(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】発光素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240109BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240109BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/54
(21)【出願番号】P 2022084212
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2017018208の分割
【原出願日】2017-02-03
【審査請求日】2022-05-24
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チン-タイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ,ジュ-リエン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ミン-シュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャウ-イ
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,シィ-アン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジィ-ハオ
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-340516(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0030887(KR,A)
【文献】国際公開第2012/121372(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/141226(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/163325(WO,A1)
【文献】特開2014-212320(JP,A)
【文献】特開2014-052606(JP,A)
【文献】特開2007-142268(JP,A)
【文献】特開2011-243977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
G02F 1/00-1/125
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/21-7/00
G02B 5/20-5/28
H05B 33/00-33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であって、
上表面、下表面、及び前記上表面と前記下表面との間に位置する側壁を含む第一発光ユニット;
第二発光ユニット;
前記第一発光ユニットと前記第二発光ユニットとの間に位置し、かつ前記側壁を取り囲む絶縁層;
前記第一発光ユニットの前記上表面上に位置する第一波長変換層;
前記第二発光ユニット上に位置し、かつ前記第一波長変換
層とは異なる材料を含む第二波長変換層;
前記第一波長変換層を取り囲む吸光層;
前記第一波長変換層を完全に覆う光フィルタリング層;及び
前記第一波長変換層及び前記第二波長変換層を覆うバリヤー層を含
み、
前記第一発光ユニット及び前記第二発光ユニットは青色光を発し、
前記バリヤー層は前記第一波長変換層及び前記第二波長変換層に直接接触せず、かつ前記バリヤー層の最外側の表面は前記吸光層の最外側の表面と共平面である、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記光フィルタリング層は前記第一波長変換層及び前記第二波長変換層を同時に覆う、発光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第一発光ユニット及び前記第二発光ユニットは同じ波長の光を発する、発光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記絶縁層は前記第一発光ユニットからの光を反射する、発光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発光装置であって、
第三発光ユニットをさらに含み、
前記第三発光ユニットは任意の波長変換層により覆われず、前記吸光層は前記第二波長変換層の側表面を覆う、発光装置。
【請求項6】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記光フィルタリング層は前記吸光層の上に位置する、発光装置。
【請求項7】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第一発光ユニットが発する光は第一ピーク値を有し、前記第一ピーク値の波長は425nm未満である、発光装置。
【請求項8】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記第一波長変換層は基質及び量子ドット材料を含み、前記量子ドット材料は前記基質に分散している、発光装置。
【請求項9】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記バリヤー層は載置基板を含む、発光装置。
【請求項10】
請求項1に記載の発光装置であって、
前記光フィルタリング層は、前記第一発光ユニットが発した、前記第一波長変換層により吸収されない光を阻止するために用いられる、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを含む発光素子に関し、特に、蛍光粉層及び応力リリース層を有する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light-emitting diode;LED)は、省エネ、寿命が長く、体積が小さいなどの利点を有するため、各種の照明応用において伝統的な白熱灯及び蛍光灯の代わりに用いられている。
【0003】
発光ダイオード自体や発光ダイオードを含む発光素子は、各種の照明に応用される場合、発光強度及び信頼性の他に、出光方向(光の出す方向)、ライトフィールド(light field)分布及び各方向上での色均一度も、照明器具選択時に考慮すべきものである。
【0004】
発光ダイオード又は発光素子は、さらに、他の素子と組み合わせて接続することにより、発光装置(light-emitting device)を形成することができる。発光装置は、少なくとも回路を有するサブマウント(sub-mount);上述のサブマウントに位置する少なくともはんだ(solder)であって、このはんだにより、上述の発光素子をサブマウントに接着固定し、発光素子の基板とサブマウントの回路との電気接続を形成するもの;及び、発光素子の電極とサブマウントの回路とを電気接続する電気接続構造を含む。そのうち、上述のサブマウントは、リードフレーム(lead frame)又は大きいサイズの実装基板(mounting substrate)であっても良い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、蛍光粉層及び応力リリース層を有する発光素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例では、発光素子が提供され、それは、発光ユニット、発光ユニットを覆う透光層、及び透光層上に位置する波長変換層を含む。波長変換層は、蛍光粉を含む蛍光粉層、及び蛍光粉を含まない応力リリース層を含む。
【0007】
本発明の他の実施例では、発光素子が提供され、それは、第一ピーク値を有する第一光線を発する発光ユニットであって、頂面、底面、並びに、該頂面及び該底面に位置する第一側面及び第二側面を有するもの;第二ピーク値を有する第二光線を発し、且つ該頂面を覆う波長変換層であって、該第二ピーク値は該第一ピーク値よりも大きいもの;及び、該第一光線に対して第一吸収率を有し、該第二光線に対して第二吸収率を有し、且つ該第一側面、該第二側面及び該波長変換層を取り囲む絶縁層であって、該第一吸収率は該第二吸収率よりも大きいものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例における発光素子の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例による発光素子を示す図である。
【
図3A】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3B】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3C】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3CC】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3D】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3DD】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3E】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3EE】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3F】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図3FF】本発明の一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図4A】本発明の一実施例による発光素子の光学特性を示す図である。
【
図4B】本発明の一実施例による発光素子の光学特性を示す図である。
【
図5A】本発明の一実施例による発光素子を示す図である。
【
図5B】本発明の一実施例による発光素子を示す図である。
【
図5C】本発明の一実施例による発光素子を示す図である。
【
図5D】本発明の一実施例による発光素子を示す図である。
【
図6A】本発明の一実施例による的発光素子を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施例による的発光素子を示す図である。
【
図6C】本発明の一実施例による的発光素子を示す図である。
【
図7A】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図7C】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図7D】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図7E】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図7F】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図7G】本発明の実施例による発光素子の断面図である。
【
図8A】一実施例による発光素子の光学特性を示す図である。
【
図8B】一実施例による発光素子の光学特性を示す図である。
【
図8C】光フィルタリング層の光学特性を示す図である。
【
図8D】光フィルタリング層の光学特性を示す図である。
【
