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特許7414897経正円窓膜注入による内耳薬物送達用のシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】経正円窓膜注入による内耳薬物送達用のシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 11/00 20220101AFI20240109BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61F11/00 350
A61M31/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022112296
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2018567614の分割
【原出願日】2017-06-21
(65)【公開番号】P2022132408
(43)【公開日】2022-09-08
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】62/353,324
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502362426
【氏名又は名称】ザ チャールズ スターク ドレイパー ラボラトリー, インク.
【氏名又は名称原語表記】THE CHARLES STARK DRAPER LABORATORY, INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】596114853
【氏名又は名称】マサチューセッツ・アイ・アンド・イア・インファーマリー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】キム アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】マケナ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キリンゴダ ルワン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-537684(JP,A)
【文献】特表2007-537784(JP,A)
【文献】国際公開第2008/030485(WO,A2)
【文献】特開2004-254968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/00
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一遠位端と第一近位端と第一流体チャネルと第一縦軸とを含む、ツールシャフト;
第二遠位端と、該第一遠位端に連結された第二近位端と、該第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、先端部分を正円窓に経外耳道的に置くように設定された第一の角度を該第一縦軸とともに画定する第二縦軸とを含む、角度付き部分であって、該第一遠位端から該第二遠位端まで直径が減少する該角度付き部分;
該角度付き部分から突出しており、該第二遠位端と連結され、かつ該先端部分と針先端との間に第二の角度が設けられるように該針先端を含む、該先端部分であって、アウトレットと、該針先端および該先端部分を通って、該第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを、さらに含む、先端部分;および
該アウトレットから既定の距離において先端部分に連結され、該正円窓に着座して蝸牛内への該先端部分の突出距離を制御するように構成された、カラー
を備え、該針先端が該既定の距離だけ該カラーを超えて伸びる、流体を耳に送達するためのハンドピース。
【請求項2】
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルを介して前記アウトレットに連絡している流体リザーバをさらに備える、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項3】
前記流体リザーバが、該流体リザーバの充填を可能にするように構成された穿孔可能な隔壁をさらに含む、請求項2に記載のハンドピース。
【請求項4】
流体リザーバ;および
前記ツールシャフトに連結され、かつ、流体を該流体リザーバから前記アウトレットにポンピングするように構成された、自給式ポンピングシステム
をさらに備える、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項5】
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルが、1つの流体チャネルを形成する、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項6】
前記角度付き部分が前記ツールシャフトから外れるように構成されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項7】
前記角度付き部分が前記ツールシャフトに対して回転するように構成されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項8】
前記先端部分が前記角度付き部分に対して回転するように構成されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項9】
