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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B25J19/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022531935
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2021023196
(87)【国際公開番号】W WO2021261394
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020109593
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】内藤 康広
(72)【発明者】
【氏名】山本 知之
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-137127(JP,A)
【文献】特開2014-094436(JP,A)
【文献】特開2015-230621(JP,A)
【文献】特開平10-264079(JP,A)
【文献】特表2015-526309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を構成する部位を選択する選択部と、
前記人体を構成する前記部位と、前記部位に対応するロボットの許容速度とを対応付けて記憶する許容速度記憶部と、
前記選択部により選択された前記部位に対応付けられた前記許容速度を前記許容速度記憶部から読み出し、読み出された前記許容速度の最小値を前記ロボットの最高速度として設定するロボット制御部と、
を備えるロボット制御装置。
【請求項2】
前記人体を構成する前記部位を模した第1の画像情報及び前記部位を選択するための第2の画像情報を表示部に表示する表示制御部を更に備える請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記ロボットと作業領域を共有する作業者の体重及び身長を入力する入力部を更に備え、
前記ロボット制御部は、前記体重及び前記身長に基づいて前記部位に対応する前記ロボットの前記許容速度を算出し、算出された前記ロボットの前記許容速度を前記許容速度記憶部に記憶する、請求項1又は2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記ロボットの動作範囲内に存在する作業者の作業者情報を取得する作業者情報取得部を更に備え、
前記ロボット制御部は、前記作業者情報取得部により前記作業者情報が取得された場合、前記選択部により選択された前記部位に対応付けられた前記許容速度を前記許容速度記憶部から読み出し、読み出された前記許容速度の最小値を前記ロボットの最高速度として設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記作業者情報は、前記作業者の前記部位が前記ロボットの動作範囲内に存在することを示す情報を含み、
前記作業者情報が前記作業者の前記部位が前記ロボットの動作範囲内に存在することを示す情報を含む場合、前記ロボット制御部は、前記作業者情報取得部により取得された前記作業者情報に含まれる前記作業者の前記部位に対応付けられた前記許容速度を前記許容速度記憶部から読み出し、読み出された前記許容速度の最小値を前記ロボットの最高速度として設定する、請求項4に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記人体を構成する前記部位と、前記ロボットの動作速度と、前記部位に前記ロボットが接触した際の接触力の閾値とを対応付けて記憶する閾値記憶部を更に備え、
前記ロボット制御部は、前記選択部により選択された前記部位及び前記入力部により入力された前記ロボットの前記動作速度に対応付けられた前記接触力の閾値を前記閾値記憶部から読み出し、読み出された前記接触力の閾値の最小値を前記ロボットの停止閾値として設定する、請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項7】
前記ロボット制御部は、前記選択部により選択された前記部位及び前記入力部により入力された前記接触力の閾値に対応付けられた前記ロボットの前記動作速度を前記閾値記憶部から読み出し、読み出された前記ロボットの前記動作速度の最小値を、前記ロボットの最高動作速度として設定する、前記請求項6に記載のロボット制御装置。
【請求項8】
体を構成する部位と、前記部位に対応するロボットの許容速度とを対応付けて記憶する許容速度記憶部と、
前記部位の選択を受け付けると、前記部位に対応付けられた前記許容速度を前記許容速度記憶部から取得し、前記許容速度の最小値を前記ロボットの最高速度として設定するロボット制御部と、
