(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】乗客コンベアの照明装置および乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 23/22 20060101AFI20240109BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B66B23/22 H
B66B31/00 E
(21)【出願番号】P 2022199712
(22)【出願日】2022-12-14
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 龍太郎
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-027884(JP,A)
【文献】実開昭57-025879(JP,U)
【文献】特開2018-203507(JP,A)
【文献】特開2020-200162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺ベルトを案内する手摺デッキに沿って延びる乗客コンベアの照明装置であって、
第1照明ケースと、
前記第1照明ケースに隣り合う第2照明ケースと、
前記第1照明ケースの内部と前記第2照明ケースの内部で連続して延びる光源ユニットと、
前記第1照明ケースから前記第2照明ケースに延びる遮光性部材であって、前記光源ユニットから前記手摺デッキに向かう光を遮る遮光性部材と、
を備え
、
前記第1照明ケースおよび前記第2照明ケースは、前記手摺デッキの前記手摺ベルトとは反対側の面に取り付けられ、
前記第1照明ケースおよび前記第2照明ケースはそれぞれ、前記手摺デッキに支持される遮光性ベースであって、前記光源ユニットから前記手摺デッキに向かう光を遮る遮光性ベースと、前記遮光性ベースに取り付けられたカバーであって、前記遮光性ベースに対して前記手摺デッキとは反対側に配置され、前記光源ユニットからの光を透過するカバーと、を含み、
前記遮光性部材は、前記光源ユニットのうちの前記遮光性ベースの側の部分に配置され、
前記遮光性部材は、前記光源ユニットのうちの前記手摺デッキの側の面および側面を覆い、
前記遮光性部材は、前記光源ユニットに貼り付けられている、
乗客コンベアの照明装置。
【請求項2】
前記遮光性部材は、前記第1照明ケースに対向する第1部分と、前記第2照明ケースに対向する第2部分と、を含み、
前記手摺デッキに沿う方向において、前記第1部分の長さと、前記第2部分の長さは等しい、
請求項1に記載の乗客コンベアの照明装置。
【請求項3】
請求項1または
2に記載の乗客コンベアの照明装置
を備えた、乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施の形態は、乗客コンベアの照明装置および乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの手摺ベルトを案内する手摺デッキに、照明装置が設けられている場合がある。照明装置は、手摺デッキに沿って延びている。照明装置は、光源が、光を透過可能な透過性を有する照明ケースに収容された構造を有している。
【0003】
照明装置から望ましくない光漏れが発生すると、乗客コンベアの意匠性が低下する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2021/038853号
【文献】特開平4-361979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施の形態は、光漏れによる意匠性低下を抑制することができる乗客コンベアの照明装置および乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態は、手摺デッキに沿って延びる乗客コンベアの照明装置である。照明装置は、第1照明ケースと、第1照明ケースに隣り合う第2照明ケースと、第1照明ケースの内部と第2照明ケースの内部で連続して延びる光源ユニットと、第1照明ケースから第2照明ケースに延びる遮光性部材であって、光源ユニットから手摺デッキに向かう光を遮る遮光性部材と、を備えている。
【0007】
実施の形態は、手摺デッキに沿って延びるとともにスカートの外部から内部に延びる乗客コンベアの照明装置である。照明装置は、スカートの外部で手摺デッキに設けられた第1照明ケースと、スカートの内部に設けられた第2照明ケースであって、第1照明ケースに隣り合う第2照明ケースと、第1照明ケースの内部と第2照明ケースの内部で連続して延びる光源ユニットと、を備えている。第2照明ケースは、スカートに支持されたベースと、ベースに取り付けられたカバーであって、ベースの上方に配置されたカバーと、を含んでいる。カバーは、光源ユニットから上方に向かう光を遮る遮光性を有している。
【0008】
