(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】多段変速装置を備えるハイブリッド駆動システムおよび自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 6/442 20071001AFI20240109BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20240109BHJP
B60K 6/365 20071001ALI20240109BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20240109BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240109BHJP
B60K 6/52 20071001ALI20240109BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20240109BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20240109BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
B60K6/442
B60K6/26 ZHV
B60K6/365
B60K6/387
B60K6/40
B60K6/52
B60K6/547
B60K17/04 G
B60L50/16
(21)【出願番号】P 2022559569
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 DE2021100245
(87)【国際公開番号】W WO2021197539
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102020109237.7
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローラン バイウ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ライツ
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-328950(JP,A)
【文献】特開2019-048527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/442
B60K 6/26
B60K 6/40
B60K 6/365
B60K 6/52
B60K 6/547
B60K 6/387
B60K 17/04
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されて
おり、
前記固定変速段(42)の遊星キャリア(43)が、前記内燃機関(3)の前記出力シャフト(5)に恒久的に接続されていること、および/または、前記固定変速段(42)の太陽ギア(44)が、前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されていることを特徴とする、駆動システム(1)。
【請求項2】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されており、
前記
2速変速装置(16)が、2つの遊星変速段(29、30)を有することを特徴とする
、駆動システム(1)。
【請求項3】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、前記第1の電気機械(6)と前記第2の電気機械(9)とのそれぞれのステータ(26、37)を固定した状態で受容するハウジング(27)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されており、
前記
2速変速装置(16)の第1の切り替え要素(31)が、ブレーキとして設計されていること、および/または前記ハウジングに固定された支持領域(32)
と遊星変速段(29)のうちのリングギア(33a)との間に動作可能に挿入されていることを特徴とする
、駆動システム(1)。
【請求項4】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されており、
前記
2速変速装置(16)の第2の切り替え要素(34)が、クラッチとして設計されていること、および/または前記
2速変速装置(16)の入力シャフト(35)
と遊星変速段(29)のうちの1つのリングギア(33a)との間に動作可能に挿入されていることを特徴とする
、駆動システム(1)。
【請求項5】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されており、
前記
2速変速装置(16)の出力シャフト(36)が、カルダンシャフト(23)を介して、第1の差動変速機(12)の入力(14)に回転的に結合されていることを特徴とする
