(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20240109BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240109BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/64
(21)【出願番号】P 2023142353
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】石野 裕嗣
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-023838(JP,A)
【文献】特開2008-241150(JP,A)
【文献】特開2007-327708(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110986321(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0081848(KR,A)
【文献】国際公開第2019/157584(WO,A1)
【文献】特開昭63-263344(JP,A)
【文献】特開2018-112352(JP,A)
【文献】特開平02-183756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、
前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、
設定モードとして冷房設定モードと暖房設定モードとがあり、前記熱媒体流路を通じて、前記室外機と接続される室内機と、
前記室外機の運転を制御する中央制御部と、
前記室外機の設置位置における気象条件と、前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、
を備え、
前記中央制御部は、
前記室外機の前記運転モードを設定する前に、過去の前記相関履歴データと、前記室外機の設置位置における将来の前記運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、前記室外機における将来の前記運転モードの設定時の前記運転モードを推定したものである推定モードを導出し、
前記室外機の前記運転モードの設定時に、実際の前記室内機の運転状態を示す
運転状態情報であって、前記室内機における設定された前記設定モードを含むとともに、前記室内機における設定温度と前記室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報を含む運転状態情報を取得し、
前記推定モードと前記運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを前記室外機の前記運転モードとして設定するかを決定
し、
設定する前記運転モードの決定に際し、前記室外機の前記推定モードと前記室内機の前記設定モードとが異なる場合、前記温度差情報に基づいて、前記推定モードと前記設定モードとのうちいずれを、前記室外機に設定する前記運転モードとして決定するかを判定する、空調システム。
【請求項2】
運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、
前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、
設定モードとして冷房設定モードと暖房設定モードとがあり、前記熱媒体流路を通じて、前記室外機と接続される室内機と、
前記室外機の運転を制御する中央制御部と、
前記室外機の設置位置における気象条件と、前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、
を備え、
前記中央制御部は、
前記室外機の前記運転モードを設定する前に、過去の前記相関履歴データと、前記室外機の設置位置における将来の前記運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、前記室外機における将来の前記運転モードの設定時の前記運転モードを推定したものである推定モードを導出し、
前記室外機の前記運転モードの設定時に、実際の前記室内機の運転状態を示す
運転状態情報であって、前記室内機における設定された前記設定モードを含むとともに、前記室内機が運転しているか又は前記室内機が運転していないかを示す運転有無情報、および、前記室内機における設定温度と前記室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報のうちいずれか一方または双方を含む運転状態情報を取得し、
前記推定モードと前記運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを前記室外機の前記運転モードとして設定するかを決定
し、
設定する前記運転モードの決定に際し、前記室外機の前記推定モードと前記室内機の前記設定モードとが異なる場合、前記運転有無情報および前記温度差情報のうちいずれか一方または双方に基づいて、前記推定モードと前記設定モードとのうちいずれを、前記室外機に設定する前記運転モードとして決定するかを判定する、空調システム。
【請求項3】
運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、
前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、
前記熱媒体流路を通じて、前記室外機と接続される室内機と、
前記室外機の運転を制御する中央制御部と、
前記室外機の設置位置における気象条件と、前記室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された前記運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、
を備え、
前記中央制御部は、
前記室外機の前記運転モードを設定する前に、過去の前記相関履歴データと、前記室外機の設置位置における将来の前記運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、前記室外機における将来の前記運転モードの設定時の前記運転モードを推定したものである推定モードを導出し、
