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特許7414912積層造形装置、及び三次元造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】積層造形装置、及び三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/73 20210101AFI20240109BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20240109BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240109BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20240109BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240109BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240109BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240109BHJP
   B22F 10/68 20210101ALI20240109BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20240109BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240109BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240109BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240109BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
B22F10/73
B29C64/35
B29C64/153
B29C64/379
B29C64/245
B29C64/393
B22F10/28
B22F10/68
B22F12/90
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y40/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022132752
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 秀二
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0111193(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012011218(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02965840(EP,A1)
【文献】特開2018-080392(JP,A)
【文献】特開2013-049137(JP,A)
【文献】特開2021-120209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0113439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00 - 10/85
B22F 12/00 - 12/90
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形テーブルと、チャンバと、材料層形成装置と、チャック装置と、材料回収装置と、移動装置と、ロボットと、制御装置とを備える積層造形装置であって、
前記造形テーブルは、テーブル駆動機構により上下運動可能に構成され、
前記チャンバは、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域を覆い、
前記材料層形成装置は、前記造形領域に載置されたベースプレート上に材料粉体を供給
して材料層を形成し、
前記チャック装置は、前記造形テーブル上に配置され、前記ベースプレートを前記造形領域内に着脱自在且つ固定可能に構成され、
前記材料回収装置は、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を吸引可能な吸引ノズルを備え、
前記移動装置は、前記吸引ノズルを移動可能に構成され、
前記ロボットは、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを前記チャンバから取り出し可能に構成され、
前記制御装置は、前記テーブル駆動機構を制御して前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、前記吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返す、積層造形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の積層造形装置であって、
前記吸引ノズルによる被吸引物中の前記材料粉体の割合を検出可能な検出手段を備える、積層造形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の積層造形装置であって、
前記検出手段は、流量センサである、積層造形装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の積層造形装置であって、
前記制御装置は、前記被吸引物中の前記材料粉体の割合が所定値より大きい場合に、前記造形テーブルを所定の下降量だけ下降させるように前記テーブル駆動機構を制御する、積層造形装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、
前記制御装置は、所望の三次元造形物の形状データに基づき、前記吸引ノズルが所定の位置において所定の姿勢を取るように前記移動装置を制御する、積層造形装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、
前記造形テーブルを囲繞し、前記造形テーブル上に前記材料粉体を保持するように設けられた粉体保持壁と、
前記粉体保持壁の外側に排出される余剰の前記材料粉体を収容するように構成された材料回収バケットと、を備え、
前記材料回収装置は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、
前記制御装置は、前記運転モードの切り替えを行うように構成され、
前記材料回収装置は、前記回収モードにおいて、前記材料回収バケット内の前記材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで前記材料粉体を前記材料層形成装置へ供給し、前記吸引モードにおいて、前記移動装置により前記吸引ノズルを移動させ、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を前記吸引ノズルにより吸引するように構成される、積層造形装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、
前記チャック装置の側面は、チャックカバーにより覆われており、
前記チャックカバーは、外側カバーと、内側カバーとを備え、
前記外側カバーは、前記内側カバーの側面の少なくとも一部を覆い、
前記内側カバーは、前記チャック装置の前記側面を覆う、積層造形装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、
前記チャック装置は、取付プレートを介して前記ベースプレートを固定する、積層造形装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、
