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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】三連樹脂反応器ペプチド合成機
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/04 20060101AFI20240109BHJP
   C07K 1/06 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C07K1/04
C07K1/06
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2022547725
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021015856
(87)【国際公開番号】W WO2021158444
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】62/970,247
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マーティン ディ
(72)【発明者】
【氏名】コパック,マイケル イー
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター,ルーク ピー
(72)【発明者】
【氏名】ベルグルンド,マーク アール
(72)【発明者】
【氏名】グロスクロイツ,ステファン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンヤオ
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-507576(JP,A)
【文献】特開平08-239350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/04
C07K 1/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするための方法であって、前記方法が、
脱保護工程:
第1の反応器および第2の反応器を得る工程であって、前記第1の反応器および前記第2の反応器が直列に配置され、それぞれペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含有する、工程
第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程
前記除去された第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程
前記第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程
前記第1の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程
前記第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程、と
洗浄工程1:
前記脱保護工程の後に、前記第1および第2の反応器の両方で前記ペプチド合成樹脂を溶媒で洗浄する工程、と
カップリング工程:
前記洗浄工程1の後に、第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程
前記除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に、第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程、と
洗浄工程2:
前記カップリング工程の後に、前記第1および第2の反応器の両方で前記ペプチド合成樹脂を溶媒で洗浄する工程、と
を含む方法。
【請求項2】
前記第1および第2の量のアミノ酸「X」活性化エステル中に見出される前記アミノ酸「X」自体が、保護されたN-基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱保護工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬を、前記第2の反応器と直列の第3の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器は、ペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含む、工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の量の脱保護試薬を前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第の量の脱保護試薬が前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄工程1が、
前記第3の反応器の前記ペプチド合成樹脂を溶媒で洗浄する工程
をさらに含み、
前記カップリング工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程と
前記第2の反応器から除去された第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記脱保護工程が、
第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程であって、この第3の量の脱保護試薬は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、前記第1の反応器に添加される、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カップリング工程が、
第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング工程が、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを再び前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脱保護工程が、
前記第1の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬を再び前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第3の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2の反応器を溶媒で前記洗浄する工程が、溶媒を前記反応器に添加することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記洗浄工程2の後、方法が、
さらなる脱保護工程:
第1の追加量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の追加量の脱保護試薬を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程
第2の追加量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第1の追加量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程
前記第1の追加量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程
前記第2の追加量の脱保護試薬を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第1の追加量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程
前記第2の追加量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記さらなる脱保護工程の後、方法が、
さらなるカップリング工程:
第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程
第2の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程
前記第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程
前記第2の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程
前記第2の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記さらなる脱保護工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の追加量の脱保護試薬を、前記第2の反応器と直列の第3の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器は、アミノ酸「X」活性化エステルのある量の保護されたN-基を含む、工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の追加量の脱保護試薬を前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第追加量の脱保護試薬が前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記さらなるカップリング工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程と
前記第2の反応器から除去された第2の量のアミノ酸「Z」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第の量のアミノ酸「Z」活性化エステルが前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2の反応器内の前記ペプチド合成樹脂が、SieberまたはRink樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の反応器内の前記ペプチド合成樹脂が、Wang樹脂またはCTC樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
添加されるアミノ酸Xの量が、1.1~1.6当量である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
直列に配置された第1の反応器および第2の反応器内に見られるペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするための方法であって、前記方法が、
脱保護工程:
第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程
前記除去された第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程
前記第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程
前記第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程
前記第1の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程
前記第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程、と
カップリング工程:
前記脱保護工程の後に、第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程と、
前記除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に、第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程と、
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程、
を含む方法。
【請求項18】
前記第1および第2の量のアミノ酸「X」活性化エステル中に見出される前記アミノ酸「X」自体が、保護されたN-基を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記脱保護工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬を、前記第2の反応器と直列の第3の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器は、ペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含む、工程と、
前記第1の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の量の脱保護試薬を前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第の量の脱保護試薬が前記第の反応器から除去された後に行われる、工程と、
第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程であって、この第3の量の脱保護試薬は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、前記第1の反応器に添加される、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と
をさらに含み、
前記カップリング工程が、
前記第2の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程と
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記カップリング工程が、
第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを再び前記第1の反応器に添加する工程であって、この前記第3の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルの添加は、前記第の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ペプチド合成樹脂に結合した脱保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするための方法であって、
第1の反応器および第2の反応器を得る工程であって、前記第1の反応器および前記第2の反応器が直列に配置され、それぞれペプチド合成樹脂に結合したある量の脱保護されたN-基を含有する、工程と、
第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程と、
前記除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1の反応器から除去された後に、第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程と、
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第1の反応器から除去する工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第2の反応器から除去する工程
を含む方法。
【請求項22】
前記第1および第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第1および第2の反応器から除去された後に、前記第1の反応器および第2の反応器を溶媒で洗浄する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを、前記第2の反応器と直列の第3の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器は、ペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含む、工程と、
前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルを前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の量のアミノ酸「X」を前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第1の量のアミノ酸「X」活性化エステルが前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