、駆動システム(1)。
【請求項6】
ハイブリッド自動車(2)のための駆動システム(1)であって、内燃機関(3)と、第1の電気機械(6)であって、そのロータシャフト(4)が、前記内燃機関(3)の出力シャフト(5)に回転的に結合されており、かつ前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されている、第1の電気機械(6)と、第2の電気機械(9)であって、そのロータシャフト(7)も前記出力シャフト(5)に同軸上に配置されており、かつクラッチ(8)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)から結合解除することができる、第2の電気機械(9)と、2つの出力(10a、10b;11a、11b)を有する少なくとも1つの差動変速機(12、13)と、を備え、前記出力シャフト(5)が、固定変速段(42)を介して前記第1の電気機械(6)の前記ロータシャフト(4)に接続されており、前記第2の電気機械(9)の前記ロータシャフト(7)が、2速変速装置(16)を介して前記少なくとも1つの差動変速機(12、13)の入力(14、15)に結合されており、
前記
2速変速装置(16)の出力シャフト(36)が、少なくとも1つのギアリング段(18)を介して、第2の差動変速機(13)の入力(15)に接続されていることを特徴とする
、駆動システム(1)。
【請求項7】
前記固定変速段(42)が、遊星変速段として設計されていることを特徴とする、請求項1
~6のいずれか一項に記載の駆動システム(1)。
【請求項8】
前記クラッチ(8)が、前記2つの電気機械(6、9)のロータ(28、38)の間に空間的に配置されていることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の駆動システム(1)。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の駆動システム(1)を有する自動車(2)であって、前記内燃機関(3)の前記出力シャフト(5)が、前記自動車(2)の車両長手方向軸(22)に対して平行または同軸上に配置されている、自動車(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス、または他の実用車両などのハイブリッド自動車であって、内燃機関と、そのロータシャフトが内燃機関の出力シャフトに恒久的回転的に結合されており、かつ当該出力シャフトに同軸上に配置されている、第1の電気機械と、そのロータシャフトも出力シャフトに同軸上に配置されており、かつクラッチを介して第1の電気機械のロータシャフトから結合解除することができる、第2の電気機械と、2つの出力を有する少なくとも1つの差動変速機と、を備える、駆動システムに関する。さらに、本発明は、この駆動システムを備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な駆動システムは、先行技術においてすでに十分に知られている。これに関して、例えば、WO2007/004356A1は、2つの電気モータを有するハイブリッド車両のための駆動装置を開示している。さらなる先行技術は、EP2284030B1およびUS8894525B2から知られている。
【0003】
しかしながら、先行技術から知られている駆動システムに関して、これらは多くの場合、比較的サイズが大きく、構造が複雑であることが示されている。特に、通常は、より複雑なシフト変速機が使用されており、これは、追加の設置スペースを占めるという事実は別として、駆動システムの組み立てに必要な労力にも悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点を排除すること、特に、可能な限り最も単純な構造を有し、設置スペースを節約する効率的に動作する駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これは、第2の電気機械のロータシャフトが、2速変速装置(すなわち、2つ超または2つ未満のギアを有していない)を介して少なくとも1つの差動変速機の入力に(回転的に)結合/接続されることによって達成される。
【0006】
このように、一方では、第2の電気機械のロータシャフトと差動変速機との間の接続は、可能な限り単純でコンパクトな変速装置を使用して実現され、他方では、変速装置は、異なるギア比を利用して、駆動システムの効率的な動作のためにいくつかの動作モードに切り替えることができる。
【0007】
さらなる実施形態は、従属請求項とともに特許請求され、以下でより詳細に説明される。
【0008】
したがって、固定変速段が遊星変速段として設計されている場合、さらに有利である。これにより、特にコンパクトな軸方向の設計が可能になる。
【0009】