前記吸引ノズルは、先端側に吸引部を備え、
前記吸引部は、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、
前記傾斜面に開口部が設けられる、積層造形装置。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の積層造形装置であって
前記ロボットは、前記移動装置を兼ねる、積層造形装置。
【請求項11】
請求項10に記載の積層造形装置であって、
前記ロボットは、前記ベースプレートを前記チャンバに搬入する、積層造形装置。
【請求項12】
請求項11に記載の積層造形装置であって、
前記ロボットは、前記造形物を前記チャンバから取り出した後、当該造形物を反転させる、積層造形装置。
【請求項13】
三次元造形物の製造方法であって、
載置工程と、固化層形成工程と、材料回収工程と、吸引工程と、取り出し工程とを備え、
前記材料回収工程は、前記固化層形成工程と並行して実行され、
前記吸引工程は、前記固化層形成工程および前記材料回収工程の後に実行され、
前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、
前記固化層形成工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層し、
前記材料回収工程では、前記材料層形成工程において生じた余剰材料、および、前記固化工程により生じた不純物を回収し、
前記吸引工程では、制御装置によってテーブル駆動機構と吸引ノズルを制御して、前記テーブル駆動機構により前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、前記吸引ノズルを移動装置により移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、
前記取り出し工程では、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記三次元造形物とを、前記造形領域を覆うチャンバから取り出す、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形装置、及び三次元造形物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元造形物の積層造形では、種々の方式が知られている。例えば、粉末床溶融結合を実施する積層造形装置は、チャンバ内に配置された造形テーブル上の造形領域にベースプレートを配置し、造形領域に材料粉体を供給して材料層を形成し、レーザ光又は電子ビームを材料層の所定位置に照射することで材料粉体を焼結又は溶融させて固化層を形成する。材料層及び固化層の形成を繰り返すことによってベースプレート上に固化層が積層され、必要に応じて造形中又は造形後に切削手段による切削加工を行うことで、所望の三次元造形物が製造される。
【0003】
粉末床溶融結合のような材料粉体を使用する積層造形においては、造形領域に供給された材料粉体の全てが固化されるわけではない。造形後には、造形物、ベースプレートや造形テーブル上に固化されていない材料粉体が残るため、造形物をチャンバから取り出す際には余剰材料の除去が必要となる。
【0004】
特許文献1に開示されるように、積層造形装置に、余剰材料を吸引除去するための吸引ノズルが設けることが公知である。造形物を取り出す前に、作業者が吸引ノズルを操作して余剰材料を吸引することで、余剰材料が除去される。ここで、造形後に自動で造形物をチャンバから取り出したいという需要がある。例えば、造形物に対して二次加工を行う場合、積層造形装置から造形物を取り出し、二次加工装置に自動で送る一連の工程を自動化したいという需要がある。自動で造形物をチャンバから取り出す際に、造形後の余剰材料を自動で除去することが必要となる。特許文献2は、造形後に残る余剰材料の除去を吸引ノズルで自動除去する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6132962号公報
【文献】特開2002-205339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示されるような、余剰材料を自動で吸引除去する従来の積層造形装置においては造形物の窪み等に余剰材料が残留しやすく除去が不十分であった。造形テーブル上に余剰材料が残っている場合は、造形物を取り出すことができず、無人化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、造形テーブル上の余剰材料をより好適に除去することで、造形物の取り出しの無人化を可能とする積層造形装置、及び三次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]造形テーブルと、チャンバと、材料層形成装置と、チャック装置と、材料回収装置と、移動装置と、ロボットと、制御装置とを備える積層造形装置であって、前記造形テーブルは、テーブル駆動機構により上下運動可能に構成され、前記チャンバは、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域を覆い、前記材料層形成装置は、前記造形領域に載置されたベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成し、前記チャック装置は、前記造形テーブル上に配置され、前記ベースプレートを前記造形領域内に着脱自在且つ固定可能に構成され、前記材料回収装置は、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を吸引可能な吸引ノズルを備え、前記移動装置は、前記吸引ノズルを移動可能に構成され、前記ロボットは、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記造形物とを前記チャンバから取り出し可能に構成され、前記制御装置は、前記テーブル駆動機構を制御して前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、前記吸引ノズルを移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返す、積層造形装置。
[2][1]に記載の積層造形装置であって、前記吸引ノズルによる被吸引物中の前記材料粉体の割合を検出可能な検出手段を備える、積層造形装置。
[3][2]に記載の積層造形装置であって、前記検出手段は、流量センサである、積層造形装置。
[4][2]又は[3]に記載の積層造形装置であって、前記制御装置は、前記被吸引物中の前記材料粉体の割合が所定値より大きい場合に、前記造形テーブルを所定の下降量だけ下降させるように前記テーブル駆動機構を制御する、積層造形装置。
[5][1]から[4]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記制御装置は、所望の三次元造形物の形状データに基づき、前記吸引ノズルが所定の位置において所定の姿勢を取るように前記移動装置を制御する、積層造形装置。
[6][1]から[5]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記造形テーブルを囲繞し、前記造形テーブル上に前記材料粉体を保持するように設けられた粉体保持壁と、前記粉体保持壁の外側に排出される余剰の前記材料粉体を収容するように構成された材料回収バケットと、を備え、前記材料回収装置は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、前記制御装置は、前記運転モードの切り替えを行うように構成され、前記材料回収装置は、前記回収モードにおいて、前記材料回収バケット内の前記材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで前記材料粉体を前記材料層形成装置へ供給し、前記吸引モードにおいて、前記移動装置により前記吸引ノズルを移動させ、前記造形テーブル上の余剰の前記材料粉体を前記吸引ノズルにより吸引するように構成される、積層造形装置。
