(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ロボットプログラミング装置、及びロボットプログラミング方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240109BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 J
(21)【出願番号】P 2022557483
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2021038255
(87)【国際公開番号】W WO2022085587
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2020177169
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】米山 寛之
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-1122(JP,A)
【文献】特開2000-190195(JP,A)
【文献】特開平6-47688(JP,A)
【文献】特開平9-91027(JP,A)
【文献】特開平9-244722(JP,A)
【文献】特開2020-37154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0143991(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109976259(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
G05B 19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング装置であって、
3次元の仮想空間内に前記ロボットのロボットモデル、前記把持物の把持物モデル、及び前記固定物の固定物モデルを配置するモデル配置部と、
前記把持物モデルの外周上で前記固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定する基準線指定部と、
前記固定物モデル上で前記基準線を転写する転写開始点を指定する転写開始点指定部と、
前記転写開始点を開始点として前記基準線を前記固定物上に転写して動作軌道を作成する動作軌道作成部と、
を備えるロボットプログラミング装置。
【請求項2】
前記基準線、及び前記動作軌道に基づいて、前記把持物を前記固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成する動作プログラム作成部を、さらに備える請求項1に記載のロボットプログラミング装置。
【請求項3】
コンピュータにより実現される、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング方法であって、
3次元の仮想空間内に前記ロボットのロボットモデル、前記把持物の把持物モデル、及び前記固定物の固定物モデルを配置し、
前記把持物モデルの外周上で前記固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定し、
前記固定物モデル上で前記基準線を転写する転写開始点を指定し、
前記転写開始点を開始点として前記基準線を前記固定物上に転写して動作軌道を作成する
ロボットプログラミング方法。
【請求項4】
前記基準線、及び前記動作軌道に基づいて、前記把持物を前記固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成する、請求項3に記載のロボットプログラミング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットプログラミング装置、及びロボットプログラミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ツールを搭載したロボット、ワーク、及び少なくとも1つの周辺機器の3次元モデルを画面に配置して同時に表示し、ワークの3次元モデル上で加工線を指定し、指定された加工線に基づいて生成される教示点の動作形式、速度、位置、及び姿勢を指定し、指定された加工線と、指定された動作形式、速度、位置、及び姿勢とに基づいてワークの加工作業を行うためのロボットの動作プログラムを生成する技術が知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロボットが把持したローラーを平面ブロックに押し当て、ローラーに設置された模様(例えば、シール等)を平面ブロックに貼り付ける動作プログラムや、ロボットが把持したワークをベルトサンダーに押し当て、ワークを磨く動作プログラム等を作成する際、上記の従来技術ではロボットが把持したローラーを平面ブロックに、又はロボットが把持したワークをベルトサンダーに、常に押し当てた状態でロボットが動作する動作プログラムを作成することは困難である。
例えば、教示を行う際には作業者が現場でロボットが把持したローラーを平面ブロック、又はロボットが把持したワークをベルトサンダーに接するようにロボットを移動させ、1点ずつ確認しながら手作業で教示しなければならないため、教示作業に多くの工数が必要となる。
【0005】
そこで、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボットプログラミング装置の一態様は、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング装置であって、3次元の仮想空間内に前記ロボットのロボットモデル、前記把持物の把持物モデル、及び前記固定物の固定物モデルを配置するモデル配置部と、前記把持物モデルの外周上で前記固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定する基準線指定部と、前記固定物モデル上で前記基準線を転写する転写開始点を指定する転写開始点指定部と、前記転写開始点を開始点として前記基準線を前記固定物上に転写して動作軌道を作成する動作軌道作成部と、を備える。