第3の量のアミノ酸「X」を前記第1の反応器に添加する工程であって、この第3の量のアミノ酸「X」は、前記第2の量のアミノ酸「X」が前記第1の反応器から除去された後に、前記第1の反応器に添加される、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」が前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の量のアミノ酸「X」を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」を前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量のアミノ酸「X」が前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量のアミノ酸「X」を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」を再び前記第1の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器から除去された第1の量のアミノ酸「X」は、前記第の量のアミノ酸「X」が前記第の反応器から除去された後に、再び前記第1の反応器に添加される、工程
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基を脱保護するための方法であって、
第1の反応器および第2の反応器を得る工程であって、前記第1の反応器および前記第2の反応器が直列に配置され、それぞれペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含有する、工程と、
第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程と、
前記除去された第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第1の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程と、
前記第1の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程と、
前記第2の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から除去する工程と、
前記第1の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に、前記除去された第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器に添加する工程と、
前記第2の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から除去する工程
を含む方法。
【請求項27】
前記第1および第2の量の脱保護試薬が前記第1および第2の反応器から除去された後に、前記第1の反応器および第2の反応器を溶媒で洗浄する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬を、前記第2の反応器と直列の第3の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器は、ペプチド合成樹脂に結合したある量の保護されたN-基を含む、工程と、
前記第1の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第2の反応器から除去された第2の量の脱保護試薬を前記第3の反応器に添加する工程であって、この添加は、前記第の量の脱保護試薬が前記第の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器に添加する工程であって、この第3の量の脱保護試薬は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第1の反応器から除去された後に、前記第1の反応器に添加される、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第1の反応器から前記第2の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第2の反応器から除去された後に行われる、工程
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第2の反応器から前記第3の反応器に移送する工程であって、この移送は、前記第2の量の脱保護試薬が前記第3の反応器から除去された後に行われる、工程と、
前記第3の量の脱保護試薬を前記第3の反応器から除去する工程と、
前記第3の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬を再び前記第1の反応器に添加する工程であって、前記第3の反応器から除去された第1の量の脱保護試薬は、前記第の量の脱保護試薬が前記第の反応器から除去された後に、再び前記第1の反応器に添加される、工程
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
複数の洗浄サイクルが、各特定のアミノ酸の添加の間に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項32】
各洗浄サイクルからの洗浄溶媒が、リサイクル容器に収集され、前記リサイクルされる洗浄溶媒が、次の洗浄サイクルに用いられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記リサイクルされる洗浄溶媒が、後の洗浄サイクルの最初の半分に用いられる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
リサイクルされる洗浄溶媒の使用が、必要な溶媒の半分を削減する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
リサイクルされる洗浄溶媒の使用が、必要な溶媒を約79%まで減少させる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒が、環境に優しい溶媒またはグリーン溶媒である、請求項9に記載の方法。
【請求項37】
前記環境に優しい溶媒またはグリーン溶媒が、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、または-ブチルピロリジノン、あるいはこれらの混合物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記溶媒が、N-ブチルピロリジノンおよびテトラヒドロフランの混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒が、N-ブチルピロリジノンおよび2-メチルテトラヒドロフランの混合物である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペプチドを合成的に製造するための新たなシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、固相ペプチド合成の一部としてペプチドを一緒にカップリングするための機構として直列の樹脂反応器を使用するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
固相ペプチド合成(「SPPS」)は、ポリペプチドおよびアミノ酸配列を合成するために最も一般的に使用される方法およびシステムである。SPPSは、活性化アミノ酸(通常は配列の末端または最後のアミノ酸)を固体支持体にカップリングすることを含む。この固体支持体は、通常、(NH基などで)官能化されたポリマー樹脂ビーズである。末端アミノ酸(一般に、F-moc、BOCまたは他の保護基によって保護されたNH末端を有する)を樹脂と反応させて、樹脂上の官能化基が末端アミノ酸の活性化COOH基と反応して結合するようにする。このようにして、末端アミノ酸は樹脂に共有結合する。
【0003】
次いで、次のステップにおいて、末端アミノ酸のNH末端を脱保護し、それによって次の反応のためにそのNH基を露出させる。したがって、新しいアミノ酸が導入される。この新しいアミノ酸は、保護基(Fmoc、BOC、または別の保護基など)を介して保護されたNH末端を有する。したがって、この新しいアミノ酸が加えられると、新しいアミノ酸からの活性化エステルが末端アミノ酸の新たに脱保護されたNH基と反応し、それによってこれら2つのアミノ酸が一緒にカップリングされる。この新しいアミノ酸がカップリングされると、同様に保護されたNH基を有し、これは続いて脱保護され、次のアミノ酸と反応する。この繰り返される反復プロセスを何度も行うことにより、全アミノ酸配列を構築することができる。配列全体が構築されたら、配列を樹脂から分離(切断)して脱保護し、それによってアミノ酸構造を生成することができる。(このプロセスを介して加えられる様々なアミノ酸(R、Rなど)の側鎖は、BOC、t-ブチル、またはトリチルなどの基を介して直交的に保護されて、そのような側鎖がアミノ酸合成プロセス中に反応しないようにすることができる。また、1つ以上のアミノ酸が、その構造の一部として「側鎖」または他の基を有する場合があり、これも保護する必要がある場合がある。しかしながら、当業者は、そのような側鎖または他の基が合成プロセス中にどのように構築され、保護され、その後脱保護されるかを理解するであろう。
【0004】
このSPPSプロセスは商業的に使用されており、ペプチド合成の標準となっているが、費用および時間を要するという欠点がある。加えられる各アミノ酸は脱保護およびカップリングする必要があるが、これは困難であり、通常は大量の溶媒が使用される。さらに悪いことに、これらの溶媒の多くは環境に優しくない。
【0005】
したがって、特にペプチドの商業的製造において、これらの欠点の1つ以上に対処するSPPSの新たな使用方法を見つけることが改善となるであろう。そのようなシステムがより環境に優しく、製造コストを削減できれば、さらなる進歩となるであろう。実際に、本実施形態は、廃棄物の量、ならびに使用される溶媒および試薬の量を特に削減する。そのような方法およびシステムが本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0006】
SPPS樹脂に結合したアミノ酸の保護されたN-基(NH末端など)にアミノ酸「X」活性化エステルをカップリングするための方法およびシステム。一般に、システムは、直列に配置された反応器の集合を備える。いくつかの実施形態では、2つ以上の反応器が直列に配置される。好ましい実施形態では、3つ以上の反応器が直列に配置される。
【0007】
各反応器は、ペプチド合成樹脂に固定されたある量の保護されたN-基を含む。この保護されたN-基は、アミノ酸のNH基であってもよく、または、これらに限定されないが、SieberアミドもしくはRinkアミド樹脂などの樹脂自体に見出されるか、もしくは樹脂自体に共有結合したNH基であってもよい。Wang樹脂またはCTC(塩化クロロトリチル)樹脂などの他のタイプの樹脂が使用されてもよい。
【0008】
方法の第1のステップは、第1の量の脱保護試薬を第1の反応器に添加し、この試薬を保護されたN-基と接触させることを含む。次いで、この第1の量の脱保護試薬は、第1の反応器から第2の反応器に移送され、第2の量の脱保護試薬が第1の反応器に移送される。第1の量の脱保護試薬は第2の反応器から除去され、第2の量の脱保護試薬が第1の反応器から第2の反応器に移送される。次いで、この第2の量の脱保護試薬は第2の反応器から除去される。
【0009】
第1および第2の反応器の両方を第1および第2の量の脱保護試薬と接触させる目的は、この脱保護試薬が保護されたN-基と反応し、別々にまたは集合的に、第1および第2の反応器の両方でペプチド合成樹脂に固定された保護されたN-基を脱保護するように作用させることである。したがって、第1および第2の量の脱保護試薬を添加することにより、第1および第2の反応器の両方のN-基は保護されず、別のアミノ酸に結合することができる。第1の量の洗浄液が第1の反応器に添加され、次いで第2の反応器に移送され、次いで廃棄される。洗浄サイクルは数回繰り返される。溶媒による洗浄は、グリーン溶媒、または通常SPPSで使用されるより環境に優しい溶媒により使用され得る。そのようなグリーン洗浄溶媒には、アセトニトリル(ACN)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、2-MetHF(2-メチルテトラヒドロフラン)、およびCPME(シクロペンチルメチルエーテル)、またはNBP/THF 2/1 v/vなどの溶媒混合物が含まれ、これらは本明細書に例示されている。化学反応は、同じくグリーン溶媒であるACN、ACN/DMSO、またはn-ブチルピロリジノンでも生じ得る。
【0010】
したがって、第1の量のアミノ酸「X」および第1の量の溶媒が第1の反応器に添加され、次いで一定時間後、第1の反応器から第2の反応器に移送される。反応器に添加されるそのような量のアミノ酸「X」は、実際にはアミノ酸Xの「活性化エステル」であり、それによってカップリング反応が促進されることに留意されたい。しかしながら、簡略表記のために、本明細書では単に「ある量のアミノ酸X」を反応器に添加することと呼ぶことがあるが、当業者はそれが活性化エステルであることを理解するであろう。代替的に、非活性化アミノ酸が反応器に添加され、次いで活性化溶液が添加されて反応し、アミノ酸を活性化エステルに変換することができる。これもまた、本明細書で使用されるアミノ酸活性化エステルを樹脂に添加するという意味に含まれる。
【0011】
第2の量のアミノ酸「X」および第2の量の溶媒が、第1の反応器に添加される。第1および第2の量のアミノ酸「X」活性化エステルは、別々にまたは集合的に、第1の反応器内の脱保護されたN基にアミノ酸「X」をカップリングする。(アミノ酸「X」活性化エステルは、鎖への付加が望まれる官能化、誘導体化、または合成アミノ酸を含む任意のアミノ酸であり得る。)(本明細書で使用されるように、アミノ酸「X」がカップリングされると言及されることもあるが、当業者は、これが反応を容易にするために最も頻繁に使用される活性化エステルであることを理解するであろう。)
【0012】
第1の量のアミノ酸「X」および第1の量の溶媒が第2の反応器から除去され、第2の量のアミノ酸「X」および第2の量の溶媒が第1の反応器から第2の反応器に移送される。次いで、第2の量のアミノ酸「X」および第2の量の溶媒は第2の反応器から除去される。第1および第2の量のアミノ酸「X」は、別々にまたは集合的に、アミノ酸「X」を第2の反応器内の脱保護されたN-基にカップリングする。第1の量の溶媒洗浄液は第1の反応器に添加され、次いで第2の反応器に移送され、次いで廃棄される。溶媒洗浄サイクルは数回繰り返される。第2の量の溶媒洗浄液は、例えば、第2の反応器内の第1の量の溶媒洗浄液と同時に、第1の反応器内にあってもよい。したがって、これらのステップを実行した後、アミノ酸「X」は脱保護されたN-基に結合し、それによってアミノ酸「X」が鎖に付加される。当然ながら、他のSPPSシステムと同様に、アミノ酸「X」は保護されたNH基を含むため、上記のプロセスを繰り返すことができる(例えば、上で概説した様式で、NH基を脱保護し、新しいアミノ酸をそれにカップリングする)。したがって、このプロセスを繰り返すことにより、所望のアミノ酸配列および/またはペプチドを構築することができる。合成が完了したら、構築されたアミノ酸は、第1の反応器および第2の反応器の両方で樹脂に放出(分離)される。
【0013】
上記の方法は、それぞれが樹脂を供給する直列の2つの反応器を使用するが、ある量の樹脂も含有する第3の反応器を最初の2つの反応器と直列に配置する他の実施形態を設計することができる。この実施形態では、脱保護ステップもまた第3の反応器で行われなければならない。したがって、第1の量の脱保護試薬が第2の反応器から除去されると、それは第3の反応器に添加される。この第1の量の脱保護試薬は第3の反応器から除去され、第2の反応器から除去された第2の量の脱保護試薬が第3の反応器に添加される。同様に、第3の量の脱保護試薬が第1の反応器に添加され、第2の反応器に移動され、次いで第3の反応器に移動される。第1、第2、および第3の量の脱保護試薬の目的は、別々にまたは集合的に、第3の反応器でペプチド合成樹脂に固定された保護されたN-基を脱保護することである。同様に、第3の反応器への第1の量のアミノ酸「X」および第1の量の溶媒は、第2の反応器から除去された後、第3の反応器に添加される。同様に、第3の反応器への第2の量のアミノ酸「X」および第2の量の溶媒は、第2の反応器から除去された後、第3の反応器に添加される。第3の量のアミノ酸「X」および第3の量の溶媒は、第1、第2および第3の反応器を通して順次循環される。第1、第2および第3の量のアミノ酸「X」は、別々にまたは集合的に、アミノ酸「X」を第3の反応器内で脱保護されたN-基にカップリングする。次いで、上述のように洗浄ステップが行われる。したがって、このように、アミノ酸配列は、3つすべての反応器で反復的に構築され(各アミノ酸についてこれらまたは同様のステップを繰り返すことによって)、次いで3つの反応器のそれぞれで樹脂から放出され得る。
【0014】
したがって、本実施形態は、直列に配置された様々な反応器を提供し、試薬が第1の反応器に添加され、次いでその後第2の反応器、次いで第3の反応器などに連続的に移動される。そのような反応器を直列に配置することによって、各反応器は、ペプチド配列を構築するために使用されるSPPSで使用されるある量の樹脂を含み得る。しかし、このように反応器を配置することによって、より少ない量の溶媒(洗浄剤)が必要になる。同様に、より少ない量のカップリング試薬が必要とされ得、その結果、無駄が少なくなり、より効率的で環境に優しいプロセスとなる。
