(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ファクシミリ装置とその制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240109BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20240109BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240109BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H04N1/00 885
H04N1/32
H04M1/00 V
H04M11/00 303
(21)【出願番号】P 2023004699
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2017168834の分割
【原出願日】2017-09-01
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須賀 大介
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-336456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32
H04M 1/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段と、
接続された電話機のオフフック及びオンフックを検出する検出手段と、
前記電話機と電話回線との接続を、接続と遮断との間で切り替える切替手段と、
前記切替手段を介して前記電話機に給電する給電手段と、
前記電話機を鳴動させる鳴動モード、又は前記電話機を鳴動させない無鳴動モードを選択する選択手段と、
前記選択手段によって前記鳴動モードが選択され、前記切替手段により前記電話機と前記電話回線とが接続され
、且つ、前記給電手
段が停止している状態で、前記検出手段により前記電話機のオフフックが検出されると前記給電手段
を動作させ、前記操作手段から入力されたダイヤルを前記電話回線を介して送信可能にし、且つ、前記給電手段から前記電話機への給電を開始するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記電話回線を介して相手機とファクシミリ通信を行うモデムを更に有し、
前記制御手段は、前記検出手段により前記電話機のオフフックが検出されてダイヤル入力があると前記モデムにより前記電話回線を捕捉させて前記切替手段により前記電話機と前記電話回線との接続を遮断し
、前記モデムによりダイヤル信号を送出させた後、前記切替手段により前記電話機と前記電話回線とを接続することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段により前記電話機のオフフックが検出されると
、前記給電手段による前記電話機への給電を開始するようにユーザに設定するよう促す画面を表示し、当該画面を介したユーザの設定に従って前記給電手段
を動作させ、且つ前記給電手段による前記電話機への給電を行う設定値を保存し、当該設定に基づいて前記給電手段を動作させ、且つ、前記給電手段による前記電話機への給電を開始するよう制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記切替手段はHリレーであることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか一項に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記電話機はハンドセットであることを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか一項に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
操作手段を有するファクシミリ装置を制御する制御方法であって、
接続された電話機のオフフック及びオンフックを検出する検出工程と、
前記電話機と電話回線との接続を、接続と遮断との間で切り替える切替工程と、
前記電話機に給電する給電工程と、
前記電話機を鳴動させる鳴動モードまたは前記電話機を鳴動させない無鳴動モードを選択する選択工程と、
前記選択工程で前記鳴動モードが選択され、前記切替工程で前記電話機と前記電話回線とが接続され
、且つ、前記給電工
程が停止している状態で、前記検出工程で前記電話機のオフフックが検出されると前記給電工程
を実行させ、前記操作手段から入力されたダイヤルを前記電話回線を介して送信可能にし、且つ、前記給電工程で前記電話機への給電を開始するよう制御する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項
6に記載の制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置とその制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント、コピー等の機能に加えて、ファクシミリ通信機能、ハンドセット(テンキーの無い外付け電話機)による通話機能を備えた複合機が広く普及している。ファクシミリ通信を行うために複合機をPSTN(Public Switched Telephone Network:公衆電話網)に接続し、送信側から着信側へ発呼すると電話会社の交換機から着信側へ呼出信号が送出される。いま着信側が複合機で、その複合機にハンドセットを接続した場合、着信時にハンドセットが鳴動する設定を鳴動設定、鳴動しない設定を無鳴動設定と呼ぶ。無鳴動設定では、リレーを用い、そのリレーをオンすることにより、ハンドセットを電話回線から切り離す制御が行われる。ハンドセットが電話回線から切り離されると電話回線から直流電圧が給電されないので、代わりに複合機の内部から直流を給電して、ハンドセットのオフフックを検出する。一方、鳴動設定では、リレーをオフすることにより、ハンドセットを電話回線に接続する制御が行われる。この場合は、電話回線からハンドセットに直流電圧が給電されるので、リレーをオフしていてもハンドセットのオフフックを検出できる。このようにユーザの用途に合わせて無鳴動設定と鳴動設定を変更して利用する。
