(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】改良型可調式キャップ付きマスチケーティングジューサ
(51)【国際特許分類】
A47J 19/00 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A47J19/00 A
(21)【出願番号】P 2022510149
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 US2020046139
(87)【国際公開番号】W WO2021030566
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514178956
【氏名又は名称】グリーンフィールド ワールド トレード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Greenfield World Trade, Inc.
【住所又は居所原語表記】3355 Enterprise Avenue,Suite 160 Fort Lauderdale,Florida,33331 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】フィールズ ティモシー
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205338557(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0109776(US,A1)
【文献】中国実用新案第203539062(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスチケーティングジューサであって、
ドラム内で回転して前記マスチケーティングジューサ中に導入された少なくとも一種類の食品に対してマスチケーティングプロセスを実施するよう構成されたオーガを有し、前記マスチケーティングプロセスはジュースおよびパルプを生じさせると共に、前記オーガは、その軸線方向端部に端面を有し、
前記ドラムの一端に結合された端キャップを有し、前記端キャップは、前記オーガの前記端面に設けられた可撓性リングを有し、前記可撓性リングは、圧力を前記可撓性リングに加えるパルプに応動して撓むよう構成された弾性的に撓むことができる材料で作られており、前記端キャップは、前記可撓性リングと前記オーガの前記端面との間の軸線方向距離を変化させるように、前記可撓性リングの全体を、前記オーガの前記端面の方へ、又は前記オーガの前記端面から遠ざかるように移動させる、マスチケーティングジューサ。
【請求項2】
前記可撓性リングは、エラストマー材料で作られている、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、シリコーンである、請求項
2記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項4】
前記可撓性リングは、前記オーガの前記端面の方へ向けられたテーパ付き表面を備えたテーパ付き部分を含む、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項5】
前記テーパ付き部分の前記テーパ付き表面は、前記オーガの軸方向に関して前記オーガの前記端面から遠ざかって延びるにつれて半径方向にテーパしている、請求項4記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項6】
前記テーパ付き部分は、半径方向内方に、前記テーパ付き表面の端に設けられたリップを有し、前記リップは、前記可撓性リングを貫通した開口部を形成し、前記パルプは、該開口部を通る、請求項4記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項7】
前記開口部の流れ面積は、前記可撓性リングの前記テーパ付き部分の前記テーパ付き表面が、前記オーガの前記端面から半径方向外方に遠ざかるように撓む際に増大する、請求項6記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項8】
前記テーパ付き部分は、切頭円錐形である、請求項4記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項9】
前記テーパ付き表面は、前記オーガの前記端面の軸方向に整列し、対向した部分の形状に実質的に対応した形状を有する、請求項4記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項10】
前記可撓性リングは、円筒形部分をさらに含み、前記テーパ付き部分は、前記円筒形部分から半径方向内方に延びている、請求項4記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項11】
前記テーパ付き部分は、前記オーガの前記一端寄りに設けられた前記円筒形部分の第1の端に隣接したところで前記円筒形部分と交差している、請求項10記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項12】
前記円筒形部分の第2の端が前記端キャップの剛性部分に係合する、請求項11記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項13】
前記オーガの前記端面と前記可撓性リングの対向する面との間に存在する隙間が前記可撓性リングの撓みの際に増大する、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項14】
前記可撓性リングは、前記可撓性リングの撓みの際に前記端キャップの剛性部分に当接する、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項15】
前記端キャップと前記ドラムは、前記端キャップの回転が前記オーガの前記
軸線方向に関して前記端キャップの調節に対応する仕方で互いに協働するねじ山を有する、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項16】
前記可撓性リングは、前記オーガの回転軸線回りに円周方向に延長された実質的にV字形の断面を有する、請求項1記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項17】
前記V字形断面の尖り部分が前記オーガの前記
端面に向かって設けられている、請求項16記載のマスチケーティングジューサ。
【請求項18】
マスチケーティングジューサであって、
ドラム内で回転して前記マスチケーティングジューサ中に導入された少なくとも一種類の食品に対してマスチケーティングプロセスを実施するよう構成されたオーガを有し、前記マスチケーティングプロセスはジュースおよびパルプを生じさせると共に、前記オーガは、その軸線方向端部に端面を有し、