を備えるロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業者等の人間と作業空間を共有して稼動できるように、人間や周辺機器との接触をセンサによって検出し、動作を停止又は変更する協働ロボット(協調ロボット)が普及しつつある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロボットは、ロボットの動作によりロボットが人間と接触するか否かを予測し、接触すると予測された場合に、人間の急所にロボットが接触しないように、ロボットの動作を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-137127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような協働ロボットにおいて、安全上の観点から、協働ロボットが作業者と接触したときに、作業者の身体に影響を与えない程度にロボットの動作速度を設定する必要がある。そこで、作業者にとって安全なロボットの動作速度を簡単に設定することができるロボット制御装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るロボット制御装置は、人体を構成する部位を選択する選択部と、前記人体を構成する前記部位と、前記部位に対応するロボットの許容速度と対応付けて記憶する許容速度記憶部と、前記選択部により選択された前記部位に対応付けられた前記許容速度を前記許容速度記憶部から読み出し、読み出された前記許容速度の最小値を前記ロボットの最高速度として設定するロボット制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業者にとって安全なロボットの動作速度を簡単に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るロボットシステムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係るロボット制御装置の概要を示す図である。
図3】第1の画像情報及び第2の画像情報の一例を示す図である。
図4】速度テーブルの一例を示す図である。
図5】閾値テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るロボットシステム100の概要を示す図である。図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット制御装置2と、を備える。
【0009】
ロボット1は、任意の構造を有するロボットである。ロボット1は、例えば、6軸多関節型のロボットであってもよい。また、ロボット1は、作業者3と協働して作業を行うことができるロボットである。このような作業者3と協働して作業を行うことができるロボットは、協働ロボットと称される。
【0010】
ロボット制御装置2は、ロボット1を制御することにより、ロボット1に所定の動作等を行わせるための制御装置である。
図2は、本実施形態に係るロボット制御装置2の概要を示す図である。図2に示すように、ロボット制御装置2は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24と、作業者情報取得部25と、を備える。
【0011】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、各種の処理を実行する。また、制御部21は、表示制御部211と、選択部212と、ロボット制御部213と、備える。
【0012】
記憶部22は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他の各種情報を格納するハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
また、記憶部22は、許容速度記憶部221と、閾値記憶部222と、を有する。
【0013】
表示部23は、液晶ディスプレイ等で構成され、各種の情報を表示する。
入力部24は、ボタン、キー、スイッチ等で構成され、作業者からの各種入力操作を受け付ける。
なお、表示部23及び入力部24は、一体化されたタッチパネル等を有する教示操作盤であってもよい。また、教示操作盤は、タブレット端末によって構成されてもよい。
【0014】
作業者情報取得部25は、ロボット1の動作範囲内に存在する作業者3の作業者情報を取得する。ここで、作業者情報は、作業者3の人体を構成する部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含む。
【0015】
具体的には、作業者情報取得部25は、カメラ等の撮像装置を有し、撮像装置によって作業者3を撮像することによって作業者情報を取得する。
【0016】
また、作業者3は、所定の周波数の無線信号を送信可能な無線端末を携帯しており、作業者情報取得部25は、無線端末から送信される無線信号を受信可能な無線装置であってもよい。この場合、作業者情報取得部25は、無線端末から送信される無線信号を受信することによって作業者情報を取得する。
【0017】
次に、本実施形態に係るロボット制御装置2の処理について説明する。
表示制御部211は、人体を構成する部位を模した第1の画像情報及び人体の部位を選択するための第2の画像情報を表示部23に表示する。
【0018】
図3は、第1の画像情報及び第2の画像情報の一例を示す図である。例えば、表示制御部211は、図3に示すように、人体を構成する部位を模した第1の画像情報41を表示部23に表示する。また、表示制御部211は、人体を構成する各部位を選択するためのチェックボックス42~46を第2の画像情報として表示部23に表示する。
【0019】
より詳細には、表示制御部211は、人体の頭及び首を選択するためのチェックボックス42と、腕、手及び指を選択するためのチェックボックス43と、胴を選択するためのチェックボックス44と、上腿を選択するためのチェックボックス45と、下腿を選択するためのチェックボックス46と、を表示部23に表示する。
【0020】
なお、表示制御部211は、上述した第1の画像情報及び第2の画像情報に代えて、人体を構成する各部位を選択するためのリストや、部位の名称を入力及び指定するための入力ボックス等を表示部23に表示してもよい。
