(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B66B1/46 A
(21)【出願番号】P 2022183371
(22)【出願日】2022-11-16
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 健作
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 航
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-015686(JP,A)
【文献】特開2014-201389(JP,A)
【文献】特開2022-025548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、
前記複数の識別情報に対応して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、
前記複数のセンサ部のうち、前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部と、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部とは、それぞれ異なるゾーンに属しており、
前記制御部は、
前記複数のセンサ部のうち、隣接する複数のゾーンにそれぞれ属する2つ以上のセンサ部が第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記2つ以上のセンサ部の中から優先順の高いゾーンに属するセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御装置。
【請求項2】
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、
前記複数の識別情報に対応して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、
前記複数のゾーンは、
前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第1のゾーンと、
前記第1のゾーンに下方側で隣接し、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第2のゾーンと、を有し、
前記制御部は、
前記第1のゾーンに属するいずれかのセンサ部と、前記第2のゾーンに属するいずれかのセンサ部とが
、第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第1のゾーンに属する前記センサ部を特定
し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御装置。
【請求項3】
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、
前記複数の識別情報に対応して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、
前記複数のゾーンは、
前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第1のゾーンと、
前記第1のゾーンに上方側で隣接し、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第2のゾーンと、を有し、
前記制御部は、
前記第1のゾーンに属するいずれかのセンサ部と、前記第2のゾーンに属するいずれかのセンサ部とが
、第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第2のゾーンに属する前記センサ部を特定
し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御装置。
【請求項4】
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、
前記複数の識別情報に対応して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、
前記1つ以上の機能を表示する表示部は、
前記乗りかごの扉の開操作および閉操作を表示する扉操作表示部と、
前記利用者が随意に選択可能なオプション機能を表示するオプション表示部と、を有し、
前記複数のゾーンは、
前記扉操作表示部に対応するセンサ部が属する第1のゾーンと、
前記第1のゾーンに下方側で隣接し、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第2のゾーンと、
前記第2のゾーンに下方側で隣接し、前記オプション表示部に対応するセンサ部が属する第3のゾーンと、を有し、
前記制御部は、
前記第1のゾーンに属するいずれかのセンサ部と、前記第2のゾーンに属するいずれかのセンサ部とが
、第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第1のゾーンに属する前記センサ部を特定し、
前記第2のゾーンに属するいずれかのセンサ部と、前記第3のゾーンに属するいずれかのセンサ部とが、前記第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第2のゾーンに属する前記センサ部を特定
し、
特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御装置。
【請求項5】
前記第1のゾーンに属するいずれかのセンサ部と、前記第3のゾーンに属するいずれかのセンサ部とが前記操作を検知した場合には、前記操作の検知が前記第1の期間内に行われた場合であっても、前記第1及び第3のゾーンに属する前記センサ部を共に特定する、
請求項
4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記複数のゾーンは、
前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第1のゾーンと、
前記第1のゾーンに下方側または上方側で隣接し、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部が属する第2のゾーンと、を有し、
前記複数の識別情報には、
前記行き先階を表示する表示部に対応し、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記センサ部の前記第2のゾーン内における配列順に応じた第1の検知パターンが予め設定されており、
前記制御部は、
前記第2のゾーンに属する2つ以上のセンサ部が第2の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第1の検知パターンに基づいて前記2つ以上のセンサ部の中から1つのセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する前記表示部が表示する階床を行き先階とする行き先階呼び登録に関する情報を、前記制御盤へと送信する、
請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記複数の識別情報には、
前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応し、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記センサ部により前記操作が可能な前記1つ以上の機能に応じた第2の検知パターンが予め設定されており、
前記制御部は、
前記第1のゾーンに属する2つ以上のセンサ部が第3の期間内に前記操作を検知した場合には、前記第1の検知パターンに基づいて前記2つ以上のセンサ部の中から1つのセンサ部を特定し、前記1つ以上の機能のうち特定された前記センサ部に対応する機能に関する情報を、前記制御盤へと送信する、
請求項
6に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階を表示する行き先階表示部と、
前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの扉の開操作または閉操作を表示する扉操作表示部と、
前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者が随意に選択可能なオプション機能を表示するオプション表示部と、
前記行き先階表示部、前記扉操作表示部、及び前記オプション表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記利用者による前記行き先階表示部、前記扉操作表示部、または前記オプション表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
前記行き先階表示部、前記扉操作表示部、及び前記オプション表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
前記複数のセンサ部にそれぞれ対応する前記行き先階表示部、前記扉操作表示部、及び前記オプション表示部のうち、いずれの表示部への前記操作を優先するかの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数のセンサ部のうち、前記行き先階表示部、前記扉操作表示部、及び前記オプション表示部にそれぞれ対応する2つ以上のセンサ部が所定期間内に前記操作を検知した場合には、前記2つ以上のセンサ部の中から優先順の高い前記操作に対応するするセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御装置。
【請求項9】
エレベータ制御装置で実行される制御方法であって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、を備え、
前記複数のセンサ部のうち、前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部と、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部とは、それぞれ異なるゾーンに属しており、
前記複数の識別情報に対して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め設定し、
前記複数のセンサ部のうち、隣接する複数のゾーンにそれぞれ属する2つ以上のセンサ部が第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記2つ以上のセンサ部の中から優先順の高いゾーンに属するセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する、
エレベータ制御方法。
【請求項10】
エレベータ制御装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、
連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、を備え、
前記複数の識別情報には
、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め設定されており、
前記複数のセンサ部のうち、前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部と、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部とは、それぞれ異なるゾーンに属しており、
前記複数のセンサ部のうち、隣接する複数のゾーンにそれぞれ属する2つ以上のセンサ部が第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記2つ以上のセンサ部の中から優先順の高いゾーンに属するセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する処理を、前記コンピュータに実行させる、
エレベータ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内において、行き先階呼びを非接触で行う技術が知られている。例えば、利用者の手指を非接触で検知し、押しボタンと一体的にまたは別体で構成される複数のセンサ部を乗りかご内の操作盤に設け、このセンサ部により行き先階呼びを行う手法がある。特に、コロナウイルス感染を回避するため、この非接触での検知により行き先階呼びを行う方式が広まっている。
【0003】
このような行き先階呼びの方式では、利用者が行き先階を指定しようとしてセンサ部に手指を近づけた際に、目的の階以外の階に対応するセンサ部によっても検知されるという過検知または誤検知が生じてしまう場合がある。このため、複数のセンサ部が同時に手指等を検知した場合に、所定の検知パターンで目的の階のセンサ部を特定し、特定されたセンサ部から所定範囲内に位置するセンサ部を行き先階呼び登録の候補から除外することで、過検知および誤検知を抑制する技術が知られている。
【0004】
また上記に加え、例えば特許文献1~4のように、種々の手法により過検知または誤検知を抑制する技術が提案されている。例えば特許文献1の技術では、個々の押しボタンごとにセンサ部を設ける代わりに、操作盤の上下に指検知用のセンサ部を設置し、これらのセンサ部の検出距離に基づいて、操作対象の行き先階を特定する。また、特許文献2の技術では、センサ部と押しボタンとが別々に配置され、押しボタンが押下されると、その押しボタンが消毒されるまではセンサ部のみにより操作が可能となる。また、特許文献3の技術では、受光量のオフセット差に基づいて、いずれのセンサ部に対する操作であるかを決定する。また、特許文献4の技術では、非接触式の有効操作部を備え、この有効操作部に対する操作が検知されない間は、センサ部および押しボタンを無効化しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-162307号公報
【文献】特開2022-043482号公報
【文献】特開2022-072313号公報
【文献】特開2022-076600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乗りかご内には行き先階を指定するセンサ部のほか、乗りかごの扉を開閉させたり、ペットが同乗していることを知らせたり、乗りかご内の換気を行ったりするための各種機能を指定するセンサ部が配置される場合がある。この場合、上述のように、行き先階を指定するセンサ部に対して検知パターンを設定するのみでは、例えば行き先階を指定するセンサ部と各種機能を指定するセンサ部とが共に利用者の手指等を検知した場合等には、センサ部の過検知または誤検知を適切に抑制することが困難なことがある。
【0007】
また、特許文献1の技術では、操作盤の上下にのみセンサ部を配置しているので、いずれの行き先階に対する操作であるかの特定精度が劣る可能性があり、また、利用者の操作負荷が増してしまう恐れがある。また、特許文献2の技術では、ウィルス感染の抑制を目的としており、センサ部の過検知または誤検知についての対策は採られていない。また、特許文献3,4の技術では、受光窓の汚れ、または利用者の不用意な動作による過検知または誤検知を抑制できても、例えば複数のセンサ部が利用者の手指等を検知した場合に適切なセンサ部を特定することができない。
【0008】