前記室外機の前記運転モードの設定時に、実際の前記室内機の運転状態を示す情報である運転状態情報を取得し、
前記推定モードと前記運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを前記室外機の前記運転モードとして設定するかを決定する、空調システム。
【請求項4】
前記室内機の設定モードとして冷房設定モードおよび暖房設定モードがあり、
前記運転状態情報は、少なくとも前記室内機における設定された前記設定モードを含む、請求項
3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記室内機の設定モードとして冷房設定モードおよび暖房設定モードがあり、
前記運転状態情報は、前記室内機における設定された前記設定モードを含むとともに、前記室内機の運転の有無を示す運転有無情報、および、前記室内機における設定温度と前記室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報のうちいずれか一方または双方を含み、
前記中央制御部は、前記室外機の前記推定モードと前記室内機の前記設定モードとが異なる場合、前記運転有無情報および前記温度差情報のうちいずれか一方または双方に基づいて、前記推定モードと前記設定モードとのうちいずれを、前記室外機に設定する前記運転モードとして決定するかを判定する、請求項
3に記載の空調システム。
【請求項6】
前記中央制御部は、
前記室外機に設定する前記運転モードを決定した時の前記気象条件を取得し、
取得した前記気象条件と、決定した前記運転モードとを対応付け、
対応付けた前記気象条件と前記運転モードとによって前記相関履歴データを更新する、請求項
3に記載の空調システム。
【請求項7】
前記室外機および前記室内機が複数あり、
複数の前記室内機の各々は、複数の前記室外機のいずれかに接続され、
前記相関履歴データは、前記室外機ごとに前記記憶装置に記憶され、
前記中央制御部は、
前記室外機ごとの前記相関履歴データのうち前記推定モードを導出する前記室外機に対応する前記相関履歴データに基づいて前記推定モードを導出する、請求項
3に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、過去の外気温データの代表値から冷房期間の開始日や暖房期間の開始日を設定する空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、冷房期間の開始日や暖房期間の開始日が過去の外気温データのみから設定されており、室内機の状態などによっては、冷房期間および暖房期間の設定精度が低下し、室外機を、冷房モードおよび暖房モードのうち適切な運転モードに設定することができないことがある。
【0005】
また、空調システムでは、室外機における冷房または暖房の運転モードが室内機では変更できないものや、変更のためには管理者による許可を要するものや、室内機で変更するためには室外機もしくは全室内機の停止が必要なものなどがある。このことから、例えば、室内機が設置されている室内では冷房を行いたいが、室外機では暖房モードが設定されてしまっている、というような事態が起こり得る。したがって、空調システムでは、冷房モードと暖房モードとのうちいずれを、室外機の運転モードに設定するのが適切であるかを判断することが難しいことがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、室外機において適切な運転モードを設定することが可能な空調システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、設定モードとして冷房設定モードと暖房設定モードとがあり、熱媒体流路を通じて、室外機と接続される室内機と、室外機の運転を制御する中央制御部と、室外機の設置位置における気象条件と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、を備え、中央制御部は、室外機の運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データと、室外機の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、室外機における将来の運転モードの設定時の運転モードを推定したものである推定モードを導出し、室外機の運転モードの設定時に、実際の室内機の運転状態を示す運転状態情報であって、室内機における設定された設定モードを含むとともに、室内機における設定温度と室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報を含む運転状態情報を取得し、推定モードと運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを室外機の運転モードとして設定するかを決定し、設定する運転モードの決定に際し、室外機の推定モードと室内機の設定モードとが異なる場合、温度差情報に基づいて、推定モードと設定モードとのうちいずれを、室外機に設定する運転モードとして決定するかを判定する。
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、設定モードとして冷房設定モードと暖房設定モードとがあり、熱媒体流路を通じて、室外機と接続される室内機と、室外機の運転を制御する中央制御部と、室外機の設置位置における気象条件と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、を備え、中央制御部は、室外機の運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データと、室外機の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、室外機における将来の運転モードの設定時の運転モードを推定したものである推定モードを導出し、室外機の運転モードの設定時に、実際の室内機の運転状態を示す運転状態情報であって、室内機における設定された設定モードを含むとともに、室内機が運転しているか又は室内機が運転していないかを示す運転有無情報、および、室内機における設定温度と室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報のうちいずれか一方または双方を含む運転状態情報を取得し、推定モードと運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを室外機の運転モードとして設定するかを決定し、設定する運転モードの決定に際し、室外機の推定モードと室内機の設定モードとが異なる場合、運転有無情報および温度差情報のうちいずれか一方または双方に基づいて、推定モードと設定モードとのうちいずれを、室外機に設定する運転モードとして決定するかを判定する。