実施の形態は、上述の乗客コンベアの照明装置を備えた、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による乗客コンベアの全体概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の照明装置を、ケースを省略して示す側面図である。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態による照明装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本実施の形態による乗客コンベアの照明装置および乗客コンベアについて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
まず、
図1を参照して、本実施の形態による乗客コンベア1について説明する。ここでは、乗客コンベア1として、エスカレータを例にとって説明するが、本実施の形態による乗客コンベア1は、動く歩道であってもよい。
【0012】
図1に示すように、乗客コンベア1は、複数の踏段2と、駆動装置3と、一対の欄干4と、一対のスカート5と、一対の手摺デッキ6と、一対の手摺ベルト7と、一対の照明装置30と、を備えている。
【0013】
踏段2は、無端状の踏段チェーン8によって連結されている。踏段2は、案内レール9によって案内されながら下階の乗降口10と上階の乗降口11との間で循環移動する。本実施の形態においては、踏段2は、乗客が下階の乗降口10から上階の乗降口11に向かう方向に移動する例で説明する。
【0014】
駆動装置3は、手摺ベルト7と共に踏段2を循環移動させる。駆動装置3は、図示しない駆動モータ及び減速機を含んでいてもよい。
【0015】
踏段2を循環移動させる構成についてより具体的に説明する。
図1に示すように、建物の床下にトラス12が設置されている。トラス12の上階側には、上機械室13が設けられ、上機械室13に、駆動装置3と共に駆動スプロケット14が収容されている。駆動装置3の回転は、駆動チェーン15によって駆動スプロケット14に伝達される。トラス12の下階側には、下機械室16が設けられ、下機械室16に従動スプロケット17が収容されている。駆動スプロケット14と従動スプロケット17に、上述した踏段チェーン8が掛け渡されている。駆動装置3が駆動されると、駆動スプロケット14が回転し、踏段チェーン8が循環移動する。このようにして、踏段2は、乗降口10と乗降口11との間を循環移動し、乗客を搬送する。
【0016】
欄干4は、踏段2の左右両側に垂直に設けられている。欄干4は、透過性を有する部材で形成されており、例えばガラスで形成されている。欄干4は、下階の乗降口10から上階の乗降口11まで延びている。欄干4は、上部4aと、ニュアル部4bと、を含んでいる。上部4aは、乗降口10から乗降口11まで延びている。ニュアル部4bは、各乗降口10、11に設けられており、円弧状に形成された外周縁を含んでいる。各ニュアル部4bにおいて、手摺ベルト7が移動方向を反転している。
【0017】
スカート5は、対応する欄干4の下部を覆っている。スカート5は、欄干4と同様に乗降口10から乗降口11に向かって延びている。
【0018】
手摺デッキ6は、欄干4の外周縁に沿って延びている。より具体的には、手摺デッキ6は、下階のニュアル部4b、上部4aおよび上階のニュアル部4bに沿って形成されている。手摺デッキ6は、対応するスカート5の内部に延びていてもよい。手摺デッキ6は、
図2に示すように、欄干4の両側に設けられた、手摺ベルト7とは反対側に突出する2つの凸部6aを含んでいる。
図2においては、凸部6aは下方に突出している。2つの凸部6aの間に、欄干4が挿入されている。手摺デッキ6は、手摺レールと称する場合もある。
【0019】
図1に示すように、手摺ベルト7は、欄干4の上部4aに設けられた手摺デッキ6に案内されながら移動方向Dに移動する。手摺ベルト7は、踏段2と同期して踏段2と循環移動する。手摺ベルト7は、上階の乗降口11においてニュアル部4bに設けられた手摺デッキ6に沿って移動方向を反転してスカート5の内部に進入する。手摺ベルト7は、トラス12内に設けられた手摺ベルトシーブ18に掛け渡されている。手摺ベルトシーブ18は、駆動スプロケット14と同期して回転するように構成されており、手摺ベルト7は、押圧ローラ群19によって、手摺ベルトシーブ18に押圧されている。このようにして、手摺ベルトシーブ18の回転によって手摺ベルト7は循環移動する。手摺ベルトシーブ18の前後において、手摺ベルト7は案内ローラ群20に案内されている。そして、手摺ベルト7は、手摺ベルトシーブ18からスカート5の内部を通って下階の乗降口10まで進む。手摺ベルト7は、乗降口10おいてスカート5の外部に進出し、ニュアル部4bに設けられた手摺デッキ6に沿って移動方向を反転する。そして、手摺ベルト7は、上部4aに設けられた手摺デッキ6に案内されて移動方向Dに移動する。
【0020】
次に、本実施の形態による照明装置30について
図1~
図4を用いて説明する。