前記ドラムの端に結合された端キャップを有し、前記端キャップは、剛性部分および該剛性部分に結合された可撓性リングを有し、前記可撓性リングは、前記オーガの前記端面に隣接して設けられ、前記可撓性リングは、前記端キャップを通って前記マスチケーティングジューサを出る際に圧力を前記可撓性リングに加える前記パルプに応動して前記オーガの前記端面と前記可撓性リングとの間の流れ面積を増大させるよう前記オーガの前記端面から遠ざかって撓むよう構成された弾性的に撓むことができる材料で作られており、前記端キャップは、前記可撓性リングと前記オーガの前記端面との間の軸方向距離を変化させるように、前記可撓性リングの全体を、前記オーガの前記端面の方へ、又は前記オーガの前記端面から遠ざかるように移動させて、前記オーガの軸方向に関して調節可能であるように構成されており、前記端キャップは、前記端キャップの内側表面に形成された半径方向内方に延びるリング保持カラーを含み、前記可撓性リングが前記リング保持カラーの中に受け入れられる、マスチケーティングジューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術、すなわち本発明は、台所用品、特にパルプおよびジュースの流れを最適化する調節可能な背圧をもたらすマスチケーティング(masticating:「ドロドロにする」の意)ジューサに関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2019年8月15日に出願された米国特許仮出願第62/887,029号の権益主張出願である。この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
本項は、必ずしも先行技術とはならない本開示に関する背景技術情報を提供する。
【0004】
マスチケーティングジューサは、食品、例えば果物や野菜を絞ったり粉々にしたりする比較的低速回転(約80RPM)のオーガシステムを用いており、このオーガシステムは、遠心式ジュール絞り機よりも多量のジュースを生じさせるとともに多量の栄養物を抽出する。果物または野菜は、送り導管中に送られ、そして低速回転オーガによって粉々にされ、次に、硬いリブおよびスクリーンを備えたコーン中に押し込まれ、ここで、果物や野菜は、さらに細かくされて絞られる。果物および野菜とオーガシステムの相互作用の結果として、ジュースは、スクリーンを通って分離され、他方、パルプは、ジュースとして取り分けられなかった果物および野菜の残部によって形成される。ジュース絞りプロセスによって生じたパルプは、次に、マスチケーティングジューサの端キャップから押し出される。
【0005】
マスチケーティングジューサの中には、端キャップから押し出されるパルプの流れを制御するために種々の食品のための可調式端キャップを用いるものがある。例えば、かかる端キャップを回すと、ねじ連結部によって端キャップと対応のオーガの軸方向端部との間に存在する隙間を調節することができる。この隙間の軸方向の調節の結果、隙間の流れ断面の変化に起因して変化する圧縮圧力がパルプに加えられる。具体的に説明すると、可調式端キャップを弛めることによりパルプを端キャップから絞り出すための隙間が増大し、それにより、ジューサを出るパルプに加わる圧力が小さくなり、これに対して、可調式端キャップを締めることによりパルプのための隙間が減少し、それによりパルプに加わる圧力が高くなる。
【0006】
種々の食品は、ジュース絞り結果の最適化のためには種々の隙間サイズおよびこれに対応した圧縮圧力を必要とする。可調式端キャップが過剰に弛められたことに起因して隙間の調節度が大きすぎる場合、食品は、マスチケーティングジューサの通過速度が速すぎる場合があり、しかも、十分に粉々にされて圧縮されることがなく、それにより、ジュース絞りプロセスの結果として生じるジュースの量が少なくなる。これとは対照的に、可調式端キャップが過剰に絞められたことに起因して隙間の調節度が小さすぎる場合、食品は、端キャップを出ようとしたときにつかえる場合があり、それによりマスチケーティングジューサのモータが望ましくないことには焼き付くことがある。したがって、可調式端キャップからの適正な流れ断面積を生じさせて所望のジュース絞り結果をもたらすとともにマスチケーティングジューサの望ましくない停止を阻止することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、マスチケーティングジューサを出たパルプの流れ断面積を自動的に調節してマスチケーティングジューサへの使用に適した種々の互いに異なる食品の互いに異なる特性を補償する望ましいジュース絞り量を達成するための可調式端キャップを提供することが望ましい。
【0008】
本技術は、マスチケーティングジューサであって、出るパルプの流量を最適化してジュース絞りプロセス中に生じた圧力を補償するための改良型可調式端キャップ組立体を有することを特徴とするマスチケーティングジューサに関連した製品、システム、およびプロセスを含む。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、マスチケーティングジューサは、ドラム内で回転してマスチケーティングジューサ中に導入された少なくとも一種類の食品に対してマスチケーティングプロセスを実施するよう構成されたオーガを有し、マスチケーティングプロセスはジュースおよびパルプを生じさせる。端キャップがドラムの一端に結合されている。端キャップは、オーガの一端に隣接して設けられた可撓性リングを有する。可撓性リングは、圧力を可撓性リングに加えるパルプに応動して撓むよう構成された弾性的に撓むことができる材料で作られている。
【0010】
本発明の別の観点によれば、可撓性リングは、エラストマー材料で作られるのが良い。エラストマー材料は、シリコーンであるのが良い。
【0011】
本発明の別の観点によれば、可撓性リングは、テーパ付き部分を含む。テーパ付き部分は、オーガの軸方向に関してオーガの一端から遠ざかって延びるにつれて半径方向にテーパしている。テーパ付き部分は、半径方向内方に設けられたリップを有し、リップは、可撓性リングを貫通した開口部を形成し、パルプは、この開口部を通る。開口部の流れ面積は、可撓性リングの撓みの際に増大する。
【0012】
本発明の別の観点によれば、テーパ付き部分は、切頭円錐形である。
【0013】
本発明の別の観点によれば、テーパ付き部分は、オーガの一端の方へ向いたテーパ付き表面を有する。テーパ付き表面は、オーガの一端の軸方向整列部分に実質的に対応した形状を有するのが良い。
【0014】
本発明の別の観点によれば、可撓性リングは、円筒形部分をさらに含むのが良く、テーパ付き部分は、円筒形部分から半径方向内方に延びている。テーパ付き部分は、オーガの一端寄りに設けられた円筒形部分の第1の端に隣接したところで円筒形部分と交差するのが良く、円筒形部分の第2の端は、端キャップの剛性部分に係合する。
【0015】
本発明の別の観点によれば、オーガの端と可撓性リングとの間に存在する隙間が可撓性リングの撓みの際に増大するのが良い。
【0016】
本発明の別の観点によれば、可撓性リングは、可撓性リングの撓みの際に端キャップの剛性部分に当接する。
【0017】
本発明の別の観点によれば、端キャップは、可撓性リングとオーガの一端との間の軸方向距離を変化させるようオーガの軸方向に関して調節可能であるよう構成されているのが良い。端キャップとドラムは、端キャップの回転がオーガの軸方向に関して端キャップの調節に対応する仕方で互いに協働するねじ山を有するのが良い。
【0018】
本発明の別の観点によれば、可撓性リングは、円周方向に延長された実質的にV字形の断面を有するのが良い。V字形断面の尖り部分がオーガの端に向かって設けられるのが良い。
