(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】突合せレーザ深溶込み溶接
(51)【国際特許分類】
B23K 26/342 20140101AFI20240109BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240109BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/21 F
(21)【出願番号】P 2022535915
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2020086929
(87)【国際公開番号】W WO2021123097
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】102019220471.6
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020216163.1
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アルテル・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ゼーガース・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ドルンシャイト・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】キュンメル・ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】シュツォン・イェンス
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-316283(JP,A)
【文献】特開2008-264839(JP,A)
【文献】特開2013-176809(JP,A)
【文献】特開2002-321088(JP,A)
【文献】特開2000-301205(JP,A)
【文献】特表2013-530836(JP,A)
【文献】特開2010-105045(JP,A)
【文献】特開昭58-053390(JP,A)
【文献】特開2012-213798(JP,A)
【文献】特開平07-041841(JP,A)
【文献】米国特許第04626651(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ炭素含有量C
S<0.02%を備える平鋼製品の互いに対面する終端部分を接合するための突合せレーザ深溶込み溶接法において、
炭素を含有する少なくとも1つのキャリア材料が、終端部分の間の突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設され、キャリア材料の炭素含有量が、C
T≧20・C
S
であり、C
Sが、少なくともより高い炭素含有量を備えた平鋼製品の炭素含有量であること、
及び、突合せ間隙内に導入される炭素の容積が、突合せレーザ深溶込み溶接過程によって生成される溶融物の容積の1%~20%に相当するように、炭素が、突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設されること、を特徴とする突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項2】
レーザ光源として、固体レーザが使用されること、を特徴とする請求項1に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項3】
レーザ光源として、ファイバレーザ又はディスクレーザ又はダイオードレーザが使用されること、を特徴とする請求項2に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項4】
980nm~1120nmの範囲内の波長を備えたレーザ照射が使用されること、を特徴とする請求項2又は3に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項5】
1m/min~10m/minの範囲内の溶接速度が使用されること、を特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項6】
キャリア材料として、金属の粉末が使用されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項7】
キャリア材料として、黒鉛を含有する金属箔が使用されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項8】
キャリア材料として、黒鉛を含有する流体が使用されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項9】
流体が、突合せ間隙内への導入後に能動的に乾燥されること、を特徴とする請求項8に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項10】
キャリア材料として、フィラーワイヤ又は金属シートが使用されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【請求項11】
キャリア材料が、レーザ照射の使用前に、少なくとも一方の終端部分の突合せ面上に着設され、その後、突合せ間隙が閉じられること、を特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素含有量CS<0.02%をそれぞれ備える鋼製平板製品の互いに対面する終端部分を接合するための突合せレーザ深溶込み溶接法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体レーザによるULC鋼材の溶接は、シームルートの著しい沈下を伴う非常に荒い溶融池を特徴とする。この効果は、構造用鋼又は高合金鋼の溶接からは知られていない。
