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特許7414969多様なホームオートメーションシステムにおけるサーカディアン照明
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】多様なホームオートメーションシステムにおけるサーカディアン照明
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/11 20200101AFI20240109BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20240109BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240109BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/16
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022516010
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2020050449
(87)【国際公開番号】W WO2021050909
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】62/899,166
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520268997
【氏名又は名称】サバント システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ハム,アンドリュー,アール
(72)【発明者】
【氏名】キックライター,ケヴィン,シー
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ,トニー
(72)【発明者】
【氏名】ツォゥ,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】オレラナ,アルハンドロ
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022058(JP,A)
【文献】特開2016-170922(JP,A)
【文献】特開平07-065963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0077770(US,A1)
【文献】中国実用新案第205726500(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホームオートメーションシステムにおけるサーカディアン照明のための方法であって、
電子装置のユーザーインターフェイスにおいて、複数の部屋を有する建物について、サーカディアン照明曲線を定義する色温度及び強度のユーザー選択を受信し、
前記ユーザーインターフェイスにおいて、前記複数の部屋のうちのサーカディアン照明を作動させる部屋のユーザー選択を受信し、
屋外環境における光の現在の色温度及び強度を判定し、
前記電子装置又は他の電子装置上で実行されるアルゴリズムによって、前記サーカディアン照明曲線からの色温度及び強度を前記屋外環境における光の現在の色温度及び強度に近づけるように動かして調節することにより、最適な色温度及び調光値を計算し、
前記最適な色温度及び調光値を、前記部屋の個々の照明装置を制御する照明コマンドの各組に変換すること
を含み、前記部屋の前記照明装置は、色温度と強度を制御可能な1つ以上の照明装置と、強度のみを制御可能な1つ以上の照明装置とを含む、異なる機能を有する照明装置を含む、方法。
【請求項2】
前記屋外環境における光の現在の色温度又は強度の変化に応答して、前記最適な色温度及び/又は調光値を更新すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照明コマンドの各組を前記部屋のそれぞれの照明制御装置に送信し、
前記照明コマンドの各組を、各照明装置に送信されるデジタル制御値、アナログ信号、又は変調電力に変換すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の照明制御装置は、1つ以上の照明コントローラ、無線ゲートウェイ又は調光器を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記計算することは、
システムクロックからの現在時刻をある時間帯と対比し、
