(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動車のバックレストの電動ラッチ
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20240110BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20240110BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240110BHJP
【FI】
B60N2/30
E05B83/00 D
B60N2/90
(21)【出願番号】P 2020564671
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 FR2019051095
(87)【国際公開番号】W WO2019220051
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-15
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516364120
【氏名又は名称】ユーシン、フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー ゴダール
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01410945(EP,A1)
【文献】国際公開第2008/145668(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010045207(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/30
E05B 83/00
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(B)の内側に配置された、自動車の折りたたみ式シート用の電動ラッチ(S)であって、
前記電動ラッチ(S)は、
回転軸(A2)の周りで回転可能であり、ストライカー(G)の保持位置と前記ストライカー(G)
の解放位置との間で移動するように構成された、施錠手段(4)と、
回転軸(A3)の周りで回転可能であり、前記ストライカー(G)の
前記保持位置で前記施錠手段(4)を阻止する阻止位置
と、前記ストライカー(G)の前記解放位置で前記施錠手段(4)
を開放するための開放位置との間で移動するように構成された阻止要素(2)と、
前記ストライカー(G)の前記保持位置において前記施錠手段(4)を前記阻止位置に向けてバイアスするように構成されている弾性手段(6)と、
前記阻止要素(2)に固定され、
該阻止要素(2)の前記阻止位置と前記開放位置との間で移動するように構成された、伝達レバー(1)と、
モータ(31)を含み、前記伝達レバー(1)を移動させるように構成されたアクチュエータ(3)とを備え、
前記アクチュエータ(3)は、前記モータ(31)によって駆動要素(351、352)を備えたホイール(35)を駆動し、前記ホイール(35)は回転軸(A4)を中心に回転し、
前記伝達レバー(1)は、回転軸(A1)の周りを回転し、前記回転軸(A1)から半径方向に伸びる第1、第2のアーム(11、12)を備え、
さらに、前記第2のアーム(12)から前記半径方向に対して横方向に伸びる第3のアーム(13)を備え、
前記第2のアーム(12)は、その端部に、前記阻止要素(2)で前記施錠手段(4)を固定するための固定手段(14)を
有し、
前記伝達レバー(1)は、前記モータ(31)により前記ホイールが前記回転軸(A1)を中心に回転して駆動されるのに伴い、前記ホイールの前記駆動要素(351、352)が前記第3のアーム(13)に当接せず前記阻止位置にある状態と、前記ホイールの前記駆動要素(351、352)が前記第3のアーム(13)に当接することにより前記開放位置へ移動した状態とを繰り返すように構成されていることを特徴とする電動ラッチ。
【請求項2】
前記施錠手段(4)は、前記ストライカー(G)を受け入れるように構成された凹部(41)を含む、
前記軸(A2)の周りで回転可能な施錠手段であり、
前記阻止要素(2)は、
前記軸(A3)の周りで回転可能な爪であり、前記爪は、放射状に伸びる第1の突出部(22)及び第2の突出部(21)を含み、
前記第1の突出部(22)は前記施錠手段(4)に接して前記施錠手段(4)を前記ストライカー(G)の
前記保持位置に保持するように構成され、
前記第2の突出部(21)は前記伝達レバー(1)によって移動するように構成されたボールジョイントであることを特徴とする請求項1に記載の電動ラッチ。
【請求項3】
前記固定手段(14)は、2つの歯(141、142)を備えたフォークのような形状であり、前記2つの歯
の間の空間
(143)は、前記阻止要素(2)を把持し、それを前記阻止位置と、前記開放位置との間で移動させることができるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動ラッチ。
