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特許7414932重送検出装置、制御方法及び制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】重送検出装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20240109BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240109BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H7/12
H04N1/00 567J
H04N1/12 Z
H04N1/04 106A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022176162
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2018238597の分割
【原出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2023009113
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-063843(JP,A)
【文献】特開2017-108371(JP,A)
【文献】特開2008-252385(JP,A)
【文献】特開2015-226264(JP,A)
【文献】特開2014-060488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G60T 1/00
G60T 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により指定された媒体の形状を受け付ける受付部と、
媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている媒体を透過する超音波に応じた超音波信号を生成する超音波センサと、
前記搬送部によって搬送されている媒体を撮像して画像を生成する撮像部と、
前記撮像部によって生成された画像から、媒体の形状を推定する形状推定部と、
前記超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出する重送検出部と、を有し、
前記重送検出部は、前記受付部により受け付けられた媒体の形状、及び、前記形状推定部により推定された媒体の形状に基づいて、前記閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する、
ことを特徴とする重送検出装置。
【請求項2】
前記形状推定部は、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応するか否かを推定する、請求項1に記載の重送検出装置。
【請求項3】
前記重送検出部は、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応すると推定された場合、重送の検出を停止する、請求項2に記載の重送検出装置。
【請求項4】
前記重送検出部は、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応すると推定された場合、前記閾値を、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応しないと推定された場合の閾値より小さい値に変更する、請求項2に記載の重送検出装置。
【請求項5】
前記撮像部によって生成された画像から、媒体長さを検出する媒体長さ検出部をさらに有し、
前記形状推定部は、前記媒体長さと、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に基づく閾値とを比較することにより、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応するか否かを推定する、請求項2~4の何れか一項に記載の重送検出装置。
【請求項6】
前記撮像部は、前記画像として、ライン画像を順次生成し、
前記順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出する頂点数検出部と、
前記順次生成されたライン画像に含まれる媒体の媒体長さを検出する媒体長さ検出部と、をさらに有し、
前記形状推定部は、前記頂点数と前記媒体長さとに基づいて、前記撮像部によって生成された画像に含まれる媒体の形状が、前記受付部により受け付けられた媒体の形状に対応するか否かを推定する、請求項2~4の何れか一項に記載の重送検出装置。
【請求項7】
媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている媒体を透過する超音波に応じた超音波信号を生成する超音波センサと、前記搬送部によって搬送されている媒体を撮像して画像を生成する撮像部とを有する重送検出装置の制御方法であって、
利用者により指定された媒体の形状を受け付け、
前記撮像部によって生成された画像から、媒体の形状を推定し、
前記超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出することを含み、
前記重送の検出において、前記受け付けられた媒体の形状、及び、前記推定された媒体の形状に基づいて、前記閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている媒体を透過する超音波に応じた超音波信号を生成する超音波センサと、前記搬送部によって搬送されている媒体を撮像して画像を生成する撮像部とを有する重送検出装置の制御プログラムであって、
利用者により指定された媒体の形状を受け付け、
前記撮像部によって生成された画像から、媒体の形状を推定し、
前記超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出することを前記重送検出装置に実行させ、
前記重送の検出において、前記受け付けられた媒体の形状、及び、前記推定された媒体の形状に基づいて、前記閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重送検出装置に関し、特に、超音波を用いて媒体の重送を検出する重送検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿等の媒体を搬送し、搬送した媒体の画像を読み取るスキャナ等の装置は、複数の媒体が重なって搬送される重送が発生したか否かを検出する機能を有している。一般に、スキャナ等の重送検出装置は、超音波を発信する超音波発信部と、受信した超音波に応じた信号を出力する超音波受信部とを備え、媒体が搬送された時に超音波受信部が出力した信号に基づいて重送を検出する。
【0003】
しかしながら、媒体としてプラスチック製のカードが搬送されたときの超音波の受信レベルは、用紙の重送が発生しているときの超音波の受信レベルに近く、そのようなカードが搬送された場合、重送が発生したと誤って判定される可能性がある。
【0004】
媒体の搬送路を挟んで対向するように配置される超音波送信器及び超音波受信器を有する超音波センサの出力に基づいて、搬送路で搬送される媒体の重送の有無を検知する媒体搬送装置が開示されている(特許文献1を参照)。この媒体搬送装置は、搬送路で搬送される第1の媒体と第2の媒体との間の辺の長さの相違に基づき第1の媒体と第2の媒体を判別し、その判別結果にさらに基づいて、媒体の重送の有無を検知する。
【0005】
搬送経路上を搬送される原稿を読み取った画像データに基づいて、原稿の重送を検出する画像読取装置が開示されている(特許文献2を参照)。この画像読取装置は、画像データから原稿長を推定し、原稿先端から原稿長離れた位置にてエッジが検出され、かつ原稿長離れた位置から原稿の搬送間隔より近い範囲で別のエッジが検出された場合に原稿の重送があったと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-63843号公報
【文献】特開2012-253414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