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、運転モードとして冷房運転モードと暖房運転モードとがあり、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り換えが可能な室外機と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードに対応する熱媒体が流通する熱媒体流路と、熱媒体流路を通じて、室外機と接続される室内機と、室外機の運転を制御する中央制御部と、室外機の設置位置における気象条件と、室外機の冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードとの関係を示す相関履歴データが記憶される記憶装置と、を備え、中央制御部は、室外機の運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データと、室外機の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、室外機における将来の運転モードの設定時の運転モードを推定したものである推定モードを導出し、室外機の運転モードの設定時に、実際の室内機の運転状態を示す情報である運転状態情報を取得し、推定モードと運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを室外機の運転モードとして設定するかを決定する。
【0008】
また、室内機の設定モードとして冷房設定モードおよび暖房設定モードがあり、運転状態情報は、少なくとも室内機における設定された設定モードを含むようにしてもよい。
【0009】
また、室内機の設定モードとして冷房設定モードおよび暖房設定モードがあり、運転状態情報は、室内機における設定された設定モードを含むとともに、室内機の運転の有無を示す運転有無情報、および、室内機における設定温度と室内機の所定の位置において検出された温度との温度差を示す温度差情報のうちいずれか一方または双方を含み、中央制御部は、室外機の推定モードと室内機の設定モードとが異なる場合、運転有無情報および温度差情報のうちいずれか一方または双方に基づいて、推定モードと設定モードとのうちいずれを、室外機に設定する運転モードとして決定するかを判定するようにしてもよい。
【0010】
また、中央制御部は、室外機に設定する運転モードを決定した時の気象条件を取得し、取得した気象条件と、決定した運転モードとを対応付け、対応付けた気象条件と運転モードとによって相関履歴データを更新するようにしてもよい。
【0011】
また、室外機および室内機が複数あり、複数の室内機の各々は、複数の室外機のいずれかに接続され、相関履歴データは、室外機ごとに記憶装置に記憶され、中央制御部は、室外機ごとの相関履歴データのうち推定モードを導出する室外機に対応する相関履歴データに基づいて推定モードを導出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、室外機において適切な運転モードを設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、相関履歴データについて説明する図である。
【
図3】
図3は、中央制御部による事前処理を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、運転モードの設定時の処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、運転モードの決定例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる空調システム1の構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の送信方向を例示している。空調システム1は、室外機10、熱媒体流路12、複数の室内機14および中央制御装置16を備える。なお、
図1では、3つの室内機14を例示しているが、室内機14の数は、3つに限らず、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0016】
室外機10では、運転モードとして、冷房運転モードと暖房運転モードとがある。後述するが、室外機10は、冷房運転モードと暖房運転モードとの切り替えが可能な構成となっている。
【0017】
熱媒体流路12は、室外機10に接続される。室外機10は、熱媒体流路12を通じて複数の室内機14に接続される。熱媒体流路12には、冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定された運転モードに対応する熱媒体が流通する。
【0018】
室外機10は、通信部20、冷暖部22、冷暖切換部24および室外制御部26を含む。通信部20は、複数の室内機14および中央制御装置16と通信を確立することができる。
【0019】
冷暖部22は、例えば、熱交換器、圧縮機および減圧機などを含み、熱媒体を冷却あるいは加熱する。より詳細には、冷房運転モードのとき、冷暖部22は、室外機10に供給された熱媒体を冷却して、冷却後の熱媒体を、熱媒体流路12を通じて複数の室内機14に送出する。また、暖房運転モードのとき、冷暖部22は、室外機10に供給された熱媒体を加熱して、加熱後の熱媒体を、熱媒体流路12を通じて複数の室内機14に送出する。
