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特許7415076情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023150657
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】愛須 英之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 静
(72)【発明者】
【氏名】吉田 琢史
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-527524(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168060(WO,A1)
【文献】特開2020-1868(JP,A)
【文献】国際公開第2021/261527(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149705(WO,A1)
【文献】特開2020-33154(JP,A)
【文献】特表2021-502641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
処理部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
複数の前記クラスタを、サイズが大きいクラスタから順に、割り当て済の1つ以上のクラスタのサイズの合計が他の作業ステーションより小さい作業ステーションに対して割り当てる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
複数の前記作業ステーションの間で、処理中の第2オーダーデータの個数と、複数の前記第1オーダーデータのうち割り当てられる前記第1オーダーデータの個数と、の合計が平準化されるように、複数の前記作業ステーションそれぞれに割り当てる複数の前記第1オーダーデータを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
複数の前記クラスタに含まれる1つ以上の第1クラスタを、前記第1クラスタに含まれる複数の前記第1オーダーデータとの類似度が他の作業ステーションより高い前記第2オーダーデータを処理中である前記作業ステーションに対して割り当てる、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
1つの前記作業ステーションに複数の前記第1クラスタを割り当てる場合、複数の前記第1クラスタのうち、前記第2オーダーデータに対する類似度がより高い前記第1クラスタほど、処理順序を先に決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに、複数の前記第1オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度を算出し、
前記優先度が大きい順に選択した前記棚に含まれる前記第1識別情報と一致する前記第2識別情報を含む前記第1オーダーデータに対して、選択した前記棚を、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚として決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合に基づいて算出される、複数の前記棚それぞれに対するピッキング作業の回数と、
前記ピッキング作業の時間と、のうち少なくとも一方を示す情報をさらに出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、複数の前記棚ごとに算出される優先度に基づいて、複数の前記第1オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、生成した前記インデクスを利用して前記処理順序を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、
複数の前記第1オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、
親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて決定された1つ以上の前記棚と、を示す出力情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数の前記棚は、複数の前記作業ステーションに移動可能である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理部は、
複数の前記棚データに基づいて、複数の前記第1オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合を向上させるように、前記処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記処理部は、
前記処理順序と、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
前記階層型クラスタリングを実行する、
決定部を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタ
の個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定するステップと、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
処理部を備える、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
AGV(Automated guided vehicle)または作業者により移動可能な棚(商品を収容する棚)を作業ステーション(ピッキングステーション)に移動し、作業ステーション内で商品のピッキング作業を行う、棚搬送型の倉庫を用いた物流システムが知られている。
【0003】
このような棚搬送型システムは、各オーダーがリアルタイムに逐次追加されることを前提としている場合が多い。すなわち、処理順序を変更可能である大量のオーダーが同じタイミングでシステムに与えられることを想定していない場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-033154号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Nils Boysen et al.、“Parts-to-picker based order processing in a rack-moving mobile robots environment”、European Journal of Operational Research、Research 262 (2017) 550-562