[7][1]から[6]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記チャック装置の側面は、チャックカバーにより覆われており、前記チャックカバーは、外側カバーと、内側カバーとを備え、前記外側カバーは、前記内側カバーの側面の少なくとも一部を覆い、前記内側カバーは、前記チャック装置の前記側面を覆う、積層造形装置。
[8][1]から[7]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記チャック装置は、取付プレートを介して前記ベースプレートを固定する、積層造形装置。
[9][1]から[8]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって、前記吸引ノズルは、先端側に吸引部を備え、前記吸引部は、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、前記傾斜面に開口部が設けられる、積層造形装置。
[10][1]から[9]のいずれか1つに記載の積層造形装置であって前記ロボットは、前記移動装置を兼ねる、積層造形装置。
[11][10]に記載の積層造形装置であって、前記ロボットは、前記ベースプレートを前記チャンバに搬入する、積層造形装置。
[12][11]に記載の積層造形装置であって、前記ロボットは、前記造形物を前記チャンバから取り出した後、当該造形物を反転させる、積層造形装置。
[13]三次元造形物の製造方法であって、載置工程と、固化層形成工程と、吸引工程と、取り出し工程とを備え、前記載置工程では、造形テーブル上に配置されたチャック装置によってベースプレートを着脱自在に固定することにより、前記造形テーブル上に設けられた、造形物が形成される領域である造形領域に前記ベースプレートを載置し、前記固化層形成工程では、前記ベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成する材料層形成工程と、前記材料層の所定の照射領域にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成する固化工程とを繰り返すことにより、前記固化層を積層し、前記吸引工程では、テーブル駆動機構により前記造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、吸引ノズルを移動装置により移動させながら余剰の前記材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返し、前記取り出し工程では、前記ベースプレートと、前記ベースプレート上に造形された前記三次元造形物とを、前記造形領域を覆うチャンバから取り出す、製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る積層造形装置には、移動装置により移動可能な吸引ノズルが設けられ、制御装置がテーブル駆動機構を制御して造形テーブルを徐々に上昇させながら、吸引ノズルによって余剰材料を吸引除去するので、造形物に振動が加わり、造形物上の余剰材料がベースプレートや造形テーブル上に落下する。これにより、造形テーブル上の余剰材料をより好適に除去することができる。このとき、吸引ノズルによる余剰材料の除去は自動で行われるので、造形物の取り出しの無人化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。
図2】積層造形装置100の材料層形成装置2の斜視図である。
図3】材料層形成装置2のリコータヘッド22の上方からの斜視図である。
図4】材料層形成装置2のリコータヘッド22の下方からの斜視図である。
図5】チャック装置5にベースプレート83が固定された状態を示す斜視図である。
図6図5のA-A線における断面図である。
図7】パレット85、位置決めプレート86、及びシャフト87が分解された状態を示す斜視図である。
図8】チャック装置5からチャックカバー53を取り外した状態を示す斜視図である。
図9図9A及び図9Bは、吸引ノズル79の吸引部79aの先端を示す図である。図9Aは、正面図であり、図9Bは、右側面図である。
図10】吸引ノズル79による余剰材料層81aの余剰材料の吸引態様を説明するための図である。
図11】積層造形装置100の制御装置9の構成図である。
図12】積層造形装置100を用いた三次元造形物Wの製造方法のフロー図である。
図13】積層造形装置100を用いた三次元造形物Wの製造方法を説明するための図である。
図14】固化層形成工程を説明するための図である。
図15】吸引工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.積層造形装置100
図1は、本実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。積層造形装置100は、チャンバ1と、材料層形成装置2と、照射装置3と、造形テーブル4と、チャック装置5と、ロボット6と、材料回収装置7と、移動装置と、制御装置9とを備える。チャンバ1内に配置される造形テーブル4上に設けられた造形領域Rにおいて、材料層81及び固化層82の形成を繰り返すことで、所望の三次元造形物Wが形成される。
【0013】
1.1.チャンバ1
チャンバ1は、所望の三次元造形物Wが形成される領域である造形領域Rを覆う。チャンバ1の内部は不活性ガス供給装置(不図示)から供給される所定濃度の不活性ガスで充満されている。本明細書において不活性ガスとは、材料層81や固化層82と実質的に反応しないガスであり、材料の種類に応じて選択され、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスを使用可能である。固化層82の形成時に発生するヒュームを含んだ不活性ガスは、チャンバ1から排出され、ヒュームコレクタ(不図示)においてヒュームが除去された後にチャンバ1へ供給され再利用される。ヒュームコレクタは、例えば、電気集塵機又はフィルタである。
【0014】
チャンバ1の上面には、レーザ光Bの透過窓となるウィンドウ1aが設けられる。ウィンドウ1aは、レーザ光Bを透過可能な材料で形成される。具体的に、ウィンドウ1aの材料は、レーザ光Bの種類に応じて、石英ガラスもしくはホウケイ酸ガラス又はゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンもしくは臭化カリウムの結晶等から選択される。例えば、レーザ光Bがファイバレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0015】
また、チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うように汚染防止装置17が設けられる。汚染防止装置17は、円筒形状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒形状の拡散部材17bとを備える。筐体17aと拡散部材17bの間の空間に供給された清浄な不活性ガスは、拡散部材17bの壁面に形成された細孔を通じて拡散部材17bの内部に充満され、さらに筐体17aの底面に設けられた開口部を通じて下方に向かって噴出される。このような構成により、ヒュームのウィンドウ1aへの付着を防止し、レーザ光Bの照射経路からヒュームを排除することができる。
【0016】
また、チャンバ1には、制御装置9に制御されて開閉可能な作業扉(不図示)が設けられている。チャンバ1へのベースプレート83の搬入時や、チャンバ1からのベースプレート83及び造形物Wの取り出し時には、作業扉が開かれ、ロボット6がチャンバ1を出入りして搬入出作業を行う。搬入出作業を行わないとき、特に造形中は、作業扉は閉じられる。
【0017】