【0003】
着信時にハンドセットが鳴動し、ユーザがハンドセットをオフフックして着信音を聞きファクシミリの着信か通話かを判断したい場合は、鳴動設定で利用することが多い。一方、着信時にハンドセットは鳴動せず、ファクシミリを自動受信したい場合やファクシミリ通信か相手との通話かを自動判定し、通話の場合にハンドセットを鳴動させるFAXTEL切り替えの場合は、無鳴動設定で利用することが多い。
【0004】
また消費電力を抑える省電力の要望の広まりを受けて、複合機を操作可能なスタンバイ時でも、その複合機をできるだけ低消費電力で待機させておく必要性が高まってきている。例えば特許文献1には、鳴動設定が指示されると、内部給電をオフし、かつリレーをオフ(電話機を回線に接続)にして消費電力を削減する制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記引用文献1では、鳴動設定が指示されると、鳴動設定時にハンドセットを持ち上げてテンキーダイヤルで発呼する際、以下の課題が発生する。ユーザがファクシミリ装置で電話番号を入力すると、モデムやSDAA(シリコンDAA)を制御してダイヤル信号を送出するが、その前に行う制御が存在する。まずモデムやSDAAで直流捕捉を行う。ハンドセットが電話回線に接続されたままでDTMF信号を送出すると送出レベルに影響するため、上記リレーをオンしてハンドセットを電話回線から切り離す制御が、ダイヤル信号を送出する前に行われる。パルスダイヤルでも波形に影響するため、同様である。リレーをオンすると、ハンドセットは電話回線から切り離されるため、ハンドセットへの給電はオフされて、ハンドセットのオフフック検出部の電流が遮断される。この点が上記引用文献1では考慮されていない。
【0007】
次世代のファクシミリ装置では、省電力のために、スタンバイ時のデフォルト設定を、テンキーダイヤルを有していないハンドセットを鳴動設定とし、内部給電をオフにすることが検討されている。この状態でユーザがハンドセットを持ちあげると、ファクシミリ装置本体の操作部にテンキーダイヤル画面を表示して、相手先の電話番号の入力を可能にする。このテンキーを使用してダイヤルを入力するとモデムがダイヤル信号を送出するが、その最中にハンドセットの影響を受けないようリレーをオンにしてハンドセットと回線とを切り離す。このとき内部給電がオフされているため、オフフック検出部はハンドセットがオンフックされたと誤認識してしまう。この誤認識により、途中でダイヤル入力がキャンセルされてしまい、ユーザは、所望の相手と通話ができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することにある。
【0009】
本発明の目的は、電話機と電話回線とが接続されて、電話機への給電が停止している状態で、ユーザがハンドセットをオフフックしてダイヤル入力できるようにする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るファクシミリ装置は以下のような構成を備える。即ち、
操作手段と、
接続された電話機のオフフック及びオンフックを検出する検出手段と、
前記電話機と電話回線との接続を、接続と遮断との間で切り替える切替手段と、
前記切替手段を介して前記電話機に給電する給電手段と、
前記電話機を鳴動させる鳴動モード、又は前記電話機を鳴動させない無鳴動モードを選択する選択手段と、
前記選択手段によって前記鳴動モードが選択され、前記切替手段により前記電話機と前記電話回線とが接続され、且つ、前記給電手段が停止している状態で、前記検出手段により前記電話機のオフフックが検出されると前記給電手段を動作させ、前記操作手段から入力されたダイヤルを前記電話回線を介して送信可能にし、且つ、前記給電手段から前記電話機への給電を開始するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電話機と電話回線とが接続されて、電話機への給電が停止している状態で、ユーザがハンドセットをオフフックしてダイヤル入力できる効果がある。
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図1】本発明の実施形態1に係る複合機の構成を説明するブロック図。
【
図2】実施形態1に係る複合機の設定がスタンバイ時、無鳴動、内部給電がオンのときのコントローラ部とファクシミリユニットの構成を説明するブロック図。
【
図3】実施形態1に係る複合機の設定がスタンバイ時、鳴動、内部給電がオフの設定のときのコントローラ部とファクシミリユニットの構成を説明するブロック図。
【
図4】実施形態1に係る複合機がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャート。
【
図5】実施形態2に係る複合機がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャート。
【
図6】実施形態3に係る複合機がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャート。