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ピッキング作業をより効率的に実行することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の第1オーダーデータそれぞれについて第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の棚と、を決定し、類似または一致する複数の第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、クラスタ数が、複数の第1オーダーデータのうち少なくとも一部の第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションのステーション数以上となるように実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の情報処理システムの構成の概要を示す図。
図2】実施形態にかかる情報処理装置のブロック図。
図3】生成されるインデクスの例を示す図。
図4】生成される階層型のクラスタの例を示す図。
図5】処理順序で並び替えたオーダーの例を示す図。
図6図3のオーダーをクラスタリングした例を示す図。
図7図3のオーダーをクラスタリングした例を示す図。
図8】並び替えられたオーダーの例を示す図。
図9】並び替えられたオーダーの例を示す図。
図10】実施形態における順序決定処理のフローチャート。
図11】クラスタリングのフローチャート。
図12】3つの作業ステーションがある場合の例を示す図。
図13】3つの作業ステーションがある場合の例を示す図。
図14】オーダー数の決定処理のフローチャート。
図15】類似度を用いずにクラスタの処理順序を決定する例を示す図。
図16】類似度を用いてクラスタの処理順序を決定する例を示す図。
図17】実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置の好適な実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、例えば棚搬送型の倉庫を用いた物流システムに対して適用することができる。
【0010】
上記のように、従来の棚搬送型システムは、発生した順序に従いオーダーがピッキングの対象として選択される。
【0011】
一方、例えば主にB2B(Business to Business)を対象とする物流システムなどでは、一定の期間内(例えば一日単位)で処理すべき全オーダーが事前に与えられる場合がある。このような場合、複数のオーダーは、発送の締め切り時刻前であれば処理順序を入れ替えることが可能である。例えば、オーダーの処理順序を事前に適正に並べ直し、かつ、各オーダーに引き当てる棚を事前に決定しておくことで、複数のオーダーに引き当てる商品を1つの棚からピッキングできる割合(同時ピッキング率)を向上させ、棚搬送作業およびピッキング作業を効率化することができる可能性がある。従来は、このようにシステム全体としての作業効率向上を目的として、事前に大量のオーダーの処理順序を並べ直し各オーダーで使用する棚を決定するような機能は考慮されていない。
【0012】
そこで本実施形態は、未処理のオーダーの情報である複数のオーダーデータが与えられたときに、1種類以上の商品をそれぞれ収容する複数の棚に関する複数の棚データを参照し、同時ピッキング率が向上するように複数のオーダーの処理順序と各オーダーで使用する棚を決定する。オーダーデータとオーダーとは1対1に対応するため、オーダーの処理順序を決定することはオーダーデータの処理順序を決定することに相当する。同様に、オーダーに対する処理は、オーダーデータに対する処理と言い換えることができる。
【0013】
棚データは、棚を識別する情報である棚IDと、各棚に現時点の在庫として収容される1種類以上の商品の識別情報(第1識別情報)と、を含むデータである。棚データは、例えば、棚に収容される商品の集合(商品集合)を構成する各商品の種類を表す識別情報を含む。
【0014】
オーダーデータは、オーダーを識別する情報であるオーダーIDと、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の識別情報(第2識別情報)と、を含むデータである。オーダーデータは、例えば、同じ宛先に対し同じ収容容器に梱包する各商品の出庫指示の単位を表す。
【0015】
図1は、本実施形態の情報処理システム10(棚搬送型システムの一例)の構成の概要を示す図である。図1に示すように情報処理システム10は、情報処理装置100と、搬送装置200と、移動可能な棚30と、作業ステーション11と、複数の収容容器12と、作業用の棚13と、ディスプレイ14と、ネットワーク300と、を含む。
【0016】
作業ステーション11は、作業者21によるピッキングが行われる作業場所を表す。図
1では1つの作業ステーション11のみが示されているが、情報処理システム10は、複数の作業ステーション11を含む。
【0017】
棚13は、複数の収容容器12を配置することができる。複数の収容容器12は、例えば複数のオーダーそれぞれに対応する。棚13には、複数のオーダーデータのうち少なくとも一部のオーダーデータそれぞれに対応する収容容器12が配置される。ディスプレイ14は、例えば情報処理装置100から出力された作業指示などの情報を表示するための表示装置である。
【0018】
搬送装置200は、棚30を作業ステーション11に移動(搬送)するための装置であり、例えばAGVである。このように、棚30は、作業ステーション11に移動可能となっている。図1では1つの棚30のみが示されているが、情報処理システム10では、複数の棚30が準備され、決定されたオーダー処理の順序に応じて選択された棚30が、作業ステーション11に移動される。作業者21により棚が移動される場合は、搬送装置200は備えられなくてもよい。棚30は、例えば複数のパーティションを有し、複数種類の商品を収容することができる。
【0019】
ネットワーク300は、情報処理装置100、搬送装置200、および、ディスプレイ14を接続するネットワークである。ネットワーク300は、インターネットおよびローカルエリアネットワーク(LAN)などの、どのような形態のネットワークであってもよい。ネットワーク300は、無線ネットワーク、有線ネットワーク、および、無線と有線とが混在したネットワークのいずれであってもよい。
【0020】
図1に示すように、複数のオーダーに対応する作業用の複数の収容容器12が棚13に置かれ、作業者21は、複数のオーダーについてのピッキングを並列に実行することができる。なお作業者21の代わりにピッキング用のロボット等によりピッキングが行われてもよい。各収容容器12は、梱包すべき各商品を入れ終わった時点でピッキング完了となる。完了したオーダー(収容容器)は完了扱いとなり、逐次作業ステーション11から除かれ、次のオーダーに対応する収容容器12が投入される。