【0020】
冷暖切換部24は、冷房運転モードと暖房運転モードとの間の運転モードの切り換えを実行する。例えば、冷暖切換部24は、冷暖部22を構成する機器間の熱媒体の流路の切り換えなどにより、運転モードの切り換えを行うことができる。
【0021】
室外制御部26は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。室外制御部26は、プロセッサがプログラムを実行することで室外機10全体を制御する。例えば、室外制御部26は、中央制御装置16による制御の下、運転モードの設定を行い、冷暖切換部24に運転モードを切り換えさせる。
【0022】
室内機14は、空調の対象となる空間に設置される。以後、空調の対象となる空間を、空調対象空間という場合がある。
【0023】
室内機14には、設定モードとして冷房設定モードおよび暖房設定モードがある。室内機14のユーザは、空調対象空間の冷房を行いたいときには室内機14の設定モードを冷房設定モードにし、空調対象空間の暖房を行いたいときには室内機14の設定モードを暖房設定モードにすることができる。
【0024】
室内機14は、通信部30、熱交換器32、温度センサ34、ユーザインターフェース36および室内制御部38を含む。なお、
図1では、ユーザインターフェースをUIと略記している。通信部30は、室外機10および中央制御装置16と通信を確立することができる。
【0025】
熱交換器32は、熱媒体流路12を流通する熱媒体と、空調対象空間から供給された空気との熱交換を行い、熱交換後の空気を空調対象空間に送出する。
【0026】
温度センサ34は、室内機14における所定の位置に設置され、当該位置の温度を検出する。温度センサ34により検出された温度は、後述するが、中央制御装置16に送信され、室外機10の運転モードの決定に利用される。
【0027】
例えば、温度センサ34は、熱媒体流路12から室内機14に熱媒体が送入される入口部分に設置され、室内機14に送入される熱媒体の温度を検出する。
【0028】
なお、温度センサ34により検出される温度は、室内機14に送入される熱媒体の温度に限らない。例えば、温度センサ34は、室内機14から熱媒体流路12に熱媒体が送出される出口部分に設置され、室内機14から送出される熱媒体の温度を検出してもよい。また、例えば、温度センサ34は、室内機14における空調対象空間に面する位置などに設置され、室内機14の位置における空調対象空間の温度を検出してもよい。
【0029】
ユーザインターフェース36は、例えば、入力スイッチなどの入力機能、および、表示装置などの出力機能を含む。ユーザは、ユーザインターフェース36を通じて、室内機14の設定モードや設定温度を入力することができる。
【0030】
室内制御部38は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。室内制御部38は、プロセッサがプログラムを実行することで室内機14全体を制御する。例えば、室内制御部38は、空調対象空間に送出する空気の温度や風量などを制御する。
【0031】
中央制御装置16は、室外機10の運転を制御する。中央制御装置16は、室外機10が設置された建物と同一の建物に設置されて室外機10の制御を行ってもよいし、室外機10が設置された建物とは別の離れた場所に設置されて、遠隔操作にて室外機10の制御を行ってもよい。
【0032】
中央制御装置16は、通信部40、記憶装置42および中央制御部44を含む。通信部40は、室外機10および室内機14と通信を確立することができる。
【0033】
記憶装置42は、例えば、HDDやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子により構成される。記憶装置42には、相関履歴データ50が記憶されている。相関履歴データ50については、後に詳述する。
【0034】
中央制御部44は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。中央制御部44は、プロセッサがプログラムを実行することで中央制御装置16全体や室外機10の運転を制御する。
【0035】
中央制御部44は、冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち室外機10に設定する運転モードを決定し、決定した運転モードを室外機10に指示し、当該運転モードを室外機10に設定させる。中央制御部44は、所定時間ごとに、室外機10の運転モードの決定を行い、室外機10の運転モードを更新する。ここでの所定時間は、例えば、1時間などであるが、この例に限らず、任意の時間に設定されてもよい。
【0036】
室内機14は、ユーザインターフェース36を通じて起動操作を受け付けた場合や、タイマ予約などにより予め設定された時刻となった場合に、室外機10に起動指示を送信する。室外機10は、室内機14の起動指示を受信すると、冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち設定されている運転モードで動作を開始する。室外機10が動作を開始すると、設定されている運転モードに対応する熱媒体が熱媒体流路12を通じて室内機14に送入される。そして、室内機14の熱交換器32において、熱媒体と空調対象空間の空気とが熱交換され、空調対象空間の温度が調和される。
【0037】
中央制御部44は、室外機10の運転モードを更新することで、室外機10の運転モードを、冷房運転モードから暖房運転モードに切り換えることができるとともに、暖房運転モードから冷房運転モードに切り換えることができる。このように、空調システム1は、冷暖切換型の構成となっている。
【0038】
図2は、相関履歴データ50について説明する図である。
図2で示すように、相関履歴データ50は、室外機10の設置位置における気象条件と、室外機10における冷房運転モードおよび暖房運転モードのうち実際に設定された運転モードとの関係を示す。
【0039】