本実施形態が解決しようとする課題は、複数のセンサ部によって検知がなされた場合でも、利用者が意図しない処理が行われることを抑制することができるエレベータ制御装置、エレベータ制御方法、及びエレベータ制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの行き先階または前記乗りかごの扉の開操作を含む1つ以上の機能をそれぞれ表示する複数の表示部と、前記複数の表示部にそれぞれ対応して前記乗りかごの中に設けられ、前記乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、前記複数のセンサ部が前記複数のゾーンのいずれかに属するよう、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部とが配列された操作盤と、連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、前記複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、前記複数の識別情報に対応して、前記複数の入力端子にそれぞれ接続される前記複数のセンサ部が属するゾーンの優先順を予め定めた設定に関する情報を保有する制御部と、を備え、前記複数のセンサ部のうち、前記1つ以上の機能を表示する表示部に対応するセンサ部と、前記行き先階を表示する表示部に対応するセンサ部とは、それぞれ異なるゾーンに属しており、前記制御部は、前記複数のセンサ部のうち、隣接する複数のゾーンにそれぞれ属する2つ以上のセンサ部が第1の期間内に前記操作を検知した場合には、前記2つ以上のセンサ部の中から優先順の高いゾーンに属するセンサ部を特定し、特定された前記センサ部に対応する動作に関する情報を、前記乗りかごを制御する制御盤へと送信する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる行き先階呼び装置の一部である操作盤の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるセンサ部と押しボタンとを側面から見た構成およびセンサ部の検知範囲を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる行き先階呼び装置のハードウェアを搭載した基板の構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる行き先階呼び装置の操作盤におけるセンサ部および押しボタンの配置と、行き先階呼び装置のハードウェアを搭載した基板の入力端子のポート番号との対応関係の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる行き先階呼び装置の操作盤における複数のゾーン間、及び個々のゾーン内におけるセンサ部の優先順の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる行き先階呼び装置による複数のゾーン間の優先順に基づくセンサ部の特定手法の一例を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる行き先階呼び装置による複数のゾーン間の優先順に基づくセンサ部の特定手法の一例を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる行き先階呼び装置によるセンサ部の特定手法の一例を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる行き先階呼び装置によるセンサ部の特定手法の一例を説明する模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる行き先階呼び装置によるセンサ部の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる行き先階呼び装置によるセンサ部の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる行き先階呼び装置によるセンサ部の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0012】
(エレベータ制御システムの構成例)
図1は、実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10及び行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
【0013】
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
【0014】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30と接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線等のネットワークで接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
【0015】
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
【0016】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
【0017】
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
【0018】
また、制御部11は、行き先階呼び装置30から行き先階呼びを受信した場合、通信部12を介して、行き先階呼び装置30に対して後述する表示灯313の点灯指令を送出し、行き先階呼び装置30の表示灯313を点灯させる。また、制御部11は、乗り場呼び装置から乗り場呼びを受信した場合、通信部12を介して、乗り場呼び装置に対して表示灯の点灯指令を送出し、乗り場呼び装置が備える表示灯を点灯させる。
【0019】
また、制御部11は、通信部12を介して、行き先階呼び装置30に対して表示指令を送出し、エレベータに関する各種情報を行き先階呼び装置30の後述する表示装置318に表示させる。
【0020】
また、制御部11は、通信部12を介して、乗り場呼び装置に対して表示指令および報知命令を送出し、エレベータに関する各種情報を乗り場呼び装置が備える表示装置に表示させる。
【0021】
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置30及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種指令等を乗りかご1等に送信する。
【0022】
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラム及び各種パラメータを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
【0023】
エレベータ制御装置としての行き先階呼び装置30は、物体検知部31、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、表示装置318、通信部34、及び記憶部36を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。
【0024】
行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、表示灯313、及び表示装置318は、乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
【0025】
センサ部311(311a,311b,311c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。
【0026】
押しボタン312(312a,312b,312c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312は、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。
【0027】
表示灯313(313a,313b,313c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先階に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
【0028】
表示装置318は、乗りかご1の位置情報を始めとするエレベータに関する情報を文字等によって乗りかご1内の利用者に表示する。
【0029】
物体検知部31は、制御部31aと、計時部31bとを備え、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、計時部31bが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。
【0030】
計時部31bは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、検知期間の計時を開始する。計時部31bは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、所定の期間を経過するまで計時を継続する。計時部31bは、所定期間の経過前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合、または、所定期間が経過した後には、検知期間の計時を終了する。
【0031】
また、所定期間が経過した後にそのセンサ部311が非検知となった場合には、計時部31bは、非検知期間の計時を開始する。計時部31bは、全てのセンサ部311が非検知となっている間、所定の期間を経過するまで計時を継続する。計時部31bは、所定期間の経過前に、他のセンサ部311が物体を検知した場合、または、所定期間が経過した後には、非検知期間の計時を終了する。
【0032】
制御部31aは、いずれか1つのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、そのセンサ部311を、利用者が意図したセンサ部311であると特定する。制御部31aは、2つ以上のセンサ部311が所定の微小期間内に利用者の手指等の物体を検知すると、予め定められた検知パターンにしたがって、これらのセンサ部311から1つのセンサ部311を、利用者が意図したセンサ部311であると特定する。
【0033】
所定の微少期間内に複数の操作が検知される場合には、2つ以上のセンサ部311が検知状態となっている期間の少なくとも一部が重なり合っている場合の他、2つ以上のセンサ部311が同時に検知状態とはならないものの、所定の微少期間内に相次いで検知状態となった場合等を含む。つまり、例えば検知状態となった1つのセンサ部311が非知状態となった後、所定の微少期間内に別のセンサ部311が検知状態となった場合等も、所定の微少期間内に複数の操作が検知される場合に含まれる。
【0034】
ここで、制御部31aは、所定の微少期間内に複数のセンサ部311により操作が検知された場合に、これらのセンサ部311からの検知信号が入力される入力端子のポート番号に予め対応付けられた階床番号、すなわち、これらのセンサ部311のそれぞれに対応する階床を示す階床番号と検知パターンとに基づいて、1つのセンサ部311を特定する。なお、ポート番号への階床番号の対応付けの詳細、センサ部311の特定手法の詳細については後述する。
【0035】
1つのセンサ部311を特定した後、制御部31aは、計時部31bが計時した結果に基づいて、そのセンサ部311に対応する行き先階呼びがあったか否かを判定する。
【0036】
具体的には、計時部31bが計時する検知期間には、待機期間、及び仮登録期間等が設定されている。また、計時部31bが計時する非検知期間には、保留期間等が設定されている。
【0037】
制御部31aは、1つに特定したセンサ部311について待機期間を経過する前に、計時部31bが検知期間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31aは、そのセンサ部311における検知期間が待機期間を経過した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階呼びの仮登録に関する情報を上述の制御盤10に送信する。
【0038】
制御盤10は、行き先階呼びの仮登録に関する情報を行き先階呼び装置30から受信すると、その行き先階呼びを仮登録する。また、制御盤10は、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる指令を制御部31aに送信する。表示灯313の暗点灯とは、例えば通常よりも低い輝度で表示灯313を点灯させることである。制御部31aは、制御盤10からの指令に基づいて、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる。
【0039】
また、制御部31aは、行き先階呼びの仮登録後、特定したセンサ部311について仮登録期間が経過する前に、計時部31bが検知期間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定し、仮登録の取り消しに関する情報を制御盤10に送信する。
【0040】
また、制御部31aは、そのセンサ部311における検知期間が仮登録期間を経過した場合であって、計時部31bが非検知期間の計時を開始したものの、特定したセンサ部311とは異なる他のセンサ部311が操作を検知したために、保留期間を経過することなく非検知期間の計時を終了した場合にも、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定し、仮登録の取り消しに関する情報を制御盤10に送信する。
【0041】
上記いずれかの場合のように、仮登録の取り消しに関する情報を制御部31aから受信すると、制御盤10は、上記のように特定されたセンサ部311に対応する行き先階呼びの仮登録を取り消す。また、制御盤10は、暗点灯させていた表示灯313を消灯させる指令を制御部31aに送信する。制御部31aは、制御盤10からの指令に基づいて、暗点灯させていた表示灯313を消灯させる。
【0042】
制御部31aは、そのセンサ部311における検知期間が仮登録期間を経過した場合であって、計時部31bが非検知期間の計時を開始し、更にそのセンサ部311における非検知期間が保留期間を経過した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びがあったものと判定し、そのセンサ部311に対応する行き先階呼び登録に関する情報を制御盤10に送信する。
【0043】
制御盤10は、行き先階呼び登録に関する情報を制御部31aから受信すると、そのセンサ部311に対応する行き先階呼びを登録する。また、制御盤10は、暗点灯させていた表示灯313を明点灯させる指令を制御部31aに送信する。表示灯313の明点灯とは、暗点灯よりも高い輝度であって、例えば通常の輝度で表示灯313を点灯させることである。制御部31aは、制御盤10からの指令に基づいて、暗点灯させていた表示灯313を明点灯させる。
【0044】
なお、上述のように、行き先階呼びについての上記判定中に、最初に特定したセンサ部311とは異なる他のセンサ部311により操作が検知された場合、制御部31aは、計時部31bが計時した結果に基づいて、他のセンサ部311に対応する行き先階呼びがあったか否かを、上記の場合と同様に判定する。
【0045】
また、行き先階呼びについての上記判定に用いる待機期間、仮登録期間、及び保留期間は任意に設定することができる。例えば、待機期間を20ms、仮登録機関を300ms、保留期間を200msなどとすることができるが、これらに限定されない。
【0046】
また、待機期間、仮登録期間、及び保留期間をエレベータごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、エレベータごとに調整するように構成してもよい。この場合、行き先階呼び装置30、あるいは乗り場呼び装置に付随して、不図示のボックス内等にキースイッチ、ダイヤル、またはボリュームつまみ等を設け、これらのキースイッチ、ダイヤル、またはボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30ごと、あるいは乗り場呼び装置ごとに待機期間、仮登録期間、及び保留期間を調整するように構成することができる。
【0047】
押下検知部32は、制御部32aを備え、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、その押しボタン312に対応する行き先階呼びを受け付ける。