重送検出装置では、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが可能な重送検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る重送検出装置は、媒体を搬送する搬送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、搬送部によって搬送されている媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部と、順次生成されたライン画像毎に各ライン画像内の媒体幅を検出する媒体幅検出部と、各ライン画像内の媒体幅に基づいて、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出する頂点数検出部と、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の媒体幅と直交する方向の媒体長さを検出する媒体長さ検出部と、頂点数と媒体長さとに基づいて、媒体の形状を推定する形状推定部と、超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出する重送検出部と、を有し、重送検出部は、媒体の形状に基づいて、閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する。
【0010】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を搬送する搬送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、搬送部によって搬送されている媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部とを有する重送検出装置の制御方法であって、順次生成されたライン画像毎に各ライン画像内の媒体幅を検出し、各ライン画像内の媒体幅に基づいて、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出し、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の媒体幅と直交する方向の媒体長さを検出し、頂点数と媒体長さとに基づいて、媒体の形状を推定し、超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出することを含み、重送の検出において、媒体の形状に基づいて、閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する。
【0011】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部と、超音波を発信する超音波発信部、及び、超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサと、搬送部によって搬送されている媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部とを有する重送検出装置の制御プログラムであって、順次生成されたライン画像毎に各ライン画像内の媒体幅を検出し、各ライン画像内の媒体幅に基づいて、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出し、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の媒体幅と直交する方向の媒体長さを検出し、頂点数と媒体長さとに基づいて、媒体の形状を推定し、超音波信号を閾値と比較することにより媒体の重送を検出することを重送検出装置に実行させ、重送の検出において、媒体の形状に基づいて、閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重送検出装置は、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る重送検出装置100を示す斜視図である。
図2】重送検出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】重送検出装置100の概略構成を示すブロック図である。
図4】記憶装置130及びCPU140の概略構成を示す図である。
図5】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図6】重送検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】重送検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】重送検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9A】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図9B】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図9C】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図9D】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図9E】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図9F】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図10】媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
図11A】第1閾値について説明するための模式図である。
図11B】第2閾値について説明するための模式図である。
図11C】第3閾値について説明するための模式図である。
図11D】第4閾値について説明するための模式図である。
図12】超音波信号判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図13】超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図14】他の重送検出処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
図15】他の超音波信号判定処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
図16】他の重送検出装置における処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一側面に係る重送検出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、イメージスキャナとして構成された重送検出装置100を示す斜視図である。重送検出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード又はパスポート等である。カードは、例えばプラスチック製の樹脂カードである。特に、カードは、ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)7810で規定されるID(Identification)カードである。なお、カードは、他の種類のカードでもよい。重送検出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
【0016】
重送検出装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0017】
上側筐体102は、重送検出装置100の上面を覆う位置に配置され、下側筐体101に係合している。載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図2は、重送検出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0020】
重送検出装置100内部の搬送経路は、媒体検出センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、超音波発信器114a、超音波受信器114b、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第1撮像装置117a、第2撮像装置117b、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
【0021】
下側筐体101の上面は媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体の搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体の搬送方向A1の下流のことをいう。
【0022】
媒体検出センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体検出センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体検出信号を生成して出力する。