【0015】
本開示の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、当業者にさらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書で使用されるペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするためのシステムおよび方法の概略図である。
図2】本明細書で使用されるペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするためのシステムおよび方法の概略図である。
図3】本明細書で使用されるペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするためのシステムおよび方法の概略図である。
図4図3のシステムとともに使用されるオンラインLCMSのためのシステムおよび方法の概略図である。
図5】本実施形態で使用される直列の3つの反応器の斜視図である。
図6】本実施形態を用いて作製され得るペプチドを示す。
図7】本実施形態を用いて作製され得るペプチドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
【0018】
ここで図1を参照すると、ペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするためのシステム100の概略図が示されている。システム100は、本明細書で概説したプロセスを実行し、ペプチドおよび/またはアミノ酸配列を生成するように設計された改変SPPSシステムである。システム100は、第1の反応器106および第2の反応器108として示される少なくとも2つの反応器を備える。これらの反応器106、108は、直列に配置される。3つ以上の反応器が使用されてもよい。実際に、図1に示されるシステム100では、第3の反応器112も直列に配置される。4つ以上の反応器が使用されてもよい。
【0019】
反応器の各々は、ある量の樹脂116を含む。樹脂は、保護されたN-基120(保護されたNH基など)を含む。いくつかの実施形態では、保護されたN-基に使用されるこの保護基は、Fmoc基である。SPPSの当業者は、SeiberおよびRinkアミド樹脂を含む、樹脂116として使用することができる樹脂のタイプを理解するであろう。SPPSプロセスの一部として、保護されたN-基は、アミノ酸と反応する(したがって、ペプチド/アミノ酸配列を構築するために機能する)ことができるように「脱保護」されなければならない。したがって、脱保護プロセスが行われる。この脱保護は、第1の量の脱保護試薬126を添加することによって行われる。(この第1の量の脱保護試薬126は、図で矢印によって表されている)。いくつかの実施形態では、脱保護試薬はピペリジンであり得るが、他の材料/試薬も使用され得る。
【0020】
第1の量の脱保護試薬126は撹拌され、第1の反応器106内で樹脂116上の保護されたN-基120と一定期間反応され得る。(当業者は、ここで必要とされる正確な時間の割り当てを決定する方法を理解するであろう)。次いで、第1の量の脱保護試薬126が第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に移送される(矢印128によって示されるように)。この第1の量の脱保護試薬126は撹拌され、第2の反応器108内で樹脂116上の保護されたN-基120と一定期間反応され得る。同時に、第2の量の脱保護試薬130が第1の反応器106に添加され、同様に反応される。
【0021】
これらの反応が完了すると(換言すれば、割り当てられた時間が経過すると)、第1の量の脱保護試薬126は第2の反応器108から除去され、第3の反応器112に移送される(矢印136によって示されるように)。同様に、第2の量の脱保護試薬130は第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に移送される(矢印140によって示されるように)。次いで、第3の量の脱保護試薬134が第1の反応器106に添加される。このとき、第1の反応器106、第2の反応器108および第3の反応器112での反応は継続される。
【0022】
第1の反応器106、第2の反応器108および第3の反応器112におけるこれらの反応が終了した後(または、換言すれば、割り当てられた時間が経過した後)、第1の量の脱保護試薬126が第3の反応器112から除去される。第2の量の脱保護試薬130は第2の反応器108から除去され、第3の反応器112に移送される(矢印144によって示されるように)。第3の量の脱保護試薬134は第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に添加され得る(矢印146によって示されるように)。
【0023】
いくつかの実施形態では、第3の反応器112から除去されたこの第1の量の脱保護試薬126は、追加の反応器に送られ得る(実施形態が追加の反応器を含む場合)。他の実施形態では、この第1の量の脱保護試薬126が収集され、廃棄される。これはまた、第2および第3の量の脱保護試薬130、134に対して、それらが第3の反応器112を循環した後に行われる。図1に示される実施形態を含む他の実施形態では、この第1の量の脱保護試薬126(ならびにその後の第2および第3の脱保護試薬130、134)は、所望により脱保護の追加の反復が実行され得るように第1の反応器106に戻され得る(矢印148によって示されるように)。(脱保護試薬が第1の反応器に戻される場合、このプロセスはバッチ反応に近くなり、効率が低下する可能性があることに留意されたい。)
【0024】
第3の量の試薬134は第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に移送される。次いで、この量の試薬134は、本明細書で概説した様式で、第2の反応器108および第3の反応器112を循環する。(ただし、第2の反応器108から第3の反応器112に送られる第3の量の試薬134の矢印は示されていない)。
【0025】
当業者は、必要に応じて、各量(および各反応器)の試薬の体積を均一またはほぼ均一に維持するために、第1、第2または第3の量の脱保護試薬126、130、134のいずれかにポンピング補正を行うことができることを理解するであろう。
【0026】
当業者には容易に明らかであるように、第1、第2および第3の反応器106、108、112に添加される脱保護試薬126、130、134の目的は、別々にまたは集合的に、ペプチド合成樹脂116に固定された保護されたN-基120を脱保護するように動作することである。このように、本明細書で概説した様式で連続して循環される試薬の量を使用して連続してN-基を脱保護することによって、N-基は、N-基を別のアミノ酸にカップリングするように作用するカップリング反応にいつでも使用され得る(以下でより詳細に説明するように)。
【0027】
所望により、樹脂116に結合した保護されていないN-基を、DMFなどの溶媒で「洗浄」することができる。NBP(N-ブチルピロリジノン)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、DMSO、MeTHF(メチルテトラヒドロフラン)などのアセテートおよびエーテル、またはNBP/THF 2/1 v/vなどの溶媒混合物を含む他の溶媒も使用され得、これは本明細書に例示されている。そのような洗浄は、脱保護試薬126、130、134に関して上で概説したのと同じ様式で行うことができる。換言すれば、第1の量の洗浄溶媒が第1の反応器106に添加され、続いて第2および第3の反応器108、112を通して循環され得る。同様に、第2および第3の量の洗浄溶媒も同様に、反応器106、108および112を通して循環され得る。この洗浄ステップは、5、8または10回の異なる洗浄サイクルがあり得るように反復することができる(同じ量の溶媒または新しい量の溶媒が毎回最初の反応器に添加される)。(本明細書では詳細に記載されていないが、洗浄ステップは重要であり得、各脱保護およびカップリングステップの後に行われ得る)。同様に、ポンプ補正を使用して、反応器に添加される洗浄溶媒の各量がほぼ均一になるようにすることもできる。
【0028】
ここで図2を参照して、システム100を使用したアミノ酸のカップリングを説明する。樹脂116のそれぞれは、上で概説したように脱保護されている(および任意に洗浄されている)。したがって、樹脂116は、(図1に示された保護されたN-基120ではなく)保護されていないN-基120aを含むように示されている。
【0029】
第1の量のアミノ酸「X」150が、第1の反応器106に添加される。これは、図2において矢印により図示されている。図2に示される実施形態では、第1の量のアミノ酸「X」150は、第1の量の溶媒152および第1の量の他の試薬154と予め混合されている。より具体的には、第1の量のアミノ酸「X」150は、第1の反応器106に添加される前に、他の試薬154および溶媒152と混合されている。他の実施形態では、第1の溶媒152および/または他の試薬154もまた、第1の量のアミノ酸「X」150に加えて、順次および/または同時に第1の反応器106に添加され得る。いくつかの実施形態では、第1の量の溶媒152はDMFであってもよい。いくつかの実施形態では、他の試薬154は、アミノ酸「X」150および/もしくは保護されていないN-基120aを「活性化」し、ならびに/またはカップリング反応を促進するように作用する薬剤である。したがって、いくつかの実施形態では、他の試薬154は、DICおよびオキシマであってもよい。
【0030】
アミノ酸「X」150(および第1の量の溶媒152および他の試薬154)が第1の反応器106に添加されると、カップリング反応が進行する。この反応は、保護されていないN-基120aとアミノ酸「X」との間で生じる。ある期間(例えば、30分または当業者がどのように計算/決定するかを理解するであろう他の所定の時間)の後、第1の量のアミノ酸「X」150は、第1の反応器106から除去され得る(矢印160で示されるように)。いくつかの実施形態では、この第1の量のアミノ酸「X」150は、第2の反応器108に移送され得る。第1の量の溶媒152および/または他の試薬154もまた、第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に移送され得る。
【0031】
第2の反応器108に入ると、第1の量のアミノ酸「X」(ならびに第1の溶媒152および/または他の試薬154)は、第2の反応器108内で保護されていないN-基120aと反応するように作用し得る。同様に、第2の量のアミノ酸「X」170が、第1の反応器106に添加され得る。(ここでも、この第2の量のアミノ酸「X」170は、他の試薬154および/または溶媒152と予め混合され得る)。ある期間(例えば30分など)の後、第1の量のアミノ酸「X」150は、第2の反応器108から除去され得る(矢印164で示されるように)。この第1の量のアミノ酸「X」150は、第2の反応器108から第3の反応器112に移送され得る。第1の量の溶媒152および/または他の試薬154が使用された場合、それらも第2の反応器108から除去され、第3の反応器112に移送される。第2の量のアミノ酸「X」170は、第1の反応器106から除去され得る(矢印174で示されるように)。この第2の量のアミノ酸「X」170は、第1の反応器106から第2の反応器108に移送され得る。
【0032】
第3の量のアミノ酸「X」180が、第1の反応器106に添加され得る。(ここでも、この第3の量のアミノ酸「X」180は、他の試薬154および/または溶媒152と予め混合されてもよく、第1の量150および/または第2の量の170と同じバッチからのものであってもよい。)第1、第2、および第3の反応器106、108、112内の保護されていないN-基120aがアミノ酸「X」と反応してカップリングするように、反応を進行させる。この反応が完了すると、またはある期間の後、第1の量のアミノ酸「X」は第3の反応器112から除去され、廃棄され得るか、または第1の反応器106にリサイクルされ得る(矢印188で示されるように)。(ここでも、そのようなリサイクルにより、この反応はバッチに近くなり、したがってあまり望ましくない場合がある。実際に、バッチモードが望ましい場合、反応器を並列に結合する方がよい場合がある。)同様に、第2の量のアミノ酸「X」170は第3の反応器112に移送され得(そして矢印166で示されるように反応され得)、第1の量のアミノ酸「X」180は第2の反応器108に、その後第3の反応器112に移送され得る(そして各反応器で反応され得る)。この反復様式では、反応は「連続して」生じ、第1、第2および第3の量のアミノ酸「X」150、170、180は反応器106、108、112を循環する。このようにして、アミノ酸量150、170、180は、別々にまたは集合的に、保護されていないN-基120aと反応するように作用し、第1、第2および第3の反応器106、108、112内で脱保護されたN-基120aにアミノ酸「X」をカップリングする。
【0033】
いくつかの実施形態では、溶液を1つの反応器から次の反応器に移送する(例えば、第1の反応器106から第2の反応器108に、または第2の反応器108から第3の反応器112に移送する)前に、溶液を濾過することが有利であり得る。当業者は、そのような濾過がどのように行われるかを理解するであろう。
【0034】
本明細書で概説するように、直列の反応器を使用すると、脱保護および/または洗浄ステップに使用される溶媒の量を低減することができることが理解される。例えば、従来のバッチ処理が使用される場合、DMF中のピペリジンの20%溶液が脱保護反応に必要となる。そのような溶液は10容量に分割され、各バッチ反応器はこの溶液で3回反応される。これにより、各反応器で約30L/kgが使用される。しかしながら、本明細書で教示されるように、3つの反応器が直列で使用される場合、DMF中のピペリジンの20%溶液は、各反応器中の樹脂量に基づいて依然として10容量に分割され、一連の3つの反応器を通して3回(反復)反応される。反応器2および3がバッチ以上の当量数のピペリジンを経験するために、10L/kgの4回目の投入が使用され得る。ここで、ピペリジン溶液の総量は、40/3=13.3L/kgとなり、これは2.25分の1の低減である。
【0035】
過剰なアミノ酸の数が多くなり、アミノ酸のコストが高くなるほど、カップリングに直列反応器を使用することがより有利になる。例えば、Lys20 IVデカップリング試薬の価格は、1グラム当たり約20ドルであり、したがって、過剰な試薬の量の低減は大幅なコスト削減をもたらし得る。しかしながら、過剰当量の数が少ないほど、カップリング反応を並列で実行する方が有利であり、これは、樹脂内で反応溶液が滞留し、過剰当量のあるパーセンテージが希釈せずに次の反応器に移送されるのを防ぐためである。過剰なアミノ酸当量が約2以下であり、それらが標準的な安価のアミノ酸である場合、カップリング反応を並列で実行するが、脱保護と洗浄は直列で実行することを選択した。
【0036】
いくつかの実施形態では、直列の反応器の数が多いほど、生成物1キログラム当たりに必要な全体的な溶媒および試薬が少なくなることに留意すべきである。これは、より多数のCSTR(直列の連続撹拌槽型反応器)が理想的な栓流に近づくというフローケミストリーの原理に類似している。いくつかの実施形態では、廃棄物削減と設備コストとの間のトレードオフのために、直列の3つの反応器が最適であると考えられる。換言すれば、実施形態は、直列の4つ~5つ以上の反応器で減少リターンが達成されるように設計され得る。洗浄の最後に同じ最大残留試薬濃度を達成するために、直列の3つの反応器を操作して、単一バッチ処理に対して必要な溶媒を半分に削減することができる。当然ながら、4つ以上または6つ以上の反応器が使用される他の実施形態を設計することができる。2つの反応器を直列で使用するさらなる実施形態が設計され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、すべての試薬投入量を質量で測定し、DeltaV分配制御システム(St.Louis Missouri USAのEmerson社によって提供される)を使用することが望ましい場合がある(Windowsベースの使用者インターフェースではなく)。これは、文書化もDeltaVで自動的に行われ、システムが実行されたマスターバッチレコードを作成することができるためである。さらに、DeltaVシステムでは、操作のほとんどがリモートアクセスによって行われ、これはインターネットがあれば世界中のどこからでも達成され得る。DeltaVシステムは、プロセスで重要なステップが行われている場合、または注意が必要な場合にオペレーター、化学者、エンジニア、および分析者の携帯電話に説明テキストメッセージを送信するように設定でき、その後ほとんどの状況でリモートで処理される。市販されている最高の実験室研究スケールSPPS技術に共通する問題の1つは、ペプチド構築中のある時点で制御システムがクラッシュする、投入量をミスする、またはエラーを生じることである。試薬の投入は、レベルセンサを介して行われるためにミスされる。対照的に、システムは、重量計からの質量によってすべての試薬の投入を行うように設計され得る。個々の実験は、例えばペプチドが30を超えるアミノ酸を有する場合など、多くの場合、1か月超実行する必要がある。1か月の実験の終わり近くにアミノ酸の投入ミスが発生すると、実験をやり直さなければならず、その1か月(または合成に必要なその他の時間)が無駄になるとともに材料が無駄になる。DeltaV自動化は、GMP製造の業界標準であることから、信頼性および堅牢性が向上するように設計されているため、そのような事態が発生する可能性ははるかに低くなる。
