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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アトマイザー及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/10 20200101AFI20240109BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240109BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/42
A24F40/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022127213
(22)【出願日】2022-08-09
(65)【公開番号】P2023051754
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】202122399160.6
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 沛
(72)【発明者】
【氏名】李 巍
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/062779(WO,A1)
【文献】特表2021-510492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/10
A24F 40/42
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱トップカバーと、発熱体とを含むアトマイザーであって、
前記発熱トップカバーの外面は気路隅部を有し、前記気路隅部に前記発熱トップカバーから前記発熱体に延在している液体戻り溝が設けられる、ことを特徴とするアトマイザー。
【請求項2】
本体を含み、前記本体は主気路を含み、前記発熱トップカバーは本体内に設けられ、前記発熱トップカバーと前記本体との間にトップカバー気路が形成されており、前記トップカバー気路は前記気路隅部を介して前記主気路に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項3】
前記液体戻り溝の前記発熱体の霧化面に近い溝側壁に、液体が通過する側壁開口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項4】
前記液体戻り溝の少なくとも1つの溝側壁に、液体を前記発熱体に案内する傾斜面が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項5】
前記発熱体の少なくとも一部の構造は前記液体戻り溝に収容され、前記傾斜面は、前記液体戻り溝の底壁から離れた方向において、前記発熱体に近づいていく、ことを特徴とする請求項4に記載のアトマイザー。
【請求項6】
前記発熱トップカバーには、前記液体戻り溝に連通しており、液体を前記液体戻り溝に案内する導流溝が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項7】
前記導流溝は、一端が前記気路隅部に位置し、他端が前記発熱トップカバーの霧化面に近い側に位置する、ことを特徴とする請求項6に記載のアトマイザー。
【請求項8】
前記気路隅部には、複数の前記液体戻り溝が間隔を空けて設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のアトマイザー。
【請求項9】
前記発熱トップカバーの中央部に位置する前記液体戻り溝の数がMであり、前記発熱トップカバーの縁部に位置する前記液体戻り溝の数がNであり、MはN以上である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のアトマイザー。
【請求項10】
電源ユニットと、請求項1~8に記載のアトマイザーとを含み、前記電源ユニットは前記アトマイザーの前記発熱体に電気的に接続される、ことを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子霧化装置の技術分野に関し、特にアトマイザー及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アトマイザーは液体を霧化する電子霧化装置の重要な構成部分である。アトマイザーが霧化を行う際には、霧化により発生させる気体がアトマイザーの主気路に沿って吐出される。
【0003】
しかし、アトマイザーによる霧化において、主気路にある気体の一部は温度が低下して液化し、液状の凝縮液となる。このような凝縮液はアトマイザーの作動中に主気路内の霧化気体とともに吐出され、結果として、アトマイザーの液漏れが生じる。このような状況を減少させるために、主気路内の凝縮液を発熱トップカバーに導流する構造が設けられることで、凝縮液の漏れを低減させるアトマイザーがある。
【0004】