【0023】
超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、それぞれ超音波発信部及び超音波受信部の一例である。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側且つ第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116の上流側、即ち第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bの上流側に設けられる。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器114aは、超音波を出力する。一方、超音波受信器114bは、超音波発信器114aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器114a及び超音波受信器114bを総じて超音波センサ114と称する場合がある。
【0024】
第1撮像装置117aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116によって搬送されている媒体の裏面を撮像する。第1撮像装置117aは、一定間隔毎に、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像したライン画像を順次生成して出力する。即ち、ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
【0025】
同様に、第2撮像装置117bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116によって搬送されている媒体の表面を撮像する。第2撮像装置117bは、一定間隔毎に、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像したライン画像を順次生成して出力する。
【0026】
なお、重送検出装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。以下では、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを総じて撮像装置117と称する場合がある。撮像装置117は、撮像部の一例である。
【0027】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体の搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0028】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ115と第2搬送ローラ116の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。撮像装置117により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ116は、媒体を搬送する搬送部の一例である。
【0029】
図3は、重送検出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
重送検出装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置121、インタフェース装置122、記憶装置130及びCPU(Central Processing Unit)140、処理回路150等をさらに有する。
【0031】
駆動装置121は、1つ又は複数のモータを含み、CPU140からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ115、第2搬送ローラ116、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119を回転させて媒体を搬送させる。
【0032】
インタフェース装置122は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置122の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0033】
記憶装置130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置130には、重送検出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置130にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。
【0034】
CPU140は、予め記憶装置130に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU140に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU140に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0035】
CPU140は、操作装置105、表示装置106、媒体検出センサ111、超音波センサ114、撮像装置117、駆動装置121、インタフェース装置122及び記憶装置130等と接続され、これらの各部を制御する。CPU140は、駆動装置121の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置122を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU140は、超音波センサ114により生成される超音波信号及び撮像装置117により撮像されるライン画像に基づいて、搬送される媒体の重送を検出する。
【0036】
処理回路150は、撮像装置117により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置130に格納する。なお、処理回路150の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0037】
図4は、記憶装置130及びCPU140の概略構成を示す図である。
【0038】
図4に示すように、記憶装置130には、制御プログラム131、画像取得プログラム132、媒体幅検出プログラム133、頂点数検出プログラム134、媒体長さ検出プログラム135、形状推定プログラム136及び重送検出プログラム137等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU140は、記憶装置130に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU140は、制御部141、画像取得部142、媒体幅検出部143、頂点数検出部144、媒体長さ検出部145、形状推定部146及び重送検出部147として機能する。
【0039】
図5は、重送検出装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0040】
以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、重送検出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主にCPU140により重送検出装置100の各要素と協働して実行される。図5に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0041】
最初に、制御部141は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0042】
次に、制御部141は、媒体検出センサ111から受信する媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0043】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部141は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0044】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部141は、駆動装置121を駆動して給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ115、116、118及び119を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS103)。
