル分布を持つ。特徴として、モジュール内に12セットのサブモジュールが2セットある。M個のモジュール(M>1)が、選択した出力ファイバまたは出力ビーム用に最適化された任意の幾何学的パッケージング配置で、ファイバカプラを使用してK個のファイバ(K>M)と結合される。kWレーザーシステムには次のものが含まれる。特徴として、kWレーザーシステムが冷却マニホールドを有する。特徴として、kWレーザーシステムがエレクトロニクス/電源を含む。特徴として、kWレーザーシステムが安全インターロックを含む。特徴として、kWレーザーシステムが光パワー監視検出器を有する。そして、特徴として、kWレーザーシステムが、温度監視センサーを含む。
【0079】
一実施形態では、光学装置は、スペクトルの青色波長(400~495nm)の発光を伴う数kWのレーザー放射を生成するように構成され、光学装置は、以下の特徴を含む:
【0080】
a)M個のファイバ結合モジュールであり、各モジュールはN個のサブモジュールで構成され、ここでM>1、N>1であり;(i)サブモジュールは、GaN材料系からのP個のレンズ付き青色半導体レーザーチップで構成され、その動作波長を選択するために分散型ブラッグまたはフィードバックグレーティングがGaNチップに統合されており、(ii)サブモジュールは、より低い反射率の端面が外側を向き、速軸コリメートレンズがレーザーの前に取り付けた状態で、熱伝導性の高いサブマウントに取り付けられ;(iii)熱伝導性ヒートシンクに取り付けられ、速軸コリメートレンズの後に遅軸コリメートレンズが設けられ、(iv)レンズ付き青色半導体レーザーは、階段のヒートシンクに取り付けられ(v)各レーザーデバイスの偏光は、レーザーデバイスの導波路構成によって確立される;
【0081】
b)ファイバ結合モジュールは、複数のサブモジュールを含み:ここで(i)2セット以上のサブモジュールが、帯域幅が10nm未満の波長多重化によって結合され、(ii)2セットの波長多重サブモジュールは、偏光ビーム結合によって結合され、(iii)前述のモジュールは、密閉された筐体に含まれ、ヒートシンクに取り付けられる;そして
【0082】
c)複数のモジュールのファイバが束ねられて単一の出力ファイバに結合され、KWレベルの青色レーザーシステムを生成する。
【0083】
これらのレーザーシステム、モジュール、サブモジュールおよび方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる。光学装置のゲイン素子の出力は平行にされ、ターニングミラーで次のビーム結合素子に向け直される。光学装置のゲイン素子の出力は平行にされ、次のビーム結合素子と整合される。反応性多層フォイルを含み、フォイルは、熱パルスの後に自己持続的な発熱反応を起こす。個々のLCOSアセンブリをサブモジュールに結合し、サブモジュールをモジュールに結合する。フォイルは(Indium Corporationにより提供される)NANOFOILである。ファイバベースのラマンレーザーを励起するために十分に狭い線幅を提供するように構成される(溶融シリカの場合は10nm未満、リン酸塩をドープしたガラスの場合は3nm未満)。そして、特徴として、スペクトルの青色領域での吸収が少ないようにすべての光学部品を選択する必要があり、ファイバカプラの製造は青色光の透過に対して最適化する必要があり;光学部品の1つ以上は、スペクトルの青色領域における低吸収のために選択され、ファイバカプラの製造は青色光透過のために最適化されなければならない。
【0084】
これらのレーザーシステム、モジュール、サブモジュールの実施形態は、レーザー動作を予備形成する。これらのレーザーシステム、モジュール、サブモジュールの予備成形レーザー操作の実施形態では、レーザー操作は、3D印刷、積層造形、減法/積層造形、溶接、表面処理、および切断を含む操作のグループから選択される。
【0085】
以下の例は、本レーザーシステムおよび本発明の構成要素の様々な実施形態を例示するために提供される。これらの例は、例示を目的としたものであり、予言的なものである可能性があり、限定するものと見なされるべきではなく、本発明の範囲を制限しない。
【0086】
例1
【0087】
アセンブリ(例えば、サブモジュール)100の実施形態は、6つのサブマウント上レンズ付きチップ(LCOS)の構成であり、