前記先端部分が前記角度付き部分から外れるように構成されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項10】
前記カラーが実質的にドーム形状である、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項11】
前記第一流体チャネルが前記ツールシャフトの中に収容されており、前記第二流体チャネルが前記角度付き部分の中に収容されており、かつ、前記第三流体チャネルが前記先端部分の中に収容されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項12】
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルの各々が、滅菌可能なプラスチックを含む前記ハンドピースの中に収容されている、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項13】
前記第一の角度が140°~170°である、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項14】
前記先端部分が前記角度付き部分から75°~130°である第二の角度で突出している、請求項1に記載のハンドピース。
【請求項15】
前記先端部分が前記角度付き部分から110°~120°である第二の角度で突出している、請求項1に記載のハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2016年6月22日に提出された米国特許仮出願第62/353,324号について、35 U.S.C. §119のもと、その優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景
治療薬をヒトの内耳に送達することは、臨床医にとって困難な場合がある。中耳から内耳までの間に、卵円窓および正円窓という2つの解剖学的な「窓」が存在する。これらの窓の各々が半透膜を含んでいる。内耳への薬物送達は、治療用物質がこれらの膜の1つを越えることを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の概要
内耳薬物送達には、内耳の解剖学的な窓の膜のうち1つまたは両方を越えるため拡散を用いることができる。膜を横切る拡散に頼ることには、多数の難点がある。例えば、膜を横切って治療用物質を拡散させることは、送達用量の点において正確性の欠如をもたらす可能性がある。拡散に頼ることはまた、例えばすべての物質が膜を横切って拡散できるわけではないといった理由により、治療用物質の分子のサイズおよび特性を制限する可能性もある。別の困難の例は、正円窓膜の透過性が、患者間または炎症の諸状態において変動し得ることである。本開示のハンドピースは、治療用物質を内耳に直接送達することによって、これらの困難を克服し得る。
【0004】
本開示の1つの局面によれば、流体を耳に送達するためのハンドピースはツールシャフトを備える。ツールシャフトは、第一遠位端と、第一近位端と、第一流体チャネルと、第一縦軸とを含む。ハンドピースはまた、角度付き部分も備える。角度付き部分は、第二遠位端と、第一遠位端に連結された第二近位端と、第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、第一縦軸とともに角度を画定する第二縦軸とを含む。角度付き部分の角度は、先端部分を正円窓に経外耳道的に置くように設定される。ハンドピースはまた、角度付き部分から突出している先端部分も備える。先端部分は、アウトレットと、第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを含む。ハンドピースは、アウトレットから既定の距離において先端部分に連結されたカラーを備える。カラーは、正円窓に着座して蝸牛内への先端部分の突出距離を制御するように構成される。
【0005】
前記ハンドピースはまた、第一流体チャネル、第二流体チャネル、および第三流体チャネルを介してアウトレットに連絡している流体リザーバも含む。流体リザーバは、流体リザーバの充填を可能にするように構成された穿孔可能な隔壁をさらに含んでいてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、ハンドピースは流体リザーバを含んでいてもよい。ハンドピースはまた、ツールシャフトに連結された自給式ポンピングシステムも含んでいてもよい。自給式ポンピングシステムは、流体を流体リザーバからアウトレットにポンピングするように構成されていてもよい。
【0007】
第一流体チャネル、第二流体チャネル、および第三流体チャネルは、1つの流体チャネルを形成する。この1つの流体チャネルは連続的な流体チャネルであることができる。角度付き部分はツールシャフトから外れるように構成されることができる。角度付き部分はツールシャフトに対して回転するように構成されることができる。先端部分は角度付き部分に対して回転するように構成されることができる。先端部分は角度付き部分から外れるように構成されていてもよい。カラーは実質的にドーム形状であることができる。
【0008】
第一流体チャネルはツールシャフトの中に収容されていてもよい。第二流体チャネルは角度付き部分の中に収容されていてもよい。第三流体チャネルは先端部分の中に収容されていてもよい。第一流体チャネル、第二流体チャネル、および第三流体チャネルの各々は、滅菌可能なプラスチックまたは金属の中に収容されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、先端部分と角度付き部分との間の角度は約140°~約170°であってもよい。先端部分は角度付き部分から約75°~約130°の角度で突出していてもよい。先端部分は角度付き部分から約110°~約120°の角度で突出していてもよい。