【0045】
次に、画像取得部142は、搬送された媒体を撮像装置117に撮像させて、ライン画像を取得する(ステップS104)。
【0046】
次に、CPU140は、重送検出処理を実行する(ステップS105)。重送検出処理において、重送検出部147は、超音波センサ114により生成された超音波信号を判定閾値と比較することにより媒体の重送を検出する。また、形状推定部146は、ライン画像に基づいて媒体の形状を推定し、重送検出部147は、媒体の形状に基づいて、判定閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する。重送検出処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、制御部141は、重送検出処理において、重送が検出されたか否か、即ち重送が発生していると判定されたか否かを判定する(ステップS106)。
【0048】
重送が検出された場合、制御部141は、異常処理として、駆動装置121を停止して、媒体の搬送を停止させるとともに、不図示のスピーカ、LED等により、異常が発生したことを利用者に通知し(ステップS107)、一連のステップを終了する。
【0049】
一方、重送が検出されていない場合、画像取得部142は、搬送された媒体の全体が撮像されたか否かを判定する(ステップS108)。画像取得部142は、例えば、撮像装置117の下流側に設けられた不図示の媒体検出センサから出力される媒体検出信号に基づいて、媒体の後端が撮像装置117を通過したか否かを判定することにより、媒体の全体が撮像されたか否かを判定する。なお、画像取得部142は、予め定められた数のライン画像を撮像装置117から取得したときに、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。
【0050】
まだ搬送された媒体の全体が撮像されていない場合、画像取得部142は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S108の処理を繰り返す。
【0051】
一方、搬送された媒体の全体が撮像された場合、画像取得部142は、取得した全てのライン画像を結合することにより、入力画像を生成する(ステップS109)。
【0052】
次に、画像取得部142は、入力画像をインタフェース装置122を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS110)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部142は、入力画像を記憶装置130に記憶しておく。
【0053】
次に、制御部141は、媒体検出センサ111から受信する媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS111)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部141は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S111の処理を繰り返す。
【0054】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部141は、駆動装置121を停止し(ステップS112)、一連のステップを終了する。
【0055】
図6図8は、重送検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0056】
図6図8に示す動作のフローは、図5に示すフローチャートのステップS105において実行される。
【0057】
最初に、媒体幅検出部143は、画像取得部142により取得されたライン画像からエッジ画素を抽出する(ステップS201)。即ち、媒体幅検出部143は、順次生成されたライン画像毎にエッジ画素を抽出する。媒体幅検出部143は、ライン画像内の各画素の水平方向の両隣の画素の輝度値の差の絶対値(以下、隣接差分値と称する)を算出し、隣接差分値が閾値Th1を越える場合、その画素をエッジ画素として抽出する。この閾値Th1は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定することができる。
【0058】
なお、媒体幅検出部143は、ライン画像内の各画素から所定距離だけ離れた二つの画素の輝度値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、媒体幅検出部143は、各画素の輝度値に代えて、各画素の色値(R値、G値又はB値)を用いて隣接差分値を算出してもよい。また、媒体幅検出部143は、ライン画像の輝度値又は色値を閾値と比較することによりエッジ画素を抽出してもよい。例えば、媒体幅検出部143は、特定の画素の輝度値又は色値が閾値未満であり、その特定の画素に隣接する画素又はその特定の画素から所定距離だけ離れた画素の輝度値又は色値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素とする。
【0059】
次に、媒体幅検出部143は、抽出したエッジ画素に基づいて、画像取得部142により取得されたライン画像内の媒体幅を検出し、記憶装置130に記憶する(ステップS202)。即ち、媒体幅検出部143は、順次生成されたライン画像毎に各ライン画像内の媒体幅を検出する。媒体幅検出部143は、ライン画像から抽出したエッジ画素の内、最も左端側に位置するエッジ画素と、最も右端側に位置するエッジ画素とを特定し、特定したエッジ画素の間の距離(画素数)を媒体幅として検出する。
【0060】
次に、形状推定部146は、検出された媒体幅が所定の長さを超えるか否かを判定する(ステップS203)。所定の長さは、例えばISO/IEC7810で規定されるIDカードのサイズに基づいて設定される。ISO/IEC7810で規定されるIDカードは、長辺が85.60mmであり且つ短辺が53.98mmである略矩形形状を有する。なお、IDカードの四つの頂点の角度は直角でなく、丸みを有していてもよい。所定の長さは、例えばこのIDカードの対角線の長さ(101.20mm)にマージンを加えた値(例えば102mm)に相当する画素数に設定される。このIDカードがどのように傾いて搬送されたとしても、撮像装置117の撮像ラインにおいて撮像されるIDカードの幅は、規定された対角線の長さを超えない。
【0061】
そのため、検出された媒体幅が所定の長さを超える場合、即ち媒体幅検出部143がライン画像から所定の長さを超える媒体幅を検出した場合、形状推定部146は、搬送される媒体の形状がカードの形状でないと推定する(ステップS401)。この場合、後述する処理において、頂点数検出部144は、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出しない。そのため、形状推定部146は、媒体の形状をより短時間で推定することができ、重送検出処理の処理負荷を軽減することができる。
【0062】
一方、検出された媒体幅が所定の長さを超えない場合、頂点数検出部144は、媒体の頂点数の検出処理が実行されていないライン画像が新たに所定数取得されたか否かを判定する(ステップS204)。所定数は、媒体幅の副走査方向における変化が良好に検出可能な画素数(例えば3)に設定される。なお、所定数は1でもよい。所定数のライン画像が新たに取得されていない場合、頂点数検出部144は、一連のステップを終了する。即ち、以降のステップS205~S406の処理は、所定数のライン画像が新たに生成されるたびに実行される。
【0063】
一方、所定数のライン画像が新たに取得された場合、頂点数検出部144は、その媒体について現在までに取得した何れかのライン画像において、所定幅以上の媒体幅が検出されているか否かを判定する(ステップS205)。所定幅は、例えば1画素に設定される。ノイズの影響が除去されるように、所定幅は、2画素以上の値に設定されてもよい。
【0064】
所定幅以上の媒体幅がまだ検出されていない場合、頂点数検出部144は、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は0であると判定し(ステップS206)、一連のステップを終了する。
【0065】
一方、所定幅以上の媒体幅が検出されている場合、頂点数検出部144は、各ライン画像内の媒体幅の変化を検出する。頂点数検出部144は、新たに取得した所定数のライン画像の内の最新のライン画像を対象画像として特定し、その所定数のライン画像を取得する直前に取得していたライン画像を基準画像として特定する。なお、頂点数検出部144は、直前までに取得した複数のライン画像内の対応する画素の平均値又は中央値を、各画素の階調値とする画像を基準画像として使用してもよい。これにより、頂点数検出部144は、基準画像の信頼性を向上させることができる。