これに関連して、固定変速段の遊星キャリアが内燃機関の出力シャフトに恒久的に接続されているか、および/または固定変速段の太陽ギアが第1の電気機械のロータシャフトに接続されている場合も便利である。固定変速段のリングギアは、さらに好ましくは、ハウジングに固定されて支持される。これにより、可能な限り単純であり、かつトルクを伝達するのに十分に堅牢である、変速段が得られる。
【0010】
固定変速段は、内燃機関の出力シャフトから第1の電気機械のロータシャフトに伝達される速度を高速にギアリングするように有利に設計されている。これは、可能な限り最も効率的な構造が選択されていることを意味する。
【0011】
さらに、クラッチが2つの電気機械のロータの間に空間的に配置されている場合、有利である。これにより、クラッチを可能な限り省スペース様式で取り付けることも可能になる。
【0012】
変速装置が遊星変速機として設計されており、好ましくは2つの遊星変速段を有する場合も有用である。これにより、さらにコンパクトな軸方向の設計が可能になる。
【0013】
変速装置は、第2の電気機械のロータシャフトから変速装置の出力シャフト(両方のギア)に伝達される速度を低速にギアリングするように有利に設計されている。これは、可能な限り最も効率的な構造が選択されていることを意味する。
【0014】
変速装置の第1の切り替え要素がブレーキとして設計され、および/またはハウジングに固定された支持領域と遊星変速段のうちの1つのリングギアとの間に動作可能に挿入される場合も有利である。これにより、第1の切り替え要素を可能な限りコンパクトにし、設置スペースを節約するように配置することが可能になる。
【0015】
これに関連して、変速装置の第2の切り替え要素がクラッチとして設計され、および/または遊星変速段のうちの1つの入力シャフトとリングギアとの間に動作可能に挿入される場合も有用である。これにより、第2の切り替え要素を可能な限りコンパクトにし、設置スペースを節約するように配置することが可能になる。
【0016】
変速装置の出力シャフトが、カルダンシャフトを介して第1の差動変速機の入力に回転的に結合/接続されている場合も有利である。このタイプのカップリングにより、設置スペースでのさらなる節約をもたらす。
【0017】
この点で、カルダンシャフトがギアリング段を介して第1の差動変速機の入力に接続されている場合も有用である。ギアリング段は、好ましくは、ベベルギアリング段として実装される。
【0018】
変速装置の出力シャフトが、第1の差動変速機への結合の代替としてまたはそれに加えて、少なくとも1つのギアリング段を介して第2の差動変速機の入力に接続されている場合、前輪駆動、後輪駆動、または全輪駆動を単純な様式で実現することができる。
【0019】
この点で、変速装置の出力シャフトが、第1のギアリング段を介して、それに平行に配置された中間シャフトに回転的に結合され、その中間シャフトが第2の差動変速機の入力にさらに接続される場合、さらに便利である。これにより、駆動システムが可能な限り単純になり、設置スペースを節約する。
【0020】
中間シャフトが第2のギアリング段を介して第2の差動変速機の入力に接続されている場合も有利である。第2のギアリング段は、さらに好ましくは、ベベルギアリング段として実装される。これにより、駆動システムが可能な限り単純になり、設置スペースを節約する。
【0021】
さらに、内燃機関の出力シャフトが、好ましくはデュアルマスフライホイールとして実装されるねじり振動ダンパを介して第1の電気機械のロータシャフトに接続される場合に有利であることが証明されている。これにより、特定の動作モードで、内燃機関が減衰様式で残りの駆動トレインに巧みに結合される。
【0022】
さらに、本発明は、内燃機関の出力シャフトが自動車の車両長手方向軸に平行または同軸上に配置されている、上で説明される実施形態のうちの少なくとも1つによる本発明による駆動システムを有する自動車に関する。
【0023】
これに関して、第1の差動変速機の各出力が共同回転のために(自動車の)後輪に接続され、および/または第2の差動変速機の各出力が共同回転のために(自動車の)前輪に接続される場合も有利である。これにより、駆動システムとフロントアクスルまたはリアアクスルの車輪との可能な限り直接的な結合が実現する。
【0024】
内燃機関が車両長手方向軸に沿って前輪の前に配置され、自動車の主な進行方向に見られる場合、これは、前方長手方向設計の内燃機関を有する駆動システムの効率的適用をもたらす。
【0025】
ここで、本発明は、図を参照してより詳細に説明され、その文脈において、様々な例示的な実施形態も示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施形態による本発明による駆動システムの概略的な長手方向断面図を示しており、駆動システムでは、内燃機関の出力シャフトおよび2つの電気機械の2つのロータシャフトが互いに同軸上に配置され、一方のロータシャフトが、固定変速段を介して内燃機関の出力シャフトに結合され、他方のロータシャフトが、2速変速装置およびカルダンシャフトを介して後輪差動装置に結合されている。
【