【0038】
さらなる実施形態では、システムは、そのオンライン分析のために、他の市販の合成機よりもはるかに多くのプロセス情報および理解を提供するように設計され得る。樹脂上のペプチドのオンラインLCMS(液体クロマトグラフィー/質量分析)は、すべての並列反応器におけるすべての脱保護およびカップリングの反応変換および動力学を同時に定量化する。プロセスを実行する同じDeltaVシステムがオンライン分析も実行するため、タイミングは化学プロセスと統合される。したがって、作業者は、事前処理の決定のために試料を採取して分析するために実験室にいる必要がない場合がある。
【0039】
オンラインLCMSシステムを得るには、次の手順が実行され得る。
1.樹脂反応器から1.0mLのスラリーを抜き取る
2.小型反応器内でTFAで直ちに切断する(試料を抜き取ってからTFAでの切断を開始するまでの時間は約2分)
3.切断されたペプチド溶液をLC(液体クロマトグラフィー)希釈剤で希釈し、混合する
4.実験室内で溶液を輸送し、LC注入ループ(ガス気泡なし)に装填する
5.LCに試料を注入するループを切り替える
6.使用済み樹脂ビーズを切断反応器から廃棄物に洗い流す
7.試料弁およびチューブを溶媒で洗浄する
【0040】
しかしながら、このオンラインLCMSを実行するためには、気泡なしで完全に充填されるように流れは試料弁を通って垂直に上昇することに留意されたい。スラリー試料を試料ループから切り替え、切断および脱保護ゾーンに吹き込むために、2つの3方向弁が使用される。弁が正確に同時に切り換わるように単一のソレノイドエアラインが両方の弁のアクチュエータに接続されており、これは、試料毎に正確に1mLのスラリーを得るために重要であり得る。次いで、スラリーは試料ゾーン全体を通過し、試料弁を越えて上方に進む。これは、反応器の粘度およびスラリー密度がステップ毎に変化し、弁を通過する流動距離が変化する場合でも、試料弁が代表的なスラリー密度で満たされるようにするために重要であり得る。反応器からのスラリー試料チューブは、試料弁まで上方を向いている。これは、後で逆方向に反応器にポンプで戻す場合にチューブが清浄となるのに重要である。これにより、キャリーオーバーが最小限に抑えられ、固形物の詰まりが防止される。希釈カートが試料を終了するたびに、試料弁を洗い流すために溶媒が使用される。さもないと、固形物で詰まることになる。溶媒は、試料弁と蠕動ポンプとの間で弁から逆方向に離れるように進入し、弁を通って順方向に押し出される。溶媒のスラグが切断ゾーンに流れ込み、毎回樹脂固形物を除去する。スラリーは弁を越えて上方に流れ続ける。この上方の流れは十分に長いため、代表的な試料が確実に試料ループに入るのに十分なマージンがあるが、スラリーが頂点を通過して下方に流れ始めることはない。そうなった場合、それは蠕動ポンプに到達し、キャリーオーバーの問題を引き起こす可能性があり、また樹脂を粉砕して、反応器での濾過性の問題を引き起こす。蠕動ポンプは、試料ループの上流ではなく、試料ループの斜め下方部分の後に配置される。試料ループの上流にある場合、キャリーオーバーの問題が発生し、樹脂が粉砕されて反応器の濾過性の問題を引き起こす。弁(カスタムであってもよい)を使用し、追加のポートを本体に溶接して、希釈溶媒がボールの上部に直接進入し、上方向に押すようにしてもよく、これによって希釈溶媒が切断溶液と完全に混合され、またボールの上に沈降した樹脂ベッドが破壊される。
【0041】
ここで図1および2をまとめて参照して、ペプチド配列における次のアミノ酸の付加について説明する。配列中のこの次のアミノ酸は、「Z」と指定することができ、これは、それが所望の任意のアミノ酸であり得ることを意味する(一方、上記のように、アミノ酸「X」もまた、所望の任意のアミノ酸であり得る)。上記で概説したステップおよび方法は、アミノ酸「X」を樹脂にカップリングするように機能する。(したがって、アミノ酸「X」は、ペプチド配列における最初のアミノ酸になる。)このアミノ酸「X」がカップリングされ、樹脂に結合すると、第1、第2および/または第3の反応器106、108、112内の樹脂は溶媒で洗浄され得る。この溶媒は、一般に、上で概説したものと同じ溶媒である。そのような洗浄は、本明細書に概説された順次の(例えば連続的)様式で行うことができる。したがって、例えば、第1の追加量の溶媒が第1の反応器106に添加され、第1の反応器106内で撹拌され、次いで第2の反応器108に移送され得る(および第2の反応器108内の樹脂を洗浄するために使用され、次いで第3の反応器112に移送される)。同様に、第1の追加量の溶媒が第1の反応器106から除去されたら、第2の追加量の溶媒が第1の反応器106に添加され得る(および他の反応器を通して循環される)。(第3の量の追加の溶媒も同様に、システムを循環させることができる)。換言すれば、洗浄ステップは、上で概説した順序および様式で進行され得る。
【0042】
反応器106、108、112が溶媒で洗浄されたら、第1の追加量の脱保護試薬が第1の反応器106に添加され、次いで(一定期間後)第1の反応器106から移送され、第2の反応器108に添加される。次いで、この第1の追加量の脱保護試薬はまた、(一定期間後)第2の反応器108から除去される。第2の追加量の脱保護試薬が第1の反応器106に添加され、一定期間反応され、次いで第1の反応器106から除去され、第2の反応器108に移送され、そこで反応され、次いで第2の反応器108から除去される(次いで、本明細書で概説した様式で第3の反応器112に添加される)。この第1および第2の追加量の脱保護試薬(ならびに第3の追加量の脱保護試薬)は、別々にまたは集合的に、第1および第2の反応器の両方でアミノ酸「X」の保護されたN-基を脱保護するように機能する。
【0043】
脱保護試薬とのこの反応の後、アミノ酸「X」(樹脂に固定されている)は、所望の配列で次のアミノ酸「Z」に結合する準備ができている。したがって、本明細書で概説した様式で、次のステップが行われる:
第1の量のアミノ酸「Z」を第1の反応器106に添加するステップ、
第1の量のアミノ酸「Z」を第2の反応器108に移送するステップ、
第2の量のアミノ酸「Z」を第1の反応器106に添加するステップであって、第1および第2の量のアミノ酸「Z」は、別々にまたは集合的に、第1の反応器106内のアミノ酸「X」の脱保護されたN-基にアミノ酸「Z」をカップリングするステップ、
第1の量のアミノ酸「Z」を第2の反応器108から除去するステップ、ならびに
第2の量のアミノ酸「Z」を第1の反応器106から第2の反応器108に移送するステップ、ならびに
第2の量のアミノ酸「Z」を第2の反応器108から除去するステップであって、
第1および第2の量のアミノ酸「Z」は、別々にまたは集合的に、第2の反応器108内のアミノ酸「X」の脱保護されたN-基にアミノ酸「Z」をカップリングするステップ。
【0044】
当業者は、アミノ酸「Z」がまた、これらの一連の反応器および試薬を使用して、各アミノ酸を順次添加する同様の様式で、第3の反応器112においてアミノ酸「X」と反応され得ることを理解するであろう。したがって、このようにしてアミノ酸配列が構築される。次いで、既知のSPPS合成のように、この方法を反復的に繰り返して、次のアミノ酸、また次のアミノ酸などを付加する。
【0045】
ここで図3を参照すると、ペプチド合成樹脂に結合した保護されたN-基にアミノ酸「X」をカップリングするためのシステム300の別の実施形態の概略図が示されている。具体的には、システム300は、ある量のアミノ酸を収容するように設計された複数の貯蔵タンク301を含む。具体的には、ペプチド鎖に付加される各特定のアミノ酸は、それ自体の別個の貯蔵タンク301を有し得る。さらに、各タンク301は、(溶液に溶解され得る)アミノ酸を貯蔵タンク301から活性化反応器307にポンピングするように設計されたそれ自体のポンプ303を有し得る。具体的には、ポンプ303は、タンク301からアミノ酸の溶液をライン309を介してライン311に、そして反応器307にポンピングする。当業者は、個々のタンク301から反応器307へのアミノ酸溶液のこの移送を達成するために、このチューブ/配管およびポンプ303を接続する方法を理解するであろう。図3には、3つの異なるアミノ酸タンク301のみが示されている。所望により、さらに多くを使用することもできる。
【0046】
任意選択で、量、流速、流れのタイミングなどを所望により調整することができるように、1つ以上のフローセンサ313をライン309および/またはポンプ303に取り付けて、ラインを通る(および反応器307に入る)アミノ酸の流れを感知することができる。さらに、弁317を使用して、アミノ酸の流れを供給容器301に迂回させてポンプをプライミングすることができる。当業者は、弁および/または不活性化ベントシステム327を使用する方法を理解するであろう。このベントシステムは、所望により、ベント329および安全のためのオーバーフロー容器を含んでもよい。
【0047】
同様に、システム300は、ある量のDIC、オキシマなどの他の試薬、および他の洗浄溶媒を収容するように設計された複数の貯蔵タンク353を含む。さらに、各タンク353は、貯蔵タンク353から活性化反応器307またはフィルタ反応器306、308、312のいずれかに液体をポンピングするように設計されたそれ自体のポンプ355を有してもよい。当業者は、この移送を達成するために、このチューブ/配管およびポンプ355を接続する方法を理解するであろう。図3には、3つの異なる供給タンク353のみが示されている。所望により、さらに多くを使用することもできる。
【0048】
任意選択で、量、流速、流れのタイミングなどを所望により調整することができるように、1つ以上のフローセンサ359をポンプ355からのラインに取り付けて、ラインを通る流れを感知することができる。さらに、弁357を使用して、流れを供給容器353に迂回させてポンプをプライミングすることができる。当業者は、弁および/または不活性化システム363を使用する方法を理解するであろう。このシステムは、所望により、ベントバブラ361および安全のためのオーバーフロー容器を含んでもよい。
【0049】
上記のように、システム300は、活性化反応器307を含む。活性化反応器307は、一般に、第1の反応器306、第2の反応器308および第3の反応器312の上流に配置される。活性化反応器307は、活性化反応器307内の内容物(溶液)を混合するように設計された撹拌機333を任意選択で含んでもよい。また、温度プローブ335を活性化反応器307に追加することもできる。ジャケット345に関連付けられたサーキュレータ341も(任意選択で)含めることができる。
【0050】
活性化反応器307は、アミノ酸溶液をDICおよびオキシマと予め混合することによってアミノ酸溶液を「活性化」するように設計され得る。当業者は、DICおよびオキシマ(および/または溶媒およびいくつかの他の活性化剤および塩基)のそのような添加がどのように反応器307に添加され得るかを理解するであろう。
【0051】
システム300はまた、脱保護試薬を収容する脱保護溶液容器371を含む。(図3に示される実施形態では、脱保護試薬はピペリジンであるが、他の物質が使用されてもよい。)1つ以上の弁369およびポンプ365は、脱保護試薬を(ライン367を介して)第1の反応器306内に(入口ライン379を介して)ポンピングするように設計され得る。任意選択でリリーフ弁381がライン367に追加されてもよい。さらに、任意選択で圧力センサ385が容器371内で使用されてもよい。所望により、容器371の通気システムの一部として追加の弁383が任意選択で使用されてもよい。
【0052】
溶媒(この場合、DMFまたは何らかの他の溶媒であってもよい)のために使用される貯蔵容器371aもまた、システム300の一部として使用され得る。貯蔵容器371aは、溶媒の圧力を測定するための圧力センサ373を(任意選択で)含んでもよい。1つ以上の弁375およびポンプ377を使用して、溶媒容器371aを送達することができる。溶媒は、ライン381を介して、活性化反応器307、第1の反応器306、第2の反応器308または第3の反応器312に送達される。ライン381を通るこの流れを測定するために、フローセンサ383が(任意選択で)使用されてもよい。所望により追加の通気弁386が任意選択で使用されてもよい。
【0053】
上記の実施形態と同様に、第1、第2および第3の反応器306、308、312は、その中に収容されたある量の樹脂(Sieber樹脂など)を含み、活性化反応器307の下流に直列に配置される。これらの反応器は、安全目的のために、不活性ヘッドスペース計量窒素供給403および1つ以上の通気オーバーフロー容器401を含んでもよい。当業者には理解されるように、他のベントおよび/または安全手段が設計されてもよい。
【0054】
上記のように、溶媒溶液は、1つ以上のライン381を介して、第1、第2および第3の反応器306、308、312のそれぞれ、ならびに活性化反応器307に接続される。1つ以上の弁405が、これらの容器のそれぞれへの溶媒の流れを制御することができる。他の実施形態では、これらの反応器のそれぞれへの溶媒進入点は、容器への溶媒の効率的な導入を可能するとともに、溶媒が容器の側面(および側面上に位置し得る任意の固形物)を「洗い流す」ことを可能にする「スプレーボール」または他のスプレー機能であってもよく、それにより、すべての樹脂を試薬および洗浄溶媒に確実に混合および接触させる。(実際に、反応器306、308、および312内の樹脂が「洗浄」されているときの各特定のアミノ酸の添加の間に、この様式で反応器306、308、および312に溶媒を噴霧することが一般に推奨される。)
【0055】
上述のように、活性化反応器307を出る溶液は、出口底部ポートおよび接続されたチューブを介して出る。この出口ラインの流れには、任意選択で、フローセンサ409、流れを制御する1つ以上の弁411、およびポンプ413があってもよい。さらに、出口ラインは、溶液が廃棄物419または第1、第2、および/もしくは第3の反応器306、308、312に誘導され得るように、ラインを通る溶液の流れを選択的に制御する自動化を可能にする1つ以上の弁415を含んでもよい。(一般に、システム300は、第2および第3の反応器308、312が第1の反応器306と直列になるように作動し、したがって流れは最初に第1の反応器306に向かうが、弁415(3方向弁(または2方向弁もしくは4方向弁など))によって所望により使用者がこの流れを制御し、変更することができる。)
【0056】
このシステム300で使用される第1、第2および第3の反応器306、308および312は、上述のものと類似および/または同一である。これらの反応器306、308、および312はそれぞれ、任意選択で、撹拌器421および温度センサ423を含んでもよい。反応器である第1、第2および第3の反応器306、308および312は、ペプチドを構築するための基質として機能する樹脂を含む。この樹脂は、容器371からの脱保護試薬を介して脱保護され、次いで活性化アミノ酸溶液(反応器307で活性化された)と反応し、それによってこのアミノ酸を配列/樹脂にカップリングし得る(SPPS技術を使用)、保護されたN-基を含む。このようなステップを連続して行うことにより、所望によりタンク301からの異なるアミノ酸が添加され得る。
【0057】
上述のように、第1の反応器306、第2の反応器308、および第3の反応器312は、直列に配置され得る。したがって、上で概説した様式で、第1の量の活性化されたアミノ酸が第1の反応器306で反応され、次いでその量が第2および第3の反応器308、312に順次送られる(そして新たな量の活性化された溶液が第1の反応器306に添加される)。この流れを促進するために、各反応器306、308、312は、固体ペプチド樹脂ビーズおよび/または固体形成ペプチドが反応器306、308、312内に留まることを確実にするためのフィルタ427を含み得る。フローセンサ433、弁437、およびポンプ435は、第1、第2、および第3の反応器306、308、312の間でのこの「連続的」流れを誘導するために、任意選択で、および/または必要に応じて使用され得る。同様に、サンプリングデバイス441は、システム300を通って流れているものをサンプリングしてシステム300が正しく動作していることを確認する、または廃棄物ストリームをチェックしていつ洗浄すれば十分であるかを決定するために、システム全体の任意の場所に(または所望により複数のサンプリングデバイス441を)配置することができる。
【0058】
