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特許7414965インターフェロン遺伝子の刺激因子STINGの二環式アゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】インターフェロン遺伝子の刺激因子STINGの二環式アゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240109BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240109BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 38/21 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
C07D471/04 101
A61K47/68
A61P35/00
A61K9/127
A61K45/00
C07D487/04 145
C07D487/04 CSP
C07D487/04 144
A61K31/5025
A61K31/519
A61K31/437
A61K31/4985
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P43/00 111
C07D471/04 107E
C07D471/04 106
A61K38/21
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022511099
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2020070444
(87)【国際公開番号】W WO2021035258
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】62/889,679
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501244222
【氏名又は名称】ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ペトラッシ ハンク マイケル ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ユ チェングァン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】チャタジー アーナブ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ ピーター ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン クリステン
(72)【発明者】
【氏名】チュ アラン
(72)【発明者】
【氏名】チン エミリー
(72)【発明者】
【氏名】レアーソン ルーク エル.
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/055750(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/067423(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/165032(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/200812(WO,A1)
【文献】国際公開第96/016954(WO,A1)
【文献】特開2008-273950(JP,A)
【文献】RN 919938-80-0 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,Entered STN: 08 FEB 2007, 検索日20230120
【文献】RN 786728-68-5 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,Entered STN: 23 NOV 2004, 検索日20230120
【文献】RN 675142-39-9 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,Entered STN: 14 APR 2004, 検索日20230120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
式中
Xは、-N=C(R1B )-、または-C(R1)=C(R1B )-であり;
前記化合物が式(I)のものである場合、各R 1 はHであり、前記化合物が式(II)のものである場合、各R1は独立に、F、Cl、C1~C6-アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC3~C6-シクロアルキルであり;
R 1A は、F、Cl、C 1 ~C 6 -アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC 3 ~C 6 -シクロアルキルであり;
R 1B は、F、Cl、C 1 ~C 6 -アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、ハロアルキル、またはC 3 ~C 6 -シクロアルキルであり;
RはH、-((C1~C6-アルキル)OC(O)OC1~C6-アルキル)で置換されていてもよいアルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで換され得;かつ
環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、C1~C6-アルキル、-S(O)2(C1~C6-アルキル)、-S(O)(C1~C6-アルキル)、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなるよりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。
【請求項2】
式(I)のものであり、
式中、
R1A は、F、Cl、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、またはハロアルキルであり;
R 1B は、F、Cl、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、またはハロアルキルであり;
Rは、H、アルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで換され得;かつ
環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなるよりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(II)のものである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
環Aが、無置換であるかまたは置換されており、かつ下記:
からなる群より選択されるものであり、式中、波線は結合の位置を示す、
請求項1~3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
以下の表:
から選択されるものである、合物、またはその薬学的に許容される塩
【請求項6】
ヒト患者におけるインターフェロン遺伝子の発現を刺激するための薬学的組成物であって、有効用量の請求項1~5のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項7】
患者における腫瘍を処置するための薬学的組成物であって、有効用量の請求項1~5のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項8】
経口もしくは腫瘍内投与、または両方により患者に投与される、請求項6または7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記化合物が抗体-薬物結合体として、またはリポソーム製剤で患者に投与される、請求項6または7記載の薬学的組成物。
【請求項10】
有効用量の免疫チェックポイント標的薬物と組み合わせて投与される、請求項6または7記載の薬学的組成物。
【請求項11】
免疫チェックポイント標的薬物が、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、または抗4-1BB抗体を含む、請求項10記載の薬学的組成物。
【請求項12】
電離放射線または抗がん剤と組み合わせて投与される、請求項6または7記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか一項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年8月21日提出の米国特許出願第62/889,679号に対する優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
cGAS-STINGシグナル伝達経路は、哺乳動物宿主細胞が多様なDNAおよびRNAウイルスを除去するために開始する自然免疫応答において重要な役割を果たす。STING(Stimulator of Interferon Genes)は、ミトコンドリア関連膜に部分的に局在する小胞体(ER)常在シグナル伝達タンパク質であり、免疫および非免疫細胞型の両方で広く発現される。環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)によりサイトゾルDNAに反応して産生される2'-3'cGAMPを含む、環状ジヌクレオチド(CDN)に反応して、STINGは核周囲領域に移動し、ここでTBK1-/IRF3-依存的様式でI型インターフェロン(IFN)および炎症性サイトカイン産生を急速に誘導する。STINGはサイトゾルDNAと直接結合することも判明しているが、直接的DNAセンシング活性の生理学的関連性はなお十分に特徴づけるべきである。
【0003】
最近の研究は、STINGが腫瘍細胞に対する免疫応答において必須の役割を果たすことを示している。腫瘍微小環境内での、発癌イニシエートされたT細胞の効率的なプライミングには、常在樹状細胞によるインターフェロン-β(IFN-b)産生を必要とし、IFN-bの発現はSTING経路の活性化に依存することが示されている(1)。事実、ヌクレオチド系STINGアゴニストの腫瘍内送達は、同種マウスモデルにおける定着腫瘍の著明な退縮を誘導することが示されている(1)。加えて、STING経路の活性化は、放射線照射された腫瘍微小環境内でのIFN-b媒介免疫応答を介して、放射線の抗腫瘍効果におおいに寄与することも示されている。
【発明の概要】
【0004】
概要