しかし、実際の霧化において、上記のアトマイザーでは、パフによる液漏れの抑制特性の信頼性が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑み、アトマイザーでは、パフによる液漏れの抑制特性の信頼性が劣るという問題に対して、アトマイザー及び電子霧化装置を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発熱トップカバーと、発熱体とを含むアトマイザーであって、前記発熱トップカバーは気路隅部を有し、前記気路隅部に前記発熱トップカバーから前記発熱体に延在している液体戻り溝が設けられる。
【0007】
一実施例では、前記アトマイザーは本体を含み、前記本体は主気路を含み、前記発熱トップカバーは本体内に設けられ、前記発熱トップカバーと前記本体との間にトップカバー気路が形成されており、前記トップカバー気路は前記気路隅部を介して前記主気路に連通する。
【0008】
一実施例では、前記液体戻り溝の前記発熱体の霧化面に近い溝側壁に、液体が通過する側壁開口を有する。
【0009】
一実施例では、前記液体戻り溝の少なくとも1つの溝側壁に、前記液体を前記発熱体に案内する傾斜面が設けられる。
【0010】
一実施例では、前記発熱体の少なくとも一部の構造は、前記液体戻り溝に収容され、前記傾斜面は、前記液体戻り溝の底壁から離れた方向において、前記発熱体に近づいていく。
【0011】
一実施例では、前記発熱トップカバーには、前記液体戻り溝に連通しており、液体を前記液体戻り溝に案内する導流溝が設けられる。
【0012】
一実施例では、前記導流溝は、一端が前記気路隅部に位置し、他端が前記発熱トップカバーの前記霧化面に近い側に位置する。
【0013】
一実施例では、前記気路隅部には、複数の前記液体戻り溝が間隔を空けて設けられる。
【0014】
一実施例では、前記発熱トップカバーの中央部に位置する前記液体戻り溝の数がMであり、前記発熱トップカバーの縁部に位置する前記液体戻り溝の数がNであり、MはN以上である。
【0015】
電子霧化装置であって、電源ユニットと、上記のアトマイザーとを含み、前記電源ユニットは前記アトマイザーの前記発熱体に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0016】
上記アトマイザー及び電子霧化装置では、気路隅部に液体戻り溝が設けられることによって、気路隅部に滞在した液体が発熱部材に導流され、液体が二次霧化される。また、液体戻り溝が設けられることによって、液体の蓄積や滞留の発生を効果的に減少させ、霧化中に液体が主気路に侵入して液漏れが発生することを減少させることができる。上記の設置方法は、コストが低く、構造がシンプルであり、しかも、アトマイザー及び電子霧化装置は、パフによる液漏れの抑制特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例によるアトマイザーの部分断面図である。
図2】本発明の一実施例による発熱トップカバー及び発熱体の一例の構造概略図である。
図3】本発明の一実施例による別の発熱トップカバー及び発熱体の構造概略図である。
図4】本発明の一実施例による、さらなる発熱トップカバー及び発熱体の構造概略図である。
図5】本発明の一実施例によるアトマイザーの戻り溝の一例の概略図である。
図6】本発明の一実施例による別のアトマイザーの戻り溝の概略図である。
図7】本発明の一実施例によるアトマイザーの断面図(アトマイザーが作動するときの気体の流動方向)である。
図8】本発明の一実施例によるアトマイザーの断面図(アトマイザーの作動中の凝縮液の流動方向)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。本発明を十分に理解するために以下の説明において多くの具体的な詳細を説明する。ただし、本発明は、ここに記載のものと異なる多くの他の形態で実施されてもよく、当業者であれば、本発明の主旨を逸脱することなく類似の改良を行うことができ、このため、本発明は以下で開示された特定の実施例によって限定されない。
【0019】
なお、本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語により示される方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易なものとし、説明を簡素化するために過ぎず、示される装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を限定するものとして理解できない。
【0020】
さらに、「第1」、「第2」という用語は説明にのみ使用され、相対重要性を指示又は示唆するか、又は係る技術的特徴の数を暗黙的に指示するものとして理解されるべきではない。このため、「第1」、「第2」により限定される特徴は、少なくとも1つのこの特徴を明示的又は暗黙的に含む。本発明の説明において、「複数」は、別に具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0021】