【0021】
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置100は、受付部101と、優先度算出部102と、決定部103と、距離算出部104と、出力制御部105と、オーダーデータ記憶部121と、棚データ記憶部122と、クラスタデータ記憶部123と、ステーションデータ記憶部124と、を備えている。
【0022】
受付部101は、情報処理装置100で用いられる各種データの入力を受け付ける。例えば受付部101は、処理対象となる複数のオーダーデータ(第1オーダーデータ)、複数の棚データ、および、作業ステーションデータを受け付ける。オーダーデータ、棚データおよび作業ステーションデータは、どのような方法で生成されてもよいが、例えば、オーダーを受信するシステムおよび商品の在庫を管理するシステムなどの外部システムにより生成されてもよい。また各データの入力方法はどのような方法であってもよいが、例えば、ネットワーク300を介して外部システムから受信する方法を用いることができる。
【0023】
オーダーデータは、オーダーIDと、当該オーダーに含まれる商品の識別情報と、を少なくとも含む。オーダーIDは、例えば、オーダーO1、オーダーO2、オーダーO3・・・のように表される。商品の識別情報は、例えば、商品A、商品B、商品C・・・のように表される。オーダーデータに含まれる情報はこれに限られない。例えばオーダーデータは、商品ごとの個数や量を含んでもよい。
【0024】
棚データは、棚IDと、当該棚に収容される商品の識別情報と、を少なくとも含む。棚IDは、例えば、棚R1、棚R2、棚R3・・・のように表される。棚データに含まれる情報はこれに限られない。例えば棚データは、商品ごとの個数や、棚のどの面のどのパーティションに収容されているかの商品の収容位置情報を含んでもよい。
【0025】
作業ステーションデータは、作業ステーションIDと、複数の作業ステーションそれぞれの収容容器の数と、を少なくとも含む。収容容器の数は、並列にピッキング処理を実行できるオーダー数に相当する。作業ステーションIDは、複数の作業ステーション11それぞれを識別する情報である。作業ステーションデータは、複数の作業ステーションそれぞれで処理する予定であり割付済のオーダーの情報を含む場合もあり得る。
【0026】
受付部101は、オーダーデータ、棚データ及び作業ステーションデータ以外のデータ、例えば、各商品の詳細情報(サイズ、荷姿など)を含む商品データを補足入力データとして受け付けてもよい。
【0027】
優先度算出部102は、複数の棚ごとの優先度を算出する。優先度は、決定部103が各オーダーに対して引き当てる棚を決定するときに使用される。優先度は、例えば、ピッキング作業をより効率的に実行できる棚ほど値が大きくなるように算出される。例えば、優先度算出部102は、以下の方法により優先度を算出してもよい。
・棚データに含まれる商品の識別情報のうち、複数のオーダーデータのいずれかに含まれている、すなわち、オーダーで要求されているにもかかわらず引き当てられていない商品(未引当商品)のリスト(未引当商品リスト)を作成する。
・未引当商品について、商品ごとの優先度(商品優先度)を算出する。商品ごとの優先度は、例えば当該商品を含む、すなわち、当該商品を要求しているオーダーの個数(引き当てオーダー数)である。
・棚ごとに、未引当商品リストに含まれる商品優先度の合計値を、当該棚の優先度(棚優先度)として算出する。
【0028】
決定部103は、算出された各棚の優先度に基づいて、複数のオーダーデータごとに、オーダーデータに含まれる商品の識別情報と一致する識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を決定する。
【0029】
例えば決定部103は、すべてのオーダーが並列に処理可能である(すべてのオーダーに対応する収容容器12に対して並列にピッキングが可能である)と仮定し、最も同時ピッキング率が高い棚、すなわち、優先度算出部102で算出された優先度が最も高い棚を逐次的に選択することを反復することで、各オーダーで使用する(引き当てる)棚と、各オーダーについて棚の呼び出し順序を決定してもよい。
【0030】
また、決定部103は、各オーダーデータに対して商品をピッキングする棚として決定した棚を示すインデクスを生成する。インデクスは、例えば、商品をピッキングする1以上の棚の棚IDを含む情報である。インデクスの生成方法の詳細は後述する。
【0031】
距離算出部104は、複数のオーダーデータそれぞれに対して生成された複数のインデクス間の距離を算出する。距離の算出方法の詳細は後述する。
【0032】
さらに決定部103は、棚データおよび作業ステーションデータに基づいて、複数のオーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合(例えば、1つの棚から同時にピッキングする割合:同時ピッキング率)を向上させるように、複数の作業ステーション11それぞれに配分する複数のオーダーデータと、配分した複数のオーダーデータの処理順序を決定する。同時とは、時間的に厳密に一致する時刻を意味するものではな
く、同じ1つの棚からピッキングできることを意味する。決定部103は、算出された距離が小さいほど順序が近くなるように、複数のオーダーデータの処理順序を決定する。決定部103は、例えば、距離が小さいインデクスに対応するオーダーをクラスタにマージする処理を繰り返して階層構造で表されるクラスタを生成する階層型(凝集型)クラスタリングを実行する。そして決定部103は、同じクラスタに含まれるオーダー同士が近い順序に配置されるように、複数の作業ステーション11それぞれのオーダーの処理順序を決定する。
【0033】
階層型クラスタリングは、クラスタに付与されたインデクス間の距離が最小である2つのクラスタの組を発見し、1つのクラスタにマージする処理を、複数の作業ステーション11の個数以上のクラスタが生成されるように、生成されるクラスタのサイズを制御しながら反復する。これにより、対応するインデクス間の距離の近い複数のオーダーが同一のクラスタに含まれるように、複数のオーダーデータをクラスタリングすることができる。
【0034】
決定部103は、マージ前のクラスタ(またはオーダー)を子ノード(子クラスタ)とし、マージ後のクラスタを親ノード(親クラスタ)とする二分木を、クラスタリングの履歴としてクラスタデータ記憶部123に記憶する。また決定部103は、現時点のクラスタリングの結果を表す階層構造のクラスタをクラスタデータ記憶部123に記憶する。クラスタリングの終了条件が満たされると、最終的な処理結果を示す階層構造のクラスタが、クラスタデータ記憶部123に記憶される。決定部103は、同じ親クラスタに属する子クラスタが隣接するように再帰的に上記の二分木を展開することで、同じ親クラスタに属する二分木の葉(オーダーデータに相当)が近い順番に配置されるようにオーダーの処理順序を決定する。