様々な態様において、本開示はインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)のアゴニストを提供し、これは腫瘍の処置に使用することができる。
【0005】
様々な態様において、本開示は、式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
式中
Xは、S、-N=C(R1)-、または-C(R1)=C(R1)-であり;
各R1は独立に、H、F、Cl、C1~C6-アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC3~C6-シクロアルキルであり;
または両方のR1は、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合フェニルを形成し;
Rは、H、-((C1~C6-アルキル)OC(O)OC1~C6-アルキル)で置換されていてもよいアルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得;かつ
環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、C1~C6-アルキル、-S(O)2(C1~C6-アルキル)、-S(O)(C1~C6-アルキル)、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる組よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。
【0006】
本開示は、様々な態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
式中
Xは、S、-N=C(R1)-、または-C(R1)=C(R1)-であり;
各R1は独立に、H、F、Cl、C1~C6-アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC3~C6-シクロアルキルであり;
または両方のR1は、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合フェニルを形成し;
Rは、H、-((C1~C6-アルキル)OC(O)C1~C6-アルキル)で置換されていてもよいアルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得;かつ
環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、C1~C6-アルキル、-S(O)2(C1~C6-アルキル)、-S(O)(C1~C6-アルキル)、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。より具体的には、例示的態様ごとに、本開示の化合物は、以下の表1に示す任意の具体的化合物を含む。
【0007】
本開示は、1つの態様において、インターフェロン遺伝子の発現を刺激する方法であって、有効用量の本明細書に記載の化合物を含むインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)のアゴニストを患者に投与する段階を含む、方法;および、患者における腫瘍の処置方法であって、有効用量の式(I)の化合物を含むインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)のアゴニストを患者に投与する段階を含む、方法、も提供する。
【0008】
加えて、本開示の方法は、本明細書に開示する具体的化合物の任意の1つの有効用量を用いて実施することができ、例えば、表1を参照されたい。
【0009】
様々な態様において、腫瘍の処置方法は、有効用量の本明細書に開示する化合物を経口もしくは腫瘍内投与、または両方を介して投与する段階を、さらに含み得る。
【0010】
様々な態様において、腫瘍の処置方法は、投与する段階が、化合物を抗体-薬物結合体として、またはリポソーム製剤で患者に投与することを含む、有効用量の本明細書に開示する化合物を投与する段階を、さらに含み得る。
【0011】
様々な態様において、腫瘍の処置方法は、有効用量の免疫チェックポイント標的薬物の投与をさらに含む、有効用量の本明細書に開示する化合物を投与する段階を、さらに含み得る。例えば、免疫チェックポイント標的薬物は抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、または抗4-1BB抗体であり得る。
【0012】
様々な態様において、腫瘍の処置方法は、電離放射線または抗がん剤の投与をさらに含む、有効用量の本明細書に開示する化合物を投与する段階を、さらに含み得る。
【0013】
本開示は、様々な態様において、本明細書に開示する化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物も提供する。
[本発明1001]
式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
式中
Xは、S、-N=C(R 1 )-、または-C(R 1 )=C(R 1 )-であり;
各R 1 は独立に、H、F、Cl、C 1 ~C 6 -アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC 3 ~C 6 -シクロアルキルであり;
または両方のR 1 は、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合フェニルを形成し;
RはH、-((C 1 ~C 6 -アルキル)OC(O)OC 1 ~C 6 -アルキル)で置換されていてもよいアルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得;かつ
環Aは、NH 2 、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、C 1 ~C 6 -アルキル、-S(O) 2 (C 1 ~C 6 -アルキル)、-S(O)(C 1 ~C 6 -アルキル)、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる組よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。
[本発明1002]
式(I)のものであり、
式中、
Xは、S、-N=C(R 1 )-、または-C(R 1 )=C(R 1 )-であり;
各R 1 は独立に、H、F、Cl、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、またはハロアルキルであり;
Rは、H、アルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得;かつ
環Aは、NH 2 、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる組よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る、
本発明1001の化合物。
[本発明1003]
式(II)のものである、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
環Aが、無置換であるかまたは置換されており、かつ下記:
からなる群より選択されるものであり、式中、波線は結合の位置を示す、
本発明1001~1003のいずれかの化合物。
[本発明1005]
以下の表:
から選択されるものである、本発明1001の化合物。
[本発明1006]
ヒト患者におけるインターフェロン遺伝子の発現を刺激する方法であって、有効用量の本発明1001~1005のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与する段階を含む、方法。
[本発明1007]
患者における腫瘍の処置方法であって、有効用量の本発明1001~1005のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与する段階を含む、方法。
[本発明1008]
投与する段階が、経口もしくは腫瘍内投与、または両方を含む、本発明1006または1007の方法。
[本発明1009]
投与する段階が、前記化合物を、抗体-薬物結合体として、またはリポソーム製剤で患者に投与することを含む、本発明1006または1007の方法。
[本発明1010]
有効用量の免疫チェックポイント標的薬物を投与する段階
をさらに含む、本発明1006または1007の方法。
[本発明1011]
免疫チェックポイント標的薬物が、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、または抗4-1BB抗体を含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
電離放射線または抗がん剤の投与
をさらに含む、本発明1006または1007の方法。
[本発明1013]
本発明1001~1005のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
[本発明1014]
ヒト患者におけるインターフェロン遺伝子の発現を刺激する方法において用いるための、本発明1001~1005のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩。
[本発明1015]
患者における腫瘍の処置方法において用いるための、本発明1001~1005のいずれかの化合物またはその薬学的に許容される塩。
[本発明1016]
経口もしくは腫瘍内投与、または両方により患者に投与される、本発明1014または1015の使用のための化合物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
多様な免疫腫瘍学的適用のためのSTING経路アゴニストの開発に多大な関心がある。最も顕著なことに、STING経路アゴニストは、チェックポイント遮断単独に反応しない患者において、免疫チェックポイント標的薬物を含む併用療法の一部として重要な適用の可能性を有する。
【0015】
本発明者らは、非ヌクレオチド低分子STINGアゴニストを特定するための強力なプラットフォームを確立した。これは、IFNシグナリング応答エレメントの5コピーを有するIRF誘導レポーターを担持するヒトTHP-1細胞株を含む一次検定を用いて確立されている。代替レポーター作成物、げっ歯類細胞による検定、ならびにcGASおよびSTINGノックアウト細胞株を含む、カウンタースクリーンを用いて、ルシフェラーゼのアーチファクトを排除し、ヒト-げっ歯類交差種の反応性、ならびに経路選択性を確保する。cGAS酵素活性およびSTINGタンパク質結合検定を含む生化学的検定を用いて、特定された該当項目の特異的標的を特定する。
【0016】