【0019】
本発明のもう一つの実施形態によれば、マスチケーティングジューサは、ドラム内で回転してマスチケーティングジューサ中に導入された少なくとも一種類の食品に対してマスチケーティングプロセスを実施するよう構成されたオーガを有し、マスチケーティングプロセスはジュースおよびパルプを生じさせる。端キャップがドラムの端に結合されている。端キャップは、剛性部分およびこの剛性部分に結合された可撓性リングを有する。可撓性リングは、オーガの一端に隣接して設けられ、この可撓性リングは、端キャップを通ってマスチケーティングジューサを出る際に圧力を可撓性リングに加えるパルプに応動してオーガの一端と可撓性リングとの間の流れ面積を増大させるようオーガの一端から遠ざかって撓むよう構成された弾性的に撓むことができる材料で作られている。端キャップは、可撓性リングとオーガの一端との間の軸方向距離を変化させるようオーガの軸方向に関して調節可能であるように構成されている。
【0020】
産業上利用可能な別の分野は、本明細書において提供される説明から明らかになろう。この発明の概要に記載された説明および特定の実施例は、例示目的にのみ与えられており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0021】
本明細書において説明する図面は、考えられる全ての具体化例ではなく、選択された実施形態のみに関する例示目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスチケーティングジューサの斜視図である。
【
図2】
図1の2‐2線に沿って取ったマスチケーティングジューサの断面図である。
【
図3】
図2と同一の視点から見たマスチケーティングジューサのドラム、オーガ、および可調式端キャップ組立体の拡大部分断面図である。
【
図4】隔離状態にある可調式端キャップ組立体の斜視図である。
【
図5】
図4の5‐5断面線の視点から見た可調式端キャップ組立体の断面図である。
【
図6】
図4および
図5の端キャップ組立体の横から見た分解組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本技術の以下の説明は、性質上、1つ以上の発明の主題、製造および使用の単なる例示であり、本願においてまたは本願の優先権を主張して出願している場合のある他のかかる出願でクレーム請求された任意特定の発明、またはかかる出願から生まれた特許の範囲、用途または使用を制限するものではない。開示した方法に関し、実施されたステップの順序は、性質上例示であり、かくして、ステップの順序は、種々の実施形態において互いに異なっていても良く、これら実施形態では、ある特定のステップを同時に実施することができるという場合が含まれる。本明細書で用いられる“a”および“an”は、アイテムのうちの「少なくとも1つ」が存在していること、場合によっては複数のかかるアイテムが存在する場合のあることを示している。別段の明示の指定がある場合を除き、本技術の最も広い範囲を説明する上で、本説明に見られる全ての数量は、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきであり、全ての幾何学的および空間的記述子は、「実質的に」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「約」は、数値に適用された場合、計算または測定が当該値の幾分僅かな不正確さ(値の正確さにある程度近づけているにもかかわらず、当該値に対して近似してまたはかなり近いという程度、ほぼという程度)が生じるのを許容することを示している。同じ理由で、「約」および/または「実質的に」によってもたらされる不正確さは、この通常の意味で当該技術分野において違ったやり方で理解されない場合、本明細書で用いられる「約」および/または「実質的に」は、かかるパラメータを測定しまたは用いる通常の方法から生じる場合のある少なくともばらつきを示している。
【0024】
この詳細な説明において引用される特許、特許出願、および科学技術文献を含むあらゆる文献を参照により引用し、別段の明示の指定がなければ、これらの記載内容を本明細書の一部とする。参照により引用して記載を本明細書の一部とした文献と本明細書の詳細な説明との間に何らかの不一致または曖昧さが存在する場合、本明細書の詳細な説明が優先する。
【0025】
非限定的な用語、例えば“including”(訳文では「~を含む」としている場合が多い)、“containing”(「~を含有する」)、または“having”(「~を具備する」)の同義語として非限定的用語である“consisting”(「~を有する」)が本技術の実施形態を説明するとともにクレーム請求されるために本明細書において用いられているが、変形例として、実施形態は、より限定的な用語、例えば“consisting of”(「~から成る」)または“consisting essentially of”(「本質的に~から成る」)を用いて実施形態を説明することができる。かくして、材料、コンポーネント、またはプロセスステップを記載した任意所要の実施形態に関し、本技術はまた、かかる材料、コンポーネント、またはプロセスステップから成りまたは本質的にこれらから成る実施形態を含み、かかる実施形態は、追加の材料、コンポーネント、またはプロセスを含まない(「~から成る」場合)、および実施形態の重要な性質に影響を及ぼす追加の材料、コンポーネント、またはプロセスを排除し(「本質的に~から成る」場合)、ただし、かかる追加の材料、コンポーネント、またはプロセスが本願に明示的に記載されていない場合がある。例えば、構成物またはプロセスが要素A、B、およびCを記載している場合、これは、要素Dが本明細書において排除されるものとして明示的に記載されてはいない場合であっても、具体的には、先行技術に記載されている場合のある要素Dを排除した状態でA、B、およびCから成りあるいは本質的にこれらから成る実施形態を想定している。
【0026】
本明細書において参照するように、全ての組成上の百分率は、別段の指定がなければ、全組成の重量によって表される。範囲の開示は、別段の指定がなければ、端の値を含み、かつ全ての離散的な値および、さらに全範囲内で分割された範囲を含む。かくして、例えば、「AからBまで」または「約Aから約Bまで」の範囲は、AおよびBを含む。特定のパラメータ(例えば、量、重量百分率など)に関する値および値の範囲の開示は、本発明において有用な他の値および値の範囲を排除するわけではない。所与のパラメータに関して2つ以上の特定の例示の値は、当該パラメータについてクレーム請求されている場合の値の範囲(値域)についての端の値を定める場合があることが想定される。例えば、パラメータXが値Aを有するものとして本明細書において例示され、しかも値Zを有するものとして例示されている場合、パラメータXは、約Aから約Zまでの値域を有する場合があることが想定される。同様に、パラメータについての値の2つ以上の範囲(かかる範囲が入れ子状になっているにせよオーバーラップしているにせよ離散しているにせよ、いずれにせよ)の開示は、開示された範囲の端の値を用いてクレーム請求される可能性のある値についての範囲の考えられる全ての組み合わせを包含することが想定される。例えば、パラメータXが本明細書において1~10、2~9、または3~8の範囲にある値を有するものとして例示されている場合、パラメータXは、1~9、1~8、1~3、1~2、2~10、2~8、2~3、3~10、3~9などを含む他の値域を有する場合があることもまた想定される。
