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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】型締装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20240109BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B29C45/64
B22D17/26 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022542860
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2021029588
(87)【国際公開番号】W WO2022034891
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020136746
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】仙賀 正俊
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-040087(JP,A)
【文献】特開2014-195961(JP,A)
【文献】特開2019-025701(JP,A)
【文献】特開2014-166692(JP,A)
【文献】特開2006-326962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/64
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに固定される固定プラテンと、
前記固定プラテンと離間して前記ベースに配置されるリアプラテンと、
前記固定プラテンと前記リアプラテンとを連結する複数のタイバーと、
前記タイバーが貫通し、貫通する前記タイバーが延びる延伸方向に沿って移動可能に設けられる可動プラテンと、
を有する射出成形機の型締装置であって、
前記ベースに設けられ、前記可動プラテンを支持する支持部材と、
前記可動プラテンに設けられ、前記可動プラテンから前記延伸方向に直交する前記ベースの幅方向の外側に突出する突出部材と、
を備え、
前記支持部材は、
前記ベースから離れる側に向かって延びる支柱部と、
前記支柱部から前記固定プラテン側に前記延伸方向に沿って延び、前記可動プラテンと連結する連結部と、
を備え、
前記支柱部から延びる前記連結部は、前記突出部材に固定される、型締装置。
【請求項2】
請求項1に記載の型締装置であって、
前記延伸方向に沿って前記支持部材がスライド可能に、前記ベースに対して前記支持部材をガイドするガイド部材を備え、
前記支持部材は、前記ガイド部材を介して前記ベースに設けられる、型締装置。
【請求項3】
ベースと、
前記ベースに固定される固定プラテンと、
前記固定プラテンと離間して前記ベースに配置されるリアプラテンと、
前記固定プラテンと前記リアプラテンとを連結する複数のタイバーと、
前記タイバーが貫通し、貫通する前記タイバーが延びる延伸方向に沿って移動可能に設けられる可動プラテンと、
を有する射出成形機の型締装置であって、
前記ベースに設けられ、前記固定プラテンを支持する支持部材と、
前記固定プラテンに設けられ、前記固定プラテンから前記延伸方向に直交する前記ベースの幅方向の外側に突出する突出部材と、
を備え、
前記支持部材は、
前記ベースから離れる側に向かって延びる支柱部と、
前記支柱部から前記可動プラテン側に前記延伸方向に沿って延び、前記固定プラテンと連結する連結部と、
を備え、
前記支柱部から延びる前記連結部は、前記突出部材に固定される、型締装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の型締装置であって、
前記連結部は、ノズルが挿通する前記固定プラテンの貫通孔の中心を通り、かつ、前記延伸方向に沿って真っ直ぐ延びる仮想線に対して、前記ベース側と、前記ベース側とは逆側とに配置される、型締装置。
【請求項5】
請求項に記載の型締装置であって、
前記連結部は、前記仮想線を通り、かつ、前記固定プラテンが搭載される前記ベースの搭載面と平行な面に対して対称に配置される、型締装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の型締装置であって、