本明細書の意味の範囲内の「処置すること」または「処置」とは、障害もしくは疾患に関連する症状の軽減、またはそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化の阻害、または疾患もしくは障害の防止もしくは予防、または疾患もしくは障害を治癒させることを指す。同様に、本明細書において用いられる、本開示の化合物の「有効量」または「治療的有効量」とは、障害もしくは状態に関連する症状を、全体もしくは部分的に軽減する、またはそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化を停止もしくは遅延させる、または障害もしくは状態を防止する、もしくはその予防を提供する、化合物の量を指す。特に、「治療的有効量」とは、所望の治療結果を達成するのに必要な投薬量および期間で有効な量を指す。治療的有効量はまた、本開示の化合物のいかなる毒性または有害作用よりも治療的に有益な効果が上回るものでもある。
【0017】
「有効量」なる表現は、障害を患っている個体に対する治療を記載するために使用する場合、STINGが障害に関与する個体の組織中でSTINGを阻害する、またはそれ以外に作用するのに有効な、本開示の化合物の量または濃度を指し、ここでそのような阻害または他の作用は有益な治療効果を生じるのに十分な程度に出現する。
【0018】
一般に、投与する本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の初期治療的有効量は、1日あたり約0.01~約200mg/kgまたは約0.1~約20mg/kg患者体重の範囲であり、典型的な初期範囲は約0.3~約15mg/kg/日である。錠剤およびカプセル剤などの経口単位剤形は、約0.1mg~約1000mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでもよい。別の態様において、そのような剤形は約50mg~約500mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。さらに別の態様において、そのような剤形は約25mg~約200mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。さらに別の態様において、そのような剤形は約10mg~約100mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。さらなる態様において、そのような剤形は約5mg~約50mgの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。任意の前述の態様において、剤形は1日1回または1日2回投与することができる。
【0019】
「薬学的に許容される塩」なる用語は、非毒性の無機または有機酸および/または塩基付加塩を指し、例えば、Lit, et al., Salt Selection for Basic Drugs (1986), Int J. Pharm., 33, 201-217を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる。代表的な薬学的に許容される塩には、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性および水不溶性塩、例えば酢酸塩、アムソネート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カムシレート、カーボネート、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フィウナレート(fiunarate)、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、エインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリキュレート(sulfosaliculate)、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、および吉草酸塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、その構造内に複数の荷電原子を有することができる。この場合、薬学的に許容される塩は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つもしくは複数の荷電原子および/または1つもしくは複数の対イオンを有することができる。
【0020】
当技術分野において周知であるなどの、化学基の標準的略称を使用する;例えば、Me=メチル、Et=エチル、i-Pr=イソプロピル、Bu=ブチル、t-Bu=tert-ブチル、Ph=フェニル、Bn=ベンジル、Ac=アセチル、Bz=ベンゾイルなど。
【0021】
「アルキル」とは、1~約20の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖ヒドロカルビルを指す。例えば、アルキルは1~10の炭素原子または1~6つの炭素原子を有し得る。例示的アルキルには、直鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが含まれ、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体、例えば、限定されないが、-CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH(CH2CH3)2、-C(CH3)3、-C(CH2CH3)3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH(CH2CH3)2、-CH2C(CH3)3、-CH2C(CH2CH3)3、-CH(CH3)CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)(CH2CH3)、-CH2CH2CH(CH2CH3)2、-CH2CH2C(CH3)3、-CH2CH2C(CH2CH3)3、-CH(CH3)CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH(CH3)CH(CH3)2なども含まれる。したがって、アルキル基には、一級アルキル基、二級アルキル基、および三級アルキル基が含まれる。アルキル基は無置換であっても、または本明細書に記載の1つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
「アルコキシ」または「アルコキシル」なる用語は、表示の数の炭素原子を有する-O-アルキル基を指す。例えば、(C1~C6)-アルコキシ基には、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-イソプロピル、-O-ブチル、-O-sec-ブチル、-O-tert-ブチル、-O-ペンチル、-O-イソペンチル、-O-ネオペンチル、-O-ヘキシル、-O-イソヘキシル、および-O-ネオヘキシルが含まれる。
【0023】
「ハロ」または「ハロゲン」または「ハロゲン化物」なる用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、特に記載がないかぎり、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくはフッ素、塩素、または臭素を意味する。
【0024】
「ハロアルキル」基には、モノハロアルキル基、すべてのハロ原子が同じまたは異なり得るポリハロアルキル基、ならびにすべての水素原子がフッ素および/または塩素原子などの同じまたは異なるハロゲン原子で置き換えられているペルハロアルキル基が含まれる。ハロアルキルの例にはトリフルオロメチル、1,1-ジクロロエチル、1,2-ジクロロエチル、1,3-ジブロモ-3,3-ジフルオロプロピル、ペルフルオロブチルなどが含まれる。
【0025】
アリール基は、環にヘテロ原子を含まない、環式芳香族炭化水素である。芳香族化合物は、当技術分野において周知のとおり、nが整数である4n+2πの電子を含む多不飽和環式系である。したがって、アリール基には、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、およびナフチル基が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、アリール基は基の環部分に約6から約14の炭素を含む。アリール基は、上で定義したとおり、無置換でも置換されていてもよい。2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換フェニルまたは2~8置換ナフチル基などであるが、それらに限定されない、代表的な置換アリール基は、一置換または複数回置換され得、これらは上に挙げたものなどの炭素または非炭素基で置換され得る。
【0026】
ヘテロシクリル基または「ヘテロシクリル」なる用語は、3つ以上の環構成員を含む芳香環および非芳香環化合物を含み、環構成員のうち1つまたは複数の環原子はN、O、およびSなどであるが、それらに限定されない、ヘテロ原子である。したがって、ヘテロシクリルはシクロヘテロアルキル、もしくはヘテロアリール、または多環式の場合にはその任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は3~約20の環構成員を含むが、他のそのような基は3~約15の環構成員を有する。C2-ヘテロシクリルと呼ぶヘテロシクリル基は、2つの炭素原子および3つのヘテロ原子を有する5員の環(すなわち、5員環)、2つの炭素原子および4つのヘテロ原子を有する6員の環(すなわち、6員環)などであり得る。同様に、C4-ヘテロシクリルは、1つのヘテロ原子を有する5員環、2つのヘテロ原子を有する6員環などであり得る。炭素原子の数プラスヘテロ原子の数は合計して環原子の総数に等しくなる。環サイズは環内の原子の総数で表すこともでき、例えば、3~10員ヘテロシクリル基は炭素および非炭素環原子の両方を数える。ヘテロシクリル環は1つまたは複数の二重結合も含み得る。ヘテロアリール環はヘテロシクリル基の一態様である。「ヘテロシクリル基」なる用語は、縮合芳香族および非芳香族基を含むものを含む、縮合環種を含む。例えば、ジオキソラニル環およびベンズジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)はいずれも本明細書における意味の範囲内のヘテロシクリル基である。この用語は、キヌクリジルなどであるが、それに限定されない、1つまたは複数のヘテロ原子を含む多環式、例えば、ビシクロおよびトリシクロ環系も含む。ヘテロシクリル基は無置換でもよく、または置換されていてもよい。
【0027】
