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  • 特許-化学汚染物質を除去する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】化学汚染物質を除去する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/02 20060101AFI20240109BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240109BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20240109BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B01D61/02 500
C11D3/43
C11D1/29
C11D1/72
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022535924
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021019500
(87)【国際公開番号】W WO2021173738
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】62/983,116
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】メリ、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】シェパー、ウィリアム・マイケル
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-505310(JP,A)
【文献】特開平01-139130(JP,A)
【文献】特表2014-508110(JP,A)
【文献】特開2003-260337(JP,A)
【文献】国際公開第2016/131828(WO,A1)
【文献】特開平09-010566(JP,A)
【文献】特開2003-001254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C11D 3/43
C11D 1/29
C11D 1/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む組成物から化学汚染物質を除去する方法であって、
(i)初期供給源を提供することであって、前記初期供給源が、前記活性物質、前記溶媒、及び前記化学汚染物質を含む、提供することと、
(ii)ナノフィルタを提供することと、
(iii)前記ナノフィルタを通して前記初期供給源を濾過して、初期保持液及び初期濾液を形成することと、を含み、
前記初期保持液が、前記初期供給源よりも前記活性物質に対する前記化学汚染物質の重量割合が低
前記化学汚染物質が、1,4-ジオキサン、ジメチルジオキサン、又はそれらの組み合わせを含み、
前記活性物質が、エトキシル化界面活性剤、硫酸化エトキシル化界面活性剤、エトキシル化ポリマー、プロポキシル化界面活性剤、硫酸化プロポキシル化界面活性剤、プロポキシル化ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
前記ナノフィルタが、400ダルトン未満の重量平均分子量を有する化学汚染物質を濾過し、前記活性物質が、400ダルトン超の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期濾液が、前記溶媒の少なくとも一部と、前記化学汚染物質の少なくとも一部とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記初期保持液を供給タンクにリサイクルして、前記ナノフィルタを通して前記初期保持液を濾過することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノフィルタが、10~25Kg/cm2の圧力下で動作している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、150ダルトン未満の重量平均分子量を有する1つ以上の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、水、エタノール、プロパンジオール、グリセロール、グリセリンエトキシレート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化学汚染物質が、1,4-ジオキサンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記活性物質が、エトキシル化界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノフィルタが、250ダルトン以下の重量平均分子量の化学汚染物質を濾過する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記初期濾液をさらに処理して前記ジオキサンを低減し、処理水を生成する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ジオキサンを低減する前記さらなる処理が、高度酸化処理、フェントン反応、光フェントン反応、活性炭吸着、触媒処理、アルコール脱水反応、オゾン処理、紫外線/TiO2処理、焼却、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
界面活性剤組成物から1,4-ジオキサンの少なくとも一部を除去するためのナノフィルタの使用。
【請求項14】
前記界面活性剤組成物が、前記界面活性剤組成物の10重量%~40重量%の脂肪アルコールエトキシ硫酸塩と、水とを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記ナノフィルタが、250ダルトン以下の重量平均分子量の化学物質を濾過する、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、溶液、分散液、スラリー、エマルジョン、及びペーストなどの材料からジオキサン成分のような汚染物質を除去するためのプロセス及び装置に関する。より具体的には、本出願は、アルコキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストから、蒸気を使用せずにはそれまで不可能であったレベルまで1,4-ジオキサンを除去することができるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