前記現在時刻が前記時間帯内であることに応答して、前記最適な色温度及び調光値を計算し、前記最適な色温度及び調光値を照明コマンドの各組に変換すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記時間帯は、特定時刻に基づいて定義された所定の時間帯である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の時間帯は、それぞれ異なる色温度及び強度を有する複数の所定の時間帯のうちの1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記屋外環境の現在の色温度及び強度を判定することは、屋外センサーによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記最適な色温度及び強度の表示を含むプレビューを少なくともある時間にわたって前記ユーザーインターフェイスに提供すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
サーカディアン照明を提供するためのホームオートメーションシステムであって、
サーカディアン照明曲線を定義する色温度及び強度のユーザー選択を受信するように構成されたユーザーインターフェイスを提供するように構成された、制御装置上で実行される制御アプリケーション(制御アプリ)と、
屋外環境における光の現在の色温度及び強度を測定するように構成された屋外センサーと、
前記制御装置及び前記屋外センサーと通信するホストコントローラであって、前記サーカディアン照明曲線からの色温度及び強度を前記屋外環境における光の現在の色温度及び強度に近づけるように動かして調節することにより、最適な色温度及び強度を計算し、前記最適な色温度及び調光値を、ある部屋の個々の照明装置を制御する照明コマンドの各組に変換するように構成されたホストコントローラと
を含む、ホームオートメーションシステム。
【請求項11】
前記ホストコントローラは、前記屋外環境における光の現在の色温度又は強度の変化に応答して、前記最適な色温度及び/又は調光値を更新するようにさらに構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ソフトウェアが記憶された非一時的電子装置読み取り可能媒体であって、前記ソフトウェアが1つ以上の電子装置によって実行されたときに、
複数の部屋を有する建物について、サーカディアン照明曲線を定義する色温度及び強度のユーザー選択を受信し、
前記複数の部屋のうちのサーカディアン照明を作動させる部屋のユーザー選択を受信し、
前記サーカディアン照明曲線からの色温度及び強度をセンサーからの光の現在の色温度及び強度に近づけるように動かして調節することにより、最適な色温度及び調光値を計算し、前記最適な色温度及び調光値が、前記サーカディアン照明曲線からの色温度及び強度とは異なっており、
前記最適な色温度及び調光値を、前記部屋の個々の照明装置を制御する照明コマンドの各組に変換する
ように動作可能である、非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項13】
前記ソフトウェアが実行されたときに、
前記センサーからの光の現在の色温度又は強度の変化に応答して、前記最適な色温度及び/又は調光値を更新する
ようにさらに動作可能である、請求項12に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項14】
前記ソフトウェアが実行されたときに、
前記照明コマンドの各組を前記部屋のそれぞれの照明制御装置に送信し、
前記照明コマンドの各組を、各照明装置に送信されるデジタル制御値、アナログ信号、又は変調電力に変換する
ようにさらに動作可能である、請求項12に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項15】
前記それぞれの照明制御装置は、1つ以上の照明コントローラ、無線ゲートウェイ又は調光器を含む、請求項14に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項16】
前記ソフトウェアが実行されたときに、
システムクロックからの現在時刻をある時間帯と対比し、
前記現在時刻が前記時間帯内であることに応答して、前記最適な色温度及び調光値を計算し、前記最適な色温度及び調光値を照明コマンドの各組に変換する
ようにさらに動作可能である、請求項12に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項17】
前記時間帯は、特定時刻に基づいて定義された所定の時間帯である、請求項16に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項18】
前記所定の時間帯は、それぞれ異なる色温度及び強度を有する複数の所定の時間帯のうちの1つである、請求項17に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項19】
前記センサーは屋外センサーであり、前記センサーからの光の現在の色温度及び強度は、屋外環境における光の色温度及び強度を含む、請求項12に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記ソフトウェアが実行されたときに、
