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特許7414924情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240109BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240109BHJP
   G01P 15/00 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G01P15/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022160123
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2023-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】森屋 和喜
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-124807(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002219(WO,A1)
【文献】特開2000-194973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
G01P15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動手段を特定する特定部と、
前記ユーザ又は前記ユーザの周囲に備えられたセンサを介して、前記特定部により特定された前記移動手段に応じた判断基準で、前記ユーザの異常事態を検知する検知部と、
を有し、
前記検知部は、前記特定部により特定された前記移動手段が既定の移動体である場合、前記移動体に備えられたセンサを介して、前記異常事態を検知する、情報処理装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記移動手段に対して予め定められた前記異常事態であって、誤検知の発生が想定される前記異常事態を検知する感度を、閾値以下とする前記判断基準で、前記異常事態を検知する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記特定部により特定された前記移動手段に対して予め定められた前記異常事態であって、誤検知の発生が想定される前記異常事態を検知する感度を、誤検知の発生が想定されない場合に比べて小さくする前記判断基準で前記異常事態を検知する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記特定部により特定された前記移動手段に対して予め定められた前記異常事態であって、前記ユーザへの重大な被害が想定される前記異常事態を検知する感度を閾値以上とする前記判断基準で、前記異常事態を検知する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記ユーザが備える装置と移動体に備えられた装置との間で通信が行われた場合、前記移動体を前記移動手段として特定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検知部により検知された前記異常事態に対する警告の情報を、既定の出力先に出力する出力制御部を更に有する請求項1乃至の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記警告の情報を、前記検知部により検知された前記異常事態の種類に応じた前記出力先に出力する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
ユーザの移動手段を特定する特定ステップと、
前記ユーザ又は前記ユーザの周囲に備えられたセンサを介して、前記特定ステップで特定された前記移動手段に応じた判断基準で、前記ユーザの異常事態を検知する検知ステップと、
を含み、
前記検知ステップでは、前記特定ステップで特定された前記移動手段が既定の移動体である場合、前記移動体に備えられたセンサを介して、前記異常事態を検知する、情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザの移動手段を特定する特定ステップ、
前記ユーザ又は前記ユーザの周囲に備えられたセンサを介して、前記特定ステップで特定された前記移動手段に応じた判断基準で、前記ユーザの異常事態を検知する検知ステップ、
を実行させ
前記検知ステップでは、前記特定ステップで特定された前記移動手段が既定の移動体である場合、前記移動体に備えられたセンサを介して、前記異常事態を検知する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や農作業場等での作業の自動化・省力化が進み、少ない人員で作業が行えるようになっている。反面、人員が少なくなると、作業員に転倒(何かにつまずいての転倒、体調不良による転倒等)、転落のような異常事態が発生しても他の作業員が気づかない可能性が高くなる。特に転倒・転落による怪我で身動きできない場合や、意識を失ってしまった場合等は深刻な状況に陥る可能性がある。
このような深刻な状況に陥ることを回避するため、センサを利用して転倒等の異常事態を検知する技術が提案されている。特許文献1には、人の所要位置に加速度センサを装着し、センサから得られた加速度が予め設定された基準加速度を超えた場合に転倒を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-252618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異常事態の検知の精度を向上したいという要望がある。そのために、異常事態を漏れなく検出するためにセンサの感度を上げることが考えられるが、感度を上げ過ぎると過検出が発生してしまう。また、ユーザの状況によって、発生しやすい異常事態、発生しにくい異常事態が異なる場合がある。例えば、ユーザが平たい低位置で作業を行っている場合、ユーザの転落は生じる可能性はほとんどない。そのため、ユーザの転落が起こりえない状況においての落下の検知を行うと、誤検知の可能性が増大する。従来技術では、このような状況において、異常事態の検知の精度に限界があった。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、異常事態の検知の精度の向上に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の情報処理装置は、ユーザの移動手段を特定する特定部と、前記ユーザ又は前記ユーザの周囲に備えられたセンサを介して、前記特定部により特定された前記移動手段に応じた判断基準で、前記ユーザの異常事態を検知する検知部と、を有し、前記検知部は、前記特定部により特定された前記移動手段が既定の移動体である場合、前記移動体に備えられたセンサを介して、前記異常事態を検知する。


【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、異常事態の検知の精度の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】検知システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】基準値テーブルの一例を示す図である。
図4】感度テーブルの一例を示す図である。
図5】端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図7】検知処理の一例を示すフローチャートである。
図8】感度テーブルの一例を示す図である。
図9】検知処理の一例を示すフローチャートである。
図10】感度テーブルの一例を示す図である。
図11】検知処理の一例を示すフローチャートである。
図12】基準値テーブルの一例を示す図である。
図13】感度テーブルの一例を示す図である。
図14】検知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の検知システム1のシステム構成の一例を示す図である。検知システム1は、ユーザの異常事態を検知するシステムであり、サーバ装置10と、農場での農作業、工場での作業等の作業を行う一人以上のユーザそれぞれが備える端末装置20と、を備える。サーバ装置10と端末装置20それぞれとは、ネットワーク30を介して接続されている。
サーバ装置10は、各種センサを介して取得された信号に基づいて、ユーザの異常事態を検知するサーバ用コンピュータ、汎用コンピュータ等の情報処理装置である。本実施形態では、サーバ装置10は、異常事態として、転倒、転落、衝撃、横臥不動、疲労、高心拍を検知する。転倒とは、倒れることである。転落とは、高所から落ちることである。衝撃とは、一定以上の加速度がかかることである。横臥不動とは、倒れた状態で動かなくなることである。疲労とは、疲れがたまっていることである。高心拍とは、心拍数が正常よりも高くなることである。