本発明では、別に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、別に明確な限定がない限り、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよいし、機械的な接続、電気的な接続であってもよいし、直接連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよいし、2つの構成要素の内部連通又は2つの構成要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0022】
本発明では、別に明確な規定や限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1特徴と第2特徴が直接接触するか、又は第1特徴と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。そして、第1特徴が第2特徴「の上」、「上方」及び「よりも上」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上に位置するか、又は、ただ第1特徴の水平方向の高さが第2特徴のこれよりも高いことを示す。第1特徴が第2特徴「の下」、「の下方」及び「よりも下」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下に位置するか、又は、ただ第1特徴の水平方向の高さが第2特徴のこれよりも小さいことを示す。
【0023】
なお、構成要素が別の構成要素に「固定される」又は「設けられる」と記載された場合、直接別の構成要素に位置しても、中間の構成要素が存在してもよい。1つの構成要素が別の構成要素に「接続される」と記載された場合、別の構成要素に直接接続されてもよく、又は中間の構成要素が同時に存在する可能性がある。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」の用語及び類似の表現は、説明の目的に過ぎず、唯一の実施形態を表すものではない。
【0024】
本発明の一実施例による電子霧化装置は、アトマイザーと、電源とを含み、電源はアトマイザーに電力を供給して、アトマイザーが花葉類、草本類の液体を加熱して霧化し気体にすることを可能とする。電源は従来技術によるものから選択されてもよい。
【0025】
図1図8を参照すると、本発明の一実施例によるアトマイザーは、本体100と、本体100内に設けられた、互いに接続された発熱トップカバー200及び発熱体300とを含む。
【0026】
本体100は主気路110を有し、主気路110は外界の大気と連通している。主気路110は霧化後の霧化気体を吐出し、続いて、霧化気体を使用者の口に案内するものである。図1及び図4に示す実施例では、本体100は、中空の第1ハウジング120と中空の第2ハウジング130とを含む。第1ハウジング120は少なくとも部分的に第2ハウジング130内に位置する。任意選択的に、第1ハウジング120及び第2ハウジング130は一体成形された構造であってもよいし、個別に成形されてから一体に組み立てられた構造であってもよい。第1ハウジング120の中空部分が前述主気路110となる。第1ハウジング120と第2ハウジング130との間に液体を貯蔵するための貯液タンク140が形成されている。貯液タンク140の一方の側に出液口141が設けられ、貯液タンク140内の液体が出液口141から流出してもよい。
【0027】
発熱体300は発熱面310を有し、発熱面310には加熱芯が設けられ、加熱芯は電源に電気的に接続されてもよく、これにより、電源により電力を供給されると、加熱芯は発熱して、発熱面に浸透した液体を霧化する。
【0028】
発熱トップカバー200は液体チャネル260(図7参照)を有し、液体チャネル260の一方の側には出液口141に対応する給液口250を有し、これにより、液体が出液口141から給液口250に流れて、液体チャネル260に入る。液体チャネル260の他方の側は発熱体300の発熱面310から離れた側に連通し、液体と発熱体300との接触を可能とする。液体を霧化する際に、液体は貯液タンク140から液体チャネル260に入り、かつ発熱体300に入った後、発熱体300の発熱面310により加熱されて気体となる。
【0029】
図1に示すように、発熱トップカバー200と本体100の内側壁との間にトップカバー気路210が形成されている。発熱トップカバー200は気路隅部220を有し、トップカバー気路210は前述気路隅部220を介して主気路110に連通している。図示した実施例では、発熱トップカバー200は略U字形としてもよい。発熱トップカバー200の一方の側には、2つの給液口250が間隔を空けて設けられてもよく、発熱トップカバー200の当該側の中央部では、発熱体300に近い方向(すなわち図中のZ軸の方向)に沿って窪み201が形成され、該窪み201と本体100との間に隙間があり、このように、前述気路隅部220が形成され、該気路隅部220は主気路110に連通している。発熱トップカバー200の側壁と本体100の第2ハウジング130との間に前述トップカバー気路210が形成されてもよい。トップカバー気路210内の気体凝縮による液体(即ち凝縮液)が、気路隅部220に戻ってもよい。トップカバー気路210の形状及び構造については特に限定せず、実際の状況に応じて決定してもよい。