図2に概略的に示されている。サブモジュール100において、各LCOSはゲイン素子101a、101b、101c、101d、101e、101fを有し、それらはそれぞれ、例えば181aなどのレーザービーム経路に沿って進行するレーザービーム、例えば180aを生成する(レーザービームはレーザービーム経路上にあり、すなわちレーザービーム経路と一致しているため、単一の矢印として示されている)。ゲイン素子101a~101fを単一の素子にロックする能力は、好ましくは各GaNゲイン素子101a~101f上にある、より低い反射率(LR)端面コーティング、例えば、102aによって強化される。ゲイン素子101a~101fのそれぞれは、例えば103aなどの速軸コリメートレンズと、たとえば104aなどの遅軸コリメートレンズを有する。各ゲイン素子101a~101fは、例えば105aのようなターニングミラーを有する。このようにして、レーザービームおよびレーザービーム経路はそれぞれ、例えば101aなどのゲイン素子から、103aなどの速軸コリメータ(FAC)、次に、104aなどの遅軸コリメータ(SAC)を通って、次に、例えば、105aなどのターニングミラーに至る。第1のターニングミラー105aは、レーザービーム経路およびレーザービームを第2のターニングミラー105b及びそれに続く後続のターニングミラーに向ける(方向転換する)。方向転換されたレーザービーム180a’およびレーザービーム経路181a’は、後続のターニングミラー、例えば、105bによって、他のゲイン素子101b、101c、101d、101e、101fからのレーザービームおよびレーザービーム経路と組み合わされる。次に、方向転換されて組み合わされたレーザービームおよびレーザービーム経路は、VBG106を通って出る。
【0088】
VBG106は、サブモジュール100の出口にあり、サブモジュール100上のすべてのゲイン素子を単一の波長にロックするためのものである。VBGはFACまたはSACに統合できる。同様に、ロッキング素子である回折格子が、この図に示されているターニングミラーである場合があり、これにより、VBGの必要がなくなる。
【0089】
LOCSは、ヒートシンクとしても機能することができる、例えば、サブマウント(
図1には図示せず)などのベース上に組み立てることができる。
【0090】
2、3、4、5、7、8、9、10、数十、および数百のゲイン素子が、単一のサブモジュールまたはアセンブリで使用され得ることが理解される。さらに、
図2の実施形態に示されるようなビーム経路に沿った光学部品が好ましいが、他の実施形態では、1つのゲイン素子からのいくつかのレーザービーム経路が、
図2の実施形態に示されるようなビーム経路に沿った光学構成要素の必ずしもすべてを有していないものとすることができる。
【0091】
図2の実施形態は、例えば、
図1および1Aに示されるように単一のGaNゲイン素子を特定の波長にロックすることによって達成されるレーザービームを提供することができ、外部キャビティレーザーは0.045nmの線幅で動作する。この線幅は、本明細書に記載されている高密度波長ビーム結合方法の要件の実施形態をはるかに下回っている。
【0092】
例1A
【0093】
図2のサブモジュールの実施形態では、1つ以上およびすべてのビーム経路に沿って配置されるバックバイアス保護のためのツェナーダイオードを含む。
【0094】
例1B
【0095】
図2のサブモジュールの実施形態では、遅軸コリメート(SAC)レンズ104は、ターニングミラー105から分離されている。一実施形態では、サブモジュールの設計目標に応じて、軸外放物線アプローチ(off-axis parabola approach)を使用して2つを組み合わせるか、又はSACレンズをターニングミラーの後に取り付けることができる。
【0096】
例2
【0097】
図3を参照すると、個々のダイクロイックミラーと共通の出力カプラーとの組み合わせによってゲイン素子をロックすることを可能にするアセンブリの実施形態の概略図が示されている。この実施形態では、サブモジュールなどのアセンブリは、該サブモジュールに統合された6つのLCOS、3000a、3000b、3000c、3000d、3000e、3000fを含み、ベース3300(たとえば、ベースプレート、ヒートシンク、取り付けブロック)に取り付けられている。6つのLCOSのそれぞれは、より低い反射率(LR)の端面コーティング3102を有するゲイン素子3101、FAC3103、SAC3104、ならびにターニングビーム結合素子3105を有する。
【0098】
例3
【0099】
図4を参照すると、ベース200上のレーザモジュール290の概略図が示されている。レーザモジュール290は、LCOSサブモジュールの2つの列291、292を有する。この実施形態では、各列291、292は、6つのLCOSサブモジュールを有する。この実施形態では、12のLCOSサブモジュールはすべて、