前記最適な色温度及び強度の表示を含むプレビューを少なくともある時間にわたって提供する
ようにさらに動作可能である、請求項12に記載の非一時的電子装置読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、アンドリュー・アール・ハムらによって2019年9月12日に出願された「Circadian Lighting in a Diverse Home Automation System」と題する米国仮特許出願第62/899,166号の利益を主張するものである。この米国仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、装置制御に関するものであり、より具体的には、異なる機能及び制御方法を有する多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおいてサーカディアン照明を実施するためのアーキテクチャ、及び制御方法に関するものである。
【0003】
[背景情報]
研究によれば、人間や他の動物は、昼/夜のサイクルに関連する生物学的プロセスのタイミングを調整する「体内時計」を進化させてきた。こうした「時計」は、サーカディアンリズムと呼ばれている。サーカディアンリズムは、自然環境では自動調節されるが、現代の照明はサーカディアンリズムを混乱させ、メラトニンの生成を遅らせ、他にも健康への悪影響をもたらすことが示されている。研究によれば、照明装置からの強い光、特に高ケルビン(例えば、4600K~6500K)の「昼光色」照明に含まれるブルーライトは、サーカディアンリズムを乱すことが分かっている。この範囲の強い光は、日中の日光を模倣できるが、昼/夜のサイクルの体の認識を混乱させる可能性がある。
【0004】
この問題に対処するために、最近、建物(例えば、住宅又は商業構造)内でサーカディアン照明を実施するための多くの努力がなされてきた。サーカディアン照明は、昼/夜のサイクルを模倣するように照明装置の強度(すなわち輝度)及び/又は色温度を、1日を通して調節するものである。この種のサーカディアン照明によれば、サーカディアンリズムの乱れを最小限に抑え、健康への悪影響を回避できる可能性がある。ただし、サーカディアン照明を実施するには、多くの課題がある。
【0005】
1つの課題は、多くの既存の建物は、異なる機能及び様々な制御方法を有する多様な照明装置の集まりを有していることである。例えば、照明装置によっては、色温度と強度の両方を制御可能なものがある。照明装置によっては、強度のみを制御可能なものもある。同様に、照明装置によっては、デジタル照明制御プロトコル(例えば、DMX(デジタル多重)プロトコルなど)によって制御できるものもある。照明装置によっては、単純なDC電圧制御信号(例えば、0~10ボルト(V))によって制御可能なものもある。照明装置によっては、外部装置(例えば、照明装置に供給される高電圧電力の位相カット調光を実施する外部装置)によってしか、その出力を変更できないものもある。建物内のすべての照明装置を同じ機能を持つものに交換することは、法外な費用がかかるか、さもなければ非現実的である可能性がある。多くの場合、その結果事実上、サーカディアン照明は、建物内の一部の照明装置でしか実施されず、残りは変更されないままになる。そのため、残りの照明装置でサーカディアン照明を実施する利益は、大きく損なわれる。
【0006】
もう1つの課題は、サーカディアン照明を実施するための既存の取り組みの多くは、ほとんど静的であり、屋外環境における現在の光の状態に反応しないことである。一部の単純なシステムは、日の出や日の入りの時刻の変化のような光の状態の季節的変化に、完全には反応しないことがある。より複雑なシステムは、そのような季節的変化をある程度考慮できることもあるが、おおよそにすぎない。例えば、ユーザーは、日付、緯度、経度のデータを入力するように促される場合がある。これらを使用して、一般的な地域のおおよその日の出や日の入りの時刻のテーブルにアクセスできる。ただし、このような近似は、建物の正確な位置や、知覚される日の出や日の入りの時刻に影響を及ぼす可能性がある局所条件(例えば、背の高い木、山など)(これらは例えば、公式の日の出や日の入りの時刻とは多少異なる時刻に光を増加、若しくは減少させる原因になる)を考慮したものではない。さらに、既存のシステムは一般に、季節の変化とは無関係な屋外環境における現在の光の状態の変化を考慮しない。例えば、現在の天気(例えば、雲量、雨、霧など)により、屋外環境における光の状態は、大きく変化する可能性がある。既存のシステムは通常、そのような変化に反応しない。そのため、既存のシステムは、多くの場合、不自然で、外界から切り離されたように見える効果をもたらし、ユーザー体験や順能性を損ない、それによってサーカディアン照明の利益は損なわれる。
【0007】