図2】第2の実施形態による本発明による駆動システムの概略的な長手方向断面図を示しており、駆動システムでは、変速装置の出力シャフトが、カルダンシャフトと、2つのギアリング段の介在により、第2の差動変速機との両方に結合されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
これらの図は本質的に単なる概略図であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同一の要素には、同一の参照記号が付与されている。
【0028】
図1は、第1の例示的な実施形態による本発明による駆動システム1の構造を示している。駆動システム1は、ハイブリッド駆動システム1として実装され、その結果、ハイブリッド自動車2の好ましい適用分野で使用され、これは、
図1に概略的に示されている。
【0029】
駆動システム1は、例えば、ガソリンまたはディーゼル機関の形態の内燃機関3を有し、これは、その出力シャフト5(クランクシャフト)と、自動車2の仮想の車両長手方向軸22/車両中心線に沿って、すなわち平行または同軸上に配向されている。さらに、この実施形態では、内燃機関3は、車両長手方向軸22に沿って見たときに、前輪25のフロントアクスルの前に(すなわち、後輪24のリアアクスルとは反対側に向いたフロントアクスルの側に)配置されている。
【0030】
図1による第1の例示的な実施形態では、駆動システム1は、以下でより詳細に説明するように、自動車2のリアアクスルの2つの後輪24を駆動するように機能する。さらなる例示的な実施形態では、以下で
図2と併せて説明するように、この駆動システム1は、自動車2のフロントアクスルの2つの前輪25を駆動するために、または全輪駆動として、すなわち、自動車2のすべての車輪24、25を駆動するために、代替的に設計される。
【0031】
内燃機関3の出力シャフト5は、第1の電気機械6の(第1の)ロータシャフト4と同軸上に配置されている。出力シャフト5は、第1のロータシャフト4に恒久的に回転的に結合/接続されている。
【0032】
この実施形態では、出力シャフト5は、とりわけ、ここではスプリングダンパ(例えば、デュアルマスフライホイール)の形態のねじり振動ダンパ21を介して第1のロータシャフト4に接続されている。
【0033】
さらに、出力シャフト5は、固定変速段42を介して第1のロータシャフト4に接続されている。この目的のために、固定変速段42は、入力側で接続シャフト47に接続され、接続シャフト47は、出力シャフト5とは反対側に向いたねじり振動ダンパ21の側にさらに接続されている。出力側では、固定変速段42は、第1のロータシャフト4に直接接続されている。
【0034】
固定変速段42は、遊星変速段として設計されている。固定変速段42の1つの入力は、(第3の)遊星キャリア43として形成されている。複数の(第3の)遊星ギア45は、典型的な様式で遊星キャリア45上で回転可能に支持されている。遊星ギア45は、(第3の)太陽ギア44および(第3の)リングギア46の両方と噛み合い係合している。太陽ギア44は、固定変速段42の出力を直接形成し、これは、第1のロータシャフト4にさらに接続されている。本設計では、固定変速段42のリングギア46は、ハウジングに固定されて支持されている。
【0035】
第1の電気機械6はさらに、駆動システム1の第1の動作モードで発電機として切り替え可能であるように設計されている。第1の電気機械6は、ハウジング27に固定して受容される(第1の)ステータ26を有する。第1のステータ26に対して、第1の電気機械6の(第1の)ロータ28は回転可能に支持されている。第1のロータ28は、共同回転のために第1のロータシャフト4に接続されている。第1のロータシャフト4は、ハウジング27内で支持されている。
【0036】
第1の電気機械6に加えて、第2の電気機械9が存在する。駆動システム1の第1の動作モードでは、第2の電気機械9は、駆動機械/牽引機械として機能する。第2の電気機械9はまた、ハウジングに固定して受容される(第2の)ステータ37と、第2のステータ37に対して回転可能に受容される(第2の)ロータ38とを有する。第2のロータ38は、第2の電気機械9に関連する第2のロータシャフト7に直接接続されている。第2のロータシャフト7もまた、ハウジング27内で支持されている。第2のロータシャフト7は、第1のロータシャフト4および出力シャフト5と同軸上に配置されている。したがって、出力シャフト5、第1のロータシャフト4および第2のロータシャフト7は互いに、同軸上に一列に並んで配置されている。
【0037】
クラッチ8は、好ましくは摩擦クラッチの形態で、2つのロータシャフト4、7の間に動作可能に挿入される。クラッチ8は、2つのロータシャフト4、7を互いにまたは互いから選択的に結合または結合解除するために使用される。クラッチ8の閉位置では、2つのロータシャフト4、7は、共同回転のために互いに接続されており、クラッチ8の開位置では、2つのロータシャフト4、7は、互いから結合解除されている/互いに対して自由に回転可能である。クラッチ8は、2つの電気機械6、9の2つのロータ28、38の間に空間的に配置されていることが分かり得る。
