IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

特許7414994物品収納装置、及び物品収納装置を備えるピッキングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】物品収納装置、及び物品収納装置を備えるピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B65G1/14 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022531949
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2021023256
(87)【国際公開番号】W WO2021261407
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020108183
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼司
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特許第5713268(JP,B2)
【文献】特開昭51-085177(JP,A)
【文献】特許第6616969(JP,B2)
【文献】特許第4649521(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/08、1/137、1/14、47/90
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器が設置される収納棚であって、設置された該容器を下方から支持する容器設置フレームを有する、収納棚と、
前記収納棚の所定位置に配置された前記容器から側方へ離隔して配置され、前記容器設置フレームから上方へ延出するように該容器設置フレームに固定された固定部材と、
前記所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で動可能となるように前記固定部材に設けられた蓋であって、前記開放位置に配置されたときに前記固定部材よりも前記側方へ突出して配置される、蓋と、を備える、物品収納装置。
【請求項2】
記固定部材に回動可能に連結され、前記蓋に固定される可動部材であって、前記蓋は、前記可動部材を介して前記固定部材に設けられ、前記固定部材に対する前記可動部材の動作によって前記蓋を円弧状の軌道に沿って往復動させる、可動部材をさらに備える、請求項1に記載の物品収納装置。
【請求項3】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、
前記別の部材に対して固定された固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、前記蓋に固定される可動部材であって、前記固定部材に対する前記可動部材の回動動作によって前記蓋を円弧状の軌道に沿って往復動させる、可動部材と、を備え、
前記可動部材は、前記蓋の一方の端部に固定され、該一方の端部とは反対側の前記蓋の他方の端部には、回転式把持部が設けられる、物品収納装置。
【請求項4】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、
前記別の部材に対して固定された固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、前記蓋に固定される可動部材であって、前記固定部材に対する前記可動部材の回動動作によって前記蓋を円弧状の軌道に沿って往復動させ、前記固定部材及び前記可動部材は、前記蓋が前記閉塞位置又は前記開放位置に配置されたときに互いに対向配置される、可動部材と、
記固定部材又は前記可動部材に設けられ、対向配置された前記固定部材と前記可動部材との間に介挿される弾性部材と、を備える、物品収納装置。
【請求項5】
前記蓋が前記閉塞位置又は前記開放位置に配置されたときに該蓋の移動を規制して該蓋を前記閉塞位置又は前記開放位置に保持する移動規制機構をさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の物品収納装置。
【請求項6】
前記移動規制機構は、前記蓋及び前記収納棚の一方に設けられ、前記蓋が前記閉塞位置又は前記開放位置に配置されたときに前記蓋及び前記収納棚の他方と係合して前記蓋の移動を規制する係合部を有する、請求項に記載の物品収納装置。
【請求項7】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、を備え、
前記蓋は、前記開放位置に配置されたときに該蓋の上に置かれた物品の姿勢を揃える姿勢調整機構を有する、物品収納装置。
【請求項8】
前記姿勢調整機構は、前記蓋が前記開放位置に配置されたときに鉛直下方へ展開して前記物品を受容する蓋開口部を形成する一方、前記蓋が前記閉塞位置に配置されたときに該蓋開口部を閉じる開閉扉機構を有する、請求項に記載の物品収納装置。
【請求項9】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉塞位置に配置されたときに前記開口部を閉塞する一方、前記開放位置に配置されたときに鉛直上方を向く第1の面と、
前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有し、
前記第1の面には、前記蓋が前記開放位置に配置されたときに前記第1の面の上に置かれた物品の位置ずれを防止する凹凸部が形成されている、物品収納装置。
【請求項10】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉塞位置に配置されたときに前記開口部を閉塞する一方、前記開放位置に配置されたときに鉛直上方を向く第1の面と、
前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有し、
前記第1の面には、弾性被覆部が設けられている、物品収納装置。
【請求項11】
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、
前記蓋が前記開放位置に配置されたときに、該蓋又は該蓋の上に置かれた物品の質量を検知する質量センサと、を備える、物品収納装置。
【請求項12】
前記収納棚は、
載置された前記容器が重力の作用によって前記所定位置へ向かって移動するように該容器を案内するガイド機構と、
前記ガイド機構によって1つの前記容器が前記所定位置に到達したときに該1つの容器に後続する他の前記容器の前記所定位置へ向かう方向の移動を規制して、前記1つの容器と前記他の容器とを離隔させるストッパ機構と、を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の物品収納装置。
【請求項13】
品収納装置であって、
開口部を有する容器が設置される収納棚と、
前記容器とは別の部材に設けられ、前記収納棚の所定位置に配置された前記容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して前記開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋と、を有する、物品収納装置と、
前記蓋を把持可能なハンドを有し、前記蓋を前記閉塞位置と前記開放位置との間で移動させるロボットであって、前記蓋を前記開放位置に配置させたときに、前記開口部を通して前記容器の内部に収納された物品を前記ハンドで把持して取り出す、ロボットと、を備える、ピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納装置、及び物品収納装置を備えるピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に開閉可能な蓋が設けられている物品収納装置が知られている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-118161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、物品収納装置の部品点数を削減しつつ、簡単な操作により容器の開口部を開閉可能とすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、物品収納装置は、開口部を有する容器が設置される収納棚と、容器とは別の部材に設けられ、収納棚の所定位置に配置された容器の開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置から後退して開口部を開放する開放位置との間で往復動可能な蓋とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、複数の容器を収納棚に連続して配置する場合等において、共通の蓋を用いて、簡単な操作により、容器の開閉を行うことができる。これにより、部品点数の削減と、作業の簡単化をともに実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る物品収納装置の図である。
図2図1に示す物品収納装置の側面図である。
図3図1に示す蓋機能のうちの1つの拡大図である。
図4図3に示す蓋機構の側面図である。
図5図3に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図6】他の実施形態に係る蓋機構の拡大斜視図である。