端末装置20は、センサを備え、センサを介して取得した信号を、サーバ装置10に送信するスマートホン、スマートウォッチ等の情報処理装置である。
【0009】
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
サーバ装置10は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信インターフェース(I/F)104を備える。
プロセッサ101は、サーバ装置10を制御する制御装置である。主記憶装置102は、情報の一時的な保存、プログラムの展開等に用いられるRandom Access Memory(RAM)等の記憶装置である。補助記憶装置103は、図3で後述する基準値テーブル301、図4で後述する感度テーブル401等の各種情報、各種プログラムを記憶するハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置である。通信I/F104は、端末装置20等の外部の装置とのネットワーク30を介した通信に用いられるインターフェースである。
【0010】
図3を用いて、基準値テーブル301について説明する。
基準値テーブル301は、異常事態と、異常事態の判断に用いられる指標及び基準値と、の対応を示す。この基準値は、対応する指標がどのような値になれば異常事態であると判断できるかを示す値である。本実施形態では、サーバ装置10は、異常事態に対応する指標の値が基準値以上となると、異常事態を検知する。
【0011】
基準値テーブル301は、異常事態を示す「異常事態」と、対応する異常事態の判断に用いられる指標、基準値を示す「指標」及び、「基準値」と、の項目を含む。
本実施形態では、基準値テーブル301は、転倒、転落、衝撃、横臥不動、疲労、高心拍のそれぞれの異常事態に対応する指標と基準値とを含む。
【0012】
本実施形態では、転倒の検知に用いられる指標は、既定期間(例えば、1秒間、2秒間等)における垂直方向、及び、水平方向のユーザにかかる加速度の変化値である。また、転落の検知に用いられる指標は、既定期間における垂直方向のユーザにかかる加速度の変化値である。また、衝撃の検知に用いられる指標は、既定期間におけるユーザに備えられた加速度センサで検知可能な3軸の加速度の合成ベクトルのスカラー値である。また、横臥不動の検知に用いられる指標は、ユーザが既定の姿勢(倒れた姿勢、机・ハンドル等に突っ伏した姿勢、安全帯でぶら下がった姿勢等)をとることにより端末装置20の傾きが既定の範囲内の値になり、且つ、ユーザの動きが停止してからの経過期間である。本実施形態では、この既定の範囲は、ユーザが横臥した際に、端末装置20がとりうる傾斜の範囲として予め定められた範囲である。ただし、この範囲は、ユーザからの指定等に応じて任意の範囲に調整されてもよい。また、疲労の検知に用いられる指標は、作業の継続期間である。なお、本実施形態では、疲労の検知に用いられる基準値は、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)の値(WBGT値)に応じて複数定められている。高心拍の検知に用いられる指標は、ユーザの心拍数である。なお、各指標は、端末装置20により取得され、サーバ装置10に送信される。本処理については、後述する。
【0013】
図4を用いて、感度テーブル401について説明する。
感度テーブル401は、ユーザの行っている作業の項目(以下では、作業項目)と、各異常事態の検知の感度と、の対応を示す。ここで、検知の感度とは、検知対象の異常事態の検知しやすさを示す尺度であり、高いほど検知しやすいことを示す。本実施形態では、検知の感度は、ランク付けされた複数の値(本実施形態では、高い順に「標準」、「やや弱」、「弱」、「OFF」の4つの値)の何れかの値をとる。感度の高さは、「標準」、「やや弱」、「弱」、「OFF」のうち、最も感度が高いのは、「標準」であり、次に高いのは、「やや弱」であり、次に高いのは、「弱」であり、最も低いのは、「OFF」である。また、感度「OFF」は、検知を行わないことを示す。
【0014】
本実施形態では、サーバ装置10は、端末装置20を備えるユーザの異常事態を、感度テーブル401に記憶された、ユーザが行っている作業の作業項目に応じた感度で検知する。サーバ装置10は、異常事態の検知の際に、検知の感度が「やや弱」、「弱」の何れかである場合、異常事態の判断に用いられる基準値の値を検知の感度に応じた係数を乗じて補正し、異常事態の判断に用いられる指標の値が補正後の基準値以上であれば、異常事態を検知する。この係数は、1より大きい値であり、対応する感度が小さいほど大きな値となる。例えば、「やや弱」に対して1.2、「弱」に対して、1.5の係数が設定されているものとする。これにより、検知の感度「標準」では異常事態と判断されるような指標の値(センサ値)が検出された場合に、「弱」では基準値を超えないために異常事態と判断されることがなく、過度に異常と判断されるのを防ぐことができる。本実施形態では、検知の感度が低いことは、この基準値が高いことを意味し、検知の感度が高いとは、基準値が低いことを意味する。
このように、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目に応じた判断基準で、ユーザの異常事態を検知する。ここで、判断基準とは、どのように異常事態を検知するかを示す基準であり、本実施形態では、どのような指標の値がどのような基準値を超えたら異常事態であるかを示す基準である。
【0015】
本実施形態では、作業において誤検知が想定される異常事態として予め定められた異常事態についての検知の感度を既定の閾値(例えば、「やや弱」、「弱」等)以下とするように、検知の感度が予め定められている。
例えば、高所作業(地上から既定の高さ(例えば、5m等)以上の高さの位置での作業)、脚立等を用いた昇降を伴う作業(収穫作業、除草作業等の農作業等)、山間斜面での作業(農作業等)等の転落の可能性がある作業以外の作業項目については、ユーザが転落する可能性はほとんどない。そのため、このような作業項目については、転落が検知されると誤検知であることが想定される。そこで、本実施形態では、このような作業項目についての転落の検知の感度は、既定の値(本実施形態では、「弱」)以下と定められている。図4の例では、有毒ガスが発生しうる場所での作業(有毒ガス地帯作業)、事務作業、クレーン操作作業、車両での移動作業、ハンマーを用いた作業(ハンマー作業)、については、転落の誤検知が想定されるとして、転落の検知の感度が「弱」以下に定められている。
【0016】
また、作業において異常事態と混同しうる事態が発生しやすい場合、異常事態の誤検知が想定される。そこで、本実施形態では、このような異常事態の検知の感度を既定の閾値(例えば、「やや弱」、「弱」等)以下とするように、検知の感度が予め定められている。
ハンマーを用いた作業、農具を用いた作業、車両での移動作業等の作業において、ハンマー・農具の使用、車両の発進・停止等の際にユーザに加速度がかかる。この加速度は、ユーザにかかる衝撃と混同しうる。そのため、衝撃が誤検知されることが想定される。そこで、本実施形態では、ハンマー・農具を用いた作業、車両での移動作業等のユーザに一定以上の加速度がかかる事態が生じうる作業項目について、衝撃の検知の感度は、既定の閾値以下に定められている。図4の例では、車両での移動作業、ハンマー作業、収穫作業、除草作業については、衝撃の検知の感度が「弱」以下と定められている。
【0017】
また、本実施形態では、作業においてユーザへの重大な被害が想定される異常事態として予め定められた異常事態についての検知の感度を既定の閾値(例えば、「弱」、「標準」等)以上とするように、検知の感度が予め定められている。転落は、ユーザへの被害が重大となる傾向があるため、未検知を極力防ぐことが要望される。図4の例では、高所作業、脚立等を用いた昇降を伴う作業、山間斜面での作業等の転落の可能性がある作業項目については、検知の感度が「標準」以上に定められている。
【0018】
プロセッサ101は、ユーザによるサーバ装置10の入力装置の操作に基づいて、作業項目毎に各異常事態の検知の感度の変更の指示を受け付けた場合、作業項目毎に、各異常事態の検知の感度を変更するよう、感度テーブル401を更新する。また、プロセッサ101は、端末装置20から感度テーブル401の内容の変更の指示を受け付けてもよい。
このように更新された感度テーブル401を用いることで、サーバ装置10は、ユーザが想定する判断基準での異常事態の検知ができる。
【0019】
図5は、端末装置20それぞれのハードウェア構成の一例を示す図である。