【0021】
図1に示すように、照明装置30は、手摺デッキ6に沿って設けられている。
図2に示すように、照明装置30は、欄干4の外側に配置されている。より具体的には、欄干4に対して外側に位置する手摺デッキ6の凸部6aに、照明装置30が取り付けられている。
【0022】
本実施の形態による照明装置30は、
図1および
図2に示すように、第1照明ケース31と、第2照明ケース32と、光源ユニット35と、遮光性部材40と、を備えている。
【0023】
図1に示すように、照明装置30が備える照明ケースは、乗客コンベア1の揚程に応じて、複数に分割されている。ここでは、複数の照明ケースのうちの代表例となる2つの照明ケースを第1照明ケース31および第2照明ケース32と称して以下説明する。第1照明ケース31および第2照明ケース32は、手摺デッキ6に沿う方向(手摺ベルト7の移動方向D)において隣り合っている。第1照明ケース31と第2照明ケース32との間には、隙間39(
図3参照)が形成されている。なお、踏段2の移動方向Dは、反対方向であってもよい。
【0024】
図2に示すように、第1照明ケース31および第2照明ケース32は、手摺デッキ6の下面に取り付けられている。より具体的には、欄干4に対して外側に位置する手摺デッキ6の凸部6aの下面に、第1照明ケース31および第2照明ケース32が取り付けられている。
【0025】
第1照明ケース31および第2照明ケース32はそれぞれ、手摺デッキ6に支持される遮光性ベース33と、遮光性ベース33に取り付けられたカバー34と、を含んでいる。遮光性ベース33は、手摺デッキ6の凸部6aに固定されている。遮光性ベース33は、図示しないボルトで手摺デッキ6に固定されていてもよく、または手摺デッキ6に貼り付けられていてもよい。カバー34は、遮光性ベース33に対して手摺デッキ6とは反対側(
図2における下方)に配置されている。
【0026】
遮光性ベース33の横断面は、下方に向かって開口するようにコの字状(角張ったU字状)に形成されている。カバー34の横断面は、上方に向かって開口するようにU字状(湾曲したU字状)に形成されている。
【0027】
遮光性ベース33およびカバー34は、弾力性を有する材料で形成されていてもよく、例えば、樹脂材料で形成されていてもよい。遮光性ベース33は、後述するLED光源37から手摺デッキ6に向かう光を遮る遮光性を有している。カバー34は、LED光源37からの光を透過する透過性を有している。
【0028】
図3に示すように、光源ユニット35は、第1照明ケース31の内部と第2照明ケース32の内部で連続して延びている。光源ユニット35は、各照明ケース31、32の内部に収容されている。光源ユニット35は、乗降口10、11の一方から他方まで連続して延びていてもよいが、乗客コンベア1の揚程に応じて、照明装置30は複数の光源ユニット35を含んでいてもよい。
【0029】
横断面で見たときに、カバー34の上端部34dは、遮光性ベース33の下端部33dに係合していてもよい。より具体的には、
図4に示すように、遮光性ベース33の下端部33dに、ベース係合部33aが設けられており、カバー34の上端部34dに、カバー係合部34aが設けられている。ベース係合部33aとカバー係合部34aが係合している。
【0030】
より具体的には、ベース係合部33aは、爪33bと溝33cとを含んでおり、爪33bは、溝33cの下方に配置されている。爪33bは遮光性ベース33の内側に向かって突出しており、溝33cは、遮光性ベース33の内側面に形成されている。カバー係合部34aは、爪34bと溝34cとを含んでおり、爪34bは、溝34cの上方に配置されている。爪34bは、カバー34の外側に向かって突出しており、溝34cは、カバー34の外側面に形成されている。ベース係合部33aの爪33bは、カバー係合部34aの溝34cに挿入されて係合し、カバー係合部34aの爪34bは、ベース係合部33aの溝33cに挿入されて係合している。これにより、カバー34が遮光性ベース33に取り付けられている。
【0031】
図2に示すように、光源ユニット35は、テープ状の基材36と、基材36上に設けられた複数のLED光源37と、基材36およびLED光源37が収容されたチューブ38と、を含んでいてもよい。基材36は、手摺デッキ6に沿って延びており、LED光源37は、基材36の長手方向に沿って所定の間隔を空けて並んでいる。
図2では、チューブ38内に空間が形成されている例が示されているが、
図4に示すように、樹脂材料が充填されて空間が形成されていなくてもよい。
【0032】
基材36およびチューブ38は、弾力性を有する材料で形成されていてもよく、例えば、樹脂材料で形成されていてもよい。基材36およびチューブ38は、LED光源37からの光を透過する透過性を有している。しかしながら、光源ユニット35の構成は、第1照明ケース31の内部と第2照明ケース32の内部で連続して延びていれば任意である。光源ユニット35は、LED光源37以外の光源で構成されていてもよい。
【0033】