図7図6に示す蓋機構の側面図である。
図8図7に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図9】さらに他の実施形態に係る蓋機構の側面図である。
図10図9に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図11】さらに他の実施形態に係る蓋機構の側面図である。
図12図11に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図13】さらに他の実施形態に係る蓋機構の拡大斜視図である。
図14図13に示す蓋機構の側面図である。
図15図14に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図16】さらに他の実施形態に係る蓋機構の側面図である。
図17】さらに他の実施形態に係る蓋機構の側面図である。
図18図17に示す蓋機構を、図17中の矢印XVIIIから見た図である。
図19図17に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図20図19に示す蓋機構を、図19中の矢印XXから見た図である。
図21図19に示す姿勢調整機構の機能を説明するための図である。
図22】さらに他の実施形態に係る蓋機構の側面図である。
図23図22に示す蓋機構が開蓋された状態を示す図である。
図24図23に示す姿勢調整機構の機能を説明するための図である。
図25】他の実施形態に係る収納棚の側面図である。
図26図25に示す収納棚の領域Dを、図25中の矢印XXVIから見た図である。
図27図26に示す収納棚を、図26中のXXVII-XXVIIに沿って切断した断面図である。
図28図27に示すストッパ部材が、第2の位置に配置されている状態を示す。
図29】一実施形態に係るピッキングシステムの図である。
図30図29に示すピッキングシステムのブロック図である。
図31図29に示すピッキングシステムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
図32】一実施形態に係る弾性被覆部の図である。
図33】他の実施形態に係る弾性被覆部の図である。
図34】他の実施形態に係るピッキングシステムの図である。
図35図34に示すピッキングシステムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明においては、図中の直交座標系を方向の基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方として言及する。
【0009】
まず、図1及び図2を参照して、一実施形態に係る物品収納装置10について説明する。物品収納装置10は、収納棚12、及び、該収納棚12に設けられた複数の蓋機構14を備える。収納棚12は、複数の長柱部16、複数の短柱部18、及び容器設置フレーム20を備える。長柱部16及び短柱部18の各々は、作業セルの床の上に固定され、z軸方向(例えば、鉛直方向)へ真直ぐ延在する。
【0010】
本実施形態においては、2つの容器設置フレーム20が、互いにz軸方向へずれるように、長柱部16及び短柱部18の上端にそれぞれ固設され、各々の容器設置フレーム20は、前方へ向かうにつれて上方へ向かうように、x-y平面(例えば、水平面)に対して傾斜して配置されている。x-y平面に対する容器設置フレーム20の傾斜角度は、例えば10°である。これら容器設置フレーム20の各々の上に、複数の容器24が着脱可能に設置される。
【0011】
容器24は、中空であって、その上端に開口部26(図5)を有する。容器24には、ボルト、ナット、又はコンロッド等、後述するロボットの作業に用いられる物品が収納される。容器設置フレーム20の上に設置される容器24は、該容器設置フレーム20における所定の設置位置SPに各々配置される。
【0012】
容器24は、例えば、容器設置フレーム20に設けられた治具(図示せず)、又は後述の位置決め部材によって、設置位置SPに位置決めされる。図1に示すように容器24が各々の設置位置SPに設置されたとき、容器24は、それぞれの容器設置フレーム20の上で、x軸方向に略等間隔で整列する。
【0013】
複数の蓋機構14は、互いに同じ構成を有している。本実施形態においては、1つの容器設置フレーム20に、3つの蓋機構14がx軸方向に略等間隔で並ぶように配置されている。以下、図3及び図4を参照して、蓋機構14の構成について説明する。蓋機構14は、蓋28、固定部材30及び32、可動部材34、並びに、回転式把持部36を有する。
【0014】
蓋28は、略四角形の外形を有し、第1の面38と、該第1の面38とは反対側の第2の面40とを有する。固定部材30は、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって、容器設置フレーム20における予め定められた位置に固定され、該容器設置フレーム20から上方へ延出している。固定部材32は、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって固定部材30に固定され、これにより、固定部材30を介して容器設置フレーム20に対して固定される。固定部材32は、固定部材30の上端から上方へ延出する。
【0015】
可動部材34は、固定部材32に可動に設けられている。より具体的には、可動部材34は、ヒンジ軸42を介して固定部材32に回動可能に設けられている。ヒンジ軸42は、x軸と略平行に延び、可動部材34は、固定部材32に対しヒンジ軸42周りに回動する。固定部材32、可動部材34、及びヒンジ軸42は、1つの蝶番を構成している。可動部材34は、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって、蓋28の一方の端部(図3及び図4に示す配置では、後方の端部)に固定されている。本実施形態においては、可動部材34は、蓋28の第2の面40に固定されている。
【0016】
回転式把持部36は、可動部材34とは反対側の蓋28の端部(図3及び図4に示す配置では、前方の端部)に設けられている。より具体的には、回転式把持部36は、把持軸46、及び把持輪48を有する。把持軸46は、蓋28の右側面44から右方へ突出するように該右側面44に固設されている。把持輪48は、把持軸46周りに回動可能となるように該把持軸46に取り付けられている。
【0017】
蓋28は、固定部材30及び32に対する可動部材34の動作によって、図4に示す閉塞位置と、図5に示す開放位置との間で往復動する。蓋28が図4に示す閉塞位置に配置されたとき、蓋28は、その第1の面38で、容器設置フレーム20の設置位置SPに配置された容器24の開口部26を閉塞する。このとき、第1の面38は、容器24の上端面と当接してもよい。一方、蓋28が図4に閉塞位置から後退して図5に示す開放位置に配置されたとき、該蓋28は、収納棚12の後端よりも後方側に突出し、容器24の開口部26を外部へ開放する。
【0018】
蓋28の開閉動作は、例えば作業員又は後述のロボットによって実行され得る。具体的には、図4に示す閉塞位置に配置された蓋28を開く場合、作業員又はロボットは、まず、回転式把持部36の把持輪48を把持し、該把持輪48をヒンジ軸42周りに、右側から見て反時計周りの方向へ回動させる。
【0019】
そうすると、蓋28は、固定部材30及び32に対する可動部材34の回動動作によって、ヒンジ軸42周りの、y-z平面と略平行な円弧状の軌道に沿って移動するように案内され、閉塞位置から後退して図5に示す開放位置に到達する。これにより、容器24の開口部26が外部へ開放され、作業員又はロボットは、容器24の内部に収納された物品を、開口部26を通して取り出すことができる。
【0020】
一方、図5に示す開放位置に配置された蓋28を閉じる場合、作業員又はロボットは、回転式把持部36の把持輪48を把持し、該把持輪48をヒンジ軸42周りに、右側から見て時計周りの方向へ回動させる。そうすると、蓋28は、固定部材30及び32に対する可動部材34の回動動作によって、開蓋時と同じ円弧状の軌道に沿って移動するように案内され、図4に示す閉塞位置に到達する。これにより、蓋28によって開口部26が閉塞され、開口部26を通して容器24の内部に異物(切削液又は塵埃等)が進入するのを防止できる。
【0021】
このように、本実施形態においては、蓋28は、閉塞位置と開放位置との間で往復動可能となるように、容器24とは別の部材である収納棚12(具体的には、容器設置フレーム20)に設けられている。このように、蓋28が容器24とは別の部材に設けられている(換言すれば、容器24から独立している)ことから、複数の容器24を収納棚12の設置位置SPに連続して配置する場合等において、共通の蓋28を用いて、簡単な操作により、容器24の開閉を行うことができる。これにより、部品点数の削減と、作業の簡単化をともに実現できる。
【0022】
また、本実施形態においては、固定部材30及び32に対する可動部材34の動作(具体的には、回動動作)によって、蓋28を往復動させている。この構成によれば、簡単な構造によって、蓋28を同じ軌道で往復動させるように案内することができるので、容器24の開口部26を開閉する動作を高精度に再現できる。
【0023】
また、本実施形態においては、可動部材34は、固定部材32に回動可能に設けられ、固定部材32に対する可動部材34の回動動作によって蓋28を円弧状の軌道に沿って往復動させるように案内している。この構成によれば、作業員又はロボットは、蓋28を、小さな力(具体的には、トルク)で簡単に開閉できる。