【0007】
本開示のロボットプログラミング方法の一態様は、コンピュータにより実現される、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動する前記ロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング方法であって、3次元の仮想空間内に前記ロボットのロボットモデル、前記把持物の把持物モデル、及び前記固定物の固定物モデルを配置し、前記把持物モデルの外周上で前記固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定し、前記固定物モデル上で前記基準線を転写する転写開始点を指定し、前記転写開始点を開始点として前記基準線を前記固定物上に転写して動作軌道を作成する。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るロボットプログラミング装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】表示部に表示された仮想空間の画面の一例を示す図である。
【
図3A】基準線指定部により指定された基準線の一例を示す図である。
【
図4】基準線と動作軌道との関係の一例を示す図である。
【
図5A】動作軌道作成部の動作を説明する一例を示す図である。
【
図5B】動作軌道作成部の動作を説明する一例を示す図である。
【
図5C】動作軌道作成部の動作を説明する一例を示す図である。
【
図5D】動作軌道作成部の動作を説明する一例を示す図である。
【
図6A】ロボットの動作プログラムの教示位置とロボットから見た動作軌道に転写された点の位置との関係を説明する一例を示す図である。
【
図6B】基準線を構成する各点から見たロボットのツール先端点の位置を説明する一例を示す図である。
【
図7】作成された動作プログラムに基づくロボットの動作経路の一例を示す図である。
【
図8】ロボットプログラミング装置の動作プログラム作成処理について説明するフローチャートである。
【
図9】表示部に表示される仮想空間の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態の構成について図面を用いて詳細に説明する。ここでは、作業空間においてロボットがローラーを把持し、把持したローラーを平面板状のワークである平面ブロックに押し当てて、ローラーに設置されたシール等を平面ブロックに貼り付ける場合を例示する。なお、本発明は、後述するように、ロボットがワークを把持し、把持したワークをベルトサンダーに押し当てて、ワークを加工する場合に対しても適用可能である。
【0011】
図1は、第1実施形態に係るロボットプログラミング装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、ロボットプログラミング装置1は、公知のコンピュータであり、制御部10、入力部11、表示部12、及び記憶部13を含む。制御部10は、仮想空間作成部101、モデル配置部102、基準線指定部103、転写開始点指定部104、動作軌道作成部105、及び動作プログラム作成部106を含む。また、記憶部13は、モデルデータ131を含む。
なお、ロボットプログラミング装置1は、ロボット(図示しない)の動作を制御するロボット制御装置(図示しない)とLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して相互に接続されていてもよい。あるいは、ロボットプログラミング装置1は、ロボット制御装置(図示しない)と図示しない接続インターフェースを介して互いに直接接続されてもよい。
【0012】
<入力部11>
入力部11は、例えば、キーボードや、後述する表示部12に配置されたタッチパネル等であり、作業者からの入力を受け付ける。
【0013】
<表示部12>
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ等である。表示部12は、後述するように、例えば入力部11を介して作業者により入力(選択)されたロボット(図示しない)、当該ロボットが把持するローラーやワーク等の把持物、及び当該把持物を押し当てる平面ブロックやベルトサンダー等の固定物の3D CADデータ等を表示する。
【0014】
<記憶部13>
記憶部13は、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等であり、各種の制御用プログラムとともに、モデルデータ131を記憶してもよい。
モデルデータ131は、上述したように、例えば入力部11を介して作業者により入力(選択)され、表示部12に表示されるロボット(図示しない)、当該ロボットが把持するローラー等の把持物、及び当該把持物を押し当てる平面ブロック等の固定物の3D CADデータ等を記憶する。
【0015】
<制御部10>
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUはロボットプログラミング装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従ってロボットプログラミング装置1全体を制御する。これにより、
図1に示すように、制御部10が、仮想空間作成部101、モデル配置部102、基準線指定部103、転写開始点指定部104、動作軌道作成部105、及び動作プログラム作成部106の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。また、CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、ロボットプログラミング装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0016】
仮想空間作成部101は、ロボット(図示しない)、ローラーの把持物、及び平面ブロックの固定物が配置される作業空間を3次元的に表現した仮想空間を作成する。
