(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】塗装機
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20240109BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240109BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240109BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20240109BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240109BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B05C11/10
B05B12/00 A
B05C11/00
B05B1/14 Z
B05C5/00 Z
B25J9/06 B
(21)【出願番号】P 2023074841
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-05-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 輝澄
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓郎
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特許第7241955(JP,B1)
【文献】特開2005-193232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 11/10
B05B 12/00
B05C 11/00
B05B 1/14
B05C 5/00
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口から塗料を断続的に吐出することで、前記塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機であって、
複数の前記吐出口を備えた液室を一方向に複数配置した塗装ヘッドと、
複数の前記液室の各々に対応して設けられる供給路と、
前記供給路に設けられるとともに、当該供給路に供給される前記塗料に圧力を付加して前記液室に向けて送り出す圧力付加手段と、
複数の前記供給路の各々に設けられた前記圧力付加手段の各々を駆動する駆動源と、
を備え
、
前記圧力付加手段は、駆動ポンプギヤの回転により、前記塗料を前記液室に向けて送り出すギヤポンプであり、
複数の前記供給路に設けた前記ギヤポンプの各々が有する前記駆動ポンプギヤが一定間隔を空けて固定される共通駆動軸を設け、
前記駆動源は、前記共通駆動軸に駆動力を伝達する駆動モータであり、
前記駆動モータは、当該駆動モータの駆動時に前記共通駆動軸を回転させて、複数の前記供給路に設けた前記ギヤポンプの各々を同時に駆動する、
ことを特徴とする塗装機。
【請求項2】
吐出口から塗料を断続的に吐出することで、前記塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機であって、
複数の前記吐出口を備えた液室を一方向に複数配置した塗装ヘッドと、
複数の前記液室の各々に対応して設けられる供給路と、
前記供給路に設けられるとともに、当該供給路に供給される前記塗料に圧力を付加して前記液室に向けて送り出す圧力付加手段と、
複数の前記供給路の各々に設けられた前記圧力付加手段の各々を駆動する駆動源と、
を備え、
前記圧力付加手段は、駆動ポンプギヤの回転により、前記塗料を前記液室に向けて送り出すギヤポンプであり、
前記駆動源は、自身が有する出力軸に駆動ギヤが固定される駆動モータであり、
前記ギヤポンプの数と同一数設けられる伝達ギヤを含む複数のギヤから構成され、前記駆動ギヤの回転に伴なって前記伝達ギヤの各々が同一方向に回転するギヤ列と、
前記伝達ギヤの回転力を、当該伝達ギヤに対応して設けた前記ギヤポンプの前記駆動ポンプギヤの各々に伝達する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構による前記伝達ギヤの回転力の伝達の有無を制御する伝達制御部と、
を有する
ことを特徴とす
る塗装機。
【請求項3】
複数の前記供給路の各々に設けられる前記ギヤポンプは、前記供給路毎に前記塗料の送り出し量が異なる
ことを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の塗装機。
【請求項4】
前記供給路における前記圧力付加手段の下流側に配置される第1弁と、
前記供給路における前記圧力付加手段の下流側で、且つ前記第1弁の上流側となる位置から分岐されるとともに、前記圧力付加手段から送り出される前記塗料を前記供給路における前記圧力付加手段の上流側に還流する還流路と、
前記還流路に配置される第2弁と、
前記第1弁及び前記第2弁の開閉制御を行う開閉制御部と、
を有する
ことを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の塗装機。
【請求項5】
吐出口から塗料を断続的に吐出することで、前記塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機であって、
複数の前記吐出口を備えた液室を一方向に複数配置した塗装ヘッドと、
複数の前記液室の各々に対応して設けられる供給路と、
前記供給路に設けられるとともに、当該供給路に供給される前記塗料に圧力を付加して前記液室に向けて送り出す圧力付加手段と、
複数の前記供給路の各々に設けられた前記圧力付加手段の各々を駆動する駆動源と、
を備え、
前記供給路における前記圧力付加手段の下流側に配置される第1弁と、
前記供給路における前記圧力付加手段の下流側で、且つ前記第1弁の上流側となる位置から分岐されるとともに、前記圧力付加手段から送り出される前記塗料を前記供給路における前記圧力付加手段の上流側に還流する還流路と、
前記還流路に配置される第2弁と、
前記第1弁及び前記第2弁の開閉制御を行う開閉制御部と、
を有する
ことを特徴とする塗装機。
【請求項6】
前記第1弁は、前記供給路において、当該供給路が接続される前記液室の近傍に配置される
ことを特徴とする請求項
4に記載の塗装機。
【請求項7】
前記第1弁は、前記供給路において、当該供給路が接続される前記液室の近傍に配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の塗装機。
【請求項8】
前記第1弁は、前記供給路を閉塞する状態と、前記供給路を開通する状態との間で切り替えられる弁であり、
前記開閉制御部は、前記塗装ヘッドの姿勢に基づいて、少なくとも前記第1弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項
4に記載の塗装機。
【請求項9】
前記第1弁は、前記供給路を閉塞する状態と、前記供給路を開通する状態との間で切り替えられる弁であり、
前記開閉制御部は、前記塗装ヘッドの姿勢に基づいて、少なくとも前記第1弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の塗装機。
【請求項10】
前記塗装ヘッドを保持するアーム部材を少なくとも有するロボットアームを有し、
前記開閉制御部は、前記ロボットアームの動作によって変化する前記塗装ヘッドの姿勢に基づいて、少なくとも前記第1弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項
4に記載の塗装機。
【請求項11】
前記塗装ヘッドを保持するアーム部材を少なくとも有するロボットアームを有し、
前記開閉制御部は、前記ロボットアームの動作によって変化する前記塗装ヘッドの姿勢に基づいて、少なくとも前記第1弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の塗装機。
【請求項12】
前記液室に設けられる前記吐出口の数は、前記一方向における両端部に配置された前記液室と、前記一方向における中央部分に配置された前記液室とで異なる
ことを特徴とする請求項
1又は請求項
2に記載の塗装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装機に関する。
