(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】エレベータシステムおよびエレベータの制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B66B1/14 E
(21)【出願番号】P 2022093149
(22)【出願日】2022-06-08
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】千葉 貴博
(72)【発明者】
【氏名】早川 秀一
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-017184(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0055413(KR,A)
【文献】国際公開第2020/016925(WO,A1)
【文献】特開2012-063961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 15/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごに利用者と自律移動ロボットとの同乗を許容するエレベータシステムであって、
前記かごに設定され、前記自律移動ロボットを充電するための給電エリアと、
前記給電エリアに設置され、非接触で前記自律移動ロボットの搭載バッテリを充電する非接触給電装置と、
前記自律移動ロボットに設置され、当該自律移動ロボットの充電状態を示す情報を、前記かごに設置された通信装置を介して前記かごを群管理制御する群管理制御装置に出力する通信部と、
前記かごを制御するエレベータの制御装置と、を備え、
前記エレベータの制御装置は、
センサによってかご内の状況を監視し、
前記給電エリアに利用者がいない場合には、前記自律移動ロボットを給電エリアに移動させて充電し、
前記給電エリアに利用者がいる場合であって前記自律移動ロボットの搭載バッテリの残量に余裕がない場合には、前記利用者を給電エリア外に移動するよう誘導した後、前記自律移動ロボットを給電エリアに移動させて充電し、
前記給電エリアに利用者がいる場合であって前記自律移動ロボットの搭載バッテリの残量に余裕がある場合には、前記自律移動ロボットをかご内の空きスペースへ誘導する、エレベータシステム。
【請求項2】
かごに利用者と自律移動ロボットとの同乗を許容するエレベータシステムであって、
前記かごに設定され、前記自律移動ロボットを充電するための給電エリアと、
前記給電エリアに設置され、非接触で前記自律移動ロボットの搭載バッテリを充電する非接触給電装置と、
前記自律移動ロボットに設置され、当該自律移動ロボットの充電状態を示す情報を、前記かごに設置された通信装置を介して前記かごを群管理制御する群管理制御装置に出力する通信部と、
前記かごを制御するエレベータの制御装置と、を備え、
前記エレベータの制御装置は、
複数台のかごが走行中に、搭載バッテリの残量が少ない自律移動ロボットから乗場呼びがあった場合、乗場呼び階に近い位置を走行中のかごよりも、かご内に自律移動ロボットが乗車していないかごを優先的に割当かごとして決定する、エレベータシステム。
【請求項3】
前記非接触給電装置を構成する送電コイルは、前記かごを構成する底面部、側面部、天井面部及びかごドア面部の少なくとも何れかに設置され、前記送電コイルから前記自律移動ロボットに設置された受電コイルに電力を供給して前記搭載バッテリを充電する、請求項
1又は2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
自律移動ロボットがかご内に乗り込む際、給電エリアに利用者がいた場合、当該利用者を給電エリア外に移動するよう誘導する誘導手段を備える、請求項
1又は2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
請求項1又は2
に記載のエレベータシステム
における前記エレベータの制御装置であって、
かご内に複数台の自律移動ロボットがいるとき、各自律移動ロボットの搭載バッテリの残量を比較して、いずれの自律移動ロボットが給電エリアを使用するかを判断する、エレベータの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムおよびエレベータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動可能なロボットをエレベータと連動させて他階に移動させる技術がある。清掃や警備、宅配などを行うサービスロボットは、移動指令が来た際に目的階へ急行できるよう、所定位置、例えばエレベータかご内で待機することが望ましい。しかし、ロボットの稼働は内蔵バッテリに依存しており、稼働時間に制約がある。そのため、一定時間ごとに充電ステーションへ移動し、充電する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5572018号
