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特許7415121自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20240110BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20240110BHJP
【FI】
B60H1/32 613Z
F25B41/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019139689
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021020624
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】侯 剛
(72)【発明者】
【氏名】柴野 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 次郎
(72)【発明者】
【氏名】畑中 進
(72)【発明者】
【氏名】山口 尚志
(72)【発明者】
【氏名】大倉 美恵
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 郁真
(72)【発明者】
【氏名】友井 修作
(72)【発明者】
【氏名】齋田 知秀
(72)【発明者】
【氏名】若松 博之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】栗林 延全
(72)【発明者】
【氏名】新谷 大志
(72)【発明者】
【氏名】山川 賀津人
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228081(JP,A)
【文献】特開2003-025415(JP,A)
【文献】特許第6542447(JP,B2)
【文献】特開2004-197797(JP,A)
【文献】特開平08-312843(JP,A)
【文献】特開2002-200917(JP,A)
【文献】特開2002-285961(JP,A)
【文献】特開2001-082814(JP,A)
【文献】特開2001-289534(JP,A)
【文献】特開2009-023256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
F25B 41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されるエアコンディショナーの構成機器どうしを環状に連結して冷媒を流通させる循環経路を構成して、連結される前記構成機器どうしの間のそれぞれに延在する管体からなり、それぞれの前記管体の合計長さの50%以上が、非金属の補強材が埋設されている樹脂製管体であり、
前記樹脂製管体は、同軸上に配置された樹脂製の内面層と樹脂製の外面層とを有する積層構造であり
前記樹脂製管体として、可撓性の樹脂ホースと非可撓性の樹脂管との両方が使用されていて、
前記可撓性の樹脂ホースでは、前記補強材が前記内面層と前記外面層との間に介在して編組されたブレード層または螺旋状に巻付けられたスパイラル層を形成していて
前記非可撓性の樹脂管では、前記補強材が前記内面層には埋設されずに前記外面層に埋設されていることを特徴とする自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム。
【請求項2】
それぞれの前記管体の合計長さの100%が、前記樹脂製管体である請求項1に記載の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム。
【請求項3】
それぞれの前記管体の使用最高圧力が10MPa以下に設定されている請求項1または2に記載の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム
【請求項4】
前記可撓性の樹脂ホースでは、前記内面層の層厚が2.5mm以下、補強層の層厚が0.5mm以下、前記外面層の層厚が1.5mm以下であり、
前記非可撓性の樹脂管では、前記内面層の層厚が0.5mm以下、前記外面層の層厚が2.0mm以下である請求項1~3のいずれかに記載の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム。
【請求項5】
前記樹脂製管体として、非可撓性の樹脂管が、前記構成機器である蒸発器と圧縮機との連結に使用される請求項1~4のいずれかに記載の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム。
【請求項6】
前記樹脂製管体として、可撓性の樹脂ホースが、前記構成機器である圧縮機と凝縮器の連結に使用される請求項1~5のいずれかに記載の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システムに関し、さらに詳しくは、配管系統全体として適切な耐圧性を確保しつつ適切な軽量化を図ることができる配管システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるエアコンディショナーには、車外の温度変化に関係なく室内スペースの温度を適切な温度に調整して快適な環境を維持することが要求される。このエアコンディショナーは、冷媒を循環させる循環経路を有していて、圧縮機の駆動によって吐出される冷媒を、凝縮器、分離乾燥器(レシーバドライヤ)、膨張バルブおよび蒸発器を経て再び圧縮機に循環させる。蒸発器では熱交換によって室内スペースを暖房または冷房するように構成されている。