化学汚染物質は、原材料又は原材料を利用する製品内で見つかることがある。例えば、1,4-ジオキサンは、洗剤製造の望ましくない副産物である。工業用処理溶媒又は化学中間生成物として、1,4-ジオキサンは、塗料、接着剤、洗剤、及び殺虫剤などの商業的又は消費者用途を有し得る製品の製造に使用されていることがこれまでに報告されている。そのような1,4-ジオキサンは、消費者化粧品/洗面用品、家庭用洗剤、医薬品、食品、農業及び家畜製品、並びにエチレングリコールベースの凍結防止剤中の汚染物質として存在し得る。1,4-ジオキサンは、エトキシル化界面活性剤の製造中に反応副産物として形成される。製造業者は、真空ストリッピングプロセスを通して消費者製品中の1,4-ジオキサンの大部分を除去することができる。しかしながら、このプロセスは費用がかかり、上記を必要として、資本集約的であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、既にエトキシル化された界面活性剤から1,4-ジオキサンのような汚染物質を除去する新しい方法を生成する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書には、例えば、活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む組成物から化学汚染物質を除去する方法が含まれ、本方法は、初期供給源を提供することであって、初期供給源が、活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む、提供することと、ナノフィルタを提供することと、ナノフィルタを通して初期供給源物を濾過して初期保持液及び初期濾液を形成することと、を含み、初期保持液が、初期供給源よりも活性物質に対する化学汚染物質の割合が低い。
【0005】
活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む組成物から化学汚染物質を除去する方法であって、初期供給源を提供することであって、本方法は、初期供給源が、エトキシル化界面活性剤、硫酸化エトキシル化界面活性剤、エトキシル化ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む活性物質と、溶媒と、1,4ジオキサン、ジメチルジオキサン、又はそれらの組み合わせを含む汚染物質とを含む、提供することと、ナノフィルタを提供することと、ナノフィルタを通して初期供給源を濾過して、初期保持液及び濾液を形成することであって、初期保持液が、初期供給源より活性物質に対する汚染物質の割合が低い、形成することと、プロセスが活性物質の18重量%~99重量%の濃縮保持液をもたらすまで、濾過し溶媒を添加するステップを繰り返すことと、を含む。これら及び他の可能な具体化について、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】汚染物質を除去する方法のプロセス概略図である。
【0007】
図面は、本質的に例示的であり、発明を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴点及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるよう意図される例を含む以下の記述から明らかになる。様々な修正が本明細書及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。この範囲は開示される特定の形態に限定されるようには意図されず、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物、及び代替物を網羅する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「the」、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲又は明細書において使用されるとき、特許請求又は記載されているものの1つ以上を意味すると理解される。
【0010】
本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含む(including)」という用語は、非限定的であることを意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語は、単に別の成分の不純物若しくは意図しない副産物としての成分の完全な欠如又はその最小量のいずれかを指す。ある構成成分「を実質的に含まない/が実質的にない」組成物とは、当該組成物が、当該組成物の約0.5重量%、0.25重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満、又はさらには0重量%しか当該構成成分を含まないことを意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「洗剤組成物」及び「クリーニング組成物」という句は互換的に使用され、汚れた素材をクリーニングするよう設計された組成物及び配合物を含む。かかる組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、シャンプー、ボディソープ、手用クレンジング剤、顔用クレンジング剤、布地柔軟化組成物、布地強化組成物、布地消臭組成物、予洗い用洗剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤若しくは組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、単位用量製剤、遅延送達製剤、多孔性基材若しくは不織シート上又は中に含有される洗剤、及び本明細書の教示を考慮すると当業者には明白であり得るその他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0013】
上記のように、組成物は、製造業者及び/又はユーザによって好ましくない汚染物質を含有する可能性がある。これらの汚染物質は、望ましくない副生成物、反応生成物などのように化学的な性質のもの、又は粒子、粉塵、汚れなどのような物理的な性質のものであり得る。組成物から汚染物質を除去することは費用がかかり、製品を財政上成長させることができなくなるおそれがある。製品からの除去に関連する化学汚染物質は、1,4-ジオキサンである。
【0014】
界面活性剤ペーストから1,4-ジオキサンを除去するための過去の試みは、真空ストリッピングと呼ばれるプロセスを利用する。このシステムでは、蒸気を真空下で使用して、界面活性剤ペーストから1,4-ジオキサンを分離する。このプロセスは、満足のいく結果を得るためには温度及び圧力のような条件を慎重に制御する必要があるので面倒であり、プロセス全体を通して蒸気の流入を必要とするために多くのエネルギーを要する。したがって、1,4-ジオキサンのような化学汚染物質を除去する方法においては改善の余地がある。
【0015】
本発明者らは、ジオキサンのような化学汚染物質がナノ濾過プロセスを通して除去され得ることを発見した。ナノ濾過プロセスは、重量平均分子量を利用して、製品から望ましくない化学汚染物質を濾過する。このプロセスは、標的化学汚染物質及びそれが含まれる製品に基づいて調整することができる多種多様な処理条件を可能にする。これらについて、より詳細に後述する。
【0016】
組成物の観点から、このプロセスは、初期供給組成物を含むことができる。初期供給組成物は、活性物質、溶媒、汚染物質、及び/又は1つ以上の少量の材料を含む可能性が高い。初期供給組成物について、以下より詳細に説明する。
【0017】
初期供給組成物