【0038】
さらに、第2のロータシャフト7は、正確に2つのギア(異なるギア比を実装する)を有する2速変速装置16を介して、第1の差動ギア12(ここでは後輪差動装置)の入力14に恒久的に回転的に結合/接続されている。
【0039】
第1の例示的な実施形態では、カルダンシャフト23を使用して、第1の差動変速機12の入力14への変速装置16の出力シャフト36の回転接続を実装する。カルダンシャフト23は、第2の電気機械9とは反対側を向いた出力シャフト36の端部に接続されている。カルダンシャフト23は、(第3の)ギアリング段19を介して第1の差動変速機12の入力14に結合されている。入力14は、典型的な様式で入力ギアとして実装される。この実施形態では、入力14は、ベベルギアとして実装され、したがって、第3のギアリング段19はベベルギアとして設計されている。
【0040】
この第1の例示的な実施形態では、各々後輪24に接続された第1の差動変速機12の2つの出力10a、10bは、内燃機関3の出力シャフト5およびロータシャフト4に対して斜めに、すなわち実質的に垂直に配置されている。
【0041】
したがって、クラッチ8が閉じた状態で、内燃機関3は、第2の動作モードで(第2の電気機械9からの任意選択的な駆動アシスタンスを用いて)、変速装置16の2つのギアのうちの1つをシフトすることによって、自動車2を直接駆動する。
【0042】
変速装置16に関して、それが2つの遊星変速段29、30を有することがさらに分かり得る。変速装置16の第1の遊星変速段29は、変速装置16の入力シャフト35を直接形成する。入力シャフト35は、共同回転のために第2のロータシャフト7に接続されている。さらに、入力シャフト35は、第1の遊星変速段29の(第1の)太陽ギア39aに直接接続されている。
【0043】
第1の遊星変速段29は、典型的な様式で、第1の太陽ギア39aに加えて、第1の太陽ギア39aと噛み合い係合して円周方向に分散して配置された複数の(第1の)遊星ギア40aを有し、第1の遊星ギア40aはさらに、第1のリングギア33aと噛み合い係合している。第1の遊星ギア40aはまた、第1の遊星キャリア41a上で回転可能に支持されている。
【0044】
第2の遊星変速段30もまた、変速装置16の出力シャフト36を直接形成し、(第2の)太陽ギア39bと、第2の太陽ギア39bと噛み合い係合して円周方向に分散して配置された複数の(第2の)遊星ギア40bと、ひいては第2の遊星ギア40bと噛み合い係合している(第2の)リングギア33bと、を有する。また、第2の遊星ギア40bは、(第2の)遊星キャリア41b上で回転可能に支持されている。
【0045】
この実施形態では、第1の遊星キャリア41aは、共同回転のために第2の太陽ギア39bに接続されている。第2の遊星キャリア41bは、再び出力シャフト36に直接遷移するか、または共同回転のためにこの出力シャフト36に直接接続されている。
【0046】
変速装置16をその2つの異なるギア間で切り替えるために、2つの切り替え要素31、34が提供される。この実施形態では、第1の切り替え要素31はブレーキとして設計され、したがって、ハウジングに固定された支持領域32と変速装置16の構成要素との間に動作可能に挿入されている。この実施形態では、第1の切り替え要素31は、ハウジングに固定された支持領域32と第1のリングギア33aとの間に動作可能に挿入されている。したがって、第1の切り替え要素31の作動位置/状態では、第1のリングギア33aは、ハウジングに固定されて支持され、一方、第1の切り替え要素31の非作動位置/状態では、ハウジング27に対して自由に回転する。
【0047】
この実施形態では、第2の切り替え要素34は、例えば、摩擦クラッチとして実現されるクラッチとして実装される。第2の切り替え要素34は、入力シャフト35と第1のリングギア33aとの間に動作可能に挿入されている。その結果、第2の切り替え要素34の閉位置では、入力シャフト35および第1のリングギア33aは、第1の遊星変速段29がブロック内で回転するように、共同回転のために結合される。第2の切り替え要素34の開位置では、第1のリングギア33aおよび入力シャフト35は、互いに対して自由に回転する。
【0048】
さらに、この実施形態では、第2のリングギア33bが、ハウジング27/ハウジングに固定された支持領域32に恒久的に接続されていることが見られ得る。
【0049】
図2に示される第2の例示的な実施形態では、本発明による駆動システム1の代替設計が見られ得る。この第2の例示的な実施形態の基本構造は、第1の例示的な実施形態の基本構造と同じであるため、簡潔にするために、これらの2つの例示的な実施形態間の相違のみを以下に説明する。
【0050】