【0024】
また、本実施形態においては、可動部材34は、蓋28の一端部に固定されている一方、該一端部とは反対側の蓋28の他端部に、回転式把持部36が設けられている。そして、作業員又はロボットが、回転式把持部36の把持輪48を把持して蓋28を開閉させるのにつれて、回転式把持部36の把持輪48は、把持軸46周りに相対回転する。
【0025】
これにより、作業員又はロボットは、把持輪48を把持したまま回転式把持部36を操作することで蓋28を開閉できる。また、回転式把持部36が、可動部材34とは反対側の蓋28の端部に、該可動部材34から離隔して設けられていることから、作業員又はロボットは、より小さな力(具体的には、トルク)で蓋28を簡単に開閉できる。
【0026】
物品収納装置10には、上述の蓋機構14に限らず、種々の形態の蓋機構を適用できる。以下、図6図8を参照して、他の実施形態に係る蓋機構50について説明する。蓋機構50は、蓋28、固定部材30、52及び54、可動部材34、回転式把持部36、及び弾性部材60を有する。固定部材52は、x軸方向から見て略L字状の部材であって、第1のアーム56、及び第2のアーム58を有する。第1のアーム56は、平板状の部材であって、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって固定部材30に固定され、該固定部材30の上端から上方へ延出する。
【0027】
第2のアーム58は、第1のアーム56と略直交するように該第1のアーム56の上端に一体に形成された平板状の部材であって、該第1のアーム56の上端から後方へ延出している。固定部材54は、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって、第2のアーム58の上面に固定されている。こうして、固定部材52及び54は、固定部材30を介して、容器設置フレーム20に対して固定される。
【0028】
可動部材34は、ヒンジ軸42を介して固定部材54に回動可能に設けられている。固定部材54、可動部材34、及びヒンジ軸42は、1つの蝶番を構成している。本実施形態においては、弾性部材60は、固定部材54の上面に設けられている。弾性部材60は、例えば、ゴム材、ウレタン材、又は弾性樹脂材等の弾性材から構成されている。
【0029】
図6及び図7に示す閉塞位置から、図8に示す開放位置へ蓋28を開くと、固定部材54と可動部材34とはz軸方向に互いに対向して配置され、固定部材54と可動部材34との間に、弾性部材60が介挿される。このとき、蓋28及び可動部材34の組立体が、固定部材52の第2のアーム58及び固定部材54によって支持され、これにより、蓋28のさらなる回動が規制されて、該蓋28が開放位置に保持される。したがって、固定部材52の第2のアーム58と固定部材54とは、蓋28が開放位置に配置されたときに該蓋28の移動を規制して該蓋28を開放位置に保持する移動規制機構62を構成する。
【0030】
また、第2のアーム58及び固定部材54は、弾性部材60を介して、蓋28及び可動部材34の組立体と係合することで、蓋28の回動を規制している。したがって、第2のアーム58及び固定部材54は、開放位置に配置された蓋28と係合して該蓋28の移動を規制する係合部として機能する。なお、本実施形態においては、移動規制機構62は、蓋28が開放位置に配置されたときに、該蓋28を水平面と平行に保持するように、構成される。
【0031】
以上のように、本実施形態においては、蓋28が図8に示す開放位置へ配置されたとき、固定部材54と可動部材34との間に弾性部材60が介挿される。この構成によれば、蓋28の開蓋時に弾性部材60によって固定部材54と可動部材34との衝撃を緩和し、物品収納装置10の構成要素(例えば、固定部材54、可動部材34及びヒンジ軸42からなる蝶番)が故障するのを防止できる。
【0032】
また、本実施形態においては、物品収納装置10は、蓋28が開放位置に配置されたときに該蓋28の移動を規制して該蓋28を開放位置に保持する移動規制機構62(具体的には、第2のアーム58及び固定部材54)を具備する。この構成によれば、蓋28を開放位置に安定して保持することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、移動規制機構62は、開放位置に配置された蓋28を水平面と平行に保持するように構成されている。この構成によれば、例えば、後述するように蓋28が開放位置に配置されたときにロボットによって容器24から物品を取り出して、鉛直上方を向く第1の面38の上に載置したときに、該物品を該第1の面38の上に静止して置くことができる。なお、固定部材52の第2のアーム58は、第1のアーム56の上端から前方に延出するように設けられてもよい。
【0034】
次に、図9及び図10を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構70について説明する。蓋機構70は、蓋28、固定部材30、72及び54、可動部材34、回転式把持部36、弾性部材60、及び、ストッパヒンジ機構74を有する。固定部材72は、第1のアーム76、及び第2のアーム78を有する。
【0035】
第1のアーム76は、例えばボルト等の締結具又は溶接等によって固定部材30に固定された平板状の部材であって、固定部材30から上方へ延出している。第2のアーム78は、第1のアーム76に対して傾斜するように該第1のアーム76の上端に一体に形成された平板状の部材であって、該第1のアーム76の上端から後側へ延出している。固定部材54は、第2のアーム78の上面に固定されている。
【0036】
ストッパヒンジ機構74は、ヒンジ軸42、及び角度調整機構80を有する。可動部材34は、ストッパヒンジ機構74のヒンジ軸42を介して、固定部材54に回動可能に設けられている。角度調整機構80は、固定部材54に対する可動部材34の回転角度θ(開き角度)を調整する。具体的には、角度調整機構80は、例えばギア又はロック機構を有し、可動部材34を固定部材54に対し、該角度調整機構80に任意に設定された回転角度θの位置に保持する。
【0037】
図9に示すように蓋28が閉塞位置に配置されているとき、固定部材54と可動部材34とは互いに対向配置され、固定部材54と可動部材34との間に弾性部材60が介挿される。このとき、蓋28及び可動部材34の組立体が、固定部材72の第2のアーム78及び固定部材54によって支持され、これにより、蓋28のさらなる回動が規制されて、該蓋28が閉塞位置に保持される。
【0038】
すなわち、本実施形態においては、蓋28が開口部26を閉塞する開放位置は、第2のアーム78及び固定部材54によって規定される。このように、本実施形態においては、第2のアーム78と固定部材54とは、蓋28が閉鎖位置に配置されたときに該蓋28の移動を規制して、該蓋28を閉塞位置に保持する移動規制機構79を構成する。
【0039】
また、第2のアーム78及び固定部材54は、弾性部材60を介して、蓋28及び可動部材34の組立体と係合することで、蓋28の回動を規制している。したがって、第2のアーム78及び固定部材54は、閉鎖位置に配置された蓋28と係合して該蓋28の移動を規制する係合部として機能する。
【0040】
一方、図9に示す閉塞位置から図10に示す開放位置へ向かってヒンジ軸42周りの円弧状の軌道に沿って蓋28を回動して開き、可動部材34が固定部材54に対し、角度調整機構80に設定された回転角度θの位置に到達すると、該角度調整機構80によって可動部材34及び蓋28の回動動作が規制され、これにより蓋28が開放位置に保持される。
【0041】
換言すれば、本実施形態において、蓋28の開放位置は、角度調整機構80に設定された回転角度θによって、規定される。このように、角度調整機構80は、蓋28が開放位置に配置されたときに該蓋28の移動を規制して該蓋28を開放位置に保持する移動規制機構80を構成する。
【0042】
ここで、本実施形態においては、開放位置に配置された蓋28を水平面と平行に保持するように、角度調整機構80の回転角度θが設定される。この構成によれば、角度調整機構(移動規制機構)80によって、開放位置に配置された蓋28を水平面と平行に安定して保持できる。
【0043】
次に、図11及び図12を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構90ついて説明する。蓋機構90は、図6図8に示す蓋機構50と、以下の構成において相違する。すなわち、蓋機構90は、弾性部材60の代わりに、質量センサ92を有する。質量センサ92は、例えば、圧電素子、歪ゲージ、重量センサ、又は圧力センサ等を有し、固定部材54の上面に設けられている。
【0044】
蓋28が図12に示す開放位置へ配置されたとき、互いに対向配置された固定部材54と可動部材34との間に、質量センサ92が介挿される。この状態で、例えば、後述するようにロボットによって容器24から物品を取り出して、開放位置に配置された蓋28の上に載置したとき、蓋28と、該蓋28の上に載置された物品の重力は、質量センサ92に加えられる。質量センサ92は、蓋28と、該蓋28の上に載置された物品の質量を検知することができる。
【0045】
次に、図13図15を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構100について説明する。蓋機構100は、蓋28、固定部材30及び32、可動部材34、回転式把持部36、及び移動規制機構102を有する。移動規制機構102は、第1の係合部104及び第2の係合部106を有する。