【0035】
出力制御部105は、情報処理装置100で処理される各種情報の出力を制御する。例えば出力制御部105は、複数の作業ステーション11にそれぞれ割り当てるオーダーデータの集合、オーダーの処理順序を示す情報(オーダー順序情報)、各オーダーで使用する(引き当てる)棚を示す情報、および、各オーダーについて当該棚の呼び出し順序を示す情報(棚順序情報)を含む出力情報を出力する。
【0036】
上記各部(受付部101、優先度算出部102、決定部103、距離算出部104、および、出力制御部105)の少なくとも一部は、1つ以上の処理部により実現されてもよい。上記各部は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0037】
オーダーデータ記憶部121は、受付部101により受け付けられたオーダーデータを記憶する。棚データ記憶部122は、受付部101により受け付けられた棚データを記憶する。クラスタデータ記憶部123は、決定部103による階層型クラスタリングで生成されるデータ(インデクス、履歴としての二分木、階層構造のクラスタなど)を記憶する。ステーションデータ記憶部124は、作業ステーションデータを記憶する。
【0038】
なお、各記憶部(オーダーデータ記憶部121、棚データ記憶部122、クラスタデータ記憶部123、ステーションデータ記憶部124)は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0039】
各記憶部は、物理的に異なる記憶媒体としてもよいし、物理的に同一の記憶媒体の異なる記憶領域として実現してもよい。さらに記憶部のそれぞれは、物理的に異なる複数の記憶媒体により実現してもよい。
【0040】
次に、インデクスの生成方法の詳細について説明する。決定部103は、各オーダーデータに対して商品をピッキングする棚として決定した棚を示すインデクスを生成する。図3は、生成されるインデクスの例を示す図である。図3では、各オーダーIDの横に、当該オーダーIDのオーダーに対して生成されるインデクスの例が示されている。インデクスは、棚の呼び出し順序を示す情報を含んでもよい。例えば、呼び出し順序に従って左から右に棚IDを並べるようにインデクスが生成されてもよい。棚IDと、呼び出し順序を示す情報とを対応づけたインデクスが生成されてもよい。
【0041】
次に、インデクスを用いた階層型クラスタリングの例について説明する。図4は、対象となる作業ステーションが1つの場合に階層型クラスタリングにより生成される階層型のクラスタの例を示す図である。
【0042】
まず、距離算出部104は、生成された複数のインデクス間の距離を算出する。距離算出部104は、例えば、2つのインデクスの間で一致しない棚(棚ID)の合計数を距離として算出する。距離はこれに限られず、例えば以下のような方法で算出されてもよく、計算方法は限定しない。
・一致している棚の合計数に負の係数を乗じた値を距離とする。
・一致しない棚の合計数と、一致している棚の合計数と、にそれぞれ係数をかけて和を取った値を距離とする。
・インデクスに棚ごとの重みが付与されている場合、一致している棚ごとに、重み(負の係数を乗じた重みでもよい)の総和を距離としてもよい。例えば、図3のオーダーO1のインデクスに含まれる棚R5の重みが2であり、棚R2の重みが1である場合は、距離算出部104は、棚R5のみが一致した場合は距離を-2、棚R2のみが一致した場合は距離を-1、棚R5および棚R2の両方が一致した場合は距離を-3と算出する。
【0043】
次に決定部103は、距離が小さいインデクスのついたオーダー同士、クラスタ同士、または、オーダーとクラスタを、1つのクラスタにマージする処理を繰り返して階層構造のクラスタを生成する。図3では、例えばオーダーO2およびオーダーO5のオーダーのインデクスは、R5のみを含む点で一致する。一致する棚IDのみを含むインデクスに対する値がより小さくなるような距離を用いる場合、決定部103は、オーダーO2およびオーダーO5のオーダーを1つのクラスタにマージする。
【0044】
図4のクラスタC1は、このようにしてマージされたクラスタを示す。なおC1~C9は、各クラスタを識別する情報を表す。決定部103は、マージ前の2つのインデクスを子ノードとし、マージ後のクラスタを親ノードとする二分木をクラスタデータ記憶部123に記憶する。同様にして、決定部103は、クラスタリングの終了条件が満たされるまで処理を反復する。
【0045】
図4は、1つに統合されたクラスタの例を示す。図4に示すように、マージ後のクラスタに対するインデクスとしては、例えば、クラスタに属する各オーダーに引き当てられた棚IDの和集合が用いられる。
【0046】
次に決定部103は、同じ親クラスタに属する子クラスタが隣接するように再帰的に二分木を展開することで、同じクラスタに属する葉ノードに対応する2つのオーダーが近い順序になるように、オーダーの処理順序を決定する。
【0047】
図5は、決定した処理順序で並び替えたオーダーの例を示す図である。図5は、図4に示すクラスタに基づき並び替えられたオーダーの例である。図4に示すように、クラスタは、10個のオーダーに対応する10個の葉ノードを含む。決定部103は、例えば最後に発見されたクラスタC9から再帰的に二分木の親子関係を辿る(二分木を展開する)ことで、オーダーの処理順序を決定する。図4の例では、決定部103は、以下のように親子関係を辿り、辿り着いた葉(オーダー)の順に並べることで、図5の順番にオーダーを並び替える。
C9→C8→C3→C1→オーダーO2→C1→オーダーO5→C1→C3→C2→オーダーO9→C2→オーダーO6→C2→C3→C8→C7→C5→C4→オーダーO1→(省略)→C8→C9→オーダーO8
【0048】
作業ステーション11が複数ある場合に、図4の例のように全オーダーを1つのクラスタに統合し、決定された処理順序に従いオーダーを並び替えた後に、オーダーデータを各作業ステーション11のデータ群に分割したとする。このような方法では、クラスタの途中で強制的に別の作業ステーション11での処理に分割される状況が生じうる。このような状況は、同時ピッキング率を下げる一因となりうる。
【0049】
そこで本実施形態の決定部103は、作業ステーション11が複数ある場合、クラスタの個数(クラスタ数)が、対象となる作業ステーション11の個数(ステーション数)以上となるように階層型クラスタリングを実行する。すなわち、決定部103は、複数のクラスタそれぞれのサイズを制御し、1つのクラスタには統合しない。
【0050】