【0010】
本開示の1つの局面によれば、方法は、ハンドピースを提供する段階を含む。ハンドピースはツールシャフトを備える。ツールシャフトは、第一遠位端と、第一近位端と、第一流体チャネルと、第一縦軸とを含む。ハンドピースはまた、角度付き部分も備える。角度付き部分は、第二遠位端と、第一遠位端に連結された第二近位端と、第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、第一縦軸とともに角度を画定する第二縦軸とを含む。角度付き部分の角度は、先端部分を正円窓に経外耳道的に置くように設定される。ハンドピースはまた、角度付き部分から突出している先端部分も備える。先端部分は、アウトレットと、第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを含む。ハンドピースは、アウトレットから既定の距離において先端部分に連結されたカラーを備える。カラーは、正円窓に着座して蝸牛内への先端部分の突出距離を制御するように構成される。方法は、ハンドピースの先端部分によって正円窓膜を穿孔する段階を含んでいてもよい。方法は、第一流体チャネル、第二流体チャネル、および第三流体チャネルを介して、アウトレットから蝸牛内に流体を流す段階を含んでいてもよい。
【0011】
前記方法は、あぶみ骨底に通気穴を形成する段階を含んでいてもよい。方法は、ツールシャフトに連結された自給式ポンピングシステムによって、リザーバから流体を流す段階を含んでいてもよい。方法は、カラーを正円窓内に着座させる段階を含んでいてもよい。方法は、先端部分と角度付き部分との間で回転オフセットを設ける段階を含んでいてもよい。
[本発明1001]
第一遠位端と第一近位端と第一流体チャネルと第一縦軸とを含む、ツールシャフト;
第二遠位端と、該第一遠位端に連結された第二近位端と、該第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、先端部分を正円窓に経外耳道的に置くように設定された角度を該第一縦軸とともに画定する第二縦軸とを含む、角度付き部分;
該角度付き部分から突出しており、かつ、アウトレットと、該第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを含む、先端部分;および
該アウトレットから既定の距離において該先端部分に連結され、該正円窓に着座して蝸牛内への該先端部分の突出距離を制御するように構成された、カラー
を備える、流体を耳に送達するためのハンドピース。
[本発明1002]
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルを介して前記アウトレットに連絡している流体リザーバをさらに備える、本発明1001のハンドピース。
[本発明1003]
前記流体リザーバが、該流体リザーバの充填を可能にするように構成された穿孔可能な隔壁をさらに含む、本発明1002のハンドピース。
[本発明1004]
流体リザーバ;および
前記ツールシャフトに連結され、かつ、流体を該流体リザーバから前記アウトレットにポンピングするように構成された、自給式ポンピングシステム
をさらに備える、本発明1001のハンドピース。
[本発明1005]
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルが、1つの流体チャネルを形成する、本発明1001のハンドピース。
[本発明1006]
前記角度付き部分が前記ツールシャフトから外れるように構成されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1007]
前記角度付き部分が前記ツールシャフトに対して回転するように構成されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1008]
前記先端部分が前記角度付き部分に対して回転するように構成されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1009]
前記先端部分が前記角度付き部分から外れるように構成されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1010]
前記カラーが実質的にドーム形状である、本発明1001のハンドピース。
[本発明1011]
前記第一流体チャネルが前記ツールシャフトの中に収容されており、前記第二流体チャネルが前記角度付き部分の中に収容されており、かつ、前記第三流体チャネルが前記先端部分の中に収容されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1012]
前記第一流体チャネル、前記第二流体チャネル、および前記第三流体チャネルの各々が、滅菌可能なプラスチックの中に収容されている、本発明1001のハンドピース。
[本発明1013]
前記角度が約140°~約170°である、本発明1001のハンドピース。
[本発明1014]
前記先端部分が前記角度付き部分から約75°~約130°の角度で突出している、本発明1001のハンドピース。
[本発明1015]
前記先端部分が前記角度付き部分から約110°~約120°の角度で突出している、本発明1001のハンドピース。
[本発明1016]
第一遠位端と第一近位端と第一流体チャネルと第一縦軸とを含む、ツールシャフト;
第二遠位端と、該第一遠位端に連結された第二近位端と、該第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、先端部分を正円窓に経外耳道的に置くように設定された角度を該第一縦軸とともに画定する第二縦軸とを含む、角度付き部分;