初期供給組成物は、1つ以上の溶媒、所望の活性物質、及び1つ以上の化学汚染物質を含む。溶媒は、所望の活性物質に加える、別々に添加される、又はその両方であり得る。初期供給組成物はまた、1つ以上の少量の材料を含み得る。初期供給物はまた、界面活性剤及び水を含む界面活性剤組成物を含み得る。上記のように、驚くべきことに、ナノ濾過を組み込んだ後述の方法を通して、組成物中の活性物質のレベルと比較して、初期供給組成物の汚染物質のレベルを低減することができることが見出された。理論に束縛されるものではないが、特定の汚染物質によって適切な溶媒及び適切な濾過膜を選択的に選択することによって、溶媒及び汚染物質を少なくとも部分的に除去して、活性物質の実質的な大部分を維持しながら、保持液を生成することができるプロセスを作成することができると考えられる。次いで、残りの保持液を再循環させることによって保持液中の活性物質のパーセンテージを増加させる、及び/又は保持液を追加の濾過カラムに通すことができる。さらに、汚染物質を含まない追加の溶媒を保持液に添加することによって活性物質に対する溶媒の割合を増加させ、保持液中の溶媒に対する汚染物質の割合を低減することができる。その後、汚染物質を含まない溶媒を含む保持液を濾過してもよい。このプロセスは、活性物質に対する溶媒の所望の割合と、溶媒又は活性物質に対する汚染物質の所望の割合とが達成されるまで、再循環させることができる。当業者であれば、溶媒、活性物質、及び汚染物質に焦点が当てられているが、組成物は、2つ以上の活性物質、2つ以上の汚染物質、及び他の微量成分を含み得ることを理解するであろう。したがって、上記及び以下に記載されるものは、例示的な例として、活性物質及び汚染物質に対して溶媒を利用する例として機能する。
【0018】
溶媒
溶媒は、水、例えば、エタノール、プロパンジオール、グリセリンエトキシレート、グリセリンプロポキシレート、C~Cアルカノールアミン、グリセロール、又はそれらの組み合わせなどの有機溶媒を含み得る。C~Cアルカノールアミンは、例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はそれらの組み合わせを含むことができる。溶媒は、標的化学汚染物質とほぼ同じ又はそれ未満の重量平均分子量を有し得る。例えば、溶媒は、約400Da以下、約300Da以下、約250Da以下、約200Da以下、約150Da以下、約100Da以下、約50Da以下、約25Da以下、又は約10Da以下の重量平均分子量を有し得る。
【0019】
微量材料
初期供給組成物はまた、1つ以上の少量の材料を含み得る。少量の材料は、例えば、塩、殺生物剤、及び/又は緩衝剤を含み得る。非限定的な例としては、硫酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0020】
汚染物質
汚染物質は、最終配合物において望ましくないと見なされる任意の化学化合物であり得る。例えば、汚染物質は、1,4ジオキサン、ジメチルジオキサン、又はそれらの組み合わせであり得る。汚染物質は、およそ標的活性物質未満の重量平均分子量を有し得る。例えば、溶媒は、約400Da以下、約300Da以下、約250Da以下、約200Da以下、約150Da以下、約100Da以下、約50Da以下、約25Da以下、又は約10Da以下の重量平均分子量を有し得る。
【0021】
活性物質
活性物質は、化学汚染物質を有する商業的価値を有する任意の化学組成物であり得る。活性物質は、例えば、エトキシル化界面活性剤、硫酸化エトキシル化界面活性剤、エトキシル化ポリマー、プロポキシル化界面活性剤、硫酸化プロポキシル化界面活性剤、プロポキシル化ポリマー、又はそれらの組み合わせであり得る。活性物質は、アルコキシル化ポリアミン化合物であり得る。活性物質は、双性イオン性ポリアミンであり得る。活性物質は、例えば、約250Da~約1000Da、約300Da~約750Da、約300Da~約500Da、又は約300Da~約400Daの重量平均分子量を有し得る。活性物質は、初期供給材料の約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約25重量%のレベルで存在し得る。
【0022】
エトキシル化界面活性剤
活性物質は、エトキシル化界面活性剤又は硫酸化エトキシル化界面活性剤であり得る。洗剤組成物は、表面活性成分(「洗剤活性成分」又は「洗剤活性物質」と称されることもある)を含有することができ、これは、例えば、C~C20有機材料、及び好ましくは脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪アルコール、アルキルベンゼン、アルファオレフィン、メチルエステル、アルキルフェノールアルコキシレート、及びアルキルフェノールエトキシレートなどのC10~C18有機材料を硫酸化又はスルホン化することによって生成される酸の中和塩であり得る。酸形態から洗剤活性物質を形成するプロセスは、典型的には、水及び/又はアルコールなどの溶媒中で行われる。得られた洗剤材料は、様々な成分のペースト、溶液、又はスラリーであり得る。(本明細書で使用される場合、洗剤「ペースト」という用語は、洗剤溶液、スラリー及びペーストを含むことを意味する)。最終洗剤組成物は、そのような洗剤ペーストから作製される。
【0023】
脂肪アルコールエトキシ硫酸塩(AES)は、かなりの泡を生成し、優れた脱脂特性を有する穏やかな界面活性剤である。これは、例えば、シャンプー及びボディソープなどのパーソナルケア製品、及び液体食器洗浄剤で使用される。脂肪アルコールに由来するため、天然油、例えばココナツ油から作製することができる。また、合成アルコールから作製することもできる。
【0024】
1,4-ジオキサンは、比較的少量で脂肪アルコールアルコキシサルフェート(AES)を作製する硫酸化プロセス中に主に形成される副生成物である。1,4-ジオキサンは、硫酸化AESペースト及びそれを含有する他の後続の組成物中に残存する。ジオキサンは、消費者団体及び監督機関による監視が高まりつつある。したがって、硫酸化生成物中の1,4-ジオキサンを最小限に抑える必要がある。
【0025】
1,4-ジオキサン形成を最小限に抑えるための技術は、何十年も遡る文献において報告されている。以前の研究では、形成される1,4-ジオキサンの量を最小限に抑えるために、硫酸化プロセスで行うことができる工程が報告されている。例えば、S0ガス濃度を4%から2.5%まで低減することは、劇的な効果を有し、形成される1,4-ジオキサンの量を半減する。S0と供給物との低モル比からはあまり劇的な変化が生じず、そのため、供給物の硫酸化生成物への変換はあまり完全ではない。これらの変化は、硫酸化プラントの製造能力及びコスト効率に著しい影響を及ぼす。このような措置は、プラントの能力を50%ほども低減させる。
【0026】
アルコキシル化脂肪アルコールは、「純粋な」材料ではなく、例えば、異なる量のエチレンオキシドを含有する相同分子の混合物である。エチレンオキシドの脂肪アルコールへの添加は、非イオン性界面活性剤の製造に長く行われてきた。これらは、消費者製品において多くの用途を有する。典型的な非イオン性エトキシル化脂肪アルコール(AE)は、公称「3モルAE」と称され得、これは平均3モルのエチレンオキシドが各アルコールモルと反応することを意味する。実際、生成物は、EO添加なし、いくらかの1-EO、いくらかの2-EO、いくらかの3-EO、いくらかの4-EOなどを伴う第一級アルコールを同族列で含有する。したがって、ほとんどの製造業者は、脂肪アルコールと、添加されるEOの平均数とを記載することによってAEを命名する。空気-SOとの硫酸化時に形成される1,4-ジオキサンの量は、AE供給物のEO含有量と共に増加する。1,4-ジオキサンの形成を最小限に抑えるために、一部の製造業者は、形成される1,4-ジオキサンの量を減少させる試みにおいて、平均EO含有量を2未満の数にシフトすることを決定している。この選択は、1,4-ジオキサンを低減させ得るが、製品性能のためのAES中の最適なEO含有量を犠牲にする。本発明者らは、1,4-ジオキサンの量を低減しようと試みるために硫酸化プロセスを修正することは、1,4-ジオキサンを排除する、又は1,4-ジオキサンを意味のない濃度まで低減するための手段を有効に提供しないと認めた。その代わりに、本発明者らは、硫酸化後、かつ希釈生成物が所望されるときの最終製品の調合前に、AESから1,4-ジオキサンを物理的及び選択的に除去するための好適な装置のプロセス及び実施形態を創出した。