図2では、変速装置16の出力シャフト36は、さらに第2の差動変速機13(前輪差動装置)に結合されて、全輪駆動を実装する。これに関連して、本発明による駆動システム1のさらなる実施形態では、第2の差動変速機13のみで、すなわち第1の差動変速機12がなく、前輪駆動を実装することに留意されたい。
【0051】
図2では、変速装置16の出力シャフト36は、第1のギアリング段17(スパーギアギアリング段の形態で)を介して中間シャフト20に回転的に接続されている。中間シャフト20は、ロータシャフト4、7と平行に配置されている。中間シャフト20は、ここではベベルギアリングの形態で、さらに第2のギアリング段18を介して第2の差動変速機13の入力15に接続されている。その結果、入力15は、ベベルギアとして実現される。したがって、第2のロータシャフト7と第2の差動変速機13の入力15との恒久回転結合もある。したがって、第2のロータシャフト7と第2の差動変速機13の入力15との回転接続は、変速装置16、中間シャフト20、ならびに2つの第1および第2のギアリング段17、18を介して実装される。
【0052】
第2の差動変速機13の2つの出力11a、11bもまた、内燃機関3のロータシャフト4、7および出力シャフト5に対して斜めに、具体的には実質的に垂直に整列している。これに関連して、完全を期すために、
図2による図示は、第2の差動変速機13の第1の出力11aが図平面の下方または上方で第1のロータシャフト4と交差し、その結果、当然のことながら、第1のロータシャフト4は、第1の出力11aに直接接続されないように理解されるべきであることに留意されたい。
【0053】
換言すれば、このように、パワーシフトのための2速専用ハイブリッド変速機は、本発明に従って、前方長手方向構成の駆動トレインのために実装される。特に、内燃機関3は、長手方向に設置される。さらに、クラッチ8が電気機械6、9の間に挿入される。
【0054】
さらに、第1の電気機械6は、静止ギア比42(例えば、遊星段)を介してより高速にギアリングされる。第1の電気機械6は、クラッチ8を介して第2の電気機械9に直接接続されている。第2の電気機械9は、静止ギア比(例えば、遊星段29、30)の組み合わせを介して低速にギアバックされる。したがって、内燃機関3から差動装置12、13へのギアリングは、直接実装される、すなわち、約5.9および2.8である。2つのギアは、ブレーキ31またはクラッチ34を作動させることによって可能になる。2つのギアにより、第2の電気機械9の寸法をより小さくすることが可能になる(トルクおよび速度)。これは、Vmaxおよび起動性能の点で高い要件を有する車両にとっての利点である。
【0055】
図1は、第1の電気機械6もより高速にギアリングする本発明による構造を示している。これは、同じ設置スペースで性能を増加させるために、または同じ性能で必要な設置スペースを少なくするためにも有利である。クラッチ8は、電気機械6、9の間に直接位置し、高い駆動力のために低いトルクを伝達すればよい。
【0056】
ホイール24への3つの機械(3、6、9)のギアリングは、切り替え要素31および34および固定された差動ギア比を有する2つの遊星セット29および30によってのみ定義/固定される。
【0057】
図2は、内燃機関3の長手方向の設置および前輪駆動を伴う別の可能な構成レベルを示しており、任意選択的に、全輪駆動が、カルダンシャフト23および後輪差動装置12を保持することによって表すこともできる。前輪駆動の場合、トルクはシャフト20で変速段を介して差動装置13に伝達される。全輪駆動の場合、ギアリングは、両方の差動装置12、13の出力速度が同じになるように選択する必要がある。
【符号の説明】
【0058】
1 駆動システム
2 自動車
3 内燃機関
4 第1のロータシャフト
5 内燃機関の出力シャフト
6 第1の電気機械
7 第2のロータシャフト
8 クラッチ
9 第2の電気機械
10a 第1の差動変速機の第1の出力
10b 第1の差動変速機の第2の出力
11a 第2の差動変速機の第1の出力
11b 第2の差動変速機の第2の出力
12 第1の差動変速機
13 第2の差動変速機
14 第1の差動変速機の入力
15 第2の差動変速機の入力
16 変速装置
17 第1のギアリング段
18 第2のギアリング段
19 第3のギアリング段
20 中間シャフト
21 ねじり振動ダンパ
22 車両長手方向軸
23 カルダンシャフト
24 後輪
25 前輪
26 第1のステータ
27 ハウジング
28 第1のロータ
29 第1の遊星変速段
30 第2の遊星変速段
31 第1の切り替え要素
32 ハウジングに固定された支持領域
33a 第1のリングギア
33b 第2のリングギア
34 第2の切り替え要素
35 入力シャフト
36 変速装置の出力シャフト
37 第2のステータ
38 第2のロータ
39a 第1の太陽ギア
39b 第2の太陽ギア
40a 第1の遊星ギア
40b 第2の遊星ギア
41a 第1の遊星キャリア
41b 第2の遊星キャリア
42 固定変速段
43 第3の遊星キャリア
44 第3の太陽ギア
45 第3の遊星ギア
46 第3のリングギア
47 接続シャフト