【0046】
第1の係合部104及び第2の係合部106の各々は、蓋28の第2の面40に固設され、第2の面40から突出している。なお、第1の係合部104及び第2の係合部106は、蓋28に一体に設けられてもよいし、又は、蓋28とは別体として設けられて第2の面40に取り付けられてもよい。
【0047】
一方、収納棚12の容器設置フレーム20には、第1の当接部108及び第2の当接部109が固設されている。第1の当接部108及び第2の当接部109の各々は、容器設置フレーム20の本体から上方に延在している。なお、第1の当接部108及び第2の当接部109は、容器設置フレーム20の本体に一体に設けられてもよいし、又は、容器設置フレーム20の本体とは別体として設けられて、該本体に取り付けられてもよい。
【0048】
蓋28が、図13及び図14に示す閉塞位置から、図15に示す開放位置まで、ヒンジ軸42周りの円弧状の軌道に沿って蓋28を回動して開くと、第1の係合部104及び第2の係合部106が、それぞれ、容器設置フレーム20の第1の当接部108及び第2の当接部109と係合し、これにより、蓋28のさらなる回動が規制される。
【0049】
こうして、移動規制機構102は、蓋28を開放位置に保持する。なお、本実施形態においては、移動規制機構102は、蓋28が開放位置に配置されたときに該蓋28を水平面と平行に保持するように、構成される。本実施形態によれば、移動規制機構102によって、蓋28を開放位置に安定して保持することができる。
【0050】
なお、本実施形態において、移動規制機構を、収納棚12に設けることもできる。例えば、移動規制機構は、容器設置フレーム20から後方へ延出するように該容器設置フレーム20に固設されたベースアームと、該ベースアームから上方へ延出する係合部を有してもよい。この場合、蓋28が開放位置に配置されたときに、該係合部が、その上端で蓋28と係合し、該蓋28を開放位置に、例えば水平面と平行に、保持する。
【0051】
次に、図16を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構110について説明する。蓋機構110は、上述の蓋機構100と、移動規制機構112において相違する。移動規制機構112は、その基端114が蓋28の第2の面40に固定される一方、その先端に係合部116を有する。移動規制機構112は、軸線Aに沿って第2の面40から延在している。この軸線Aは、第2の面40と略直交してもよい。
【0052】
一方、収納棚12の容器設置フレーム20には、当接部118が固設されている。当接部118は、容器設置フレーム20の本体から後方に延出している。図16に示すように蓋28が開放位置に配置されたとき、移動規制機構112の係合部116は、容器設置フレーム20の当接部118と係合し、これにより、蓋28のさらなる回動が規制される。こうして、移動規制機構112は、蓋28を開放位置に保持する。
【0053】
ここで、本実施形態においては、移動規制機構112は、その基端114から、その先端に位置する係合部116までの軸線Aの方向の長さLが可変(換言すれば、軸線Aに沿って伸縮自在)となるように、構成されている。移動規制機構112は、例えば、テレスコープ機構、又は、レール部及び該レール部上を摺動可能なスライダ部からなる機構を有する。また、移動規制機構112は、任意の長さLで係合部116を基端114に対してロックするロック機構をさらに有してもよい。
【0054】
作業者は、図16に示す状態で、移動規制機構112の長さLを調整することによって、開放位置に配置されている蓋28の水平面に対する傾斜角度を任意に調整できる。これにより、作業者は、開放位置での蓋28の傾斜角度を、水平面と平行となるように、高精度に調整できる。
【0055】
なお、移動規制機構112は、収納棚12に設けられてもよい。例えば、移動規制機構112は、その基端が当接部118の上面に固定され、その係合部116が該基端の上方に配置されるように、当接部118に設けられてもよい。すなわち、この場合、移動規制機構112の係合部116は、容器設置フレーム20の当接部118に設けられ、蓋28が開放位置に配置されたときに該蓋28と係合して蓋28の移動を規制することになる。
【0056】
次に、図17図20を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構120について説明する。蓋機構120は、図13図15に示す蓋機構100と、蓋122において相違する。蓋122は、本体部124、及び開閉扉機構126を有する。本体部124は、第1の面38及び第2の面40を有する平板部材であって、その中央部に貫通孔128(図18)が形成されている。
【0057】
開閉扉機構126は、一対の扉130及び132と、扉係合部134とを有する。扉130は、その基端が、貫通孔128の後側に設けられたヒンジ軸136を介して本体部124に回動可能に設けられている一方、その先端130aは自由端となっている。一方、扉132は、その基端が、貫通孔128の前側に設けられたヒンジ軸138を介して本体部124に回動可能に設けられている一方、その先端132aは自由端となっている。ヒンジ軸136及び138は、x軸方向と平行に延在している。
【0058】
扉係合部134は、第1のアーム140、及び第2のアーム142を有する。第1のアーム140は、平板状の部材であって、その基端が本体部124の第2の面40に固定され、該第2の面40から延出する。第2のアーム142は、第1のアーム140と略直交するように該第1のアーム140の先端に一体に形成された平板状の部材であって、該第1のアーム140の先端から右方へ延出する。
【0059】
蓋122が図17に示す閉塞位置に配置されているとき、扉132の上に扉130が重ね合わされて、一対の扉130及び132が閉じられる。その結果、容器24の開口部26が、蓋122(具体的には、本体部124、及び一対の扉130及び132)によって閉塞される。
【0060】
一方、蓋122が、図17に示す閉塞位置から図19に示す開放位置へ、ヒンジ軸42周りに回動されると、移動規制機構102の第1の係合部104及び第2の係合部106が、それぞれ、収納棚12の第1の当接部108及び第2の当接部109と係合し、これにより蓋122の回動が規制されて、該蓋122が開放位置に配置される。
【0061】
蓋122が開放位置に配置されると、扉130及び132は、重力の作用により、ヒンジ軸136及び138の周りにそれぞれ回動し、扉130の先端130aと、扉132の先端132aとが、扉係合部134の第2のアーム142と係合する。こうして、一対の扉130及び132が鉛直下方へ展開して開き、扉130の先端130aと扉132の先端132aとの間に、蓋開口部144が形成される。
【0062】
蓋122が閉塞位置に再度配置されると、図17に示すように一対の扉130及び132が重ね合わされて蓋開口部144が閉じられる。このように、開閉扉機構126は、蓋122が開放位置に配置されたときに鉛直下方へ展開して蓋開口部144を形成する一方、蓋122が閉塞位置に配置されたときに該蓋開口部144を閉じる。
【0063】
開閉扉機構126は、蓋122が開放位置に配置されているときに貫通孔128へ投入された物品の姿勢を揃えることができる。この機能について、図21を参照して説明する。図21に示す例では、物品Wは、例えばボルト又はコンロッドであって、ヘッド部W1と、該ヘッド部W1から延出するシャフト部W2とを有する。
【0064】
開放位置に配置されている蓋122の貫通孔128に物品Wが上側から投入されると、ヘッド部W1が扉130及び132に係止される一方、シャフト部W2が蓋開口部144に受容される。その結果、物品Wの姿勢が、ヘッド部W1が鉛直上側に配置され、シャフト部W2がヘッド部W1から鉛直下方へ垂下するような姿勢に、揃えられることになる。このように、本実施形態においては、開閉扉機構126は、開放位置に配置された蓋122の上に置かれた物品Wの姿勢を揃える姿勢調整機構として機能する。
【0065】
次に、図22及び図23を参照して、さらに他の実施形態に係る蓋機構150について説明する。蓋機構150は、上述の蓋機構120と、蓋152において相違する。具体的には、蓋152は、本体部124、及び開閉扉機構154を有する。開閉扉機構154は、筒状部156、及び扉158を有する。
【0066】
本実施形態においては、筒状部156は、例えば蛇腹状の可撓性部材であって、その中心軸の方向へ伸縮自在に構成されている。筒状部156は、その基端が、本体部124の貫通孔128(図18)の周囲を取り囲むように配置され、その先端に、蓋開口部162が画定されている。扉158は、ヒンジ軸160を介して筒状部156の先端に回動可能に設けられている。
【0067】
図22に示すように蓋152が閉塞位置に配置されているとき、筒状部156は、折り畳まれて収縮し、扉158は、蓋開口部162を閉じる。一方、蓋152が、図22に示す閉塞位置から図23に示す開放位置へヒンジ軸42周りに回動されると、移動規制機構102の第1の係合部104及び第2の係合部106が、それぞれ、収納棚12の第1の当接部108及び第2の当接部109と係合し、これにより蓋152の回動が規制されて、該蓋152が開放位置に配置される。
【0068】
蓋152が開放位置に配置されると、筒状部156は、重力の作用により鉛直下方へ展開して伸長する。図23に示すように展開された筒状部156は、その基端から先端(すなわち、蓋開口部162)まで下方へ向かうにつれて先細状となる(換言すれば、断面積が小さくなる)。