気象条件は、例えば、室外機10の設置位置における外気温度、湿度および天候のうち少なくとも1つ以上を含む。つまり、相関履歴データ50では、外気温度、湿度、天候のいずれか、あるいは、それらが組み合わされた条件と、設定された運転モードとが、1対1に対応付けられている。
【0040】
なお、気象条件は、外気温度、湿度、天候に限らず、例えば、室外機10の設置位置における日射量、雲量、日照時間など、室外機10の設置位置における気象に関係する任意の指標を含んでもよい。
【0041】
相関履歴データ50は、例えば、室外機10の運転モードが設定された(更新された)タイミングで更新される。なお、相関履歴データ50は、室外機10の空調負荷が所定値以上となったタイミングで更新されてもよいし、室外機10の運転時間が所定時間以上となったタイミングで更新されてもよい。
【0042】
次に、中央制御部44の動作を説明する。中央制御部44は、室外機10の運転モードを設定する前に、所定の事前処理を行う。事前処理は、例えば、運転モードの設定日の前日に行われる。なお、事前処理は、運転モードの設定日の前日に限らず、例えば、運転モードの設定日の当日における運転モードの設定タイミングよりも早い任意のタイミングにおいて行われてもよい。
【0043】
図3は、中央制御部44による事前処理を説明するフローチャートである。事前処理の開始タイミングが到来すると、中央制御部44は、記憶装置42に記憶されている過去の相関履歴データ50を読み出す(S10)。中央制御部44は、室外機10の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象を予測する気象予報を取得する(S11)。気象予報については、例えば、インターネットなどを通じて、気象庁などのサーバ装置などから取得してもよい。
【0044】
中央制御部44は、読み出した過去の相関履歴データ50と、取得した気象予報とに基づいて、室外機10における将来の運転モードの設定時の運転モードを推定したものである推定モードを導出する(S12)。例えば、中央制御部44は、取得した気象予報と読み出した相関履歴データ50とから、取得した気象予報に対応する運転モードを、推定モードとして導出する。中央制御部44は、導出した推定モードを記憶装置42に記憶させて(S13)、
図3の事前処理を終了する。
【0045】
なお、気象予報は、外れることもある。気象予報が外れた場合に備え、中央制御部44は、例えば、記憶装置42に記憶される相関履歴データ50の気象条件の各値を、室外機10が取得するデータで補正してもよい。ここで、室外機10の冷暖部22は、熱媒体を冷却または加熱する際、ファンにより外気を冷暖部22に吸い込んでいる。室外機10が外気を吸い込む位置に設置される吸込み温度センサは、室外機10の位置における外気温度と大凡同じ温度の計測値を取得することができる。これを踏まえ、中央制御部44は、相関履歴データ50の気象条件の各値を、室外機10の吸込み温度センサの計測値で補正してもよい。そうすることで、相関履歴データ50の精度を向上させることができる。
【0046】
図4は、運転モードの設定時の処理を説明するフローチャートである。中央制御部44は、室外機10の運転モード設定時に、
図4で示す運転モード設定処理を行う。なお、運転モード設定時は、例えば、推定モードを導出した翌日における1時間ごとに到来するとしてもよい。
【0047】
運転モード設定処理の開始タイミングが到来すると、中央制御部44は、実際の室内機14の運転状態を示す情報である運転状態情報を取得する(S20)。
【0048】
運転状態情報は、少なくとも室内機14における現時点で設定されている設定モードを含む。さらに、運転状態情報は、運転有無情報および温度差情報のうちいずれか一方または双方を含んでもよい。運転有無情報は、現時点における室内機14の運転の有無を示す。温度差情報は、室内機14における現時点の設定温度と、室内機14の所定の位置において温度センサ34により検出された温度との温度差を示す。室内機14の所定の位置において温度センサ34により検出された温度は、例えば、室内機14に送入される熱媒体の温度であるとするが、室内機14から送出される熱媒体の温度としてもよいし、室内機14の位置における空調対象空間の温度としてもよい。
【0049】
中央制御部44は、直近の事前処理で導出した推定モードを記憶装置42から読み出す(S21)。中央制御部44は、読み出した推定モードと、ステップS20において取得した運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを室外機10の運転モードとして設定するかを決定する(S22)。
【0050】
図5は、運転モードの決定例を示す図である。中央制御部44は、室外機10の推定モードと、運転状態情報に含まれる室内機14の設定モードとが実質的に同じであるか否かを判定する。なお、推定モードと設定モードが同じであるとは、推定モードにおける冷房運転モードおよび暖房運転モードのうちの「冷房」または「暖房」と、設定モードにおける冷房設定モードおよび暖房設定モードのうちの「冷房」または「暖房」とが同じという意味である。
【0051】
中央制御部44は、室外機10の推定モードと、運転状態情報に含まれる室内機14の設定モードとが実質的に同じである場合、推定モードを室外機10の運転モードとして決定する。例えば、推定モードおよび設定モードの双方が「冷房」である場合、中央制御部44は、室外機10に設定する運転モードを「冷房」運転モードに決定する。また、推定モードおよび設定モードの双方が「暖房」である場合、中央制御部44は、室外機10に設定する運転モードを「暖房」運転モードに決定する。
【0052】
一方、中央制御部44は、室外機10の推定モードと、運転状態情報に含まれる室内機14の設定モードとが異なる場合、運転状態情報のうちの運転有無情報および温度差情報のうちいずれか一方または双方に基づいて、推定モードと設定モードとのうちいずれを、室外機10に設定する運転モードとして決定するかを判定する。
【0053】