図3に示すように、遮光性部材40は、第1照明ケース31から第2照明ケース32に延びている。遮光性部材40は、照明ケース31、32の内部に配置されている。遮光性部材40は、光源ユニット35から手摺デッキ6に向かう光を遮るように構成されている。
【0034】
図2~
図4に示すように、本実施の形態においては、遮光性部材40は、光源ユニット35のうちの遮光性ベース33の側の部分に配置されている。遮光性部材40は、光源ユニット35に貼り付けられていてもよい。
図4に示すように、遮光性部材40は、両面テープ41を介在させて光源ユニット35のチューブ38に貼り付けられていてもよい。遮光性部材40は、光源ユニット35のチューブ38のうちの手摺デッキ6の側の面38aおよび両側面38bを覆っていてもよい。手摺デッキ6の側の面は、チューブ38の上面と称されてもよい。
図2および
図4に示すチューブ38の側面38bには段差が形成されているが、遮光性部材40は、段差に沿うように形成されていてもよい。横断面で見たときに、遮光性部材40の下端は、遮光性ベース33の下端と同程度の高さ位置に位置していてもよい。
【0035】
図3に示すように、遮光性部材40は、第1照明ケース31に対向する第1部分40aと、第2照明ケース32に対向する第2部分40bと、を含んでいる。手摺デッキ6に沿う方向において、第1部分40aの長さX1と、第2部分40bの長さX2は、等しくてもよい。手摺デッキ6に沿う方向において、遮光性部材40は、隙間39が中央に位置するように配置されていてもよい。
【0036】
遮光性部材40は、テープ状に形成されていてもよい。遮光性部材40は、LED光源37からの光を遮る遮光性を有している。例えば、遮光性部材40は、黒色テープであってもよい。しかしながら、遮光性部材40の構成は、光源ユニット35から手摺デッキ6に向かう光を遮ることができれば、任意である。
【0037】
ところで、光源ユニット35は、上述した遮光性ベース33の内面(下面)に貼り付けられていてもよい。例えば、遮光性部材40と遮光性ベース33との間に介在された両面テープ(図示せず)で、光源ユニット35が遮光性ベース33に取り付けられていてもよい。
【0038】
上述したように、複数の照明ケースのうちの代表例として、隣り合う2つの照明ケースを第1照明ケース31および第2照明ケース32と称して本実施の形態の説明を行っている。このため、本実施の形態による遮光性部材40は、隣り合う1組の照明ケースの間の隙間39だけに適用されることに限られることはなく、隣り合う各組の照明ケースの間に適用されてもよい。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態による照明装置30は、欄干4の上部4aで手摺デッキ6に沿って設けられている。そして、照明装置30は、乗降口10、11において欄干4のニュアル部4bに沿って形成されて、ニュアル部4bの下部に延びていてもよく、ニュアル部4bの下部からスカート5の内部に延びていてもよい。光源ユニット35を構成する基材36とチューブ38が弾力性を有する場合、照明装置30をニュアル部4bの円弧形状に沿わせることができ、スカート5の内部まで容易に延ばすことができる。この場合、意匠性を向上させることができる。しかしながら、本実施の形態による照明装置30は、ニュアル部4bおよびスカート5の内部に形成されていなくてもよい。
【0040】
上述のように構成された照明装置30において、光源ユニット35のLED光源37から発せられた光は、各照明ケース31、32のカバー34を透過する。各照明ケース31、32の遮光性ベース33は、LED光源37から発せられた光を遮る。このことにより、欄干4の上部4aに位置するLED光源37から発せられた光は、主として下方に放射され、上方に放射されることが抑制される。
【0041】
上述したように、乗客コンベア1の揚程に応じて、照明装置30が複数の照明ケースを含んでいる。例えば、隣り合う第1照明ケース31と第2照明ケース32との間に隙間39が形成されている。このことにより、第1照明ケース31および第2照明ケース32の内部に配置されているLED光源37から発せられた光が、この隙間39を通って上方に放射され得る。この隙間39の両側では、上述したように、各照明ケース31、32の遮光性ベース33によって上方に向かう光が遮られている。この隙間39に光源ユニット35のLED光源37が配置されている場合には、隙間39から比較的強い光が放射され得る。一方、隙間39に対してずれた位置にLED光源37が配置されている場合であっても、第1照明ケース31の内部と第2照明ケース32の内部を連続して延びているチューブ38を伝わる光が、隙間39から上方に放射され得る。このため、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性が低下し得る。
【0042】