【0027】
要素または層が、別の要素または層「上」、「に係合し」、「に連結され」、または「に結合され」と記載されている場合、要素または層は、他の要素または層上に直接に、これに係合し、これに連結されまたはこれに結合されている場合があり、あるいは、介在する要素または層が存在している場合がある。これとは対照的に、別の要素または層「上に直接」、「に直接係合し」、「に直接連結され」、または「に直接結合され」と記載されている場合、介在する要素または層が存在していないと言える。要素相互間の関係を説明するために用いられる他の用語は、同様に解されるべきである(例えば、「~と~との間」に対して「~と~との間に直接」、「~に隣接して」に対して「~のすぐ隣に」など)。本明細書で用いられる用語である「および/または」は、関連の列挙されたアイテムのうちの1つ以上の任意および全ての実施形態を含む。
【0028】
第1、第2、第3などという用語が種々の要素、コンポーネント、領域、層、および/または区分を説明するために本明細書において用いられている場合があるが、これら要素、コンポーネント、領域、層、および/または区分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、または区分を別の要素、コンポーネント、領域、層、または区分から区別するために用いられているに過ぎない場合がある。例えば「第1の」、「第2の」、および他の数字で表された用語は、本明細書で用いられている場合、文脈上明示の指定がなければ、順番または順序を意味しているわけではない。かくして、以下に説明する第1の要素、第1のコンポーネント、第1の領域、第1の層、または第1の区分は、例示の実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、第2のコンポーネント、第2の領域、第2の層、または第2の区分と呼ばれても良い。
【0029】
空間関連用語、例えば「内側」、「外側」、「~の下の方に」、「~の下に」、「下方の」、「~の上に」、「上方の」などが図面に示されている1つの要素または1つの特徴と別の要素または別の特徴との関係を説明するよう本明細書において用いられている場合がある。空間関連用語は、図面に示された向きに加えて、使用または動作中における装置の互いに異なる向きを含むことが意図されている場合がある。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、要素が他の要素または特徴「の下に」または「の下の方に」と形容されている場合、かかる要素は、他の要素または特徴「の上に」差し向けられる。かくして、例示の用語「下に」は、上と下の向きの両方を含む場合がある。装置は、異なる仕方で差し向けられる場合があり(90゜回されまたは他の向きに置かれ)、本明細書において用いられる空間関連記述子をそれに応じて解するのが良い。
【0030】
図1~
図6は、本発明の一実施形態に係るマスチケーティングジューサ10を示しており、かかるマスチケーティングジューサ10を簡略にするために以下においてジューサ10と言う。ジューサ10は、粘度が比較的低密度である液状物質または部分的に液状物質の形成中に粉砕することができ、パルプ状にすることができ、絞ることができ、押し潰すことができ、または違ったやり方で粉々にすることができもしくは変形可能である1つ以上の果物、野菜、または任意他の適当な食品用に構成されている。以下において使用されるように、ジューサ10の作動に起因して生じる比較的低粘度の液状または部分液状物質をこれに対応する1つまたは複数の食品のジュースといい、これに対し、ジューサ10の作動に起因して生じる比較的高粘度である固形分の多い副産物をこれに対応する1つまたは複数の食品のパルプという。多数の互いに異なる食品が用いられる場合、ジューサ10は、複数の食品に関してジュースを同時に生じさせるよう作動されても良く、またはジューサ10は、所望に応じてジューサ10中に導入されている食品の各々に関して別個の段階をなして作動されても良い。以下に説明するように、ジューサ10に通す任意の果物、任意の野菜、またはこれらの任意の組み合わせを、上述のジュース絞りプロセスによりジュースおよびパルプを生じさせる食品という。
【0031】
ジューサ10は、主要構成要素として、主ハウジング12、トレー20、プランジャ24、ドラム30、オーガ50、スクリーンコーン60、および新規な可撓性リング83を備えた可調式端キャップ80を有する。以下に説明するように、ジューサ10の種々の互いに異なるコンポーネントは、ジューサ10の使用に続く互いに異なるコンポーネントの別個独立のクリーニングを容易にするよう互いに解除可能に組付けられる場合がある。
【0032】
主ハウジング12は、モータ・歯車組立体14が収納されている開口またはキャビティ13を備えている。モータ・歯車組立体14のうちのモータは、オーガ50の形態をしたジューサ10のロータの選択的回転を生じさせるよう構成された電気回転モータである。このモータは、ジューサ10の通常の作動中、所望の食品をドロドロにして所望のジュース製品の状態にするのに必要なトルクを発揮する電気回転モータであれば任意形式のものであって良い。モータ・歯車組立体14は、オーガ50を比較的低い回転速度、例えば非限定的な一実施例として毎分約80回転(rpm)で回転させるよう構成されているのが良い。ジューサ10は、モータ・歯車組立体14を所望に応じて、モータ・歯車組立体14をジュース絞りされている食品アイテムの種類またはジューサ10の所望の出力レートに応じて様々な互いに異なる回転速度で作動させるよう構成されていても良く、これは、本発明の範囲内に含まれる。変形例として、ジューサ10は、モータ・歯車組立体14を所望に応じて単一の回転速度で作動させるよう構成されていても良い。モータ・歯車組立体14のうちの歯車は、モータの回転速度をオーガ50の所望の回転速度に変換するよう設けられているのが良い。モータ・歯車組立体14には電源コンセントに連結された電気コードにより電力供給されても良く、あるいは、所望に応じて携帯型バッテリユニットによって電力供給されても良い。
【0033】
トレー20は、食品をドラム30中への導入に先立って保持するために底面21および周囲リム22を有する。底面21は、任意所望の表面積を有することができ、リム22は、ドラム30中への投入に先立って所望の食品をトレー20内に維持するために任意所望の高さを有することができる。食品導入開口部23が、トレー20内に入っている食品が重力によって落下してドラム30中に入ることができるようにするためにトレー20の底面21に形成されている。
【0034】
ドラム30は、ジューサ10が
図1および
図2に示された組立形態にあるときにトレー20の下に設けられる。ドラム30は、ドラム本体32とドラムキャップ組立体70の協働によって形成された組立体として提供されるのが良い。ドラム30は、オーガ50およびスクリーンコーン60を収容し、このドラムは、さらに、主ハウジング12および端キャップ組立体70に結合可能に構成されている。
【0035】