【背景技術】
【0002】
高粘度の塗料に対して圧力を付加して、塗装ヘッドに設けた複数のノズル(以下、吐出口と称する)から断続的に吐出させる塗装機が提供されている。この塗装機では、例えば塗装ヘッドの副走査方向などの一方向に沿って、複数の吐出口が配置された液室を備えた塗装ヘッドを用い、当該液室に向けて塗料を供給することにより、液室に貯留された塗料を複数の吐出口から吐出することで、複数の吐出口から塗料を断続的に吐出する(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-334512号公報
【文献】特開平9-234409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一方向に沿って複数の吐出口が配置された液室の内部では、当該一方向における中央部分に塗料が供給されやすく、一方向における両端部には塗料が供給されにくい傾向にある。したがって、複数の吐出口のそれぞれから、同一量の塗料を吐出することが難しい。また、一方向に沿って配置された複数の吐出口から塗料を吐出する場合、例えば塗装幅を変更するときには、吐出口を遮蔽する必要があるため、供給される塗料の圧力変動の影響を受けやすい。
【0005】
また、複数の吐出口のそれぞれから同一量の塗料を吐出でき、また、塗装幅を変更する場合に塗料の圧力変動の影響を受けにくい方法として、例えば複数の吐出口の各々に対応して設けられた供給路のそれぞれに、ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動源を配置する方法がある。しかしながら、ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動源を供給路のそれぞれに配置すると、塗装ヘッドまでの回路構成が大型化するという欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、塗装ヘッドまでの回路構成の大型化を防止し、また、塗料の圧力変動の影響を受けにくい回路構成を有する塗装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面における塗装機は、吐出口から塗料を断続的に吐出することで、塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機であって、複数の吐出口を備えた液室を一方向に複数配置した塗装ヘッドと、複数の液室の各々に対応して設けられる供給路と、供給路に設けられるとともに、当該供給路に供給される塗料に圧力を付加して液室に向けて送り出す圧力付加手段と、複数の供給路の各々に設けられる圧力付加手段の各々を駆動する駆動源と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗装ヘッドまでの回路構成の大型化を防止し、また、塗料の圧力変動の影響を受けにくい回路構成を有する塗装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明を実施した塗装機である塗装機の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、塗装ヘッド及び塗料供給装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、駆動モータの駆動時に、ギヤ列を介してギヤポンプを駆動する場合の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、円筒状のノズルを設けたノズルプレートの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した塗装機について、図面に基づいて説明する。本実施の形態の塗装機は、例えば、自動車製造工場における塗装ラインの側方向に配置され、塗装ラインに沿って搬送される車体を塗装するものである。以下では、車体が塗装を行う位置(以下、塗装位置と称する)で一旦停止したことを受けて、当該車体に塗装が行われる場合を説明する。
【0011】
本実施の形態において、塗装機が塗装を行う対象物(以下、塗装対象物と称する)として、自動車の車体を一例として説明するが、塗装対象物としては、例えば車体以外の自動車部品でもよく(一例としては、ドア、ボンネットや各種パネルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)、その他、自動車以外の各種部品(一例としては飛行機や鉄道の外装部品)など、塗装を行う必要があるものであれば、自動車の車体に限定される必要はない。
【0012】
また、塗装は、塗膜を塗装対象物の表面に形成して、その表面の保護や美観を与えることを目的として行われるものである。したがって、塗装としては、特定色の塗料、又は特定の機能を有する塗料を用いて塗装対象物を塗装することの他に、複数色の塗料を順に用いて塗装対象物を塗装することを含む。また、塗装は、例えば模様、イラストあるいは画像などの塗装を含む。
【0013】
以下では、塗装ラインを搬送される車体200が塗装位置にて停止したときの車体200の前後方向をX軸、車体200の幅方向をY軸、車体200の前後方向及び幅方向の各々に直交する方向、すなわち車体200の上下方向をZ軸とする。そして、車体200の前後方向において、車体200の前方をx方向、車体200の後方を-x方向とする。また、車体200の幅方向において、車体200の右方をy方向、車体200の左方を-y方向とする。さらに、車体200の上下方向において、車体200の上方をz方向、車体200の下方を-z方向とする。
【0014】
また、塗装ヘッド30を、塗装位置にある車体200の前後方向(
図1A中x方向又は-x方向)に移動させて塗装を行う場合を示す。したがって、塗装ヘッド30による車体200の塗装において、塗装ヘッド30が移動する、車体200の前後方向が主走査方向となり、車体200の幅方向(
図1A中y方向又は-y方向)が副走査方向となる。
【0015】
ここで、本実施の形態における塗装機10は、塗装ヘッド30を主走査方向の一方側(
図1A中-x方向)に移動させて1ライン分の塗装を行い、1ライン分の塗装の終了後に、塗装ヘッド30を副走査方向の一方側(
図1A中-y方向)に、例えば1ライン分の塗装における塗装幅に相当する距離を移動させ、塗装ヘッド30を主走査方向の他方側(
図1A中x方向)に移動させて次の1ライン分の塗装を行う。この塗装ヘッド30の主走査方向における往復動を繰り返し行うことで、車体200の塗装を行う。また、図示は省略するが、塗装機10は、1台の車体200の塗装が終了してから、次に塗装を行う車体200が塗装位置まで移動するまでの間、塗装ヘッド30を、塗装ラインから退避した待機位置に保持する。
【0016】
図1A及び
図1Bに示すように、塗装機10は、一例として、ロボットアーム20と、塗装ヘッド30を有している。ロボットアーム20は、基台21と、複数(
図1A及び
図1Bにおいては2本)のアーム部材22,23と、を有する多軸アームから構成されている。基台21は、固定部24と、固定部24に対して回転可能な回転部25と、を有している。回転部25は、固定部24の内部に設けたモータ(不図示)の駆動により、塗装ラインの床面FLに垂直となる方向(
図1A及び
図1B中Z軸)を回転中心として回転する。
【0017】
以下、複数のアーム部材22,23のうち、回転部25に連結されるアーム部材22を第1回動アーム22、第1回動アーム22に連結されるアーム部材23を第2回動アーム23と称する。
【0018】
第1回動アーム22は、当該第1回動アーム22の延伸方向における一端部において、回転部25に設けた可動軸部26に連結されている。図示は省略するが、回転部25に設けた可動軸部26にはモータ(不図示)が設けられ、回転部25に連結される第1回動アーム22を、塗装ラインの床面FLに直交する平面(例えばロボットアーム20が
図1Bの状態にあるときには、YZ平面)上で回動させる。
【0019】
第1回動アーム22は、当該第1回動アーム22の延伸方向における他端部において、可動軸部27を介して第2回動アーム23が連結されている。第1回動アーム22に設けた可動軸部27にはモータ(不図示)が設けられ、第1回動アーム22に連結される第2回動アーム23を、塗装ラインの床面FLに直交する平面(例えばロボットアーム20が