【0027】
以下の説明では、言及される主なジオキサン成分は、1,4-ジオキサンであるが、他のジオキサン異性体も企図される。したがって、ジオキサン成分は、1,2-ジオキサン、1,3-ジオキサン、及び1,4-ジオキサンのうちの1つ以上を含み得る。
【0028】
上記のように、望ましくない副産物である1,4-ジオキサンは、硫酸化プロセス中に生成される。1,4-ジオキサンを形成するために提案される機構は、S0分子との複合体を形成するエトキシ硫酸分子のための機構である。より少ないエチレンオキシド当量単位と、S0と複合体を形成する1,4-ジオキサンとで新たなエトキシ硫酸を形成する転位が行われる。SOは、1,4-ジオキサンから放出されて反応し、エトキシ硫酸を形成する、又はこのプロセスを繰り返して、1,4-ジオキサンの別の分子を生成することができる。
【0029】
【化1】
【0030】
本明細書に記載のプロセスでは、供給原料ペーストは、任意選択的に、エトキシル化脂肪アルコール硫酸塩ペーストであり得る。
【0031】
本明細書に記載の方法で使用することができる一般的な供給原料は、脂肪アルコール1モル当たり0.8~3モルのエチレンオキシド(EO)でエトキシル化されたエトキシ硫酸ナトリウム(AES)である。脂肪アルコール炭素鎖長は、典型的には、C12~C16の範囲内であり、天然に存在する材料から作製され得る、又は純粋に合成物であり得る、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。エチレンオキシドを用いたエトキシル化度は、エトキシ硫酸への硫酸化及びその後の酸の中和の目的で、脂肪アルコール1モル当たり0.5~50モル、例えば1~12モル、又は3~7モルのEOの範囲であり得る。中和は、例えば、アニオン性塩基上のナトリウム、カリウム、及びアンモニウム種(例えば、TEA)を用いて行うことができる。例えば、エトキシ硫酸ナトリウム(EO 3モル)の分子量は、442ダルトンの範囲にある。ジオキサンを除去するための本明細書に記載のプロセスは、炭素鎖の供給源、エトキシル化度、又は中和剤によって制約されない。
【0032】
本明細書に記載のプロセスでは、プロセスは、任意選択的に、汚染物質と活性物質との割合が0:100~15:85、例えば、1:99、2:98、3:97、4:96、5:95,6:94,7:93,8:92,9:91,10:90,11:89,12:88,13:87,又は14:86の組成物を得るように実行することができる。一例では、この割合は、ジオキサンと硫酸化エトキシ界面活性剤との割合である。
【0033】
本明細書に記載のプロセスでは、プロセスは、任意選択的に、組成物中のジオキサンのような汚染物質の総%が、例えば、全組成物の10%未満、例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は0.0001%~1%などの1%未満になるまで実行することができる。
【0034】
本明細書に記載のプロセスでは、プロセスは、任意選択的に、25重量%以下、又は15重量%以下、又は5重量%以下、又は2重量%以下の含水量を有する濃縮生成物を得るように実行することができる。
【0035】
本明細書に記載のプロセスでは、プロセスは、任意選択的に、1,4-ジオキサンであるジオキサン成分を除去するように実行することができる。
【0036】
アルコキシル化ポリアミン化合物
活性物質は、アルコキシル化ポリアミン化合物であり得る。アルコキシル化ポリアミン化合物は、洗浄及び/又は白色化の利点、例えば、汚れ再付着防止の利点を利益を達成することが知られている。しかしながら、驚くべきことに、アルコキシル化ポリアミン化合物は、酸性pHで硫酸化界面活性剤と相乗的に作用して、洗浄及び/又は白色化の利点に加えて、界面活性剤の安定性という利点を提供できることが見出された。ポリアミンは、Hの界面へのアクセスを遮断する、及び/又は硫酸化界面活性剤間の相互作用を遮断することによって、低pH系における硫酸化界面活性剤の加水分解の速度を阻害すると考えられる。
【0037】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、約0.01重量%から、又は約0.05重量%から、又は約0.1重量%から、又は約0.5重量%から、又は約0.8重量%から、又は約1.0重量%から、又は約1.5重量%から、約2重量%まで、又は約2.5重量%まで、又は約3重量%まで、又は約5重量%まで、又は約10重量%まで、又は約15重量%まで、又は約20重量%までのアルコキシル化ポリアミンの組成物を含み得る。組成物は、アルコキシル化ポリアミンの混合物を含み得る。
【0038】
アルコキシル化ポリアミン化合物は、約200ダルトンから、約60000ダルトンまで、又は約20000ダルトンまで、又は約10,000ダルトンまでの重量平均分子量を有し得る。いくつかの態様では、重量平均分子量は、約350ダルトンから、約5000ダルトンまで、又は約2000ダルトンまで、又は約1000ダルトンまでである。いくつかの態様では、アルコキシル化ポリアミンは、ポリエチレンイミン(PEI)主鎖を含み、主鎖は、約200~約1500、又は約400~約1000、又は約500~約800、又は約600ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0039】
本開示のポリアミンは、液体洗濯洗剤組成物、特に、ゲル、チキソトロピー液体、及び注入可能な液体(すなわち、分散液、等方性溶液)での使用に適している。
【0040】
いくつかの態様では、アルコキシル化ポリアミン化合物は、少なくとも2つのアルコキシル化アミン、イミン、アミド、又はイミド基を有する1つ以上のアルコキシル化化合物を含む。少なくとも2つのアルコキシル化アミン基を有する化合物が好ましく、アルコキシル化アミン基はアルコキシル化基を含む。
【0041】
アルコキシル化基は、1つ以上、典型的には、2つ以上のアルコキシレートを有し、アルコキシレートの鎖又はポリアルコキシル化基を形成し得る。化合物は、2つのアルコキシル化基又は鎖、好ましくは少なくとも4、又はさらには少なくとも7、又はさらには少なくとも10、又はさらには少なくとも16のアルコキシル化基又は鎖を有し得る。アルコキシル化基は、各々独立して、少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約8、好ましくは少なくとも約12、最も好ましくは約80又は約50又は約25の平均アルコキシル化度を有するポリアルコキシル化基であることが好ましい。(ポリ)アルコキシル化は、好ましくは(ポリ)エトキシル化及び/又は(ポリ)プロポキシル化である。したがって、アルコキシル化基は、ポリエトキシ化基、ポリプロポキシル化基、ポリエトキシ化/ポリプロポキシル化基、又はそれらの混合物を含むことが好ましい。
【0042】
アルコキシル化ポリアミン化合物は、好ましくはポリアミド、ポリイミド、又はより好ましくはポリアミン又はポリイミン化合物であり、これらのアミド、イミド、アミン、又はイミン単位は、ポリマーの主鎖として存在し、反復単位の鎖を形成する。好ましくは、これらのポリマーは、少なくとも3又はさらには4又はさらには5のアミド、イミド、アミン、又はイミン単位を有する。アミン又はイミンの一部のみがアルコキシル化されることが好ましい場合がある。主鎖は、アルコキシル化され得る、アミド、イミド、アミン、又はイミン基を含有する側鎖も有することが好ましい場合がある。