【
図7】実施形態1に係る複合機における、内部給電とリレーの状態を説明するタイムチャート。
【
図8】実施形態2に係る複合機において、S507で表示される注意画面例を説明する図。
【
図9】実施形態3に係る複合機における、内部給電とリレーの状態を説明するタイムチャート。
【
図10】実施形態1に係る複合機のHDDに記憶されている受信モード、鳴動設定、及び内部給電の設定値を登録しているテーブルの一例を示す図。
【
図11】従来例における内部給電とリレーの状態を示すタイムチャート。
【
図12】実施形態1に係る複合機の操作部の表示器に表示されるファクシミリの設定画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態1に係るファクシミリ通信機能を含む複合機101の構成を説明するブロック図である。
【0016】
この複合機101は、ファクシミリ通信機能を含み、コピー機能、LAN(Loacl Area Network)等のネットワークを介してPC等からの印刷ジョブを受信して印刷するプリント機能等を有する。コントローラ部(制御部)102は、この複合機101の各部を制御しており、複合機101の画像処理動作、データの送受信、データの変換、データの保存、電力制御等を行う。操作部103は、ユーザが各種の操作を行うための操作パネル、及び操作情報を表示するための表示器を備え、この複合機101のUI(ユーザインターフェース)を提供している。スキャナ部104は、原稿の画像をスキャンし、その画像データをコントローラ部102に入力する。プリンタ部105は、コントローラ部102で処理された様々な種類の画像データに基づいて画像を印刷して出力する。ネットワークケーブル106はLANに接続されている。ファクシミリユニット107は、電話回線108経由でPSTN内に存在する交換機(図示せず)に接続されている。また交換機に直接接続せず、構内交換機や光ルータのアナログポートに接続されても良い。複合機101のファクシミリユニット107に設けられたハンドセット接続端子にハンドセット109を接続し、通話相手とハンドセット109で通話する事や通話後にファクシミリ通信に切り換えて所望の処理を行う。ハンドセット109は、電話回線108に直接接続可能で、オフフックされると回線を捕捉し、オンフックされると回線切断を行う機能を持つが、ここでは電話番号を入力するテンキーを有しない外部電話機としている。ハンドセット109をユーザが持ち上げると、複合機101の操作部103の表示がテンキーダイヤル画面に遷移する。ユーザが操作部103で電話番号を指示すると、ファクシリミリユニット107のモデム211(
図2)によりDTMF送出などの制御を行い交換機へ電話番号を送出する。そして交換機より相手電話機を呼出し、相手が応答すると通話できる。
【0017】
第一の電源110、第二の電源111は、電源プラグ112から供給される交流の商用電源を、複合機101の各部で使用する直流電圧に変換する。ここで、通常動作モード(スタンバイとも呼ぶ)では、第一の電源110、第二の電源111からの電源は各部に供給されている。一方、省電力モードに移行した際には、第二の電源111は、コントローラ部102から出力される電源制御信号113によって、その電源出力はオフされる。
【0018】
省電力モードで、外部装置からコントローラ部102に対してジョブの受信があった場合、コントローラ部102は、省電力モードからスタンバイに移行するために電源制御信号113を切替えることで第二の電源111の電源出力をオンにする。
【0019】
図2は、実施形態1に係る複合機101のコントローラ部102とファクシミリユニット107の構成を、より詳しく説明するブロック図である。ここでは特に、複合機101の設定を、スタンバイ時無鳴動(Hリレー214オン)、内部給電をオン(電話電源供給部215から直流24Vを給電)に設定した状態を示す。
【0020】
コントローラ部102の画像処理部201は、その内部に制御用のCPU220、ROM221、RAM222、画像処理回路、各種I/F回路を有する。CPU220はROM221或いはHDD202に格納されているプログラムをRAM2222に展開して実行することにより後述する各種制御を行う。例えばCPU220は、コピー、プリント、ファクシミリ、スキャン等の各種処理モードに従って、それぞれ対象となるユニットに応じたデータのやり取り、制御を行い、所望の画像処理や制御を実行して、この複合機101の動作を制御している。
【0021】
HDD(ハードディスクドライブ)202は、複合機101の制御プログラムや画像データの保存領域や作業領域として利用される。ファクシミリ受信時に、受信画像データはHDD202に保存される。また複合機101の各種設定もHDD202に保存される。複合機101のスタンバイ時の鳴動設定、内部給電の設定を操作部103の指示により設定し、HDD202に保存することができる。
【0022】
図12は、実施形態1に係る複合機101の操作部103の表示器に表示されるファクシミリの設定画面の一例を示す図である。
【0023】
この設定画面例のように、ユーザ或いはサービスマンは、鳴動設定を「無鳴動」或いは「鳴動」、内部給電の設定を「する」或いは「しない」に設定してHDD202に保存することができる。また受信モードを「自動受信」或いは「FAXTEL切り替え」或いは「手動受信」のいずれかに設定してHDD202に保存することができる。
【0024】
図10は、実施形態1に係る複合機101のHDD102における受信モード、鳴動設定、及び内部給電の設定値を登録しているテーブルの一例を示す図である。
【0025】