【0048】
すなわち、制御部32aは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押下された押しボタン312に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。また、制御部32aは、行き先階への呼びがあったと判定した場合、通信部34を介して、押下された押しボタン312に対応する行き先階呼び登録に関する情報を制御盤10に送信する。これにより、押下された押しボタン312に対応する行き先階呼び登録が制御盤10によって行われ、押下された押しボタン312に対応する表示灯313が、制御盤10からの指令に基づき押下検知部32の制御部32aによって明点灯される。
【0049】
ここで、上記の例では、表示灯313の発光態様として、暗点灯と明点灯とがあるものとした。しかし、表示灯313の発光の態様として、暗点灯および明点灯は一例であり、これらに限定されない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
【0050】
通信部34は、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階呼び登録に関する情報を制御盤10に送信する。また、通信部34は、制御盤10からの各種指令等を受信する。
【0051】
記憶部36は、行き先階呼び、その他のエレベータの制御を行き先階呼び装置30に実行させるための各種プログラム及び各種パラメータを記憶する。このような各種パラメータには、入力端子のポート番号への階床番号の対応付けの設定、及び複数検知の際に1つのセンサ部311を特定するための検知パターンの設定等が含まれる。また、記憶部36が、行き先階呼びの判定に用いる待機期間、仮登録期間、及び保留期間の設定等を記憶していてもよい。
【0052】
なお、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応するセンサ部311の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行うセンサ部、並びにペットが同乗していることを他の利用者に知らせるセンサ部、及び乗りかご1内の換気を行うセンサ部等の各種のオプション機能に対応するセンサ部を備えている。この場合、上述の物体検知部31は、これらの他のセンサ部が物体を検知すると、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を送信してもよい。
【0053】
また、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン、並びにペットが同乗していることを他の利用者に知らせる押しボタン、及び乗りかご1内の換気を行う押しボタン等の各種のオプション機能に対応する押しボタン等を備えている。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を送信してもよい。
【0054】
また、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯、並びにペットが同乗していることを他の利用者に知らせる機能を表示する表示灯、及び乗りかご1内の換気を行う機能を表示する表示灯等の各種のオプション機能に対応する表示灯等を備えている。この場合、制御盤10は、検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
【0055】
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0056】
次に、実施形態のエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。
【0057】
制御盤10及び行き先階呼び装置30はいずれも、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0058】
制御盤10のROMには、例えば呼び登録等のエレベータの制御に関わる制御プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、それをCPUが実行することにより、制御盤10の制御部11、通信部12、及び記憶部13等の上記機能が実現される。
【0059】
行き先階呼び装置30のROMには、例えば行き先階呼びの受け付け、上述のセンサ部311、押しボタン312、及び表示灯313等の各部の制御に関わる制御プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、行き先階呼び装置30のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
【0060】
ここで、制御盤10及び行き先階呼び装置30が有する制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。これらの制御プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0061】
また、これらの制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、これらの制御プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
【0062】
なお、主に、行き先階呼び装置30によって実行される制御プログラムによりエレベータ制御プログラムが構成される。ただし、制御盤10によって実行される制御プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される制御プログラムとが協働することによってエレベータ制御プログラムが構成されてもよい。
【0063】
(操作盤の構成例)
図2は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30の一部である操作盤350の構成の一例を示す模式図である。
【0064】
操作盤350は、エレベータの乗りかご1内の利用者による操作を受け付けたり、利用者に乗りかご1の運行状況等を表示したりすることが可能なように、乗りかご1内に設置される。
【0065】
操作盤350の設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、乗りかご1内の扉側に向かって右側袖壁部分である。操作盤350が、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
【0066】
操作盤350は、例えば、行き先階表示部310(310a,310b,310c・・・)、開閉表示部320(320e,320c)、オプション表示部330(330p,330v)、センサ部311(311a,311b,311c・・・),321(321e,321c),331(331p,331v)、押しボタン312(312a,312b,312c・・・),322(322e,322c),332(332p,332v)、表示灯313(313a,313b,313c・・・),323(323e,323c),333(333p,333v)、及び表示装置318を備える。
【0067】
行き先階表示部310は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して操作盤350に複数配置されている。
図2の例では、乗りかご1の行き先階である1階~16階にそれぞれ対応して、16個の行き先階表示部310a,310b,310c・・・(一部省略)が縦方向に2列で配置されている。
【0068】
押しボタン312は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤350に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310である文字盤等がはめ込まれている。
図2の例では、縦方向に2列に並ぶ行き先階表示部310a,310b,310c・・・に、それぞれ対応する16個の押しボタン312a,312b,312c・・・が一体化されて配置されている。
【0069】
乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、上述の押下検知部32(
図1参照)が、対応する行き先階表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
【0070】
センサ部311は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して操作盤350に複数配置されている。
図2の例では、縦方向に2列に並ぶ行き先階表示部310a,310b,310c・・・に、それぞれ対応する16個のセンサ部311a,311b,311c・・・が、押しボタン312a,312b,312c・・・と一体化されて配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
【0071】
センサ部311は、例えば反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311は、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
【0072】
このように、
図2の例では、1,3,5,7,9,11,13,15階に対応する行き先階表示部310と、センサ部311及び押しボタン312とのセットが縦1列に配置され、その列の右隣に、2,4,6,8,10,12,14,16階に対応する行き先階表示部310と、センサ部311及び押しボタン312とのセットが縦1列に配置されている。
【0073】
なお、行き先階表示部310とセンサ部311及び押しボタン312とが、セットで縦1列に配置されていてもよい。また、行き先階表示部310とセンサ部311及び押しボタン312とが、セットで縦3列以上に配置されていてもよい。また、行き先階表示部310とセンサ部311及び押しボタン312とが、セットで横1列、または横2列以上に配置されていても良い。
【0074】
ここで、
図2の例では、センサ部311と押しボタン312とは一体化されている。ただし、これに限定されず、センサ部311と押しボタン312とを別体で構成することもできる。
【0075】
表示灯313は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤350に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313が埋め込まれている。上述のように、ネットワークに接続された制御盤10からの点灯指令に基づいて、対応する表示灯313が明点灯あるいは暗点灯等の、複数の態様で点灯する。表示灯313が点灯すると、押しボタン312及び行き先階表示部310を透過した表示灯313の光が利用者に目視される。
【0076】
図2の例では、複数の表示灯313のうち、3階と15階の行き先階表示部310に対応する表示灯313が暗点灯または明点灯する様子を示している。
【0077】
なお、
図2においては、一部の階に対応する行き先階表示部310、センサ部311、押しボタン312、及び表示灯313にのみ符号を付している。これ以降、所定階に対応する行き先階表示部310、センサ部311、押しボタン312、及び表示灯313について述べる場合には、階床番号でこれらを呼び習わすこととする。
【0078】
すなわち、例えば1階に対応する行き先階表示部310a、センサ部311a、押しボタン312a、及び表示灯313aを、それぞれ1階の行き先階表示部310、1階のセンサ部311、1階の押しボタン312、及び1階の表示灯313などと呼称する。また例えば、3階に対応する行き先階表示部310c、センサ部311c、押しボタン312c、及び表示灯313cを、それぞれ3階の行き先階表示部310、3階のセンサ部311、3階の押しボタン312、及び3階の表示灯313などと呼称する。
【0079】
扉操作表示部としての開閉表示部320は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部320e、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部320cを含む。
図2の例では、開閉表示部320e,320cが左右に並んで操作盤350上部に配置されている。
【0080】
なお、乗りかご1の戸開および戸閉を行う機能は、エレベータが利用者に提供可能な1つ以上の機能の一例であり、開閉表示部320は、1つ以上の機能をそれぞれ表示する表示部の一例である。
【0081】
押しボタン322は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部320e,320cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部320と一体的に操作盤350に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン322e,322cのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部320e,320cである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン322を押下すると、上述の押下検知部32が、対応する開閉表示部320への開操作または閉操作として押しボタン322の押下を検知する。
【0082】
センサ部321は、上述のセンサ部311と同様、非接触式のセンサであり、開閉表示部320e,320cにそれぞれ対応して操作盤350に複数配置されている。
図2の例では、左右に並ぶ開閉表示部320e,320cにそれぞれ対応するセンサ部321e,321cが、押しボタン322e,322cと一体化されて配置されている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応するセンサ部321に手指等をかざすと、そのセンサ部321が、対応する開閉表示部320への開操作または閉操作として利用者の手指等を検知する。
【0083】
ここで、
図2の例では、センサ部321と押しボタン322ともまた一体化されている。ただし、これに限定されず、センサ部321と押しボタン322とを別体で構成することもできる。また、開閉表示部320e及び開閉表示部320cのうち、例えば開閉表示部320eに対応するセンサ部321eのみが設けられ、開閉表示部320cに対する操作は専ら押しボタン322cによって行われるよう構成されていてもよい。
【0084】
表示灯323は、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部320e,320cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部320と一体的に操作盤350に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン322e,322cのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯323e,323cが埋め込まれている。例えば物体検知部31または押下検知部32の検知結果に基づいて、対応するいずれかの表示灯323e,323cを点灯すると、押しボタン322及び開閉表示部320を透過した表示灯323の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部320e,320cに対する操作と認識されたかを知ることができる。
【0085】
図2の例では、表示灯323e,323cのいずれもが消灯している様子を示している。
【0086】
オプション表示部330は、利用者が随意に選択可能な他のオプション機能を表示する表示盤であり、例えばペットが同乗していることを他の利用者に知らせるオプション機能を表示するオプション表示部330p、及び乗りかご1内の換気を行うオプション機能を表示するオプション表示部330v等を含む。
