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特許7415126モータ支持部材及びヒートポンプユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】モータ支持部材及びヒートポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20240110BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
   F24F 1/46 20110101ALI20240110BHJP
【FI】
F24F1/22
F28F9/00 D
F24F1/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019144673
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021025719
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】森 俊寛
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘毅
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090086(JP,A)
【文献】実開平02-114836(JP,U)
【文献】特開2010-013181(JP,A)
【文献】特開2008-162624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/22
F28F 9/00
F24F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(14a)と熱交換器(13)を有するヒートポンプユニット(10)に搭載されるモータ支持部材(50)であって、
前記モータを固定するモータ固定部材(51)と、
前記モータ固定部材を支持する支柱(52)と、
前記支柱の端部(52a)に設けられ、前記熱交換器と係合する係合部材(53)と、
を備え、
前記係合部材は、
板状部(62)と、
前記板状部の面(xy)に対して交差する方向(z)に前記板状部の端部から延びる基本係合部(61)と、
を有し、
前記板状部は、
第1折れ線(63b)を中心として回転するように折り曲げ可能な第1係合部(63)と、
第2折れ線(64b)を中心として回転するように折り曲げ可能な第2係合部(64)と、
前記第1係合部の周囲に設けられる第1切込み(63a)と、
前記第2係合部の周囲に設けられる第2切込み(64a)と、
を有し、
前記第2折れ線と前記基本係合部の間隔(D2)は、前記第1折れ線と前記基本係合部の間隔(D1)より大きく、
前記第1切込みと、前記第2切込みとは、連続することによって、共通切込み(S)を形成しており、
前記共通切込みは、第1区画(S1)、前記第1区画に続く第2区画(S2)、前記第2区画に続く第3区画(S3)、前記第3区画に続く第4区画(S4)、前記第4区画に続く第5区画(S5)、前記第5区画に続く第6区画(S6)、前記第6区画に続く第7区画(S7)、を有し、
前記第2区画、前記第4区画、前記第6区画は、同一の方向(y)に延び、
前記第1区画の一端及び前記第7区画の一端は、前記第2折れ線上に位置し、
前記第3区画の一端及び前記第5区画の一端は、前記第1折れ線上に位置する、
モータ支持部材(50)。
【請求項2】
前記第1折れ線は、前記第1係合部における前記基本係合部の側に位置し、
前記第2折れ線は、前記第2係合部における前記基本係合部の反対側に位置する、
請求項1に記載のモータ支持部材。
【請求項3】
前記第1切込みの一部が、前記第2切込みの一部である、
請求項1又は請求項2に記載のモータ支持部材。
【請求項4】
記第1区画、前記第3区画、前記第5区画、前記第7区画は、前記同一の方向(y)に直交する方向(x)に延びる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ支持部材。
【請求項5】