【0017】
モデル配置部102は、仮想空間作成部101により作成された3次元の仮想空間内にロボット(図示しない)の3D CADデータ(以下、「ロボットモデル」ともいう)、ローラー(把持物)の3D CADデータ(以下、「把持物モデル」ともいう)、及び平面ブロック(固定物)の3D CADデータ(以下、「固定物モデル」ともいう)を配置する。
具体的には、モデル配置部102は、仮想空間内に図示しないロボット、ローラー、及び平面ブロックを配置するために、ロボットのロボットモデル、ローラーの把持物モデル、及び平面ブロックの固定物モデルを、記憶部13のモデルデータ131から読み込む。モデル配置部102は、読み込んだロボットのロボットモデル、ローラーの把持物モデル、及び平面ブロックの固定物モデルを配置し、表示部12に表示する。
図2は、表示部12に表示された仮想空間の画面の一例を示す図である。
図2に示すように、仮想空間の画面には、ロボットモデル200、把持物モデル210、及び固定物モデル220が配置されている。そして、把持物モデル210であるローラーの円筒部分には、固定物モデル220に貼り付けるシール等が設置されている。
なお、仮想空間において、作業空間と同様に、ロボットモデル200は、空間上に固定された3次元直交座標系のワールド座標系Σwと、ロボットモデル200の手先の関節軸の先端に取り付けられたハンド(図示しない)に把持された把持物モデル210のツール先端点に設定された3次元直交座標のメカニカルインタフェース座標系Σiと、を有する。また、固定物モデル220は、例えば、固定物の座標系Σkが設定されている。本実施形態においては、事前に公知のキャリブレーションによってワールド座標系Σwとメカニカルインタフェース座標系Σiと固定物の座標系Σkとの位置の相関が取られている。これにより、後述する動作プログラム作成部106は、ワールド座標系Σwで定義される位置を用いて、把持物モデル210が取付けられたロボットモデル200の先端部の位置、例えば把持物モデル210のツール先端点の位置を制御する動作プログラムを作成することができる。
【0018】
基準線指定部103は、入力部11を介して作業者の入力操作に基づいて把持物モデル210の外周上で固定物の平面ブロックに押し当てる範囲を示す基準線を指定する。
図3Aは、基準線指定部103により指定された基準線の一例を示す図である。
図3Aに示すように、基準線は太線で強調して表示されるようにしてもよい。なお、基準線は、太線以外の線で強調表示してもよく、赤色等の色の線で強調表示してもよい。また、
図3Bに示すように、基準線は複数の点の集まりとして構成される。
図3Bは、基準線の一例を示す図である。
図3Bに示すように、ローラーのように把持物モデル210が円筒形等で基準線が把持物モデル210の外周を1周する場合、基準線指定部103は、入力部11を介して作業者の入力操作に基づいて、把持物モデル210に設置されたシール等を固定物モデル220の表面に張り付ける開始点を指定するようにしてもよい。
【0019】
転写開始点指定部104は、固定物モデル220上で基準線を転写する転写開始点を指定する。
具体的には、転写開始点指定部104は、入力部11を介してユーザの入力操作に基づいて、固定物モデル220上の点、例えば、
図2の固定物モデル220の座標系Σkの原点を転写開始点として指定し、X軸方向を基準線の各点を転写する方向と指定する。
【0020】
動作軌道作成部105は、転写開始点指定部104に指定された転写開始点を開始点として基準線を固定物モデル220上に転写して動作軌道を作成する。
具体的には、動作軌道作成部105は、
図4に示すように、転写開始点と基準線の開始点とが一致するように、基準線を構成する各点の間の距離を保ちながら固定物モデル220のX軸方向の面に沿って転写して動作軌道を作成する。
図5Aから
図5Dは、動作軌道作成部105の動作を説明する一例を示す図である。
図5Aに示すように、動作軌道作成部105は、転写開始点と基準線の開始点とを、固定物モデル220の面上で一致させる。動作軌道作成部105は、
図5Bから
図5Dに示すように、基準線の開始点から順番に、把持物モデル210を回転させながら基準線を構成する点を一点ずつ固定物モデル220の面に転写する。なお、
図5Bから
図5Dに示すように、基準線が曲線の場合、動作軌道作成部105は、基準線を構成する点同士を直線近似し、基準線を構成する点の間の距離を保ちながら投影する。動作軌道作成部105は、基準線の全ての点ついて
図5Bから
図5Dに示す転写を行うことにより、
図4に示すように、固定物モデル220の面のX軸方向に動作軌道を作成する。
【0021】
動作プログラム作成部106は、基準線指定部103により指定された基準線、及び動作軌道作成部105により作成された動作軌道に基づいて、把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する。
具体的には、動作プログラム作成部106は、例えば、ロボットモデル200から見た動作軌道に転写された各点の位置に、基準線を構成する各点から見たロボットのツール先端点の位置を掛け合わせることにより、ロボットの動作プログラムの教示位置(ロボットから見たツール先端点の位置)を求める。
図6Aは、ロボットの動作プログラムの教示位置とロボットから見た動作軌道に転写された点の位置との関係を説明する一例を示す図である。
図6Bは、基準線を構成する各点から見たロボットのツール先端点の位置を説明する一例を示す図である。
そして、動作プログラム作成部106は、動作軌道の全ての点に対するロボットの動作プログラムの教示位置(ロボットから見たツール先端点の位置)を求める。動作プログラム作成部106は、求めた教示位置に基づいてローラーを平面ブロックに押し当てながらロボット(図示しない)を移動させ、ローラーに設置されたシール等を平面ブロックに貼り付ける動作プログラムを作成する。動作プログラム作成部106は、作成した動作プログラムを記憶部13に記憶してもよく、ロボット制御装置(図示しない)に出力してもよい。
図7は、作成された動作プログラムに基づくロボットの動作経路の一例を示す図である。