【0003】
現在、例えば2つの金属ストリップ終端のようなワークピース部分は、まず500℃超に予熱され、次に遅い送り速度で溶接される。ULC鋼材は、高合金鋼材と問題なく溶接することができるが、これは、ストリップ設備内のコイル結合部の領域で、相応の生産計画によって達成することができる。
【0004】
前記解決策は、シーム形状とシーム強度に関して極僅かな改善しかもたらさないが、適用するためには基本的に十分である。遅い溶接速度とこれに伴う生産性の損失が欠点である。加えて、装備は、高い予熱温度によって熱的に高い負荷を受け、これが、幾つかの構成要素の耐用年数を低下させる。付加的に、溶接過程を実行するためのプロセス窓が比較的小さいので、再現可能なシーム品質は与えられていない。ストリップ設備では、適合させた生産計画によって、問題を回避することができるが、これは、鉄鋼産業の顧客によって通常は却下される。
【0005】
独国特許出願公開第102018107291号明細書は、板材の溶接時に溶接フィラーワイヤが使用される、アルミニウム-ケイ素系耐食層でコーティングされた鋼材から成る鋼板を溶接するための方法に関する。
【0006】
欧州特許第2736672号明細書は、第1の鋼板と第2の鋼板が互いに溶接される、溶接された鋼部品を製造するための方法に関する。
【0007】
独国特許出願公開第102017120611号明細書は、レーザ光線だけによって発生された溶融池にフィラーワイヤを供給しつつ溶融溶接が行なわれる、プレス硬化可能な鋼から成る1つ又は複数の鋼板を溶融溶接するための方法に関する。
【0008】
国際公開第2020/136585号パンフレットは、2つの予めコーティングされた板材が、フィラーワイヤを使用した突合せ溶接によって互いに結合される、溶接された鋼ブランクを製造するための方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第102018107291号明細書
【文献】欧州特許第2736672号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017120611号明細書
【文献】国際公開第2020/136585号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、形状及び強度に関して改善された溶接シーム品質が達成可能であるように、冒頭で述べた形式の突合せレーザ深溶込み溶接法を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、独立請求項によって解決される。有利な形態は、以下の説明、従属請求項及び図に示され、これら形態は、それぞれ個々に又はこれら形態の少なくとも2つを互いに組み合わせて、本発明の発展的で特に好ましい又は有利な態様であり得る。
【0012】
それぞれ炭素含有量CS<0.02%を備える平鋼製品の互いに対面する終端部分を接合するための本発明による突合せレーザ深溶込み溶接法によれば、炭素を含有する少なくとも1つのキャリア材料が、終端部分の間の突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設され、キャリア材料の炭素含有量が、CT≧20・CS、好ましくはCT≧100・CSである、及び/又は、突合せ間隙内に導入される炭素が、突合せレーザ深溶込み溶接過程によって生成される溶融物の容積の1%~20%に相当するように、炭素が、突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設される。
【0013】
平鋼製品の互いに対面する終端部分が、レーザ照射により形状及び強度に関して改善された溶接シーム品質を生成するために、突合せ結合部を形成するための深溶込み溶接過程の経過中に互いに溶接されることによって、本発明による突合せレーザ深溶込み溶接法により、炭素含有量CS<0.02%、特にCS<0.01%のULC鋼(ULC、IF)から成る平鋼製品、例えばストリップ又は板材を互いに溶接することができる。ここで、本発明によれば、深溶込み溶接過程の実行前及び/又は深溶込み溶接過程の実行中に、炭素は、キャリア材料を介して又は純粋な形態で、終端部分の間の突合せ間隙内に導入される又は平鋼製品の少なくとも一方の終端部分上に着設されるが、これは、試験で既に示されているが、本発明による方法によって構造用鋼と高合金フェライト鋼の溶接から比較的知られているような溶接速度、溶接力及び安定したプロセス窓が溶接過程のために実現され得るように、深溶込み溶接過程が著しく鎮静化されるような量で行なわれる。加えて、本発明による方法もしくはそれに伴う十分な炭素量の深溶込み溶接過程への導入により、著しく改善された溶接シーム形状が生成可能である。本発明による方法によって生成された溶接結合部の強度は、特に、ストリップ設備内でコイルに巻き取られるもしくは巻取り可能な金属ストリップのコイル結合部もしくはストリップ終端の生成のために十分すぎる。加えて、本発明による方法によって実現可能な高い溶接速度に基づいて、短縮されたサイクルタイムが可能であり、これが、生産性を向上させる。
【0014】
好ましくは、本発明による方法は、その機械的及び/又は化学的特性が、実質的に平鋼製品の機械的及び/又は化学的特性に一致する、平鋼製品の間の結合部を達成するために、キャリア材料が、深溶込み溶接過程の実行中に十分又は完全に蒸発されるように実行される。理想的な場合、溶接された溶接組織内の炭素含有量は、組織及び強度特性における不均一性ができるだけ低く保たれるように低い。