図9A】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9B】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9C】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9D】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9E】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9F】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9G】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9H】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図9I】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10A】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10B】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10C】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10D】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10E】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10F】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10G】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10H】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10I】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10J】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図10K】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図11A】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図11B】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図11C】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図11D】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図11E】一実施例による発光素子の製造フローを示す図である。
【
図12A】本発明の実施例による発光装置を示す図である。
【
図12B】本発明の実施例による発光装置を示す図である。
【
図13A】本発明の実施例による発光装置を示す図である。
【
図13B】本発明の実施例による発光装置を示す図である。
【
図14】本発明の実施例による発光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0010】
第1図に示すように、発光素子1000は、発光ユニット2、導電層20、22、第一透光底層40、第二透光底層42、波長変換層6、第一透光頂層80、第二透光頂層82、及び載置板12を含む。導電層20、22は、発光素子と外部回路とを電気接続するために用いられ、例えば、発光素子1000は、導電層20、22により、載置板にマウント(mount)することができる。発光ユニット2の一方側は、導電層20、22に接続され、また、導電層20、22により、外部と電気接続される。第1図(断面図)に示すように、第一透光底層40は、発光ユニット2の両側に位置し(ただし、上面図において第一透光底層40は発光ユニット2の周りを取り囲む)、また、導電層20、22と接続される。第二透光底層42は、第一透光底層40の上に位置し、第一透光底層40よりも波長変換層6に接近し、また、発光ユニット2の側壁を覆う。第一透光底層40及び第二透光底層42は、同じ又は異なる材料を含んでも良いが、2つの透光底層40、42は、ともに、発光ユニット2が発した光線(光/光束)に対して適切な透光性(率)を有し、例えば、発光ユニット2が発した光線の60%よりも大きい部分は、第一透光底層40又は第二透光底層42を透過(通過)することができる。また、第一透光底層40と第二透光底層42との間は、異なる物理的特性、例えば、硬度又は密度などの物理的特性を有する。第二透光底層42は、波長変換層6、発光ユニット2及び第一透光底層40に直接接触するだけではなく、さらに、導電層20、22の、発光ユニット2又は第一透光底層40により覆われない処にも直接接触する。
【0011】
他の実施例では、導電層20、22は、横向きで、発光ユニット2から離れる方向(外へ)に沿って延伸し、導電層20、22の、発光ユニット2と重なり合わない部分は、第一透光底層40、第二透光底層42及び/又は波長変換層6により覆われるので、導電層20、22は、第一透光頂層80及び第二透光頂層82に接触しない。また、他の実施例では、さらに、第一透光底層40と導電層20、22との間に位置する絶縁層、及び/又は、第二透光底層42と導電層20、22との間に位置し、及び/又は、導電層20、22の間の発光ユニット2の下表面(図示せず)が存在する。また、導電層20、22は、内へ延伸しても良く、これにより、互いの間の距離を小さくし、且つ導電層20、22の間に位置する発光ユニット2の一部の下表面(図示せず)を覆う。また、絶縁層は、発光ユニット2が発した光線を反射及び/又は乱反射することができ、さらに、これにより、反射発光ユニット2が導電層20、22への方向に沿って射出した光を反射することで、光線を波長変換層6への一方側に集中させることができる。
【0012】
透明底層40、42及び透光頂層80、82の材料は、熱硬化性樹脂(thermosetting resin)であっても良く、熱硬化性樹脂は、例えば、epoxy resin、シリコーン樹脂(silicone resin)、phenol resin、unsaturated polyester resin、又はpolyimide resinであっても良い。一実施例では、透明底層40、42及び透光頂層80、82の材料は、シリコーン樹脂である。一実施例では、透明底層40、42及び透光頂層80、82の材料は、B-stage シリコーン樹脂又は加熱後完全固化のC-stage シリコーン樹脂であり、そのうち、B-stageとは、未固化のA-stageと完全固化のC-stageとの間の半固化(semi-curable)樹脂を指す。一実施例では、透明底層40、42及び透光頂層80、82のシリコーン樹脂の成分は、所要の物理的性質又は光学的性質のニーズに応じて調整されても良い。一実施例では、透明底層40、42及び透光頂層80、82は、脂肪族のシリコーン樹脂、例えば、Polyphenylmethylsiloxane化合物を含み、また、比較的大きい展延性を有するため、発光素子1000による熱応力に耐えることができる。他の実施例では、透明底層40、42及び透光頂層80、82は、芳香族のシリコーン樹脂、例えば、Phenylsiloxane化合物を含み、また、比較的大きい屈折率を有するため、発光素子1000の光取り出し効率を向上させることができる。
【0013】
発光ユニット2は、発光層を含んでも良く、発光層には、2つの半導体層の間に挟まれる能動層がある。2つの半導体層は、それぞれ、第一型半導体層(例えば、n型半導体層)及び第二型半導体層(例えば、p型半導体層)であり、また、異なる極性を有し、これにより、電子及び正孔をそれぞれ提供することができ、且つ各層は、能動層よりも大きいエネルギーギャップを有し、これにより、電子及び正孔が能動層において結合して発光する確率を上げることができる。第一型半導体層、能動層及び第二型半導体層は、III-V族半導体材料、例えば、AlxInyGa(1-x-y)N又はAlxInyGa(1-x-y)Pを含んでも良く、そのうち、0≦x、y≦1、(x+y)≦1である。能動層の材料により、発光ユニット2は、ピーク波長(peak wavelength)又は主波長(dominant wavelength)が610~650nmの赤色光、ピーク波長又は主波長が530~570nmの緑色光、ピーク波長又は主波長が450~490nmの青色光、ピーク波長又は主波長が400~440nmの紫色光を発することができ、或いは、ピーク波長が200~400nmの紫外光を発することができる。また、発光ユニット2は、さらに、載置基板を含んでも良く、載置基板は、発光層を載置又は支持するために用いられても良い。一実施例では、載置基板は、エピタキシャル成長(epitaxial growth)のための基板であり、基板の材料は、例えば、サファイア(sapphire)、窒化ガリウム、シリコン、窒化シリコンなどであり、その上には、35族又は26族などの、発光層を形成し得る半導体材料を(例えば、エピタキシャル成長技術により)形成することができる。他の実施例では、載置基板は、発光層を直接形成するための材料層又は成長基板ではなく、成長基板の他の支持部材(支持部材は、例えば、材料、構造又は形状が成長基板と異なる構造である)を置換又は支持するためのものである。
【0014】
導電層20、22は、金属材料、例えば、チタン、ニッケル、金、白金又はアルミニウムからなる。一実施例では、導電層は、チタン/アルミニウム/ニッケル/アルミニウム/ニッケル/アルミニウム/ニッケル/金、チタン/アルミニウム/チタン/アルミニウム/ニッケル/金、又は、チタン/白金/アルミニウム/ニッケル/アルミニウム/ニッケル/金からなる複数層構造であり、そのうち、一番下の層は金であり、金属バンプと直接接触するために用いられる。
【0015】
波長変換層6は、第一透光底層40(又は、第二透光底層42)の上を覆い、また、1つ又は複数の波長変換材料と、屈折率(n)が1.4~1.6又は1.5~1.6の間にある基質とを含む。一実施例では、第1図に示すように、断面図において、波長変換層6は、発光ユニット2の、載置板12に接近する一面及び発光ユニット2の両側を覆い(上面図において、波長変換層6は、発光ユニット2を完全に覆い、また、発光ユニット2の周りを取り囲む)、さらに、導電層20、22と直接接触する。他の実施例では、波長変換層6は、発光ユニット2の、載置板12に接近する一面を覆うが、発光ユニット2の両側を不完全に覆い又は覆わず、また、導電層20、22と直接接触しない(図示せず)。ここで言う「覆う」とは、2つの物体が直接接触する態様、及び、2つの物体が一方向上で直接接触しないが、互いに重なり合う態様を含み、以下、同様である。第一透光頂層80及び第二透光頂層82は、波長変換層6を覆い、第一透光頂層80及び第二透光頂層82は、ともに、発光ユニット2が発した光線に対して適切な透光性(率)を有し、例えば、発光ユニット2が発した光線の60%よりも大きい部分は、透光頂層80、82を透過することができる。一実施例では、第一透光頂層80の側辺の少なくとも一部、第二透光頂層82の側辺の少なくとも一部、及び、載置板12の側辺は、同一の平面にあり(或いは、二次元では共面である)、且つ第一透光頂層80は、さらに、導電層20、22の、発光ユニット2に接近する一方側と接触する。第一透光頂層80及び第二透光頂層82は、同じ又は異なる材料を含んでも良く、且つ第一透光頂層80と第二透光頂層82との間は、少なくとも1つの異なる物理的特性、例えば、硬度又は密度などの物理的特性を有する。一実施例では、透光底層40、42、波長変換層6、及び透光頂層80、82は、ともに、発光ユニット2が発した光線に対して適切な透光性(率)を有し、例えば、発光ユニット(light-emitting unit)2が発した光線の60%よりも大きい部分は、これらの層を通過することができる。これらの層は、さらに、同じ又は異なる材料を含んでも良く、その内には、さらに、拡散粉、例えば、二酸化チタン、二酸化シリコンなどを添加することができ、これにより、光の進行方向を変更し、光線を均一化し、又は、グレア(まぶしい光)を低減することができる。他の実施例では、さらに、これらの層に顔料を添加して発光素子1000の色を変えることにより、異なる視覚効果を達することもできる。一実施例では、透光頂層80、82又は載置板12に、波長変換層6の波長変換材料の色沢と異なる材料を添加することにより、発光素子1000の外観の色を変えても良く、例えば、第二透光頂層82に白色材料を添加することにより、発光素子(light-emitting element)1000が発光しない時に白色の色沢を呈するようにさせても良い。