【0003】
この循環経路には流通する冷媒による内圧に耐え得る耐圧性が要求されるので、金属管やゴムホースが多用されている。近年、環境への負荷低減やエネルギ効率の向上の観点などから自動車の軽量化が要望されている。これに伴い、循環経路を構成する金属管やゴムホースを軽量化する必要があるが、金属管は単位当たり重量が大きいため、軽量化には不利になる。ゴムホースは冷媒による内圧に対抗するために金属コード等の補強材が埋設されるので軽量化に対しては優位性がない。
【0004】
一方、自動車のエアコン用ホース(エアコンディショナー用ホース)として樹脂ホースが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような樹脂ホースは、金属管やゴムホースに比して軽量化するには有利である。ところで、エアコンは圧縮機、凝縮器、蒸発器を含めてその他の種々の機器から構成されている。しかしながら、従来の提案では、樹脂ホースを具体的にエアコンのどのような構成機器の間に使用するのか明示されていない。配管系統全体に占める樹脂ホースの使用長さによっては、十分な軽量化を得ることができない。それ故、配管系統全体として適切な耐圧性を確保しつつ軽量化を図るには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-155793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、配管系統全体として適切な耐圧性を確保しつつ適切な軽量化を図ることができる自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システムは、自動車に搭載されるエアコンディショナーの構成機器どうしを環状に連結して冷媒を流通させる循環経路を構成して、連結される前記構成機器どうしの間のそれぞれに延在する管体からなり、それぞれの前記管体の合計長さの50%以上が、非金属の補強材が埋設されている樹脂製管体であり、前記樹脂製管体は、同軸上に配置された樹脂製の内面層と樹脂製の外面層とを有する積層構造であり、前記樹脂製管体として、可撓性の樹脂ホースと非可撓性の樹脂管との両方が使用されていて、前記可撓性の樹脂ホースでは、前記補強材が前記内面層と前記外面層との間に介在して編組されたブレード層または螺旋状に巻付けられたスパイラル層を形成していて、前記非可撓性の樹脂管では、前記補強材が前記内面層には埋設されずに前記外面層に埋設されていることを特徴とする自動車に搭載されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷媒が流れる循環経路に非金属の補強材が埋設されている樹脂製管体を使用することで、配管系統全体として、冷媒による内圧に耐え得る適切な耐圧性を確保する。そして、循環経路を構成するそれぞれの管体の合計長さの50%以上を前記樹脂製管体にすることで、配管系統全体として、適切な軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の配管システムを備えたエアコンを平面視で模式的に例示する説明図である。
図2図1の樹脂ホースを一部切り欠いて例示する説明図である。
図3図2の樹脂ホースの横断面図である。
図4図1の樹脂管を一部切り欠いて例示する説明図である。
図5図4の樹脂管の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の自動車に搭載されるエアコンディショナー用配管システムを、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1に例示するように、自動車15に搭載されるエアコンディショナー8(以下、エアコン8という)は、エンジンルームなどの室外スペース17に配置されていて、運転者などが乗車する室内スペース16を適切な温度に調整する。エアコン8は複数の構成機器を有していて、その構成機器と冷媒Cを循環させる循環経路とを備えている。冷媒CとしてはHFC-134a、HFO-1234yなどを例示できる。
【0012】
エアコン8の構成機器として、少なくとも、圧縮機9、凝縮器10、分離乾燥器11、膨張バルブ12および蒸発器13が挙げられる。エアコン8には必要に応じて、その他の構成機器が備わる。
【0013】
この実施形態では凝縮器10は自動車15の前端部に配置されていて、その後方に隣接してファン14aが配置されている。凝縮器10は冷媒Cが流れる流路を有し、この流路は屈曲して長く延在している。蒸発器13は室内スペース16に隣接してその前方に配置されている。蒸発器13も冷媒Cが流れる流路を有し、この流路は屈曲して長く延在している。蒸発器13の前方に隣接してファン14bが配置されている。
【0014】