1.2.材料層形成装置2
材料層形成装置2は、造形領域Rに載置されたベースプレート83上に材料粉体を供給して材料層81を形成する。図1から図4に示すように、材料層形成装置2は、チャンバ1の内部に設けられ、ベース21と、ベース21上に配置されるリコータヘッド22とを備える。リコータヘッド22は、リコータヘッド駆動装置23によって水平1軸方向に往復移動可能に構成される。
【0018】
図3及び図4に示すように、リコータヘッド22は、材料収容部22aと、材料供給口22bと、材料排出口22cとを備える。材料供給口22bは、材料収容部22aの上面に設けられ、材料収容部22aの長手方向に延びる矩形状であり、材料供給ユニット10から材料収容部22aに供給される材料粉体の受け口となる。材料排出口22cは、材料収容部22aの底面に設けられ、材料収容部22a内の材料粉体を排出する。材料排出口22cは、材料収容部22aの長手方向に延びるスリット形状を有する。リコータヘッド22の両側面には、平板状のブレード22fb,22rbが設けられる。ブレード22fb,22rbは、材料排出口22cから排出される材料粉体を平坦化して、材料層81を形成する。
【0019】
1.3.照射装置3
図1に示すように、照射装置3は、チャンバ1の上方に設けられる。照射装置3は、造形領域R内に形成される材料層81の照射領域にレーザ光Bを照射して、材料粉体を溶融又は焼結して固化させ、固化層82を形成する。レーザ光Bは、材料粉体を焼結又は溶融可能であればよく、例えば、ファイバレーザ、CO2レーザ、YAGレーザである。なお、照射装置3は、レーザ光Bの代わりに電子ビームを照射して材料層81を固化させるよう構成されてもよい。
【0020】
1.4.造形テーブル4
造形テーブル4は、チャンバ1内に設けられ、その上面に造形領域Rが設けられる。造形テーブル4は、テーブル駆動機構41により上下運動可能に構成される。本実施形態のテーブル駆動機構41は、駆動源としてモータを用いて構成される。なお、テーブル駆動機構41の構成は、本実施形態の例に限定されるものではなく、造形テーブル4を上下(鉛直)方向に移動可能であれば、他の形態でもよい。
【0021】
1.5.チャック装置5
チャック装置5は、造形テーブル4上に配置され、ベースプレート83を造形領域R内に着脱自在且つ固定可能に構成される。チャック装置5がベースプレート83を保持し固定することにより、ベースプレート83が造形領域R内に載置される。
【0022】
ベースプレート83は、チャック装置5により直接固定されてもよく、取付プレート84等の別部材を介して固定されてもよい。本実施形態では、図1図5、及び図6に示すように、ベースプレート83が、取付プレート84及びパレット85を介してチャック装置5により着脱自在に固定されている。具体的には、パレット85の底面に下方に向かって突出するようにシャフト87が取り付けられ、シャフト87をチャック装置5により把持することによりパレット85が着脱自在に固定される。また、取付プレート84は、ボルト等の固定部材を用いてパレット85上に固定され、ベースプレート83は、ボルト等の固定部材を用いて取付プレート84上に固定されている。つまり、下側からチャック装置5、パレット85、取付プレート84、ベースプレート83がこの順に配置されており、ベースプレート83の上面に三次元造形物Wが造形される。
【0023】
本実施形態のチャック装置5は、図6から図8に示すように、造形テーブル4上に配置されたチャックベース51と、チャックベース51上に配置されたクランプユニット52とを備える。
【0024】
チャックベース51は、チャック装置5を造形テーブル4上に固定するために用いられる。本実施形態では、平面視で四角形状のチャックベース51の四隅が、ボルト等の固定部材により造形テーブル4に固定されている。
【0025】
クランプユニット52は、略有底円筒形状を有する。クランプユニット52の上面には、平面視における同円心状に第1凸部52a及び第2凸部52bがそれぞれ複数(一例では、4個)設けられ、さらに、平面視における中心から放射状に形成された当接凹部52cが複数(一例では、4個)設けられている。また、クランプユニット52の内部には、図6に示すように、シャフト87を係止する係止部材として複数のボール52dがシャフト87の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0026】
シャフト87は、図6及び図7に示すように、チャッキング栓87aと、チャッキング栓87aの外側に設けられた係止部87bとを備える。チャッキング栓87aの上端側にはネジ部が形成され、当該ネジ部がパレット85の底面に形成されたネジ穴に螺合されることで、チャッキング栓87aがパレット85に取り付けられる。また、チャッキング栓87aの下端がクランプユニット52の挿入孔52eに挿入され、係止部87bの凹部87cにクランプユニット52のボール52dが係合することで、シャフト87が係止される。これにより、パレット85がチャック装置5に固定される。
【0027】
さらに、本実施形態では、パレット85とクランプユニット52との間に、位置決めプレート86が介装されている。位置決めプレート86は、パレット85の底面に対してボルト等の固定部材を用いて固定されている。位置決めプレート86には、第1開口部86a及び第2開口部86bがそれぞれ複数(一例では、4個)設けられている。第1開口部86a及び第2開口部86bは、平面視においてクランプユニット52の第1凸部52a及び第2凸部52bにそれぞれ重なる位置に設けられており、第1凸部52aが第1開口部86aに挿通され、第2凸部52bが第2開口部86bに挿通されることにより、位置決めプレート86が水平方向に位置決めされる。
【0028】
また、位置決めプレート86の下面には、複数(一例では、4個)の支え足86cが取付軸86dを用いて取り付けられている。支え足86cは、平面視において当接凹部52cに重なる位置に取り付けられており、支え足86cの底面が当接凹部52cに当接することにより、位置決めプレート86が鉛直方向に位置決めされる。位置決めプレート86をパレット85に取り付けることにより、パレット85をチャック装置5により固定した際に、パレット85上に固定された取付プレート84及びベースプレート83を、水平方向及び鉛直方向における所定の位置に高精度で配置することができる。
【0029】
本実施形態では、ベースプレート83が、別部材(取付プレート84及びパレット85)を介してチャック装置5に固定されている。このような構成では、シャフト87や位置決めプレート86を取り付けるためのネジ穴等の取付部は、当該別部材に形成すればよく、また当該別部材は造形後に一部又は全部をベースプレート83から取り外して再利用することができる。従って、チャック装置5の形態に応じてベースプレート83に取付部を設ける必要がないため、ベースプレート83をより安価に製造することが可能となる。
【0030】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、チャック装置5の側面が、チャックカバー53により覆われている。チャックカバー53は、外側カバー54と、内側カバー55とを備える。外側カバー54は、内側カバー55の側面の少なくとも一部を覆い、内側カバー55は、チャック装置5の側面を覆う。チャックカバー53の素材としては、金属や樹脂等を用いることができる。
【0031】
具体的には、図6及び図8に示すように、内側カバー55は、円筒形状の内側被覆部55aと、内側被覆部55aの下端において径方向外側に張り出すフランジ部55bとを備える。内側被覆部55aは、チャック装置5のクランプユニット52の側面を覆う。内側カバー55は、フランジ部55bにおいてチャックベース51上に固定される。また、外側カバー54は、円筒形状の外側被覆部54aと、外側被覆部54aの上端において径方向内側に張り出す上面部54bとを備える。外側被覆部54aは、内側被覆部55aの側面のうち上側の一部を覆う。外側カバー54は、上面部54bにおいて、上面部54bの上面がパレット85の底面と接触した状態でパレット85に固定されている。また、外側カバー54及び内側カバー55は、外側被覆部54aと内側被覆部55aとが同軸となるように配置される。このような構成により、造形中、又は造形完了後にチャック装置5によるベースプレート83の固定を解除した際に、チャック装置5の内部、特にクランプユニット52への余剰材料の侵入を防止することができる。