鳴動設定を無鳴動にすると鳴動設定値は「1」に、鳴動にすると鳴動設定値は「0」で保存され、CPU220は、その保存された値を読みだして制御を変更することができる。また内部給電設定を「する」に設定すると、内部給電設定値は「1」に、内部給電設定を「しない」に設定すると内部給電設定値は「0」で保存される。また受信モードが自動受信に設定されると受信モード設定値は「0」、FAXTEL切替えに設定されると受信モード設定値は「1」、手動受信に設定されると受信モード設定値は「2」となる。尚、HDD202の代わりに画像処理部201内部の不揮発メモリ(不図示)に保存する構成としても良い。
【0026】
スキャナI/F203、プリンタI/F204、操作部I/F205は、それぞれスキャナ部104、プリンタ部105、操作部103に接続するためのI/F(インターフェース)を示している。LANコントローラ206は、ネットワークケーブル106経由でLANに接続され外部装置と通信するためのLANコントローラである。
【0027】
呼出信号検出部210は、電話回線108を介して到来する交流75V、16Hz程度の電話の呼出信号を絶縁して通常のデジタル回路で受信できるよう変換する。呼出信号検出部210には、フォトカプラなどの電気部品を利用することができ、一定電圧以上の交流信号が印加されると呼出信号検出部210からコントローラ部102の割り込み判定部207へ、その呼出信号を整形した信号が入力される。交換機は通常の呼出信号を送出する前に直流48Vの極性を反転した後、呼出信号を1秒オン、2秒オフを1セットとする周期で呼び出しを行う。そして交換機は、そのオン時間の間、75V、16Hzの交流信号を直流48Vに重畳して送出する。また交換機は、オフ時間の間、直流48Vを維持する。そして、ファクシミリが回線を捕捉すると、交換機は呼び出し信号を停止し、送信側と着信側は回線接続されて通信できるようになる。
【0028】
モデム211は、電話回線108を介して相手機とファクシミリ通信を行い、CPU220により制御される。モデム211と画像処理部201はI/Fを介して接続され、画像処理部201とモデム211との間のI/Fは、シリアルバス或いはパラレルバスを用いる。またモデム211は、ファクシミリ信号の変調、復調を行うとともに、画像データの送信、受信、トーン検出、DTMF検出を行う。また電話回線の1次と2次をトランスで絶縁して音声帯域の信号を伝達し、電話回線の直流捕捉をCML(Connect Modem to Line)リレー制御で行う回路構成をとることも可能である。また電話回線108の1次側には、SDAA(Silicon Data Access Arrangement)と呼ばれるA/D、D/Aを行う半導体を配置し、かつトランジスタを制御することにより直流捕捉を行う方式でも良い。A/Dはアナログデジタル変換、D/Aはデジタルアナログ変換の略である。回線1次側に配置するSDAAと2次側に配置するIC(図示せず)をまとめてモデム211として実施形態では扱う。回線の1次側に配置するSDAAと2次側に配置するIC(図示せず)との間にインダクタ或いはコンデンサで形成される絶縁回路を配置して、絶縁及び信号伝達を行う。
【0029】
信号212は、交換機から送出される呼出信号を呼出信号検出部210で整形して出力される信号であり、これを以後、CI信号212と呼ぶ。割り込み判定部207に入力されたCI信号212をCPU220がリードして呼び出し信号の周波数やオン、オフ時間を判定して呼び出し信号が到来したかを判定することができる。またCI信号212をポート制御部213に並列に入力して、CPU220はポート制御部213をリードすることで、呼び出し信号の周波数やオン、オフ時間を判定して呼び出し信号が到来したかを判定しても良い。
【0030】
ポート制御部213は、GPIO(General Purpose Input Output)機能を持つICやLSIを利用することができる。またCPU220は、ポート制御部213の出力ポートを制御して、Hリレー214や電話電源供給部215を制御する。Hリレー214をポート制御部213が直接駆動できない場合は、それらの間にトランジスタを挿入しても良い。
【0031】
Hリレー214は、複合機101を無鳴動設定とした時、スタンバイ時にリレーをオンすることでハンドセット109を電話回線108から切り離す制御が行われる。リレーをオン状態に保つと、その間、約0.2Wの電力を消費する。複合機101を鳴動設定とした時、リレーをオフすることで、ハンドセット109を電話回線108に接続する制御が行われる。Hリレー214をオフすると、FAX受信であってもハンドセット109が鳴動してしまうが、約0.2W消費電力を削減できる。
【0032】
オフフック検出部216は、ハンドセット109のオフフックを検出する。電話回線108の電圧を絶縁し、通常のデジタル回路で受信できるよう変換した信号を出力する。オフフック検出部216にはフォトカプラなどを利用することができる。Hリレー214をオフしていると交換機から約48Vの直流電圧が給電されており、オフフック時にハンドセット109が日本では50~300Ωの抵抗値となり、フォトカプラに約20mA以上電流が流れることで持ち上げを検知する。オンフック時にハンドセット109が1MΩ以上の抵抗値となり、フォトカプラの電流が遮断されることで、ハンドセット109が置き台に置かれたことを検知する。
【0033】
信号217は、オフフック検出部216で整形した出力信号であり、これを以後、フック信号217と呼ぶ。オフフック検出部216からコントローラ部102の割り込み判定部207へ信号217が入力されて、オフフックが発生したことを検知できる。フック信号217をポート制御部213に並列に入力して、CPU220はポート制御部213をリードすることで、ハンドセット109が持ち上げ状態(オフフック)か、置き台に置かれた状態(オンフック)かを判定しても良い。