【0021】
選択部212は、人体を構成する部位を選択する。具体的には、選択部212は、入力部24等を用いて、図3に示すようなチェックボックス42~46の少なくとも1つを指定することによって人体を構成する部位を選択する。図3に示す例では、チェックボックス43を指定することによって、選択部212は、人体の腕、手及び指を選択する。
【0022】
許容速度記憶部221は、人体を構成する部位と、人体を構成する部位に対応するロボット1の許容速度と対応付けた速度テーブル2211を記憶する。なお、ロボット1の許容速度は、ロボット1が人体を構成する各部位に接触したときに、人体の各部位に損傷を生じない程度のロボット1の動作速度を示す。
【0023】
図4は、速度テーブル2211の一例を示す図である。図4に示す例では、頭及び首に対応するロボット1の許容速度は、0(mm/s)であり、下腿に対応するロボット1の許容速度は、250(mm/s)であり、腕、手及び指に対応するロボット1の許容速度は、700(mm/s)であり、その他の人体の部位(例えば、胴及び上腿)に対応するロボット1の許容速度は、300(mm/s)である。
【0024】
ロボット制御部213は、選択部212により選択された人体の部位に対応付けられた許容速度を許容速度記憶部221の速度テーブル2211から読み出す。ロボット制御部213は、速度テーブル2211から読み出された許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定する。
【0025】
具体的には、選択部212により腕及び胴が選択された場合、ロボット制御部213は、腕及び胴に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出す。図4に示すように、速度テーブル2211において、腕に対応するロボット1の許容速度は、700(mm/s)であり、胴(その他の人体の部位)に対応するロボット1の許容速度は、300(mm/s)である。よって、ロボット制御部213は、速度テーブル2211から読み出された許容速度の最小値である300(mm/s)をロボット1の最高速度として設定する。
【0026】
また、入力部24は、ロボット1と作業領域を共有する作業者3の体重及び身長を入力してもよい。ロボット制御部213は、入力された体重及び身長に基づいて人体の部位に対応するロボット1の許容速度を算出する。そして、ロボット制御部213は、算出されたロボット1の許容速度を許容速度記憶部221の速度テーブル2211に記憶する。
【0027】
ここで、ロボット1と人体とが接触した場合の接触力は、主に、ロボット1の速度、人体の部位の質量及び人体の弾性定数(バネ定数)によって求められる。弾性定数(バネ定数)は、個人差があまりないが、人体の部位の質量は、個人差が生じる。そこで、ロボット1の許容速度は、実験データ又は計算機によるシミュレーションを用いて算出される。
【0028】
算出されたロボット1の許容速度は、人体を構成する各部位と対応付けて、質量テーブル2212として許容速度記憶部221に記憶される。すなわち、質量テーブル2212は、人体を構成する部位の質量と、ロボット1の許容速度とを対応付けて記憶する。
【0029】
ロボット制御部213は、入力部24によって入力された作業者の体重と、一般的な人体の各部位の構成比率とに基づいて、作業者3の各部位の質量を算出する。なお、ロボット制御部213は、作業者3への安全性を考慮し、入力された作業者の体重に一定の値(マージン)を加算してもよい。
【0030】
そして、ロボット制御部213は、質量テーブル2212を参照し、算出された作業者3の各部位の質量に対応する許容速度を求める。ロボット制御部213は、求められた許容速度と、作業者3の各部位とを対応付けて速度テーブル2211として記憶する。
【0031】
また、ロボット制御装置2は、作業者の身長、体重及び各部位の質量を含むサンプルデータを複数(例えば、数千人分)記憶したサンプルデータベース(図示せず)を作成し、作成したデータベースを記憶部22に記憶してもよい。そして、ロボット制御部213は、入力部24によって作業者の身長及び体重が入力されると、サンプルデータベースを参照して、入力された身長及び体重に最も近い値に対応する各部位の質量を、作業者の各部位の質量として算出してもよい。
【0032】
この場合も同様に、ロボット制御部213は、質量テーブル2212を参照し、算出された作業者3の各部位の質量に対応する許容速度を求める。ロボット制御部213は、求められた許容速度と、作業者3の各部位とを対応付けて速度テーブル2211として記憶する。
【0033】
また、ロボット制御部213は、作業者情報取得部25により作業者情報が取得された場合、選択部212により選択された人体の部位に対応付けられた許容速度を許容速度記憶部221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出された許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定する。
【0034】
具体的には、作業者情報取得部25は、作業者3の人体を構成する部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す作業者情報を取得し、選択部212は、人体を構成する部位を選択する。例えば、作業者情報取得部25が撮像装置を有する場合、作業者情報取得部25は、撮像装置によって作業者を撮像することによって作業者情報を取得する。
【0035】