前記支持部材は、ノズルが挿通する前記固定プラテンの貫通孔の中心を通り、かつ、前記延伸方向に沿って真っ直ぐ延びる仮想線を通り、かつ、前記固定プラテンが搭載される前記ベースの搭載面に直交する面に対して対称に配置される、型締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機には、金型を開閉する型締装置と、金型に樹脂を射出する射出装置とが備えられる。特開2014-40087号公報には、互いに離間してベースに設けられた固定プラテンおよびリアプラテンと、固定プラテンとリアプラテンとを連結する複数のタイバーに沿って移動可能に設けられた可動プラテンとを有する型締装置が開示されている。特開2014-40087号公報の固定プラテンと可動プラテンとは平行に配置されている。
【発明の概要】
【0003】
ところで、金型の転写性を向上させる等といった要請に鑑み、金型温度を常温より高く設定する場合がある。この場合、金型で生じる熱がタイバーに伝わり、タイバーが熱膨張する。これにより、固定プラテンおよび可動プラテンの少なくとも一方が傾いて、固定プラテンと可動プラテンとの平行度が崩れることが懸念される。
【0004】
型締装置では、金型で生じる熱が固定プラテンおよび可動プラテンを通じてベースに逃げる等の要因により、ベース側に比べてベース側とは逆側が高温になり易い。このため、特開2014-40087号公報の場合、ベースにより近いタイバーの熱膨張度に比べて、ベースからより遠いタイバーの熱膨張度の方が大きくなる傾向にある。したがって、特開2014-40087号公報では、ベースから離れるほど固定プラテンと可動プラテンとの距離が大きくなるように、固定プラテンおよび可動プラテンの少なくとも一方が傾き易くなる。
【0005】
そこで、本発明は、プラテンの傾きを抑制し得る型締装置を提供する。
【0006】
本発明の第1の態様は、
ベースと、
前記ベースに固定される固定プラテンと、
前記固定プラテンと離間して前記ベースに配置されるリアプラテンと、
前記固定プラテンと前記リアプラテンとを連結する複数のタイバーと、
前記タイバーが貫通し、貫通する前記タイバーが延びる延伸方向に沿って移動可能に設けられる可動プラテンと、
を有する射出成形機の型締装置であって、
前記ベースに設けられ、前記可動プラテンを支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、
前記ベースから離れる側に向かって延びる支柱部と、
前記支柱部から前記固定プラテン側に前記延伸方向に沿って延び、前記可動プラテンと連結する連結部と、
を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、
ベースと、
前記ベースに固定される固定プラテンと、
前記固定プラテンと離間して前記ベースに配置されるリアプラテンと、
前記固定プラテンと前記リアプラテンとを連結する複数のタイバーと、
前記タイバーが貫通し、貫通する前記タイバーが延びる延伸方向に沿って移動可能に設けられる可動プラテンと、
を有する射出成形機の型締装置であって、
前記ベースに設けられ、前記固定プラテンを支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、
前記ベースから離れる側に向かって延びる支柱部と、
前記支柱部から前記可動プラテン側に前記延伸方向に沿って延び、前記固定プラテンと連結する連結部と、
を備える。
【0008】
本発明の態様によれば、プラテンの傾きを抑制することができる。
すなわち、第1の態様では、タイバーが熱膨張した場合には、可動プラテンに対してリアプラテン側に向かって力が作用するのに対し、連結部が熱膨張した場合には、可動プラテンに対して固定プラテン側に向かって力が作用する。一方、第2の態様では、タイバーが熱膨張した場合には、固定プラテンに対して可動プラテン側とは逆側に向かって力が作用するのに対し、連結部が熱膨張した場合には、固定プラテンに対して可動プラテン側に向かって力が作用する。
つまり、第1の態様および第2の態様のいずれであっても、タイバーの熱膨張に起因してプラテンに作用する力を、連結部の熱膨張に起因してプラテンに作用する力で打ち消すことができる。したがって、固定プラテンと可動プラテンとの平行度が崩れるように、固定プラテンまたは可動プラテンが傾くことが抑制される。
こうして、プラテンの傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の型締装置を示す概略図である。
図2図2は、図1の可動プラテンを含む周辺を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の型締装置に発生する力の様子を示す概念図である。
図4図4は、第2実施形態の型締装置を示す概略図である。
図5図5は、図4の固定プラテンを含む周辺を示す図である。
図6図6は、第2実施形態の型締装置に発生する力の様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の型締装置10を示す概略図である。図1では、互いに直交する第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3が示されている。