【文献】特許第6781284号
【文献】特許第6812500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、充電の都度、充電ステーションまで移動して充電するのは時間がかかるばかりでなく、充電ステーションとの間の往復移動時における電力が無駄になる。
【0005】
そこで、従来例として、かご内に給電エリアを設けて接点式で充電する技術がある。しかし、接点式の充電は、ロボットの向きに制約があり、位置調整が必要となる。またロボットと人がかご内に混合している場合、人が給電エリアを塞いでいることも考えられる。
【0006】
上記問題を解決するため、本発明は、かご内にて非接触で自律移動ロボットに給電することができるとともに、利用者と自律移動ロボットとが共存することができるエレベータシステムおよびエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、かごに利用者と自律移動ロボットとの同乗を許容するエレベータシステムであって、かごに設定され、自律移動ロボットを充電するための給電エリアと、給電エリアに設置され、非接触で自律移動ロボットの搭載バッテリを充電する非接触給電装置と、を備えるエレベータシステムである。
【0008】
また、かご内カメラによってかご内の状況を監視し、給電エリアに利用者がいない場合には、自律移動ロボットを給電エリアに移動させて充電し、給電エリアに利用者がいる場合であって自律移動ロボットの搭載バッテリの残量に余裕がない場合には、利用者を給電エリア外に移動するよう誘導した後、自律移動ロボットを給電エリアに移動させて充電し、給電エリアに利用者がいる場合であって自律移動ロボットの搭載バッテリの残量に余裕がある場合には、自律移動ロボットをかご内の空きスペースへ誘導する、エレベータの制御装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係るエレベータシステムの構成を示すブロック図。
【
図3A】実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図3B】実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図4】給電エリアに人がいない場合の動作を示す説明図。
【
図6】給電エリアに人がいて混雑している場合の動作を示す説明図。
【
図7】ロボット呼びを考慮した群管理制御の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、実施形態のエレベータシステム1を構成するかご10は、利用者2と自律移動ロボット20との同乗を許容するものであり、かご10の内奥部(
図4参照)には、自律移動ロボット20の給電エリア11が設置されている。また、かご10を構成する底面部12、側面部13、天井面部14等には非接触給電装置40を構成する送電コイル41が設置されている。なお、送電コイル41は、かごドア15のドア面部等に設置されていてもよい。送電コイル41は底面部12、側面部13、天井面部14、かごドア15のかごドア面部の少なくとも何れかに設けられていればよい。
【0011】
かご10内には、かご内を撮像してかご10内の状況を監視するかご内カメラ16と、アナウンス音声を出力するかご内スピーカ17と、アナウンス画像等を表示する表示装置18とが設定されている。なお、かご10内の状況を監視する手段としては、かご内カメラ16に限定されず、例えば赤外線センサや荷重センサ、ロボット側に搭載されたセンサなどであってもよい。
【0012】
また、かご10の天井面部14には通信装置3が設置されており、自律移動ロボット20との間の通信に利用される。さらに、かご10は、図示しないエレベータ制御装置を介して群管理制御装置30(
図2参照)に接続されている。なお、実施形態の説明では、エレベータの制御装置は、エレベータ制御装置と群管理制御装置30とを含むものとし、群管理制御装置30で実施される機能を個々のエレベータ制御装置で実施するようにしてもよい。
【0013】
乗場60には、利用者2が行先階を登録するための乗場行先階登録装置61および上下呼びボタン62と、乗場60の混雑状態等を撮像する乗場カメラ63とが設置されている。
【0014】
自律移動ロボット20は、自律して移動可能なサービスロボットであり、通信装置3を介して群管理制御装置30に接続されている。また、
図2に示すように、自律移動ロボット20は、ロボット呼び出力部200と、通信部201と、受電コイル202と、搭載バッテリ203と、充電状態監視部204と、充電状態出力部205と、駆動制御部206と、駆動部207とを備える。