【0069】
また、扉158は、ヒンジ軸160周りに回動して蓋開口部162を開く。このように、開閉扉機構154は、蓋152が開放位置に配置されたときに鉛直下方へ展開して蓋開口部162を形成する一方、蓋152が閉塞位置に配置されたときに該蓋開口部162を閉じる。
【0070】
開閉扉機構154は、上述の開閉扉機構126と同様に、蓋152が開放位置に配置されているときに貫通孔128(図18)へ投入された物品の姿勢を揃えることができる。この機能について、図24を参照して説明する。図24に示すように、開放位置に配置されている蓋152の貫通孔128に物品Wが上側から投入されると、ヘッド部W1が筒状部156の内周面156aに係止される一方、シャフト部W2が蓋開口部162に受容される。
【0071】
その結果、物品Wの姿勢が、ヘッド部W1が鉛直上側に配置され、シャフト部W2がヘッド部W1から鉛直下方へ垂下するような姿勢に、揃えられることになる。このように、本実施形態においては、開閉扉機構154は、開放位置に配置された蓋152の上に置かれた物品Wの姿勢を揃える姿勢調整機構として機能する。なお、筒状部156は、伸縮自在な部材に限らず、例えば、漏斗状の固体部材であってもよい。
【0072】
なお、上述の蓋機構120又は150において、移動規制機構102(係合部104及び106)及び当接部108及び109の代わりに、図7に示す移動規制機構62(固定部材52及び54)を適用してもよいし、又は、図9に示す移動規制機構80(具体的にはストッパヒンジ機構74)と固定部材54及び72とを適用してもよい。
【0073】
物品収納装置10には、上述の収納棚12に限らず、種々の形態の収納棚を適用できる。以下、図25図27を参照して、他の実施形態に係る収納棚170について説明する。収納棚170は、複数の長柱部16、複数の短柱部18、及び容器設置フレーム172を有する。容器設置フレーム172の上には、複数の容器24A、24B、及び24Cがy軸方向へ並ぶように設置される。
【0074】
図26に示すように、容器設置フレーム172は、ガイド機構174、ストッパ機構176、及び位置決め部材183を有する。ガイド機構174は、その上に載置された容器24A、24B、24Cが重力の作用によって、容器設置フレーム172における所定の設置位置SPへ向かって移動するように、該容器24A、24B、24Cを案内する。
【0075】
具体的には、ガイド機構174は、中央ベース部177、一対のガイドレール178及び180と、中央ベース部177とガイドレール178との間に配置された第1列のローラ182Aと、中央ベース部177とガイドレール180との間に配置された第2列のローラ182Bとを有する。
【0076】
中央ベース部177は、容器設置フレーム172のx軸方向の中央に配置され、前方へ向かうにつれて上方へ向かうように、x-y平面(例えば、水平面)に対して傾斜して配置されている。一対のガイドレール178及び180は、その間に中央ベース部177が配置されるように互いにx軸方向に離隔して配置され、中央ベース部177と平行に延在するように、x-y平面(例えば、水平面)に対して傾斜して配置されている。中央ベース部177、ガイドレール178及び180の、x-y平面(水平面)に対する傾斜角度は、例えば10°である。
【0077】
ガイドレール178は、ベース部184と、該ベース部184の左端から上方へ立ち上がるガイド壁186とを有する。同様に、ガイドレール180は、ベース部188と、該ベース部188の右端から上方へ立ち上がるガイド壁190とを有する。ここで、本実施形態においては、中央ベース部177には、略矩形の穴192が形成されている。
【0078】
第1列のローラ182Aは、y軸に沿って並ぶように互いに略等間隔で配置されている。第1列のローラ182Aの各々は、x軸と略平行な軸線周りに回転可能となるように、中央ベース部177とベース部184との間に設けられている。また、第2列のローラ182Bは、y軸に沿って並ぶように互いに略等間隔で配置されている。第2列のローラ182Bの各々は、x軸と略平行な軸線周りに回転可能となるように、中央ベース部177とベース部188との間に設けられている。
【0079】
容器24A、24B、24Cは、互いに対向するガイド壁186及び190の間に置かれ、ガイド壁186及び190によって左右への脱落が防止されつつ、ローラ182A及び182Bの作用により各々の重力の作用によって設置位置SPへ向かって移動する。このように、ガイド機構174は、載置された容器24A、24B、24Cを設置位置SPへ向かって移動するように案内する。
【0080】
ストッパ機構176は、ストッパ部材194と、該ストッパ部材194を付勢する付勢部196(図27)とを有する。図27に示すように、ストッパ部材194は、中央ベース部177に形成された穴192に受容され、軸202を介して回動可能となるように中央ベース部177に支持されている。具体的には、ストッパ部材194は、ストッパ本体198と、該ストッパ本体198の前端から上方へ突出するストッパ壁200とを有する。
【0081】
付勢部196は、ストッパ部材194を、図27中の矢印Eに示す方向(すなわち、右側から見て時計回り方向)へ付勢する。例えば、付勢部196は、一端がストッパ部材194に連結され、他端が中央ベース部177に連結された捩りバネである。代替的には、付勢部196は、ストッパ本体198の前端に設けられた錘であってもよい。
【0082】
位置決め部材183は、ガイドレール178及び180の間で延在するように該ガイドレール178及び180に固設され、ガイドレール178及び180の後方側の所定の位置に配置されている。位置決め部材183は、容器24A、24B、24Cの設置位置SPを規定する。すなわち、ガイド機構174によって後方へ移動するように案内された容器24A、24B、24Cは、位置決め部材183に当接して停止する。位置決め部材183によって停止した容器24A、24B、24Cの位置が、設置位置SPとなる。
【0083】
図25図27に示す例では、容器24Aが設置位置SPに配置され、容器24B及び24Cが、該容器24Aに後続している。ここで、図27に示す状態においては、ストッパ本体198の上に、設置位置SPに配置された容器24Aが乗ることによって、ストッパ部材194は、そのストッパ壁200が穴192の上方へ突出する第1の位置に配置される。このとき、ストッパ壁200は、容器24Aに後続する容器24Bと係合し、これにより、容器24Bの、設置位置SPへ向かう方向への移動を規制する。その結果、容器24Aと容器24Bとは、互いに離隔することになる。
【0084】
一方、図28に示すように容器24Aを容器設置フレーム172から取り除くと、ストッパ部材194は、付勢部196の作用により方向Eへ回動し、図28に示す第2の位置に配置される。ストッパ部材194が第2の位置に配置されたとき、ストッパ壁200は、穴192の内側に収容される一方、ストッパ本体198の後端部198aが、穴192の上方へ突出する。
【0085】
そして、容器24Bが、ガイド機構174によって案内されて、位置決め部材183と当接する設置位置SPに到達すると、容器24Bは、ストッパ本体198の後端部198aの上に乗ることにより、ストッパ部材194を、付勢部196の作用に反して方向Eとは反対の方向へ回動させる。
【0086】
その結果、ストッパ部材194は、図27に示す第1の位置に復帰し、ストッパ壁200が、容器24Bに後続する容器24Cと係合して、容器24Cの設置位置SPへ向かう方向への移動を規制する。これにより、容器24Bと容器24Cとが、互いに離隔することになる。
【0087】
以上のように、ストッパ機構176は、ガイド機構174によって容器24A(又は24B)が設置位置SPに到達したときに、後続する容器24B(又は24C)の移動を規制して、容器24A(又は24B)と容器24B(又は24C)とを離隔させる。この構成によれば、設置位置SPに配置された容器24A(又は24B)を閉塞するために閉塞位置へ移動したときに、該容器24A(又は24B)に後続する容器24B(又は24C)と蓋28とが干渉し、蓋28の閉蓋動作が妨げられるのを防止できる。
【0088】
また、設置位置SPに配置された容器24A(又は24B)を取り除くときに、該容器24A(又は24B)と、後続する容器24B(又は24C)とが干渉し、該容器24A(又は24B)を取り除く動作が妨げられるのを防止することもできる。また、ストッパ機構176を、ストッパ部材194及び付勢部196から構成することで、より簡単な構造で、上述したストッパ機構176の機能を実現できる。
【0089】
また、本実施形態によれば、ガイド機構174によって複数の容器24A、24B、24Cを自動的に設置位置SPに順に配置させて、容器24A、24B、24Cに収納された物品を取り出す等の作業を、各々の容器24A、24B、24Cに対して円滑に実行できる。これにより、作業を自動化できるとともに、作業のサイクルタイムの縮減を図ることができる。
【0090】
なお、付勢部196は、捩りバネの代わりに、空圧式又は油圧式のシリンダを有してもよい。この場合において、ストッパ部材194は、ストッパ壁200が穴192から上方へ突出する第1の位置と、ストッパ壁200が穴192内に収容される第2の位置との間で直線の軸に沿って進退可能となるように、穴192に受容されてもよい。そして、付勢部196(シリンダ)は、ストッパ部材194を第1の位置と第2の位置との間で進退させてもよい。
【0091】