【請求項4】
前記固定手段(14
)の前記第3のアーム(13)は、前記駆動要素(351、352)を受け入れるように構成された凹部(131)
とその端にあり前記駆動要素が当接する平面端(132)を備えており、
前記アクチュエータ(3)は、前記モータ(31)によって回転・駆動されるウォームスクリュー(32)を有し、
前記ウォームスクリュー(32)は、
前記ホイール(35)を回転・駆動する駆動歯付ホイール(33)を回転・駆動するように構成されており、
前記駆動要素(351、352)は、前記ホイール(35)の半径方向に偏心しかつ前記回転軸(A4)の軸方向に突出していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電動ラッチ。
【請求項5】
2つの前記駆動要素(351、352)が、前記
ホイール(35)の、直径方向に互いに正反対の位置で、かつ、前記
ホイール(35)の同じ側の面に配置
されていることを特徴とする請求項4に記載の電動ラッチ。
【請求項6】
前記駆動要素(351、352)は、各々、前記
ホイール(35)から
該ホイール(35)の軸方向に突出し、
前記ホイール(35)の側面に沿って伸びる水滴のような形状のスタッドであり、前記凹部(131)
を経て前記平面端(132)に当接することによって前記伝達レバーを移動させることを特徴とする請求項
5に記載の電動ラッチ。
【請求項7】
前記軸(A1)と前記軸(A4)は平行であり、前記軸(A2)と前記軸(A3)は平行であり、前記軸(A2)と前記軸(A3)は前記軸(A1)と前記軸(A4)に垂直であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の電動ラッチ。
【請求項8】
前記モータ(31)を駆動して前記施錠手段(4)の動きを遠隔制御するための手段を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電動ラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ラッチに係り、特に、自動車のシート又はバックレストのロック及びロック解除のための、好ましくは後部ベンチシートのための電動ラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバックレストのラッチは、通常、閉じたときに、車両のバックレスト又はシートの閉じ及び保持を確実にするために、構造物に固定されたストライカーの周りの方向に旋回することを意図した施錠手段を含んでいる。
【0003】
例えば、トランクの容積を増やすための、バックレストやベンチシートの折り畳みは、施錠手段を逆方向に回転させた後、ラッチによって保持されているバックレストを解放することによって可能になる。
バックレストを折り畳むためのこの逆方向への回転は、一般に、車両のシートに配置されたハンドルを使用して行われる。ハンドルは、主に開放レバーに作用するケーブル又はロッドなどの制御手段によってラッチに接続され、このハンドルにより爪を旋回させ、フック装置を介して施錠手段を所望の方向に解放する。
【0004】
ロック/ロック解除を制御するために、トランクにプルタブを配置し、手動で爪を操作することにより、施錠手段を解放する、シートの関節のレベルにあるハンドルも考えられる。これにより、ラッチのロックを解除して、バックレストやベンチシートを折り畳むために客室に戻る必要がなくなる。
【0005】
車室内の可動要素を制御するための電気システムの使用は益々広まっており、これにより、益々厳しくなる快適性の要求に対応している。
【0006】
従って、電気ロック解除を備えた車両シートの場合、一般的な解決策は、必要な収納容積を確保して、遠隔モータ駆動のアクチュエータを使用することである。モータは、例えば、シート又はベンチシートの下側に配置することができる。
【0007】
このようなアプローチとして、例えば、特許文献1には、バックレストをロックするラッチタイプのロック機構の操作装置などの制御に関する発明が開示されている。このロック機構は、上端に開口を有するシートバックと、このシートバックの開口に設けられ、人による操作装置の操作中に、シートロック機構に動きを伝達する操作ノブを備えている。
【0008】
特許文献2によれば、人間の行動の必要性に対処するために、モータに基づく電気制御装置を有し、遠隔で作動する、特に自動車を対象とした後部シートロックに関する発明も知られている。このロックは適切なカバーで隠されているため、制御装置は外からは見えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】US7635166B2