【0015】
ロボット呼び出力部200は、乗場60にいる自律移動ロボット20からの乗場呼びをロボット呼びとして通信部201を介して群管理制御装置30へ出力する。
【0016】
通信部201は、ロボット呼び出力部200からのロボット呼びや搭載バッテリ203の充電状態情報等を通信装置3を介して群管理制御装置30へ送信する機能、群管理制御装置30からのロボット駆動指令を受信する機能等を有する。
【0017】
受電コイル202は、非接触給電装置40に設置されている送電コイル41から電力の供給を受けて搭載バッテリ203を充電する。受電コイル202は送電コイル41と対面する位置に設置されていることが望ましい。このため、送電コイル41がかご10の底面部12にある場合にはロボット底面に、側面部13にある場合にはロボット側面に、天井面部14にある場合にはロボット上面に設置する。また、かごドア15に送電コイル41が設置されている場合にはロボット前面または後面に設置する。
【0018】
搭載バッテリ203は、受電コイル202を介して非接触給電装置40からの電力供給を受けて充電する。
【0019】
充電状態監視部204は、搭載バッテリ203のバッテリ残量を監視し、バッテリ残量等の充電状態情報を充電状態出力部205に出力する。
【0020】
充電状態出力部205は、充電状態監視部204からの充電状態情報を通信部201を介して群管理制御装置30へ出力する。
【0021】
駆動制御部206は、通信部201を介して群管理制御装置30からの駆動指令を入力して駆動部207を制御する。
【0022】
駆動部207は、駆動モータや各種センサ等を備え、駆動制御部206の制御により自律移動ロボット20の駆動を実行する。
【0023】
群管理制御装置30は、乗場呼び受付部301と、エレベータ情報入力部302と、カメラ画像入力部303と、ロボット情報入力部304と、充電状態判断部305と、割当候補かご評価部306と、割当かご決定部307と、かご内状況判定部308と、割当かご出力部309と、駆動指令出力部310と、アナウンス部311とを備える。
【0024】
乗場呼び受付部301は、利用者2によって乗場行先階登録装置61および上下呼びボタン62から登録された乗場呼びを受け付ける。
【0025】
エレベータ情報入力部302は、かご10のかご情報をエレベータ制御装置から入力する。具体的には、かごID、行先階呼び(かご呼び)、荷重センサで検出されたかご荷重、ロボット乗車有無、ロボット乗車可否等の情報を含む。
【0026】
カメラ画像入力部303は、かご内カメラ16でかご内を撮像して得られた乗車中の人数や自律移動ロボット20の乗車の有無等を把握する。また、乗場カメラ63で撮像された乗場60の画像を入力して乗場の利用者人数、自律移動ロボット20の到着状況や待機状況等の乗場状況を把握する。
【0027】
ロボット情報入力部304は、自律移動ロボット20からのロボット呼びの受信、および自律移動ロボット20に関するロボット情報を受信する。また、充電状態監視部204で監視された搭載バッテリ203の残量等の充電状態情報を受信する。
【0028】
充電状態判断部305は、ロボット情報入力部304を介して自律移動ロボット20の搭載バッテリ203の充電状態情報を入力し、自律移動ロボット20を充電させるべきか否かを判断する。
【0029】
割当候補かご評価部306は、乗場呼び受付部301から乗場呼び登録状態を取得する。また、充電状態判断部305から充電状態情報を取得する。さらに、エレベータ情報入力部302からかご10に対する自律移動ロボット20の乗車可否情報、かご10の走行位置やかご内の荷重等の情報を取得する。加えて、カメラ画像入力部303から、かご10内および乗場60の状況を示すカメラ画像を取得する。そして、取得した情報に基づき、割当ての候補かごを求める。
【0030】
割当かご決定部307は、割当候補かご評価部306で評価された割当候補かごの中から適切な割当かごを決定する。
【0031】
かご内状況判定部308は、カメラ画像入力部303から、かご10内の状況を示すカメラ画像を取得してかご内の状況を判定する。
【0032】
割当かご出力部309は、割当かご決定部307で決定された割当かごをエレベータ制御装置に出力するとともに、駆動指令出力部310に出力する。
【0033】
駆動指令出力部310は、割当かご出力部309からのかご割当の情報を自律移動ロボット20へ出力する。
【0034】
アナウンス部311は、かご10のかご内スピーカ17や、表示装置18にアナウンス音声や画像等を出力する。特に、充電状態判断部305が自律移動ロボット20の充電状態を判断した結果、充電が必要で有る場合には、自律移動ロボット20が給電エリア11に移動する旨をかご10内に案内する。このとき、カメラ画像入力部303で得られた査カメラ画像から給電エリア11に利用者2がいる場合には、給電エリア11から外に移動するように案内する。