図1Bの状態にあるときには、YZ平面)上で回動させる。なお、図示は省略するが、回転部25の可動軸部26の中心軸線と、第1回動アーム22に設けた可動軸部27の中心軸線とは、平行となる。なお、詳細は後述するが、第2回動アーム23には、塗料供給装置40が内部に設けられている。
【0020】
第2回動アーム23の延伸方向における他端部には、リスト部28が設けられる。リスト部28は、塗装ヘッド30を保持する。リスト部28は、駆動軸の軸線方向が各々異なる複数のモータ(不図示)を有しており、これらモータのいずれかを駆動させることで、リスト部28が有する複数の軸部のいずれかの軸部を回動中心として、保持した塗装ヘッド30を回動させる。なお、軸部の個数は、2つ以上であればよい。
【0021】
図2に示すように、塗装機10は、塗装ヘッド30及び塗料供給装置40を有している。塗装ヘッド30は、第2回動アーム23に設けたリスト部28に保持されている。ここで、第2回動アーム23が請求項に記載のアーム部材に相当する。塗装ヘッド30は、ヘッド本体31と、ノズルプレート32とを有している。
【0022】
ヘッド本体31は、当該ヘッド本体31の下面側が開口された凹状部33を複数有している。複数の凹状部33は、ヘッド本体31の所定方向に沿って一定間隔で複数設けられている。
図2では、5個の凹状部33が塗装ヘッド30の副走査方向(Y軸方向)に配置されている場合を例示している。以下、複数の凹状部33及び当該凹状部33に対応する構成に対して、
図2中左側から「~a」、「~b」、「~c」、「~d」及び「~e」と称する場合がある。
【0023】
複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)は、例えば直方体形状の内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)を有している。複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)は、各々同一の形状となっている。すなわち、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)の内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)において、塗装ヘッド30の副走査方向(Y軸方向)における長さ(幅)、主走査方向(X軸方向)における長さ(奥行き)及び上下方向(Z軸方向)における長さ(高さ)が全て同一となっている。
【0024】
複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)は、当該凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)の上部において、後述する塗料供給装置40の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々が接続されている。
【0025】
ノズルプレート32は、ヘッド本体31の下面に固定される板状の部材である。ノズルプレート32をヘッド本体31の下面に固定すると、ヘッド本体31に設けた複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)は、ノズルプレート32によって遮蔽される。このとき、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)の内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)は、ノズルプレート32によって液密に保持される。
【0026】
上述したように、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)の各々には、塗料供給装置40の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)が接続されている。したがって、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)の内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)の各々には、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々を介して送り込まれる塗料が一時的に貯留される空間となる。以下、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)とノズルプレート32とによって液密に保持される内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)を液室35(35a,35b,35c,35d,35e)と称する場合がある。
【0027】
上述したように、ヘッド本体31に設けられる複数の凹状部33の各々が有する内部空間35は、同一形状である。したがって、ヘッド本体31にノズルプレート32が固定された状態では、ノズルプレート32によって遮蔽される内部空間35(35a,35b,35c,35d,35e)の体積(容量)は全て同一となっている。
【0028】
ノズルプレート32には、吐出口(ノズル)36が塗装ヘッド30の副走査方向に複数配置されている。なお、
図2においては、一部の吐出口36に対してのみ符号を付している。複数の吐出口36は、隣り合う2つの吐出口36の間隔(隣り合う2つの吐出口36の中心間の距離)Dが同一の間隔となるように、ノズルプレート32に配置されている。なお、隣り合う2つの吐出口36の間隔Dは、0.5mm以上、10mm以下であることが好ましい。
【0029】
本実施の形態では、複数の凹状部33が5個の凹状部33が塗装ヘッド30の副走査方向(Y軸方向)に配置されている場合を例示している。ところで、複数の凹状部33が、1つおきにx方向又は-x方向に所定の距離ずれてヘッド本体31に設けられている場合もある。このような場合には、複数の凹状部33の各々に対応して設けられる複数の吐出口36も、1つおきにx方向又は-x方向に所定の間隔ずれてノズルプレート32に設けられていることが好ましい。
【0030】
複数の吐出口36は、ノズルプレート32がヘッド本体31に取り付けられたときに、ノズルプレート32と複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)とにおいて形成される複数の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の各々に対して、同一数の吐出口36が割り当てられるように、ノズルプレート32に設けられている。
【0031】
なお、本実施の形態において、複数の凹状部33を有しているヘッド本体31と、当該ヘッド本体31に固定されるノズルプレート32と、から構成した塗装ヘッド30を一例として説明したが、複数の凹状部33を有する部材(以下、凹状部形成部材と称する)を、ヘッド本体31とは別に設けて、凹状部形成部材、ノズルプレート32の順でヘッド本体31に固定して形成される塗装ヘッド30としてもよい。また、上述した凹状部形成部材を設ける場合には、当該凹状部形成部材をノズルプレート32に固定した後、ノズルプレート32をヘッド本体31に固定した塗装ヘッド30としてもよい。なお、これら場合、凹状部33を複数有する凹状部形成部材をヘッド本体31又はノズルプレート32に固定してもよいし、1つの凹状部33を有する凹状部形成部材を、ヘッド本体31又はノズルプレート32に複数固定してもよい。
【0032】
塗料供給装置40は、供給路41と、当該供給路41から分岐される複数の分岐供給路42と、複数の分岐供給路42の各々に設けた還流路43と、を有する。
図2においては、塗装ヘッド30には5個の液室35を設けた場合を例示している。したがって、
図2に示す塗料供給装置40では、供給路41から分岐される分岐供給路42や、還流路43は、各々、5本設けられている。ここで、分岐供給路42は、請求項に記載の供給路に相当する。
【0033】
供給路41は、上流側端部が塗料タンク51に接続されており、塗料タンク51に貯留された塗料を複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に向けて供給する。なお、塗料タンク51は、例えば塗装ラインの床面FLに設置されている。なお、塗料タンク51は、例えば塗装ラインの床面FLに設置される他、塗装機10のロボットアーム20の第1回動アーム22又は第2回動アーム23のいずれか一方の回動アームの内部、或いは、塗装機10の基台21の内部に設けられていてもよい。