【文献】EP1410945A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の装置は、2つの別個の部分、すなわち、一方では、操作装置及び他方ではシートロック機構からなるために、かさばるという欠点と、シートのロック解除を自分で作動させる必要があるため不快であるという欠点とを有する。又、操作装置がアクセスの点で実用的でない場所にあるため、快適さはさらに低下する。
【0011】
特許文献2に記載の装置は、ラッチのロックを解除するためのケーブル又はロッドなどの手段を必要とし、構成が複雑である。さらに、このラッチのモータは、例えば、逆駆動又はアクチュエータのリセットでいつ動作するかを決定するために、アクチュエータのホイールの位置に関する情報を取得するためのスイッチを必要とする。これにより、複雑さが増し、電気系統が故障しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来技術の欠点を克服するために、統合モジュールの形態で、自律的かつコンパクトなバックレストラッチを有する、解決策を提供することを目的とする。
【0013】
この目的のために、本発明は、ケースの内側に配置された、自動車の折りたたみ式シート用の電動ラッチを提供するものであり、この電動ラッチは、
ストライカーの保持位置と前記ストライカーの解放位置との間で移動するように構成された、施錠手段と、
前記ストライカーの保持位置で前記施錠手段を阻止する阻止位置と前記施錠手段の移動に関して通路を開放する開放位置との間で移動するように構成された阻止要素と、
前記阻止要素に固定され、前記ストライカーの保持位置で前記施錠手段を阻止する前記阻止位置と、前記施錠手段の移動に関して通路を開放する前記開放位置との間で移動するように構成された、伝達レバーと、
モータを含み、前記伝達レバーを移動させるように構成されたアクチュエータとを備えた電動ラッチであって、
前記伝達レバーは、回転軸A1の周りを回転し、前記回転軸から半径方向に伸びる第1、第2のアームを備え、
前記第1のアームは、その端部に、前記伝達レバーを手動で移動させるためのハンドルを有し、
前記第2のアームは、その端部に、前記阻止要素で前記施錠手段を固定するための固定手段を有することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記施錠手段は、前記ストライカーを受け入れるように構成された凹部を含む軸A2の周りで回転可能な施錠手段であり、前記阻止要素は軸A3の周りで回転可能な爪であり、前記爪は、放射状に伸びる第1、第2の突出部を含み、前記第1の突出部は前記施錠手段に接して前記施錠手段を前記ストライカーの保持位置に保持するように構成され、前記第2の突出部は前記伝達レバーによって移動するように構成されたボールジョイントである。
【0015】
本発明による代替案では、前記固定手段は、2つの歯を備えたフォークのような形状であり、前記2つの歯の間の空間は、前記阻止要素を把持し、それを前記阻止位置と、前記開放位置との間で移動させることができるように構成されている。
これは、固定手段が好ましくは伝達レバーに属する要素であり、この要素が阻止要素とは異なることを意味する。それにも拘わらず、フォークで固定することにより、2つの歯により両方向への移動を可能にしながら、不快な音を発生させる可能性のある間隙の存在を回避することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記固定手段は、伝達レバーに対して横方向に伸び、前記アクチュエータの駆動要素を受け入れるように構成された凹部を有する第3のアームを備えている。
この実施形態には、アクチュエータによって、凹部を通して固定手段(従って伝達レバー)を回転・駆動できるようにするという利点がある。従って、阻止要素に作用する同じ伝達レバーを、固定手段を介して、ハンドル及びアクチュエータの両方によって動かしてもよい。
【0017】
好ましくは、本発明によるアクチュエータは、モータによって回転・駆動されるウォームスクリューを有し、前記ウォームスクリューは、被駆動歯付ホイールを回転・駆動する駆動歯付ホイールを回転・駆動するように構成されており、前記被駆動歯付ホイールは、この被駆動歯付ホイールに対して半径方向に偏心しその回転軸A4の軸方向に突出した少なくとも1つの駆動要素を有している。
このコンパクトな歯車により、モータの寸法を最適化して、伝達レバーを最小の容積で移動させることができる。従って、コンパクトで車両の背もたれに簡単に固定できるケース内に、電気ラッチの全体を収納することが可能となる。
【0018】
望ましくは、被駆動歯付ホイールは、互いに正反対の位置に2つの駆動要素を有し、これらは前記被駆動歯付ホイール(35)の同じ面に配置される。従って、ラッチのロックを解除できるようにするためにカバーされる距離が半分に短縮され、それによってアクチュエータ、従ってラッチの耐用年数が改善される。
さらに、特に、この構成により、180°の回転が可能になり、凹部131の同一平面上の壁を支えることによって、毎回伝達レバー1を移動させることができる。アーム13の移動を停止するために、第2のスタッドが隣接している。