【0016】
波長変換材料は、発光ユニット2が発した第一光線を吸収し、ピーク波長又は主波長が第一光線と異なる第二光線に変換する。波長変換材料は、量子ドット材料、黄緑色蛍光粉、赤色蛍光粉又は青色蛍光粉を含む。黄緑色蛍光粉は、YAG、TAG、ケイ酸塩、バナジウム酸塩、アルカリ土類金属セレン化物、又は金属窒化物を含む。赤色蛍光粉は、フッ化物(例えば、K2TiF6:Mn4+又はK2SiF6:Mn4+)、ケイ酸塩、バナジウム酸塩、アルカリ土類金属硫化物、金属窒素酸化物、又は、タングステン酸塩とモリブデン酸塩の混合物を含む。青色蛍光粉は、BaMgAl10O17:Eu2+を含む。一実施例では、第一光線及び第二光線は、混合して白光を成し、白光は、CIE1931色度図において色度座標(x、y)を有し、そのうち、0.27≦x≦0.285、0.23≦y≦0.26である。一実施例では、白光は、2200~6500K(例えば、2200K、2400K、2700K、3000K、5700K、6500K)の色温度を有し、且つCIE1931色度図において7-step MacAdam ellipseに位置する色度座標(x、y)を有する。一実施例では、第一光線及び第二光線は、混合して白光でない光を成し(そのうち、第一光線のほぼ全部又は大多数は、第二光線に変換される)、例えば、紫色光又は黄色光を成す。一実施例では、波長変換層6の厚みは、100~350μmである。厚みが100μmよりも小さい時に、波長変換層6は、発光素子1000の支持部材とされる強度を有しない。厚みが350μmよりも大きい時に、発光素子1000全体の厚みは、厚すぎて、コンパクトな装置(compact application)、例えば、腕時計、ベルト、衣類、メガネ、又は他のウェアラブルデバイスなどに応用することができない。
【0017】
載置板12は、発光ユニット2から離れる一方側で第二透光頂層82により覆われ、一実施例では、載置板12は、発光ユニット2が発した光線に対して適切な透光性(率)を有し、例えば、少なくとも60%の、発光ユニット2が発した光線は、載置板12を透過することができる。載置板12も、拡散粉を添加することにより、光線の均一化(又は、光取り出し効率の向上)の効果を達成することができる。一実施例では、第1図に示すように、載置板12は、長方形又はそれに近似する外形を有する。しかし、他の実施例では、断面図において、載置板12は、台形又は逆台形の外形を有しても良い。他の実施例では、載置板12の、発光ユニット2から離れる一方側には、molding、spraying又はdispensingなどの方式で、光の進行方向に影響する光学層を形成しても良く、例えば、発光ユニット2から載置板12へ射出した光線を、発光素子1000の側壁への方向に導き、又は、導電層20、22への方向に導く。また、載置板12は、平坦又は非平坦な表面を有しても良く、異なる態様の表面は、異なるライトフィールド分布を生成することができ、例えば、粗い表面は、比較的均一な色温度又は光強度分布を生成することができる。なお、第1図では、発光素子1000の側壁(載置板12から下へ透光頂層82、80、波長変換層6及び導電層20、22を通過した表面を含む)は、凸起無しの連続した平面であるが、他の実施例では、この側壁は、凹凸を有しても良く、例えば、透光頂層80、82又は波長変換層6は、載置板12及び導電層20、22よりも突出し又は陥凹しても良い。また、発光素子1000の側壁は、1種類又は複数種類の粗さ分布を有しても良い。
【0018】
第2図に示すように、発光素子2000は、発光ユニット2、導電層20、22、透光底層40、42、波長変換層6、透光頂層84及び載置板12を含む。便宜のため、ここでは、発光素子1000と同様な構造及び特性の説明を省略する。この実施例では、波長変換層6は、第一波長変換層60及び第二波長変換層62を含み、この2つの層は、異なる材料を含み、例えば、第一波長変換層60は、第二波長変換層62に無い波長変換材料を含む。波長変換層6は、発光ユニット2を覆い、また、その上方又は下方の構造と略同一の平面に位置するまで左右両側へ延伸する。第一波長変換層60及び第二波長変換層62は、ほぼ同じ輪郭を有する。本実施例では、波長変換層6は、湾曲可能なシート(sheet)であり、これにより、その下方の構造の上に貼り合わせることができ、また、一定の厚み(例えば、200um)を有し、発光ユニット2の厚み(例えば、150um、170umなどの100~200umの間の厚み)に近いが、載置板12の厚み(例えば、250um、300um、500umなどの200~600umの間の厚み)よりも薄い。他の実施例では、波長変換層6の厚みは、載置板12の厚み(例えば、110um、130um、170umなどの100~200umの間の厚み)よりも厚くても良い。透光底層40、42は、発光ユニット2の側壁及び上表面を覆い、さらに、波長変換層6の可撓性(flexibility)に合わせて厚み及び輪郭を調整することもでき、これにより、透光底層40、42と波長変換層6との間の結合強度を向上させることができる。透光頂層84、80、及び82は、ともに、良好な光透過率を有し、例えば、発光ユニット2が発した光線の80%を超える部分は、これらの透光頂層を通過することができる。一実施例では、透光頂層84及び第二波長変換層62は、同じ材料、例えば、シリカゲルを含む。しかし、透光頂層84及び第二波長変換層62は、少なくとも1つの異なる物理的性質を有し、例えば、透光頂層84の硬度は、第二波長変換層62の硬度よりも大きく、又は、透光頂層84の屈折率は、第二波長変換層62の屈折率よりも小さい。第1~2図では、波長変換層6は、発光ユニット2と直接接触しないが、他の実施例では、波長変換層6は、発光ユニット2の表面及び/又はコーナーと直接接触しても良い。
【0019】
第3A~3F図及び第3CC~3FF図は、本発明の実施例における発光素子の製造フローを示す図である。第3A~3B図に示すように、複数の発光ユニット2を一時載置板14の上に配列する。これら複数の発光ユニット2は、予め選別及び分類されたものであっても良く、また、近い光電特性(例えば、閥値電圧、パワー、発光効率、色温度及び発光強度)を有しても良い。或いは、これら複数の発光ユニット2は、ウェハーから直接取得され且つ選別及び分類されないものであっても良い。一時載置板14において順に第一透光底層40及び第二透光底層42を設け、とある領域で不連続な可能性があり、例えば、第二透光底層42は、一時載置板14と発光ユニット2との重なり合う領域を覆わず、又は、それだけを覆う。第二透光底層42は、軟性材料であるため、一時載置板14を覆う時に、発光ユニット2の所在する位置に伴って起伏することができる。
【0020】
続いて、第3C図に示すように、吹付けやプリントの方式で波長変換層6を、第二透光底層42の上を覆うように形成し、波長変換層6は、1つ又は複数の波長変換材料を含んでも良く、複数の波長変換材料の粒子の大小(サイズ)は、同じ又は異なっても良く、又は、同一範囲にあっても良い。波長変換材料の他に、波長変換層6の内部には、さらに、乱反射材料の粒子(図示せず)、例えば、二酸化チタンが含まれても良い。
【0021】
続いて、第3D図に示すように、波長変換層6の上に第一透光頂層80を形成し、また、載置板12及び載置板12の一方側を覆う第二透光頂層82を提供する。そのうち、第一透光頂層80及び第二透光頂層82は、同様の材料を含んでも良く、且つ発光ユニット2が発した光線に対して良好な透過率を有し、例えば、発光ユニット2が発した光線の80%を超える部分は、透光頂層80、82を通過することができる。第二透光頂層82が載置板12を覆った後に、第3E図の構造を形成する。続いて、第3E図の載置板12及び第二透光頂層82を一緒に加熱して、第二透光頂層82を硬化させる。しかし、波長変換層6上の第一透光頂層80について加熱硬化のステップを行わず、これにより、後続の、載置板12を第二透光頂層82により第一透光頂層80に接続する時に、第二透光頂層82よりも柔らかい第一透光頂層80は、結合時の応力(例えば、載置板12側から透光頂層80への応力)を分散させることができる。第一透光頂層80は、さらに、第二透光頂層82の表面の陥凹部分に充填することができ、これにより、第一透光頂層80と第二透光頂層82と間の結合力を向上させることができる。続いて、一時載置板14を除去し(図示せず)、導電層(図示せず)を形成し、そして、切断ステップ(図示せず)を経たら、第3F図に示すような構造を形成することができる。なお、第3F図の構造では、1つの発光素子1000は、1つのみの載置板12及び1つのみの発光ユニット2を含むが、1つの発光素子1000は、1つの載置板12及び複数の発光ユニット2を含んでも良く、且つこれらの発光ユニット2は、同じ色の光、異なる色の光、又は不可視光を発しても良い。
【0022】
上述第3A~3F図の実施例では、発光ユニット2は、接着材により一時載置板14と接着されても良い。一時載置板14は、硬質材料、例えば、サファイア又はガラスであっても良い。他の実施例では、エピタキシャル成長用の成長基板を以て一時載置板14を置換し、前述の製造フローを行っても良い。第3D図では、第一透光頂層80及び第二透光頂層82は、コーティング、プリント又はdispensingの方式で、それぞれ、波長変換層6及び載置板12の上に形成されても良い。
【0023】
第3CC~3FF図の実施例は、第3A~3F図の実施例に類似したが、便宜のため、第3A~3F図の実施例の製造ステップと同様の第3A~3B図の製造ステップの説明は省略される。第3CC図に示すように、発光ユニット2の上を覆う波長変換層6は、第一波長変換層60及び第二波長変換層62を含む。波長変換層6は、貼合方式で、発光ユニット2の上を覆い、即ち、波長変換層6は、透光底層42により発光ユニット2と結合される。第一波長変換層60及び第二波長変換層62は、予め結合されてから一緒に波長変換層6を形成する。第一波長変換層60は、第二波長変換層62に比べ、比較的多い波長変換材料(例えば、蛍光粉)を有し、例えば、波長変換層6の全ての波長変換材料の粒子総数の80%以上は、第一波長変換層60にある。例えば、電子顕微鏡を用いて断面図における波長変換粒子の密度を測定し、特定の面積(例えば、100x100平方マイクロメートル)における波長変換粒子の総数又は総面積を取得し、そして、第一波長変換層60及び第二波長変換層62の粒子数を比較することにより、上述の比率を得ることができる。よって、発光ユニット2からの光線は、まず、第一波長変換層60の波長変換材料を励起し、放射光線を生成させることができる。放射光線及び/又は発光ユニット2からの光線は、さらに、第二波長変換層62に進入し、他の種類の光線を生成させることができる。波長変換層6は、好ましくは、軟性材質であり、その下方の発光ユニット2及び/又は透光底層40、42の輪郭に沿って密に貼合することができる。よって、波長変換層6の、発光ユニット2から離れる表面は、通常、平坦な表面ではない。続いて、第3DD図に示すように、載置板12の一方側で透光頂層84を、載置板12を覆うように設け、透光頂層84は、さらに、乾かすステップにより透光頂層84を固化させる。続いて、第3EE図に示すように、載置板12及び透光頂層84により形成されたスタック層は、波長変換層6と結合される。他の実施例では、載置板12及び透光頂層84の貼合前に、波長変換層6の全部又は一部の領域は、(例えば、塗布、コーティングで)接着層(図示せず)、例えば、シリカゲルを設置しても良く、これにより、透光頂層84との接合強度を強化することができる。