したがって、異なる機能及び制御方法を有する多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおいてサーカディアン照明を実施するための、もっと応答性が高く、もっと動的なアーキテクチャが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[概要]
様々な実施形態において、異なる機能及び制御方法を備えた多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおいてサーカディアン照明を実施するためのアーキテクチャが提供される。このアーキテクチャは、屋外センサーを使用して、屋外環境について現在の強度及び色温度のデータを取得する。ユーザーが作成したサーカディアン照明曲線からの色温度及び強度を、屋外環境の現在の強度及び色温度のデータに基づいて動的に調節して、発生する変化を近似する。多様な照明装置が、動的に調節された温度及び強度に基づいて制御される。
【0009】
より具体的には、一実施形態において、サーカディアン照明(「昼光モード」とも呼ばれる)設定ユーザーインターフェイスは、制御装置(リモートコントローラ、モバイルデバイス、ホストコントローラ、又は他の電子装置)上で実行される制御アプリケーション(アプリ)によって提供される。設定ユーザーインターフェイスを使用して、ユーザーは、1つ以上の時間帯について、所望の色温度及び強度を選択する。例えば、ユーザーは、サーカディアン照明曲線を定義する複数の異なる所定の時間帯(例えば、朝、昼間、夕方、及び夜)の各々について、異なる色温度及び強度を選択する。屋外センサーは、屋外環境の光の現在の強度及び色温度のデータを収集する。サーカディアン照明曲線からの色温度と強度、屋外センサーからの現在の強度及び色温度、ならびにシステムクロックからの現在時刻は、ホストコントローラ上で実行される動的カラーマネージャプロセスに提供される。動的カラーマネージャプロセスは、研究ベースの照明アルゴリズムを使用して、現在時刻に適用可能なサーカディアン照明曲線からの色温度及び強度を、屋外センサーからの現在の色温度及び強度と結合し(例えば、屋外環境における現在の色温度強度及び強度を模倣するように)、これによって現在時刻に最適な色温度及び調光値を生成する。屋外環境の光の状態が変化すると、動的カラーマネージャプロセスは、最適な色温度及び/又は調光値を、それに応じて動的に変化させるように更新する。
【0010】
動的カラーマネージャプロセスは、それらの最適な色温度及び調光値を、同じくホストコントローラ上で実行されるサービス要求マネージャープロセスに提供する。サービス要求マネージャープロセスは、部屋でサーカディアン照明(「昼光モード」とも呼ばれる)が現在有効になっているか否かを判定し、有効になっている場合、現在の最適な色温度及び調光値を、同じくホストコントローラ上で実行される照明制御プロセスに提供する。照明制御プロセスは、現在の最適な色温度及び調光値を1組又は複数組の個別の照明コマンドに変換し、それらを、その部屋の1つ又は複数の照明制御装置(例えば、照明コントローラ(DMX又は0~10v)、ワイヤレスゲートウェイデバイス(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)ゲートウェイ)、非ワイヤレスゲートウェイデバイス(例えば、ウォールボックス調光器又はプラグイン調光器)、パネルブリッジコントローラなど)に送信する。照明制御装置は、受信した照明コマンドの組を、デジタル制御値、低電圧アナログ信号、又は変調高電圧電力(例えば、RBGW値、0~10vの調光信号及びカラー信号、高電圧位相カットなど)に変換し、場合によっては、その部屋にある多様な照明装置(例えば、無線照明装置(DMX又は0~10v)、ラインレベル照明装置など)の様々な機能に変換する。そして、それらのコマンド、値、又は電力が、それぞれの照明装置に送られる。照明制御プロセスによって実施される変換により、各部屋の現在の色温度及び調光値は、その部屋にある照明装置の様々な機能に応じて、達成可能な近似値に変換される。
【0011】
様々な追加の特徴及び代替の実施形態が実施されてもよいことを理解されたい。この概要は、単に読み手への簡単な紹介を意図するものであり、本明細書で言及されるが例が、本発明のあらゆる態様を網羅することや本発明の必須若しくは不可欠な態様であることを、示すものでも暗示するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の説明では、添付の図面を参照する。
【0013】
図1は、異なる機能及び制御方法の多様な照明装置を用いてサーカディアン照明を実施するホームオートメーションシステムの例示的アーキテクチャを示すブロック図である。
【0014】
図2は、異なる機能及び制御方法の多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおけるサーカディアン照明のための構成例を示すブロック図である。
【0015】