また、作業者情報取得部25が、無線端末から送信される無線信号を受信可能な無線装置である場合、作業者情報取得部25は、無線端末から送信される無線信号を受信することによって作業者情報を取得する。
【0036】
ロボット制御部213は、腕及び胴に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出す。図4に示すように、速度テーブル2211において、頭に対応するロボット1の許容速度は、0(mm/s)であり、腕に対応するロボット1の許容速度は、700(mm/s)であり、よって、ロボット制御部213は、速度テーブル2211から読み出された許容速度の最小値である0(mm/s)をロボット1の最高速度として設定する。すなわち、ロボット制御部213は、ロボット1を停止させる。
【0037】
また、作業者情報が作業者3の部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含む場合、ロボット制御部213は、作業者情報取得部25により取得された作業者情報に含まれる作業者の部位に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出し、読み出された許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定する。
【0038】
具体的には、作業者情報取得部25は、作業者3の腕及び下腿がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含む作業者情報を取得する。例えば、作業者情報取得部25が撮像装置を有する場合、作業者情報取得部25は、撮像装置によって作業者の腕及び下腿を含む画像を撮像することによって作業者情報を取得する。
【0039】
この場合、ロボット制御部213は、作業者3の腕及び下腿に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出す。図4に示す速度テーブル2211において、腕に対応するロボット1の許容速度は、700(mm/s)であり、下腿に対応するロボット1の許容速度は、250(mm/s)である。よって、ロボット制御部213は、許容速度の最小値である250(mm/s)をロボット1の最高速度として設定する。
【0040】
また、作業者情報が作業者3の部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含まない場合、つまり、ロボット1の動作範囲内に作業者3が存在しない場合、ロボット制御部213は、例えば、速度テーブル2211の許容速度よりも速い値(例えば、750(mm/s))をロボット1の最高速度として設定する。
【0041】
また、閾値記憶部222は、人体を構成する部位と、ロボット1の動作速度と、人体を構成する部位にロボット1が接触した際の接触力の閾値と、を対応付けた閾値テーブル2221を記憶する。
【0042】
図5は、閾値テーブル2221の一例を示す図である。図5に示す例では、閾値テーブル2221において、下腿について、動作速度が250(mm/s)の場合、閾値は、150(N)であり、動作速度が750(mm/s)の場合、閾値は、50(N)であり、動作速度が1000(mm/s)の場合、閾値は、37(N)である。
【0043】
また、閾値テーブル2221において、腕について、動作速度が250(mm/s)の場合、閾値は、450(N)であり、動作速度が750(mm/s)の場合、閾値は、150(N)であり、動作速度が1000(mm/s)の場合、閾値は、112(N)である。
【0044】
ロボット制御部213は、選択部212により選択された部位及び入力部24により入力されたロボット1の動作速度に対応付けられた接触力の閾値を閾値テーブル2221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出された接触力の閾値の最小値をロボット1の停止閾値として設定する。
【0045】
具体的には、選択部212により選択された部位が下腿及び腕であり、入力部24により入力されたロボット1の動作速度が250(mm/s)である場合、ロボット制御部213は、接触力の閾値として150(N)及び450(N)を閾値テーブル2221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出された接触力の閾値の最小値である150(N)をロボット1の停止閾値として設定する。これにより、ロボット制御部213は、ロボット1が作業者3に接触したときの接触力が、停止閾値150(N)以上になった場合、ロボット1の動作を停止する。
【0046】
また、ロボット制御部213は、選択部212により選択された部位及び入力部24により入力された接触力の閾値に対応付けられたロボット1の動作速度を閾値テーブル2221から読み出す。ロボット制御部213は、読み出されたロボット1の動作速度の最小値を、ロボット1の最高動作速度として設定する。
【0047】
具体的には、選択部212により選択された部位が下腿及び腕であり、入力部24により入力された接触力の閾値が150(N)である場合、ロボット制御部213は、ロボット1の動作速度として250(mm/s)及び750(mm/s)を閾値テーブル2221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出されたロボット1の動作速度の最小値である250(mm/s)を、ロボット1の最高動作速度として設定する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロボット制御装置2は、人体を構成する部位を選択する選択部212と、人体を構成する部位と、部位に対応するロボット1の許容速度と対応付けて記憶する許容速度記憶部221と、選択部212により選択された部位に対応付けられた許容速度を許容速度記憶部221から読み出し、読み出された許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定するロボット制御部213と、を備える。