端末装置20は、プロセッサ201、主記憶装置202、補助記憶装置203、センサ204、近距離無線通信I/F205、UI部206、通信I/F207を備える。
プロセッサ201は、端末装置20を制御する制御装置である。主記憶装置202は、情報の一時的な保存、プログラムの展開等に用いられるRAM等の記憶装置である。補助記憶装置203は、各種情報、各種プログラムを記憶するHDD、SSD等の記憶装置である。センサ204は、既定の情報を検知するセンサである。センサ204は、本実施形態では、互いに直行する3軸方向の加速度を検知する加速度センサ、端末装置20の傾きを検知する傾斜センサ、カメラ、ユーザの心拍数を検知する心拍センサ、GNSS信号を受信し位置を検知する位置センサ、高度計を含む。近距離無線通信I/F205は、ユーザが作業を行う環境に備えられた環境センサ(湿球温度、黒球温度、乾球温度等を検知するセンサ)、位置の情報を示す信号を送信するビーコン等との近距離無線通信に用いられるインターフェースである。以下では、ビーコンが送信する位置の情報を示す信号を、ビーコン信号とする。プロセッサ201は、近距離無線通信I/F205を介して、環境センサからユーザが作業を行う環境における湿球温度、黒球温度、乾球温度を取得する。UI部206は、ユーザからの情報の入力に用いられるタッチパネル、ハードボタン、マイク等の入力部と、ユーザへの情報の提示に用いられるモニタ、スピーカ等の出力部と、を備える。通信I/F207は、サーバ装置10等の外部の装置とのネットワーク30を介した通信等に用いられるインターフェースである。
なお、本実施形態では、端末装置20は、心拍センサを備え、ユーザの心拍数を検知するとするが、他の例として、端末装置20は、他の方法で、ユーザの心拍数を取得してもよい。例えば、端末装置20のプロセッサ201は、心拍センサを備える外部の装置(例えば、スマートウォッチ等)により検知されたユーザの心拍数を、近距離無線通信I/F205を介して、この外部の装置から取得するとしてもよい。
【0020】
図6を用いて、サーバ装置10の機能構成について説明する。
サーバ装置10のプロセッサ101は、補助記憶装置103等に記憶されたプログラムを実行することで、特定部601、検知部602、出力制御部603として機能する。以下で特定部601、検知部602、出力制御部603を主体として説明する処理については、実際には、プロセッサ101が主体の処理となる。
特定部601は、端末装置20を備えるユーザの行っている作業の作業項目を特定する。検知部602は、端末装置20のセンサ204、外部のセンサ(環境センサ等)のうちの少なくとも1つを介して、特定部601により特定された作業項目に応じた判断基準で、ユーザの異常事態を検知する。出力制御部603は、検知部602により検知された異常事態に対する警告情報を出力する。
【0021】
図7を用いて、サーバ装置10が実行する端末装置20を備えるユーザの異常事態の検知処理を説明する。プロセッサ101は、端末装置20からユーザの異常事態の検知処理の開始の指示を受け付けた場合、図7の処理を開始する。端末装置20のプロセッサ201は、UI部206を介して、ユーザから異常事態の検知処理の開始の指示を受け付けると、異常事態の検知処理の開始の指示をサーバ装置10に送信する。また、プロセッサ201は、異常事態の検知処理の開始の指示を送信すると、周期的に、センサ204を介して端末装置20(ユーザ)にかかる加速度、端末装置20の傾斜、ユーザの心拍数を検知し、検知したこれらの情報をサーバ装置10に送信する。ただし、プロセッサ201は、センサ204に対して、指定した閾値を超えた時だけ検知した信号の値を送るように指示することとしてもよい。その場合、センサ204は、指定された閾値を超えた信号が検知された場合にプロセッサ201に検知した信号を送信する。また、プロセッサ201は、異常事態の検知処理の開始の指示を送信すると、周期的に、近距離無線通信I/F205を介して、ユーザが作業を行う環境に備えられた環境センサ、ビーコンから検知された信号を取得する。そして、プロセッサ201は、環境センサ、ビーコンから取得した信号を周期的にサーバ装置10に送信する。
【0022】
ステップS100において、特定部601は、端末装置20を備えるユーザの行っている作業の作業項目を特定する。本実施形態では、特定部601は、端末装置20の位置(ユーザの位置)に基づいて、ユーザの行っている作業の作業項目を特定する。より具体的には、特定部601は、端末装置20に対して、端末装置20の位置を問い合わせる。問い合わせに応じて、端末装置20のプロセッサ201は、センサ204に含まれる位置センサ、及び、高度計を介して端末装置20の位置(緯度、経度、高度)を特定する。ただし、プロセッサ201は、他の方法で端末装置20の位置を特定してもよい。例えば、端末装置20の周囲に、端末装置20が存在する位置の情報を示すビーコン信号を送信する装置が存在する場合、プロセッサ201は、このビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号から位置を特定してもよい。プロセッサ201は、特定した位置をサーバ装置10に送信する。特定部601は、予め補助記憶装置103に記憶された位置と作業項目との対応情報から、端末装置20から送信された位置に対応する作業項目を取得し、取得した作業項目をユーザの作業の作業項目として特定する。
特定部601は、ステップS100の処理の完了後に、処理をステップS101に進める。ステップS100の処理は、特定ステップの一例である。
【0023】
ステップS101において、検知部602は、補助記憶装置103に記憶された感度テーブル401から、ステップS100で特定された作業項目に対する各異常事態の検知の感度を特定する。特定部601は、ステップS101の処理の完了後に、処理をステップS102に進める。
【0024】
ステップS102において、検知部602は、検知対象の複数の異常事態(転倒、転落、衝撃、横臥不動、疲労、高心拍)から、1つを選択する。以下では、直前のステップS102で選択された異常事態を選択異常事態とする。特定部601は、ステップS102の処理の完了後に、処理をステップS103に進める。なお、検知部602は、ステップS101で特定された選択異常事態の検知の感度が「OFF」である場合、ステップS102の処理の完了後に、ステップS107に処理を進める。
【0025】
ステップS103において、検知部602は、基準値テーブル301から、選択異常事態に対応する指標を特定する。そして、検知部602は、特定した指標の値を取得する。より具体的には、検知部602は、以下のようにする。
選択異常事態が転倒である場合、検知部602は、端末装置20から受信した端末装置20にかかる加速度の情報に基づいて、既定期間における端末装置20にかかる垂直方向及び水平方向の加速度の変化値を指標の値として取得する。
【0026】
選択異常事態が転落である場合、検知部602は、端末装置20から受信した端末装置20にかかる加速度の情報に基づいて、既定期間における端末装置20にかかる垂直方向の加速度の変換値を指標の値として取得する。
選択異常事態が衝撃である場合、検知部602は、端末装置20から受信した端末装置20にかかる加速度の情報に基づいて、端末装置20にかかる3軸の加速度の合成ベクトルのスカラー値を指標の値として取得する。
【0027】
選択異常事態が横臥不動である場合、検知部602は、端末装置20から受信した端末装置20の傾斜、端末装置20にかかる加速度の情報に基づいて、以下の値を取得する。すなわち、検知部602は、端末装置20の傾斜がユーザの行っている作業の作業項目に応じた既定の範囲内であり、且つ、端末装置20にかかる加速度が0となっている期間を指標の値として取得する。
【0028】
選択異常事態が疲労である場合、検知部602は、端末装置20を備えるユーザの作業継続期間(異常事態の検知処理の開始からの経過期間)を指標の値として取得する。また、検知部602は、端末装置20に対して、ユーザが作業を行う環境の湿球温度・黒球温度・乾球温度を要求する。プロセッサ201は、要求に応じて、近距離無線通信I/F205を介して、環境センサから湿球温度・黒球温度・乾球温度を取得し、サーバ装置10に送信する。検知部602は、受信した湿球温度・黒球温度・乾球温度に基づいて、WBGT値を求める。
【0029】
選択異常事態が高心拍である場合、検知部602は、端末装置20から受信したユーザの心拍数を指標の値として取得する。
特定部601は、ステップS103の処理の完了後に、処理をステップS104に進める。
【0030】
ステップS104において、検知部602は、基準値テーブル301から選択異常事態に対応する基準値を取得する。なお、選択異常事態が疲労である場合、検知部602は、基準値テーブル301から、ステップS103で特定したWBGT値に応じた基準値を取得する。検知部602は、取得した基準値の値を、ステップS101で特定した選択異常事態の検知の感度に応じて補正する。なお、選択異常事態が転倒である場合、検知部602は、2つの基準値それぞれを補正する。