図1の実施形態のサブモジュール100である。より多いまたはより少ない列、より多いまたはより少ないサブモジュール、および同じまたは異なるタイプのサブモジュールが使用することができることが理解される。
【0100】
サブモジュールは、一連の結合光学素子、例えば、ダイクロイックフィルター、VBGまたは回折格子と光学的に結合される。すなわち、この実施形態では、列292の各サブモジュール(例えば、100)は、それらのレーザービーム経路およびレーザーを、ダイクロイックフィルター201a、202a、203a、204a、205a、206aに向け、これらは、レーザービーム経路186aに沿った結合レーザービーム185aを形成する。列291の各サブモジュールは、レーザービームパスとレーザーをダイクロイックフィルター201、202、203、204、205、206に向け、レーザービームパス186に沿った結合レーザービーム185を形成する。(図面では、レーザービームがレーザービームの経路に沿って進むので、レーザービームとその経路の両方について1本の線のみが示されている。)
【0101】
各ダイクロイックフィルターの通過帯域関数は
図7および7Aに示されている(同様の番号は、対応するフィルタを示す)。フィルタ202、202aは、440.5nmでの下限カットオフおよび447.25nmでの上限カットオフを有する、公称446nmの波長ビーム用である。フィルタ203、203aは、441.5nmでの下限カットオフ、448.25nmでの上限カットオフを有する、公称447nm波長ビーム用である。フィルタ204、204aは、442.5nmでの下限カットオフ、449.25nmでの上限カットオフを有する、公称448nmの波長のビーム用である。フィルタ205、205aは、443.5nmでの下限カットオフおよび450.25nmでの上限カットオフを有する、公称449nmの波長ビーム用である。フィルタ206、206aは、444.5nmで下限カットオフ、451.25nmで上限カットオフを有する、公称450nmの波長ビーム用である。(下限と上限のカットオフは、透過率がゼロから変化する、またはゼロに変化するスペクトル内のポイントを指す。)
【0102】
従って、各通過帯域は重ねられて、各バンドパスフィルタの赤いエッジに透過ウィンドウが作成される。ダイクロイックフィルターの順序を逆(206、206aから201、201a)にすることで、通過帯域を各バンドパスフィルタの青いエッジにシフトできる。バンドパスフィルタ関数は、薄膜コーティングモデルを使用して計算され、エッジの急勾配と透過に対して最適化される。透過ウィンドウは、約0.75nmだけずらすことができ、また、たとえば、0.8nm~3nm、0.8nm~1.8nm、約0.8nm、約1.0nm、約1.5nmなど、さらに多くのずらし位置を使用することもできる。
図7に示す実施形態では、透過窓は1nmずつずらされている。この実施形態で使用されるフィルタは、バンドパス、ローパス、またはハイパスであり得、いくつかのバンドパスフィルタは、より急なエッジ遷移を提供でき、したがって、現在市場に出ている他のどのレーザーよりも波長の組み合わせがより密になる。サブモジュールがすべて同一直線上に配置された後、列292と列291からの出力は偏光状態で互いに重なり合っている。したがって、列292からの出力レーザービーム185aおよび列291からの出力レーザービーム185は、重なり合う偏光関係で組み合わされる。この関係は、ビーム185およびビーム経路186を受けてビーム185およびビーム経路186を偏光回転素子209に向けるターニングミラー207によって行われる。偏光ビームスプリッタ208は、レーザービーム185aおよびビーム経路186aを受けてそれらをビーム185および経路186と組み合わせて、ビーム経路188に沿うさらに組み合わされたレーザービーム187を提供する。組み合わされたレーザービーム187は光学素子210、例えばレンズ、によって光ファイバ211内に出射される。このレンズは、組み合わされたビームの帯域幅(~10nm)の単一の点にすべてのサブモジュールを集束させるように設計されている。このタイプのレンズは、光学部品の速度に応じて、たとえば、非球面レンズ、単純なダブレットレンズ、またはクックトリプレットレンズにすることができる。これらの素子、例えば209、208、210、211によって伝達される高いレーザー出力により、出力ビームの加熱と歪みを最小限に抑えるために、それらは光学的に接触され、空間的に開けられ、またはその両方の構成とすることができる。
【0103】
例4
【0104】
図10において(