【0032】
また、図6に示すように、外側カバー54と内側カバー55との間には、間隙Gが設けられる。具体的には、外側被覆部54aの内径D1及び内側被覆部55aの外径D2について、D1>D2の条件が満たされるように、外側カバー54と内側カバー55を設計することで、間隙Gが設けられる。なお、間隙Gは、好ましくは、外側被覆部54aの内面と内側被覆部55aの外面との間の距離(本実施形態では、(D1-D2)/2)が1~10mmとなるように設けられる。このような構成では、ベースプレート83上から落下した余剰材料等の粉体がチャックカバー53の内部に至る経路が屈曲しているため、粉体の侵入をより効果的に防止することができる。
【0033】
なお、チャックカバー53の構成は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、内側被覆部55a及び外側被覆部54aを、角筒形状としてもよい。図6ないし図8に示される実施形態のチャック装置5によると、ロボット6がどのようなプロセスで余剰の材料粉体を吸引して除去するかに関わらず、余剰の材料粉体がクランプユニット52に侵入することによって継続して造形を行なうことができなくなる事態が生じるおそれが低減されるので、連続する造形の無人運転を支援する。
【0034】
1.6.ロボット6
ロボット6は、ベースプレート83と、ベースプレート83上に造形された造形物Wとをチャンバ1から取り出し可能に構成される。本実施形態では、造形完了後に凹部87cからクランプユニット52のボール52dを係脱させることでチャック装置5によるパレット85の固定を解除する。この状態でロボット6がパレット85の所定箇所を把持して、又はパレット85の側面に設けられた支持孔(不図示)に支持棒を挿入して持ち上げることにより、ベースプレート83及び造形物Wを取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54と共に作業扉を経由してチャンバ1から取り出す。
【0035】
また、ロボット6を、造形物Wをチャンバ1から取り出した後、所定位置へ移動させて造形物Wを上下方向に反転させるように構成してもよい。造形物Wを反転させることで、造形物Wやベースプレート83に付着した余剰材料を落下させて除去することができる。この際、反転した造形物Wをチャンバ1の外部に設けられた仕上げ装置(不図示)に載置し、自動又は手動で余剰材料の仕上げ除去を行ってもよい。仕上げ除去として、例えば、吸引ノズルによる材料粉体を吸引する、又は造形物Wを振動させて材料粉体を落下させる、チャンバ1外の吸引チャンバ(不図示)に造形物Wを搬送して粉末の吸引除去を行う等の方法が挙げられる。
【0036】
造形物Wに対して二次加工を行う場合、ロボット6は、チャンバ1から取り出したベースプレート83及び造形物Wを、二次加工装置(不図示)に移動させる。
【0037】
なお、本実施形態のロボット6は、造形開始前にベースプレート83をチャンバ1内に搬入するためにも用いられる。具体的には、チャンバ1の外部に設けられたストッカー(不図示)に、ベースプレート83、取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54が一体化されたベースプレートセットの状態で保管されており、ロボット6は、パレット85の所定箇所を把持することにより、又はパレット85の側面に設けられた支持孔に支持棒を挿入して持ち上げることにより、作業扉からベースプレートセットをチャンバ1内に搬入し、クランプユニット52にシャフト87の下端を挿入する。挿入されたシャフト87の凹部87cにボール52dを係合させることで、パレット85をチャック装置5により固定する。
【0038】
1.7.材料粉体の供給・回収系統
次に、材料回収装置7を含む、材料粉体の供給・回収系統について説明する。図1に示すように、チャンバ1の壁面付近には、材料供給ユニット10が設けられる。材料供給ユニット10は、材料タンク11と、メインダクト12と、中間ダクト13とを備える。材料タンク11には新規の材料粉体が収容され、メインダクト12を通じて中間ダクト13に供給される。
【0039】
中間ダクト13は、上下方向に移動可能であり、中間ダクト出口13aから材料粉体を排出するように構成されている。本実施形態の中間ダクト出口13aは、リコータヘッド22の材料供給口22bと略同一方向に延びる矩形状である。また、中間ダクト出口13aは、シャッタ14によって開閉可能に構成される。中間ダクト出口13aは、通常時はシャッタ14によって閉じられている。材料粉体の補充時には、リコータヘッド22が中間ダクト13の直下に移動し、中間ダクト出口13aが材料収容部22aの上端よりも低い位置になるように中間ダクト13が移動する。この状態でシャッタ14が開き、材料粉体が補充される。
【0040】
本実施形態では、造形テーブル4を囲繞するように、粉体保持壁42が設けられる。粉体保持壁42により、材料粉体が造形テーブル4上に保持される。また、粉体保持壁42の外側に排出される余剰材料を収容するように構成された材料回収バケット70が設けられる。
【0041】
材料層形成装置2のベース21には、材料回収バケット70に連通する少なくとも1つの粉体排出部70bが設けられる。移動するリコータヘッド22によって押し出された余剰材料や不純物は、粉体排出部70bから排出されて、シューターガイド70dによってシューター70eに案内され、材料回収バケット70に収容される。なお、粉体排出部70bは、シャッタ(不図示)によって開閉可能に構成されても良い。さらに、粉体保持壁42の下側に粉体保持壁42の内側の材料粉体を排出可能な粉体排出部70aを設け、積層造形の完了後に造形テーブル4を下降させることによって、未固化の材料粉体や切削屑等の不純物の一部を粉体排出部70aから排出してもよい。この場合、粉体排出部70aから排出された材料粉体は、シューターガイド70cによってシューター70eに案内され、材料回収バケット70に収容される。
【0042】
本実施形態の材料回収装置7は、図1に示すように、材料回収用搬送装置71と、不純物除去装置73と、吸引装置74と、材料供給バケット76と、材料乾燥装置77と、材料供給用搬送装置78と、吸引ノズル79とを備える。材料回収用搬送装置71の吸引口71bは切換弁72を介して配管等により材料回収バケット70に接続されており、材料回収バケット70内の不純物を含んだ材料粉体は、材料回収用搬送装置71により不純物除去装置73へと搬送される。不純物として、例えば、照射時に発生するスパッタや、切削加工等で生じる加工屑が挙げられる。不純物除去装置73は、材料回収用搬送装置71から搬送される材料粉体から不純物を除去する。不純物が取り除かれた材料粉体は、材料供給バケット76内に収容される。材料乾燥装置77は、材料供給バケット76内の材料粉体を乾燥させる。材料乾燥装置77によって乾燥された材料粉体は、メインダクト12の上部に接続された材料供給用搬送装置78によりメインダクト12内に供給され、再利用される。
【0043】
材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78はサイクロン方式のフィルタを内部に有し、フィルタの排気口71a及び排気口78aは切換弁75を介して吸引装置74に配管等により接続されている。吸引装置74は、気体と固体を一緒に吸引可能な吸引力を有し、例えば、クリーナー等を用いて構成される。吸引装置74により材料粉体や不純物等の固体が気体と共に吸引されると、フィルタは比重差を利用して固体のみを気流から分離し落下させる。これにより、固体が搬送され、気体が排気口71a,78aから吸引装置74に吸引される。なお、1台の吸引装置74を材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78に切換弁75を介して切り替え可能に接続しても、材料回収用搬送装置71及び材料供給用搬送装置78の各々に吸引装置74を1台ずつ独立して接続してもよい。