図3の実施形態では、弁437は、第1、第2および第3の反応器306、308、312の出力が連続的に順次流れることができるように、および/または廃棄物419に向かうことができるように設計され得ることに留意されたい。これは、自動化が所望の流れを制御し得るように行われる。さらに、図3では、第3の反応器312からの出力ラインが、廃棄物419に向かうことが示されている。上述のように、実施形態は、反応器306、308、および312ならびに/または活性化反応器307が溶媒で洗浄されるときに溶媒が再使用され(そして反応器に送り返され)、それによってシステムをより環境に優しくするように設計され得る。同様に、活性化されたアミノ酸溶液は、第1、第2および第3の反応器306、308および312を通って流れ、次いで反応を再度実行する手段として同じ反応器(および/または活性化反応器307)を通って再び(必要に応じて複数回)リサイクルされ得る(ただし、これが望ましい場合は、反応を並行して実行することが推奨される)。例えば、樹脂が「洗浄」されているときの各特定のアミノ酸の添加の間に、通常、この洗浄は10の異なる洗浄ステップで行われる。その場合、最初の2~8回の洗浄は、以前に使用された溶媒で行うことができ(この溶媒には不純物が含まれている可能性があるが、最初のバッチの洗浄には十分「清浄」である)、続く最後の洗浄(2~8回)は純粋な溶媒で行うことができる。最後の2~8回の洗浄からの洗浄溶媒は、次のサイクルの最初の2~8回の洗浄に使用するためにリサイクル容器に集められる。このようにして、洗浄方法全体で使用される溶媒の量が削減される。
【0059】
ここで図4を参照すると、図1~3の実施形態と併せて使用され得るオンラインLCMSシステムであるシステム500が示されている。具体的には、システム500は、上で概説した反応器内の溶液および固相樹脂結合ペプチド試料の測定を行うように設計されており、それによって操作者にシステム内で何が起こっているかについてのリアルタイム情報を提供する。
【0060】
システム500は、切断溶液タンク503を含む。多くの実施形態では、この切断溶液はTFAであり、形成されたペプチドを樹脂から切断する(したがって形成されたペプチドを樹脂から抜き取る)ように設計されている。TFAは、カップリング反応をクエンチするためにも機能する。図4に示すように、弁518p、518q、および518sは、システムへのTFA溶液(または切断溶液)の流れを制御するように機能する。(窒素供給源522に接続された弁518rとともに)オーバーフロー容器509および測定ゾーン511とともにライン508を含む切断オーバーフローゾーン507が存在してもよい。このシステム507は、所望の量のTFAを測定し、過剰分をすべて貯蔵容器503に戻すように設計されている。当業者は、TFA溶液の流れを制御するために、これらの安全機能および/または流れ機能をどのように実装するかを理解するであろう。これは、1つ以上の弁518の使用を伴い得る。
【0061】
システム500はまた、混合ポット510(500mLの容器であってもよい)を含む。混合ポット510は、弁518aによって制御される溶媒ライン512から反応器溶媒(DMFであってもよい)からのスラリー試料を受け取ることができる。これらのライン512(弁518bおよび518aとともに)は、反応器(活性化反応器であるか、または上述の第1、第2もしくは第3反応器であるかを問わず)からスラリーを取り出すことを可能にする。ライン512は、1/8インチの内径および1/4インチの外径を有し得る。ライン512および弁518aおよび518bはまた、(窒素供給源522からの)ガスをシステムに加えること、ならびに「ポンプアラウンド」ループを可能にする。弁518aはまた、材料が反応器リターン524に流れ、反応器525から流れることを可能にする。弁518bは、DMF(溶媒)が所望によりヘッダ526から得られることを可能にする。ライン512の目的は、ポット510に添加され得るように、反応スラリーの試料(例えば1mLなど)を採取することである。弁は、スラリーがポンプに到達せず、樹脂ビーズの粉砕を防止するように、材料が反応器525から流出する(また必要に応じて上方に流れる)ことを確実にするために使用され得る。したがって、弁を切り替えて窒素を使用することによって、ポンプ内で樹脂を粉砕することなく、スラリーを抽出し、残りを逆方向にポンピングすることにより反応器525に戻すことができる。当業者は、それを行う方法を理解するであろう。
【0062】
スラリー試料に加えて、混合ポット510への別の供給は、必要に応じて溶媒または他の材料を加えて1mL試料を希釈する希釈剤供給源520からのものである。この希釈剤供給源520は、ライン528を介して混合ポットに接続される。希釈剤オーバーフローシステム527もまた使用され得る。このシステム527はまた、(窒素に接続された弁518eおよび518lとともに)オーバーフロー容器529および測定ゾーン521とともにライン528を含む希釈剤オーバーフローゾーン529を含み得る。弁518hは、オーバーフロー容器529への流れを制御する。この希釈剤オーバーフローシステム527は、所望の量の希釈剤を測定し、すべての過剰分を貯蔵容器520に戻すように設計されている。当業者は、希釈溶液の流れを制御するために、これらの安全機能をどのように実装するかを理解するであろう。
【0063】
混合ポット510に入ると、切断され希釈された試料は、ライン540を通って弁518mに流れる。このライン540は、材料(一般に樹脂から切断されたペプチドまたは成長アミノ酸配列である)を分析のためにHPLC544に送る。液体から気泡を重力によって分離し、必要に応じて試料を保存するために、保存ポット541(300mLの容器であってもよい)がHPLCの上流で使用されてもよい。
【0064】
混合ポット510は、所望により、ライン550(および弁518j)に取り付けられ、混合ポット510を通気することができる。圧力または温度センサ(または他のセンサ)などのセンサ551は、このライン(またはシステム500の他の場所に配置されている場合はシステム全体)の状態を測定することができる。圧力センサ551は、自動化されたシーケンスにおいて、いつ次のステップに進むべきかの指標として使用される。
【0065】
一般に、混合ポット510内で30分間混合してペプチドの脱保護のための時間を確保した後(および希釈後)、ライン555を介して混合ポット510から材料を抽出し、弁518kまたはその近くで沈降させることができる。この弁518kが開かれると、液体および/または使用済みの樹脂ビーズがライン555を通って廃棄物546に流れ込むことができる。ライン555に存在し得るあらゆるTFAを洗浄するための安全機構として、苛性バブラー557が使用され得る。必要に応じて、このスクラビングを容易にするために、ライン561および弁562を介して窒素または他のガスが廃棄物546に添加され得る。ノックアウトポット569などの他の安全機能も追加され得る。ノックアウトポット569は、バブラー液がシステムに吸い戻されないように設計されている。図4に示すように、このノックアウトポット569はまた、ライン580を介して、569、546、および557を不活性に保つために窒素または他のガスを供給する窒素供給源581に接続され得る。
【0066】
当業者は、反応器からのサンプリングが、図4に概説されたシステム500を使用してサンプリングされるべき頻度を理解するであろう。いくつかの実施形態では、カップリング反応が進行している間、サンプリングは、45分毎などの定期的な間隔で行うことができる。他の状況において、60分毎、または洗浄ステップ中など、他の間隔でサンプリングが行われてもよい。当然ながら、当業者は他のサンプリング頻度を設計することができる。
【0067】
他の実施形態では、活性化反応器の内容物が第1の反応器に添加される前に、活性化反応器からのサンプリングが自動的に行われてもよい。この理由は、活性化反応器に追加された(そしてその後、第1、第2、および第3の反応器に追加される)アミノ酸が所望のアミノ酸であること、例えばシーケンスの次のアミノ酸であることを検証するためである。この理由は、例えば、25のアミノ酸が既に一緒に反応し、「間違った」アミノ酸が追加された場合、ペプチド配列全体が間違っており、ペプチドの合成を一から(最初から)やり直す必要があるためである。したがって、このエラーを防ぐために、カップリング反応に入る前にアミノ酸が自動的にサンプリングされ、「間違った」アミノ酸が追加される可能性が最小限に抑えられる。
【0068】
ここで図5を参照すると、図1に示される反応器106、108、および112の斜視図が示されている。図5に見られるように、樹脂120は多孔質であり、したがって活性化エステル溶液(本明細書で概説される)の一部が細孔に吸収され、本明細書で概説されるように反応を継続することができる。
【0069】
本実施形態のさらなる態様は、オンラインLCMSシステムを第1の反応器とともに使用できることである。これは、本明細書で概説されるタイプの直列反応器システムの第1の反応器とともに使用される、本明細書で説明されるオンラインLCMSシステムであり得る。オンラインLCMSシステムが、いくつかの実施形態ではバッチ反応器であり得る単一の反応器とともに使用される他の実施形態が設計され得る。LCMSシステムの利点は、正確な試料(1mLなど)を反応中の様々な時点(反応の開始時、反応中、および/または終了時など)で自動的に抽出され得ることである。使用者は、試料が自動的に抽出されるときをプログラムできてもよい。抽出された試料は、反応がどのように進行しているか、および反応が完了しているかどうかをテストするために使用され得る。そのようなサンプリングは、活性化中、反応ステップ中、および/または洗浄ステップ中に行われてもよい。このLCMSを使用することにより、カイザーテスト(典型的には、ペプチドカップリングの進行状況を監視するために使用される)が不要となり得る(したがって、コストおよび時間が節約され得る)。サンプリングは、反応のリアルタイム監視も提供し得、これは生産規模で特に有益となり得る。現在、(Mettler Toledoサンプラー)などのサンプラーがあるが、この装置はSPPS反応器では使用されず、切断および脱保護、希釈、混合、使用済み樹脂ビーズからの分離、LCMSへの輸送、およびLCMS切り替えループへの装填のためのデバイスおよび方法を含んでいない。図4に示すオンラインLCMSシステムの自動シーケンスの詳細な手順は次の通りである。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【実施例
【0070】
実施例1
固相ペプチド合成(SPPS)によるチルゼパチドの構築
チルゼパチド(図6)は39アミノ酸の主鎖を含み、その合成は線形固相ペプチド合成(SPPS)によって達成される。チルゼパチド合成は、図7に示すように、以下に説明する直列反応器法を使用して、最初に39mer主鎖中間体を構築することによって進行する。チルゼパチド合成の過程で、39-mer主鎖中間体(図7)は、セリン-39に結合した-NH基を介して固体支持体(本明細書に記載のSieber樹脂)に結合することに留意されたい。
【0071】
表1は、39アミノ酸のそれぞれがチルゼパチド主鎖の構築に使用される順序を示す。例えば、セリンは主鎖合成で使用される最初のアミノ酸であり、チルゼパチドの39位に存在するアミノ酸である。Ser39からAib2までの線形SSPSで使用される各アミノ酸の窒素は、α-窒素上のt-ブチルオキシカルボニル(Boc)によって保護されているTyr1を除いて、α-窒素上の9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によって保護されている。表1に示されている側鎖保護基では、酸素はtert-ブチル(tBu)で保護され、窒素はトリチル(Trt)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)、またはBocで保護されている。
【表2-1】
【表2-2】
【0072】
直列反応器法
DMF中のピペリジンの20体積%溶液を次のように調製する:ピペリジン(800mL)をDMFの添加により4.0Lの体積まで希釈し、20体積%の溶液を得る。
【0073】
DMF中のオキシマの0.68M溶液を次のように調製する:4.0Lの体積までDMF中にエチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート(オキシマ、386.85g、2.722mol)を溶解して0.68M溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0074】
DMF中のDICの0.60M溶液を次のように調製する:4.5Lの体積までN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(340.8g、2.700mol)をDMFに溶解して0.60M溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0075】
DMF中のセリンの0.375M溶液を次のように調製する:DMFで3.0Lの体積までFMOC-Ser(tBu)-OH(431.3g、1.318mol)をDMFに溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。同様の様式で、表1に示す各アミノ酸の0.375M溶液を調製する。
【0076】
反応システムを次のように準備する:3つの同じサイズの反応器にフィルタスクリーンを装備し、溶液が排出されたときに固体樹脂を保持する。反応器「RB1」、「RB2」、および「RB3」にラベルを付け、Sieber樹脂(500g、0.70mmol/g、350mmol)を反応器に均等に分割する。各反応器に1500mLのDMFを添加し、室温で24時間撹拌して樹脂を膨潤させる。
【0077】
一般手順A-F-moc脱保護およびDMF洗浄プロセス:RB1にピペリジンの溶液(DMF中20体積%、1365mL)を添加し、室温で30分間撹拌する。RB1からRB2にピペリジン溶液をポンピングし、次いでピペリジン溶液(DMF中20体積%、1386mL)の別の部分をRB1に投入し、反応器RB1およびRB2を30分間撹拌する。撹拌時間の終わりに、RB2からRB3にピペリジン溶液をポンピングし、RB1からRB2にピペリジン溶液をポンピングし、次いでRB1にピペリジン溶液(DMF中20体積%、1407mL)の別の部分を投入する。室温で30分間3つすべての反応器を撹拌する。RB3から廃棄物にピペリジン溶液をポンピングし、次いでRB2からRB3にピペリジン溶液をポンピングし、次いでRB1からRB2にピペリジン溶液をポンピングする。RB2およびRB3を室温で30分間撹拌する。RB3から廃棄物にピペリジン溶液をポンピングし、次いでRB2からRB3にピペリジン溶液をポンピングする。RB3を室温で30分間撹拌し、次いでRB3から廃棄物にピペリジン溶液をポンピングする。このようにして、ピペリジン溶液を直列の3つの反応器に3回ポンピングし、それぞれ30分間撹拌した。
【0078】
ピペリジン溶液の3つすべての割り当てを3つすべての反応器を介して撹拌および廃棄物収集に送られた後、RB1にDMF(1218mL)を添加し、室温で5分間撹拌する。次いで、RB1からRB2に溶媒をポンピングし、RB1にDMF(1208mL)を添加する。両方の容器を室温で5分間撹拌する。RB2からRB3に、およびRB1からRB2に溶媒をポンピングする。DMF(1758mL)をRB1に追加し、3つの容器すべてを室温で5分間撹拌する。DMF溶媒の割り当て分が直列の3つの反応器を通してポンピングされるまでこの同じ手順を繰り返し(毎回RB3から廃棄物にDMF溶媒をポンピングする)、合計12.66L(11.95kg)のDMFを使用して反応器当たり合計8回の洗浄を行う。平均DMF洗浄体積は1580mLである。目標洗浄体積は洗浄当たり1400mLであるため、ペプチド合成の後続のアミノ酸では、後続の投入量が1400mLに近づくようにポンプおよび供給タンクの圧力を調整する。
【0079】
一般手順B-アミノ酸活性化およびカップリングプロセス:「RA」とラベル付けされたジャケット付き反応器に、セリン溶液(DMF中0.375M、774g)、オキシマ溶液(DMF中0.68M、422g)、次いでDIC溶液(DMF中0.60M、506g)を添加する。溶液を15℃で30分間撹拌して活性化セリン溶液を得、次いでこの溶液をRB1に添加する。このプロセスを繰り返して、反応器RAで活性化セリン溶液を調製してそれをRB2に添加し、次いでプロセスを再び繰り返して活性化セリン溶液をRB3に添加する。3つの反応器のそれぞれは、カップリング反応中、約2200~2300mLの総スラリー体積を有し、これは、活性化エステル溶液に膨潤した樹脂の体積を加えたものに等しい。反応器RB1、RB2、およびRB3を室温で8時間撹拌し、3つの反応器すべてから溶媒を排出する。
【0080】