図2における数字と同じ数字は同じものを示しており)、
図2に示されるタイプのLCOSサブモジュール100が、ヒートシンクとしても機能する階段状の段付きサブマウント107上に組み立てられている。(ビーム経路およびレーザービームが
図10に示されているが、それらは簡単にするために参照番号による表示はされていないが、
図2と同じのビーム経路のものである)。サブモジュール100は、6つのLCOSアセンブリまたは素子を有する。各LCOSは、例えば101aなどのゲイン素子、103aなどのFAC、104aなどのSAC、および105aなどのターニングミラーを有する。第1のターニングミラー105aは、レーザービーム経路およびレーザービームを第2のターニングミラー105b及びそれに続く後続のターニングミラーに向ける(方向転換する)。方向転換されたレーザービームおよびレーザービーム経路は、後続のターニングミラー、例えば、105bによって、他のゲイン素子からのレーザービームおよびレーザービーム経路と組み合わされる。方向転換されて組み合わされたレーザービームおよびレーザービーム経路は、VBG106を通って出る。
【0105】
6つのLCOS素子は、例えばめっきされたCuヒートシンクのようなヒートシンクであり得るベース107上に取り付けられる。光ビームは、遅軸コリメート(SAC)レンズを使用して遅軸にコリメートされる。ビームはターニングミラーによって反射され、それらはボリュームブラッググレーティング(VBG)106に向けられる。VBGは、半導体ゲイン素子とVBGの間に形成された外部キャビティのアウトカップリングミラーである。ダイオードの数によって、モジュールの開口数とスポットサイズ、またはモジュールの明るさが決まる。この例では、約5mm-mradのビームパラメーター積を提供するように最適化されている。
【0106】
例5
【0107】
一実施形態では、
図4のSBCモジュールは、ベース200の両側に取り付けられたN個のサブモジュールまたは同等の要素を含む。このパッケージのベースは、Cuまたは同等の熱伝導性材料から作られており、マクロチャネルまたはマイクロチャネルタイプの流体冷却ヒートシンクに取り付けられている。
【0108】
例6
【0109】
図8を参照すると、
図10に示されるタイプの26のサブモジュールを含むスペクトルビーム結合(SBC)モジュール600の実施形態の斜視図が示されている。すなわち、サブモジュールがそれぞれ13の2つの列602、603とされてベース601に取り付けられている。各列の各モジュールは、一連のダイクロイックミラー、例えば、604、605、606を有する。これらのミラーは、例えば、概して
図7および7Aの線に沿って、波長分布を有する各サブモジュールの前に配置されている。このように、26のダイクロイックミラーがあり、それぞれが対応するサブモジュールに関連付けられている。ダイクロイックミラーは、サブモジュールからの狭いスペクトル放射(通常0.75nm幅)を反射し、他の波長の透過を許容する。波長は多重化され、10nmほどの幅のすべての発光波長の合計である。ターニングミラー607は、列602の13個のサブモジュールからの多重化されたビームを、偏光ビーム結合光学素子609に向けて反射する。
【0110】
2つの列からのレーザービームは、偏光回転半波長板および偏光ビーム結合ビームスプリッタからなる偏光結合光学系609を使用して結合される。広帯域半波長板と偏光ビーム結合キューブを光学的に接触させて、コンパクトなビーム結合器アセンブリを形成している。結合されたビームは、ファイバ結合光学系620によって成形され、最終的に光ファイバ621に結合される。
【0111】
例7
【0112】
図5を参照すると、
図4に示されるタイプの7つのSBSモジュールを有する完全なKWクラスのレーザーシステム500の実施形態の概略図が示されている。各SBCモジュール、例えば501は、
図4に示されるタイプでありファイバで結合されている。ファイバコンバイナ301は、7本のファイバ、例えば302を単一の送達ファイバ303に結合するために使用される。ここで、SBCモジュールファイバ302は50μmの直径を有し、一方送達ファイバ303は例えば約150μmの直径を有する。モジュールファイバの数とサイズ、各サブモジュールのゲイン素子の数などの要因に応じて、送達ファイバの直径は、たとえば約75μmから約400μm、またはそれ以上が想定される。
【0113】
ファイバコンバイナによって光学的に結合されるこのレーザーシステムの実施形態において、このコンバイナは、たとえば、光ファイバの密な六角形のパッキング原理に基づくものとされる。
【0114】
図5Aは、