ドラム本体32は、形態が全体として円筒形であるオーガハウジング33を有し、オーガハウジング33は、第1の端34から反対側の第2の端35まで軸方向に延びている。オーガハウジング33の第1の端34は、ドラム本体32およびドラム30の残部を主ハウジング12に取り外し可能に結合する結合特徴部36を有する。ドラム30を主ハウジング12から取り外すことができるようにすることにより、主ハウジング12内に収容された電子部品から引き離されたとき、ドラム30を構成しているコンポーネントのクリーニングが容易である。結合特徴部36は、ドラム本体32を主ハウジング12上に形成された対応の結合特徴部17に取り付けるよう構成されているのが良い。結合特徴部17,36は、それぞれ対応のドラム本体32および主ハウジング12上に形成された相補形螺旋タブ、ねじ山などであるのが良い。結合特徴部17,36は、ドラム本体32を主ハウジング12に向かって軸方向に押し、次に静止した主ハウジング12に対して一定の回転角度まで回転させることができるよう構成されており、それにより、主ハウジング12に対するドラム本体32の所望の位置を定めることができ、この位置では、ドラム本体32の軸方向押圧および次の回転により、ドラム本体32と主ハウジング12との間にオーガハウジング33の軸方向に対する締まり嵌め状態が得られる。
【0036】
保持リング18が結合特徴部17,36の接合部の周りに設けられるのが良く、それにより結合位置にあるときに主ハウジング12に対するドラム本体32の軸方向および回転位置を維持するのを助けるようになっている。例えば、結合特徴部17の外側円周方向表面は、雄ねじを有するのが良く、雄ねじは、結合特徴部17のねじ山に対する保持リング18のねじ山の回転締め付けにより保持リング18の端部分がオーガハウジング33の半径方向外方に延びる端部分に軸方向に圧接するような仕方で、保持リング18の内側円周方向表面に設けられている雌ねじと噛み合い可能に構成されている。それにより、保持リング18は、ジューサ10の作動中、主ハウジング12からのドラム本体32の離脱を阻止する。
【0037】
オーガハウジング33は、オーガ50およびスクリーンコーン60を受け入れるよう構成された実質的に円筒形の開口またはキャビティ37を備えている。本体12の方へ向いたオーガハウジング33の第1の端34は、シャフト孔38を有し、オーガ50の回転シャフト53は、オーガハウジング33内でのオーガ50の選択的回転を容易にする仕方で主ハウジング12のモータ・歯車組立体14と作動的に係合可能であるようシャフト孔38を通って受け入れられる。具体的に説明すると、回転シャフト53は、モータ・歯車組立体14の対応部分と相補していてモータ・歯車組立体14によって生じた回転運動およびトルクをオーガ50に伝達することができる形状を有するのが良い。
【0038】
ドラム本体32は、オーガハウジング33の上面(主ハウジング12に結合された場合)から延びる入口導管40ならびにオーガハウジング33の下面(この場合もまた、主ハウジング12に結合された場合)から延びる出口導管41をさらに有する。入口導管40は、形状が円筒形であり、トレー20の食品導入開口部23とオーガハウジング33のキャビティ37との連絡を可能にして食品がジューサ10を通過するようにするための経路となっている。入口導管40と食品導入開口部23は、所望に応じて入口導管40を食品導入開口部23中に取り外し可能に圧力嵌めすることによって互いに結合されるのが良い。出口導管41もまた、形状が円筒形であり、キャビティ37内で生じたジュースがジュース絞りプロセスに続いてオーガハウジング33から流れ出ることができるようにする。出口導管41は、変形例として、ジュースがジューサ10を通っている食品から処理された後、重力によりオーガハウジング33を出ることができる限り、オーガハウジング33の底面に形成された任意形式の開口部として設けられても良い。ドラム本体32のオーガハウジング33、入口導管40、および出口導管41は、単一の一体型またはモノリシック構造から形成されているものとして示されているが、ドラム本体32を形成しているコンポーネントは、変形例として、別個独立に形成され、その後所望に応じて互いに取り外し可能に結合されても良い。
【0039】
入口導管40は、入口導管40を通して食品をキャビティ37中に押し込むときに、ジューサ10のオペレータの指がオーガハウジング33中に偶発的に入るのを阻止するのに適した長さ(ドラム30の取り付け位置にあるときには高さ)を有する。入口導管40は、オーガハウジング33中に導入される食品に圧力を加えるためにプランジャ24を受け入れるよう構成されている。プランジャ24は、取っ手25、取っ手25の一端のところに設けられた半径方向外方に延びる保護フランジ26、および取っ手25と反対側のプランジャ24の端のところに設けられた円錐形押圧要素27を有する。取っ手25は、オペレータによって把持されるよう構成されており、その間、保護フランジ26は、食品を入口導管40中に押し込んでいる間、オペレータの手のどの部分をも入口導管40中に入るのを再び阻止している。押圧要素27は、入口導管40を通っている食品と接触可能に入口導管40の軸方向に垂直に配置された押圧面を有する。弾性的に撓むことができる材料で作られた環状封止要素28が押圧要素27の周囲に沿ってぐるりと形成された環状溝内に設けられている。封止要素28は、入口導管40内におけるプランジャ24の運動中、入口導管40の内側円周方向表面との係合状態を維持するよう構成されている。
【0040】
オーガ50は、これがその第1の端51から第2の端52まで軸方向に延びている状態で見て形状が実質的に円筒形であり、この場合、オーガ50の第1の端51は、主ハウジング12のモータ・歯車組立体14と回転係合可能に構成されたその上述の回転シャフト53を形成する。オーガ50は、第1の端51から第2の端52までその軸方向に進む場合、回転シャフト53、入口セグメント54、圧縮セグメント55、出口セグメント56、およびオーガ50の第2の端52のところに設けられた端面57を有する。少なくとも1つの実質的に螺旋のねじ山58が入口セグメント54、圧縮セグメント55、および出口セグメント56に沿って延びて食品を粉々にするとともに/あるいは圧縮するのを助ける一方で、さらにねじ山58の各々がオーガ50周りにうねって進むにつれて生じるねじ山58の各々の傾斜に起因して、粉砕された食品をオーガ50の軸方向にその第2の端52に向かって押しやる。ねじ山58の各々のピッチは、ねじ山58の各々がオーガ50の互いに異なるセグメント54,55,56の各々に従って、ねじ山58の各々によって実施されている裁断/粉砕/圧縮作用と一致してオーガ50の軸方向に進んでいるときに変化するのが良い。
【0041】
入口セグメント54は、形状が実質的に円筒形であって、長方形の断面を有し、この入口セグメントは、これに対して対応のねじ山58の各々の最大に延ばされた半径方向外方の広がりを有し、それによりねじ山58の各々の隣り合う巻回部相互間の比較的広い半径方向キャビティを形成して、オーガ50により実施される裁断/粉砕/圧縮プロセスの開始に先立って食品を一層容易にかかるキャビティ内に受け入れることができるようにする。圧縮セグメント55は、実質的に楕円形の断面形状を形成する球根状の円筒形の形をしており、この楕円形の短軸は、入口セグメント54の直径よりも大きな直径を有する。出口セグメント56は、形状が実質的に円筒形であって、長方形の断面を有し、この出口セグメントは、入口セグメント54の直径に実質的に等しい直径を有するのが良い。ねじ山58の各々の半径方向高さは、入口セグメント54と比較して、圧縮セグメント55および出口セグメント56内のオーガ50の外側円周方向表面に対して減少している。端面57は、形状が弧状であり、この端面は、オーガ50の第2の端52のところに軸方向に突き出た実質的に半楕円形の断面形状を有し、端面57の軸方向遠位部分は、オーガ50の回転軸上に設けられている。