次に、図29及び図30を参照して、一実施形態に係るピッキングシステム210について説明する。ピッキングシステム210は、ロボット212、制御装置214、視覚センサ216、及び、図11及び図12に示す物品収納装置10を備える。本実施形態においては、ロボット212は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース218、旋回胴220、下腕部222、上腕部224、手首部226、及びハンド228を有する。
【0092】
ロボットベース218は、作業セルの床に固定されている。旋回胴220は、鉛直軸周りに旋回可能となるようにロボットベース218に設けられている。下腕部222は、旋回胴220に水平軸周りに回動可能に設けられ、上腕部224は、該下腕部222の先端部に回動可能に設けられている。手首部226は、上腕部224の先端部に回動可能に連結され、ハンド228を、手首軸周りに回動させる。
【0093】
ハンド228は、手首部226の先端フランジに着脱可能に連結されている。一例として、ハンド228は、開閉可能な複数の指部を有し、該指部で物品を挟持して把持するように構成された開閉式ハンドである。他の例として、ハンド228は、電磁石、バキューム装置、又は吸盤等を有し、物品を吸着して把持するように構成された吸着式ハンドである。さらに他の例として、ハンド228は、開閉式ハンドと吸着式ハンドとを有してもよい。この場合において、ハンド228は、開閉式ハンドで回転式把持部36を把持し、吸着式ハンドで容器24内の物品を把持してもよい。
【0094】
ロボット212の各構成要素(すなわち、ロボットベース218、旋回胴220、下腕部222、上腕部224、及び手首部226)には、サーボモータ230(図30)がそれぞれ内蔵されている。サーボモータ230は、制御装置214からの指令に応じてロボット212の各可動要素(すなわち、旋回胴220、下腕部222、上腕部224、及び手首部226)を駆動する。
【0095】
ロボット212には、ロボット座標系C1が設定されている。ロボット座標系C1は、ロボット212の各可動要素の動作を制御するための座標系であって、3次元空間内に固定されている。本実施形態においては、ロボット座標系C1は、その原点が、ロボットベース218の中心に配置され、そのz軸が、旋回胴220の旋回軸に一致するように、ロボット212に対して設定されている。
【0096】
視覚センサ216は、ハンド228(又は、TCP)に対して既知の位置関係に固定されている。視覚センサ216は、例えば、カメラ又は3次元視覚センサであって、被写体像を受光して光電変換する撮像センサ(CCD、CMOS等)、及び、被写体像を撮像センサに導光する光学系(集光レンズ、フォーカスレンズ等)等を有する。視覚センサ216は、物品を撮像し、撮像した画像データを制御装置214へ送信する。制御装置214は、視覚センサ216が撮像した画像データに基づいて、該画像データに写る物品のロボット座標系C1における位置を取得する。
【0097】
制御装置214は、プロセッサ(CPU、GPU等)、及びメモリ(ROM、RAM等)を有するコンピュータであって、ロボット212の動作を制御する。制御装置214は、視覚センサ216からの画像データ、及び、物品収納装置10の質量センサ92からの質量データに基づいてロボット212を制御し、物品収納装置10の蓋28を開いて容器24内に収納されている物品を取り出す動作をロボット212に実行させる。
【0098】
以下、図31を参照して、ピッキングシステム210の動作について説明する。図31に示すフローは、制御装置214が、作業員、上位コントローラ、又はコンピュータプログラムから作業開始指令を受け付けたときに、開始する。図31のフローが開始したとき、物品収納装置10において、容器24が容器設置フレーム20上の設置位置SPに位置決めされ、蓋機構90の蓋28が閉塞位置に配置されている。
【0099】
ステップS1において、制御装置214は、視覚センサ216によって、蓋機構90の回転式把持部36を撮像し、該回転式把持部36のロボット座標系C1における位置を取得する。具体的には、制御装置214は、ロボット212を動作させて、視覚センサ216を、その視野に回転式把持部36が収まる位置に、位置決めする。
【0100】
次いで、制御装置214は、視覚センサ216によって回転式把持部36を撮像し、撮像した画像データを視覚センサ216から取得する。次いで、制御装置214は、取得した画像データに基づいて、回転式把持部36の把持輪48のロボット座標系C1における位置を取得する。
【0101】
ステップS2において、制御装置214は、ロボット212によって蓋28を開く。具体的には、制御装置214は、直近のステップS1で取得したロボット座標系C1における把持輪48の位置に基づいてロボット212を制御し、ハンド228で把持輪48を把持する。
【0102】
次いで、制御装置214は、ロボット212を動作させて、把持輪48を把持するハンド228を、ヒンジ軸42周りの円弧状の軌道に沿って移動させ、これにより蓋28を閉塞位置から開放位置まで移動させる。その結果、蓋28は、図12に示す開放位置に配置される。このとき、移動規制機構62によって、蓋28が水平面と平行に保持され、該蓋28の第1の面38が鉛直上方を向く。
【0103】
ステップS3において、制御装置214は、ステップS2で蓋28が開放位置に正常に配置されたか否かを判定する。ここで、仮に、蓋28が正常に開かれて開放位置に配置されたとき、該蓋28の重力は、質量センサ92に加えられる。したがって、質量センサ92は、開放位置に配置された蓋28の質量を検知することができる。その一方で、蓋28が正常に開かれておらず、閉塞位置に留まっていたとき、該蓋28の質量は質量センサ92によって検知されない。
【0104】
そこで、制御装置214は、このステップS3において、この時点で質量センサ92が検知した質量M1のデータを、該質量センサ92から取得する。質量M1のデータは、質量(単位[kg])を数値として示すデータであってもよいし、又は、質量M1に応じた電気信号であってもよい。
【0105】
そして、制御装置214は、取得した質量M1が、予め定めた許容範囲[α,β]にあるか否かを判定し、α≦M1≦βである場合に、蓋28が正常に開かれた(すなわち、YES)と判定する。ここで、実際の蓋28の質量MLは、予め測定できるので、該質量MLに基づいて、許容範囲[α,β]の閾値α及びβを設定できる。
【0106】
制御装置214は、YESと判定した場合、ステップS4へ進む一方、NOと判定した場合、ステップS1へ戻る。このように、本実施形態においては、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量M1のデータに基づいて、蓋28が開放位置に正常に配置されたか否かを判定する。
【0107】
ステップS4において、制御装置214は、視覚センサ216によって容器24内の物品(ボルト、ナット、又はコンロッド等)を撮像し、取り出し作業の対象とする物品のロボット座標系C1における位置を取得する。具体的には、制御装置214は、ロボット212を動作させて、視覚センサ216を、その視野に容器24内の物品の少なくとも1つが収まる位置に、位置決めする。
【0108】
次いで、制御装置214は、視覚センサ216によって物品を撮像し、撮像した画像データを視覚センサ216から取得する。次いで、制御装置214は、取得した画像データを解析し、画像データに写る物品の中から、取り出し作業の対象とする1つの物品を特定し、該1つの物品のロボット座標系C1における位置を取得する。
【0109】
ステップS5において、制御装置214は、ロボット212によって容器24から物品を取り出して蓋28の上に置く。具体的には、制御装置214は、直近のステップS4で取得したロボット座標系C1における物品の位置に基づいてロボット212を制御し、開口部26を通してハンド228で該物品を把持して容器24から取り出す。次いで、制御装置214は、ロボット212を動作させて、物品を把持したハンド228を、開放位置に配置された蓋28の上方へ移動させ、ハンド228に物品を解放させる。その結果、物品は、開放位置に配置された蓋28の第1の面38の上に載置される。
【0110】
ステップS6において、制御装置214は、蓋28の上に置かれた物品の個数nを推定する。ここで、例えば電磁石を有するハンド228を用いた場合に、ステップS5で複数の物品を取り出し得る。このステップS6において、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量のデータに基づいて、蓋28の上に置かれた物品の個数nを推定する。
【0111】
具体的には、制御装置214は、この時点で質量センサ92が検知した質量M2のデータを、該質量センサ92から取得する。このときに質量センサ92が検知した質量M2は、単体の物品の質量MAと、蓋28の上に置かれた物品の個数nとの積を、蓋28の質量MLに加算した値(すなわち、M2=ML+MA×n)となる。蓋28の質量MLと、単体の物品の質量MAとは、予め測定できるので、制御装置214は、n=(M2-ML)/MAなる式から、個数nを推定できる。このようにして、制御装置214は、この時点で蓋28の上に置かれている物品の個数nを推定する。
【0112】