図3A図3Kは、リモートコントローラ、モバイルデバイス、又は他の電子装置上で実行される制御アプリにより提供できる設定ユーザーインターフェイスの一連の例示的スクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[定義]
本明細書で使用される場合、「ホームオートメーションシステム」という用語は、住宅や商業ビルのような建物内の種々の装置(例えば、照明装置、表示装置、電動日除け、HVAC装置、及び/又は他のタイプの装置)を制御できる様々なタイプのホームコントロールシステム、「スマートホーム」システム、及び/又は装置制御システムを包含するように、広く解釈されるべきである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「モバイルデバイス」という用語は、汎用オペレーティングシステムを実行する、人が運ぶのに適した電子装置を指している。スマートフォンのような装置は、モバイルデバイスと見なされるべきである。デスクトップコンピューター、サーバー又は他の主に据え置き型の計算装置は、通常、モバイルデバイスと見なされるべきではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ゲートウェイデバイス」という用語は、異なる無線通信プロトコルを使用する複数の無線インターフェイス/アダプタを含むホームオートメーションシステムの装置であって、ある無線通信プロトコル(例えば、Wi-Fi(登録商標))により制御コマンドを受信し、別の無線通信プロトコル(例えば、BLE)によりその制御コマンドを転送する機能を備えた、ホームオートメーションシステムの装置を指している。
【0019】
ホームオートメーションシステムアーキテクチャの例
図1は、異なる能力及び制御方法の多様な照明装置を用いてサーカディアン照明を実施するホームオートメーションシステムの例示的アーキテクチャ100を示すブロック図である。システムの中核には、例えばイーサネット(登録商標)LANのような家庭内有線ローカルエリアネットワーク(LAN)105に結合されたホストコントローラ110があり、家庭内有線LAN105はさらに、家庭内WLANを提供する、例えばWi-Fiアクセスポイント(AP)のようなアクセスポイント(AP)107に結合される。
【0020】
ホストコントローラ110は、プロセッサ、メモリ及びストレージデバイスのようなハードウェアコンポーネントを含み、これらが全体として、ホストソフトウェア(動的カラーマネージャ、サービス要求マネージャ、照明制御プロセス、及び他のソフトウェアを含む)を記憶し、実行する。ホストソフトウェアは、装置120~156の動作を監視制御し;UI解釈、システムの管理及び監視を提供し;クラウドサービス180との同期を実施し;活動記録サービスを提供し;活動予測サービスを提供し;及び/又は他のタイプの機能を提供するように構成されている。また、ホストコントローラ110は、それ自体のストレージデバイス内に家庭用データベースを維持することができる。家庭用データベースには、ホームオートメーションシステムによって制御される装置120~156とそれらの機能に関する情報、ならびに、装置120~156を制御するためのグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を提供するリモートコントローラ150、モバイルデバイス160、及び他の電子装置170に関する情報を含む、設定情報が記憶されている。
【0021】
ホームオートメーションシステムによって制御される装置120~156は、いくつかの異なる形態をとることができる。装置156には、表示装置(例えば、テレビ、モニターなど)、A/V装置コントローラ、メディアサーバー、オーディオアンプ、ケーブルボックスなどのオーディオ装置やビデオ装置124(総称してA/V装置)(図示せず)が含まれる場合がある。また、装置120~156には、モーター及び/又はリレーで動作する装置(例えば、日除けコントローラ、電動日除け、電子ドアロックなど)、セキュリティ装置、冷暖房(HVAC)装置など(図示せず)も含まれる場合がある。
【0022】
装置120~156には、様々な異なる機能及び制御方法を有する照明装置がさらに含まれる場合がある。照明装置によっては、色温度と強度の両方の制御をサポートするものがある。そのような照明装置は、有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続)を介して有線LAN105に結合された照明コントローラを有する場合があり、照明コントローラは、デジタル制御値又は低電圧信号を送信することによって個々の照明器具及び/又はランプを制御する。例えば、DMX照明コントローラ134は、有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続)を介して有線LAN105に結合される場合があり、DMX照明コントローラ134に結合された個々の照明装置136(例えば、照明器具)を、RBGW値を受け渡す有線接続を介して制御することができる。