【0024】
続いて、一時載置板14を除去し、導電層20、22を形成した後に、切断ステップを経て第3FF図に示す構造を形成する。同様に、第3FF図の構造では、1つの載置板12に対して複数の発光ユニット2があっても良く、また、同様の色の光、異なる色の光又は不可視光を発しても良い。
【0025】
第3CC~3FFの実施例では、波長変換層6は、予め形成された2層構造である。第3CC図の構造を例とすると、透光底層40、42及び複数の発光ユニット2は、実質的に円滑且つ連続的な弧形を形成し、この連続した弧形の湾曲程度は、波長変換層6の可撓性(flexibility)に合わせても良く、これにより、波長変換層6が湾曲し過ぎることにより破壊すること、又は、透光底層40と波長変換層6との間に隙間を形成することにより光線がその中に制限されて光取り出し効率が低下することを避けることができる。波長変換層6と透光底層40との間は、実質的に密に結合される。波長変換層6の湾曲後の厚みは、全面又は局所的に変化することがあり、即ち、厚みは、全面的に薄くなり、又は、局所領域の厚みは、薄くなり、又は、局所領域の厚みが薄くなる程度は、他の部分より大きくなると言ったことがある。例えば、波長変換層6と発光ユニット2との重なり合う処の厚みは、波長変換層6と発光ユニット2との重なり合わない処の厚みよりも小さくなることがあり、その厚みの差は、波長変換層6と発光ユニット2との重なり合う処の最大厚みの10%に達することができる。波長変換層6の、発光ユニット2の側壁に位置する部分の厚みは、波長変換層6の、発光ユニット2の真上に位置する部分の厚みよりも小さく、その厚みの差は、長変換層6の、発光ユニット2の真上に位置する部分の最大厚みの10%に達することができるあ。他の実施例では、透光底層40と波長変換層6との間は、密に接合されず、隙間が存在する。波長変換層6の第二波長変換層62は、実質的に波長変換材料を含まず、固化後の透光頂層84と接する。第二波長変換層62は、軟性材料であり、接する過程において、比較的多い応力を受けることができるため、応力リリース層として使用されることにより、波長変換層6の、載置板12の圧迫による破損を避けることができる。第二波長変換層62は、さらに、拡散材料を含んでも良く、これにより、発光装置のライトフィールド分布を変えることができる。
【0026】
上述の製造フローでは、第3B図の第二透光底層42は、連続した弧形の輪郭で、一時載置板14、第一透光底層40、及び発光ユニット2を覆う。他の実施例では、第二透光底層42は、主に、発光ユニット2及び第一透光底層40を覆い、一時載置板14上の、発光ユニット2又は第一透光底層40が設置されない領域は、製造プロセスの瑕疵(欠点)により、幾つかの不連続分布の第二透光構造層42を形成する可能性がある。これらの不連続分布の第二透光構造層42は、近い又は異なる厚みを有する。第二透光構造層42には、幾つかの気泡が残留する可能性もある。第一透光底層40及び/又は第二透光底層42は、連続して且つ完全に一時載置板14全体の上表面を覆わない。そのため、一時載置板14の上表面には、少なくとも一部が発光ユニット2、第一透光底層40又は第二透光底層42により覆われず、露出する。一時載置板14と発光ユニット2との間には、さらに、接着層が形成されても良い。加熱又は加圧などの方式で、接着層の粘着性を小さくすることにより、一時載置板14と発光ユニット2を分離することができる。一時載置板14の材料は、硬質材料、例えば、ガラス又はサファイアであっても良く、一時載置板14と発光ユニット2を分離した後は、さらに、一時載置板14を回収して再利用することもできる。
【0027】
前述の実施例では、第3C~3F図の方式で蛍光粉を設けても良く、又は、第3CC~3FF図の方式で、予め制作された片(シート)状の波長変換層6を設置しても良い。第3C~3F図の蛍光粉の設置方式を採用する場合、そのうち、蛍光粉の比率及び配合は、複数回の繰り返し調整により確定され、そして、比率及び配合が確定された蛍光粉は、各発光ユニット2の上を覆う。また、第3CC~3FF図の、予め制作された波長変換層6の設置方式を採用する場合、波長変換層6自身に対して先に光学検出を行っても良い。例えば、先に、未切断(切断前)の波長変換層6において複数の測量点を選択し、そして、各測量点の下方に光源を設置し、それから、光源からの光線が波長変換層6を通過した後に形成された光線の色度座標を測定することにより、第4A図の結果を得ることができる。第4A図に示すように、各測量点から測定された色度座標は、近い範囲にあり、色度座標Cxは、0.408~0.42の間であり、色度座標Cyは、0.356~0.363の間である。
【0028】
第4A図の色度座標分布から波長変換層6の特性を把握し得る他に、波長変換層6と発光ユニット2との結合の後の整体の光学特性も、波長変換層6のよしあしを評価する重要なパラメータである。第4B図を参照する。X軸は、視角を表し、0°は、発光素子1000に垂直な方向に対応し、90°及び-90°は、それぞれ、発光素子1000の上表面に平行な2つの相対する方向である。Y軸の△u’v’は、色度座標上での任意の点と基準点(u0’、v0’)との距離を表す。換言すると、△u’v’が大きいほど、両点の色度座標上での距離が遠い。つまり、第一光線と第二光線との混光の比率には比較的大きい違いがあるということを表す。そのうち、△u’v’=(△u’2+△v’2)1/2であり、u’及びv’は、それぞれ、CIE 1976表色系下での色度座標を表し、△u’は、u’-u0’であり、△v’は、v’-v0’であり、基準値(u0’、v0’)は、全ての角度下での色度座標の平均値と定義される。△u’v’の変化が小さいほど、異なる視角下での色彩分布の均一度が良い。
【0029】
第4B図に示すのは、第2、3FF図の発光素子1000のそれぞれの、入射図の第一方向及び平行図の第二方向での測量による光学特性結果である。第一方向上で取得された角度0°との色度座標の差△u’v’は、+90°~-90°の間において0~0.03の間にあり、各角度の測量後の平均値は、約0.004よりも少し小さく、第二方向上で取得された角度0°との色度座標の差△u’v’は、+90°~-90°の間において0~0.01の間にあり、各角度の測量後の平均値は、約0.004よりも少し小さい。この結果から分かるように、発光素子1000は、良好な光学特性を有し、第一方向及び第二方向上での+90°~-90°の間の色度座標の差△u’v’は、ほぼ同じ(第一方向上での0~0.03の間、及び、第二方向上での0~0.01の間)であり、且つ2つの方向上での各角度の測量後の平均値は、ともに、0.01よりも小さい。
【0030】
第5A~5D図は、本発明の実施例による発光素子であり、第5A図の発光素子3000は、透光頂層80、82、波長変換層6、透光底層40、42、発光ユニット2及び保護層100、101を含む。保護層100、101は、それぞれ、波長変換層6の両側に位置し、さらに、同時に波長変換層6及び第二透光底層42に直接接触する。本実施例では、保護層100、101は、透光頂層80に直接接触する。他の実施例では、保護層100、101と、透光頂層80との間には、一部の波長変換層6が存在する。第5B図の発光素子4000では、保護層100、101は、それぞれ、波長変換層6の両側に位置し、さらに、同時に波長変換層6及び第二透光底層42に直接接触し、そのうち、保護層100、101は、透光頂層84に直接接触せず、第二透光底層42から載置板12へ波長変換層62内に延伸する。第5C図の発光素子5000では、保護層100、101は、第二透光底層42、波長変換層60、62、透光頂層84、及び載置板12の側壁を覆う。一実施例では、保護層100、101は、載置板12の側壁を覆う。保護層100、101の上表面は、載置板12の、発光ユニット2から離れる上表面(即ち、発光素子5000の出光面)と同一の平面に位置する。他の実施例では、保護層100、101の上表面は、上表面と同一の平面に位置せず、載置板12の上表面と下表面(透光頂層84と接する面)との間に位置する。或いは、保護層100、101の上表面は、さらに、載置板12の下表面よりも低く、これにより、保護層100、101の上表面は、透光頂層84の上、下表面の間に位置する。第5D図の発光素子6000は、第5B図に類似したが、発光素子6000は、載置板12を含まず、絶縁層104、106は、第二透光底層42の側壁に位置し、且つ導電層20、22に接続され、保護層100、101は、波長変換層60、62の側壁を覆う。保護層100と絶縁層104との接する界面、及び、保護層101と絶縁層106との接する界面は、同じ高さを有しても良く、有しなくても良い。また、これらの界面は、平滑又は粗い接合面を有しても良い。絶縁層104と導電層20との界面、及び、絶縁層106と導電層22との界面も、平滑又は粗い接合面を有しても良い。
【0031】
上述の実施例における保護層100、101は、水気、酸素又は粒子が製造プロセスにおいて波長変換層6及び第二透光底層42に進入することを防止し、発光素子3000の信頼性を向上させることができる。保護層100、101及び絶縁層104、106は、透光性材料であっても良く、例えば、少なくとも50%以上の発光ユニット2からの光線は、それらを通過することができる。保護層100、101及び絶縁層104、106は、反射性材料であっても良く、これにより、光線を反射することができる。例えば、発光ユニット2が発した光線のうち、70%より大きい部分は、発光ユニット2の上表面に垂直な方向へのものである。保護層100、101の幅は、異なっても良く、導電層20、22から載置板12への方向に沿って次第に狭くなっても良く、載置板12への方向に沿って次第に広くなっても良い。保護層100、101の側辺、上表面及び下表面(導電層20、22に近い表面)は、平滑表面であっても良く、粗い表面であっても良い。
【0032】
第6A図を参照する。発光素子7000は、発光ユニット2、導電層20、22、絶縁層104、106、108、第一透光底層40、第二透光底層42、第一波長変換層60、第二波長変換層62、透光頂層84、及び載置板12を含む。発光ユニット2の一方側は、導電層20、22と接続され、また、導電層20、22により外部と電気接続される。絶縁層104、106は、それぞれ、発光ユニット2の両側に位置し、絶縁層108は、発光ユニット2の下方に位置し、また、導電層20、22を絶縁させる。絶縁層104、106、108は、さらに、選択的に反射の機能を有しても良く、これにより、発光ユニット2が発した光線の少なくとも一部を載置板12への方向に反射することができる。第一波長変換層60、第二波長変換層62及び透光頂層84の側壁は、弧状曲線の断面を形成し、載置板12の側壁と同一の平面に位置しない(三次元では共平面である)。
【0033】
第6B図を参照する。載置板12と第一波長変換層60との間は、(第一波長変換層60から載置板12への方向に沿って)順に、第二波長変換層62及び透光頂層84がスタックされる。一実施例では、第二波長変換層62及び透光頂層84の材料は、同じであっても良いが、依然として界面608が存在する。第6C図を参照する。絶縁層106と第一波長変換層60との間には、第一透光底層40及び第二透光底層42が存在し、また、この2つの底層の間には、界面402が存在する。
【0034】