【0031】
より具体的には、検知部602は、選択異常事態の感度が「標準」である場合、基準値の補正を行わない。また、検知部602は、選択異常事態の感度が「やや弱」である場合、基準値を、1より大きい既定の係数を乗じることで補正する。また、検知部602は、選択異常事態の感度が「弱」である場合、基準値を、「やや弱」に対応する係数よりも大きい既定の係数を乗じることで補正する。なお、感度「やや弱」、「弱」それぞれに対応する係数は、検知対象の異常事態毎に異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。特定部601は、ステップS104の処理の完了後に、処理をステップS105に進める。
【0032】
ステップS105において、検知部602は、直前のステップS103で取得した指標の値が、直前のステップS104で感度に応じて補正された基準値以上か否かを判定する。
なお、選択異常事態が転倒である場合、検知部602は、2つの指標の値(垂直方向の加速度の変化値と、水平方向の加速度の変化値)の双方が、対応する基準値以上である場合、指標の値が基準値以上であると判定する。
【0033】
検知部602は、指標の値が基準値以上であると判定した場合、選択異常事態を検知し、処理をステップS106に進める。また、検知部602は、指標の値が基準値未満であると判定した場合、選択異常事態が発生していないとして、処理をステップS107に進める。ステップS105の処理は、検知ステップの一例である。
【0034】
ステップS106において、出力制御部603は、選択異常事態の発生に対しての警告を示す情報を既定の出力先に出力する。本実施形態では、出力制御部603は、ユーザを管理する管理者の備える情報処理装置に選択異常事態に対する警告を示す情報を送信し、この情報をこの情報処理装置の表示部に表示させる。異常事態に対する警告を示す情報は、例えば、異常事態が発生したことを示す情報、異常事態の発生に対しての対処を促す情報等である。
なお、本実施形態では、出力制御部603は、ステップS100で特定された作業項目が「収穫作業」の際には、転落の可能性があることを示すアラート情報を端末装置20に送信し、UI部206に表示させ、ユーザに転落のアラートを提示する。収穫物が高所にある場合、ユーザが足元の注意がおろそかになる可能性があるためである。
出力制御部603は、ステップS106の処理の完了後に、処理をステップS107に進める。
【0035】
ステップS107において、検知部602は、検知対象の複数の異常事態の全てを、ステップS102で選択異常事態として選択したか否かを判定する。検知部602は、検知対象の複数の異常事態の全てを、ステップS102で選択異常事態として選択したと判定した場合、処理をステップS108に進める。検知部602は、検知対象の複数の異常事態の中にステップS102で選択異常事態として選択していない異常事態があると判定した場合、処理をステップS102に進める。
【0036】
ステップS108において、検知部602は、端末装置20から異常事態の検知処理の終了の指示を受け付けたか否かを判定する。検知部602は、端末装置20から異常事態の検知処理の終了の指示を受け付けたと判定した場合、図7の処理を完了する。また、検知部602は、端末装置20から異常事態の検知処理の終了の指示を受け付けていないと判定した場合、検知対象の複数の異常事態について選択異常事態として選択された履歴をクリアして、処理をステップS100に進める。
【0037】
以上、本実施形態の構成により、サーバ装置10は、ユーザの行っている作業の作業項目に応じた判断基準での異常事態の検知を行うことで、異常事態の検知の精度の向上に寄与できる。
また、本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業項目に対して、誤検知が想定される異常事態として予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以下にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の誤検知を低減できる。
また、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目に対して、ユーザの被害が重大となる異常事態として予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以上にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の未検知を低減できる。
【0038】
(第2の実施形態)
本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目でなく、ユーザが行っている作業の負荷(以下では、作業負荷)に応じた判断基準で異常事態を検知する。
以下では、本実施形態の検知システム1について、第1の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態の検知システム1のシステム構成は、第1の実施形態と同様である。また、本実施形態のサーバ装置10、端末装置20のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態のサーバ装置10の機能構成について説明する。
本実施形態のプロセッサ101は、第1の実施形態と同様に、特定部601、検知部602、出力制御部603として機能する。
本実施形態の特定部601は、端末装置20を備えるユーザの行っている作業の作業負荷を特定する。また、検知部602は、端末装置20のセンサ204、外部のセンサ(環境センサ等)のうちの少なくとも1つを介して、特定部601により特定された作業負荷に応じた判断基準でユーザの異常事態を検知する。出力制御部603は、第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態では、サーバ装置10は、感度テーブル401の代わりに感度テーブル801を用いる。感度テーブル801は、予め補助記憶装置103に記憶されている。図8を用いて、本実施形態の感度テーブル801について説明する。
本実施形態の感度テーブル801は、作業負荷と、各異常事態の検知の感度と、の対応を示す。
作業負荷は、大きいほど作業における負荷が大きいことを示す尺度であり、本実施形態では、0以上100以下の値をとる。
本実施形態では、作業負荷の値は、25以下のランク、25より大きく50以下のランク、50より大きく75以下のランク、75より大きく100以下のランクの4つのランクにランク付けされる。
【0041】
本実施形態では、作業負荷の値に対して誤検知が想定される異常事態として、予め定められた異常事態について、検知の感度が閾値以下となるように定められている。
25以下のランク、25より大きく50以下のランクの作業負荷の値に対して、疲労の検知の感度は、「やや弱」以下となるように定められている。これは、負荷が小さい作業ほど、疲労の蓄積が小さいと考えられるためである。
【0042】
また、本実施形態では、作業負荷の値に対してユーザの被害が重大となる異常事態として予め定められた異常事態について、検知の感度が閾値以上となるように定められている。
また、25以下のランク、25より大きく50以下のランクの作業負荷の値に対して、高心拍の検知の感度は、「標準」以上となるように定められている。これは、負荷が小さい作業ほど、心拍数が増大する要因が小さいため、このような状況にも関わらず、心拍数が増大するのは、心臓の異常に起因する可能性が高いためである。ただし、作業負荷が大きい場合に高心拍の危険を回避するため、高心拍の検知の感度は、作業負荷が大きいほど、大きくなるように定められていてもよい。
これにより、検知部602は、作業負荷の値に応じて、「疲労」、「高心拍」の検知の感度を変更できる。本実施形態では、検知部602は、作業負荷の値が大きいほど、「疲労」、「高心拍」の検知の感度を上げることとなる。
なお、検知部602は、「疲労」、「高心拍」以外の異常事態についても、作業負荷の値に応じて、検知の感度を変更してもよい。検知部602は、作業負荷の値が既定の閾値以上である期間が既定の期間閾値以上継続した場合、作業者の体力や判断力の低下により、労災発生リスクが高まるとして、「疲労」、「高心拍」以外の異常事態(例えば、転倒、転落、衝撃、横臥不動等)についても検知の感度を既定の閾値以上に上げてもよい。例えば、検知部602は、転倒、転落、衝撃、横臥不動のうち、検知の感度が標準未満であるものについて、検知の感度を標準に上げてもよい。
【0043】
図9を用いて、本実施形態の異常事態の検知処理を説明する。以下では、図9の処理のうち、図7の処理と異なる点を説明する。