【0030】
貯液タンク140から液体チャネル260に入った液体は、発熱体300により加熱されて霧化され、気体が得られる。図4の矢印に示すように、気体はトップカバー気路210に沿って気路隅部220から主気路110に入り、本体100の外部に移動し、使用者により吸われる。この過程において、霧化気体の一部は移動中に温度低下により液化され、凝縮液となることはある。図5の矢印に示すように、冷却液は主気路110の内側壁(即ち第1ハウジング120の内側壁)に沿って気路隅部220に戻る。垂直方向(即ち図1図5のZ軸方向)においては、発熱トップカバー200の窪み201の高さが、発熱トップカバー200の他の部分の高さよりも低く、その結果、液体が気路隅部220に蓄積することになる。アトマイザーによる霧化が進むに伴い、蓄積した液体はパフするときに気流によって駆動されて主気路110から排出されることがあり、結果として液漏れが生じ、このため、アトマイザーのパフによる液漏れの抑制特性の信頼性が劣る。
【0031】
いくつかの実施例では、図1図8のように、気路隅部220には発熱体300まで延在している液体戻り溝230が設けられ、これにより、アトマイザーのパフによる液漏れの抑制特性の信頼性が向上する。ここで、液体戻り溝230は気路隅部220に蓄積した液体が発熱体300に戻ることを可能とする。つまり、発熱トップカバー200の窪み201に前述液体戻り溝230が設けられ、液体戻り溝230の一方の側は発熱体300に連通しており、これにより、液体は図2及び図3の矢印に示すように、液体戻り溝230に沿って発熱体300に流れる。液体は発熱体300の表面において発熱体300の内部に移動するか、又は液体は発熱体300の表面で二次霧化されて、霧化気体となる。なお、発熱体300は多孔質セラミックス又は多孔質金属などの材質としてもよいが、上記の材質に限定されるものではなく、液体が発熱体300の表面に接触すると二次霧化できる材質を使用すればよい。
【0032】
説明の便宜上、液体戻り溝230の溝深さ方向が液体戻り溝230の深さ方向(図1図4のX軸方向)、液体戻り溝230の発熱トップカバー200から発熱体300の発熱面310への方向が、液体戻り溝230の長さ方向(図1図5のZ軸方向)、長さ方向、深さ方向の両方に垂直な方向が、液体戻り溝230の幅方向(図1図5のY軸方向)として定義される。
【0033】
液体戻り溝230の形状やサイズについては実際の状況に応じて調整してもよい。図示した実施例では、液体戻り溝230の形状はいずれも直方体や略直方体である。
【0034】
いくつかの実施例では、液体戻り溝230は発熱トップカバー200の発熱体300に近い側に設けられる。発熱体300の表面は液体戻り溝230を介して気路隅部220に対して露出してもよい。
【0035】
図1図8に示すように、液体戻り溝230は底壁231と溝側壁とにより画定される。
【0036】
このうち、底壁231(図6図8参照)は、液体戻り溝230の深さ方向の発熱体に近い側に位置する。液体戻り溝230の底壁231は発熱トップカバー200を貫通しており、X軸方向における貫通孔となる。
【0037】
図5及び図6に示すように、溝側壁はエンドツーエンドに接続された第1側壁233、第2側壁234、第3側壁235、及び第4側壁236を含んでもよい。このうち、第1側壁233及び第3側壁235は、液体戻り溝230の長さ方向(Z軸方向)に対向して設けられ、第1側壁233は発熱面310から離れた側に位置し、第3側壁235は発熱面310に近い側に位置し、第2側壁234及び第4側壁236は液体戻り溝230の幅方向(Y軸方向)に対向して設けられる。
【0038】
いくつかの実施例では、図1図3に示すように、液体戻り溝230の溝側壁は、液体が通過する側壁開口232を有する。
【0039】
例えば、いくつかの実施例では、液体戻り溝230の第3側壁235には少なくとも1つの側壁開口232が設けられ、液体は液体戻り溝230の長さ方向(Z軸方向)に沿って流動可能であり、これにより、発熱体300に流れて二次霧化され、また、液体は液体戻り溝230の深さ方向(X軸方向)に沿って移動してもよく、これにより、発熱体300の表面に吸着されて二次霧化される。
【0040】
また、例えば、別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230の第2側壁234及び第4側壁236のうちの少なくとも1つの溝側壁、及び第3側壁235のいずれにも前述側壁開口232が設けられ、液体はいずれかの側壁開口232を通って発熱体300の表面に流れて、二次霧化されてもよい。
【0041】
図4に示すように、別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230の溝側壁のいずれにも側壁開口を有さず、液体は液体戻り溝230の深さ方向(X軸方向)に沿って移動して、発熱体300の表面に吸着されて二次霧化される。
【0042】
いくつかの実施例では、図6に示すように、液体戻り溝230の少なくとも1つの溝側壁には、傾斜面237が設けられる。傾斜面237は液体を発熱体300に案内し得る。傾斜面237は液体の移動方向に沿って発熱体300に近づいていく。つまり、傾斜面237は、該溝側壁から溝の中央部に向かう方向に沿って、発熱体300に近づいていく。傾斜面237の傾斜角度は実際の状況に応じて調整されてもよい。