【0015】
本発明による方法によって溶接可能な平鋼製品は、平鋼製品がほぼ純鉄であるように低い炭素含有量を備えることができる。突合せ間隙内への十分な炭素量の本発明による導入もしくは平鋼製品の少なくとも一方の終端部分上への十分な炭素量の本発明による着設により、レーザ照射によって構成される溶融物の炭素含有量は、適切な値に高められ、しかも、炭素を含有するキャリア材料の使用時には、平鋼製品の炭素含有量の少なくとも20倍に高められる。
【0016】
即ち、本発明による方法によれば、多量の炭素が、突合せ継目内に導入されるもしくは平鋼製品の少なくとも一方の終端部分上に着設される。ここで、このために適したあらゆる種類の炭素の導入もしくは着設が本発明に含まれているべきである。
【0017】
突合せ間隙内へのキャリア材料もしくは炭素の導入は、特に、平鋼製品の終端部分の互いに対向する両接合面の一方のみへのキャリア材料もしくは炭素の着設によって又は両接合面へのキャリア材料もしくは炭素の着設によって行なうことができる。
【0018】
突合せ間隙内に導入される炭素の容積が、突合せレーザ深溶込み溶接過程によって生成される溶融物の容積の1%~20%に相当するように、炭素が突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設される場合、例えば、純粋な炭素、特に黒鉛の形態のものを使用することができる。
【0019】
レーザ深溶込み溶接の場合、材料は、非常に高いビーム強度で加工される。これにより、熱伝導溶接の場合と違って、金属溶融物に対して付加的に金属蒸気も生じ、この金属蒸気は、溶融物を部分的に押し退け、蒸気キャピラリ(キーホール)の形成を生じさせる。レーザ深溶込み溶接は、高いプロセス速度を特徴とする。熱影響域は、レーザ深溶込み溶接の場合、常に狭く制限され、材料歪は、相応に低い。残っているのは、狭い均等に構造化された溶接シームであり、その深さは、しばしばその幅よりも大きい。レーザ深溶込み溶接は、完全溶込み溶接の形態で行なうことができるが、レーザビームは、それぞれの平鋼製品のレーザ照射源とは反対側に配置された下端で、再び突合せ間隙から出る。ここで、シームルートを生成することができる。
【0020】
平鋼製品は、本発明の範囲内で、鋼板又はコイルに巻取り可能な鋼ストリップであり得る。それぞれの平鋼製品は、0.5mm~10mmの範囲内の厚さを備えることができるが、それは、この範囲内の厚さを備えた平鋼製品が、本発明による方法によって最適に接合され得るからである。
【0021】
有利な形態によれば、レーザ光源として、固体レーザが使用される。固体レーザは、本発明による使用のために十分強靭かつコンパクト形成されている。
【0022】
別の有利な形態によれば、レーザ光源として、ファイバレーザ又はディスクレーザ又はダイオードレーザが使用される。
【0023】
別の有利な形態によれば、980nm~1120nmの範囲内の波長を備えたレーザ照射が使用される。深溶込み溶接過程は、本発明による、突合せ間隙内への多くの炭素量の導入又は平鋼製品の少なくとも一方の終端部分上への多くの炭素量の着設のために、前記波長範囲内で非常に安定に保つことができ、これは、この波長範囲内では、例えばレーザ照射を発生させるために炭酸ガスレーザが使用される従来の方法によれば、C
S
<0.02%の炭素含有量を備えたULC鋼材を溶接する場合には可能でない。
【0024】
別の有利な形態によれば、1m/min~10m/minの範囲内の、好ましくは4m/min~10m/minの範囲内の、特に好ましくは7m/min~10m/minの範囲内の溶接速度が使用される。
【0025】
別の有利な形態によれば、キャリア材料として、金属の粉末が使用される。金属の粉末は、平鋼製品の炭素含有量に比べて適切な高さの炭素含有量を備えるように選択することができる。金属の粉末は、平鋼製品に接合面を形成するためにそれぞれの平鋼製品の一部を分離する切断過程の終わりで、接合過程もしくは溶接過程の前に、能動的又は受動的に接合面上に着設され得るが、それぞれの金属の粉末は、接着力又は静電気力を利用して接合面に付着することができる。金属の粉末は、炭素成分として黒鉛を備えることができる。
【0026】
別の有利な形態によれば、キャリア材料として、黒鉛を含有する金属箔が使用される。箔が、キャリア材料であり、適切な高さの炭素含有量を備える。箔は、前記切断過程の終わりに、それぞれの接合面に着設すること、例えば粘着テープの形態で接着すること、ができる。
【0027】
別の有利な形態によれば、キャリア材料として、黒鉛を含有する流体が使用される。流体が、キャリア材料であり、適切な高さの炭素含有量を備える。流体は、好ましくは迅速に乾燥するように形成されている。流体は、前記切断過程の終わりに、それぞれの接合面上に着設され得る。流体は、例えば液体又は粘性を有するペーストであり得る。
【0028】
別の有利な形態によれば、流体が、突合せ間隙内への導入後に能動的に乾燥される。流体の能動的な乾燥は、例えば、誘導もしくは誘導熱又はUV照射を使用して、又は、能動的な加熱、例えば火炎等によって行なうことができる。
【0029】
別の有利な形態によれば、キャリア材料として、フィラーワイヤ又は金属シートが使用される。フィラーワイヤもしくは金属シートが、キャリア材料であり、適切な高さの炭素含有量を備える。フィラーワイヤは、溶接ワイヤとも呼ばれ得る。
【0030】
別の有利な形態によれば、キャリア材料が、レーザ照射の使用前に、少なくとも一方の終端部分の突合せ面上に着設され、その後、突合せ間隙が閉じられる。
【0031】