ヘテロアリール基は、5つ以上の環構成員を含む複素環式芳香環化合物であり、環構成員のうち1つまたは複数はN、O、およびSなどであるが、それらに限定されない、ヘテロ原子であり、例えば、ヘテロアリール環は5から約8~12の環構成員を有し得る。ヘテロアリール基は、芳香族電子構造を有する様々なヘテロシクリル基であり、これはnが整数である4n+2πの電子を含む多不飽和環式系である。C2-ヘテロアリールと呼ぶヘテロアリール基は、2つの炭素原子および3つのヘテロ原子を有する5員環、2つの炭素原子および4つのヘテロ原子を有する6員環などであり得る。同様に、C4-ヘテロアリールは、1つのヘテロ原子を有する5員環、2つのヘテロ原子を有する6員環などであり得る。炭素原子の数プラスヘテロ原子の数は合計して環原子の総数に等しくなる。ヘテロアリールは、スルフィニル、スルホニルおよび三級環窒素のN-オキシドなどの、酸化されたSまたはNを含むことも意図される。炭素またはヘテロ原子は、安定な化合物が生成されるような、ヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナオキサリル、インドリジニル、ベンゾ[b]チエニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、フラニル、ベンゾフリル、およびインドリルが含まれるが、それらに限定されない。ヘテロアリール基は無置換でもよく、または本明細書に記載の1つまたは複数の基で置換されていてもよい。
【0028】
同様に、本明細書に記載の他のアリール(例えば、フェニル)およびヘテロアリール(例えば、ピリジル)環系は、明白な二重結合、またはアリール「円」命名法のいずれかで書くことができるが、意味は同じである。
【0029】
シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル基を含むが、それらに限定されない、1つまたは複数の炭素環を含む基である。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3から約8~12の環構成員を有し得るが、他の態様において、環炭素原子の数は3~4、5、6、または7つの範囲である。シクロアルキル基には、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基などであるが、それらに限定されない、多環式シクロアルキル基、ならびにデカリニルなどであるが、それらに限定されない、縮合環がさらに含まれる。シクロアルキル基には、上で定義した直鎖または分枝鎖アルキル基で置換されている環も含まれる。
【0030】
シクロアルケニル基には、2つの炭素の間に少なくとも1つの二重結合を有するシクロアルキル基が含まれる。したがって、例えば、シクロアルケニル基にはシクロヘキセニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキサジエニル基が含まれるが、それらに限定されない。シクロアルケニル基は、3から約8~12の環構成員を有し得るが、他の態様において、環炭素原子の数は3~5、6、または7つの範囲である。シクロアルキル基には、それらが環内に少なくとも1つの二重結合を含むことを条件として、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基などであるが、それらに限定されない、多環式シクロアルキル基、ならびにデカリニルなどであるが、それらに限定されない、縮合環がさらに含まれる。シクロアルケニル基には、上で定義した直鎖または分枝鎖アルキル基で置換されている環も含まれる。
【0031】
本明細書に記載の任意の基上の1つまたは複数の任意の置換基は独立にRA、ORA、ハロ、-N=N-RA、NRARB、-(C1~C6-アルキル)NRARB、-C(O)ORA、-C(O)NRARB、-OC(O)RA、および-CNからなる群より選択される。RAおよびRBは独立にH、-CN、-ヒドロキシ、オキソ、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、NH2、-S(O)0~2-(C1~C6-アルキル)、-S(O)0~2-(C6~C10-アリール)、-C(O)(C1~C6-アルキル)、-C(O)(C3~C14-カルボシクリル)、-C3~C14-カルボシクリル、-(C1~C6-アルキル)(C3~C14-カルボシクリル)、C6~C10-アリール、3~14員ヘテロシクロアルキルおよび-(C1~C6-アルキル)-(3~14員ヘテロシクロアルキル)(ここで1~4つのヘテロシクロアルキル構成員は独立にN、O、およびSから選択される)、ならびに5~10員ヘテロアリール(ここで1~4つのヘテロアリール構成員は独立にN、O、およびSから選択される)からなる群より選択される。RAおよびRBの各アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリール部分は、ヒドロキシ、ハロ、-NR'2(ここで各R'は独立にC1~C6-アルキル、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、C6~C10-アリール、3~14員ヘテロシクロアルキルおよび-(C1~C6-アルキル)-(3~14員ヘテロシクロアルキル)(ここで1~4つの環構成員は独立にN、O、およびSから選択される)、ならびに5~10員ヘテロアリール(ここで1~4つのヘテロアリール構成員は独立にN、O、およびSから選択される)、-NHC(O)(OC1~C6-アルキル)、-NO2、-CN、オキソ、-C(O)OH、-C(O)O(C1~C6-アルキル)、-C1~C6-アルキル(C1~C6-アルコキシ)、-C(O)NH2、C1~C6-アルキル、-C(O)C1~C6-アルキル、-OC1~C6-アルキル、-Si(C1~C6-アルキル)3、-S(O)0~2-(C1~C6-アルキル)、C6~C10-アリール、-(C1~C6-アルキル)(C6~C10-アリール)、3~14員ヘテロシクロアルキル、および-(C1~C6-アルキル)-(3~14員複素環)(ここで1~4つの複素環構成員は独立にN、O、およびSから選択される)、ならびに-O(C6~C14-アリール)からなる群より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。前述の各アルキル、アルケニル、アリール、およびヘテロシクロアルキルは、ヒドロキシ、-OC1~C6-アルキル、ハロ、-NH2、-(C1~C6-アルキル)NH2、-C(O)OH、CN、およびオキソからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0032】
本明細書に記載の化合物は、立体配置、幾何、および、例えば、シスまたはトランス配座を含む配座異性体を含む、様々な異性体型で存在し得る。化合物はまた、単一の互変異性体および互変異性体の混合物の両方を含む、1つまたは複数の互変異性体型で存在してもよい。「異性体」なる用語は、化合物の互変異性体型を含む、本開示の化合物の全ての異性体型を包含することが意図される。本開示の化合物は、鎖式または環化型で存在してもよい。いくつかの場合に、環化型の1つまたは複数は水の損失によって生じ得る。鎖式および環化型の具体的組成は、化合物がどのようにして単離、保存または投与されるかに依存し得る。例えば、化合物は、酸性条件下では主に鎖式型で存在するが、中性条件下では環化することもある。すべての型は本開示に含まれる。
【0033】
置換基-CO2Hは例えば下記:
などの生物学的に等価な置換物で置き換えられてもよく、ここでRは本明細書に定義するRAと同じ定義を有する。例えば、The Practice of Medicinal Chemistry (Academic Press: New York, 1996), at page 203を参照されたい。
【0034】
本明細書に記載のいくつかの化合物は不斉中心を有し得、したがって異なる鏡像異性およびジアステレオマー型で存在し得る。本明細書に記載の化合物は、光学異性体またはジアステレオマーの型であり得る。したがって、本開示は、それらの光学異性体、ジアステレオ異性体およびラセミ混合物を含むその混合物の型での、本明細書に記載の化合物およびそれらの使用を包含する。本開示の化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィー、擬似移動床技術または光学活性分割剤の使用を通じた立体異性体の化学的分離を介してなどの、公知の技術によって得ることができる。
【0035】
特に記載がないかぎり、「立体異性体」なる用語は、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、化合物の1つの立体異性体を意味する。したがって、1つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約20重量%未満の化合物の他の立体異性体、例えば約90重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約10重量%未満の化合物の他の立体異性体、または約95重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約5重量%未満の化合物の他の立体異性体、または約97重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約3重量%未満の化合物の他の立体異性体、または約99重量%を超える化合物の1つの立体異性体および約1重量%未満の化合物の他の立体異性体を含む。前述の立体異性体は、本明細書に記載のそれぞれの重量パーセントで存在する2つの立体異性体を含む組成物として見ることができる。
【0036】
示した構造とその構造に与えられた名称との間に不一致がある場合、示した構造が支配する。加えて、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太字または破線で示されていない場合、構造または構造の一部はそのすべての立体異性体を包含すると解釈される。しかし、複数のキラル中心が存在するいくつかの場合には、構造および名称を単一の鏡像異性体として表して、相対立体化学の記載を助けてもよい。有機合成の当業者であれば、化合物を調製するために用いる方法からそれらが単一の鏡像異性体として調製されるかどうかを知るであろう。
【0037】
本明細書において用いられ、特に反対の記載がないかぎり、「化合物」なる用語は、化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、および/もしくは互変異性体を包含するという点で包括的である。したがって、例えば、式(I)または式(II)の化合物は、化合物の互変異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0038】
化合物
本開示は、式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の様々な態様を提供する:
【0039】
Xは、S、-N=C(R1)-、または-C(R1)=C(R1)-である。
【0040】