【0049】
このようにロボット制御装置2は、ロボット1の許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定することによって、ロボット1と協働して作業を行う作業者3にとって安全な動作速度を簡単に設定することができる。
【0050】
また、ロボット制御装置2は、人体の部位を模した第1の画像情報41及び部位を選択するための第2の画像情報としてのチェックボックス42~46を表示部23に表示する表示制御部211を更に備える。これにより、ロボット制御装置2は、ロボット1と接触する可能性がある人体の各部位を好適に選択することができる。
【0051】
また、ロボット制御装置2は、ロボット1と作業領域を共有する作業者3の体重及び身長を入力する入力部24を更に備える。ロボット制御部213は、作業者3の体重及び身長に基づいて部位に対応するロボット1の許容速度を算出し、算出されたロボット1の許容速度を許容速度記憶部221の速度テーブル2211に記憶する。これにより、ロボット制御装置2は、作業者3の身長及び体重を考慮した許容速度を算出することができる。
【0052】
また、ロボット制御装置2は、ロボット1の動作範囲内に存在する作業者の作業者情報を取得する作業者情報取得部25を更に備える。ロボット制御部231は、作業者情報取得部25により作業者情報が取得された場合、選択部212により選択された部位に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出す。そして、ロボット制御部231は、読み出された許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定する。
【0053】
これにより、ロボット制御装置2は、作業者情報が取得された場合、つまり、ロボット1の周囲に作業者3が存在する場合、許容速度の最小値をロボット1の最高速度に設定する。したがって、ロボット制御装置2は、ロボット1の周囲に作業者3が存在する場合、ロボット1と協働して作業を行う作業者3にとって安全な動作速度を簡単に設定することができる。
【0054】
また、作業者情報は、作業者3の部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含み、作業者情報が作業者3の部位がロボット1の動作範囲内に存在することを示す情報を含む場合、ロボット制御部213は、作業者情報取得部25により取得された作業者情報に含まれる作業者3の部位に対応付けられた許容速度を速度テーブル2211から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出された前記許容速度の最小値をロボット1の最高速度として設定する。これにより、ロボット制御装置2は、作業者3の部位がロボット1の動作範囲内に存在する場合、ロボット1と協働して作業を行う作業者3にとって安全な動作速度を簡単に設定することができる。
【0055】
また、ロボット制御装置2は、人体を構成する部位と、ロボット1の動作速度と、部位にロボット1が接触した際の接触力の閾値とを対応付けて記憶する閾値テーブル2221を更に備える。ロボット制御部213は、選択部212により選択された部位及び入力部24により入力されたロボット1の動作速度に対応付けられた接触力の閾値を閾値テーブル2221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出された接触力の閾値の最小値をロボット1の停止閾値として設定する。これにより、ロボット制御装置2は、ロボット1と協働して作業を行う作業者3にとって安全なロボット1の停止閾値を設定することができる。
【0056】
また、ロボット制御部213は、選択部212により選択された部位及び入力部24により入力された接触力の閾値に対応付けられたロボット1の動作速度を閾値テーブル2221から読み出す。そして、ロボット制御部213は、読み出されたロボット1の動作速度の最小値をロボット1の最高動作速度として設定する。これにより、ロボット制御装置2は、ロボット1と協働して作業を行う作業者3にとって安全なロボット1の最高動作速度を設定することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記のロボット制御装置2は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のロボット制御装置2により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0058】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0059】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ロボット
2 ロボット制御装置
3 作業者
21 制御部
22 記憶部
23 表示部
24 入力部
25 作業者情報取得部
211 表示制御部
212 選択部
213 ロボット制御部
221 許容速度記憶部
222 閾値記憶部
2211 速度テーブル
2221 閾値テーブル
図1
図2
図3
図4
図5