前記共通切込みの少なくとも一部は曲線形状を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ支持部材。
【請求項6】
前記第2係合部の面積(Q2)は、前記第1係合部の面積(Q1)よりも大きい、
請求項1からのいずれか1項に記載のモータ支持部材。
【請求項7】
前記係合部材は、
第3折れ線(65b)を中心として回転するように折り曲げ可能な第3係合部(65)と、
前記第3係合部の周囲に設けられる第3切込み(65a)と、
をさらに有し、
前記第3折れ線と前記基本係合部の間隔(D3)は、前記第2折れ線と前記基本係合部の間隔(D2)より大きい、
請求項1からのいずれか1項に記載のモータ支持部材。
【請求項8】
前記第3係合部の面積(Q3)は、前記第1係合部の面積(Q1)及び前記第2係合部の面積(Q2)のいずれよりも大きい、
請求項に記載のモータ支持部材。
【請求項9】
前記係合部材は、
第3折れ線(65b)を中心として回転するように折り曲げ可能な第3係合部(65)と、
前記第3係合部の周囲に設けられる第3切込み(65a)と、
をさらに有し、
前記第3折れ線と前記基本係合部の間隔(D3)は、前記第2折れ線と前記基本係合部の間隔(D2)より大きく、
前記第3係合部の面積(Q3)は、前記第1係合部の前記面積及び前記第2係合部の前記面積のいずれよりも大きい、
請求項7に記載のモータ支持部材。
【請求項10】
前記第3切込みは、前記第1切込み及び前記第2切込みのいずれからも分離されている、
請求項からのいずれか1項に記載のモータ支持部材。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のモータ支持部材(50)と、
前記モータ(14a)と、
前記熱交換器(13)と、
を備える、ヒートポンプユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ファンモータを支持するモータ支持部材、及び、ヒートポンプ装置に含まれるヒートポンプユニット。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2007-322041号公報)は空気調和機の室外機を開示する。室外機は、熱交換器と、ファンと、ファンを駆動するファンモータと、そのファンモータを支持するファンモータ支持台を有する。ファンモータ支持台は、熱交換器に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
室外機の様々な機種について部品を共用化することにより、ヒートポンプ装置のコストダウンを実現することができる。様々な機種においては、熱交換器のサイズも異なる。熱交換器に固定されるファンモータ支持台についても、熱交換器のサイズ如何に関わらず共通の設計が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点のモータ支持部材は、熱源ユニットに搭載される。熱源ユニットは、モータと熱交換器を有する。モータ支持部材は、モータ固定部材と、支柱と、係合部材と、を備える。モータ固定部材は、モータを固定する。支柱は、モータ固定部材を支持する。係合部材は、支柱の端部に設けられ、熱交換器と係合する。係合部材は、板状部と、基本係合部と、を有する。基本係合部は、板状部の面に対して交差する方向に板状部の端部から延びる。板状部は、第1係合部と、第2係合部と、第1切込みと、第2切込みと、を有する。第1係合部は、第1折れ線を中心として回転するように折り曲げ可能である。第2係合部は、第2折れ線を中心として回転するように折り曲げ可能である。第1切込みは、第1係合部の周囲に設けられる。第2切込みは、第2係合部の周囲に設けられる。第2折れ線と基本係合部の間隔は、第1折れ線と基本係合部の間隔より大きい。
【0005】
この構成によれば、第1折れ線と基本係合部の間隔に相当する幅を有する熱交換器と、第2折れ線と基本係合部の間隔に相当する幅を有する熱交換器との両方に対し、共通の係合部材が使用できる。したがって、ヒートポンプ装置の複数の機種に対して共通の部品を使用できるので、ヒートポンプ装置のコストダウンが実現できる。