該角度付き部分から突出しており、かつ、アウトレットと、該第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを含む、先端部分;および
該アウトレットから既定の距離において該先端部分に連結され、該正円窓に着座して蝸牛内への該先端部分の突出距離を制御するように構成された、カラー
を備えるハンドピースを提供する段階;
該先端部分によって正円窓膜を穿孔する段階;ならびに
該第一流体チャネル、該第二流体チャネル、および該第三流体チャネルを介して、該アウトレットから蝸牛内に流体を流す段階
を含む、方法。
[本発明1017]
あぶみ骨底に通気穴を形成する段階をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記ツールシャフトに連結された自給式ポンピングシステムによってリザーバから前記流体を流す段階をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1019]
前記カラーを前記正円窓内に着座させる段階をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1020]
前記先端部分と前記角度付き部分との間で回転オフセットを設ける段階をさらに含む、本発明1016の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、縮尺を一律にすることを意図していない。さまざまな図面における類似の参照番号および記号は類似の要素を示す。明瞭さを確保するため、すべての図面におけるすべての構成要素にラベル付けしているわけではない場合もある。図面は以下のとおりである。
図1】患者の内耳に流体を送達する例示的なハンドピースを示した図である。
図2図1に示した例示的ハンドピースの側面図である。
図3図1に示した例示的ハンドピースの断面図である。
図4図1に示した例示的ハンドピースの側面図である。
図5図1に示したハンドピースの例示的な先端部分を示した図である。
図6】圧縮フィッティングを伴う例示的ハンドピースを示した図である。
図7図1に示した例示的ハンドピースの先端の拡大図である。
図8図8Aおよび図8Bは、正円窓内に挿入された例示的ハンドピースの先端を示した図である。
図9図1に示した例示的ハンドピースに連結された例示的流体リザーバを示した図である。
図10図1に示した例示的ハンドピースに連結された例示的流体リザーバを示した図である。
図11図1に示した例示的ハンドピースで蝸牛内に流体を流すための例示的方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
以上に概説しそして以下により詳しく述べる、本発明のさまざまな概念は、いかなる特定の実施様式にも限定されるわけではないので、多数の様式において実施され得る。具体的な実施形態および用途の例は、主として例示の目的で提供される。
【0014】
本開示は、内耳への治療用物質の経外耳道送達のためのハンドピースについて述べる。ハンドピースは、外科的鼓膜切開アプローチによって中耳内に挿入され得る。ハンドピースは、直接正円窓膜を通って内耳内に治療用物質を、制御された状態で注入することを可能にし得る。内耳への治療用物質の直接送達は、内耳内への治療用物質の正確な量の送達を可能にし得る。治療用物質は内耳に直接送達されるので、この治療用物質の送達は、治療用物質が正円窓膜を横切って拡散される場合に存在する、分子サイズに対する制約および一貫性のない拡散速度に影響されない。
【0015】
図1は、患者の内耳に流体を送達する例示的なハンドピース100を示した図である。流体は任意の治療用物質または治療剤であってよい。ハンドピース100は、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106を備える。先端部分106はカラー108も含んでいてもよい。ハンドピース100は、正円窓114を介した蝸牛112への流体の経外耳道送達のために患者の外耳道110内に挿入される。流体を蝸牛112に送達できるように、先端部分106を用いて正円窓膜を穿孔することができる。
【0016】
図2は例示的ハンドピース100の側面図である。ハンドピース100は、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106を備える。外科医は、ツールシャフト102を用いて、ハンドピース100を保持および操作し、かつ先端部分106を位置決めしてもよい。外科医がハンドピース100を良好に把持できるように、ツールシャフト102の外面が刻み付けを含んでいてもよい。ツールシャフト102は近位端200と遠位端202とを含む。ツールシャフト102は直径が約4 mm、5 mm、または約6 mmであってもよい。ツールシャフト102は長さが約90 mm~約150 mm、約90 mm~約130 mm、または約100 mm~約120 mmであってもよい。いくつかの実施形態において、ツールシャフト102の長さは110 mmである。
【0017】
ツールシャフト102の遠位端は、角度付き部分104の近位端204に連結される。先端部分106は角度付き部分104の遠位端206に連結される。先端部分106が低侵襲手技において外耳道を横断して正円窓に到達できるように、角度付き部分104は角度が付けられている。角度付き部分104は、ツールシャフト102と先端部分106との間で角度208を形成する。角度208は、約170°および約90°、約170°~約110°、約170°~約120°、約170°~約140°、または約165°~約155°であってもよい。角度208は、ツールシャフト102の縦軸と先端部分106の縦軸との間の角度として定義されてもよい。角度208は、先端部分106を患者の正円窓に経外耳道的に置くことを可能にするように設定される。角度208は、外科医が先端部分106を正円窓に位置決めできるように、かつ、外耳道への視認アクセスを外科医に提供するように、選択されてもよい。