【0034】
ここで、塗料タンク51は、当該塗料タンク51に貯留される塗料を加圧した状態で保持可能である。塗料タンク51が塗料を加圧した状態で保持可能とすることで、塗料タンク51にポンプなどの送出手段を設けることなく、供給路41に向けて塗料を送り出すことが可能となる。
【0035】
また、塗料タンク51は、当該塗料タンク51に貯留される塗料を攪拌する攪拌手段を有していることが好ましい。塗料タンク51が攪拌手段を有することで、塗料に含まれる顔料(又は染料)を塗料タンク51の底部に沈殿することを防止でき、また、顔料(又は染料)を均一に保持した塗料を供給路41に向けて送出することができる。
【0036】
また、塗料タンク51は、当該塗料タンク51に貯留される塗料の温度を一定に保持するための温度保持手段を有することが好ましい。塗料タンク51が温度保持手段を有することで、塗装面における塗装ムラの発生を防止できる。
【0037】
また、塗料タンク51は、使用する塗料の種類(色、塗料自体の種類)毎に複数設けられている。この場合、複数の塗料タンクのうちのいずれかの塗料タンクと供給路との接続を切り替える切替手段を設ける必要がある。
【0038】
なお、上述した供給路41には、塗料タンク51に加えて、洗浄液が貯留された洗浄用タンクが接続されている。なお、洗浄用タンクに貯留される洗浄液は、供給路41、分岐供給路42及び塗装ヘッド30を洗浄するためのものである。
【0039】
また、供給路41には、除去フィルタや、脱気モジュールが配置されていてもよい。ここで、除去フィルタは、塗料に含まれている粗大異物や顔料凝集物などの異物の他、塗料に含まれる気泡のうち、所定の大きさを超える気泡を除去する。また、脱気モジュールは、塗料に溶存している溶存気体や気泡を除去(脱気)する。
【0040】
また、この他に、供給路41には、当該供給路41を流れる塗料の温度を一定に保つための、例えばヒータや冷却手段などを有する温度調整機構が設けられていてもよい。温度調整機構を設けることで、供給路41を流れる塗料において、顔料と溶液との分離を防止することが可能となる。
【0041】
複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)は、上流側の端部において供給路41から各々分岐されるとともに、下流側の端部において複数の凹状部33の各々に接続されている。分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)には、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)が配置されている。ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)は、当該ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の駆動時に、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)を流れる塗料を引き込むとともに、一定の圧力を付加して分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の下流側、すなわち、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)が接続された凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)に向けて送り出す。ここで、ギヤポンプ45は、請求項に記載の圧力付加手段に相当する。なお、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に配置されるギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の容量(送り出し量)は同一のものが使用される。
【0042】
分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)には、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の下流側に制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)が配置されている。制御弁46は、開弁時に分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)を開通させ、閉弁時に分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)を閉塞させる。制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)は、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に接続された凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)に対応して設けられたノズルプレート32の吐出口36から塗料を吐出する場合に開弁され、当該ノズルプレート32の吐出口36から塗料の吐出を行わない場合に閉弁される。なお、制御弁46は、請求項に記載の第1弁に相当する。
【0043】
なお、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に設けられる制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)は、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)のギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)よりも下流側で、且つ液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の近傍となる位置に設けられることが好ましい。制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)を、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の近傍となる位置に設けることで、吐出精度を安定させることができる。
【0044】
還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)は、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)から送り出される塗料を、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)において、当該ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の上流側に還流させる流路である。還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)の一端部は、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)と制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)との間となる位置で、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に接続されている。また、還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)の他端部は、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の上流側となる位置で、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に接続されている。
【0045】