【0006】
第2観点のモータ支持部材は、第1観点のモータ支持部材であって、第1折れ線が、第1係合部における基本係合部の側に位置する。第2折れ線は、第2係合部における基本係合部の反対側に位置する。
【0007】
この構成によれば、第1係合部の回転方向と第2係合部の折り曲げ時の回転方向は反対である。
【0008】
第3観点のモータ支持部材は、第1観点又は第2観点のモータ支持部材であって、第1切込みの一部が、第2切込みの一部である。
【0009】
この構成によれば、第1切込みと第2切込みが一部を共有する。
【0010】
第4観点のモータ支持部材は、第1観点から第3観点のいずれか1つのモータ支持部材であって、第1切込みと、第2切込みとが、連続することによって、共通切込みを形成している。
【0011】
この構成によれば、共通切込みが形成する形状の折り方を変えることによって、同一の係合部材が複数の熱交換器に対応する。
【0012】
第5観点のモータ支持部材は、第4観点のモータ支持部材であって、共通切込みが、第1区画、第1区画に続く第2区画、第2区画に続く第3区画、第3区画に続く第4区画、第4区画に続く第5区画、第5区画に続く第6区画、第6区画に続く第7区画、を有する。第1区画、第3区画、第5区画、第7区画は第1方向に延びる。第2区画、第4区画、第6区画は、第1方向に直交する第2方向に延びる。
【0013】
この構成によれば、共通切込みは矩形波形状を有することにより、第1係合部と第2係合部の両方を形成する。
【0014】
第6観点のモータ支持部材は、第4観点のモータ支持部材であって、共通切込みの少なくとも一部は曲線形状を有する。
【0015】
この構成によれば、共通切込みが滑らかであるので、第1係合部又は第2係合部を折り曲げる作業者が怪我をしにくい。
【0016】
第7観点のモータ支持部材は、第1観点から第6観点のいずれか1つのモータ支持部材であって、第2係合部の面積が、第1係合部の面積よりも大きい。
【0017】
この構成によれば、係合部材は、狭い幅を有する熱交換器に対して、小さな面積を有する第1係合部で接触する一方、広い幅を有する熱交換器に対して、大きな面積を有する第2係合部で接触する。
【0018】
第8観点のモータ支持部材は、第1観点から第6観点のいずれか1つのモータ支持部材であって、係合部材が、第3係合部と、第3切込みと、をさらに有する。第3係合部は、第3折れ線を中心として回転するように折り曲げ可能である。第3切込みは、第3係合部の周囲に設けられる。第3折れ線と基本係合部の間隔は、第2折れ線と基本係合部の間隔より大きい。
【0019】
この構成によれば、第3折れ線と基本係合部の間隔に相当する幅を有する熱交換器に対しても、共通の係合部材が使用できる。したがって、ヒートポンプ装置の複数の機種に対して共通の部品を使用できるので、ヒートポンプ装置のコストダウンが実現できる。
【0020】
第9観点のモータ支持部材は、第8観点のモータ支持部材であって、第3係合部の面積は、第1係合部の面積及び第2係合部の面積のいずれよりも大きい。
【0021】
この構成によれば、係合部材は、さらに広い幅を有する熱交換器に対して、さらに大きな面積を有する第3係合部で接触する。
【0022】
第10観点のモータ支持部材は、第7観点のモータ支持部材であって、係合部材が、第3係合部と、第3切込みと、をさらに有する。第3係合部は、第3折れ線を中心として回転するように折り曲げ可能である。第3切込みは、第3係合部の周囲に設けられる。第3折れ線と基本係合部の間隔は、第2折れ線と基本係合部の間隔より大きい。第3係合部の面積は、第1係合部の面積及び第2係合部の面積のいずれよりも大きい。
【0023】
この構成によれば、係合部材は、さらに広い幅を有する熱交換器に対して、さらに大きな面積を有する第3係合部で接触する。
【0024】
第11観点のモータ支持部材は、第8観点から第10観点のいずれか1つのモータ支持部材であって、第3切込みが、第1切込み及び第2切込みのいずれからも分離されている。
【0025】
この構成によれば、第3係合部は、第1係合部及び第2係合部から独立している。
【0026】