第7A図は、本発明の一実施例による発光素子7000の断面図(第7B図のx-x’線に沿った断面図)である。発光素子7000は、発光ユニット2、絶縁層104(第7B図参照)の第一部分1040と第二部分1042、波長変換層6、及び光フィルタリング層16を含む。発光ユニット2の側表面204、206は、第一部分1040、第二部分1042と接する。発光ユニット2の上表面202を覆う波長変換層6は、第一部分1040及び第二部分1042の一部の上表面を覆う。発光ユニット2の下方には、電極(図示せず)が、外部回路と電気接続するように設置される。波長変換層6の下表面は、発光ユニット2と接し、波長変換層6の上表面及び側面は、光フィルタリング層16により覆われ、そのうち、光フィルタリング層16の辺縁の下方は、さらに、第一部分1040及び第二部分1042と接する。一実施例では、波長変換層6は、発光ユニット2、第一部分1040、及び第二部分1042と直接接触し、また、第一部分1040及び第二部分1042の上表面は、発光ユニット2の上表面202と実質的に共平面(例えば、高さの差は、発光ユニット2の総高さの5%よりも小さい)である。他の実施例では、波長変換層6の下方には、接着層(図示せず)が、波長変換層6と、発光ユニット2、第一部分1040及び第二部分1042との間の接著強度を強化するために設置されても良い。絶縁層104(第一部分1040、第二部分1042)は、側表面204、206からの光線を反射及び/又は乱反射し、上表面202への方向に導くことができる。絶縁層104(第一部分1040、第二部分1042)も、波長変換層6からの光線を反射及び/又は乱反射し、上への方向に導くことができる。
【0035】
波長変換層6は、基材及び波長変換材料を含み、波長変換材料の材料は、蛍光粉又は量子ドット材料であっても良い。蛍光粉は、例えば、YAG、TAG、ケイ酸塩、バナジウム酸塩、アルカリ土類金属セレン化物、金属窒化物、フッ化物、ケイ酸塩、バナジウム酸塩、アルカリ土類金属硫化物、金属窒素酸化物、タングステン酸塩とモリブデン酸塩の混合物であっても良い。量子ドット材料は、例えば、セレン化物、硫化物、りん化物又はテルル化物である。基材の材料は、樹脂であっても良い。樹脂は、例えば、epoxy resin、シリコーン樹脂(silicone resin)、又はPMMA(Polymethylmethacrylate;PMMA)樹脂である。一実施例では、発光ユニット2が発した光線(例えば、青色光又は紫外光)は、波長変換層6の波長変換材料(例えば、緑色量子ドット材料、赤色量子ドット材料、青色量子ドット材料、黄緑色蛍光粉、赤色蛍光粉又は青色蛍光粉)により変換され、赤色、緑色、青色の3種類の色の光を生成することができる。光フィルタリング層16は、発光ユニット2の発した、波長変換層6により吸収されない光線を阻止又はフィルタリングするために用いられる。例えば、発光ユニット2が発したUVA、UVB、UVC、又は青色光のうち、一部のみ波長変換層6により吸収された後に赤色光を生成する場合、残りの、吸収されない光線は、光フィルタリング層16により阻止又は吸収することができる。光フィルタリング層16は、吸収剤を含み、例えば、青色光を吸収し得る黄色顔料又は紫外光を吸収し得るBenzotriazoleを含んでも良い。
【0036】
量子ドット材料と蛍光粉材料との間の1つの差は、同じ励起波長の下で、量子ドット材料が励起されて発した光線は、蛍光粉材料が励起されて発した光線に比べ、比較的狭い半高幅を有することにある。比較的狭い半高幅を有する光線は、カラーフィルタリング層を通過する比率が高く、フィルタリングされた光線の比率を減らし、光線の利用率を向上することができる。また、量子ドット材料が発した光は、通常、比較的狭い波長分布を有する。よって、それは、LCD表示器又はLCDテレビ・スクリーンの光源(赤色光、緑色光、及び/又は青色光)として使用される時に、単一種類の色の光の出光量及び色純度を向上させることができ、また、より広い色域(high color gamut)を提供することもできる。
【0037】
量子ドット材料は、コア(core)及びシェル(shell)からなっても良い。コア及びシェルは、それぞれ、異なる半導体材料からなっても良く、そのうち、シェルの材料は、コアの材料に比べ、比較的高いエネルギー障壁を有し、コアの材料が繰り返して光線を放出する過程で逸散する電子が多過ぎることを抑制することができ、これにより、量子ドット材料の輝度減衰を減少させることができる。具体的に言えば、コア及びシェルの組み合わせ(コア/シェル)は、セレン化カドミウム/硫化亜鉛、りん化インジウム/硫化亜鉛、セレン化鉛/硫化鉛、セレン化カドミウム/硫化カドミウム、テルル化カドミウム/硫化カドミウム、又は、セレン化カドミウム/硫化亜鉛であっても良い。
【0038】
第7B図は、本発明の実施例による発光素子7000の上面図であり、光フィルタリング層16は、順に、波長変換層6全体、波長変換層6の下に位置する発光ユニット2全体、及び絶縁層1040を覆い、そのうち、絶縁層1040は、発光ユニット2を取り囲み、且つ一部の絶縁層1040は、波長変換層6の下に直接位置する。
【0039】
第7C図は、本発明の実施例による発光素子7002の断面図である。第7C図の発光素子7002は、発光ユニット2、絶縁層104の第一部分1040と第二部分1042、及び波長変換層6を含む。発光素子7002中での、発光素子7000と同じ符号の素子の説明は、ここで省略される。発光素子7002では、発光ユニット2は、上表面202及び複数の側面204、206を含み、且つ波長変換層6は、発光ユニット2の上表面202、第一部分1040及び第二部分1042の上表面を覆う。図に示すように、波長変換層6及び絶縁層104の最も外側の表面は、実質的に共平面である。さらに具体的に言えば、発光素子7002では、波長変換層6及び第一部分1040の最も外側の表面(発光ユニット2から離れる側表面)は、ほぼ共平面であり、且つ波長変換層6及び第二部分1042の最も外側の表面(発光ユニット2から離れる側表面)も、ほぼ共平面である。
【0040】
第7D図は、本発明の実施例による発光素子7004の断面図である。第7D図の発光素子7004は、発光ユニット2、絶縁層104の第一部分1040と第二部分1042、波長変換層6及び光フィルタリング層16を含む。発光素子7004中での、発光素子7000と同じ符号の素子の説明は、ここで省略される。第7D図に示すように、波長変換層6は、光フィルタリング層16と同様に、絶縁層104の2つの最も外側の表面まで延伸し、つまり、光フィルタリング層16、波長変換層6、及び発光素子7004の最も外側の表面(そのうち、波長変換層6の最も外側の表面は、70040、70042と記される)は、ほぼ共平面である。
【0041】
発光素子7000に比べ、波長変換層6の側表面は、光フィルタリング層16により覆われないので、発光素子7004の発光ユニット2が発した光線のうち、比較的多くの部分は、光フィルタリング層16により阻止されない。例えば、発光ユニット2は、ピーク波長又は主波長が450~490nmの青色光を発し、波長変換層6は、発光ユニット2の青色光を吸収し、ピーク波長又は主波長が610~650nmの赤色光を発する。波長変換層6の外側に近いところに微弱な青色光が見える可能性があり、この青色光は、通常、波長変換層6により完全に変換されず、且つ、光フィルタリング層16によりフィルタリングされない発光ユニット2からの光線に由来する。他の実施例では、側表面70040、70042において遮光層(図示せず)を設けることにより、波長変換層6により完全に変換されない光線を阻止又は吸収しても良く、遮光層は、絶縁層104、波長変換層6及び光フィルタリング層16の三者の側表面を覆っても良く、又は、波長変換層6及び光フィルタリング層16のみの側表面を覆っても良く、又は、波長変換層6のみの側表面を覆っても良い。換言すると、遮光層の高さは、単一層の厚み以下であっても良く、又は、発光素子7004の厚みと同じであって良い。
【0042】
第7E図は、本発明の実施例による発光素子7006の断面図である。発光素子7006は、発光ユニット2、絶縁層104、波長変換層6及び導電層20、22を含む。一実施例では、発光ユニット2は、載置基板201及び発光層203を含む。導電層20、22は、それぞれ、発光ユニット2における発光層203と電気連結される。また、発光ユニット2は、上表面202、下表面208及び複数の側面204、206(発光ユニット2の上面図が多辺形の場合、少なくとも3つの面を有するが、図では、2つの面のみ示す)を含み、側面204、206は、頂面202と底面208との間に位置する。発光素子7006中での、発光素子7000と同じ符号の素子の説明は、ここで省略される。発光素子7006では、波長変換層6は、発光ユニット2の上表面202を覆う。一実施例では、波長変換層6及び発光ユニット2の幅は、ほぼ同じである。具体的に言えば、波長変換層6の側壁604及び発光ユニット2の側表面204は、ほぼ共平面であり、また、波長変換層6の側壁606及び発光ユニット2の側表面206は、ほぼ共平面である。他の実施例では、波長変換層6の幅は、発光ユニット2の幅よりも大きい。例えば、波長変換層6の幅は、発光ユニット2の幅よりも1μm乃至50μm大きい。絶縁層104は、第一部分1040及び第二部分1042を含む。図に示すように、第一部分1040は、発光ユニット2の側表面204の近傍から上へ、波長変換層6の側壁604の近傍まで延伸する。同様に、第二部分1042は、発光ユニット2の側表面206の近傍から上へ、波長変換層6の側壁606の近傍まで延伸する。第一部分1040及び第二部分1042の高さは、近似し、等しく、又は異なっても良い。絶縁層104が均一な厚みを有する時に、第一部分1040及び第二部分1042の高さは、近似し、又は、等しい。絶縁層104が不均一な厚み(例えば、次第に変化する又は凹凸を有する)を有する時に、第一部分1040及び第二部分1042の高さは、異なり又は同じである可能性がある。一実施例では、波長変換層6の頂表面602、第一部分1040、及び第二部分1042の上表面は、共平面である。一実施例では、波長変換層6の厚みは、2μm~300μmの間である。
【0043】
一実施例では、波長変換層6は、量子ドット材料を含み、且つ量子ドット材料は、基質に分散している。一実施例では、量子ドット材料の、波長変換層6に対する重量パーセントは、2%~30%の間である。
【0044】
一実施例では、発光ユニット2は、ピーク値が425nmよりも小さい波長の光を発し、波長変換層6は、発光ユニット2からの光を吸収した後に425nm波長(主波長又はピーク波長)以上の光を変換し、例えば、主波長又はピーク波長が440nm乃至470nmの間の青色光、主波長又はピーク波長が500nm乃至550nmの間の緑色光、又は、主波長又はピーク波長が600nm乃至670nmの間の赤色光に変換する。絶縁層104は、発光ユニット2及び/又は波長変換層6が発した光を反射することができる。また、絶縁層104の、発光ユニット2が発した光に対する吸収率は、波長変換層6が発した光に対する吸収率よりも大きい。このように、一部の、発光ユニット2が発した光を吸収し、発光ユニット2からの光線が発光素子7006の側面方向又は正面方向から直接射出(波長変換層6により変換されない)することを避けることができる。一実施例では、波長変換層6により変換されない、発光ユニット2が発した光の強度は、波長変換層6が発した光の強度よりも10%小さい。一実施例では、絶縁層104には、樹脂及び樹脂に分散している酸化チタン(titanium oxide)が含まれ、酸化チタンの、短波長の光線に対する吸収率は、長波長の光線に対する吸収率よりも大きく、特に、425nmよりも小さい波長の光に対する吸収率は、明らかに増加する。一実施例では、酸化チタンの、絶縁層104に対する重量パーセントは、60%以上であり、他の実施例では、酸化チタンの、絶縁層104に対する重量パーセントは、20%乃至60%の間にある。一実施例では、絶縁層104の厚みTは、10μm乃至50μmの間にある。
【0045】
第7F図は、本発明の実施例による発光素子7008の断面図である。発光素子7006は、発光ユニット2、バリヤー層102、絶縁層104、波長変換層6及び導電層20、22を含む。発光ユニット2は、載置基板201及び発光層203を含む。発光素子7008中での発光ユニット7006と同じ符号の素子の説明は、ここで省略される。一実施例では、バリヤー層102は、波長変換層6の頂表面602及び側壁604、606を覆う。第7F図に示すように、バリヤー層102は、第一部分1020、第二部分1022及び第三部分1024を含む。第一部分1020は、波長変換層6の頂表面602及び側壁604、606を覆う。第二部分1022及び第三部分1024は、それぞれ、側壁604、606に沿って下へ延伸して発光ユニット2を超えた後に(又は、発光ユニット2を超える前に)左右両側へ湾曲し、絶縁層104を通過する。他の実施例では、バリヤー層102は、波長変換層6の頂表面602(図示せず)のみ覆っても良く、又は、波長変換層6の頂表面602及び絶縁層104の側壁の外側壁(図示せず)を覆っても良い。バリヤー層102は、環境中の湿気及び酸素による、波長変換層6中の量子ドット材料又は蛍光粉材料の劣化を避けることができる。一実施例では、バリヤー層102の厚みは、1μm乃至150μmの間にある。