図7に示すように、ロボットの動作プログラムの教示位置(ツール先端点の位置)が、ロボットの動作プログラムの動作経路になる。
【0022】
<ロボットプログラミング装置1の動作プログラム作成処理>
次に、
図8を参照しながら、ロボットプログラミング装置1の動作プログラム作成処理の流れを説明する。
図8は、ロボットプログラミング装置1の動作プログラム作成処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、動作プログラムが作成される度に実行される。
【0023】
ステップS1において、仮想空間作成部101は、ロボット、ローラー、及び平面ブロックが配置された作業空間を3次元的に表現した仮想空間を作成する。
【0024】
ステップS2において、モデル配置部102は、ステップS1で作成された3次元の仮想空間内にロボットのロボットモデル200、ローラーの把持物モデル210、及び平面ブロックの固定物モデル220を配置する。
【0025】
ステップS3において、基準線指定部103は、入力部11を介してユーザの入力操作に基づいて把持物モデル210の外周上で基準線を指定する。
【0026】
ステップS4において、転写開始点指定部104は、固定物モデル220上で基準線を転写する転写開始点を指定する。
【0027】
ステップS5において、動作軌道作成部105は、ステップS4で指定された転写開始点を開始点として基準線を固定物モデル220上に転写して動作軌道を作成する。
【0028】
ステップS6において、動作プログラム作成部106は、ステップS3で指定された基準線、及びステップS5で作成された動作軌道に基づいて、ローラーを平面ブロックに押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する。
【0029】
以上のように、第1実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、仮想空間内にロボットモデル200、把持物モデル210、及び固定物モデル220を配置する。ロボットプログラミング装置1は、把持物モデル210のうち固定物モデル220に押し当てる範囲を示す基準線と、固定物モデル220上で基準線を転写する転写開始点と、を指定し、転写開始点を開始点として基準線を構成する各点を固定物モデル220上に転写して動作軌道を作成する。ロボットプログラミング装置1は、基準線、及び動作軌道に基づいて、ローラーを平面ブロックに押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する。
これにより、ロボットプログラミング装置1は、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することができ、教示作業に必要な工数を削減することができる。
以上、第1実施形態について説明した。
【0030】
次に、第2実施形態について説明する。上述したように、第1実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、作業空間においてロボットがローラーを把持し、把持したローラーを平面ブロックに押し当てて、ローラーに設置されたシール等を平面ブロックに貼り付ける場合のロボットの動作プログラムを作成する。これに対して、第2実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、作業空間においてロボットがワークを把持し、把持したワークをベルトサンダーに押し当てて、ワークを加工する場合のロボットの動作プログラムを作成する点で、第1実施形態と相違する。
これにより、第2実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することができる。
以下、第2実施形態について説明する。
【0031】
第2実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、
図1のロボットプログラミング装置1の要素と同様であり、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
ロボットプログラミング装置1は、制御部10、入力部11、表示部12、及び記憶部13を含む。制御部10は、仮想空間作成部101、モデル配置部102、基準線指定部103、転写開始点指定部104、動作軌道作成部105、及び動作プログラム作成部106を含む。また、記憶部13は、モデルデータ131を含む。
制御部10、入力部11、表示部12、及び記憶部13は、第1実施形態に係る制御部10、入力部11、表示部12、及び記憶部13と同等の機能を有する。
また、仮想空間作成部101、モデル配置部102、基準線指定部103、転写開始点指定部104、動作軌道作成部105、及び動作プログラム作成部106は、第1実施形態に係る仮想空間作成部101、モデル配置部102、基準線指定部103、転写開始点指定部104、動作軌道作成部105、及び動作プログラム作成部106と同等の機能を有する。
【0032】
図9は、表示部12に表示される仮想空間の画面の一例を示す図である。なお、
図9では、ロボットモデル200aのうち手先の一部のみを示す。
図9に示すように、モデル配置部102は、仮想空間内に、ロボットモデル200a、加工対象のワークの把持物モデル210a、及びベルトサンダーの固定物モデル220aを配置する。なお、
図9の把持物モデル210aのワークは、角が丸まった形状を有するが、直方体等の任意の形状を有してもよい。
【0033】
基準線指定部103は、入力部11を介してユーザの入力操作に基づいて、
図9に示すように、把持物モデル210aの外周上で太線で示す範囲を基準線として指定する。なお、基準線指定部103は、入力部11を介してユーザの入力操作に基づいて、基準線の一方の端点を開始点として指定してもよい。
【0034】
転写開始点指定部104は、固定物モデル220a上で基準線を転写する転写開始点を指定する。
【0035】
動作軌道作成部105は、
図5A及び