【0066】
頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大しているか否かを判定する(ステップS207)。なお、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大し且つ対象画像内の媒体幅と基準画像内の媒体幅の差が所定差(例えば3画素)以上である場合に限り、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大していると判定してもよい。
【0067】
対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大している場合、頂点数検出部144は、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は1であると判定し(ステップS208)、処理をステップS301へ移行する。
【0068】
図9A図9F及び図10は、媒体幅の変化と頂点数との関係について説明するための模式図である。
【0069】
図9A図9Fは、傾いて搬送されている矩形形状を有する媒体Mを示す。図9A図9Fに示すように、媒体Mは傾いて搬送される可能性があり、媒体Mが傾いて搬送される場合、媒体Mの各頂点V1~V4は、それぞれ異なるタイミングで撮像装置117の撮像位置を通過する。図10は、媒体Mが搬送中に撮像された複数のライン画像P0~P9を示す。なお、説明を容易にするために、図10には、複数のライン画像P0~P9のみが表示されているが、各ライン画像が撮像される間に多数のライン画像が撮像されている。
【0070】
図9Aは、まだ何れの頂点も撮像位置に到達していない状態の媒体Mを示しており、図10のライン画像P0は、このタイミングで撮像されている。図9Bは、一番目の頂点V1が撮像位置を通過した直後の媒体Mを示しており、図10のライン画像P1は、このタイミングで撮像されている。図9Cは、二番目の頂点V2が撮像位置に到達した状態の媒体Mを示しており、図10のライン画像P3は、このタイミングで撮像されている。図9Dは、三番目の頂点V3が撮像位置に到達した状態の媒体Mを示しており、図10のライン画像P6は、このタイミングで撮像されている。図9Eは、四番目の頂点V4が撮像位置に到達する直前の媒体Mを示しており、図10のライン画像P8は、このタイミングで撮像されている。図9Fは、全ての頂点が撮像位置を通過した状態の媒体Mを示しており、図10のライン画像P9は、このタイミングで撮像されている。
【0071】
図10に示すように、ライン画像P1の直前に撮像されたライン画像から、ライン画像P3の直前に撮像されたライン画像までのライン画像には、1つの頂点V1のみが含まれる。これらのライン画像では、新たに撮像されたライン画像ほど、両端のエッジ画素L及びRの間の距離Dが増大していく。即ち、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大している場合、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は1であると判定することができる。
【0072】
一方、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より増大していない場合、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅と同一であるか否かを判定する(ステップS209)。なお、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅と基準画像内の媒体幅の差が所定差以下である場合、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅と同一であると判定してもよい。
【0073】
対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅と同一である場合、頂点数検出部144は、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は2であると判定し(ステップS210)、処理をステップS301へ移行する。
【0074】
図10に示すように、ライン画像P1の直前に撮像されたライン画像から、ライン画像P6の直前に撮像されたライン画像までのライン画像には、2つの頂点V1、V2が含まれる。そして、ライン画像P3の直後に撮像されたライン画像から、ライン画像P6の直前に撮像されたライン画像までの各ライン画像では、両端のエッジ画素L及びRの間の距離Dが同一である。即ち、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅と同一である場合、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は2であると判定することができる。
【0075】
なお、ライン画像P3では直前に撮像されたライン画像より媒体幅が増大するため、それまでに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は1と判定される。しかし、その次に撮像されたライン画像では直前に撮像されたライン画像P3と媒体幅が同一となり、それまでに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は2と判定される。したがって、頂点数が正しく検出されるタイミングが1ライン画素分だけ遅れるが、各ライン画像が撮像される間隔は十分に短いため、頂点数検出部144は、十分に高い精度で頂点数を検出することができる。
【0076】
一方、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅と同一でない場合、即ち、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より減少している場合、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が0より大きいか否かを判定する(ステップS211)。
【0077】
対象画像内の媒体幅が0より大きい場合、即ち、対象画像内に媒体が存在している場合、頂点数検出部144は、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は3であると判定し(ステップS212)、処理をステップS301へ移行する。
【0078】
図10に示すように、ライン画像P1の直前に撮像されたライン画像から、ライン画像P8までのライン画像には、3つの頂点V1、V2、V3が含まれる。そして、ライン画像P6の直後に撮像されたライン画像からライン画像P8までの各ライン画像では、新たに撮像されたライン画像ほど、両端のエッジ画素L及びRの間の距離Dが減少していき、且つ、媒体が存在している。即ち、頂点数検出部144は、対象画像内の媒体幅が基準画像内の媒体幅より減少し且つ対象画像内に媒体が存在している場合、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は3であると判定することができる。
【0079】
なお、ライン画像P6では直前に撮像されたライン画像と媒体幅が同一であるため、それまでに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は2と判定される。しかし、その次に撮像されたライン画像では直前に撮像されたライン画像P6より媒体幅が減少し、それまでに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は3と判定される。即ち、頂点数が正しく検出されるタイミングが1ライン画素分だけ遅れるが、各ライン画像が撮像される間隔は十分に短いため、頂点数検出部144は、十分に高い精度で頂点数を検出することができる。
【0080】
一方、対象画像内の媒体幅が0である場合、即ち、対象画像内に媒体が存在しない場合、頂点数検出部144は、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は4であると判定し(ステップS213)、処理をステップS301へ移行する。
【0081】
図10に示すように、ライン画像P1の直前に撮像されたライン画像から、ライン画像P8の後に撮像されたライン画像までのライン画像には、4つの頂点V1、V2、V3、V4が含まれる。そして、ライン画像P8の後に撮像されたライン画像には、媒体Mが含まれない。即ち、頂点数検出部144は、対象画像内に媒体が存在しない場合、現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の頂点数は4であると判定することができる。