例えば、決定部103は、オーダーをクラスタにマージする処理の際に、マージ後のクラスタ内のオーダーの総数が目標サイズを超過する場合は、該当するオーダー同士、クラスタ同士、または、オーダーとクラスタであるペアは、マージ候補から除く判定処理を行う。
【0051】
目標サイズは、例えば、目標サイズ以上の大きさのクラスタを1つの作業ステーション11に割り当てることにより、作業負荷のバランスが崩れ、強制的に分割される可能性が高くなることを目安として決定される。
【0052】
目標サイズは、例えば作業ステーション11がN個、全オーダーの数をM個とすると、作業負荷が平準化されるようにM/N個により決定される。この場合、クラスタのサイズが目標サイズを超えるか否かは、例えばクラスタに含まれるオーダー数が目標サイズを超えるか否かという判定条件により判定される。
【0053】
判定処理で用いる判定条件は、これに限られず、例えば以下のような判定条件であってもよい。また、複数の判定条件のいずれかに合致した場合にマージ候補から除くように判定処理が実行されてもよい。
・マージ後のクラスタ内の商品の総数が目標サイズを超えるか否か
・マージ後のクラスタ内の商品種類の総数が目標サイズを超えるか否か
【0054】
また、決定部103は、仕掛中のオーダーがある場合は、作業ステーションデータの情報を利用し、仕掛中のオーダーの作業負荷と、新たに各作業ステーション11に割り当てるオーダーの作業負荷と、の和が平準化されるように、目標サイズを決定してもよい。仕掛中のオーダーとは、例えば、既に各作業ステーション11に割り当て済であり変更できないオーダー、または、作業中のオーダーである。この場合の目標サイズの決定方法については後述する。
【0055】
図6および図7は、2つの作業ステーション11を対象として図3のオーダーをクラスタリングした例を示す図である。図3のオーダーの個数は10であるため、クラスタの目標サイズは、例えば10/2=5となる。
【0056】
例えば、クラスタC7に含まれるオーダー数は5であり、目標サイズに達している。このため、クラスタC7に対しては、これ以上、他のクラスタはマージされない。すなわち、図6に示すクラスタC8と、図7に示すクラスタC7と、が生成された段階で、階層型クラスタリングは終了する。
【0057】
図8および図9は、それぞれ図6および図7に示される各クラスタに基づいて、上記の方法で並び替えられたオーダーの例を示す図である。
【0058】
図5の例のように1つにマージされたクラスタに基づいて並び替えられた10個のオーダーが、1~5番目の5個のオーダー、および、6~10番目の5個のオーダーに分割あれたとする。この場合、同じ棚(R2、R5)を使用するオーダーO1とオーダーO4が、2つの作業ステーション11に分割されて割り当てられる。
【0059】
これに対して、本実施形態の手順で生成される2つのクラスタの例では、オーダーO1、O4は、共にクラスタC7(図7)にマージされる。従って、図9に示すように、オーダーO1、O4は、同じ作業ステーション11に割り当てられる。すなわち、同時ピッキング率を向上させることができる。
【0060】
次に、本実施形態にかかる情報処理装置100による順序決定処理について説明する。図10は、本実施形態における順序決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
受付部101は、複数のオーダーデータ、複数の棚データ、および、作業ステーションデータの入力を受け付ける(ステップS101)。複数のオーダーデータは、入力されたオーダーリストのうち、未処理のオーダーデータを抽出することで取得されてもよい。
【0062】
次に、決定部103は、未処理のオーダーデータの中で、選択された棚から引き当て可能なオーダーすべてに対し、優先度が最大の棚を選択し、選択された棚の棚IDをインデクスに追加することを反復し、すべてのオーダーにインデクスを付与する(ステップS102)。
【0063】
次に、決定部103は、階層型クラスタリングを実行する(ステップS103)。階層型クラスタリングでは、決定部103は、マージ前のオーダーまたはクラスタを子ノード、マージ後のクラスタを親ノードとする二分木を生成し、生成した二分木をクラスタデータ記憶部123に記憶する。階層型クラスタリングの詳細は後述する。
【0064】
クラスタリングが終了すると、決定部103は、各作業ステーション11に対して、いずれのクラスタを割り当てるか、および、作業ステーション11で複数のクラスタを処理する順序、を決定する(ステップS104)。
【0065】
生成されたすべてのクラスタのサイズが目標サイズと一致するとは限らないため、作業ステーション11の数より生成されたクラスタの数の方が多いことがあり得る。この場合、決定部103は、各作業ステーション11の作業負荷を平準化するように、割り当てるクラスタを決定してもよい。すなわち、決定部103は、複数の作業ステーション11の間で、処理中(仕掛中)のオーダーデータ(第2オーダーデータ)の個数と、未割当の複数のオーダーデータのうち割り当てられるオーダーデータの個数と、の合計が平準化されるように、複数の作業ステーション11それぞれに割り当てる複数のオーダーデータを決
定する。
【0066】
平準化させるための割り当て方法は、どのような方法であってもよいが、例えば、ビンパッキングと称される組合せ最適化問題のアルゴリズムを利用した方法であってもよい。例えば決定部103は、複数のクラスタを、サイズが大きいクラスタから順に、割り当て済の1つ以上のクラスタのサイズの合計が他の作業ステーションより小さい作業ステーションに対して割り当てる。
【0067】
例えば、作業ステーション11が、作業ステーション11Aおよび11Bの2つであり、オーダーの総数が15個であるとする。また、オーダー数が2個のクラスタC1、3個のクラスタC2、4個のクラスタC3、および、6個のクラスタC4の、4つのクラスタが生成されたとする。
【0068】
決定部103は、例えば、サイズが大きい順にクラスタを並び替え、サイズが大きいクラスタから順次、既に割り当て済のクラスタの総サイズの小さい作業ステーション11に割り当てる。上記の4つのクラスタの例では、決定部103は、作業ステーション11Aに対してクラスタC4、作業ステーション11Bに対してクラスタC3、作業ステーション11Bに対してクラスタC2、作業ステーション11Aに対してクラスタC1、の順で割当を決定する。
【0069】
1つの作業ステーション11に対して複数のクラスタが割り当てられた場合の、当該複数のクラスタの処理順序はどのように決定されてもよいが、例えば、当該作業ステーション11への割当が決定された順序を処理順序とする決定方法が用いられてもよい。
【0070】
図10の説明に戻る。決定部103は、同じ親クラスタに属する子クラスタが隣接するように再帰的に二分木を展開することで、同じクラスタに属する葉ノードに対応する2つのオーダーが近い順序になるように、オーダーの処理順序を決定し(ステップS105)、決定した処理順序でオーダーデータを並べたオーダーリストを生成する。1つの作業ステーション11に複数のクラスタが割り当てられた場合、決定部103は、元のオーダーリストのオーダーの順番を崩さないように、ステップS104で決定されたクラスタの処理順序に従い、複数のクラスタに対して決定されたオーダーリストを結合する。