図9の処理は、図7の処理と比べて、ステップS100、ステップS101の処理の代わりに、ステップS200、ステップS201の処理を含む点、で異なる。
ステップS200において、特定部601は、端末装置20から取得した直前の既定期間におけるユーザの心拍数に基づいて、ユーザが行っている作業の作業負荷を特定する。なお、この既定期間内に、ユーザの休憩期間が含まれる場合、特定部601は、休憩期間以降の期間におけるユーザの心拍数に基づいて、作業負荷を特定する。本実施形態では、特定部601は、既定期間(又は、休憩期間後の期間)内における一定の区間(例えば、既定の秒数の区間等)毎のユーザの平均心拍数を求める。そして、特定部601は、区間毎に、平均心拍数が既定の閾値以上であるか否かを判定する。特定部601は、平均心拍数が既定の閾値以上である区間の個数に既定の係数を乗じることで、作業負荷を特定する。
特定部601は、ステップS200の処理の完了後に、処理をステップS201に進める。
【0044】
ステップS201において、検知部602は、作業負荷と異常事態の検知の感度との対応を示す感度テーブル801から、ステップS200で特定した作業負荷に対応する各異常事態の検知の感度を特定する。
【0045】
以上、本実施形態の構成により、サーバ装置10は、ユーザの行っている作業の作業負荷に応じた判断基準での異常事態の検知を行うことで、異常事態の検知の精度の向上に寄与できる。
また、本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業負荷に対して、誤検知が想定される異常事態として予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以下にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の誤検知を低減できる。
また、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業負荷に対して、ユーザの被害が重大となる異常事態として予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以上にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の未検知を低減できる。
【0046】
(第3の実施形態)
本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目、及び、ユーザが行っている作業の作業負荷に応じた判断基準で異常事態を検知する。
以下では、本実施形態の検知システム1について、第1の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態の検知システム1のシステム構成は、第1の実施形態と同様である。また、本実施形態のサーバ装置10、端末装置20のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
本実施形態のサーバ装置10の機能構成について説明する。
本実施形態のプロセッサ101は、第1の実施形態と同様に、特定部601、検知部602、出力制御部603として機能する。
本実施形態の特定部601は、端末装置20を備えるユーザの行っている作業の作業項目及び作業負荷を特定する。また、検知部602は、特定部601により特定された作業項目及び作業負荷に応じた判断基準でユーザの異常事態を検知する。出力制御部603は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態では、サーバ装置10は、感度テーブル401の代わりに感度テーブル1001、1002を用いる。感度テーブル1001、1002は、予め補助記憶装置103に記憶されている。図10を用いて、本実施形態の感度テーブル1001、1002を説明する。
本実施形態の感度テーブル1001は、作業項目と転倒・転落・衝撃・横臥不動の検知の感度との対応を示すテーブルである。また、感度テーブル1002は、作業負荷と疲労・高心拍の検知の感度との対応を示すテーブルである。
【0049】
図11を用いて、本実施形態の異常事態の検知処理を説明する。以下では、図11の処理のうち、図7の処理と異なる点を説明する。
図11の処理は、図7の処理と比べて、ステップS100、ステップS101処理の代わりに、ステップS300、ステップS301の処理を含む点、で異なる。
ステップS300において、特定部601は、第1の実施形態と同様の処理でユーザが行う作業の作業項目を特定する。また、特定部601は、第2の実施形態と同様の処理でユーザが行う作業の作業負荷を特定する。
【0050】
ステップS301において、検知部602は、感度テーブル1001、1002から、ステップS100で特定した作業項目及び作業負荷に対応する各異常事態の検知の感度を特定する。
【0051】
以上、本実施形態の構成により、サーバ装置10は、ユーザの行っている作業の作業項目及び作業負荷に応じた判断基準での異常事態の検知を行うことで、異常事態の検知の精度の向上に寄与できる。
【0052】
(第4の実施形態)
本実施形態では、サーバ装置10は、ユーザの移動手段に応じた判断基準で異常事態を検知する。
以下では、本実施形態の検知システム1について、第1の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態の検知システム1のシステム構成は、第1の実施形態と同様である。また、本実施形態のサーバ装置10、端末装置20のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、検知対象の異常事態は、転倒、転落、衝撃、横臥不動、疲労、高心拍の他に、移動体傾斜を含む。移動体傾斜は、ユーザの利用している移動体(自転車、自動車、フォークリフト、重機等)が一定以上に傾き、転倒の可能性がある異常事態である。本実施形態では、ユーザが利用しうる移動体には、傾斜センサと加速度センサと内部カメラとが備えられている。
【0053】
本実施形態では、サーバ装置10は、基準値テーブル301の代わりに基準値テーブル1201を用いる。基準値テーブル1201は、予め補助記憶装置103に記憶されている。図12を用いて、本実施形態の基準値テーブル1201について説明する。
図12の例では、基準値テーブル1201は、図3の例における各種情報に加えて、車体転倒の異常事態についての指標及び基準値の情報を含む。移動体傾斜の検知に用いられる指標は、移動体に備えられた傾斜センサにより検出される移動体の傾斜である。
【0054】
また、本実施形態では、サーバ装置10は、感度テーブル401の代わりに感度テーブル1301を用いる。感度テーブル1301は、予め補助記憶装置103に記憶されている。図13を用いて、本実施形態の感度テーブル1301について説明する。本実施形態の感度テーブル1301は、ユーザがとりうる移動手段と、各異常事態の検知の感度と、の対応を示す。本実施形態では、ユーザがとりうる移動手段は、徒歩、自転車、乗用カート、自動車、バイク、トラック、ショベルカー、トラクター、トーピードカーであるとするが、他の例として、これらのうちの一部を含まなくてもよいし、フォークリフト等の他の移動手段を含んでもよい。
【0055】
本実施形態では、作業において誤検知の発生が想定される異常事態として予め定められた異常事態についての検知の感度を既定の閾値(例えば、「やや弱」、「弱」等)以下とするように、検知の感度が予め定められている。
例えば、ユーザの移動手段が徒歩、自転車以外である場合、ユーザが転倒、転落することは想定されない。そのため、ユーザの移動手段が徒歩、自転車以外である場合、転倒、転落が検知されると誤検知であることが想定される。そこで、本実施形態では、徒歩、自転車以外の移動手段についての転倒、転落の検知の感度は、既定の値(本実施形態では、「弱」)以下と定められている。図13の例では、乗用カート、自動車、バイク、トラック、ショベルカー、トラクター、トーピードカーについては、転倒、転落の誤検知が想定されないとして、転倒、転落の検知の感度が「弱」以下に定められている。
【0056】
また、作業において異常事態と混同しうる事態が発生しやすい場合、異常事態の誤検知が想定される。そこで、本実施形態では、このような異常事態の検知の感度を既定の閾値(例えば、「やや弱」、「弱」等)以下とするように、検知の感度が予め定められている。
何等かの移動体に乗っている場合、発進・停止等の際にユーザに加速度がかかる。この加速度は、ユーザにかかる衝撃と混同しうる。そのため、衝撃が誤検知されることが想定される。そこで、本実施形態では、徒歩以外の移動手段について、衝撃の検知の感度は、既定の閾値以下に定められている。図13例では、自転車、乗用カート、自動車、バイク、トラック、ショベルカー、トラクター、トーピードカーについては、衝撃の検知の感度が「やや弱」以下と定められている。
【0057】