【0043】
いくつかの態様では、ポリアミンは、ポリアルキルアミン主鎖を含む。ポリアルキルアミンは、C2アルキル基、C3アルキル基、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの態様では、ポリアミンは、ポリエチレンイミン(PEI)主鎖を有する。本明細書に記載の好ましいPEI主鎖は、アルコキシル化前に、以下の一般実験式を有する。
【0044】
【化2】
式中、n+mは、10、又は12、又は14、又は18、又は22以上であり、Bは、分岐によるこの構造の連続を表す。
【0045】
好ましいポリアミンとしては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5565145号に記載されているものなどの、実質的に非荷電の低分子量の水溶性、及び軽度にアルコキシル化されたエトキシル化/プロポキシル化ポリアルキレンアミンポリマーが挙げられる。「軽度に」とは、本発明のポリマーが、窒素1個当たり平均して約0.5~約10のアルコキシル化を生じさせることを意味する。「実質的に非荷電」とは、ポリアルキレンアミンポリマーの主鎖中に存在する40個の窒素ごとに約2個以下の正電荷が存在することを意味する。
【0046】
特に好ましいポリアミンとしては、エトキシル化C~Cポリアルキルアミン、エトキシル化C~Cポリアルキレンアミン、及びそれらの混合物、例えば、エトキシル化ポリエチレンアミン(PEA)及びエトキシル化ポリエチレンイミン(PEI)であるエトキシル化/プロポキシル化ポリアルキルアミンポリマーである。ポリアルキレンイミン及びポリアルキレンアミンでは、各窒素原子に結合した各水素原子は、その後のエトキシル化のための活性部位を表す。いくつかの好ましい化合物を調製する際に使用されるPEIは、エトキシル化の前に少なくとも約600の分子量を有し得、これは少なくとも約14単位を表す。エトキシル化鎖当たり約15~約25の平均エトキシル化度、及び約1000~約2000ダルトンの分子量を有するエトキシル化ポリエチレンイミンが好ましい。好ましいポリアミンは、PEI600E20である。エトキシル化テトラエチレンペンタイミンも好ましい。いくつかの態様では、エトキシル化ポリエチレンアミン及び/又はエトキシル化ポリエチレンイミンの分子平均分子量は、約8000~約25000、又は約10000~約20000、又は約12000~約15000、又は約14000g/molである。
【0047】
非常に好ましいアルコキシル化ポリアミン化合物は、以下の構造のエトキシル化ポリアミン化合物である。
【0048】
【化3】
【0049】
エトキシル化テトラエチレンペンタアミンも非常に好ましい。
【0050】
双性イオン性ポリアミン
活性物質は、双性イオン性ポリアミンであり得る。好ましくは、双性イオン性ポリアミンは、以下の式を有する双性イオン性ポリアミンから選択される。
【0051】
【化4】
【0052】
Rは、C3~C20、好ましくはC5~C10、より好ましくはC6~C8の直鎖又は分岐鎖アルキレン、及びそれらの混合物、最も好ましくは直鎖C6である。
【0053】
は、式:-(R2O)xR3を有するアニオン性又は部分的にアニオン性の単位キャップされたポリアルキレンオキシ単位であり、式中、R2は、C2~C4直鎖又は分岐アルキレン及びそれらの混合物、好ましくはC2又は分岐C3及びそれらの混合物、より好ましくはC2(エチレン)であり、R3は、水素、アニオン性単位、及びそれらの混合物であり、全てのR3基とは限らず、xは、約5~約50、好ましくは約10~約40、さらにより好ましくは約15~約30、最も好ましくは約20~約25である。特にRがエチレンオキシ単位のみを含む場合、xの好ましい値は24である。配合者がEO単位の形成に選択する方法に依存して、存在するEO単位の範囲の幅はより広く又は狭くなる。配合者は、双性イオン性ポリアミンをエトキシル化するとき、アルキレンオキシ単位の平均数又は統計分布のみが知られることを認識するであろう。強調表示されるx値は、ポリアルコキシ鎖当たりの平均値を表す。好ましくは、双性イオン性ポリアミン数は、プラス又はマイナス2単位、より好ましくはプラス又はマイナス1単位である。最も好ましくは、各Rは、同じ平均数のアルキレンオキシ単位を含む。R3アニオン性単位の非限定的な例としては、-(CH2)pCO2M;-(CH2)qSO3M;-(CH2)qOS03M;(CH2)qCH(SO2M)-CH2SO3M;-(CH2)qCH(OS02M)CH2OSO3M;-(CH2)qCH(SO3M)CH2SO3M;-(CH2)pP03M;-P03M;-S03M、及びそれらの混合物が挙げられ、Mは、電化の均衡を満たすのに十分な量の水素又は水溶性カチオンである。好ましいアニオン性単位は、-(CH2)pC02M;-S03M、より好ましくは-S03M(スルホン酸基)である。添字p及びqは、0~6、好ましくは0~2の整数、最も好ましくは0である。本発明の目的のために、全てのM単位は、当業者によって単離された形態又は化合物が使用される系の相対pHに応じて、水素原子又はカチオンであり得る。好ましいカチオンの非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0054】
Qは、C1~C30直鎖若しくは分岐アルキル、C6~C30シクロアルキル、C7~C30置換若しくは非置換アルキレンアリール、及びそれらの混合物、好ましくはC1~C30直鎖若しくは分岐アルキル、さらにより好ましくはC1~C10、又はさらにはC1~C5直鎖若しくは分岐アルキル、最も好ましくはメチルからなる群から選択される四級化単位であり、四級化度は、好ましくは50%超、より好ましくは70%超、さらにより好ましくは90%超、最も好ましくは約100%である。
【0055】
Xは、電子的中性を提供するのに十分な量で存在するアニオンであり、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素、硫酸メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される水溶性アニオン、より好ましくは塩化物である。対イオンXの大部分は、四級化の実施に用いられた単位に由来するものである。例えば、塩化メチルを四級化剤として使用する場合、対イオンXは塩素(塩化物イオン)である。臭化ベンジルを四級化剤とする場合には、臭素(臭化物イオン)が主要な対イオンとなり得る。
【0056】
nは、0~4、好ましくは0~2、最も好ましくは0である。
【0057】
R3基の好ましくは約10%~約100%、より好ましくは約20%~約70%、さらにより好ましくは30%~約50%、最も好ましくは約35%~約45%は、アニオン性単位、好ましくはスルホン酸塩単位であり、残りのR3単位は水素である。
【0058】
特に好ましい双性イオン性ポリアミンは、以下の式による双性イオン性ヘキサメチレンジアミンであり、
【0059】
【化5】
【0060】