【0044】
吸引ノズル79は、造形テーブル4上の余剰の材料粉体を吸引可能に構成される。また、吸引ノズル79は、移動装置により移動可能である。本実施形態では、ロボット6が移動装置を兼ねている。具体的には、チャンバ1外の収納部(不図示)に吸引ノズル79が収納されており、ロボット6が吸引ノズル79を把持して作業扉からチャンバ1内に移動し、任意の位置に配置することができる。また、ロボット6により吸引ノズル79を傾ける等の操作により、造形物Wに対する吸引ノズル79の姿勢を変化させることもできる。
【0045】
本実施形態の吸引ノズル79は、切換弁72を介して配管等により材料回収用搬送装置71の吸引口71bに接続されている。例えば、可撓性を有するホースの一端に吸引ノズル79を取り付け、切換弁72を介してホースの他端を吸引口71bに接続することができる。吸引ノズル79から吸引された材料粉体は、上述と同様の方法で、不純物の除去処理、及び乾燥処理が行われた後にメインダクト12内に供給される。
【0046】
本実施形態の積層造形装置100は、吸引ノズル79による被吸引物中の材料粉体の割合を検出可能な検出手段(不図示)を備える。被吸引物中の材料粉体の割合としては、例えば、被吸引物中の材料粉体の体積流量割合又は質量流量割合、又は所定の検出領域における面積割合を用いることができる。検出手段として、例えば、流量センサ、又はカメラ等の撮像装置を用いることができる。本実施形態では、吸引ノズル79又は吸引ノズル79が取り付けられたホースの内部に検出手段として流量センサを設置する。一例として、流量センサは、被吸引物中の粉体の体積流量を検出可能に構成される。具体的には、流量センサは、吸引ノズル79又はホースの内部の所定位置において、マイクロ波を発信しその反射波を受信する。当該所定位置を通過する被吸引物中の粉体量に応じて反射波の周波数及び振幅が変化するため、当該変化に基づき被吸引物中の材料粉体の体積流量を検出し、材料粉体の体積流量割合を取得することができる。検出手段による検出結果は、制御装置9へ出力される。なお、検出手段は、被吸引物中の材料粉体の割合を直接検出するように構成してもよく、材料粉体の割合を間接的に検出するように構成してもよい。間接的に検出する場合、例えば、被吸引物中の気体の割合を検出し、検出結果から材料粉体の割合を取得してもよい。
【0047】
図9A及び図9Bは、吸引ノズル79の吸引部79aの先端を示す図である。図9Aは、正面図であり、図9Bは、右側面図である。本実施形態の吸引ノズル79は、先端側に吸引部79aを備える。また、図9A及び図9Bでは図示省略されているが、吸引ノズル79の基端側には、移動装置としてのロボット6が把持可能な把持部が設けられている。吸引部79aは、先端側の端面を傾斜面で切断した筒形状を有し、傾斜面に開口部79bが設けられている。余剰材料は、開口部79bから吸引される。
【0048】
このような構成では、図10に示すように、余剰材料からなる層(余剰材料層81a)に吸引ノズル79を近づけて開口部79bの一部を余剰材料層81a内に埋入させると、材料粉体が開口部79bから吸引される。この際、開口部79bのうち余剰材料層81a内に埋入していない部分からは、気体が吸引される。材料粉体を気体と共に吸引することにより、被吸引物中の固体の割合が過剰となり吸引力が低下したり、吸引ノズル79及びホースの内部に詰まりが発生する事態を回避できる。
【0049】
本実施形態の材料回収装置7は、運転モードとして回収モードと吸引モードとを備え、後述する制御装置9の材料供給・回収制御部98により、運転モードの切り替えが行われる。回収モードにおいて、材料回収装置7は、材料回収バケット70内の材料粉体を回収し、且つ不純物を除去したうえで材料粉体を材料層形成装置2へ供給する。一方、吸引モードにおいて、材料回収装置7は、移動装置としてのロボット6により吸引ノズル79を移動させ、造形テーブル4上の余剰の材料粉体を吸引ノズル79により吸引する。本実施形態では、材料供給・回収制御部98が切換弁72を切り替えることにより、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が材料回収バケット70である回収モードと、当該搬送元が吸引ノズル79である吸引モードとが、切り替えられる。
【0050】
1.8.制御装置9
積層造形装置100の制御系統は、図11に示すように、CAD(Computer Aided Design)装置90a、CAM(Computer Aided Manufacturing)装置90b、及び制御装置9を含む。これら装置は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置、出入力インターフェース等のハードウェアと、ソフトウェアとを任意に組み合わせて構成される。以下、制御系統による制御動作のうち、本発明との関連が強い制御に限定して説明を行う。
【0051】
CAD装置90aは、造形対称の三次元造形物Wの形状及び寸法を特定する三次元形状データ(CADデータ)を作成する。CAM装置90bは、CADデータに基づき、積層造形装置100に対する指令が規定されたプロジェクトファイルを作成する。CAM装置90bは、通信線や記憶媒体を介してプロジェクトファイルを制御装置9に送る。
【0052】
制御装置9は、プロジェクトファイルに従って、材料層形成装置2、照射装置3、造形テーブル4、チャック装置5、ロボット6、材料回収装置7、及び移動装置等の積層造形装置100の構成要素を制御し、積層造形を行う。制御装置9は、数値制御部91と積層造形装置100の構成要素の制御部92,93,94,95,96,97,98とを備える。
【0053】
数値制御部91は、CAM装置90bが作成したプロジェクトファイルに従って、積層造形装置100の構成要素の動作指令を各制御部92,93,94,95,96,97,98に出力するものであり、記憶部91aと、演算部91bと、メモリ91cとを備える。記憶部91aは、CAM装置90bから取得したプロジェクトファイルを記憶する。演算部91bは、プロジェクトファイルに従って、積層造形装置100の構成要素を数値制御するための演算処理を実行する。メモリ91cは、演算部91bによる演算処理の過程で数値やデータを一時的に記憶する。
【0054】
積層造形装置100の構成要素の制御部92,93,94,95,96,97,98は、数値制御部91からの動作指令に基づき各構成要素の動作を制御する。具体的には、作業扉制御部92は、作業扉を制御して適時に開閉させる。材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を水平1軸方向に往復移動させる。照射制御部94は、レーザ光Bが、照射領域内の所定の位置に、所定の条件で照射されるように、照射装置3を制御する。
【0055】
テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4を上下方向に移動させ所定の位置に配置する。チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ベースプレート83の固定と固定解除とを切り替える。
【0056】
ロボット制御部97は、ロボット6を制御して、チャンバ1内へのベースプレート83の搬入と、チャンバ1からのベースプレート83及び造形物Wの取り出しを行う他、必要に応じて、チャンバ1からの取り出し後の造形物Wの反転、及び二次加工装置への移動を行う。また、本実施形態では、ロボット6が吸引ノズル79の移動装置を兼ねている。従って、ロボット制御部97は、移動装置としてのロボット6を制御して、吸引ノズル79を移動させ、所定の位置において所定の姿勢で配置する。