一般手順Aと同様の様式で、反応器RA、RB1、RB2およびRB3をDMF溶媒で連続して各反応器当たり合計7回洗浄する。最初の3回の洗浄液は、RB1にポンピングされる前にRAのスプレーボールポンピングされる。したがって、最初の3回の洗浄液は、RA、RB1、RB2、およびRB3を順番に通過する。しかしながら、RAから各洗浄液をポンピングする場合、少量の溶媒すすぎ液がRAからRB3(約30mL)にポンピングされ、次いで少量の溶媒すすぎ液がRAからRB2(約30mL)にポンピングされ、次いで溶媒の大部分がRB1にポンピングされ(約1340mL)、続いてRAとRB3との間のチューブがポンピングにより清浄化され、RAとR2との間のチューブがポンピングにより清浄化される。これにより、RAと樹脂反応器のそれぞれと間の移送チューブおよび弁が洗い流され、清浄化される。次いで、4回目から7回目の洗浄では、少量のDMF溶媒がRB3のスプレーボールからポンピングされ(100mL)、次いで少量のDMF溶媒がRB2のスプレーボールからポンピングされ(100mL)、次いで1400mLのDMF溶媒がRB1のスプレーボールからポンピングされた。目的は、各反応器の壁から固体樹脂粒子をすすぎ落とすことである。カップリング後の洗浄に使用される溶媒の総量は、10.69L(10.09kg)である。39merペプチド主鎖合成の後半のアミノ酸の場合、スプレーボールからRB2およびRB3に噴霧されたDMFの量は、約50mLに低減される。
【0081】
プロリン38からBoc-チロシン1までの表1に列挙されている各アミノ酸については、一般手順Aを使用して以前にカップリングされたアミノ酸のFmoc脱保護を行い、続いて一般手順Bを使用してカップリングする。セリン39、および次の38アミノ酸のカップリングについは、表2に列挙されている化学量論で一般手順Bを使用する。表2に示されている場合、追加の活性化エステルを調製し、一般手順Bに従って表2に示す化学量論で再カップリングする。99%超の変換が達成されるまで、カップリング反応物を撹拌する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0082】
カップリング後、平均10回のDMF洗浄が使用される(表8を参照されたい)。製造工程では、時間および溶媒を節約するために7回の洗浄を行うことが推奨される。
【0083】
37位のプロリンカップリングから始めて、オンラインLCMS用の自動化試料を採取する。固体樹脂を含有する自動化試料は、15、75、180、324、503、および684分でRB3からカップリングステップに採取される。自動化試料はまた、脱保護ステップ中にRB3から様々な時点で採取される。各試料について、1.0mLのスラリー試料が自動ポンプおよび弁によって反応器から採取される。試料を25mLのTFAで希釈し、30分間の反応時間の間断続的に混合し、樹脂ビーズからペプチドを切断し、ペプチドから保護基を除去する。次に、試料を75mLの4:1 DMSO:アセトニトリルと混合する。希釈した溶液を2μL LC切り替えループに装填し、カラムに注入する。
【0084】
LCMSによって決定される99%以上の変換を達成するために、DMF中20%ピペリジンの洗浄回数および撹拌時間を調整する。Ser39からLeu26の場合、DMF中20%ピペリジンの撹拌時間は30分であり;Trp25およびGln24の場合40分であり;Val23からLeu14の場合50分である。Aib13の場合、5回の洗浄液を50分間撹拌し、さらに3回の洗浄液を90分間撹拌する。残りのアミノ酸(Ile12からBoc-Tyr1まで)については、DMF中20%ピペリジンの最初の3回の洗浄を20~30分撹拌し、次いで、4回目のピペリジン洗浄液が直列の第1の反応器に入ったときにさらに長い時間撹拌する。Pro36およびGly34の場合、一般手順Aに概説されているように、追加の脱保護および洗浄ステップを実行する。一般に、DMF中20%ピペリジンで30分間の撹拌を3回行えば、99%以上の変換を達成するのに十分であり、これはこの手順の製造工程における時間、溶媒、および試薬を節約することに留意されたい。
【0085】
次のアミノ酸とのカップリング手順を実行する前に、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって洗浄液ストリームが600ppm未満のピペリジンを含むことを確認するために、ピペリジン脱保護ステップの後にDMF洗浄の回数を調整する。ピペリジン脱保護ステップ後に使用される平均洗浄回数は11回の洗浄である(表7を参照されたい)。一般に、これは10回の洗浄で達成されるため、製造工程ではピペリジン脱保護ステップの後に10回のDMF洗浄を使用することが推奨される。
【0086】
表3は、オンラインLCMS試料時間、および39-merペプチド主鎖合成全体で計算された%変換を示す。図4は、オンラインLCMSの自動サンプリング、切断、脱保護、希釈、および装填カートのプロセスおよび計装図を示す。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【0087】
39merペプチド合成中のオンラインLCMS自動サンプリングシステムにいくつかの改良を加える。これは、固形物の詰まりおよびキャリーオーバーに関する問題のトラブルシューティングのためである。Pro37からSer33まで、サンプリングは反応器と3方向サンプリング弁との間に位置する蠕動ポンプにより達成される。しかしながら、ポンプは樹脂を粉砕し、RB3から液体を空にするときに濾過速度を遅くする微細な固体を生成する。樹脂試料のポンピング時間を短縮し、ポンプを三方弁の後ろに移動して、樹脂が実際にポンプに入らないようにする。Ala21カップリングおよびその後のすべてのカップリング中に、各試料の後に2つの自動3方向スラリー試料弁をDMF溶媒で洗い流す機能をインストールするようにシステムを修正する。3方向試料弁が、各シーケンスの最後に反応器に洗い流されない固形物で詰まるのを防ぐために、DMFが試料弁を通って脱保護ミックスポットに洗い流され、弁518kから廃棄される(図4)。
【0088】
合成中の間隔で、上記のように分析のために樹脂の試料を取り出し、オフラインでさらに研究するためにも試料を採取する。物質収支に基づきmmolで表される、各反応器内の樹脂の残りの量を表4に示す。したがって、脱保護、脱保護後のDMF洗浄、アミノ酸カップリング、およびカップリング後のDMF洗浄のためにシステムに投入される材料の量は、各ステップで残留する樹脂の量に合わせて調整される。製造工程では、オフライン分析のために大量の試料が採取される可能性は低く、樹脂のmmol基準は劇的には変化しないことに留意されたい。
【表5-1】
【表5-2】
【0089】
アミノ酸カップリングステップで使用するアミノ酸およびカップリング試薬溶液の質量を表5に示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0090】
ピペリジン脱保護後の選択されたDMF洗浄液においてGCによって測定されたピペリジンの濃度を、表6に示す。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【0091】
39-mer主鎖中間体(図7)の合成を通して脱保護に使用されるピペリジン溶液洗浄およびDMF洗浄の回数および質量を、表7に示す。また、表7には、樹脂1mmol当たりに使用されるこれらの溶液の質量(g)の計算も示されている(表4に列挙されているように、各ステップに存在する樹脂のmmolで質量を割ることによって決定される)。
【表8-1】
【表8-2】
【0092】
樹脂1mmol当たりに使用されるカップリング試薬の質量(g)、アミノ酸カップリング後のDMF洗浄の回数、および39mer主鎖中間体の合成を通して樹脂1mmol当たりの洗浄に使用されるDMFの質量(g)(図7)を、表8に示す。表7のように、表8の樹脂1mmol当たりに使用される材料の質量(g)は、表4に列挙されているように、各ステップに存在する樹脂のmmolで質量を割ることによって決定される。
【表9-1】
【表9-2】
【0093】
表9は、39アミノ酸主鎖中間体(図7)の合成中に反応容器に投入された材料の総量を示す。表9は、ピペリジン/DMF脱保護およびその後のDMF洗浄、アミノ酸カップリングステップおよびその後のDMF洗浄、ならびにSieber樹脂の合計を含む。
【表10】
【0094】
Boc-Tyr1のカップリング後、樹脂に結合したペプチドを3つすべての反応器から取り出し、塩化メチレンで洗浄することにより脱膨潤させ、乾燥させる。残りのステップは、自動化された直列の反応器ではなく、バッチ容器で手動で行う。製造工程では、この時点で樹脂を反応器から取り出さず、次のステップを直列の反応器で行う。これにより、必要な試薬および溶媒の量が削減される。
【0095】
Lys20から-ivDde保護基を除去するために、ヒドラジン水和物(5.34g、68.3mmol)およびDMF(165g)を2Lのジャケット付きフィルタ反応器内で窒素下で混合し、次いで乾燥樹脂(50.0g、7.24mmol)を添加する。20℃で6時間撹拌し、次いで樹脂をDMF(5×500mL;洗浄液体積は約100mLで十分であることが推奨される)で洗浄し、洗浄毎に5分間撹拌する。
【0096】
脂肪酸/リンカーのカップリングのために、250mLの丸底フラスコに式Iの酸(3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザトリコサン二酸、22-{[20-(1,1-ジメチルエトキシ)-1,20-ジオキソエイコシル]アミノ}-10,19-ジオキソ-,2,3-(1,1-ジメチルエチル)エステル、(22S);9.5g、11mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PYBOP;5.7g、11mmol)、およびDMF(50g)を投入することにより、活性化エステルを調製する。
【化1】
【0097】
混合物を20分間撹拌して溶解し、次いで2,4,6-トリメチルピリジン(1.29g、10.6mmol)を添加する。活性化エステル混合物を13.5~15.8℃で20分間撹拌し、次いで25℃で反応器ジャケット付きのフィルタ反応器内の樹脂に加え、追加の5mLのDMFを使用してすすぎ、フラスコから移す。スラリーを29時間撹拌し、樹脂を排出してDMF(4×300mL;洗浄液体積は100mLで十分なはずである)で洗浄し、洗浄毎に5分間撹拌する。以前と同様に調製した活性化エステルの別のバッチを反応混合物に添加し、25℃で19時間撹拌する。樹脂を排出し、DMF(4×300mL;洗浄液体積は約100mLで十分なはずである)および塩化メチレン(4×300mL;洗浄液体積は100mLで十分なはずである)で洗浄し、洗浄毎に4分間撹拌する。使用したPYBOPのロットは最適な品質ではないことが判明したため、別のバッチの活性化エステル(新しいPYBOPの瓶を使用して、50gのDMFで以前のように試薬スケールの3分の1で調製)を反応混合物に添加し、25℃で18時間撹拌する。樹脂を排出し、DMF(4×300mL;洗浄液体積は約100mLで十分なはずである)およびイソプロパノール(4×300mL;洗浄液体積は100mLで十分なはずである)で洗浄し、洗浄毎に5分間撹拌する。製造工程では、PYBOPは高品質であるべきであり、式Iの中間体のカップリングには活性化エステルを1回だけ使用するべきである。樹脂を真空中40℃で一晩乾燥させる。
【0098】
切断カクテルを次のように調製する:ジチオスレイトール(DTT;12.33g、79.93mmol)および水(17.63g)を5L丸底フラスコ内で合わせる。ガラス製圧力瓶にTFA(538g、4720mmol)を投入し、5~10psigの窒素で4回の圧力パージサイクルで不活性化する。2分間隔で5L丸底フラスコに20g分量ずつ60gの不活性TFAを添加し、残りのTFAを5L丸底フラスコに2分にわたり追加する。トリイソプロピルシラン(9.37g、59.2mmol)および塩化メチレン(51g)を5L丸底フラスコに添加し、混合物を15℃に冷却する。
【0099】
樹脂からペプチドを切断して脱保護するには、乾燥樹脂をフィルタ反応器に投入し、塩化メチレンですすぐ。フィルタ反応器内の樹脂に切断カクテルを添加し、4.5時間撹拌する。樹脂から反応溶液を排出し、切断カクテルを調製した5L丸底フラスコに添加する。塩化メチレン(206g)を樹脂に添加し、5分間撹拌し、溶液を排出して、5L丸底フラスコに添加する。得られた混合物を撹拌し、-15℃のジャケット設定温度で冷却する。窒素を15分間吹き込むことにより不活性化したMTBE(754g)を1.5時間かけて添加し、続いて緩やかな窒素パージ下に維持する。スラリーを-8℃に加温して1時間撹拌し、次いで0℃に加温して1時間撹拌する。完全に乾燥させずにスラリーを窒素下で濾過し、次いで固体をMTBE(2×155g)で洗浄し、真空乾燥して、HPLCによって決定される40.9%効力で粗チルゼパチド(38.7g)を得る。-ivDde脱保護、式Iの酸とのカップリング、および樹脂の切断の過程で、出発樹脂の合計0.34mmolを構成する混合物から試料を採取する。これとHPLC効力とを考慮すると、このプロセスでのチルゼピチドの粗収率は48%である。
【0100】
バッチプロセス法
比較のために、チルゼパチドのバッチ製造プロセスを説明する。Fmoc Sieber樹脂(17kg、0.76mmol/g)を反応器に充填する。樹脂をDMFで膨潤させ、2時間撹拌し、次いで樹脂を濾過してDMFを除去する。次いで、樹脂をDMFで合計2回洗浄する。次いで、Fmoc保護樹脂を20%PIP/NMP処理を使用して脱保護する。Fmoc除去を確認するためのサンプリングは、最終的なPIP/NMP処理の後に行い、UV分析によって99%超Fmoc除去を確認する。最終的な20%w/wのPIP/NMP処理後、樹脂床をDMFで複数回洗浄する。次いで、各アミノ酸のカップリングおよび脱保護について以下の一般的な条件を使用して、ペプチド主鎖を構築する。
【表11】
【0101】
Fmocの脱保護:
ペプチド反応器内の樹脂は、20%v/vのPIP/NMP溶液を3回または4回充填して処理する。各処理を樹脂上で30分間撹拌した後、濾過してFmoc保護基の除去を完了する。最終的な20%v/vのPIP/NMP処理後、樹脂床を事前に指定されたDMF体積充填のDMFで最低6回洗浄する。
【0102】
アミノ酸活性化:
12%w/wのOxyma Pure/NMPの事前に調製された溶液を反応器に投入する。次いで、選択したFmocアミノ酸を添加する。Fmocアミノ酸が完全に溶解するまで混合物を20±5℃で撹拌する。次いで、わずかな発熱活性化反応を確実に制御するために、Fmoc-AA/Oxyma Pure/NMP溶液を活性化の前に15±3℃に冷却し、結果として生じる溶液温度を20±5℃の指定範囲に維持する。次いで、アミノ酸溶液をDIC添加によって活性化させる。次いで、樹脂中間体上のペプチドを含有する反応器に溶液を移す前に、活性化エステル溶液を20~30分間撹拌する。
【0103】
カップリング:
前活性化ステップが完了すると、活性化エステル溶液を樹脂上の脱保護されたペプチドを含有する反応器に移送し、カップリング反応を開始する。ペプチドカップリング反応を20±5℃で少なくとも4時間撹拌する。必要な撹拌時間の後、カップリング完了(IPC)のために樹脂スラリーをサンプリングする。合格するIPC結果が得られるまで、必要に応じて特定の間隔でサンプリングを繰り返す。必要に応じて、再カップリング操作を行う。カップリングが完了したら、ペプチド反応器溶液の内容物を濾過し、次いで樹脂中間体上のペプチドをDMFで数回洗浄して、次のカップリングの準備を行う。
【0104】
Ile(12)のAib(13)へのカップリング:
Fmoc-Ile(12)のAib(13)へのカップリングは、6当量のFmoc-AA、3当量のDICを利用する対称性無水物アプローチを使用して行う。活性化された対称性無水物種の形成を確実にするために、このシーケンスの活性化時間を40~60分間延長する。HPLC分析で決定した反応完了(1%未満の非カップリング)を達成するには、カップリング撹拌時間を延長(18時間)する必要がある。
【0105】
39アミノ酸主鎖中間体の合成に使用される材料の概要(図7):
サイクル当たり平均3.15のピペリジン投入量を、9mL/g樹脂(密度0.93g/mL)で、平均26.4g/g樹脂で使用する。平均7.2回のDMF洗浄を、サイクル当たり平均61.2g/g樹脂で、9mL/g樹脂(密度0.945g/mL)で脱保護後に行う。アミノ酸カップリングの場合、サイクル当たり平均7.25g/g樹脂で、サイクル当たり平均7.25mL/g樹脂のカップリング溶液を使用する(密度約1g/mL)。カップリング後、平均5回のDMF洗浄を、サイクル当たり平均42.5g/g樹脂で、9mL/g樹脂(密度0.945g/mL)で行う。
【0106】
各サイクルの合計で、樹脂1グラム当たり平均137gの材料が使用される。39アミノ酸主鎖中間体を生成するために39サイクルを実行すると(図7)、樹脂1グラム当たり5356gの材料が使用される。Sieber樹脂のモル容量は0.7mmol/gであるため、樹脂1mmol当たり使用される材料の総質量(樹脂自体の質量を含む)は、約7650g/mmolである。
【0107】
Lys-ivDde(20)脱保護、式Iへのカップリング、樹脂の切断、粗生成物分離:
Lys-ivDdeの脱保護、式Iの酸のカップリング、樹脂の切断、および粗チルゼパチドの単離のための残りのステップは、基本的に直列反応器の準備について記載したように行う。全体として、45.39kgのチルゼパチドが、45wt%および64%のHPLC面積パーセントの純度で生成される。Sieber樹脂に基づく含有収率=47%。
【0108】
方法の比較