例えば、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合、温度差情報に拘わらず運転有無情報のみを考慮し、中央制御部44は、運転有無情報が「無」を示すものであれば、すなわち、室内機14が運転していなければ、あるべき設定モードと異なる設定モードになっていることで室内機14が運転していないと推認されるため、推定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合、温度差情報に拘わらず運転有無情報のみを考慮し、中央制御部44は、運転有無情報が「有」を示すものであれば、すなわち、室内機14が運転していれば、あるべき設定モードになっていることで室内機14が運転していると推認されるため、設定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。
【0054】
また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合、運転有無情報に拘わらず温度差情報のみを考慮し、中央制御部44は、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であれば、あるべき設定モードと異なる設定モードになっていることで室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードの推定が正しいとみなし、推定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合、運転有無情報に拘わらず温度差情報のみを考慮し、中央制御部44は、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、あるべき設定モードになっていることで室内機14の運転負荷が大きいと推認されるため、推定モードの推定が誤っているとみなし、設定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。
【0055】
また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「無」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であったならば、中央制御部44は、現時点の後に運転有無情報が「有」に変化したとしても室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「有」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であったならば、中央制御部44は、室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。
【0056】
また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「無」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、中央制御部44は、あるべき設定モードになっていると推認され、現時点の後に運転有無情報が「有」に変化したとしても室内機14の運転負荷が大きいと推認されるため、設定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「冷房」であり、設定モードが「暖房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「有」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、中央制御部44は、あるべき設定モードになっていると推認されるため、設定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。
【0057】
また、例えば、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合、温度差情報に拘わらず運転有無情報のみを考慮し、中央制御部44は、運転有無情報が「無」を示すものであれば、すなわち、室内機14が運転していなければ、あるべき設定モードと異なる設定モードになっていることで室内機14が運転していないと推認されるため、推定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合、温度差情報に拘わらず運転有無情報のみを考慮し、中央制御部44は、運転有無情報が「有」を示すものであれば、すなわち、室内機14が運転していれば、あるべき設定モードになっていることで室内機14が運転していると推認されるため、設定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。
【0058】
また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合、運転有無情報に拘わらず温度差情報のみを考慮し、中央制御部44は、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であれば、あるべき設定モードと異なる設定モードになっていることで室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードの推定が正しいとみなし、推定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合、運転有無情報に拘わらず温度差情報のみを考慮し、中央制御部44は、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、あるべき設定モードになっていることで室内機14の運転負荷が大きいと推認されるため、推定モードの推定が誤っているとみなし、設定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。
【0059】
また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「無」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であったならば、中央制御部44は、現時点の後に運転有無情報が「有」に変化したとしても室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「有」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差以下であったならば、中央制御部44は、室内機14の運転負荷が極めて小さいと推認されるため、推定モードが示す「暖房」を運転モードとして決定してもよい。