第12観点の熱源ユニットは、第1観点から第11観点のいずれか1つのモータ支持部材と、モータと、熱交換器と、を備える。
【0027】
この構成によれば、ヒートポンプユニットの複数の機種に対して係合部材が共用化できるので、ヒートポンプユニットのコストダウンが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ヒートポンプ装置100の回路図である。
図2】熱源熱交換器13の概略側面図である。
図3A】1列配置の熱源熱交換器13の概略平面図である。
図3B】2列配置の熱源熱交換器13の概略平面図である。
図3C】3列配置の熱源熱交換器13の概略平面図である。
図4】熱源ユニット10の一部の部品の斜視図である。
図5】係合部材53の斜視図である。
図6】係合部材53の斜視図である。
図7図3Aの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53を示す斜視図である。
図8図3Bの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53を示す斜視図である。
図9図3Cの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53を示す斜視図である。
図10】変形例Aに係る係合部材53Aの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施形態>
(1)全体構成
図1は、ヒートポンプ装置100の回路図である。ヒートポンプ装置100は、空気調和機として構成されている。ヒートポンプ装置100は、熱源ユニット10、利用ユニット20、連絡配管30を有する。後述するように、熱源ユニット10は、モータ支持部材50を有する。
【0030】
(2)詳細構成
(2-1)熱源ユニット10
熱源ユニット10は、熱源として機能するヒートポンプユニットである。熱源ユニット10は、圧縮機11、四路切換弁12、熱源熱交換器13、熱源ファン14、モータ支持部材50、膨張弁15、液閉鎖弁17、ガス閉鎖弁18、熱源制御部19を有する。さらに、熱源ユニット10は、複数の内部配管を有する。
【0031】
(2-1-1)圧縮機11
圧縮機11は、吸入した低圧ガス冷媒を圧縮することによって、高圧ガス冷媒を作る。圧縮機11は圧縮機モータ11aを有する。圧縮機モータ11aは、圧縮に必要な動力を発生する。
【0032】
(2-1-2)四路切換弁12
四路切換弁12は、内部配管の接続を切り替える。ヒートポンプ装置100が冷熱利用運転を行う場合には、四路切換弁12は、図1の実線で示す接続を実現する。ヒートポンプ装置100が温熱利用運転を行う場合には、四路切換弁12は、図1の破線で示す接続を実現する。
【0033】
(2-1-3)熱源熱交換器13
熱源熱交換器13は、冷媒と空気の間で熱交換を行う。冷熱利用運転の場合には、熱源熱交換器13は、放熱器(又は凝縮器)として機能する。温熱利用運転の場合には、熱源熱交換器13は、吸熱器(又は蒸発器)として機能する。
【0034】
(2-1-4) 熱源ファン14及びモータ支持部材50、
熱源ファン14は、熱源熱交換器13による熱交換を促進する。熱源ファン14は、熱源ファンモータ14aを有する。熱源ファンモータ14aは、空気を動かすのに必要な動力を発生する。熱源ファンモータ14aは、モータ支持部材50に支持される。
【0035】
(2-1-5)膨張弁15
膨張弁15は、開度調整可能な弁である。膨張弁15は、冷媒を減圧させる。さらに、膨張弁15は、冷媒の流量を制御する。
【0036】
(2-1-6)液閉鎖弁17
液閉鎖弁17は、冷媒流路を遮断することができる。液閉鎖弁17は、例えばヒートポンプ装置100の設置などにおいて、設置作業者によって閉じられる。
【0037】
(2-1-7)ガス閉鎖弁18
ガス閉鎖弁18は、冷媒流路を遮断することができる。ガス閉鎖弁18は、例えばヒートポンプ装置100の設置などにおいて、設置作業者によって閉じられる。
【0038】
(2-1-8)内部配管
内部配管は、吐出管16a、ガス側管16b、液側管16c、液側管16d、ガス側管16e、吸入管16fを含む。
【0039】