【0034】
オフフック検出部216は、Hリレー214をオンしたときは電話回線108から電力が給電されないので、代わりに電話電源供給部215から電力を供給することができる。電話電源供給部215は、絶縁されたDCDCコンバータなどを用いて、ポート制御により+24V出力、停止、-150V出力を制御するよう構成することができる。スタンバイ時は、複合機101の電話電源供給部215から直流24Vが給電され、ハンドセット109のオフフック(持ち上げ)を検出できる。またFAXTEL切替えモードに設定すると、電話電源供給部215から直流24Vを給電するが、着信処理の際にCPU220がファクシミリ通信か相手との通話かを自動判定する。通話と判定された場合、ハンドセット109を鳴動させる疑似的な呼び出し信号(例えば+24Vと-150Vを一定周期で変化させる)を電話電源供給部215から発生させる構成にしても良い。電話電源供給部215をオンして+24Vを出力すると、その間、約1Wの電力を消費する。電話電源供給部215を停止すると、ハンドセット109のオフフックを検出できなくなるが、約1Wの消費電力を削減できる。消費電力の削減値は回路構成によって異なる。
【0035】
割り込み判定部207は、画像処理部201を含むコントローラ部102を省電力モードから起動させる起動要因を検出する回路である。割り込み判定部207は、呼出信号検出部210と接続されており、呼び出し信号に変化があるとCI信号212が変化する。割り込み判定部207は、オフフック検出部216と接続されており、ハンドセット109をオフフックするとフック信号217が変化する。省電力モードの場合、電源制御信号113を制御して第二の電源111をオンさせる。一旦、第二の電源111をオンさせると、その後CI信号212が変化を繰り返しても割り込み判定部207は無視して電源制御信号113の状態を維持する。その後、CPU220が再度、省電力モードへ移行するまで、呼出し信号を割込み起動要因としては扱わない。CPU220は、割り込み判定部207の信号状態をリードすることで電話回線からの呼び出しがあるかを判定することもできる。
【0036】
スタンバイ時に供給される電源は、第一の電源110及び第二の電源111から複合機101の全てに供給され、全ての機能が使用できる。省電力モードでは、第一の電源110から
図1、
図2で図示された一部に供給され、起動要因を検出可能なごく一部のみの通電状態となる。スタンバイ時から省電力モードへの移行は、一定時間ジョブが無い等、規定の条件を満たしたときに、CPU220により実施される。コントローラ部102から出力される電源制御信号113で第二の電源111をオフすることで省電力モードに移行する。
【0037】
図3は、実施形態1に係る複合機101のコントローラ部102とファクシミリユニット107の構成を、より詳しく説明するブロック図である。ここでは特に、複合機101の設定を、スタンバイ時、鳴動(Hリレー214オフ)、内部給電をオフ(電話電源供給部215からの給電をオフ)に設定した状態を示す。尚、
図3において、
図2と同じ部分は同じ参照番号で示し、その説明を省略する。
【0038】
図4は、実施形態1に係る複合機101がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU220がROM221或いはHDD202に格納されているプログラムをRAM222に展開して実行することにより達成される。
【0039】
この処理は、複合機101が電源オンされて、起動時の初期化が行われた状態で開始される。まずS401でCPU220は、HDD202に保存されたファクシミリの受信モード設定値、鳴動設定値、内部給電の設定値を読み出し、その設定値に応じてファクシミリの初期設定を行ってスタンバイ動作に移行する。尚、HDD202ではなく画像処理部201の内部フラッシュメモリに保存されている場合、そちらから読み出しを行う。
【0040】
実施形態1では、受信モードを自動受信、鳴動設定を鳴動、内部給電設定をしない設定で動作を説明する。鳴動設定が「鳴動」であればCPU220は、Hリレー214をオフする。また内部給電の設定が「しない」であるため、CPU220は電話電源供給部215の電源出力を停止する。Hリレー214をオフすると、
図3に示すように、ハンドセット109は電話回線108に接続され、交換機からの直流給電(通常48V)によりハンドセット109の持ち上げをオフフック検出部216で検知することができる。
【0041】
次にS402に進みCPU220は、内部給電の設定値をリードして内部給電を「する」設定かを判定する。ここで内部給電を「する」と判定すると、特徴となる処理は不要であるためS403へ処理を進る。S403でCPU220は、従来のスタンバイ時に実施しているジョブ待ち受け処理を継続する。内部給電設定値が変更されるまで、処理に変更は無い。もし内部給電設定値が変更されると、CPU220の処理はS418に進んで一度終了した後、S401へ移行して再度、処理を開始する。
【0042】
一方、S402でCPU2220は、内部給電をしないと判定した場合はS404へ処理を進める。S404でCPU220は、呼出信号の変化を検出したかを判定する。ここで呼出信号の変化があったと判定するとS405へ処理を進め、そうでないときはS406へ処理を進める。S405でCPU220は、着信処理を行う。ここでの従来の着信処理と同じであり、FAX受信などの着信処理が終了後、CPU220はS418に進んで一連の処理を終了させた後、S401へ移行して、再度スタンバイ状態を開始する。
【0043】