【0087】
オプション表示部330pに対する操作が行われると、例えば乗り場の乗り場呼び装置等が備える図示しない表示装置等に、対応する乗りかご1内にペットが同乗していることを知らせる表示がなされる。また、オプション表示部330vに対する操作が行われると、乗りかご1内に設けられた図示しないファン等が稼働して、乗りかご1内が換気される。
【0088】
図2の例では、オプション表示部330p,330vが左右に並んで操作盤350下部に配置されている。なお、ペットが同乗していることを他の利用者に知らせるオプション機能、及び乗りかご1内の換気を行うオプション機能は、エレベータが利用者に提供可能な1つ以上の機能の一例であり、オプション表示部330p,330vは、1つ以上の機能をそれぞれ表示する表示部の一例である。
【0089】
押しボタン332は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、オプション表示部330p,330vにそれぞれ対応して、対応するオプション表示部330と一体的に操作盤350に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン332p,332vのそれぞれの前面には、対応するオプション表示部330p,330vである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、これらのオプション機能を利用するために対応する押しボタン332を押下すると、上述の押下検知部32が、対応するオプション表示部330への操作として押しボタン332の押下を検知する。
【0090】
センサ部331は、上述のセンサ部311,321と同様、非接触式のセンサであり、オプション表示部330p,330vにそれぞれ対応して操作盤350に複数配置されている。
図2の例では、左右に並ぶオプション表示部330p,330vにそれぞれ対応するセンサ部331p,331vが、押しボタン332p,332vと一体化されて配置されている。乗りかご1の利用者が、、これらのオプション機能を利用するために対応するセンサ部331に手指等をかざすと、そのセンサ部331が、対応するオプション表示部330への操作として利用者の手指等を検知する。
【0091】
ここで、
図2の例では、センサ部331と押しボタン332ともまた一体化されている。ただし、これに限定されず、センサ部331と押しボタン332とを別体で構成することもできる。
【0092】
表示灯333は、所定の態様で発光することが可能に構成され、オプション表示部330p,330vにそれぞれ対応して、対応するオプション表示部330と一体的に操作盤350に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン332p,332vのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯333p,333vが埋め込まれている。例えば物体検知部31または押下検知部32の検知結果に基づいて、対応するいずれかの表示灯333p,333vを点灯すると、押しボタン332及びオプション表示部330を透過した表示灯333の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がいずれのオプション表示部330p,330vに対する操作と認識されたかを知ることができる。
【0093】
図2の例では、複数の表示灯333p,333vのうち、乗りかご1内換気を表示するオプション表示部330vに対応する表示灯333vが暗点灯または明点灯する様子を示している。
【0094】
なお、利用者が随意に選択可能なエレベータのオプション機能は、ペットが同乗していることを他の利用者に知らせる機能、及び乗りかご1内の換気を行う機能に限られず、操作盤350は、上記のオプション表示部330以外にも、他のオプション機能を表示する表示部を備えていてもよい。上記以外のオプション機能としては、例えば乗りかご1の戸開を延長する開延長機能、所定の利用者のみが利用可能な専用運転中であることを他の利用者に知らせる機能等が挙げられる。ただし、開延長機能が、上述の乗りかご1の戸開を行う開閉表示部320eに統合されていてもよい。
【0095】
このように乗りかご1の扉の開閉およびオプション機能を表示する他の表示部を設けた場合、これらの表示部に対応して、非接触で操作が可能なセンサ部、押下による操作が可能な押しボタン、及び所定の態様で発光することが可能な表示灯が設けられていてよい。また、これらのセンサ部、押しボタン、及び表示灯は、上述の物体検知部31または押下検知部32等により制御可能であってよい。
【0096】
表示装置318は、例えば液晶表示部としての液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図2の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0097】
なお、操作盤350の構成および各種構成の配置は
図2の例に限られない。
【0098】
例えば、センサ部311,321,331の近傍に、これらのセンサ部311,321,331の存在を示す表示またはセンサ部311,321,331に手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311,321,331の近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
【0099】
また、それぞれのセンサ部311,321,331の近傍に、それらのセンサ部311,321,331に対応する行き先階または上記の各種機能を示す点字、センサ部311,321,331の存在を示す点字、またはセンサ部311,321,331に手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311,321,331の近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
【0100】
その他、操作盤350は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0101】
図3は、実施形態にかかるセンサ部311と押しボタン312とを側面から見た構成およびセンサ部311の検知範囲401を示す模式図である。なお、
図2には、センサ部311及び押しボタン312の構成例を示すが、上述のセンサ部321,331及び押しボタン322,332も、センサ部311及び押しボタン312と同様に構成することができる。
【0102】
図3に示すように、センサ部311は押しボタン312の裏面3122側に装着されている。このような配置により、センサ部311は、押しボタン312のおもて面3121から所定距離だけ離れた検知範囲401を有する。ここで、押しボタン312のおもて面3121は、行き先階表示部310のおもて面でもある。
【0103】
センサ部311の検知範囲401は、全体が押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。つまり、検知範囲401は、押しボタン312のおもて面3121から所定距離、離間した位置から更に所定距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作が検知される。換言すれば、センサ部311は、押しボタン312のおもて面3121から所定距離、離間した位置までの空間領域405では利用者の操作を検知しない。
【0104】
また、センサ部311の検知範囲401は、おもて面3121と直交する方向D1から見て押しボタン312のおもて面3121内に収まり、かつ、その中央がおもて面3121の中央と略重なるように設定されている。検知範囲401の中央とおもて面3121の中央とは、方向D1から見て一致していてよい。また、検知範囲401は、押しボタン312のおもて面3121から離れるにしたがって狭まる山型である。
【0105】
センサ部311によって検知されない空間領域405の距離は、例えば押しボタン312のおもて面3121から5mm程度である。また、センサ部311の検知範囲401となる距離は、例えば押しボタン312のおもて面3121から方向D1に向かって25mm程度とすることができる。ただし、これらの距離についてはこれに限定されない。
【0106】
利用者は、センサ部311を用いて行き先階呼びを行う際には、自分の手指403等を押しボタン312へ向けて前進させる。その際に、センサ部311の検知範囲401に指先が入ってセンサ部311が検知状態となり、指先が検知範囲401から抜けて空間領域405に入ると、センサ部311は非検知状態となる。押しボタン312を用いて行き先階呼びを行う際には、利用者が更に手指403を前進させることで、押しボタン312が押下される。
【0107】
(操作盤の動作例)
次に、
図4~
図10を用いて、行き先階呼び装置30が備える操作盤350の動作例について説明する。
【0108】
上述の
図2の例のように、操作盤350には、センサ部311、及びセンサ部311と一体となった押しボタン312が2列縦方向に配列されている。
【0109】
このため、配列されたセンサ部311及び押しボタン312のそれぞれの間隔が狭く、利用者が行き先階を指定しようとして手指をセンサ部311に近づけると、複数のセンサ部311の検知範囲401に手指が掛かり、これらのセンサ部311が手指を検知してしまう場合がある。これにより、誤検知あるいは過検知が発生して、利用者が意図する行き先階に対応するセンサ部311以外のセンサ部311が行き先階呼び登録されてしまう可能性がある。
【0110】
そこで、実施形態の行き先階呼び装置30には、操作盤350におけるこれらのセンサ部311の配列に基づいて、予め検知パターンが設定されている。操作盤350において複数のセンサ部311が物体を検知した場合には、行き先階呼び装置30が、この検知パターンに基づいて、利用者が意図する行き先階のセンサ部311を特定する。
【0111】
また、操作盤350上部には、センサ部321、及びセンサ部321と一体となった押しボタン322が横方向に配列されている。さらには、操作盤350下部には、センサ部331、及びセンサ部331と一体となった押しボタン332が横方向に配列されている。
【0112】
このため、行き先階呼びに関わるセンサ部311と、乗りかご1の扉の開閉を含む各種機能に関わるいずれかのセンサ部321,331とに跨って、利用者の手指等が検知されてしまうと、上記のように、行き先階呼びに関わるセンサ部311に検知パターンを設定するだけでは、センサ部311,321,331のうちいずれのセンサ部を特定すべきか判定できないケースも考えられる。
【0113】
そこで、実施形態の行き先階呼び装置30には、上述の検知パターンに加え、操作盤350におけるこれらのセンサ部311,321,331の配置に基づいて、予めこれらのセンサ部311,321,331間で優先順が設定されている。役割の異なる幾種類かのセンサ部311,321,331に跨って物体が検知された場合には、行き先階呼び装置30が、この優先順に基づいて、利用者が意図するセンサ部を特定する。
【0114】
まずは、いずれかのセンサ部311,321,331の検知により、行き先階呼び、及び各種機能の実行が行われる仕組みを
図4に示す。
【0115】
図4は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30のハードウェアを搭載した基板610の構成の一例を示す模式図である。
【0116】
図4に示すように、行き先階呼び装置30のハードウェアは例えば基板610に搭載されている。基板610は、操作盤350の裏面に設けられている。基板610は、その下部に複数の入力端子620を備えている。
図4の例では、基板610は24個の入力端子620を備える。なお、入力端子620はポートとも称される。入力端子620のそれぞれには、個々の入力端子620を識別するための識別情報としてのポート番号1K~24Kが順に付されている。
【0117】
ポート番号1K~16Kまでの16個の入力端子620には、例えば上述の
図2に示した操作盤350の16個のセンサ部311及び押しボタン312が、これらのセンサ部311及び押しボタン312に対応する行き先階の階床番号と同一のポート番号を有する入力端子620に接続されている。したがって、所定のセンサ部311または押しボタン312に対する操作が行われると、それらが接続された入力端子620に検知信号が入力される。
【0118】
ここで、各々のポート番号と対応付けられた複数の階床番号は、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応する階床に割り当てられた複数の他の識別情報の一例である。
【0119】
行き先階呼び装置30のいずれかの制御部31a,32aは、所定の入力端子620から検知信号が入力されると、その入力端子620のポート番号を判別し、入力があった入力端子620のポート番号と同じ番号の階床に対応するセンサ部311及び押しボタン312が操作されてオンしたものと判定する。
【0120】
また、
図4の例では、ポート番号17K~20Kまでの4個の入力端子620には、上述の開閉表示部320e,320cに対応するセンサ部321e,321c及び押しボタン322e,322c、並びに上述のオプション表示部330p,330vに対応するセンサ部331p,331v及び押しボタン332p,332vがそれぞれ接続されている。したがって、所定のセンサ部321,331または押しボタン322,332に対する操作が行われると、それらが接続された入力端子620に検知信号が入力される。
【0121】
行き先階呼び装置30のいずれかの制御部31a,32aは、所定の入力端子620から検知信号が入力されると、その入力端子620のポート番号を判別し、そのポート番号に対応する機能を示すいずれかのセンサ部321e,321c,331p,331v、または押しボタン322e,322c,332p,332vが操作されてオンしたものと判定する。
【0122】
ここで、各々のポート番号と対応付けられたそれぞれの戸開、戸閉、ペット同乗通知、及び換気等の機能は、開閉表示部320及びオプション表示部330にそれぞれ対応する機能に割り当てられた複数の他の識別情報の一例である。
【0123】
さらに、
図4の例では、ポート番号21K~24Kまでの4個の入力端子620には、いずれのセンサ部および押しボタンも接続されない。これらの入力端子620は、予備の入力端子620となっていてよい。
【0124】
このような入力端子620のポート番号に対応付けられた階床番号および各種機能の設定等は、例えば行き先階呼び装置30の記憶部36等に保存されている。制御部31a,32aが、記憶部36に保存される対応付けの設定を参照することで、入力があった入力端子620のポート番号と階床番号または各種機能とを対応付けて、各種動作を行うことが可能となる。
【0125】
なお、
図4の例では、1階~16階までの16個のセンサ部311及び押しボタン312と、戸開、戸閉、ペット同乗通知、及び換気の4個のセンサ部321,331及び押しボタン322,332と、をそれぞれ有する操作盤350に対し、ポート番号1K~24Kまでの24個の入力端子620が適用される場合について示した。しかし、センサ部311,321,331及び押しボタン312,322,332の個数、及びこれらに適用する基板610の入力端子620の個数等は、これに限られない。そこで、例えば入力端子620の個数が異なる複数種類の基板610を用意しておき、適用するセンサ部および押しボタンの個数に応じて、これらのセンサ部および押しボタンの個数+αの入力端子620を有する基板610を用いることができる。
【0126】
図5は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30の操作盤350におけるセンサ部311,321,331及び押しボタン312,322,332の配置と、行き先階呼び装置30のハードウェアを搭載した基板610の入力端子620のポート番号との対応関係の一例を示す模式図である。