同様の粗収率が、チルゼパチドのバッチおよび直列反応器生産によって得られる(それぞれ47%および48%)。直列反応器法では、39merの主鎖中間体を生成するために、出発樹脂1mmol当たり合計5.42kgの材料(溶媒および試薬および樹脂)が使用される(図7)。バッチプロセス法では、出発樹脂1mmol当たり合計7.65kgの材料が使用される。
【0109】
例:DMFリサイクルおよび削減された試薬当量を使用した断片の作製
直列設定の3つの反応器を改良し、GPSSGAPPPS-NH-樹脂であるチルゼパチド主鎖の最初の10アミノ酸残基を含有するペプチドを合成するために使用したが、Sアミノ酸はそれぞれ、t-ブチル基によって保護されている。
【0110】
装置の設定は、図3の蠕動ポンプ(435)を圧力伝達システムに置き換えたわずかな調整を除いて、図3に示されているものと同じであった。このシステムは、溶媒をポンピングするのではなく、移送缶を真空に引き、所望の反応器(RB1、RB2またはRB3)からの入口弁を開く。圧力センサを使用して、反応器が完全に排出されたときを判断する。これは、缶に溶媒ではなく窒素を引き込み始めると圧力が急速に上昇するためである。次いで、移送缶を加圧し、弁を所望の反応器(RB2、RB3または廃棄物/リサイクル)に対して開く。この技術は、反応器のより迅速かつ完全な排出を提供し、その結果、排出後の反応器内の残留溶媒が少なくなり、樹脂の洗浄が改善される。他の違いは、オンラインGC(ガスクロマトグラフ)を追加してピペリジンを測定し、十分な洗浄およびDMFリサイクル瓶を確保することである。
【0111】
図3のシステムとの類似点に関して、3つの反応器を直列に設定し、第1の反応器からの流出物を第2の反応器に、第2の反応器からの流出物を第3の反応器に、そして第3の反応器からの流出物を廃棄物に送った。ただし、洗浄操作のみ連続で行った。この実験では、Fmoc脱保護反応およびアミノ酸カップリング反応の両方に改良された条件も使用した。新しい反応条件により、過剰な試薬の大部分が排除され、一連の脱保護およびカップリング反応を最低限の利益で行うという概念が生まれた。Fmoc脱保護には、DMF中20%ピペリジンの1回の投入のみを使用した。この投入量は、約4体積量に減少した(出発乾燥樹脂の投入量基準)。この時点で、ピペリジンの廃棄物は、単一の反応器に4回以上の独立した9体積量投入量を使用した元のプロセスから約80%削減される。この操作を連続して行うピペリジンの潜在的な節約は、第3の反応器での脱保護副生成物(ピペリジン-ジベンゾフルベン付加物)の蓄積から生じ得る潜在的な問題に値しないとみなされた。そのため、各反応器は、Fmoc脱保護反応のために独立して操作された。
【0112】
PMIをさらに最小限に抑えるために、DMFリサイクル容器を追加するようにシステムを変更した。(PMIはProcess Mass Intensityであり、指定された量の製品を製造するために使用される材料の総質量として定義され、したがって1gの製品を製造するための2000gの材料は2000のPMIである。)リサイクル容器は、Fmoc脱保護後の洗浄の後半を収集するために使用され、すべての洗浄が連続して行われるため第3の反応器の下流にある。例えば、リサイクル容器は10回の洗浄のうち最後の5回を回収した。収集されたDMFは、1%程度のピペリジン濃度を有する。これは、脱保護反応後の反応器内のピペリジン濃度よりも大幅に低く、収集されたDMFは、その後の洗浄サイクルの前半に使用される。これにより、DMFの利用効率が向上し、廃棄物ストリーム中の平均ピペリジン濃度が上昇する。試料のキャリーオーバーを避けるためにオンラインLCMS機器(前述)を洗浄する必要があるため、洗浄に追加の変更を加えた。LCMS機器の洗浄により、3つの反応器のそれぞれに約80mLのDMFが得られる。この後、約50mLの新鮮なDMFのスプレーボールによる迅速洗浄を各反応器に対して行い、壁の樹脂が樹脂ベッドに確実に洗い流されるようにする。オンラインLCMSおよびスプレーボール洗浄は、直列洗浄プログラムで反応器に統合され、使用されるすべてのDMFは、直列の反応器を介して移送され、最終的なPMI計算に考慮される。
【0113】
以前の図3では、1つの反応器から次の反応器に材料を移送するのに蠕動ポンプを使用した。蠕動ポンプが反応器から遊離溶媒を完全に排出していない場合がある。これにより、洗浄効率が低下し、PMIが増加する。したがって、反応器からすべての液体をよりよく排液するために、圧力伝達を使用するように変更を加えた。1つの移送容器が追加し、すべての反応器、廃棄物、およびDMFリサイクル容器に接続した。反応器から移送容器への移送には、自動シーケンスを使用する。移送容器を真空引きし、移送缶の容器底部の間の弁を開く。弁は、移送容器内の圧力が所定の設定値に達すると閉じる。移送容器が加圧され、ターゲット容器の上部につながる弁が開かれ、移送容器内の圧力が設定値を下回るまで移送が行われる。
【0114】
洗浄液のオンライン分析も追加した。洗浄液中の残留ピペリジンを監視できるように、廃棄物ラインにオンラインGCを設定した。プログラムは、第3の反応器からの最後の3回の洗浄が分析されるように設定した。さらに、カップリング後の洗浄時に残留アミノ酸の洗浄液をサンプリングするために、オンラインLCMSを利用した。収率の低下を防ぐために、洗浄試料をトリガーする前に樹脂を沈降させた。浸漬チューブは樹脂の上の液体層にあるため、これにより樹脂がサンプリングされるのが防止された。
【0115】
各サイクルのPMIの正確な計算が得られた。この特定の実験のために、第3の反応器からすべての反応監視試料を採取したが、これは、洗浄効率が低いために残留材料のレベルが最も高いことから、反応が最も遅いと予想されるためである。反応器3での反応が完了すると、3つの反応器すべてが完了すると想定される。これは、各試料が受けるキャリーオーバーの影響がごくわずかであるため、オンラインLCMSでのキャリーオーバーの問題にも役立つ。キャリーオーバーが5%であると仮定すると、100%完了したカップリング反応は、前の脱保護反応試料の5%のために95%の完了しか測定できない場合がある。3つの反応器のそれぞれが連続してサンプリングされる場合、この5%のエラーが試料のそれぞれで広く見られる可能性があり、3時間後でも反応は完了していないように見える。反応器が1つだけサンプリングされた場合、完全な変換を仮定すると、最初の試料の変換は95%であるが、2番目の試料は99.75%の変換となり、反応はわずか2時間後に停止する可能性がある。実験の履歴は、特にFmoc脱保護反応に関して、必要以上に長く反応することに関連して品質上の不利益があることを示唆している。反応器を1つだけサンプリングするリスクは、過剰な追加の撹拌時間なしで、反応が完了したときに反応を停止することで生じる潜在的な品質改善に比べて無視できると認識される。
【0116】
この実験では、目標は、10回の洗浄サイクルを利用してピペリジン濃度を2000ppmに低減することであった。ピペリジン脱保護後の洗浄の結果を表10に示す。モデルを使用して、10回の洗浄および試料カートの清浄化サイクル後に約2000ppmのピペリジンをもたらすのに必要な洗浄液投入量を予測した。シミュレーションでは、以前の樹脂の膨潤およびピペリジン吸着の実験データを利用した。一部の試料は機器の故障により欠落したが、最終サイクルのみを除いて、2000ppmの目標は正常に達成された。
【表12】
【0117】
カップリング反応の後、システムを3回の洗浄液投入で連続して洗浄した。その後、同じ試料カートの清浄化手順を使用した。残留AAの十分な定量化方法が開発されていなかったため、ペプチドが成長し、溶媒ホールドアップが増加するにつれて、洗浄液投入毎により徐々に多くのDMFを使用した。
【0118】
直列の第3の反応器で反応の監視を行った。オンラインLC-MSシステムを、前の実験と同様に使用した。脱保護の結果を表11に示す。定量化の方法論が報告不足に偏っていること、および試料分析が実際の反応より1時間遅れているという事実を理解した上で、反応を停止して続行する前に98%の変換が望ましかった。2時間の試料が処理されるまでに、すべての脱保護が続行の閾値に達した。処理時間は1時間強である。
【表13】
【0119】
カップリング反応についても同様の監視を行った。結果を表12に示す。Gly30を除くすべてのカップリングが、2時間の試料の結果が判明するまでに停止された。Gly30カップリングの変換率が低いという一般的な理論は、洗浄後に高レベルの残留ピペリジンが存在するというものであった。Gly30反応のために再カップリングを行い、再カップリングによりカップリング変換率はすぐに99.2%となり、反応を停止させた。
【表14】
【0120】
この実験の主な焦点は、最小限の原材料で高品質の材料を作製することであった。各サイクルの脱保護に使用される材料の量を表13に示す。材料量は、各サイクルにつきg/mmolで示される。ペプチドのmmolはサイクル毎に低減するため、10サイクルにわたる総材料使用量を合計して最終ミリモルで割っても、開始ミリモルでも正確な数値は得られない。
【表15】
【0121】
脱保護後の洗浄に使用されるDMFを表14に示す。表15は、3つの反応器のそれぞれについて各サイクルに使用されるカップリング試薬のモル当量を列挙している。各カップリングサイクルに使用される材料の合計を表16に示す。表17は、カップリング後の洗浄に使用されるDMFを示す。
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0122】
各ステップからのデータを取得して、現在のバッチ製造プロセスに対して化合物毎および全体としての原材料の使用を比較した概要を作成した。表18は、カップリング試薬の使用が37%削減されたのに対し、ピペリジンの使用は84%削減されたことを示している。洗浄に使用されるDMFは、プロセスで使用される材料の大部分であり、総消費重量の90%をはるかに超えており、DMF消費量の削減がこの実験の主な目標であった。DMFの使用は、チルゼパチドのバッチ製造プロセスの最初の10サイクルと比較して79%削減された。合計で、新しいプロセス技術の実験的な実証では、357g/mmolのペプチドが使用された。比較すると、現在のバッチ製造プロセスでは1690g/mmolが使用される。これは合計で79%の削減に相当する。
【表20】
【0123】
材料消費量のほぼ80%の削減を確立した後、実験の最後の部分は、得られる材料が高品質であることの実証であった。3つすべての反応器からの材料を、AA R基上のすべての保護基を維持しながら樹脂からのペプチドのソフト切断に供した。表19に示されるHPLC分析では、3つの反応器すべてで高い品質が示された。若干驚いたことに、品質と反応器との間にはまったく相関がなかった。仮説は、直列の第3の反応器が第1の反応器ほど洗浄されていないため、3つの反応器全体でわずかな純度の低下があるというものだった。この発見は、使用された洗浄戦略が十分ではないことを証明している。理論的には、残留ピペリジンおよびAAの洗浄標的を増やすことができ、これにより材料の消費がさらに削減され得る。
【表21】
【0124】
例:DMF溶媒中のSPPSによるテルゼパチド四量体の構築
次のチルゼパチド四量体は、4つのアミノ酸を含む。
【化2】
この四量体は、以下のテキストで説明されるローディング法および直列反応器法により達成される線形固相ペプチド合成(SPPS)を使用して合成される。表20は、チルゼパチド四量体主鎖の合成に使用される4つのアミノ酸の配列を列挙している。四量体中間体の最初のアミノ酸グリシンは、以下に示すように、ローディング法を使用して2-クロロトリチルクロリド(CTC)樹脂固体支持体に最初にロードされることに留意されたい。(CTC樹脂固体は下の丸で示される)。
【化3】
【表22】
【0125】
残りの3つのアミノ酸は、直列反応器法を使用して構築される。グリシン、グルタミン酸、2-アミノイソ酪酸のα-窒素は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護され、チロシンのα-窒素はt-ブチルオキシカルボニル(Boc)で保護されている。グルタミン酸およびチロシンの酸素は、tert-ブチル(tBu)によって保護されている。
【0126】
ローディング法
Fmoc-Gly-OHカップリング溶液を調製する:5000mLの標本瓶にFmoc-Gly-OH(142.7g、480.0mmol)をDMFで1.8L溶液の体積まで溶解する。次いで、N-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(309g、2390.9mmol)を添加し、内容物を5分間撹拌する。
【0127】
樹脂カップリング
10Lガラス大規模ペプチド合成機に、CTC樹脂(380g、610mmol、1.6mmol/g)を添加する。DMF(2400mL)を添加し、15分間撹拌する。残りの溶液を排出して廃棄する。樹脂をDMF(2400ML)で15分間撹拌しながら2回洗浄する。さらにN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(62g、479.73mmol)を添加し、周囲温度で合計18時間撹拌する。18時間終了後、溶液を排出し、樹脂をDMF(1800mL)で5分間の混合とともに5回洗浄する。
【0128】
樹脂キャッピング
DMF(900mL)、N-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(145.8g、1128mmol)およびメタノール(191g、5960.9mmol)を瓶に添加し、室温で2分間撹拌する。溶液を樹脂に添加し、60分間撹拌し、その後溶液を排出する。樹脂をDMF(1800mL)でそれぞれ5分間撹拌しながら5回洗浄する。さらに、樹脂をDCM(1800mL)でそれぞれ5分間撹拌しながら5回洗浄する。樹脂を乾燥ディスクに移送し、35℃で一定重量になるまで真空乾燥する。
【0129】
NMRによって測定された0.85mmol/gのFmoc-Gly-OHローディングで、乾燥樹脂を473.37gと秤量する。
【0130】
直列反応器法
原料調製
次のようにDMF中のピペリジンの20体積%溶液を調製する:DMFの添加によりピペリジン(2.0L)を10.0Lの体積まで希釈し、20体積%の溶液を得る。
【0131】
DMF中のオキシマの1.25mol/kgの溶液を次のように調製する:エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート(オキシマ、195.69g)をDMF(905.91g)に溶解して1.25mol/kgの溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0132】
DMF中のDICの1.25mol/kgの溶液を次のように調製する:N,N’-5ジイソプロピルカルボジイミド(191.16g)をDMF(1020.60g)に溶解して1.25mol/kgの溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0133】
DMF中のグルタミン酸の0.40mol/kgの溶液を次のように調製する:Fmoc-Glu(tBu)-OH(162.85g)をDMF(755.15g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0134】
DMF中のFmoc-Aib-OHの0.40mol/kgの溶液を次のように調製する:Fmoc-Aib-OH(119.50g)をDMF(798.51g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0135】
DMF中のBoc-Tyr(tBu)-OHの0.40mol/kgの溶液を次のように調製する:Boc-Tyr(tBu)-OH(123.89g)をDMF(794.11g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0136】
反応システムを次のように準備する:CTC樹脂(108g、0.85mmol/g、91.8mmol)を添加し、反応器「RB1」、「RB2」、および「RB3」の間で均等に分割する。各反応器に350mLのDMFを添加し、室温で2時間撹拌して樹脂を膨潤させる。
【0137】
一般手順A-Fmoc脱保護およびDMF洗浄プロセス:Fmoc脱保護を、RB1、RB2、およびRB3の3つの反応器すべてに対して並行して進行させる。より具体的には、RB1にピペリジンの溶液(DMF中20体積%、202.4g)を添加し、5mlのDMFでピペリジン移送ラインをすすぎ、撹拌を開始する。同様に、205.4gおよび205.2gの20体積%ピペリジン溶液をRB2およびRB3にそれぞれ添加し、ピペリジンラインをすすぐ。次いで、3つの反応器を同時に並行して脱保護するために、20℃で120分間撹拌する。TZP四量体構築全体に対するピペリジン溶液投入量を表21にまとめる。脱保護反応は、サンプリングカートで支持されているオンラインLC-MSを使用して監視する。脱保護された四量体中間体の質量スペクトルは、分子量が低いために表にすることができないことから、脱保護変換を定量的に決定することはできない。しかしながら、脱保護の完了は定性的に検証して、Fmoc保護四量体の抽出イオンピークがゼロであることを確認することができる。
【0138】