還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)には、制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)が配置されている。制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)は、開弁時に還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)を開通させ、閉弁時に還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)を閉塞させる。制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)は、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に接続された液室35(35a,35b,35c,35d,35e)に対応して設けられたノズルプレート32の吐出口36(36a,36b,36c,36d,36e)から、塗料を吐出する場合に閉弁され、当該ノズルプレート32の吐出口36(36a,36b,36c,36d,36e)から、塗料を吐出しない場合に開弁される。なお、制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)が開弁されているとき、制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)は閉弁されている。したがって、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)から送り出される塗料は、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)と、還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)と、の間で循環する。なお、制御弁47は請求項に記載の第2弁に相当する。
【0046】
駆動モータ48は、複数の分岐供給路42の各々に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)を同時に駆動する。図示は省略するが、駆動モータ48の出力軸は、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の回転駆動部(例えば駆動ポンプギヤ)の各々に駆動力を伝達する共通駆動軸49と連結されている。したがって、駆動モータ48の駆動により駆動モータ48の出力軸が回転すると、共通駆動軸49が回転して、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の回転駆動部をそれぞれ回転させる。これにより、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)が、同時に駆動する。ここで、駆動モータ48は、請求項に記載の駆動源に相当する。
【0047】
制御装置55は、当該制御装置55のメモリ56に記憶された各種データを読み出して、制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e),制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)の開閉制御や、駆動モータ48の駆動制御を行う。メモリ56には、例えば経路データ、塗装データなどが記憶されている。なお、制御装置55は、請求項に記載の開閉制御部に相当する。
【0048】
経路データは、車体200の塗装における塗装ヘッド30の移動経路を示すデータである。また、塗装データは、塗装において使用する吐出口36又は当該吐出口36が割り当てられた液室35の情報と、当該液室35に対応する制御弁46,47の開閉状態を示す情報とを1ラインの塗装ごとにまとめたデータである。
【0049】
次に、本実施の形態にて示した塗装機10を用いて、塗装対象物を塗装する場合の制御について説明する。例えば、ロボットアーム20に保持された塗装ヘッド30は、待機位置に保持されている。塗装ラインを搬送される車体200が塗装位置で停止されると、制御装置55は、メモリ56から経路データを読み出して、当該経路データに基づいてロボットアーム20を駆動する。これにより、塗装ヘッド30が塗装開始位置まで移動する。なお、塗装ヘッド30が塗装開始位置まで移動したとき、塗装ヘッド30は、塗装開始位置で停止する。
【0050】
塗装ヘッド30が塗装開始位置まで移動すると、制御装置55は、メモリ56から塗装データを読み出す。制御装置55は、読み出した塗装データに基づいて、分岐供給路42に設けられた制御弁46及び還流路43に設けられた制御弁47の開閉制御を行う。
【0051】
例えば、ノズルプレート32に設けた複数の吐出口36の全てから塗料を吐出する場合、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けられた制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)を全て開弁し、還流路43に設けられた制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)を全て閉弁する。なお、複数の分岐供給路42に設けられた制御弁46が既に全て開弁していて、還流路43に設けられた制御弁47が既に閉弁している場合には、これら制御弁46,47の制御は行わない。
【0052】
そして、制御装置55は、ロボットアーム20を駆動して、塗装ヘッド30を主走査方向に移動させる。同時に、制御装置55は、駆動モータ48を駆動させる。駆動モータ48が駆動すると、駆動モータ48の出力軸に連結された共通駆動軸49が回転する。上述したように、共通駆動軸49は、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の回転駆動部の各々に駆動力を伝達可能に構成されている。したがって、駆動モータ48の駆動により駆動モータ48の出力軸が回転すると、共通駆動軸49及び当該共通駆動軸49が嵌合するギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の回転駆動部が回転する。これにより、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)が、同時に駆動する。
【0053】
複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に設けられたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の各々が駆動を開始すると、ギヤポンプ45は、塗料タンク51に貯留されている塗料を各分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に引き込む。そして、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)は、引き込んだ塗料を液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の各々に向けて送り出す。ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)が塗料を液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の各々に向けて送り出すときに、送り出される塗料に一定の圧力が付加される。
【0054】
ところで、複数の分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の下流側に配置される制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e)が各々開弁し、複数の還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)に配置される制御弁47(47a,47b,47c,47d,47e)が各々閉弁しているときには、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)から分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に送り出された塗料は、還流路43(43a,43b,43c,43d,43e)へと流れることなく、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)に接続されている液室35(35a,35b,35c,35d,35e)に各々流れる。
【0055】