以下で、本発明を、添付図を参照して、好ましい実施形態により模範的に説明するが、以下で説明する特徴は、個々にでも、これら特徴の少なくとも2つを互いに組み合わせてでも、本発明の有利な又は発展的態様であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による突合せ深溶込み溶接法用の実施例のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、それぞれ炭素含有量C
S<0.02%を備える平鋼製品の互いに対面する終端部分を接合するための本発明による
突合せレーザ深溶込み溶接法用の実施例のブロック図を示す。
【0034】
プロセスステップ10で、炭素を含有するキャリア材料が、平鋼製品の互いに対面するように配置された終端部分の間の突合せ間隙内に導入される、又は、少なくとも一方の終端部分上に着設され、キャリア材料の炭素含有量が、C
T
≧20・C
S
、好ましくはC
T
≧100・C
S
であり、CSは、少なくともより高い炭素含有量を備えた平鋼製品の炭素含有量である。付加的又は選択的に、プロセスステップ10で、突合せ間隙内に導入される炭素の容積が、突合せレーザ深溶込み溶接過程によって生成される溶融物の容積の1%~20%に相当するように、炭素が、突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設される。
【0035】
キャリア材料もしくは特に純粋な炭素は、プロセスステップ20でレーザ照射の使用前のプロセスステップ10で、少なくとも一方の終端部分の突合せ面上に着設され、その後、突合せ間隙が閉じられる。キャリア材料として、金属の粉末が使用され得る。選択的に、キャリア材料として、黒鉛を含有する金属箔が使用され得る。選択的に、キャリア材料として、黒鉛を含有する流体が使用され得るが、この流体は、突合せ間隙内への導入後に能動的に乾燥され得る。選択的に、キャリア材料として、フィラーワイヤ又は金属シートが使用され得る。
【0036】
プロセスステップ20で、レーザ照射が発生され、突合せ間隙に整向され、この突合せ間隙内には、炭素を含有するキャリア材料もしくは炭素が導入されているので、突合せレーザ深溶込み溶接過程が実行可能である。ここで、レーザ光源として、固体レーザが使用される。特に、レーザ光源として、ファイバレーザ又はディスクレーザ又はダイオードレーザが使用され得る。レーザ照射は、980nm~1120nmの範囲内の波長で発生され、使用される。プロセスステップ20で実行されるレーザ深溶込み溶接過程は、1m/min~10m/minの範囲内の溶接速度で実行される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.それぞれ炭素含有量C
S
<0.02%を備える平鋼製品の互いに対面する終端部分を接合するための突合せレーザ深溶込み溶接法において、
炭素を含有する少なくとも1つのキャリア材料が、終端部分の間の突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設され、キャリア材料の炭素含有量が、C
T
≧20・C
S
、好ましくはC
T
≧100・C
S
であること、及び/又は、突合せ間隙内に導入される炭素の容積が、突合せレーザ深溶込み溶接過程によって生成される溶融物の容積の1%~20%に相当するように、炭素が、突合せ間隙内に導入される又は少なくとも一方の終端部分上に着設されること、を特徴とする突合せレーザ深溶込み溶接法。
2.レーザ光源として、固体レーザが使用されること、を特徴とする上記1に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
3.レーザ光源として、ファイバレーザ又はディスクレーザ又はダイオードレーザが使用されること、を特徴とする上記2に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
4.980nm~1120nmの範囲内の波長を備えたレーザ照射が使用されること、を特徴とする上記2又は3に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
5.1m/min~10m/minの範囲内の溶接速度が使用されること、を特徴とする上記2~4のいずれか1項に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
6.キャリア材料として、金属の粉末が使用されること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
7.キャリア材料として、黒鉛を含有する金属箔が使用されること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
8.キャリア材料として、黒鉛を含有する流体が使用されること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
9.流体が、突合せ間隙内への導入後に能動的に乾燥されること、を特徴とする上記8に記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
10.キャリア材料として、フィラーワイヤ又は金属シートが使用されること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
11.キャリア材料が、レーザ照射の使用前に、少なくとも一方の終端部分の突合せ面上に着設され、その後、突合せ間隙が閉じられること、を特徴とする上記6~9のいずれか1つに記載の突合せレーザ深溶込み溶接法。
【符号の説明】
【0037】
10 プロセスステップ(キャリア材料の導入)
20 プロセスステップ(レーザ深溶込み溶接過程)