Rは、式:-(R2O)xR3を有するアニオン性又は部分的にアニオン性の単位キャップされたポリアルキレンオキシ単位であり、式中、R2は、C2~C4直鎖又は分岐アルキレン及びそれらの混合物、好ましくはC2又は分岐C3及びそれらの混合物、さらにより好ましくはC2(エチレン)であり、R3は、水素、アニオン性単位、及びそれらの混合物であり、全てのR3基とは限らず、xは、約5~約50、好ましくは約10~約40、さらにより好ましくは約15~約30、最も好ましくは約20~約25である。特にRがエチレンオキシ単位のみを含む場合、xの好ましい値は24である。配合者がEO単位の形成に選択する方法に依存して、存在するEO単位の範囲の幅はより広く又は狭くなる。配合者は、双性イオン性ポリアミンをエトキシル化するとき、アルキレンオキシ単位の平均数又は統計分布のみが知られることを認識するであろう。強調表示されるx値は、ポリアルコキシ鎖当たりの平均値を表す。好ましくは、双性イオン性ポリアミン数は、プラス又はマイナス2単位、より好ましくはプラス又はマイナス1単位である。最も好ましくは、各R基は、同じ平均数のアルキレンオキシ単位を含む。R3アニオン性単位の非限定的な例としては、-(CH2)pCO2M;-(CH2)qSO3M;-(CH2)qOS03M;(CH2)qCH(SO2M)-CH2SO3M;-(CH2)qCH(OS02M)CH2OSO3M;-(CH2)qCH(SO3M)CH2SO3M;-(CH2)pP03M;-P03M;-S03M、及びそれらの混合物が挙げられ、Mは、電化の均衡を満たすのに十分な量の水素又は水溶性カチオンである。好ましいアニオン性単位は、-(CH2)pC02M;-S03M、より好ましくは-S03M(スルホン酸塩基)である。添字p及びqは、0~6、好ましくは0~2の整数、最も好ましくは0である。本発明の目的のために、全てのM単位は、当業者によって単離された形態又は化合物が使用される系の相対pHに応じて、水素原子又はカチオンであり得る。好ましいカチオンの非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0061】
Qは、C1~C30直鎖若しくは分岐アルキル、C6~C30シクロアルキル、C7~C30置換若しくは非置換アルキレンアリール、及びそれらの混合物、好ましくはC1~C30直鎖若しくは分岐アルキル、さらにより好ましくはC1~C10、又はさらにはC1~C5直鎖若しくは分岐アルキル、最も好ましくはメチルからなる群から選択される四級化単位であり、四級化度は、好ましくは50%超、より好ましくは70%超、さらにより好ましくは90%超、最も好ましくは約100%である。
【0062】
Xは、電子的中性を提供するのに十分な量で存在するアニオンであり、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素、硫酸メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される水溶性アニオン、より好ましくは塩化物である。対イオンXの大部分は、四級化の実施に用いられた単位に由来するものである。例えば、塩化メチルを四級化剤として使用する場合、対イオンXは塩素(塩化物イオン)である。臭化ベンジルを四級化剤とする場合には、臭素(臭化物イオン)が主要な対イオンとなり得る。
【0063】
R3基の好ましくは約10%~約100%、より好ましくは約20%~約70%、さらにより好ましくは30%~約50%、最も好ましくは約35%~約45%は、アニオン性単位、好ましくはスルホン酸塩単位であり、残りのR3単位は水素である。
【0064】
最も好ましい化合物は、以下の式で表される双性イオン性ヘキサメチレンジアミンであり、
【0065】
【化6】
およそ40%のポリエトキシ基がスルホン化されており、残りのポリエトキシ基は水素キャップされている。四級化度は、好ましくは90%超、最も好ましくは約100%である。好ましくは、水溶性対アニオンは、塩素、臭素、ヨウ素、硫酸メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは塩化物である。
【0066】
記載された双性イオン性ポリアミンは、当該技術分野において以前に記載された技術を使用して作製することができ、したがって、当業者は、そのような化合物を生成する方法を理解するであろう。ポリアミンは、最初にアルコキシル化され、例えばエチレンオキシドでエトキシル化され、続いて、例えば、アルコキシル化ポリアミンとジメチル硫酸塩を反応させることによる四級化工程、最後に、四級化されたアルコキシル化ポリアミンとクロロスルホン酸とを反応させることによるアニオン性基置換工程を経る。
【0067】
濾過
予想外に、ナノ濾過プロセスは、活性物質又は界面活性剤を分離することができる一方で、通常、初期供給物に含有される特定の汚染物質又は不純物の含有量を排除又は低減するために首尾よく使用され得ることが発見された。例えば、ジオキサンは、エトキシル化硫酸塩界面活性剤を含有する初期供給物と、及びさらなる処理又は使用のために分離された界面活性剤とから除去することができる。
【0068】
本発明のプロセスの簡略化のために、この精製方法は、精製される溶液中の他の元素の導入を必要としないため、他の物理的又は化学的プロセスに対して特定の利点をもたらす。
【0069】
図1に示すように、プロセス100は、1つ以上の溶媒、所望の活性物質、及び1つ以上の汚染物質を含む初期供給組成物102を供給タンク110に導入することを含む。初期供給組成物は、任意の作業可能な活性濃度、pH、及び温度下にあり得る。初期供給物の活性濃度は、例えば、初期供給物の粘度、所与の濃度での初期供給物の安定性、所望のスループット効率などによって影響を受ける可能性がある。例えば、いくつかの活性物質は、特定の濃度より上又は下で分離し得る。同様に、初期供給物の粘度は、所望の効率でナノフィルタを通して実行され、過度の詰まり又は他の処理問題を回避することができるような濃度である必要がある。これら及び任意の他の関連する要因のバランスを取って、特定の初期供給物の濃度の最良の選択を決定することができる。初期供給物は、例えば、約5%~約45%、約5%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約10%~約30%、及び/又は約15%~約25%の活性濃度を有し得る。初期供給物は、例えば、約1200cP以下、約1000cP以下、約500cP以下、約300cP以下、約25cP~約1000cP、及び/又は約50cP~約750cPであってよい。
【0070】
初期供給物のpHは、初期供給物の安定性、ナノフィルタの選択、及び殺生物剤の必要性などに影響を与える可能性がある。これらのパラメータの選択は、初期供給物の活性物質及び製造業者のニーズに依存するであろう。例えば、活性物質がより高いpH(約10以上)で安定しており、製造業者が殺生物剤の使用を回避することを望む場合、その活性物質は、高pHで初期供給物中にあり得る。pHの他の考慮事項は、ナノフィルタについてのものである。ナノフィルタの作製に使用される材料(複数可)は、ナノフィルタが所与のpHで機能する能力に影響を与えるであろう。さらに、低pH又は高pHで利用される場合、ナノフィルタの寿命は悪影響を受ける可能性がある。したがって、初期供給物のpHは、約3~約14、約4~約13、約5~約12、約6~約12、約7~約12、約8~約12、約9~約12、約10~約12、約11~約12、又は約10以上であり得る。
【0071】
初期供給物の温度はまた、化学汚染物質の濾過の能力又は効率に影響を与える可能性がある。例えば、より低い温度では、初期供給物は、濾過するのに粘性が高くなりすぎる場合がある。あるいは、高温では、活性物質又はナノフィルタが劣化し得る。温度も、便宜上選択することができる。特定の活性物質が輸送理由のためにより高い温度で送達される場合、フルタリングシステムと両立し得る限り、その温度を維持することができる。初期供給物は、濾過のために目標温度に到達するように所望に応じて加熱又は冷却することができる。初期供給物の温度は、例えば、約20℃~約60℃、約25℃~約55℃、約25℃~約50℃、約30℃~約50℃、及び/又は約40℃~約50℃であり得る。以下の具体的な説明は、エトキシル化界面活性剤ペーストの使用及び1,4-ジオキサンの濾過に焦点を当てているが、任意の好適な活性物質及び化学汚染物質に置き換えることができる。