【0019】
アクチュエータ内の平面を変更し、利用可能なすべてのスペースを使用できるようにするために、駆動歯付ホイールは、ピニオンを介して被駆動歯付ホイールを回転・駆動する。
【0020】
前記凹部と前記駆動要素との間の接触を最適化するために、前記駆動要素は、前記被駆動歯付ホイールから軸方向に突出する水滴のような形状のスタッドであり、これによって、前記凹部の接触面上のアバットメントによって前記伝達レバーを接触部に移動させる。
【0021】
コンパクト化をさらに改善するために、好ましくは、軸A1及び軸A4は平行であり、軸A2及び軸A3は平行であり、軸A2及び軸A3は軸A1及び軸A4に垂直である。
【0022】
好ましい実施形態では、前記阻止要素は、前記ストライカーGの保持位置で前記施錠手段を阻止するための位置に向かってそれをバイアスするように構成された1つの弾性手段に接続されている。これにより、前記ストライカーが前記施錠手段に係合するとすぐに、前記阻止要素が前記施錠手段を阻止することが可能になる。
さらに、前記施錠手段は、前記ストライカー解放位置に向かってそれをバイアスするように構成された他の弾性手段に接続されている。これにより、前記施錠手段が開放中の前記バックレストのロック解除に付随することが可能になる。この動きは、むしろモータ駆動のバックレストの移動又はばねタイプの弾性手段の効果によるものである。
【0023】
望ましくは、本発明によるラッチは、シートフレームに固定されるように構成された支持体に固定され、前記ストライカーの解放位置に施錠手段を移動させるケーブル又はロッドを含まない。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明によるラッチは、停止命令をモータに出力するための、又は回転方向を逆にするためのスイッチを含まない。
【0025】
本発明の他の利点及び特徴は、実施例として提供される以下の、本発明による電動ラッチの説明、並びに以下の添付の図からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によるラッチの斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態によるラッチを示しており、このラッチは、シートフレームに関連する支持体に固定されている。
【
図3】本発明の実施形態によるラッチを示しており、このラッチは、ストライカーを閉じ込める閉位置にある。
【
図4A】本発明の実施形態によるラッチを示す、斜視図である。
【
図4B】
図4Aとは異なる視点による、本発明の実施形態によるラッチを示す、斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態によるラッチを示しており、電動アクチュエータを除いた状態の図である。
【
図6A】本発明の実施形態によるラッチの、正面図である。
【
図6B】本発明の実施形態によるラッチの、正面図である。
【
図7】本発明の実施形態による、伝達レバーのみを分離して示した図である。
【
図8】本発明の実施形態による、アクチュエータの被駆動歯付ホイールのみを分離して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態による電動ラッチSを示している。この電動ラッチSは、その重量及びコストを低減するために、プラスチック製のケースB内に収容するように構成されている。本発明の実施形態によるラッチのアクチュエータもまた、それを絶縁し保護するために、エンベロープEの内側に配置してもよい(
図1参照)。
【0028】
このエンベロープは、プラスチック又はザマック(亜鉛合金)などの金属材料でできている。いずれにせよ、ハンドル110は、このハンドルのユーザが、手動で伝達レバー1を移動させるためにアクセス可能でなければならない。
【0029】
図2には、ラッチの固定ベアリングを提供するサポートPが示されている。このサポートPは、施錠手段を軸A2で、爪を軸A3で貫通する2本のネジを使用して固定されている。ラッチSは、2本のネジを使用して、サポートPに固定されている。ケースBは、フックC(
図3参照)を備えたプレートによって保持位置に固定されている。
【0030】
図3には、本発明の実施形態による、ラッチと係合したストライカーGが示されており、ストライカーが車両の固定要素に固定され、ラッチが折りたたみ式シートのバックレストに配置されている場合、このバックレストはストライカーGによって保持されている。
ラッチのロックを解除するか、ハンドル110を操作するか、又は電動方式で遠隔操作することにより、シートは、ばね式の機構によって押され、折りたたまれて折り畳み可能になる。
【0031】
図4A及び
図4Bは、本発明の実施形態によるラッチを、2つの異なる視点から示している。
図4Aでは、回転軸A1の周りに移動するように構成された、伝達レバー1が示されている。この伝達レバー1は、回転軸A1から半径方向に、この場合は2つの反対方向に伸びる2つのアーム11及び12を有しており、これにより、伝達レバー1のリーチが長くなっている。