【0043】
例えば、いくつかの実施形態では、液体戻り溝230は、長さ方向において発熱面310から離れた溝側壁には、傾斜面237が設けられ、つまり、液体戻り溝230の第1側壁233に傾斜面237が設けられる。傾斜面237は、第1側壁233から第3側壁235に向かう方向において、発熱体300に近づいていく。液体は、第1溝壁233に設けられた傾斜面237に沿って液体戻り溝230を流れて、発熱体300の表面に流れる。
【0044】
また、例えば、別のいくつかの実施形態では、液体戻り溝230の第1溝壁233、第2溝壁234、及び第4溝壁236のいずれにも傾斜面237が設けられ、これにより、液体は液体戻り溝230に流入しやすくなる。
【0045】
いくつかの実施例では、液体戻り溝230の長さ方向において、液体戻り溝230の溝側壁の肉厚が減少していく。別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230の長さ方向において、液体戻り溝230の溝側壁の肉厚が一定のものである。
【0046】
いくつかの実施例では、液体戻り溝230の深さ方向において、液体戻り溝230の底壁231が発熱体300に当接する。
【0047】
別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230の底壁231と発熱体300の側壁との間では一定の間隙を有してもよい。ただし、液体戻り溝230の深さ方向におけるこの間隙の幅が大きすぎてはならず、液体戻り溝230の溝底壁231に流れた液体の表面が発熱体300の表面に接触して、液体が容易に二次霧化されることを確保しなければならない。
【0048】
液体戻り溝230の数は1つ以上であってもよい。
【0049】
説明の便宜上、液体戻り溝230の幅方向における発熱トップカバー200の総幅がD、0.25D~0.75D(端点を含む)にある発熱トップカバー200の部分が発熱トップカバー200の中央部、0~0.25D(端点を除く)又は0.75D~D(端点を除く)にある発熱トップカバー200の部分が、発熱トップカバー200の縁部として定義される。
【0050】
例えば、いくつかの実施例では、液体戻り溝230の数は1つであり、且つ、液体戻り溝230は、液体戻り溝230の幅方向における発熱トップカバー200の中央部に位置する。
【0051】
また、例えば、別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230の数は2つ以上であり、且つ、液体戻り溝230は発熱トップカバー200に間隔を空けて設けられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、各液体戻り溝230はその幅方向において間隔を空けて設けられる。隣接する液体戻り溝230の間隔は、全て同じであってもよく、部分的に同じであってもよく、全て異なってもよい。
【0053】
例えば、一実施形態では、液体戻り溝230は等間隔で設けられる。
【0054】
また、例えば、別の実施形態では、液体戻り溝230の数は複数であり、かつ、液体戻り溝230の幅方向において、発熱トップカバー200の中央部に位置する液体戻り溝230の数はM(Mは正の整数)であり、発熱トップカバー200の縁部に位置する液体戻り溝230の数はN(Nは正の整数)であり、MはN以上である。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体戻り溝230は、その長さ方向において1列以上設けられてもよく、1列あたり、複数の液体戻り溝230が含まれている。
【0056】
例えば、図示した実施形態では、液体戻り溝230は1列設けられている。
【0057】
また、例えば、別の実施形態では、液体戻り溝230は複数列設けられてもよく、液体戻り溝230の隣接する列は等間隔としてもよく、部分的に等間隔としてもよく、全て等間隔ではなくてもよい。さらに、各列の液体戻り溝230は、全て同一水平位置に有ってもよく、部分的に同一水平位置にいなくてもよく、全て同一水平位置にいなくてもよい。
【0058】
さらに、複数の液体戻り溝230が設けられる場合、各液体戻り溝230の長さ及び幅は全て同じであってもよく、部分的に同じであってもよく、全て異なってもよい。
【0059】
例えば、一実施形態では、各液体戻り溝230は、長さや幅が同じであり、しかも、等間隔で設けられる。
【0060】
また、例えば、一実施形態では、各液体戻り溝230は、長さや幅が異なり、しかも、等間隔で設けられ、液体戻り溝230の幅方向において、発熱トップカバー200の中央部に位置する液体戻り溝230の幅は、発熱トップカバー200の縁部に位置する液体戻り溝230の幅よりも大きく、発熱トップカバー200の中央部に位置する液体戻り溝230の長さは、発熱トップカバー200の縁部に位置する液体戻り溝230の長さよりも小さい。
【0061】