ステップS7において、制御装置214は、直近のステップS6で推定した個数nがゼロ(n=0)であるか否かを判定する。制御装置214は、n=0である(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS4へ戻る一方、n≧1である(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS8へ進む。このように、本実施形態においては、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量M2に基づいて、開放位置に配置された蓋28に置かれた物品の有無を判定している。
【0113】
ステップS8において、制御装置214は、視覚センサ216によって蓋28の上に置かれている物品を撮像し、搬送作業の対象とする物品のロボット座標系C1における位置を取得する。具体的には、制御装置214は、視覚センサ216によって蓋28の上に置かれている物品を撮像し、撮像した画像データを視覚センサ216から取得する。次いで、制御装置214は、取得した画像データを解析し、画像データに写る物品の個数nを特定する。そして、画像データに写る物品の中から、取り出し作業の対象とする1つの物品を特定し、該1つの物品のロボット座標系C1における位置を取得する。
【0114】
ステップS9において、制御装置214は、直近のステップS8で物品を正常に撮像したか否かを判定する。具体的には、制御装置214は、直近のステップS6で推定した個数nと、ステップS8で画像データから特定した個数nとが一致しているか否かを判定する。
【0115】
ここで、ステップS8で物品を撮像したときに、反射光、ノイズ、又は視覚センサ216の光学的仕様(撮像センサの画素数等)等の要因により、撮像した画像データに、蓋28の上に置かれた全ての物品が鮮明に写らずに、該全ての物品を正確に特定できない場合があり得る。
【0116】
そこで、制御装置214は、このステップS9において、ステップS6で推定した個数nと、ステップS8で画像データから特定した個数nとが一致しているか否かを判定し、一致している場合にYESと判定してステップS10へ進む。一方、制御装置214は、NOと判定した場合はステップS8へ戻り、ステップS9でYESと判定するまで、ステップS8及びS9を繰り返す。
【0117】
なお、ステップS9でNOと判定した回数が、予め定めた回数(例えば、5回)に達したとき、制御装置214は、音声又は画像の形態の警告信号を生成し、作業員に出力してもよい。代替的には、ステップS9でNOと判定した回数が、予め定めた回数に達したとき、制御装置214は、ロボット212によって蓋28を閉じた後、再度、ステップS1へ進んでもよい。そして、制御装置214は、このようなループを繰り返した回数が規定回数に達したとき、ロボット212の動作を停止し、警告信号を生成して作業員に出力してもよい。このように、制御装置214は、ステップS6で質量センサ92が検知した質量M2のデータと、視覚センサ216が撮像した画像データとに基づいて、ステップS8で視覚センサ216が物品を正常に撮像したか否かを判定している。
【0118】
ステップS10において、制御装置214は、ロボット212によって蓋28の上の物品を把持し、予め定められた保管場所へ搬送する。具体的には、制御装置214は、直近のステップS8で取得したロボット座標系C1における物品の位置に基づいてロボット212を制御し、蓋28の上に置かれた物品をハンド228で把持する。そして、制御装置214は、ロボット212を動作させて、物品を把持したハンド228を保管場所へ移動させて、ハンド228に物品を解放させる。その結果、物品は、保管場所に収納される。
【0119】
ステップS11において、制御装置214は、蓋28の上に在る全ての物品の搬送が完了したか否かを判定する。例えば、制御装置214は、直近のステップS6で推定した物品の個数n(又は、直近のステップS8で特定した個数n)が「1」であった場合にYESと判定してもよい。制御装置214は、YESと判定した場合、ステップS12へ進む一方、NOと判定した場合、ステップS6へ戻る。
【0120】
ステップS12において、制御装置214は、容器24内の全ての物品を取り出して搬送する作業が完了したか否かを判定する。例えば、制御装置214は、容器24内に収納される物品の総個数nを予め記憶する一方、ステップS10を実行した回数mをカウントする。そして、制御装置214は、回数mが総個数nに一致したときにYESと判定する。制御装置214は、YESと判定した場合はステップS13へ進む一方、NOと判定した場合はステップS4へ戻る。
【0121】
ステップS13において、制御装置214は、ロボット212によって蓋28を閉じる。具体的には、まず、制御装置214は、視覚センサ216によって開放位置に配置された蓋28の回転式把持部36を撮像し、撮像した画像データから把持輪48のロボット座標系C1における位置を取得する。
【0122】
そして、制御装置214は、取得したロボット座標系C1における把持輪48の位置に基づいてロボット212を制御し、ハンド228で把持輪48を把持する。そして、制御装置214は、ロボット212を動作させて、把持輪48を把持するハンド228を、ステップS2の開蓋時とは反対の方向へ、ヒンジ軸42周りの円弧状の軌道に沿って移動させる。これにより、蓋28は、図11に示す閉塞位置に配置される。そして、制御装置214は、図31に示すフローを終了する。
【0123】
以上のように、本実施形態によれば、ロボット212が、閉塞位置に配置された蓋28をハンド228で把持して開き、該蓋28が開放位置に配置されているときに、開口部26を通して容器24内に収納された物品をハンド228で把持して取り出す作業を行っている。この構成によれば、容器24の開蓋及び物品の取り出し作業を、自動化することができる。
【0124】
また、本実施形態においては、制御装置214は、ロボット212を制御して、ハンド228で把持した物品を蓋28の第1の面38の上に仮置きし(ステップS5)、その後に、第1の面38に仮置きされた物品をハンド228で把持し直して保管場所へ搬送している(ステップS10)。
【0125】
ここで、本実施形態においては、移動規制機構62によって、蓋28を開放位置に安定して保持することができるので、開いた蓋28の第1の面38を、取り出した物品の仮置き場として利用することができる。この構成によれば、仮置き場のための構造を別途設ける必要がなくなるので、ピッキングシステム210の製造コストを削減できる。
【0126】
また、本実施形態においては、移動規制機構62が、開放位置に配置された蓋28を水平面と平行に保持している。この構成によれば、ステップS5で物品を第1の面38の上に仮置きしたときに、該物品を迅速に静止させることができる。これにより、ステップS8~S10の物品持ち直し動作を、より円滑に実行できる。
【0127】
また、本実施形態においては、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量M1のデータに基づいて、蓋28が開放位置に正常に配置されたか否かを判定している(ステップS3)。この構成によれば、制御装置214は、蓋28の正常な開蓋を迅速に判断でき、その後のプロセス(ステップS4又はS1)に円滑に移行できるので、サイクルタイムの縮減に繋がる。
【0128】
また、本実施形態においては、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量M2のデータに基づいて、開放位置に配置された蓋28に置かれた物品の有無を判定している(ステップS7)。この構成によれば、制御装置214は、仮に、ステップS5の結果、物品が蓋28から脱落して適正に仮置きできなかった場合等において、蓋28の上に物品がないことを迅速に検知し、再度、ステップS4及びS5の仮置きプロセスを実行できる。換言すれば、容器24から取り出した物品が蓋28の上に適切に載置されたか否かを、迅速且つ確実に検知できる。
【0129】
また、本実施形態においては、制御装置214は、質量センサ92が検知した質量M2のデータに基づいて、視覚センサ216が物品を正常に撮像したか否かを判定している(ステップS9)。この構成によれば、制御装置214は、ステップS8で撮像した画像データが適正(つまり、全ての物品を正常に認識できている)か否かを迅速に判断でき、その後のプロセス(ステップS10又はS8)に円滑に移行できるので、サイクルタイムの縮減に繋がる。
【0130】
なお、ピッキングシステム210において、蓋機構90の代わりに、上述の蓋機構50、70、100、又は110を適用することもできる。この場合、質量センサ92が省略されるので、図31に示すフローから、ステップS3、S6及びS9が省略されることになる。
【0131】
一方、上述の蓋機構70のストッパヒンジ機構74に、ヒンジ軸42周りに掛かるトルクを検出可能なトルクセンサを設けて、該トルクから、蓋28及び該蓋28の上に置かれた物品の質量を検知するように蓋機構70が構成されてもよい。このような蓋機構70をピッキングシステム210に適用した場合、制御装置214は、図31に示すフローを実行できる。
【0132】
また、上述の蓋機構100において、蓋28が開放位置に配置されたとき(図15)に互いに対向する第1の係合部104と当接部108(又は、第2の係合部106と当接部109)との間に質量センサ92が介挿されるように、該質量センサ92を、第1の係合部104若しくは当接部108(又は、第2の係合部106若しくは当接部109)の表面に設けてもよい。このように設置された質量センサ92は、蓋28及び該蓋28の上に置かれた物品の質量を検知することができる。このような蓋機構100をピッキングシステム210に適用した場合、制御装置214は、図31に示すフローを実行できる。
【0133】