図5の構成の概略ブロック図であり、(同様の番号は同様の構成要素に対応しており)、ファイバコンバイナ301aの詳細概略図が示されている。
【0115】
例8
【0116】
図6を参照すると、VBGを使用することなく高密度波長ビーム結合システムを構築する方法の実施形態の概略図が示されている。
図6には、ベース590上のレーザモジュール500の概略図が示されている。レーザモジュール500は、2列のLCOSサブモジュールを有する。この実施形態では、各列は6つのLCOSサブモジュールを有する。この実施形態では、12個のLCOSサブモジュールはすべて、
図3に示される実施形態のサブモジュールである。より多いかまたはより少ない列、より多いかまたはより少ないサブモジュール、および同じかまたは異なるタイプのサブモジュールを使用することができる。
【0117】
ここで、個々のサブモジュールはすべて同一直線上に配置され、共通の出力カプラー501は、ダイクロイックフィルター501~506の対によってサブモジュールのそれぞれにフィードバック信号を提供する。これらのビームは、レーザービームおよびビーム経路を受けて偏光回転素子509に向けるターニングミラー507と組み合わされる。そして、偏光ビームスプリッタ508は、このレーザービームとビーム経路を受けて、それらを507からの他のビームと経路と結合する。結合されたビームは、光学素子510、例えばレンズによって光ファイバ511に出射される。このレンズは結合されたビームの帯域幅(~10nm)のすべてのサブモジュールを1点に集束するように設計されている。このタイプのレンズは、光学コンポーネントの速度に応じて、たとえば、非球面レンズ、単純なダブレットレンズ、クックトリプレットレンズにすることができる。これらの素子によって伝達される高いレーザー出力により、光学的に接触、エアスペース、またはその両方が行われる場合がある。
【0118】
図9は、
図6の構成の、個々のソースのそれぞれに対する往復の伝達関数、従って各ソースの振動帯域幅がどう確立されるかを示しており、レーザー空洞の定義によりそれらのすべてのビームが同一線上で全出力の複合ビームとなるようにされている。これらのビームは、前の例と同じ方法で、偏光ビーム回転子を使用し、その後に偏光ビーム結合キューブまたはペリクルを使用して結合できる。
【0119】
例9
【0120】
図11に示すLCOSは、より低い反射率のコーティング1102を備えたゲイン素子1101、バックバイアス保護のためのツェナーダイオード1110、速軸コリメートレンズ1103、およびサブマウント1111を含む。
【0121】
本発明の実施形態の主題であるか、またはそれに関連する、新規で画期的なプロセス、材料、性能、または他の有益な特徴および特性の基礎となる理論を提供または対処する必要がないことに留意されたい。それにもかかわらず、この分野の技術をさらに進歩させるために、本明細書ではさまざまな理論が提供されている。本明細書に記載されている理論は、特に明記されていない限り、請求された発明に与えられる保護の範囲を決して限定、制限、または狭めない。これらの理論は、本発明を利用して必要とされたり、実施されたりすることはあまりない。さらに、本発明は、本発明の方法、物品、材料、デバイス、およびシステムの実施形態の機能特徴を説明するための、これまで知られていない新しい理論につながる可能性があることを理解されたい。そして、そのような後に開発された理論は、本発明に与えられた保護の範囲を制限しないものとする。
【0122】
本明細書に記載されているシステム、機器、技術、方法、活動および操作の様々な実施形態は、本明細書に記載されているものに加えて、他の様々な活動および他の分野で使用され得る。さらに、これらの実施形態は、例えば、以下で使用することができる。将来開発される可能性がある他の機器または活動。そして、この仕様の教示に基づいて部分的に変更される可能性のある既存の機器または活動。さらに、本明細書に記載されている様々な実施形態は、異なる様々な組み合わせで互いに使用することができる。したがって、例えば、本明細書の様々な実施形態で提供される構成を互いに使用することができる。また、本発明が提供する保護の範囲は、特定の実施形態、例、または特定の図に記載されている特定の実施形態、構成または配置に限定されるべきではない。
【0123】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に開示されたもの以外の形態で具体化することができる。説明された実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。