さらに、例えば、一実施形態では、各液体戻り溝230は、長さが異なり、幅が同じであり、間隔を空けて設けられ、液体戻り溝230の幅方向において、発熱トップカバー200の中央部に位置する液体戻り溝230の長さは、発熱トップカバー200の縁部に位置する液体戻り溝230の長さよりも短い。
【0062】
なお、液体戻り溝230の長さの大きさに関わらず、液体戻り溝230の溝底は全部又は部分的に発熱体300の側壁に露出し、これにより、液体戻り溝230は液体が気路隅部220を介して発熱体300に戻る。
【0063】
一実施例では、液体戻り溝230は、発熱トップカバー200のうち液体戻り溝230の深さ方向の対向する2つの側壁に設けられてもよい。別のいくつかの実施例では、液体戻り溝230は、発熱トップカバー200のいずれか1つの側壁にのみ設けられてもよい。
【0064】
図1図2図6及び図7に示すように、発熱トップカバー200には導流溝240が設けられる。導流溝240の一方の側は窪み201に位置するか、又は窪み201に近く、導流溝240の他方の側は発熱トップカバー200の発熱面310に近い側に設けられる。導流溝240の側壁は、部分的に発熱トップカバー200の外面から突出してもよいし、発熱トップカバー200の外面と面一であってもよい。
【0065】
例えば、図示した実施例では、発熱トップカバー200にはリブ241が設けられている。リブ241は液体戻り溝230の長さ方向に沿って設けられる。リブ241は複数であり、且つ間隔を空けて設けられる。隣接するリブ241の間に前述導流溝240が形成されている。
【0066】
図2の矢印に示すように、導流溝240は液体戻り溝230に連通し、これにより、気路隅部220に蓄積した液体は導流溝240に沿って液体戻り溝230に流れてから、発熱体300に入る。さらに、導流溝240が設けられることにより、液体は集中して特定の経路に沿って液体戻り溝230に流れる。つまり、導流溝240の作用の下で、ほとんどの液体は導流溝240に沿って液体戻り溝230に流れて、二次霧化される。少量の液体は発熱トップカバー200のうち導流溝240が設けられていない部分に沿って発熱体300に流れる。
【0067】
いくつかの実施形態では、導流溝240の主気路110から離れた側は液体戻り溝230に連通している。別のいくつかの実施形態では、導流溝240の中央部は液体戻り溝230に連通している。導流溝240に対する液体戻り溝230の位置は、実際の状況に応じて調整されてもよい。
【0068】
図2図7に示すように、いくつかの実施例では、発熱トップカバー200の窪み201においては、突起部270がさらに設けられてもよく、突起部270と発熱トップカバー200は一体成形されてもよく、他の接続方式を採用してもよい。突起部270は主気路110の方向に延在している。突起部270と発熱トップカバー200の窪み201との接続部位にフランジ271が設けられてもよく、フランジ271の表面は、液体が窪み201からフランジ271の表面に沿って液体戻り溝230に流れるように、傾斜平面又は傾斜曲面としてもよい。突起部270が設けられることにより、気路隅部220の通気に影響を与えることなく、窪み201の深さを減少させ、蓄積した液体の最大蓄積量を小さくする。
【0069】
本発明では、発熱トップカバー200に液体戻り溝230が設けられることによって、気路隅部220に蓄積した液体は液体戻り溝230の深さ方向に沿って発熱体300に戻って、二次霧化されてもよい。また、上記構成によれば、液体が主気路110を介してアトマイザーから漏れることを減少させ、アトマイザー及び電子霧化装置のパフによる液漏れの抑制特性を効果的に向上させることができる。
【0070】
以上の実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせてもよいが、説明の便宜上、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明しておらず、ただし、これらの技術的特徴の組み合わせは、矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲とみなすべきである。
【0071】
以上の実施例は本発明のいくつかの実施形態だけを示しており、その説明はより具体的かつ詳細なものであるが、本発明の特許範囲を限定するものとして理解できない。なお、当業者であれば、本発明の構想を逸脱することなく、いくつかの変形や改良を行うこともでき、これらは全て本発明の特許範囲に属する。このため、本発明の特許範囲は添付の特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0072】
100 本体
110 主気路
120 第1ハウジング
130 第2ハウジング
140 貯液タンク
141 出液口
200 発熱トップカバー
201 窪み
210 トップカバー気路
220 気路隅部
230 液体戻り溝
231 溝底壁
232 側壁開口
233 第1側壁
234 第2側壁
235 第3側壁
236 第4側壁
237 傾斜面
240 導流溝
241 リブ
250 給液口
260 液体チャネル
270 突起部
271 フランジ
300 発熱体
310 発熱面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8