本発明のエアコンディショナー用配管システム1(以下、配管システム1という)は、冷媒Cの循環経路を構成する複数の樹脂製管体2、5からなっている。この実施形態では、配管システム1が後述する非金属の補強材3fが埋設されている樹脂ホース2(2A、2B、2C)と非金属の補強材6fが埋設されている樹脂管5(5A、5B)とで構成されている。
【0015】
圧縮機9と凝縮器10との間には樹脂ホース2B、凝縮器10と分離乾燥器11との間には樹脂ホース2C、分離乾燥器11と膨張バルブ12との間には樹脂管5A、膨張バルブ12と蒸発器13との間には樹脂管5Bが、固定部材4を介して連結されている。蒸発器13と圧縮機9との間には樹脂ホース2Aが固定部材7を介して連結されている。このようにエアコン8の構成機器どうしの間のそれぞれに、樹脂ホース2または樹脂管5が延在することで、これら構成機器どうしを環状に連結して冷媒Cを流通させる循環経路が形成される。
【0016】
図2図3に例示するように樹脂ホース2は、非金属の補強材3fが埋設されている可撓性の樹脂製管体である。具体的には、内面層3a、補強層3b、外面層3dが内周側から順に同軸上に積層されていて樹脂ホース2が構成されている。この実施形態では、隣り合って積層される補強層3bどうしの間に中間層3cが介在している。ホース2には必要に応じてその他の部材(層)が設けられる。尚、本発明の樹脂ホース2とは、すべての構成部材が樹脂製である場合に限らず、構成部材の一部がゴム製である場合も含まれる。樹脂ホース2では、隣接する層どうしが接合されて一体化している。
【0017】
内面層3aは最内周側に位置していて冷媒Cの流路を形成する。内面層3aには冷媒Cが直接接触するので、冷媒Cに対する耐久性等を考慮して適切な樹脂が採用され、例えばポリアミド(PA)とゴム系材料のブレンド材が用いられる。冷媒CとしてHFO-1234yが使用される場合には、内面層3aにナイロン系樹脂と臭素系イソブチレン-パラメチルスチレン共重合体とのブレンド材を用いることで、この冷媒Cに対する非透過性を向上させることができる。内面層3aの層厚は例えば2.5mm以下にする。
【0018】
補強層3bは樹脂繊維や天然繊維等の補強材3fにより形成されている。この実施形態では補強層3bが、補強材3fが編組されたブレード層になっているが、補強材3fを螺旋状に巻き付けたスパイラル層の場合もある。補強材3fの材質や補強層3bの積層数は樹脂ホース2に要求される耐圧性等を考慮して決定される。補強層3bの層厚は例えば0.5mm以下にする。
【0019】
外面層3dには耐外傷性や耐候性等を考慮して適切な樹脂が採用される。外面層3dには例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TEEE)が用いられる。外面層3dの層厚は例えば1.5mm以下にする。
【0020】
図4図5に例示するように樹脂管5は、非金属の補強材6fが埋設されている非可撓性の樹脂製管体である。具体的には、内面層6a、外面層6bが順に同軸上に積層されていて樹脂管5が構成されている。樹脂管5には必要に応じてその他の部材(層)が設けられる。樹脂管5は、射出成形などによって製造され、内面層6aと外面層6bとが接合されて一体化している。
【0021】
内面層6aは冷媒Cの流路を形成する。内面層6aには冷媒Cが直接接触するので、冷媒Cに対する耐久性等を考慮して適切な樹脂が採用され、例えばポリアミドが用いられる。冷媒CとしてHFO-1234yが使用される場合には、内面層6aにナイロン系樹脂と臭素系イソブチレン-パラメチルスチレン共重合体とのブレンド材を用いることで、この冷媒Cに対する非透過性を向上させることができる。内面層6aの層厚は例えば0.5mm以下にする。
【0022】
外面層6bには耐外傷性や耐候性等を考慮して適切な樹脂が採用される。外面層6bには例えばポリアミドが用いられる。外面層6bの層厚は例えば2.0mm以下にする。外面層6bと内面層6aとは同種(同系統)の樹脂を使用することで両者をより強固に一体化させることができる。
【0023】
補強材6fは、内面層6aには埋設されずに外面層6bに埋設されている。補強材6fの材質や配合量は樹脂管5に要求される耐圧性等を考慮して決定される。補強材6fには例えばガラス繊維やカーボン繊維等が用いられる。
【0024】
次に、室内スペース16を冷房する場合を例にしてエアコン8の稼働状態を説明する。
【0025】
冷媒Cは、いわゆるコンプレッサである圧縮機9を駆動源にして、配管システム1を通じてエアコン8のそれぞれの構成機器に順に流入して循環する。圧縮機9には樹脂ホース2Aを通じて低温低圧のガス状態の冷媒Cが流入する。流入した冷媒Cは、圧縮機9の駆動によって加圧されて高温高圧のガス状になって、圧縮機9から樹脂ホース2Bに吐出される。
【0026】
次いで、冷媒Cは樹脂ホース2Bを通じて凝縮器10に流入する。冷媒Cは、ファン14aによる風と自動車15の外気を受ける凝縮器10の流路を通過することで冷却される。冷却されて低温高圧の液状になった冷媒Cは、凝縮器10から樹脂ホース2Cに流出される。
【0027】
次いで、冷媒Cは樹脂ホース2Cを通じて分離乾燥器11に流入する。分離乾燥器11では冷媒Cの水分の一部が乾燥剤によって吸収される。これにより、湿度が低下した低温高圧の液状の冷媒Cは樹脂管5Aに流出される。
【0028】