【0071】
出力制御部105は、順序が決定されたオーダーデータを含むオーダーリスト、および、各オーダーで使用する棚による作業指示を出力する(ステップS106)。
【0072】
出力制御部105は、棚を決定する処理の過程で棚ごとに同時ピッキング率を算出していることを利用し、各棚で必要なピッキング作業回数、および、全体の作業時間予測値の少なくとも一方を算出し、オーダーデータに含まれる各商品をピッキングする棚の情報とともに出力してもよい。
【0073】
例えば、ある棚の同時ピッキング率は、当該棚から複数のオーダーに対して同時にピッキングできる商品の種類数である。この場合、ピッキング作業回数は、同時ピッキング率と同じ値として算出できる。ピッキング作業の時間は、例えば、ピッキング作業回数と単位時間との積により算出できる。単位時間は、1回のピッキング作業に対して予め定められた時間を表す。
【0074】
次に、ステップS103のクラスタリングの詳細について説明する。図11は、クラスタリングの一例を示すフローチャートである。
【0075】
決定部103は、インデクス順にオーダーデータを並び替える(ステップS201)。
決定部103は、例えばステーション数とオーダーデータとから、目標サイズを決定する(ステップS202)。例えば決定部103は、オーダーデータの総数をステーション数で割った値を、目標サイズとして決定する。
【0076】
決定部103は、インデクス間の距離が閾値以下で最小となるオーダー同士、クラスタ同士、または、オーダーとクラスタであるペア、を発見する(ステップS203)。なおインデクス間の距離は、距離算出部104により算出される。
【0077】
決定部103は、発見したペアをマージしたときのマージ後のクラスタのサイズが目標サイズを超えるか否かを判定する(ステップS204)。目標サイズを超える場合(ステップS204:Yes)、決定部103は、当該ペアをマージ候補から除外し(ステップS205)、ステップS203に戻り処理を繰り返す。
【0078】
目標サイズを超えない場合(ステップS204:No)、決定部103は、マージ可能なペアが存在するか否かを判定する(ステップS206)。マージ可能なペアが存在する場合(ステップS206:Yes)、決定部103は、当該ペアを1つのクラスタにマージする(ステップS207)。決定部103は、マージ前のオーダーまたはクラスタを子ノード、マージ後のクラスタを親ノードとする二分木を更新し、更新した二分木をクラスタデータ記憶部123に記憶した後(ステップS208)、ステップS203に戻り処理を繰り返す。
【0079】
マージ可能なペアが存在しない場合(ステップS206:No)。クラスタリングは終了する。
【0080】
このように、本実施形態では、事前に得られる複数のオーダーデータおよび複数の棚データを用いて、ピッキング作業をより効率的に実行することができるように、複数のオーダーデータの処理順序および各オーダーで使用する棚、および呼び出し順序を決定することができる。
【0081】
なお、実際の運用では、オーダー群(バッチ)が何回かに分けて入力される状況、および、1つのバッチの処理中に使用する作業ステーション11の個数を変更し再計画する状況などが生じうる。従って、このような状況が生じた場合であっても、高い同時ピッキング率を維持する必要がある。
【0082】
上記のように、仕掛中のオーダーがある場合は、作業ステーションデータの情報を利用し、仕掛中のオーダーの作業負荷と追加で各作業ステーション11に割り当てるオーダーの作業負荷の和が各作業ステーション11で平準化されるようにすることが可能である。
【0083】
以下、このような場合の処理について、図12図14を用いて説明する。図12および図13は、3つの作業ステーション11(以下、作業ステーションWS1、WS2、WS3とする)がある場合の例を示す。容器数は、収容容器12の個数を示す。一度収容容器12に展開されたオーダーは、部分的に商品が引き当てられている可能性もあるため、原則として割り当てを変更することはできない。
【0084】
図12および図13では、黒いバーが既に各作業ステーション11に割り当て済であって変更できないオーダー(ピッキング作業が未完了のオーダー)の数を示し、白いバーが新たに追加で作業ステーション11へ割り当てて処理順序を決定するオーダーの数を示す。矢印の左側は、追加するオーダーを作業ステーションWS1のみに割り当てると仮定した例を示す。矢印の右側は、追加するオーダーを、複数の作業ステーション11でのオーダー数が可能な限り均等になるように割り当てる場合を示す。
【0085】
決定部103は、図12および図13の矢印の右側に示すように、既に割り当て済のオーダーの数(黒いバー)と、追加で配分するオーダーの数(白いバー)と、の和が、複数の作業ステーション11の間で可能な限り均等になるように、各作業ステーション11へ割り当てるオーダー数を決定する。
【0086】
図14は、この場合のオーダー数の決定処理の一例を示すフローチャートである。以下では、複数の作業ステーション11のうち、k番目(kは、1以上でステーション数以下の整数)の作業ステーション11を作業ステーションkという場合がある。
【0087】
決定部103は、作業ステーションkの仕掛オーダー数N(k)と、追加オーダー数との総和Sを算出する(ステップS301)。決定部103は、総和Sをステーション数で割ることにより、各作業ステーション11の平均オーダー数Mを算出する(ステップS302)。
【0088】
決定部103は、N(k)>Mを満たす作業ステーションkが存在するか否かを判定する(ステップS303)。N(k)>Mを満たす作業ステーションkが存在する場合(ステップS303:Yes)、決定部103は、新規のオーダーを割り当てる余裕がないため、当該当該作業ステーションkを、新規にオーダーを割り当てる対象から除外する(ステップS304)。その後、決定部103は、ステップS301に戻り、残りの割り当て対象の作業ステーション11について処理を繰り返す。
【0089】
N(k)>Mを満たす作業ステーションkが存在しない場合(ステップS303:No)、決定部103は、各作業ステーションkについて、M-N(k)個のオーダーを、新規に割り当てるオーダー数J(k)として算出する(ステップS305)。
【0090】
算出されたオーダー数J(k)は、少なくとも2つの目的で使用できる。1つ目の目的は、複数の作業ステーションkに対して算出された複数のJ(k)のうち最大値をクラスタリングの目標サイズとして使用することである。
【0091】