【0082】
このように、頂点数検出部144は、各ライン画像内の媒体幅に基づいて、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出する。
【0083】
次に、媒体長さ検出部145は、その媒体について現在までに取得したライン画像に含まれる媒体の垂直方向(副走査方向)、即ち媒体幅と直交する方向の媒体長さを検出する(ステップS301)。上記したように、ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1である。媒体長さ検出部145は、その媒体について所定幅以上の媒体幅が最初に検出されたライン画像から、最新のライン画像又は媒体幅が最初に0になったライン画像までの画像数を、ライン画像に含まれる媒体の媒体長さ(垂直方向の画素数)として検出する。このように、媒体長さ検出部145は、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の、媒体幅と直交する方向の媒体長さを検出する。
【0084】
次に、形状推定部146は、媒体長さ検出部145により検出された媒体長さが第1閾値以上であり且つ頂点数検出部144により検出された頂点数が2未満であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0085】
図11Aは、第1閾値について説明するための模式図である。
【0086】
図11Aに示すように、第1閾値は、例えばISO/IEC7810で規定されるIDカードCの対角線Xと、その対角線Xに含まれない頂点との間の距離T1(45.66mm)にマージンを加えた値(例えば46mm)に相当する画素数に設定される。なお、距離T1は、IDカードCの長辺をW(85.60mm)、短辺をH(53.98mm)として、以下の関係式(1)、(2)を解くことにより算出される。
2+W2=X2 (1)
H×W=X×T1 (2)
【0087】
次に、形状推定部146は、媒体長さが第1閾値以上であり且つ頂点数が2未満である場合、媒体の形状がカードの形状でないと推定する(ステップS401)。
【0088】
IDカードCが搬送される場合、IDカードCがどのように傾いていても、頂点V1が撮像位置を通過してからさらに距離T1だけ搬送されたときには、頂点V1と辺を共有する頂点V2又は頂点V3の少なくとも一方は、必ず撮像位置を通過する。そのため、形状推定部146は、媒体長さ検出部145により検出された媒体長さが第1閾値以上であり且つ頂点数検出部144により検出された頂点数が2未満である場合、その媒体はカードより大きい媒体であると判定することができる。
【0089】
一方、形状推定部146は、媒体長さが第1閾値未満である場合又は頂点数が2以上である場合、媒体長さが第2閾値以上であり且つ頂点数が3未満であるか否かを判定する(ステップS303)。
【0090】
図11Bは、第2閾値について説明するための模式図である。
【0091】
図11Bに示すように、第2閾値は、例えばISO/IEC7810で規定されるIDカードCの長辺Wの長さT2(85.60mm)にマージンを加えた値(例えば86mm)に相当する画素数に設定される。
【0092】
次に、形状推定部146は、媒体長さが第2閾値以上であり且つ頂点数が3未満である場合、媒体の形状がカードの形状でないと推定する(ステップS401)。
【0093】
IDカードCが搬送される場合、IDカードCがどのように搬送されても、頂点V1が撮像位置を通過してからさらに距離T2だけ搬送されたときには、頂点V1と辺を共有する頂点V2及び頂点V3の両方が、必ず撮像位置を通過する。そのため、形状推定部146は、媒体長さ検出部145により検出された媒体長さが第2閾値以上であり且つ頂点数検出部144により検出された頂点数が3未満である場合、その媒体はカードより大きい媒体であると判定することができる。
【0094】
一方、形状推定部146は、媒体長さが第2閾値未満である場合又は頂点数が3以上である場合、媒体長さが第3閾値以上であり且つ頂点数が4未満であるか否かを判定する(ステップS304)。
【0095】
図11Cは、第3閾値について説明するための模式図である。
【0096】
図11Cに示すように、第3閾値は、例えばISO/IEC7810で規定されるIDカードCの対角線Xの長さT3(101.20mm)にマージンを加えた値(例えば102mm)に相当する画素数に設定される。
【0097】
次に、形状推定部146は、媒体長さが第3閾値以上であり且つ頂点数が4未満である場合、媒体の形状がカードの形状でないと推定する(ステップS401)。
【0098】
IDカードCが搬送される場合、IDカードCがどのように傾いていても、頂点V1が撮像位置を通過してから距離T3だけ搬送される前に、他の全ての頂点V2~V4が撮像位置を通過する。そのため、形状推定部146は、媒体長さ検出部145により検出された媒体長さが第3閾値以上であり且つ頂点数検出部144により検出された頂点数が4でない場合、その媒体はカードより大きい媒体であると判定することができる。
【0099】
一方、形状推定部146は、媒体長さが第3閾値未満である場合又は頂点数が4である場合、媒体長さが第4閾値未満であり且つ頂点数が4であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0100】
図11Dは、第4閾値について説明するための模式図である。
【0101】
図11Dに示すように、第4閾値は、例えばISO/IEC7810で規定されるIDカードCの短辺Hの長さT4(53.98mm)からマージンを引いた値(例えば53mm)に相当する画素数に設定される。
【0102】
次に、形状推定部146は、媒体長さが第4閾値未満であり且つ頂点数が4である場合、媒体の形状がカードの形状でないと推定する(ステップS401)。
【0103】
IDカードCが搬送される場合、IDカードCがどのように搬送されても、頂点V1が撮像位置を通過してから距離T4だけ搬送される前に、他の全ての頂点V2~V4が撮像位置を通過することはない。そのため、形状推定部146は、媒体長さ検出部145により検出された媒体長さが第4閾値未満であり且つ頂点数検出部144により検出された頂点数が4である場合、その媒体はカードより小さい媒体であると判定することができる。
【0104】
一方、形状推定部146は、媒体長さが第4閾値以上である場合又は頂点数が4未満である場合、媒体長さが第2閾値以下であり且つ頂点数が3以上であるか否かを判定する(ステップS306)。
【0105】
次に、形状推定部146は、媒体長さが第2閾値以下であり且つ頂点数が3以上である場合、媒体の形状がカードの形状であると推定する(ステップS402)。
【0106】
図11Dに示すように、IDカードCが搬送される場合、IDカードCがどのように搬送されても、頂点V1が撮像位置を通過してからさらに距離T2だけ搬送されたときには、頂点V1と辺を共有する頂点V2及び頂点V3の両方が、必ず撮像位置を通過する。そのため、形状推定部146は、検出された媒体長さが第2閾値以下であり且つ検出された頂点数が3以上である場合、その媒体はカードと同等の大きさを有する媒体又はカードより小さい媒体であると判定することができる。一般に、カードより小さい媒体が搬送される可能性は低いため、その媒体はカードであると推定される。
【0107】
一方、形状推定部146は、媒体長さが第2閾値未満である場合又は頂点数が3未満である場合、頂点数が4であるか否かを判定する(ステップS307)。
【0108】
次に、形状推定部146は、頂点数が4である場合、媒体の形状がカードの形状であると推定する(ステップS402)。
【0109】
上記のステップS302~S307の各条件が満たされないまま、全ての頂点が撮像位置を通過した場合、形状推定部146は、その媒体はカードと同等の大きさを有する媒体又カードより小さい媒体であると判定することができる。一般に、カードより小さい媒体が搬送される可能性は低いため、その媒体はカードであると推定される。
【0110】
一方、頂点数が4未満である場合、形状推定部146は、まだ媒体の形状を推定できないと判定し、一連のステップを終了する。
【0111】
このように、形状推定部146は、頂点数検出部144により検出された頂点数と、媒体長さ検出部145により検出された媒体搬送方向の媒体長さとに基づいて、媒体の形状を推定する。形状推定部146は、頂点数と媒体搬送方向の媒体長さとに基づいて媒体の形状を推定することにより、媒体が傾いて搬送される場合でも、媒体がカードであるか否かを高精度に推定することができる。また、形状推定部146は、複雑な画像処理を実行することなく、媒体の形状を推定することができ、重送検出処理の処理負荷の増大を抑制することができる。