【0012】
型締装置10は、固定金型12Aと可動金型12Bとで構成される金型12を開閉する装置である。型締装置10は、ベース14、固定プラテン16、リアプラテン18、複数のタイバー20、可動プラテン22、および、支持部材24を有する。
【0013】
ベース14は、型締装置10を搭載するための台である。ベース14の長さ方向は、第1方向D1と一致する。ベース14の幅方向は、第2方向D2と一致する。ベース14の高さ方向は、第3方向D3と一致する。型締装置10が搭載されるベース14の搭載面14Fは、水平に配置されてもよいし、水平以外の方向に配置されてもよい。本実施形態では、ベース14の搭載面14Fは、水平に配置されている。なお、本実施形態では、搭載面14Fに対して直交する方向のうち、搭載面14Fから型締装置10に向けて離れていく方向は上方向とし、上方向とは逆に搭載面14Fからベース14に向けて離れていく方向は下方向とする。
【0014】
固定プラテン16は、ベース14に固定される。固定プラテン16は、ベース14の搭載面14Fから上方向に延びている。固定プラテン16には、貫通孔16Hが形成される。貫通孔16Hは、金型12に樹脂を射出する射出装置が有するノズルを挿入する孔である。貫通孔16Hは、第1方向D1に沿って固定プラテン16を貫通する。固定プラテン16の射出装置側とは逆側には固定金型12Aが取り付けられる。
【0015】
リアプラテン18は、固定プラテン16の射出装置側とは逆側に配置される。リアプラテン18は、固定プラテン16から離間する。リアプラテン18は、ベース14の搭載面14Fから上方向に延びている。なお、リアプラテン18は、ベース14に固定されていてもよいし、ベース14に対して移動可能に設けられてもよい。
【0016】
複数のタイバー20の各々は、固定プラテン16とリアプラテン18とを連結する棒状の部材である。各々のタイバー20の両端の一方は固定プラテン16に固定される。各々のタイバー20の両端の他方はリアプラテン18に固定される。複数のタイバー20の各々が延びる延伸方向は同じである。本実施形態では、タイバー20の数が4つである。4つのタイバー20の各々の延伸方向は第1方向D1とする。また、本実施形態では、4つのタイバー20のうちの2つは、貫通孔16Hより上側に配置される。この2つのタイバー20の搭載面14Fからの距離は同程度である。4つのタイバー20のうち残りの2つは、貫通孔16Hより下側に配置される。この残りの2つのタイバー20の搭載面14Fからの距離は同程度である。
【0017】
可動プラテン22は、固定プラテン16とリアプラテン18との間に配置される。可動プラテン22は、タイバー20の延伸方向に沿って移動可能に設けられる。可動プラテン22には、4つのタイバー20の各々が貫通する。4つのタイバー20の内側の領域であって、可動プラテン22の固定プラテン16側には、可動金型12Bが取り付けられる。
【0018】
支持部材24は、可動プラテン22を支持するものである。支持部材24は、ガイド部材26を介してベース14に設けられる。ガイド部材26は、ベース14に対して支持部材24をタイバー20の延伸方向に沿ってスライド可能にガイドするものである限り、特に限定されない。本実施形態では、ガイド部材26は、ベース14の搭載面14Fに搭載される。また、本実施形態では、ガイド部材26は、第1方向D1に沿って延びるガイドレール28と、ガイドレール28に嵌合するスライド部30とを有する。
【0019】
スライド部30には、ガイドレール28に対するスライド部30のスライドを妨げないように支持部材24が固定される。したがって、支持部材24に支持される可動プラテン22は、タイバー20の延伸方向に沿って、型締方向および型開方向に移動し得る。なお、型締方向は、固定プラテン16に取り付けられた固定金型12Aに対して可動金型12Bを閉じる方向である。型開方向は、固定金型12Aに対して可動金型12Bを開く方向である。
【0020】
図2は、図1の可動プラテン22を含む周辺を示す図である。支持部材24は、仮想線VLを通り、かつ、ベース14の搭載面14Fと直交する面F1(以下、仮想垂直面F1と称する)に対して対称にそれぞれ配置される。なお、仮想線VLは、固定プラテン16の貫通孔16Hの中心を通り、かつ、タイバー20の延伸方向に沿って真っ直ぐ延びる仮想の線である。支持部材24と同様に、ガイド部材26も仮想垂直面F1に対して対称にそれぞれ配置される。なお、図2では、ガイド部材26および可動金型12Bが省略されている。
【0021】
2つの支持部材24は同じ構造である。したがって、以下、一方の支持部材24についてのみ説明する。支持部材24は、脚部32、支柱部34および連結部36を有する。
【0022】