【0032】
第1のアーム11は、その端部にハンドル110を有している。このハンドル110は、爪2(
図4Bを参照)から遠い位置にあり、伝達レバー1を手動で移動させるためのものである。第2のアーム12は、その端部の爪2の近くに、この爪に固定するための固定手段14を有している。この固定手段14は、爪2と係合する2つの歯を備えたフォークである。
【0033】
伝達レバー1は、爪2に接続されており、ストライカーGの保持位置(
図3参照)において施錠手段4の移動を阻止する位置と、施錠手段4の移動運動に対して通路を開放する位置との間で、旋回可能に構成されている。
図4Bには、施錠手段4が示されており、この施錠手段は、伝達レバー1の回転軸A1に対して好ましくは垂直な、軸A2の周りを回転するように構成されている。
【0034】
これにより、ラッチのスペースを節約できる。この
図4Bでは、爪2は、ストライカー(
図4Bには表示なし)を閉じ込める施錠手段4を保持している。実際、
図4Bにおいて、爪2は、施錠手段4を反時計回り方向の回転に対して既知の方法で保持する。この反時計回りの回転は、自動車のシートの折り畳みに対応している。
【0035】
図4A及び
図4Bに示すように、アクチュエータ3は、爪2を、モータ駆動により2つの位置の間で旋回させる機能に特徴がある。すなわち、アクチュエータ3は、施錠手段4を阻止するストライカーGの保持位置(
図3参照)と、施錠手段4の移動に対する開放位置の間で、爪2を動かすことに特徴がある。
【0036】
この目的のために、アクチュエータは、
図4Bに示される要素、すなわち、モータアセンブリ31、モータの軸36(
図6A参照)上のウォームスクリュー32、及び、駆動歯付ホイール33(歯は
図4Bに示されていない)を含んでいる。駆動歯付ホイール33は、その回転軸にピニオン34を有し、その回転を、軸A4の周りを回転する他の被駆動歯付ホイール35に伝達する。このアクチュエータ3は、それが直接接続されている伝達レバー1を介して、爪2に作用する。
【0037】
図5には、手動で、すなわち非モータ駆動の方法で、爪の移動を可能にする、本発明によるラッチの要素が示されている。アクチュエータ3は、理解を容易にするために図示されていない。
【0038】
爪の回転軸A3は、施錠手段の回転軸A2と平行である。また、ストライカーGを受け入れるように構成された凹部41を備える回転施錠手段4は、
図3に示されるように明確な特徴がある。
さらに、回転爪2は半径方向に伸びる2つの突出部21及び22を含んでいる。第1の突出部22は、施錠手段4に隣接してそれをストライカーGの保持位置に保持するように構成されている。第2の突出部21は、伝達レバー1によって移動するように構成された、ボールジョイントである。
【0039】
このような、爪2と施錠手段4の機能を維持しながら、別の空間配置とすることが可能であることは言うまでもない。半径方向に伸びる突出部22の端部は、施錠手段4の相補的な停止面上にあり、
図5における、施錠手段の反時計回り方向の回転を防ぐものである。
【0040】
爪2のボールジョイント21は、伝達レバー1のアーム12の端部のフォーク(固定手段)14の2つの歯141及び142によってクランプされている。
【0041】
図5に示すように、爪2に近い、伝達レバーのアーム12の端部に、第3のアーム13が設けられている。この第3のアーム13は、アーム12から横方向に延在し、アクチュエータ3の駆動要素を受け入れるように構成された凹部131を含んでいる。
【0042】
図7は、この第3のアーム13及び凹部131を、別の角度から見たものである。伝達レバー1が回転する平面上に位置する凹部131の側面は、回転のガイドとして機能する。
【0043】
伝達レバーの駆動は、
図8に詳細に示されている被駆動歯付ホイール35により実行される。
図8では、歯車Eを介してモータ31によって回転する被駆動歯付ホイールは、この被駆動歯付ホイール35の回転軸A4に対して軸方向に突出する駆動要素351及び352を有することが示されている。これらの駆動要素は、好ましくは、水滴のような形状のスタッドで構成されている。
【0044】
2つのスタッド351及び352は、直径方向に正反対の位置にあり、伝達レバー1の180°の回転を可能にし、凹部131の同一平面上の壁を支持することによって、毎回伝達レバー1を移動させることができる。第2のスタッドは、第3のアーム13の移動を停止するように隣接している。
【0045】
コンパクト化をより向上させるために、軸A1及び軸A4は平行であり、軸A2及び軸A3は平行であり、これらの軸A2及び軸A3は、軸A1及び軸A4に垂直である。
【0046】
さらに、爪2は、本発明によるラッチの中央部分にある。本発明によれば、このラッチは、本質的に、アクチュエータ3によって動かされる。