吐出管16aは、圧縮機11の吐出口と四路切換弁12を連絡する。ガス側管16bは、四路切換弁12と熱源熱交換器13を連絡する。液側管16cは、熱源熱交換器13と膨張弁15を連絡する。液側管16dは、膨張弁15と液閉鎖弁17を連絡する。ガス側管16eは、ガス閉鎖弁18と四路切換弁12を連絡する。吸入管16fは、四路切換弁12と圧縮機11の吸入口を連絡する。
【0040】
(2-1-9)熱源制御部19
熱源制御部19は、マイクロコンピュータおよびメモリを有する。熱源制御部19は、圧縮機モータ11a、四路切換弁12、熱源ファンモータ14a、膨張弁15などを制御する。メモリは、これらの部品を制御するためのソフトウェアを記憶する。
【0041】
(2-2)利用ユニット20
利用ユニット20は、利用者に冷熱又は温熱を提供するヒートポンプユニットである。利用ユニット20は、利用熱交換器22、利用ファン23、利用制御部29を有する。さらに、利用ユニット20は、複数の内部配管を有する。
【0042】
(2-2-1)利用熱交換器22
利用熱交換器22は、冷媒と空気との間で熱交換を行う。冷熱利用運転の場合には、利用熱交換器22は、吸熱器(又は蒸発器)として機能する。温熱利用運転の場合には、利用熱交換器22は、放熱器(又は凝縮器)として機能する。
【0043】
(2-2-2)利用ファン23
利用ファン23は、利用熱交換器22による熱交換を促進する。利用ファン23は、利用ファンモータ23aを有する。利用ファンモータ23aは、空気を動かすのに必要な動力を発生する。
【0044】
(2-2-3)内部配管
内部配管は、液側管26a、ガス側管26bを含む。液側管26aは、後述する液連絡配管31と利用熱交換器22を連絡する。ガス側管26bは、利用熱交換器22と後述するガス連絡配管32を連絡する。
【0045】
(2-2-4)利用制御部29
利用制御部29は、マイクロコンピュータおよびメモリを有する。利用制御部29は、利用ファンモータ23aなどを制御する。メモリは、これらの部品を制御するためのソフトウェアを記憶する。
【0046】
利用制御部29は、通信線Lを介して、熱源制御部19とデータ及びコマンドを授受する。
【0047】
(2-3)連絡配管30
連絡配管30は、熱源ユニット10と利用ユニット20の間を移動する冷媒を案内する。連絡配管30は、液連絡配管31と、ガス連絡配管32とを有する。
【0048】
(2-3-1)液連絡配管31
液連絡配管31は、主に液冷媒又は気液二相冷媒を案内する。液連絡配管31は、液閉鎖弁17と液側管26aを連絡する。
【0049】
(2-3-2)ガス連絡配管32
ガス連絡配管32は、主にガス冷媒を案内する。ガス連絡配管32は、ガス閉鎖弁18とガス側管26bを連絡する。
【0050】
(3)全体動作
以下の説明において、冷媒は、熱源熱交換器13及び利用熱交換器22において、凝縮又は蒸発などの相転移を伴う変化を生じるものとして扱う。しかし、代替的に、冷媒は、熱源熱交換器13及び利用熱交換器22において、必ずしも相転移を生じなくともよい。
【0051】
(3-1)冷熱利用運転
冷熱利用運転は、利用者に冷熱を提供する。冷熱利用運転は、空気調和機においては冷房運転である。冷熱利用運転の場合、冷媒は図1の矢印Cの方向に循環する。圧縮機11は、高圧ガス冷媒を図1の矢印Dの方向に吐出する。その後、高圧ガス冷媒は、吐出管16a、四路切換弁12、ガス側管16bを経由して、熱源熱交換器13に到達する。熱源熱交換器13において、高圧ガス冷媒は凝縮し、高圧液冷媒に変化する。その後、高圧液冷媒は、液側管16cを経由して、膨張弁15に到達する。膨張弁15において、高圧液冷媒は減圧され、低圧気液二相冷媒に変化する。その後、低圧気液二相冷媒は、液側管16d、液閉鎖弁17、液連絡配管31、液側管26aを経由して、利用熱交換器22へ到達する。利用熱交換器22において、低圧気液二相冷媒は蒸発し、低圧ガス冷媒に変化する。この過程で、利用者に冷熱を提供する。その後、低圧ガス冷媒は、ガス側管26b、ガス連絡配管32、ガス閉鎖弁18、ガス側管16e、四路切換弁12、吸入管16fを経由して、圧縮機11へ到達する。その後、圧縮機11は、低圧ガス冷媒を吸入する。