次いで、冷媒Cは樹脂管5Aを通じて膨張バルブ12に流入する。膨張バルブ12では冷媒Cが膨張される。膨張された冷媒Cは、低温低圧の霧状になって膨張バルブ12から樹脂管5Bに流出される。
【0029】
次いで、冷媒Cは樹脂管5Bを通じて蒸発器13に流入する。冷媒Cは蒸発器13の流路を通過するとともに、ファン14bによる風を受ける蒸発器13で熱交換される。これにより、室内スペース16には冷気が導入されて室内スペース16は適度な温度に調整される。熱交換を経た冷媒Cは、低温低圧のガス状になって蒸発器13から樹脂ホース2Aに流出され、再び圧縮機9に流入する。このように冷媒Cは、配管システム1を通じてエアコン8の構成機器の間を循環する。
【0030】
この配管システム1は、エアコン8の構成機器どうしを連結する個々の管体だけでなく、配管系統全体にも注目して創作されている。そこで、配管システム1では、循環経路を構成する管体の合計長さの50%以上に、樹脂製管体(樹脂ホース2と樹脂管5の少なくとも一方)が採用される。したがって、配管システム1は、樹脂製管体2、5の他に、循環する冷媒Cによる内圧に耐え得る金属管やゴムホース等が含まれる場合もある。ただし、配管システム1では、配管系統全体の50%以上の長さが、この樹脂製管体2、5で占められる。この樹脂製管体2、5を、循環経路を構成する管体の合計長さの90%以上にすることが好ましく、100%にすることがより好ましい。
【0031】
非金属の補強材3f、6fが埋設されている樹脂製管体2、5を用いることで、配管系統全体として、冷媒Cによる内圧に耐え得る適切な耐圧性を確保できる。樹脂製管体2、5の使用最高圧力は例えば3MPa以上10MPa以下である。また、循環経路を構成するそれぞれの管体の合計長さの50%以上を樹脂製管体2、5にすることで、配管系統全体として、適切な軽量化を図ることができる。
【0032】
上述したように配管システム1には同じ冷媒Cが流れるが、それぞれの管体を流れる冷媒Cの性状(温度、圧力など)は、連結される構成機器によって異なる。そのため、それぞれの管体は、流れる冷媒Cの性状に適した仕様にする制約がある。また、室外スペース17でのエアコン8の構成機器の配置は予め決定されているので、それぞれの管体の取り回し(形状および長さ)には制約がある。
【0033】
配管システム1は、この2つの制約の下、循環経路を構成するそれぞれの管体の合計長さの50%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは100%を上述した樹脂製管体2、5にする。即ち、この2つの制約の下で、循環経路を構成するそれぞれの管体の合計長さにおける上述した樹脂製管体2、5の長さの割合を最大限にする。その結果、この2つの制約の下で、配管システム1を最大限に軽量化する。配管システム1には、樹脂ホース2のみを使用することも、樹脂管5のみを使用することも可能であるが、両方を混在させて使用すると、循環する過程で変化する冷媒Cの性状に対応し易くなる。
【0034】
蒸発器13と圧縮機9とは樹脂管5によって連結することもできるが、この実施形態のように樹脂ホース2によって連結するとよい。蒸発器13と圧縮機9との間には低温低圧のガス状の冷媒Cが流れるので、樹脂ホース2を用いるとアルミニウム配管に比して熱伝導性が低下するので熱効率を向上させることができると同時に、アルミニウム配管に比して結露が発生し難くなるので周辺部品を保護するには有利になる。また、圧縮機9の振動が減衰されずに、自動車15の室内スペース16に直接的に伝わることを防止するためにも樹脂ホース2を連結することが望ましい。圧縮機9と凝縮器10との間には、高温高圧のガス状の冷媒Cが流れるので、この実施形態のように圧縮機9と凝縮器10とを樹脂ホース2によって連結することで、圧縮機9の振動を抑えるには有利になる。
【0035】
樹脂ホース2は樹脂管5に対して柔軟性および耐減衰性が優れているため、狭いスペースであっても配置し易く、小さく曲げることもできるので、このような場所には樹脂ホース2を使用して連結することが望ましい。樹脂管5は樹脂ホース2に対して耐低温性能が優れている。そのため、配管システム1において樹脂ホース2を用いる場所、樹脂管5を用いる場所は、耐減衰性、耐低温性、耐高温性、柔軟性などを考慮して決定するとよい。
【0036】
樹脂は熱伝導性が低いので、従来の金属管やゴムホースを樹脂製管体2、5に置き換えるこの配管システム1によれば、配管系統全体から放出される熱を抑えるには有利になる。これに伴い、室外スペース17の内部温度の過熱を防ぎ易くなる。また、樹脂製管体2、5の内部と外部との熱の出入りが抑制されるのでエアコン8の熱効率向上にも寄与する。
【符号の説明】
【0037】
1 配管システム
2(2A、2B、2C) 樹脂ホース(樹脂製管体)
3a 内面層
3b 補強層
3c 中間層
3d 外面層
3f 補強材
4 固定部材
5(5A、5B) 樹脂管(樹脂製管体)
6a 内面層
6b 外面層
6f 補強材
7 固定部材
8 エアコンディショナー(エアコン)
9 圧縮機
10 凝縮器
11 分離乾燥器
12 膨張バルブ
13 蒸発器
14a、14b ファン
15 自動車
16 室内スペース
17 室外スペース
C 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5