【0112】
また、形状推定部146は、順次生成されたライン画像に対して、所定数のライン画像が生成されるたびにリアルタイムで媒体の形状を推定するため、媒体全体が撮像される前に媒体の形状を推定することができる。特に、形状推定部146は、カード以外の媒体が搬送された場合に媒体の形状を早期に推定できるため、重送検出部147は、カード以外の媒体に対して後述する重送検知処理を早期に実行できる。一方、形状推定部146は、カード特有の特徴が検出されるまでは媒体の形状がカードの形状であると推定しないため、レシート等の長尺原稿が長手方向に向けて搬送された場合でも、媒体をカードと誤って推定することを防止することができる。
【0113】
形状推定部146により媒体の形状がカードの形状でないと推定された場合(ステップS401)、重送検出部147は、重送フラグがONであるか否かを判定する(ステップS403)。重送フラグは、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、後述する超音波信号判定処理で超音波信号の信号値が判定閾値以下であると判定された場合にONに設定される。
【0114】
重送フラグがONである場合、重送検出部147は、重送が発生していると判定し(ステップS404)、重送フラグをOFFに設定して、一連のステップを終了する。一方、重送フラグがOFFである場合、重送検出部147は、重送が発生していないと判定し(ステップS405)、一連のステップを終了する。このように、重送検出部147は、搬送される媒体の重送を検出する。
【0115】
一方、形状推定部146により媒体の形状がカードの形状であると推定された場合(ステップS402)、重送検出部147は、重送の検出を停止し(ステップS406)、一連のステップを終了する。このように、重送検出部147は、推定された媒体の形状に基づいて、重送の検出を停止する。
【0116】
図12は、超音波信号判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0117】
以下、図12に示したフローチャートを参照しつつ、重送検出装置100の超音波信号判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置130に記憶されているプログラムに基づき主にCPU140により重送検出装置100の各要素と協働して実行される。図12に示す動作のフローは、媒体搬送中に定期的に実行される。
【0118】
最初に、重送検出部147は、超音波センサ114から超音波信号を取得する(ステップS501)。
【0119】
次に、重送検出部147は、取得した超音波信号の信号値が判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0120】
図13は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
【0121】
図13のグラフ1300において、実線1301は媒体として一枚の用紙が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線1302は用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ1300の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間1303において点線1302の超音波信号の信号値が低下している。判定閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S1と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。これにより、重送検出部147は、超音波信号の信号値が判定閾値未満であるか否かを判定することによって媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。
【0122】
一方、一点鎖線1304は、用紙よりも厚いカードが一枚だけ搬送されている場合の超音波信号の特性を示す。カードが搬送されている場合、超音波信号の信号値は判定閾値より小さくなるため、重送検出部147は、媒体の重送が発生したと誤って判定する。特に、薄紙の重送が発生している場合の超音波信号の信号値は、カードが搬送されている場合の超音波信号の信号値に近く、判定閾値をその二つの信号値の間の値に設定することは困難である。しかしながら、重送検出部147は、媒体の形状がカードの形状であると推定された場合、重送の検出を停止するため、媒体の重送の検出誤りを防止できる。
【0123】
重送検出部147は、超音波信号の信号値が判定閾値未満である場合、重送フラグをONに設定し(ステップS503)、一連のステップを終了する。一方、重送検出部147は、超音波信号の信号値が判定閾値以上である場合、特に処理を実行せず、一連のステップを終了する。このように、重送検出部147は、超音波信号を判定閾値と比較することにより媒体の重送を検出する。
【0124】
以上詳述したように、重送検出装置100は、図5図8及び図12に示したフローチャートに従って動作することによって、媒体の形状に基づいて重送の検出を停止する。これにより、重送検出装置100は、媒体の重送の検出誤りを防止することが可能となった。また、重送検出装置100は、順次生成されたライン画像に含まれる媒体の媒体長さと頂点数とに基づいて媒体の形状を推定する。これにより、重送検出装置100は、媒体全体が撮像される前に媒体の形状を推定することが可能となり、媒体の形状を早期に推定することが可能となった。したがって、重送検出装置100は、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが可能となった。
【0125】
また、利用者は、重送検出装置100にカードの媒体を搬送させる際に、媒体の重送が発生したと誤って検出されることを防止するために重送検出機能をOFFに設定する必要がなくなり、重送検出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0126】
また、重送検出装置100は、厚さセンサ等の特殊なセンサを使用せずに、媒体がカードであるか否かを検出できるため、装置コストの増大を抑制することが可能となった。
【0127】
図14は、他の実施形態に係る重送検出処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
【0128】
図14に示す処理は、図8に示す処理の代わりに実行される。なお、図14に示す処理は、図8に示す処理と同様に、図6図7に示す処理に続けて実行される。
【0129】
形状推定部146により媒体の形状がカードの形状でないと推定された場合(ステップS601)、重送検出部147は、第1重送フラグがONであるか否かを判定する(ステップS603)。第1重送フラグは、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、後述する超音波信号判定処理で超音波信号の信号値が第1判定閾値以下であると判定された場合にONに設定される。
【0130】
第1重送フラグがONである場合、重送検出部147は、重送が発生していると判定し(ステップS604)、第1重送フラグをOFFに設定して、一連のステップを終了する。一方、第1重送フラグがOFFである場合、重送検出部147は、重送が発生していないと判定し(ステップS605)、一連のステップを終了する。
【0131】
一方、形状推定部146により媒体の形状がカードの形状であると推定された場合(ステップS602)、重送検出部147は、第2重送フラグがONであるか否かを判定する(ステップS606)。第2重送フラグは、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、後述する超音波信号判定処理で超音波信号の信号値が第1判定閾値より小さい第2判定閾値以下であると判定された場合にONに設定される。
【0132】
第2重送フラグがONである場合、重送検出部147は、重送が発生していると判定し(ステップS607)、第2重送フラグをOFFに設定して、一連のステップを終了する。一方、第2重送フラグがOFFである場合、重送検出部147は、重送が発生していないと判定し(ステップS608)、一連のステップを終了する。このように、重送検出部147は、推定された媒体の形状に基づいて、重送の判定閾値を変更する。特に、重送検出部147は、媒体の形状がカードの形状であると推定された場合、判定閾値を、媒体の形状がカードの形状でないと推定された場合の判定閾値より小さい値に変更する。
【0133】
図15は、他の実施形態に係る超音波信号判定処理の一部の動作の例を示すフローチャートである。
【0134】