【0046】
一実施例では、バリヤー層102は、1層又は複数層の酸化物、窒化物、高分子又はその組み合わせ、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化シリコン又はParyleneを含み、これにより、外界から湿気及び酸素をブロックすることができる。他の実施例では、バリヤー層102は、さらに、載置基板(図示せず)を、酸化層を支持するために含んでも良い。
【0047】
第7G図は、本発明の実施例による発光素子7010の断面図である。発光素子7010は、複数の発光ユニット2a、2b、2c、絶縁層104、複数の波長変換層64、66、導電層20a、22a、20b、22b、20c、22c、透明覆蓋層32、及び透光層86を含む。一実施例では、発光素子7010には、3つの発光ユニット2a、2b、2cが含まれ、各発光ユニット2a、2b、2cは、絶縁層104により取り囲まれる。一実施例では、3つの発光ユニット2a、2b、2cは、一列(上面図において)に配列されるが、これに限定されず、三角形、円形、L型などの形状(上面図において)に配列されても良い。発光ユニット2a、2b、2cの配列順序は、交換されても良く、例えば、2b、2a、2c又は2a、2c、2bのようにしても良い。また、第7G図に示すように、絶縁層104は、第一部分1040、第二部分1042、第三部分1044及び第四部分1046を含む。第一部分1040は、発光ユニット2aの左の側辺に位置し、第二部分1042は、発光ユニット2aと発光ユニット2bとの間に位置し、第三部分1044は、発光ユニット2bと発光ユニット2cとの間に位置し、第四部分1046は、発光ユニット2cの右の側辺に位置する。一実施例では、発光ユニット2a及び発光ユニット2b、2cが発した波長のピーク値は、異なる。例えば、発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、発光ユニット2b、2cが発した波長のピーク値よりも大きい。或いは、発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、440nm~470nmの間であり、発光ユニット2b、2cが発した波長のピーク値は、390nm~420nmの間(又は、UVA領域内)である。他の実施例では、発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、発光ユニット2b、2cが発した波長のピーク値よりも大きく、且つ発光ユニット2b及び発光ユニット2cの波長のピーク値も同じではない。他の実施例では、発光ユニット2a及び発光ユニット2b、2cが発した波長のピーク値は同じであり、例えば、波長のピーク値は440nm~470nm、又は、390nm~420nm(又は、UVA領域内)である。
【0048】
一実施例では、透明覆蓋層32は、発光ユニット2aを覆い、波長変換層64は、発光ユニット2bを覆い、また、波長変換層66は、発光ユニット2cを覆う。発光ユニット2aが発した光は、透明覆蓋層32を透過して直接外へ射出することができ、又は、絶縁層104により反射された後に透明覆蓋層32から射出することができる。発光ユニット2aと絶縁層104との間に充填された透明覆蓋層32は、より多くの、発光ユニット2aからの光線の、発光ユニット2aの側辺からの射出を助けることができ、これにより、発光ユニット2aの光取り出し効率(Light Extraction Efficiency)を向上させることができる。発光ユニット2bは、波長変換層64により覆われ、発光ユニット2cは、波長変換層66により覆われる。波長変換層64、66は、それぞれ、発光ユニット2b、2cが発した光を、他の波長の光に変換する。一実施例では、発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、440nm~470nmの間であり、発光ユニット2b、2c及び発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、同じ又は近い。波長変換層64及び66は、波長のピーク値がそれぞれ500nm乃至550nmの間の緑色光及び600nm乃至670nmの間の赤色光を発する。他の実施例では、発光ユニット2aが発した波長のピーク値は、440nm~470nmの間であり、発光ユニット2b、2cは、390nm~420nmの間(又は、UVA領域内)である。波長変換層64、66は、波長のピーク値がそれぞれ500nm乃至550nmの間の緑色光及び600nm乃至670nmの間の赤色光を発する。
【0049】
他の実施例では、発光ユニット2aを覆うのは、短波長変換層(図示せず、波長変換層64及び66が発した波長に比べて短い波長である)である。発光ユニット2a、2b、及び2cが発した波長のピーク値は、ともに、390nm~420nmの間(又は、UVA領域内)であり、短波波長変換層が発した波長のピーク値は、440nm~470nmの間である。波長変換層64は、ピーク値が500nm~550nmの間の緑色光を発する。波長変換層66は、ピーク値が600nm~670nmの間の赤色光を発する。
【0050】
一実施例では、発光素子7010の透光層86は、絶縁層104、透明覆蓋層32、波長変換層64及び波長変換層66を覆う。透光層86は、環境中の湿気及び酸素による、波長変換層64、66中の量子ドット材料又は蛍光粉材料への影響を避けることができる。また、透光層86は、発光ユニット2a、2b、及び2cが発した光線が通過することができる。一実施例では、透光層86の、発光素子7010が発した光線に対する透過度(率)は、50%よりも大きい。透光層86の材料は、エポキシ樹脂であっても良い。
【0051】
第8A図は、第7A図の発光素子7000の光学特性図であり、第8B図は、第7C図の発光素子7002の光学特性図である。一実施例によれば、第8A図及び第8B図は、以下の条件下で獲得されたものであり、即ち、発光素子7000及び発光素子7002の長さは、約1.4mmであり、幅は、為0.9mmである。また、発光素子7000及び発光素子7002の発光ユニット2の長さは、ともに、0.3mmであり、幅は、約0.15mmである。発光素子7000及び発光素子7002の波長変換層6の厚みは、約0.2mmであり、且つ波長変換層6は、赤色光を発し得る量子ドット材料を含み、量子ドット材料の、波長変換層6に対する重量パーセントは、約5%である。さらに、発光素子7000の光フィルタリング層16の厚みは、約0.125mmである。第8A図に示すように、波長範囲がほぼ425nm~525nmの間であり、ピーク波長が約450nmである場合、そのピーク値(spectral flux)の強度はほぼ2.5μW/nmである。第8B図に示すように、波長範囲はほぼ400nm~490nmの間であり、ピーク波長は約455nmであり、そのピーク値の強度はほぼ18μW/nmである。第8A図及び第8B図から分かるように、発光素子7000が発した大部分の青色光は、光フィルタリング層16により阻止され、スペクトル中の波長450nm~490nmの部分の強度は、大幅に降下し、また、ピーク値の強度も、18μW/nmから2.5μW/nmまで降下する(発光素子7002が発した光線に対する)。また、この2つの発光素子は、CIE1931色度座標図上でも、明らかに区別できる位置に位置する。発光素子7000が発した光線は、青色光の成分が比較的少ないため、座標点は、発光素子7002が発した光線の所在位置の右上方に位置する。また、光フィルタリング層16も、選択的に波長変換層6からの光線を吸収することができ、又は、同時に発光ユニット2及び波長変換層6からの光線を吸収することができる。第8C~8D図は、3種類の光フィルタリング層16の光学特性図である。第8C図を参照する。光フィルタリング層16の透過率は、波長470nm以下の光に対してはほぼ0%であるが、波長480nm以上の光に対しては少なくとも80%の透過率を有する。第8C図の特性を有する光フィルタリング層16と組み合わせれば、発光素子(light-emitting element)7000が発した光線のうちの波長範囲が450~470nmの部分は、阻止又は吸収することができる。第8D図を参照する。曲線L1は、光フィルタリング層16の透過率が波長420nm以下の光に対してほぼ0%であるが、波長440nm以上の光に対して少なくとも80%の透過率を有することを表す。第8D図のL1曲線の特性を有する光フィルタリング層16と組み合わせれば、発光素子(light-emitting element)7000が発した光線のうちの波長範囲が200~400nmの部分は、阻止又は吸収することができる。曲線L2は、光フィルタリング層16の透過率が波長450nm以下の光に対してほぼ0%であるが、波長470nm以上の光に対して少なくとも80%の透過率を有することを表す。第8D図のL2曲線の特性を有する光フィルタリング層16と組み合わせれば、発光素子(light-emitting element)7000が発した光線のうちの450nm以下の部分は、阻止又は吸収することができる。
【0052】
第9A~9F図は、第7A図の発光素子7000の製造フローを示す図である。第9A図に示すように、複数の発光ユニット2を接着など方式で一時載置板140の上に設置し、また、一定の間隔でこれらの発光ユニットを設置する。そのうち、一時載置板140には、選択的に接着層142、例えば、離型膜(thermal release tape)を設置しても良く、接着層142は、加熱された後に粘着性を失うため、後続の、発光ユニット2と一時載置板140との分離の役に立つことができる。続いて、第9B図に示すように、一時載置板140に絶縁層104を設置する。絶縁層104の高さは、発光ユニット2の厚みとほぼ同じであり、即ち、絶縁層104の上表面は、発光ユニット2の上表面と実質的に共平面である。一実施例では、まず、複数の発光ユニット2の表面を覆うように絶縁層材料を設置し、それから、一部の絶縁層材料を除去して絶縁層104を形成する。絶縁層104の高さは、機械研磨法、湿式接着剤除去法又は両者の組み合わせにより、絶縁層の上表面と発光ユニットの上表面とがほぼ共平面であるようにさせることができる。湿式接着剤除去法は、Water Jet Deflash又はWet Blasting Deflashを含む。Water Jet Deflashの原理は、ノズルを用いて液体、例えば、水を噴出した後に、噴出後の圧力を用いて絶縁層材料を除去することである。Wet Blasting Deflashの原理は、液体に特定の粒子を添加し、液体の圧力及び粒子を以て絶縁層材料の表面に衝撃を与えて絶縁層材料を除去することである。第9C図及び第9D図を参照する。波長変換層6を、絶縁層104及び複数の発光ユニット2の上を覆うように設けた後に、一部の波長変換層6を除去して、発光ユニット2を覆う各波長変換層6の幅が発光ユニット2の幅よりも大きいようにさせる。さらに具体的に言えば、一部の波長変換層6を除去した後に、発光ユニット2の幅T1は、対応する波長変換層6の幅T2よりも少し小さくなる。一実施例では、接着層(図示せず)を選択的に発光ユニット2及び/又は絶縁層104の上に設置しても良く、これにより、波長変換層6を発光ユニット2及び/又は絶縁層104の上に貼合することができる。続いて、光フィルタリング層16を、波長変換層6の上表面及び側表面を覆うように形成する。光フィルタリング層16は、絶縁層104と直接接触しても良く、第9E図に示すようである。そのうち、絶縁層104及び光フィルタリング層16の最もの外側の面は、ほぼ共平面であるが、すべては、一時載置板140の最も外側の面を超えない。第9F図を参照する。発光ユニット2の間の一部の光フィルタリング層16、波長変換層6及び絶縁層104(第一部分1040及び第二部分1042を含む)を除去して、一時基板140の表面を露出させる。一時載置板140を除去した後に、複数の発光素子7000を第9F図に示すうように形成することができる。また、光フィルタリング層16の最大幅T3は、絶縁層104の最大幅T4と同じ又は近似する(例えば、幅の差は、T3又はT4の5%よりも小さい)が、光フィルタリング層16のの最大幅T3は、波長変換層6の最大幅T5よりも大きい。