各R1は独立に、H、F、Cl、C1~C6-アルキル、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、ハロアルキル、またはC3~C6-シクロアルキルである。
【0041】
1つの態様において、Xを含む環に結合したR1の両方の実例は、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合フェニルを形成する。
【0042】
Rは、H、-((C1~C6-アルキル)OC(O)OC1~C6-アルキル)で置換されていてもよいアルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得る。
【0043】
環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、C1~C6-アルキル、-S(O)2(C1~C6-アルキル)、-S(O)(C1~C6-アルキル)、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる組よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環である。様々な態様において、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。
【0044】
さらなる態様において、本開示は、式(I)の化合物を提供し、式中、Xは、S、-N=C(R1)-、または-C(R1)=C(R1)-である。各R1は独立に、H、F、Cl、エテニルもしくはエチニル(そのいずれも置換され得る)、シアノ、アルコキシル、またはハロアルキルである。Rは、H、アルキル、またはベンジルであり、ここでベンジルは無置換であり得、あるいはメトキシルで、または酸もしくはエステル同配体で置換され得る。環Aは、NH2、シアノ、NHC(=O)O-tBu、OH、カルボキサミド、アルキルニトリル、アルコキシル、およびハロアルキルからなる組よりそれぞれ独立に選択される0、1、2、3、または4つの置換基で置換された、3、4、または5つのN原子を含む二環式完全芳香族または部分還元ヘテロアリール環系であり、ただし、部分還元ヘテロアリール環系はオキソ基でも置換され得る。
【0045】
他の態様において、本開示は、本明細書に記載の式(II)の化合物を提供する。
【0046】
様々な態様において、任意に本明細書に記載の任意の他の態様との組み合わせで、環Aは、本明細書に記載の通り、無置換であるかまたは置換されており、下記からなる群より選択されるものである:
式中、波線は結合の位置を示す。
【0047】
さらなる態様において、本開示は、以下の表1に示す、式(I)および式(II)化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩の具体例を提供する。化合物は、部分的には、本明細書に記載のISG-LUC活性化検定からの活性スコア、および物理化学的特徴づけデータと共に提示する。
【0048】
(表1)具体的化合物および活性スコア。活性スコアは効力および有効性データに基づく(+=EC50>20,000nM;++=活性であるが、基準化合物よりも効力および有効性が低い(EC50>1000nM);+++=基準化合物と同等の活性(EC50<3000nM);++++=基準化合物よりも効力および/または有効性が高い(EC50<900nM))。
【0049】
関連文書
【0050】
使用法
本開示は、1つの態様において、ヒト患者におけるインターフェロン遺伝子の発現を刺激する方法も提供する。この方法は、有効用量の本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与する段階を含む。
【0051】
別の態様において、本開示は、患者における腫瘍の処置方法を提供する。この方法は、有効用量の化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与する段階を含む。
【0052】
本開示の化合物および免疫チェックポイント標的薬物の投与を含む併用療法に関して、またはDNA損傷に基づく化学療法などの、電離放射線に基づく化学療法および既存の化学療法治療アプローチの増強のための併用療法として、本開示のSTINGアゴニストは、これらの公知の治療アプローチの効果を補完し、増強することができる。これは、これらのアプローチを用いたSTING依存性微小核媒介腫瘍クリアランスの重要な役割を示す最近の論文に基づいており、例えば、下記を参照されたい。
【0053】
本開示の化合物は、有効用量の免疫チェックポイント標的薬物の投与との治療的組み合わせにおいて用いることができる。例えば、免疫チェックポイント標的薬物は抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、または抗4-1BB抗体であり得る。例えば、下記を参照されたい。
【0054】
薬学的組成物
本開示は、別の態様において、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容される担体または賦形剤との組み合わせで含む薬学的組成物を提供する。
【0055】
本開示の組成物は、投薬単位製剤で経口、局所、非経口、吸入もしくは噴霧により、または直腸投与することができる。本明細書において用いられる非経口なる用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0056】
本明細書に記載の適切な経口組成物には、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0057】
経口使用に適した本開示の組成物は、薬学的組成物の製造のために当技術分野において公知の任意の方法に従って調製してもよい。例えば、本開示の化合物の液体製剤は、化合物またはその薬学的に許容される塩の薬学的に味の良い製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つまたは複数の作用物質を含む。
【0058】
錠剤組成物のために、化合物またはその薬学的に許容される塩を、非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物で、錠剤の製造に用いる。そのような賦形剤の例には、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクが含まれるが、それらに限定されない。錠剤はコーティングなしでもよく、または胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それにより所望の期間にわたる持続的治療作用を提供するために、公知のコーティング技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。
【0059】
経口使用のための製剤は、活性成分を不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合する、ゼラチン硬カプセル剤として、または活性成分を水もしくは油性媒質、例えば、落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合する、ゼラチン軟カプセル剤として提示してもよい。
【0060】
水性懸濁剤のために、化合物またはその薬学的に許容される塩を、安定な懸濁液を維持するのに適した賦形剤と混合する。そのような賦形剤の例には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムが含まれるが、それらに限定されない。
【0061】
経口懸濁剤は、天然ホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの、分散または湿潤剤を含むこともできる。水性懸濁剤は、1つまたは複数の保存剤、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、またはn-プロピル、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の着香剤、および1つまたは複数の甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンを含んでもよい。
【0062】
油性懸濁剤は、化合物またはその薬学的に許容される塩を植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油、または鉱油、例えば、流動パラフィン中に懸濁することによって製剤してもよい。油性懸濁剤は増粘剤、例えば、みつろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含んでもよい。
【0063】
前述のものなどの甘味剤、および着香剤を加えて、味の良い経口製剤を提供してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存してもよい。
【0064】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散性散剤および顆粒剤は、化合物またはその薬学的に許容される塩を分散または湿潤剤、懸濁化剤、および1つまたは複数の保存剤との混合物で提供する。適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤は、すでに前述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味、着香および着色剤も存在してもよい。
【0065】
本開示の薬学的組成物は、水中油乳剤の形態であってもよい。油相は植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば、流動パラフィンあるいはこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えば、アカシアゴムまたはトラガカントガム、天然ホスファチド、例えば、大豆、レシチンと、脂肪酸およびヘキシトール、無水物由来のエステルまたは部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、ならびに該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合反応生成物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってもよい。乳剤は甘味および着香剤も含んでもよい。