【0035】
<実施形態の処理手順>
図3A、
図3Bは、実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
同図に示すように、ロボット呼び出力部200からロボット呼びが出力されると、ロボット情報入力部304は通信装置3を介して受信する(ステップS1YES)。割当候補かご評価部306は、かご内カメラ16からのカメラ画像から給電エリア11の使用状況を判断するとともに、現在走行中のかご10のかご位置から適切な割当候補かごを判断する。次いで、割当かご決定部307は、割当候補かごの中から乗場60にいる利用者2の人数等を考慮して適切な割当かごを決定する(ステップS2)。
【0037】
割当かごがロボット呼び階に到着し、戸開して利用者2の乗降が完了すると(ステップS3)、かご内状況判定部308は、かご内カメラ16のカメラ画像から給電エリア11に利用者2がいるか否かを判定する(ステップS4)。
【0038】
給電エリア11に利用者2がいない場合(ステップS4NO)には、乗車した自律移動ロボット20を給電エリア11に移動させるように駆動指令出力部310から駆動指令を出力する(ステップS5)。そして、非接触給電装置40を起動して充電を開始する(ステップS6)。かご10が戸閉して目的階に移動すると(ステップS7)、非接触給電装置40を停止させた後(ステップS8)、自律移動ロボット20を降車させる(ステップS9)。
【0039】
一方、給電エリア11に利用者がいる場合(ステップS4YES)には、充電状態監視部204は搭載バッテリ203の残量に余裕があるか否かを判定する(ステップS10)。
【0040】
搭載バッテリ203の残量に余裕がない場合(ステップS10NO)には、アナウンス部311はかご内スピーカ17からアナウンスを流し利用者2を給電エリア11の外に移動するよう促す(ステップS11)。アナウンスがされた以後の処理はステップS5以降の処理と同じである。
【0041】
また、搭載バッテリ203の残量に余裕がある場合(ステップS10YES)には、かご10内が混雑しているか否かを判定する(ステップS12)。かご10内が混雑していない場合(ステップS12NO)には、ステップS11の処理に移動し、アナウンス部311はかご内スピーカ17からアナウンスを流し利用者2を給電エリア11の外に移動するよう促す(ステップS11)。アナウンス後の処理はステップS5以降の処理と同じである。
【0042】
かご10内が混雑している場合(ステップS12YES)には、駆動指令出力部310は、かご10内の空きスペースに移動するよう、自律移動ロボット20に対して駆動指令を出力する(ステップS13)。戸閉後、目的階に移動すると(ステップS14)、自律移動ロボット20をかご10から降車させる(ステップS9)。
【0043】
【0044】
図4(A)の状態では、自律移動ロボット20が乗場60で待機しているとき、かご10内には利用者2が1人いるが、給電エリア11内には利用者2はいない。このため、同図(B)に示すように、自律移動ロボット20はかご10内に乗車後、給電エリア11に移動させることができる。
【0045】
図5(A)の状態では、自律移動ロボット20が乗場60で待機しているとき、かご10内には2人の利用者2がいるが、そのうちの1人は給電エリア11内に立っている。この場合、自律移動ロボット20の搭載バッテリ203の残量に余裕がない場合には、同図(B)に示すように、かご内スピーカ17から給電エリア11に立っている利用者2に対して給電エリア外に移動するようアナウンス音声を出力する。
【0046】
図6(A)の状態では、かご10内に沢山の利用者2がおり、給電エリア11内にも利用者2がいるほど混雑している。この場合には、充電残量に余裕があれば、自律移動ロボット20をかご10内の空きスペースに移動させる。
【0047】
このように、本発明の実施形態によれば、かご10内に自律移動ロボット20に非接触で給電する給電エリア11を設けたので、自律移動ロボット20は、かご10の走行中での充電が可能になる。また、従来のように、例えば、管理人室などに充電エリアを設けている場合、充電エリアに移動するためのバッテリ残量を確保する必要がある。本実施形態では、移動の分だけ、稼働時間を低減することができる。
【0048】
かご10内で充電し待機することで、目的地への急行と稼働時間の延長を両立することができる。例えば、自律移動ロボット20として配達ロボットなどをかご10内で待機させることで、ロボット呼びがあった際に素早く目的階へ移動させることができる。
【0049】