【0127】
なお、
図5において、それぞれのセンサ部311,321,331及び押しボタン312,322,332の横に付した数値は、上述の基板610が備える入力端子620のポート番号を示している。
【0128】
図5に示すように、操作盤350には、センサ部311,321,331及び押しボタン312,322,332のいずれかを含む複数のゾーンZ1~Z3が割り当てられている。操作盤350上において、複数のゾーンZ1~Z3は、例えば上方から下方に向かってこの順に縦方向に並ぶ。各々のゾーンZ1~Z3には、行き先階呼びに関わるセンサ部311及び押しボタン312、または各種機能に関わるセンサ部321,331及び押しボタン322,332等、個々に役割の異なるセンサ部311,321,331及び押しボタン312,322,332が区分けされて配置される。
【0129】
ゾーンZ1,Z3に挟まれて、操作盤350の上下方向の中央部に位置するゾーンZ2には、例えば行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311及び押しボタン312が配置されている。上述のように、これらのセンサ部311及び押しボタン312は、例えばこれらのセンサ部311及び押しボタン312に対応する行き先階の階床番号と同一のポート番号を有する入力端子620にそれぞれ接続されている。
【0130】
操作盤350上部に位置し、ゾーンZ2に上方側で隣接するゾーンZ1には、例えば所定の機能に関わるセンサ部であって、乗りかご1の戸開および戸閉に関わるセンサ部321e,321c及び押しボタン322e,322cが横並びに配置されている。上述のように、これらのセンサ部321e,321c及び押しボタン322e,322cは、例えばポート番号17K,18Kを有する入力端子620にそれぞれ接続されている。
【0131】
操作盤350下部に位置し、ゾーンZ2に下方側で隣接するゾーンZ3には、例えば所定の機能に関わるセンサ部であって、ペット同乗通知に関わるセンサ部331p及び押しボタン332p、並びに乗りかご1内の換気に関わるセンサ部331v及び押しボタン332vが横並びに配置されている。上述のように、これらのセンサ部331p,331v及び押しボタン332p,332vは、例えばポート番号19K,20Kを有する入力端子620にそれぞれ接続されている。
【0132】
ここで、役割の異なる複数のセンサ部311,321,331が、第1の期間としての所定の微小期間内に物体を検知した場合に、これらのセンサ部311,321,331の中から、利用者が意図するセンサ部を特定可能なように、複数のゾーンZ1~Z3のうち、互いに上下に隣接するゾーンZ1,Z2間、及びゾーンZ2,Z3間には、予め優先順が設定されている。
【0133】
一方、例えば
図5の例では、上下方向に隣接しないゾーンZ1,Z3間には優先順は設定されない。これらのゾーンZ1,Z3は、16個のセンサ部311が配置されたゾーンZ2に隔てられており、ゾーンZ1,Z3にそれぞれ属するセンサ部321,331が、過検知または誤検知により利用者の手指等をともに検知する可能性は略ないと考えられるためである。
【0134】
また、同一のゾーンZ1に属し、乗りかご1の扉の開閉に関わるセンサ部321e,321cが共に物体を検知した場合に、利用者の意図に素早く対応可能なように、入力端子620のポート番号と、これに対応する機能とに基づく検知パターンが予め設定されている。このとき、第2の検知パターンとしての検知パターンは、例えばセンサ部321e,321cの役割、つまり、これらのセンサ部321e,321cに対応する機能に応じて決定されている。
【0135】
また、同一のゾーンZ3に属し、ペット同乗通知または乗りかご1内の換気に関わるセンサ部331p,331vが共に物体を検知した場合に、利用者の意図に素早く対応可能なように、入力端子620のポート番号と、これに対応する機能とに基づく検知パターンが予め設定されている。このとき、第2の検知パターンとしての検知パターンは、例えばセンサ部331p,331vの役割、つまり、これらのセンサ部331p,331vに対応する機能に応じて決定されている。
【0136】
また、同一のゾーンZ2に属し、行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311が物体を検知した場合に、利用者が意図する行き先階のセンサ部311を特定可能なように、入力端子620のポート番号と、これに対応する階床番号とに基づく検知パターンが予め設定されている。このとき、第1の検知パターンとしての検知パターンは、例えば
図5に示すセンサ部311及び押しボタン312の配列順にしたがって決定されている。
【0137】
このような複数検知の際に、いずれか1つのセンサ部311,321,331を特定するための検知パターンの設定等は、例えば行き先階呼び装置30の記憶部36等に保存されている。制御部31aが、記憶部36に保存される検知パターン設定を参照することで、以下に説明するように、利用者が意図するいずれかのセンサ部311,321,331を特定することが可能となる。
【0138】
図6は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30の操作盤350における複数のゾーンZ1~Z3間、及び複数のゾーンZ1~Z3のうちゾーンZ1,Z3内におけるセンサ部321,331の優先順の一例を示す図である。
図6には、
図6の各行に示すゾーンZ1~Z3、及び各種機能が、
図6の各列に示すゾーンZ1~Z3、及び各種機能に対して優先されるか否かを示している。
【0139】
すなわち、
図6の1~2行目に示されるゾーンZ1は、
図6の3列目に示されるゾーンZ2に優先される。つまり、ゾーンZ1に属するいずれかのセンサ部321と、ゾーンZ2に属するいずれかのセンサ部311とが共に物体を検知した場合には、ゾーンZ1に属するセンサ部321が、利用者が意図したセンサ部として、ゾーンZ2に属するセンサ部311に優先して特定される。
【0140】
また、
図6の3行目に示されるゾーンZ2は、上述のように、
図6の1~2列目に示されるゾーンZ1の劣位となっており、また、
図6の4~5列目に示されるゾーンZ3に優先される。つまり、ゾーンZ2に属するいずれかのセンサ部311と、ゾーンZ3に属するいずれかのセンサ部331とが共に物体を検知した場合には、ゾーンZ2に属するセンサ部311が、利用者が意図したセンサ部として、ゾーンZ3に属するセンサ部331に優先して特定される。
【0141】
また、
図6の4~5行目に示されるゾーンZ3は、上述のように、
図6の3列目に示されるゾーンZ2の劣位となっている。
【0142】
このように、
図6の例では、複数のゾーンZ1~Z3のうち、操作盤350のより上位にあるゾーンZ1,Z2,Z3がより優先される。
【0143】
また、
図6の1行目に示され、ゾーンZ1に属するセンサ部321eに対応する戸開機能は、
図6の2列目に示され、同じくゾーンZ1に属するセンサ部321cに対応する戸閉機能に優先されることとなっている。つまり、同じゾーンZ1に属するセンサ部321e,321cが共に物体を検知した場合には、戸開機能に関わるセンサ部321eが、利用者が意図したセンサ部として、戸閉機能に関わるセンサ部321cに優先して特定される。
【0144】
また、
図6の2行目に示され、ゾーンZ1に属するセンサ部321cに対応する戸閉機能は、上述のように、
図6の1列目に示され、同じくゾーンZ1に属するセンサ部321eに対応する戸開機能の劣位となっている。
【0145】
また、
図6の4行目に示され、ゾーンZ3に属するセンサ部331pに対応するペット同乗通知機能は、
図6の5列目に示され、同じくゾーンZ3に属するセンサ部331vに対応する乗りかご1内の換気機能の劣位となっている。つまり、同じゾーンZ3に属するセンサ部331p,331vが共に物体を検知した場合には、乗りかご1内の換気機能に関わるセンサ部331vが、利用者が意図したセンサ部として、ペット同乗通知機能に関わるセンサ部331pに優先して特定される。
【0146】
また、
図6の5行目に示され、ゾーンZ3に属するセンサ部331vに対応する乗りかご1内の換気機能は、上述のように、
図6の4列目に示され、同じくセンサ部331pに対応するペット同乗通知機能に優先される。
【0147】
このように、同一のゾーンZ1またはゾーンZ3に属し、種々の機能にそれぞれ対応するセンサ部321,331については、これらのセンサ部321,331に対応する機能に応じた検知パターンが設定される。
【0148】
以下に、
図6の優先順および検知パターンに基づく操作盤350の制御例について更に詳細に説明する。
【0149】
図7及び
図8は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30による複数のゾーンZ1~Z3間の優先順に基づくセンサ部311,321,331の特定手法の一例を説明する模式図である。
【0150】
より詳細には、
図7(a)は、ゾーンZ1,Z2間の優先順に基づくセンサ部311,321の特定手法を示しており、
図7(b)は、ゾーンZ2,Z3間の優先順に基づくセンサ部311,331の特定手法を示している。
図8は、ゾーンZ1~Z3間の優先順に基づくセンサ部311,321,331の特定手法を示している。
【0151】
図7(a)に示すように、ゾーンZ1~Z3間の優先順に基づく検知パターンの一例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、上記所定の微小期間内に、隣接するゾーンZ1,Z2間の複数のセンサ部311,321により操作が検知された場合に、これらのセンサ部311,321のうち、操作盤350の上位に位置するゾーンZ1に属するセンサ部321を、利用者が意図するセンサ部として特定する。
【0152】
図7(a)の例では、2列のうち右側の列上で、利用者が、目的とする戸閉のセンサ部321cに手指403を接近させたため、ゾーンZ1に属する戸閉のセンサ部321cがオンしたほか、ゾーンZ2に属する14,16階のセンサ部311もオンしたものとする。
【0153】
この場合、制御部31aは、これらのオンしたセンサ部311,321cのうち、操作盤350の上位に位置するゾーンZ1に属するセンサ部321cを、有効なセンサ部として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部321cに対応する機能である戸閉に関わる情報を、上述の制御盤10へと送信する。このとき、制御部31aは、上述した行き先階呼びの場合と同様、待機期間、仮登録期間、及び保留期間等の各種期間を計時部31bに計時させ、その計時結果にしたがって仮登録、及び本登録の処理を進めてもよい。
【0154】
図7(b)に示すように、ゾーンZ1~Z3間の優先順に基づく検知パターンの他の例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、上記所定の微小期間内に、隣接するゾーンZ2,Z3間の複数のセンサ部311,331により操作が検知された場合に、これらのセンサ部311,331のうち、操作盤350の上位に位置するゾーンZ2に属するセンサ部311を、利用者が意図するセンサ部として特定する。
【0155】
図7(b)の例では、2列のうち左側の列上で、利用者が、目的とする1階のセンサ部311に手指403を接近させたため、ゾーンZ2に属する1階のセンサ部311がオンしたほか、ゾーンZ3に属するペット同乗通知および乗りかご1内換気のセンサ部331p,331vもオンしたものとする。
【0156】
この場合、制御部31aは、これらのオンしたセンサ部311,331p,331vのうち、操作盤350の上位に位置するゾーンZ2に属するセンサ部311を、有効なセンサ部として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部311に対応する1階を行き先階として、上述の諸条件にしたがって行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を進める。
【0157】
図8に示すように、ゾーンZ1~Z3間の優先順に基づく検知パターンの更に他の例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、上下方向に隣接しないゾーンZ1,Z3間の複数のセンサ部321,331により操作が検知された場合には、これらの操作が上記所定の微小期間内に行われた場合であっても、これらのセンサ部321,331を共に、利用者が意図するセンサ部として特定する。
【0158】
図8の例では、複数の利用者が、それぞれ目的とする戸閉のセンサ部321c、及びペット同乗通知のセンサ部331pに手指403を接近させたものとする。
【0159】
また、戸閉のセンサ部321cを目的とする利用者は、2列のうち右側の列上でセンサ部321cに手指403を接近させたため、ゾーンZ1に属する戸閉のセンサ部321cがオンしたほか、ゾーンZ2に属する14,16階のセンサ部311もオンしたものとする。
【0160】
また、ペット同乗通知のセンサ部331pを目的とする利用者は、2列のうち左側の列上でセンサ部331pに手指403を接近させたため、目的とするセンサ部331pのみがオンしたものとする。
【0161】
この場合、制御部31aは、これらのオンしたセンサ部311,321c,331pのうち、操作盤350の最上位に位置するゾーンZ1に属するセンサ部321cを、有効なセンサ部として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部321cが属するゾーンZ1に対し、下方側で隣接するゾーンZ2に属する14,16階のセンサ部311を処理対象外とする。
【0162】
また、これらのオンしたセンサ部311,321c,331pのうち、センサ部331pが属するゾーンZ3は、14,16階のセンサ部311が属するゾーンZ2に下方側で隣接し、ゾーンZ2,Z3間の関係性のみから言えば、ゾーンZ2に属する14,16階のセンサ部311が優先される。しかし、14,16階のこれらのセンサ部311は、上記のように、ゾーンZ1,Z2の優先順位に基づいて、処理対象外となっている。
【0163】
また、上下方向に隣接しないゾーンZ1,Z3間には優先順は設定されていない。そこで、制御部31aは、ゾーンZ1に属するセンサ部321cと、ゾーンZ3に属するセンサ部331pとを共に特定する。
【0164】
以上、
図7及び
図8に示したように、利用者が、目的とするいずれかのセンサ部311,321,331を操作しようとする場合、一般的には、延ばした人差し指等の指先を目的のセンサ部311,321,331に接近させるものと考えられる。
【0165】
したがって、上記のように、隣接するゾーンZ1,Z2に跨る複数のセンサ部311,321がオンした場合には、操作盤350の上位のゾーンZ1に属するセンサ部321を有効なセンサ部として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。また、隣接するゾーンZ2,Z3に跨る複数のセンサ部311,331がオンした場合には、操作盤350の上位のゾーンZ2に属するセンサ部311を有効なセンサ部として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0166】
一方で、上下方向に隣接しないゾーンZ1,Z3間で、複数のセンサ部321,331が過検知または誤検知してしまうことは考えにくい。このため、これらのゾーンZ1,Z3間には優先順を設定せず、これらのゾーンZ1,Z3にそれぞれ属する複数のセンサ部321,331がオンした場合には、これらのセンサ部321,331を共に特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0167】
また、操作盤350において、行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311が占める領域は比較的広く、これらのセンサ部311においては過検知および誤検知が発生しやすいと考えられる。特に、これらのセンサ部311の上方に配置される戸開および戸閉に関わるセンサ部321を操作しようとする場合には、これらのセンサ部311において過検知および誤検知が発生しやすい。