脚部32は、支持部材24のベース部分である。脚部32は、ガイド部材26のスライド部30(図1)に固定される。脚部32の形状および数は特に限定されない。本実施形態では、図2に示すように、1つの脚部32が、第1方向D1に沿って延びる棒状に形成されている。なお、脚部32は省かれてもよい。
【0023】
支柱部34は、ベース14から離れる側(上側)に向かって延びる部分である。支柱部34は、可動プラテン22の固定プラテン16を向く面よりもリアプラテン18に近く配置される(図1参照)。支柱部34は、脚部32に固定される。なお、脚部32が省かれる場合、支柱部34は、ガイド部材26のスライド部30に固定される。支柱部34は、脚部32(またはスライド部30)と一体に成形されていてもよいし、脚部32(またはスライド部30)に対してボルト等の締結具により脚部32(またはスライド部30)に連結されていてもよい。支柱部34の形状および数は特に限定されない。本実施形態では、図2に示すように、1つの支柱部34が、第3方向D3に沿って延びる棒状に形成され、かつ、脚部32と一体に成形される。
【0024】
連結部36は、支柱部34から固定プラテン16側にタイバー20の延伸方向に沿って延びる。連結部36は、可動プラテン22と連結する。連結部36は、可動プラテン22の固定プラテン16を向く面よりもリアプラテン18に近く配置される(図1参照)。連結部36は、支柱部34と一体に成形されていてもよいし、ボルト等の締結具により支柱部34に連結されていてもよい。支柱部34から延びる連結部36は、可動プラテン22に設けられた突出部材38に固定される。突出部材38に対する連結部36の固定には、例えば、第1方向D1に沿って配置されたボルト等の締結具が用いられる。
【0025】
突出部材38は、可動プラテン22からタイバー20の延伸方向(第1方向D1)に直交するベース14の幅方向(第2方向D2)の外側に突出する部材である。突出部材38は、可動プラテン22と一体に成形されていてもよいし、ボルト等の締結具により可動プラテン22に連結されていてもよい。
【0026】
連結部36の形状および数は特に限定されない。本実施形態では、1つの支持部材24における連結部36の数は2つである。2つの連結部36の各々は、棒状に形成される。2つの連結部36の各々は、タイバー20の延伸方向(第1方向D1)に沿って支柱部34から固定プラテン16に向かって延びる。2つの連結部36は、仮想線VLに対して、下側(ベース14側)と、上側(ベース14側とは逆側)とに配置される。図1および図2に示すように、2つの連結部36は、仮想線VLを通り、かつ、ベース14の搭載面14Fと平行な面F2(以下、仮想平行面F2と称する)に対して対称に配置される。
【0027】
図3は、第1実施形態の型締装置10に発生する力の様子を示す概念図である。型締装置10の固定プラテン16と可動プラテン22との間では、金型12で生じる熱に起因して、タイバー20は熱膨張する。下側(ベース14側)に配置されるタイバー20の熱膨張度に比べて、上側(ベース14側とは逆側)に配置されるタイバー20の熱膨張度が大きくなる傾向にある。したがって、可動プラテン22には、矢印A1で示すように、リアプラテン18に向かって可動プラテン22を倒すように力が作用する。
【0028】
一方、金型12で生じる熱に起因して、可動プラテン22を支持する支持部材24も熱膨張する。下側(ベース14側)に配置される連結部36の熱膨張度に比べて、上側(ベース14側とは逆側)に配置される連結部36の熱膨張度が大きくなる傾向にある。したがって、可動プラテン22には、矢印A2で示すように、固定プラテン16に向かって可動プラテン22を倒すように力が作用する。つまり、連結部36の熱膨張に起因して可動プラテン22が受ける力は、タイバー20の熱膨張に起因して可動プラテン22が受ける力を打ち消すように作用する。支持部材24における連結部36が支柱部34から固定プラテン16に向かってタイバー20の延伸方向に沿って延びて可動プラテン22と連結する限り、タイバー20および連結部36の数および位置にかかわらず、上記の力関係は成立する。
【0029】
以上のように本実施形態では、可動プラテン22を支持する支持部材24が、連結部36により可動プラテン22と連結される。連結部36は、可動プラテン22の固定プラテン16を向く面よりもリアプラテン18に近く配置される支柱部34からタイバー20の延伸方向に沿って延びている。これにより、タイバー20の熱膨張に起因して可動プラテン22に作用する力を、連結部36の熱膨張に起因して可動プラテン22に作用する力で打ち消すことができる。したがって、固定プラテン16と可動プラテン22との平行度が崩れるように、可動プラテン22が傾くことを抑制することができる。
【0030】