S406でCPU220は、ハンドセット109のオフフック(持ち上げ)検知があったかを判定する。オフフック検知があったと判定するとS407へ処理を進め、オフフック検知が無いと判定するとS404へ処理を進める。S407は実施形態1の特徴となる処理であり、CPU220は、内部給電の設定とは関係なく内部給電をオンする制御を行う。このときCPU220は、ポート制御部213を制御し、電話電源供給部215から直流24Vの給電を開始させる。そして直流電圧が安定した後に、Hリレー214がオンされている時のハンドセットのオフフック(持ち上げ)を検出できる。交換機は直流48Vを給電することが多いが、電話電源供給部215から直流24Vを給電しても、持ち上げ時にオフフック検出部216に閾値以上の電流が流れるため問題ない。そして操作部103に「電話番号を入力して下さい」とテンキーダイヤル画面を表示して、ユーザに電話番号の入力を促す。これによりユーザは、操作部103のテンキーやタッチパネルを用いて、電話番号を入力して指示することができる。そしてCPU220の処理はS408に移行する。
【0044】
S408でCPU220は、ハンドセット109のオンフック(置いた事の)検知があったか、或いは送受信指示があったか、或いはダイヤル終了指示があったかを判定する。ユーザがハンドセット109を置くか、操作部103から送受信指示を行う、ダイヤル終了キーを押下する等、これ以上、モデム211からダイヤル送出をしないとユーザが指示したかを判定する。ダイヤルキャンセルの指示を早期に反映させるために、S408の判定は、S411~S417の間、バックグラウンドで常に並列に行うように構成しても良い。ハンドセット109のオンフック検知或いは送受信指示、或いはダイヤル終了指示があったと判定すると、CPU220の処理はS409に移行し、そうでなければS411に移行する。S409の処理は、実施形態1の特徴となる処理であり、CPU220は、内部給電の設定とは関係なく内部給電をオフする制御を行う。ハンドセット109を置く、或いはFAX送信、或いは受信指示を行う、或いはダイヤル終了指示を行う等、これ以上モデム211からダイヤル送出をしないとユーザが指示した時に、このステップに移行してくる。CPU220は、ポート制御部213を制御し、電話電源供給部215をオフして内部給電を停止する。これによりHリレー214がオンされている時のハンドセットのオフフック(持ち上げ)を検出できなくなるが、当初S401で設定されていた状態に戻るので消費電力を低減できる。そして直流電圧が一定電圧まで下がり安定した後に、CPU220の処理はS410へ移行する。S410でCPU220は、終了処理を行う。ハンドセット109を置く、或いはダイヤル終了指示を行って、ダイヤルをキャンセルした場合、操作部103をスタンバイ状態に戻す。或いはFAX送信を指示された場合、FAX送信処理を実施する。或いはFAX受信を指示された場合、FAX受信処理を実施する。S410の処理は従来行っているダイヤルキャンセルの画面遷移或いはFAX送信或いはFAX受信と同様となる。FAX送信であれば、CPU220はモデム305による回線捕捉後、ハンドセット109により送出レベルが影響を受けるため、Hリレー214をオンし、ハンドセット109を電話回線108から切り離す。そしてCPU220はモデム305を制御してFAX送信処理を行う。FAX受信でも同様である。指示された処理が終了するとスタンバイ状態に戻るためにCPU220の処理はS418に進んで終了する。
【0045】
S411でCPU220は、操作部103からダイヤル入力があったかを判定する。ユーザが操作部103のテンキーやタッチパネルを用いて、電話番号を入力したと判定するとS412に処理を進め、電話番号が入力されていないと判定するとS408に処理を進める。S412でCPU220は、モデム211による回線捕捉処理を行う。ユーザが電話番号を入力した時、モデム211からダイヤル信号を送出するために、このステップに移行してくる。そしてS413に進みCPU220は、Hリレー214をオンする処理を行う。これは、ハンドセット109が電話回線108に接続されたままでモデム211からDTMF信号を送出すると送出レベルに影響するため、Hリレー214をオンしてハンドセット109を電話回線108から切り離すためである。パルスダイヤルの場合でも波形に影響するため同様の処理を行う。そしてS414に進みCPU220は、ハンドセット109のオンフック(置いた事の)を検知したかを判定する。ここでハンドセット109のオンフックを検知するとS409に進み、そうでなければS415に処理を進める。
【0046】
ここで、もし実施形態1の特徴となるS407の制御を行なわないと、S414に移行した時点で以下の課題が発生する。この課題について
図11を参照して説明する。
【0047】
図11は、従来例における内部給電とリレーの状態を示すタイムチャートで、課題が発生する例を説明する図である。
【0048】
内部給電をオンするS407の制御を行なわないと、電話電源供給部215からの給電が停止しているので、Hリレー214をオンした時はハンドセットに直流電圧が印加されない状態となり、オフフック検出部216の電流は遮断される。そして
図11の1100で示すように、ユーザはハンドセットを置いていないのに、CPUはユーザがハンドセットを置いたと誤認する。ハンドセットのオンフックの判定はこの間でも行われているため、オンフックしたと見なされて、CPUはダイヤルキャンセルを行い、モデムによる回線捕捉を終了して、ハンドセットを電話回線に接続するためにHリレー214をオフに戻さない。そして一旦、スタンバイ状態に戻った後でもユーザはハンドセットを置いていないので、ハンドセットは電話回線を捕捉するが、ダイヤルキャンセルされているため所望の相手とは通話できないという課題が発生する。
【0049】