これに対して本実施の形態によれば、遮光性部材40が、第1照明ケース31から第2照明ケース32に延びている。このことにより、遮光性部材40は、第1照明ケース31と第2照明ケース32との間の隙間39を覆うことができ、この隙間39を通って光が上方に放射されることを抑制できる。このため、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性低下を抑制できる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、遮光性部材40は、光源ユニット35のうちの遮光性ベース33の側の部分に配置されている。このことにより、光源ユニット35から、手摺デッキ6に向かって上方に放射される光を効果的に遮ることができる。このため、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性低下を効果的に抑制できる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、遮光性部材40は、光源ユニット35のチューブ38のうちの手摺デッキ6の側の面38aおよび側面38bを覆っている。このことにより、光源ユニット35から手摺デッキ6の側に放射される光を効果的に遮るとともに、光源ユニット35から横方向に放射される光を効果的に遮ることができる。このため、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性低下を効果的に抑制できる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、遮光性部材40は、光源ユニット35に貼り付けられている。このことにより、遮光性部材40を光源ユニット35に容易に取り付けることができる。このため、遮光性部材40の取付作業負担を軽減することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、手摺デッキ6に沿う方向において、遮光性部材40のうちの第1照明ケース31に対向する第1部分40aの長さと、第2照明ケース32に対向する第2部分40bの長さが、等しくなっている。このことにより、第1照明ケース31からの光漏れと、第2照明ケース32からの光漏れが偏ることを抑制できる。このため、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性低下を効果的に抑制できる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、
図5~
図7を用いて、第2の実施の形態による乗客コンベアの照明装置および乗客コンベアについて説明する。
【0048】
図5~
図7に示す第2の実施の形態においては、スカートの内部に設けられた第2照明ケースのカバーが遮光性を有している点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図5~
図7において、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図5~
図7に示すように、本実施の形態による照明装置30は、第1照明ケース51と、第2照明ケース52と、光源ユニット35と、を備えている。
図6は、スカート5の内部断面図を示しているが、
図6に示す手摺デッキ6は、スカート5の外部に位置する手摺デッキ6を示している。
【0050】
第1照明ケース51は、スカート5の外部で手摺デッキ6に設けられている。第1照明ケース51は、ニュアル部4bの下部に配置されている。第1照明ケース51は、上述した遮光性ベース33とカバー34とを含んでおり、第1の実施の形態による第1照明ケース31および第2照明ケース32と同様に構成されているため、ここでは詳細な説明は省略する。ニュアル部4bの下部に位置する第1照明ケース51のカバー34は、遮光性ベース33の上方に配置されている。
【0051】
第2照明ケース52は、スカート5の内部に設けられている。第2照明ケース52は、手摺デッキ6に沿う方向(手摺ベルト7の移動方向)において第1照明ケース51に隣り合っている。
【0052】
図5に示すように、第2照明ケース52は、ベース53と、カバー54と、を含んでいる。ベース53は、スカート5に支持されている。手摺デッキ6は、ベース53を支持する位置まで延びていなくてもよい。手摺デッキ6は、スカート5の内部まで延びていなくてもよい。第2照明ケース52のベース53は、手摺デッキ6ではなく、スカート5内に配置された構造物5aを介して、スカート5に支持されていてもよい。カバー54は、ベース53に取り付けられており、ベース53の上方に配置されている。
【0053】
図7に示すように、ベース53の横断面は、上方に向かって開口するようにコの字状(角張ったU字状)に形成されており、カバー54の横断面は、下方に向かって開口するようにU字状(湾曲したU字状)に形成されている。本実施の形態による第2照明ケース52は、
図2に示す照明ケース31、32を上下反転した構造を有していてもよい。
【0054】