【0053】
第9A~9C、9G~9H図は、第7D図の発光素子の製造フローを示す図である。第9A~9C図のステップは、既に説明されたため、ここで省略される。第9G図を参照する。絶縁層104を設置した後に、順に、波長変換層6及び光フィルタリング層16を設ける。そのうち、波長変換層6及び光フィルタリング層16の幅は、ほぼ同じであり、且つ、全ては、一時載置板140の辺縁を超えない。第9H図を参照する。発光ユニット2の間の一部の光フィルタリング層16、波長変換層6及び絶縁層104を除去して、一時基板140の表面を露出させる。一時載置板140を除去した後に、複数の発光素子7004を第9I図に示すように形成することができる。また、光フィルタリング層16の最大幅T6は、波長変換層6の最大幅T5と同じ又は近似する(例えば、幅の差異は、T5の5%よりも小さい)。
【0054】
上述のフローでは、波長変換層6及び光フィルタリング層16は、薄膜であっても良く、また、選択的に接着層(図示せず)により発光ユニット2の上に貼り付けられる。波長変換層6及び光フィルタリング層16も膠(にかわ;paste)状物質であっても良く、これにより、塗布又はコーティングなど方式で発光ユニット2の上に設置され得る。そのうちの接着層は、熱固化(硬化)樹脂であっても良く、熱固化樹脂は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂であっても良い。そのうち、シリコーン樹脂の成分は、所要の物理的性質又は光学的性質のニーズに応じて調整することができ、例えば、脂肪族のシリコーン樹脂、例えば、メチルシロキサン(methylsiloxane)化合物を含み、比較的大きい展延性を有するため、応力を受けることができ;或いは、シリコーン樹脂は、芳香族の樹脂、例えば、Phenylsiloxane化合物を含み、芳香族のシリコーン樹脂は、脂肪族のシリコーン樹脂に比べ、比較的大きい屈折率を有するため、接着層と発光ユニット2の屈折率の差を小さくすることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。一実施例では、発光ユニット2の可視光波長下での屈折率は、約1.75~2.60であり、芳香族のシリコーン樹脂の可視光波長下での屈折率は、1.45~1.60である。絶縁層104は、絶縁機能の他に、発光ユニット2の光線を反射して、大部分の光線を、波長変換層6を通過するように導くこともできる。さらに具体的に言えば、絶縁層104は、基質及び基質に分散している複数の反射粒子(図示せず)を含み、基質は、シリコンベースの材料(silicone-based material)を有し、又は、エポキシ樹脂ベースの材料(epoxy-based material)を有し、また、1.4~1.6又は1.5~1.6の間の屈折率(n)を有する。反射粒子は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、又は二酸化ジルコニウムを含む。一実施例では、発光ユニットの発した光線が反射絶縁層に到着した時に、光線は、反射され、且つ少なくとも一部の反射は、乱反射(diffuse reflection)である。絶縁層104は、0.5~1000Pa・sの粘度(例えば0.5、1、2、10、30、100、500、1000)を有し、且つ完全固化後に、40~90の間の硬度(shore D)を有する。或いは、絶縁層104は、100~1000Pa・sの粘度(例えば100、300、500、1000、5000、10000)を有し、且つ完全固化後に、30~60の間の硬度(shore D)を有する。
【0055】
第10A~10F図は、第7E図の発光素子7006の製造フローを示す図である。第10A図、第10B図及び第10C図の詳細な説明は、第9A図、第9B図及び第9C図の関連段落を参照することができる。そのうち、絶縁層104’は、絶縁層104の一部(第10F図参照)である。
【0056】
第10D図を参照するに、波長変換層6’を分離して、複数の波長変換層6を形成し、また、発光ユニット2を覆う波長変換層6の幅が発光ユニット2の幅とほぼ同じ(少なくとも発光ユニット2及び波長変換層6の両者の互いに接する処の幅がほぼ同じであることを要する)であるようにさせる。分離の方式は、切断工具31を以て波長変換層6’を切断することを含む。切断工具31が完全に波長変換層6’を切断するために、切断工具31は、通常、絶縁層104’にタッチし、除絶縁層104’の一部を除去することがある。切断工具31は、通常、弧形の先端を有するため、発光ユニット2の間の絶縁層104’上に陥凹構造を形成することができる。第10E図を参照するに、絶縁層104’’及び絶縁層材料104’’’を、絶縁層104’及び複数の波長変換層6の上を覆うように形成する。そして、絶縁層材料104’’’を除去して、波長変換層6の上表面を露出させる。絶縁層材料104’’’を除去する方式は、第9B図又は第10B図と同じ又は類似した方法を採用しても良い。一実施例では、絶縁層材料104’’’を除去した後に、同時に絶縁層104’及び絶縁層104’’を固化させることができる。一実施例では、絶縁層104’及び絶縁層104’’の両者は、同じ又は類似した材料により構成されるので、固化後の両者の間には、界面が存在しない可能性がある。第10F図を参照するに、絶縁層104’と絶縁層104’’を分離して絶縁層104を成し、また、これにより、複数の互いに分離した発光素子7006(ただし、この時の発光素子7006は、依然として、接着層142及び載置板140の上に固定される)を形成することができる。絶縁層104’と絶縁層104’’を分離する方式は、切断工具31を以て絶縁層104’及び絶縁層104’’上に切断線を形成して分離することを含む。
【0057】
第10A~10D図及び第10G~10H図は、第7F図の発光素子7008の製造フローを示す図である。第10G図を参照するに、第10D図のステップ完成後に、バリヤー層102’を、波長変換層6及び絶縁層104’の表面を覆うように設ける。バリヤー層102’の形成方式は、バリヤー膜を貼合し又はsputtering方式でバリヤー層102’を形成することを含む。第10H図を参照するに、絶縁層104’、絶縁層104’’及びバリヤー層102’を分離して絶縁層104及びバリヤー層102を成し、また、これにより、複数の互いに分離した発光素子7008を形成することができる。分離の方式は、切断工具31を以て絶縁層104’、絶縁層104’’及びバリヤー層102’上に切断線を形成して分離することを含む。
【0058】
他の実施例では、波長変換層6は、photolithography方式で形成する。photolithographyプロセスを採用する場合、第10C図のステップの後は、第10D図のステップではなく、第10I図のステップを行う。photolithographyプロセスのために、波長変換層6’は、感光性樹脂を含み、これにより、露光、現像プロセスによりパターン化することができる。第10I図のステップの後に、前述のように、異なる発光素子の構造に従って、それぞれ、第10E~10F図のステップ又は第10G~10H図のステップを行っても良い。
【0059】
他の実施例では、バリヤー層102は、第10F図のステップの後に形成することもできる。第10J図を参照するに、バリヤー層102’は、波長変換層6及び絶縁層104の表面を覆う。第10K図を参照するに、バリヤー層102’を分離してバリヤー層102を成し、また、複数の独立した発光素子を形成することができる。
【0060】
第11A~11E図は、第7G図の発光素子7010の製造フローを示す図である。第9A図に示すように、複数の発光ユニット2a、2b、2cを接着など方式で一時載置板140の上に設置する。詳細な製作方式は、第9A図及び関連段落の説明を参照することができる。そのうち、発光ユニット2a、2b、2cは、同じ波長の光線(例えば、発光ユニット2a、2b、2cはともに青色光又は紫外光を発する)を発しても良く、又は、完全に異なる波長の光線(例えば、発光ユニット2a、2b、2cは、それぞれ、青色光、緑色光、赤色光を発する)を発しても良く、又は、一部が同じ波長の光線(例えば、発光ユニット2aは青色光を発し、発光ユニット2b及び2cは紫外光を発する)を発しても良く、これについては、第7G図及び関連段落の記載を参照することができる。
【0061】
第11B図を参照するに、透明覆蓋層32’を、発光ユニット2aを覆うように形成し、第一波長変換層64’を、発光ユニット2bを覆うように形成し、第二波長変換層66’を、発光ユニット2cを覆うように形成する。一実施例では、透明覆蓋層32’は、膠体形態の透明覆蓋層32’の材料を、dispensing方式で、対応する発光ユニット2aに形成し、そして、固化させて透明覆蓋層32’を形成することができる。第一波長変換層64及び第二波長変換層66は、透明覆蓋層32’と同じ又は類似した形成方式を採用しても良いが、発光ユニット2b、2cを覆う材料は、第一波長変換層64の材料及び第二波長変換層66の材料になる。他の実施例では、透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’は、予め形成された単一膜に統合されても良く、この膜には、発光ユニット2a、2b、2cの配置方式に従って適切に配列されている透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’を含む。この膜を発光ユニット2a、2b、2c及び接着層142の上に貼り付けて固化させることにより、一括(一回)で、透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’を、発光ユニット2a、2b、2c’を覆うように形成することできる。この膜は、透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’の他に、透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’を取り囲む他の種類の材料、例えば、黒色、白色又は他の不透明の材料、例えば、黒色顔料、白色顔料を含んでも良い。
【0062】
第11C図を参照する。透明覆蓋層32’、第一波長変換層64’及び第二波長変換層66’を分離して透明覆蓋層32、第一波長変換層64及び第二波長変換層66を成し、そして、切断線を形成する。第11D図を参照するに、絶縁層104を、透明覆蓋層32、第一波長変換層64及び第二波長変換層66の間に形成する。絶縁層104を形成する方式は、第10B図及び関連段落の説明を参照することができ、絶縁層104及び絶縁層104’を、発光ユニット2を覆うように形成した後に、絶縁層104’を除去する。第11E図を参照する。透光層86を、透明覆蓋層32、第一波長変換層64、第二波長変換層66及び絶縁層104の表面を覆うように設置した後に、発光素子7010(この時、発光素子7010は、依然として一時載置板1405の上に固定される)を形成することができる。
【0063】