なお、本実施形態の支持部材24は、ガイド部材26を介してベース14に設けられている。これにより、可動プラテン22の可動負荷を抑えながら可動プラテン22を支持することができる。
【0031】
また、本実施形態の支持部材24は、仮想垂直面F1に対して対称にそれぞれ配置されている。これにより、可動プラテン22に対する2つの支持部材24の支持力のばらつきを抑制することができ、可動プラテン22を安定に支持することができる。
【0032】
また、本実施形態の支持部材24の連結部36は、可動プラテン22からベース14の幅方向(第2方向D2)の外側に突出する突出部材38に固定されている。これにより、可動プラテン22の可動領域外に支持部材24を配置することができる。
【0033】
また、支持部材24に支持される2つの連結部36は、仮想線VLに対して下側(ベース14側)と上側(ベース14側とは逆側)とに配置されている。これにより、連結部36が熱膨張した場合に、固定プラテン16に向かって可動プラテン22を倒すような力を可動プラテン22に生じさせることができる。
【0034】
また、連結部36は、仮想平行面F2に対して対称に配置されている。これにより、可動プラテン22に対する支持部材24の支持力のばらつきを抑制することができ、可動プラテン22を安定に支持することができる。
【0035】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の型締装置10を示す概略図である。図4では、第1実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0036】
第2実施形態の型締装置10では、支持部材24Xが新たに備えられる。支持部材24Xは、固定プラテン16を支持するものである。支持部材24Xは、ガイド部材26を介することなく、ベース14に対して直に設けられる。
【0037】
図5は、図4の固定プラテン16を含む周辺を示す図である。なお、図5では、固定金型12Aが省略されている。2つの支持部材24Xは、支持部材24と同様に、仮想垂直面F1に対して対称に配置される。2つの支持部材24Xの構造は互いに同じである。したがって、以下、一方の支持部材24Xについてのみ説明する。支持部材24Xは、脚部32X、支柱部34Xおよび連結部36Xを有する。
【0038】
脚部32Xは、支持部材24Xのベース部分である。脚部32Xは、ベース14に固定される。脚部32Xの形状および数は特に限定されない。本実施形態では、図5に示すように、脚部32Xは1つである。1つの脚部32Xは、棒状に形成される。また、1つの脚部32Xは、第1方向D1に沿って延びている。なお、脚部32Xは省かれてもよい。
【0039】
支柱部34Xは、ベース14から離れる側(上側)に向かって延びる部分である。支柱部34Xは、固定プラテン16の可動プラテン22に向く面よりも射出装置に近く(可動プラテン22側とは逆側)配置される(図4参照)。支柱部34Xは、脚部32Xに固定される。なお、脚部32Xが省かれる場合、支柱部34Xは、ベース14に固定される。支柱部34Xは、脚部32X(またはベース14)と一体に成形されていてもよいし、ボルト等の締結具により脚部32X(またはベース14)に連結されていてもよい。支柱部34Xの形状および数は特に限定されない。本実施形態では、図5に示すように、支柱部34Xは1つである。1つの支柱部34Xは、棒状に形成される。また、1つの支柱部34Xは、第3方向D3に沿って延びている。1つの支柱部34Xは、脚部32Xと一体に成形されてもよい。
【0040】
連結部36Xは、支柱部34Xから可動プラテン22側にタイバー20の延伸方向に沿って延びる。連結部36Xは、固定プラテン16と連結する。連結部36Xは、固定プラテン16の可動プラテン22に向く面よりも射出装置に近く(可動プラテン22側とは逆側)配置される(図4参照)。連結部36Xは、支柱部34Xと一体に成形されていてもよいし、ボルト等の締結具により支柱部34Xに連結されていてもよい。支柱部34Xから延びる連結部36Xは、固定プラテン16に設けられた突出部材38Xに固定される。突出部材38Xに対する連結部36Xの固定には、例えば、第1方向D1に沿って配置されたボルト等の締結具が用いられる。
【0041】
突出部材38Xは、固定プラテン16からタイバー20の延伸方向(第1方向D1)に直交するベース14の幅方向(第2方向D2)の外側に突出する部材である。突出部材38Xは、固定プラテン16と一体に成形されていてもよいし、ボルト等の締結具により固定プラテン16に連結されていてもよい。
【0042】
連結部36Xの形状および数は特に限定されない。本実施形態では、連結部36Xの数は2つである。2つの連結部36Xの各々は、棒状に形成される。2つの連結部36Xの各々は、タイバー20の延伸方向(第1方向D1)に沿って支柱部34Xから可動プラテン22に向かって延びている。2つの連結部36Xは、仮想線VLに対して下側(ベース14側)と上側(ベース14側とは逆側)とに配置される。図4および図5に示すように、2つの連結部36Xは、仮想平行面F2に対して対称に配置される。