図15に示す処理は、図8に示す処理の代わりに図14に示す処理が実行される場合に、図12に示す処理の代わりに実行される。
【0135】
最初に、重送検出部147は、超音波センサ114から超音波信号を取得する(ステップS701)。
【0136】
次に、重送検出部147は、取得した超音波信号の信号値が第1判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS702)。第1判定閾値は、図12の超音波信号判定処理で用いられる判定閾値と同様に、図13に示す一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S1と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。重送の検出誤りが発生することを防止するためには、第1判定閾値は、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2より十分に大きい値に設定されることが好ましい。そのため、第1判定閾値は、カードが搬送されているときの超音波信号の信号値S3より大きい値に設定される。
【0137】
重送検出部147は、超音波信号の信号値が第1判定閾値未満である場合、第1重送フラグをONに設定する(ステップS703)。一方、重送検出部147は、超音波信号の信号値が第1判定閾値以上である場合、特に処理を実行せず、処理をステップS704へ移行する。
【0138】
次に、重送検出部147は、取得した超音波信号の信号値が第2判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS704)。第2判定閾値は、カードが搬送されているか用紙の重送が発生しているかを判別できるように、図13に示すカードが搬送されているときの超音波信号の信号値S3と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。
【0139】
重送検出部147は、超音波信号の信号値が第2判定閾値未満である場合、第2重送フラグをONに設定し(ステップS705)、一連のステップを終了する。一方、重送検出部147は、超音波信号の信号値が第2判定閾値以上である場合、特に処理を実行せず、一連のステップを終了する。
【0140】
このように、重送検出部147は、カード以外の媒体が搬送されていると推定される場合は、カードが搬送されているときの超音波信号の信号値S3より大きい値に設定された第1判定閾値を用いて重送を検出する。これにより、重送検出部147は、重送の検出誤りが発生することを防止できる。一方、重送検出部147は、カードが搬送されていると推定される場合は、カードが搬送されているときの超音波信号の信号値S3と用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定された第2判定閾値を用いて重送を検出する。これにより、重送検出部147は、名刺のようにカードと同程度のサイズを有する媒体の重送が発生している場合でも、重送が発生していることを正しく検出できる。したがって、重送検出部147は、カードが搬送されているか用紙の重送が発生しているかをより高精度に判定できる。
【0141】
以上詳述したように、重送検出装置100は、図5図6及び図14図15に示したフローチャートに従って動作することによって、媒体の形状に基づいて重送の判定閾値を変更する。これにより、重送検出装置100は、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ、カードが搬送されているか用紙の重送が発生しているかを高精度に判定することが可能となった。したがって、重送検出装置100は、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが可能となった。
【0142】
図16は、さらに他の実施形態に係る重送検出装置における処理回路250の概略構成を示す図である。処理回路250は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、CPU160の代わりに、媒体読取処理、重送検出処理及び超音波信号判定処理を実行する。処理回路250は、制御回路251、画像取得回路252、媒体幅検出回路253、頂点数検出回路254、媒体長さ検出回路255、形状推定回路256及び重送検出回路257等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0143】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部141と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105から操作信号を、媒体検出センサ111から媒体検出信号を受信し、受信した各信号に応じて駆動装置121を駆動するとともに、媒体の重送が検出された場合、媒体の搬送を停止する。
【0144】
画像取得回路252は、画像取得部の一例であり、画像取得部142と同様の機能を有する。画像取得回路252は、撮像装置117からライン画像を受信し、記憶装置130に記憶するとともに、ライン画像から入力画像を生成し、インタフェース装置122を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
【0145】
媒体幅検出回路253は、媒体幅検出部の一例であり、媒体幅検出部143と同様の機能を有する。媒体幅検出回路253は、記憶装置130からライン画像を読み出し、ライン画像内の媒体幅を検出し、検出結果を記憶装置130に記憶する。
【0146】
頂点数検出回路254は、頂点数検出部の一例であり、頂点数検出部144と同様の機能を有する。頂点数検出回路254は、記憶装置130から媒体幅の検出結果を読み出し、ライン画像に含まれる媒体の頂点数を検出し、検出結果を記憶装置130に記憶する。
【0147】
媒体長さ検出回路255は、媒体長さ検出部の一例であり、媒体長さ検出部145と同様の機能を有する。媒体長さ検出回路255は、記憶装置130からライン画像を読み出し、ライン画像に含まれる媒体の媒体長さを検出し、検出結果を記憶装置130に記憶する。
【0148】
形状推定回路256は、形状推定部の一例であり、形状推定部146と同様の機能を有する。形状推定回路256は、記憶装置130から頂点数の検出結果と媒体長さの検出結果を読み出し、各検出結果に基づいて媒体の形状を推定し、推定結果を記憶装置130に記憶する。
【0149】
重送検出回路257は、重送検出部の一例であり、重送検出部147と同様の機能を有する。重送検出回路257は、超音波センサ114から超音波信号を受信し、媒体の重送を検出し、検出結果を制御回路251に出力する。また、重送検出回路257は、記憶装置130から媒体の形状の推定結果を読み出し、媒体の形状に基づいて、重送の判定閾値を変更し、又は、重送の検出を停止する。
【0150】
以上詳述したように、重送検出装置は、処理回路250を用いる場合においても、媒体の重送の検出誤りを防止しつつ媒体の重送をより早期に検出することが可能となった。
【0151】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、形状推定部146は、媒体の形状が、ISO/IEC7810で規定されるIDカードの形状であるか否かでなく、他の形状であるか否かを推定してもよい。
【0152】
例えば、形状推定部146は、利用者により操作装置105を用いて指定された、重送の判定閾値を変更する媒体の形状(例えば矩形の長辺の長さ及び短辺の長さ)、又は、重送の検出を停止する媒体の形状を受け付ける。形状推定部146は、受け付けた長辺の長さ及び短辺の長さに基づいて、その媒体の対角線と、その対角線に含まれない頂点との間の距離を算出し、算出した距離に基づいて第1閾値を設定する。また、形状推定部146は、受け付けた長辺の長さ及び短辺の長さに基づいて、第2閾値及び第4閾値を設定するとともに、対角線の長さを算出し、算出した対角線の長さに基づいて第3閾値を設定する。これにより、利用者は、重送の判定閾値を変更する媒体の形状、又は、重送の検出を停止する媒体の形状を設定することが可能となり、重送検出装置は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0153】
100 重送検出装置
112 給送ローラ
113 ブレーキローラ
114 超音波センサ
115 第1搬送ローラ
116 第2搬送ローラ
117 撮像装置
143 媒体幅検出部
144 頂点数検出部
145 媒体長さ検出部
146 形状推定部
147 重送検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16