また、本実施形態では、作業においてユーザへの重大な被害が想定される異常事態として予め定められた異常事態についての検知の感度を既定の閾値以上とするように、検知の感度が予め定められている。ユーザが自動車等の移動体に乗っている場合、横臥不動の状態となると、移動体が意図しない動きをして事故につながり、ユーザへの被害が重大となることが想定される。そのため、このような移動体にユーザが乗っている場合、横臥不動の未検知を極力防ぐことが要望される。図13の例では、乗用カート、自動車、バイク、トラック、ショベルカー、トラクター、トーピードカーについては、横臥不動の検知の感度が「標準」以上と定められている。
【0058】
本実施形態のサーバ装置10の機能構成について説明する。
本実施形態のプロセッサ101は、第1の実施形態と同様に、特定部601、検知部602、出力制御部603として機能する。
本実施形態の特定部601は、端末装置20を備えるユーザの移動手段を特定する。また、検知部602は、センサ204、外部のセンサの少なくとも1つを介して、特定部601により特定された作業負荷に応じた判断基準でユーザの異常事態を検知する。出力制御部603は、第1の実施形態と同様である。
図14を用いて、本実施形態の異常事態の検知処理を説明する。以下では、図14の処理のうち、図7の処理と異なる点を説明する。
図14の処理は、図7の処理と比べて、ステップS100、ステップS101の処理の代わりに、ステップS400、ステップS401の処理を含む点、で異なる。
【0059】
ステップS400において、特定部601は、ユーザの移動手段を特定する。本実施形態では、特定部601は、ユーザの備える端末装置20と移動体に備えられた通信装置との間で通信(双方向通信、又は、単方向通信)が行われた場合、この移動体をユーザの移動手段として特定する。より具体的には、特定部601は、以下のようにする。
本実施形態では、ユーザが乗りうる移動体それぞれには、移動体の近傍で受信可能な既定のビーコン信号を発する通信装置が備えられている。端末装置20のプロセッサ201は、近距離無線通信I/F205を介して、移動体に備えられた通信装置からのビーコン信号を受信した場合、受信したビーコン信号をサーバ装置10に送信する。特定部601は、ビーコン信号を受信すると、受信したビーコン信号に基づいて、このビーコン信号を発信した通信装置が備えられた移動体を特定し、特定した移動体をユーザの移動手段として特定する。また、特定部601は、何れのビーコン信号も受信しなかった場合、ユーザの移動手段として徒歩を特定する。
【0060】
なお、特定部601は、ユーザの移動手段として既定の移動体を特定した場合、特定した移動体に備えられた傾斜センサ及び、加速度センサを介して検出された傾斜及び加速度の情報と、移動体の内部カメラにより撮影された画像と、を周期的に取得する。
特定部601は、ステップS400の処理の完了後に、処理をステップS401に進める。
【0061】
ステップS401において、検知部602は、感度テーブル1301から、直前のステップS400で特定した移動手段に対応する各異常事態の検知の感度を特定する。
なお、本実施形態のステップS103では、検知部602は、ユーザの移動手段が既定の移動体である場合、移動体に備えられた加速度センサを介して検出された加速度の値に基づいて、異常事態:衝撃の指標(加速度センサで検知可能な3軸の加速度の合成ベクトルのスカラー値)の値を取得する。ただし、検知部602は、ユーザの移動手段が既定の移動体である場合であっても、端末装置20の加速度センサを介して検出された加速度の値に基づいて、異常事態:衝撃の指標の値を取得してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、検知部602は、ユーザの移動手段が既定の移動体である場合、移動体に備えられたセンサを介して検出された信号に基づいて異常事態の検知を行う。本実施形態では、検知部602は、ステップS103で、傾斜センサを介して検出された傾斜の値に基づいて、異常事態:移動体傾斜の指標の値を取得し、取得した値に基づいて移動体傾斜を検知する。
また、検知部602は、ステップS103で、ユーザの移動手段が既定の移動体である場合、異常事態:横臥不動の指標の値を、以下のように取得する。検知部602は、移動体の内部カメラにより時系列に沿って連続して撮影された画像に基づいて、以下の値を取得する。すなわち、検知部602は、ユーザが既定の運転姿勢(ハンドルを持って前方を見ている姿勢)と異なる姿勢(例えば、ハンドルから手を放している姿勢、ハンドルに突っ伏している姿勢等)をとったまま動かずに経過した期間を取得する。そして、検知部602は、取得した期間の値に用いて、横臥不動を検知する。
【0063】
また、本実施形態のステップS106では、出力制御部603は、移動手段が既定の移動体であり、且つ、選択異常事態が衝撃である場合、衝撃に対する警告として、急ブレーキに対する警告を示す情報を出力する。
【0064】
また、本実施形態では、検知部602は、移動体の内部カメラの画像に基づいて、ユーザの危険運転を検知する。検知部602は、ユーザが既定の運転姿勢と異なる姿勢を既定の期間(例えば、3秒、5秒等)継続した場合、既定の出力先(例えば、端末装置20、移動体の表示部、サーバ装置10、管理者の情報処理装置等)に危険運転への警告を示す情報を出力する。また、検知部602は、危険運転の状態の画像を補助記憶装置103に記憶する。これにより、サーバ装置10は、危険運転の際の状況の解析に寄与できる。
【0065】
以上、本実施形態の構成により、サーバ装置10は、ユーザの移動手段に応じた判断基準での異常事態の検知を行うことで、ユーザが異なる移動手段を用いている状況に応じた異常事態の検知を実現でき、異常事態の精度の向上に寄与できる。
また、本実施形態では、サーバ装置10は、誤検知が想定される異常事態として、ユーザの移動手段に対し予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以下にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の誤検知を低減できる。
また、サーバ装置10は、ユーザの被害が重大となる異常事態として、ユーザの移動手段に対し予め定められた異常事態について、検知の感度を既定の値以上にする。これにより、サーバ装置10は、この異常事態の未検知を低減できる。
【0066】
また、本実施形態では、検知部602は、移動手段が既定の移動体である場合、移動体の内部カメラにより撮影された画像を基に、横臥不動の指標の値を取得するとした。画像によりユーザの動きがない期間が、より精度よく求まる。結果として、検知部602は、より精度よくユーザの横臥不動を検知できる。
【0067】
(付記)
上述の各実施形態では、サーバ装置10は、異常事態として、転倒、転落、衝撃、横臥不動、疲労、高心拍を検知するとした。ただし、サーバ装置10は、これらの異常事態の少なくとも一部を検知しないこととしてもよいし、他の異常事態(ガスの漏れ、心拍数の過剰な低下、高ストレス等)を検知してもよい。例えば、センサ204は、ガスを検知するガスセンサを備えてもよい。この場合、端末装置20のプロセッサ201は、ガスの濃度を検知する。そして、プロセッサ101は、端末装置20からガスセンサを介してガスの濃度を取得し、取得した濃度が基準値以上である場合に、ガス漏れを検知してもよい。また、例えば、端末装置20のプロセッサ201は、ガスセンサを備える外部の装置(例えば、ガス検知機等)により検知されたガスの濃度を、近距離無線通信I/F205を介して、この外部の装置から取得し、取得したガスの濃度をサーバ装置10に送信してもよい。
また、例えば、プロセッサ101は、ユーザの心拍数が基準値以上である場合に、高ストレスを検知してもよい。
【0068】
また、上述の各実施形態では、サーバ装置10は、異常事態の検知に用いられる指標として、大きいほど、異常事態の度合いが大きくなる指標を用いることとした。ただし、サーバ装置10は、異常事態の検知に用いられる指標として、小さいほど、異常事態の度合いが大きくなる指標(例えば、上述の各実施形態における指標の逆数、心肺停止等の心拍数が過剰に低下する異常事態を検知する際の心拍数等)を用いてもよい。その場合、検知部602は、ステップS104で、感度に応じて、感度が小さいほど小さくするように、基準値を補正すればよい。そして、検知部602は、ステップS105で、指標の値が基準値以下である場合に、異常事態を検知すればよい。これにより、サーバ装置10は、小さいほど、異常事態の度合いが大きくなる指標を用いた場合でも、感度に応じた異常事態の検知ができる。
【0069】