【0057】
材料供給・回収制御部98は、材料回収装置7及び材料供給ユニット10を制御する。また、材料回収装置7の運転モードの切り替えを行う。
【0058】
なお、上述の構成に加え、積層造形装置100は、固化層82及び造形物Wに対し必要に応じて切削加工等の機械加工を行うための機械加工装置(不図示)をチャンバ1内に備えてもよい。機械加工装置は、例えば、切削等の機械加工を行うための工具(例えば、エンドミル)を加工ヘッドに取り付けて構成され、加工ヘッドを水平方向及び鉛直方向に適宜移動させて固化層82又は造形物Wに対して機械加工を行う。また、工具は、加工ヘッドのスピンドルに対して取り付けることで回転可能に構成してもよい。
【0059】
2.三次元造形物Wの製造方法
次に、図12を参照して、本実施形態に係る積層造形装置100を用いた、三次元造形物Wの製造方法について説明する。
【0060】
2.1.載置工程S1
載置工程S1では、ベースプレート83を造形テーブル4上の造形領域Rに載置する。具体的には、まず、作業扉制御部92が、作業扉を制御して開く。また、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して、チャンバ1外部のストッカーからベースプレートセットをチャンバ1内に搬入させる。ロボット6は、開放された作業扉からベースプレートセットをチャンバ1内に搬入し、クランプユニット52の挿入孔52eにシャフト87の下端を挿入する。この状態で、チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ボール52dをシャフト87の係止部87bに係合させる。これにより、図13に示すように、ベースプレート83が、チャック装置5に着脱自在に固定された状態で、造形領域Rに載置される。また、チャック装置5の側面が外側カバー54及び内側カバー55からなるチャックカバー53により覆われる。
【0061】
ベースプレート83の載置後、ロボット制御部97はロボット6を制御してチャンバ1外へと退避させ、作業扉制御部92は作業扉を閉じる。その後、不活性ガス供給装置からチャンバ1内に不活性ガスが供給・充満される。これにより、造形開始可能な状態となる。
【0062】
2.2.材料供給工程S2
材料供給工程S2では、材料層形成装置2の材料収容部22aに材料粉体を供給して収容する。具体的には、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を中間ダクト13の直下まで移動させる。この状態で、材料供給・回収制御部98は、材料供給ユニット10を制御して、シャッタ14を開いて材料粉体を材料収容部22a内に供給する。十分な量の材料粉体が供給された時点で、材料供給・回収制御部98はシャッタ14を閉じて供給を停止する。その後、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を造形領域Rまで移動させる。なお、材料供給工程S2は、造形の開始から完了までの間、材料粉体を材料収容部22aに補充するために適時に複数回行われる。
【0063】
2.3.固化層形成工程S3
次に、固化層形成工程S3が行われる。固化層形成工程S3では、ベースプレート83上に材料粉体を供給して材料層81を形成する材料層形成工程S3-1と、材料層81の所定の照射領域にレーザ光Bを照射することにより固化層82を形成する固化工程S3-2とを繰り返すことにより、固化層82が積層される。
【0064】
具体的には、まず、テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4を所定の高さに配置する。この状態で、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を図13の左側から右側に移動させる。これにより、ベースプレート83上に1層目の材料層81が形成される。次に、照射制御部94は、照射装置3を制御して1層目の材料層81の所定の照射領域にレーザ光B又は電子ビームを照射する。これにより、図14に示すように、1層目の材料層81を固化させて、1層目の固化層82を得る。
【0065】
続いて、2回目の材料層形成工程S3-1が行われる。1層目の固化層82を形成後、テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4の高さを材料層81の1層分下げる。この状態で、材料層形成制御部93は、リコータヘッド駆動装置23を制御して、リコータヘッド22を造形領域Rの図14の右側から左側に移動させる。これにより、1層目の固化層82を覆うように2層目の材料層81が形成される。そして2回目の固化工程S3-2が行われる。上述と同様の方法で、2層目の材料層81の所定の照射領域にレーザ光Bを照射することによって2層目の材料層81を固化させて、2層目の固化層82を得る。
【0066】
所望の三次元造形物Wが得られるまで、材料層形成工程S3-1及び固化工程S3-2が繰り返され、複数の固化層82が積層される。隣接する固化層82は、互いに強く固着される。また、造形中又は造形後に、必要に応じて機械加工装置による切削加工等が行われる。
【0067】
2.4.材料回収工程S4
固化層形成工程S3と並行して、材料回収工程S4が行われる。材料回収工程S4において、材料回収装置7は回収モードで稼働する。具体的には、材料供給・回収制御部98は、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が材料回収バケット70となるように切換弁72を切り替える。また、材料回収用搬送装置71、不純物除去装置73、吸引装置74、材料供給バケット76、材料乾燥装置77、及び材料供給用搬送装置78を稼働させ、材料回収バケット70内の不純物を含んだ材料粉体に対して不純物の除去処理、及び乾燥処理を行ったうえで、メインダクト12内へ供給する。
【0068】
2.5.吸引工程S5
造形完了後、吸引工程S5が行われる。吸引工程S5では、造形テーブル4上の余剰材料を吸引ノズル79により吸引する。具体的には、まず、作業扉制御部92が、作業扉を制御して開く。次に、ロボット制御部97は、移動装置としてのロボット6を制御して、吸引ノズル79を把持して作業扉からチャンバ1内に移動させる。また、吸引工程S5において、材料回収装置7は吸引モードで稼働する。材料供給・回収制御部98は、材料回収用搬送装置71による材料粉体の搬送元が吸引ノズル79となるように切換弁72を切り替える。
【0069】
図15に示すように、造形の開始から完了までの間に、造形テーブル4は形成された材料層81の厚みの合計に相当する高さだけ下降している。この状態で、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して吸引ノズル79を移動させ、吸引ノズル79により余剰材料層81aの上面側から余剰材料を吸引する。
【0070】
余剰材料層81aの上面から所定の厚みだけ吸引が完了した時点で、テーブル制御部95は、テーブル駆動機構41を制御して、造形テーブル4を所定の上昇量だけ上昇させる。これにより、余剰材料層81aの上面が、上昇する。この状態で、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して吸引ノズル79を移動させ、余剰材料を上面側から吸引する。
【0071】
余剰材料が全て除去されるまで、制御装置9は、テーブル駆動機構41を制御して造形テーブル4を所定の上昇量だけ上昇させることと、吸引ノズル79を移動させながら余剰の材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返す。造形テーブル4を上昇させることで、造形テーブル4上の造形物Wに振動が加わり、造形物Wの窪み等に残留した余剰材料が、ベースプレート83や造形テーブル4上に落下し、造形テーブル4上の余剰材料をより効率的に吸引除去できる。
【0072】