同様に、0~10V照明コントローラ138は、有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続)を介して有線LAN105に結合される場合があり、0~10V照明コントローラ138に結合された個々の照明器具及び/又はランプ140を、0~10vの調光信号及びカラー信号を受け渡す有線接続を介して制御することができる。これらの照明装置は、無線通信をサポートする照明コントローラを含む場合がある。例えば、無線ランプモジュール144及び無線キーパッド146のようなゲートウェイデバイス142は、WLAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))を介してコマンドを受信することができ、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)(例えば、BLE)を介してRBGW値を送信することにより、個々の無線照明器具及び/又はランプ148を制御することができる。
【0023】
照明装置によっては、強度の制御のみをサポートするものがある。そのような照明装置は、有線接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続)を介して有線LAN105に結合された照明コントローラを含む場合があり、照明コントローラが、個々の照明器具及び/又はランプを制御する場合がある。例えば、パネルブリッジコントローラ124、及びブレーカパネル126に取り付けられたコンパニオンブレーカ127は、それらに結合された個々の照明装置128(例えば、照明器具)を、それらに変調高電圧電力(例えば、高電圧位相カット)を送信することによって制御できる。パネルブリッジコントローラ124とコンパニオンブレーカ127との間で、WPAN(例えば、BLE)を使用して、チャネル調光値を受け渡すことができる。同様に、ウォールボックス調光器152及びプラグイン調光器154のような非ゲートウェイデバイス150は、WLAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))を介して制御コマンドを受信することができ、照明器具128やランプ156のような個々の無線照明装置を、それらに変調高電圧電力(例えば、高電圧位相カット)を送信することによって制御することができる。
【0024】
照明装置は、キーパッドコントローラ130に結合されたキーパッド132や無線キーパッド146のような、インターフェイス装置によって制御することができる。また、リモートコントローラ150、モバイルデバイス160又は他の電子装置170を利用してもよい。リモートコントローラ150は、タッチセンシティブディスプレイ画面、物理ボタン、WLANインターフェイス(例えば、Wi-Fi(登録商標)インターフェイス)、WPANアダプタ(例えば、BLEアダプタ)、プロセッサ、メモリ、及びストレージデバイスを含む場合があり、これらが、ホストコントローラ110及びクラウドサービス180と接続するように構成された制御アプリを記憶し、実行する。リモートコントローラ150上の制御アプリは、他の機能の中でもとりわけ、サーカディアン照明を設定するための画面を備えたサーカディアン照明(「昼光モード」)設定ユーザーインターフェイス、ならびに、サーカディアン照明が設定された部屋を制御するためのさらに別のユーザーインターフェイス画面を表示することができる。場合によっては、リモートコントローラ150は、赤外線(IR)ブラスターのような相互接続装置120と通信することができる。
【0025】
さらに、モバイルデバイス160は、タッチセンシティブディスプレイ画面、WLANインターフェイス(例えば、Wi-Fi(登録商標)インターフェイス)、WPANアダプタ(例えば、BLEアダプタ)、プロセッサ、メモリ、及びストレージデバイスを含む場合があり、これらが、ホストコントローラ110及び/又はクラウドサービス180と接続するように構成された制御アプリ162を記憶し、実行する。モバイルデバイス160上の制御アプリは、他の機能の中でもとりわけ、サーカディアン照明を設定するための画面を備えたサーカディアン照明(「昼光モード」)設定ユーザーインターフェイス、ならびに、サーカディアン照明が設定された部屋を制御するためのさらに別のユーザーインターフェイス画面を表示することができる。
【0026】
さらに、タブレットコンピュータ、専用のタッチスクリーンユニット、又は他の電子装置170を利用してもよい。電子装置170は、ディスプレイ画面(例えば、タッチセンシティブ、非タッチセンシティブなど)、入力装置、WLANインターフェイス(例えば、Wi-Fi(登録商標)インターフェイス)、WPANアダプタ(例えば、BLEアダプタ)、プロセッサ、メモリ、及びストレージデバイスを含む場合があり、これらが、ホストコントローラ110及び/又はクラウドサービス180と接続するように構成された制御アプリ162を記憶し、実行する。電子装置170上の制御アプリは、他の機能の中でもとりわけ、サーカディアン照明を設定するための画面を備えたサーカディアン照明(「昼光モード」)設定ユーザーインターフェイス、ならびに、サーカディアン照明が設定された部屋を制御するためのさらに別のユーザーインターフェイス画面を表示することができる。