2つ目の目的は、各作業ステーションkに対して、いずれのクラスタを割り当てるかを決定するときに参照するデータとして使用することである。例えば決定部103は、各作業ステーションkのオーダー数J(k)に応じて割り当てるクラスタを選定する。割当方法としては、例えばビンパッキングと称される組合せ最適化問題のアルゴリズムを利用した方法であってもよい。
【0092】
例えば、作業ステーション11が作業ステーションWS1と作業ステーションWS2の2つであり、オーダーの総数が15個であるとする。また、オーダー数がそれぞれ2個のクラスタC1、3個のクラスタC2、4個のクラスタC3、6個のクラスタC4の4つのクラスタが生成されたとする。また、作業ステーションWS1は7個の仕掛中のオーダーが残っていたとする。この場合、新規に割り当てられるオーダー数J(k=WS1)は4個であり、オーダー数J(k=WS2)は11個となる。
【0093】
決定部103は、サイズが大きい順にクラスタを並び替え、サイズが大きいクラスタから順次、オーダー数J(k)の小さい作業ステーション11に割り当てる。上記例では、決定部103は、作業ステーションWS2にクラスタC4、作業ステーションWS2にクラスタ3、作業ステーションWS1にクラスタ2、作業ステーションWS1(またはWS2)にクラスタC1、の順で、割り当てるクラスタを決定する。
【0094】
仕掛中のオーダーが残っている場合、作業ステーション11で仕掛中のオーダーとの類
似度が高い(使用する棚が類似する)クラスタを、当該作業ステーション11に割り当てた方が、同時ピッキング率が高くなる可能性が高い。そこで、決定部103は、複数のクラスタに含まれる1つ以上のクラスタ(第1クラスタ)を、当該クラスタに含まれる複数のオーダーデータとの類似度が他の作業ステーション11より高い仕掛中のオーダーデータを処理中である作業ステーション11に対して割り当ててもよい。
【0095】
また、各作業ステーション11内で、複数のクラスタの処理順序を決める際に、仕掛中のオーダーと類似しているクラスタほど先に処理する処理順序とした方が、仕掛中のオーダーと追加したオーダーが並列処理され、それぞれのオーダー間における同時ピッキング率が高くなる可能性が高い。そこで、決定部103は、1つの作業ステーションに複数のクラスタ(第1クラスタ)を割り当てる場合、複数のクラスタのうち、仕掛中のオーダーデータに対する類似度がより高いクラスタほど、処理順序を先に決定してもよい。
【0096】
なお、類似度はどのような方法で算出されてもよいが、例えば、上記のインデクス間の距離の算出と同様の方法を適用できる。例えば決定部103は、仕掛中のオーダー群をクラスタと見なし、クラスタに対して上記と同様の手法でインデクスを付与し、インデクス間の距離により、クラスタとの類似度を算出する。
【0097】
図15および図16の例で説明する。クラスタリングで3つのクラスタC1、C2、C3が生成され、作業ステーション11が作業ステーションWS1、WS2の2つであり、オーダー群1501、1502が、それぞれ作業ステーションWS1、WS2で仕掛中のオーダーであるとする。なお、図15および図16では、アルファベットA~Kは、オーダーIDを表す。
【0098】
図15は、仕掛中のオーダーとの類似度を考慮しない場合のクラスタの処理順序の決定例を示す図である。図15では、例えば、最もサイズの大きいクラスタC2は、作業ステーションWS1に割り当てられ、それ以外のクラスタは作業ステーションWS2に割り当てられる。また、作業ステーションWS2でのクラスタの処理順序は、クラスタC1、クラスタC3となる。作業ステーションWS1では、オーダー群1501に含まれる仕掛中のオーダー(H,I,K)と、新たに割り当てられるクラスタに含まれるオーダー(A,E,F,G)とは一致しない。従って、同時ピッキング率を向上させることができない。
【0099】
図16は、仕掛中のオーダーとの類似度を考慮する場合のクラスタの処理順序の決定例を示す図である。図16では、最もサイズの大きいクラスタC2は、より類似度の高い作業ステーションWS2に割り当てられ、また、クラスタC1、C3は作業ステーションWS1に割り当てられる。また、クラスタC1よりクラスタC3の方が仕掛中のオーダー群1501との類似度が高いため、処理順序が先に決定される。
【0100】
次に、実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成について図17を用いて説明する。図17は、実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0101】
実施形態にかかる情報処理装置は、CPU51などの制御装置と、ROM(Read Only
Memory)52やRAM53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0102】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0103】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式ま
たは実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0104】
さらに、実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0105】
実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した情報処理装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0106】
実施形態の構成例について以下に記載する。
(構成例1)
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
処理部を備える、
情報処理装置。
(構成例2)
前記処理部は、
複数の前記クラスタを、サイズが大きいクラスタから順に、割り当て済の1つ以上のクラスタのサイズの合計が他の作業ステーションより小さい作業ステーションに対して割り当てる、
構成例1に記載の情報処理装置。
(構成例3)
前記処理部は、
複数の前記作業ステーションの間で、処理中の第2オーダーデータの個数と、複数の前記第1オーダーデータのうち割り当てられる前記第1オーダーデータの個数と、の合計が平準化されるように、複数の前記作業ステーションそれぞれに割り当てる複数の前記第1オーダーデータを決定する、
構成例1または2に記載の情報処理装置。
(構成例4)
前記処理部は、
複数の前記クラスタに含まれる1つ以上の第1クラスタを、前記第1クラスタに含まれる複数の前記第1オーダーデータとの類似度が他の作業ステーションより高い前記第2オーダーデータを処理中である前記作業ステーションに対して割り当てる、
構成例3に記載の情報処理装置。
(構成例5)
前記処理部は、