【0052】
(3-2)温熱利用運転
温熱利用運転は、利用者に温熱を提供する。温熱利用運転は、空気調和機においては暖房運転である。温熱利用運転の場合、冷媒は図1の矢印Hの方向に循環する。圧縮機11は、高圧ガス冷媒を図1の矢印Dの方向に吐出する。その後、高圧ガス冷媒は、吐出管16a、四路切換弁12、ガス側管16e、ガス閉鎖弁18、ガス連絡配管32、ガス側管26bを経由して、利用熱交換器22に到達する。利用熱交換器22において、高圧ガス冷媒は凝縮し、高圧液冷媒に変化する。この過程で、利用者に温熱を提供する。その後、高圧液冷媒は、液側管26a、液連絡配管31、液閉鎖弁17、液側管16dを経由して、膨張弁15へ到達する。膨張弁15において、高圧液冷媒は減圧され、低圧気液二相冷媒に変化する。その後、低圧気液二相冷媒は、液側管16cを経由して、熱源熱交換器13へ到達する。熱源熱交換器13において、低圧気液二相冷媒は蒸発し、低圧ガス冷媒に変化する。その後、低圧ガス冷媒は、ガス側管16b、四路切換弁12、吸入管16fを経由して、圧縮機11へ到達する。その後、圧縮機11は、低圧ガス冷媒を吸入する。
【0053】
(4)熱源ユニット10の詳細構成
(4-1)熱源熱交換器13
図2は熱源熱交換器13の構成を示す概略側面図である。熱源熱交換器13は、ガス側ヘッダ13a、液側ヘッダ13b、複数の伝熱管13c、及び複数のフィン13dを有する。
【0054】
ガス側ヘッダ13aは、ガス側管16bに接続されている。液側ヘッダ13bは、液側管16cに接続されている。各伝熱管13cは、ガス側ヘッダ13aと液側ヘッダ13bを接続する。多数のフィン13dが伝熱管13cに設置され、熱交換の効率を向上させている。伝熱管13cは、複数の冷媒流路を有する扁平管であってもよい。フィン13dは、扁平管を嵌合させるための切欠きを有していてもよい。
【0055】
図3A図3B図3Cは、熱源熱交換器13の概略平面図である。図3A図3B図3Cは、それぞれ異なる機種の熱源ユニット10に搭載される熱源熱交換器13を示す。
【0056】
図3Aの熱源熱交換器13には、フィン13dが取り付けられた伝熱管13cが1列だけ配置されている。図3Bの熱源熱交換器13には、フィン13dが取り付けられた伝熱管13cが2列配置されている。図3Cの熱源熱交換器13には、フィン13dが取り付けられた伝熱管13cが3列配置されている。図3Aの熱源熱交換器13の幅は、図3Bの熱源熱交換器13の幅よりも小さい。図3Cの熱源熱交換器13の幅は、図3Bの熱源熱交換器13の幅よりも大きい。
【0057】
(4-2)ケーシング40
図4は、熱源ユニット10の一部の部品の斜視図である。
【0058】
熱源ユニット10は、ケーシング40を有する。ケーシング40は、底板41と仕切板42を含む。底板41はケーシング40の底部を構成する。底板41には、熱源ユニット10の各種構成部品が載置される。仕切板42は、ケーシング40の内部空間を機械室43と熱交換室44に分割する。機械室43には、圧縮機11、四路切換弁12、膨張弁15、液閉鎖弁17、ガス閉鎖弁18、熱源制御部19が搭載される。熱交換室44には、熱源熱交換器13、熱源ファン14、熱源ファンモータ14a、モータ支持部材50が搭載される。
【0059】
(4-3)モータ支持部材50
図4に示されるように、モータ支持部材50は、モータ固定部材51、支柱52、係合部材53、を有する。
【0060】
モータ固定部材51は、熱源ファンモータ14aを固定する。支柱52は、底板41に立てられている。支柱52は、モータ固定部材51を支持する。係合部材53は、支柱52の端部52aに設けられている。係合部材53は、熱源熱交換器13と係合する。
【0061】
(5)係合部材53の詳細構成
(5-1)形状
図5は係合部材53の斜視図である。係合部材53は、板状部62と、基本係合部61と、支柱固定部66とを有する。板状部62が構成する面は、図中の第1方向xと第2方向yに広がるxy面に平行である。第1方向xと第2方向yとは交差する。xy面は典型的には水平面である。基本係合部61は、xy面に対して交差する第3方向zに板状部62の端部から延びる。第3方向zは典型的には鉛直方向である。支柱固定部66は、支柱52の端部52aに固定される。