【0072】
初期供給物は、例えば、活性物質としてのAESの少なくとも5%、好ましくは活性物質の約15重量%~約25重量%を含むエトキシル化界面活性剤ペースト、溶媒としての水、及び化学汚染物質としての1,4ジオキサンを含む活性物質であり得る。初期供給物は、約40℃~約50℃の温度及び約11~約13のpH下にある。初期供給物は、供給タンク110に入れられる。供給タンク110は、ポンプ114を介して濾過カラム112に接続されている。ポンプ114は、初期供給物を供給タンクから引き出し、それを濾過カラム112に供給する。濾過カラム112は、濾過膜(図示せず)を利用する。
【0073】
濾過膜は、重量平均分子量、温度、pH、及び粘度などの、初期供給物及び化学汚染物質の特性に基づいて選択することができる。化学汚染物質及び活性物質の分子量の差は、より効率的な濾過を可能にする。ここで、上記パラメータを用いてAESの初期供給物を濾過する場合、約200ダルトン未満の重量平均分子量を有する材料を濾過するフィルタ膜が使用される。これは、ジオキサンが約88ダルトンの重量平均分子量を有し、活性物質のAESが300ダルトン超の分子量を有するときに選択される。さらに、使用される溶媒が水である場合、約18Daの重量平均分子量を有し、ジオキサンで濾過することができる。したがって、エトキシル化界面活性剤にナノ濾過を適用することで、濾過することによって1-4,ジオキサンの存在を低減することができる。次いで、ジオキサンを担持する濾過された水を、ジオキサンを含まない水で置き換えることができる。
【0074】
したがって、フィルタのサイズの選択は、分離しようとする材料の重量平均分子量に基づく。例えば、ナノフィルタサイズは、化学汚染物質の分子量を含み、活性物質の分子量を除外する重量平均分子量を濾過するように選択することができる。ナノフィルタは、例えば、約400Da以下、約300Da以下、約250Da以下、約200Da以下、約150Da以下、又は約100Da以下の重量平均分子量を有するフィルタ材料であり得る。.濾過カラムは、単段であってもよく、又は多段であってもよい。追加の段を追加することにより、濾過プロセスの効率を高めることができ、より少ない回数の通過を利用することができる。
【0075】
ナノ濾過膜の種類の選択は、その動作寿命に影響を与える可能性がある。例えば、初期供給物が高pHである場合、ナノ濾過膜は、高pHで十分な動作寿命を有するように選択することができる。ナノ濾過膜の動作寿命が短すぎる場合、ナノ濾過膜を頻繁に変更する必要性が生じて、動作上及び財政上管理が困難になり得る。ナノフィルタは、例えば、交換する必要がある前に、初期供給物の約80%以上を濾過することができる。
【0076】
初期供給物が11以上のpH、例えばpH11~13にあるとき、この高pHで使用することができる好適な市販の膜としては、例えば、Synder(登録商標)-NFS、AMS Technologies B-4022、Koch(商標)SeIRO(登録商標)、MPS34、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0077】
ナノフィルタは、任意の材料を含み得る、又はシステム内で機能する任意の構成を有し得る。例えば、ナノフィルタは、セラミック、ポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことができる。膜は、中空繊維、管状繊維、螺旋状繊維、又はそれらの組み合わせを含むことができる。ナノフィルタは、例えば、螺旋状であり得、かつ/又は螺旋要素を含み得る。
【0078】
初期供給物は、圧力下で濾過カラムを通過する。これは、化学汚染物質を活性物質から分離するのに役立つ。システムの作動圧力は、約8~約62kg/cmの範囲であり得る。一実施例では、圧力は、10~25kg/cmである。この圧力は、初期供給物の特性、システムの設定、膜の選択、及び膜(すなわち、段)の数の結果である。
【0079】
初期供給物が濾過カラムを通過すると、濾液104及び保持液106が形成される。これがプロセスを経る初期供給物の最初の通過である場合、それらは初期濾液及び初期保持液である。濾液104は、濾過された化学汚染物質及び濾過された溶媒を含有する。溶媒の大部分が濾過された溶媒であると予想されるが、溶媒の一部は保持液中に存在し得る。保持液は、初期供給源よりも活性物質に対する化学汚染物質の重量割合が低くなる。
【0080】
濾液中の濾過された化学汚染物質は、その後、廃棄のために調製することができる。廃棄のための化学汚染物質を調製する1つの方法は、追加の処理116の使用による。この追加処理を使用して、化学汚染物質を破壊又は変更することができる。この追加処理としては、例えば、高度酸化処理、フェントン反応、光フェントン反応、活性炭吸着、触媒処理、アルコール脱水反応、オゾン処理、紫外線/TiO処理、焼却、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。化学汚染物質を破壊するために使用することができる触媒は、例えば、成分として48.5~53.5重量%の酸化カルシウム、42.5~46.5重量%の五酸化リン、0.05~1.0重量%の塩素、0.005~3.0重量%の酸化ホウ素成分を含むことができ、残余は水である。そのような触媒は、例えば、GB2056421、GB2053871、及び/又はGB1078117に記載されている。触媒は、イソブテン及びホルムアルデヒドからのイソプレンの製造において、又は1,3ジオキサンの分解によって使用され得るリン酸カルシウム触媒を含み得る。化学汚染物質が追加処理を経た後、任意の回収された溶媒の流れ(すなわち、処理された溶媒、例えば、処理された水)は、濾過システムに再循環されてもよく、又は所望に応じて廃棄されてもよい。
【0081】
プロセスの効率に応じて、所望されるよりも多くの化学汚染物質が、初期又は後続の保持液106中に依然として存在し得る。この場合、保持液106を供給タンク110に供給することができ、汚染物質の目標レベルに達するまで再び濾過プロセスを経ることができる。保持液組成物は、溶媒を添加することによって、AESの場合、水を添加することによって、活性物質の元の濃度に希釈され得る。水は、処理された濾液であってもよく、又はなくてもよい。追加の溶媒108を供給タンク又はラインに添加して、溶媒と汚染物質の割合を変化させることができる。追加の溶媒は、プロセスの開始前、供給タンク内への供給組成物の配置後、ポンプの後、ナノフィルタの後、又はプロセスが継続中で保持液をリサイクルしている間及びプロセスが停止した後を含むプロセスの継続中連続的に、を含むがこれらに限定されないプロセス中の任意の時点で、初期供給組成物102又は保持液106に添加することができる。いったん汚染物質の標的レベルに達すると、保持液はプロセスから排除され得る。これは、例えば、開始レベル(すなわち、濾過処理の前)からの汚染物質の少なくとも90重量%の低減であり得る。濾過及び溶媒添加の行為は、例えば、プロセスが、活性物質の約18重量%~約99重量%の濃縮保持液をもたらすまで繰り返され得る。
【0082】