【0168】
また、これらのセンサ部311において発生した過検知および誤検知に基づいて、行き先階呼びへの応答を行った場合、利用のない行き先階へ乗りかご1を移動させたり、その行き先階で乗りかご1への乗降があることを想定して一定期間待機したりと、エレベータの運行効率を不用意に低下させてしまう恐れがある。
【0169】
上述のように、これらのセンサ部311が属するゾーンZ2よりも、センサ部321が属するゾーンZ1を優先させることで、これらのセンサ部311における過検知および誤検知を抑制することができ、エレベータの運行効率の低下をも抑制することができる。
【0170】
ここで、上述のように、行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311は操作盤350上の領域の大半を占めている。このため、目的とする行き先階のセンサ部311とともに意図しない行き先階のセンサ部311もがオンしてしまうなど、同一のゾーンZ2に属する複数のセンサ部311間でも過検知および誤検知が発生しうる。
【0171】
次に、同一ゾーンZ2のセンサ部311により複数検知が発生した際に、1つのセンサ部311を特定するための検知パターンの設定に基づいて、行き先階呼び装置30が行う操作盤350の制御手法について説明する。
【0172】
図9は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30によるセンサ部311の特定手法の一例を説明する模式図である。
【0173】
図9(a)に示すように、センサ部311の配列順に基づく検知パターンの一例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、第2の期間としての所定の微小期間内に、複数のセンサ部311により操作が検知された場合に、複数のセンサ部311のうち、操作盤350の最上位に配置されるセンサ部311を、利用者が意図するセンサ部311として特定する。ここで、上記所定の微小期間は、ゾーンZ1~Z3間の優先順を判定する際の要件である上述の微小期間と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0174】
図9(a)の例では、2列のうち右側の列上で、利用者が、目的とする16階のセンサ部311に手指403を接近させたため、16階のセンサ部311がオンしたほか、8,10,12,14階のセンサ部311もオンしたものとする。
【0175】
この場合、制御部31aは、これら8,10,12,14,16階のセンサ部311のうち、操作盤350の最上位に配置される16階のセンサ部311を、有効なセンサ部311として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部311に対応する16階を行き先階として、上述の諸条件にしたがって行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を進める。
【0176】
利用者が、目的とする行き先階のセンサ部311を操作しようとする場合、一般的には、延ばした人差し指等の指先を目的のセンサ部311に接近させるものと考えられる。したがって、上記のように複数のセンサ部311がオンした場合には、最上位のセンサ部311を有効なセンサ部311として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0177】
また、このとき、制御部31aは、特定されたセンサ部311から、操作盤350において下方の所定範囲に位置する複数のセンサ部311を行き先階呼び登録の候補から除外する。
図9(a)の例では、最上位のセンサ部311の1つ下から5個下までの2列分のセンサ部311の配置位置を所定範囲としている。つまり、16階のセンサ部311と同じ列下方の6,8,10,12,14階、及びこれらの隣の列の5,7,9,11,13階に対応する10個のセンサ部311が上記の所定範囲に位置することとなる。
【0178】
よって、上記のように特定された16階以外でオンした8,10,12,14階のセンサ部311は、行き先階呼び登録の候補から除外され、制御部31aは、これらのセンサ部311に対応する8,10,12,14階を行き先階とする行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を行わない。
【0179】
上記のように、利用者が、指先を目的のセンサ部311に接近させると考えられることから、目的外のセンサ部311による誤検知または過検知は、概ね、目的のセンサ部311よりも操作盤350下方に配置されるセンサ部311において発生する可能性が高い。したがって、上記のように複数のセンサ部311がオンした場合に、最上位のセンサ部311より下方の所定範囲のセンサ部311による検知を無効とすることで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0180】
図9(b)に示すように、センサ部311の配列順に基づく検知パターンの他の例として、制御部31aは、上記所定の微小期間内に、操作盤350の複数列に跨る複数のセンサ部311により操作が検知された場合には、複数列のそれぞれにおける最上位のセンサ部311の位置がより高い方の列における最上位のセンサ部311を利用者が意図するセンサ部311として特定する。
【0181】
図9(b)の例では、利用者が、操作盤350の双方の列を覆うように、目的とする15階のセンサ部311に手指403を接近させたため、目的の15階のセンサ部311がオンしたほか、11,12,13,14階のセンサ部311もオンしたものとする。
【0182】
この場合、制御部31aは、それぞれの列において最上位となる14階および15階のセンサ部311のうち、操作盤350のより高い位置にある15階のセンサ部311の属する左側の列であって、その列における最上位の15階のセンサ部311を有効なセンサ部311として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部311に対応する15階を行き先階として、上述の諸条件にしたがって行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を進める。
【0183】
上記のように、利用者は、延ばした人差し指等の指先を目的のセンサ部311に接近させると考えられることから、複数列に跨る複数のセンサ部311がオンした場合には、これらの複数列において、操作盤350のより高い位置にあるセンサ部311が目的のセンサ部311である可能性が高い。したがって、上記のように複数列のより高い位置にあるセンサ部311を有効なセンサ部311として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0184】
また、このとき、特定された15階のセンサ部311の1つ下から5個下までの2列分の5階~14階のセンサ部311は、行き先階呼び登録の候補から除外することが決定された所定範囲に位置するセンサ部311である。
【0185】
よって、上記のように特定された15階以外でオンした11,12,13,14階のセンサ部311は、行き先階呼び登録の候補から除外され、制御部31aは、これらのセンサ部311に対応する11,12,13,14階を行き先階とする行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を行わない。
【0186】
上記のように、利用者が、複数列を覆うように手指403を接近させて、延ばした人差し指等の指先が目的のセンサ部311により検知されたものと考えると、それ以外のオンしたセンサ部311は、折り曲げた他の指および掌の部分等を誤検知または過検知した可能性が高い。したがって、上記のように特定したセンサ部311より下方のセンサ部311による検知を無効とすることで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0187】
図9(c)に示すように、センサ部311の配列順に基づく検知パターンのさらに他の例として、制御部31aは、上記所定の微小期間内に、操作盤350の複数列に跨る複数のセンサ部311により操作が検知され、また、複数列のそれぞれにおける最上位のセンサ部311の操作盤350における位置が同じ高さであった場合には、複数列のそれぞれにおいて、オンしたセンサ部311の個数が少ない方の列における最上位のセンサ部311を利用者が意図するセンサ部311として特定する。
【0188】
図9(c)の例では、利用者が、操作盤350の双方の列を覆うように、目的とする15階のセンサ部311に手指403を接近させたため、目的の15階のセンサ部311がオンしたほか、14,16階のセンサ部311もオンしたものとする。このとき、それぞれの列において最上位となる15,16階のセンサ部311は、操作盤350において同じ高さに位置している。
【0189】
この場合、制御部31aは、15階の1つのセンサ部311がオンした左側の列と、14,16階の2つのセンサ部311がオンした右側の列とのうち、オンしたセンサ部311の数が少ない左側の列であって、その列における最上位の15階のセンサ部311を有効なセンサ部311として特定する。つまり、制御部31aは、特定したセンサ部311に対応する15階を行き先階として、上述の諸条件にしたがって行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を進める。
【0190】
利用者が、延ばした人差し指等の指先を目的のセンサ部311に接近させる場合には、上記の
図9(b)の例のように、複数列の中央方向から手指403を接近させる場合と、
図9(c)の例のように、複数列の右側あるいは左側等、片側方向から手指403を接近させる場合とが考えられる。また、複数列の片側方向から手指403を接近させた場合、複数列の同じ高さに位置する最上位のセンサ部311がともにオンすることも考えられる。
【0191】
このような場合、複数列の右側あるいは左側等、手指403を接近させた側の列において、より多くのセンサ部311がオンする可能性が高い。したがって、上記のように、オンしたセンサ部311がより少ない側の列であって、その列の最上位のセンサ部311を有効なセンサ部311として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0192】
また、最上位の15,16階のセンサ部311のうち、上記のように15階のセンサ部311が特定されると、16階のセンサ部311は行き先階呼び登録の候補から除外される。また、特定された15階のセンサ部311の1つ下から5個下までの2列分の5階~14階のセンサ部311は、行き先階呼び登録の候補から除外することが決定された所定範囲に位置する。
【0193】
よって、上記のように特定された15階以外でオンした14,16階のセンサ部311は、行き先階呼び登録の候補から除外され、制御部31aは、これらのセンサ部311に対応する14,16階を行き先階とする行き先階呼びの仮登録、及び本登録の処理を行わない。
【0194】
上記のように、利用者が、複数列の片側方向から手指403を接近させて、延ばした人差し指等の指先が目的のセンサ部311により検知されたものと考えると、それ以外のオンしたセンサ部311は、折り曲げた他の指および掌の部分等を誤検知または過検知した可能性が高い。したがって、上記のように特定したセンサ部311の隣、及び下方のセンサ部311による検知を無効とすることで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0195】
以上のような同一ゾーンZ2内でのセンサ部311による複数検知は、他のゾーンZ1,Z3でも発生しうる。
【0196】
次に、同一ゾーンZ1内のセンサ部321、または同一ゾーンZ3内のセンサ部331によって、複数検知が発生した際に、1つのセンサ部321,331を特定するための検知パターンの設定に基づいて、行き先階呼び装置30が行う操作盤350の制御手法について説明する。
【0197】
図10は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30によるセンサ部321,331の特定手法の一例を説明する模式図である。より詳細には、
図10(a)は、同一のゾーンZ1に属するセンサ部321e,321cの特定手法を示しており、
図10(b)は、同一のゾーンZ3に属するセンサ部331p,331vの特定手法を示している。
【0198】
図10(a)に示すように、同一ゾーンZ1内での優先順に基づく検知パターンの一例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、第3の期間としての所定の微小期間内に、同一のゾーンZ1に属する複数のセンサ部321e,321cにより操作が検知された場合には、これらのセンサ部321e,321cに対応する機能の優先順が高い方のセンサ部321を、利用者が意図するセンサ部321として特定する。
【0199】
ここで、上記所定の微小期間は、ゾーンZ1~Z3間の優先順を判定する際の要件である上述の微小期間、または行き先階に関わる複数のセンサ部311を特定する際の要件である上述の微小期間と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0200】
図10(a)の例では、利用者が、操作盤350の左右方向の列を覆うように、目的とする戸開のセンサ部321eに手指403を接近させたため、目的のセンサ部321eがオンしたほか、同じゾーンZ1に属する戸閉のセンサ部321cもオンしたものとする。
【0201】
この場合、制御部31aは、例えば上述の
図6の検知パターンに基づいて戸開機能を戸閉機能よりも優先させて、戸開に関わるセンサ部321eを、有効なセンサ部として特定する。、制御部31aは、特定したセンサ部321eに対応する機能である戸開に関わる情報を、上述の制御盤10へと送信する。
【0202】
利用者の観点に立てば、遅れて乗りかご1に乗り込もうとする他の利用者がいる場合等、戸開機能の方が、戸閉機能よりもニーズ及び重要度が高いと考えられる。また、エレベータの安全面の観点に立てば、戸開機能の優先度を戸閉機能よりも高めておくことで、例えば緊急時等の乗りかご1内への閉じ込め抑制にも繋がりうる。したがって、上記のように複数のセンサ部321e,321cがオンした場合には、戸開に関わるセンサ部321eを有効なセンサ部321として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0203】
図10(b)に示すように、同一ゾーンZ3内での優先順に基づく検知パターンの一例として、行き先階呼び装置30の制御部31aは、上記所定の微小期間内に、同一のゾーンZ3に属する複数のセンサ部331p,331vにより操作が検知された場合には、これらのセンサ部331p,331vに対応する機能の優先順が高い方のセンサ部331を、利用者が意図するセンサ部331として特定する。
【0204】
図10(b)の例では、利用者が、操作盤350の左右方向の列を覆うように、目的とする換気のセンサ部331vに手指403を接近させたため、目的のセンサ部331vがオンしたほか、同じゾーンZ3に属するペット同乗通知のセンサ部331pもオンしたものとする。
【0205】
この場合、制御部31aは、例えば上述の
図6の検知パターンに基づいて換気機能をペット同乗通知機能よりも優先させて、換気に関わるセンサ部331vを、有効なセンサ部として特定する。、制御部31aは、特定したセンサ部331vに対応する機能である換気に関わる情報を、上述の制御盤10へと送信する。
【0206】
コロナウイルス感染の回避のニーズが高まっている昨今、換気機能の方が、ペット同乗痛胃機能よりも、利用者のニーズ及び重要度が高いと考えられる。したがって、上記のように複数のセンサ部331p,331vがオンした場合には、換気に関わるセンサ部31vを有効なセンサ部331として特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0207】