図5Bの場合と同様に、指定された転写開始点を開始点として基準線を構成する各点を固定物モデル220a上に転写して動作軌道を作成する。
【0036】
ロボットプログラミング装置1の動作プログラム作成部106は、基準線指定部103により指定された基準線、及び動作軌道作成部105により作成された動作軌道に基づいて、加工対象のワークをベルトサンダーに押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する。
【0037】
なお、ロボットプログラミング装置1の動作プログラム作成処理は、
図8の場合と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0038】
以上のように、第2実施形態に係るロボットプログラミング装置1は、仮想空間内にロボットモデル200a、把持物モデル210a、及び固定物モデル220aを配置する。ロボットプログラミング装置1は、把持物モデル210aのうち固定物モデル220aに押し当てる範囲を示す基準線と、固定物モデル220a上で基準線を転写する転写開始点と、を指定し、転写開始点を開始点として基準線を構成する各点を固定物モデル220a上に転写して動作軌道を作成する。ロボットプログラミング装置1は、基準線、及び動作軌道に基づいて、加工対象のワークをベルトサンダーに押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する。
これにより、ロボットプログラミング装置1は、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することができ、教示作業に必要な工数を削減することができる。
以上、第2実施形態について説明した。
【0039】
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、ロボットプログラミング装置1は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0040】
<変形例>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、ロボットプログラミング装置1は、ロボット制御装置(図示しない)と異なる装置としたが、これに限定されない。例えば、ロボットプログラミング装置1は、ロボット制御装置(図示しない)に含まれてもよい。
【0041】
なお、第1実施形態及び第2実施形態における、ロボットプログラミング装置1に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0042】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0043】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0044】
以上を換言すると、本開示のロボットプログラミング装置、及びロボットプログラミング方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0045】
(1)本開示のロボットプログラミング装置1は、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング装置であって、3次元の仮想空間内にロボットのロボットモデル200、200a、把持物の把持物モデル210、210a、及び固定物の固定物モデル220、220aを配置するモデル配置部102と、把持物モデル210、210aの外周上で固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定する基準線指定部103と、固定物モデル220、220a上で基準線を転写する転写開始点を指定する転写開始点指定部104と、転写開始点を開始点として基準線を固定物上に転写して動作軌道を作成する動作軌道作成部105と、を備える。
このロボットプログラミング装置1によれば、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを容易に作成することができる。
【0046】
(2) (1)に記載のロボットプログラミング装置1によれば、基準線、及び動作軌道に基づいて、把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成する動作プログラム作成部106を、さらに備えてもよい。
そうすることで、ロボットプログラミング装置1は、教示作業に必要な工数を削減することができる。
【0047】
(3)本開示のロボットプログラミング方法は、コンピュータにより実現される、ロボットが把持した把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成するロボットプログラミング方法であって、3次元の仮想空間内にロボットのロボットモデル200、200a、把持物の把持物モデル210、210a、及び固定物の固定物モデル220、220aを配置し、把持物モデル210、210aの外周上で固定物に押し当てる範囲を示す基準線を指定し、固定物モデル220、220a上で基準線を転写する転写開始点を指定し、転写開始点を開始点として基準線を固定物上に転写して動作軌道を作成する。
このロボットプログラミング方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0048】
(4) (3)の記載のロボットプログラミング方法において、基準線、及び動作軌道に基づいて、把持物を固定物に押し当てながら移動するロボットの動作プログラムを作成してもよい。
そうすることで、ロボットプログラミング方法は、(2)と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ロボットプログラミング装置
10 制御部
101 仮想空間作成部
102 モデル配置部
103 基準線指定部
104 転写開始点指定部
105 動作軌道作成部
106 動作プログラム作成部
11 入力部
12 表示部
13 記憶部
131 モデルデータ