これに対して実施形態1では、S407の制御を実施することで上記課題を解決することができる。実施形態1ではS407で内部給電がオンされているので、S413でHリレー214がオンされてハンドセット109が回線から遮断されても、ハンドセット109に直流電圧が印加され続けるため、オフフック検出部216の電流は遮断されない。これにより上述したようなオンフックの誤認は起こらないため、ユーザは所望の相手と通話できる。
【0050】
再び
図4に戻り、S415でCPU220は、モデム211によるダイヤル信号送出処理を行う。CPU220は、モデム211を制御し、指示された電話番号に対応するDTMF信号を所定の送出レベルで送出する。尚、トーンでなくパルス設定の場合、CPU220は、モデム211を制御し、指示された電話番号に対応するダイヤルパルス信号を所定のタイミングで送出する。ダイヤルパルス信号は直流捕捉と直流解放を所定のタイミングで実施することで送出する。次にS416に進みCPU220は、Hリレー214をオフする処理を行う。これは、ユーザが持ち上げたハンドセット109を電話回線108に再度接続して、ユーザが通話できるようにするためである。そしてS417へ進みCPU220は、モデム211による回線捕捉を終了させる。これはユーザが持ち上げたハンドセット109が回線捕捉をしているので、モデム211による回線捕捉は必要ないためである。そしてCPU220の処理はS408に戻る。S418でCPU220は、一連の処理を終了させる。そして再度スタンバイ状態へ移行するため、CPU220はS401に移行する。
【0051】
以上の
図4に示すフローチャートに従って処理すると、内部給電やリレーなどの状態は
図7に示すタイムチャートのように遷移し、課題は発生しない。
【0052】
図7は、実施形態1に係る複合機101における、内部給電とリレーの状態を説明するタイムチャートである。
【0053】
実施形態1の処理を行うことにより、スタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときに、オフフックを検出するとS407で内部給電設定がオフであっても、内部給電をオンにする。これによりハンドセット109を持ち上げて操作部103からダイヤル操作する場合でも、内部給電の設定を変更せずに、相手と通話可能なファクシミリ機能を提供できる。
【0054】
[実施形態2]
実施形態2では
図3に示すスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定の場合、つまりHリレー214をオフ、電話電源供給部215をオフしているときのCPU220の制御について説明する。尚、実施形態2に係る複合機101のハードウェア構成等は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
スタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定で、ユーザがハンドセット109持ち上げて発呼した場合、CPU220が行う実施形態2の制御手順を
図5のフローチャートで説明する。
【0056】
図5は、実施形態2に係る複合機101がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU220がROM221或いはHDD202に格納されているプログラムをRAM222に展開して実行することにより達成される。
【0057】
まず、複合機101は電源オンされて、起動時の初期化が行われた状態とする。CPU220の処理はS501に移行し処理を開始する。S501~S506の処理は、前述の
図4のS401~S406の処理と同じなので、その説明を省略する。
【0058】
S507は、実施形態2の特徴となる処理であり、CPU220は、内部給電設定を変更するように促す画面を表示する。S507は、実施形態1のS407を実施しない複合機101で代わりに行う代替処理である。
【0059】
実施形態1で説明したように、内部給電設定がオフの場合、ハンドセット109を接続して、オフフックした後に操作部103からダイヤル操作すると、途中で回線電流が一旦切断されてしまい、相手と通話できなくなる。そこでS507でCPU220は、スタンバイ時に、ハードセット109がオフフックされたと検知すると、操作部103の画面に注意を喚起する画面を表示する。この画面では、「テンキーダイヤルを行う場合、内部給電設定を「しない」(オフ)→「する」(オン)へ変更してください」と表示してユーザに内部給電の設定変更を促す。
【0060】
またその後、操作部103の画面を自動的に
図12に示す設定画面に遷移させ、ユーザに内部給電設定を「する」に設定して保存するよう促す構成としても良い。また或いは操作部103の画面に「テンキーダイヤルを行う場合、内部給電設定を「しない」→「する」へ変更する必要があります。変更しますか?」と表示して、ユーザに「はい」「いいえ」のいずれかを選択させる構成としても良い。ここでユーザが「はい」を選択するとCPU220は、内部給電設定を「する」に設定して保存する。一方、ユーザが「いいえ」を選択すると、内部給電設定を変更しない。そしてCPU220の処理はS508に進み、CPU220は終了処理を行う。いまユーザが、ハンドセット109を置いて(オンフックして)ダイヤルをキャンセルした場合、操作部103の表示をスタンバイ状態に戻す。処理が終了するとスタンバイ状態に戻るためにCPU220の処理はS509へ移行する。S509でCPU220は、一連の処理を終了させる。そして再度スタンバイ状態へ移行するため、CPU220はS501に処理を進める。S507でユーザが内部給電設定を「しない」から「する」に設定して保存すると、次のS502では内部給電が「する」設定されているため、課題は発生しない。