上述したように、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)は、塗料を一定の圧力を付加して液室35(35a,35b,35c,35d,35e)に向けて送り出している。したがって、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)により液室35に向けて送り込まれる塗料は、液室35(35a,35b,35c,35d,35e)内に貯留される塗料を、ノズルプレート32に設けられた吐出口36の各々から一定の圧力にて押し出す。その結果、塗装ヘッド30は、当該塗装ヘッド30の吐出口36の各々から一定の圧力で塗料を断続的に吐出し続ける。これにより、車体200の塗装面には、塗装ヘッド30から吐出された塗料が塗布される。
【0056】
上述した塗装機10における塗装では、1ラインの塗装において、塗装ヘッド30から吐出される塗料の副走査方向における幅(以下、塗装幅と称する)を狭くして塗装を行う場合もある。
【0057】
上述したように、ノズルプレート32に設けられる吐出口36は、液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の各々に所定数(例えば5個など)割り当てられている。したがって、塗装幅を狭くして塗装を行う場合、制御装置55は、ノズルプレート32に設けられる吐出口36の各々からの塗料の吐出を、吐出口36の各々で制御するのではなく、液室35の各々で制御する。
【0058】
塗装幅を狭くして塗装を行う場合の一例として、塗装ヘッド30の副走査方向に配置される5個の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)のうち、当該副走査方向における両端部に位置する液室35a,35eへの塗料の供給を停止する場合を挙げることができる。
【0059】
この場合、制御装置55は、液室35a,35eに接続された分岐供給路42a,42eに設けた制御弁46a,46eを閉弁し、還流路43a,43eに設けた制御弁47a,47eを開弁する。一方、液室35b,35c,35dに接続された分岐供給路42b,42c,42dに設けた制御弁46b,46c,46dは開弁され、還流路43b,43c,43dに設けた制御弁47b,47c,47dは閉弁されている。したがって、液室35b,35c,35dに対して、塗料の供給が行われる。
【0060】
駆動モータ48が駆動すると、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の各々も駆動する。このとき、ギヤポンプ45a(45e)の駆動により、分岐供給路42a(42e)の下流側に送り出された塗料は、分岐供給路42a(42e)と還流路43a(43e)との間で循環される。一方、ギヤポンプ45b(45c,45d)の駆動により、分岐供給路42b(42c,42d)の下流側に送り出された塗料は、液室35b(35c,35d)に送り込まれる。その結果、液室35b(35c,35d)に割り当てられた5個の吐出口36の各々から一定の圧力が付加された塗料が吐出される。
【0061】
塗装幅を狭くして、すなわち、一部の吐出口36から塗料を吐出して塗装を行う場合も、全ての吐出口36から塗料を吐出して塗装を行う場合と同様に、一定の圧力が付加された塗料が吐出される。これにより、塗装幅を狭くして塗装を行う場合であっても、各吐出口36から吐出される塗料の圧力変動を抑制できる。その結果、吐出口36から吐出された塗料は、吐出時の軌道が変化することなく車体200の塗装面の目的の位置に塗布されて、塗装ヘッド30から吐出される塗料が車体200の塗装面の目的の位置から外れて塗布されることに起因する塗装ムラの発生も抑制される。なお、ここで示す塗装ムラとは、車体200の塗装面において、塗料が塗布されていない箇所や、隣り合う2つの吐出口36から吐出された塗料が重畳された箇所が筋状となって表れるものである。
【0062】
なお、塗装幅を狭くして塗装を行う場合、例えば塗装ヘッド30の副走査方向に配置される5個の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)のうち、当該副走査方向における一端部に位置する1つの液室35aと、他端部に位置する1つの液室35eへの塗料の供給を停止することを例示したが、これら液室35a,35eのいずれか一方の液室への塗料の供給を停止してもよい。また、塗装幅を狭くして塗装を行う場合、5個の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)のうち、副走査方向における一端部からカウントされる所定数の液室35(例えば液室35a,35b又は液室35d,35eなど)への塗料の供給を停止してもよい。
【0063】
また、塗装幅を狭くして塗装を行う他に、複数本の塗装ラインを塗装する場合もある。このような場合には、5個の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)のうち、塗装ヘッド30の副走査方向における両端部に配置される液室35のいずれかへの塗料の供給を行うのではなく、塗装ヘッド30の副走査方向における中央部分に配置される液室35b,35c,35dの少なくとも1つの液室35への塗料の供給を停止する。
【0064】
本実施の形態では、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の回転駆動部を所定間隔で共通駆動軸49に固定し、駆動モータ48の駆動に伴なって共通駆動軸49を回転させることにより、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けられたギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)を同時に駆動する場合を一例として説明している。しかしながら、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に設けられたギヤポンプ45を同時に駆動する方法として、共通駆動軸49を用いる方法に限定する必要はなく、例えばギヤ列を用いることも可能である。以下、本実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0065】
図3及び
図4に示すように、駆動モータ48の出力軸48aに駆動ギヤ71を固定する。駆動ギヤ71は、ギヤ列80の従動ギヤ81に噛合する。ギヤ列80は、従動ギヤ81の他に、例えば、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の数と同数の(例えば5個の)伝達ギヤ82(82a,82b,82c,82d,82e)と、従動ギヤ81と伝達ギヤ82(82a,82b,82c,82d,82e)との間に設けられて従動ギヤ81の回転を伝達ギヤ82(82a,82b,82c,82d,82e)に伝達する複数のギヤ(不図示)から構成されている。
【0066】
クラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)は、伝達ギヤ82(82a,82b,82c,82d,82e)の回転を、当該伝達ギヤ82(82a,82b,82c,82d,82e)に対応するギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の駆動ポンプギヤ86(86a,86b,86c,86d,86e)に伝達する状態(以下、第1状態)と、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の駆動ポンプギヤ86(86a,86b,86c,86d,86e)への伝達を遮断する状態(以下、第2状態)との間で切り替える。クラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)は、例えば制御装置55によって、第1状態と第2状態との間で切替制御される。ここで、クラッチ機構85は、請求項に記載の動力伝達機構に相当する。また、制御装置55は、請求項に記載の伝達制御部に相当する。なお、
図4においては、制御装置55からクラッチ機構85に向けた信号を二点鎖線で示している。
【0067】
例えばクラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)が第1状態であるとき、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の各々が駆動して、塗料タンク51に貯留された塗料が、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)から液室35(35a,35b,35c,35d,35e)に向けて送り出される。一方、クラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)が第2状態となるときには、ギヤポンプ(45a,45b,45c,45d,45e)の各々は駆動しない。
【0068】
すなわち、この実施の形態では、塗装ヘッド30による車体200の塗装時には、制御装置55は、クラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)の各々を第1状態に保持するように制御する。同時に、制御装置55は、制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e),47(47a,47b,47c,47d,47e)の開閉制御を行って、液室35(35a,35b,35c,35d,35e)毎に、吐出口36からの塗料の吐出を制御する。
【0069】
なお、クラッチ機構85は、必ずしも必要ではなく、例えば、伝達ギヤ82とギヤポンプ45の駆動ポンプギヤ86とを1つの回転軸に固定して、伝達ギヤ82の回転に合わせてギヤポンプ45の駆動ポンプギヤ86を回転させてもよい。
【0070】
また、クラッチ機構85を用いる場合、例えば塗装幅を変えるなど、一部の吐出口36から塗料を吐出するときには、制御装置55は、制御弁46(46a,46b,46c,46d,46e),47(47a,47b,47c,47d,47e)の開閉制御を行うではなく、クラッチ機構85(85a,85b,85c,85d,85e)のうち、塗料の吐出を行わない吐出口36が割り当てられた液室35に対応付けられたクラッチ機構85を第2状態に切り替えるように制御することも可能である。
【0071】
本実施の形態では、吐出を行わない吐出口36が割り当てられた液室35に対しては塗料の供給を行わずに、分岐供給路42と還流路43との間で塗料を循環させている。例えば、分岐供給路42において、ギヤポンプ45と液室35との間に設けられる制御弁46の代わりに三方弁を配置し、当該三方弁を、分岐供給路42から液室35に塗料を供給する状態と、分岐供給路42から塗料タンク51に戻す状態との間で切り替えることも可能である。なお、制御弁46の代わりに、三方弁を配置する場合には、還流路43や、当該還流路43に配置される制御弁47の構成は省略してもよい。
【0072】
なお、制御弁46の代わりに三方弁を配置することで、塗料を分岐供給路42から塗料タンク51に戻すことが可能となる。このような場合、分岐供給路42から塗料タンク51に戻す流路に、ダイヤフラムポンプを配置することも可能である。分岐供給路42から塗料タンク51に戻す流路にダイヤフラムポンプを配置することで、塗料に含まれる顔料(又は染料)の沈降を防止し、また、塗料の温度を一定に保持することが可能となる。
【0073】
本実施の形態では、分岐供給路42に設けられる制御弁46を、塗料を液室35に送り出す場合に開弁し、分岐供給路42と還流路43との間で塗料を循環させる場合に閉弁するとしている。ところで、塗装機10における車体200の塗装では、塗装ヘッド30の姿勢は、塗装ヘッド30のノズルプレート32の下面(以下、吐出面と称する)32a(
図2参照)が塗装ラインの床面FLに対面する姿勢であるとは限らず、当該吐出面32aが塗装ラインの床面FLに対して所定の角度傾斜した姿勢となる場合がある。このような場合、ギヤポンプ45から一定の圧力を付加して塗料を液室35に向けて送り出しているにも関わらず、液室35に貯留された塗料には一定の圧力が付加されずに、当該液室35に割り当てられた吐出口36から吐出される場合もある。その結果、一定量の塗料が吐出されずに車体200の塗装面に塗布されてしまい、塗布された塗料の膜厚が、他の塗布面と異なる事象が発生する。したがって、塗装ヘッド30の姿勢の変化に伴って、分岐供給路42に設けられる制御弁46の開度を調整して、各吐出口36から吐出される塗料の吐出量を一定に保持するように制御弁46を制御することも可能である。
【0074】
なお、塗装ヘッド30の姿勢は、塗装機10のロボットアーム20が動作することによって変化する。したがって、塗装ヘッド30に、ジャイロセンサ(不図示)を設けて、塗装ヘッド30の傾きを検出する、又は、ロボットアーム20の動作(回動アーム22,23を回動させるモータの回転量など)から塗装ヘッド30の姿勢を求めて、上記制御弁46の開度を調整してもよい。また、制御弁46の開度を調整するだけでなく、ギヤポンプ45における塗料の送り出し量を変えることも可能である。
【0075】
本実施の形態では、複数の凹状部33(33a,33b,33c,33d,33e)を有するヘッド本体31と、複数の吐出口(ノズル)36が形成されたノズルプレート32と、を有する塗装ヘッド30を例示している。しかしながら、塗装ヘッドを、液室を有する液室モジュールをヘッド本体に対して複数着脱することが可能な塗装ヘッドとすることも可能である。
【0076】
本実施の形態では、各液室35に設けられる吐出口36の数を同一数としているが、例えば塗装ヘッド30の副走査方向における両端部に配置される液室35に割り当てられた吐出口36の数を、中央部分に配置される液室35に割り当てられた吐出口36の数と異なる数とすることも可能である。また、これに合わせて、塗装ヘッド30の副走査方向における両端部に配置される液室35に割り当てられた吐出口36の間隔と、中央部分に配置される液室に割り当てられた吐出口36の間隔とを異なる間隔としてもよい。
【0077】
本実施の形態では、ノズルプレート32に設けられる吐出口36の形状については特に限定していないが、
図5に示すように、ノズルプレート91に設けた複数の孔92の各々に対応する位置に、ノズルプレート91の下面91aから下方に突出する、例えば円筒状のノズル93を設けることも可能である。
【0078】
本実施の形態では、複数の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)の容量が、全て同一容量となるように各々形成されている場合を説明しているが、複数の液室35の一部の液室35の容量を、他の液室35の容量と異なる容量とすることも可能である。この場合、塗装ヘッド30の副走査方向に設けられる複数の液室35(35a,35b,35c,35d,35e)のうち、副走査方向における中央部分に設けられる液室35b,35c,35dの容量に対して、副走査方向における両端部に設けられる液室35a,35eの容量を小さくするようにすることもできる。ここで、液室35の容量を小さくする方法としては、例えば、凹状部33の幅、奥行き、高さ(深さ)のいずれかを、他の凹状部33よりも小さくする、または、塗装ヘッド30の副走査方向における両端部に設けられる液室35の形状を、当該副走査方向における中央部分に設けられる液室35とは異なり、且つ容量が小さい形状とすることができる。
【0079】
本実施の形態では、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に配置されるギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)において、容量(送り出し量)が同一のギヤポンプを配置した場合を説明している。しかしながら、ギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)の容量は、例えば塗装ヘッド30の副走査方向における両端部に配置される液室35に対応するギヤポンプ45と、塗装ヘッド30の副走査方向における中央部分に配置される液室35に対応するギヤポンプ45とを異なる容量のギヤポンプとするなど、分岐供給路42(42a,42b,42c,42d,42e)の各々に配置されるギヤポンプ45(45a,45b,45c,45d,45e)として、全て同一の容量のギヤポンプを用いる必要はない。
【0080】
<効果のまとめ>
本実施の形態の塗装機10は、吐出口36から塗料を断続的に吐出することで、塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機10であって、複数の吐出口36を備えた液室35を一方向に複数配置した塗装ヘッド30と、複数の液室35の各々に対応して設けられる分岐供給路42と、分岐供給路42に設けられるとともに、当該分岐供給路42に供給される塗料に圧力を付加して液室35に向けて送り出すギヤポンプ45と、複数の分岐供給路42の各々に設けられたギヤポンプ45の各々を駆動する駆動源と、を備えることを特徴としている。