1つの前記作業ステーションに複数の前記第1クラスタを割り当てる場合、複数の前記第1クラスタのうち、前記第2オーダーデータに対する類似度がより高い前記第1クラスタほど、処理順序を先に決定する、
構成例4に記載の情報処理装置。
(構成例6)
前記処理部は、
複数の前記棚ごとに、複数の前記第1オーダーデータに含まれる前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の個数が多いほど大きい優先度を算出し、
前記優先度が大きい順に選択した前記棚に含まれる前記第1識別情報と一致する前記第2識別情報を含む前記第1オーダーデータに対して、選択した前記棚を、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚として決定する、
構成例1から5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例7)
前記処理部は、前記第1オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合に基づいて算出される、複数の前記棚それぞれに対するピッキング作業の回数と、前記ピッキング作業の時間と、のうち少なくとも一方を示す情報をさらに出力する、
構成例1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例8)
前記処理部は、複数の前記棚ごとに算出される優先度に基づいて、複数の前記第1オーダーデータごとに、前記第2識別情報と一致する前記第1識別情報の商品が収容される棚のうち商品をピッキングする1つ以上の棚を示すインデクスを生成し、生成した前記インデクスを利用して前記処理順序を決定する、
構成例1から7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例9)
前記処理部は、
複数の前記第1オーダーデータそれぞれに対して生成された複数の前記インデクス間の距離を算出し、
前記距離が小さいほど順序が近くなるように前記処理順序を決定する、
構成例8に記載の情報処理装置。
(構成例10)
前記処理部は、
親クラスタが共通する子クラスタが隣接するように再帰的に展開することで前記処理順序を決定する、
構成例9に記載の情報処理装置。
(構成例11)
前記処理部は、
前記処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて決定された1つ以上の前記棚と、を示す出力情報を出力する、
構成例1から10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例12)
複数の前記棚は、複数の前記作業ステーションに移動可能である、
構成例1から11のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例13)
前記処理部は、
複数の前記棚データに基づいて、複数の前記第1オーダーデータに引き当てる商品を1つの棚からピッキングする割合を向上させるように、前記処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定する、
構成例1から12のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例14)
前記処理部は、
前記処理順序と、前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
前記階層型クラスタリングを実行する、
決定部を含む、
構成例1に記載の情報処理装置。
(構成例15)
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
情報処理方法。
(構成例16)
コンピュータに、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定するステップと、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行するステップと、
を実行させるためのプログラム。
(構成例17)
搬送装置と、情報処理装置と、作業ステーションと、を備える情報処理システムであって、
前記搬送装置は、商品を収容する複数の棚を前記作業ステーションに搬送し、
前記情報処理装置は、
複数の棚それぞれに収容される1種類以上の商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の前記棚の少なくとも一部からピッキングする1種類以上の商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の前記第1オーダーデータそれぞれについて前記第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の前記棚と、を決定し、
類似または一致する複数の前記第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、前記階層型クラスタリングにより得られる複数のクラスタの個数であるクラスタ数が、複数の前記第1オーダーデータのうち少なくとも一部の前記第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションの個数であるステーション数以上となるように実行する、
処理部を備える、
情報処理システム。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
10 情報処理システム
11 作業ステーション
12 収容容器
13 棚
14 ディスプレイ
30 棚
100 情報処理装置
101 受付部
102 優先度算出部
103 決定部
104 距離算出部
105 出力制御部
121 オーダーデータ記憶部
122 棚データ記憶部
123 クラスタデータ記憶部
124 ステーションデータ記憶部
200 搬送装置
300 ネットワーク
【要約】
【課題】ピッキング作業をより効率的に実行する。
【解決手段】情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、商品の第1識別情報を含む複数の棚データに基づいて、複数の棚の少なくとも一部からピッキングする商品の第2識別情報を含む複数の第1オーダーデータの処理順序と、複数の第1オーダーデータそれぞれについて第2識別情報で識別される商品をピッキングする1つ以上の棚と、を決定し、類似または一致する複数の第1オーダーデータをクラスタにマージする処理を繰り返す階層型クラスタリングを、クラスタ数が、複数の第1オーダーデータのうち少なくとも一部の第1オーダーデータそれぞれに対応する収容容器が配置された複数の作業ステーションのステーション数以上となるように実行する。
【選択図】図2
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