【0043】
図6は、第2実施形態の型締装置10に発生する力の様子を示す概念図である。型締装置10の固定プラテン16と可動プラテン22との間では、金型12で生じる熱に起因して、タイバー20が熱膨張する。下側(ベース14側)に配置されるタイバー20に比べて、上側(ベース14側とは逆側)に配置されるタイバー20の熱膨張度が大きくなる傾向にある。したがって、固定プラテン16には、矢印A10で示すように、射出装置(可動プラテン22側とは逆側)に向かって固定プラテン16を倒すように力が作用する。
【0044】
一方、金型12で生じる熱に起因して、固定プラテン16を支持する支持部材24Xでも熱膨張する。下側(ベース14側)に配置される連結部36Xに比べて、上側(ベース14側とは逆側)に配置される連結部36Xの熱膨張度が大きくなる傾向にある。したがって、固定プラテン16には、矢印A20で示すように、可動プラテン22に向かって固定プラテン16を倒すように力が作用する。つまり、連結部36Xの熱膨張に起因して固定プラテン16が受ける力は、タイバー20の熱膨張に起因して固定プラテン16が受ける力を打ち消すように作用する。支持部材24Xにおける連結部36Xが支柱部34Xから可動プラテン22側にタイバー20の延伸方向に沿って延びて固定プラテン16と連結する限り、タイバー20および連結部36Xの数および位置にかかわらず、上記の力関係は成立する。
【0045】
以上のように本実施形態では、固定プラテン16を支持する支持部材24Xが、連結部36Xにより固定プラテン16と連結される。連結部36Xは、固定プラテン16の可動プラテン22に向く面よりも射出装置に近く配置される支柱部34Xからタイバー20の延伸方向に沿って延びている。これにより、タイバー20の熱膨張に起因して固定プラテン16に作用する力を、連結部36Xの熱膨張に起因して固定プラテン16に作用する力で打ち消すことができる。したがって、固定プラテン16と可動プラテン22との平行度が崩れるように、固定プラテン16が傾くことを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1実施形態の支持部材24が設けられているため、固定プラテン16および可動プラテン22の双方の傾きを抑制することができる。したがって、固定プラテン16と可動プラテン22との平行度が崩れることをより一段と抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態の支持部材24Xは、仮想垂直面F1に対して対称に配置されている。これにより、固定プラテン16に対する支持部材24Xの支持力のばらつきを抑制することができ、固定プラテン16を安定に支持することができる。
【0048】
また、本実施形態の支持部材24Xの連結部36Xは、固定プラテン16からベース14の幅方向(第2方向D2)の外側に突出する突出部材38Xに固定されている。これにより、固定プラテン16において可動プラテン22に向く側とは逆側の領域外に支持部材24Xを配置することができる。
【0049】
また、連結部36Xは、仮想線VLに対して下側(ベース14側)と上側(ベース14側とは逆側)とに配置されている。これにより、連結部36Xが熱膨張した場合に、可動プラテン22側に向かって固定プラテン16を倒すような力を固定プラテン16に生じさせることができる。
【0050】
また、連結部36Xは、仮想平行面F2に対して対称に配置されている。これにより、固定プラテン16に対する支持部材24Xの支持力のばらつきを抑制することができ、固定プラテン16を安定に支持することができる。
【0051】
[変形例]
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0052】
例えば、第2実施形態の型締装置10では、支持部材24の連結部36および突出部材38が省かれてもよい。また、第2実施形態の型締装置10では、支持部材24の支柱部34が、可動プラテン22におけるベース14の幅方向(第2方向D2)側の面に固定されてもよい。可動プラテン22に対する支柱部34の固定には、例えば、第2方向D2に沿って配置されたボルト等の締結具が用いられる。このようにしても、固定プラテン16と可動プラテン22との平行度が崩れることを抑制することができる。
【0053】
以上をまとめると以下のようになる。
【0054】
本発明は、ベース(14)と、ベース(14)に固定される固定プラテン(16)と、固定プラテン(16)と離間してベース(14)に配置されるリアプラテン(18)と、固定プラテン(16)とリアプラテン(18)とを連結する複数のタイバー(20)と、タイバー(20)が貫通し、貫通するタイバー(20)が延びる延伸方向に沿って移動可能に設けられる可動プラテン(22)と、を有する射出成形機の型締装置(10)である。