【0081】
この構成によれば、複数の分岐供給路42に配置されたギヤポンプ45の駆動及び駆動停止を、1つの駆動源で行うので、ギヤポンプ45に対応した駆動源を配置する必要がなくなる。その結果、塗装ヘッド30までの回路構成を大型化せずに済む。また、塗装幅を変更して塗装を行う場合に、塗装ヘッド30において、一方向(例えば副走査方向)に配置された複数の液室35の各々に設けられた吐出口36からの塗料の吐出及び吐出停止を液室35ごとに制御することができる。
【0082】
また、本実施の形態の塗装機10においては、ギヤポンプ45は、駆動ポンプギヤの回転により、塗料を液室35に向けて送り出し、複数の分岐供給路42に設けたギヤポンプ45の各々が有する駆動ポンプギヤ86が一定間隔を空けて固定される共通駆動軸49を設け、駆動モータ48は、共通駆動軸49に駆動力を伝達し、駆動モータ48は、当該駆動モータ48の駆動時に共通駆動軸49を回転させて、複数の分岐供給路42に設けたギヤポンプ45の各々を同時に駆動するようにしてもよい。
【0083】
このように構成する場合には、駆動モータ48は、複数の分岐供給路42のそれぞれに配置されたギヤポンプ45が有する駆動ポンプギヤ86が一定間隔で取り付けられた共通駆動軸49を駆動(回転)させる構成となるので、駆動モータ48を各ギヤポンプ45に直接設けた場合に比べて装置構成が簡略化される。また、駆動モータ48と、複数のギヤポンプ45とを1つのユニットとすることができるので、塗装機10への組み込みが容易になる。
【0084】
また、本実施の形態の塗装機10においては、ギヤポンプ45は、駆動ポンプギヤの回転により、塗料を液室35に向けて送り出し、駆動モータ48は、自身が有する出力軸48aに駆動ギヤ71が固定されるようにしてもよい。また、塗装機10は、ギヤポンプ45の数と同一数設けられる伝達ギヤ82を含む複数のギヤから構成され、駆動ギヤ71の回転に伴なって伝達ギヤ82の各々が同一方向に回転するギヤ列80と、伝達ギヤ82の回転力を、当該伝達ギヤ82に対応して設けたギヤポンプ45の駆動ポンプギヤ86の各々に伝達するクラッチ機構85と、クラッチ機構85による伝達ギヤ82の回転力の伝達の有無を制御する制御装置55と、を有するようにしてもよい。
【0085】
このように構成する場合には、1つの駆動モータ48によって、分岐供給路42のそれぞれに配置したギヤポンプ45を駆動させることができるので、塗装時における制御を簡素化できる。また、例えば、塗装幅を変更する際に、伝達ギヤ82の回転力を、ギヤポンプ45が有する駆動ポンプギヤ86に伝達していない状態から、駆動ポンプギヤ86に伝達する状態(又は、その逆の状態)に切り替えるときに、ギヤポンプ45から送り出される塗料の圧力変動を抑えることができる。
【0086】
本実施の形態の塗装機10においては、複数の分岐供給路42の各々に設けられるギヤポンプ45は、分岐供給路42毎に塗料の送り出し量が異なるようにしてもよい。
【0087】
このように構成する場合には、塗装対象物に対する塗装を往復して行うときに、例えば1回の塗装における端部に次の塗装を重ねる場合、塗料を重ねて塗装を行う領域に対する塗料の吐出量を抑えるように、塗料の送り出し量を異ならせることで、重ねて塗装される部位と、それ以外の部位とにおける塗装ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態の塗装機10においては、分岐供給路42におけるギヤポンプ45の下流側に配置される制御弁46と、分岐供給路42におけるギヤポンプ45の下流側で、且つ制御弁46の上流側となる位置から分岐されるとともに、ギヤポンプ45から送り出される塗料を分岐供給路42におけるギヤポンプ45の上流側に還流する還流路43と、還流路43に配置される制御弁47と、制御弁46及び制御弁47の開閉制御を行う制御装置55と、を有するようにしてもよい。
【0089】
この構成とする場合には、塗料の吐出又は、塗料の吐出の停止を、ギヤポンプ45を駆動させたまま、制御弁46及び制御弁47の開閉制御で行うことができる。また、塗料の吐出の停止時には、塗料を分岐供給路42及び還流路43で循環させるので、対応する吐出口36を除いた吐出口36に供給される塗料の圧力変動を抑制することができる。
【0090】
また、本実施の形態の塗装機10においては、制御弁46は、分岐供給路42において、当該分岐供給路42が接続される液室35の近傍に配置されるようにしてもよい。
【0091】
この構成とする場合には、吐出口36から吐出される塗料の吐出精度を安定させることができる。
【0092】
また、本実施の形態の塗装機10においては、制御装置55は、塗装ヘッド30の姿勢に基づいて、少なくとも制御弁46の開度を制御するようにしてもよい。
【0093】
この構成とする場合には、吐出口36から鉛直方向に塗料が吐出されるときの塗装ヘッド30の姿勢から他の塗装ヘッド30の姿勢へと変化して塗装を行うときには、各液室35内に供給された塗料の圧力が変動する。したがって、各液室35に設けた吐出口36から吐出される塗料の吐出量が変動して塗装ムラの発生につながる。したがって、各液室35に向けて供給される塗料の供給量を弁の開度により制御することで、各液室35に設けた吐出口36から吐出される塗料を一定の吐出量に保持する。これにより、塗装ムラの発生を防止することができる。
【0094】
また、本実施の形態の塗装機10においては、塗装ヘッド30を保持するアーム部材23を少なくとも有するロボットアーム20を有し、制御装置55は、ロボットアーム20の動作によって変化する塗装ヘッド30の姿勢に基づいて、少なくとも制御弁46の開度を制御するようにしてもよい。
【0095】
この構成によれば、例えば塗装対象物の外形に沿って塗装ヘッド30の姿勢を変化させるときには、各液室35内に供給された塗料の圧力が変動し、各液室35に設けた吐出口36から吐出される塗料の吐出量が変化する。これにより、塗装対象物の塗装面においては、塗装ムラが発生する。したがって、ロボットアームの動作によって、塗装ヘッド30の姿勢が変化したときに、各液室35に向けて供給される塗料の供給量を弁の開度により制御することで、各液室35に設けた吐出口36から吐出される塗料を一定の吐出量に保持する。これにより、塗装ムラの発生を防止することができる。
【0096】
また、本実施の形態の塗装機10においては、液室35に設けられる吐出口36の数は、一方向における両端部に配置された液室35と、一方向における中央部分に配置された液室35とで異なるようにしてもよい。
【0097】
この構成とする場合には、塗装対象物に対する塗装を往復して行うときに、1回の塗装における端部に次の塗装を重ねる場合、従来の塗装方法では、重ねて塗装された部分における塗布量が多くなり、塗装ムラが生じてしまう。したがって、重ねて塗装を行うと想定される箇所(副走査方向における両端部)に配置された液室35に設けられた吐出口36の数や、その間隔を、他の液室35と異なるように設定することで、重ねて塗布された領域における塗料の塗布量を抑えることで、塗装ムラの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0098】
10…塗装機
20…ロボットアーム
30…塗装ヘッド
36…吐出口
35…液室
42…分岐供給路
43…還流路
45…ギヤポンプ
46…制御弁
47…制御弁
48…駆動モータ
55…制御装置
80…ギヤ列
82…伝達ギヤ
85…クラッチ機構
【要約】
【課題】塗装ヘッドまでの回路構成の大型化を防止し、また、塗料の圧力変動の影響を受けにくい回路構成を有する塗装機を提供する。
【解決手段】本発明の塗装機は、吐出口36から塗料を断続的に吐出することで、塗料を被塗装物の塗装面に塗布する塗装機10であって、複数の吐出口36を備えた液室35を一方向に複数配置した塗装ヘッド30と、複数の液室35の各々に対応して設けられる分岐供給路42と、分岐供給路42に設けられるとともに、分岐供給路42に供給される塗料に圧力を付加して液室35に向けて送り出すギヤポンプ45と、複数の分岐供給路42の各々に設けられるギヤポンプ45の各々を駆動する駆動モータ48と、を備えることを特徴としている。
【選択図】
図2