以上のように、操作盤350上の領域の大半を占める行き先階呼びに関わるセンサ部311と異なり、各種機能に関わるセンサ部321,331の個数は少なく、これらのセンサ部321,331が過検知または誤検知される場合のパターンも限られている。このため、行き先階呼びに関わるセンサ部311のように、操作盤350上の配列順に基づくのではなく、上記のように、それぞれの機能のニーズ、重要度、または緊急度等に基づいて、各種機能に関わるセンサ部321,331を特定することで、利用者の意図にしたがう動作となる。
【0208】
なお、上述の
図6及び
図10の例では、戸開機能と戸閉機能とのうち戸開機能を優先させ、ペット同乗通知機能と換気機能とのうち換気機能を優先させることとしたが、これらはあくまでも一例であって、それぞれの機能に応じた優先順は適宜、適切に設定することができる。
【0209】
あるいは、各種機能に関わるセンサ部321,331についても、行き先階呼びに関わるセンサ部311と同様、これらのセンサ部321,331の配列順等に基づいて検知パターンを設定し、これらの中からいずれか1つのセンサ部321,331を特定するようにしてもよい。
【0210】
また、各種機能に関わる複数のセンサ部321,331間でいずれか1つのセンサ部321,331を特定する手法は、エレベータメーカ側で予め設定されていてもよく、エレベータの設置環境および運行状況に応じて、エレベータのユーザ側で適宜設定可能であってもよい。
【0211】
また、上述の例では、先階呼びに関わるセンサ部311、及び各種機能に関わるセンサ部321,331をゾーンZ1~Z3に分け、操作盤350上のこれらの配置に応じて優先順を定めたが、行き先階呼び、扉の開閉、及びその他のオプション機能等、これらのセンサ部311,321,331に対応する機能に応じて優先順を定めてもよい。
【0212】
また、上述の
図7~
図10の例は、操作盤350が、乗りかご1内から乗り場方向を見て、乗りかご1内の右横の前壁面に配置されていた場合において、利用者が右手の手指403により目的とするいずれかのセンサ部311,321,331を操作する場合に起こり得る状態を示している。
【0213】
しかし、操作盤350が、乗りかご1内から乗り場方向を見て、乗りかご1内の右横の前壁面に配置されている場合に、利用者が左手の手指403により目的とするいずれかのセンサ部311,321,331を操作する場合、あるいは、操作盤350が、乗りかご1内から乗り場方向を見て、乗りかご1内の左横の前壁面に配置されている場合に、利用者が右手もしくは左手の手指403により目的とするいずれかのセンサ部311,321,331を操作する場合等であっても、上述のいずれかの検知パターンが適用されることで、利用者の意図にしたがう動作を行うことができる。
【0214】
また、操作盤350に配置されるセンサ部311,321,331の配置、及び配列順等は、操作盤350ごとに様々に異なり得る。例えば行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311、扉の開閉に関わるセンサ部321、その他の機能に関わるセンサ部331がこの順に、上方から下方に配置されていたり、センサ部311,331,321の順に上方から下方に配置されていたりする場合もあり得る。また、例えば行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311を最下位として、センサ部331,321のいずれかがそれぞれ最上位および中位に配置されていてもよい。
【0215】
しかし、センサ部311,321,331がいずれの配置、及び配列順を採る場合であっても、上記のように、操作盤350の上位に位置するゾーンに属するセンサ部ほど優先順を高めておき、また、行き先階呼びに関わる複数のセンサ部311については、これらの配列順に基づく上記の検知パターンにしたがい、各種機能に関わるセンサ部321,331については、これらに対応する各種機能に基づく上記の検知パターンにしたがって、いずれかのセンサ部311,321,331を特定することで、利用者の意図にしたがう動作を行うことができる。
【0216】
(行き先階呼び装置の処理例)
次に、
図11~
図13を用いて、実施形態の行き先階呼び装置30のエレベータ制御処理の例について説明する。
図11~
図13は、実施形態にかかる行き先階呼び装置30によるセンサ部311,321,331の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0217】
図11には、実施形態の行き先階呼び装置30が、複数のゾーンZ1~Z3の優先順に基づきいずれかのセンサ部311,321,331を特定する場合のエレベータ制御処理の手順の一例を示す。
【0218】
図11に示すように、物体検知部31の制御部31aは、いずれかのセンサ部311,321,331が、対応する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作を検知したか否かを判定する(ステップS101)。いずれのセンサ部311,321,331も非検知状態であった場合には(ステップS101:No)、制御部31aはいずれかのセンサ部311,321,331が検知状態となるまで待機する。
【0219】
例えば所定のゾーンに属するセンサ部が、所定の行き先階または所定の機能を表示する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作を検知した場合には(ステップS101:Yes)、制御部31aは、例えば記憶部36を参照して、操作を検知したセンサ部が、既に特定済みのゾーンに下方側で隣り合うゾーン、つまり、行き先階呼び、または各種機能の処理対象候補から除外されるゾーンに属するセンサ部であり、行き先階呼び、または各種機能の処理対象外となっているか否かを判断する(ステップS102)。
【0220】
操作を検知したセンサ部が既に処理対象外となっているゾーンに属する場合には(ステップS102:Yes)、処理はステップS101に戻り、このセンサ部の検知に対する処理は実行されない。
【0221】
一方、操作を検知したセンサ部が処理対象外のゾーンに属さない場合には(ステップS102:No)、制御部31aは、上記所定の微小期間内に、そのゾーンに上下方向のいずれかで隣接する他のゾーンに属するセンサ部により、対応する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作を検知したか否かを判断する(ステップS103)。
【0222】
上記所定の微小期間内に、隣接する他のゾーンに属するセンサ部により、対応する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作を検知した場合には(ステップS103:Yes)、制御部31aは、例えば記憶部36を参照して、複数のゾーンZ1~Z3について予め設定された優先順に基づいて、利用者が操作を意図する1つのゾーンを特定する(ステップS104)。
【0223】
また、制御部31aは、特定したゾーンに下方で隣接するゾーンに属する複数のセンサ部を、行き先階呼び、または各種機能の処理対象から除外する(ステップS105)。なお、制御部31aは、行き先階呼び、または各種機能の処理対象から除外した複数のセンサ部に関する情報として、対応するポート番号等を記憶部36等に記憶させる。記憶部36等に記憶させたポート番号等は、上記ステップS102の処理で、操作を検知したセンサ部が既に処理対象外となっているか否かの判定に用いられる。
【0224】
一方、上記所定の微小期間内に、隣接する他のゾーンに属するセンサ部により対応する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作を検知していない場合、すなわち、特定したゾーンに属するセンサ部に対応する行き先階表示部310、開閉表示部320、またはオプション表示部330への操作しか検知していない場合には(ステップS103:No)、上述のステップS104,S105の処理はスキップされる。
【0225】
また、制御部31aは、特定したゾーンに属し、所定の操作を検知したセンサ部が、行き先階呼びに関わるセンサ部311であるか否かを判定する(ステップS106)。そのセンサ部が行き先階呼びに関わるセンサ部311である場合には(ステップS106:Yes)、
図12に示すフローへと処理が進められる。そのセンサ部が行き先階呼びに関わるセンサ部311ではない場合には(ステップS106:No)、
図13に示すフローへと処理が進められる。
【0226】
図12には、
図11に示すフロー図に続く処理であって、実施形態の行き先階呼び装置30が、行き先階呼びに関わるセンサ部311の配列順に基づく検知パターンに基づいて、ゾーンZ2に属するいずれかのセンサ部311を特定する場合のエレベータ制御処理の手順の一例を示す。
【0227】
図12に示すように、
図11の処理において、ゾーンZ2が特定され、所定の操作を検知したセンサ部が行き先階呼びに関わるセンサ部311であった場合、物体検知部31の制御部31aは、例えば記憶部36を参照して、操作を検知したセンサ部311が、そのゾーンZ2内で既に特定されたセンサ部311についての上記所定の範囲、つまり、行き先階呼び登録の候補から除外される範囲に属するセンサ部311であり、行き先階呼び登録の対象外となっているか否かを判断する(ステップS202)。
【0228】
操作を検知したセンサ部311が既に行き先階呼び登録の対象外となっている場合には(ステップS202:Yes)、処理はステップS101に戻り、このセンサ部311の検知に対する処理は実行されない。
【0229】
一方、操作を検知したセンサ部311が行き先階呼び登録の対象外となっていない場合には(ステップS202:No)、制御部31aは、上記所定の微小期間内に、他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判断する(ステップS203)。
【0230】
上記所定の微小期間内に他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(ステップS203:Yes)、制御部31aは、予めポート番号に割り当てられた階床番号、あるいは、キャリブレーションによりポート番号に割り当てられることとなった階床番号を用い、物体検知によりオンした複数のセンサ部311のパターンに従って、利用者が操作を意図する1つのセンサ部311を特定する(ステップS221)。
【0231】
また、制御部31aは、特定したセンサ部311に対する上記所定の範囲に属する複数のセンサ部311を、行き先階呼び登録の対象から除外する(ステップS222)。なお、制御部31aは、行き先階呼び登録の対象から除外した複数のセンサ部311に関する情報として、対応する階床番号等を記憶部36等に記憶させる。記憶部36等に記憶させた階床番号等は、上記ステップS202の処理で、操作を検知したセンサ部311が既に行き先階呼び登録の対象外となっているか否かの判定に用いられる。
【0232】
一方、上記所定の微小期間内に他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知していない場合、すなわち、特定したセンサ部311に対応する行き先階表示部310への操作しか検知していない場合には(ステップS203:No)、物体検知部31の計時部31bが、そのセンサ部311による検知期間の計時を開始する(ステップS204)。
【0233】
計時部31bが計時を開始すると、制御部31aは、検知期間が待機期間を経過したか否かを判断する(ステップS205)。また、検知期間が待機期間を経過しないうちに(ステップS205:No)、センサ部311が非検知となったか否かを判定する(ステップS223)。待機期間が経過しないままセンサ部311が非検知となった場合には(ステップS223:Yes)、処理はステップS101に戻り、このセンサ部311の検知に対する処理は実行されない。センサ部311が検知状態を維持している間は(ステップS223:No)、制御部31aは待機期間の経過まで待機する。
【0234】
一方、検知期間が待機期間を経過した場合には(ステップS205:Yes)、制御部31aは、対象となっている行き先階の仮登録に関する情報を制御盤10に送信し、対応する表示灯313を暗点灯させる(ステップS206)。
【0235】
また、制御部31aは、計時対象のセンサ部311が非検知となったか否かを判定する(ステップS207)。対象のセンサ部311が検知状態を維持している場合には(ステップS207:No)、制御部31aは非検知状態となるまで待機する。
【0236】
計時対象のセンサ部311が非検知状態となると(ステップS207:Yes)、計時部31bは、対象のセンサ部311についての検知期間の計時を終了する(ステップS208)。また、制御部31aは、計時部31bが計時した検知期間が、上述の仮登録期間を経過していたか否かを判定する(ステップS209)。
【0237】
検知期間が仮登録期間を経過していなかった場合(ステップS209:No)、制御部31aは、対応する行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、暗点灯している表示灯313を消灯させる(ステップS224)。これにより処理は終了する。
【0238】
一方、検知期間が仮登録期間を経過していた場合(ステップS209:Yes)、計時部31bは、対象となっているセンサ部311について非検知期間の計時を開始する(ステップS210)。また、制御部31aは、計時部31bが計時した非検知期間が、保留期間を経過したか否かを判定する(ステップS211)。保留期間が経過するまでの間(ステップS211:No)、制御部31aは、他のいずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(ステップS225)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(ステップS225:No)、制御部31aは保留期間が経過するまで待機する。
【0239】
保留期間が経過すると(ステップS211:Yes)、計時部31bは非検知期間の計時を終了する(ステップS212)。また、制御部31aは、対応する行き先階に対する呼びがあったと判定し、通信部34を介して、その行き先階に対する行き先階呼び登録に関する情報を制御盤10に送信する(ステップS213)。制御盤10の通信部12が行き先階呼び登録に関する情報を受信すると、制御盤10の制御部11は、その行き先階について行き先階呼び登録を行うとともに、明点灯の指令を、通信部12を介して行き先階呼び装置30に送出する。行き先階呼び装置30の制御部31aは、対象の行き先階に対応する表示灯313を明点灯させる(ステップS214)。
【0240】
その後、制御部11は、その行き先階呼び登録に基づいて駆動装置2を制御して、乗りかご1を指定の行き先階へと走行させる。
【0241】
一方、非検知期間の計時が保留期間を経過する前に(ステップS211:No)、他のセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(ステップS225:Yes)、計時部31bは、当初のセンサ部311についての非検知期間の計時を終了する(ステップS226)。制御部31aは、当初のセンサ部311に対応する行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、対象となっていた行き先階表示部310に対応し、暗点灯している表示灯313を消灯させる(ステップS227)。また、制御部31aは、新たに検知された他の行き先階を行き先階として(ステップS228)、ステップS202からの処理を繰り返し実行する。
【0242】
以上により、実施形態の行き先階呼び装置30によるセンサ部311の検知に基づくエレベータ制御処理が終了する。
【0243】
図13には、