また、ピッキングシステム210において、質量センサ92の代わりに(又は加えて)、開放位置に配置された蓋28を検知可能な近接センサを設けてもよい。この近接センサは、蓋28が開放位置に配置されたとき、開蓋検知信号を制御装置214に送信する。制御装置214は、上述のステップS3で、開蓋検知信号を受信している場合にYESと判定してもよい。
【0134】
また、ロボット212に、ハンド228に加わる外力を検知可能な力センサを、例えばロボットベース218又は手首部226に設けてもよい。代替的には、ロボット212の各サーボモータ230の出力シャフトに掛かるトルクを検知可能な力センサ(具体的には、トルクセンサ)を設けてもよい。
【0135】
制御装置214は、力センサの検知データに基づいて、ハンドが把持する物体の質量を検出できる。この場合において、制御装置214は、上述のステップS6で、物体が仮置きされた蓋28をハンド228で持ち上げて、このときに力センサが検知した検知データに基づいて、上述の質量M2(=ML+MA×n)を取得し、以って、蓋28の上に置かれた物品の個数nを推定してもよい。
【0136】
また、ピッキングシステム210において、蓋28の第1の面38に弾性被覆部を設けてもよい。このような形態を図32に示す。なお、図32においては、理解の容易の観点から、蓋28のみを図示している。図32に示す蓋28の第1の面38には、弾性被覆部240が設けられている。
【0137】
弾性被覆部240は、例えば、ゴム材、ウレタン材、又は弾性樹脂材等の弾性材から構成された平坦なシート状部材であって、例えば接着剤によって、第1の面38に貼着されている。弾性被覆部240を設けることによって、開放位置に配置された蓋28の第1の面38の上に物品を仮置きしたときに、蓋28に加えられる衝撃を吸収できる。また、物品に対して高い摩擦係数を有する弾性材から弾性被覆部240を構成することで、仮置きされた物品の位置ずれを抑えることもできる。
【0138】
なお、弾性被覆部240は、平坦なシート状部材に限らず、その表面に凹凸部を有してもよい。このような形態を図33に示す。図33に示す弾性被覆部240においては、その表面に、波状の凹凸部242が形成されている。この凹凸部242によって、開放位置に配置された蓋28の第1の面38の上に物品を仮置きしたときに、該物品が凹凸部242に嵌合することで該物品の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0139】
以上のような弾性被覆部240を設けることによって、上述のステップS5で物品を第1の面38の上に仮置きしたときに、該物品をより安定して静止させることができるので、上述のステップS8~S10の物品を持ち直す動作を、より円滑且つ高精度に実行できる。
【0140】
なお、弾性被覆部240の色は、ステップS8で視覚センサ216が撮像する画像データにおいて、物品を検出し易くできるように選択されてもよい。例えば、弾性被覆部240の色を、黒色にすることにより、画像データにおいて、物品の背景となる弾性被覆部240を、視覚的特徴として目立たなくすることができる。これにより、ステップS8で画像解析により物品を高精度に特定できる。
【0141】
なお、図33に示す形態では、弾性被覆部240に凹凸部242を設けているが、該凹凸部242を、第1の面38に一体に形成してもよい。すなわち、この場合、第1の面38に凹凸部242が形成されることになる。この場合においても、第1の面38に仮置きされた物品の位置ずれを防止することができる。
【0142】
次に、図34を参照して、他の実施形態に係るピッキングシステム250について説明する。ピッキングシステム250は、ロボット212、制御装置214、視覚センサ216、及び、図17図21に示す物品収納装置10を備える。以下、図35を参照して、ピッキングシステム250の動作について説明する。なお、図35に示すフローにおいては、図31と同様のプロセスに同じステップ番号を付し詳細な説明を省略する。
【0143】
図35に示すフローを開始した後、制御装置214は、上述のステップS1、S2、及びS4を実行する。ここで、ステップS2で蓋122が開放位置に配置されると、図19に示すように、開閉扉機構126の一対の扉130及び132が開いて蓋開口部144が形成される。
【0144】
ステップS5において、制御装置214は、ロボット212によって容器24から物品を取り出して蓋122の上に置く。具体的には、制御装置214は、開口部26を通してハンド228で物品を把持して容器24から取り出す。次いで、制御装置214は、ロボット212を動作させて、物品を把持したハンド228を、開放位置に配置された蓋122の貫通孔128の上方へ移動させ、ハンド228に物品を解放させる。その結果、物品は、貫通孔128に上側から投入され、姿勢調整機構(開閉扉機構126)の作用により、図21に示す姿勢に揃えられる。
【0145】
その後、制御装置214は、ステップS8及びS10を実行する。ここで、姿勢調整機構(126)によって蓋122の上に仮置きされた物品の姿勢が揃えられているので、ステップS10を繰り返し実行するときに、ロボット212は、ハンド228で物品を同じ姿勢で把持することができる。そして、ハンド228で把持した物品を保管場所に搬送して収納したときに、該物品を同じ姿勢で保管場所に配置させることができる。すなわち、本実施形態によれば、保管場所に収納される複数の物品の姿勢を揃えることができる。ステップS10の後、制御装置214は、ステップS11~S13を実行する。
【0146】
なお、ピッキングシステム250に、図22図24に示す物品収納装置10を適用することもできる。この場合においても、図35中のステップS5を実行したときに、姿勢調整機構(開閉扉機構154)の作用により、蓋152の上に仮置きされた物品の姿勢を、図24に示す姿勢に揃えることができる。
【0147】
なお、上述のピッキングシステム210又は250において、ロボット212のロボットベース218が、走行装置(図示せず)の上に固定されてもよい。この走行装置は、ロボット212を、ロボット座標系C1のx-y平面(水平面)と平行な方向へ移動させる。
【0148】
そして、図1に示すように複数の容器24が容器設置フレーム20の上にx軸方向へ並ぶように配置されている場合に、制御装置214は、走行装置を動作させてロボット212をx軸方向へ移動させつつ、各々の容器24に対して図31又は図35に示すフローを実行してもよい。この場合において、制御装置214は、走行装置に内蔵されてもよい。また、ピッキングシステム210又は250に、上述の収納棚170を適用してもよい。また、ピッキングシステム210の物品収納装置10に、上述したいずれの形態の蓋機構14、50、70、100又は110を適用してもよい。
【0149】
また、姿勢調整機構は、開閉扉機構126又は開閉扉機構154に限らず、蓋の上に置かれた物品の姿勢を揃えることができる如何なる構造を有するものであってもよい。例えば、姿勢調整機構として、蓋28の第1の面38に、物品の外形と同じ外形を有する凹部を設け、該凹部に投入された物品の姿勢を揃えるように構成されてもよい。
【0150】
また、上述の実施形態においては、蓋28、122、152が、ヒンジ軸42の周りに回動して開閉する場合について述べた。しかしながら、これに限らず、蓋28、122又は152は、例えばx軸方向又はy軸方向に直線状にスライド可能に設けられ、スライド動作によって閉塞位置と開放位置との間で移動してもよい。
【0151】
例えば、収納棚12(又は170)の容器設置フレーム20に、x軸又はy軸に沿って延びるスライドレールを設け、該スライドレールの上に蓋28、122又は152を摺動可能に設けてもよい。そして、蓋28、122又は152は、スライドレールの一端に配置されたときに、設置位置SPに配置された容器24の開口部26を閉塞する閉塞位置に配置される一方、スライドレールの他端に配置されたときに、開口部26を開放する開放位置に配置されてもよい。なお、物品収納装置10は、蓋28、122、152を開閉するように駆動する駆動部(例えば、サーボモータ)をさらに備えてもよい。
【0152】
また、上述の実施形態においては、蓋機構14、50、70、90、100、110、120、150が、容器24とは別の部材として収納棚12、170に設けられる場合について述べた。しかしながら、これに限らず、蓋機構14、50、70、90、100、110、120又は150は、容器24及び収納棚12(又は170)とは別の部材に設けられてもよい。
【0153】
例えば、収納棚12(又は170)の容器設置フレーム20と平行に延びる外部フレームが、容器設置フレーム20(又は172)に近接して(例えば、直上に)固定されてもよい。この外部フレームは、収納棚12から分離されて、作業セルの床(又は柱)に固定されてもよい。そして、蓋機構14、50、70、90、100、110、120又は150(具体的には、固定部材30)が、該外部フレームに固定されてもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0154】
10 物品収納装置
12,170 収納棚
14,50,70,90,100,110,120,150 蓋機構
24,24A,24B,24C 容器
26 開口部
28,122,152 蓋
30,32,52,54,72 固定部材
34 可動部材
36 回転式把持部
210,250 ピッキングシステム
212 ロボット
214 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35