また、非接触給電することでロボットの向きや高さ、かご内意匠、防水防塵仕様に関わらず充電することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、かご10の給電エリア11内に自律移動ロボット20がいる場合に充電を開始するようにしている。これにより自律移動ロボット20が給電エリア11内いないときは非接触給電装置40を稼働させなくていいので、消費電力の軽減が期待できる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、非接触給電装置40をかご10に設置し、非接触給電方式により給電することで密閉構造にすることができる。これにより、接点部分に雨による浸水やほこりによる火災が発生することが無いため、安全性において従来の接点式に勝ることができる。
【0052】
さらに、群管理制御装置30によって、かご10内の状況を把握したオペレーションとすることで、運転効率を下げることなく利用者2と自律移動ロボット20とを移動させることができる。
【0053】
なお、かご10内で自律移動ロボット20が充電しているときに、ロボット呼びがあった場合、2台の自律移動ロボット20のバッテリ残量を比較して、どちらが給電エリア11を使用するか判断するようにしてもよい。
【0054】
<変形例1:群管理制御装置30による割当制御>
図7に示すように、A号機~E号機まで5台のかご10A~10Eが群管理制御装置30によって群管理されているものとする。B号機のかご10Bには自律移動ロボット20Bが充電中である。乗場にはエレベータ呼び中の自律移動ロボット20が待機している。B号機が最もロボット待機階に近い位置を走行している。
【0055】
この状態において、ロボット呼びが発生した際、自律移動ロボット20のバッテリ残量が少ない場合、最もロボット待機階に近い位置を走行しているB号機を割当てるのではなく、かご内に自律移動ロボット20がいない号機を優先して割り当てるようにする。
図7の例では、B号機の次にロボット待機階に近いE号機のかご10Eを優先的に割り当てることになる。
【0056】
また、複数台の自律移動ロボット20が同じかご10に同乗した場合には、バッテリ残量の少ない方が給電エリア11を使用できるように制御するようにしてもよい。具体的には、自律移動ロボット20がかご10内で給電中に、ロボット呼びが登録されてかご10に乗車した自律移動ロボット20がある場合、どちらの自律移動ロボットが給電するかの判断も、バッテリ残量によるものとする。
【0057】
さらに、群管理制御装置30は、利用者2が多い時間帯を予測してピーク時間帯以外では給電エリア11で自律移動ロボット20への給電を行うようにしてもよい。
【0058】
<変形例2:かご内意匠>
図8に示すように、給電エリア11が明確に分かるように、給電エリア11には「ロボット給電エリア」との文字表示を行う。または、給電エリアを周囲とは異なる色で分けるようにしてもよい。これにより、給電エリア11を明確にすることができ、より一層、利用者2と自律移動ロボット20との共存が可能になる。
【0059】
また、自律移動ロボット20がかご10内に乗り込む際、給電エリア11に利用者2がいた場合、利用者2を給電エリア11外に移動するよう誘導する誘導手段を設けるようにしてもよい。例えば、誘導手段としては、
図9に示すように、かご10内にプロジェクタ70を設置し、人の移動先を表示して誘導する。また、かご10の床面にLED表示器71を埋設し、LED表示器71を点灯または点滅させて移動エリアを明確に表示することで、利用者2を的確に誘導することができる。
【0060】
以上の実施形態の説明では、エレベータの制御装置として群管理制御装置30を用いて説明したが、号機が1台の場合には、群管理制御装置30で実施される機能をエレベータ制御装置で実施することで同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…エレベータシステム、2…利用者、3…通信装置、10,10A~10E…かご、11…給電エリア、12…底面部、13…側面部、14…天井面部、15…かごドア、16…かご内カメラ、17…かご内スピーカ、18…表示装置、20,20B…自律移動ロボット、30…群管理制御装置、40…非接触給電装置、41…送電コイル、60,60A~60E…乗場、61…乗場行先階登録装置、62…上下呼びボタン、63…乗場カメラ、70…プロジェクタ(誘導手段)、71…LED表示器(誘導手段)、200…ロボット呼び出力部、201…通信部、202…受電コイル、203…搭載バッテリ、204…充電状態監視部、205…充電状態出力部、206…駆動制御部、207…駆動部、301…乗場呼び受付部、302…エレベータ情報入力部、303…カメラ画像入力部、304…ロボット情報入力部、305…充電状態判断部、306…割当候補かご評価部、307…割当かご決定部、308…かご内状況判定部、309…割当かご出力部、310…駆動指令出力部、311…アナウンス部