【0027】
一部の装置(例えば、ホストコントローラ110、モバイルデバイス160、他の電子装置170など)は、インターネット175を介してクラウドサービス180と通信することができる。クラウドサービスは、ホストアプリケーションプログラムインターフェイス(API)及びモバイルAPIを含み、ホームオートメーションコントローラへのリモートアクセス;家庭用データベースの永続的バックアップ(例えば、設定データベースへのデータの保存);(例えばサードパーティのアダプタを介した)サードパーティインフラストラクチャへのインターフェイス;ユーザープロファイルや使用状況の追跡(例えば、ユーザーデータベースへのデータの保存);無線更新のメカニズム;ホストクラッシュレポート;ライセンス管理;ならびに、様々な他の機能を提供することができる。
【0028】
図2は、異なる機能及び制御方法の多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおけるサーカディアン照明のための構成例を示すブロック図である。サーカディアン照明曲線を定義する所定の時間帯(例えば、朝、昼間、夕方、夜)について、所望の色温度と強度のユーザー選択が、制御装置上で実行される制御アプリによって提供されるサーカディアン照明(「昼光モード」)設定ユーザーインターフェイスに入力され、ホストコントローラ110上で実行される動的カラーマネージャプロセス220に送信される。屋外センサー112は、屋外環境における光の現在の強度及び色温度のデータ(例えば、ケルビン値)を収集し、これも、システムクロック210からの現在時刻とともに、ホストコントローラ110上で実行される動的カラーマネージャプロセス220に渡される。動的カラーマネージャプロセス220は、研究ベースの照明アルゴリズムを使用して、現在時刻に適用可能なサーカディアン照明曲線からの色温度及び強度を、屋外センサー112からの現在の色温度及び強度と結合し(例えば、屋外環境における現在の色温度強度及び強度を模倣するように)、これによって現在時刻に最適な色温度及び調光値を生成する。例えば、屋外センサー112からの現在の色温度及び/又は強度が、現在時刻に適用可能なサーカディアン照明曲線からの色温度及び強度よりも低い場合、動的カラーマネージャプロセス220は、サーカディアン照明曲線からの色温度及び/又は強度を低下させることができる(例えばそれらを、屋外センサー112からの色温度及び/又は強度に一致させるため、又は屋外センサー112からの色温度及び/又は強度に1つ若しくは複数の増分量だけ近づけるように動かすために)。同様に、屋外センサー112からの現在の色温度及び/又は強度が、現在時刻に適用可能なサーカディアン照明曲線からの色温度及び強度よりも高い場合、動的カラーマネージャプロセス220は、サーカディアン照明曲線からの色温度及び/又は強度を増加させることができる(例えばそれらを、屋外センサー112からの色温度及び/又は強度に一致させるため、又は屋外センサー112からの色温度及び/又は強度に1つ若しくは複数の増分量だけ近づけるように動かすために)。事実上、屋外環境における光の状態が変化すると、動的カラーマネージャプロセス220は、最適な色温度及び/又は調光値を、それに応じて動的に変化させるように更新する。
【0029】
動的カラーマネージャプロセス220は、それらの最適な色温度及び調光値を、ホストコントローラ110上で実行されるサービス要求マネージャ230に提供する。各部屋について、サービス要求マネージャ230は、サーカディアン照明(「昼光モード」とも呼ばれる)がその部屋で現在有効になっているか否かを判定し、有効になっている場合、最適な色温度及び調光値を、同じくホストコントローラ110上で実行される照明制御プロセス240に提供する。照明制御プロセス240は、現在の最適な色温度及び調光値を1組又は複数組の個別の照明コマンドに変換し、それらを、その部屋の1つ又は複数の照明制御装置に送信する。照明制御装置によっては、異なる個別の照明コマンドを異なる手段で送信する場合がある。例えば、色温度と強度をサポートする照明装置に目を向けると、DMX照明コントローラ134及び0~10v照明コントローラ138には、イーサネット(登録商標)を介して負荷アドレス、ケルビン値、及び調光レベルが送信される場合があり、ゲートウェイデバイス142には、イーサネット(登録商標)及びWLAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))を介して負荷アドレス、ケルビン値、及びRGBW値が送信される場合がある。強度のみをサポートする照明装置に目を向けると、パネルブリッジコントローラ124には、イーサネット(登録商標)を介して負荷アドレス及び調光レベルが送信される場合があり、ウォールボックス調光器152及びプラグイン調光器154には、イーサネット(登録商標)及びWLAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))を介して負荷アドレス及び調光レベルが送信される場合がある。