【0018】
先端部分106は角度付き部分104の遠位端206に連結されてもよい。先端部分106の遠位部分は角度が付いていてもよい。角度210は、約70°~約140°、約75°~約130°、約90°~約120°、約100°~約120°、または約110°~約120°であってもよい。例えば、角度210は、約105°、106°、107°、108°、109°、110°、111°、112°、113°、114°、115°、116°、117°、118°、119°、または120°であってもよい。角度210は、ハンドピース100が外耳道を通って挿入された場合に、先端部分106の遠位部分を正円窓に対して実質的に垂直に位置決めするよう選択されてもよい。角度210は、患者の内耳および中耳の解剖学的構成に基づいて選択されてもよい。例えば、外科医は、正円窓および正円窓窩の位置および角度に基づいて、適切な角度210を備えたハンドピース100を選択してもよい。いくつかの実施形態において、外科医は、中耳および内耳のCT画像またはMRI画像を用いて、選択すべき角度210を決定してもよい。ハンドピース100は、角度210が異なる構成を備えて製造されてもよい。いくつかの実施形態において、外科医は、手技中に角度210を変えるため先端部分106を曲げてもよい。
【0019】
先端部分106はカラー108を含んでいてもよい。カラー108は正円窓内に着座するように構成されてもよい。カラー108は、先端部分106が正円窓膜を穿孔したら、正円窓を密閉してもよい。カラー108はまた、先端部分106の端部が蝸牛内に挿入され得る深さを制御してもよい。カラー108は医療等級のシリコーンを含んでいてもよい。カラー108は実質的にドーム状または半球の形状であってもよい。カラー108は、最も幅広の部分における直径が、約0.5 mm~約3 mm、約0.5 mm~約2.5 mm、約1 mm~約2 mm、または約1.5 mm~約2 mmであってもよい。
【0020】
ハンドピース100は、全長212が約130 mm~約170 mm、約140 mm~約160 mm、または約140 mm~約150 mmであってもよい。ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106は、異なる部分として説明しているが、それぞれ単独または複数のピースとして製造されてもよい。例えば、ハンドピース100は、1つ、2つ、または3つの別個のピースを含んでいてもよい。ハンドピース100は、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106のうち任意のものの間のインターフェイス部において分離可能であってもよい。いくつかの実施形態において、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106の間のインターフェイス部は、それらの部分が分離可能であることを示すわけではない。例えば、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106が、単一のピースとして製造されてもよい。他の実施形態において、角度付き部分104およびツールシャフト102が第一ピースを形成し、そして先端部分106が第二ピースを形成してもよい。いくつかの実施形態において、ハンドピース100は再使用可能である。他の実施形態において、ハンドピース100は使い捨てである。ハンドピース100は、医学的に承認された滅菌可能材料で製造されてもよい。例えば、ハンドピース100は、316ステンレス鋼または滅菌可能プラスチックで製造されてもよい。
【0021】
図3に例示的ハンドピース100の断面図を示す。ハンドピース100はマイクロ流体チャネル300を備える。マイクロ流体チャネル300はインレット302とアウトレット304とを含む。インレット302はリザーバに連結されてもよい。リザーバは図9および図10に関連して詳述する。マイクロ流体チャネル300はゲージが約22であってもよい。マイクロ流体チャネルのゲージは、約12~28、約16~約24、約18~約22、または約20~22であってもよい。マイクロ流体チャネル300は、約10μL~約25μL、約15μL~約25μL、または約20μL~約25μLのデッドボリュームを有していてもよい。
【0022】
マイクロ流体チャネル300は複数の異なる部分を含んでいてもよい。例えば、ツールシャフト102、角度付き部分104、および先端部分106の各々が、マイクロ流体チャネル300の異なる部分を含んでいてもよい。その異なる部分は、単一の連続的なチャネルであってもよい。いくつかの実施形態において、マイクロ流体チャネル300は、1つまたは複数の部分の間のインターフェイス部において分離可能であってもよい。いくつかの実施形態において、マイクロ流体チャネルの部分は、ハンドピース100の異なる部分間のインターフェイス部の近くで分離可能である。例えば、先端部分106から伸びているマイクロ流体チャネルの部分を、角度付き部分104によって受けることができるように、先端部分106の中にあるマイクロ流体チャネルの部分が、(図4に示すように)先端部分106を超えて伸びていてもよく、そして、角度付き部分104の中にあるマイクロ流体チャネルの部分が、遠位端206より前で止まっていてもよい。いくつかの実施形態において、ハンドピース100は、複数のマイクロ流体チャネル300を備えてもよい。例えば、ハンドピース100は、異なる治療剤を送達するための異なるマイクロ流体チャネル300を備えてもよい。いくつかの実施形態において、蝸牛から流体を排出するため、第二マイクロ流体チャネル300が用いられてもよい。