また、上述の各実施形態では、異常事態:疲労の検知に用いられる指標として、端末装置20を備えるユーザの作業継続期間が用いられるとした。ただし、異常事態:疲労の検知に用いられる指標として、他の指標が用いられるとしてもよい。例えば、異常事態:疲労の検知に用いられる指標として、ユーザのストレス値が用いられるとしてもよい。ここで、ストレス値とは、ストレスを感じていると推定されるほど高くなる指標値である。ストレスを感じる程、交換神経が活性化することがわかっている。
そこで、例えば、検知部602は、ステップS103で、センサ204に含まれる心拍センサにより検知された心拍数から交感神経の活性化している程度を推定し、これをストレス値として取得してもよい。具体的には、検知部602は、まず心拍変動の時系列データから周期構造を抽出するためにパワースペクトル密度を計測する。パワースペクトル密度には、高周波変動成分(HF成分)と、低周波成分(LF成分)と、が含まれる。検知部602は、LF成分の領域(0.05Hzから0.15Hzまで)と、HF成分の領域(0.15Hzから0.40Hzまで)の強度を合計した値をそれぞれ、LF成分の値、HF成分の値として求める。そして、検知部602は、(LF成分の値)/(HF成分の値)をストレス値として求めてもよい。
【0070】
リラックスしている状態、すなわち副交感神経が活性化している場合には、呼吸変動を反映したHF成分と、血圧変動を反映したLF成分と、が現れる。一方で、ストレス状態にある場合、すなわち交感神経が活性化している場合には、LF成分が現れる一方で、HF成分が減少する。このため、ストレスが大きいほど、ストレス値が大きくなる。
【0071】
また、上述の各実施形態では、センサ204は、本実施形態では、3軸方向の加速度を検知する加速度センサ、端末装置20の傾きを検知する傾斜センサ、カメラ、ユーザの心拍を検知する心拍センサ、GNSS信号を受信し位置を検知する位置センサ、高度計を含む。ただし、センサ204は、これらのうちの少なくとも一部を備えないこととしてもよい。例えば、センサ204は、高度計を備えないとしてもよい。この場合、プロセッサ101は、ユーザが作業を行う環境に備えられた高度計から、高度の情報を取得してもよい。
【0072】
また、上述の各実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目、作業負荷、ユーザの移動手段の何れかに対して予め定められた異常事態であって、誤検知が想定される異常事態についての検知の感度を既定の閾値以下とするとした。ただし、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目、作業負荷、ユーザの移動手段の何れかに対して予め定められた異常事態であって、誤検知が想定される異常事態についての検知の感度を、以下のようにしてもよい。すなわち、サーバ装置10は、この異常事態の検知の感度を、この異常事態に誤検知が想定されない場合よりも小さくすることとしてもよい。例えば、サーバ装置10は、転落の誤検知が想定される作業項目:事務作業における転落の検知の感度を、転落の誤検知が想定されない作業項目:高所作業における転落の検知の感度よりも小さくしてもよい。
【0073】
また、上述の各実施形態では、出力制御部603は、検知した異常事態に対する警告の情報を出力するとした。出力制御部603は、検知した異常事態の深刻さの度合いに応じて、警告の情報の表示態様を切り替えてもよい。例えば、出力制御部603は、異常事態に対応する指標の値から基準値を引いた差分の値を、異常事態の深刻さを示す尺度として取得し、取得した尺度に応じて、警告の情報の表示態様を切り替えてもよい。例えば、出力制御部603は、取得した尺度が閾値以上か否かに応じて、出力する警告の情報の内容を切り替えてもよい。例えば、出力制御部603は、取得した尺度が閾値以上であれば、閾値未満である場合よりも深刻な事態であることを示す情報を出力してもよい。また、出力制御部603は、取得した尺度が閾値以上の場合、この尺度が閾値未満の場合と異なる色で警告の情報を表示してもよい。また、出力制御部603は、取得した尺度が閾値以上の場合、この尺度が閾値未満の場合と異なる音声を警告の情報として出力してもよい。また、出力制御部603は、警告を示す情報の出力先から、警告を確認したことを示す応答を受け付けてもよい。また、出力制御部603は、警告を示す情報の出力から既定の期間内に、この応答を受け付けなかった場合、既定の出力先(警察、消防等)に、異常事態に対する警告を示す情報を通知してもよい。これにより、サーバ装置10は、ユーザの安全性を向上できる。
【0074】
また、上述の各実施形態では、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を管理者の備える情報処理装置に出力するとした。ただし、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を他の出力先に出力してもよい。例えば、出力制御部603は、異常事態が生じたユーザを中心に既定の範囲内に存在する他のユーザの端末装置20に、この情報を出力してもよい。また、出力制御部603は、異常事態が発生したユーザの備える端末装置20に対して、この情報を出力してもよい。例えば、出力制御部603は、選択異常事態の発生に対しての警告を示す情報(例えば、異常事態が疲労である場合、休憩をとることを推奨することを示す情報等)をユーザの端末装置20に送信し、UI部206にこの情報を表示させてもよい。
また、出力制御部603は、検知部602により検知された異常事態の種類に応じて、警告を示す情報の出力先を変更してもよい。出力制御部603は、検知部602により検知された異常事態が疲労であれば、ユーザの端末装置20に警告の情報を出力し、検知部602により検知された異常事態が転落であれば、ユーザの周囲に存在する他のユーザの端末装置20、管理者の情報処理装置等に警告の情報を出力してもよい。これにより、サーバ装置10は、それぞれの異常事態の発生に応じた相手に異常事態の警告を提示できる。
また、上述の各実施形態では、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を表示部に表示させることで出力するとした。ただし、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を他の態様で出力してもよい。例えば、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を、スピーカを介して音声出力してもよい。また、出力制御部603は、異常事態に対しての警告を示す情報を、バイブレータ等を振動させることで出力してもよいし、回転灯等のランプを発光させることで出力してもよい。
【0075】
また、上述の各実施形態では、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目及び作業負荷の少なくとも1つと、ユーザの移動手段と、の何れか一方に応じた判断基準でユーザの異常事態を検知するとした。ただし、サーバ装置10は、ユーザが行っている作業の作業項目及び作業負荷の少なくとも1つと、ユーザの移動手段と、の双方に応じた判断基準でユーザの異常事態を検知してもよい。
【0076】
例えば、検知部602は、以下のようにしてもよい。すなわち、検知部602は、第3の実施形態と同様に、各異常事態の検知の感度を求めて、第4の実施形態と同様に、ユーザの移動手段を特定する。そして、検知部602は、特定した移動手段が徒歩、自転車である場合、各異常事態の検知の感度を更新せず、特定した移動手段が車両、作業用車両である場合、既定の異常事態(例えば、転倒、転落等)の感度を既定の閾値以下にするように更新してもよい。また、検知部602は、既定期間毎に、ユーザの移動手段を特定し、特定した移動手段に応じて、異常事態の検知の感度の更新を行ってもよい。
【0077】
また、例えば、検知部602は、以下のようにしてもよい。検知部602は、第4の実施形態と同様に各異常事態の検知の感度を求める。そして、検知部602は、第2の実施形態と同様にユーザが行っている作業の作業負荷を求める。検知部602は、求めた作業負荷が既定の閾値以上であれば、求めた各異常事態の検知の感度をそれぞれ向上させてもよい。
【0078】
また、上述の第1、3の実施形態では、特定部601は、ユーザの位置に基づいて、作業項目を特定するとした。ただし、特定部601は、他の方法で、端末装置20を備えるユーザの行っている作業の作業項目を特定してもよい。
例えば、特定部601は、端末装置20のカメラにより撮影された端末装置20の周囲の画像(例えば、ユーザの画像、ユーザの周囲の環境の画像等)を取得する。特定部601は、端末装置20に端末装置20の周囲の画像を要求することで、端末装置20の周囲の画像を取得する。端末装置20のプロセッサ201は、要求に応じて、センサ204のカメラを介して、端末装置20の周囲の画像を撮影し、撮影した画像をサーバ装置10に送信する。ただし、特定部601は、端末装置20のカメラと異なるカメラにより撮影された端末装置20の周囲の画像を取得してもよい。例えば、特定部601は、端末装置20を備えるユーザに備えられた他のカメラ(ヘルメット装着型のカメラ、ボディカメラ等)で撮影された画像、ユーザの周囲に備えられた固定カメラ等により撮影された画像等を取得してもよい。