【0062】
板状部62は、1つの第1係合部63、2つの第2係合部64、1つの第3係合部65を有する。さらに、板状部62は、第1切込み63a、第2切込み64a、第3切込み65aを有する。第1切込み63aは、第1係合部63の周囲に設けられる。第2切込み64aは、第2係合部64の周囲に設けられる。第3切込み65aは、第3係合部65の周囲に設けられる。
【0063】
第1切込み63aと、第2切込み64aとは、連続することによって、共通切込みSを形成している。前記共通切込みは、順に続く第1区画S1、第2区画S2、第3区画S3、第4区画S4、第5区画S5、第6区画S6、第7区画S7、を有する。第1区画S1、第3区画S3、第5区画S5、第7区画S7は第1方向xに延びる。第2区画S2、第4区画S4、第6区画S6は、第2方向yに延びる。第1区画S1、第2区画S2、第3区画S3は、1つの第2切込み64aを構成する。第3区画S3、第4区画S4、第5区画S5は、第1切込み63aを構成する。第5区画S5、第6区画S6、第7区画S7は、1つの第2切込み64aを構成する。第1切込み63aの一部(第3区画S3及び第5区画S5)が、第2切込み64aの一部である。
【0064】
第3切込み65aは、第1切込み63a及び第2切込み64aのいずれからも分離されている。
【0065】
図6に示すように、第1係合部63は面積Q1を有する。2つの第2係合部64の面積の総和は面積Q2である。第3係合部65は面積Q3を有する。第2係合部64の面積Q2は、第1係合部63の面積Q1よりも大きい。第3係合部65の面積Q3は、第1係合部63の面積Q1及び第2係合部64の面積Q2のいずれよりも大きい。
【0066】
(5-2)設置
図7は、図3Aの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53である。熱源熱交換器13には、平面視において1列の伝熱管13cが配置されている。係合部材53の第1係合部63は、第1折れ線63bを中心として回転するように折り曲げられている。基本係合部61と第1係合部63が熱源熱交換器13を挟むことによって、係合部材53は熱源熱交換器13に係合する。基本係合部61と第1係合部63は、間隔D1の分だけ互いに離間している。第1折れ線63bは、第1係合部63における基本係合部61の側に位置する。
【0067】
図8は、図3Bの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53である。熱源熱交換器13には、平面視において2列の伝熱管13cが配置されている。係合部材53の第2係合部64は、第2折れ線64bを中心として回転するように折り曲げられている。基本係合部61と第2係合部64が熱源熱交換器13を挟むことによって、係合部材53は熱源熱交換器13に係合する。基本係合部61と第2係合部64は、間隔D2の分だけ互いに離間している。第2折れ線64bは、第2係合部64における基本係合部61の反対側に位置する。
【0068】
第2折れ線64bと基本係合部61の間隔D2は、第1折れ線63bと基本係合部61の間隔D1より大きい。
【0069】
図9は、図3Cの熱源熱交換器13を搭載する熱源ユニット10に設置される係合部材53である。熱源熱交換器13には、平面視において3列の伝熱管13cが配置されている。係合部材53の第3係合部65は、第3折れ線65bを中心として回転するように折り曲げられている。基本係合部61と第3係合部65が熱源熱交換器13を挟むことによって、係合部材53は熱源熱交換器13に係合する。基本係合部61と第3係合部65は、間隔D3の分だけ互いに離間している。第3折れ線65bは、第3係合部65における基本係合部61の側に位置する。
【0070】
第3折れ線65bと基本係合部61の間隔D3は、第2折れ線64bと基本係合部61の間隔D2より大きい。
【0071】
(6)特徴
(6-1)