【0023】
図4に例示的ハンドピース100の側面図を示す。いくつかの実施形態において、ハンドピース100の1つまたは複数の部分は互いから分離可能である。図4は、分離可能な先端部分106を備えた例示的ハンドピース100を示している。ハンドピース100の滅菌を容易にするため、先端部分106がツールシャフト102および角度付き部分104から分離されることができる。先端部分106を、異なる回転角度で角度付き部分104に再連結できるように、先端部分106が角度付き部分104から分離可能であることができる。先端部分106を角度付き部分104から分離することなく、先端部分106が角度付き部分104に対して回転されてもよい。外科医の正円窓へのアクセスを向上させるため、先端部分106が角度付き部分104に対して回転されてもよい。例えば、外科医が、患者間の解剖学的構造のばらつきに対応できるように先端部分106のデフォルト位置を適合させることができる。ハンドピース100は、分離可能部分の間のインターフェイス部にガスケットまたはOリングを含んでいてもよい。分離可能部分は、スナップ式コネクター、摩擦嵌めもしくはプレス嵌めによる接続、またはルアーロック式の接続によって共に連結されてもよい。
【0024】
図5に、例示的ハンドピース100のための例示的な先端部分106を示す。図5に示す先端部分106は、ハンドピース100の角度付き部分104およびツールシャフト102から分離されている。先端部分106は先端500を含んでいてもよい。先端500は、先端部分106のボディから伸びているマイクロ流体チャネル300の部分であってもよい。いくつかの実施形態において、先端部分106の全部が、角度付き部分104に対して回転されてもよい。他の実施形態において、先端500が先端部分106内で回転されてもよい。いずれの例においても、先端500が、図4に示す位置から、破線で示す第二位置502まで、回転されてもよい。
【0025】
図6に、圧縮フィッティング600を伴う例示的ハンドピース100を示す。圧縮フィッティング600は刻み付きナットであってもよい。圧縮フィッティング600は角度付き部分104を先端部分106に連結してもよい。先端部分106が角度付き部分104に対して回転できるように、圧縮フィッティング600が緩められてもよい。外科医は、回転の度数を選択したら、角度付き部分104と先端部分106との間の回転の度数を所定の位置にロックするため、圧縮フィッティング600を締めてもよい。他の実施形態において、先端部分106を先端部分106に対して回転させることを可能にする摩擦嵌めによって、先端部分106と角度付き部分104とが一緒に保持されてもよい。
【0026】
図7に、例示的ハンドピース100の先端500の拡大図を示す。先端500は針先端700を含んでいてもよい。針先端700はアウトレット304を含む。針先端700は鈍端であってもよく、または、尖端を形成するよう面取りされていてもよい。針先端700は、正円窓膜を穿孔するように構成されていてもよい。針先端700は、約1 mm~約4 mm、約2 mm~約3 mm、または約2.5 mm~約3 mmの長さだけカラー108を超えて伸びている。例えば、針先端700は長さが2.7 mmであってもよい。針先端700はゲージサイズが約25~約30、約26~約30、または約27~約30であってもよい。カラー108が正円窓内に着座すると、針先端700のみが蝸牛内に突出する。カラー108は、針先端700が蝸牛内に突出する深さを制御することができる。針先端700は、針先端700が蝸牛内の奥に突出しすぎることを防ぐことができる。針先端700は、針先端700が蝸牛内の奥に突出しすぎて蝸牛を損傷することを防ぐことができる。カラー108は、治療用物質が蝸牛中に適切に分散するように、アウトレット304を蝸牛内に適切に位置決めすることができる。例えば、アウトレット304が蝸牛内の浅すぎる位置に位置決めされると、治療用物質が正円窓の近くに集中し、蝸牛中に分散しない可能性がある。アウトレット304が蝸牛内の深すぎる位置に位置決めされると、針先端700が蝸牛に損傷または外傷を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態において、外科医が先端500を曲げて角度210を変更できるように、先端500は展性材料で製造される。カラー108は接着剤で先端500に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、先端500は、その中にカラー108が着座する溝を含んでいてもよい。
【0027】
図8Aおよび図8Bに、正円窓内に挿入された先端500を示す。図8Aは、外耳道を通って挿入されたハンドピース100を示しており、先端500が正円窓114内に挿入されている。図8Bは、正円窓114内に挿入された先端500の、図8Aからの拡大図である。先端500を用いて正円窓膜を穿孔してもよい。先端500は正円窓114内に挿入されてもよい。カラー108は、正円窓114内に着座してもよく、そして、流体が蝸牛112内に注入される際に正円窓114を密閉してもよい。カラー108は、正円窓114の直径より小さい直径から、正円窓114の直径より広い直径まで、テーパーが付けられている。カラー108は、正円窓114に押し付けられた場合に、正円窓114を閉塞することができる。カラー108はまた、蝸牛112内への先端500の挿入深さを制御するために用いることができる。例えば、カラー108は、先端500がカラー108を超えて蝸牛内に挿入されることを防ぐことができる。カラー108の、正円窓114の直径より広い直径を備えた部分は、先端500が蝸牛112内にそれ以上挿入されないように、先端500を実質的に止めることができる。カラー108を先端500のアウトレット116のほうに動かすと、先端500を挿入できる深さが短くなる。カラー118は、先端500が蝸牛112内の奥に挿入されすぎることを防ぐことができる。