ベース53およびカバー54は、弾力性を有する材料で形成されていてもよく、例えば、樹脂材料で形成されていてもよい。ベース53は、LED光源37から発せられた光を遮る遮光性を有していてもよい。カバー54は、LED光源37からの光を遮る遮光性を有していてもよい。
【0055】
横断面で見たときに、カバー54の下端部54dは、ベース53の上端部53dに係合していてもよい。より具体的には、
図7に示すように、ベース53の上端部53dに、ベース係合部53aが設けられており、カバー54の下端部54dに、カバー係合部54aが設けられている。ベース係合部53aとカバー係合部54aが係合している。
【0056】
より具体的には、ベース係合部53aは、爪53bと溝53cとを含んでおり、爪53bは、溝53cの上方に配置されている。爪53bはベース53の内側に向かって突出しており、溝53cは、ベース53の内側面に形成されている。カバー係合部54aは、爪54bと溝54cとを含んでおり、爪54bは、溝54cの下方に配置されている。爪54bは、カバー54の外側に向かって突出しており、溝54cは、カバー54の外側面に形成されている。ベース係合部53aの爪53bは、カバー係合部54aの溝54cに挿入されて係合し、カバー係合部54aの爪54bは、ベース係合部53aの溝53cに挿入されて係合している。これにより、カバー54がベース53に取り付けられている。
【0057】
図5に示すように、第1照明ケース51と第2照明ケース52との間に、隙間56が形成されていてもよい。この隙間56は、スカート5の内部に配置されている。第1照明ケース51の一部は、スカート5の内部に挿入されていてもよい。
【0058】
光源ユニット35は、第1照明ケース51の内部と第2照明ケース52の内部で連続して延びている。光源ユニット35の構成は、第1の実施の形態による光源ユニット35と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0059】
光源ユニット35から電源ケーブル55が延びている。電源ケーブル55は、スカート5の内部に配置されていてもよい。電源ケーブル55は、図示しない電源から光源ユニット35のLED光源37に電力を供給するためのケーブルである。電源ケーブル55は、光源ユニット35に一体に形成されていてもよく、光源ユニット35と別体に形成されて光源ユニット35に接続されていてもよい。電源ケーブル55は、スカート5またはトラス12の内部に配置されている制御盤(図示せず)に接続されて、電力を光源ユニット35に供給可能になっていてもよい。この場合、電源ケーブル55は、スカート5の内部からトラス12の内部に延びていてもよい。
【0060】
このように本実施の形態によれば、スカート5の内部に設けられた第2照明ケース52が、スカート5に支持されたベース53の上方に配置されたカバー54を含み、カバー54が、光源ユニット35から上方に向かう光を遮る遮光性を有している。このことにより、カバー54は、第2照明ケース52の内部に配置された光源ユニット35から上方に発せられる光を遮ることができる。このため、照明装置30の光が、スカート5の構造物の隙間などから外部に漏れることを抑制できる。この結果、光漏れによる乗客コンベア1の意匠性低下を抑制できる。また、スカート5の内部で光を遮ることができるため、光源ユニット35をスカート5の外部からスカート5の内部に延ばすことができる。この場合、照明装置30に長尺の光源ユニット35を用いることができ、光源ユニット35の長さに制限が課されることを抑制できる。このため、光源ユニット35の入手性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、光源ユニット35から延びる電源ケーブル55が、スカート5の内部に配置されている。このことにより、照明装置30の配線作業を容易化させることができ、作業性を向上させることができる。
【0062】
以上述べた実施の形態によれば、光漏れによる意匠性低下を抑制することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1:乗客コンベア、30:照明装置、31:第1照明ケース、32:第2照明ケース、33:遮光性ベース、34:カバー、35:光源ユニット、40:遮光性部材、40a:第1部分、40b:第2部分、51:第1照明ケース、52:第2照明ケース、53:ベース、53d:上端部、54:カバー、54d:下端部、55:電源ケーブル
【要約】
【課題】光漏れによる意匠性低下を抑制することができる乗客コンベアの照明装置を提供する。
【解決手段】実施の形態による乗客コンベアの照明装置は、手摺デッキに沿って延びる乗客コンベアの照明装置である。照明装置は、第1照明ケースと、第1照明ケースに隣り合う第2照明ケースと、第1照明ケースの内部と第2照明ケースの内部で連続して延びる光源ユニットと、第1照明ケースから第2照明ケースに延びる遮光性部材であって、光源ユニットから手摺デッキに向かう光を遮る遮光性部材と、を備えている。
【選択図】
図2