【0042】
オーガ50は、スクリーンコーン60内に受け入れられ、スクリーンコーン60は、スクリーンコーン60を全体としてオーガハウジング33の内側円周方向表面とオーガ50の外側円周方向表面との間に位置決めするようオーガ50周りにオーガハウジング33内に受け入れられている。スクリーンコーン60は、その第1の端61から第2の端62まで軸方向に進む際、入口セグメント54に対応しかつこれと軸方向に整列する入口セグメント64、圧縮セグメント55に対応しかつこれと軸方向に整列する圧縮セグメント65、出口セグメント56に対応しかつこれと軸方向に整列する出口セグメント66、および出口セグメント56から端面57へのオーガ50の移行部を包囲した端カラー67を有する。オーガ50のねじ山58の各々は、その回転軸線に対して変化のある半径方向高さを有し、それにより、ねじ山58の各々の巻回部の各々の半径方向最も外側の表面とスクリーンコーン60のセグメント64,65,66の各々の内側円周方向表面との間に比較的わずかな半径方向の隙間を形成している。
【0043】
入口セグメント64は、円の一セグメントに似た弧状の部分的に円筒形の断面を有し、入口セグメント64は、ドラム30が取り付け位置にあるときにオーガ50の下の位置で延びる。入口セグメント64は、複数の開口部が形成された第1のスクリーン要素68を形成している。第1のスクリーン要素68により、オーガ50およびスクリーンコーン60のそれぞれの入口セグメント54,64相互間に生じたジュースであればどのようなジュースであっても、重力によって、スクリーンコーン60の直下に形成されたオーガハウジング33内に存在するキャビティ37のジュース収集領域39中に下方に流れることができる。ジュース収集領域39は、出口導管41に排液する。
【0044】
スクリーンコーン60の圧縮セグメント65は、形状が実質的に円錐形であり、圧縮セグメント65がスクリーンコーン60の第2の端62に向かって進むにつれて内方にテーパしている。圧縮セグメント65は、スクリーンコーン60の入口セグメント64に沿って設けられたオーガ50のねじ山58の各々に向かって対応して突き出ている複数の半径方向内方に延びるリブ63を有する。リブ63の各々は、オーガ50の軸方向に長手方向に延び、リブ63のうちの隣り合うリブは、互いに円周方向に間隔を置いて配置されている。リブ63は、食品がこれら食品の軸方向の運動中にリブ63を通り過ぎようとしているときに、食品を粉々にするのを助け、他方、オーガ50の外側円周方向表面とスクリーンコーン60の内側円周方向表面との間に存在する連続的に減少する半径方向空間は、食品がオーガ50の軸方向に進むときに食品を圧縮し、かくしてこれらを絞るのを助ける。
【0045】
出口セグメント66は、形状が実質的に円筒形であり、この出口セグメントは、複数の開口部が形成された第2のスクリーン要素69を形成する。同様に、第2のスクリーン要素69により、オーガ50およびスクリーンコーン60のそれぞれの出口セグメント56,66相互間に生じたジュースであればどのようなジュースであっても、重力によってオーガハウジング33のジュース収集領域39に下方に流れ、最終的には出口導管41を通って流れることができる。出口セグメント56,66に沿って設けられたねじ山58の各々は、食品をオーガ50の端面57およびスクリーンコーン60の端カラー67を越えて軸方向に押すための最大限大きくされたピッチを有するのが良い。
【0046】
オーガ50およびスクリーンコーン60は、この場合もまた、これらのクリーニングを容易にすることができるよう別個独立に提供される。スクリーンコーン60をオーガ50上でこれに沿って軸方向に滑らせて、組立体を形成しても良く、組立体をドラム本体32内に軸方向に挿入し、あるいは、オーガ50をドラム本体32中に挿入し、その後、スクリーンコーン60をオーガ50上でこれに沿って軸方向に滑らせても良い。オーガハウジング33内に形成されたキャビティ37は、スクリーン要素68,69の各々がジュース収集領域39の方へ下方に向いた状態でスクリーンコーン60を位置決めするよう形作られている。
【0047】
ドラムキャップ組立体70は、オーガハウジング33の第2の端35に取り外し可能に結合されてスクリーンコーン60の端カラー67ならびにオーガ50の端面57を包囲するよう構成されている。ドラムキャップ組立体70は、第1の要素71および第2の要素72を含む。第1の要素71は、円筒形の形をした大径部分73および円筒形の形をした小径部分74を有し、肩75がこれら大径部分73と小径部分74との間の移行部のところに形成されている。肩75と反対側の大径部分73の端は、ドラムキャップ組立体70をオーガハウジング33の第2の端35のところに設けられた結合特徴部38に相補関係をなして取り外し可能に結合する結合特徴部76を有する。相補形結合特徴部38,76は、相補形結合特徴部17,36とほぼ同じであるのが良く、結合特徴76を結合特徴部38中に軸方向に挿入し、その後、ドラムキャップ組立体70をオーガハウジング33に対して回して、ドラムキャップ組立体70とオーガハウジングとの間に締まり嵌め関係を形成する。別の相補形結合特徴部、例えば所望に応じて、相補雌ねじと雄ねじもまた利用でき、ただし、ドラムキャップ組立体70がオーガハウジング33に取り外し可能に結合可能であることを条件とする。
【0048】
第2の要素72は、第1の要素71の大径部分73を包囲しており、この第2の要素は、オーガハウジング33の環状の第2の端35と直接的に係合できるよう構成されている。環状ガスケット77が第2の要素72の端に結合されており、この環状ガスケットは、ドラムキャップ組立体70がオーガハウジング33に結合されると、第2の要素72とオーガハウジング33の第2の端35との間で圧縮可能に構成されている。第1の要素71の肩75もまた、ドラムキャップ組立体70がオーガハウジング33に結合されると、スクリーンコーン60の端カラー67と係合可能に構成されている。
【0049】
トレー20、プランジャ24、ドラム本体32、オーガ50、スクリーンコーン60、およびドラムキャップ組立体70は、一般に、実質的に硬質の材料、例えば様々な互いに異なるプラスチックまたは金属の任意の組み合わせで形成されるのが良い。幾つかの要素、例えばドラム本体32は、ジューサ10の作動中、ジュース絞りプロセスの目視検査を可能にするよう透明または半透明なものとして提供されるのが良い。
【0050】
可調式端キャップ80は、ドラムキャップ組立体70、より具体的には、その第1の要素71に対して軸方向調節可能に構成されている。
図4~
図6に最も良く示されているように、可調式端キャップ80は、内側要素81、外側要素82、および可撓性リング83を含む組立体として示されている。
【0051】