トランクを介したバックレストのラッチへのアクセスは実用的ではない。そのため、本発明では、電気制御装置を、簡単にアクセスできる場所に配置することにより、シートを手動で折りたたむために後部シートの客室に戻ることなく、ラッチのロックを解除し、シートを折り畳むことができる。
【0047】
爪は2つの方向に移動させることができる。すなわち、爪が施錠手段4の移動に対して通路を開放する位置に向かう方向と、爪が施錠手段4の回転を阻止する位置に向かう他の方向である。
図4Bを参照すると、爪の時計回りの回転に対して阻止がなされ場合、開放は反時計回りの回転に対してなされる。
【0048】
施錠手段4の移動に関し、開放位置への移動は、ハンドル110に直接作用することによって手動で、又はモータ駆動の方法で行うことができる。従って、モータ駆動のアクチュエータ3を介して遠隔制御することができる。どちらの場合も、移動は伝達レバー1の軸A1を中心とした回転である。
【0049】
ストライカーを解放するために施錠手段4の回転経路を開放した後、爪の戻りは、好ましくは、ストライカーGの保持位置で施錠手段4を阻止する位置に向かってそれをバイアスするように構成された、1つのばね型弾性手段6を使用して行われる。
【0050】
施錠手段4はまた、それをストライカーGの解放位置にバイアスするように構成された、他の弾性手段に関連付けられている。施錠手段のストライカーGの保持位置への戻りは、バックレストが展開位置に戻るときにストライカーG(
図3を参照)によって引き起こされる。
【0051】
ストライカーが施錠手段の凹部41(
図5を参照)に入ると、施錠手段が
図5の時計回りに回転して保持位置に戻り、爪2のバイアスばねが時計回りに回転し、爪2を施錠手段4の反時計回りの回転遮断位置に向かって駆動する。
【0052】
次に、施錠手段4の移動に対する、モータ駆動による伝達レバーの開放位置に向かう動を、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
図6A及び
図6Bは、同じ構成に関するものであり、
図6Bは、駆動スタッド351と352を強調するために、被駆動歯付ホイール35を透明に示している。
【0053】
図6Bを参照すると、モータ31が遠隔制御によって回転するとき、このモータ31は、ウォームスクリュー32を回転・駆動し、次に、駆動歯付ホイール33を回転・駆動する。この駆動歯付ホイール33は、ピニオン34を介して被駆動歯付ホイール35を回転・駆動する。
【0054】
最後に、被駆動歯付ホイール35は、互いに正反対の位置に2つのスタッド351及び352を有し、それらは、半径方向に偏心しており、その回転軸A4に対して軸方向に突出している。
被駆動歯車付ホイール35の回転中、これらのスタッドは、
図6Bに示されるように、各半回転、すなわち180度毎に
当接して第3アーム13
を連続的に駆動
する。
スタッド(351、353)
の1つが伝達レバー1を駆動すると、爪を介して施錠手段を解放するのに必要な変位の終わりに、第2のスタッドが
図7の第3のアーム13の平面端132に
押し付けられる。これにより、被駆動歯車付ホイール35の回転が停止する。
この平面端132は、第1のスタッドが第3のアーム13を駆動するために支持
される端部
の反対
側にある。
これらのスタッド(351、353) は、バックレストがストライカーに再びロックされた後、次の、新しいロック解除サイクル
で伝達レバー1の駆動を実行する位置にある。
【0055】
これは、本発明によるラッチが完全に自律的である理由を説明している。各要素を再配置するために、モータ31又は他のシステムの逆作動によってアクチュエータをリセットする必要はない。
また、これが、スタッドが互いに180°の位置にあり、最初のスタッドが伝達レバーを駆動し、2番目のスタッドが移動終了のストップとして機能する理由である。
【0056】
従って、伝達レバー1に属する第3のアーム13が移動し、その移動を駆動し、次に爪2を移動させて、施錠手段4の動きに対して開放位置に近づけることができる。従って、ハンドル110を使用することなく、シートを電気的に折り畳めるように、シートを解放することができる。
【0057】
本発明によるラッチは、アセンブリを自動車の折りたたみ式シートのフレームに固定してもよいように、製造及び組み立てることのできる構成要素を有する。
【符号の説明】
【0058】
1 伝達レバー
2 爪
3 アクチュエータ
4 施錠手段
6 ばね型弾性手段
11 第1のアーム
110 ハンドル
12 第2のアーム
13 第3のアーム
131 凹部
132 平面端
14 固定手段(フォーク)
141 歯
142 歯
143 2つの歯の間の空間
21 第2の突出部(ボールジョイント)
22 第1の突出部
31 モータ
32 ウォームスクリュー
33 駆動歯付ホイール
34 ピニオン
35 被駆動歯付ホイール
351 スタッド
352 スタッド
353 スタッド
36 モータの軸
A1~A4 軸
B ケース
C フック
E エンベロープ
G ストライカー
P サポート
S 電動ラッチ