【0028】
図9に、例示的ハンドピース100に連結された例示的流体リザーバ900を示す。流体リザーバ900は、流体リザーバ900内に貯留された流体を、ハンドピース100のマイクロ流体チャネル300を通ってハンドピースのアウトレット304から出るようにポンピングする、ポンプに連結されてもよい。流体リザーバ900は、置換ポンプ、シリンジ、シリンジポンプ、または他のタイプの機械式、電気機械式、液圧式、もしくは空気式アクチュエーターに連結されてもよい。流体をマイクロ流体チャネル300に導入できるように、マイクロ流体チャネル300のインレット302が流体リザーバ900に連結されてもよい。いくつかの実施形態において、流体リザーバ900はハンドピース100から分離可能である。流体リザーバ900は、流体リザーバ900をユーザーがハンドピース100に取り付けた場合にインレット302によって穿孔される、穿孔可能な隔壁を含んでいてもよい。他の実施形態において、流体リザーバ900は、使用前に流体が充填される、ハンドピース100の構成要素であってもよい。流体リザーバ900は穿孔可能な隔壁を含んでいてもよく、該隔壁を通じて流体リザーバ900が装填される。例えば、シリンジに治療用物質が装填されてもよい。穿孔可能な隔壁を通ってシリンジの針が挿入されてもよく、かつ治療用物質が流体リザーバ900内に注入されてもよい。図10に、ハンドピース100に連結された例示的流体リザーバ900を示す。流体リザーバ900は自給式ポンピングシステムを含んでいてもよい。自給式ポンピングシステムは、流体を流体リザーバからアウトレット304にポンピングすることができる。
【0029】
図11に、蝸牛内に流体を流すための例示的方法1100のブロック図を示す。方法1100は、ハンドピースを提供する段階(段階1102)を含んでいてもよい。方法1100は、正円窓膜を穿孔する段階(段階1104)を含んでいてもよい。方法1100は、蝸牛内に流体を流す段階(段階1106)を含んでいてもよい。
【0030】
上述のように、方法1100は、ハンドピースを提供する段階(段階1102)を含んでいてもよい。ハンドピース100は、本明細書に説明する任意のハンドピースであってよい。例えば、ハンドピース100は、第一遠位端と第一近位端と第一流体チャネルと第一縦軸とを含むツールシャフトを備えてもよい。ハンドピース100は、第二遠位端と、第一遠位端に連結された第二近位端と、第一流体チャネルに連絡している第二流体チャネルと、第一縦軸とともに鈍角を画定する第二縦軸とを含んでいてもよい角度付き部分を備えてもよい。ハンドピース100は先端部分を備えてもよく、該先端部分は、角度付き部分から突出しており、かつ、アウトレットと、第二流体チャネルに連絡している第三流体チャネルとを含む。ハンドピース100は、先端部分に連結されたカラーを備えてもよい。
【0031】
方法1100は、正円窓膜を穿孔する段階(段階1104)を含んでいてもよい。正円窓膜は、ハンドピース100の先端部分によって穿孔されてもよい。例えば、提供されたハンドピース100が、外耳道を通って挿入されてもよい。ハンドピースの角度付き部分104は、正円窓への経外耳道的アクセスを可能にするように構成されていてもよい。先端部分106の先端500は、針先端700を、正円窓および正円窓膜に対して実質的に垂直に位置決めするように角度付けされていてもよい。針先端700は、正円窓膜を穿孔するため、正円窓膜に押し付けられてもよい。カラー108は、針先端700が蝸牛内の奥に突出しすぎて蝸牛に損傷を引き起こすことを防いでもよい。カラー108は、流体が蝸牛内に注入される際に正円窓を密閉するため正円窓内に着座してもよい。外科医は、患者の解剖学的構造に基づき、針先端700が正円窓にアクセスできるようハンドピース100の先端部分と角度付き部分との間で回転オフセットを設けてもよい。外科医はまた、患者の解剖学的構造に基づき、アウトレット304が正円窓および正円窓膜に対して実質的に垂直に位置決めされるよう針先端700と先端部分との間に角度210を設けてもよい。患者の中耳および内耳のCTスキャンまたはMRIスキャンが行われてもよい。外科医は、先端部分106の角度210を選択するため、患者の内耳および中耳の解剖学的角度を測定してもよい。外科医はまた、CTスキャンまたはMRIスキャンに基づき、カラー108が正円窓内に着座する場合にアウトレット304が蝸牛内で適切に位置決めされるように、針先端700の長さを選択してもよい。アウトレット304の適切な位置は、蝸牛に損傷を引き起こさないが蝸牛中の流体の分布を可能にするような、蝸牛内の深さであってもよい。
【0032】
方法1100は、蝸牛内に流体を流す段階(段階1106)を含んでいてもよい。ポンプが、流体リザーバ900からマイクロ流体チャネル300を通ってアウトレット304を介して蝸牛内に流体をポンピングしてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプはハンドピース100の外部にあってもよい。他の実施形態において、流体リザーバ900が、流体リザーバ900からアウトレット304に流体をポンピングする自給式ポンプを含んでいてもよい。方法1100は、あぶみ骨底に通気穴をドリル加工するまたはそうでなければ形成する段階を含んでいてもよい。通気穴は、ポンプが流体を蝸牛内に流す際に蝸牛から圧力を解放することを可能にしてもよい。