内側要素81は、形状が円筒形であり、この内側要素は、ドラムキャップ組立体70と反対側に設けられた状態でその軸方向端部のところで半径方向外方に延びたフランジ付き部分84を有する。内側要素81の外側円周方向表面は、環状Oリング86を受け入れるよう構成された環状溝85を有し、Oリング86は、ドラムキャップ組立体70に対する可調式端キャップ80の軸方向位置とは無関係に維持される第1の要素71の小径部分74の内側円周方向表面と密封係合関係をなすよう構成されている。リング保持カラー87が内側要素81の内側円周方向表面から半径方向内方に延びており、このリング保持カラーは、可撓性リング83の一部分を受け入れるよう構成されたリング受け入れ溝88を形成している。リング保持カラー87は、内側要素81の周囲に沿ってぐるりと環状に延びる実質的にL字型の断面を有する。リング保持カラー87のL字形断面は、半径方向部分89および軸方向部分90によって形成されており、軸方向部分90は、ジューサ10が組立形態にあるとき、オーガ50の端面57に向かう方向で半径方向部分89の半径方向内端から遠ざかって延びている。半径方向部分89と反対側に設けられた軸方向部分90の端面91は、形状が実質的に円錐形であるようテーパしているのが良い。
【0052】
外側要素82は、形状が円筒形であり、この外側要素は、端部分92を有し、端部分92は、この端部分と内側要素81のフランジ付き部分84との間に存在するインターロック相補形状によりフランジ付き部分84に結合されている。内側要素81と外側要素82との間に環状空間93が形成され、この環状空間は、ドラムキャップ組立体70の第1要素71の小径部分74を軸方向かつ調節可能に受け入れるよう構成されている。外側要素82の内側円周方向表面は、第1の要素71の小径部分74の外側円周方向表面上に形成された雄ねじ95(
図3)と噛み合い可能に構成された雌ねじ94を有する。図示の実施形態では、雌ねじ94は、複数の円周方向に間隔を置いて位置するねじ山セグメント(
図4)として設けられているが、本発明の範囲から逸脱することなく、別の形態を利用することができる。互いに協働するねじ山94,95の螺旋形状により、可調式端キャップ80の軸方向位置は、ドラムキャップ組立体70に対するその回転位置に左右される。
【0053】
可撓性リング83は、形状が環状であり、この可撓性リングは、弾性的に撓むことができる材料から作られている。本明細書で用いられる「弾性的に撓むことができる材料」という語句は、室温において撓む能力を備え、または力を受けたときにこれとは異なる仕方で変形し、次に、力が除かれると、その元の形態に戻る材料を意味している。可撓性リング83の構成材料はまた、ジュース絞りプロセスによって生じたパルプが可撓性リングを通過するときに裂けずまたは違ったやり方で役に立たなくなることはなく、ジューサ10の作動中に受ける圧力に耐えるのに適した強度を有するよう選択されるのが良い。可撓性リング83は、所望ならばシリコーンまたは別の適当なエラストマー材料で作られるのが良い。
【0054】
可撓性リング83は、円筒形部分96およびテーパ付き部分97を含むモノリシック(一体型)構造体として形成される。円筒形部分96とテーパ付き部分97は、実質的にV字形の断面を形成するよう互いに協働することができ、V字形断面の尖り部分は、オーガ50の端面57に隣接して位置する。V字形断面は、オーガ50の回転軸線回りに円周方向に延長される。同じ広がりを持部分96,97の各々を含む可撓性リング83の全体は、1つの非限定的な実施例として、適当な成形プロセスで形成されるのが良い。
【0055】
円筒形部分96の第1の端98は、オーガ50の端面57の方に向いたリムを形成し、円筒形部分96の反対側に配置された第2の端99は、内側要素81のリング受け入れ溝88内に受け入れられる。円筒形部分96は、円筒形部分96の中心軸線がオーガ50の回転軸と整列した状態でオーガ50と同一の方向に軸方向に延びている。円筒形部分96の第1端98のところに形成されたリムは、円筒形部分96の残部と比較して、減少した厚みを有するのが良い。円筒形部分96の第1の端98によって形成されたリムはまた、オーガ50の方へ向いた内側要素81の端と同一平面上に位置した状態で設けられるのが良く、このリムは、可撓性リング83を通過したパルプがオーガ50の端面57の半径方向最も外側の部分と可撓性リング83のリムとの間を直接通るよう、内側要素81の端の半径方向内方に設けられている。
【0056】
テーパ付き部分97は、円筒形部分96の第1の端98のところのまたはこれに隣接した位置から半径方向内方に延びており、この位置では、テーパ付き部分97と円筒形部分96は、互いに交差している。テーパ付き部分97は、オーガ50の軸方向に対して傾斜した状態に配置され、テーパ付き部分97は、このテーパ付き部分が円筒形部分96の第2の端99に向かう方向で円筒形部分96の第1の端98から軸方向に遠ざかって延びるにつれて半径方向内方にテーパしている。テーパ付き部分97のテーパ度は、切頭円錐形の形状を備えたテーパ付き部分97を形成するよう一貫していても良く、またはオーガ50の弧状端面57の方へ向くとともにこの凸形状に全体として合致した凹形状を含むよう弧状であっても良く、あるいは、端面57の方へ向くとともに端面57とは異なる曲率を有する凹形状を含むよう弧状であっても良く、それにより、テーパ付き部分97の半径方向内方リップ101を円筒形部分96と交差するテーパ付き部分97の部分よりも端面57からわずかに長い距離のところに軸方向に間隔を置いて配置する。環状に延びるリップ101は、可撓性リング83を貫通した中央穴102を形成し、ジュース絞りプロセスによって生じたパルプは、可調式端キャップ80を通過する際に、この中央開口部を通ってジューサ10を出ることができる。
【0057】
テーパ付き部分97は、オーガ50の端面57の方へ向いた第1の表面103およびリング保持カラー87の方へ向いた反対側の第2の表面104を有し、第1の表面103および第2の表面104の各々は、テーパしている。上述したように、第1の表面103の曲率に応じて、オーガ50の端面57と第1の表面103との間に存在する軸方向隙間は、オーガ50の半径方向に対して実質的に一定であっても良く、または所望に応じてオーガ50の半径方向内方に進む際に次第に増大しても良い。
図5に最も良く示されているように、わずかな軸方向隙間がテーパ付き部分97の第2の表面104とリング保持カラー87の端面91との間に存在するのが良い。この軸方向隙間により、テーパ付き部分97は、テーパ付き部分97のリップ101が端面91の方へ軸方向かつ半径方向外方に撓んだ状態で円筒形部分96の第2の端99に向かう方向に撓むことができ、それにより、テーパ付き部分97の第1の表面103とオーガ50の端面57との間に存在する軸方向隙間がオーガ50の中心軸線に向かって増大する。また、リップ101が円筒形部分96に向かって半径方向外方に撓むことにより、中央開口部102を通る流れ断面積が増大する。
【0058】
内側要素81の内側円周方向表面と外側要素82の端部分92を貫通して設けられた開口部は、可調式端キャップ80を貫通してパルプ出口開口部110を形成するよう互いに協働し、このパルプ出口開口部は、可撓性リング83を貫通して形成された中央開口部102およびオーガ50の回転軸線の各々と整列した状態でこの下流側に設けられる。パルプ出口開口部110は、ジュース絞りプロセス中に生じたパルプがオーガ50とスクリーンコーン60の間で生じる破砕/粉砕/圧縮プロセスを通過した後にジューサ10を出るようにするための経路を形成する。