【0061】
図8は、実施形態2に係る複合機101において、S507で表示される注意画面例を説明する図である。
【0062】
800は、テンキーを使用してダイヤルする場合、内部給電設定を「しない」→「する」へ変更する必要があるため、その変更を促す画面例を示す。801は、別の注意画面例を示し、ここではFAX設定で、内部給電設定を「しない」か、「する」かラジオボタンで選択して確定ボタンを押下することで選択できる。802は、テンキーを使用してダイヤルする場合、内部給電設定を「しない」→「する」へ変更する必要があるため、その変更するか否を「はい」か「いいえ」で選択できる画面例を示す。
【0063】
以上説明したように実施形態2によれば、内部給電設定をオフ、Hリレーをオフにして消費電力を削減する鳴動待機の際、ユーザがハンドセットを持ち上げた時に操作部103に内部給電設定を変更するように促す表示を行うことができる。これによりユーザに対して、内部給電の設定を変更しないと、ユーザの意図通り動作しないことを警告できる。
【0064】
また自動的に、内部給電の設定画面例に遷移することで、わかりやすいユーザインタフェースを提供する。
【0065】
またユーザに対して内部給電の設定を変更するか否かを問い合わせ、ユーザの指示に応じて、その設定を変更できることで、ユーザにとって分かり易いユーザインタフェースを提供できる。
【0066】
こうして消費電力を削減する鳴動待機の際でも、内部給電を「しない」から「する」に変更して保存することで、ユーザがハンドセットを持ち上げた後にダイヤルを操作した場合でも、相手と通話可能な複合機を提供できる。
【0067】
[実施形態3]
実施形態3では、
図3に示すスタンバイ時、内部給電をしない設定で、かつ鳴動設定、つまりHリレー214をオフ、電話電源供給部215をオフしている時のCPU220の制御について説明する。スタンバイ時、内部給電をしない設定で、かつ鳴動設定でハンドセットを持ち上げて発呼した場合、CPU220が行う実施形態3の制御手順を
図6のフローチャートで説明する。尚、実施形態3に係る複合機101のハードウェア構成等は、前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0068】
図6は、実施形態3に係る複合機101がスタンバイ時、内部給電がオフの設定で、かつ鳴動設定のときの処理を説明するフローチャートである。尚、このフローチャートで示す処理は、CPU220がROM221或いはHDD202に格納されているプログラムをRAM222に展開して実行することにより達成される。
図6のS601~606の処理は、前述の
図4のS401~406の処理と同じなので、その説明を省略する。
【0069】
S607は、実施形態3で特徴となる処理であり、CPU220は、内部給電設定値を自動的に「する」へ変更してHDD202或いは画像処理部201の内部フラッシュメモリへ保存する。実施形態1で説明したように内部給電設定がオフの場合、ハンドセットを接続して、持ち上げ後に操作部からダイヤル操作すると途中で回線電流が一旦切断されてしまい、相手と通話できなくなる。従ってS607でCPU220は、操作部103の画面に「内部給電設定を「する」に変更しました」と表示してユーザに設定値を自動的に変更したことを通知する。そしてCPU220はS608へ処理を進める。
【0070】
S608でCPU220は、内部給電設定値の変更に応じて内部給電をオンする制御を行い、テンキーダイヤル画面を表示する。具体的には、CPU220はポート制御部213を制御し、電話電源供給部215から直流24Vの給電を開始する。そして直流電圧が安定した後、ハンドセットのオフフック(持ち上げ)を検出できる。そして操作部103に「電話番号を入力して下さい」とテンキーダイヤル画面を表示しユーザに電話番号の入力を促す。これによりユーザは、操作部103のテンキーやタッチパネルを用いて、電話番号を入力することができる。そしてCPU220の処理はS609へ移行する。S609ではS408と同じ処理が行われるため説明を省略する。またS610~S617の処理は、前述の
図4のS410~S417と同じ処理であるため、その説明を省略する。
【0071】
図9は、実施形態3に係る複合機における、内部給電とリレーの状態を説明するタイムチャートである。
図9に示すように、ハンドセット109のオフフックが検出されると900で、内部給電設定を自動的に「する」に変更して保存するため、後続の処理で内部給電がオンに変更される。これにより、ハンドセットのオフフック(持ち上げ)を検出でき、かつ操作部103に「電話番号を入力して下さい」とテンキーダイヤル画面を表示してユーザのダイヤル入力が可能になる。
【0072】
以上説明したように実施形態3によれば、内部給電をオフ、Hリレーをオフ、として消費電力を削減する鳴動待機の場合に、ユーザがハンドセットを持ち上げると、自動的に内部給電設定をオンに変更して、操作部に通知を表示する。このように、自動的に内部給電の設定を「しない」から「する」へ変更することにより、消費電力を削減する鳴動待機でハンドセットを持ち上げてダイヤル操作した場合でも、相手と通話可能な複合機を提供できる。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0074】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0075】
101…複合機、102…コントローラ部、103…操作部、107…ファクシミリユニット、108…電話回線、109…ハンドセット、201…画像処理部、211…モデム、214…Hリレー、215…電話電源供給部、216…オフフック検出部、220…CPU