第1折れ線63bと基本係合部61の間隔D1に相当する幅を有する熱源熱交換器13と、第2折れ線64bと基本係合部61の間隔D2に相当する幅を有する熱源熱交換器13と、第3折れ線65bと基本係合部61の間隔D3に相当する幅を有する熱源熱交換器13と、の全てに対し、共通の係合部材53が使用できる。したがって、ヒートポンプ装置100の複数の機種に対して共通の部品を使用できるので、ヒートポンプ装置100及び熱源ユニット10のコストダウンが実現できる。
【0072】
(6-2)
第1係合部63の回転方向と第2係合部64の折り曲げ時の回転方向は反対である。したがって、共通切込みSを形成しやすい。さらに、異なる折れ線(第1折れ線63b及び第2折れ線64b)を、限られたスペースにおいて効率的に形成できる。
【0073】
第1切込み63aと第2切込み64aが一部を共有する。共通切込みSが形成する形状の折り方を変えることによって、同一の係合部材53が複数の熱源熱交換器13に対応する。
【0074】
(6-3)
共通切込みSは矩形波形状を有することにより、第1係合部63と第2係合部64の両方を形成する。
【0075】
(6-4)
係合部材53は、狭い幅を有する熱源熱交換器13に対して、小さな面積Q1を有する第1係合部63で接触する一方、広い幅を有する熱源熱交換器13に対して、大きな面積Q2を有する第2係合部64で接触する。係合部材53は、さらに広い幅を有する熱源熱交換器13に対して、さらに大きな面積Q3を有する第3係合部65で接触する。
【0076】
熱源熱交換器13の伝熱管13cの列の数が多い場合、より大きな力が熱源ファンモータ14aを支持するために必要となる。本実施形態に係る構成によれば、熱源熱交換器13の伝熱管13cの列が多いほど、係合部材53と熱源熱交換器13の接触面積を大きく確保される。したがって、熱源ファンモータ14aの支持が安定する。
【0077】
(7)変形例
(7-1)変形例A
図10は、変形例Aに係る係合部材53Aの斜視図である。係合部材53Aは、共通切込みSが矩形波形状ではなく波形形状を有している点において、上述の実施形態の係合部材53とは異なっている。共通切込みSの少なくとも一部は曲線形状を有する。共通切込みSの全部が曲線形状を有していてもよい。
【0078】
この構成によれば、共通切込みSが滑らかであるので、第1係合部63又は第2係合部64を折り曲げる作業者が怪我をしにくい。
【0079】
(7-2)変形例B
上述の実施形態では、モータ支持部材50又は係合部材53は、熱源ユニット10に含まれている。これに代えて、モータ支持部材50又は係合部材53は、利用ユニット20に含まれてもよい。
【0080】
(7-3)変形例C
上述の実施形態では、ヒートポンプ装置100は空気調和機として構成される。これに代えて、ヒートポンプ装置100は、空気調和機以外の装置として構成されてもよい。ヒートポンプ装置100は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器、床暖房装置であってもよい。
【0081】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0082】
10 :熱源ユニット(ヒートポンプユニット)
13 :熱源熱交換器(熱交換器)
14 :熱源ファン
14a :熱源ファンモータ(モータ)
20 :利用ユニット(ヒートポンプユニット)
50 :モータ支持部材
51 :モータ固定部材
52 :支柱
52a :端部
53 :係合部材
61 :基本係合部
62 :板状部
63 :第1係合部
63a :第1切込み
63b :第1折れ線
64 :第2係合部
64a :第2切込み
64b :第2折れ線
65 :第3係合部
65a :第3切込み
65b :第3折れ線
D1 :間隔
D2 :間隔
D3 :間隔
Q1 :面積
Q2 :面積
Q3 :面積
S :共通切込み
S1 :第1区画
S2 :第2区画
S3 :第3区画
S4 :第4区画
S5 :第5区画
S6 :第6区画
S7 :第7区画
x :第1方向
y :第2方向
z :第3方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【文献】特開2007-322041号公報
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10