【0030】
照明制御装置は、受信した照明コマンドの組を制御値、低電圧信号、又は変調高電圧電力に変換し、場合によっては、各部屋にある多様な照明器具の機能に変換し、それらを、個々の照明装置に送信する。例えば、色の温度と強度をサポートする照明装置に目を向けると、DMX照明コントローラ134は、照明コマンドをRGBW値に変換し、それらを、有線リンクを介してDMX照明装置136に送信する。0~10v照明コントローラ138は、照明コマンドを0~10vの調光信号及びカラー信号に変換し、それらを、有線リンクを介して照明装置140に送信する。また、ゲートウェイデバイス142は、照明コマンドをRGBW値に変換し、それらを、WPAN(例えば、BLE)を介して無線照明装置148に送信する。強度のみをサポートする照明装置に目を向けると、パネルブリッジコントローラ124は、照明コマンドをチャネル調光値に変換し、それを、WPAN(例えば、BLE)を介してコンパニオンブレーカ127に送信する。コンパニオンブレーカ127は、変調高電圧電力(例えば、高電圧位相カット)を照明装置128に提供する。ウォールボックス調光器152及びプラグイン調光器154は、照明コマンドを、変調高電圧電力(例えば、高電圧位相カット)に変換し、それを照明装置128に供給する。照明制御プロセスによって実施されるこれらの変換により、現在の色温度と調光値は、部屋の照明器具の様々な機能を考慮して達成可能な近似値に変換される。
【0031】
図3A図3Jは、リモートコントローラ150、モバイルデバイス160、又は他の電子装置170上で実行される制御アプリによって提供できる設定ユーザーインターフェイスの一連の例示的スクリーンショットである。図3A図3Bにおいて、設定ユーザーインターフェイスは、サーカディアン照明(「昼光モード」とも呼ばれる)を有効にするために部屋を選択することをユーザーに促している。また、ユーザーは、サーカディアン照明曲線を定義するために、所定の時間帯(例えば、朝、昼間、夕方、及び夜)について所望の色温度及び強度を選択することを促される。図3C図3Dでは、ユーザーは、朝の時間帯について色温度及び強度を選択している。ユーザーは、天文基準と時間オフセット、又は特定時刻を選択することにより、朝の時間帯がいつ始まるかを定義することもできる。図3Eでは、ユーザーは、昼間の時間帯について色温度及び強度を選択している。ユーザーは、昼間の時間帯が始まる特定時刻を選択してもよい。図3Fでは、ユーザーは、夕方の時間帯について色温度及び強度を選択している。ユーザーは、夕方の時間帯がいつ始まるかを定義する特定時刻を選択することもできる。図3G図3Iでは、ユーザーは、夜の時間帯について色温度及び強度を選択している。ユーザーは、天文基準と時間オフセット、又は特定時刻を選択することにより、夜の時間帯がいつ始まるかを定義することもできる。場合によっては、制御アプリは、動的カラーマネージャプロセス220と協働して、予測される最適な色温度及び調光値を取得してもよい。このような予測された最適な色温度及び調光値は、履歴的な屋外環境データ又は一般化された屋外環境データに部分的に基づくものであってよい。図3Jでは、ユーザーに対し、ある部屋について1日を通して予測される最適な色温度及び調光値のプレビューを示すグラフが表示される。さらに、実際の部屋において加速された速度(例えば、24時間を1分に圧縮する速度)でサーカディアン照明のための予測される最適な色温度及び調光値をプレビューするオプションが、さらにユーザーに与えられてもよい。図3Kにおいて、サーカディアン照明の設定は完了する。
【0032】
要約すると、様々な機能と制御方法の多様な照明装置を有するホームオートメーションシステムにおいてサーカディアン照明を実施するためのアーキテクチャであって、屋外センサーを使用して屋外環境の現在の強度及び色温度のデータを取得するアーキテクチャが提供される。上記の説明では特定の具体例を使用しているが、それらに多数の修正及び/又は追加を行ってもよいことは、明らかであるはずである。また、上に記載した動作やステップの多くは、ハードウェア、ソフトウェア(ソフトウェアを含む非一時的電子装置読み取り可能媒体として具体化される)、ファームウェア、又はそれらの組み合わせの何れで実施されてもよいことを理解されたい。非一時的電子装置読み取り可能媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)のようなメモリ、ハードドライブやフラッシュデバイスのようなディスク、又は他の有形記憶媒体の何れの形をとってもよい。一般に、上記の説明は、単に例として解釈されることを意図するものであることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K