【0066】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤してもよい。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤、ならびに着香および着色剤も含んでもよい。薬学的組成物は、滅菌注射剤、水性懸濁剤または油性懸濁剤の形態であってもよい。この懸濁剤は、前述の適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用い、公知の技術に従って製剤してもよい。滅菌注射製剤は、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射液剤または懸濁剤、例えば、1,3-ブタンジオール中の液剤であってもよい。使用してもよい許容される媒体および溶媒の中には水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油を溶媒または懸濁媒として慣習的に使用する。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激固定油を用いてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製において使用する。
【0067】
化合物またはその薬学的に許容される塩は、直腸投与のために坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体で、したがって直腸内で融解して化合物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と化合物を混合することによって調製することができる。例示的賦形剤には、カカオ脂およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0068】
非経口投与のための組成物は、滅菌媒質中で投与する。用いる媒体および製剤中の化合物またはその薬学的に許容される塩の濃度に応じて、非経口製剤は溶解した化合物を含む懸濁剤または液剤のいずれかであり得る。局所麻酔剤、保存剤および緩衝化剤などの補助剤も、非経口組成物に加えることができる。
【実施例
【0069】
組織培養。 野生型(カタログ番号thpl-isg)およびSTING KO(カタログ番号thpd-kostg)THP-1-Lucia ISG細胞をInvivogenから購入し、特に記載がないかぎり、RPMI 1640、2mM L-グルタミン、25mM HEPES、10%熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)、1,000単位/mlペニシリン、1,000μg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンB、および100μg/mlゼオシンからなる培地中で維持した。
【0070】
1型インターフェロン刺激。 Poly(dA:dT)および2'3'-cGAMPをinvivogenから購入し、製造者の指示に従って再懸濁した。
【0071】
ISRE-ルシフェラーゼ検定。 THP-1 Lucia ISG細胞を低血清培地(2%FBS)中に5×105細胞/mlの密度で再懸濁し、試験品または媒体(DMSO)で処理した。50μLの細胞を、384穴白色グライナープレートの各ウェルに播種し、24時間インキュベートした。ルシフェラーゼレポーターの発現を評価するために、30μlのQuantiluc(Invivogen)検出試薬を各ウェルに加え、発光をEnvisionプレートリーダー(Perkin Elmer)装置を用い、積分時間0.1秒で読み取った。
【0072】
生存率検定。 細胞を低血清培地中に5×105細胞/mlの密度で再懸濁し、試験品または媒体(DMSO)で処理した。50μLの細胞を、384穴白色グライナープレートの各ウェルに播種し、24時間インキュベートした。ルシフェラーゼレポーターの発現を評価するために、30μlのCellTiter-Glo(Promega)検出試薬を各ウェルに加え、発光をEnvisionプレートリーダー装置を用い、積分時間0.1秒で読み取った。
【0073】
ウェスタンブロット。 細胞を、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(Cell Signaling)を新しく加えた、1×タンパク質溶解緩衝液(25mM HEPES、pH7.4、300mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1%P-40、1%デオキシコール酸ナトリウム、2.5mMピロリン酸ナトリウム、1mMグリセロリン酸)中に溶解した。ウェスタンブロッティングを、Bolt(商標) 4~12%Bis-TrisゲルおよびBolt(商標)ミニ転写システムを製造者の指示に従い用いて(ThermoFisher Scientific)実施した。STINGおよびγ-チューブリン抗体をCell Signalingから購入し、5%BSA、1×TBS-T緩衝液中で希釈した(表3)。抗ウサギHRP抗体を5%脱脂粉乳、1×TBS-T緩衝液中で希釈し、発光シグナルをChemiDoc Imager(BioRad)を用いて撮像した。
【0074】
半定量的リアルタイムPCR(qPCR)。 THP-1細胞を低血清培地中に5×105細胞/mlの密度で再懸濁し、試験品または媒体(DMSO)で処理した。2.5mLの細胞を、6穴プレートの各ウェルに播種し、24時間インキュベートした。RNAをRNeasy Plus Mini Kit(Qiagen)を用いて分離し、1μgの精製RNAをcDNA(VILO、カタログ番号11755050、ThermoFisher Scientific)に逆転写した。遺伝子発現を、表4に挙げるTaqmanプライマーおよびプローブをTaqman Universal Mix II(カタログ番号4440038、ThermoFisher)と共に、製造者の指示に従い用いて評価した。遺伝子発現を、ダブルデルタCt法を用いて正規化し、発現の変化倍率で報告した。
【0075】
STING熱シフト検定(TSA)。 ヒトおよびマウスSTINGのc-末端ドメイン(CTD)を、以前に詳細を報告したとおりに発現させ、精製した(Ouyang, S., Song, X., Wng, Y., Ru, H., Shaw, N., Jiang, Y., Niu, F., Zhu, Y., Qiu, W., Parvatiyar, K., et al. (2012). Structural analysis of the STING adaptor protein reveals a hydrophobic dimer interface and mode of cyclic di-GMP binding. Immunity 36, 1073-1086.)。Protein Thermal Shift Dye Kit(カタログ番号4461146、ThermoFisher Scientific)で提供される1×Protein Thermal Shift Buffer中で希釈したSTINGタンパク質(0.22mg/ml)に、試験品または媒体対照を加えた。Thermal Shift色素を加え、混合した後、色素キットについて概要が記されたパラメーターに従い、融解曲線を実施した。融点(Tm)を、Protein Thermal Shift Software v1.3(カタログ番号4466038、ThermoFisher Scientific)を用い、誘導体法を用いて算出した。
【0076】
WT STING結合検定(Cisbio、カタログ番号64BDSTGPEH)。 d2(アクセプター)で標識した天然リガンド、2'3'cGAMPによる、テルビウムクリプテートで標識した組換え6×Hisタグ-ヒトSTINGタンパク質の結合を示すために、検定形式を最適化した。2つの色素の近接時に、PHERAstar FSXプレートリーダー上のフラッシュランプによるドナーの励起がアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘発し、次いで665nmで蛍光を発する。合成低分子STINGリガンドのヒトSTINGに結合する能力を評価するために、競合検定形式を適用した。5uLの各合成リガンドの10点滴定を384穴プレートに移し、続いて6×HisタグヒトSTINGタンパク質および標識2'3'cGAMPリガンドを含む検定緩衝液20uLを加え、室温で3時間インキュベートした。PHERAstarから得た生の値を用い、Genedataでの曲線フィッティングを通して、IC50報告値を算出した(シグナルは合成リガンドの結合に反比例する)。各検定において、阻害パーセントを、対照として用いた非標識2'3'cGAMPの最大結合に対する合成化合物による結合の最大量に基づき算出した。
【0077】
(表2)Cell Signaling抗体
【0078】
(表3)ThermoFisher Scientific Taqmanプライマー/プローブ
【0079】
本開示の方法を実行するのに有用な化合物は、有機合成における通常の知識および技術と共に以下の手順に従い、実践者には明らかな適切な試薬に置き換えて調製することができる。
【0080】
実験手順
略語。 以下の略語を用いる:テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート、N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド(HATU)。
【0081】
本開示の化合物の調製のための一般例。 本開示の化合物の出発原料および中間体は、以下に記載の方法の適用もしくは適合、それらの明白な化学的等価物により、または、例えば、The Science of Synthesis, Volumes 1-8. Editors E. M. Carreira et al. Thieme publishers (2001-2008)などの文献に記載のとおりに調製してもよい。試薬および反応選択肢の詳細も、Scifinder(www.cas.org)またはReaxys(www.reaxys.com)などの商業的コンピューター検索エンジンを用いて、構造および反応検索により入手可能である。
【0082】
パートI:中間体の調製
スキーム1:中間体-Aの合成:
【0083】
段階1: 3,6-ジクロロ-N-(4-メトキシベンジル)ピリダジン-4-アミンの合成:
THF(450mL)中の3,4,6-トリクロロピリダジン(45.0g、245mmol)の溶液に、(4-メトキシフェニル)メタンアミン(101g、736mmol)を加え、次いで混合物を50℃で0.5時間撹拌した。混合物を水(1000mL)で希釈し、EtOAc(1000mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(300mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、3,6-ジクロロ-N-(4-メトキシベンジル)ピリダジン-4-アミン(70.0g、純度97%、収率97%)を白色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 283.9 [M+H]+
【0084】
段階2: (3,6-ジクロロピリダジン-4-イル)(4-メトキシベンジル)カルバミン酸tert-ブチルの合成:
THF(700mL)中の3,6-ジクロロ-N-(4-メトキシベンジル)ピリダジン-4-アミン(70.0g、246mmol)の溶液に、Et3N(49.9g、492mmol)、DMAP(15.0g、123mmol)およびBoc2O(79.2mL、345mmol)を加えた。25℃で0.5時間撹拌した後、混合物を水(1000mL)で希釈し、次いでEtOAc(1000mL×3)で抽出した。合わせた層を食塩水(500mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、(3,6-ジクロロピリダジン-4-イル)(4-メトキシベンジル)カルバミン酸tert-ブチル(77g、収率67%)を白色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 384.1 [M+H]+
【0085】
段階3: 5-((tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボン酸メチルの合成:
メタノール(500mL)中の(3,6-ジクロロピリダジン-4-イル)(4-メトキシベンジル)カルバミン酸tert-ブチル(36.5g、95.0mmol)の溶液に、Et3N(39.7mL、285mmol)およびPd(PPh3)2Cl(6.95g、9.50mmol)を加えた。混合物を一酸化炭素(50psi)雰囲気下、40℃で4時間撹拌した。混合物を水(500mL)で希釈し、EtOAc(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(300mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、5-((tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボン酸メチル(22.9g、収率47%)を白色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 408.1 [M+H]+
【0086】
段階4: 5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボン酸メチルの合成:
アセトニトリル(75.0mL)および水(75.0mL)中の5-((tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボキシレート(15.0g、36.7mmol)の溶液に、CAN(40.3g、73.6mmol)を0℃で加え、次いで混合物を0.5時間撹拌した。混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボン酸メチル(7.20g、収率65%)を白色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 288.0 [M+H]+
【0087】
段階5: 8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボン酸メチルの合成:
DMSO(43.0mL)中の5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロピリダジン-3-カルボキシレート(4.30g、13.6mmol)溶液に、アジ化ナトリウム(2.65g、40.8mmol)を加えた。50℃で2時間撹拌した後、混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水(200mL×3)および食塩水(200mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボン酸メチル(2.80g、収率66%)を白色固体で得た。
【0088】
段階6: 8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボン酸(A)の合成:
THF(5mL)中の8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボン酸メチル(250mg、0.85mmol)の溶液に、水(5mL)中の水酸化リチウム一水和物(143mg、3.4mmol)の溶液を0℃で加えた。混合物を25℃で4時間撹拌した。反応の完了後、3M HClを加えて反応混合物を中和し、沈澱をろ過し、冷水(1mL×2)で洗浄して、A(191mg、収率80%)を白色固体で得た。
【0089】
スキーム2:中間体-Bの合成
【0090】
段階1: 6-クロロ-4-((4-メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸メチルの合成:
DMSO(2mL)中の化合物4,6-ジクロロピリダジン-3-カルボン酸メチル(207mg、1mmol)およびEt3N(279μL、2mmol)の溶液に、4-メトキシベンジルアミン (144μL、1.1mmol)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応の完了後、水(10mL)を加え、白色沈澱が形成された。混合物をろ過し、水で洗浄して、6-クロロ-4-((4-メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸メチル(257mg、収率84%)を白色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 308.0 [M+H]+
【0091】
段階2: 7-((4-メトキシベンジル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボン酸の合成:
DMSO(3mL)中の6-クロロ-4-((4-メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン-3-カルボン酸メチル(257mg、0.84mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(109mg、1.68mmol)を加え、100℃で16時間撹拌した。反応の完了後、水(5mL)を加え、黄色沈澱が形成された。混合物を0℃で10分間維持し、ろ過し、水(2mL×2)で洗浄して、黄色固体を得た。固体を水(10mL)に懸濁し、HCl(3M)を加えて中和した。懸濁液をろ過してB(183mg、収率73%)を黄色固体で得た。
【0092】
スキーム3:中間体-Cの合成
【0093】
段階1: イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸エチルの合成:
EtOH(100mL)中の1H-イミダゾル-2-アミンヘミ硫酸塩(8.5g、64.33mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(4.4g、82.2mmol)を加え、得られた混合物を90℃で30分間撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、EtOH(40mL)中の(E)-4-エトキシ-2-オキソブタ-3-エン酸メチル(10g、63.29mmol)の溶液を加えた。反応混合物を還流するまでゆっくり加熱し、16時間撹拌した。反応の完了後、室温まで冷却し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィ(0~4%MeOH/DCM)で精製して、イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸メチル(5.2g、収率43%)をオフホワイト固体で得た。
【0094】
段階2: 3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸エチル(C)の合成:
MeOH(52mL)中のイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸エチル(5.2g、27.2mmol)の懸濁液に、KBr(3.24g、27.2mmol)および酢酸ナトリウム(3.43g、40.8mmol)を0℃、窒素雰囲気下で加えた。これに臭素(4.78g、29.9mmol)を10~15分かけて加えた。完了後、反応を1M Na2SO3水溶液(10mL)で停止した。次いで、揮発性物質を減圧下で除去し、飽和NaHCO3溶液(30mL)を残渣に加えた。得られた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィ(0~2%MeOH/DCM)で精製して、C(5.3g、収率72%)をオフホワイト固体で得た。
【0095】
パートII:実施例化合物の調製
本開示のすべての化合物を、以下に例示する手順を用いて調製した。
【0096】
実施例1
スキーム4:化合物1の合成:
【0097】
段階1: 2-(8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸メチルの合成:
A(27.8mg、0.1mmol)の溶液に、HATU(48mg、0.15mmol)、2-アミノ-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸メチル(19.4mg、0.11mmol)およびDIPEA(35μL、0.2mmol)を加え、反応混合物を50℃で終夜撹拌した。粗製混合物を分取HPLCで精製して、2-(8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸メチルを白色固体で得た(28mg、収率51%)。
【0098】
段階2: 2-(8-アミノテトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸リチウム(1)の合成:
CH2Cl2(0.8mL)中の2-(8-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)テトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸メチル(28mg、0.061mmol)の溶液に、TFA(0.4mL)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応の完了後、混合物を減圧下で濃縮した。次いで、粗製混合物をTHF(2mL)に溶解し、水酸化リチウム水溶液(310μL、0.31mmol、1M)を加え、50℃で6時間撹拌した。反応の完了後、THFを減圧下で除去し、残渣を水(1mL)に懸濁した。これをろ過し、冷水(0.5mL×2)およびアセトニトリル(0.5mL)で洗浄して、化合物1(リチウム塩、14.5mg、収率68%)を白色固体で得た。
【0099】
以下の化合物を、化合物1について前述したものと類似の手順で合成した:
5、6、7、8、9、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、24、25、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、38、39、40、41、42、43、45、47、50、55、56、58、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、79、80、77、78、81、82、83、84、85および86など。
【0100】
実施例2
スキーム5:化合物2の合成:
【0101】
2-(8-アミノテトラゾロ[1,5-b]ピリダジン-6-イル)-7-エチニル-6-フルオロ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-4-オン(2)の合成:
塩化チオニル0.6mL中の化合物1(20mg、0.06mmol)の懸濁液および混合物を2時間加熱還流した。次いで、過剰のチオニルを減圧下で除去した。固体を無水アセトニトリル1mLに溶解し、無水アセトニトリル1mL中のDIPEA(20μL、0.12mmol)の溶液を室温で加えた。30分間撹拌した後、得られた沈澱を分離し、アセトニトリルで洗浄して、生成物(15mg、収率77%)を得た。
【0102】
化合物44、48および49を、化合物2について記載したものと類似の手順を用いて調製した。
【0103】
実施例3
スキーム6:化合物3の合成:
【0104】
段階1: 3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸の合成:
水酸化リチウムの水溶液(0.327g、7.8mmol、2mL水)をTHF(8mL)中のC(1.4g、5.2mmol)の溶液に室温で加えた。反応混合物を同じ温度で1時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を減圧下で除去し、水層を0℃で2N HClを用いて酸性化した。得られた固体をろ取し、冷水(3mL×2)で洗浄し、乾燥して、3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸(1.0g、収率79%)をオフホワイト固体で得た。
【0105】
段階2: 2-(3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4,5-ジクロロ安息香酸メチルの合成:
DMF(14mL)中の3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸(1.4g、5.8mmol)の溶液に、DIPEA(3.8g、29.2mmol)およびHATU(3.3g、8.7mmol)を0℃、窒素雰囲気下で加えた。これを10分間撹拌した後、2-アミノ-4,5-ジクロロ安息香酸メチル(1.9g、8.7mmol)を加えた。反応混合物を80℃で5時間撹拌した。反応の完了後、室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液(30mL)を加えた。得られた固体をろ取し、カラムクロマトグラフィで精製して、2-(3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4,5-ジクロロ安息香酸メチル(1.0g、収率39%)をオフホワイト固体で得た。
【0106】
段階3: 4,5-ジクロロ-2-(3-シアノイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)安息香酸メチル3の合成:
DMF(4mL)中の2-(3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4,5-ジクロロ安息香酸メチル(0.220g、0.5mmol)の溶液に、CuCN(0.157g、1.75mmol)を加え、これをマイクロ波反応器内、140℃で2時間(1時間+1時間の間隔)照射した。反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、飽和NaHCO3(10mL)溶液、水(10mL×2)、食塩水(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(0~30%EtOAc/PE)で精製して0.11gの粗生成物を得、これを分取HPLCでさらに精製して、化合物3(11mg、収率6%)をオフホワイト固体で得た。
【0107】
化合物13、46、52および75を、化合物3について記載したものと類似の手順を用いて調製した。
【0108】
実施例4:
スキーム7:化合物4の合成:
【0109】
段階1: 3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸メチルの合成:
THF(3mL)中の1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(413mg、1.48 mmol、1.5当量)、3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸メチル(0.3g、989umol、1当量)、K3PO4(315mg、1.48mmol、1.5当量)およびSPhos Pd G3(154mg、197umol、0.2当量)の混合物を脱気し、N2で3回パージした。混合物を60℃で2時間、N2雰囲気下で撹拌した。粗製反応混合物を逆相Combi-flash(0.1%FA条件)で精製して、化合物3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸メチル(120mg、366umol、収率37%)を黄色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 328.1 [M+H]+
【0110】
段階2: 3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸の合成:
THF(0.5mL)およびH2O(0.5mL)中の3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸メチル(100mg、305umol、1当量)の混合物に、LiOH・H2O(12.8mg、305umol、1当量)を20℃で加えた。混合物を20℃で0.5時間撹拌し、次いで濃縮して、化合物3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸(85mg、粗製)を黄色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 314.1 [M+H]+
【0111】
段階3: 5-フルオロ-2-(3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチルの合成:
Py(0.5mL)中の3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボン酸(50mg、159umol、1当量)および2-アミノ-5-フルオロ-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(42.3mg、159umol、1当量)の混合物に、POCl3(73.4mg、478umol、44.4uL、3当量)を15℃で加えた。混合物を15℃で30分間撹拌し、次いでH2O(20mL)で希釈し、EA(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を分取HPLCで精製して、5-フルオロ-2-(3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(75mg、133umol、2段階の収率74%)を黄色固体で得た。
【0112】
段階4: 2-(3-(1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-5-フルオロ-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチルの合成:
DCM(1mL)中の5-フルオロ-2-(3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(15mg、26.7umol、1当量)の混合物に、TFA(462mg、4.05mmol、0.3mL、151当量)を15℃で一度に加えた。混合物を15℃で15分間撹拌し、次いで濃縮して、残渣を得た。残渣を分取HPLC(カラム:Shim-pack C18 150*25*10um;移動相:[水(0.225%FA)-ACN];B%:62%~82%、10分)で精製して、化合物2-(3-(1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-5-フルオロ-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(8mg、16.7umol、収率62%)を黄色固体で得た。LCMS (ESI): m/z 477.0 [M+H]+
【0113】
段階5: 2-(3-(1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸(4)の合成:
THF(0.1mL)およびH2O(0.1mL)中の2-(3-(1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-5-フルオロ-4-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸メチル(15mg、31.4umol、1当量)の混合物に、LiOH・H2O(1.45mg、34.62umol、1.1当量)を15℃で一度に加えた。混合物を15℃で30分間撹拌した。混合物を1N HClでpH=6として反応停止し、次いで減圧下で濃縮して除去した。沈澱をろ過し、ろ過ケークを減圧下で乾燥して、化合物2-(3-(1H-ピラゾル-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-7-カルボキサミド)-4-エチニル-5-フルオロ安息香酸(4.28mg、10.9umol、収率34%、純度100%)を黄色固体で得た。
【0114】
化合物51、59および61を、化合物4について記載したものと類似の手順を用いて調製した。
【0115】
本開示を、当業者がそれを作製し、使用するのに十分詳細に記載し、例示してきたが、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、様々な代替物、改変、および改善が当業者には明白であろう。
【0116】
本明細書において言及するすべての特許および出版物は、それぞれ個々の出版物が具体的かつ個別にその全体が参照により本明細書に組み入れられると示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。