濾過プロセスは、以下の実施例に示すように一括して、又は直列に複数のカラムを有することによって連続的に行われ得る。上記のように、汚染物質に対する溶媒の割合を増加させるために、プロセス中の任意の時点で追加の溶媒を添加し得る。その後、もしあれば、添加された汚染物質を含まない溶媒を含む新しい組成物を濾過し、それによって汚染物質に対する活性物質の割合を高めることができる。その時点で、追加の汚染物質を含まない溶媒を添加し、プロセスを再度繰り返すことができる。これは、活性物質と汚染物質との所望の割合に達するまで実行し得る。さらに、上記のように、初期供給原料は、汚染物質を含まない溶媒を添加することなく複数回濾過され得る。
【実施例
【0083】
使用したナノフィルタ膜は、Synder Filtrationによって作製されたNFSであった。濾過は、バッチプロセスで行った。組成物は、水及び水中の他の溶媒中に16.5%のアルキルエトキシ硫酸塩を含有した。初期組成物を供給タンクに入れる。次に、組成物を、1.8インチのナノ濾過膜(1.95m膜)を有するカラムを通して循環させた。供給温度は約38℃であった。供給圧力は、14Kg/cmであった。
【0084】
濾過プロセスは、初期濾液及び初期保持液を生成した。保持液を供給タンクに再循環させた。水とジオキサン汚染物質を含有する濾液を別に回収した。
【0085】
ジオキサンを含む水の流束は、42l/m/時であった。膜を通過するジオキサンは、供給物及び濾液で分析された濃度が任意の所与の時点でほぼ同じであるため、100%に近かった。界面活性剤の通過は、濾液がいかなる発泡体も生成しないため最小限であり、界面活性剤が約50ppmを超える濃度である場合、発泡体は水中に存在すると予想される。初期組成物は、pH7~pH8のpHに調整され得る。
【0086】
上記の実施例に示されるように、濾過プロセスは、初期濾液及び初期保持液を生成する。濾過後、より高いAES濃度を有する保持液組成物を回収することができる。1,4-ジオキサン及び水を含有する初期濾液は、回収され得る、又は廃棄され得る。濾液は、溶媒(水)からジオキサンを除去する追加処理に供することができ、それを以下でさらに説明する。次いで、処理した濾液をリサイクルし、保持液に再導入して、希釈を通して保持液の粘度を低下させることができる。
【0087】
あるいは、濾過プロセスは、これらの条件下で回収された溶液中の最終アルキルエトキシ濃度が約16.5%である、さもなければ初期溶液と同様の組成であるが、1,4-ジオキサンが少なくとも約90%低減されるまで、新しいサイクルを繰り返すことができる。
【0088】
例えば、16.5重量%濃度の1,000Lのアルキルエトキシ硫酸ナトリウム、水、及び150ppmの1,4-ジオキサンの初期供給物は、1000Lの濾過された溶液が16.5重量%濃度のアルキルエトキシ硫酸ナトリウムと15ppm以下の1,4-ジオキサンとを有するまで、1回以上のサイクルで濾過され得る。
【0089】
組み合わせ:
A.活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む組成物から化学汚染物質を除去する方法であって、
初期供給源を提供することであって、初期供給源が、活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む、提供することと、
ナノフィルタを提供することと、
ナノフィルタを通して初期供給源を濾過して、初期保持液及び初期濾液を形成することと、を含み、
初期保持液が、初期供給源よりも活性物質に対する化学汚染物質の割合が低い、方法。
B.ナノフィルタが、400ダルトン未満の重量平均分子量を有する化学汚染物質を濾過し、活性物質が、400ダルトン超の重量平均分子量を有する、段落Aに記載の方法。
C.初期濾液が、溶媒及び化学汚染物質の少なくとも一部を含む、段落A~Bのいずれかに記載の方法。
D.方法が、追加のナノフィルタを通して初期保持液を処理することをさらに含む、段落A~Cのいずれかに記載の方法。
E.方法が、初期保持液を供給タンクにリサイクルし、ナノフィルタを通して初期保持液をさらに処理することをさらに含む、段落A~Dのいずれかに記載の方法。
F.ナノフィルタが、10~25Kg/cmの圧力下にある、段落A~Eのいずれかに記載の方法。
G.方法が、初期保持液に溶媒を添加することをさらに含む、項A~Fのいずれかに記載の方法。
H.方法が、プロセスが活性物質の18重量%~99重量%の濃縮保持液をもたらすまで、濾過し溶媒を添加するステップを繰り返すことをさらに含む、段落Gに記載の方法。
I.溶媒が、重量平均分子量が150ダルトン未満の1つ以上の成分を含む、段落A~Hのいずれかに記載の方法。
J.溶媒が、水、エタノール、プロパンジオール、グリセロール、グリセリンエトキシレート、又はそれらの組み合わせを含む、段落A~Iのいずれかに記載の方法。
K.汚染物質が、1,4ジオキサン、ジメチルジオキサン、及びそれらの組み合わせを含む、段落A~Jのいずれかに記載の方法。
L.活性物質が、エトキシル化界面活性剤、硫酸化エトキシル化界面活性剤、エトキシル化ポリマー、プロポキシル化界面活性剤、硫酸化プロポキシル化界面活性剤、プロポキシル化ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、段落A~Kのいずれかに記載の方法。
M.方法が、非エトキシル化界面活性剤を初期保持液に添加することをさらに含む、段落A~Lのいずれかに記載の方法。
N.ナノフィルタが、螺旋要素を含む、段落A~Mのいずれかに記載の方法。
O.螺旋要素が、重量平均分子量が約250ダルトン以下の汚染物質を濾過する、段落Nに記載の方法。
P.初期濾液をさらに処理して、ジオキサンを低減し、処理水を生成する、段落A~Oのいずれかに記載の方法。
Q.ジオキサンを除去するさらなる処理が、高度酸化処理、フェントン反応、光フェントン反応、活性炭吸着、触媒加工、アルコール脱水反応、オゾン処理、紫外線/TiO処理、焼却、又はそれらの組み合わせを含む、段落Pに記載の方法。
R.活性物質、溶媒、及び化学汚染物質を含む組成物から化学汚染物質を除去する方法であって、
初期供給源を提供することであって、初期供給源が、エトキシル化界面活性剤、硫酸化エトキシル化界面活性剤、エトキシル化ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む活性物質と、溶媒と、1,4ジオキサン、ジメチルジオキサン、又はそれらの組み合わせを含む汚染物質とを含む、提供することと、
ナノフィルタを提供することと、
ナノフィルタを通して初期供給源を濾過して、初期保持液及び濾液を形成することであって、
初期保持液が、初期供給源より活性物質に対する汚染物質の割合が低い、形成することと、
プロセスが活性物質の18重量%~99重量%の濃縮保持液をもたらすまで、濾過し溶媒を添加するステップを繰り返すことと、を含む、方法。
S.ナノフィルタが、螺旋要素を含む、段落Rに記載の方法。
T.初期供給源が、約11~約13のpHを有する、段落R~Sのいずれかに記載の方法。
U.界面活性剤組成物から1,4-ジオキサンの少なくとも一部を除去するためのナノフィルタの使用。
【0090】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0091】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、このようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0092】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。さらに、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0093】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1