第12A図は、本発明の実施例による発光装置を示す図である。第12A図に示すように、発光装置12001は、発光素子7002、バリヤー層102、吸光層105、透光層86及び光フィルタリング層16を含む。発光素子7002は、透光層86に覆われる。具体的に言えば、発光素子7002の上表面及び側表面は、透光層86と直接接続され、且つ発光素子7002が発した光線の大部分(例えば、80%よりも大きい)はl透光層86を透過でき、即ち、吸収されない。透光層86の、発光素子7002から離れる側面は、吸光層105に覆われる。図に示すように、透光層86の左右両側は、それぞれ、吸光層105の第一部分1050及び第二部分1052に接続される(第12A図では、第一部分1050及び第二部分1052は、互いに分離した2つの部分であるが、上面図(図示せず)では、第一部分1050及び第二部分1052は、1つの単一構造の2つの部分、又は、実質的に分離した2つの部材である可能性がある)。吸光層105は、発光素子7002から発した光線(発光ユニット2が発した光線を含む)を吸収し得るので、発光装置12001から側方向へ発した光線を減少させ、発光装置12001から上方向へ射出する光線(collimated light)を増加させることができる。バリヤー層102は、発光素子7002の上方を覆い、具体的に言えば、バリヤー層102は、吸光層105及び透光層86の上方に設置され、また、吸光層105及び透光層86の最上表面と直接接触する。光フィルタリング層16は、バリヤー層102の上に設置され、これにより、特定色の光、例えば、青色光、紫外光、赤色光を遮蔽し、不要な、又は、人体に害がある、又は、他の種類の光線をフィルタリングすることができる。更なる詳細説明は、後述の関連段落を参照することができる。また、光フィルタリング層16及びバリヤー層102の最大幅は、ほぼ同じ(側面図又は上面図において)であり、光フィルタリング層16及びバリヤー層102の最も外側の面及び吸光層105の最も外側の面も、それによって、ほぼ共平面である。
【0064】
第12B図は、本発明の実施例による発光装置を示す図である。第12B図に示すように、発光装置12002は、発光素子7004a、発光素子7004b、発光ユニット2a/2b/2c、吸光層105、透光層86及び光フィルタリング層16を含む。発光装置12002の細部は、前述の発光装置12001に関連する段落の記載を参照することができる。そのうち、発光素子7004a及び発光素子7004bは、異なる色の光を発しても良い。さらに具体的に言えば、発光装置12002は、表示装置(例えば、モニター、テレビ、広告看板)の画素(pixel)として使用されても良く、そのうち、発光ユニット2aは、青色光を発しても良く、発光素子7004a、7004bは、それぞれ、赤色光及び緑色光を発しても良い。さらに言えば、発光素子7004aは、発光ユニット2b及び波長変換層64を含み、発光素子7004bは、発光ユニット2c及び波長変換層66を含み、そのうち、波長変換層64及び波長変換層66は、それぞれ、発光ユニット2b/2cが発した青色光を吸収した後に、異なる色の光を発することができる。一実施例では、波長変換層64は、青色光により励起されて赤色光を生成することができ、波長変換層66は、青色光により励起されて緑色光を生成することができる。他の実施例では、発光素子7004a、7004bの発光ユニット2b/2cが発するのは、不可視光であり、波長変換層64及び波長変換層66は、不可視光を吸収し、また、それぞれ、赤色光及び緑色光を発することができる蛍光粉粒子又は量子ドット材料を含む。発光装置12002は、画素として使用される時に、隣接する画素が発した光線は、互いに干渉する可能性がある。例えば、1つの画素が青色光を発する時に、該画素に隣接する他の像素が発した光線の色は、青色光に混入する可能性がある。一実施例では、発光装置12002には、吸光層105が設置され、これにより、隣接する画素への光線を吸収することができる。さらに具体的に言えば、吸光層105は、発光装置12002の周りに設置され(第12B図では、吸光層105を発光装置12002の両側のみに設置することを示す)、これにより、側方向へ射出した光線を吸収し、隣接する画素への干渉を低減又は回避することができる。発光装置12001は、サブピクセル(sub-pixel)として使用されても良く、1つの画素には、3つ又はそれ以上のサブピクセルが含まれても良い。第12A図に示すように、発光装置12001の吸光層105は、発光装置12001から側方向へ発した光線を吸収することができ、隣接する発光装置12001間のcrosstalkを低減又は回避することができる。
【0065】
第13A図は、本発明の実施例による発光装置13001を示す図である。第13A図に示すように、発光装置13001は、発光素子7006a、発光素子7006b、発光ユニット2a/2b/2c、バリヤー層102、吸光層105及び透光層86を含む。発光装置13001の細部は、前述の発光装置12002に関連する段落の記載を参照することができる。そのうち、バリヤー層102は、透光層86及び吸光層105の上表面を覆う。第13A図では、発光素子7006a及び発光素子7006bの構造は、第7E図中に示すような構造である。発光素子7006a及び発光素子7006bにおける絶縁層104a/104bの構造は、波長変換層64、66の側壁を取り囲むため、波長変換層64が発光ユニット2a又は発光素子7006bからの光線により励起されることを避け、及び、波長変換層66が発光ユニット2a又は発光素子7006aからの光線により励起されることを避けることができる。以上の設計により、発光素子が純粋な色の光を発することを確保することができる。また、絶縁層は、発光ユニット2b及び2cからの、完全に変換されない光線を吸収することができるため、発光ユニット2b及び2cの光漏れの問題を改善することもできる。
【0066】
第13B図は、本発明の実施例による発光装置13002を示す図である。第13B図に示すように、発光装置13001に比べ、発光装置13002は、バリヤー層102の上に、さらに、光フィルタリング層16が覆うように設置される。これにより、発光ユニット2b及び2cが発した光線は、光フィルタリング層16によりブロック又は吸収され、発光装置13002の外への漏れを低減又は防止することができる。例えば、発光ユニット2b及び2cが紫外光を発する時に、光フィルタリング層16は、変換されない紫外光をフィルタイングすることで、他の部材又は人の目を害することを避けることができる。
【0067】
第14図は、本発明の実施例による発光装置14001を示す図である。発光装置14001は、発光素子7010(点線部分)、バリヤー層102及び透光層86を含む。発光装置14001の細部は、前述の発光装置13001に関連する段落の記載を参照することができる。そのうち、発光素子7010の構造は、第7G図中に示すような構造である。
【0068】
発光装置12001、12002、13001、13002、14001に含まれる部材、例えば、発光素子、光フィルタリング層及び発光ユニットは、この明細書の関連段落の説明を参照することができる。
【0069】
発光装置12001、12002、13001、13002、14001における透光層86は、熱硬化性樹脂(thermosetting resin)、例えば、epoxy resin、silicone resin、phenol resin、unsaturated polyester resin又はpolyimide resinであっても良い。所要の物理的性質又は光学的性質のニーズに応じて、適切な材料を選択して透光層を形成しても良く、例えば、脂肪族のシリコーン樹脂を含み、これにより、比較的大きい展延性を有するため、発光素子の熱応力を受けることができ、又は、芳香族のシリコーン樹脂を含み、これにより、比較的大きい屈折率を有する。
【0070】
吸光層105は、Bismaleimide Triazine Resin(BT)を含んでも良い。吸光層105の表面は、可視光線を吸収し得る材料、例えば、黒色インク(BTは、淡黄色である)を塗布することができる。
【0071】
発光装置12001、12002、13001、13002、14001におけるバリヤー層102は、適切な展延性を有する膜状物を選択することができる。さらに具体的に言えば、膜状物は、Polyethylene Terephthalate(PET)であり、PET上では、水気をブロックする機能を有する有機物、無機物(例えば、酸化物)、又は、有機物と酸化物のスタック層を塗布することができ、これにより、水気を阻止する機能を達成することができる。他の実施例では、バリヤー層102は、depositionの方式、例えば、atomic layer deposition(ALD)の方式で形成される1つの、酸化アルミニウムを含む薄膜である。バリヤー層102は、水気の通過を阻止することができ、また、そのwater vapor transmission rate(WVTR)は、例えば、10~100g/m2day又は10~100cc/m2dayである。
【0072】
発光装置12001、12002、13001、13002、14001には、1つ又は複数の発光素子を含み、そのうち、発光素子の製作方式は、関連段落及び図面の説明を参照することができる。発光装置12001を例とすると、発光素子7002は、まず、載置板に設置され、また、載置板上での回路と電気接続される。そして、吸光層105は、発光素子7002の周囲(周り)を覆う。吸光層105は、実質的に均一な厚み、例えば、50μmを有する。そのうち、発光素子7002は、接合(bonding)方式で載置板に設置される。接合方式は、金属接合(metal bonding)、はんだ(solder)又はAnisotropic Conductive Paste(ACP)を採用しても良い。ACPは、微細半田ボールを含有する膠(Paste)又はultra-fine pitch fixed array ACPなどの導電膠材を含む。そのうち、微細半田ボールを含有する膠は、積水化学社(Sekisui Chemical)のSAP(Self Assembly Anisotropic Conductive Paste)を採用しても良い。ultra-fine pitch fixed array ACPは、Trillion Science Inc.の製品を使用しても良い。一実施例では、ACPの固化温度は、約200℃であり、固化時間は、5分である。吸光層105の固化温度は、200℃であり、固化時間は、20分である。吸光層105の形成ステップ完成後に、透光層86は、吸光層105の間に充填される。透光層86の最上表面は、吸光層105の最上表面とほぼ共平面である。透光層86及び吸光層105には、順に、バリヤー層102及び光フィルタリング層16が覆うように設けられる。透光層86の固化温度は、約70℃であり、固化時間は、約120分である。バリヤー層102の固化温度は、約70℃であり、固化時間は、120分である。他の実施例では、発光装置12001は、まず、前述のフローに従って一時載置板に設置され、その後、発光装置12001は、載置板に移転され、載置板上での回路と電気接続されても良い。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0074】
1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、7002、7004、7004a、7004b、7006、7006a、7006b、7008、7010:発光素子
12001、12002、13001、13002、14001:発光装置
2、2a、2b、2c:発光ユニット
31:切断工具
32、32’:透明覆蓋層
40、42:透光底層
6、6’、60、62、64、64’、66、66’:波長変換層
80、82、84:透光頂層
86:透光層
100、101:保護層
102、102’:バリヤー層
1020:第一部分
1022:第二部分
1024:第三部分
104、104a、104b、104’、104”、106、108:絶縁層
104’’’:絶縁層材料
1040、1050:第一部分
1042、1052:第二部分
105:吸光層
142:接着層
200:下表面
201:載置基板
202:上表面
203:発光層
204、206、70040、70042:側表面
12:載置板
14、140:一時載置板
16:光フィルタリング層
20、22:導電層
402、608:界面
604、606:側壁
T:厚み
T1、T2:幅
T3、T4、T5:最大幅