【0055】
第1の態様の型締装置(10)は、ベース(14)に設けられ、可動プラテン(22)を支持する支持部材(24)を備える。この支持部材(24)は、ベース(14)から離れる側に向かって延びる支柱部(34)と、支柱部(34)から固定プラテン(16)側に延伸方向に沿って延び、可動プラテン(22)と連結する連結部(36)と、を備える。これにより、タイバー(20)の熱膨張に起因して可動プラテン(22)に作用する力を、連結部(36)の熱膨張に起因して可動プラテン(22)に作用する力で打ち消すことができる。したがって、固定プラテン(16)と可動プラテン(22)との平行度が崩れるように、可動プラテン(22)が傾くことが抑制される。こうして、プラテンの傾きを抑制することができる。
【0056】
第1の態様の型締装置(10)は、延伸方向に沿って支持部材(24)がスライド可能に、ベース(14)に対して支持部材(24)をガイドするガイド部材(26)を備え、支持部材(24)は、ガイド部材(26)を介してベース(14)に設けられてもよい。これにより、可動プラテン(22)の可動負荷を抑えながら可動プラテン(22)を支持することができる。
【0057】
第1の態様の型締装置(10)は、可動プラテン(22)に設けられ、可動プラテン(22)から延伸方向に直交するベース(14)の幅方向の外側に突出する突出部材(38)を備え、支柱部(34)から延びる連結部(36)は、突出部材(38)に固定されてもよい。これにより、可動プラテン(22)の可動領域外に支持部材(24)を配置することができる。
【0058】
第2の態様の型締装置(10)は、ベース(14)に設けられ、固定プラテン(16)を支持する支持部材(24X)を備え、支持部材(24X)は、ベース(14)から離れる側に向かって延びる支柱部(34X)と、支柱部(34X)から可動プラテン(22)側に延伸方向に沿って延び、固定プラテン(16)と連結する連結部(36X)と、を備える。これにより、タイバー(20)の熱膨張に起因して固定プラテン(16)に作用する力を、連結部(36X)の熱膨張に起因して固定プラテン(16)に作用する力で打ち消すことができる。したがって、固定プラテン(16)と可動プラテン(22)との平行度が崩れるように、固定プラテン(16)が傾くことが抑制される。こうして、プラテンの傾きを抑制することができる。
【0059】
第2の態様の型締装置(10)は、固定プラテン(16)に設けられ、固定プラテン(16)から延伸方向に直交するベース(14)の幅方向の外側に突出する突出部材(38X)を備え、支柱部(34X)から延びる連結部(36X)は、突出部材(38X)に固定されてもよい。これにより、固定プラテン(16)において可動プラテン(22)に対向する側とは逆側の領域外に支持部材(24X)を配置することができる。
【0060】
第1の態様または第2の態様の型締装置(10)において、連結部(36、36X)は、ノズルが挿通する固定プラテン(16)の貫通孔(16H)の中心を通り、かつ、延伸方向に沿って真っ直ぐ延びる仮想線(VL)に対して、ベース(14)側と、ベース(14)側とは逆側とに配置されてもよい。これにより、第1の態様では、連結部(36)が熱膨張した場合に、可動プラテン(22)に対して、固定プラテン(16)側に向かって可動プラテン(22)を倒すような力を作用させることができる。第2の態様では、連結部(36X)が熱膨張した場合に、固定プラテン(16)に対して、可動プラテン(22)側に向かって固定プラテン(16)を倒すような力を作用させることができる。
【0061】
第1の態様または第2の態様の型締装置(10)において、連結部(36、36X)は、仮想線(VL)を通り、かつ、固定プラテン(16)が搭載されるベース(14)の搭載面(14F)と平行な面(F2)に対して対称に配置されてもよい。これにより、プラテンに対する支持部材(24、24X)の支持力のばらつきを抑制することができ、プラテンを安定に支持することができる。
【0062】
第1の態様または第2の態様の型締装置(10)において、支持部材(24、24X)は、ノズルが挿通する固定プラテン(16)の貫通孔(16H)の中心を通り、かつ、延伸方向に沿って真っ直ぐ延びる仮想線(VL)を通り、かつ、固定プラテン(16)が搭載されるベース(14)の搭載面(14F)に直交する面(F1)に対して対称に配置されてもよい。これにより、プラテンに対する支持部材(24、24X)の支持力のばらつきを抑制することができ、プラテンを安定に支持することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6