脱保護後、圧力伝達システムを使用して、3つすべての反応器から溶液を廃棄物タンクに排出する。脱保護後のDMF洗浄は、直列反応器方式を用いて行われること、すなわち、DMF洗浄溶媒は、最初にRB1に投入され、次いでRB2およびRB3に移送さることに留意されたい。樹脂中の残留ピペリジンを除去するために、以下の詳細な手順で10回のDMF洗浄サイクルが適用される。最初の5回のDMF洗浄では、DMFリサイクル容器からリサイクルDMFをRB1に均等に分割した溶媒質量とともに添加し、撹拌する(すなわち、リサイクル容器内のDMF質量を5回の洗浄サイクルで均等に分割し、RB1に投入する)。DMFリサイクル容器が空になり、最初の5回のDMFリサイクル洗浄が完了した後、残りの5回の洗浄サイクルのために、DMF溶媒容器から新鮮なDMFが投入される。最初の5回の洗浄サイクルで使用されたDMFは廃棄物タンクに廃棄されるが、残りの5回の洗浄サイクルで使用されたDMF溶媒は代わりにDMFリサイクルタンクに収集され、次のアミノ酸構築で再利用される。洗浄サイクル全体で5分間の撹拌時間が適用される。10回の洗浄サイクルが完了した後、追加の試料カート清浄化サイクルが適用され、100mlの新鮮なDMFが3つの反応器のそれぞれに投入される。次いで、RB1およびRB2からのDMFはRB3に移送され、最終的にDMF溶媒リサイクル容器に収集される。脱保護後のDMF洗浄に使用される材料を表22にまとめる。最後の3回の洗浄サイクルから排出されたDMF溶液のピペリジン濃度は、オンラインGCを使用して測定され、表23にまとめられている。最終的な残留ピペリジン濃度は、合成全体で500ppm未満に制御される。
【表23】
【表24】
【表25】
【0139】
一般手順B-アミノ酸の活性化およびカップリングプロセス:ジャケット付き反応器RAに、グルタミン酸溶液(0.4mol/kg、401.2g)、オキシマ溶液(1.25mol/kg、128.5g)、DIC溶液(1.25mol/kg、141.2g)を添加する。溶液を20℃で30分間撹拌して活性グルタミン酸溶液を形成し、RB1(225.4g)、RB2(225.4g)およびRB3(227.4g)に添加する。18時間のカップリング時間が適用されるチロシンカップリングを除いて、反応器RB1、RB2およびRB3を20℃で8時間撹拌する。カップリング時間に達したら、圧力伝達を使用して、3つの反応器すべてから溶液を廃棄物タンクに排出する。反応の最後に、カイザーテストによりカップリングの完了を確認する。カップリングに使用される材料を表24にまとめるが、これは構築全体にわたる当量比の使用を詳細に示している。
【0140】
一般手順Aと同様の直列反応器様式でカップリングした後、新鮮なDMFを使用して3サイクルで反応器RA、RB1、RB2およびRB3を洗浄する。より具体的には、スプレー弁を介して新鮮なDMFをRAに添加し、次いで直列のRB1、RB2およびRB3に添加する。試料カート清浄化手順は、一般的順Aと同様の様式で行われることに留意されたい。その後、3回のDMF洗浄サイクルおよび追加の試料カート清浄化サイクルからの使用済みDMFはすべて、廃棄物タンクに廃棄される。カップリング後のDMF洗浄に使用される材料を表25にまとめる。
【表26】
【表27】
【0141】
TZP四量体純度分析法
Boc-Tyr 1の結合後、3つの反応器すべてから樹脂を乾燥ディスクに移送し、塩化メチレンで洗浄して脱膨潤させ、乾燥させる。四量体試料をtBuでソフト切断し、Boc保護基がペプチドに残留し、その純度を次の方法で分析する。樹脂上のペプチド500mg毎に、10mLの30%ヘキサフルオロ-2-プロパノール/塩化メチレン(v/v)をシンチレーションバイアルに添加する。ロータリーミキサーで2時間混合する。樹脂ケーキを濾過し、塩化メチレン10mlで洗浄する。ロタベーパーで油に濃縮する。UPLC-MS分析のために、四量体油を50%アセトニトリル/水(v/v)でさらに希釈する。RB1、RB2およびRB3の得られたTZP四量体の純度は、それぞれ99.23%、99.58%および99.39%である。
【0142】
TZP四量体合成のバッチプロセス法
600mmolのTZP四量体バッチプロセスを、直列反応器技術との比較のために以下に説明する。新しい技術により使用される直列の3つのバッチ反応器の代わりに、単一のバッチ反応器がバッチプロセスに使用されることに留意されたい。使用される材料を表26にまとめる。
【0143】
Fmoc-Gly-OHローディング
CTC樹脂(500g)を反応器に入れる。樹脂をDMFで膨潤させ、撹拌する。DMF/DCMとともにFmoc-Gly-OHを反応器に添加し、2時間ローディングする。溶液を排出し、DMFで洗浄する。DMF/DIPEA/MeOHを反応器に2回添加し、キャッピングのために排水し、それぞれ20分間撹拌する。Glyロード樹脂をDMFでさらに洗浄する。ローディングは、1.2mmol/gと決定される。
【0144】
Fmocの脱保護
Fmoc脱保護は、DMF中の20%ピペリジンの2回の撹拌を使用する。撹拌毎に、80分の反応時間を適用し、脱保護試薬を排出し、濾過する。脱保護反応が完了したら、6.5容量のDMFで5分間撹拌しながら8回洗浄する。脱保護の完了を確認するために、クロラニルテストを使用する。
【0145】
アミノ酸活性化
オキシマ溶液(2当量、1.25mol/kg)を予備活性化反応器に添加し、次いでアミノ酸(2当量)を追加のDMF溶媒とともに添加して、アミノ酸濃度を0.4mol/kgに希釈する。次いで、DIC溶液(2.2当量、1.25mol/kg)を反応器に添加して、活性化を開始する。Gluには2時間の活性化時間を適用し、AibおよびTyrには15分の撹拌を使用する。活性化プロセスを20℃に維持する。
【0146】
カップリング
活性化エステル溶液を、樹脂上の脱保護ペプチドを含む反応器に移送する。GluおよびAibには8時間の撹拌時間を適用するが、Tyrカップリングには18時間が必要である。反応の完了を確認するためにカイザーテストを使用する。カップリングが完了したら、カップリング溶液を排出し、残りの活性化エステルを除去するために、3×6.5体積量のDMF洗浄液を使用する。
【0147】
純度分析
バッチプロセス用のTZP四量体試料を決定するために、UPLC-MSとともに同様のソフト切断分析法を使用する。純度は99.6%と決定される。
【表28】
【0148】
方法の比較
直列反応器技術およびバッチ法で同様のTZP四量体純度が得られる(それぞれ99.3%および99.6%)。直列反応器法では、TZP四量体を生成するのに開始樹脂1mmol当たり118.9gの全材料(溶媒、試薬は樹脂を除く)が利用される。バッチ法では、開始樹脂1mmol当たり218.8gの全材料(溶媒、試薬は樹脂を除く)が適用される。全体として、新しい直列反応器により、従来のバッチ法と比較してPMIを45.7%削減することができる。
【0149】
例:N-ブチルピロリジノン/フラングリーン代替溶媒中での固相ペプチド合成(SPPS)によるチルゼパチド四量体の構築
従来の固相ペプチド合成では、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタンなどの有毒な溶媒が大量に使用され、これは産業衛生および環境保護に課題をもたらしている。このため、次世代SPPS技術のための直列反応器法のPMI削減の利点を備えた、より環境に優しい代替溶媒の開発に強い関心が寄せられている。NBP/フラン(特にテトラヒドロフランおよび2-メチルテトラヒドロフランが好ましい)二成分系は、広範な事前スクリーニング研究からの、ポリスチレンベース樹脂の優れた膨潤、カップリング試薬の溶解性、ならびに高いカップリングおよび脱保護反応性能により、代替のグリーン溶媒として選択されている。前の例でDMF溶媒を使用したTZP(テルゼパチド)四量体合成と連続して比較する目的で、NBP/THFグリーン代替溶媒系を適用してチルゼパチド四量体を合成する。
【化4】
【0150】
この四量体の構築は、次のテキストで説明されている直列反応器法を使用している。アミノ酸配列を表27に示す。ここで、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基は、グリシン、グルタミン酸、および2-アミノイソ酪酸のα-窒素を保護し、一方t-ブチルオキシカルボニル(Boc)およびtert-ブチル(tBu)は、それぞれチロシンのα-窒素およびグルタミン酸の酸素を保護する。DMF溶媒例におけるTZP四量体合成で調製されたFmoc-Gly-OHロードCTC樹脂(0.85mmol/gのローディング)が、NBP/THFグリーン溶媒例に使用されることに留意されたい。詳細なローディング方法については、前の例を参照されたい。同様の直列反応器法を使用して、CTC樹脂上のNBP/THF溶媒系で残りの3つのアミノ酸を構築する。これを以下に示す。
【化5】
【表29】
【0151】
NBP/フラン代替溶媒法を用いた直列反応器
原料調製
次のようにNBP/THFでピペリジンの20体積%溶液を調製する:NBP/THF(1.5:1 v:v)の添加によりピペリジン(2.0L)を10.0Lの体積まで希釈し、20体積%の溶液を得る。
【0152】
NBP/THF(2:1、v:v)中のオキシマの0.72mol/kgの溶液を次のように調製する:エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート(オキシマ、176.1g)をNBP:THF(2:1、v:v)(1545.1g)に溶解して0.72mol/kgの溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0153】
NBP/THF(2:1、v:v)中のDICの0.72mol/kgの溶液を次のように調製する:N,N’-5ジイソプロピルカルボジイミド(172.0g)をNBP/THF(2:1、v:v)(1721.3g)に溶解して0.72mol/kgの溶液を得、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0154】
NBP/THF(2:1、v:v)中のグルタミン酸の0.35mol/kgの溶液を次のように調製する:Fmoc-Glu(tBu)-OH(175.8g)をNBP/THF(2:1、v:v)(1004.5g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0155】
NBP/THF(2:1、v:v)中のFmoc-Aib-OHの0.35mol/kgの溶液を次のように調製する:Fmoc-Aib-OH(139.4g)をNBP/THF(2:1、v:v)(1045.9g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0156】
NBP/THF(2:1、v:v)中のBoc-Tyr(tBu)-OHの0.45mol/kgの溶液を次のように調製する:Boc-Tyr(tBu)-OH(139.4g)をNBP/THF(2:1、v:v)(1040.9g)に溶解し、振って溶解し、次いで溶液に2SCFHで窒素を吹き込む。
【0157】
反応システムを次のように準備する:CTC樹脂(108g、0.85mmol/g、91.8mmol)を添加し、反応器「RB1」、「RB2」、および「RB3」の間で均等に分割する。各反応器に350mLのNBP/THF(1.5:1、v:v)を添加し、20℃の室温で1時間撹拌して樹脂を膨潤させる。
【0158】
一般手順A-Fmoc脱保護およびNBP/THF洗浄プロセス:Fmoc脱保護を、RB1、RB2、およびRB3の3つの反応器すべてに対して並行して、30℃で特定の期間、NBP/THF(1.5:1、v:v)中の20%ピペリジン溶液で進行させる。次いで、溶液を廃棄物タンクに排出し、追加のピペリジン溶液を添加して脱保護し、反応が完了するまで撹拌する。より具体的には、例としてFmoc-Gly-OHの1回目の脱保護撹拌では、RB1にピペリジンの溶液(NBP/THF(1.5:1、v:v)中20体積%、209g)を添加し、5mlのNBP/THF(1.5:1、v:v)溶媒混合物でピペリジン移送ラインをすすぎ、撹拌を開始する。同様に、208.8gおよび205gの20体積%ピペリジン溶液をRB2およびRB3にそれぞれ添加し、ピペリジンラインをすすぐ。次いで、3つの反応器を並行して脱保護するために30℃で45分間撹拌し、その後溶液を排出する。オンラインLC-MSをサンプリングし、Fmoc保護四量体の抽出イオンピークがゼロであるかどうかを定性的に検証して、反応の完了を確認する。Fmoc-Gly-CTCを完全に脱保護させるために、RB1/2/3にさらに5回の並行脱保護撹拌を適用する。同様の脱保護撹拌戦略を、2回の脱保護撹拌によるGlu3およびAib4脱保護に適用する。表28は、TZP四量体構築全体のピペリジン溶液投入量をまとめたものである。
【0159】
NBP/THF(1.5:1、v:v)溶媒混合物を30℃で反応後洗浄に使用し、同様の直列反応器および溶媒リサイクル戦略を適用する。より具体的には、RB1/2/3を、TZP四量体構築全体で10回のNBP/THF洗浄サイクルで洗浄する。リサイクル容器内の使用済みNBP/THF溶媒を5つの投入量に均等に分割し、直列のRB1/2/3に添加して、最初の5回の洗浄サイクルでそれぞれ5分間撹拌する。最初の5回のNBP/THF使用済み溶媒はすべて、使用後に廃棄物タンクに廃棄される。残りの5回の洗浄では、直列のRB1/2/3の洗浄に新鮮なNBP/THFを使用し、次のアミノ酸脱保護後洗浄のために準備したNBP/THFリサイクル容器に収集する。最後に、試料カート清浄化サイクルとしてNBP/THFを3つの反応器にそれぞれ100ml入れ、さらにリサイクル容器に収集する。表29は、脱保護後洗浄の物質収支をまとめたものであり、表30は、すべてのサイクルで600PPM未満である合成全体での残留ピペリジン濃度を詳述したものである。
【表30】
【表31】
【表32】
【0160】
一般手順B-NBP/THF中でのアミノ酸の活性化およびカップリングプロセス:活性化およびカップリング反応において、NBP/THF体積比を2:1に調整して、試薬の溶解性を高める。Fmoc-Glu(tBu)-OHカップリングを例に挙げると、ジャケット付き反応器RAに、グルタミン酸溶液(0.35mol/kg、786.4g)、オキシマ溶液(0.72mol/kg、382.4g)、DIC溶液(0.72mol/kg、420.6g)を添加し、30℃で70分間撹拌して活性化グルタミン酸溶液を形成し、それぞれRB1(531.9g)、RB2(529.7g)およびRB3(533.9g)に移送する。反応器RB1、RB2およびRB3を30℃で8時間撹拌し、その後3つの反応器すべてから溶液を廃棄物タンクに排出する。反応の最後に、カップリングの完了をカイザーテストでチェックする。Gluカップリングは最初のカップリングステップの後で完了していないため、1.5当量比のFmoc-Glu(tBu)-OH活性化溶液をさらに添加して、カイザーテストに合格するまでさらに19時間カップリングさせる。ただし、残りのAib2およびTyr1のカップリングでは、それぞれ8時間および18時間の撹拌時間による1回のカップリングステップのみを適用する。表31は、カップリング中の詳細な材料の使用をまとめたものである。
【0161】
NBP/THF(1.5:1、v:v)溶媒を使用したカップリング後の洗浄では、RA、RB1、RB2、およびRB3をすすぐために3回の洗浄サイクルを適用する。より具体的には、スプレー弁を介して新鮮なNBP/THF溶媒をRAに投入し、次いで直列のRB1、RB2およびRB3に3回投入する。脱保護後の洗浄として、同様の試料カート清浄化手順を行う。使用済みのカップリング後溶媒はすべて、廃棄物タンクに廃棄される。カップリング後のNBP/THF洗浄に使用される材料を表32にまとめる。
【表33】
【表34】
【0162】
結果の要約
Boc-Tyr1のカップリング後、樹脂を塩化メチレンで洗浄し、乾燥させる。次いで、試料を30%ヘキサフルオロ-2-プロパノール/塩化メチレン(v/v)でソフト切断し、UPLC-MS分析用に単離する。RB1、RB2およびRB3の得られたTZP四量体の純度は、それぞれ92.19%、94.64%および98.04%である。主な不純物はグルタミン酸付加物である。これは主に、例で適用された二重グルタミン酸カップリング戦略によるものである。Gly4脱保護およびGlu3カップリングの問題は、Fmoc-Gly-CTC脱保護前の樹脂膨潤時間を長くすること(>8時間)で軽減できることに留意されたい。例えば、1mmolスケールでのNBP/2-MeTHF(1.5;1、v:v)グリーン溶媒を使用した12時間の樹脂膨潤により、99.6%のTZP四量体純度が得られる。このため、より最適なプロセス条件下でNBP/フラングリーン溶媒および直列反応器技術を使用することで、ペプチド純度の大幅な向上が達成され得る。NBP/THFグリーン溶媒を使用する直列反応器法では、TZP四量体を生成するのに出発樹脂1mmol当たり252.71gの全材料(溶媒、試薬は樹脂を除く)が利用される。DMFを使用した従来のバッチ法では218.8g/mmolが使用され、DMFを使用した直列反応器法では118.9mmolが使用された。NBP/THFを使用した手順は新しく、最適化されておらず、DMFを使用した手順よりも多くの全溶媒を使用した。しかしながら、直列反応器は、いずれの溶媒系についても、単一のバッチ反応器と比較してより少ない溶媒を使用する。
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