吸引工程S5における1回の上昇動作における造形テーブル4の上昇量は、好ましくは5~30mmであり、より好ましくは7~20mmである。1回の上昇動作における上昇量が小さすぎると、造形物Wに加わる振動が不十分となる他、上昇動作が頻回となり吸引工程S5の効率が低下する場合がある。一方、上昇量が大きすぎると、余剰材料層81aの上面の高さが粉体保持壁42の上端を超え、造形テーブル4上に保持できなくなる場合がある。
【0073】
本実施形態の吸引工程S5において、制御装置9のロボット制御部97は、所望の三次元造形物Wの形状データに基づき、吸引ノズル79が所定の位置において所定の姿勢を取るように移動装置としてのロボット6を制御する。具体的には、造形物Wの輪郭を表すデータをロボット6に読み込ませ、吸引ノズル79が造形物Wに接触しないように、又は造形物Wの窪み等に残留した余剰材料を効率的に吸引できるように、吸引ノズル79の位置及び造形物Wに対する姿勢を調整しながら吸引ノズル79を移動させる。
【0074】
また、制御装置9のテーブル制御部95は、検出手段としての流量センサによる検出結果に基づき、吸引ノズル79による被吸引物中の材料粉体の割合が所定値rより大きい場合に、造形テーブル4を所定の下降量だけ下降させるようにテーブル駆動機構41を制御する。被吸引物中の材料粉体の割合が大きすぎると、吸引ノズル79の吸引力の低下や、吸引ノズル79及びホースの内部の詰まりが起きやすくなる。造形テーブル4を下降させることで、吸引ノズル79の開口部79bの余剰材料層81aへの埋入量を減らして気体の吸引量を増やし、上述のような事態を回避することができる。
【0075】
一例として、検出手段として流量センサを用い、吸引ノズル79又はホースの内部における被吸引物中の材料粉体の体積流量割合を取得する場合、材料粉体の体積流量割合が0.7~0.8程度である場合に、効率的に吸引でき、且つ吸引ノズル79及びホースの内部の詰まりが起きにくい。従って、このような検出手段の構成において、所定値rは、好ましくは0.8<rを満たすように設定される。
【0076】
また、本実施形態において、制御装置9は、検出手段の検出結果に基づき、余剰材料の吸引が完了したかを判断する。具体的には、吸引ノズル79による被吸引物中の材料粉体の割合が凡そ0となった時点で、造形テーブル4上の余剰材料が全て吸引されたと判断する。吸引完了後、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して吸引ノズル79を作業扉からチャンバ1外へ移動して収納部に収納する。これにより、吸引工程S5が終了する。
【0077】
なお、余剰材料の吸引完了の判断方法は、上述の例に限定されるものではない。例えば、カメラ等の撮像装置によりベースプレート83及び造形物Wの画像データを取得し、画像データから余剰材料が残留していないかを確認して、吸引完了を判断してもよい。
【0078】
2.6.取り出し工程S6
吸引工程S5の完了後、取り出し工程S6が実施され、ベースプレート83と、ベースプレート83上に造形された造形物Wとがチャンバ1から取り出される。具体的には、まず、チャック制御部96は、チャック装置5のクランプユニット52を制御して、ボール52dを係止部87bから係脱させ、チャック装置5によるベースプレート83の固定を解除する。次に、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して、ベースプレート83及び造形物Wを、取付プレート84、パレット85、シャフト87、及び外側カバー54と共にチャンバ1から取り出す。
【0079】
チャンバ1から造形物Wを取り出した後、ロボット制御部97は、ロボット6を制御して、造形物Wを上下方向に反転させて余剰材料を落下させたり、反転した造形物Wを仕上げ装置に載置して余剰材料の仕上げ除去を行ってもよい。また、二次加工を行う場合、ロボット制御部97がロボット6を制御して造形物Wを二次加工装置に移動させた後、二次加工工程S7が行われる。その場合、チャック装置5と同様の構成を有する固定装置を二次加工装置に導入することで、ロボット6を制御して、載置工程S1におけるチャック装置5への固定と同様に、ベースプレート83及び造形物Wを取付プレート84及びパレット85を介して当該固定装置に固定して配置することができる。二次加工装置における造形物Wの載置の自動化が可能となるとともに、造形領域Rへの載置時と同等の配置精度が確保され、高精度の二次加工が可能となる。
【0080】
取り出し工程S6の完了後、上述の工程を繰り返すことにより、三次元造形物Wが順次製造される。このような構成では、造形完了後に吸引ノズル79による余剰材料の除去が自動で行われるため、チャンバ1からの造形物Wの取り出しの無人化が可能となる。
【0081】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1:チャンバ、1a:ウィンドウ、2:材料層形成装置、3:照射装置、4:造形テーブル、5:チャック装置、6:ロボット、7:材料回収装置、9:制御装置、10:材料供給ユニット、11:材料タンク、12:メインダクト、13:中間ダクト、13a:中間ダクト出口、14:シャッタ、17:汚染防止装置、17a:筐体、17b:拡散部材、21:ベース、22:リコータヘッド、22a:材料収容部、22b:材料供給口、22c:材料排出口、22fb:ブレード、22rb:ブレード、23:リコータヘッド駆動装置、41:テーブル駆動機構、42:粉体保持壁、51:チャックベース、52:クランプユニット、52a:第1凸部、52b:第2凸部、52c:当接凹部、52d:ボール、52e:挿入孔、53:チャックカバー、54:外側カバー、54a:外側被覆部、54b:上面部、55:内側カバー、55a:内側被覆部、55b:フランジ部、70:材料回収バケット、70a:粉体排出部、70b:粉体排出部、70c:シューターガイド、70d:シューターガイド、70e:シューター、71:材料回収用搬送装置、71a:排気口、71b:吸引口、72:切換弁、73:不純物除去装置、74:吸引装置、75:切換弁、76:材料供給バケット、77:材料乾燥装置、78:材料供給用搬送装置、78a:排気口、79:吸引ノズル、79a:吸引部、79b:開口部、81:材料層、81a:余剰材料層、82:固化層、83:ベースプレート、84:取付プレート、85:パレット、86:位置決めプレート、86a:第1開口部、86b:第2開口部、86c:支え足、86d:取付軸、87:シャフト、87a:チャッキング栓、87b:係止部、87c:凹部、90a:CAD装置、90b:CAM装置、91:数値制御部、91a:記憶部、91b:演算部、91c:メモリ、92:作業扉制御部、93:材料層形成制御部、94:照射制御部、95:テーブル制御部、96:チャック制御部、97:ロボット制御部、98:回収制御部、100:積層造形装置、B:レーザ光、G:間隙、R:造形領域、W:三次元造形物
【要約】
【課題】造形テーブル上の余剰材料をより好適に除去することで、造形物の取り出しの無人化を可能とする積層造形装置、及び三次元造形物の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の積層造形装置において、造形テーブルは、テーブル駆動機構により上下運動可能に構成され、材料層形成装置は、造形領域に載置されたベースプレート上に材料粉体を供給して材料層を形成し、チャック装置は、ベースプレートを造形領域内に着脱自在且つ固定可能に構成され、材料回収装置は、造形テーブル上の余剰材料を吸引可能な吸引ノズルを備え、移動装置は、吸引ノズルを移動可能に構成され、ロボットは、ベースプレート及び造形物をチャンバから取り出し可能に構成され、制御装置は、テーブル駆動機構を制御して造形テーブルを所定の上昇量だけ上昇させることと、吸引ノズルを移動させながら余剰の材料粉体の吸引を行うことと、を交互に繰り返す。
【選択図】図1
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