【0079】
特定部601は、取得した画像に基づいて、作業項目を特定してもよい。例えば、特定部601は、画像から、特定の作業項目の作業に用いられる道具(農具、工具、機器、車両等)を認識した場合、認識した道具を用いる作業の作業項目を、ユーザが行う作業の作業項目として特定してもよい。
【0080】
また、例えば、特定部601は、ユーザの位置と異なる種類の情報(例えば、処理の際の時期の情報等)を取得し、この種類の情報と作業項目との対応情報から、ユーザの作業の作業項目を特定してもよい。例えば、ユーザが行う作業の作業項目が時期に応じて定められている場合(例えば、夏季:除草作業、秋季:収穫作業等)、特定部601は、処理の時期に応じた作業項目を特定してもよい。
【0081】
また、例えば、ユーザ毎に、作業のスケジュールが定められている場合、特定部601は、以下のようにしてもよい。すなわち、特定部601は、端末装置20からユーザの識別情報を取得し、取得した識別情報のユーザのスケジュールを特定し、処理の時点におけるユーザが行う作業の作業項目を特定してもよい。
また、例えば、特定部601は、端末装置20にユーザが行う作業の作業項目を問い合わせてもよい。プロセッサ201は、問い合わせに応じて、UI部206を介してユーザに作業項目の問い合わせを行う。プロセッサ201は、UI部206を介して、ユーザから作業項目の入力(タッチ入力、音声入力、ジェスチャー入力等)を受け付けたら、入力された作業項目をサーバ装置10に送信する。特定部601は、端末装置20から受信した作業項目をユーザの行う作業の作業項目として特定してもよい。
【0082】
また、例えば、端末装置20のプロセッサ201は、センサ204のカメラを介して、作業に用いる道具に付されたコード情報(2次元コード、バーコード、カメレオンコード、カラービット等)を読み取った場合、読み取ったコードの情報をサーバ装置10に送信してもよい。特定部601は、このコードの情報に基づいて、ユーザが行う作業の作業項目を特定してもよい。例えば、特定部601は、このコードに対応する道具を用いる作業の作業項目を特定してもよい。
また、例えば、端末装置20のプロセッサ201は、通信I/F207を介して、作業に用いる道具に付された近距離通信機器(RFIDチップ、NFCカード等)と通信を行った場合、通信を行った近距離通信機器が付された道具の情報をサーバ装置10に送信してもよい。特定部601は、この道具の情報に基づいて、ユーザが行う作業の作業項目を特定してもよい。例えば、特定部601は、この道具を用いる作業の作業項目を特定してもよい。
【0083】
また、上述の第2、3の実施形態では、特定部601は、ユーザの心拍数に基づいて、ユーザの行っている作業の作業負荷を特定するとした。ただし、特定部601は、他の態様でユーザの行っている作業の作業負荷を特定してもよい。
例えば、特定部601は、ユーザが行っている作業の作業項目を特定する。ここで、補助記憶装置103に、作業項目と、作業の一定期間における作業負荷と、の対応情報が予め記憶されているとする。特定部601は、この対応情報から特定した作業項目に対応する一定期間における作業負荷にユーザが作業を継続している期間を乗じた値を、ユーザが行っている作業の作業負荷として特定してもよい。
【0084】
また、例えば、補助記憶装置103に、既定の種類の情報(例えば、作業の位置、時期、ユーザ識別情報等)と、作業負荷と、の対応情報が予め記憶されているとする。この場合、特定部601は、端末装置20からこの既定の種類の情報を取得し、この対応情報から、取得した情報に対応する作業負荷をユーザが行っている作業の作業負荷として取得してもよい。
また、例えば、ユーザのスケジュールが予め定められており、各作業における作業負荷についても予め定められているとする。この場合、特定部601は、これらの情報に基づいて、ユーザが行っている作業の作業負荷を特定してもよい。
【0085】
また、特定部601は、天候情報(温度、湿度、照度、WBGT値、UV指数、風速等)、環境情報(ガス濃度、放射能、光化学オキシダント濃度等)等に基づいて、作業負荷を補正してもよい。例えば、特定部601は、WBGT値が既定の値以上であれば、作業負荷に、1より大きい既定の係数を乗じて補正してもよい。また、特定部601は、温度が既定の値以下であれば、作業負荷に、1より小さい既定の係数を乗じて補正してもよい。
また、例えば、特定部601は、ユーザが行っている作業の作業負荷の値の指定を受け付けてもよい。例えば、特定部601は、端末装置20から、端末装置20においてユーザにより入力された作業負荷の値を受け付けてもよい。
【0086】
また、上述の第4の実施形態では、移動体にビーコン信号を発信する通信装置が備えられ、特定部601は、端末装置20がこのビーコン信号を受信した場合に、このビーコン信号を発信する通信装置が備えられた移動体を、ユーザの移動手段として特定するとした。ただし、特定部601は、他の態様でユーザの移動手段を特定してもよい。
例えば、各移動体には、ビーコン信号を発信する通信装置と異なる通信装置が備えられてもよい。例えば、各移動体には、RFIDタグ、NFCカード等の通信装置が備えられてもよい。その場合、端末装置20のプロセッサ201は、通信I/F207を介して、これらの通信装置から既定の情報を受信した場合、受信した情報をサーバ装置10に送信する。特定部601は、この情報を受信すると、受信した情報に基づいて、この情報を発信した通信装置が備えられた移動体を特定し、特定した移動体をユーザの移動手段として特定してもよい。
【0087】
また、例えば、端末装置20のプロセッサ201は、センサ204のカメラを介して、移動体に付されたコード情報(2次元コード、バーコード、カメレオンコード、カラービット等)を読み取った場合、読み取ったコードの情報をサーバ装置10に送信してもよい。特定部601は、このコードの情報に基づいて、このコードが付された移動体を特定し、特定した移動体をユーザの移動手段として特定してもよい。
【0088】
また、例えば、特定部601は、端末装置20のカメラ、ユーザに備えられたカメラ、外部の固定カメラ、移動体の内部カメラ等により撮影された端末装置20の周囲の画像に基づいて、ユーザの移動手段を特定してもよい。特定部601は、端末装置20の周囲の画像から、移動体の少なくとも一部(例えば、外観、内部の設備(座席シート、ハンドル等)等)を認識した場合、この移動体をユーザの移動手段として特定してもよい。
【0089】
また、例えば、特定部601は、端末装置20の周囲の音声に基づいて、ユーザの移動手段を特定してもよい。例えば、特定部601は、端末装置20のマイクにより録音された端末装置20の周囲の環境音から、移動体の移動の際に生じる既定の音(エンジン音等)を認識した場合、この移動体をユーザの移動手段として特定してもよい。
【0090】
また、例えば、特定部601は、ユーザの速度に基づいて、ユーザの移動手段を特定してもよい。例えば、特定部601は、端末装置20の位置情報の時系列的な変化から、端末装置20の速度を求め、求めた速度が既定の閾値(例えば、時速30km等)以上である場合、ユーザの移動手段を既定の移動体(例えば、自動車、バイク)として特定してもよい。
【0091】
さらに、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0092】
1…検知システム、10…サーバ装置、20…端末装置、30…ネットワーク、101…プロセッサ、102…主記憶装置、103…補助記憶装置、104通信I/F、201…プロセッサ、202…主記憶装置、203…補助記憶装置、204…センサ、205…近距離無線通信I/F、206…UI部、207…通信I/F、301…基準値テーブル、401…感度テーブル、801…感度テーブル、1001…感度テーブル、1002…感度テーブル、1201…基準値テーブル、1301…感度テーブル
【要約】      (修正有)
【課題】異常事態の検知の精度の向上に寄与する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】サーバ装置10と、農場での農作業、工場での作業等の作業を行う一人以上のユーザ夫々が備える端末装置20とが、ネットワーク30を介して接続されている検知システム1において、異常事態の検知の精度を向上の目的を達成するための情報処理装置であるサーバ装置は、ユーザの移動手段を特定する特定部と、ユーザ又はユーザの周囲に備えられたセンサを介して、特定部により特定された移動手段に応じた判断基準で、ユーザの異常事態を検知する検知部と、を有する。
【選択図】図1
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