【0060】
また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「無」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、中央制御部44は、あるべき設定モードになっていると推認され、現時点の後に運転有無情報が「有」に変化したとしても室内機14の運転負荷が大きいと推認されるため、設定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。また、推定モードが「暖房」であり、設定モードが「冷房」である場合において、運転有無情報と温度差情報との両方を考慮し、運転有無情報が「有」を示すものであり、かつ、温度差情報が示す温度差が所定温度差より大きければ、中央制御部44は、あるべき設定モードになっていると推認されるため、設定モードが示す「冷房」を運転モードとして決定してもよい。
【0061】
図4に戻って説明する。運転モードの決定の後、中央制御部44は、決定した運転モードを室外機10に指示する(S23)。この指示を受けた室外機10は、運転モードの設定を更新する。
【0062】
また、運転モードの決定の後、中央制御部44は、現時点における室外機10の位置の気象条件を取得する(S24)。例えば、中央制御部44は、室外機10に設けられている各種のセンサの検出値により、外気温度や湿度などを取得してもよい。また、中央制御部44は、インターネットを通じて、気象庁などのサーバ装置などから現時点の天候などの情報を取得してもよい。
【0063】
中央制御部44は、ステップS24において取得した気象条件と、ステップS22において決定した運転モードとを対応付け、対応付けた気象条件と運転モードとによって相関履歴データ50を更新し(S25)、
図4の一連の処理を終了する。
【0064】
例えば、初期の相関履歴データ50では、「本来冷房したかったが、室内機14を起動操作したときに室外機10が暖房運転モードであった」などの情報も含まれる場合がある。この例では、適切に冷房できていないことから、室内機14が早期に停止操作されることがある。そうすると、推定モード(例えば、暖房運転モード)と設定モード(例えば、冷房設定モード)が異なる状態であり、かつ、室内機14が運転していない状態になり、中央制御部44は、設定モード(例えば、「冷房」)を運転モードとして決定することになる。つまり、運転モードがあるべき設定モードに修正される。このとき、修正された運転モードと気象条件とにより相関履歴データ50が更新される。
【0065】
このようにして、相関履歴データ50がより適切な内容に更新されるため、推定モードの推定精度を向上させることができる。その結果、運転モードの決定の精度を向上させることができる。
【0066】
なお、相関履歴データ50の更新を行うタイミングについては、運転モードを決定した時に限らない。例えば、中央制御部44は、室外機10が所定の空調負荷以上で運転されたときに気象条件を取得して相関履歴データ50を更新してもよいし、室外機10が所定時間以上運転されたときに気象条件を取得して相関履歴データ50を更新してもよい。
【0067】
以上のように、第1実施形態の空調システム1では、室外機10の設置位置における気象条件と、設定された運転モードとの関係を示す相関履歴データ50が記憶装置42に記憶されている。第1実施形態の空調システム1の中央制御部44は、運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データ50と、室外機10の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象予報とに基づいて推定モードを導出する。中央制御部44は、推定モードと運転モードの設定時の室内機14の運転状態情報とに基づいて、室外機10の運転モードを決定する。
【0068】
これにより、第1実施形態の空調システム1では、室外機10における気象予報から推定された運転モードと、室内機14の実際の運転状態との双方を考慮して、室外機10の運転モードが設定される。
【0069】
したがって、第1実施形態の空調システム1によれば、室外機10において適切な運転モードを設定することが可能となる。
【0070】
例えば、第1実施形態の空調システム1では、室外機10の運転モードの設定に室内機14の運転状態情報が利用されるため、「冷房」および「暖房」のうち室内機14が設置されている空調対象空間の状況に合った適切な運転モードを決定することができる。これにより、第1実施形態の空調システム1では、例えば、室内機14が設置されている空調対象空間では「冷房」を行いたいが、室外機10では「暖房」運転モードが設定されてしまうというような事態を抑制することができる。
【0071】
また、例えば、第1実施形態の空調システム1では、室外機10の運転モードの設定に室内機14の運転状態情報が利用されるため、動作していない室内機14があり、室外機10の動作が室内機14の空調対象空間に適正に反映されていない状況であったとしても、室外機10において適切な運転モードを設定することができる。
【0072】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態にかかる空調システム100の構成の一例を示す概略ブロック図である。上述の第1実施形態の空調システム1では、1系統の熱媒体流路12に1つの室外機10が設けられていた。これに対し、第2実施形態の空調システム100では、1系統の熱媒体流路12に2つの室外機10が設けられている。なお、
図6では、1系統の熱媒体流路12に2つの室外機10が設けられる例を示しているが、1系統の熱媒体流路12に設けられる室外機10の数は、2つに限らず、2以上の任意の複数であってもよい。
【0073】