【0059】
可調式端キャップ80は、外側要素82に結合された内側要素81の組立体を含むものとして示されるとともに説明されており、内側および外側要素81,82は、これとは異なり、本発明の範囲から逸脱することなく、所望ならば、可撓性リング83を結合する1つの一体型またはモノリシック構造体として提供されても良い。可撓性リング83を構成する弾性的に撓むことができる材料とは対照的に、内側要素81、外側要素82、または内側および外側要素81,82を含む組み合わせ構造体は、1つまたは複数の実質的に硬質の材料、例えば任意のプラスチック、金属、またはこれらの組み合わせから形成される。したがって、弾性的に撓むことができるリング83は、圧力がジューサ10を出たパルプによってこの弾性的に撓むことができるリング83に加えられると、内側要素81を形成する硬質材料に当接する。
【0060】
作用を説明すると、オペレータは、最初に、ジューサ10を
図1および
図2に示された形態に組み立てて、ジューサ10をジュースおよびパルプの状態に形成される対応の食品をいつでも導入できる状態にする。可調式端キャップ80をドラムキャップ組立体70に対して回転させて、可調式端キャップ80をオーガ50の端面57に対して所望の軸方向位置に動かし、それによりオーガ50と可調式端キャップ80との間に存在する流れ断面、具体的には、オーガ50の端面57と可撓性リング83のテーパ付き部分97の第1の表面103との間に存在する流れ断面を増減する。
【0061】
次に、モータ・歯車組立体14を作動させて、オーガ50をドラム本体32のスクリーンコーン60およびオーガハウジング33内で所望の回転速度で回転させる。次に、オペレータは、ジュース絞りが必要な任意所望の食品をトレー20内に配置して、トレーの食品導入開口部23中への選択的な導入を行い、その後、ドラム本体32の入口導管40中に通す。食品は、次に、オーガ50の入口セグメント54に沿ってオーガハウジング33内に形成された開口部37中に落下し、この入口セグメント54のところでは、オーガ50のねじ山58がマスチケーティングプロセスを開始する。オペレータは、プランジャ24を利用して食品をオーガ50に向かって押してマスチケーティングプロセスをさらに容易にするのが良い。
【0062】
オーガ50の入口セグメント54に沿って形成されたジュースは、スクリーンコーン60の第1のスクリーン要素68を通り、そしてオーガハウジング33のジュース収集領域39中に落下する。次に、食品はオーガ50に沿って軸方向に動き続けて、オーガ50およびスクリーンコーン60のそれぞれの圧縮セグメント55,65とそれぞれの出口セグメント56,66との間におけるマスチケーティングをさらに実施する。新たに生じたジュースは、第1のスクリーン要素68の方に向かって戻って流れても良く、またはスクリーンコーン60の出口セグメント66内に存在する第2のスクリーン要素69を通り、そしてジュース収集領域39中に下方に流れても良い。ジュース収集領域39内に集められたジュースは、重力によって出口導管41を通り、そして出口導管41の真下に設けられたジュース収集容器115中に下方に流れる。
【0063】
オーガ50とスクリーンコーン60との間で行われるマスチケーティングプロセスは、パルプを生じさせ、このパルプは、スクリーン要素68,69のうちの一方を通って落下するのではなくオーガ50の端面57に向かって軸方向に動き続ける。ジューサ10中に導入される食品の種類、およびオーガ50と可調式端キャップ80の選択的な回転により生じる軸方向隙間に応じて、パルプは、このパルプがオーガー50の端面57と可撓性リング83の第1の表面103との間に定められる流れ断面を食品がドラム30に流入する速度と等しい速度で通過することができないため、圧力を可調式端キャップ80に加え始める場合がある。伝統的に、かかる圧力は、この圧力がジューサ10の作動中に増大し続けるので、オーガ50の回転の制止をもたらす恐れがある。しかしながら、可撓性リング83の弾性的に撓むことができる性質は、かかる圧力の発生に応動して、上述したようにテーパ付き部分97の撓みを可能にすることによってこの圧力に打ち勝ち、その結果、流れ横断面積が増大するとともにオーガ50の端面57に隣接して生じる圧力が減少する。具体的に説明すると、テーパ付き部分97の撓みにより、端面57とテーパ付き部分97の第1の表面103との間に存在する軸方向隙間が端面57と第1の表面103との間の流れ面積を増大させるとともにさらに中央開口部102を形成するリップ101の半径方向外方の拡張に起因してテーパ付き部分97を貫通して設けられた中央開口部102を拡大する仕方で増大する。したがって、パルプはオーガ50と可撓性リング83との間で自由に流れることができ、それにより、オーガ50の端面57に隣接したところでのパルプの蓄積の結果として可撓性リング83に加わる圧力が減少する。かかる圧力をいったん軽減すると、可撓性リング83のテーパ付き部97は、その弾性の結果としてその初期位置に戻ることができる。パルプが可撓性リング83の中央開口部102をいったん通過すると、このパルプは、パルプ出口開口部110を通って軸方向に動き、そしてパルプ出口開口部110の下に設けられているパルプ収集容器116中に入る。
【0064】
したがって、可撓性リング83の使用により、パルプが所望の仕方でジューサ10を自由に出ることができない場合にジューサ10内に形成される背圧がどのようなものであってもこれを連続的にかつ反動的に受け止めることによって、ある特定の食品、例えば繊維の多い食品、例えばセロリまたはカモジグサについてジュース絞り速度が向上する。この可撓性リング83はまた、可調式端キャップ80の回転により、オペレータによって選択された軸方向隙間について高い許容度の実現が可能であり、それにより、不適切な軸方向隙間が所与の用途について選択された場合であっても、制止またはつかえの発生が阻止される。また、制止が行われないことにより、ドラム30内に残存しているパルプは、かかる背圧が最初に生じている場合であっても、追加のジュースを生じさせるためにマスチケーティングされ続ける。したがって、ジューサ10は、ジューサ10のジュース絞り速度を最大にしながらジューサ10の作動の停止を阻止する。したがって、可撓性リング83は、オーガ50のすぐ下流側に位置していてオーガ50の端面57に隣接して集まっているパルプによって加えられる圧力の発生に応動して撓むことができずまたは違ったやり方で変形することができない硬質の材料の使用と比較して、技術進歩となっている。
【0065】
本開示が十分であるように、しかも本発明の保護範囲を当業者に十分に伝えるように例示の実施形態が提供されている。多くの特定の細部が本発明の実施形態の徹底的な理解をもたらすよう、特定のコンポーネント、装置、および方法の例として記載されている。特定の細部を用いる必要がないということは当業者には明らかであり、かかる例示の実施形態は、多くの互いに異なる形態で実施でき、しかも本発明の範囲を限定するものと解されるべきものは何もない。幾つかの例示の実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知の技術は、詳細には説明していない。幾つかの実施形態、材料、組成および方法の均等な変更、改造および変形を本技術の範囲内で実施することができ、実質的に同じ結果が得られる。