図11に示すフロー図に続く処理であって、実施形態の行き先階呼び装置30が、各種機能に基づく検知パターンに基づいて、いずれかのゾーンZ1,Z3に属する所定のセンサ部321,331を特定する場合のエレベータ制御処理の手順の一例を示す。
【0244】
図13に示すように、
図11の処理において、いずれかのゾーンZ1,Z3が特定され、所定の操作を検知したセンサ部が、いずれかの機能に関わるセンサ部321,331であった場合、物体検知部31の制御部31aは、例えば記憶部36を参照して、操作を検知したセンサ部321,331が、同一のゾーンZ1,Z3内で既に特定されたセンサ部321,331に対する劣位のセンサ部321,331であり、対応する機能についての処理対象外となっているか否かを判断する(ステップS302)。
【0245】
操作を検知したセンサ部321,331が既に処理対象外となっている場合には(ステップS302:Yes)、処理はステップS101に戻り、このセンサ部321,331の検知に対する処理は実行されない。
【0246】
一方、操作を検知したセンサ部321,331が処理対象外となっていない場合には(ステップS302:No)、制御部31aは、上記所定の微小期間内に、そのセンサ部321,331と同じゾーンZ1,Z3に属する他のセンサ部321,331により、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作を検知したか否かを判断する(ステップS303)。
【0247】
上記所定の微小期間内に、同じゾーンZ1,Z3に属する他のセンサ部321,331により、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作を検知した場合には(ステップS303:Yes)、制御部31aは、例えば記憶部36を参照して、複数の機能について予め設定された優先順に基づいて、利用者が操作を意図するいずれか1つのセンサ部321,331を特定する(ステップS321)。
【0248】
また、制御部31aは、特定したいずれかのセンサ部321,331に対して劣位となるセンサ部321,331を、対応する機能の処理対象から除外する(ステップS322)。なお、制御部31aは、処理対象から除外したセンサ部321,331に関する情報として、対応するポート番号等を記憶部36等に記憶させる。記憶部36等に記憶させたポート番号等は、上記ステップS302の処理で、操作を検知したセンサ部321,331が既に処理対象外となっているか否かの判定に用いられる。
【0249】
一方、上記所定の微小期間内に他のセンサ部321,331により、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作を検知していない場合、すなわち、特定したセンサ部321,331に対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作しか検知していない場合には(ステップS303:No)、物体検知部31の計時部31bが、そのセンサ部321,331による検知期間の計時を開始する(ステップS304)。
【0250】
計時部31bが計時を開始すると、制御部31aは、検知期間が、各種機能に関わるセンサ部321,331についての待機期間を経過したか否かを判断する(ステップS305)。また、検知期間が待機期間を経過しないうちに(ステップS305:No)、特定したセンサ部321,331が非検知となったか否かを判定する(ステップS323)。待機期間が経過しないままセンサ部321,331が非検知となった場合には(ステップS323:Yes)、処理はステップS101に戻り、このセンサ部321,331の検知に対する処理は実行されない。センサ部321,331が検知状態を維持している間は(ステップS323:No)、制御部31aは待機期間の経過まで待機する。
【0251】
一方、検知期間が待機期間を経過した場合には(ステップS305:Yes)、制御部31aは、対象となっている機能の仮登録に関する情報を制御盤10に送信し、対応する表示灯323,333を暗点灯させる(ステップS306)。
【0252】
また、制御部31aは、計時対象のセンサ部321,331が非検知となったか否かを判定する(ステップS307)。対象のセンサ部321,331が検知状態を維持している場合には(ステップS307:No)、制御部31aは非検知状態となるまで待機する。
【0253】
計時対象のセンサ部321,331が非検知状態となると(ステップS307:Yes)、計時部31bは、対象のセンサ部321,331についての検知期間の計時を終了する(ステップS308)。また、制御部31aは、計時部31bが計時した検知期間が、各種機能に関わるセンサ部321,331についての仮登録期間を経過していたか否かを判定する(ステップS309)。
【0254】
検知期間が仮登録期間を経過していなかった場合(ステップS309:No)、制御部31aは、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作はなされなかったと判定し、暗点灯している表示灯323,333を消灯させる(ステップS324)。これにより処理は終了する。
【0255】
一方、検知期間が仮登録期間を経過していた場合(ステップS309:Yes)、計時部31bは、対象となっているセンサ部321,331について非検知期間の計時を開始する(ステップS310)。また、制御部31aは、計時部31bが計時した非検知期間が、各種機能に関わるセンサ部321,331についての保留期間を経過したか否かを判定する(ステップS311)。
【0256】
保留期間が経過するまでの間(ステップS311:No)、制御部31aは、特定されたセンサ部321,331と同一のゾーンZ1,Z3に属する他のいずれかのセンサ部321,331が、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作を検知したか否かを判定する(ステップ325)。同じゾーンZ1,Z3内のいずれのセンサ部321,331も非検知状態であった場合には(ステップS325:No)、制御部31aは保留期間が経過するまで待機する。
【0257】
保留期間が経過すると(ステップS311:Yes)、計時部31bは非検知期間の計時を終了する(ステップS312)。また、制御部31aは、対応する機能を行わせる操作があったと判定し、通信部34を介して、その機能に関する情報を制御盤10に送信する(ステップS213)。制御盤10の通信部12が所定の機能に関する情報を受信すると、制御盤10の制御部11は、その機能に対応する表示灯323,333を明点灯させる指令を、通信部12を介して行き先階呼び装置30に送出する。行き先階呼び装置30の制御部31aは、対象の機能に対応する表示灯323,333を明点灯させる(ステップS314)。
【0258】
その後、制御部11は、その機能に関する情報に基づいて、乗りかご1を戸開もしくは戸閉し、乗り場等においてペット同乗通知を行わせ、または、乗りかご1内を換気させる。
【0259】
一方、非検知期間の計時が保留期間を経過する前に(ステップS311:No)、特定されたセンサ部321,331と同一のゾーンZ1,Z3に属する他のいずれかのセンサ部321,331が、対応する開閉表示部320またはオプション表示部330への操作を検知した場合には(ステップS325:Yes)、計時部31bは、当初のセンサ部321,331についての非検知期間の計時を終了する(ステップS326)。
【0260】
制御部31aは、当初のセンサ部321,331に対応する機能を行わせる操作はなされなかったと判定し、対象となっていた開閉表示部320またはオプション表示部330に対応し、暗点灯している表示灯323,333を消灯させる(ステップS327)。また、制御部31aは、新たに検知された他のセンサ部321,331を処理対象候補のセンサ部321,331として特定し(ステップS328)、ステップS302からの処理を繰り返し実行する。
【0261】
以上により、実施形態の行き先階呼び装置30によるセンサ部321,331の検知に基づくエレベータ制御処理が終了する。
【0262】
(概括)
エレベータの乗りかご内において、行き先階呼びを行う場合、利用者の手指を検知するセンサ部を用いて、非接触でこれらの操作を行う技術が知られている。非接触での行き先階呼びの操作においては、利用者の指先に近いセンサ部が優先的に選択される制御が行われる場合がある。また、センサ部が利用者の手指等を検知した場合、直ちに行き先階呼びに応答するのではなく、一定期間をおくなど所定の条件を満たした場合に応答する制御が行われる場合もある。
【0263】
しかしながら、乗りかご内の操作盤には、行き先階呼びに関わるセンサ部だけでなく、各種の機能に関わるセンサ部等、役割の異なる種々のセンサ部が配置される場合がある。この場合、役割の異なる複数種類のセンサ部が利用者の手指等を検知すると、いずれのセンサ部に対応する処理が全て受け付けられて、利用者の意図しない処理が行われてしまうことが起こりうる。
【0264】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、複数のセンサ部311,321,331のうち、隣接する複数のゾーンZ1~Z3にそれぞれ属する2つ以上のセンサ部311,321,331が、所定の微小期間内に所定の操作を検知した場合には、これら2つ以上のセンサ部311,321,331の中から優先順の高いゾーンZ1~Z3に属するセンサ部311,321,331を特定し、特定されたセンサ部311,321,331に対応する動作に関する情報を、乗りかご1を制御する制御盤10へと送信する。これにより、複数のセンサ部311,321,331によって検知がなされた場合でも、利用者が意図しない処理が行われることを抑制できる。
【0265】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、複数のセンサ部311,321,331のうち、いずれかの機能を表示する開閉表示部320またはオプション表示部330に対応するセンサ部321,331と、行き先階を表示する行き先階表示部310に対応するセンサ部311とは、それぞれ異なるゾーンZ1~Z3に属している。
【0266】
このように、センサ部311,321,331の役割に応じてこれらのセンサ部311,321,331を異なるゾーンZ1~Z3に配置することで、同一のゾーンZ1~Z3内で複数のセンサ部311,321,331がオンした際、例えば操作盤350上の領域の大半を占める複数のセンサ部311と、個数が限られているセンサ部321,331とで、これらのセンサ部311,321,331から1つのセンサ部311,321,331を特定する制御手法を異ならせることができる。
【0267】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、ゾーンZ1に属するいずれかのセンサ部321と、ゾーンZ1に下方側で隣接するゾーンZ2に属するいずれかのセンサ部311とが、所定の微小期間内に所定の操作を検知した場合には、ゾーンZ1に属するセンサ部321を特定する。また、ゾーンZ3に属するいずれかのセンサ部331と、ゾーンZ3に上方側で隣接するゾーンZ2に属するいずれかのセンサ部311とが、所定の微小期間内に所定の操作を検知した場合には、ゾーンZ2に属するセンサ部311を特定する。
【0268】
このように、操作盤350上のより上位に位置するゾーンZ1~Z3の優先順を高めておくことで、利用者が所定のセンサ部311,321,331に手を延ばすときの手指の動きに鑑みて、利用者が意図しない処理が行われることを抑制できる。
【0269】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、ゾーンZ1に属するいずれかのセンサ部321と、ゾーンZ1に上下方向で隣接しないゾーンZ3に属するいずれかのセンサ部331とが所定の操作を検知した場合には、それらの操作の検知が、所定の微小期間内に行われた場合であっても、ゾーンZ1,Z3に属するセンサ部321,331を共に特定する。
【0270】
上述のように、下方向に隣接しないゾーンZ1,Z3に属するセンサ部321,331が、過検知または誤検知してしまうことは考えづらい。したがって、これらのセンサ部321,331を共に特定することで、利用者が意図するセンサ部321,331を特定することができる。
【0271】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、ゾーンZ2に属する2つ以上のセンサ部311が、所定の微小期間内に所定の操作を検知した場合には、ゾーンZ2内におけるセンサ部311の配列順に応じた検知パターンに基づいて、2つ以上のセンサ部311の中から1つのセンサ部311を特定し、特定されたセンサ部311に対応する行き先階表示部310が表示する階床を行き先階とする行き先階呼び登録に関する情報を、制御盤10へと送信する。
【0272】
このように、ゾーンZ1~Z3間に優先順を設定しておくとともに、例えば操作盤350上の領域の大半を占める複数のセンサ部311については、これらのセンサ部311の配列順に応じた検知パターンも設定しておくことで、同一ゾーンZ2に属する複数のセンサ部311が過検知または誤検知した場合であっても、利用者が意図するセンサ部311を特定することができる。
【0273】
実施形態の行き先階呼び装置30によれば、ゾーンZ1に属する2つ以上のセンサ部321が、所定の微小期間内に所定の操作を検知した場合には、センサ部321により操作が可能な機能に応じた検知パターンに基づいて、これら2つ以上のセンサ部321の中から1つのセンサ部321を特定し、特定されたセンサ部321に対応する機能に関する情報を、制御盤10へと送信する。
【0274】
このように、ゾーンZ1~Z3間に優先順を設定しておくとともに、例えば個数が限られているセンサ部321については、対応する機能のニーズ、重要度、または緊急度等に基づく検知パターンも設定しておくことで、同一ゾーンZ1に属する複数のセンサ部321が過検知または誤検知した場合であっても、利用者が意図するセンサ部321を特定することができる。このような効果は、同一ゾーンZ3に属する複数のセンサ部331についても同様に得られる。
【0275】
なお、上述の実施形態の行き先階呼び装置30の各種構成、及び各種機能は、乗りかご内に設置され、車椅子使用者の操作に供する操作盤等にも適用可能である。
【0276】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0277】
1…乗りかご、2…駆動装置、3…カウンタウェイト、4…ロープ、10…制御盤、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、30…行き先階呼び装置、31…物体検知部、31a…制御部、31b…計時部、32…押下検知部、32a…制御部、34…通信部、36…記憶部、100…エレベータ制御システム、310…行き先階表示部、311,321,331…センサ部、312,322,332…押しボタン、313,323,333…表示灯、318…表示装置、320…開閉表示部、330…オプション表示部、350…操作盤、610…基板、620…入力端子。
【要約】
【課題】複数のセンサ部によって検知がなされた場合でも、利用者が意図しない処理が行われることを抑制すること。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、乗りかごの利用者による所定の表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、少なくとも縦方向に並ぶ複数のゾーンに分かれ、複数のセンサ部が複数のゾーンのいずれかに属するよう、複数の表示部と複数のセンサ部とが配列された操作盤と、連続する複数の識別情報のそれぞれで識別され、複数のセンサ部がそれぞれ接続される複数の入力端子と、を備え、複数のセンサ部のうち、隣接する複数のゾーンにそれぞれ属する2つ以上のセンサ部が第1の期間内に操作を検知した場合には、2つ以上のセンサ部の中から優先順の高いゾーンに属するセンサ部を特定し、特定されたセンサ部に対応する動作に関する情報を、乗りかごを制御する制御盤へと送信する。
【選択図】
図1