中央制御部44は、1系統に設けられる複数の室外機10を1つの室外機10とみなして、各室外機10の制御を行う。この場合、相関履歴データ50では、例えば、1つの室外機10としてみなされた室外機10の位置における気象条件と、各室外機10の運転モードとが1対1に関連付けられてもよい。
【0074】
中央制御部44は、第1実施形態と同様に、運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データ50と、1つの室外機とみなされた室外機10の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象予報とに基づいて、各室外機10の推定モードを導出する。中央制御部44は、推定モードと運転モードの設定時の室内機14の運転状態情報とに基づいて、各室外機10の運転モードを決定する。
【0075】
これにより、第2実施形態の空調システム100では、第1実施形態と同様に、各室外機10において適切な運転モードを設定することが可能となる。
【0076】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態にかかる空調システム200の構成の一例を示す概略ブロック図である。上述の第2実施形態の空調システム100では、1系統の熱媒体流路12に2つの室外機10が設けられていた。これに対し、第3実施形態の空調システム200では、熱媒体流路12が2系統あり、系統ごとに、室外機10が1つ設けられている。なお、
図7では、熱媒体流路12が2系統ある例を示しているが、系統の数は、2つに限らず、2以上の任意の複数であってもよい。つまり、第3実施形態の空調システム200では、室外機10が複数の異なる熱媒体流路12の系統に設けられている。
【0077】
図7で示すように、熱媒体流路12を通じて室外機10に接続される複数の室内機14は、室外機10ごとに異なる。換言すると、複数の室内機14の各々は、複数の室外機10のいずれかに接続される。
【0078】
相関履歴データ50は、熱媒体流路12の系統が異なる室外機10ごとに記憶装置42に記憶される。
【0079】
中央制御部44は、室外機10ごとの相関履歴データ50のうち推定モードを導出する室外機10に対応する相関履歴データ50に基づいて推定モードを導出する。
【0080】
例えば、建物の北側の空調対象空間に設置される室内機14に接続される北側室外機と、建物の南側の空調対象空間に設置される室内機14に接続される南側室外機とがあるとする。北側室外機と南側室外機とでは、
図7のように、熱媒体流路12の系統が異なるとする。
【0081】
北側室外機および南側室外機が、屋外など、大凡同じ場所に設置されると、北側室外機の外気温度と南側室外機の外気温度とが大凡同じになる。しかし、北側の空調対象空間と南側の空調対象空間とでは、空調対象空間の温度に偏りがあり、例えば、北側の空調対象空間の室内機14では暖房設定モードが設定され、南側の空調対象空間の室内機14では冷房設定モードが設定されることがある。
【0082】
中央制御部44は、北側室外機に対応する相関履歴データ50と、北側室外機の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象予報とに基づいて、北側室外機の推定モードを導出する。また、中央制御部44は、南側室外機に対応する相関履歴データ50と、南側室外機の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象予報とに基づいて、南側室外機の推定モードを導出する。
【0083】
中央制御部44は、北側室外機の推定モードと、北側室外機に接続される室内機14の運転状態情報とに基づいて、北側室外機の運転モードを決定する。また、中央制御部44は、南側室外機の推定モードと、南側室外機に接続される室内機14の運転状態情報とに基づいて、南側室外機の運転モードを決定する。
【0084】
このように、中央制御部44は、熱媒体流路12の系統が異なる室外機10ごとに別々の相関履歴データ50を用いることで、例えば、北側室外機における外気温度と運転モードとの関係と、南側室外機における外気温度と運転モードとの関係とを独立して管理することができる。例えば、中央制御部44は、北側室外機および南側室外機が同じ外気温度であったとしても、北側室外機の運転モードを暖房運転モードに設定し、南側室外機の運転モードを冷房運転モードに設定するというような制御を行うことができる。
【0085】
これにより、第3実施形態の空調システム200では、第1実施形態と同様に、各室外機10において適切な運転モードを設定することが可能となる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば、上記の各実施形態の空調システム1、100、200は、ビル用マルチエアコンに適用される態様に限らず、例えば、小規模な店舗用空調システムや、冷温水を建物内に循環させるセントラル空調方式の空調システムに適用されてもよい。
【0088】
また、コンピュータを、中央制御装置16として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0089】
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0090】
1、100、200 空調システム
10 室外機
12 熱媒体流路
14 室内機
42 記憶装置
44 中央制御部
50 相関履歴データ
【要約】
【課題】室外機において適切な運転モードを設定する。
【解決手段】空調システム1は、室外機10と、熱媒体流路12と、室内機14と、中央制御部と、相関履歴データ50が記憶される記憶装置42と、を備え、中央制御部44は、室外機10の運転モードを設定する前に、過去の相関履歴データ50と、室外機10の設置位置における将来の運転モードの設定時の気象を予測する気象予報とに基づいて、室外機10における将来の運転モードの設定時の運転モードを推定したものである推定モードを導出し、室外機10の運転モードの設定時に、実際の室内機の運転状態を示す情報である運転状態情報を取得し、推定モードと運転状態情報とに基づいて、冷房運転モードと暖房運転モードとのいずれを室外機10の運転モードとして設定するかを決定する。
【選択図】
図1