【0033】
結論
諸操作は添付の図面において特定の順序で描かれているが、そのような操作は、逐次的な順序または図示した特定の順序で行う必要があるわけではなく、例示したすべての操作を行う必要があるわけでもない。本明細書に説明する諸段階が、異なる順序で行われてもよい。
【0034】
さまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実施形態において分離している必要があるわけではなく、本明細書に説明するプログラム構成要素は単一のハードウェアまたはソフトウェア製品に含まれていてもよい。
【0035】
ここでいくつかの例示的実施形態を説明しているが、前述の内容は例として提示されているのであり、限定的ではなく例示的なものであることが明らかである。特に、本明細書に提示する例の多くは、方法の段階またはシステムの要素の特定の組合せを伴っているが、同じ目的を実現するため、それら段階およびそれら要素が他の方式で組み合わせられてもよい。1つの実施形態に関連して述べた段階、要素、および特徴が、他の実施形態または実施形態における同様の役割から除外されることは意図されていない。
【0036】
本明細書において用いられる語法および術語は、説明を目的としたものであり、限定的なものとみなされるべきでない。本明細書における、「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「~を特徴とする」、「~であることを特徴とする」、およびそれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目、それらの等価物、および追加的項目、ならびに、その後に列挙される項目のみからなる代替的実施形態を包含することが意図されている。1つの実施形態において、本明細書に説明するシステムおよび方法は、説明する要素、段階、または構成要素のうち、1つか、1つより多いものの各組合せか、またはすべてからなる。
【0037】
本明細書において用いる「約」および「実質的に」という用語は、当技術分野の当業者によって理解され、また、用いられる文脈に応じてある程度変動する。その用語が用いられる文脈を考慮しても、当技術分野の当業者にとって明確でないような使用がある場合、「約」は、その特定の条件のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0038】
本明細書において単数形で言及されている実施形態またはシステムおよび方法の要素もしくは段階に対する言及は、複数のこれらの要素を含む実施形態もまた包含し得、本明細書における任意の実施形態または要素もしくは実施に対する、複数形での言及は、単一の要素のみを含む実施形態もまた包含し得る。単数形もしくは複数形での言及は、本開示のシステムもしくは方法、それらの構成要素、実施、または要素を、単数または複数の構成に限定することを意図したものではない。任意の情報、実施、または要素に基づく、任意の実施または要素に対する言及は、その実施または要素が少なくとも部分的に任意の情報、実施、または要素に基づいている実施形態を含み得る。
【0039】
本明細書に開示するいかなる実施形態も、他の任意の実施形態または態様と組み合わせられてよく、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、または「1つの実施形態」などに対する言及は、必ずしも相互排他的ではなく、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態または態様に含まれていてもよいことを示すものと意図される。本明細書において用いるそのような用語が、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているわけではない。いかなる実施形態も、本明細書に開示する局面および実施形態と矛盾しない任意の様式において、他の任意の実施形態と包含的または排他的に組み合わせられてよい。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、別段の明示がない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0041】
「または/もしくは」に対する言及は、「または/もしくは」を用いて説明される用語が、その説明される用語のうち単一か、1つより多いか、またはすべてかのいずれをも示し得るように、包含的であると解釈されてもよい。例えば、「「A」および「B」のうち少なくとも1つ」に対する言及は、「A」のみ、「B」のみ、ならびに、「A」および「B」の両方、を含み得る。「備える」または他のオープンな術語とともに用いられるそのような言及は、追加の項目を含み得る。
【0042】
添付の図面、詳細な説明、または任意の請求項における技術的特徴の後に参照記号が付されている場合、その参照符号は、図面、詳細な説明、および特許請求の範囲を理解しやすくするために含められている。したがって、参照符号またはその欠如のいずれも、特許請求の要素の範囲を制限するようないかなる効果も有さない。
【0043】
本明細書に説明するシステムおよび方法は、その特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。前述の実施形態は、本明細書に説明するシステムおよび方法を限定よりむしろ例示するものである。ゆえに、本明細書に説明するシステムおよび方法の範囲は、前述の説明よりむしろ添付の特許請求の範囲によって示されるのであり、特許請求の範囲の意味および等価範囲内における変更はそれに包含される。
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9
図10
図11